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特許7097552側溝から道路上への障害物の流出防止方法及び装置
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  • 特許-側溝から道路上への障害物の流出防止方法及び装置 図1
  • 特許-側溝から道路上への障害物の流出防止方法及び装置 図2
  • 特許-側溝から道路上への障害物の流出防止方法及び装置 図3
  • 特許-側溝から道路上への障害物の流出防止方法及び装置 図4
  • 特許-側溝から道路上への障害物の流出防止方法及び装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】側溝から道路上への障害物の流出防止方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/06 20060101AFI20220701BHJP
   E01C 9/10 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
E03F5/06 Z
E01C9/10 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018159303
(22)【出願日】2018-08-28
(65)【公開番号】P2020033719
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000133294
【氏名又は名称】株式会社ダイクレ
(73)【特許権者】
【識別番号】300051766
【氏名又は名称】ランデックス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100079636
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 晃一
(72)【発明者】
【氏名】弘内 伸和
(72)【発明者】
【氏名】三浦 隆男
(72)【発明者】
【氏名】高野 友浩
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 利将
(72)【発明者】
【氏名】高橋 万里
(72)【発明者】
【氏名】中山 憲士
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-100512(JP,A)
【文献】特開2016-204873(JP,A)
【文献】実開昭51-125461(JP,U)
【文献】特開2006-336384(JP,A)
【文献】特開2013-221358(JP,A)
【文献】登録実用新案第3033439(JP,U)
【文献】韓国特許第10-0965522(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/06
E01C 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
豪雨時に側溝を流れる濁流に混ざる障害物が濁流と共に側溝より溢れ出て道路上に流出するのを防止する方法であって、
下端側の取着部および上端側の取付部を有するくの字形ブラケットを複数準備し、
前記取着部を前記側溝の道路側側壁に取着し、前記取着部の上端より屈折して上方に延びる前記取付部を前記側溝から上方へ突出させ、前記複数のくの字形ブラケットを側溝長手方向に沿い間隔を空けて配設し、
並列配置される複数のベアリングバーと、前記複数のベアリングバーの両端にそれぞれ連結される1対のエンドプレートと、前記エンドプレートと平行して前記ベアリングバーと直交するクロスバーないしツイストバーを有し、格子状の板状をなすグレーチングを準備し、
前記くの字形ブラケットの上端側の前記取付部に前記グレーチングを取り付けて、前記板状をなすグレーチングを道路路面と直角ないし鈍角をなして前記道路路面から上方へ突出させ、側溝長手方向に沿い連続して一連に配列することを特徴とする側溝から道路上への障害物の流出防止方法
【請求項2】
豪雨時に側溝を流れる濁流に混ざる障害物が濁流と共に側溝より溢れ出て道路上に流出するのを防止する装置であって、
下端側の取着部および上端側の取付部を有するくの字形であって、前記取着部が前記側溝の道路側側壁に取着され、前記取着部の上端より屈折して上方に延びる前記取付部が前記側溝から上方へ突出させられ、側溝長手方向に沿い間隔を空けて配設される複数のくの字形ブラケットと、
並列配置される複数のベアリングバー、前記複数のベアリングバーの両端にそれぞれ連結される1対のエンドプレート、および前記エンドプレートと平行して前記ベアリングバーと直交するクロスバーないしツイストバーを有し、前記くの字形ブラケットの上端側の前記取付部に取り付けられ、道路路面と直角ないし鈍角をなして前記道路路面から上方へ突出させられ、側溝の長手方向に沿い連続して一連に配列される、格子状の板状をなすグレーチングより構成されることを特徴とする側溝から道路上への障害物の流出防止装置。
【請求項3】
