(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】積層型半導体装置及びこれに用いる複数のチップ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20220701BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20220701BHJP
H01L 25/04 20140101ALI20220701BHJP
【FI】
H01L21/60 311S
H01L21/92 602G
H01L21/92 602R
H01L21/92 603A
H01L21/92 604C
H01L25/04 Z
(21)【出願番号】P 2020558248
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(86)【国際出願番号】 JP2019043453
(87)【国際公開番号】W WO2020105432
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2020-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2018218710
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313003358
【氏名又は名称】東北マイクロテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100218280
【氏名又は名称】安保 亜衣子
(74)【代理人】
【識別番号】100108914
【氏名又は名称】鈴木 壯兵衞
(74)【代理人】
【識別番号】100173864
【氏名又は名称】齊藤 健治
(72)【発明者】
【氏名】元吉 真
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/081798(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/136241(WO,A1)
【文献】特開平08-340000(JP,A)
【文献】特開平07-211720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 25/04
H01L 21/603-21/607
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を複数のチップ搭載領域に分割した親基板と、
前記複数のチップ搭載領域のそれぞれに対向して、前記第1主面側に搭載された複数の矩形のチップと、
前記親基板側の第1バンプ及び前記チップ側の第2バンプを有し、該第1及び第2バンプの少なくとも一方が筒状の側壁部を有し、前記側壁部の窄み又は前記側壁部への凹部形成のいずれかの、押圧による前記側壁部の変形によって仮接続して前記複数の
チップ搭載領域のそれぞれに配置された単位素子からの信号を前記複数のチップにそれぞれ集積化された回路に独立してそれぞれ伝達し、力を更に増大した押圧により前記仮接続の高さよりも低い本接続によって、前記親基板と前記複数のチップのそれぞれを、前記側壁部を更に変形させることによって結合する複数のバンプ接続体と
を備え、前記仮接続後、前記複数のバンプ接続体が複数の基板側接続部と前記複数の基板側接続部に対応する複数のチップ側接続部にそれぞれ分離可能であることを特徴とする積層型半導体装置。
【請求項2】
第1主面を複数のチップ搭載領域に分割した親基板と、
前記複数のチップ搭載領域のそれぞれに対向して、前記第1主面側に搭載された複数の矩形のチップと、
前記親基板側の第1バンプ及び前記チップ側の第2バンプを有し、該第1及び第2バンプの少なくとも一方が筒状の側壁部を有し、筒状の側壁部への凹部形成によって仮接続し、力を更に増大した押圧により前記仮接続の高さよりも低い本接続によって、前記親基板と前記複数のチップのそれぞれを、前記側壁部を更に変形させることによって結合する複数のバンプ接続体と
を備え、前記仮接続後、前記複数の
チップ搭載領域のそれぞれに配置された単位素子からの信号を前記複数のチップにそれぞれ集積化された回路に独立してそれぞれ伝達して検査し、不良の発見された場合は、不良の発見されたバンプ接続体を、基板側接続部とチップ側接続部に分離可能であり、
前記分離された箇所において、前記側壁部へ形成された凹部とは異なる箇所に新たな凹部を形成によって、新たなチップ側接続部が接続されることを特徴とする積層型半導体装置。
【請求項3】
互いに対向する第1及び第2主面を有し、前記第1主面に定義される第1格子に沿って分割された単位素子領域のそれぞれに複数の単位素子を配列し、前記第1格子よりもメッシュ数の少ない第2格子に沿って前記第1主面を複数のチップ搭載領域に分割した親基板と、
前記複数のチップ搭載領域のそれぞれに対向して、前記第1主面側に搭載された複数の矩形のチップと、
前記複数の単位素子の配列に対応した第3格子に沿って配列され、前記親基板と前記複数のチップのそれぞれを仮接続して前記複数の単位素子からの信号を前記複数のチップにそれぞれ集積化された回路に独立してそれぞれ伝達し、前記仮接続の高さよりも低い本接続によって、前記親基板と前記複数のチップのそれぞれを結合する複数のバンプ接続体とを備え、
前記仮接続後、前記複数のバンプ接続体が複数の基板側接続部と前記複数の基板側接続部に対応する複数のチップ側接続部にそれぞれ分離可能であり、
前記複数の基板側接続部は、前記第3格子に沿って配列され、前記複数の単位素子からの信号をそれぞれ出力する複数の第1ランドを有し、
前記複数のチップ側接続部は、前記複数のチップの前記第1主面に対向するそれぞれの面に、前記第3格子に沿って配列され、前記複数のチップにそれぞれ集積化された回路に前記信号をそれぞれ入力する複数の第2ランドを有し、
前記複数の基板側接続部のそれぞれは、前記複数の第1ランドのそれぞれに底部を接し、該底部の外周に連結した筒状の側壁部を有する複数の第1バンプを更に有することを特徴とする積層型半導体装置。
【請求項4】
前記複数のチップ側接続部のそれぞれは、前記複数の第2ランドのそれぞれに底部を接し、前記仮接続において、前記複数の第1ランドの前記側壁部の一部にそれぞれ金属学的に接する第2バンプを更に有することを特徴とする請求項3に記載の積層型半導体装置。
【請求項5】
前記第2バンプは、前記複数の第2ランドのそれぞれに底面を接した錐体であり、前記仮接続において前記複数の第1バンプのそれぞれの側壁部の上端が、前記錐体の錐面の一部に金属学的に接することを特徴とする請求項4に記載の積層型半導体装置。
【請求項6】
前記第2バンプは、前記複数の第2ランドのそれぞれに底部を接し、該底部の外周に連結した筒状の側壁部をそれぞれ有し、
前記仮接続において、前記複数の第1バンプのそれぞれの側壁部の上端に前記第2バンプが食い込むことにより、前記複数の第1バンプのそれぞれの側壁部の上部に溝部が形成されることを特徴とする請求項4に記載の積層型半導体装置。
【請求項7】
互いに対向する第1及び第2主面を有し、複数の基板側接続部を有した親基板に対し、
前記第1主面に分割された複数のチップ搭載領域のそれぞれに搭載される予定の複数の矩形のチップであって、
前記複数のチップの前記第1主面に対向するそれぞれの面に配列され、前記複数のチップにそれぞれ集積化された回路に、
前記複数のチップ搭載領域のそれぞれに配置された単位素子からの信号をそれぞれ入力する複数のチップ側接続部を備え、
前記親基板側の第1バンプ及び前記チップ側の第2バンプを有し、該第1及び第2バンプの少なくとも一方が筒状の側壁部を有し、前記側壁部の窄み又は前記側壁部への凹部形成のいずれかの、押圧による前記側壁部の変形によって仮接続して
前記信号を前記複数のチップにそれぞれ集積化された回路に独立してそれぞれ伝達して検査し、
