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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】高速タグ発行装置及びタグ製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 3/407 20060101AFI20220701BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
B41J3/407
G09F3/00 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019109495
(22)【出願日】2019-06-12
(65)【公開番号】P2020199725
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】519213355
【氏名又は名称】株式会社ウイル
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】山田 和男
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-056448(JP,U)
【文献】特開2015-103065(JP,A)
【文献】特開2015-194817(JP,A)
【文献】特開平06-255812(JP,A)
【文献】特表2007-525339(JP,A)
【文献】特開平08-011374(JP,A)
【文献】特開平08-002041(JP,A)
【文献】登録実用新案第3194544(JP,U)
【文献】特開2018-012332(JP,A)
【文献】特開2003-133691(JP,A)
【文献】特開平07-172012(JP,A)
【文献】特開平07-061655(JP,A)
【文献】特開平06-168361(JP,A)
【文献】特開平05-031981(JP,A)
【文献】実開平06-023759(JP,U)
【文献】実開平04-096363(JP,U)
【文献】特開2001-347691(JP,A)
【文献】特開2007-168387(JP,A)
【文献】特開2006-031461(JP,A)
【文献】特開2003-150907(JP,A)
【文献】特開2000-255825(JP,A)
【文献】特開2003-118174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 13/00-13/32
B41J 3/00-3/54
B41J 11/00-11/70
G09F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タグを個別に保持しながら順次搬送する複数の印刷搬送機(30)であって,それぞれが前記タグの受取位置と受渡位置の間を往復移動するものと,
前記印刷搬送機(30)による搬送中の前記タグに印刷を施す印刷機(50)を備え
前記複数の印刷搬送機(30)は,どの印刷搬送機(30)が前記タグを搬送しても前記タグが同一の搬送経路を辿るように構成されている
タグ発行装置。
【請求項2】
前記印刷搬送機(30)の走行経路は,前記タグの搬送方向と直交する方向に複数並べられ,当該搬送方向に沿って延びている
請求項1に記載のタグ発行装置。
【請求項3】
前記印刷搬送機(30)は,前記タグの一方面を吸引することによって当該タグを保持するものであり,
前記印刷機(50)は,前記タグの他方面に対して印刷を施す
請求項1又は請求項2に記載のタグ発行装置。
【請求項4】
前記タグを一枚ずつ送り出すためのフィーダ(10)をさらに備え,
前記フィーダ(10)は,
複数の前記タグを留置するためのストッカ(11)と,
前記ストッカ(11)中の先頭に位置する前記タグの表面に接触するラチェットローラ(14)と,
前記ラチェットローラ(14)を前記タグの表面に沿って進退させるためのスライダ(12)とを有し,
前記ラチェットローラ(14)は,前記スライダ(12)が前記タグを送り出すために進行するときには回転せず,前記スライダ(12)が退行するときには回転するように,その回転方向が一方向のみに制限されている
請求項1から請求項3のいずれかに記載のタグ発行装置。
【請求項5】
タグの受取位置と受渡位置の間を往復移動する複数の印刷搬送機(30)によって前記タグを個別に保持しながら順次搬送する工程と,
前記印刷搬送機(30)による搬送中に,印刷機(50)によって前記タグに印刷を施す工程を含み,
