(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-29
(45)【発行日】2022-07-07
(54)【発明の名称】断熱材
(51)【国際特許分類】
D01F 9/08 20060101AFI20220630BHJP
C03C 13/00 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
D01F9/08 A
D01F9/08 B
C03C13/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021172285
(22)【出願日】2021-10-21
【審査請求日】2022-01-11
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521462565
【氏名又は名称】サーマル・セラミックス・ユーケイ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】THERMAL CERAMICS UK LIMITED
【住所又は居所原語表記】Tebay Road, Bromborough, Wirral CH62 3PH, England
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ファリド・モダレシファー
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-266169(JP,A)
【文献】特開2000-220037(JP,A)
【文献】特開2012-102450(JP,A)
【文献】特開2006-152468(JP,A)
【文献】特開2013-136848(JP,A)
【文献】特表2019-503328(JP,A)
【文献】特表昭63-502746(JP,A)
【文献】特表2005-514318(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0134444(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F 9/08- 9/32
C03C 1/00-14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
61.0~70.8wt%のSiO
2;
28.0~39.0wt%のCaO;
0.10~0.85wt%のMgO
100wt%までの残りを提供する他の成
分
を含む組成を有し、
SiO
2およびCaOの合計は98.8wt%以上であり、前記他の成分は
0.01wt以上0.70wt%未満のAl
2O
3
を含
み、1100℃で24時間の熱処理後、0.90μm以下の平均結晶子サイズを有する表面結晶粒を含む、無機繊維。
【請求項2】
0.01~0.65wt%未満のAl
2O
3を含む、請求項1に記載の無機繊維。
【請求項3】
前記他の成分は、前記無機繊維の前記組成の少なくとも0.3wt%を占める、請求項1
又は2に記載の無機繊維。
【請求項4】
SiO
2+CaO+MgOの合計は前記繊維組成の99.3wt%以上である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の無機繊維。
【請求項5】
SiO
2+CaO+MgO+Al
2O
3の合計は前記繊維組成の99.5wt%以上である、請求項1~
4のいずれかに記載の無機繊維。
【請求項6】
前記繊維組成物は、0.80wt%未満のMgOを含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載の無機繊維。
【請求項7】
Al
2O
3の量は0.35wt%未満である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の無機繊維。
【請求項8】
SiO
2およびCaOの合計は99.0wt%以上である、請求項1~
7のいずれか一項に記載の無機繊維。
【請求項9】
SiO
2およびCaOの合計は99.1wt%以上である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の無機繊維。
【請求項10】
SiO
2およびCaOの合計は99.2wt%以上である、請求項1~
9のいずれか一項に記載の無機繊維。
【請求項11】
前記組成物は、70.0wt%未満のSiO
2を含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載の無機繊維。
【請求項12】
前記組成物は、64.5wt%超のSiO
2を含む、請求項1~
11のいずれか一項に記載の無機繊維。
【請求項13】
前記組成物は、65.7wt%以上のSiO
2を含む、請求項1~
12のいずれか一項に記載の無機繊維。
【請求項14】
前記他の成分の合計は、前記繊維組成の0.05~1.0wt%の範囲であり、前記他の成分はランタニド、Li、Na、K、Sr、Ba、Cr、Fe、Zn、Y、Zr、Hf
;B、Pまたはそれらの組み合わせの1つ以上の酸化
物を含む、請求項1~
13のいずれか一項に記載の無機繊維。
【請求項15】
前記他の成分の合計は、ランタニド、Sr、Ba、Cr、Zrまたはそれらの組み合わせの1つ以上の酸化
物を含む、請求項
14に記載の無機繊維。
【請求項16】
前記他の成分の合計は、0.1~0.8wt%の範囲である、請求項
14または
15に記載の無機繊維。
【請求項17】
前記組成物は、
65.7~69.0wt%のSiO
2;
30.0~34.2wt%のCaO;
0.10~0.60wt%のMgO;
0.01~0.50wt%のAl
2O
3
を含み
SiO
2およびCaOの合計は99.0wt%以上である、請求項1~
16のいずれか一項に記載の無機繊維。
【請求項18】
前記組成物は、:
65.7~69.0wt%のSiO
2;
30.0~34.2wt%のCaO;
0.10~0.45wt%のMgO;
0.01~0.40wt%のAl
2O
3
を含み
SiO
2およびCaOの合計は、99.2wt%以上である、請求項1~
17のいずれか一項に記載の無機繊維。
【請求項19】
前記他の成分は0~0.25wt%のアルカリ金属酸化物を含む、請求項1~
18のいずれか一項に記載の無機繊維。
【請求項20】
前記他の成分は0~0.20wt%のアルカリ金属酸化物を含む、請求項1~
19のいずれか一項に記載の無機繊維。
【請求項21】
前記算術平均繊維直径は6.0μm未満である、請求項
1~20のいずれか一項に記載の無機繊維。
【請求項22】
請求項1~
21のいずれか一項に記載の無機繊維を含む断熱材。
【請求項23】
請求項1~
21に記載の無機繊維のブランケットの形態の、請求項23に記載の断熱材。
【請求項24】
1200℃以
上の温度での請求項1~
21のいずれかに記載の無機繊維の使用。
【請求項25】
1260℃以上の温度での請求項1~21のいずれかに記載の無機繊維の使用。
【請求項26】
1280℃以上の温度での請求項1~21のいずれかに記載の無機繊維の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体溶解性無機繊維組成物を含む断熱材、より特定的には、前記繊維を含む絶縁材料に関する。発明はまた、1200℃を超える温度での前記繊維の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁材料業界は、断熱、電気絶縁、および防音用途において、生理液中で存続しない繊維を使用することが望ましいことを決定している。すなわち、繊維組成物は、生理液中で低い生体内持続性(すなわち生体溶解性)を有すると考えられる。