不良判定の場合は、不良と判定された特定のチップを前記チップ搭載領域から離脱させ、新たなチップを、更なる押圧による前記側壁部の更なる変形によって再度仮接続し、
正常と判定された場合は、力を更に増大した押圧により前記仮接続の高さよりも低くなるように前記チップ側接続部を圧縮する本接続によって、前記親基板と前記複数のチップのそれぞれを結合することを特徴とする複数のチップ。
【請求項8】
互いに対向する第1及び第2主面を有し、前記第1主面に定義される第1格子に沿って分割された単位素子領域のそれぞれに複数の単位素子を配列し、前記第1格子よりもメッシュ数の少ない第2格子に沿って前記第1主面を複数のチップ搭載領域に分割し、前記第1主面に定義された前記複数の単位素子の配列に対応した第3格子に沿って配列され、前記複数の単位素子からの信号をそれぞれ出力する複数の基板側接続部を有した親基板に対し、前記複数のチップ搭載領域のそれぞれに搭載される予定で、前記第2格子のメッシュ数よりも多い個数の複数の矩形のチップであって、
前記複数のチップの前記第1主面に対向するそれぞれの面に、前記第3格子に沿って配列され、前記複数のチップにそれぞれ集積化された回路に前記信号をそれぞれ入力する複数のチップ側接続部を備え、
前記複数の基板側接続部は、前記第3格子に沿って配列され、前記複数の単位素子からの信号をそれぞれ出力する複数の第1ランドと、前記複数の第1ランドのそれぞれに底部を接し、該底部の外周に連結した筒状の側壁部を有する複数の第1バンプを有し、
前記複数のチップ側接続部は、
前記複数のチップの前記第1主面に対向するそれぞれの面に、前記第3格子に沿って配列され、前記複数のチップにそれぞれ集積化された回路に前記信号をそれぞれ入力する複数の第2ランドと、
前記複数の第2ランドのそれぞれに底部を接し、
仮接続において、前記複数の第1ランドの前記側壁部の一部にそれぞれ金属学的に接する第2バンプと
を有し、
前記親基板と前記複数のチップのそれぞれを
前記仮接続して前記複数の単位素子からの信号を前記複数のチップにそれぞれ集積化された回路に独立してそれぞれ伝達して検査し、
不良判定の場合は、不良と判定された特定のチップを前記チップ搭載領域から離脱させ、新たなチップを再度仮接続し、
正常と判定された場合は、前記仮接続の高さよりも低くなるように前記チップ側接続部を圧縮する本接続によって、前記親基板と前記複数のチップのそれぞれを結合することを特徴とする複数のチップ。
【請求項9】
前記第2バンプは、前記複数の第2ランドのそれぞれに底面を接した錐体であり、前記仮接続において前記複数の第1バンプのそれぞれの側壁部の上端が、前記錐体の錐面の一部に金属学的に接することを特徴とする請求項8に記載の複数のチップ。
【請求項10】
前記第2バンプは、前記複数の第2ランドのそれぞれに底部を接し、該底部の外周に連結した筒状の側壁部をそれぞれ有し、
前記仮接続において、前記複数の第1バンプのそれぞれの側壁部の上端に前記第2バンプが食い込むことにより、前記複数の第1バンプのそれぞれの側壁部の上部に溝部が形成されることを特徴とする請求項8に記載の複数のチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型半導体装置及びこれに用いる複数のチップに係り、特に大口径の親基板とこの親基板に搭載される複数のチップとの積層構造を有する積層型半導体装置のリペア技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、画素電極を含むアクティブマトリクス基板と、各画素電極に接続する導電性バンプによりアクティブマトリクス基板に貼り合わせられた対向基板とを有する放射線二次元検出器を開示する。このようなフリップチップボンディングでは、画素電極のピッチが微細になると均一なバンプにより接続を行うことが困難になる問題があった。これに対して、特許文献2は、信号読出チップの各画素電極と対向基板との間を接続する筒状電極により、接続を確実に行うことができる固体検出器を開示する。
【0003】
しかしながら、大口径の親基板に小口径の回路チップを複数枚搭載する積層型半導体装置では、微細な回路が集積化された回路チップに不良があると、積層型半導体装置が動作しなくなる問題があった。イメージセンサ等に用いる大口径の親基板では、検出素子を画素として配置した親基板は緩いデザインルールで作ることができ、回路的にもシンプルであるので製造が容易で、不良の発生する確率が低い。又、親基板の単位素子や接続配線等に不良があってもランダムで、親基板の出力にはほとんど見えてこない。
【0004】
一方、大口径の親基板に搭載される回路チップは集積度が高く、親基板より遙かに細かなデザインルールで製造されるので、不良の発生の確率が高い。しかし、バンプ等による接続で親基板に回路チップを搭載して試験することによって、はじめて回路チップに集積化された回路の良否が分かる。このため、回路チップで不良率が高い場合やブロック不良がある場合、積層型半導体装置の全体の不良になり、製造効率が悪く、親基板や親基板に搭載された正常動作している回路チップが無駄に浪費されてしまう。
【0005】
斯かる事情を鑑みると、不良な回路チップのみを親基板から剥がして、不良な回路チップのみを別の正常動作する回路チップに交換することが望まれる。しかしながら、現在の技術レベルにおいて、不良がある場合に簡単に特定の回路チップのみを剥がして別の回路チップが簡単に接続できるバンプ等は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2014/006812号
【文献】国際出願第PCT/JP2015/081891号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点を鑑み、搭載されるチップのリペアの処理が容易で製造時間が短縮され、資源の浪費を防ぐことが可能な積層型半導体装置及びこれに用いる複数のチップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、(a)互いに対向する第1及び第2主面を有し、第1主面に定義される第1格子に沿って分割された単位素子領域のそれぞれに複数の単位素子を配列し、第1格子よりもメッシュ数の少ない第2格子に沿って第1主面を複数のチップ搭載領域に分割した親基板と、(b)複数のチップ搭載領域のそれぞれに対向して、第1主面側に搭載された複数の矩形のチップと、(c)複数の単位素子の配列に対応した第3格子に沿って配列され、親基板と複数のチップのそれぞれを仮接続して複数の単位素子からの信号を複数のチップにそれぞれ集積化された回路に独立してそれぞれ伝達し、仮接続の高さよりも低い本接続によって、親基板と複数のチップのそれぞれを結合する複数のバンプ接続体とを備える積層型半導体装置であることを要旨とする。本発明の一態様に係る積層型半導体装置において、仮接続後、複数のバンプ接続体が複数の基板側接続部と複数の基板側接続部に対応する複数のチップ側接続部にそれぞれ分離可能である。
【0009】
