(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】輪木
(51)【国際特許分類】
E04G 21/16 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
E04G21/16
(21)【出願番号】P 2019111797
(22)【出願日】2019-06-17
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】598175676
【氏名又は名称】東海ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000250580
【氏名又は名称】立花容器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】特許業務法人森特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【氏名又は名称】木村 厚
(74)【代理人】
【識別番号】100194755
【氏名又は名称】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】眞榮田 武
(72)【発明者】
【氏名】小林 勝祐
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-107205(JP,A)
【文献】特開2013-233960(JP,A)
【文献】特開2000-281120(JP,A)
【文献】特開2020-097870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/16
B65D 19/18
B65D 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延在する合成樹脂製の輪木であり、
輪木の短手方向における断面は、一対の側壁を有する形状であり、
輪木は、一対の側壁に交差する方向に存する一方の面と他方の面に複数の穴を備えており、
前記一方の面に設けられた複数の穴と前記他方の面に設けられた
複数の穴との間には第1隔壁が設けられて
おり、
前記一方の面に設けられた複数の穴と前記他方の面に設けられた複数の穴とは、複数列に配置された複数の穴であり、複数列に配置された複数の穴のうち、一方の列と他方の列との間には第2隔壁が設けられている輪木。
【請求項2】
複数の穴は、一方の面又は他方の面における視点において、円弧状部分を有する形状であり、
互いに隣接する、一方の穴の円弧状部分と他方の穴の円弧状部分との間の壁には肉厚が大きくなる部分が形成された請求項
1に記載の輪木。
【請求項3】
一方の面又は他方の面における視点において、輪木の端部における前記穴の面積は、輪木の中ほどにおける前記穴の面積に比して、小さく構成されている請求項1
又は2に記載の輪木。
【請求項4】
輪木の短手方向における断面形状は、一方の面が位置する第1辺の長さと、当該第1辺に交差する方向における第2辺の長さとが、相違するように構成された請求項1ないし
3のいずれかに記載の輪木。
【請求項5】
第1隔壁には、一方の面に設けられた穴と、他方の面に設けられた穴とを連通させる連通孔が設けられている請求項1ないし
4のいずれかに記載の輪木。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輪木に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁パネルや骨組などの資材を一時的に保管しておく際に、輪木が利用される。また、輸送する物品を物流倉庫で一時的に保管しておく際にも、輪木が使用される。例えば、地面や物流倉庫の床の上に輪木を敷いておき、その上に複数枚の外壁パネルなどの資材や輸送する物品を積層して保管したりする。
【0003】
