(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】不要電話対策システム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/42 20060101AFI20220701BHJP
G10L 17/00 20130101ALI20220701BHJP
G10L 15/10 20060101ALI20220701BHJP
G10L 15/00 20130101ALI20220701BHJP
【FI】
H04M3/42 P
G10L17/00 200C
G10L15/10 500Z
G10L15/00 200A
G10L15/10 200W
(21)【出願番号】P 2020009013
(22)【出願日】2020-01-23
【審査請求日】2021-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】505428558
【氏名又は名称】株式会社COCO・WA・DOCO
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】松崎 正博
(72)【発明者】
【氏名】小林 智
【審査官】白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-153961(JP,A)
【文献】特許第6496448(JP,B1)
【文献】特開2011-135328(JP,A)
【文献】特開2010-258556(JP,A)
【文献】特開2005-109610(JP,A)
【文献】特開2012-134647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G08B23/00-31/00
G10L15/00-17/26
G16Z99/00
H04B7/24-7/26
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話機に接続された中継装置と、当該中継装置と通信可能な対策サーバ装置とを備えた不要電話対策システムであって、
前記中継装置は、
前記電話機に対する相手方からの呼び出しがあると、通話確立のために当該呼び出しを前記電話機に転送する通話確立手段と、
確立した通話の通話データを対策サーバ装置に送信する通話データ送信手段とを備え、
前記対策サーバ装置は、
過去所定単位より前の通話データにおける単語群は用いずに、過去所定単位から現在までの通話データにおける単語群に基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、
不要電話であると判断されると、不要電話対策を実行する対策手段と、
を備えたことを特徴とする不要電話対策システムにおいて、
前記対策手段は、当該通話を切断せず、相手方に対し疑似切断音を送信し、相手方の通話を記録することを特徴とする不要電話対策システム。
【請求項2】
電話機に接続された中継装置と通信可能な対策サーバ装置であって、
前記中継装置から送信されてきた前記電話機と相手方との通話の通話データを受けて、過去所定単位より前の通話データにおける単語群は用いずに、過去所定単位から現在までの通話データにおける単語群に基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、
不要電話であると判断されると、不要電話対策を実行する対策手段と、
を備えた対策サーバ装置において、
前記対策手段は、当該通話を切断せず、相手方に対し疑似切断音を送信し、相手方の通話を記録することを特徴とする不対策サーバ装置。
【請求項3】
電話機に接続された中継装置であって、
前記電話機に対する相手方からの呼び出しがあると、通話確立のために当該呼び出しを前記電話機に転送するとともに、過去所定単位より前の通話データにおける単語群は用いずに、過去所定単位から現在までの通話データにおける単語群に基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、
前記不要電話判断手段によって不要電話であると判断されると、不要電話対策を実行する対策手段と、
を備えた中継装置において、
前記対策手段は、当該通話を切断せず、相手方に対し疑似切断音を送信し、相手方の通話を記録することを特徴とする中継装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかのシステムまたは装置において、
前記不要電話判断手段は、不要電話の通話データから抽出した単語群と、不要電話以外の通話データから抽出した単語群を学習データとして学習した推論モデルに基づいて判断することを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかのシステムまたは装置において、
前記対策手段は、前記中継装置が確立した当該通話を切断するように指示することを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかのシステムまたは装置において、
前記対策手段は、予め定められた送信先に対し、記録された通話データもしくは当該通話データを文字化したテキストデータまたはそのリンク情報を送信することを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかのシステムまたは装置において、
前記対策手段は、当該相手方に対しリンク付きメッセージを送信するよう制御するものであり、
前記リンク付きメッセージには、当該リンクをクリックして登録しなければ次回からの呼び出しに対して接続できない旨が記載されており、
前記リンクは、リンクをクリックした際の相手方電話装置の位置を取得して、前記対策サーバ装置または交換装置に送信する処理機能に関連づけられていることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項8】
電話機に接続された中継装置と、当該中継装置と通信可能な対策サーバ装置とを備えた不要電話対策システムであって、
前記中継装置は、
前記電話機に対する相手方からの呼び出しがあると、通話確立のために当該呼び出しを前記電話機に転送する通話確立手段と、
確立した通話の通話データを対策サーバ装置に送信する通話データ送信手段とを備え、
前記対策サーバ装置は、
過去所定単位より前の通話データにおける単語群は用いずに、過去所定単位から現在までの通話データにおける単語群に基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、
不要電話であると判断されると、不要電話対策を実行する対策手段と、
を備えたことを特徴とする不要電話対策システムにおいて、
前記対策手段は、当該相手方に対しリンク付きメッセージを送信するよう制御するものであり、
前記リンク付きメッセージには、当該リンクをクリックして登録しなければ次回からの呼び出しに対して接続できない旨が記載されており、
前記リンクは、リンクをクリックした際の相手方電話装置の位置を取得して、前記対策サーバ装置または交換装置に送信する処理機能に関連づけられていることを特徴とする不要電話対策システム。
【請求項9】
電話機に接続された中継装置と通信可能な対策サーバ装置であって、
前記中継装置から送信されてきた前記電話機と相手方との通話の通話データを受けて、過去所定単位より前の通話データにおける単語群は用いずに、過去所定単位から現在までの通話データにおける単語群に基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、
不要電話であると判断されると、不要電話対策を実行する対策手段と、
を備えた対策サーバ装置において、
前記対策手段は、当該相手方に対しリンク付きメッセージを送信するよう制御するものであり、
前記リンク付きメッセージには、当該リンクをクリックして登録しなければ次回からの呼び出しに対して接続できない旨が記載されており、
前記リンクは、リンクをクリックした際の相手方電話装置の位置を取得して、前記対策サーバ装置または交換装置に送信する処理機能に関連づけられていることを特徴とする不要電話対策システム。
【請求項10】
電話機に接続された中継装置であって、
前記電話機に対する相手方からの呼び出しがあると、通話確立のために当該呼び出しを前記電話機に転送するとともに、過去所定単位より前の通話データにおける単語群は用いずに、過去所定単位から現在までの通話データにおける単語群に基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、
前記不要電話判断手段によって不要電話であると判断されると、不要電話対策を実行する対策手段と、
を備えた中継装置において、
前記対策手段は、当該相手方に対しリンク付きメッセージを送信するよう制御するものであり、
前記リンク付きメッセージには、当該リンクをクリックして登録しなければ次回からの呼び出しに対して接続できない旨が記載されており、
前記リンクは、リンクをクリックした際の相手方電話装置の位置を取得して、前記対策サーバ装置または交換装置に送信する処理機能に関連づけられていることを特徴とする不要電話対策システム。
【請求項11】
請求項8~10のいずれかのシステムまたは装置において、