前記複数の印刷搬送機(30)は,どの印刷搬送機(30)が前記タグを搬送しても前記タグが同一の搬送経路を辿るように構成されている
印刷済みタグの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,タグを高速で発行するための装置や方法に関する。具体的に,本発明は,RFID(Radio Frequency Identifier)タグに文字やコードを印刷したり,タグ内のICチップに情報を記録したりするためのタグ発行装置やタグ製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年,商品管理や物流管理にRFIDタグが頻繁に用いられるようになっている。RIFDタグは,一般的に,識別情報が記録されたメモリを含むICチップと当該メモリ内の情報を発信する発振回路とを含み,これらのICチップ及び周辺回路を板紙によって挟み込むことによって構成されている。RFIDタグを発行する際には,メモリに識別情報を書き込んだり,板紙に所定の文字やコード(2次元コードや3次元コード)を印刷する処理が行われる。
【0003】
例えば,特許文献1には,RFIDタグに所定の情報を書き込むための複数のアンテナと,当該タグに印刷を施すための印刷装置とを備えるタグ発行装置が開示されている。特許文献1に記載の装置は,タグの搬送方向に沿って複数のアンテナが配置されており,1つのアンテナでは複数のタグがアンテナの交信範囲を通過する間に,そのうちの1つに対して書き込みが行われる。複数のアンテナの各々が,互いに異なるタグに対して書き込みを行うことで,結果として連続する全てのタグに対して書き込みを行うことができるようになっている。また,このタグ発行装置では,情報書き込み後のタグに対してロゴなどの印刷が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-259054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで,特許文献1に記載のタグ発行装置は,個別に成形済みのRFIDタグが一列に並んで搬送され,一枚ずつ印刷装置によって印刷されるように構成されている。このような構成の場合,RFIDタグに対して印刷を行う際にタグに反りや撓みが生じていると,文字等の印刷位置にずれが生じてしまったり,印刷に一部欠損が生じたりする恐れがある。特に,RFIDタグは,2枚の板紙によってICチップやその周辺回路を挟み込んで糊付けした構造となっている場合が多く,糊の塗布量や,塗布位置,乾燥速度,或いは保管庫の温度・湿度条件によって反りや撓みの具合が変化するため,印刷時のタグの状態は個体差が大きくなっている。このような状況下において,RFIDタグの発行速度を高速化させるために,タグ表面に対して短時間で印刷を施すと,前述のように印刷位置のズレや印刷の欠損などが生じた不良品が多く発生し,歩留まりが低下するという問題があった。
【0006】
そこで,タグに対して高速かつ正確に印刷を施すことのできるタグ発行装置や製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者は,従来発明が抱える問題を解決する手段について鋭意検討した結果,複数の印刷搬送機によってタグを個別に保持しながら,印刷機に向かって順番に搬送することにより,高速かつ連続でタグに印刷を施す場合であっても,印刷不良を発生させずに正確な印刷加工ができるようになるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば従来発明の問題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。具体的に説明すると,本発明は以下の構成/工程を有する。
【0008】
本発明の第1の側面は,タグ発行装置に関する。本発明に係るタグ発行装置は,タグを個別に保持しながら順次搬送する複数の印刷搬送機30と,印刷搬送機30による搬送中のタグに印刷を施す印刷機50を備える。なお,タグは,RFIDタグであり,このRFIDタグに対して印刷と情報の書込みを行うことが好ましい。ただし,本発明はRFIDタグに限定されず,端に白紙のタグに対して印刷を施す構成を持つものであってもよい。
【0009】
上記構成のように,例えば2つの印刷搬送機30を設けておき,一列で搬送されている複数のタグを,これら2つの印刷搬送機30によって交互に保持しながら印刷機50まで搬送する。これにより,印刷機50による印刷中は,印刷搬送機30によってタグを保持しておくことができるため,印刷時の位置ズレなどを抑制することができる。また複数の印刷搬送機30によって複数のタグを順次搬送することにより,印刷処理の高速化を実現することができる。