本発明の第2の態様は、互いに対向する第1及び第2主面を有し、第1主面に定義される第1格子に沿って分割された単位素子領域のそれぞれに複数の単位素子を配列し、第1格子よりもメッシュ数の少ない第2格子に沿って第1主面を複数のチップ搭載領域に分割し、第1主面に定義された複数の単位素子の配列に対応した第3格子に沿って配列され、複数の単位素子からの信号をそれぞれ出力する複数の基板側接続部を有した親基板に対し、複数のチップ搭載領域のそれぞれに搭載される予定で、第2格子のメッシュ数よりも多い個数の複数の矩形のチップに関する。第2の態様に係る複数のチップは、複数のチップの第1主面に対向するそれぞれの面に、第3格子に沿って配列され、複数のチップにそれぞれ集積化された回路に信号をそれぞれ入力する複数のチップ側接続部を備える。第2の態様に係る複数のチップを備えることにより、親基板と複数のチップのそれぞれを仮接続して複数の単位素子からの信号を複数のチップにそれぞれ集積化された回路に独立してそれぞれ伝達して検査し、不良判定の場合は、不良と判定された特定のチップをチップ搭載領域から離脱させ、新たなチップを再度仮接続する。一方、正常と判定された場合は、仮接続の高さよりも低くなるようにチップ側接続部を圧縮する本接続によって、親基板と複数のチップのそれぞれを結合する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大口径の親基板に搭載されるチップのリペアの処理が容易で製造時間が短縮され、資源の浪費を防ぐことが可能な積層型半導体装置及びこれに用いる複数のチップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る積層型半導体装置(固体撮像装置)を説明する平面図である。
【
図2】
図1のII-II方向から見た断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体の仮接続の状態を説明する模式的断面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体の仮接続で不良が発見され、再離脱した状態を説明する模式的断面図である。
【
図5】第1の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体の本接続の状態を説明する模式的断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体の仮接続の状態を説明する模式的断面図である。
【
図7】
図7(a)は第2の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体において、長方形筒状の第2バンプと長方形筒状の第1バンプとが交差して金属学的に接した状態を説明する平面図で、
図7(b)は円筒状の第2バンプと円筒状の第1バンプとが交差して金属学的に接した状態を説明する平面図で、
図7(c)はバンプ接続体の仮接続した後の第1バンプの側壁部の上端に形成される溝部を説明する模式的断面図である。
【
図8】第2の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体の仮接続で不良が発見され、再離脱した状態を説明する模式的断面図である。
【
図9】第2の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体の本接続の状態を説明する模式的断面図である。
【
図10】第2の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体の仮接続で不良が発見されたため、新たなチップを用いて再び仮接続した状態を説明する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる場合がある。又、図面相互間においても寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。又、以下に示す第1及び第2の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0013】
又、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。
【0014】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る積層型半導体装置は、
図1及び
図2に示すように、大口径の親基板81と、親基板81の一方の主面である第1主面(接続面)に複数の矩形のチップX
ij(i=1~n:j=1~m)を搭載した積層構造をなしている。第1主面には第2主面が平行に対向している。積層型半導体装置が固体撮像装置であれば、親基板81の第1主面に対向する第2主面は、
図2に示すように電磁波Φ
xが入射する入力面を構成する。親基板81の第1主面(接続面)には、第1格子に沿って分割された単位素子領域(画素領域)が定義され、この単位素子領域に単位素子(検出素子)が配列されている。
【0015】
親基板81の第1主面は、第1格子よりメッシュ数の少ない第2格子によって定義される複数のチップ搭載領域に分割されている。チップXijは、分割されたそれぞれのチップ搭載領域からの信号を読み出す。逆に言えば、チップXijの配列位置に対応して、親基板81の第1主面は、第1格子よりメッシュ数の少ないn×mの第2格子を構成する複数のチップ搭載領域に分割されている。
【0016】
親基板81は、p-nダイオード、n-i-nダイオード、p-i-pダイオード等の単位素子(検出素子)を第1格子に沿って分割された単位素子領域(画素領域)に配列した構造をなし、例えば10cm×10cmの大きさである。チップXijは親基板81よりも小さな面積であり、親基板81の大きさに対応して2×2~8×8等の第2格子が定義する領域に、親基板81のほぼ全面を覆うように配列される。
【0017】
図1において、一番上のチップX
11,X
12,X
13,……,X
1mの配列に沿って、親基板81の周辺にはボンディングパッドP
k1,P
k2,P
k3,……,P
ksが配列されている。ボンディングパッドP
k1,P
k2,P
k3,……,P
ksの配列された親基板81の辺を「第1辺」と定義すると、第1辺に連続し第1辺に直交する親基板81の第2辺にそって、親基板81の周辺にはボンディングパッドP
l1,P
l2,P
l3,……,P
ltが配列されている。第2辺に連続し第2辺に直交する親基板81の第3辺にそって、親基板81の周辺にはボンディングパッドP
m1,P
m2,P
m3,……,P
msが配列されている。第3辺に連続し第3辺に直交する親基板81の第4辺にそって、親基板81の周辺にはボンディングパッドP
n1,P
n2,P
n3,……,P
ntが配列されている。
【0018】
図2の断面図において、親基板81の左端に配列されたチップX
21と、親基板81の間に第1格子とメッシュ数の等しい第3格子のそれぞれの領域に配列された複数のバンプ接続体B
11,B
12,B
13,……,B
1pの一列分の配列が示されている。第3格子のメッシュのピッチは第1格子と同じでもよいが、第1格子をピッチ変換したものでもよい。又、チップX
21の右横に配列されたチップX
22と、親基板81の間には第3格子のそれぞれの領域に配列された複数のバンプ接続体B
21,B
22,B
23,……,B
2pの一列分の配列が示されている。同様に、チップX
2(m-1)と親基板81の間には、第3格子のそれぞれの領域に配列された複数のバンプ接続体B
(m-1)1,B
(m-1)2,B
(m-1)3,……,B
(m-1)pの一列分の配列が示されている。
【0019】
更に、親基板81の右端側に配列されたチップX
2mと、親基板81の間には第3格子のそれぞれの領域に配列された複数のバンプ接続体B
m1,B
m2,B
m3,……,B
mpの一列分の配列が示されている。即ち、
図2に一列分の配列の断面構造では、複数のチップX
ijと親基板81との間には、単位素子(検出素子)の第1格子で規定される配置に対応して、第3格子のそれぞれの領域に配列された複数のバンプ接続体B
uv(u=1~m,v=1~p)が示されているが、
図2の断面以外においても同様な構造が存在することは勿論である。
図2のチップX
21,X
22,X
23,……,X
2mの配列の左側には、ボンディングパッドP
n(t-3)が示され、チップX
21,X
22,X
23,……,X
2mの配列の右側には、ボンディングパッドP
l4が示されている。
【0020】
以下の説明では、
図2の断面以外に存在する他のバンプ接続体を含めた、複数のバンプ接続体を総称して、「バンプ接続体B
uv」と呼ぶ。複数のバンプ接続体B
