(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】建設機材の支持装置
(51)【国際特許分類】
E02D 13/04 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
E02D13/04
(21)【出願番号】P 2018109060
(22)【出願日】2018-06-06
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】599103878
【氏名又は名称】株式会社菅原建設
(73)【特許権者】
【識別番号】515277300
【氏名又は名称】ジャパンパイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100193286
【氏名又は名称】圷 正夫
(72)【発明者】
【氏名】菅原 信行
(72)【発明者】
【氏名】菅原 鉄哉
(72)【発明者】
【氏名】小池 忠夫
(72)【発明者】
【氏名】橋立 健司
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-062778(JP,A)
【文献】特開平09-203041(JP,A)
【文献】特開平11-061812(JP,A)
【文献】特開2003-166256(JP,A)
【文献】特開平05-005391(JP,A)
【文献】中国実用新案第212865915(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
竪穴の開口部に配置される円筒形状のケーシングの上端部に固定可能なアダプタリングと、
前記竪穴内に配置された建設機材の荷重を前記アダプタリングに伝達するように構成された支持アセンブリと、
を備えることを特徴とする建設機材の支持装置。
【請求項2】
前記支持アセンブリは、
前記アダプタリングに取り付け可能な支持ステージと、
前記支持ステージ上に移動自在に配置された1対の桁ユニットと、
を含み、
前記桁ユニットは、前記建設機材を係止するための係止部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の建設機材の支持装置。
【請求項3】
前記桁ユニットは、
前記アダプタリングの直径よりも長い桁部材と、
前記桁部材を支持する車輪と、
前記桁部材と前記車輪との間に変形可能に設けられた弾性部材とを有し、
前記建設機材の荷重が前記桁ユニットに作用していないとき、前記桁ユニットは走行自在である一方、前記建設機材の荷重が前記桁ユニットに作用しているとき、前記弾性部材が変形することにより前記桁部材は下降して前記アダプタリング又は前記支持ステージに当接し、前記桁ユニットは走行不能である
ことを特徴とする請求項2に記載の建設機材の支持装置。
【請求項4】
前記桁ユニットは、
前記アダプタリングの直径よりも長い桁部材と、
前記桁部材に対し揺動可能に取り付けられた揺動部と、
前記揺動部に設けられ、前記建設機材の一部を受け入れ可能な凹部と、
を有し、
前記係止部は、前記揺動部に設けられている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の建設機材の支持装置。
【請求項5】
前記アダプタリングに取り付けられた作業台を更に備える
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の建設機材の支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は建設機材の支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場では、地盤に建て込まれたケーシングに下端側が挿入された長尺な建設機材を支持することがある。
例えば、特許文献1が開示する構真柱建て込み工法では、ガイド管が、その下端側がケーシングに挿入された状態で、上部芯決め装置によって支持される。より詳しくは、ガイド管は角形断面を有しており、上部外側にブラケットを有する。上部芯決め装置は、架台と、架台に載置固定された桁材とを有している。ガイド管のブラケットが桁材によって支持されることで、ガイド管が上部芯決め装置によって支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された架台は、ケーシングの周囲にコンクリートを打設し、その上に設置されている。このため、コンクリートを打設してから硬化するまで待つ必要があり、架台の設置作業が煩雑である。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、容易に設置可能な建設機材の支持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の一実施形態に係る建設機材の支持装置は、