【0003】
候補ケイ酸塩材料が提案されているが、これらの材料の使用温度限界は、高温耐熱繊維が適用される用途の多くに適応するほど十分高くない。例えば、そのような生体溶解性繊維は、耐熱セラミック繊維の性能と比べて、使用温度で高収縮を示し、および/または、1000℃~1500℃の範囲の使用温度に曝露されると低減された機械強度を示す。
【0004】
高温耐熱繊維は、絶縁される物品に有効な熱保護を提供するために、予測される曝露温度で、予測使用温度への長期または連続曝露後、最小収縮を示すべきである。生体溶解性および高温耐性に加えて、繊維は、得られた絶縁材料が低い密度および熱伝導率を有するように、低直径および低ショット含有率を有するべきである。多くの要求はそこでは終わらず、繊維はまた、それらが一部を形成する可能性のある絶縁系において他の材料に対して非反応性である必要がある。
【0005】
1987年に、Manville Corporationは、カルシウムマグネシウムケイ酸塩化学に基づく生体溶解性高温耐熱繊維を開発した(特許文献1)。そのような材料は従来のグラスウールよりも高い温度性能を有するだけでなく、体液中で、主に高温断熱のために使用されるアルミノシリケート繊維より、高い溶解度も有した。特許文献1は、繊維特性および形態の所望の組み合わせを得るために、シリカ、カルシアおよびマグネシアを様々な他の金属酸化物添加物と組み合わせることの必要性を教示した。
【0006】
マグネシア、カルシア、シリカ系に由来する生体溶解性高温耐熱繊維の多くの市販例が存在するが、改善された生体溶解性高温耐熱繊維およびその絶縁材料が依然として必要である。
【0007】
特許文献2は、特定の範囲のMgOおよびAl2O3を有するSiO2、CaOから本質的に構成される無機繊維を開示する(変動組成を有する副産物原材料ではなく金属酸化物から得られた)。Al2O3レベルが低いほど、驚くほど高い生体溶解度レベルが得られることが観察された。
【0008】
特許文献3は、追加の構成要素Al2O3、ZrO2、およびTiO2を有するCaO/MgO/SiO2繊維を開示しており、これらについては、生理食塩水溶解度および耐熱性が調査された。文書では、生理食塩水溶解度はMgOの量の増加と共に増加すると思われ、一方、ZrO2およびAl2O3は溶解度には有害であったことが述べられている。TiO2(0.71-0.74mol%)およびAl2O3(0.51-0.55mol%)の存在により、1260℃で3.5%以下の収縮判断基準に入る繊維が得られた。文書には、SiO2が高すぎる繊維は、形成するのが困難で、または不可能であることがさらに述べられており、繊維化することができない組成物の例として、70.04、73.09、73.28および78.07wt%のSiO2を有する繊維が引用されている。
【0009】
特許文献4は、主にシリカ、カルシア、マグネシアおよびジルコニア、ならびに、任意で、生成物繊維化を可能にするための粘度調整剤、例えばアルミナおよびボリアを含む無機高シリカ繊維組成物を開示する。
【0010】
特許文献5は、1000℃以上まで加熱される繊維でのクリストバライトの沈殿を回避するための、シリカおよびカルシアを含む無機繊維を開示する。クリストバライトの沈殿を回避するために、Na2O、K2O、TiO2、Fe2O3およびMgOのレベルは低減されるか、または、付加されず、高純度カルシアおよびシリカが原料として使用される。
【0011】
特許文献6は、72wt%以上のSiO2を含むCaO/SiO2繊維を特許請求し、これについては、SiO2+ZrO2+B2O3+5*P2O5の合計は72wt%を超えた。そのような繊維は、アルミノシリケートれんがと反応する傾向が低かったが、一方、SiO2+ZrO2+B2O3+5*P2O5含量がより低い繊維はアルミノシリケートれんがと逆に反応する傾向があった。
【0012】
本分野における進歩にかかわらず、繊維特性および形態の要求される組み合わせを得るためにある範囲の添加物に依存していない簡略化繊維組成物が依然として必要である。それらの生成において高不純物原料に依存していない簡略化繊維組成物もまた、必要であり、そのような高純度原料を生成するためにしばしば使用される精製プロセスは、得られる無機繊維のカーボンフットプリントを増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許第5,714,421号明細書
【文献】国際出願第87/05007号
【文献】国際公開第94/15883号
【文献】米国特許第6,953,757号明細書
【文献】特開2003-003335号公報
【文献】米国特許出願公開2004/254056号明細書
【発明の概要】
【0014】
出願人は、耐熱アルカリ土類ケイ酸塩繊維の分野における一般通念に反して、かなりの量の添加物、例えば粘度調整剤、溶解度または耐熱性増強剤をSiO2-CaO系に添加せずに、特定の組成範囲内で高い有用性を有する耐熱繊維を生成させることができることを見出した。
【0015】
本発明の第1の態様によれば、下記から構成される無機繊維が提供され:
61.0~70.8wt%のSiO2;
28.0~39.0wt%のCaO;
0.10~0.85wt%のMgO;および
100wt%までの残りを提供する他の成分(存在する場合)、
SiO2およびCaOの合計は98.8wt%以上であり、他の成分は0.70wt%未満のAl2O3(存在する場合)を含む。
【0016】
無機繊維は下記を含む組成を有することができ:
65.7~69.0wt%のSiO2;
30.0~34.2wt%のCaO;
0.10~0.60wt%のMgO;
0~0.50wt%のAl2O3;ならびに
SiO2およびCaOの合計は99.0wt%以上である。
【0017】
無機繊維は下記を含む組成を有することができ:
65.7~69.0wt%のSiO2;
30.0~34.2wt%のCaO;
0.10~0.45wt%のMgO;
0~0.40wt%のAl2O3;ならびに
SiO2およびCaOの合計は、99.2wt%以上である。
【0018】
少量のMgOが予想外に、高温での表面微結晶粒子の形成を阻害するが、一方、繊維の高温性能に悪影響を及ぼさない狭い組成ウィンドウが存在することが見出されている。繊維上の大きな表面微結晶粒子は、高温での繊維の機械的特性に悪影響を及ぼす応力点の生成の原因となる可能性がある。そのため、繊維が使用される時に高温で形成される表面微結晶相のサイズを最小に抑えることが望ましい。
【0019】
1100℃で24時間の熱処理後の無機繊維は好ましくは、0.90μm以下;または0.80μm以下;または0.70μm以下;または0.60μm以下;または0.50μm以下;または0.40μm以下の平均結晶子サイズを有する表面結晶粒子を含む。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、そのような繊維を含む断熱材が提供される。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、1200℃以上または1260℃以上または1280℃以上の温度でのそのような繊維の使用が提供される。そのような使用は、1200℃以上の温度(例えば、1200℃または1260℃または1300℃の分類温度(EN1094-1-2008))への連続耐性を必要とする適用におけるものとすることができ、6.0μm未満の直径を有するそのような生体溶解性無機繊維を含む断熱材である。
