(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】鍼灸針
(51)【国際特許分類】
A61H 39/08 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
A61H39/08 Z
(21)【出願番号】P 2020096730
(22)【出願日】2020-06-03
【審査請求日】2020-06-04
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-14
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390024545
【氏名又は名称】セイリン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】中 野 亮 一
(72)【発明者】
【氏名】金 子 雄 哉
(72)【発明者】
【氏名】谷 口 昇 平
(72)【発明者】
【氏名】小 林 拓 哉
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第203953756(CN,U)
【文献】特表2016-503702(JP,A)
【文献】実開昭55-180531(JP,U)
【文献】中国実用新案第2590568(CN,Y)
【文献】中国特許出願公開第103070706(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107822871(CN,A)
【文献】中国実用新案第202942155(CN,U)
【文献】特開2002-696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に針先部が形成された針体と、この針体の基端部に取付けられる針柄とを有する
鍼灸針であって、
前記針柄の長手方向を横断する断面形状が楕円であり、
前記針柄の表面には、前記針柄の長手方向に沿って凹凸部が形成され、
前記凹部の前記針柄の長手方向を横断する断面形状の楕円の長軸は、前記凸部の前記
針柄の長手方向を横断する断面形状の楕円の長軸より短く、
前記凹部の前記針柄の長手方向を横断する断面形状の楕円の短軸は、前記凸部の前記
針柄の長手方向を横断する断面形状の楕円の短軸より短く、
前記針先部は、フック形状でなく尖っており、前記針体は、中途に湾曲することなく
直線状である
ことを特徴する鍼灸針。
【請求項2】
先端に針先部が形成された針体と、この針体の基端部に取付けられる針柄とを有する
鍼灸針であって、
前記針柄の長手方向を横断する断面形状が楕円であり、
前記針柄の表面には、前記針柄の長手方向に沿って凹凸部が形成され、
前記凹部の前記針柄の長手方向を横断する断面形状の楕円の長軸は、前記凸部の前記
針柄の長手方向を横断する断面形状の楕円の長軸より短く、
前記凹部の前記針柄の長手方向を横断する断面形状の楕円の短軸は、前記凸部の前記
針柄の長手方向を横断する断面形状の楕円の短軸より短く、
前記針先部は、フック形状でなく尖っており、前記針体は、中途に湾曲することなく
直線状であり、
切皮時に前記鍼灸針を挿入して切皮を補助するための針管を有し、
前記針管内の前記針柄と前記針管の隙間は、前記針管内の前記針柄の外壁と、この外
壁に沿う前記針管の内壁との間に形成されるものであると共に、前記鍼灸針の長手方向の
動きを許容するものであり、
前記針柄の前記断面形状が、前記針管の内壁断面形状より小さい相似形である
ことを特徴する鍼灸針。
【請求項3】
先端に針先部が形成された針体と、この針体の基端部に取付けられる針柄とを有する
鍼灸針であって、
前記針柄の長手方向を横断する断面形状が楕円であり、
前記針先部は、フック形状でなく尖っており、前記針体は、中途に湾曲することなく
直線状であり、
切皮時に前記鍼灸針を挿入して切皮を補助するための針管を有し、
前記針管内の前記針柄と前記針管の隙間は、前記針管内の前記針柄の外壁と、この外
壁に沿う前記針管の内壁との間に形成されるものであると共に、前記鍼灸針の長手方向の
動きを許容するものであり、
前記針柄の前記断面形状が、前記針管の内壁断面形状より小さい相似形である
ことを特徴する鍼灸針。
【請求項4】