竪穴の開口部に配置される円筒形状のケーシングの上端部に固定可能なアダプタリングと、
前記竪穴内に配置された建設機材の荷重を前記アダプタリングに伝達するように構成された支持アセンブリと、
を備える。
【0006】
上記構成(1)によれば、支持アセンブリが、ケーシングの上端部に固定されたアダプタリングに建設機材の荷重を伝達するように構成されているので、竪穴の開口の周囲に、従来のように架台を設置するためのコンクリートを打設する必要がない。このため、上記構成(1)の建設機材の支持装置は、容易に設置可能である。
【0007】
(2)幾つかの実施形態では、上記構成(1)において、
前記支持アセンブリは、
前記アダプタリングに取り付け可能な支持ステージと、
前記支持ステージ上に移動自在に配置された1対の桁ユニットと、
を含み、
前記桁ユニットは、前記建設機材を係止するための係止部を有する。
【0008】
上記構成(2)によれば、1対の桁ユニットが支持ステージ上を移動可能であるため、必要に応じて桁ユニットを移動させることができる。このため、1対の桁ユニットが作業の障害となることがない。
【0009】
(3)幾つかの実施形態では、上記構成(2)において、
前記桁ユニットは、
前記アダプタリングの直径よりも長い桁部材と、
前記桁部材を支持する車輪と、
前記桁部材と前記車輪との間に変形可能に設けられた弾性部材とを有し、
前記建設機材の荷重が前記桁ユニットに作用していないとき、前記桁ユニットは走行自在である一方、前記建設機材の荷重が前記桁ユニットに作用しているとき、前記弾性部材が変形することにより前記桁部材は下降して前記アダプタリング又は前記支持ステージに当接し、前記桁ユニットは走行不能である。
【0010】
上記構成(3)によれば、建設機材の荷重が作用していないときに1対の桁ユニットがステージ上を走行可能であるため、クレーンを使って桁部材を移動させる必要がなく、桁ユニットを容易に移動させることができる。一方、建設機材の荷重が作用しているときに弾性部材が変形することにより桁ユニットがアダプタリング又は支持ステージに当接することで、桁部材がアダプタリング又は支持ステージによって安定して支持される。更に、車輪に建設機材の全荷重が作用することがなく、桁ユニットを走行させるための車輪の耐久性を確保することができる。
【0011】
(4)幾つかの実施形態では、上記構成(2)又は(3)において、
前記桁ユニットは、
前記アダプタリングの直径よりも長い桁部材と、
前記桁部材に対し揺動可能に取り付けられた揺動部と、
前記揺動部に設けられ、前記建設機材の一部を受け入れ可能な凹部と、
を有し、
前記係止部は、前記揺動部に設けられている。
【0012】
上記構成(4)によれば、揺動部を揺動させて建設機材の一部を凹部に受け入れることで、桁部材の移動量を少なくしながら、建設機材を係止部に係止可能とすることができる。また、揺動部は桁部材に対し揺動可能に取り付けられているので、取り扱いが容易である。
【0013】
(5)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至(4)の何れか1つにおいて、
前記アダプタリングに取り付けられた作業台を更に備える。
【0014】
上記構成(5)によれば、作業者が作業台上で円滑に作業を進められる。一方、アダプタリングに作業台を取り付けることによって、竪穴の開口の周囲に、作業台を支持するためにコンクリートを打設する必要がない。
【発明の効果】
【0015】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、容易に設置可能な建設機材の支持装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】掘削装置、駆動装置及びクレーンのフックとともに、本発明の一実施形態に係る建設機材の支持装置を概略的に示す図である。
【
図3】支持装置及びケーシングを概略的に示す斜視図である。
【
図5】支持装置を構成するアダプタリングを概略的に示す斜視図である。
【
図6】アダプタリングを概略的に示す縦断面図である。
【
図7】アダプタリングを概略的に示す平面図(上面図)である。
【
図8】支持装置を構成する桁ユニットを概略的に示す斜視図である。
【
図9】支持装置の構成及び機能を説明するための図である。
【
図10】支持装置の構成及び機能を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0018】