前記不要電話判断手段は、不要電話の通話データから抽出した単語群と、不要電話以外の通話データから抽出した単語群を学習データとして学習した推論モデルに基づいて判断することを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項12】
請求項8~11のいずれかのシステムまたは装置において、
前記対策手段は、前記中継装置が確立した当該通話を切断するように指示することを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項13】
請求項8~12のいずれかのシステムまたは装置において、
前記対策手段は、当該通話を切断せず、相手方に対し疑似切断音を送信し、相手方の通話を記録することを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項14】
請求項8~13のいずれかのシステムまたは装置において、
前記対策手段は、予め定められた送信先に対し、記録された通話データもしくは当該通話データを文字化したテキストデータまたはそのリンク情報を送信することを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項15】
電話機に接続された中継装置と、当該中継装置と通信可能な対策サーバ装置とを備えた不要電話対策システムであって、
前記中継装置は、
前記電話機に対する相手方からの呼び出しがあると、通話確立のために当該呼び出しを前記電話機に転送する通話確立手段と、
確立した通話の通話データを対策サーバ装置に送信する通話データ送信手段とを備え、
前記対策サーバ装置は、
前記通話データに基づいて、通話音声の物理的特徴を取得し、当該通話音声の物理的特徴が、予め記録されたブラックリストに登録された音声の物理的特徴と合致するか否かに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、
不要電話であると判断されると、不要電話対策を実行する対策手段と、
を備えることを特徴とする不要電話対策システムにおいて、
前記対策手段は、当該通話を切断せず、相手方に対し疑似切断音を送信し、相手方の通話を記録することを特徴とする不要電話対策システム。
【請求項16】
電話機に接続された中継装置と通信可能な対策サーバ装置であって、
前記中継装置から送信されてきた前記電話機と相手方との通話の通話データを受けて、通話音声の物理的特徴を取得し、当該通話音声の物理的特徴が、予め記録されたブラックリストに登録された音声の物理的特徴と合致するか否かに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、
不要電話であると判断されると、不要電話対策を実行する対策手段と、
を備えた対策サーバ装置において、
前記対策手段は、当該通話を切断せず、相手方に対し疑似切断音を送信し、相手方の通話を記録することを特徴とする対策サーバ装置。
【請求項17】
電話機に接続された中継装置であって、
前記電話機に対する相手方からの呼び出しがあると、通話確立のために当該呼び出しを前記電話機に転送するとともに、通話データに基づいて、通話音声の物理的特徴を取得し、当該通話音声の物理的特徴が、予め記録されたブラックリストに登録された音声の物理的特徴と合致するか否かに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段
不要電話であると判断されると、不要電話対策を実行する対策手段と、
を備えた中継装置において、
前記対策手段は、当該通話を切断せず、相手方に対し疑似切断音を送信し、相手方の通話を記録することを特徴とする中継装置。
【請求項18】
請求項15~17のいずれかのシステムまたは装置において、
前記音声の物理的特徴は、声紋であることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項19】
請求項15~18のいずれかのシステムまたは装置において、
前記対策手段は、前記中継装置が確立した当該通話を切断するように指示することを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項20】
請求項15~19のいずれかのシステムまたは装置において、
前記対策手段は、予め定められた送信先に対し、通報情報を送信することを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項21】
請求項20のシステムまたは装置において、
前記通報情報には、記録された通話データもしくは当該通話データを文字化したテキストデータまたはそのリンク情報が含まれることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項22】
請求項15~21のいずれかのシステムまたは装置において、
前記対策手段は、当該相手方に対しリンク付きメッセージを送信するよう制御するものであり、
前記リンク付きメッセージには、当該リンクをクリックして登録しなければ次回からの呼び出しに対して接続できない旨が記載されており、
前記リンクは、リンクをクリックした際の相手方電話装置の位置を取得して、前記対策サーバ装置または交換装置に送信する処理機能に関連づけられていることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項23】
電話機に接続された中継装置と、当該中継装置と通信可能な対策サーバ装置とを備えた不要電話対策システムであって、
前記中継装置は、
前記電話機に対する相手方からの呼び出しがあると、通話確立のために当該呼び出しを前記電話機に転送する通話確立手段と、
確立した通話の通話データを対策サーバ装置に送信する通話データ送信手段とを備え、
前記対策サーバ装置は、
前記通話データに基づいて、通話音声の物理的特徴を取得し、当該通話音声の物理的特徴が、予め記録されたブラックリストに登録された音声の物理的特徴と合致するか否かに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、
不要電話であると判断されると、不要電話対策を実行する対策手段と、
を備えることを特徴とする不要電話対策システムにおいて、
前記対策手段は、当該相手方に対しリンク付きメッセージを送信するよう制御するものであり、
前記リンク付きメッセージには、当該リンクをクリックして登録しなければ次回からの呼び出しに対して接続できない旨が記載されており、
前記リンクは、リンクをクリックした際の相手方電話装置の位置を取得して、前記対策サーバ装置または交換装置に送信する処理機能に関連づけられており、 前記対策手段は、当該通話を切断せず、相手方に対し疑似切断音を送信し、相手方の通話を記録することを特徴とする不要電話対策システム。
【請求項24】
電話機に接続された中継装置と通信可能な対策サーバ装置であって、
前記中継装置から送信されてきた前記電話機と相手方との通話の通話データを受けて、通話音声の物理的特徴を取得し、当該通話音声の物理的特徴が、予め記録されたブラックリストに登録された音声の物理的特徴と合致するか否かに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、
不要電話であると判断されると、不要電話対策を実行する対策手段と、
を備えた対策サーバ装置において、
前記対策手段は、当該相手方に対しリンク付きメッセージを送信するよう制御するものであり、
前記リンク付きメッセージには、当該リンクをクリックして登録しなければ次回からの呼び出しに対して接続できない旨が記載されており、
前記リンクは、リンクをクリックした際の相手方電話装置の位置を取得して、前記対策サーバ装置または交換装置に送信する処理機能に関連づけられており、
前記対策手段は、当該通話を切断せず、相手方に対し疑似切断音を送信し、相手方の通話を記録することを特徴とする対策サーバ装置。
【請求項25】
電話機に接続された中継装置であって、
前記電話機に対する相手方からの呼び出しがあると、通話確立のために当該呼び出しを前記電話機に転送するとともに、通話データに基づいて、通話音声の物理的特徴を取得し、当該通話音声の物理的特徴が、予め記録されたブラックリストに登録された音声の物理的特徴と合致するか否かに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段
不要電話であると判断されると、不要電話対策を実行する対策手段と、
を備えた中継装置において、
前記対策手段は、当該相手方に対しリンク付きメッセージを送信するよう制御するものであり、
前記リンク付きメッセージには、当該リンクをクリックして登録しなければ次回からの呼び出しに対して接続できない旨が記載されており、
前記リンクは、リンクをクリックした際の相手方電話装置の位置を取得して、前記対策サーバ装置または交換装置に送信する処理機能に関連づけられており、
前記対策手段は、当該通話を切断せず、相手方に対し疑似切断音を送信し、相手方の通話を記録することを特徴とする中継装置。
【請求項26】
請求項23~25のいずれかのシステムまたは装置において、
前記音声の物理的特徴は、声紋であることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項27】