【0022】
他の成分の量は典型的には、少なくとも0.2wt%または少なくとも0.3wt%または少なくとも0.4wt%または少なくとも0.5wt%である。より純粋な原料の使用が可能であるが、これはしばしば、追加の精製プロセスが必要となるためにカーボンフットプリントおよびコストの増加を伴う。さらに、これらの他の成分(随伴不純物を含み得る)は、組成物の繊維化を支援すると考えられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、少量の添加物は、繊維の特性を微調整するために含められ得る。添加物付加は0.0wt%超または0.10wt%超または0.20wt%超または0.30wt%超とすることができる。添加物付加は繊維組成の1.0wt%未満または0.8wt%未満または0.6wt%未満または0.4wt%未満または0.3wt%未満または0.2wt%未満とすることができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、添加物は、要求される生体溶解度および高温使用特性を維持しながら、繊維化(溶融粘度調整剤)を助ける;高温性能を増強させる;より微細な繊維直径の形成を促進するために添加される。
【0025】
添加物は、ランタニド系列の元素(例えばLa、Ce)、Li、Na、K、Sr、Ba、Cr、Fe、Zn、Y、Zr、Hf;Ca、B、Pまたはそれらの組み合わせの1つ以上の酸化物またはフッ化物を含み得る。別の実施形態では、他の成分はランタニド、Sr、Ba、Cr、Zrまたはそれらの組み合わせの1つ以上の酸化物またはフッ化物を含む。繊維組成物は0.05~1.0wt%の添加物または0.10~0.80wt%または0.15wt~0.60wt%の添加物を含み得る。添加物は、好ましくは、天然起源の鉱床を起源とする。粘度調整剤の添加は、66.0wt%または67.0wt%または68.0wt%または69.0wt%を超えるSiO2含量を有する繊維組成物に添加される場合、特に有利となる。
【0026】
この組成ウィンドウ内では、生体溶解性高温耐熱繊維は溶融成形可能であることが見出されている。繊維が高温で有用性を有するように、無機繊維組成物特性を改変するために、様々な添加物の使用が報告されていることを考えると、これは特に驚くべきことである。加えて、65.7wt%以上のSiO2の繊維組成では、繊維はまた、アルミナリッチ材料の存在で、高温では非反応性となる。
【0027】
いくつかの実施形態では、無機繊維は、1200℃に24時間曝露されるとアルミナリッチ組成物(例えばムライト)と非反応性である。アルミナリッチ組成物は、好ましくは少なくとも50wt%のAl2O3を有する組成物を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、他の成分は、無機繊維を製造するために使用される原料中の随伴不純物を含む、またはこれから構成され、石炭がケイ砂および石灰などの無機繊維前駆体材料を溶融するためのエネルギー源として使用される場合、石炭灰が含まれる。
【0029】
いくつかの実施形態では、石灰中の主不純物はマグネシアを含む。他の不純物としては、アルミナ、酸化鉄およびアルカリ金属酸化物、例えばK2OおよびNa2Oが挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態では、SiO2およびCaOの合計は99.1wt%以上または99.2wt%以上である。
【0031】
いくつかの実施形態では、SiO2およびCaOおよびMgOの合計は繊維組成の99.0wt%以上または99.1wt%以上または99.2wt%以上または99.3wt%以上または99.4wt%以上または99.5wt%以上である。無機繊維組成物は、0.85wt%未満または0.80wt%未満または0.70wt%未満または0.6wt%未満のMgOまたは0.50wt%未満または0.45wt%未満の随伴不純物に由来するMgOを含む。MgOの含量が高いほど、1300℃での繊維の熱安定性に悪影響を及ぼすことが見出されている。組成物は、好ましくは、少なくとも0.11wt%または少なくとも0.12wt%または少なくとも0.14wt%または少なくとも0.16wt%または少なくとも0.18wt%または少なくとも0.20wt%のMgOを含む。MgOの量が低いほど、高温での表面微結晶形成を十分阻害し得ない。
【0032】
いくつかの実施形態では、SiO2+CaO+MgO+Al2O3の合計は、繊維組成の99.3wt%以上または99.4wt%以上または99.5wt%以上または99.6wt%以上または99.7wt%以上である。
【0033】
好ましくは、無機繊維組成物は、0.01~0.65wt%未満のAl2O3、または0.60wt%未満または0.50wt%未満または0.40wt%未満または0.35wt%未満または0.30wt%未満または0.25wt%未満の随伴不純物に由来するAl2O3を含む。現在のSiO2-CaO組成内では、Al2O3のレベルが高いほど、高温での結晶成長の促進に加えて、無機繊維の生体溶解度および熱安定性に悪影響を及ぼすことが見出されている。
【0034】
別の実施形態では、無機繊維中のMgOおよびAl2O3の合計は1.20wt%以下または1.10wt%以下または1.00wt%以下または0.90wt%以下または0.80wt%以下または0.70wt%以下または0.60wt%以下である。
【0035】
他の実施形態では、繊維の真空鋳造プリフォームの元となる無機繊維は、1200℃に24時間曝露されると、5.0%以下(または4.0%または4.5%以下または3.0%以下または2.5%または2.0%以下)の収縮を有する。別の実施形態では、繊維の真空鋳造プリフォームの元となる無機繊維は、1300℃に24時間曝露されると、5.0%以下(または4.5%または4.0%以下または3.0%以下または2.5%または2.0%以下)の収縮を有する。
【0036】
無機繊維の溶融温度は好ましくは少なくとも1350℃または少なくとも1380℃または少なくとも1400℃または少なくとも1420℃である。
【0037】
好ましくは、原料の不純物は、SiO2およびCaOの合計が無機繊維組成の99.0wt%以上または99.3wt%以上または99.4wt%以上または99.5wt%以上であるとなるようなものである。純度の上限はおそらく、原料のコストおよびアベイラビリティおよび/または、特に微細繊維直径(例えば<6μmおよび/または52wt%ショット未満(<45μm))を有する無機繊維を製造する能力により制限される。
【0038】
繊維化を助けるために、添加物がない場合、無機繊維組成物のSiO2含量は好ましくは70.7wt%未満または70.6wt%未満または70.4wt%未満または70.0wt%未満または69.5wt%未満または69.0wt%未満または68.5wt%未満または68.0wt%未満である。高温での弾力性を助け、アルミナ含有基材との反応性を最小に抑えるために、無機繊維組成物のSiO2含量は好ましくは、少なくとも61.5wt%または少なくとも62.0wt%または少なくとも62.5wt%または少なくとも63.0wt%または少なくとも63.5wt%または少なくとも64.0wt%または少なくとも64.5wt%または少なくとも65.0wt%または少なくとも65.7wt%または少なくとも65.8wt%または少なくとも66.0wt%または少なくとも66.2wt%または少なくとも66.4wt%または少なくとも66.6wt%または少なくとも66.8wt%または少なくとも67.0wt%または少なくとも67.2wt%または少なくとも67.4wt%である。