uvのそれぞれは、親基板81の第1主面(接続面)に第1格子に沿って分割された単位素子領域(画素領域)に配列した単位素子(検出素子)のそれぞれと、対応するチップX
ijのそれぞれとを、互いに独立して電気的に接続している。
【0021】
親基板81は緩いデザインルールで作り、回路的にもシンプルであるので製造が容易で、不良の発生する確率が低い。又、親基板81の単位素子や接続配線等に不良があってもランダムで、親基板81の出力にはほとんど見えてこない。一方、チップXijは集積度が高く、バンプ接続体BuvでチップXijを親基板81に接続して試験することによって、はじめてチップXijに集積化された回路の良否が分かる。もし複数個接続されたチップXijで不良率が高い場合やブロック不良がある場合、第1の実施形態に係る積層型半導体装置の不良になる。
【0022】
このため、各チップXijを親基板81に仮接続し、特定のチップXstに集積化された回路に不良がある場合は、そのチップXstを剥がして別のチップXxyを仮接続して、問題が無いかを確認するリペアの作業が必要がある。リペアの作業を予定しているので、チップXijの数は、親基板81に定義される第2格子のメッシュの数よりも多く用意される。
【0023】
なおバンプ接続体B
uvの詳細は
図3~
図5を参照して後述する。バンプ接続体B
uvは、親基板81の第1主面と、この第1主面に対向する複数のチップX
ijのそれぞれの面の間に、親基板81中の複数の単位素子の配列に対応した第3格子に沿って配列されている。バンプ接続体B
uvは、親基板81に集積化された複数の単位素子からの信号を、複数のチップX
ijにそれぞれ集積化された回路に独立して伝達するように配置されている。
【0024】
第1の実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置であれば、親基板81の第1主面(接続面)に配列した単位素子(検出素子)の配列は、イメージセンサ(積層型半導体装置)の画素の配置に対応している。複数のチップXijの信号読出回路のそれぞれは、スイッチング素子Qijやバッファ増幅器の回路を備える。複数のチップXijは、親基板81の第1主面の対応する分割箇所のそれぞれに配列された画素の第1格子からの信号を、それぞれ読み出す。
【0025】
以下の第1の実施形態の説明において、親基板81の材料や用途は問わない。即ち、第1の実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置であれば、親基板81をシリコン(Si)とすることにより、第1の実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置は可視光の波長領域のイメージセンサとして好適である。又、第1の実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置である場合において、親基板81に配列される単位素子(検出素子)がテルル化カドミウム(CdTe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、テルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe)、ガリウムヒ素(GaAs)等の化合物半導体からなる場合であれば、放射線イメージセンサとして好適である。
【0026】
又、水銀カドミウムテルル(HgCdTe)やインジウムアンチモン(InSb)等の半金属やゲルマニウム(Ge)等の赤外線検出素子を、親基板81に配列すれば赤外線イメージセンサになる。よって、本発明の第1の実施形態に係る積層型半導体装置は、例えば種々の波長を有する電磁波のイメージセンサに適用可能であるが、固体撮像装置(イメージセンサ)に限定されるものではない。
【0027】
親基板81は、複数の単位素子(検出素子)の一方の電極が露出する第1主面(接続面)に、複数の単位素子の配列に対応する複数のバンプ接続体B
uvのそれぞれを構成する基板側接続部を第3格子のそれぞれの領域に配列している。複数の基板側接続部のそれぞれは、
図3に例示した第1ランド11と、第1ランド11に底面を接した第1バンプ12を有している。
【0028】
第1の実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置の場合は、親基板81の内部に第1格子に沿って分割された単位素子領域(画素領域)に配置された単位素子(検出素子)のそれぞれのキャリア生成層で電子正孔対として生成されたキャリアである信号が、それぞれの単位素子の第1ランド11から読み出される。
図3に示すように、第1ランド11に対応する親基板81の領域は、受信した電磁波の量に応じた信号を出力する1画素分の検出要素となる単位素子をなす。チップX
ijは、チップX
ijの下面を読出回路主面として有する。
【0029】
第1の実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置であれば、第1ランド11は、チップXijの下面に互いに離間して2次元配列され、親基板81において生成されたキャリアを示す信号は、第1ランド11を出力電極として読み出される。これにより、親基板81は、電磁波を検出するための検出基板として機能し、第1ランド11は、単位素子(画素)毎のキャリア信号を出力する単位素子の出力電極として機能する。
【0030】
詳細な構造の図示を省略しているが、例えば、チップXijは、半導体基板からなる支持基体と、支持基体上に配置された回路内蔵絶縁層との積層構造で構わない。回路内蔵絶縁層の内部には、薄膜集積回路を構成するように中間層配線及び下層配線が互いに離間して埋め込まれている。薄膜集積回路によって、各単位素子(各画素)の信号読出回路のそれぞれを構成している。回路内蔵絶縁層は3層以上の多層絶縁層で構成できる。実際には、支持基体をシリコン(Si)基板として、各単位素子に対応した読出コンデンサ及びスイッチング素子の組からなる回路をチップXijの支持基体の上部に集積化して構成してもよい。
【0031】
チップX
ijをSi基板とし、Si基板の表面に集積回路を構成する場合は、回路内蔵絶縁層は表面の多層配線層として機能する。或いは、層間絶縁膜を介して、中間層配線及び下層配線によって、薄膜トランジスタからなるスイッチング素子や読出コンデンサを回路内蔵絶縁層の内部に構成してもよい。或いはチップX
ijの回路内蔵絶縁層の内の下層配線側の回路をSi基板の表面に形成された集積回路に対応させ、回路内蔵絶縁層の内の中間層配線を層間絶縁膜中の表面配線層に対応するように、
図2の構造を読み替えてもよい。
【0032】
チップXijを構成するSi基板の表面の集積回路で信号読出回路を構成した場合であっても、中間層配線及び下層配線によって信号読出回路を構成した場合であっても、或いはそれ以外の構成の場合であっても、各単位素子の信号読出回路はバンプ接続体Buvのそれぞれを構成するチップ側接続部が有する第2ランド21及び第2バンプ22cを介して、第1バンプ12に金属学的に接続され、更に第1ランド11に接続される。この結果、第1ランド11を経由して親基板81から信号が信号読出回路に伝達される。このため、チップXijは、親基板81から信号を読み出す複数の信号読出回路を、画素の配列に合わせて第3格子に沿って配列された入力電極を有する読出チップとして機能する。又、複数の第2ランド21は、第1ランド11から単位素子毎の信号を読み出し、チップXijにそれぞれ集積化された集積回路に信号を入力する入力電極として機能する。
【0033】