請求項23~26のいずれかのシステムまたは装置において、
前記対策手段は、予め定められた送信先に対し、通報情報を送信することを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項28】
請求項27のシステムまたは装置において、
前記通報情報には、記録された通話データもしくは当該通話データを文字化したテキストデータまたはそのリンク情報が含まれることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項29】
電話機に接続された中継装置と、当該中継装置と通信可能な対策サーバ装置とを備えた不要電話対策システムであって、
前記中継装置は、
前記電話機に対する相手方からの呼び出しがあると、通話確立のために当該呼び出しを前記電話機に転送する通話確立手段と、
確立した通話の通話データを対策サーバ装置に送信する通話データ送信手段とを備え、
前記対策サーバ装置は、
前記通話データに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、
不要電話であると判断されると、当該相手方に対しリンク付きメッセージを送信するよう制御する対策手段であって、前記リンク付きメッセージには、当該リンクをクリックして登録しなければ次回からの呼び出しに対して接続できない旨が記載されており、前記リンクは、リンクをクリックした際の相手方電話装置の位置を取得して、前記対策サーバ装置または交換装置に送信する機能に関連づけられている対策手段と、
を備えた不要電話対策システム。
【請求項30】
電話機に接続された中継装置と通信可能な対策サーバ装置であって、
前記中継装置から送信されてきた前記電話機と相手方との通話の通話データに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、
不要電話であると判断されると、当該相手方に対しリンク付きメッセージを送信するよう制御する対策手段であって、前記リンク付きメッセージには、当該リンクをクリックして登録しなければ次回からの呼び出しに対して接続できない旨が記載されており、前記リンクは、リンクをクリックした際の相手方電話装置の位置を取得して、前記対策サーバ装置または交換装置に送信する機能に関連づけられている対策手段と、
を備えた対策サーバ装置。
【請求項31】
電話機に接続された中継装置であって、
前記電話機に対する相手方からの呼び出しがあると、通話確立のために当該呼び出しを前記電話機に転送するとともに、通話データに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、
不要電話であると判断されると、当該相手方に対しリンク付きメッセージを送信するよう制御する対策手段であって、前記リンク付きメッセージには、当該リンクをクリックして登録しなければ次回からの呼び出しに対して接続できない旨が記載されており、前記リンクは、リンクをクリックした際の相手方電話装置の位置を取得して、前記対策サーバ装置または交換装置に送信する機能に関連づけられている対策手段と、
を備えた中継装置。
【請求項32】
請求項29~31のいずれかのシステムまたは装置において、
前記不要電話判断手段は、前記通話データに基づいて、通話音声の物理的特徴を取得し、当該通話音声の物理的特徴が、予め記録されたブラックリストに登録された音声の物理的特徴と合致するか否かに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断することを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項33】
請求項32のシステムまたは装置において、
前記音声の物理的特徴は、声紋であることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項34】
請求項29~33のいずれかのシステムまたは装置において、
前記不要電話判断手段は、前記通話データに基づいて、当該通話データに含まれる単語群を取得し、当該単語群に基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断することを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項35】
請求項34のシステムまたは装置において、
前記不要電話判断手段は、過去所定単位より前の通話データにおける単語群は用いずに、過去所定単位から現在までの通話データにおける単語群に基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断することを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項36】
請求項34または35のいずれかのシステムまたは装置において、
前記不要電話判断手段は、不要電話の通話データから抽出した単語群と、不要電話以外の通話データから抽出した単語群を学習データとして学習した推論モデルに基づいて判断することを特徴とするシステムまたは装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特殊詐欺電話などの不要電話に対して、通話切断などの対策を取ることのできるシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特殊詐欺電話や迷惑電話など、受信者にとって不要な電話について電話機やサーバ装置による対策が提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、予め定められた電話番号について、通話の内容をサーバ装置が取得し、その通話に含まれる語句に基づいて特殊詐欺であるかどうかを判断するシステムが開示されている。特殊詐欺であると判断すると、特殊詐欺電話がかかっていることを家族にメールで知らせたり、通話を切断することで、特殊詐欺を未然に防止するようにしたものである。
【0004】
このシステムによれば、特別な電話機を用いなくとも、詐欺電話に対する対策を有効に実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたシステムでは、通話全体の語句をもって特殊詐欺であるかどうかを判断している。特殊詐欺などの電話においては、最初は通常の会話を行い、徐々に詐欺的な内容に移行することが多い。このため、特許文献1のように通話全体の語句をもって判断する場合には、会話内容が詐欺的な内容に移行したとしても、最初の通常の会話が考慮されて、詐欺的であるとの判断が遅れる可能性がある。
【0007】
また、特許文献1では、通話に含まれる語句によって特殊詐欺であるかどうかを判断している。特殊詐欺などの電話は、同じ発信者が多数の人を相手に行うことが多い。特許文献1のシステムでは、このような特徴に対応して的確に特殊詐欺などの電話を判別することができなかった。
【0008】
特殊詐欺電話などにおいては、通話を録音して通話者を特定したり、通話者が電話をしている位置を特定したりして、犯人逮捕などの対策を講じることが望まれている。特許文献1のシステムでは、このような対策に結びつけることは困難であった。
【0009】
この発明は、上記のいずれかの問題を解決して、不要電話に対する対策を有効に講じることのできる不要電話対策システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の独立して適用可能ないくつかの特徴を以下に列挙する。
【0011】
(1)(2)(3)この発明に係る不要電話対策システムは、電話機に接続された中継装置と、当該中継装置と通信可能な対策サーバ装置とを備えた不要電話対策システムであって、
前記中継装置は、前記電話機に対する相手方からの呼び出しがあると、通話確立のために当該呼び出しを前記電話機に転送する通話確立手段と、確立した通話の通話データを対策サーバ装置に送信する通話データ送信手段とを備え、
前記対策サーバ装置は、過去所定単位より前の通話データにおける単語群は用いずに、過去所定単位から現在までの通話データにおける単語群に基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、不要電話であると判断されると、不要電話対策を実行する対策手段とを備えている。
【0012】
したがって、迅速に不要電話であることを判断し、対策を実行することができる。
【0013】
(4)この発明に係る不要電話対策システムは、不要電話判断手段が、不要電話の通話データから抽出した単語群と、不要電話以外の通話データから抽出した単語群を学習データとして学習した推論モデルに基づいて判断することを特徴としている。
【0014】
したがって、柔軟かつ適切に不要電話であるか否かを判断することができる。
【0015】
(5)この発明に係る不要電話対策システムは、対策手段が、前記中継装置が確立した当該通話を切断するように指示することを特徴としている。
【0016】
したがって、不要電話による被害を確実に防止することができる。
【0017】
(6)この発明に係る不要電話対策システムは、対策手段が、当該通話を切断せず、相手方に対し疑似切断音を送信し、相手方の通話を記録することを特徴としている。