【0039】
無機繊維組成物のCaO含量は好ましくは状況に応じて変動し、CaOの下限は好ましくは少なくとも28.5wt%または少なくとも29.0wt%または少なくとも29.5wt%または少なくとも30.0wt%である。無機繊維組成物のCaO含量の上限は好ましくは38.5wt%以下または38.0wt%以下または37.5wt%以下または37.0wt%以下または36.5wt%以下または36.0wt%以下または35.5wt%以下または35.0wt%以下または34.5wt%以下または34.0wt%以下または33.5wt%以下または33.0wt%以下または32.5wt%以下または32.0wt%以下である。
【0040】
無機繊維組成物のMgO含量は、好ましくは、0.13wt%~0.80wt%のMgOまたは0.15wt%~0.70wt%のMgOまたは0.17wt%~0.60wt%のMgOまたは0.18wt%~0.50wt%のMgOまたは0.19wt%to0.45wt%のMgOまたは0.20wt%~0.45wt%のMgOの範囲である。
【0041】
1つの実施形態では、他の成分は下記を含む:
・0.10~0.60wt%のAl2O3または0.20~0.55wt%のAl2O3または0.23~0.50wt%のAl2O3または0.24~0.45wt%のAl2O3または0.25~0.40wt%のAl2O3または0.25~0.35wt%のAl2O3;および/または
・0~0.50wt%のアルカリ金属酸化物または0.01~0.40wt%のアルカリ金属酸化物または0.05~0.30wt%または0.06~0.25wt%または0.07~0.20wt%または0.08~0.18wt%のアルカリ金属酸化物、または0~0.25wt%のアルカリ金属酸化物、または0~0.20wt%のアルカリ金属酸化物。
【0042】
いくつかの実施形態では、アルカリ金属酸化物の少なくとも80wt%はNa2OまたはK2Oを含む。
【0043】
1つの実施形態では、無機繊維中の他の随伴不純物の範囲は下記である:
BaO:0~0.05wt%または>0~0.01wt%
B2O3:0~0.1wt%または>0~0.05wt%
Cr2O3:0~0.08wt%または>0~0.03wt%
Fe2O3:0~0.25wt%または>0~0.15wt%
HfO2:0~0.05wt%または>0~0.01wt%
La2O3:0~0.1wt%または>0~0.03wt%
Mn3O4:0~0.05wt%または>0~0.01wt%
Li2O:0~0.15wt%または>0~0.08wt%
Na2O:0~0.15wt%または>0~0.08wt%
K2O:0~0.5wt%または>0~0.20wt%
P2O5:0~0.05wt%または>0~0.01wt%
SrO:0~0.08wt%または>0~0.03wt%
TiO2:0~0.08wt%または>0~0.03wt%
V2O5:0~0.05wt%または>0~0.01wt%
SnO2:0~0.05wt%または>0~0.01wt%
ZnO:0~0.05wt%または>0~0.01wt%
ZrO2:0~0.1wt%または>0~0.02wt%
【0044】
BaO+Cr2O3+Fe2O3+HfO2+La2O3+Mn3O4+Na2O+K2O+P2O5+SrO+TiO2+V2O5+ZrO2+ZnOの合計は好ましくは、無機繊維の総重量の1.0wt%未満または0.8wt%未満または0.6wt%未満または0.5wt%未満または0.4wt%未満または0.3wt%未満または0.25wt%未満または0.2wt%未満である。BaO+Cr2O3+Fe2O3+HfO2+La2O3+Mn3O4+Na2O+K2O+P2O5+SrO+TiO2+V2O5+ZrO2+ZnOの合計は典型的には、無機繊維の総重量の少なくとも0.10wt%または少なくとも0.20wt%または少なくとも0.30wt%である。
【0045】
1つの実施形態では、無機繊維は下記を含み:
66.0~69.0wt%のSiO2または(65.7~69.0wt%)のSiO2;
30.0~34.0wt%のCaOまたは(30.0~34.2wt%)のCaO;
0.10~0.45wt%(または0.1~0.45wt%;または0.1~0.60wt%)のMgO
0~0.35wt%(または0.1~0.35wt%;または0~0.45wt%;または0~0.60wt%)のAl2O3
0~0.20wt%(または0.05~0.18wt%)のアルカリ金属酸化物、ならびに
SiO2およびCaOの合計は99.0wt%以上である。
【0046】
いくつかの実施形態では、数値平均(または算術平均)繊維直径は6.0μm未満または5.0μm未満または4.5μm未満または4.0μm未満または3.5μm未満または3.3μm未満または3.0μm未満または2.8μm未満または2.5μm未満である。最小数値平均繊維直径は繊維が使用時に十分な機械強度を有することができるように、典型的には少なくとも1.5μmまたは少なくとも2.0μmである。
【0047】
いくつかの実施形態では、繊維は、フロー溶解度試験(pH7.4)においてある溶解率を有し、好ましくは少なくとも150ng/cm2hrまたは少なくとも170ng/cm2hrまたは少なくとも200ng/cm2hr;または少なくとも250ng/cm2hrである。
【0048】
いくつかの実施形態では、繊維ブランケット(128kg/m3)の引張強さは少なくとも50kPaまたは少なくとも55kPaまたは少なくとも60kPaである。
【0049】
128kg/m3繊維ブランケットの1000℃での熱伝導率は好ましくは0.30W.m-1.K-1未満または0.28W.m-1.K-1未満または0.26W.m-1.K-1未満または0.25W.m-1.K-1未満である。
【0050】
いくつかの実施形態では、製造されたままの繊維の弾力性は少なくとも80%である。1100℃で24時間後の弾力性は好ましくは少なくとも70wt%または少なくとも75wt%である。1150℃で24時間後の弾力性は好ましくは少なくとも67wt%または少なくとも70wt%である。1200℃で24時間後の弾力性は好ましくは少なくとも63wt%または少なくとも67wt%である。
【0051】
他の成分(例えば随伴不純物)を上記制限内で維持することにより、本開示の無機繊維は、優れた高温有用性を維持することができる。個々の不純物レベルは、全体の低レベルの随伴不純物を維持することにより、それらの好ましい範囲から変化させることは可能である一方、添加物(例えば粘度調整剤、溶解度増強剤、耐熱温度安定剤、など)をカルシアおよびシリカ混合物に添加する必要性は回避することができ、または最小に抑えることができる。
【0052】
米国特許第4,238,213号明細書または米国特許出願公開第2012/247156号明細書において教示される繊維化技術を使用して、本発明の開示された繊維を形成することができる。国際公開第2017/121770号(参照により、その全体が、本明細書に組み込まれる)で開示される装置および技術が、好ましくは、特に、より高いシリカ含量(例えば>68wt%または>69wt%)を含む組成物について使用され得る。
【0053】
絶縁系は下記を含むことができ:
a.前記請求項のいずれか一項に記載の無機繊維;および
b.Al2O3リッチ耐熱要素、
無機繊維および耐熱要素は接触して係合する。
【0054】