従来は、木材を正方形の棒状に成形したものが輪木として一般的に利用されてきた。木材を輪木とした場合には、輪木の重量が大きくなり、輪木の設置や回収が煩雑であった。木材の輪木は、雨水などを吸って重量が重くなりやすく、重量の問題がより顕著になりやすい。また、木材の輪木は腐食しやすく、耐久性の点でも問題があった。重量等の問題を解決するために、合成樹脂材料で構成した輪木が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、帯状部材を波状に成形したプラスチック成形品からなる輪木が記載されている。この輪木では、波状部の凹部によって、成形した際に輪木全体が均一に冷却されるとされている。また、特許文献2にも、同様の波状の輪木が記載されている。この輪木は、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂などで構成されるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-107914号公報
【文献】実用新案登録第2577643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2の輪木は、波状の形状をしている。このような輪木は軽量ではあるものの、荷重が入力される方向によっては、波状の輪木が簡単に破損してしまうおそれがある。このため、このような輪木は、輪木が破損しないように、輪木を地面や床に置く向きを意識して使用しなければならない。
【0007】
輪木を断面方形かつ中実な棒状に形成すれば、強度が向上するものの、輪木の重量が増大してしまう。また、後述する
図15及び
図16のように、輪木に天板と底板を設けて、輪木を中空に構成して、天板と底板との間に複数の補強板を設ける構成が考えられる。しかしながら、このような構成の場合は、天板と底板とがあるため、原料となる合成樹脂が金型に充填されにくくなり、輪木を成形する際の妨げとなる。
【0008】
以上のような問題点に鑑みて、本発明は、輪木を置く際にその向きを任意に変更しても、輪木の上に載せた物品の荷重により破損しにくく、軽量であり、成形する際に合成樹脂の充填不良が生じにくい輪木を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
長手方向に延在する合成樹脂製の輪木であり、輪木の短手方向における断面は、一対の側壁を有する形状であり、輪木は、一対の側壁に交差する方向に存する一方の面と他方の面に複数の穴を備えており、一方の面に設けられた複数の穴と他方の面に設けられた穴との間には第1隔壁が設けられている輪木により、上記の課題を解決する。
【0010】
上記の輪木では、複数の穴により、輪木が肉抜きされた形状であるため、軽量である。また、輪木の一方の面及び他方の面には、天板や底板で塞がれておらず複数の穴が開口しているため、輪木を成形する際に、合成樹脂が金型に充填されやすくなる。また、上記の輪木は、一方の面及び他方の面共に複数の穴が開口する形状であり、第1隔壁で輪木に載せられた物品等の荷重を支える構成である。一方の面及び他方の面のうちいずれか一方にのみ天板又は底板を設けた構成ではないため、輪木の一方の面と輪木の他方の面において、強度の差が生じにくくなっており、外力によって輪木が局所的に破損しにくくなっている。
【0011】
上記の輪木において、輪木の一方の面及び他方の面には、複数列に配置された複数の穴が設けられており、複数列に配置された複数の穴のうち、一方の列と他方の列との間には第2隔壁が設けられた構成とすることが好ましい。この構成によれば、第2隔壁によっても、輪木に載せられた荷重を支えることができる。これによって、輪木の強度をさらに高めることができる。
【0012】
上記の輪木において、複数の穴は、一方の面又は他方の面における視点において、円弧状部分を有する形状であり、互いに隣接する、一方の穴の円弧状部分と他方の穴の円弧状部分との間の壁の肉厚が大きくなるように構成されたものとすることが好ましい。これによって、輪木の強度をさらに高めることができる。
【0013】
上記の輪木において、一方の面又は他方の面における視点において、輪木の端部における前記穴の面積は、輪木の中ほどにおける前記穴の面積に比して、小さく構成されたものとすることが好ましい。これによって、輪木の端部の強度をさらに高めることができる。
【0014】
上記の輪木において、輪木の短手方向における断面形状は、一方の面が位置する第1辺と、当該第1辺に交差する方向における第2辺との長さとが、相違するように構成されたものとすることが好ましい。これによって、輪木の第1辺が地面等に交差する向きに置いた場合と、輪木の第1辺が地面等に沿うように置いた場合とで、輪木の上に載置される物品と地面若しくは床面との間に形成される隙間の大きさを変更することができる。同様にして、輪木の上に載せられる一の物品と、輪木の上に載せられる他の物品との隙間の大きさも変更することができる。
【0015】
