(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】移動クレーンシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B66C 7/08 20060101AFI20220701BHJP
B66C 11/14 20060101ALI20220701BHJP
E01B 29/06 20060101ALI20220701BHJP
E01D 19/12 20060101ALI20220701BHJP
E01D 21/00 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
B66C7/08
B66C11/14
E01B29/06
E01D19/12
E01D21/00 Z
(21)【出願番号】P 2019559005
(86)(22)【出願日】2018-01-16
(86)【国際出願番号】 US2018013880
(87)【国際公開番号】W WO2018132832
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2021-01-05
(32)【優先日】2017-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519255609
【氏名又は名称】ブリッジ アンド トラック クレーン エルエルシー ディー/ビー/エー ルクレーン
【氏名又は名称原語表記】BRIDGE AND TRACK CRANE LLC D/B/A RCRANE
【住所又は居所原語表記】9419 Third Avenue Cary,IL 60013 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】マーケルズ ポール
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05921415(US,A)
【文献】米国特許第05593050(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0259179(US,A1)
【文献】特開2002-167163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 5/00- 7/16
B66C 11/00-11/26
B66C 23/50
E01B 29/00-29/46
E01D 19/12
E01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の鉄道車両端部組立体に連結されている長手方向軸を有する第1の主トラスを含む第1のトラス組立体と、
前記長手方向軸から離隔してほぼ平行に延び前記第1の鉄道車両端部組立体に連結される第2の主トラスを含み、前記第1の主トラス及び前記第2の主トラスが互いに離隔して内部空間を画定する、第2のトラス組立体と、
前記第1のトラス組立体の上部支持梁及び前記第2のトラス組立体の上部支持梁に回動可能に連結される上部構台組立体であって、互いに離隔して前記第1のトラス組立体と前記第2のトラス組立体との間の前記内部空間を横切って延びる第1の橋梁及び第2の橋梁を有する上部構台組立体と、を備え、
前記第1の橋梁及び前記第2の橋梁が、前記第1のトラス組立体の前記上部支持梁に形成された案内軌道及び前記第2のトラス組立体の前記上部支持梁に形成された案内軌道の中に前記長手方向軸と平行に摺動可能であ
り、
前記第1の主トラスの第1の端部に第1のトラス延長部が回動可能に連結され、前記第1の主トラスの第2の端部に第2のトラス延長部が回動可能に連結されている、
クレーン装置。
【請求項2】
第1の吊上組立体及び第2の吊上組立体が、前記第1の橋梁及び前記第2の橋梁によって摺動可能に支持され、前記第1の吊上組立体及び前記第2の吊上組立体それぞれが、吊上支持構造体、該吊上支持構造体に連結された支持ケーブル、及び前記支持ケーブルに連結された留め金を備え、
前記留め金及び前記支持ケーブルが、前記第1の橋梁と前記第2の橋梁との間の下方に前記内部空間の中に一緒になって延びている、
請求項1に記載のクレーン装置。
【請求項3】
前記第1のトラス延長部が、前記内部空間内の格納位置、及び前記第1の主トラスの長手方向軸と実質的に同軸の展開位置間で前記第1の主トラスに連結された枢動軸の周りで回動可能である、請求項
1のクレーン装置。
【請求項4】
前記上部構台組立体が3つ、前記第1のトラス組立体及び前記第2のトラス組立体に連結されている、請求項1に記載のクレーン装置。
【請求項5】
前記第1のトラス組立体
の上部支持梁に形成された前記案内軌道が、前記第1の主トラスの長手方向軸全体に沿って延びる、請求項
4に記載のクレーン装置。
【請求項6】
前記第1の鉄道車両端部組立体の反対側に配置された第2の鉄道車両端部組立体をさらに備える、請求項1に記載のクレーン装置。
【請求項7】
前記第1の鉄道車両端部組立体及び前記第2の鉄道車両端部組立体は、前記第1のトラス組立体の下部支持梁及び前記第2のトラス組立体の下部支持梁に連結されつつ移動可能であると共に、調節可能な長さで互いに離隔される、請求項
6に記載のクレーン装置。
【請求項8】
前記第1の鉄道車両端部組立体から複数の支持梁が外向きに延びて、前記第1のトラス組立体及び前記第2のトラス組立体を支持している、請求項1に記載のクレーン装置。
【請求項9】
前記複数の支持梁は、前記第1の鉄道車両端部組立体内に移動可能に受容され、前記複数の支持梁は前記長手方向軸に対して垂直に並進して前記第1のトラス組立体と前記第2
のトラス組立体との間の距離を調整するように構成される、請求項
8に記載のクレーン装置。
【請求項10】
鉄道橋を交換する方法であって、
請求項1~
9の何れか一項に記載のクレーン装置を、設置された鉄道橋軌道の上方に配置し、
前記上部構台組立体に連結された1つ又は複数の吊上組立体を使用して、設置された鉄道橋軌道上に新しい鉄道橋軌道を設置し、
前記吊上組立体を前記新しい鉄道橋軌道から切り離し、
前記吊上組立体を、設置された鉄道橋軌道及び設置された鉄道橋軌道上に置かれた前記新しい鉄道橋軌道に連結し、
前記設置された鉄道橋軌道と前記新しい鉄道橋軌道とを吊上げて、前記設置された鉄道橋軌道及び前記新しい鉄道橋軌道を前記鉄道橋から取り除いて、前記鉄道橋内にレール間隔を形成し、
前記設置された鉄道橋軌道から前記吊上組立体を切り離し、
前記設置された鉄道橋軌道から前記新しい鉄道橋軌道を吊り上げ、
前記吊上組立体を使用して前記新しい鉄道橋軌道を前記鉄道橋内の前記レール間隔内に設定する、
鉄道橋を交換する方法。
【請求項11】
前記クレーン装置が前記設置された鉄道橋軌道の上方に配置された後に前記第1のトラス組立体を前記第2のトラス組立体から前記長手方向軸に垂直な方向に移動することによって、前記移動式クレーン装置が輸送形態から作業形態に移行する、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記設置された鉄道橋軌道及び前記新しい鉄道橋軌道が前記鉄道橋から取り外されたときに、前記設置された鉄道橋軌道及び前記新しい鉄道橋軌道が前記第1の鉄道車両端部組立体に連結された傾斜台車又は標準鉄道台車に配置される、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
前記設置された鉄道橋軌道が前記鉄道橋から取り外された後に、前記新しい鉄道橋軌道を前記設置された鉄道橋軌道から転がすことをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項14】
長手方向軸を有する第1の主トラスを備え、該第1の主トラスが該第1の主トラスの第1の端部で第1の鉄道車両端部組立体に連結されている、第1のトラス組立体と、
前記長手方向軸から離間してほぼ平行に延びる第2の主トラスを備え、該第2の主トラスが該第2の主トラスの第1の端部で前記第1の鉄道車両端部組立体に連結され、前記第1の主トラス及び前記第2の主トラスが互いに離隔して内部空間を画定している、第2
のトラス
組立体と、
前記第1のトラス組立体の前記第1の端部に枢動可能に連結され、収容構成と展開構成との間で回動可能であるトラス延長部であって、前記展開構成において前記長手方向軸と同軸に延び、収容構成において前記内部空間内に収容され前記長手方向軸にほぼ平行で且つ離間して延びているトラス延長部と、を備える
クレーン装置。
【請求項15】
前記第2のトラス組立体の前記第1の端部に枢動可能に連結され展開構成と収容構成との間で回動可能
な別のトラス延長部をさらに備え、該別のトラス延長部が収容構成の前記第1のトラス組立体及び前記第2のトラス組立体との間に位置付けられる、請求項
14に記載のクレーン装置。
【請求項16】
前記トラス延長部が、前記第2の主トラスと対向する前記第1の主トラスの内面に連結された枢動軸を中心に回動する、請求項
14に記載のクレーン装置。
【請求項17】
前記第1の主トラス及び前記第2の主トラスが、前記第1の鉄道車両端部組立体の横方向延長組立体に連結され、前記横方向延長組立体は、前記第1のトラス組立体及び前記第2のトラス組立体を前記長手方向軸に対して垂直方向に移動させる、請求項
14に記載のクレーン装置。
【請求項18】
前記横方向延長組立体が、トラス支持構造体に摺動可能に連結された複数のトラス支持梁を含み、該トラス支持梁が前記第1の主トラス又は前記第2の主トラスの一方に連結される、請求項
17に記載のクレーン装置。
【請求項19】
前記トラス支持梁が、前記第1のトラス組立体の下部支持梁及び前記第2のトラス組立体の下部支持梁の一方に移動可能に連結されている、請求項
18に記載のクレーン装置。
【請求項20】
前記第1の鉄道車両端部組立体が、前記第1のトラス組立体及び前記第2のトラス組立体に対して長手方向に移動可能である、請求項
19に記載のクレーン装置。
【請求項21】
前記トラス支持構造体、及び前記第1のトラス組立体又は前記第2のトラス組立体の一方に油圧連結部組立体が連結され、該油圧連結部組立体は、後退位置と伸長位置との間で移動可能である、請求項
18に記載のクレーン装置。
【請求項22】
前記油圧連結部組立体が、前記伸長位置において少なくとも1つのトラス支持梁を前記トラス支持構造体から横方向外側に押す、請求項
21に記載のクレーン装置。
【請求項23】
前記トラス支持構造体と前記少なくとも1つのトラス支持梁との間にころ軸受が位置付けられている、請求項
22に記載のクレーン装置。
【請求項24】
前記第1のトラス組立体及び前記第2のトラス組立体に連結され前記長手方向軸に対して平行に摺動可能に移動可能な上部構台組立体をさらに備える、請求項
14に記載のクレーン装置。
【請求項25】
前記上部構台組立体は、それぞれ前記第1のトラス組立体と前記第2のトラス組立体との間に延び、前記長手方向軸に対して平行に移動可能な第1の橋梁及び第2の橋梁を含む、請求項
24に記載のクレーン装置。
【請求項26】
前記上部構台組立体が第1の吊上組立体及び第2の吊上組立体を含み、前記第1の吊上組立体及び前記第2の吊上組立体がそれぞれ前記第1の橋梁及び前記第2の橋梁に摺動可能に連結される、請求項
25に記載のクレーン装置。
【請求項27】
前記第1の橋梁と前記第2の橋梁とが互いにほぼ平行である、請求項
26に記載のクレーン装置。
【請求項28】
前記第1の橋梁及び前記第2の橋梁が、前記第1のトラス組立体及び前記第2のトラス組立体に回動可能に連結されている、請求項
27に記載のクレーン装置。
【請求項29】