Al2O3リッチ耐熱要素は好ましくは、少なくとも50wt%のAl2O3または少なくとも60wt%または少なくとも70wt%のAl2O3を含む。Al2O3リッチ耐熱要素の例としては、ムライトが挙げられ、粘土系要素(例えば耐火れんが)である。
【0055】
本発明の第一の態様の無機繊維の形成のためのプロセスは下記を含み得る:
・シリカおよびカルシア源を一緒に合わせること;
・シリカおよびカルシアを溶融し、溶融塊を形成させること;ならびに
・溶融物から前記無機繊維を形成すること。
【0056】
シリカ源は好ましくはケイ砂である。カルシア源は好ましくは石灰である。シリカおよびカルシアは各々、好ましくは、単一源に由来する。シリカおよびカルシア原料の品質は好ましくは、随伴不純物が確実に1.0wt%未満または0.5wt%未満で維持されるようにモニタされる。石灰は、得られた繊維組成物が、0.10~0.85wt%の範囲のMgOを含むように選択される。
【0057】
好ましくはMgOおよび随伴不純物の合計は0.3wt%以上または0.4wt%以上である。MgOおよび随伴不純物の量は組成物の溶融粘度を低減させるのに十分であり、繊維が発明の前の態様において記載されるように形成できるようにする。
【0058】
誤解を避けるために、本明細書では、組成物との関連での「含む(comprise)」という用語は、含める、含有する、または包含するという意味を有する、および、他の材料成分が存在することを許容すると解釈されることに注意すべきである。「含む(comprises)」および「含んでいる」という用語は同様に理解されるべきである。成分の合計が100%を超えるいずれの組成物も特許請求されていないことにもまた、注意すべきである。
【0059】
特許または他の文書が本明細書で参照される場合、その内容は、国内法令下で許容される程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
さらに、組成物における酸化物[例えばアルミナ、シリカ、ポタシア(potassia)]の名称の使用は、これらの材料がそのようなものとしてとして供給されることを暗示しないが、最終繊維の組成が関連元素を酸化物として表すことを示すことが理解されるべきである。関連材料は、全体として、または、一部、混合酸化物として、一時的成分とコンパウンディングされて[例えば、炭酸塩として供給]または、実際、非酸化物成分として[例えば、ハロゲン化物として]提供され得る。
【0061】
随伴不純物は無機繊維の形成中の原料、燃料源または他の源に由来する不純物として規定される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図2】従来技術により生成された繊維(試料C-23)のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本発明による繊維および本明細書で記載される比較繊維は、フランスのSaint Marcellinにおけるフランス製造設備で、紡糸により[溶融ストリームを形成し、ストリームを1つ以上の紡ぎ車に接触させることにより、ストリームを繊維に変換することにより溶融物から製造される];または、英国Bromboroughにおける出願人の研究設備で、紡糸により、あるいはブローイングにより[溶融ストリームを形成し、ストリームに指向させたエアブラストを使用することによりストリームを繊維に変換することにより溶融物から製造された繊維]生成されてきた。発明は、繊維を溶融物から形成する任意の特定の方法に制限されず、他の方法[例えば、繊維の回転または遠心式形成;ドローイング;エアジェット減衰]が使用され得る。得られた繊維は次いでコンベヤーベルト上に送られ、当技術分野で知られているように、ニードリング法により絡み合わされた。
【0064】
本発明の好ましい実施形態の無機繊維を生成するために使用される原料は石灰およびケイ砂である。使用される石灰の化学分析(正規化)が下記表1で提供される。石灰中の随伴不純物(100-CaO-SiO2)は典型的には2.0wt%未満である。ケイ砂純度は、98.5wt%または99.0wt%またはそれ以上であり得る。典型的には、ケイ砂は、99.5wt%超のシリカおよび200ppm未満のFe2O3;1000ppm未満のAl2O3;200ppm未満のTiO2、100ppm未満のCaOおよび100ppm未満のK2Oの純度を有した。
【0065】
【0066】
次いで、繊維/これから製造したブランケットを記載される試験法を使用して評価した:
【0067】
試験法
EN1094-1-2008標準を収縮、引張強さおよび弾力性試験のために使用した。
【0068】
ショット含有率
ショット含有率は、国際公開第2017/121770号(参照により本明細書に組み込まれる)で詳述されるジェットシーブ法により決定された。
【0069】
熱安定性(収縮)
耐熱ガラス繊維絶縁材料を含む耐熱材料の寸法安定性の決定のための方法はEN ISO 10635に基づく。この方法は、熱処理後の平面供試体の線寸法の変化を測定する収縮試験である。
【0070】
収縮試験は、線寸法が熱処理前後で正確に決定できるように比較的剛性の供試体を必要とする。ニードリングされた(needled)繊維ブランケット供試体が入手不可能でない場合、のり接着真空成形ボードがガラス繊維試料から調製された。
【0071】
真空成形ボードを調製するために、製造されたままの繊維材料は小規模工業用造粒機を用いて#6メッシュを通して(約3mm開口)刻まれた。短繊維試料を、シーブを使用して軽くきれいにし、デブリおよび大きなガラス残渣を除去した。40gのきれいな短繊維を500mlの5wt%濃度のジャガイモデンプンを含む水溶液中で混合し、スラリーを生成させた。その後、真空成形機を使用して、10-15mmの厚さを有する75×75mmボードを生成させた。真空成形機は100μmメッシュ底を有する密閉アクリル型から構成され、真空ポンプを使用して水をスラリーから除去しながら、平板を使用して形状を手作業で圧縮した。真空成形ボードを120℃で乾燥させた。
【0072】
残存線収縮を測定するために、供試体の線寸法を、遊動顕微鏡を使用して±5μmの精度で測定した。供試体をその後、炉に入れ、試験温度(例えば1300℃)より50℃低い温度まで、300℃/時間の速度で傾斜させ、次いで、120℃/時間で最後の50℃の間、試験温度まで傾斜させ、24時間保持した。供試体をこの熱処理の終わりに室温まで自然に冷却させた。熱処理後、供試体の線寸法を同じ装置を使用して再び測定し、寸法変化を計算した。収縮値を4測定の平均として与える。
【0073】
ムライトとの反応性
50mm×100mmのおおよその寸法を有するニードリングされた繊維ブランケット供試体をこの試験のために使用した。ブランケット供試体を未使用のムライト耐火断熱れんが(JM28IFB)上に置いた。供試体を、IFB基材と共に、1200℃で24時間加熱処理し、熱処理後の反応性を確認した。供試体およびIFBを溶融または反応の兆候について調べた。IFBと全く反応しなかった試料を良と評価した(○)。IFBと反応した試料(試料がIFBに付着し、または、溶融の兆候が観察された)を不良と評価した(×)。
【0074】
生体溶解度