【0018】
したがって、通話切断がなされたと判断した相手方のその後の発話を記録することができる。
【0019】
(7)この発明に係る不要電話対策システムは、対策手段が、予め定められた送信先に対し、記録された通話データもしくは当該通話データを文字化したテキストデータまたはそのリンク情報を送信することを特徴としている。
【0020】
したがって、通話内容を親族や警察や金融機関などに送信することで、これを受け取った先が対策をとりやすくなる。
【0021】
(8)この発明に係る不要電話対策システムは、対策手段が、当該相手方に対しリンク付きメッセージを送信するよう制御するものであり、前記リンク付きメッセージには、当該リンクをクリックして登録しなければ次回からの呼び出しに対して接続できない旨が記載されており、前記リンクは、リンクをクリックした際の相手方電話装置の位置を取得して、前記対策サーバ装置または交換装置に送信する処理機能に関連づけられていることを特徴としている。
【0022】
したがって、相手方電話装置の発信位置を特定した上で次回からの通話を行うことができる。
【0023】
(9)(10)(11)この発明に係る不要電話対策システムは、電話機に接続された中継装置と、当該中継装置と通信可能な対策サーバ装置とを備えた不要電話対策システムであって、
前記中継装置は、前記電話機に対する相手方からの呼び出しがあると、通話確立のために当該呼び出しを前記電話機に転送する通話確立手段と、確立した通話の通話データを対策サーバ装置に送信する通話データ送信手段とを備え、
前記対策サーバ装置は、前記通話データに基づいて、通話音声の物理的特徴を取得し、当該通話音声の物理的特徴が、予め記録されたブラックリストに登録された音声の物理的特徴と合致するか否かに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、不要電話であると判断されると、不要電話対策を実行する対策手段とを備えている。
【0024】
したがって、通話相手の音声の物理的特徴によって不審な相手方を特定し、対策を実行することができる。
【0025】
(12)この発明に係る不要電話対策システムは、音声の物理的特徴は、声紋であることを特徴としている。
【0026】
したがって、声紋によって不審な相手方を特定することができる。
【0027】
(13)この発明に係る不要電話対策システムは、対策手段が、中継装置が確立した当該通話を切断するように指示することを特徴としている。
【0028】
したがって、不審な相手方からの通話を切断することができる。
【0029】
(14)この発明に係る不要電話対策システムは、対策手段が、当該通話を切断せず、相手方に対し疑似切断音を送信し、相手方の通話を記録することを特徴としている。
【0030】
したがって、通話切断がなされたと判断した相手方のその後の発話を記録することができる。
【0031】
(15)この発明に係る不要電話対策システムは、対策手段が、予め定められた送信先に対し、通報情報を送信することを特徴としている。
【0032】
したがって、通報を親族や警察や金融機関などに送信することで、これを受け取った先が対策をとりやすくなる。
【0033】
(16)この発明に係る不要電話対策システムは、通報情報には、記録された通話データもしくは当該通話データを文字化したテキストデータまたはそのリンク情報が含まれることを特徴としている。
【0034】
したがって、通話内容を親族や警察や金融機関などに送信することで、これを受け取った先が対策をとりやすくなる。
【0035】
(17)この発明に係る不要電話対策システムは、対策手段が、当該相手方に対しリンク付きメッセージを送信するよう制御するものであり、前記リンク付きメッセージには、当該リンクをクリックして登録しなければ次回からの呼び出しに対して接続できない旨が記載されており、前記リンクは、リンクをクリックした際の相手方電話装置の位置を取得して、前記対策サーバ装置または交換装置に送信する処理機能に関連づけられていることを特徴としている。
【0036】
したがって、より柔軟に正確に判断することができる。
【0037】
(18)(19)(20)この発明に係る不要電話対策システムは、電話機に接続された中継装置と、当該中継装置と通信可能な対策サーバ装置とを備えた不要電話対策システムであって、
前記中継装置は、前記電話機に対する相手方からの呼び出しがあると、通話確立のために当該呼び出しを前記電話機に転送する通話確立手段と、確立した通話の通話データを対策サーバ装置に送信する通話データ送信手段とを備え、
前記対策サーバ装置は、前記通話データに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、不要電話であると判断されると、当該通話を切断せず、相手方に対し疑似切断音を送信し、相手方の通話を記録することを特徴とする対策手段とを備えている。
【0038】
したがって、通話データに基づいて不要電話かどうかの判断をし、不要電話である場合、通話切断がなされたと判断した相手方のその後の発話を記録することができる。
【0039】
(21)この発明に係る不要電話対策システムは、不要電話判断手段が、前記通話データに基づいて、通話音声の物理的特徴を取得し、当該通話音声の物理的特徴が、予め記録されたブラックリストに登録された音声の物理的特徴と合致するか否かに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断することを特徴としている。
【0040】
したがって、通話相手の音声の物理的特徴によって不審な相手方を特定し、対策を実行することができる。
【0041】
(22)この発明に係る不要電話対策システムは、音声の物理的特徴は、声紋であることを特徴としている。
【0042】
したがって、声紋によって不審な相手方を特定することができる。
【0043】
(23)この発明に係る不要電話対策システムは、不要電話判断手段が、前記通話データに基づいて、当該通話データに含まれる単語群を取得し、当該単語群に基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断することを特徴としている。
【0044】
したがって、通話内容に基づいて不要電話であるかどうかを判断し、対策を実行することができる。
【0045】
(24)この発明に係る不要電話対策システムは、不要電話判断手段が、過去所定単位より前の通話データにおける単語群は用いずに、過去所定単位から現在までの通話データにおける単語群に基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断することを特徴としている。
【0046】
したがって、最新の通話データを用いて判断するので、不要電話であることの判断を迅速に行うことができる。
【0047】
(25)この発明に係る不要電話対策システムは、不要電話判断手段が、不要電話の通話データから抽出した単語群と、不要電話以外の通話データから抽出した単語群を学習データとして学習した推論モデルに基づいて判断することを特徴としている。
【0048】
したがって、より柔軟に正確に判断することができる。
【0049】
(26)(27)(28)この発明に係る不要電話対策システムは、電話機に接続された中継装置と、当該中継装置と通信可能な対策サーバ装置とを備えた不要電話対策システムであって、
前記中継装置は、前記電話機に対する相手方からの呼び出しがあると、通話確立のために当該呼び出しを前記電話機に転送する通話確立手段と、確立した通話の通話データを対策サーバ装置に送信する通話データ送信手段とを備え、
前記対策サーバ装置は、前記通話データに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、不要電話であると判断されると、記録された通話データもしくは当該通話データを文字化したテキストデータまたはそのリンク情報を、予め定められた送信先に対して送信する対策手段とを備えている。
【0050】
したがって、通話データに基づいて不要電話かどうかを判断し、通話内容を予め定められた連絡先に送信することで、通話内容に基づいて連絡先の人が対策を取ることが容易となる。
【0051】
(29)この発明に係る不要電話対策システムは、不要電話判断手段が、前記通話データに基づいて、通話音声の物理的特徴を取得し、当該通話音声の物理的特徴が、予め記録されたブラックリストに登録された音声の物理的特徴と合致するか否かに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断することを特徴としている。
【0052】
したがって、通話相手の音声の物理的特徴によって不審な相手方を特定し、対策を実行することができる。
【0053】
(30)この発明に係る不要電話対策システムは、音声の物理的特徴が、声紋であることを特徴としている。
【0054】
したがって、声紋によって不審な相手方を特定することができる。
【0055】
(31)この発明に係る不要電話対策システムは、不要電話判断手段が、前記通話データに基づいて、当該通話データに含まれる単語群を取得し、当該単語群に基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断することを特徴としている。