上記の輪木において、第1隔壁には、一方の面に設けられた穴と、他方の面に設けられた穴とを連通させる連通孔が設けられたものとすることが好ましい。この構成によれば、一方の面に設けられた穴に侵入した水が、連通孔を通って他方の面に設けられた穴から排出される。例えば、輪木の複数の穴に土を入れて植生を設けることができる。また、例えば、輪木の複数の穴に砕石を入れて、滑り止めとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、輪木を置く際にその向きを変更しても、輪木の上に載せた物品の荷重により破損しにくく、軽量であり、成形する際に合成樹脂の充填不良が生じにくい輪木を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】輪木の一実施形態を示す平面側斜視図である。
【
図10】輪木を横置きにして、輪木の上に物品を載せた状態を示す斜視図である。
【
図11】輪木を縦置きにして、輪木の上に物品を載せた状態を示す斜視図である。
【
図12】輪木に窓枠を載せた状態を示す斜視図である。
【
図13】輪木を駐車場の枕木として使用する例を示す斜視図である。
【
図14】輪木を法面の保護材として使用する例を示す斜視図である。
【
図15】第1の比較例に係る輪木を示す斜視図である。
【
図17】第2の比較例に係る輪木を、
図15のFF部と同じ場所で切断した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、輪木の一実施形態について、説明する。
【0019】
本実施形態の輪木1は、
図1ないし
図6に示したように、長手方向に延在する形状であり、合成樹脂で構成される。
図7に示したように、輪木1の短手方向における断面は、一対の側壁11を有する四角形状である。輪木1は、一対の側壁11に交差する方向に存する一方の面と他方の面とを備えている。一方の面には複数の穴12が設けられており、他方の面には複数の穴13が設けられる。一方の面には、複数の穴12が開口しているが、穴12の開口を除けば、平らな面を構成する。同様に、他方の面には、複数の穴13が開口しているが、穴13の開口を除けば平らな面を構成する。そして、一方の面に配される穴12と他方の面に配される穴13との間には第1隔壁14が設けられている。なお、
図1ないし
図6においては、輪木1の上方の面を一方の面とし、輪木1の下方の面を他方の面とする。
【0020】
本実施形態の輪木1では、
図7に示したように、第1隔壁14の端部は、一対の側壁11の内側部分に接続された形状となっている。そして、第1隔壁14の一方の面からは、輪木の一方の面に向けて、穴12の形状を規定する壁15が突出する。同様に、第1隔壁14の他方の面からは、輪木の他方の面に向けて、穴13の形状を規定する壁15が突出する。第1隔壁14は、輪木1の長手方向に沿って延在し、一方の面又は他方の面と平行な位置関係にある。
【0021】
本実施形態の輪木1では、穴12又は穴13の個々の断面形状は、
図7及び
図8に示したように、底面側の角が円弧状に角取りされた方形状とされている。これにより、肉抜きを行う体積を増加させて、より大きく軽量化を図るようにしている。複数の穴12又は穴13は、輪木の一方の面から他方の面に向けて、又は輪木の他方の面から一方の面に向けて凹む窪みとして構成されている。複数の穴の断面形状は、
図7及び
図8の例に限定されず、例えば、円弧状の断面を有する穴として構成してもよいし、三角形状の断面を有する穴として構成してもよいし、四角形上の断面を有する穴として構成してもよい。
【0022】
図1及び
図2に示したように、輪木1の一方の面又は他方の面には、上記の穴12又は13が複数列に配置されている。そして、一方の列と他方の列の間には、
図6及び
図7に示したように第2隔壁16が設けられている。本実施形態の輪木では、一方の面又は他方の面において、穴12又は13が、それぞれ輪木の長手方向に沿って2列にわたって形成される。穴の列の数は、これに限定されず、例えば、1列以上又は2列以上にすることができる。穴の列の上限は、特に限定されないものの、例えば、4列以下にすることができる。
【0023】
本実施形態の輪木1では、