繊維状材料の生物学的溶解度は、材料がフロースルー装置において模擬体液に曝露される系において推定することができる(すなわち、インビトロ)。溶解度のこの測定は単位表面積あたりの質量の減少率として規定される(Kdis)。この測定を標準化するためにいくつかの試みがなされてきたが、現在のところ国際標準は存在しない。研究室間の主なプロトコルの違いとしては、異なる模擬体液化学(最も重大なことには、異なる緩衝および有機成分)、流速、試料の質量および/または表面積、比表面積についての決定方法、および質量損失の決定が挙げられる。その結果として、Kdis値は、ヒト肺における繊維状粒子の絶対溶解度の測定値としてではなく、試験の特定のパラメータ下での模擬体液との化学反応性の相対的推定値としてみなされるべきである。この研究で使用されるフロースルー溶解度試験法は、pH7.4生理食塩水中での3週間にわたる溶解度試験である。2チャネルの各固有の供試体を同時に試験する。繊維供試体上を流れる生理食塩水溶液の試料を1、4、7、11、14、19および21日後に採取する。生理食塩水試料を、ICP法を使用して分析し、ppmレベルの酸化物溶解レベルを測定する。フロー試験結果を立証し、各供試体について最終溶解率を計算するために、サンプリング時間に対する残りの繊維質量の平方根をプロットする。線形傾向からの逸脱は、結果に関する問題を示唆することができる。この研究で実施したフロー試験結果において良好な線形回帰フィットが観察された。著者らが収集した履歴データに基づき、繊維が免責の可能性を有するには最低150ng/cm2hr溶解率が要求される。静的溶解度試験法では、繊維供試体は、肺内の条件を再現するために37℃の生理食塩水溶液中で撹拌される。試験は、5または24時間後に、ICP法を使用して繊維溶解をモニタする。
【0075】
弾力性
弾力性試験(EN1094-1-2008)は、それらの初期厚さの50%まで圧縮された後にはね返る繊維絶縁生成物の能力を証明する。この文書における弾力性試験のための試料はニードリングされたブランケット形態とした。製造されたままのまたは熱処理されたブランケット供試体を100mm×100mm四角に切断し、110℃±5℃で12時間乾燥させ、吸収された水分を除去した。供試体をその後、室温まで冷却させ、次いで、直ちに試験した。ブランケット供試体の初期厚さを、弾力性試験の前にピンアンドディスク法を用いて測定した。150mm直径の平面圧縮プラテンが備えられたInstron(登録商標)ユニバーサルメカニカル試験フレームを弾力性試験のために使用した。試験中、供試体を2mm/分の速度でそれらの元の厚さの50%まで圧縮し、次いで、供試体を圧縮下で5分間保持した。その後、供試体を、圧縮プラテンを持ち上げることによりはね返らせ、725Pa(供試体≧96kg/m3嵩密度について)または350Pa(供試体<96kg/m3嵩密度について)をロードセル上で記録し、次いで、さらに5分間保持した。この試験後、弾力性値を、下記式を用いて計算した:
【0076】
【0077】
引張強さ
ブランケットの分断強度を、室温で試験片の破裂を引き起こすことにより決定する。試料を、型板(230±5mm×75±2mm)を使用して切断する。試料を110℃で一定質量となるまで乾燥させ、室温まで冷却し、次いで、直ちに測定し、試験する。
【0078】
幅を、鋼尺を使用して1mm精度まで片の中央を横切って測定し、試料の厚さを各試料について(試料の両端で)EN1094-1ニードル法を使用して測定する。各試験について最低4つの試料を製造の向きに沿って取る。
【0079】
試料を、試験中の滑りを防止するために鋸歯状クランプ表面を有する少なくとも40mm×75mmのクランプエリアを有する一対のジョーを含むクランプにより、各端で固定する。これらの寸法は、試験される150±5mmの固定されていない距離を与える。クランプは試料厚さの50%まで閉じられる(ノギスまたは定規を用いて測定)。
【0080】
クランプは、引張試験機[例えば1kNロードセルを使用するInstron(登録商標)5582、3365、または引張強さを試験するための少なくとも等価の機能性を有する機械]内に載置される。引張試験機のクロスヘッド速度は試験を通して100mm/分と一定である。
【0081】
試料の中央ではなくクランプジョーのより近くで壊れる試料での測定は退ける。試験中の最大負荷を、強度を計算するために記録する。
【0082】
引張強さは下記式により与えられる:
【0083】
【0084】
式において:
R(m)=引張強さ(kPa)
F=最大分断力(N)
W=試験片の活性部分の初期幅(mm)
T=試験片の初期厚さ(mm)
試験結果は、生成物の嵩密度と共にこれらの引張強さ測定の平均として表される。
【0085】
繊維直径
繊維直径測定を、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して実施した。SEMは材料の微視的詳細の高倍率観察を実施するために使用されるマイクロ分析技術である。SEMはタングステンフィラメントを使用し、電子ビームを発生させ、次いで、電子ビームは供試体の選択された領域上でラスター化され、供試体により生成された信号が検出器により記録され、処理されて、コンピュータ上の画像表示となる。様々な検出器が試料により生成される信号を記録するために使用することができ、二次電子および後方散乱電子検出器が挙げられる。
【0086】
使用される特定のSEM装置は真空下、導電性供試体上で動作する。そのため、全てのガラス/セラミック繊維供試体は、SEM分析前に金または炭素でコートする必要がある。コーティングは、自動スパッタコーターを使用しておよそ20nmで適用された。直径測定のための繊維状供試体を調製するために、繊維供試体を、空気プレスを使用して400psiで押し潰した。押し潰す目的は、確実に、試料を、繊維長さを損なわないで分散させるのに十分押し潰すことであり、押し潰しにより、アスペクト比>3:1を有する繊維が得られる。押し潰した繊維供試体を次いで、円錐とし、四分割し代表的なサンプリングを確保した。押し潰され、四分割された繊維をIPAに分散させる。典型的には、50μgの繊維を50mL遠心管に入れ、25mLのIPAを添加する。次いで、SEMスタブをペトリ皿の中央に置き、次いで、遠心管を激しく振盪させ、SEMスタブを含むペトリ皿に空ける。ペトリ皿を通風室で1時間放置し、繊維をSEMスタブ上に沈降させる。次いで、SEMスタブを、SEM画像化のための調製において、金で注意深くコートする。
【0087】
この試料調製工程に続き、SEM装置上の自動化ソフトウェアを使用して、SEMスタブから1500×の倍率で350の特有の二次電子画像を収集した。画像収集工程に続き、画像をOlympus Soft Imaging Solutions GmbHから入手可能なScandium(登録商標)システムにより処理し、繊維の直径を測定する。プロセスは全ての画像における測定される繊維の手検測を含み、確実に、3:1を超えるアスペクト比を有する繊維粒子のみが測定される。最終繊維直径分布がグラフならびに数値平均/算術平均直径において再投稿される。
【0088】
結晶粒度
熱処理された繊維材料についての結晶粒度測定を、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して実施した。SEMは材料の微視的詳細の高倍率観察を実施するために使用されるマイクロ分析技術である。SEMはタングステンフィラメントを使用して、電子ビームを発生させ、次いで、電子ビームは供試体の選択された領域上でラスター化され、供試体により生成された信号が検出器により記録され、処理されて、コンピュータ上の画像表示となる。様々な検出器が試料により生成される信号を記録するために使用することができ、二次電子および後方散乱電子検出器が挙げられる。
【0089】