【0056】
したがって、通話内容に基づいて不要電話であるかどうかを判断し、対策を実行することができる。
【0057】
(32)この発明に係る不要電話対策システムは、不要電話判断手段が、過去所定単位より前の通話データにおける単語群は用いずに、過去所定単位から現在までの通話データにおける単語群に基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断することを特徴としている。
【0058】
したがって、最新の通話データを用いて判断するので、不要電話であることの判断を迅速に行うことができる。
【0059】
(33)この発明に係る不要電話対策システムは、不要電話判断手段が、不要電話の通話データから抽出した単語群と、不要電話以外の通話データから抽出した単語群を学習データとして学習した推論モデルに基づいて判断することを特徴としている。
【0060】
したがって、より柔軟に正確に判断することができる。
【0061】
(34)(35)(36)この発明に係る不要電話対策システムは、電話機に接続された中継装置と、当該中継装置と通信可能な対策サーバ装置とを備えた不要電話対策システムであって、
前記中継装置は、前記電話機に対する相手方からの呼び出しがあると、通話確立のために当該呼び出しを前記電話機に転送する通話確立手段と、確立した通話の通話データを対策サーバ装置に送信する通話データ送信手段とを備え、
前記対策サーバ装置は、前記通話データに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断する不要電話判断手段と、不要電話であると判断されると、当該相手方に対しリンク付きメッセージを送信するよう制御する対策手段であって、前記リンク付きメッセージには、当該リンクをクリックして登録しなければ次回からの呼び出しに対して接続できない旨が記載されており、前記リンクは、リンクをクリックした際の相手方電話装置の位置を取得して、前記対策サーバ装置または交換装置に送信する機能に関連づけられている対策手段とを備えている。
【0062】
したがって、通話データに基づいて不要電話かどうかを判断し、不要電話と判断された場合には、相手方電話装置の発信位置を特定した上で次回からの通話を行うことができる。
【0063】
(37)この発明に係る不要電話対策システムは、不要電話判断手段が、前記通話データに基づいて、通話音声の物理的特徴を取得し、当該通話音声の物理的特徴が、予め記録されたブラックリストに登録された音声の物理的特徴と合致するか否かに基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断することを特徴としている。
【0064】
したがって、通話相手の音声の物理的特徴によって不審な相手方を特定し、対策を実行することができる。
【0065】
(38)この発明に係る不要電話対策システムは、音声の物理的特徴が、声紋であることを特徴としている。
【0066】
したがって、声紋によって不審な相手方を特定することができる。
【0067】
(39)この発明に係る不要電話対策システムは、不要電話判断手段が、前記通話データに基づいて、当該通話データに含まれる単語群を取得し、当該単語群に基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断することを特徴としている。
【0068】
したがって、通話内容に基づいて不要電話であるかどうかを判断し、対策を実行することができる。
【0069】
(40)この発明に係る不要電話対策システムは、不要電話判断手段が、過去所定単位より前の通話データにおける単語群は用いずに、過去所定単位から現在までの通話データにおける単語群に基づいて、当該通話が不要電話であるか否かを判断することを特徴としている。
【0070】
したがって、最新の通話データを用いて判断するので、不要電話であることの判断を迅速に行うことができる。
【0071】
(41)この発明に係る不要電話対策システムは、不要電話判断手段が、不要電話の通話データから抽出した単語群と、不要電話以外の通話データから抽出した単語群を学習データとして学習した推論モデルに基づいて判断することを特徴としている。
【0072】
したがって、より柔軟に正確に判断することができる。
【0073】
(42)(43)(44)この発明に係る不要電話対策システムは、電話機に接続された中継装置と、当該中継装置と通信可能な対策サーバ装置とを備えた不要電話対策システムであって、
前記中継装置は、前記電話機に対する相手方からの呼び出しがあると、通話確立のために当該呼び出しを前記電話機に転送する通話確立手段と、前記相手方の識別情報を対策サーバ装置に送信する識別情報送信手段と、確立した通話中に、電話機からの特定指令信号を受けて前記対策サーバ装置に転送する特定指令転送手段とを備え、
前記対策サーバ装置は、受信した前記相手方の識別情報を記録する記録手段と、 前記特定指令信号を受けると、予め指定された連絡先に対し、前記相手方の識別情報を伴なう通報情報を送信する対策手段とを備えている。
【0074】
したがって、電話機にて相手方を話をしている人の操作によって、通報情報を予め定めた連絡先に送信することができる。
【0075】
(45)この発明に係る不要電話対策システムは、特定指令信号が、電話線を介して電話機から中継装置に送信されるものであり、非可聴域の周波数成分を中心として構成される信号であることを特徴としている。
【0076】
したがって、特定指令信号を発信したことを相手方に気づかれずに、これを発信することができる。
【0077】
(46)この発明に係る不要電話対策システムは、特定指令信号が、電話線を介して電話機から中継装置に送信されるものであり、生活音から構成される信号であることを特徴としている。
【0078】
したがって、特定指令信号を発信したことを相手方に気づかれずに、これを発信することができる。
【0079】
(47)この発明に係る不要電話対策システムは、通報情報には、記録された通話データもしくは当該通話データを文字化したテキストデータまたはそのリンク情報が含まれることを特徴としている。
【0080】
したがって、通話内容を予め定められた連絡先に送信することで、通話内容に基づいて連絡先の人が対策を取ることが容易となる。
【0081】
「通話確立手段」は、実施形態においては、ステップS3がこれに対応する。
【0082】
「通話データ送信手段」は、実施形態においては、ステップS5がこれに対応する。
【0083】
「不要電話判断手段」は、実施形態においては、ステップS105、S109がこれに対応する。
【0084】
「対策手段」は、実施形態においては、ステップS107、S111、S121、S207がこれに対応する。
【0085】
「識別情報送信手段」は、実施形態においては、ステップS21がこれに対応する。
【0086】
「特定指令転送手段」は、実施形態においては、ステップS23がこれに対応する。
【0087】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【
図1】この発明の第1の実施形態による不要電話対策システムの機能構成図である。
【
図2】不要電話対策システムのシステム構成図である。
【
図5A】中継装置4とサーバ装置6のフローチャートである。
【
図5B】中継装置4とサーバ装置6のフローチャートである。
【
図6】テキスト通話データ、形態素解析の結果、名詞単語を示す図である。
【
図8】通常会話および詐欺会話におけるテキスト通話データの例である。
【
図9】形態素解析の結果、学習データを示す図である。
【
図11】他の例による中継装置4とサーバ装置6のフローチャートである。
【
図12】他の例による相手方電話機2と中継装置4とサーバ装置6のフローチャートである。
【
図14】他の例による中継装置4とサーバ装置6のフローチャートである。
【
図15】第2の実施形態による不要電話対策システムの機能構成図である。
【
図16A】中継装置4とサーバ装置6のフローチャートである。
【
図16B】中継装置4とサーバ装置6のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0089】
1.第1の実施形態
1.1機能構成
図1に、この発明の一実施形態による不要電話対策システムの機能構成を示す。電話機8は、このシステムにて保護する対象の電話機である。相手方電話機2は、当該電話機8を呼び出した電話機である。電話機2、8ともに、固定電話であっても、スマートフォンなどの携帯電話であってもよい。
【0090】
相手方電話機2から電話機8に対する呼び出しは、中継装置4に与えられる。中継装置4の通話確立手段10は、相手方電話機2から電話機8に対する呼び出しを受けて、これを電話機8に転送する。通話確立手段10は、電話機8からの応答(受話器を上げるなど)があると、相手方電話機2と電話機8との通話を確立する。
【0091】
通話データ送信手段12は、相手方電話機2と電話機8との間の音声通話データを、リアルタイムに対策サーバ装置6に送信する。対策サーバ装置6の不要電話判断手段14は、受け取った音声通話データを音声認識してテキスト化してテキスト通話データを得る。この処理は、受け取った音声通話データに対して、リアルタイムに行われる。