【0010】
本発明に係るタグ発行装置において,印刷搬送機30の走行経路は,タグの搬送方向と直交する方向に複数並べられ,当該搬送方向に沿って延びていることが好ましい。このように複数の印刷搬送機30の走行経路を並列に並べることにより,装置全体の構成を簡素化できる。また,走行経路が並列化されていることで,一台の印刷機50によって複数の印刷搬送機30に対応することができる。
【0011】
本発明に係るタグ発行装置において,印刷搬送機30は,タグの一方面を吸引することによって当該タグを保持するものであることが好ましい。この場合に,印刷機50は,タグの他方面に対して印刷を施すようにすればよい。このように,印刷搬送機30の搬送面にタグを吸着させることで,タグが引き延ばされるため,タグに生じた反りや撓みを緩和することができる。この状態でタグを印刷機50にかけることで,正確に印刷処理を施すことができる。
【0012】
本発明に係るタグ発行装置は,タグを一枚ずつ送り出すためのフィーダ10をさらに備えていてもよい。フィーダ10は,印刷搬送機30又はこれにタグを供給するための他の搬送手段に対してタグを送り出す。フィーダ10は,ストッカ11,ラチェットローラ14,及びスライダ12を有する。ストッカ11は,複数のタグを留置するための部材であり,タグの束をラチェットローラ14に向かって付勢するための機構を含んでいることが好ましい。ラチェットローラ14は,その周面がストッカ11中の先頭に位置するタグの表面に接触する位置に設けられている。スライダ12は,ラチェットローラ14をタグの表面に沿って進退させる。この場合に,ラチェットローラ14は,スライダ12がタグを送り出すために進行するときには回転せず,スライダ12が退行するときには回転するように,その回転方向が一方向にのみ制限されている。このため,スライダ12がタグの送り出し方向へ進行するときに,ラチェットローラ14は回転せず,このラチェットローラ14の周面に接しているタグがスライダ12の進行に伴って送り出される。他方で,スライダ12が退行するとき,ラチェットローラ14は回転して,再び先頭のタグに周面が接触する初期位置へと戻る。このような構成によれば,ストッカ11に留置されている複数のタグを一枚ずつ高速で送り出すことができる。
【0013】
本発明の第2の側面は,印刷済みタグの製造方法に関する。本発明に係る製造方法は,複数の印刷搬送機30によってタグを個別に保持しながら順次搬送する工程と,印刷搬送機30による搬送中に,印刷機50によってタグに印刷を施す工程を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば,タグに対して高速かつ正確に印刷を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は,タグ発行装置の全体構成例を示した側面図である。
図2図2は,図1のII-II線における断面図であり,主にタグの搬送系を示している。
図3図3は,主に印刷搬送機を拡大して示している。
図4図4は,主にフィーダを拡大して示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
【0017】
図1は,本発明の一実施形態に係るタグ発行装置1を示している。図1において,フィーダ10から送り出されたブランク状態のRFIDタグ(以下「タグ」という)は,図の左から右に向かって搬送される。なお,ブランク状態のタグとは,紙面に印刷が施されておらず,また内部のICチップに情報が書き込まれていないものを意味する。本実施形態に係るタグ発行装置1は,ブランク状態のタグに対して所定の文字や記号,コードなどが印刷した後に,そのICチップに所定の識別情報などが書き込む。これにより,印刷及び書込みが行われたタグが発行される。本願明細書では,まず図1及び図2を参照してタグ発行装置1の概要を説明する。
【0018】
ブランク状態のタグTは,複数枚が束になった状態で,フィーダ10に留置されている。タグTは,所定の形状に成形され個別に分離したものであり,フィーダ10に留置された状態では,複数のタグTが厚み方向に積層されている。タグTとしては公知のものを用いることができる。タグTは,一般的なRFIDタグであり,識別情報を記録するためのメモリを含むICチップと当該メモリ内の情報を発信する発振回路とを含み,これらのICチップ及び周辺回路が板紙によって挟み込まれている。板紙は例えばICチップ等を挟んだ状態で糊付けされたものであり,その表面に印刷を施すことができる。フィーダ10は,留置された複数のタグTを一枚ずつ,フィーダコンベア20へと送り出すための機構を持つ。フィーダ10の具体的構成については図4を参照して後述する。