前記第1の橋梁は、前記第1のトラス組立体及び前記第2のトラス組立体に対して約5度から約90度の間で回動可能である、請求項
28に記載のクレーン装置。
【請求項30】
前記第1の橋梁及び前記第2の橋梁がそれぞれ中に形成された溝を含み、該溝は、互いにほぼ平行に延び、前記長手方向軸に対して斜めに延びる前記第1の吊上組立体及び前記第2の吊上組立体に対する経路を画定する、請求項
27に記載のクレーン装置。
【請求項31】
前記第1の吊上組立体が、前記第1の橋梁と前記第2の橋梁とに連結され、前記第1の橋梁と前記第2の橋梁との間にまたがる吊上支持構造体を含む、請求項
30に記載のクレーン装置。
【請求項32】
前記吊上支持構造体は、前記吊上支持構造体の第1の端部と前記第1の橋梁との間の第1の回動可能連結器と、前記吊上支持構造体の第2の端部と前記第2の橋梁との間の第2の回動可能連結器とを含む、請求項
31に記載のクレーン装置。
【請求項33】
前記吊上支持構造体が、前記第1の橋梁と前記第2の橋梁との間で前記長手方向軸と実質的に平行に延びる、請求項
32に記載のクレーン装置。
【請求項34】
モータが前記上部構台組立体に連結され、前記上部構台組立体を前記長手方向軸と平行な方向に並進させるように構成されている、請求項
25に記載のクレーン装置。
【請求項35】
前記第1の吊上組立体が前記第2の吊上組立体と対向する、請求項
26に記載のクレーン装置。
【請求項36】
前記第1の吊上組立体は支持ケーブルから離れる方向に延びる留め金を備え、前記留め金は前記第1の橋梁及び前記第2の橋梁に対して垂直方向に移動して物を吊り上げる、請求項
26に記載のクレーン装置。
【請求項37】
前記第1のトラス組立体及び前記第2のトラス組立体の一方にプラットフォームが連結され、該プラットフォームが、前記長手方向軸と平行に延び格納位置と展開位置との間で回動可能で前記展開位置にて鉄道車両端組立体上面にほぼ平行である、請求項
14に記載のクレーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連アプリケーションの相互参照]
本出願は、「Mobile Crane Systems and Methods」(移動式クレーム装置及び方法)と題された2017年1月13日に出願された米国仮特許出願第62/445,968号、「Mobile Crane Systems and Methods」(移動式クレーム装置及び方法)と題された2017年1月18日に出願された米国仮特許出願第62/447,766号、「Mobile Crane Systems and Methods」(移動式クレーム装置及び方法)と題された2017年7月7日に出願された米国仮特許出願第62/529,899号、及び「Mobile Crane Systems and Methods」(移動式クレーム装置及び方法)と題された2017年11月9日に出願された米国仮特許出願第62/583,658号の優先権を主張する。前述の各仮特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が参考として援用される。
【0002】
[連邦政府による資金提供を受けた研究に関する陳述]
適用しない。
【0003】
本発明は、概して移動式クレーンに関し、より具体的には、鉄道、橋梁、及び/又は軌道用途に使用される移動式クレーンのためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
構台クレーン及び/又は水平寄せクレーンは、例えば、鉄道及び橋梁を建設、分解する際にしばしば使用される。しかしながら、構台クレーンと水平寄せクレーンの両方とも多くの欠点を抱えている。例えば、構台クレーンは一般に現場での建設には適しておらず、構台クレーンを現場に輸送するのに複数の鉄道車両を必要とする。作動中、水平寄せクレーンは積載後に横方向の回動を受け、これにより、クレーンのキャリッジ及び機械デッキによって提供されるバラストを超える不均衡が誘発されて転倒する虞がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、移動式クレーンシステム及び移動式クレーンシステムを使用する方法を提供する。特に、現場での往復の鉄道車両での容易な輸送を可能にするように設計された移動式クレーンのためのシステム及び方法が提供される。加えて、移動式クレーンは輸送形態と作業形態との間で迅速な変更を容易にして生産性の向上を可能にする。さらに、移動式クレーンは、重量及び長さを増して対象物(例えば、鉄道軌道組立体、橋梁組立体など)を操作するように設計されており、それによって限られた時間及びスペースで新しい対象物の配送及び設置が可能になる。さらに、移動式クレーンはモジュール式とすることができ、特定の用途によって要求されるような様々な吊上げ及び対象物操作機能を含むように構成することができる。
【0006】
いくつかの実施形態において、本開示はクレーン装置を提供する。クレーン装置は、長手方向軸を有する第1の主トラスを含む第1のトラス組立体を有することができる。第1の主トラスは、第1の鉄道車両端部組立体に連結することができる。クレーン装置はまた、長手方向軸から離隔し長手方向軸にほぼ平行に延びる第2の主トラスを含む第2のトラス組立体を含む。第2の主トラスが第1の鉄道車両端部組立体に連結され、第1及び第2の主トラスは互いに間隔を空けて内部空間を画定する。上部構台組立体が第1のトラス組立体の上部支持梁及び第2のトラス組立体の上部支持梁に回動可能に連結される。上部構台組立体が、互いに離隔し第1のトラス組立体と第2のトラス組立体との間の内部空間を横切って延びる第1の橋梁と第2の橋梁とを有する。第1の橋梁及び第2の橋梁は、第1のトラス組立体の上部支持梁に形成された案内軌道及び第2のトラス組立体の上部支持梁に形成された案内軌道内で長手方向軸に平行に摺動可能である。
【0007】
他の態様では、本開示はクレーン装置を提供する。クレーン装置は、長手方向軸を有する第1の主トラスを含む第1のトラス組立体を含む。第1の主トラスは鉄道車両端部組立体に連結されている。長手方向軸から離隔し長手方向軸にほぼ平行に延びる第2の主トラスを含む第2のトラス組立体も鉄道車両端部組立体に連結されている。第1の主トラス及び第2の主トラスは互いに離隔し内部空間を画定する。第1のトラス組立体の下部支持梁と第2のトラス組立体の下部支持梁とに連結された下部構台組立体も設けられる。下部構台組立体は、第1のトラス組立体の下部支持梁と第2のトラス組立体の下部支持梁とに沿って長手方向軸と平行に摺動可能に調整可能である。
【0008】
いくつかの態様では、鉄道橋を交換する方法が提供される。この方法は、設置された鉄道橋軌道の上方にクレーン装置を配置することを含む。例えば、本開示内の何れかの図のクレーンを使用することができる。この方法は、上部構台組立体に連結された1つ又は複数の吊上組立体を使用して、設置された鉄道橋軌道上に新しい鉄道橋軌道を設置することを含む。その後、吊上組立体を新しい鉄道橋軌道から切り離し、設置された鉄道橋軌道及び設置された鉄道橋軌道の上に横たわっている新しい鉄道橋軌道に連結する。次に、設置された鉄道橋軌道及び新しい鉄道橋軌道を吊り上げて、設置された鉄道橋軌道及び新しい鉄道橋軌道を鉄道橋から取り除き、鉄道橋内にレール間隔を形成することを含む。次に、設置された鉄道橋軌道から吊上組立体を切り離してから、設置された橋軌道から新しい鉄道橋軌道を吊り上げるのに使用する。その後、吊上組立体を使用して新しい鉄道橋軌道を鉄道橋隙間内のレール間隔内に設定することができる。
【0009】
本開示によるクレーン装置を使用して鉄道枕木を交換する方法も提供される。方法は、下部構台組立体の枕木グラップル組立体を設置された鉄道枕木に連結することを含む。次いで、枕木グラップル組立体を長手方向軸に対して垂直に内部空間から外側に平行移動させて、設置された鉄道枕木を2本の軌道の下から引き出すことができる。次いで、枕木グラップル組立体を新しい鉄道用枕木に連結することができ、枕木グラップル組立体を長手方向軸に対して垂直に内部空間に向かって平行移動させることによって、新しい鉄道枕木を2つの軌道の下に配置することができる。
【0010】
本開示の他の態様では、レールを支持するためのレール支持構造体が提供される。レール支持構造体は、それを貫通して形成され且つ主梁の中心線に沿って配置された位置決め開口を有する主梁を含む。第1のクランプは、主梁の第1の端部に枢動可能に連結され、ロック解除位置とロック位置との間で枢動軸の周りに主梁に対して回動可能である。第2のクランプは、第1の端部とは反対側の主梁の第2の端部に枢動可能に連結され、ロック解除位置とロック位置との間で第2の枢動軸の周りに主梁に対して回動可能である。第1のクランプは第1の方向に枢動軸を中心に回動することによってロック位置に回動し、第2のクランプは第1の方向とは反対の第2の方向に第2の枢動軸の周りに回動することによってロック位置に回動する。
【0011】
いくつかの態様では、ブリッジ減衰装置が提供される。ブリッジ減衰装置は互いに離隔し壁から離れる方向に延びて軌道面を画定する第1のバラスト保持フランジ及び第2のバラスト保持フランジを含む。ブリッジ減衰装置はまた第1のバラスト保持フランジ及び第2のバラスト保持フランジとは反対方向に壁から離れる方向に延びる地面保持フランジを含む。
【0012】
本開示の他の態様はクレーン装置を含む。クレーン装置は、長手方向軸を有する第1の主トラスを含む第1のトラス組立体を有することができる。第1の主トラスは第1の主トラスの第1の端部で第1の鉄道車両端部組立体に連結することができる。クレーン装置はまた長手方向軸から離隔し長手方向軸とほぼ平行に延びる第2の主トラスを含む第2のトラス組立体を含む。第2の主トラスは、第2の主トラスの第1の端部で第1の鉄道車両端部組立体に連結され、第1及び第2の主トラスは互いに間隔を空けて内部空間を画定する。トラス延長部は、第1のトラス組立体の第1の端部に枢動可能に連結され、展開形態と収容形態との間で回動可能であり、展開形態において長手方向軸と同軸に延び、収容形態においてトラス延長部は内部に収容され長手方向軸に対してほぼ平行に離間して延びている。
【0013】
さらに他の態様ではクレーン装置が開示される。クレーン装置は長手方向軸を有する第1の主トラスを含む第1のトラス組立体を有することができる。第1の主トラスは第1の主トラスの第1の端部で第1の鉄道車両端部組立体に連結することができる。クレーン装置はまた、長手方向軸から離隔し長手方向軸とほぼ平行に延びる第2の主トラスを含む第2のトラス組立体を含む。第2の主トラスは、第2の主トラスの第1の端部で第1の鉄道車両端部組立体に連結され、第1及び第2の主トラスは互いに間隔を空けて内部空間を画定する。第1の鉄道車両端部組立体は、第1の主トラス及び第2の主トラスに連結された横方向延長組立体を含む。横方向延長組立体は、第1のトラス組立体及び第2のトラス組立体を長手方向軸に対して垂直に移動させるように構成され、スラストブラケットは、第1の主トラス及び横方向延長組立体に取り外し可能に連結される。
【0014】
いくつかの態様ではクレーン装置が開示されている。クレーン装置は長手方向軸を有する第1の主トラスを含む第1のトラス組立体を有することができる。第1の主トラスは横方向支持組立体の支持梁に連結することができる。長手方向軸から離隔し長手方向軸にほぼ平行に延びる第2の主トラスを含む第2のトラス組立体も含まれる。第1の主トラス及び第2の主トラスは、内部空間を画定するために互いに離隔している。スラストブロックは、横方向支持組立体に取り外し可能に連結され、第1の主トラスと横方向支持組立体とを係合して、長手方向軸に対して垂直な支持梁の横方向の動きを制限する。