先端に針先部が形成された針体と、この針体の基端部に取付けられる針柄とを有する
鍼灸針であって、
切皮時に前記鍼灸針を挿入して切皮を補助するための針管を有し、
前記針柄の長手方向を横断する断面の外周縁を横切る直線の内、一方の外周縁の部位
と他方の外周縁の部位との長さが一番長い第1の長辺と、
この第1の長辺に対して直交して、前記断面の外周縁を横切る直線の内、一方の外周
縁の部位と他方の外周縁の部位との長さが一番長い第2の長辺とが、
前記第1の長辺の長さ>前記第2の長辺の長さの関係にあり、
前記針管内の前記針柄と前記針管の隙間は、前記針管内の前記針柄の外壁と、この外壁に沿う前記針管の内壁との間に形成されるものであると共に、前記鍼灸針の長手方向の動きを許容するものであり、
前記針柄の前記断面の形状が、前記針管の内壁断面形状より小さい相似形である
ことを特徴する鍼灸針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍼灸針に係り、特に、使用勝手の良好な鍼灸針に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、先端に針先部が形成された針体と、この針体の基端部に取付けられる針柄とを有する鍼灸針がある(特許文献1 )。
上記針柄の長手方向を横断する断面形状は、一般的に真円となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、上記鍼灸針を顔の側面に刺入した場合、上記鍼灸針が撓み、鍼灸針が抜け落ちることがあり、一方、患者にとっても、刺入後の鍼灸針が揺れて、患者に不快感や痛み等を与えるという問題点があった。
鍼灸針の撓み量を少なくするためには、上記針柄の長手方向を横断する断面形状の真円を小さくすれば良いが、あまりに小さくすれば、手で摘みにくく、施術に支障を来すこととなる。
【0005】
本発明は、上記の問題点を考慮してなされた鍼灸針を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の鍼灸針は、先端に針先部が形成された針体と、この針体の基端部に取付けられる針柄とを有する鍼灸針であって、前記針柄の長手方向を横断する断面形状が楕円であり、前記針柄の表面には、前記針柄の長手方向に沿って凹凸部が形成され、前記凹部の前記針柄の長手方向を横断する断面形状の楕円の長軸は、前記凸部の前記針柄の長手方向を横断する断面形状の楕円の長軸より短く、前記凹部の前記針柄の長手方向を横断する断面形状の楕円の短軸は、前記凸部の前記針柄の長手方向を横断する断面形状の楕円の短軸より短く、前記針先部は、フック形状でなく尖っており、前記針体は、中途に湾曲することなく直線状である。
【0008】
また、請求項2記載の鍼灸針は、先端に針先部が形成された針体と、この針体の基端
部に取付けられる針柄とを有する鍼灸針であって、前記針柄の長手方向を横断する断面形
状が楕円であり、前記針柄の表面には、前記針柄の長手方向に沿って凹凸部が形成され、
前記凹部の前記針柄の長手方向を横断する断面形状の楕円の長軸は、前記凸部の前記針柄
の長手方向を横断する断面形状の楕円の長軸より短く、前記凹部の前記針柄の長手方向を
横断する断面形状の楕円の短軸は、前記凸部の前記針柄の長手方向を横断する断面形状の
楕円の短軸より短く、前記針先部は、フック形状でなく尖っており、前記針体は、中途に
湾曲することなく直線状であり、切皮時に前記鍼灸針を挿入して切皮を補助するための針
管を有し、前記針管内の前記針柄と前記針管の隙間は、前記針管内の前記針柄の外壁と、
この外壁に沿う前記針管の内壁との間に形成されるものであると共に、前記鍼灸針の長手
方向の動きを許容するものであり、前記針柄の前記断面形状が、前記針管の内壁断面形状
より小さい相似形である。
【0009】
また、請求項3記載の鍼灸針は、先端に針先部が形成された針体と、この針体の基端
部に取付けられる針柄とを有する鍼灸針であって、前記針柄の長手方向を横断する断面形
状が楕円であり、前記針先部は、フック形状でなく尖っており、前記針体は、中途に湾曲
することなく直線状であり、切皮時に前記鍼灸針を挿入して切皮を補助するための針管を
有し、前記針管内の前記針柄と前記針管の隙間は、前記針管内の前記針柄の外壁と、この