【0019】
フィーダコンベア20は,フィーダ10から送り出されたタグを搬送する。フィーダコンベア20には,一般的なベルトコンベアを用いればよい。複数のタグは,フィーダコンベア20の搬送面上において,一定間隔を開けて一列に並んだ状態で搬送される。フィーダコンベア20上におけるタグの間隔を調整するときには,フィーダ10からの送り出し速度やフィーダコンベア20の搬送速度を調節すればよい。フィーダコンベア20は,複数のタグを印刷搬送機30に供給する。
【0020】
印刷搬送機30は,フィーダコンベア20と乾燥コンベア80の間を往復移動する装置である。フィーダコンベア20と乾燥コンベア80の間には印刷機50が配置されており,印刷搬送機30による搬送途中で,タグには印刷機50によって印刷が施される。すなわち,印刷搬送機30は,タグを個別に保持する機能を持ち,タグは,この印刷搬送機30によって保持された状態で印刷機50にかけられる。
【0021】
印刷搬送機30は,タグ発行装置1に複数台設けられており,一列になって連続的に搬送されてくるタグを順番に搬送する。印刷搬送機30の台数は,2台以上であればよく,例えば2~6台程度用意することも可能である。本実施形態において,印刷搬送機30は2台設置されており,流れてくるタグを2台の印刷搬送機30によって交互に搬送する。すなわち,あるタグは,第1の印刷搬送機30によって搬送し,次のタグは第2の印刷搬送機30によって搬送し,更にその次のタグは第1の印刷搬送機30によって搬送するといったように,複数の印刷搬送機30によって順番にタグを搬送することとなる。また,各印刷搬送機30は,タグの搬送レベル(搬送面)よりも下方に設置されており,タグを下方から保持する格好となる。
【0022】
図3では,印刷搬送機30周辺の構造を拡大して示している。図3(a)は,側面図であり,図3(b)は,正面方向(装置下流側)から印刷搬送機30を見た状態を示している。また,図3の拡大図Aと拡大図Bは,それぞれ図3(a)中のAの枠線内と,図3(b)中のBの枠線内を拡大して示している。図3に示されるように,2台の印刷搬送機30の下端部は,それぞれロボシリンダ31に取り付けられている。ロボシリンダ31は,合計2台設けられており,それぞれが印刷搬送機30を前後に進退させるように駆動する。このため,ロボシリンダ31によって印刷搬送機30の搬送経路が形成されているといえる。ロボシリンダ31は,搬送方向に沿って延在しており,印刷搬送機30を直線的に進退させる。また,2台のロボシリンダ31は,搬送方向に平面的に直行する方向に,それぞれ平行に並べられている。このため,2台の印刷搬送機30は並走することとなる。2台のロボシリンダ31は,前述したようにそれぞれが交互に印刷搬送機30を前後に進退させるように制御される。
【0023】
また,印刷搬送機30は,タグの下面を吸引することによってタグを保持する機能を備える。具体的には,図3の拡大図Aに示されるように,印刷搬送機30は,タグの下面に接触するバキュームパッド32と,このバキュームパッド32の吸引口に接続されたノズル33と,このノズル33に真空ポンプ40(図1)から延びるエアチューブ(不図示)を接続するためのエアチューブ取付口34を有する。真空ポンプ40を駆動させると,エアチューブを介してノズル33内の空気が吸引される。ノズル33の吸引口にはバキュームパッド32取り付けられており,このバキュームパッド32上にタグが載置されると,タグはバキュームパッド32に吸着することとなる。真空ポンプ40による吸引によってノズル33内の陰圧状態は維持されるため,タグはバキュームパッド32に吸着したまま,印刷搬送機30によって装置下流側へと搬送される。このため,タグに反りや撓みが生じている場合であっても,バキュームパッド32に吸着されることによって,それらの反りや撓みがある程度解消される。また,タグ下面を全体的に吸引して反りや撓みを広く引き延ばすことができるように,一台の印刷搬送機30には,バキュームパッド32が複数設けられていることが好ましい。図3に示した実施形態では,一台の印刷搬送機30に,バキュームパッド32,ノズル33,及びエアチューブ取付口34のセットがそれぞれ複数組ずつ(具体的には2組ずつ)設けられていている。
【0024】
印刷機50は,印刷搬送機30によって吸着保持されているタグに対して所定の文字等を印刷する。印刷機50によって印刷する文字等は,予め制御装置に入力しておけばよい。印刷機50には,インクジェットプリンタやレーザプリンタなど公知のプリンタを採用することができる。また,印刷機50による印刷はモノクロ印刷であってもよいしカラー印刷であってもよい。