図1は、掘削装置1、駆動装置3、及び、クレーンのフック5とともに、本発明の一実施形態に係る建設機材の支持装置(以下、支持装置とも称する)6を概略的に示す図である。
掘削装置1及び駆動装置3は、例えばリバース工法により杭孔(竪穴)8を掘削可能である。杭孔8の開口部の壁面は地盤に設置された円筒形状のケーシング9によって保護される。ケーシング9は、例えば全周回転掘削機等によって地盤に圧入される。
【0019】
駆動装置3は、掘削装置1に連結され、掘削装置1を回転駆動して地盤を掘削させる。そのために、駆動装置3は、油圧モータ又は電動モータ等の駆動源を有している。駆動装置3はクレーン等によって地上から吊り下げられているが、駆動装置3が、杭孔8の壁面に対し自身を固定するためのクランプ手段を有していてもよい。
【0020】
図2は、
図1中の領域IIの拡大図である。
図3は、支持装置6及びケーシング9を概略的に示す斜視図である。
図4は、支持装置6の概略的な分解斜視図である。
図5は、支持装置6を構成するアダプタリング11を概略的に示す斜視図である。
図6は、アダプタリング11を概略的に示す縦断面図である。
図7は、アダプタリング11を概略的に示す平面図(上面図)である。
図8は、支持装置6を構成する桁ユニット16を概略的に示す斜視図である。
図9及び
図10は、支持装置6の使用方法を説明するための図である。
【0021】
図1及び
図2に示したように、支持装置6は、アダプタリング11と、支持アセンブリ12とを備える。アダプタリング11は、ケーシング9の上端部に対し、例えばボルトによって脱着可能に固定可能である。支持アセンブリ12は、杭孔8内に配置された掘削装置1や駆動装置3等の建設機材の荷重をアダプタリング11に伝達するように構成されている。ケーシング9は地盤に圧入されており、建設機材の荷重は、ケーシング9と地盤との摩擦によって受け止められる。
【0022】
上記構成によれば、支持アセンブリ12が、ケーシング9の上端部に固定されたアダプタリング11に建設機材の荷重を伝達するように構成されているので、杭孔8の開口の周囲に、従来のように架台を設置するためのコンクリートを打設する必要がない。このため、上記構成の建設機材の支持装置6は、容易に設置可能である。
なお、支持装置6によって支持可能な建設機材は、掘削装置1や駆動装置3に限定されることはなく、支持装置6は、駆動装置3に連結されるケリーバやドリル管等も支持可能である。
【0023】
幾つかの実施形態では、支持アセンブリ12は、アダプタリング11に取り付け可能な支持ステージ13と、支持ステージ13上に移動自在に配置された1対の桁ユニット16と、を含む。そして、桁ユニット16は、建設機材を係止するための係止部17を有する。
【0024】
支持ステージ13は、アダプタリング11に取り付け可能である。支持ステージ13は、例えば、アダプタリング11の両側に取り付けられた2枚の板14によって構成されている。板14は、例えばボルトによって、アダプタリング11に着脱自在に取り付け可能である。板14は、例えば、台形状の短辺側を円弧状に切り欠いた形状を有し、円弧形状の短辺側がアダプタリング11側に配置される(
図4参照)。
【0025】
上記構成によれば、1対の桁ユニット16が支持ステージ13上を移動可能であるため、必要に応じて桁ユニット16を移動させることができる。このため、1対の桁ユニット16が作業の障害となることがない。
幾つかの実施形態では、
図5~
図7に示したように、板14をボルト等により固定するための円弧状に延在する突起部15が、アダプタリング11の外周面に設けられている。
【0026】
幾つかの実施形態では、1対の桁ユニット16は、1対の桁部材18と、車輪20と、弾性部材22とを有する。
桁部材18は、アダプタリング11の上端部の直径よりも長く、アダプタリング11の開口を横断可能な長さを有する。桁部材18は、例えばH鋼によって構成されている。
車輪20は、桁部材18を走行可能に支持可能である。車輪20は、桁部材18の両端部に取り付けられ、支持ステージ13上を走行可能である。
弾性部材22は、桁部材18と車輪20との間に変形可能に設けられている。弾性部材22は、例えば圧縮コイルばねによって構成される。建設機材の荷重が桁ユニット16に作用していないとき、弾性部材22の付勢力により桁部材18はアダプタリング11又は支持ステージ13から浮上しており、桁ユニット16は車輪20が回転することで走行自在である。一方、建設機材の荷重が桁ユニット16に作用しているとき、弾性部材22が変形することにより桁部材18は下降してアダプタリング11又は支持ステージ13に当接し、桁ユニット16は走行不能である。