外壁に沿う前記針管の内壁との間に形成されるものであると共に、前記鍼灸針の長手方向
の動きを許容するものであり、前記針柄の前記断面形状が、前記針管の内壁断面形状より
小さい相似形である。
【0010】
また、請求項4記載の鍼灸針は、先端に針先部が形成された針体と、この針体の基端
部に取付けられる針柄とを有する鍼灸針であって、切皮時に前記鍼灸針を挿入して切皮を
補助するための針管を有し、前記針柄の長手方向を横断する断面の外周縁を横切る直線の
内、一方の外周縁の部位と他方の外周縁の部位との長さが一番長い第1の長辺と、この第
1の長辺に対して直交して、前記断面の外周縁を横切る直線の内、一方の外周縁の部位と
他方の外周縁の部位との長さが一番長い第2の長辺とが、前記第1の長辺の長さ>前記第
2の長辺の長さの関係にあり、前記針管内の前記針柄と前記針管の隙間は、前記針管内の
前記針柄の外壁と、この外壁に沿う前記針管の内壁との間に形成されるものであると共に
、前記鍼灸針の長手方向の動きを許容するものであり、前記針柄の前記断面の形状が、前
記針管の内壁断面形状より小さい相似形である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の鍼灸針によれば、針柄の長手方向を横断する断面形状が楕円であるため、針柄の長手方向を横断する断面形状が楕円の長軸の寸法と針柄の長手方向を横断する断面形状が円の直径の寸法が同じものに比較し、針柄の長手方向を横断する断面形状が楕円の断面積が小さい分、針柄の重量を減少させて軽量化を図ることができ、例えば、顔の側面に刺入した場合、鍼灸針が撓みにくくなり、鍼灸針が抜け落ちることを防ぎ、一方、患者にとっても、刺入後の鍼灸針が揺れにくくなり、患者の不快感が軽減される。
しかも、断面形状を楕円とすること、つまり軸-短軸の寸法分、鍼灸針を近接させて、多くの鍼灸針を多数施術できると共に、断面形状を楕円としても、針柄の持ち易さは維持でき、
加えて、断面形状を楕円とすることにより、施術者が刺入後に針柄を回転させる操作をしにくくして、針柄の回転による剛性が低い(小さい)針体の破損をも防止することができる特有な効果を奏する。
また、例えば、鍼灸針を平らな載置面におかれても、断面形状を楕円であるため、載置面におかれた針柄の一方端を押せば、針柄の他方端が載置面より離間するため、針柄を容易に掴むことができる。
【0014】
また、請求項4記載の鍼灸針によれば、針柄の長手方向を横断する断面の外周縁を横切る直線の内、一方の外周縁の部位と他方の外周縁の部位との長さが一番長い第1の長辺と、この第1の長辺に対して直交して、前記断面の外周縁を横切る直線の内、一方の外周縁の部位と他方の外周縁の部位との長さが一番長い第2の長辺とが、前記第1の長辺の長さ>前記第2の長辺の長さの関係にあり、前記針管は、前記鍼灸針の長手方向の動きを許容するものであるため、針管をコンパクトに設定でき、また、針柄の長手方向への移動を許容して、鍼灸針の切皮を補助することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例の鍼灸針の概略的正面図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1の2-2線による断面図であり、
図2(b)は、
図1の2’-2’線による断面(c)は、従来の鍼灸針の針柄の概略的断面図である。
【
図3】
図3は、
図2(a)の針柄を人差し指と親指で把持した状態の概略的断面図である。
【
図4】
図4は、
図2(a)の針柄を載置面に載置した状態を示す概略的断面図である。
【
図5】
図5は、
図1の鍼灸針を複数顔面に施術した状態を示す概略的斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1の鍼灸針を複数顔面に施術した状態を示す概略的平面図である。
【
図7】
図7(a)は、
図2(a)の針柄と異なる他の実施例の針柄の概略的断面図であり、
図7(b)は、
図7(a)の角部を面取りした針柄の概略的断面図である。
【
図8】
図8(a)は、
図7(a)の針柄と異なる他の実施例の針柄の概略的断面図であり、
図8(b)は、
図8(a)の角部を面取りした針柄の概略的断面図である。
【
図9】