【0025】
また,印刷機50の下方には,タグを押さえるための押さえプレート51が配置されている。押さえプレート51は,2枚のプレートの間にタグの厚みよりも若干大きい隙間が設けられており,この隙間に印刷搬送機30によって保持されているタグが導入される。押さえプレート51は,印刷機50による印刷範囲が開口部となっているため,押さえプレート51の間に差し込まれているタグにも印刷可能となっている。タグは,印刷搬送機30によって保持され,かつ,2枚のプレートの間に差し込まれている状態で,印刷機50による印刷が施される。これにより,タグを平坦に引き延ばした状態で印刷を施すことができる。なお,押さえプレート51のクリアランスの大きさは,クランプレバー52を操作することによって調整することができる。
【0026】
なお,2台の印刷搬送機30のどちらがタグを搬送しても,そのタグは同一の搬送経路を辿るように設計されている。このため,印刷搬送機30ごとに印刷機50を設ける必要はなく,一台の印刷機50によって2台の印刷搬送機30によって搬送されてくるタグの印刷に対応することが可能である。具体的には,2台の印刷搬送機30のバキュームパッド33は,それぞれ一枚のタグの下面に同時に接触できるように配置されている。すなわち,第1の印刷搬送機30は,タグ下面の右側寄りに接触し,第2の印刷搬送機30はタグ下面の左側寄りに接触する。このため,第1と第2の印刷搬送機30のどちらによってタグを搬送しても,タグの搬送経路は変化することはない。なお,印刷搬送機30を3台以上設ける場合であっても,各印刷搬送機30のバキュームパッド33がタグの下面への接触する領域を3領域以上に分けることで対応できる。
【0027】
また,印刷機50は,移動昇降機60に取り付けられている。移動昇降機60は,印刷機50を搬送方向の前後に移動させたり,あるいは上下に昇降させることができる。このように,移動昇降機60によって印刷機50の位置を調整することができる。
【0028】
印刷搬送機30は,印刷が施されたタグを乾燥コンベア80に受け渡す。乾燥コンベア80では,印刷搬送機30によって順次搬送されてきたタグが一列になって搬送される。乾燥コンベア80としては,公知のベルトコンベアを採用すればよい。また,乾燥コンベア80の直上には,タグに付着した着色剤(インク等)を乾燥させるための乾燥装置70が配置されている。乾燥装置70による乾燥方式は,印刷機50(主にインクジェットプリンタ)で使用される着色剤の種類に応じて適切なものを選択すればよい。例えば,印刷機50によりタグ表面に紫外線硬化型インクが塗布されている場合,乾燥装置70としては紫外線照射装置を採用すればよい。また,印刷機50によりタグ表面に熱乾燥型インクが塗布されている場合,乾燥装置70としては加熱装置を採用すればよい。なお,印刷機50がレーザプリンタである場合,乾燥装置70及び乾燥コンベア80を省略することもできる。その場合,印刷搬送機30は,フィーダコンベア20とアンテナコンベア100の間を往復移動するものとなる。
【0029】
乾燥コンベア80の装置下流側にはアンテナコンベア100が配置されている。アンテナコンベア100も,乾燥コンベア80等と同様に,公知のベルトコンベアを採用すればよい。アンテナコンベア100の直上には,複数のアンテナ90が配置されている。各アンテナ90は,アンテナコンベア100によって搬送されているタグに対してRF信号を供給する。これにより,タグ内のICチップに識別情報などの所定の情報が記録される。なお,タグに記録する情報は,アンテナ90に有線又は無線で接続されたPCなどによって入力したり変更したりすることができる。各アンテナ90は,それぞれ一枚のタグに対して情報の書込みを行えばよい。つまり,図1に示されるように,3台のアンテナ90を設けておくことで,3つのタグに対して同時に情報の書込みを行うことができる。これによりタグが高速で搬送される場合であっても,各タグに対して確実に情報の書込みを行うことが可能となる。
【0030】