第1の実施形態に係る積層型半導体装置では、便宜上、チップXijの中間層配線及び下層配線によって薄膜回路からなる信号読出回路を構成した場合であると仮定して説明する。この場合、チップXijは、支持基体の上面に配置された複数の第1配線パターン層、支持基体の上面から下面に貫通する複数の貫通ビア、及び支持基体の下面に配置された複数の第2配線パターン層等を有していてもよい。第1配線パターン層は、下層配線の一列分の配列にそれぞれ電気的に接続される。チップXijの貫通ビアは、第1配線パターン層及び第2配線パターン層の間をそれぞれ電気的に接続する。チップXijの第2配線パターン層の下面には、外部回路と接合するためのはんだバンプが配置することが可能である。
【0034】
既に述べたとおり、チップX
ijは集積度が高く、バンプ接続体B
uvでチップX
ijを親基板81に接続して試験することによって、はじめてチップX
ijに集積化された回路の良否が分かる。もし特定のチップX
stに集積化された回路に不良があれば、
図1及び
図2に示した第1の実施形態に係る積層型半導体装置の全体が不良になる。このため、各チップX
ijを親基板81に仮接続し、特定のチップX
stに集積化された回路に不良があるか否かを確認する必要がある。このため、第1の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体B
uvは、
図3に示すように第1ランド11に底部を接合した第1バンプ12と、第2ランド21に底面を接合した第2バンプ22cとを互いに接触させて、仮接続をする。
【0035】
図3に示すように、第1の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体B
uvのそれぞれを構成する基板側接続部の第1バンプ12は、第1ランド11に接した底部と、底部の外周に連結し、底部を囲む囲壁をなす側壁部とを有する筒状の形状をなす。第1バンプ12の側壁部は、下端から上端に向かうほど内径及び外径が減少する逆テーパ形状を有している。逆テーパ形状を有することにより、側壁部の上端は、第2バンプ22cに押圧されることにより内側に窄むように変形され、第1バンプ12と第2バンプ22cが金属学的(物理的)に接合される。
【0036】
第1の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体Buvのそれぞれを構成するチップ側接続部の第2バンプ22cは、第2ランド21に底面を接した錐状の形状をなす錐体である。第1ランド11及び第2ランド21の平面パターンは、例えば正方形状でよいが、正方形状に限定されるものではない。例えば、第1バンプ12は、第1ランド11に接した円形の底部と、底部の外周に連結し底部を囲む囲壁をなす円筒状の側壁部を有し、第2バンプ22cが第2ランド21に底面を接した円錐状の形状をなす錐体でもよい。
【0037】
或いは、第1バンプ12は、第1ランド11に接した矩形の底部と、底部の外周に連結し底部を囲む囲壁をなす四角筒状の側壁部を有し、第2バンプ22cが第2ランド21に底面を接した四角錐又は三角錐等の角錐状の形状をなす錐体でもよい。又、第1バンプ12は、第1ランド11に接した矩形の底部と、底部の外周に連結し底部を囲む囲壁をなす四角筒状の側壁部を有した場合において、第2バンプ22cが第2ランド21に底面を接した円錐状の形状をなす錐体でもよい。
【0038】
バンプ接続体B
uvの平面パターンは
図7(a)に示したのと同様な長方形状でも、
図7(b)に示したのと同様な円形状でも構わない。
図3では、複数のバンプ接続体B
uvの内の1個分を代表例として示すが、他のバンプ接続体B
uvも同様であり、複数のバンプ接続体B
uvは、複数の第2ランド21及び複数の第1ランド11のそれぞれの間に挟まれる。
【0039】
図3に示す第1バンプ12と第2バンプ22cの仮接続時において、第1の実施形態に係る積層型半導体装置の第1バンプ12の側壁部の上端は、第2バンプ22cの錐面の一部に金属学的(物理的)に接合される。
図3に示すように第1バンプ12と第2バンプ22cとを仮接続して、チップX
ijの動作の確認がされる。第1バンプ12と第2バンプ22cとが仮接続された状態でのチップX
ijの動作の確認においてチップX
ijの不良が発見された場合は、
図4に示すように、バンプ接続体B
uvが第1ランド11側の基板側接続部と第2ランド21側のチップ側接続部に分離可能である。
【0040】
一方、第1バンプ12と第2バンプ22cが仮接続された状態でのチップX
ijの動作の確認で、チップX
ijの正常動作が確認された場合は、チップX
ijを親基板81に対して押圧する力を更に増大し、チップX
ijと親基板81の間隔を更に縮める。親基板81に対するチップX
ijを押圧する力が更に増大されると、
図5に示すように、チップX
ijと親基板81が本接続される。第1バンプ12と第2バンプ22cの本接続時においては、第1バンプ12の側壁部は
図5のように押圧により変形し、第2バンプ22cの下端側の頂部が第1バンプ12の底部に金属学的に接合される。押圧により圧縮されるので、
図5に示した本接続の段階でのバンプ接続体B
uvの高さは、
図3に示した仮接続のときのバンプ接続体B
uvの高さよりも低い。
【0041】
複数のバンプ接続体Buvのそれぞれを構成する第1バンプ12及び第2バンプ22cは、例えば金(Au)が使用可能である。更に、Auを80%以上含むAu-シリコン(Si),Au-ゲルマニウム(Ge),Au-アンチモン(Sb),Au-錫(Sn),Au-鉛(Pb),Au-亜鉛(Zn),Au-銅(Cu)等の合金も使用可能である。しかし、第1バンプ12及び第2バンプ22cは、複数回の仮接続と本接続を含む複数回の金属学的接合を、容易且つ確実に実施する変形の容易性からAuが好適である。
【0042】
複数のバンプ接続体Buvのそれぞれを構成する第1バンプ12は、互いに同一の寸法を有するが、第1バンプ12の仮接続前の高さは、例えば1μm以上5μm未満に決定できる。第1バンプ12の外径は、第1ランド11の1辺の長さ未満に決定され、例えば1μm以上5μm未満に決定される。
【0043】
複数のバンプ接続体B
uvのそれぞれを構成する第2バンプ22cも互いに同一の寸法を有するが、第2バンプ22cの錐の高さは、第1バンプ12を構成する筒状の側壁部の深さよりも高く設定すればよい。
図3では上側に位置する第2バンプ22cの底面の径は、第1バンプ12を構成する側壁部の上端側の開口部の径よりも大きく設定すればよい。第2ランド21の1辺の長さは、第2バンプ22cの底面の径よりも大きく設定され、例えば1μm以上5μm未満になる。
【0044】
第1ランド11及び第2ランド21のそれぞれは、例えば、Au又はAuを80%以上含むAu-Si,Au-Ge,Au-Sb,Au-Sn,Au-Pb,Au-Zn,Au-Cu等の合金で形成することが可能であり、下地にニッケル(Ni)等の金属層を用いた多層構造でも構わない。このため、第1ランド11は、第1バンプ12との接触抵抗を低減し、第2ランド21は第2バンプ22cとの接触抵抗を低減することができる。
【0045】
又、チップXijは、例えば、支持基体の上面に互いに離間して配置された第1下層配線及び第2下層配線と、第1下層配線及び第2下層配線を上方から埋め込むように配置された第1回路内蔵絶縁層と、第1回路内蔵絶縁層の上面に互いに離間して配置された第1中間層配線及び第2中間層配線と、第1中間層配線及び第2中間層配線を上方から埋め込むように配置された第2回路内蔵絶縁層とを有する構造が採用可能である。
【0046】
第1下層配線、第2下層配線、第1中間層配線及び第2中間層配線等には、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム-銅合金(Al-Cu合金)或いは銅(Cu)ダマシン等の金属層が採用可能である。又、第1回路内蔵絶縁層及び第2回路内蔵絶縁層は、
図2等に示す回路内蔵絶縁層に相当する。
【0047】