なお、アダプタリング11及び支持ステージ13が面一に配置されていれば、桁部材18は、アダプタリング11及び支持ステージ13の両方に当接可能であり、アダプタリング11及び支持ステージ13のうち一方が他方よりも上方に位置していれば、上方に位置している方に桁部材18は当接可能である。
【0027】
上記構成によれば、建設機材の荷重が作用していないときに1対の桁ユニット16が支持ステージ13上を走行可能であるため、クレーンを使って桁ユニット16を移動させる必要がなく、桁ユニット16を容易に移動させることができる。一方、建設機材の荷重が作用しているときに弾性部材が変形することにより桁部材18がアダプタリング11又は支持ステージ13に当接することで、桁部材18がアダプタリング11又は支持ステージ13によって安定して支持される。更に、車輪20に建設機材の全荷重が作用することがなく、桁ユニット16を走行させるための車輪20の耐久性を確保することができる。
【0028】
幾つかの実施形態では、桁ユニット16は、揺動部24及び凹部26を有する。揺動部24は、桁部材18に対し揺動可能に取り付けられている。凹部26は、揺動部24に設けられ、建設機材の一部を受け入れ可能である。そして、係止部17は揺動部24に設けられている。
より詳しくは、
図9及び
図10に示したように、1対の桁ユニット16は、桁部材18と直交する方向にて移動可能である。揺動部24は略直方体形状を有し、揺動部24の一辺に沿って揺動軸28が設けられている。そして、揺動部24の揺動軸28は、桁部材18の軸線方向と平行に配置され、桁部材18と直交する方向にて対をなす桁ユニット16と反対側に位置している。揺動部24は、建設機材を係止可能な係止位置と、建設機材を係止不能な待機位置との間で揺動可能である。係止位置では、揺動軸28とは反対側の揺動部24の先端側は、対をなす桁ユニット16に向けて、直交方向にて桁部材18から突出する。この揺動部24の先端側に、建設機材を受け入れるための凹部26が設けられている。
例えば、
図10に示したように建設機材の筒部30が一対の揺動部24の凹部26に収容された状態で、建設機材のフランジ部32が揺動部24の上面に当接することで、建設機材が係止される。
【0029】
上記構成によれば、揺動部24を揺動させて係止位置に配置し、建設機材の一部を凹部26に受け入れることで、桁部材18の移動量を少なくしながら、掘削装置1、駆動装置3、ケリーバ及びドリル管等の建設機材を係止部17に係止可能とすることができる。また、揺動部24は桁部材18に対し揺動可能に取り付けられているので、取り扱いが容易である。
【0030】
幾つかの実施形態では、
図8及び
図10に示したように、揺動部24を揺動させるための把手25が揺動部24に取り付けられている。
【0031】
幾つかの実施形態では、支持装置6は、アダプタリング11に取り付けられた作業台34を更に備える。
上記構成によれば、作業者が作業台34上で円滑に作業を進められる。一方、アダプタリング11に作業台34を取り付けることによって、杭孔8の開口の周囲に、作業台34を支持するためにコンクリートを打設する必要がない。
【0032】
幾つかの実施形態では、作業台34は、2つの床部材36と、枠部材38とによって構成されている。2つの床部材36は、例えばボルトによって着脱自在にアダプタリング11に取り付けられ、アダプタリング11の周囲に外形が4角形状の床を構成する。枠部材38は、床部材36に着脱自在に取り付けられ、作業台34からの作業者の落下を防止する。支持ステージ13がアダプタリング11に取り付けられている場合、床部材36は支持ステージ13よりも下方に位置し且つ大きな面積を有する。そしてこの場合、枠部材38は、支持ステージ13を囲むように配置される。
【0033】
幾つかの実施形態では、床部材36は、円弧状パイプ40と直線状パイプ42によって構成されている。なお、床部材36は、円弧状パイプ40と直線状パイプ42上に配置される足場板(図示せず)を更に有していてもよい。
【0034】
幾つかの実施形態では、床部材36をボルト等により固定するための円弧状に延在する突起部44が、アダプタリング11の外周面に設けられている。例えば、床部材36を固定するための突起部44は、板14を固定するための突起部15よりも下方に設けられ、床部材36の円弧状パイプ40が突起部44に取り付けられる。
【0035】
幾つかの実施形態では、支持装置6は、掘削中に駆動装置3に作用する回転反力を受け止めるための回転反力の受け部材(以下、受け部材とも称する)46を更に有しており、受け部材46は、アダプタリング11に対し少なくとも一方向に相対回転不能に配置される。