図7に示したように、第2隔壁16は、第1隔壁14の一方の面から、輪木1の一方の面に向けて、突出する。同様に、第2隔壁16は、第1隔壁14の他方の面から、輪木1の他方の面に向けて、突出する。第2隔壁16によって、複数の穴12又は穴13の形状が規定される。第2隔壁16は、上述の壁15に接続される形状であり、壁15と共に、穴12又は穴13の形状を規定する。第2隔壁16は、輪木の長手方向に沿って延在し、一対の側壁11と平行な位置関係にある。第2隔壁16の先端部は、側壁11の先端部、及び壁15の先端部と同様の突出高さとされている。
【0024】
本実施形態の輪木1では、
図6に示したように、輪木1の妻部にも、上記の壁15が配されている。これによって、輪木1の妻部は壁15によって塞がれた形状とされている。輪木1の妻部における壁15は、
図8及び
図9に示したように、第1隔壁14の端部と第2隔壁16の端部と接合された形状とされている。
【0025】
輪木の妻部における壁には、輪木を運ぶ際に手を掛ける持ち手を形成してもよい。持ち手は、例えば、妻部に設けられる窪みや妻部の壁に設けられる切り欠き部で構成することができる。
【0026】
本実施形態の輪木1では、
図7及び
図8に示したように、第2隔壁16の基端部の幅、すなわち第2隔壁16の付け根部分の肉厚は、その先端部の幅に比して大きく構成されている。これにより、第2隔壁16の強度が高められている。同様に、上述の壁15もその先端部の幅に比して、その基端部の幅、すなわち壁15の付け根部分の肉厚が大きくなるように構成されている。
【0027】
本実施形態の輪木1では、第2隔壁16が設けられる数は、単数であって、1枚である。上述のように、穴の列の数が3列以上になる場合は、それに応じて、第2隔壁の数も増加する。また、穴の列の数が、単数すなわち1列である場合は、第2隔壁は省略される。
【0028】
図6に示したように、複数の穴12又は穴13は、一方の面又は他方の面における視点において、円弧状部分151を有する形状とされている。このため、互いに隣接する、一方の穴の円弧状部分151と他方の穴の円弧状部分151との間の壁15には肉厚が大きくなる部分152が形成される。本実施形態の輪木1では、個々の穴12又は穴13は、一方の面又は他方の面から見た状態で、両端部に円弧状部分151を備え、当該円弧状部分151が直線部分153で接続された略楕円形状とされている。
【0029】
輪木の一方の面又は他方の面に設けられる複数の穴の形状は、
図6の例に限定されず、例えば、一方の面又は他方の面から見た際に、真円状になるようにしてもよいし、楕円状になるようにしてもよいし、菱形になるようにしてもよいし、角の数が3以上8以下の多角形状になるようにしてもよい。中でも、応力が角部に集中しにくくするために、円弧状部分を有する形状とすることが好ましい。
【0030】
本実施形態の輪木1は、第1隔壁14を対称線として、輪木1が上下方向に対して対称となるように構成されている。また、輪木1は、第2隔壁16を対称線として、輪木1が左右方向に対して対象となるように構成されている。第1隔壁を設ける位置は、中央であることが好ましいが、多少ずれていてもよい。例えば、第1隔壁を設ける位置は、上下方向における中央から、例えば、0~8%の範囲内でずれていてもよい。同様に、第2隔壁を設ける位置も、中央であることが好ましいが、多少ずれていてもよい。例えば、第2隔壁を設ける位置は、左右方向における中央から、例えば、0~8%の範囲内でずれていてもよい。
【0031】
輪木1を一方の面から見た際又は他方の面から見た際における端部の穴12又は穴13は、
図6に示したように、輪木1の中ほどにおける穴12又は穴13の面積に比して、その面積が小さく構成された形状である。
図6の例では、輪木1の短手方向における穴12又は穴13の内径が、輪木1の端部においては小さく、輪木1の中ほどにおいては大きくなるように構成されている。これによって、輪木1の端部においては、輪木1の側壁11と、穴12又は穴13の壁15の内側部分との間の肉厚が、比較的に大きくなるように構成されている。また、輪木の中ほどにおいては、輪木1の側壁11と穴の壁15との間の間の肉厚が、比較的に小さくなるように構成されている。輪木1の端部において、構成材の肉厚を大きくすることによって、輪木1の端部における強度がより高まるようになっている。なお、穴の面積とは、穴を一方の面又は他方の面から見た際において、穴の縁によって形成される内側の開口面積のことをいう。
【0032】
例えば、