回路内蔵絶縁層には、例えば、シリコン酸化膜(SiO2膜)、シリコン窒化膜(Si3N4膜)、燐珪酸ガラス膜(PSG膜)、フッ素含有酸化膜(SiOF膜)、炭素含有酸化膜(SiOC膜)等の無機系絶縁層の他、メチル含有ポリシロキサン(SiCOH)、水素含有ポリシロキサン(HSQ)、ポーラスメチルシルセスキオキサン膜やポリアリレン膜等の有機系絶縁層が使用可能で、これらの種々の絶縁膜層を組み合わせて積層して、多様な多層構造の回路内蔵絶縁層を構成することが可能である。
【0048】
第2中間層配線を第1回路内蔵絶縁層を介して一列分の配列が第2下層配線と対向するように配置してもよい。第2中間層配線は、導電体を介して第2ランド21に電気的に接続されており、第2下層配線は接地電位に接続されている。これにより、第1の実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置であれば、第2中間層配線及び第2下層配線は、単位素子において生成された信号を電荷として蓄積する薄膜コンデンサである読出コンデンサを構成する。
【0049】
又、図示を省略しているが、回路内蔵絶縁層の内部には、第1下層配線に電圧が印加されることにより、第1中間層配線及び第2中間層配線の間にチャネルを形成するチャネル領域が形成されている。これにより、第1の実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置であれば、第1下層配線、第1中間層配線及び第2中間層配線は、読出コンデンサに蓄積された電荷を信号として読み出す薄膜トランジスタであるスイッチング素子を構成する。第1下層配線がゲート電極、第1中間層配線及び第2中間層配線それぞれがドレイン電極及びソース電極等として機能する。
【0050】
スイッチング素子のゲート電極、即ち第1下層配線は、画素の行方向(X軸方向)に延伸するゲート信号ラインに接続される。ゲート信号ラインは、画素の行毎に配置され、同一行の各ゲート電極に接続される。各ゲート信号ラインは、図示を省略したゲート駆動回路に接続され、ゲート駆動回路から順次ゲート駆動信号を印加される。ゲート駆動信号は、所定の走査周期で順次列方向に印加される。
【0051】
又、スイッチング素子のドレイン電極、即ち第1中間層配線は、画素の列方向に延伸する信号読出ライン82に接続される。信号読出ライン82は、画素の列毎に配置され、同一列の各ドレイン電極に接続される。各信号読出ライン82は、図示を省略した読出駆動回路に接続され、読出駆動回路により順次行方向(X軸方向)に走査される。これにより読出駆動回路は、ゲート駆動回路の各走査周期において、ゲート駆動信号が印加された行の各単位素子の信号を順次列方向に読み出す。
【0052】
以上のように、第1の実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置であれば、読み出された各単位素子(画素)の信号を、図示を省略した画像処理回路において画素値に変換し、各単位素子に対応してマッピングすることにより、入射した電磁波の量の2次元分布を示す画像が生成される。
【0053】
(第1の実施形態に係る積層型半導体装置の筒状バンプの製造方法)
先ず、複数の第1ランド11が配列された親基板81の第1主面(接続面)上に、形成予定の第1バンプ12の仮接続前の高さに一致する厚さでフォトレジスト膜を塗布する。フォトリソグラフィ技術により、第1ランド11の各上面を露出する開口部のパターンを、フォトレジスト膜の下面から上面に向かうほど内径が減少する逆テーパ状に形成する。開口部の内側面が上端において最も内径が小さくなるように、フォトレジストの材料、露光、現像等のフォトリソグラフィの条件を選択する。
【0054】
次いで、親基板81の第1主面の法線に対して所定の範囲の入射角でAuやAu合金等の金属をスパッタリング法で堆積する。スパッタリング粒子は、開口部により露出された第1ランド11の上面、開口部の内側面及びフォトレジスト膜の上面にそれぞれ堆積する。スパッタリング粒子の入射角並びにターゲット及び基板間の距離は、開口部により露出された第1ランド11の上面及び開口部の内側面の全面にスパッタリング粒子が堆積するように決定される。
【0055】
斜め方向から金属のスパッタリング粒子を入射させることにより、開口部により露出された第1ランド11の上面に金属からなる第1バンプ12の底部が形成され、開口部の内側面に金属の側壁部が形成される。又、フォトレジスト膜の上面にもスパッタリング粒子による上部金属膜が形成される。
【0056】
フォトレジスト膜のパターンは上端における内径が最も小さいので、側壁部の上端において最もスパッタ粒子の堆積量が少なく、上端において最も薄い厚さを有するように形成され得る。即ち、側壁部は、
図3に示すように、下端から上端に向かうに連れて減少する厚さを有し得る。最後に、フォトレジスト膜及びフォトレジスト膜の上面に堆積した上部金属膜を除去し、
図3に示すように、第1ランド11の上面に接合された第1バンプ12が形成される。
【0057】
以上述べたとおり、本発明の第1の実施形態に係る積層型半導体装置によれば、大口径の親基板81に搭載される複数のチップXijの内の不良なチップのみの選択的なリペアの処理が容易な積層型半導体装置及びこれに用いる複数のチップXijを提供することができる。この結果、第1の実施形態に係る積層型半導体装置によれば、大口径の親基板81に複数のチップXijを搭載した積層型半導体装置の製造時間が短縮され、正常動作している親基板81や正常動作しているチップXijを無駄に失うこともないので、資源の浪費を防ぐことができる。
【0058】
(第2の実施形態)
図示を省略しているが、本発明の第2の実施形態に係る積層型半導体装置は、
図1及び
図2に示した構成と同様に、大口径の親基板81と、複数の矩形のチップX
ij(i=1~n:j=1~m)を、互いに対向させた積層構造をなしている。親基板81は、p-nダイオード、n-i-nダイオード、p-i-pダイオード等の単位素子(検出素子)を第1格子に沿って分割された単位素子領域(画素領域)に配列した構造をなす。図示を省略しているが、親基板81は、第1主面(接続面)とこの第1主面に対向する第2主面の2つの主面を有している。
【0059】
積層型半導体装置が固体撮像装置であれば、
図2に示したのと同様に第2主面は電磁波Φ
xが入射する入力面となる。親基板81の大きさに対応して、2×2~8×8等の第2格子に沿ってチップ搭載領域が第1主面に定義される。第1の実施形態に係る積層型半導体装置と同様に、第2格子のメッシュ数は、第1格子のメッシュ数よりも少ない。親基板81の第1主面のほぼ全面を覆うように、複数のチップX
ijが配列される。
【0060】
第2の実施形態に係る積層型半導体装置の説明でも、
図2の断面以外に存在する他のバンプ接続体を含めた、複数のバンプ接続体を総称して、「バンプ接続体B
uv」と呼ぶ。第2の実施形態に係る積層型半導体装置においても、複数のバンプ接続体B
uvのそれぞれは、親基板81の第1主面に第1格子に沿って分割された単位素子領域に配列した単位素子のそれぞれと、対応するチップX
ijのそれぞれとを、互いに独立して電気的に接続するように、第1格子のメッシュ数と等しい第3格子で分割されて配置されている。第1の実施形態に係る積層型半導体装置と同様に、第3格子のメッシュのピッチは第1格子と同じでもよいが、第1格子をピッチ変換したものでもよい。
【0061】
第1の実施形態に係る積層型半導体装置で説明したとおり、親基板81は緩いデザインルールで作り回路的にもシンプルであり、不良があってもランダムで出力にはほとんど見えてこない。一方、チップXijは集積度が高く、バンプ接続体BuvでチップXijを親基板81に接続して試験することによってはじめてチップXijに集積化された回路の良否が分かる。もし複数個接続されたチップXijで不良率が高い場合やブロック不良がある場合、第2の実施形態に係る積層型半導体装置の不良になる。このため、各チップXijを親基板81に仮接続し、特定のチップXstに集積化された回路に不良がある場合は、そのチップXstを剥がして別のチップXxyを仮接続して、問題が無いかを確認するリペアの作業の必要がある。