【0092】
さらに、不要電話判断手段14は、過去の所定単位から現在まで(たとえば1分)についてのテキスト通話データに対し、テキスト通話データを形態素解析して名詞を取り出し、当該名詞の組合せに基づいて、特殊詐欺電話であるかどうかを判断する。この判断は、所定時間間隔(たとえば10秒ごと)で行われる。
【0093】
このように最新のテキスト通話データのみを対象として、通話内容の判断を行うので、特殊詐欺電話であることの判断を迅速に行うことができる。
【0094】
特殊詐欺電話であると判断されると、対策手段16は、当該特殊詐欺電話に対する対策を実行する。たとえば、中継装置4に通話を切断するよう指示したり、通話は切断せずに、相手方電話機2に対して疑似切断音を送信し、通話録音を継続したり、予め定められた送信先に対し通話内容を送信したり、相手方電話機2に対して位置特定処理を行うためのリンクが付されたメッセージを送信したり、相手方の識別情報をブラックリストに登録したりする。
【0095】
1.2システム構成およびハードウエア構成
図2に、不要電話対策システムの機器構成を示す。相手方電話機2(たとえばスマートフォン)は中継装置3に接続され、保護対象である電話機は中継装置4に接続されている。中継装置3、4は、このほか多くの電話機に接続され、その間の接続を制御するものである。
【0096】
中継装置4は、インターネットを介してサーバ装置6に接続されている。なお、インターネット経由ではなく、直接接続するようにしてもよい。図において、2つの中継装置3、4が示されているが、相手方電話機2と電話機8は、多くの中継装置を介して接続されている。
【0097】
図3に、中継装置4のハードウエア構成を示す。CPU40には、メモリ41、通信回路42、ハードディスク43、DVD-ROMドライブ44、交換機能部45が接続されている。通信回路42は、インターネットに接続するための回路である。交換機能部45には、電話機や他の中継装置が接続されており、互いの接続を制御して交換機能を実現するものである。
【0098】
ハードディスク43には、オペレーティングシステム46、中継制御プログラム47が記録されている。中継制御プログラム47は、オペレーティングシステム46と協働してその機能を発揮するものである。これらプログラムは、DVD-ROM48に記録されていたものを、DVD-ROMドライブ44を介してハードディスク43にインストールしたものである。
【0099】
図4に、サーバ装置6のハードウエア構成を示す。CPU60には、メモリ61、ハードディスク62、DVD-ROMドライブ63、通信回路64が接続されている。通信回路64は、インターネットに接続するためのものである。
【0100】
ハードディスク62には、オペレーティングシステム65、サーバプログラム66が記録されている。サーバプログラム66は、オペレーティングシステム65と協働してその機能を発揮するものである。これらプログラムは、DVD-ROM67に記録されていたものを、DVD-ROMドライブ63を介してハードディスク62にインストールしたものである。
【0101】
1.3特殊詐欺電話対策処理
図5に、中継装置4の中継制御プログラム47、サーバ装置6のサーバプログラム66のフローチャートを示す。
【0102】
中継装置4のCPU40(以下、中継装置4と省略することがある)は、自らのエリア内にある電話機8に対して呼び出しがあると、これを電話機8に転送するよう交換機能部45に指示を行う(ステップS1)。ここでは、相手方電話機2から呼び出しがあったものとして説明を進める。
【0103】
電話機8からの呼び出しに対する応答(受話器を上げた信号)があると(ステップS2)、中継装置4は、相手方電話機2と電話機8とを接続するよう、交換機能部45に指示を行う(ステップS3)。これにより、相手方電話機2と電話機8の通話が確立する。
【0104】
次に、中継装置4は、呼び出された側(電話機8)が保護対象電話として登録されているか否かを判断する(ステップS4)。登録された電話の電話番号は、予めハードディスク43にテーブルとして記録されている。中継装置4は、このテーブルを参照して、呼び出された側(電話機8)が保護対象電話として登録されているか否かを判断する。
【0105】
保護対象電話として登録されていなければ、中継装置は通常の処理を行って、特殊詐欺電話対策処理は行わない。
【0106】
保護対象電話として登録されていれば、中継装置4は、相手方電話機2と電話機8の通話音声データを、サーバ装置6に送信する(ステップS5)。サーバ装置6のCPU60(以下、サーバ装置6と省略することがある)は、これを受信し(ステップS101)、音声解析を行ってテキストデータにする(ステップS102)。この通話テキストデータは、
図6Aに示すように、ハードディスク62に記録される。
【0107】
続いて、サーバ装置6は、上記通話テキストデータについて、形態素解析を行い、単語ごとに分離して品詞を得る。
図6Bに、抽出された単語とその品詞を示す。なお、この実施形態では、「え~と」「え~」など、判断に役立たない単語は除外するようにしている。さらに、サーバ装置6は、各単語のうち名詞単語(名詞に分類された単語)のみを抽出して、ハードディスク62に記録する(ステップS103)。記録された名詞単語を、
図6Cに示す。
【0108】
サーバ装置6は、通話音声データの最新のもの(現在時刻のもの)から過去に1分間の名詞単語を取得する(ステップS104)。サーバ装置6は、取得した名詞単語に基づいて、前記通話が特殊詐欺電話であるか否かを判断する(ステップS105)。この判断は、学習済みの推定モデルを用いて行う。また、通話音声データの最新のもの(現在時刻のもの)から過去に1分間(所定時間)の名詞単語に基づいて判断を行うようにしているのは、直近の会話の名詞単語のみを用いることで、特殊詐欺電話であることの判断を迅速にするためである。これにより、会話が世間話に続いて特殊詐欺の内容に移行した場合であっても、迅速な判断が可能である。
【0109】
図7Aに、記録された通話テキストデータと、判定の基礎として用いるデータ(名詞単語抽出の基礎となった通話テキストデータ)との関係を模式化して示す。サーバ装置6は、通話テキストデータのうちの最新の1分間を判定用基礎データとして名詞単語を取得する。これに基づいて、特殊詐欺電話であるかどうかの判断を行う。
【0110】
その後、10秒(所定時間)が経過すると、
図7Bに示すように、最新の1分間を判定用基礎データとして名詞単語を取得する。これに基づいて、特殊詐欺電話であるかどうかの判断を行う。
【0111】
このように、所定間隔で所定長の判断基礎データを(一部重複させながら)取得して、これに含まれる名詞単語によって判断を行うようにしている。
【0112】
また、この実施形態では、通話開始から1分間(所定時間)の通話音声データによる名詞単語が蓄積されるまでは、特殊詐欺であるか否かの判断は行わないようにしている。データ量が少ないために、判定誤りを生じる可能性があるためである。
【0113】
ステップS105において用いるための推定モデルについて、その生成方法を以下説明する。この実施形態では、ディープラーニングのモデルを学習させて、学習済みの推定モデルを得るようにしている。
【0114】
まず、
図8A、
図8Bに示すような通話テキストデータを多数収集する。
図8Aは通常の会話であり「通常」のラベルが付されている(対応付けて「通常」を示すデータが記録されている)。
図8Bは特殊詐欺の会話であり、「特殊詐欺」のラベルが付されている。
【0115】
学習処理のためのコンピュータ(通常のPCを用いることができる)により、インストールされている学習処理プログラムによって、通話テキストデータを10秒(所定時間)ずつずらせて、1分間(所定時間)取得する。これは、
図7A、
図7Bに示す判定用基礎データの取得と同様である。
【0116】
学習処理のためのコンピュータは、取得した1分間の通話テキストデータを形態素解析し、単語とその品詞を得る(
図9A参照)。さらに、この中から名詞に分類された単語を抽出する(
図9B参照)。抽出された単語に対して、「通常」または「特殊詐欺」のいラベル付けを行って記録する。このようにして、1分間の通話テキストデータに基づく1つの学習データが生成される。
【0117】
続いて、学習処理のためのコンピュータは、通話テキストデータを10秒(所定時間)ずらせて、1分間(所定時間)の通話テキストデータを取得し、上記と同様にして1つの学習データを生成する。
【0118】
このようにして、1つの通話テキストデータから、複数の学習データが生成される。さらに、これを全ての通話テキストデータに対して行う。したがって、多数の学習データを得ることができる。
【0119】
上記では、1つの通話テキストデータを1分間ごとに分けて名詞単語を抽出し、複数の学習データを生成している。しかし、1つの通話データに含まれる名詞単語全てから1つの学習データを生成するようにしてもよい。また、上記では、2つの1分間領域においては、重複する部分がある(
図7B参照)。しかし、各1分間領域が互いに重複しないようにしてもよい。
【0120】