【0015】
本発明の上記及び他の局面及び利点は以下の説明から明らかになるであろう。説明では、本明細書の一部を構成し本発明の好ましい実施形態を例として示す添付の図面を参照する。そのような実施形態は必ずしも本発明の全範囲を表すものではなく、従って本発明の範囲を解釈するために特許請求の範囲及び本明細書を参照する。
【0016】
以下の本発明の詳細な説明を考慮すると本発明はよりよく理解され、上記以外の特徴、態様及び利点が明らかになるであろう。そのような詳細な説明は以下の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の一態様による輸送形態にある移動式クレーンの上面左前方斜視図である。
【
図2】作業形態にある
図1の移動式クレーンの上面左前方斜視図である。
【
図5】輸送形態にある
図1の移動式クレーンの第1及び第2のトラス組立体の上面左前方斜視図である。
【
図6】作業形態にある
図5の第1及び第2のトラス組立体の上面左前方斜視図である。
【
図7】
図5の第1及び第2のトラス組立体の上面図である。
【
図8】
図6の第1及び第2のトラス組立体の上面図である。
【
図9】
図1の移動式クレーンの上部構台組立体の上面、背面、上面左後方斜視図である。
【
図11】
図1の移動式クレーンの鉄道車両端部組立体の上面図である。
【
図13】
図10の鉄道車両端部組立体の上面右前方斜視図である。
【
図16A】
図1の移動式クレーンのスラストブロックの部分斜視図である。
【
図16B】
図1の移動式クレーンのスラストブロックの部分斜視図である。
【
図16C】
図1の移動式クレーンのスラストブラケットの斜視図である。
【
図16D】
図1の移動式クレーンのスラストブラケットのトラス組立体間で取った斜視図である。
【
図16E】
図10の鉄道車両端部組立体における油圧システムの斜視図である。
【
図17】構台支持体が第1の位置にあり、枕木グラップルクランプが第1のグラップル位置にある、
図1の移動式クレーンの下部構台組立体の底面右後方斜視図である。
【
図18】構台支持体が第1の位置にあり、枕木グラップルクランプが第1のグラップル位置にある、
図17の下部構台組立体の右側面図である。
【
図19】構台支持体が第2の位置にあり、枕木グラップルクランプが第2のグラップル位置にある、
図17の下部構台組立体の右側面図である。
【
図20】構台支持体が第2位置にあり、枕木グラップルクランプが第2グラップル位置にある、
図17の下部構台組立体の底面右後方斜視図である。
【
図21】構台支持体が第1の位置にあり、枕木グラップルクランプが第1のグラップル位置にある、
図17の下部構台組立体の上面左前方斜視図である。
【
図22】構台支持体が第2の位置にあり、枕木グラップルクランプが第2のグラップル位置にある、
図17の下部構台組立体の上面左前方斜視図である。
【
図23】前方及び後方傾斜台車を備えた新しい鉄道軌道パネルを作業領域に輸送する
図1の移動式クレーンの正面図である。
【
図25】新しい鉄道軌道パネルを吊り上げる
図23の移動式クレーンの上面左前方斜視図である。
【
図26】
図23の移動式クレーンの新しい鉄道軌道パネルと古い鉄道軌道パネルとを吊り上げる正面図である。
【
図27】新旧の鉄道軌道パネルを後方傾斜台車に配置する
図23の移動式クレーンの正面図である。
【
図28】新しい鉄道軌道パネルを設置する
図23の移動式クレーンの上面右前方斜視図である。
【
図29】設置中に新しい鉄道軌道パネルを傾ける
図28の移動式クレーンの右側斜視図である。
【
図30】橋枕木交換工程中の
図17の下部構台組立体を含む、
図1の移動式クレーンの部分上面右後方斜視図である。
【
図31】吊上機が橋枕木のラックを支持する橋枕木交換工程中の、
図17の下部構台組立体を含む、
図1の移動式クレーンの内面図である。
【
図32】橋枕木交換工程中の、
図17の下部構台組立体を含む、
図1の移動式クレーンの部分底面右前方斜視図である。
【
図33】橋枕木交換工程中の
図17の下部構台組立体を含む
図1の移動式クレーンの内面図である。
【
図34】本開示の一態様によるレール支持構造体の正面図である。
【
図35】
図34のレール支持構造体の上面左前方斜視図である。
【
図36】
図34のレール支持構造体の上面左後方斜視図である。
【
図37】軌道上に且つロック解除位置に設置された
図34のレール支持構造体の正面図である。
【
図38】枕木が第1の位置にある状態で、枕木交換工程中に軌道上に固定された位置に設置された
図34のレール支持構造体の正面図である。
【
図39】第2の位置にある枕木との枕木交換工程中に軌道上にロック位置に設置された
図34のレール支持構造体の正面図である。
【
図40】本開示の一態様による、橋梁への進入スラブ設置中の、調整器取付部を有する下部構台を含む、
図1の移動式クレーンの上面左前方斜視図である。
【
図41】枕木交換工程中の、
図1の移動式クレーンの部分上面右後方斜視図である。
【
図42】
図17の下部構台組立体に連結された運転席組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の非限定的な実施例を参照しながら、本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施形態は、例示及び説明のみを目的として本明細書に提示されていることに留意されたい。余すところのない又は開示された正確な形態に限定されることを意図するものではない。
【0019】
本明細書で使用されている表現及び用語は説明を目的としており、限定と見なされるべきではないことを理解されたい。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」、又は「有する(having)」及びその変形の使用は、その後に列挙される項目及びその均等物、並びに追加の項目を包含することを意味する。他に特定又は限定されない限り、「搭載された」、「接続された」、「支持された」、及び「連結された」という用語及びその変形は広く使用されている。さらに、「接続された」及び「連結された」は、物理的又は機械的な接続又は連結に限定されない。
【0020】
図1は、本開示の態様による移動式クレーン10の非限定的な一例を示す。移動式クレーン10は、それぞれ対向する端部で第1及び第2の鉄道車両端部組立体16、17に連結された第1のトラス組立体12及び第2のトラス組立体14を含む。第1のトラス組立体12及び第2のトラス組立体14は、移動式クレーン10の所望の動作に応じて可変距離だけ互いに離隔させることができる。例えば、
図1に示すように、移動式クレーン10は、移動式クレーン10を鉄道軌道58上で作業現場まで輸送することができる輸送形態にすることができる。輸送形態では、鉄道車両端部組立体16、17を有する移動式クレーン10の設計及び特性により、移動式クレーン10を輸送して単一の鉄道車両として機能させることが可能になる。移動式クレーン10を単一の鉄道車両として輸送することは、新しい材料が現場に配達されるためのより利用可能なスペースを提供し、それは輸送コストを削減することができる。
【0021】
移動式クレーン10は、輸送形態(
図1、5、7に示す)と作業形態(
図2、6、8に示す)との間で移動可能である。第1及び第2のトラス組立体12及び14は、第1及び第2の鉄道車両端部組立体16、17に移動可能に連結され、これにより、トラス組立体12、14は、選択的に互いに向かって内側に移動し(移動式クレーン10を作業形態から輸送形態に移動させるために)又は外側に離れて(移動式クレーン10を輸送形態から作業形態に移動させるために)並進する。いくつかの態様では、第1及び第2の鉄道車両16、17と第1及び第2のトラス組立体12、14との間の可動連結によって、トラス組立体12、14が鉄道車両16、17に対して動ける。一方、移動式クレーン10は作業形態と輸送形態との間で移行する。
【0022】
いくつかの態様では、第1のトラス組立体12は第2のトラス組立体14と同様である。従って、第1のトラス組立体12の以下の説明は、第2のトラス組立体14にも適用することができ、第2のトラス組立体14は、図面において同じ参照番号を用いて識別される類似の構成要素を含むことができる。
【0023】
第1のトラス組立体12は、主トラス18と、主トラス18の一端に枢着された第1のトラス延長部20と、主トラス18の反対側の端部に枢着された第2のトラス延長部22とを含む。主トラス18、第1のトラス延長部20、及び第2のトラス延長部22のそれぞれは、上部支持梁24、下部支持梁26、及び上部支持梁24と下部支持梁26との間に延びる複数の内部支持部材28を含む。例示的な図に示されるように、内部支持部材28は、トラス組立体12、14内のそれらの位置に応じて、異なる向きにされてもよい。いくつかの態様では、複数の内部支持部材28は、垂直支持部材28aと傾斜支持部材28bの両方を含む。いくつかのトラス組立体12、14では、垂直支持部材28a及び傾斜支持部材28b'が主トラス18に沿って交互になっている。いくつかの態様では、傾斜支持部材28b'は、下部支持梁26から主トラス18の最も近い端部に向かって且つ上部支持梁24に向かって上向き且つ外向きに延びる。第1及び第2のトラス延長部20、22に存在する傾斜支持部材28b'は、同様に主トラス18の最も近い端部に向かって上向き且つ内向きに傾斜してもよい。
【0024】
第1及び第2のトラス延長部20、22が主トラス18へ枢動連結されることで、第1のトラス組立体12が所望に応じて可変長手方向長さを画定できる。これにより、第1のトラス12は、移動式クレーン10が作業形態(
図8に示す)にあるときに延長長手方向長さL
1を選択的に画定し、移動式クレーン10が輸送形態にあるときに短縮長手方向長さL
2を画定することができる(
図7に示す)。輸送形態では、第1及び第2のトラス延長部20、22が主トラス18とほぼ平行に配置されるように、第1及び第2のトラス延長部20、22が第2のトラス組立体14に向かって内向きに枢動回動する。同様に、第2のトラス組立体14に連結された第1及び第2のトラス延長部20、22は、第1のトラス組立体12に向かって内向きに枢動回動する。第1及び第2のトラス延長部20、22は、第1及び第2のトラス組立体12、14の間に画定された内部空間27内に収容することができる。作業形態では、第1及び第2のトラス延長部20、22は、第1及び第2のトラス延長部20、22が主トラス18によって画定さレール長手方向軸X-Xに沿ってほぼ整列するように外側に枢動回動する。前述のように、トラス組立体12、14を互いに離して内部空間27のサイズを大きくすることができ、それによりトラス延長部20、22を内部空間27から外側に一度に回動させることができる。従って、作業形態と輸送形態との間の選択的な枢動回動によって、移動式クレーン10は、第1及び第2のトラス組立体12、14によって画定さレール長手方向長さを延長長手方向長さL
1と短縮長手方向長さL
2との間で変えることができる。
【0025】
いくつかの非限定的な例では、第1及び第2のトラス延長部20、22は、輸送形態と作業形態との間で枢動軸29(例えば、ヒンジ又は枢動軸ピン)の周りを手動で回動させることができる。いくつかの非限定的な例では、第1及び第2のトラス延長部20、22は、輸送形態と作業形態との間で枢動軸29を中心に電気式、油圧式、又は機械式に回動させることができる。いくつかの非限定的な例では、第1及び第2のトラス延長部20、22は、1つ又は複数のロックシステム31(例えば、ボルト、クイックディスコネクト、連結部、キー付きシステム、カムロック、締め金など)を介して輸送及び/又は作業形態にロックされ得る。ロックシステム31はまた、手動で、並びに電気的、油圧的又は機械的に作動され得る。