【0062】
親基板81の第1主面に配列した単位素子の配列は、イメージセンサ(積層型半導体装置)の画素の配置に対応している。複数のチップXijの信号読出回路のそれぞれは、スイッチング素子Qijやバッファ増幅器の回路を備える。複数のチップXijは、親基板81の第1主面の対応する分割箇所のそれぞれに配列された画素の第1格子からの信号を、それぞれ読み出す。
【0063】
以下の第2の実施形態の説明においても、親基板81の材料や用途は問わないが、親基板81はその一方の主面である第1主面に、複数の単位素子の配列に対応する複数のバンプ接続体B
uvのそれぞれを構成する基板側接続部を、第1格子のメッシュ数と等しいメッシュ数の第3格子のそれぞれの領域に配列している。複数の基板側接続部のそれぞれは、
図6に例示した第1ランド11と、第1ランド11に底面を接した第1バンプ12rを有している。
【0064】
第2の実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置であれば、親基板81の内部に第1格子に沿って分割された単位素子領域に配置された単位素子のそれぞれのキャリア生成層で電子正孔対として生成されたキャリアである信号が、それぞれの単位素子の第1ランド11から読み出される。
図6に示すように、第1ランド11に対応する親基板81の領域は、受信した電磁波の量に応じた信号を出力する1画素分の検出要素となる単位素子をなす。チップX
ijは、チップX
ijの下面を読出回路主面として有する。
【0065】
第2の実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置の場合、第1ランド11は、チップX
ijの下面に
図2に例示したように、互いに離間して2次元配列され、親基板81において生成されたキャリアを示す信号は、第1ランド11から読み出される。これにより、親基板81は、電磁波を検出するための検出基板として機能し、第1ランド11は、単位素子(画素)毎のキャリア信号を検出する単位素子の出力電極として機能する。
【0066】
詳細な構造の図示を省略しているが、例えば、チップXijは、半導体基板からなる支持基体と、支持基体上に配置された回路内蔵絶縁層との積層構造で構わない。回路内蔵絶縁層の内部には、薄膜集積回路を構成するように中間層配線及び下層配線が互いに離間して埋め込まれている。チップXijの信号読出回路はバンプ接続体Buvのそれぞれを構成するチップ側接続部の第2ランド21及び第2バンプ22rを介して、第1バンプ12rに金属学的(物理的)に接続され、更に第1ランド11に接続される。
【0067】
この結果、第1ランド11を経由して親基板81から信号が信号読出回路に伝達される。このため、チップXijは、親基板81から信号を読み出す複数の信号読出回路を、画素の配列に合わせて第3格子に沿って配列された入力電極を有する読出チップとして機能する。又、複数の第2ランド21は、第1ランド11から単位素子毎の信号を読み出し、チップXijにそれぞれ集積化された集積回路に信号を入力する入力電極として機能する。
【0068】
既に述べたとおり、チップX
ijは集積度が高く、バンプ接続体B
uvで接続によってはじめて良否が分かる。もし特定のチップX
stに集積化された回路に不良があれば、第2の実施形態に係る積層型半導体装置の全体が不良になる。このため、各チップX
ijを親基板81に仮接続し、特定のチップX
stに集積化された回路に不良があるか否かを確認する必要がある。このため、第2の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体B
uvは、
図6に示すように第1ランド11に底部を接合した第1バンプ12rと、第2ランド21に底部を接合した第2バンプ22rとを互いに接触させて、仮接続をする。
【0069】
図6に示すように、第2の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体B
uvを構成する第1バンプ12rは、第1ランド11に接した底部と、底部の外周に連結し、底部を囲む囲壁をなす側壁部とを有する筒状の形状をなす。第1バンプ12rは、
図7(a)に示すように、図示を省略した第1ランド11に接した矩形の底部と、底部の外周に連結し底部を囲む囲壁をなす長方形筒状の側壁部を有するように構成できる。第1バンプ12rの側壁部は、下端から上端に向かうほど内径及び外径が減少する逆テーパ形状を有している。
【0070】
第2の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体B
uvを構成する第2バンプ22rは、第2ランド21に底部を接した筒状の形状をなす。第2バンプ22rは、第2ランド21に底部を接した長方形筒状の形状をなしているが、第2バンプ22rの長手方向は、
図7(a)に示すように第1バンプ12rの長手方向と直交している。第2バンプ22rの側壁部は、
図8において上側に位置する「下端」から
図8において下側に位置する上端に向かうほど、内径及び外径が減少する逆テーパ形状を有している。
【0071】
第1バンプ12rと第2バンプ22rのそれぞれの側壁部が逆テーパ形状を有することにより、第1バンプ12rの側壁部の上端は、第2バンプ22rの側壁部に下端に押圧されることにより、
図7(c)に示した凹部(溝部)13a,13bを形成するように変形され、第1バンプ12rと第2バンプ22rに接合される。第1ランド11及び第2ランド21の平面パターンは、例えば正方形状でよいが、正方形状に限定されるものではない。
【0072】
第2の実施形態に係る積層型半導体装置を構成するバンプ接続体B
uvの平面パターンは
図7(a)に示した長方形状でも、
図7(b)に示した円形状でも構わない。
図7(a)で第1バンプ12rと第2バンプ22rが「長方形状」と説明したが、プロセス上の理由により、丸みを帯びた長方形状や長丸状の平面パターンである。第1バンプ12rと第2バンプ22rは楕円状等であってもよい。
【0073】
図7(b)に示した円筒状の側壁部を有する第1バンプ12sは、図示を省略した第1ランド11に底部を接している。
図7(b)に示した円筒状の側壁部を有する第2バンプ22sは、第2ランド21に底部を接している。図示を省略しているが、第1バンプ12sの側壁部は、下端から上端に向かうほど、内径及び外径が減少する逆テーパ形状を有している。
【0074】
同様に、第2バンプ22sの側壁部は、
図8に対応する構造図で上側に位置する「下端」から下側に位置する上端に向かうほど、内径及び外径が減少する逆テーパ形状を有している。逆テーパ形状を有した長方形筒状の側壁部を有する第1バンプ12rや円筒状の側壁部を有する第1バンプ12sは、第1の実施形態に係る積層型半導体装の第1バンプ12の製造方法と同様な方法で製造できるので重複した説明を省略する。逆テーパ形状を有した第2バンプ22r、22sの側壁部も、第1の実施形態に係る積層型半導体装の第1バンプ12の製造方法と同様な方法で製造できる。
【0075】
平面パターン上では、円筒状の第2バンプ22sの一部が、
図7(b)に示すように円筒状の第1バンプ12sと交差している。第1バンプ12sと第2バンプ22sのそれぞれの側壁部が逆テーパ形状を有することにより、第1バンプ12sの側壁部の上端は、第2バンプ22sの側壁部に下端に押圧されることにより、凹部(溝部)を形成するように変形され、第1バンプ12sと第2バンプ22sに接合される。
【0076】
図6及び
図7では、複数のバンプ接続体B
uvの内の1個分を代表例として示すが、他のバンプ接続体B
uvも同様であり、複数のバンプ接続体B
uvは、複数の第2ランド21及び複数の第1ランド11のそれぞれの間に挟まれる。
図6に示したような第1バンプ12rと第2バンプ22rの仮接続時において、第2の実施形態に係る積層型半導体装置の第1バンプ12rの側壁部の上端は、第2バンプ22rの側壁部の下端の一部に金属学的に接合されて、