図9(a)は、
図1の鍼灸針の針体を針管内に挿入した状態の概略的斜視図であり、
図9(b)は、
図9(a)の針柄を針管内に挿入した状態の概略的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施例の鍼灸
針を
図1乃至
図6を参照して説明する。
図1に示す1は鍼灸針で、鍼灸針1は、先端に針先部が形成された針体2と、この針体2の基端部に取付けられる針柄3とを有する。
【0018】
針体2は、ステンレスなどの金属製の線状体で、先端に針先部2aが形成されている。
針体2は治療目的や手技等により適した太さと長さがある。針体2の太さ(線径)は、例えば、0.10mm~0.35mmであり、長さは、例えば、3mm~150mmである。
【0019】
針柄3は、プラスチック又はステンレスなどの金属製で、針体2の基端部に取付けられ、鍼灸針1を持つための持ち手部分となる。そして、針柄3の長手方向を横断する断面形状が楕円となっている。
このように、針柄3の長手方向を横断する断面形状が楕円となっているのは、次の理由による。
即ち、
図2(a)(c)に示すように、針柄3の長手方向を横断する断面形状が楕円の長軸の寸法Aと針柄3の長手方向を横断する断面形状が真円の直径の寸法Aが同じものに比較し、針柄3の長手方向を横断する断面形状が楕円の断面積が小さい分、針柄3の重量を減少させて軽量化を図ることができ、例えば、顔の側面に刺入した場合、鍼灸針1が撓みにくくなり、鍼灸針1が抜け落ちることを防ぎ、一方、患者にとっても、刺入後の鍼灸針1が揺れにくくなり、患者の不快感が軽減される。
しかも、断面形状を楕円とすること、つまり、長軸A寸法-短軸B寸法分、鍼灸針1を近接させて、多くの鍼灸針1を多数施術できると共に、断面形状を楕円としても、針柄3の持ち易さは維持でき(
図3に示すように、針柄3の長手方向を横断する断面形状が小さくなっても、針柄3を人差し指5と親指6で把持することができる。)、
加えて、断面形状を楕円とすることにより、施術者が刺入後に針柄3を回転させる操作をしにくくして、針柄3の回転による剛性が低い(小さい)針体2の破損をも防止することができる特有な効果を奏する。
また、例えば、
図4に示すように、鍼灸針1を平らな載置面7におかれても、断面形状を楕円であるため、載置面7におかれた針柄3の一方端をX方向に押せば、針柄2の他方端が載置面7よりY方向に離間するため、針柄3を容易に掴むことができる。
更に、言えば、針柄3の長手方向を横断する断面形状の楕円の長軸が針柄3の長手方向に直交するため、つまり、楕円の短軸が針柄3の長手方向に沿うため、針柄3の長手方向の寸法を短くコンパクトにすることができる。
【0020】
また、
図6は、鍼灸針1を皮膚8へ刺入させて鍼灸針1を並設して配置させた状態を示す概略的平面図で、平面視、並設した針体2の一方の針柄3(31)と前記並設した前記針体の他方の針柄3(32)とが、離間すると共に、並設した針体2の一方の針柄の後述する第1の長辺(断面形状が楕円の場合、第1の長辺は、楕円の長軸である。)と前記並設した針体2の他方の針柄3(32)の後述する第1の長辺(断面形状が楕円の場合、第1の長辺は、楕円の長軸である。)とが略平行に配置されている。
先端に針先部が形成された針体2と、この針体2の基端部に取付けられる針柄3とを有する鍼灸針1を皮膚へ刺入させて鍼灸針1を並設して配置させる鍼灸針1の配置方法にあっては、
図6記載の針柄3の長手方向を横断する断面形状が楕円に限らず、針柄3の長手方向を横断する断面形状が長方形、菱形等の「針柄3の長手方向を横断する断面の外周縁を横切る直線の内、一方の外周縁の部位と他方の外周縁の部位との長さが一番長い第1の長辺と、この第1の長辺に対して直交して、前記断面の外周縁を横切る直線の内、一方の外周縁の部位と他方の外周縁の部位との長さが一番長い第2の長辺とが、前記第1の長辺の長さ>前記第2の長辺の長さの関係にある」場合に適用できるものである。
【0021】
また、
図1に示すように、針柄3の外表面は、針柄3の長手方向に沿って凹凸形状であって、 前記凸形状の部位3Aの針柄3の長手方向を横断する断面形状は楕円[
図2(a)参照]であり、前記凹形状の部位3Bの針柄3の長手方向を横断する断面形状は楕円[