次に、学習処理のためのコンピュータは、ディープラーニングによる推論モデルを、上記生成した学習データによって学習する。これにより、通話テキストに含まれる名詞単語を与えることで、特殊詐欺の会話である確率を出力することのできる学習済み推論モデルを得ることができる。
【0121】
図5のステップS105において、サーバ装置6は、このようにして生成された学習済み推論モデルによって、通話が特殊詐欺電話である確率を算出する。この実施形態では、特殊詐欺電話である確率が所定値(たとえば80%)以上であれば、当該通話が特殊詐欺であると判定するようにしている。
【0122】
特殊詐欺電話であると判定されなければ、サーバ装置6は、ステップS101以下を繰り返して、10秒ごとに1分間の通話テキストデータから特殊詐欺であるかどうかの判定を行う。
【0123】
特殊詐欺電話であると判定されると、サーバ装置6は、中継装置4に対し、通話切断指令を送信する(ステップS107)。中継装置4は、これを受信し(ステップS7)、交換機能部45に対して、相手方電話機2と電話機8との通話を切断するよう制御する(ステップS8)。
【0124】
以上のようにして、特殊詐欺電話であるとの判断がなされると、通話が切断され、特殊詐欺の実行を回避することができる。
【0125】
1.4変形例
(1)上記実施形態では、中継装置4とは別にサーバ装置6を設けている。しかし、中継装置4がサーバ装置6の機能を実行するようにしてもよい。中継装置4がサーバ装置6の機能を実行する場合の機能ブロック図を、
図10に示す。
【0126】
相手方電話機2から電話機8に対する呼び出しは、中継装置4に与えられる。中継装置4の通話確立手段10は、相手方電話機2から電話機8に対する呼び出しを受けて、これを電話機8に転送する。通話確立手段10は、電話機8からの応答(受話器を上げるなど)があると、相手方電話機2と電話機8との通話を確立する。
【0127】
不要電話判断手段14は、音声通話データを音声認識してテキスト化してテキスト通話データを得る。この処理は、リアルタイムに行われる。
【0128】
さらに、不要電話判断手段14は、過去の所定単位から現在まで(たとえば1分)についてのテキスト通話データに対し、テキスト通話データを形態素解析して名詞を取り出し、当該名詞の組合せに基づいて、特殊詐欺電話であるかどうかを判断する。この判断は、所定時間間隔(たとえば10秒ごと)で行われる。
【0129】
特殊詐欺電話であると判断されると、対策手段16は、当該特殊詐欺電話に対する対策を実行する。たとえば、通話を切断するよう指示したり、通話は切断せずに、相手方電話機2に対して疑似切断音を送信し、通話録音を継続したり、予め定められた送信先に対し通話内容を送信したり、相手方電話機2に対して位置特定処理を行うためのリンクが付されたメッセージを送信したり、相手方の識別情報をブラックリストに登録したりする。
【0130】
(2)上記実施形態では、判定用基礎データを所定時間長の通話データとしている。しかし、所定個数の名詞を含む通話データを判定用基礎データとしてもよい。
【0131】
(3)上記実施形態では、名詞単語に基づいて特殊詐欺電話であるかどうかを判断している。しかし、形容詞などその他の品詞単語も含めて判断を行うようにしてもよい。あるいは、他の品詞単語にて判断を行うようにしてもよい。
【0132】
(4)上記実施形形態では、ディープラーニングによる学習済み推論モデルを用いて、特殊詐欺電話であるかどうかを判断している。しかし、各単語ごとに特殊詐欺電話で用いられる度合いを付した辞書を用意しておき、テキスト通話データに表れる単語にこの度合いを付して、当該度合いを合計するなどして判断するようにしてもよい。この場合、単語の出現回数も加味して判断を行うようにしてもよい。
【0133】
(5)上記実施形態では、特殊詐欺電話であると判断すると通話を切断するようにしている。しかし、サーバ装置6(対策手段16)は、特殊詐欺電話であると判断すると、
図11に示すような処理を行うようにしてもよい。
【0134】
サーバ装置6は、
図5AのステップS105、S106にて特殊詐欺電話であると判断すると、中継装置4に、相手方電話機2に対し「疑似切断音」を送信するように指令を送るとともに、通話音声データの記録、テキスト化を継続する(ステップS111)。中継装置4はこれを受信し(ステップS11)、相手方電話機2に対して「疑似切断音」を送信する。
【0135】
ここで、「疑似切断音」とは、通話が切断された時に電話機において聞くことができる「ツーツーツー・・・」という音である。この実施形態では、中継装置4は、通話を切断せず、この疑似切断音を相手方電話機2に送信する。
【0136】
したがって、相手方電話機2から通話を行っている特殊詐欺関連者は、通話が切断されたと思い、騙す意図があった言葉などを発するかもしれない。サーバ装置6は、通話音声データの記録、テキスト化を継続しているので、これを証拠としてシステムに残すことができる。
【0137】
(6)上記実施形態では、特殊詐欺電話であると判断すると通話を切断するようにしている。しかし、サーバ装置6(対策手段16)は、記録しているテキスト通話データや音声通話データを添付して、予め登録されている宛先(電話機8を使用する人の親族などのメールアドレスや、所轄の警察、金融機関などの機関のメールアドレス)に、警告のメールなどを送信するようにしてもよい。あるいは、サーバ装置6から警告の通知を登録された端末装置に送信するようにしてもよい。
【0138】
また、テキスト通話データを要約するプログラムによって要約したテキストとし、これを添付するようにしてもよい。
【0139】
さらに、この際、上記算出した特殊詐欺である確率を併せて送信するようにしてもよい。
【0140】
(7)上記実施形態では、特殊詐欺電話であると判断すると通話を切断するようにしている。しかし、これに代えて、あるいは加えて、特殊詐欺電話の可能性が高い相手方であることをサーバ装置6に記録するようにしてもよい。このように可能性が高い人として記録されると、たとえば、次回以降の通話の判断において、特殊詐欺電話であると判断するしきい値が下げられることになる。
【0141】
(8)上記実施形態では、特殊詐欺電話であると判断すると通話を切断するようにしている。しかし、相手方電話機2に対し、位置を特定するための処理へのリンクが含まれたメッセージ(ショートメッセージなど)を送信するようにしてもよい。
【0142】
この場合の処理フローチャートを
図12に示す。
図12のフローチャートは、
図5Bによる通話切断処理が行われた後に実行されるものである(あるいは、関係者が通話内容を確認し、サーバ装置6に対して、特殊詐欺電話である旨の判断を送信した後でもよい)。
【0143】
サーバ装置6は、
図5AのステップS105、S106にて特殊詐欺電話であると判断すると(あるいは、関係者より当該通話が特殊詐欺電話であるとの判定連絡を受けると)、位置特定処理へのリンクが含まれるメッセージを生成し、中継装置4に、これを相手方電話機2に対してショートメッセージにて送信するように指示する(ステップS121)。これとともに、相手方電話機2の電話番号をブラックリストに登録する(ステップS122)。このブラックリストは、中継装置4のハードディスク43に記録される。次に着信があった時に、中継装置4は発信元の電話番号がこのブラックリストに載っている場合には、通話を確立しない。
【0144】
中継装置4は、メッセージ送信の指示を受信し(ステップS21)、位置特定処理へのリンクが含まれるメッセージを相手方電話機2に転送する(ステップS22)。相手方電話機2は、このメッセージを受信して表示する(ステップS201)。
【0145】
表示されたメッセージを、
図13に示す。リンク50をクリックしなければブラックリストから外されない旨がメッセージとして記載され、その下にリンク50が設けられている。
【0146】
相手方電話機2の操作者が、このリンク50をクリックすると、サーバ装置6にその旨が送信され、サーバ装置6は、相手方電話機2の位置を特定する処理を開始する(ステップS123)。すなわち、サーバ装置6から相手方電話機2に対して位置情報の要求を送る。これに応じて、相手方電話機2から現在位置の情報(GPSなどによるもの)を得ることができる。サーバ装置6は、このようにして取得した位置情報を、相手方電話機2の電話番号に対応付けて記録する。
【0147】
このように、相手方電話機2がリンクをクリックした場合には、当該相手方電話機2の電話番号をブラックリストから外す(ステップS124)。
【0148】
したがって、次回から電話をかけるためには、当該相手方電話機2の位置をサーバ装置6に教えなければならず、特殊詐欺を行うことの障壁を高くすることができる。
【0149】
なお、上記では、サーバ装置6が実際にブラックリストから外す処理を行っているが、そのような処理は行わず、
図13に示すようなメッセージを表示するだけでも抑止効果がある。
【0150】
(9)上記実施形態では、特殊詐欺電話であると判断すると、通話を切断している。しかし、記録した通話データに基づいて、声紋などの音声の物理的特徴を算出し、ブラックリストに登録するようにしてもよい。次回の着信からは、中継装置4またはサーバ装置6において、相手方の声紋などの音声の物理的特徴を算出し、これがブラックリストに記録されている声紋と合致すると、特殊詐欺電話であると判断して対策を実行するようにする。
【0151】