アンテナコンベア100の装置下流側には検査コンベア120が配置されており,その直上には検査機110が設置されている。本実施形態において,検査コンベア120としては公知のローラコンベアが採用されているが,ベルトコンベアに置き換えることも可能である。検査機110は,検査コンベア120によって搬送されているタグの印刷状態及び/又は情報記録状態が良好であるかどうかを検査する。例えば,検査機110に,イメージセンサを設けて,タグの印刷面を撮影し,所定の印刷が行われているか否かを検査してもよい。また,検査機に110に,RFIDリーダを設けて,タグのICチップに記録された情報を読み取り,所定の情報が適切に書き込まれているか否かを検査してもよい。これらの検査によってタグに不良が発見された場合,検査機110は,例えば制御装置(不図示)に対して警告情報を通知する。警告情報を受け取った制御装置は,例えば操作ボックス140にタグの不良情報を表示したり,タグ発行装置1を制御して不良品であるタグを系外排出したりすることができる。系外排出の方法は特に限定されないが,不良品タグを検査コンベア120の下方に落下させたり,不良品タグをエアーによって検査コンベア120の搬送面から吹き飛ばしたりすることができる。これにより,不良品の排除が容易になる。
【0031】
検査コンベア120の装置下流側には搬送コンベア130が配置されている。搬送コンベア130の搬送方向は,検査コンベア120の搬送方向と平面視において直交している(図2参照)。検査コンベア120からは,印刷及び情報記録が完了した複数のタグが次々と供給されてくるが,それを人手によって回収し易くするとともに,タグ発行装置1の全長を短くするために,搬送コンベア130によってタグの搬送方向を直角に変換する。搬送コンベア130としては,公知のベルトコンベアを採用できる。人手によってタグを回収しやすくするために,搬送コンベア130としては比較的横幅の広いコンベアを採用すると良い。以上のようにして,タグ発行装置1により印刷及び情報記録が施されたタグが連続的に発行される。
【0032】
続いて,図4を参照して,フィーダ10の具体的な構成について説明する。図4に示されるように,フィーダ10は,複数のタグの束を蓄積するためのスタッカ11を有する。スタッカ11には,成形済みでブランク状態のタグが厚み方向に積層される。また,スタッカ11は,タグの束をラチェットローラ14側に向かって付勢する付勢機構を有していることが好ましい。
【0033】
フィーダ10には,ラチェットローラ14がスタッカ11に蓄積されたタグの先頭に接触するように配置されている。ラチェットローラ14は,昇降プレート13の先端に固定されており,またこの昇降プレート13は,スライダ12によって上下に進退移動(往復移動)される。ラチェットローラ14は,スライダ12がタグを送り出すために進行するときには回転せず,スライダ12が退行するときには回転するように,その回転方向が一方向にのみ制限されている。つまり,図4に示した例では,ラチェットローラ14は,右回りにのみ回転し,左回りへは回転しないように制限されている。このため,スライダ12が下方に向かって進行すると,ラチェットローラ14の周面に接触している先頭のタグが,ラチェットローラ14及びラチェットローラ14の下降に連れられて,スタッカ11から下方に向かって排出される。このとき,ラチェットローラ14は回転しない。他方で,スライダ12が上方に向かって退行すると,ラチェットローラ14は回転しながら上昇して初期位置に戻り,次のタグの表面に接触する。このような動作を繰り返すことで,スタッカ11の先頭に位置するタグを次々に排出することができる。
【0034】
ラチェットローラ14の下方には一対の駆動ローラ15及び従動ローラ16が設けられている。駆動ローラ15と従動ローラ16は対向配置されており,駆動ローラ15はモータ(不図示)によって自ら回転し,従動ローラ16は駆動ローラ15に伴って回転する。ラチェットローラ14によってフィーダ10から排出されたタグは,駆動ローラ15と従動ローラ16の間に導入され,さらに下方へと送り出される。また,駆動ローラ15及び従動ローラ16からフィーダコンベア20の間には斜面17が設けられている。駆動ローラ15と従動ローラ16から送り出されたタグは,この斜面17に沿ってスライドし,フィーダコンベア20の搬送面に載置されることとなる。このようにして,フィーダ10からフィーダコンベア20へと,一枚ずつブランク状態のタグが高速で送り出される。
【0035】
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0036】
1…タグ発行装置 10…フィーダ
11…ストッカ 12…スライダ
13…昇降プレート 14…ラチェットローラ
15…駆動ローラ 16…従動ローラ
17…斜面 20…フィーダコンベア
30…印刷搬送機 31…ロボシリンダ
32…バキュームパッド 33…ノズル
34…エアチューブ取付口 40…真空ポンプ
50…印刷機 51…押さえプレート
52…クランプレバー 60…移動昇降機
70…乾燥機 80…乾燥コンベア
90…アンテナ 100…アンテナコンベア
110…検査機 120…検査コンベア
130…搬送コンベア 140…操作ボックス
T…RFIDタグ
図1
図2
図3
図4