図7(c)に示すように、側壁部の上端が変形する。
【0077】
図7(a)に示すように、長方形筒状の側壁部を有する第1バンプ12rと長方形筒状の側壁部を有する第2バンプ22rが互いに仮接続することにより、第1バンプ12rの側壁部の上端には4つの溝部13a,13b,13c,13dが形成される。一方、
図7(b)に示すように、円筒状の側壁部を有する第1バンプ12sと第2バンプ22sが互いに仮接続する場合は、第1バンプ12sの側壁部の上端には2つの溝部が形成される。
【0078】
第2の実施形態に係る積層型半導体装置においては、
図6に示すように第1バンプ12rと第2バンプ22rとを仮接続して、チップX
ijの動作の確認がされる。第1バンプ12rと第2バンプ22rとが仮接続された状態でのチップX
ijの動作の確認においてチップX
ijの不良が発見された場合は、
図8に示すように再離脱可能である。第1バンプ12rと第2バンプ22rが仮接続することによる、第1バンプ12rの側壁部の上端に形成された2つの溝部13a,13bが形成される。
【0079】
一方、第1バンプ12rと第2バンプ22rが仮接続された状態でのチップX
ijの動作の確認で、チップX
ijの正常動作が確認された場合は、チップX
ijを親基板81に対して押圧する力を更に増大し、チップX
ijと親基板81の間隔を更に縮める。親基板81に対するチップX
ijを押圧する力が更に増大されると、
図9に示すように、チップX
ijと親基板81が本接続される。第2の実施形態に係る積層型半導体装置において、第1バンプ12rと第2バンプ22rの本接続時においては、第1バンプ12rの側壁部は
図9のように押圧により変形し、第2バンプ22rの下端側の頂部が第1バンプ12rの底部に金属学的に接合される。押圧により圧縮されるので、
図9に示した本接続の段階でのバンプ接続体B
uvの高さは、
図6に示した仮接続のときのバンプ接続体B
uvの高さよりも低い。
【0080】
図8に示すように再離脱した場合は、
図10に示したように新たな第2バンプ22r
nを有する新たなチップX
ijnを用意し、第1バンプ12rに対して新たな第2バンプ22r
nを再度、仮接続時する。再度の仮接続において、第2の実施形態に係る積層型半導体装置の第1バンプ12rの側壁部の上端は、
図8とは異なる位置において、新たな第2バンプ22r
nの側壁部の下端の一部に金属学的に接合される。即ち、
図10に示す再度の仮接続では、第2の実施形態に係る積層型半導体装置の第1バンプ12rの側壁部の上端が
図8とは異なる位置において、新たな第2バンプ22r
nの側壁部の下端の一部に金属学的に接合される。
【0081】
第1バンプ12rと新たな第2バンプ22r
nとが仮接続された状態での新たなチップX
ijnの動作の確認において新たなチップX
ijnの不良が発見された場合は、
図8に示すように更なる再離脱可能である。一方、第1バンプ12rと新たな第2バンプ22r
nが仮接続された状態での新たなチップX
ijnの動作の確認で、新たなチップX
ijnの正常動作が確認された場合は、新たなチップX
ijnを親基板81に対して押圧する力を更に増大し、新たなチップX
ijnと親基板81の間隔を更に縮める。
【0082】
親基板81に対する新たなチップX
ijnを押圧する力が更に増大されると、
図9に示したのと同様に、新たなチップX
ijnと親基板81が本接続される。第2の実施形態に係る積層型半導体装置において、第1バンプ12rと第2バンプ22又は新たな第2バンプ22r
nの本接続時においては、第1バンプ12rの側壁部は
図9のように押圧により変形し、第2バンプ22又は新たな第2バンプ22r
nの下端側の頂部が第1バンプ12rの底部に金属学的に接合される。
【0083】
第1の実施形態に係る積層型半導体装置で説明したとおり、第2の実施形態に係る積層型半導体装置の第1バンプ12r及び第2バンプ22r,22rn,22sは、複数回の仮接続と本接続を含む複数回の金属学的接合を、容易且つ確実に実施する変形の容易性からAuが好適である。
【0084】
複数のバンプ接続体Buvのそれぞれを構成する第1バンプ12rは、互いに同一の寸法を有するが、第1バンプ12rの高さは、例えば1μm以上5μm未満に決定できる。第1バンプ12rの外径は、第1ランド11の1辺の長さ未満に決定され、例えば1μm以上5μm未満に決定される。
【0085】
複数のバンプ接続体Buvのそれぞれを構成する新たな第2バンプ22r,22rn,22sも互いに同一の寸法を有するが、新たな第2バンプ22r,22rn,22sの側壁部の高さは、第1バンプ12r,12sの側壁部の深さと同程度に設定すればよい。第2ランド21の1辺の長さは、新たな第2バンプ22r,22rn,22sの底面の径よりも大きく設定され、例えば1μm以上5μm未満になる。
【0086】
第1ランド11及び第2ランド21のそれぞれは、例えば、Au又はAuを80%以上含む合金等で形成することが可能であり、下地にNi等の金属層を用いた多層構造でも構わない。Au等を材料とすることにより、第1ランド11は、第1バンプ12r,12sとの接触抵抗を低減し、第2ランド21は第2バンプ22r,22rn,22sとの接触抵抗を低減することができる。
【0087】
以上述べたとおり、本発明の第2の実施形態に係る積層型半導体装置によれば、大口径の親基板81に搭載される複数のチップXijの内の不良なチップのみの選択的なリペアの処理が容易な積層型半導体装置及びこれに用いる複数のチップXijを提供することができる。この結果、第2の実施形態に係る積層型半導体装置によれば、大口径の親基板81に複数のチップXijを搭載した積層型半導体装置の製造時間が短縮され、正常動作している親基板81や正常動作しているチップXijを無駄に失うこともないので、資源の浪費を防ぐことができる。
【0088】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一列分の配列をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0089】
本発明の第1及び第2の実施形態に係る積層型半導体装置として、大口径の親基板81がフォトダイオード等の検出素子を画素としてマトリクス状に配置した検出器基板であり、チップXijが各画素からの信号を読み出す読出回路を集積化した半導体チップである場合について例示的に説明したが、本発明の積層型半導体装置は固体撮像装置に限定されるものではない。例えば、親基板81をDRAMやSRAM等のメインメモリとし、このメインメモリの上にALUを集積化したチップXijを搭載して積層型半導体装置を構成してもよい。メインメモリの分割された領域に、ALUを等集積化したチップXijを搭載すれば、メインメモリの分割されたブロックのそれぞれからの信号を、チップXijが並列処理やパイプライン処理する並列計算機が実現できる。
【0090】
このように、上記の第1及び第2の実施形態において説明した技術内容は例示に過ぎず、第1及び第2の実施形態の各構成を任意に応用した構成等に適用できる。よって、本発明は第1及び第2の実施形態に係る積層型半導体装置では記載していない様々な第1及び第2の実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当と解釈できる技術的事項であれば、請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0091】
11…第1ランド
12,12r,12s…第1バンプ
13a,13b,13c,13d…溝部
21…第2ランド
22c,22r,22rn,22s…第2バンプ
81…親基板
B11,B12,B13,B21,B22,B23,Buv…バンプ接続体
X21,X22,X2m、Xij,Xst,Xxy…チップ