【0026】
1つの非限定的な例では、第1及び第2のトラス延長部20、22は、主トラス18から分離され得、そして別の鉄道車両上の荷車(mule cart)(図示せず)を介して主トラス18と整列するように運ばれ得る。荷車が第1及び第2のトラス延長部20、22を主トラス18と整列するように運搬すると、第1及び第2のトラス延長部20、22は、手動又は自動のロックシステム31を介して適所にロックされ得る。
【0027】
続けて
図1~
図8を参照すると、複数の上部構台組立体30が、第1及び第2のトラス組立体12、14の主トラス18の上部支持梁24によって摺動可能に支持されて示されている。図示された非限定的な例では、移動式クレーン10は、移動式クレーン10の周りに互いに離隔した3つの上部構台組立体30a、30b、30cを含む。構台組立体30a、30b、30cは、トラス組立体12、14上で互いにほぼ等間隔に離隔させることができ、あるいは変えることができる。他の非限定的な例では、移動式クレーン10は、3つの、必要に応じて3つより多いか又は少ない上部構台組立体30を含み得る。即ち、移動式クレーン10はモジュール式であってもよく、特定の用途に応じて所望の数の上部構台組立体30を含むように用途ごとに構成されてもよい。いくつかの態様では、主トラス18の上部支持梁24の周りで上部構台組立体30を駆動するためにモータ(図示せず)が使用される。
【0028】
具体的に
図1~4、9、及び10を参照すると、上部構台組立体30a、30b、30cが詳細に示されている。いくつかの非限定的な例では、上部構台組立体30a、30b、30cのそれぞれは、類似の構成要素で形成されている。簡潔にするために、上部構台組立体30bの以下の説明は、上部構台組立体30a、30cにも適用することができ、これらはそれぞれ、同じ参照番号を使用して識別される類似の構成要素を有する。上部構台組立体30bは、第1のトラス組立体12の上部支持梁24と第2のトラス組立体14の上部支持梁24との間にそれぞれ延びる第1の橋梁32と第2の橋梁34とを含む。第1及び第2の橋梁32、34の対向端部33、35は、第1及び第2のトラス組立体12、14の上部支持梁24に摺動可能に連結されている。いくつかの態様では、案内軌道37がトラス組立体12、14の上部支持梁24に形成されて、トラス組立体12、14に対する橋梁32、34の摺動運動(及びいくつかの例ではモータ駆動)を案内及び拘束する。そのような実施形態では、突起39は、橋梁32、34の端部33、35のそれぞれから離れて案内軌道37の中に延びることができる。いくつかの非限定的な例では、突起39は円筒形の形状である。突起39は、案内軌道37の壁と嵌合する隙間を形成することができ、これにより突起39が案内軌道37内で枢動すると共に摺動することができる。このようにして、第1及び第2の橋梁32、34は、第1及び第2のトラス組立体12、14の上部支持梁24に沿って長手方向に移動可能であり、トラス組立体12、14が接近又は離隔するにつれて回動して、輸送形態と作業形態の間で移行する。いくつかの態様では、第1及び第2の橋梁32、34は、約5度から約90度の間の角度に亘って第1及び第2のトラス組立体12、14に対して回動可能である。
【0029】
上部構台組立体30a、30b、30cは、第1の吊上組立体36と第2の吊上組立体38とを含むことができる。いくつかの態様では、第1の吊上組立体36及び第2の吊上組立体38は両方とも第1及び第2の橋梁32、34上に摺動可能に支持されている。第1及び第2の吊上組立体38は第1及び第2の橋梁32、34に形成された側溝41によって画定され、長手方向に沿って移動可能であり、これにより、移動式クレーン10が作業形態にあるとき第1及び第2のトラス組立体12、14によって画定さレール長手方向をほぼ横切ることができる。第1の吊上組立体36は第2の吊上組立体38と同様とすることができ、両方の吊上組立体36、38は互いに対向することができる。従って、第1の吊上組立体36の以下の説明は、同様の参照番号を使用して識別される同様の構成要素と共に同様に第2の吊上組立体38を説明すると考えることができる。
【0030】
第1の吊上組立体36は、吊上支持構造体40と吊上機42とを含む。吊上支持構造体40は、吊上機42が吊上支持構造体40の中央部分から延びて第1及び第2の橋梁32、34の間に配置されるように吊上機42に取り付けられる。吊上支持構造体40の対向する端部44、46は、それぞれ第1及び第2の橋梁32、34に移動可能且つ回動可能に連結されている。即ち、吊上支持構造体40の端部44、46は、端部44、46と第1及び第2の橋梁32、34との間の回動方向が変化し、第1の吊上組立体36は第1及び第2の橋梁32、34に沿って長手方向に移動するように第1及び第2の橋梁32、34に連結される。端部44、46の第1及び第2が橋梁32、34へ枢動的に連結されることで、吊上支持構造体40がトラス組立体12、14の上部支持梁24と実質的に平行な関係を維持できる。端部44、46が第1及び第2の橋梁32、34に移動可能に連結されることで、第1の吊上組立体36が第1及び第2のトラス組立体12、14の間で第1及び第2のトラス組立体12、14によって画定さレール長手方向を横切る方向に移動可能になる。いくつかの非限定的な例では、第1及び第2の橋梁32、34に形成された側溝41が、端部44、46の一部を受けてトラス組立体12、14に対する吊上組立体36、38の動きを拘束する。例えば、各端部44、46は端部44、46から側溝41内に延びる円筒形の突起43を含むことができ、これは次いで吊上組立体36、38を橋梁32、34に固定しながら側溝41内での回動及び並進運動を可能にする。
【0031】
例示的な例では、吊上機42は、1つ又は複数の支持ケーブル50によって支持され且つそれに連結される留め金48を含む。留め金48及び支持ケーブル50は、吊上支持構造体40の下方に垂れ下がり、移動式クレーン10が支持されている地面又は軌道58に向かって又はそこから離れるように垂直方向に移動可能である。いくつかの非限定的な例では、第1及び第2の吊上組立体36、38は、10~30トンを個々に支持し吊り上げることができてもよい。いくつかの非限定的な例では、第1及び第2の吊上組立体36、38は、約20トンを個別に支持して吊り上げることができてもよい。図示された移動式クレーン10は合計6つの吊上組立体を含み、従って、移動式クレーン10の合計吊上げ能力は、第1及び第2の吊上組立体36及び38の個々の吊上げ能力の6倍である。上述のように、移動式クレーン10は、3つ前後の上部構台組立体30a、30b、30cで設計することができる。このようにして、移動式クレーン10は、対応する数の上部構台組立体30を選択することによって所望の積載量を支持するようにモジュール式に設計することができる。
【0032】
図示の上部構台組立体30a、30b、30cは2つの吊上機42を含む。2つの吊上機42を使用することで、吊上機42を用いて物体(例えば、軌道区間)を吊り上げる又は支持するときに、追加の吊上げ用ストラップ、チェーン、又は他の吊上げ装置の必要性を無くすことができる。さらに、2つの吊上機42を使用することにより、移動式クレーン10はより容易な設置及び取り外しのために物体(
図29参照)を傾けることが可能になる。さらに、2つの吊上機42を使用することは、橋梁の建設、交換、又は保守手順中に使用される可能性がある杭打ち機(図示せず)又は他の機器のバランスをとるのにも役立ち得る。
【0033】
上述のように、第1及び第2のトラス組立体12及び14は、第1及び第2の鉄道車両端部組立体16、17に移動可能に連結されている。第1の鉄道車両端部組立体16は第2の鉄道車両端部組立体17と同様であり得るので、以下の第1の鉄道車両端部組立体16の説明は第2の鉄道車両端部組立体17も説明すると見なされるべきであり、両方の鉄道車両端部組立体16、17に対して同様の参照番号を使用して識別される。
図10~
図15に例示されるように、第1の鉄道車両端部組立体16は、鉄道車両ボギー52と、鉄道車両ボギー52上に支持された横方向延長組立体54とを含む。鉄道車両ボギー52は、その上を鉄道車両ボギー52が横切る軌道58の設計に従って横方向に離間して配置された複数の車輪56を含む。
【0034】
横方向延長組立体54は、トラス支持構造体62に連結された複数のトラス支持梁60を含む。複数のトラス支持梁60は、第1及び第2のトラス組立体12、14の下部支持梁26に移動可能に連結されている。図示の非限定的な例では、横方向延長組立体54は、第1のトラス組立体12の下部支持梁26に連結された2つのトラス支持梁60と第2のトラス組立体14の下部支持梁26に連結された2つのトラス支持梁60を有する4つのトラス支持梁60を含む。他の非限定的な例では、横方向延長組立体54は、4つより多い又は少ないトラス支持梁60を含み得る。トラス支持梁60は、トラス支持構造体62から第1及び第2のトラス組立体12、14のそれぞれの下部支持梁26まで延びる。各トラス支持梁60は、トラス支持構造体62内に摺動可能に受容され、それによって第1のトラス組立体12及び/又は第2のトラス組立体14を輸送形態と作業形態との間で横方向に選択的に動かすことができる。
図16E及び
図16Fに示されるように、横方向延長組立体54は、輸送及び作業形態間で第1のトラス組立体12及び/又は第2のトラス組立体14の選択的な移動を容易にするシステム(例えば、油圧システム、機械的システム、電気的システム、又はそれらの組み合わせ)を含み得る。例えば、トラス組立体12、14の下部支持梁26に連結され且つトラス支持構造体62に連結された油圧連結部組立体55を用いて、トラス組立体12、14を輸送形態と作業形態との間で長手方向に並進させることができる。他の例では、各トラス支持梁60は、輸送形態と作業形態との間でトラス支持梁60を並進させるように構成された伝達シャフト(図示せず)に連結することができる。
【0035】
複数のトラス支持梁60の各々は同様とすることができ、トラス支持梁60のうちの1つについての以下の説明は、それぞれの第1及び第2のトラス組立体12、14に連結されていても全てのトラス支持梁60に適用できる。具体的に
図14及び
図15を参照すると、トラス支持梁60は、トラス支持構造体62によって画定されたトラス支持スロット66内に摺動可能に受容された近位端64、及び第1のトラス組立体12の下部支持梁26に摺動可能に連結された遠位端68を含む。トラス支持梁60は第1の軸受切欠き70を含み、その中に第1の近位軸受パック72が配置されている。第1の近位軸受パック72は、第1の支持プレート76を介してトラス支持構造体62の第1の軸受面74に対して支持することができる。第2の近位軸受パック78は、トラス支持梁60によって画定された第2の軸受切欠き80内に配置されている。第2の近位軸受パック78は、第2の支持プレート84を介してトラス支持構造体62の第2の軸受面82によって支持されている。第1の近位軸受パック72は近位端64に隣接して配置され、第2の近位軸受パック78は第1の近位軸受パック72と遠位端68との間に配置される。第1及び第2の軸受パック72及び78は、第1のトラス組立体12が輸送形態と作業形態との間で横方向に移動するときに、トラス支持スロット66内での近位端64の円滑な横方向移動を可能にする。いくつかの非限定的な例では、軸受パック72、78はころ軸受を含み得る。
【0036】