図12に示したように、輪木1の上に窓枠91などの枠体を載置した際には、輪木1の両端部に荷重が集中しやすい。このように、輪木1の両端部に荷重が掛かりやすい態様で輪木の上に物品を載置する際に、輪木が破損しにくいように構成されている。また、輪木1を運搬する際などには、輪木1の両端部は、地面、床、荷台、又は障害物などに衝突して破損しやすい。輪木1の端部における穴の肉厚を大きく構成することによって、落下や衝突等の要因によって、輪木が破損する可能性を減じることができる。
【0033】
図7に示したように、輪木1の短手方向における断面形状は、一方の面が位置する第1辺171の長さL1と、当該第1辺171に交差する方向における第2辺172の長さL2とが、相違するように構成されている。このため、
図10に示したように、輪木1を横置きにした場合と、
図11に示したように、輪木1を縦置きにした場合とで、地面と輪木1に載置される物品92との間に形成される隙間の大きさを異ならせることができる。同様に、輪木1を縦置きにした状態と横置きにした状態とで、輪木1に載置される一の物品92と、輪木1に載置される他の物品92との間に形成される隙間の大きさを異ならせることができる。
【0034】
本実施形態の輪木1では、
図10のように横置きにした状態においては、地面と物品との間に
図7に示したL2の大きさの隙間が形成される。
図11のように縦置きにした状態においては、地面と物品との間に
図7に示したL1の大きさの隙間が形成される。L1>L2であるので、例えば、物品を運搬するのに使用するフォークリフトの爪の径が隙間の大きさに対して比較的に太い場合は、より大きなL1の隙間が形成されるように輪木1を配置することで、より大きな隙間に径の太いフォークリフトの爪を円滑に挿入することが可能となり、作業効率が上昇する。
【0035】
図7の例では、輪木の短手方向における断面において、側壁が位置する辺を短辺とし、複数の穴12又は13が位置する辺を長辺とした。側壁が位置する辺を長辺とし、複数の穴12又は13が位置する辺を短辺としてもよい。
【0036】
図7の例では、L1とL2の長さを相違させて、輪木1の短手方向における断面形状が略長方形状になるようにした。L1とL2の長さを同程度にして、輪木1の短手方向における断面形状が正方形状になるようにしてもよい。この場合は、輪木を置く方向を変更することによって、隙間を変更することはできなくなる。しかしながら、輪木を置く方向を気にせずに使用することができる。
【0037】
本発明の輪木とは異なる構成を有する比較例に係る輪木8を
図17に示す。この輪木8は、一方の面にのみ天板81を設けて、輪木8の他方の面には底板を設けていない。この輪木8を縦置きにした状態で輪木8の上に物品92を載置すると、輪木8において、天板81を有する部分と底板を有しない開口部分に亘るように物品が載置されることがある。このように物品92が載置されると、底板が設けられていない開口部分Eにおいては、側壁の強度が不足して、輪木8の側壁83が割れるなど損傷することがあった。なお、
図17においては、輪木の上に載せられた物品92は破線で示し、輪木は内部の構成を示すために断面形状を示した(
図8及び9においても同様とする)。
【0038】
本実施形態の輪木1では、
図8に示したように、輪木1の一方の面又は他方の面に、天板又は底板を設けるのではなく、第1隔壁14を一方の面に配される穴12と他方の面に配される穴13との間に配置する構成とした。このため、
図8及び
図11に示したように、輪木1を縦置きにした状態で、輪木1の一方の面と輪木1の他方の面において強度の差が生じにくく、輪木の上に載せた物品92の荷重により輪木1が破損しにくくなっている。
【0039】
図9及び
図10に示したように、輪木1を横置きにした状態では、輪木1の一対の側壁11が輪木1の端部に位置するため、輪木1の端部において強度の差が生じにくく、輪木1の上に載せた物品92の荷重により輪木1が破損しにくくなっている。
【0040】
本実施形態の輪木1では、第1隔壁14で輪木1に載置された物品等の荷重を支えるだけではなく、第2隔壁16によっても、前記荷重を支える。これにより、輪木の強度がより高くなるように構成されている。
【0041】
本実施形態の輪木1では、上述のように、側壁11と壁15との接続部分(
図6)、第2隔壁16と壁15の接続部分(
図6)、第1隔壁14と側壁11との接続部分(
図7)、第1隔壁14と第2隔壁16の側壁部分(
図7)が円弧状にされており、輪木の構成材の肉厚が大きくなるように構成されている。これによって、輪木1の強度がより高くなるように構成されている。
【0042】
図7及び