前記グレーチングは前記くの字形ブラケットの上端側の前記取付部に取着手段により取着されることを特徴とする請求項2記載の側溝から道路上への障害物の流出防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豪雨時に道路際に設置される側溝から濁流と共に溢れ出る木の葉、枝、ゴミその他車両の通行の障害となる障害物(以下、単に障害物という)が道路上に流出するのを防止する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、底壁と、底壁両側の側壁とよりなって断面が倒コの字形をなし、道路際に設置される側溝の道路側側壁に側溝の長手方向に一定間隔で取付けられる取付部及び該取付部上端より屈折して側溝内に延出する支持部よりなる略L形の支持材と、アーチ状又は山形状をなして前記支持材の上側に取付けられ、細線材又は細棒で格子状又は網目状に構成されるメッシュ体とよりなるガード体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-100512号公報
【発明の概要】
【0004】
特許文献1に開示されるガード体は、通行人や自転車等の軽車両を含む車両のドライバーに道路際に側溝があることの注意を喚起させることができると共に、前記通行人等が側溝に転落することによる事故防止を図ることができるようにしているが、
(1)豪雨時に濁流と共に側溝より溢れ出た障害物がガード体を越えて道路上に流出し、車両走行の障害となるおそれがあること、
(2)メッシュ体は側溝の長手方向に一定間隔で側溝に取着の支持材の支持部に支持されているが、豪雨時には濁流と共に側溝より溢れ出る障害物が湾曲乃至山形に窪んだメッシュ体内に留まり易いこと、
(3)支持材を省けば、メッシュ体内への障害物の留まりは幾分生じ難くなるが、メッシュ体だけでは強度が弱く、その上を車両はもとよりのこと、自転車等の軽車両でも通行ができないか或いは困難であり、強いて通行しようとすると、メッシュ体が撓んで変形したり、破損するおそれがあること、
(4)アーチ状又は山形状をなすメッシュ体が道路上に突出して車両通行の邪魔にならないようにするためには、ガード体は側溝側にある程度傾ける必要があり、ガード体は側溝への取付角度が制限されること、
(5)メッシュ体をアーチ状又は山形状に加工する必要があること、
等の問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点(1)~(5)のうちの少なくとも一部を解消することができる障害物の道路上への流出防止方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、豪雨時に側溝を流れる濁流に混ざる障害物が濁流と共に側溝より溢れ出て道路上に流出するのを防止する方法であって、下端側の取着部および上端側の取付部を有するくの字形ブラケットを複数準備することと、取着部を側溝の道路側側壁に取着しつつ取着部の上端より屈折して上方に延びる取付部を側溝から上方へ突出させて複数のくの字形ブラケットを側溝長手方向に沿い間隔を空けて配設することと、並列配置される複数のベアリングバー、複数のベアリングバーの両端にそれぞれ連結される1対のエンドプレート、およびエンドプレートと平行してベアリングバーと直交するクロスバーないしツイストバーを有し格子状の板状をなすグレーチングを準備することと、くの字形ブラケットの上端側の取付部にグレーチングを取り付けて板状をなすグレーチングを道路路面と直角ないし鈍角をなして道路路面から上方へ突出させ側溝長手方向に沿い連続して一連に配列することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、豪雨時に側溝を流れる濁流に混ざる障害物が濁流と共に側溝より溢れ出て道路上に流出するのを防止する装置であって、下端側の取着部および上端側の取付部を有するくの字形であって取着部が側溝の道路側側壁に取着され取着部の上端より屈折して上方に延びる取付部が側溝から上方へ突出させられ、側溝長手方向に沿い間隔を空けて配設される複数のくの字形ブラケットと、並列配置される複数のベアリングバー、複数のベアリングバーの両端にそれぞれ連結される1対のエンドプレート、およびエンドプレートと平行してベアリングバーと直交するクロスバーないしツイストバーを有し、くの字形ブラケットの上端側の取付部に取り付けられ、道路路面と直角ないし鈍角をなして突出させられ、側溝の長手方向に沿い連続して一連に配列される、格子状の板状をなすグレーチングより構成されることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明においてグレーチングは、くの字形ブラケットの上端側の取付部に取着手段により取着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法及び装置によれば、板状のグレーチングを側溝の道路側側壁に道路路面と直角なし鈍角をなして突設させることにより、
(1)グレーチングをそのままの形態で使用できること、
(2)グレーチングは板状の格子状をなして道路側側壁より突設さ、簡単な構造でもって特許文献1記載のメッシュ体よりも側溝からの高さをより高くすることが可能であり、これにより豪雨時に側溝より溢れ出る濁流の嵩が相当量になっても、濁流がグレーチングを越えない限り、障害物はグレーチングで濾され、道路路面上に流出して車両走行の障害となることがないこと、
(3)グレーチングで濾された障害物は濁流やその後の洗浄で洗い流され易く、グレーチングへの留まりを生じ難いこと、