トラス支持梁60の遠位端68は、トラス支持梁60によって画定される長手方向を横切って延びる第1及び第2の軸受軌道86、88を含む。第1及び第2の遠位軸受パック90、92は、それぞれ第1及び第2の軸受軌道86、88内に配置されている。支持梁クランプ94は、トラス支持梁60の遠位端68を下部支持梁26の外側フランジ96に選択的に固定するように配置されている。即ち、支持梁クランプ94は、トラス支持梁60の遠位端68を第1のトラス組立体12の下部支持梁26に選択的に連結するように構成されてもよい。支持梁クランプ94は、例えば1つ又は複数の取り外し可能なボルトを介して又は任意の他の取り外し可能な連動システムを介して外側フランジ96と選択的に連動し得る。
【0037】
支持梁クランプ94が外側フランジ96からロック解除されると、トラス支持梁60は、(例えば、第1の鉄道車両端部組立体16を押したり引いたりすることによって)下部支持梁26に沿って長手方向に並進することができる。第1及び第2の軸受パック90、92は、トラス支持梁60が第1のトラス組立体12の下部支持梁26に沿って長手方向に滑らかに並進することを可能にする。支持梁クランプ94が外側フランジ96に連結されると、トラス支持梁60は適所に保持され、下部支持梁26に沿って長手方向に変位するのが阻止される。横方向延長組立体54を介して達成される選択的な長手方向の並進運動により、移動式クレーン10は、第1及び第2の鉄道車両端部組立体16、17との間に可変長の長手方向長さを画定することができる。移動式クレーン10のこの態様はさらに、操作上のリフトサイズ(即ち、第1及び第2の鉄道車両端部組立体16及び17間の距離)を必要に応じて望まれるように選択的に変えることが可能なのでそのモジュール性が高まる。1つの非限定的な例では、第1及び第2のトラス延長部20、22によって画定される長手方向長さは、作業吊上寸法の最大値を画定し得る。
【0038】
図16A~
図16Eに戻って、トラス支持構造体62は、第1及び第2のトラス組立体12及び14から鉄道車両ボギー52に列車の荷重を伝達するように構成されたスラストブロック64をさらに含む。スラストブロック64は、
図16Aに示すように、移動式クレーン10が輸送形態にあるときに係合される(即ち、第1及び第2のトラス組立体12、14から鉄道車両ボギー52に列車の積荷を移送する)ように構成される。スラストブロック64は、下部支持梁26の一部の周りに受けられ、主トラス18の内部支持部材28と係合することができる。スラストブロック64は、トラス支持構造体62に連結された基部66を含み得る。いくつかの態様では、基部66はトラス支持構造体62にしっかりと連結されている。基部66は、複数の位置に沿ってトラス支持構造体62と接触してトラス支持構造体62全体に応力を分散させることができる。締め金68は、例えばボルト70を介して基部66の一部上に受けられ且つそれに取り外し可能に連結されることができる。いくつかの態様では、締め金68が下部支持梁26及び垂直内部支持部材28aと係合して締め金68の位置が決まる。いくつかの実施形態では、ラグ72が下部支持梁26及び内部支持部材28に連結されて、締め金68を位置付ける。ボルト74は、締め金68を貫通して形成されたラグ70及び開口部76を通って延びて、各締め金68を内部支持部材28、基部66、及び下部支持梁26と適切に位置合わせすることができる。互いに連結されると、基部66と締め金68との剛性構造によって、主トラス18の縦方向又は横方向の動きが防止され、トラス組立体12、14から鉄道車両ボギー52まで荷重を伝達する。このように、移動式クレーン10は輸送中に鉄道車両として機能するように構成され、第1及び第2のトラス組立体12、14は鉄道車両用敷居として機能している。
【0039】
移動式クレーン10が作業形態に移行すると(即ち、トラス支持梁60が横方向外側に並進すると)、スラストブロック64は係合解除するように構成される。締め金68を基部66から切り離して下部支持梁26及び内部支持部材28から取り外すことができ、これにより、トラス組立体12、14をトラス支持構造体62に対して横方向に再び並進移動させることができる。
【0040】
いくつかの非限定的な例では、移動式クレーン10は、移動式クレーン10が作業形態にあるときに係合する(即ち、第1及び第2のトラス組立体12、14から鉄道車両ボギー52に列車の荷重を伝達する)ように構成される1つ又は複数の追加のスラストブラケット78をさらに含み得る。スラストブラケット78は、下部支持梁26の両側に配置されたスラストプレート80を含むことができる。スラストプレート80は、1つ又は複数のトラス支持梁60の遠位端に連結され得、その結果、スラストプレート80は、トラス支持梁60がトラス支持構造体62から外側に延びるにつれてトラス支持梁60と移動する。壁82は、各スラストプレート80に取り外し可能に連結することができ且つ下部支持梁26の周りに上方に延びることができる。いくつかの態様では、壁82は互いに対向し、スラストプレート80にボルト止めすることができるフランジ84を含む。いくつかの実施形態では、リブ86はフランジ84から上方に延びて壁82に構造的支持を加える。壁82は、例えば締結具88を用いてスラストプレート80に連結することができる。いくつかの実施形態では、壁82を互いに整列させるための壁82を貫通する複数の開口部90が形成される。締結具92は、各壁82の開口部90を通って延びて壁82を互いに連結することができる。いくつかの実施形態では、突起94は、下部支持梁26から上方に延び、壁82間の連結を位置付けて強化するのにも使用することができる。例えば、締結具92が両方の壁の開口部90及びラグ94の開口部を通って同時に延びることができるときに、ラグ94を使用してトラス組立体12、14に対する鉄道車両端部組立体16、17の適切な位置を識別することができる。トラス組立体12、14が長手方向の力又は転倒する力を受けると、トラス組立体12、14はこの力を壁82及びスラストプレート80を介して鉄道車両ボギー52へ伝達することができる。このようにして、移動式クレーン10は、鉄道車両として機能し、作業形態又は輸送形態の何れかで鉄道軌道58に沿って移動するように構成することができる。
【0041】
図17~
図22を参照すると、下部構台組立体100が詳細に示されている。いくつかの態様では、移動式クレーン10は、第1及び第2のトラス組立体12、14内の主トラス18の下部支持梁26によって連結され摺動可能に支持される1つ又は複数の下部構台組立体100を含む。1つの下部構台組立体100が
図17~
図22に示されているが、移動式クレーン10はモジュール式であり得、特定の用途によって必要に応じて又は所望に応じて所望の数の下部構台組立体100を含むように用途ごとに構成され得る。
【0042】
いくつかの非限定的な例では、下部構台組立体100は、第1及び第2のトラス組立体12、14の下部支持梁26間にそれぞれ延在する第1の構台支持梁102及び第2の構台支持梁104を含む。第1及び第2の構台支持梁102、104の対向する端部は、第1及び第2のトロリ106、108に連結されている。例えば、第1及び第2の構台支持梁102、104の対向する端部は、第1及び第2のトロリ106、108に機械的に固定することができる。第1及び第2のトロリ106、108は同様の構成要素で形成することができるので、以下の第1のトロリ106の説明も第2のトロリ108の説明と見なされたい。
【0043】
第1のトロリ106は、第1のトラス組立体12の下部支持梁26に摺動可能に連結することができる。いくつかの非限定的な例では、第1のトロリ106は、下部支持梁26の一部分の周りに延在し、下部支持梁26に沿って長手方向に移動するように構成される。図示された非限定的な例では、モータ110が第1のトロリ106に連結されており、これはトロリ106を下部支持梁26に沿って駆動するために使用することができる。モータ110は、コントローラ109と電気的に連絡するように配置することができ、これにより、ローカル又はリモートコマンドを与えられたときにモータ110を選択的に作動させて様々なタスクを実行することができる。モータ110の駆動軸113の回動に応答して下部支持梁26に沿って長手方向に第1のトロリ106を変位させるチェーン111にモータ110を連結することができる。例えば、チェーン111はモータ110と相互作用してラックアンドピニオン式の接続を形成することができる。これらの態様では、チェーン111は、下部支持梁26にしっかりと連結することができ、モータ110の駆動軸113に連結されたギヤ115と噛み合うラックとして機能することができる。駆動軸113及びチェーン111と噛み合っているギヤ115が回動すると、ギヤ115がチェーン111に沿って直線的に移動し、それによってモータ110及び第1のトロリ106がチェーンによって画定される経路に沿って移動し、これにより第1のトラス組立体12内の主トラス18の長手方向軸X-Xに略平行に向く。このようにして、モータ110は、第1のトロリ106ひいては下部構台組立体100を下部支持梁26に沿って長手方向に所望の方向に変位させるように構成される。他の実施形態では、モータ110は、トラス組立体12、14の周りで同様に下部構台システム100を平行移動させることができる油圧システムに代替できる。
【0044】
図示の下部構台組立体100は枕木グラップル組立体112を含む。枕木グラップル組立体112は、下部構台組立体100に連結され得るツールの1つの非限定的な例にすぎないことを理解されたい。枕木グラップル組立体112は、連結部118を介してグラップル支持部116に連結された枕木グラップルクランプ114を含む。グラップル支持部116は、第1及び第2の構台支持梁102、104間に摺動可能に連結され、その結果、枕木グラップル組立体112が、構台支持梁102、104によって形成された側溝117内の第1の位置(
図17、18、及び21に示す)と第2の位置(
図19、20、及び22)との間で移動可能である。第1位置と第2位置との間を移動するとき、グラップル支持部116は、第1及び第2トラス組立体12、14の主トラス18によって画定さレール長手方向軸X-Xを横切る方向に第1及び第2構台支持梁102、104に沿って並進する。このように、グラップル支持部116は、枕木グラップル組立体112を第1及び第2のトラス組立体12、14の間の内部空間27から離れるように外側に移動させるように構成されている。図示された非限定的な例では、モータ119は、グラップル支持部116に連結されて、第1位置と第2位置との間の移動(例えば、枕木グラップル組立体112を駆動することによる)が容易になる。いくつかの態様では、モータ119をコントローラ109と電気通信するように配置することもでき、これにより、モータ119によって実行することができるローカル又はリモートコマンドを同様に提供することができる。
【0045】
連結部118は、グラップル支持部116及び枕木グラップルクランプ114に旋回可能に連結されている。グラップル支持部116と枕木グラップルクランプ114との間が枢動的に接続されるので、枕木グラップルクランプ114が第1及び第2のグラップル支持梁102、104に隣接して配置される第1のグラップル位置(
図17、18、及び21に示される)、及び枕木グラップルクランプ114が鉄道軌道58に隣接して配置される第2のグラップル位置(