上記構成によれば、ケーシング9の上端部に固定可能なアダプタリング11に対し、少なくとも一方向に相対回転不能に受け部材46を設置することで、ケーシング9の開口上に受け部材46を容易に配置することができる。
【0036】
例えば、
図5~
図7に示したように、アダプタリング11は、円筒形状の下リング48と、下リング48の上側に同軸に接続された円筒形状の上リング50とを有している。上リング50は、下リング48よりも大径であり、上リング50の下側は下リング48の上側に外嵌・溶接されている。下リング48の下側は、例えば複数のボルトによって、ケーシング9の上部に固定可能である。
受け部材46は、上リング50の内側に嵌合され、下リング48の上端面によって支持される。
【0037】
幾つかの実施形態では、
図4~
図7に示すように、受け部材46及びアダプタリング11のうち一方は係合突起52を有し、受け部材46及びアダプタリング11のうち他方は、係合突起52と係合可能な係合溝54を有する。係合突起52が係合溝54と係合することにより、受け部材46からアダプタリング11に回転反力が伝達される。従って、回転反力は、受け部材46からアダプタリング11を介してケーシング9に伝達され、ケーシング9が回転反力を受け止める。
【0038】
幾つかの実施形態では、複数(例えば4つ)の係合溝54が、上リング50に周方向に等間隔で設けられている。係合溝54は、L字形状を有し、L字の縦棒に相当する軸方向溝部54aと、L字の横棒に相当する周方向溝部54bとによって構成されている。係合突起52は、例えば、略直方体形状を有し、受け部材46の外周面に周方向に等間隔で固定される。受け部材46を上リング50に嵌合するとき、受け部材46を上リング50に向けて下降させる。この際、係合突起52は、係合溝54の軸方向溝部54a内を上下方向に移動可能である。係合突起52が係合溝54の軸方向溝部54aの下端に当接してから、受け部材46を回転させると、係合突起52は、係合溝54の周方向溝部54b内を周方向に移動可能である。係合突起52が係合溝54の周方向溝部54b内に入ると、係合突起52によって、アダプタリング11からの受け部材46の抜け止めが構成される。そして、係合突起52が係合溝54の周方向溝部54bの周方向端部に当接すると、アダプタリング11に対する受け部材46の相対回転が規制される。
【0039】
なお、受け部材46を設置する必要がない場合には、アダプタリング11は、1つの円筒状の部材によって構成されていてもよい。
【0040】
幾つかの実施形態では、
図5~
図7に示したように、係合溝54が設けられた部分を補強するための補強部材56がアダプタリング11に取り付けられている。例えば、補強部材56は円弧状に延在し、係合溝54の軸方向溝部54aを横断するようにアダプタリング11の外周面に固定される。
【0041】
幾つかの実施形態では、
図3及び
図4に示したように、支持装置6は、抜け止め部材58を更に備える。抜け止め部材58は、例えば、略直方体形状を有し、係合溝54の軸方向溝部54aに挿入可能である。係合突起52が係合溝54の周方向溝部54bに嵌合されている状態で、抜け止め部材58が係合溝54の軸方向溝部54aに挿入・嵌合されると、抜け止め部材58によって係合突起52の周方向での移動が規制される。これにより、係合溝54からの係合突起52の抜けが防止され、アダプタリング11からの受け部材46の抜けが防止される。
【0042】
最後に、本発明は上述した幾つかの実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した実施形態では、揺動部24に凹部26及び係止部17が設けられていたが、揺動部24を省略し、桁部材18に凹部26及び係止部17を設けてもよい。
また、上述した実施形態では、桁ユニット16は車輪20を有し走行可能であったが、車輪20を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 掘削装置
3 駆動装置
5 クレーンのフック
6 建設機材の支持装置
8 竪穴(杭孔)
9 ケーシング
11 アダプタリング
12 支持アセンブリ
13 支持ステージ
14 板
15 突起部
16 桁ユニット
17 係止部
18 桁部材
20 車輪
22 弾性部材
24 揺動部
25 把手
26 凹部
28 揺動軸
30 建設機材の筒部
32 建設機材のフランジ部
34 作業台
36 床部材
38 枠部材
40 円弧状パイプ
42 直線状パイプ
44 突起部
46 回転反力の受け部材
48 下リング
50 上リング
52 係合突起
54 係合溝
54a 軸方向溝部
54b 周方向溝部
56 補強部材
58 抜け止め部材