使用される特定のSEM装置は真空下、導電性供試体上で動作する。そのため、全てのガラス/セラミック繊維供試体は、SEM分析前に金または炭素でコートする必要がある。コーティングは、自動スパッタコーターを使用しておよそ20nmで適用された。粒度測定のための繊維状供試体を調製するために、繊維供試体を円錐とし、四分割し、代表的なサンプリングを確保した。SEMスタブを供試体の小さな代表的な試料を用いて調製し、SEM画像化のための調製において、金で注意深くコートする。
【0090】
この試料調製工程に続き、SEM装置を使用して、SEMスタブから、形態に基づき好適な倍率での(典型的には、5000-10000×の倍率範囲)いくつかの特有の二次電子画像を収集する。画像収集工程に続き、画像をコンピュータソフトウェアプログラム(Olympus Scandium(登録商標))により処理し、いくつかのSEM画像において視認可能な粒界の周りに円を描くことにより、粒度を測定する。プロセスは、繊維のみに焦点があっていることを確保するために、全ての画像における繊維の手検測を含む。最終粒度は全ての測定の数値平均として報告される(代表的結晶の最低10測定)。SEM画像の拡大率および解像度の制限のために、最小測定可能粒度は約0.4μmであった。より低い結晶粒度を有する試料は、平均粒度値<0.4μmを有すると報告した。
【0091】
溶融温度
繊維の溶融温度をDSC(30℃から1500℃までの10k/分の温度増加)により決定した。試料26b(50mgの、繊維から細かく砕いた微細粉末)は1435.3℃の溶融温度を有した。
【0092】
繊維組成
繊維組成を、標準XRF法を使用して決定した。SiO2、CaO、K2O、Al2O3、MgOおよび表5に列挙される酸化物成分について分析を実施した後、結果を正規化した。組成物の総重量が98.0wt%~102.0wt%の範囲の外側にあった場合、正規化されていない結果を廃棄した。
【0093】
結果
表2及び3を参照すると、実施例1~26および比較例C1~C4によれば、無機繊維の組成が総組成の%重量として示される。
【0094】
【0095】
表3に示されるように、65.7wt%未満のシリカレベルを有する無機繊維組成物は、ムライトベースのれんがと適合しないことが見出され、1200℃で24時間接触させた後れんがに付着した。より高いシリカレベルを有する無機繊維組成物は一般に、より高いショット含有率およびより高い繊維直径を有した。
【0096】
【0097】
不純物の効果
原料中の随伴不純物の効果を評価するために、超高純度試料(24)を、シリカ(SiO2:99.951wt%、Al2O3:0.038wt%、Fe2O3:0.012wt%)およびカルシア(CaO:99.935wt%、SiO2:0.011wt%、Al2O3:0.012wt%、Fe2O3:0.011wt%、SrO:0.031wt%)を使用して生成させた。残りの成分はXRF検出限界未満であった(<0.01wt%)。
【0098】
不純物の効果を評価するために、追加の量のAl2O3、MgOおよびZrO2を既存の随伴不純物に添加した。表4aを参照すると、MgOおよびAl2O3の量が増加すると、%収縮により測定すると、1300℃で(24時間)熱安定性が低減するという結果になる。実施例C-34は米国特許第5,332、699号明細書からの試料E-174の繰り返しである。
【0099】
1300℃で24時間の収縮
最低収縮(最良高温性能)を試料32及び33において観察した。試料33は添加物のない対照試料であった。一方、試料Fはわずかに上昇したMgOレベルを有するが、両方の試料において、SiO2およびCaOの合計は99.0wt%を超える。試料32は、試料C-30~33の収縮とMgO含量の間の相関において異常であると考えられる。同様に、実施例37もまた、疑わしい結果であると考えられ、収縮結果は4%未満であると予測される。結果から、一般に、CaO+SiO2レベルが高いほど、収縮試験により測定すると、改善された高温安定性を有する繊維組成物に対応することが示される。
【0100】
表面結晶サイズ
超高純度原料は繊維を形成するのが困難であり、繊維が形成された場合、収率が低く、繊維直径は大きくなった(例えば>500μm)。
図1に示されるように、繊維の表面は5μmに近づいている平均結晶粒度を含み、亀裂もまた観察される。表面結晶の出現率もまた、従来技術の高純度試料上で注目され(
図2)、約1μmの平均結晶粒度を有した。
【0101】
表4aに示されるように、CaO+SiO2の合計が高いほど、より高い高温性能および生体溶解度に対応する傾向がある。表4bは、高温性能とMgO含量の間の相関をさらに開示する。
【0102】
【0103】
【0104】
MgOの追加の効果を
図3及び4に示す。試料19(
図3)および試料E(
図4)は、MgOが主たる微量酸化物成分である組成物を表す。結果から、少なくとも1wt%までのMgOレベルは1100℃で結晶成長を抑制することができることが示される。増加したレベルのAl
2O
3の追加の効果が
図5、6&7において示され、ほぼ1μmの平均結晶サイズが、1.04wt%のAl
2O
3含量で、98.6wt%のCaO+SiO2wt%で得られる。K
2O含量の効果が
図8(試料8)および9(試料26)に示され、K
2O含量の0.03wt%(試料8)から0.27wt%までの増加(試料C-26)が検出限界未満(<0.4μm)から0.54μmまでの結晶サイズの増加に対応する。
【0105】
結果から、組成物内の微量成分は少なすぎても、多すぎても結晶サイズの上昇につながる可能性があり、これは高温機械的性能における低下と関連することが確認される。特に、MgOは結晶成長を抑制することが示されており、一方、Al2O3は、特に高レベルで(例えば0.80wt%超のAl2O3)、結晶成長を促進することが証明されている。Al2O3、MgOおよびK2Oの主な随伴不純物は別として、XRF分析は、表6に列挙される金属酸化物を測定した。金属酸化物の各々の最大および最小随伴不純物レベルが提供される。典型的には、これらの微量随伴不純物は0.3wt%未満または0.25wt%未満または0.20wt%未満;ならびに典型的には少なくとも0.10wt%である。
【0106】
【0107】
【0108】
無機繊維の物体の熱伝導率
溶融形成された繊維の物体(例えば、ブランケットまたは他の生成物形態)の熱伝導率を、特に下記を含む多くの因子により決定する:
・繊維の直径;および
・「ショット」(非繊維化材料)含量
【0109】
微細直径繊維は、固体を通る伝導についての範囲を低減し、より微細な繊維間多孔度を可能にし、熱が物体の1つの側から他方の側へ放射により通過する放出-吸収工程の数を増加させることにより、低い熱伝導率を繊維の物体に提供する。
【0110】
ブランケット中のショットの存在は、固体を通る伝導の範囲を増加させることにより、ブランケットの熱伝導率を増加させる。ショットはまた、ブランケットの密度を増加させる。ショット含有率が低いほど、熱伝導率および密度が低くなる。同一の繊維含量および化学の2つの物体では、より低いショット含有率を有する物体が、より低い密度およびより低い熱伝導率の両方を有するであろう。
【0111】
表7を参照すると、およそ2.6~3.0μmの繊維直径および33~41wt%のショット含有率を有する無機繊維が生成された。表7及び8において提供されるデータセットから、繊維特性と熱伝導率の間には明らかな相関はないが、より大きなデータセットはこの予測される関係を提供するはずである。
【0112】
【0113】
【0114】
生体溶解度
以下、表9について説明すると、生体溶解度試験についてのデータが示されている。
【0115】