図19、20、及び22に示す)の間で枕木グラップルクランプ114が鉛直方向に沿って動くことできる。図示された非限定的な例では、アクチュエータ120が枕木グラップルクランプ114とグラップル支持部116との間に連結されて、第1及び第2のグラップル位置間の移動を容易にする。アクチュエータ120は、空気圧、油圧、又は電気で駆動され得るピストンシリンダアクチュエータの形態であり得る。いくつかの態様では、アクチュエータ120は、コントローラ109と電気通信するように配置することもでき、それにより、アクチュエータ120によって実行することができるローカル又はリモートコマンドが提供される。いくつかの態様では、操作者はアクチュエータ120に電気的指示を与えて、枕木グラップルクランプ114を第1のグラップル位置と第2のグラップル位置との間で移行させることができる。
【0046】
動作中、下部構台組立体100は、上部構台組立体30a、30b、30cのうちの1つ又は複数とともに使用され得る。例えば、下部構台組立体100と1つ又は複数の上部構台組立体30a、30b、30cの両方を使用して、鉄道軌道58に沿って鉄道枕木を交換することができる。上部構台組立体30a、30b、30cを使用して鉄道軌道58を吊上げながら、下部構台組立体100を操作して古い鉄道枕木を取り外し、新しい鉄道枕木を取り付けることができる。移動式クレーン10は鉄道車両として動作可能であるので、移動式クレーン10は順次に鉄道枕木を交換して軌道に沿って移動することができ、それによって生産性を高め鉄道枕木交換作業を行うのに必要な時間を短縮する。当業者には理解されるように、移動式クレーン10によって規定されるモジュール性の故、上部構台組立体30a、30b、30c及び下部構台組立体100の数及び構成を変えて移動式クレーン10を特定の用途に合わせることができる。
【0047】
移動式クレーン10を使用して新しい鉄道軌道パネルを設置する1つの非限定的な例が、
図23~
図29を参照して示され説明される。
図23及び
図24に示すように、移動式クレーン10は最初は輸送形態にあり、それによって移動式クレーン10を作業領域に輸送することができる。開示された方法のいくつかの例では、移動式クレーン10は、2つの傾斜台車126、128の間を移動する鉄道車両として(例えば輸送形態で)輸送することができる。前方傾斜台車126には、軌道132上に設置するための複数の新しい軌道/スイッチパネル130を事前装填することができる。後方傾斜台車128は、移動式クレーン10によっていったん取り外された古い鉄道軌道/スイッチパネルを受けるように構成されてもよい。1つの前方傾斜台車126及び1つの後方傾斜台車128しか示されていないが、移動式クレーン10は、複数の前方傾斜台車126及び/又は複数の後方傾斜台車128を有する作業領域に輸送されてもよいことを理解されたい。
【0048】
移動式クレーン10が作業領域に到達すると、移動式クレーン10は作業形態に移行することができ、
図25に示すように1つ又は複数の上部構台組立体30a、30b、30cを使用して新しい鉄道軌道パネル130を前方傾斜台車126から吊り上げることができる。いくつかの例では、4つの吊上機42を使用して新しい鉄道軌道パネル130を支持し、新しい鉄道軌道パネル130が古い鉄道軌道パネル131の上に整列するまで、上部構台組立体30a、30b、30cを第1及び第2のトラス組立体12及び14に沿って長手方向に移動させることができる。その後、新しい鉄道軌道パネル130を古い鉄道軌道パネル131の上に下げることができ、吊上機42を新しい鉄道軌道パネル130から取り外すことができる。次に、吊上機42を古い鉄道軌道パネル131の下に配置することができ、そこで
図26に示すように、これらを使用して新旧鉄道軌道パネルの両方を同時に吊上げて、鉄道軌道内にレール間隔133を形成することができる。上部構台組立体30a、30b、30cは、
図27に示すように、第1及び第2のトラス組立体12、14に沿って後方傾斜台車128に向かって変位させることができ、ここで吊上機42を取り外すことができる。新旧の鉄道軌道パネル131、130が後方傾斜台車128上にある状態で、新しい鉄道軌道パネル130を古い鉄道軌道パネル131からロールオフし、次いで
図28に示されているように新しい鉄道軌道パネル130を上部構台組立体30a、30b、30cの吊上機42を介して再び吊り上げることができる。この位置から、
図29に示すように、新しい鉄道軌道パネル130を所定の位置に下げ/傾けて設置することができる。新しい鉄道軌道パネル130の設置が完了すると、移動式クレーン10を輸送形態に戻し、作業現場から遠ざけることができる。移動式クレーン10の設計及び構成は、限られた時間及びスペースで新しい鉄道軌道パネルを作業領域に配達し設置することを可能にする。
【0049】
図30~
図33に示すように、鉄道軌道パネル131全体を交換することに加えて、移動式クレーン10を使用して橋枕木を交換することもできる。いくつかの態様では、上部構台組立体30a、30b、30cと下部構台組立体100との組み合わせが橋枕木交換工程中に使用される。以下の説明は橋枕木交換工程を説明するために提供されているが、当業者は、移動式クレーン10及び下部構台組立体100の設計及び特性が鉄道枕木交換工程を実行するためにも使用され得ることを理解するであろう。
【0050】
図30に示されるように、第2の鉄道車両端部組立体17は、ラック142上に積み重ねられた複数の新しい橋枕木140を支持することができる。後述するように、移動式クレーン10の設計及び特性により、新しい橋枕木140の準備及び設置並びに古い橋枕木141の取外しを容易にする組立ラインを構成することが可能になる。
【0051】
複数のラック橋枕木140は、例えば荷車(図示せず)によって第2の鉄道車両端部組立体17に設けられる。当然のことながら、橋枕木交換工程は、第2の鉄道車両端部組立体17上の新しいラック橋枕木140を用いて説明されるが、移動式クレーン10が対称性を画定するので、荷車によって第1の鉄道車両端部組立体16に設けられる新しいラック橋枕木140で工程を開始してもよい。
【0052】
ラック橋枕木140が第2の鉄道車両端部組立体17に提供されると、1つの吊上機42を使用して1つのラック142を新しい橋枕木140のスタックから吊上げ、それを上部構台組立体30a、30b、30cのうちの1つをトラス組立体12、14に沿って並進させることによってドリル及びラグプレート領域144に移動させる。移動式クレーン10の設計によって内部空間27全体に仕事が流れるので、ドリル及びラグプレート領域144は、第1及び第2の鉄道車両端部組立体16、17の間に配置することができる。
【0053】
ドリル及びラグプレート領域144において、作業者は、複数の新しい橋枕木140を橋及び軌道86及び88に組み立てるために必要とされる必要な任意の穴をラグボルト又はプレート枕木に空けることができる。複数の新しい橋枕木140のラック142がドリル及びラグプレート領域144内に十分に準備されると、複数の新しい橋枕木140のラック142を1つの吊上機42を介してプレート枕木領域146に移動させることができる。プレート枕木領域146は、ドリル及びラグプレート領域144の下流側(即ち、第1の鉄道車両端部組立体16に向かって)に配置されてもよい。プレート枕木領域146において、ラック142内の複数の新しい橋枕木140のそれぞれの上に1つ又は複数のメッキ枕木(例えば、eクリップ、基部プレート、ファストクリップ、テンションクランプなど)を取り付けることができ、これで設置のための複数の新しい橋枕木140の準備を完了する。
【0054】
プレート枕木領域146に新しい橋枕木140のラック142を用意した状態で、下部構台組立体100を使用して古い橋枕木141を取り外すことができる。下部構台組立体100は、最初に下部支持梁26に沿って古い橋枕木141に向かって移動させて取り外すことができる。下部構台組立体100が古い橋枕木141の上方に配置されると、第1のグラップル位置から第2のグラップル位置に枕木グラップル組立体112を移行させるようにアクチュエータ120を作動させることができ、その位置で枕木グラップルクランプ114を古い橋枕木141に係合することができる。モータ119を作動させて枕木グラップル組立体112を外側に移動させ、それによって古い橋枕木141を軌道86、88の下から取り外すことができる。取り外された古い橋枕木141をラック142上に配置し、ラック142上の複数の新しい橋枕木140のうちの1つを枕木グラップルクランプ114によって掴んで軌道86、88の下に設置することができる。
【0055】
当該技術分野において知られているように、軌道86、88は、橋枕木の取り外し及び取り付けを容易にするのにわずかに吊上げられるべきである。移動式クレーン10は、必要に応じて、一方の吊上機42を使用して新しい橋枕木140のラック142を支持及び移動させ、橋枕木交換中に他方の吊上機42を使用して軌道86、88を吊上げて支持する。ラック142上の全ての新しい橋枕木140が設置され、ラック142が古い橋枕木で一杯になると、ラック142は、吊上機42のうちの1つを介して第1の鉄道車両端部組立体16に移動することができ、そこで台車(図示せず)がそれを所望の場所に輸送する。上記の工程は、必要とされる新しい橋枕木140の全てが設置されるまで必要に応じて繰り返されてもよい。上述の工程は、別々のステップで実行される必要はなく、例えば同時に実行される1つ又は複数のステップを含み得ることを理解されたい。
【0056】
移動式クレーン10の設計及び特性によって促進されるこの橋枕木交換工程は、橋枕木を交換する効率を著しく向上させる。例えば、移動式クレーン10は、1時間で25本以上の橋枕木を交換することを容易にすることができる。さらに、移動式クレーン10はモジュール式であってもよく、所望の数の上部構台組立体30a、30b、30c及び所望の数の下部構台組立体100を含むように用途ごとに構成されてもよいので、工程を合理化することができる。例えば、複数の新しい橋枕木140のうちの1つのラック142がドリル及びラグプレート領域144に準備される一方で、ほぼ同時に複数の新しい橋枕木140のうちの別のラック142がプレート枕木領域146に準備されてもよいし、及び/又は古い橋枕木は軌道86、88から取り外されてもよい。従って、移動式クレーン10の設計及び特性によって橋枕木交換工程が合理化され、それによって現場作業者がより効率的且つより折よく古い橋枕木を取り外し新しい橋枕木を設置することを可能にする。
【0057】
図34は、本開示の一態様によるレール支持構造体200を示す。レール支持構造体200は、例えば移動式クレーン10によって利用されて、軌道(例えば、鉄道軌道又は橋軌道)上のレール86、88を選択的に支持又は吊り上げることができる。一般に、レール支持構造体200は、1対の軌道86、88と選択的に係合させることができ、ロック解除位置とロック位置との間で選択的に移動可能とすることができる。ロック解除位置とロック位置との間の移動は、例えば、移動式クレーン10の1つ又は複数の吊上機42を操作することによって管理することができる。例えば、吊上機42はレール支持構造体200の少なくとも一部に選択的に連結され、レール支持構造体200の少なくとも一部が吊上げらレールと、レール支持構造体200は軌道上1対のレール86、88にロックされる。一旦ロック位置になると、例えば、吊上機42を介してレール支持構造体200を吊上げて枕木交換手順を行うことができる。レール支持構造体200は、移動式クレーン10と共にのみ使用することに限定されず、他の非限定的な例では、他のクレーン又は吊上構造と共に使用することができることを理解されたい。
【0058】
図34~