(4) グレーチングは板状で、道路路面と直角ないし鈍角をなして取付けられているため、車両通行の障害となることはなく、また側溝への取付強度を大にすれば、例え車両が衝突したとしてもグレーチングがガイドとなって車両を道路側に戻す機能をもたらすことが可能で、車両の側溝への脱輪を防ぐことができ、歩行者や自転車等の軽車両が側溝へ転落するのを防止できること、
等の効果を奏する。
【0010】
請求項3に係る発明のように、取着手段とくの字形ブラケットを用いて、グレーチングを側溝に取付けるようにすれば、取付が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】溝蓋としてのグレーチングの平面図。
図2】グレーチングを取付けた側溝の断面図。
図3】グレーチングを取付けた別の態様の側溝の断面図。
図4】ブラケットに取付金具を用いて取付けたグレーチングの要部の断面図。
図5】側溝にグレーチングを一連に連続して取付けた状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明で用いる溝蓋の一例であるグレーチング1について示すもので、該グレーチング1は、ベアリングバー1aと、並列するベアリングバー1aの両端に連結されるエンドプレート1bと、該エンドプレート1bと平行して前記ベアリングバー1aと直交するクロスバーないしツイストバー1cとよりなっている。
【0013】
道路際に道路に沿って設置される側溝3は、図2に示すように一対の平行なコンクリート製の側壁4よりなっている。
【0014】
図3に示す側溝6は、道路側側壁7が対向する側壁7aと共に斜めに外向きに傾斜して漏斗状をなすように構成されている。
【0015】
図2及び図3に示す側溝3及び6は、いずれも底壁を有していないが、従来例のように底壁を設け、底壁の両側に側壁を一体形成した側溝としてもよい。
【0016】
図2に示すブラケット9は、全体が鋼製のアングル材で、くの字形に形成され、前記側溝3、6の道路側側壁4、7の上部に取着される取着部9aと、該取着部上端より屈折して一体形成され、斜め上方に延びて側溝内に突出する取付部9bより構成されている。そしてアングル材よりなるブラケット9は、取着部9a及び取付部9b共、図で見て紙面と垂直をなす取付面と、該取付面と直交する垂直面よりなっている。そしてブラケット9の取付部における取付面で前記道路側側壁4、7にそれぞれ一対の取着手段としてのアンカーボルト10により取着されている。
【0017】
側溝3及び6の長手方向に一定間隔で取着されるブラケット9の取付部9bには、取付面にグレーチング1が取着手段としての取付金具12により取外し可能に取付けられている。この取付金具12は、図4に示すように両側に上向きに突出する凸部13a(該凸部13aは下向きに凹む凹部ともなっている)を形成した押え金具13と、該押え金具13の中央部に通されるボルト14と、該ボルトに捩じ込まれるナット15よりなり、ブラケット9の取付部9b間に架設されるグレーチング1のブラケット9への取付けは、押え金具13両側の凸部13aをそれぞれグレーチング1の隣接するベアリングバー1aに上方より当てがって嵌合させた状態で押え金具13中央部にボルト14を通し、グレーチング1より突出するボルト突出部に当て板16の嵌合孔(図示しない)を嵌合させて当て板16を両ベアリングバー1aに跨がらせて当てがい、当て板16より突出するボルト下端部にナット15を捩じ込んで締着する。
【0018】
ボルト4を押え金具13に通すのは、下から当て板17を当てがった状態で押え金具13と当て板13の双方に通すようにしてもよい。
【0019】
図4に示す当て板16は、L形断面をなしてブラケット9の取付部9bの取付面に取付けられ取付部端を覆っているが、平板状をなしてブラケット9の取付部端を覆わないで取付面のみに取付けられるように構成してもよい。
【0020】
図2及び図3は、グレーチング1をブラケット8に取付けた状態を示す。図示するようにブラケット8に取付けられるグレーチング1は、側溝3、6の道路側側壁4、7より側溝内に向け斜め上方に突出している。
【0021】
図5は、側溝3の道路側側壁4にグレーチング1を側溝3に沿い、一連に連続して並べて取付けた状態を示す。
【0022】
本実施形態によると、溝蓋には既存のグレーチングを何ら加工することなくそのまま使用でき、簡単な構造でもって側溝3に比較的高く設置できること、溝蓋3はグレーチングで格子状をなすことにより、豪雨時に濁流が側溝3、6よりより溢れ出ても濁流がグレーチング1を越えない限り、濁流に混ざる障害物がグレーチング1で濾され、道路面に流出して車両走行の障害となることがないこと、障害物がグレーチングに当たって留まり、付着するようなことがあっても濁流により、或いはその後の道路側からの洗浄により洗い流され易いこと、溝蓋は本来、通行人はもとよりのこと車両が乗り掛かっても耐えられるほどの強度を有しているもので、例え車両が衝突したとしてもガイドとしての機能を果たし、道路側に戻すことが可能であること、歩行者等の側溝への転落防止機能を果たすことなどの効果を有する。
【符号の説明】
【0023】
1・・グレーチング
3,6・・側溝
4,7・・側壁
8・・アンカーボルト
9・・ブラケット
12・・取付金具
13・・押え金具
14・・ボルト
15・・ナット
16・・当て板





図1
図2
図3
図4
図5