(10)上記実施形態では、特殊詐欺電話であるか否かを判断している。しかし、特殊詐欺電話だけでなく、迷惑電話(セールスなど)など不要電話全般についても適用することができる。
【0152】
また、特殊詐欺電話、迷惑電話など、不要電話の種類を区別して判断し(特殊詐欺電話、迷惑電話など、それぞれの確からしさを推定することで可能である)、種類に応じて、上記の対応を変えるようにしてもよい。たとえば、特殊詐欺電話であると判断した場合には、通話切断や警察への通報を行い、迷惑電話であると判断した場合には、血縁者への通報を行うというようにしてもよい。
【0153】
(11)上記実施形態では、通話内容に基づいて、特殊詐欺電話であるかどうかを判断している。しかし、予め、特殊詐欺などを働いた犯人の声紋を登録しておき、相手方電話機2からの音声の声紋がこれに合致すれば、特殊詐欺電話であると判断して、上記の各対策を実行するようにしてもよい。
【0154】
この場合の機能構成図は、
図1と同様である。ただし、対策サーバ装置6の不要電話判断手段14は、通話データの声紋が登録された犯人の声紋と合致するかどうかを判断して、不要電話であるかどうかを判断する。
【0155】
図14にフローチャートを示す。中継装置4から送信されてきた通話音声データを受けて(ステップS101)、サーバ装置6は、当該音声の声紋を解析する(ステップS108)。
【0156】
サーバ装置6は、過去に特殊詐欺を働いたことのある犯人の声紋が登録されているDB(警察などからの提供を受けて)にアクセスし、通話音声データの主の声紋が、DBに登録されているかどうかを判断する(ステップS109)。登録されていれば、特殊詐欺電話であると判断し、対策を実行する。
【0157】
なお、特殊詐欺以外の不要電話についても同様にDBを用意すれば適用することができる。また、不要電話の種類ごとにDBを設け、当該種類に応じて対策を変えるようにしてもよい。
【0158】
(12)上記実施形態では、保護対象電話として登録されている電話機8に対してのみ上記の対策処理を実行するようにしている。しかし、全ての電話機に対して、このような処理を行うようにしてもよい。
【0159】
(13)上記実施形態では、着信した電話の全てに対して不要電話であるか否かの判断をし、不要電話であれば対策を施すようにしている。しかし、家族等の親族、官公庁など信用のある者の電話番号を予め登録しておき、それらの電話番号からの電話は、不要電話であるかどうかの判断をしない(対策を施さない)ようにしてもよい。
【0160】
(14)上記実施形態では、特殊詐欺電話であると判断すると通話を切断するようにしている。しかし、特殊詐欺電話であると判断すると、相手方の電話番号、IPアドレスなどの識別情報をブラックリストに登録し、次回から着信があっても接続しないようにしてもよい。
【0161】
(15)上記実施形態およびその変形例は、その本質に反しない限り、他の実施形態においても適用することができる。
【0162】
2.第2の実施形態
2.1機能構成
図15に、この発明の一実施形態による不要電話対策システムの機能構成を示す。
【0163】
相手方電話機2から電話機8に対する呼び出しは、中継装置4に与えられる。中継装置4の通話確立手段10は、相手方電話機2から電話機8に対する呼び出しを受けて、これを電話機8に転送する。通話確立手段10は、電話機8からの応答(受話器を上げるなど)があると、相手方電話機2と電話機8との通話を確立する。
【0164】
識別情報送信手段13は、相手方電話機2の識別情報(電話番号など)を、対策サーバ装置6に送信する。対策サーバ装置6の記録手段17は、受信した識別情報を記録部19に記録する。
【0165】
電話機8は、相手方電話機2との通話中に、特定指令信号(たとえば、#11などのプッシュ信号)を発信することができる。電話機8の話者は、通話内容が特殊詐欺電話であるとの疑いを持つと、電話機8を操作して特定指令信号を発する。この特定指令信号は、中継装置4の特定指令転送手段15によって、対策サーバ装置6に転送される。
【0166】
対策サーバ装置6の対策手段16は、この特定指令信号を受けて、記録部19に記録されている相手方電話機2の識別情報を、予め登録されている連絡先にメールなどで送信する。
【0167】
2.2システム構成およびハードウエア構成
システム構成は、第1の実施形態における
図2と同様である。中継装置4および対策サーバ装置6のハードウエア構成は、
図3、
図4と同様である。
【0168】
2.3特殊詐欺電話対策処理
図16Aに、中継装置4の中継制御プログラム47、サーバ装置6のサーバプログラム66のフローチャートを示す。
【0169】
中継装置4のCPU40(以下、中継装置4と省略することがある)は、自らのエリア内にある電話機8に対して呼び出しがあると、これを電話機8に転送するよう交換機能部45に指示を行う(ステップS1)。ここでは、相手方電話機2から呼び出しがあったものとして説明を進める。
【0170】
電話機8からの呼び出しに対する応答(受話器を上げた信号)があると(ステップS2)、中継装置4は、相手方電話機2と電話機8とを接続するよう、交換機能部45に指示を行う(ステップS3)。これにより、相手方電話機2と電話機8の通話が確立する。
【0171】
次に、中継装置4は、呼び出された側(電話機8)が保護対象電話として登録されているか否かを判断する(ステップS4)。登録された電話の電話番号は、予めハードディスク43にテーブルとして記録されている。中継装置4は、このテーブルを参照して、呼び出された側(電話機8)が保護対象電話として登録されているか否かを判断する。
【0172】
保護対象電話として登録されていなければ、中継装置4は通常の処理を行って、特殊詐欺電話対策処理は行わない。
【0173】
保護対象電話として登録されていれば、中継装置4は、相手方電話機2の識別情報をサーバ装置6に送信する(ステップS21)。識別情報としては、電話番号、IPアドレス等を用いることができる。
【0174】
サーバ装置6は、この識別情報を受信してハードディスク62に記録する(ステップS201)。
【0175】
相手方電話機2と電話機8との間で通話がなされ、何事もなければ、(いずれかが切断信号を中継装置4に与えることで)通話が切断される(ステップS6)。
【0176】
上記通話中に、電話機8の話者が相手方の話の内容に疑問を持ち、特殊詐欺電話でないかとの疑いを持った場合、当該通話中に電話機8を操作して、特定指令信号(予め定められたコード(たとえば、#11))を発信する。
【0177】
この特定指令信号は、中継装置4に受信される。中継装置4は、特定指令信号を受信すると、これをサーバ装置6に転送する(ステップS23)。サーバ装置6は、特定指令信号を受信すると、対策処理を実行する(ステップS202)。
【0178】
この実施形態においては、サーバ装置6は、記録されている相手方電話機2の識別情報を含むメッセージを、予め登録されている連絡先(親族や警察など)に、メールやショートメッセージとして送信する(ステップS207)。
図17に、このようにして送信され、連絡先において表示されたメッセージを示す。これを受けた親族や警察などは、適切な対応を取ることが可能となる。
【0179】
2.4変形例
(1)上記実施形態では、サーバ装置6の対応として、予め登録された連絡先にメッセージを送信するようにしている。しかし、第1の実施形態に示した各対応策(たとえば、通話切断、通話記録の送信、ブラックリストへの登録など)を行うようにしてもよい。また、上記のメッセージに通話記録を含めるようにしてもよい。
【0180】
(2)上記実施形態では、特定指令信号としてプッシュ信号を用いている。これは、電話機8に本来備わっている機能であるため、特別な電話機8を設置する必要がないという点において優れている。ただし、電話機8においてプッシュ信号を送信したことが、相手方電話機2に伝わってしまう。
【0181】
これは、相手方電話機2の話者にとって、特殊詐欺を働く障壁をもたらすので(何かの対策がなされたのではないかとの疑問を生じさせる)好ましい点もある。しかし、相手方が特殊詐欺を働くものでない人にとっては、疑われたような気分となって好ましくない場合も想定される。
【0182】
そこで、電話機8に特殊なボタン(ハードもしくはソフト)を設け、当該ボタンを押すことで、非可聴域の特定指令信号を出力するようにしてもよい。
【0183】
また、特殊なボタンを押すことで、生活音(洗濯機が回る音、玄関呼び出しの音、テレビの音など)を特定指令信号として出力するようにしてもよい。中継装置4は、予めこれらの生活音を記録しておき、特定指令信号であるか否かを判断する。
【0184】
また、予め定められた言葉(合い言葉)を特定指令信号としてもよい。この場合、電話機8において合い言葉を発すると、これを電話機、中継装置またはサーバ装置にて(テキストデータまたは音声データとして)判断し、特定指令信号であると判断する。
【0185】
(3)上記実施形態では、声紋に基づいて不審な相手方を特定するようにしている。しかし、声紋以外の音声の物理的特徴(たとえば、音声のスペクトル分布の時間的変化など)に基づいて不審な相手方を特定するようにしてもよい。
【0186】
(4)上記実施形態およびその変形例は、その本質に反しない限り、他の実施形態においても適用することができる。