図36を参照すると、図示のレール支持構造体200は、主梁202、第1のクランプ204、及び第2のクランプ206を含む。主梁202は、主梁202のほぼ中心線に沿って配置された位置決め開口部208を含み得る。いくつかの非限定的な例では、位置決め開口部208は、吊上機42のうちの1つに連結され得、レール支持構造体200がロック解除されると、レール支持構造体200を1対のレールに沿って並進させるのに利用され得る。代替的又は追加的に、位置決め開口部208は別の場所を提供し、そこで1つの吊上機42が連結されて1対のレールを支持又は吊り上げる。いくつかの態様では、位置決め開口部208は細長い形状によって画定されている。
【0059】
主梁202は、その両端に配置された1対の主レール部210を含む。即ち、一方の主レール部210は主梁202の第1の端部211に隣接して配置され、他方の主レール部210は第1の端部211と反対側の主梁202の第2の端部214に隣接して配置される。主レール部分210は、主梁202と一体的に形成されてもよく、その遠位端に配置された主レールフィンガ212まで(
図34から見て)下方に延びてもよい。主レールフィンガ212は、それぞれのレールによって少なくとも部分的に受け取られそれと係合するように寸法決めされる。例えば、レール支持構造体200が1対のレールの間に設置されると、主レールフィンガ212は、それぞれのレールのウェブ(即ち、レールの頭部と脚部との間のレールの内面)内に受容され得る。主梁202は、主レールフィンガ212間の距離が主梁202をその間に設置することができる1対のレール間の距離と一致するように設計することができる。主レールフィンガ212によって画定される輪郭は、レールのウェブによって画定される対応する輪郭に一致するように構成され得る。即ち、主レールフィンガ212の端部によって画定さレール形状は必要に応じて様々なレール輪郭に適合するように設計されてもよい。例えば、主梁202は標準ゲージレール又は4フィート6インチ軌道ゲージと係合するように設計されてもよい。
【0060】
第1のクランプ204は主梁202の第1の端部212に旋回可能に連結され、第2のクランプ206は主梁202の第2の端部214に旋回可能に連結されている。一般に、第1のクランプ204及び第2のクランプ206は同様の構成要素を含み得る。従って、以下の第1のクランプ204の説明は、第2のクランプ206にも当てはまり、同様の構成要素は同様の参照番号を使用して識別される。第1のクランプ204は、第1のクランプ204の吊上端部222の第1のスペーサ220と第1のクランプ204の締め付け端部224の第2のスペーサ223とによって離隔された第1のクランプ梁216と第2のクランプ梁218とを含む。第1及び第2のクランプ梁216及び218はそれぞれレバー部226及びレールクランプ部228を含む。レバー部226は、位置決め開口部208に向かって概して横方向内向きの方向に吊上端部222から枢動開口まで延びる。第1及び第2のクランプ梁216及び218の枢動開口が、レバー部226とレールクランプ部228との間の接合部に配置されてもよい。締結要素230は、第1及び第2のクランプ梁216及び218並びに主梁202内の枢動開口を通って延びて、第1のクランプ204を主梁202に旋回可能に連結することができる。図示された非限定的な例では、締結要素230はボルトとナットの形態であり得る。
【0061】
第1及び第2のクランプ梁216、218のレールクランプ部分228は、枢動開口とクランプ端部224との間に延びてもよい。レールクランプ部分228の各々は、クランプ端部224に配置されたクランプレールフィンガ232を含む。クランプレールフィンガ232は、対応する主レールフィンガ212がクランプレールフィンガ232間でほぼ整列するように、第1のスペーサ220及び第2のスペーサ223を介して離隔されてもよい。クランプレールフィンガ232は、それぞれのレールによって少なくとも部分的に受容されそれと選択的に係合する大きさにされている。例えば、レール支持構造体200が1対のレールの間に設置されると、クランプレールフィンガ232は、それぞれのレールのウェブ(即ち、レールの頭部と脚部との間のレールの外面)内に受容され得る。クランプレールフィンガ232によって画定される輪郭は、主レールフィンガ212の輪郭と同様であり得る。即ち、クランプレールフィンガ232によって画定される輪郭は、レールのウェブによって画定される対応する輪郭に一致するように構成され得る。クランプレールフィンガ232の端部によって画定される形状は、要望に応じて、様々な異なるレール輪郭に適合するように設計されてもよい。
【0062】
吊上開口234は、第1のクランプ204の吊上端部222を通って(例えば、第1及び第2のクランプ梁216、218並びに第1のスペーサ220を通って)延びることができる。吊上開口234は、レール支持構造体200を、例えば移動式クレーン10の1つ又は複数の吊上機42に選択的に連結することを可能にし得る。一般に、動作中、吊上機42は、例えばチェーン及び連結を介してリフトアパーチャ234に連結され、吊上機42は第1及び第2のクランプ204、206の吊上端部222を上下させることができる。第1及び第2のクランプ204、206と主梁202との間が枢動的に連結されるので、クランプ端部224(及び特にレールクランプフィンガ232)が吊上端部222の昇降により1対のレールに係合及び係合解除し、レール支持構造体200がロック位置とロック解除位置との間で移行する。
【0063】
1対の転倒防止プレート236が、レール支持構造体200を構造的に支持するように設けられて、1対のレール上に設置されたときにレール支持構造体200が転倒するのを一般に防止することができる。具体的には、転倒防止プレート236は、レールと平行な方向に構造的支持を提供してレール支持構造体200がレール上に転倒するのを防ぐことができる。図示された非限定的な例では、転倒防止板236はそれぞれ、転倒防止板236が主梁202の主レール部210の対応する1つの少なくとも一部の上に滑り込むことができるスロット238を含む。設置時には、転倒防止プレート236を主レールフィンガ212から離隔させて、それらの間にレールを配置することができ、転倒防止プレート236をレールの頂部と係合させることができる。転倒防止プレート236はそれぞれ、設置時にレールと平行な方向に延びてレール支持構造体200を構造的に支持する支持面240を含む。
【0064】
レール支持構造体200の1つの非限定的な動作例が、
図34~
図39を参照して説明される。いくつかの非限定的な例では、レール支持構造体200を移動式クレーン10と組み合わせて使用して1対のレールを吊上げて、レールが吊上げられるのを必要とする又は改善する工程を実行することができる(例えば、鉄道/橋枕木の交換)。例えば、
図37に示すように、レール支持構造体200は、最初に1対のレール242の間に設置することができる。レール242間にレール支持構造体200を設置するために、レール支持構造体200を最初にレール242の間に角度を付けて配置し、次に回動させてレール242に対して実質的に垂直に配置することができる。レール242に対して実質的に垂直に配置されると、主レールフィンガ212は、レール242の内面(例えば、内側ウェブ)内に少なくとも部分的に収容されて係合することができる。この状態では、レール支持構造体200をレール242からロック解除し、レール支持構造体200をレール242に沿ってそれに沿った所望の位置に並進させることができる。
【0065】
レール支持構造体200がレール242に沿った所望の位置に配置されると、移動式クレーン10の1つ又は複数の吊上機42を、吊上開口234を介してレール支持構造体200に連結することができる。レール支持構造体200をレール242に沿って並進させることができるロック解除位置からレール242にロックされ且つレール242を支持及び/又は吊り上げることができるロック位置へと移行させるために、
図38に示すように、吊上機42が第1及び第2のクランプ204、206の吊上端部222を吊り上げてもよい。第1及び第2のクランプ204、206が主梁202に枢動的に連結するので、吊上端部222の吊上げは、クランプ端部224を枢動させてレール242の外面と係合させてもよい。具体的には、クランプレールフィンガ232は、レール242と係合するように旋回的に押し込まれてもよい。従って、吊上端部222が吊上機42によって吊上げられた状態で、主レールフィンガ212及びクランプレールフィンガ232は各レール242の両側に締め付けられ、それによってレール支持構造体200はレール242を必要に応じて支持及び/又は吊り上げることが可能になる。主梁202に対し第1及び第2のクランプ204、206が枢動することで、レール支持構造体200はレール242をそれが使用されるレール242の標準化されたゲージに合わせられる。
【0066】
レール支持構造体200がロック位置にあるとき、吊上機42はレール242に提供さレール支持/吊上量を制御することができ、それによってレール242が吊上げられるときに必要又は改善される様々な工程が行われ得る。例えば、
図38及び
図39を参照すると、レール支持構造体200がレール242を吊り上げると同時に、移動式クレーン10の1つ又は複数の下部構台組立体100を使用してレール242の下に配置された枕木を交換することができる。
【0067】
従来のクレーンは、新しい橋梁の設置、橋梁の交換、又は橋梁への軌道の交換手順中にいくつかの非効率性を引き起こす。例えば、従来のクレーンは、軌道パネルを設置/交換するために、複数の短い軌道パネルを使用し、且つ橋梁への及び橋梁からの対応する回数の往復を必要とする。さらに、取り外し後の古い橋梁又は軌道パネルの保管及び設置前の新しい橋梁又は軌道パネルの保管は、例えば軌道の側面で行われるため、これらの部品を前後に移動する必要があり、複数の移動それによる軌道占有/閉鎖が増大する。
【0068】
本明細書に記載の移動式クレーンは、例えば移動式クレーン10によって画定される長さによるこれらの欠点を克服し、それによって移動式クレーン10は橋梁の据付け/交換中に発生する必要な作業の全てに使用できる。例えば、移動式クレーン10は、パネル構造、足場、運搬、設置及び取り外しに使用することができる1つ又は複数の平台型貨車(傾斜台車両126及び128とは対照的に又はそれに加えて)に取り付けることができる。いくつかの非限定的な例では、平台型貨車(図示せず)は、75トンの積載量で長さが約89フィートであり得る。橋梁の設置/交換中に、新しいクレーン及び新しい軌道パネルが、移動式クレーン10に取り付けられている1つ又は複数の平台型貨車の橋梁の場所に配達されることがある。移動式クレーン10を使用して、既存の橋梁及び既存の軌道パネルを取り外し、それらを移動式クレーン10の片側に配置された平らな車に移動させることができる。移動式クレーン10のスルークレーン能力により、1つ又は複数の上部構台組立体30a、30b、30cによって操作されて移動式クレーン10の反対側に配置された平台型貨車から移動式クレーン10に新しいクレーン及び軌道パネルを挿入し設置することができる。従って、移動式クレーン10の設計及び特性により、移動式クレーン10は、とりわけ、新しいパネルの送達、古いパネルの取り外し、古いパネルの廃棄、橋枕木の交換、鉄道枕木の交換、及び新しいパネルの設置に使用できる。
【0069】