生理食塩水pH7.4中での21日静的および長期フロースルー溶解度試験を表9に示される組成物について実施した。各繊維組成物の2つの試料を同時に試験し、平均結果を報告した。生理食塩水試料を、ICP法を用いて分析し、ppmレベルの酸化物溶解レベルを測定した。結果から、繊維は低い生体内持続性を有することが確認される。低生体内持続性繊維組成物は、フロー溶解度試験において、少なくとも150ng/cm2hrまたは少なくとも170ng/cm2hrまたは少なくとも200ng/cm2hrの溶解率を有する繊維組成物であると考えられる。
【0116】
本発明下の無機繊維は、従来技術繊維組成物C1およびC2と比較して、同等のまたは改善された生体溶解度を有する。比表面積測定により示されるように、微細繊維寸法は生体溶解度の増加を促進する。
【0117】
結果の概要
上記結果により、本開示の繊維組成物は、1つ以上の繊維特性を向上させるためにかなりの量の添加物を意図的に追加する必要なく、優れた有用性を有する耐熱繊維を生成することができることが強調される。この予想外の結果はまた、その生成に必要とされる原料の数が低減されるために、より低いカーボンフットプリントを有する耐熱繊維の生成を可能にする。
【0118】
【0119】
潜在的使用
関連する性能判断基準を満たすことが課せられた、本発明の繊維は繊維状無機材料、特にアルカリ土類ケイ酸塩およびアルミノシリケート材料がこれまで使用されてきた任意の目的のために使用することができ;ならびに、繊維特性が適切である将来の適用において使用され得る。下記では、適用のための関連する性能判断基準を満たすことが課せられた繊維が使用され得る、出願に関連する多くの特許文献に言及される。本発明の繊維は、関連する性能判断基準を満たすことが課せられた、これらの出願のいずれかで特定された繊維の代わりに使用することができる。
【0120】
例えば、繊維は下記として使用され得る:
・バルク材料;
・脱ショット(デショット:deshotted)材料[国際公開第2013/094113号];
・マスチックまたは成形可能組成物において[国際公開第2013/080455号、国際公開第2013/080456号]またはウェット物品の一部として[国際公開第2012/132271号];
・ニードリングされた、または別様に絡み合わされた[国際公開第2010/077360号、国際公開第2011/084487号]、材料の組み立て品において、例えばブランケット、折り畳まれたブランケットモジュール、または高密度繊維ブロックの形態での[国際公開第2013/046052号]構成要素として;
・ニードリングされていない材料の組み立て品、例えばフェルト、真空成形形状[国際公開第2012/132469号]、または紙[国際公開第2008/136875号、国際公開第2011/040968号、国際公開第2012/132329号、国際公開第2012/132327号]の構成要素として;
・ボード、ブロックおよびより複雑な形状の構成要素として(フィラーおよび/またはバインダを有する)[国際公開第2007/143067号、国際公開第2012/049858号、国際公開第2011/083695号、国際公開第2011/083696号];
・例えば、繊維強化セメント、繊維強化プラスチックなどの複合材料における強化構成要素として、および、金属マトリックス複合材料の成分として;
・自動車排気系触媒コンバータおよびディーゼル微粒子フィルタなどの公害防止装置における触媒体のための支持構造において[国際公開第2013/015083号](下記を含む支持構造が挙げられる):
oエッジ保護材[国際公開第2010/024920号、国際公開第2012/021270号];
o微小孔性材料[国際公開第2009/032147号、国際公開第2011/019394、国際公開第2011/019396号];
o有機バインダおよび抗酸化物[国際公開第2009/032191号];
o膨張材料[国際公開第2009/032191号];
oナノフィブリル化繊維[国際公開第2012/021817号];
oミクロスフェア[国際公開第2011/084558号];
oコロイド材料[国際公開第2006/004974号、国際公開第2011/037617号]
o配向繊維層[国際公開第2011/084475号];
o異なる坪量を有する部分[国際公開第2011/019377号];
o異なる繊維を含む層[国際公開第2012065052号];
o被覆繊維[国際公開第2010122337号];
o特定の角度で切断されたマット[国際公開第2011067598号];
[注意:上記特徴の全ては触媒体のための支持構造以外の適用において使用され得る]
・触媒体の構成要素として[国際公開第2010/074711号];
・摩擦材料の構成要素として[例えば、自動車ブレーキ用[特開昭56-16578号公報]];
・防火のため[国際公開第2011/060421号、国際公開第2011/060259号、国際公開第2012/068427号、国際公開第2012/148468号、国際公開第2012/148469号、国際公開第2013074968号];
・絶縁として、例えば;
oエチレンクラッカー[国際公開第2009/126593号]、水素改質装置[米国特許第4690690号明細書]のための絶縁として;
o鉄および鋼を含む金属の熱処理のための炉における絶縁として[米国特許第4504957号明細書];
セラミック製造のための装置における絶縁として。
【0121】
繊維はまた、他の材料と組み合わせて使用され得る。例えば、繊維は、多結晶(ゾル-ゲル)繊維と[国際公開第2012/065052号]または他の生体溶解性繊維と[国際公開第2011/037634号]組み合わせて使用され得る。
【0122】
繊維を含む物体はまた、他の材料から形成された物体と組み合わせて使用され得る。例えば、絶縁適用では、本発明による材料の層[例えばブランケットまたはボード]が、より低い最高連続使用温度を有する絶縁層[例えば、アルカリ土類ケイ酸塩繊維のブランケットまたはボード]に固定され得る[国際公開第2010/120380号、国際公開第2011133778号]。層は、任意の公知のメカニズム、例えば、ブランケット内に固定されるブランケットアンカー[米国特許4578918号明細書]、またはブランケットを通過するセラミックねじ[例えば、独国特許出願公開第3427918号を参照されたい]により一緒に固定され得る。
【0123】
繊維の処理
繊維の形成またはその後において、それらは材料を繊維に適用することにより処理され得る。
【0124】
例えば:
・潤滑剤は繊維のニードリングまたは他の処理を支援するために繊維に適用され得る;
・コーティングはバインダとして作用するように繊維に適用され得る;
・コーティングは強化または他の効果を提供するために繊維に適用され得る、例えばリン酸塩[国際公開第2007/005836号]金属酸化物[国際公開第2011159914]ならびにアルミナ、シリカおよびジルコニアなどのコロイド材料[国際公開第2006/004974号];
・バインダはそのような繊維を含む物体中への組み入れの後で繊維を結合させるために繊維に適用され得る。
【0125】
本発明の繊維の多くの変形、生成物形態、使用、および適用は当業者には明らかであり、この発明により包含されることが意図される。
【0126】
アルカリ土類ケイ酸塩繊維よりも高い最高連続使用温度を有する生体溶解性繊維を提供することにより、本発明は、生体溶解性繊維が使用され得る適用の範囲を拡張する。これにより、多くの適用について、生体溶解性でない繊維を使用する現在の必要性が低減される。