図2(a)(b) A>A’B>B’]である。つまり、針柄3と指との接触表面積が大きくなるため、施術者が針柄3を保持し易く使用勝手を向上させることができる。
【0022】
この鍼灸針の配置方法によれば、平面視、並設した針体2の一方の針柄3(31)と前記並設した針体2の他方の針柄3(32)とが、離間すると共に、並設した針体2の一方の針柄3(31)の楕円の長軸と前記並設した針体2の他方の針柄3(32)の楕円の長軸とが略平行に配置されているため、鍼灸針1を近接させて、多くの鍼灸針1を多数配置して施術することができる。
【0023】
上述した実施例においては、針柄3の長手方向を横断する断面形状を楕円としたが、本願発明は、これに限らず、針柄3の長手方向を横断する断面の外周縁を横切る直線の内、一方の外周縁の部位と他方の外周縁の部位との長さが一番長い第1の長辺と、この第1の長辺に対して直交して、前記断面の外周縁を横切る直線の内、一方の外周縁の部位と他方の外周縁の部位との長さが一番長い第2の長辺とが、前記第1の長辺の長さ>前記第2の長辺の長さの関係にある場合にも同様に、適用できる。
即ち、針柄3の長手方向を横断する断面形状を多角形又は角部を面取りした多角形でも良い。
例えば、
図7(a)に示すように、長方形にしても良いし、
図7(b)に示すように、角部を面取りした長方形にしても良い。この場合の第1の長辺の長さはAであり、第2の長辺の長さはBである(A>B)。
また、
図8(a)に示すように、菱形にしても良いし、
図8(b)に示すように、角部を面取りした菱形にしても良い。この場合、対角線の内、長い方の対角線である第1の長辺の長さはAであり、短い方の対角線である第2の長辺の長さはBである(A>B)。
針柄3の長手方向を横断する断面形状を、多角形又は角部を面取りした多角形(例えば、長方形、角部を面取りした長方形、菱形、角部を面取りした菱形)にしても、針柄3の長手方向を横断する断面形状を楕円と同様な効果を有する。
なお、針柄3の長手方向を横断する断面形状が楕円の場合、上述の第1の長辺は楕円の長軸であり、上述の第2の長辺は楕円の短軸である。
【0024】
また、
図10は、
図1の鍼灸針1を「切皮時に鍼灸針1を挿入して切皮を補助するための針管9」にも適用することを示している。
即ち、切皮時に上記鍼灸針1を挿入して切皮を補助するための針管2を有し、針管9は、鍼灸針1の長手方向の動きを許容するものである。針柄3の長手方向を横断する断面の外周縁を横切る直線の内、一方の外周縁の部位と他方の外周縁の部位との長さが一番長い第1の長辺と、この第1の長辺に対して直交して、前記断面の外周縁を横切る直線の内、一方の外周縁の部位と他方の外周縁の部位との長さが一番長い第2の長辺とが、前記第1の長辺の長さ>前記第2の長辺の長さの関係にある。
具体的には、針柄3の長手方向を横断する断面形状が、楕円又は多角形又は角部を面取りした多角形の何れかある場合、前記断面形状が楕円の場合、針管9は、針管9の長手方向を横断する断面形状が楕円で、鍼灸針1の長手方向の動きを許容するものであり、前記断面形状が多角形又は角部を面取りした多角形の場合、針管9は、針管9の長手方向を横断する断面形状が多角形又は角部を面取りした多角形で、鍼灸針1の長手方向の動きを許容するものである
更に、具体的に言えば、針柄3の長手方向を横断する断面形状が楕円の場合、
図10に示すように、針管9の長手方向を横断する断面形状が楕円であり、針柄3の長手方向を横断する断面形状が多角形、例えば、長方形、角部を面取りした多角形、例えば、角部を面取りした長方形の場合、
図11に示すように、針管9の長手方向を横断する断面形状が長方形であり、針柄3の長手方向を横断する断面形状が多角形、例えば、菱形、角部を面取りした多角形、例えば、角部を面取りした菱形の場合、
図12に示すように、針管9の長手方向を横断する断面形状が菱形である。
【0025】
そのため、針管9をコンパクトに設定でき、また、針柄9の長手方向への移動を許容
する寸法に針管9を設定して、鍼灸針1の切皮を補助することができる。
なお、針管9は、鍼灸針1の針体2を体内に刺入する際に針体2が曲がりにくく、痛みを軽減するために使用するもので、針管9の長手方向の寸法は、鍼灸針1の長さより数ミリ短く設定されている。
【符号の説明】
【0026】
1 鍼灸針
2 針体
3 針柄