さらに、移動式クレーン10はモジュール式組立体であり、いくつかの移動式クレーン10を同じ組立体の一部にすることができる。例えば、作業能力を向上させるために、いくつかの移動式クレーン10をモジュール方式で端から端まで結合することができる。この組立体は橋梁のまわりの仕事容量を高める。さらに、複数の延長部20、22を同じトラス組立体12、14に連結することができる。そのような場合、トラス組立体12、14は、隣接する鉄道車両(例えば、傾斜台車両126、128、又は標準的な鉄道車両)に亘って延在することができ、それによって、構台組立体30a、30b、30cのためのより大きな作業範囲が可能になり得る。提供される橋パネルを交換する方法を実行するのにこれが役立って、例えば、1つ又は複数の上部構台組立体30a、30b、30cを傾斜台車両126、128上で摺動させ、ここで傾斜台車126の上に載っている新しい軌道パネル130に連結できる。
【0070】
従来の橋梁組立体では橋梁と地面の間に遷移点がある。即ち、橋梁は、他のコンクリート架台の上に置かれたコンクリート材料で形成することができ、1つの硬さを画定することができ、地面はずっと柔らかくすることができる。軌道が取り付けられている材料の硬度は軌道係数を定義することができる。従って、従来の橋梁組立体では、橋をまたぐ軌道は、橋と地面との間の遷移点で軌道係数の段階的変化を画定することができる。列車又は他の軌道走行機械がこれらの遷移点を通過するとき、列車のサスペンションは衝撃を受け、それが橋を通過した後もサスペンションを継続的に振動させる虞がある。列車がこれらの遷移点で受ける衝撃はまた橋軌道に追加の衝撃荷重を与えそれは列車の重量に加わる。従って、現在の橋梁の設計では、遷移点における軌道弾性率の段階的変化の直接的な結果である衝撃係数が説明されなければならない。
【0071】
本開示は、一般に、橋梁と地面との間の軌道係数の段差を緩和するために橋梁の両端に設置することができる進入スラブを提供する。例えば、進入スラブは、地面よりも硬いが橋梁よりも柔らかい軌道係数を画定して地面と橋梁との間の軌道係数の滑らかな移行をもたらすことができる予め製造された構成要素とすることができる。いくつかの非限定的な例では、進入スラブは、バラストが軌道の真下及び/又は進入スラブの真下から移動するのを実質的に防止するためのバラスト保持システムを含むことができる。
【0072】
図40は、進入スラブ300を用いて橋梁の設置/交換用途で実施される移動式クレーン10の非限定的な例を示している。図示の非限定的な例では、橋梁302の両端に2つの進入スラブ300が設置されている。いくつかの非限定的な例では、進入スラブ300はケーシング工程を使用して製造されてもよく、設置の前に事前に鋳造されてもよい。進入スラブ300を予め鋳造することによって、進入スラブを設置するのに必要な時間を大幅に短縮することができる。
【0073】
各進入スラブ300は、軌道面304、1対のバラスト保持フランジ306、及び1対の地面保持フランジ308を含む。軌道面304は、バラストで充填され、その上に設置することができる軌道パネルを支持するように構成されている。1対のバラスト保持フランジ306は、進入スラブ300の横方向に対向する端部から(
図40から見て)上方に延びる。一般に、バラスト保持フランジ306は、軌道の下で且つバラスト保持フランジ306の間にバラストを横方向に保持するための停止部を提供する。軌道の下にバラストを横方向に保持することで、従来の橋梁の設計において生じる軌道の下からシフトアウトするバラストを交換するために必要とされる橋梁の保守の頻度を減らすことができる。
【0074】
1対の地面保持フランジ308は、進入スラブ300の横方向に対向する端部からバラスト保持フランジ306とは反対方向に(
図40から見て)下方に延びる。一般に、地面保持フランジ308は、進入スラブ300の下で地面保持フランジ308の間にバラスト又は地面を横方向に保持するための止めを提供する。バラスト保持フランジ306と同様に、進入スラブ300の下のバラスト又は地面が移動するのを防止することで、移動したバラストを交換するのに必要とされる橋梁のメンテナンスの頻度を減らすことができる。
【0075】
図示の非限定的な例では、移動式クレーン10の下部構台組立体100はそれに連結された調整器310を含む。一般に、下部構台組立体100がモジュール方式なので、鉄道又は橋梁の設置、交換、及び/又は保守工程中に使用される1つ又は複数の付属品をそれに連結することが可能になる。調整器310は、
図40に示すように橋梁の設置/交換工程中に実施することができる。調整器310は、その一方の端部で下部構台組立体100の連結部118に連結された支持梁構造312を含む。支持梁構造312は、その反対側の端部で調整板314に連結されている。調整板314は、橋梁の設置/交換工程中に複数の作業を実行することができる。例えば、下部構台組立体100は下部支持梁26に沿って長手方向に所望の方向に並進運動することができるので、調整板314を使用して橋梁302上のバラストを掘削し、及び/又はスラブ300を既存の軌道又は枕木を取り外した後に高すぎるスラブ300に接近することができる。代替的に又は追加的に、調整板314を使用して既存のバラストを取り除き、進入スラブ300を設置するための場所を空けることができる。このようにして、調整板314は、橋梁302上に存在するか又はスラブ300に接近する可能性があるあらゆるバラスト又は地面を平らにするための鋤として機能することができる。
【0076】
一般に、橋梁の設置/交換工程中に、移動式クレーン10を使用して橋軌道パネル及び/又は橋梁を取り外すことができる。いくつかの非限定的な例では、上部構台組立体30a、30bなどのうちの1つは、橋上の軌道を吊り上げるために使用され得、上部構台組立体30a、30bなどのうちの他方及び/又は下部構台組立体100を使用して、橋枕木及び/又は橋軌道パネルを取り外すことができる。所望の橋構成要素が除去されると、橋梁302の端部に隣接する領域を掘削して進入スラブ300を設置するための場所を空けることができる。例えば、調整器310を使用して橋梁の端部に隣接するバラストを除去することができ及び/又は掘削機を使用して進入スラブ300のためのスペースを空けるのに十分な地面/バラストを掘り出すことができる。いくつかの非限定的な例では、グラウトは、進入スラブ300の設置の前に掘削領域に置かれてもよい。いくつかの非限定的な例では、進入スラブ300は、地面/バラストへの設置及び沈降の後にグラウトとして使用されてもよい。
【0077】
進入スラブ300のためのスペースが掘削されると、移動式クレーン10を、例えば、上部構台組立体30a、30bなどの1つ又は複数の吊上組立体36、38と共に使用して、進入スラブ300を所定の位置に移動し、掘削した空間の中に沈降することができる。本明細書に記載されているように、進入スラブ300はプレキャスト部品とすることができ、これは設置を合理化し軌道の占有/閉鎖を減少させる。橋梁302の両端に進入スラブ300を取り付けると、バラスト保持フランジ306間に、必要ならば橋梁302に沿ってバラストを埋めることができ、次いで橋枕木又は橋軌道パネルをその上に取り付けることができる。
【0078】
進入スラブ300は、地面の画定された軌道係数と橋梁302の画定された軌道係数との間の軌道係数を提供するように設計されている。いくつかの非限定的な例では、進入スラブ300は、地面及び橋梁の軌道係数の真ん中付近の軌道係数を提供するように設計されている。このようにして、進入スラブ300は、地面から橋梁への軌道係数の滑らかな移行を提供し、従来の橋における軌道係数の急激なステップ変化を除去する。軌道弾性率の滑らかな移行を提供することによって、進入スラブ300は、列車の吊り下げを受ける衝撃を軽減し、それによって列車が橋梁302を通過するときに橋梁302に与えられる衝撃荷重を軽減する。衝撃荷重を減らすことで、従来の橋梁の設計と比較して、既存の橋梁の寿命を延ばし新しく設置された橋梁の寿命を延ばす。
【0079】
図41及び
図42を参照して、移動式クレーン10に存在し得る追加の特徴が説明される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の運転荷車400をトラス組立体12、14の下部支持梁26に連結することができる。運転荷車400は、下部構台組立体100と同様に、下部支持梁26の一部の周りに延びることができ、下部支持梁26に沿って移動式クレーン10内の所望の位置まで摺動することができる。運転荷車400はそれぞれ、部分的に密閉されたプラットフォーム402を含むことができ、プラットフォーム402は内部空間27内に延在して作業者が移動式クレーン10内で安全に作業できるようにすることができる。
【0080】
いくつかの橋枕木交換工程では、複数の橋枕木140を有利に同時に輸送することができる。従って、マルチ枕木グラップルツール404を吊上機42に連結することができ、吊上機42は次いでいくつかの橋枕木140を同時に吊り下げることができる。マルチ枕木グラップルツール404は、橋枕木がアーム406上に装填されたときに橋枕木140の上方に延びる大きさとされたフレーム408から外側に延びる2つ以上のアーム406を有することができる。ネック410は、フレーム408から連結アーム412に向かって上方に延びる。連結アーム412は、吊上機42を受け入れることができる開口部414又は取付システムを含み得て、マルチ枕木式グラップルツール404を吊上げて釣り合わせる。
【0081】
いくつかの態様では、運転席組立体416を下部構台組立体100に連結することができる。運転席組立体416は下部構台組立体100から離れるように外向きに延び、作業者がトラス組立体12、14の外側の橋梁に安全にアクセスして作業することを可能にする。運転席組立体416は、下部構台組立体100に対して回動可能でありこれにより作業者はさらなる操作性を得ることができる。
【0082】
運転席組立体416は、第1又は第2のトロリ106、108に堅固に又は取り外し可能に連結することができる座席支持体418及び取付システム420を含むことができる。取付システム420は、連結器424を部分的に囲む外側ハウジング422を含み得る。座席支持体418の第1のアーム426は、連結器424内に受けられ得、これで座席支持体418の連結器424に対する回動が可能になる。第1のアーム426は第2のアーム428に向かって延びることができ、第2のアーム428は第1のアーム426から離れるようにほぼ垂直に延びる。第3のアーム430は、第2のアーム428から離れるようにほぼ垂直に第1のアーム426とほぼ平行に延びる。第4のアーム432が第2のアーム428とほぼ平行に第3のアーム430から離れる方向に延びる。いくつかの態様では、座席434はオペレータを着座させるために第4のアーム432にしっかりと連結されている。レッグレスト436は、第4のアーム432を通って延びて操作者の脚を支持することができる。いくつかの態様では、複数の締め金438、440、442を使用して座席支持体418の外部構造を強化する。座席支持体418は、金属又は他の剛性材料を含み得る。
【0083】
本明細書内では、明確で簡潔な明細書が書けるように実施形態を説明してきたが、実施形態は本発明から逸脱することなく様々に組み合わせたり分離したりすることができる。例えば、本明細書に記載のすべての好ましい特徴が本明細書に記載の本発明のすべての態様に適用可能であることが理解されよう。
【0084】
従って、本発明を特定の実施形態及び実施例に関連して説明したが、本発明は必ずしもそのように限定されず、他の多数の実施形態、実施例、使用、修正及び実施形態、実施例及び使用からの逸脱がここに添付の請求項によって限定されるものである。本明細書中に引用された各特許及び刊行物の全開示はあたかもそのような各特許又は刊行物が本明細書中に個別に参考として援用されるかのように参照して援用される。
【0085】
本発明の様々な特徴及び利点は特許請求の範囲に記載されている。