図8に示したように、本実施形態の輪木1では、第1隔壁14は、輪木1の一方の面に設けられた穴12の底面を構成し、輪木1の他方の面に設けられた穴13の底面を構成する。第1隔壁14には、一方の面に設けられた穴12と、他方の面に設けられた穴13とを連通させる連通孔が設けれられている。
図7及び
図8の例では、連通孔121は、一方の面又は他方の面から見た際に、穴12又は穴13の底面の面積に比して、小さい面積となる形状を有する貫通孔から構成されている。このため、穴12又は穴13の底面により、穴に入れた土や砕石などの充填物が保持される。連通孔121は、一方の面又は他方の面から見ると、円形状である。
【0043】
連通孔の形状は円形に限定されず、例えば、三角形、四角形などの多角形状にすることができる。連通孔は、輪木の一方の面又は他方の面に設けられる穴の底面の面積と同じ面積としてもよい。その場合、穴に充填された土や砕石を収納しておくためにメッシュなどの通水部材を連通孔121に設けるとよい。
【0044】
本実施形態の輪木1は、上述のように物品を載置して保管する用途以外にも、
図13に示したように、例えば、駐車場71の枕木72として使用することができる。
図13の例では、土が露出している駐車場71に複数本の輪木1を車輪の幅に対応する間隔を空けて土中に埋設し、枕木72として利用している。輪木1の一方の穴12又は他方の穴13には、複数の砕石73が充填されている。砕石73は、枕木72の審美性を高める機能に加えて、車輪の滑り止めとしても機能する。輪木1を枕木72として利用する際には、上記の連通孔121を穴12又は穴13の底に設けることが好ましい。連通孔121を設けることによって、穴の中に雨水が溜まったり、砕石が溜まった雨水によって流失してしまうことを防止することができる。
【0045】
本実施形態の輪木1は、例えば、
図14に示したように、法面61の保護材としても利用することができる。
図14に示した例では、山の土が露出している法面61上に複数本の輪木1を敷設している。敷設に際しては、輪木1の長手方向に延在する側壁同士が接するように複数本の輪木1を敷設している。輪木1の一方の面又は他方の面に設けられる穴12又は穴13には、土が充填されている。これにより、自然の植生62が形成されるようにされている。穴には土とともに植物の種を充填してもよい。輪木を法面の保護材として利用する差には、穴12又は穴13の底に、連通孔を設けることが好ましい。連通孔121を設けることによって、穴に雨水が溜まったり、穴に充填した雨土が水によって流失したり、植生に根腐れが生じることを防ぐことができる。
【0046】
輪木の構成材料は、適宜の合成樹脂材料を使用すればよい。本実施形態の輪木では、木チップと熱可塑性樹脂であるポリエチレンとを混合したものを使用した。ポリエチレンは熱可塑性樹脂であるため、輪木を加熱溶融することで、廃材となった輪木を再利用することが可能である。また、木チップを含有するため、輪木を軽量かつ高強度にすることも可能である。合成樹脂材料としては、その他、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料を使用してもよいし、フェノール樹脂などの熱硬化型樹脂を使用してもよい。
【0047】
輪木の製造方法は、特に限定されない。例えば、輪木に対応する形状を有する上金型と下金型との間に、団子状にした合成樹脂材料の塊を置いて、上金型と下金型とで合成樹脂材料を挟み込んで、プレス成型して、製造することができる。また、金型を利用して、射出成型により製造してもよい。
【0048】
図15及び
図16に比較例2に係る輪木5を示す。この輪木5は、天板51と、底板52と、天板51及び底板52を接続する複数の補強板53と、天板51及び底板52の両端を接続する一対の側壁55と、妻部を塞ぐ一対の壁54とを有する。輪木5の場合は、天板51及び底板52を有するので、合成樹脂材料が金型の隅々まで充填されにくい。このため、輪木5のような形状を採用した場合は、成形不良が生じやすい。
【0049】
一方、上記の実施形態に係る輪木では、一方の面及び他方の面に複数の穴が設けられており、天板や底板は備えていない。このため、輪木を成形する際に合成樹脂材料が充填されやすくなっており、成形不良が生じにくい。
【符号の説明】
【0050】
1 輪木
11 側壁
12 穴
13 穴
14 第1隔壁
16 第2隔壁
151 円弧状部分
171 第1辺
172 第2辺
121 連通孔