(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】スリップリングを用いた同軸ガイド巻線装置
(51)【国際特許分類】
H01F 41/061 20160101AFI20220701BHJP
H02K 15/06 20060101ALI20220701BHJP
H02K 15/04 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
H01F41/061
H02K15/06
H02K15/04 A
(21)【出願番号】P 2021527856
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(86)【国際出願番号】 KR2019017080
(87)【国際公開番号】W WO2020116953
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-05-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0155723
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521214311
【氏名又は名称】ディーケーテック インダストリー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、チュン シク
(72)【発明者】
【氏名】キム、チン ソ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ソン クン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン、ヒョン シク
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ヒョン ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム、テ ヒョク
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-203733(JP,A)
【文献】実公昭49-21556(JP,Y1)
【文献】特開2000-324771(JP,A)
【文献】特開2009-55711(JP,A)
【文献】特開平11-332185(JP,A)
【文献】特開昭63-171773(JP,A)
【文献】特開2004-63601(JP,A)
【文献】特開2008-294430(JP,A)
【文献】米国特許第5232026(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/06
H02K 15/06
H02K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドを用いた巻線装置であって、
少なくとも一つの上部ガイドシステムを含み、回転軸を中心として回転自在な上部回転部と、
制御部と前記少なくとも一つの上部ガイドシステムとの間の電気的な接続を提供するように構成された上部スリップリングと、
少なくとも一つの下部ガイドシステムを含み、前記上部回転部と同じ回転軸を中心として回転自在な下部回転部と、及び、
前記制御部と前記少なくとも一つの下部ガイドシステムとの間の電気的な接続を提供するように構成された下部スリップリングを含み、
前記制御部は、前記上部回転部と前記下部回転部とが同期化して回転するように、上部回転駆動部及び下部回転駆動部を制御し、
前記制御部は、前記上部回転部と前記下部回転部とが同期化して回転する際に、前記上部回転部及び前記下部回転部間に固定されたボビンに巻線される金属線材の位置をガイドするように、前記少なくとも一つの上部ガイドシステム及び前記少なくとも一つの下部ガイドシステムの少なくとも一つを制御し、
前記金属線材は四角形の断面を持つ、ガイドを用いた巻線装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの上部ガイドシステム及び前記少なくとも一つの下部ガイドシステムは、前記上部回転部と前記下部回転部とが同期化して回転することにより、前記ボビンと共に回転しながら前記ボビンに巻線される金属線材の位置をガイドする、請求項1に記載のガイドを用いた巻線装置。
【請求項3】
前記上部スリップリング及び前記下部スリップリングは、前記上部回転部及び前記下部回転部が回転する回転軸上に配置される、請求項1に記載のガイドを用いた巻線装置。
【請求項4】
前記上部スリップリングは、
前記制御部と電気的に連結するスリップリング固定部と、
前記上部回転部の回転と共に回転するスリップリング回転部を含み、
前記スリップリング回転部は、前記少なくとも一つの上部ガイドシステムと電気的に連結し、前記制御部からの制御信号が前記上部スリップリングを介して前記少なくとも一つの上部ガイドシステムに伝達される、請求項3に記載のガイドを用いた巻線装置。
【請求項5】
前記上部回転部は、前記ボビンを固定するために垂直方向に移動可能な固定部をさらに含み、
前記下部回転部は、前記ボビンが安着して固定されるステージ及び前記ボビンを固定するために水平方向に移動可能なクランプをさらに含む、請求項1に記載のガイドを用いた巻線装置。
【請求項6】
前記少なくとも一つの上部ガイドシステム及び前記少なくとも一つの下部ガイドシステムのガイド部は、前記ボビンの長辺側に配置されて金属線材の巻線をガイドする、請求項1に記載のガイドを用いた巻線装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの上部ガイドシステム及び前記少なくとも一つの下部ガイドシステムのガイド部の幅は、ボビンの長辺よりも広い、請求項6に記載のガイドを用いた巻線装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つの上部ガイドシステム及び前記少なくとも一つの下部ガイドシステムのガイド部は、前記ボビンの短辺側に配置されて金属線材の巻線をガイドする、請求項1に記載のガイドを用いた巻線装置。
【請求項9】
前記少なくとも一つの上部ガイドシステムは、上部ガイド部の駆動部により2自由度(x軸駆動、z軸駆動)で駆動され、
前記上部ガイド部の駆動部は、前記上部スリップリングを介して制御部から伝達される制御信号に基づき、前記少なくとも一つの上部ガイドシステムのガイド部を移動させる、請求項1に記載のガイドを用いた巻線装置。
【請求項10】
前記制御部から制御信号が伝達される上部モータアンプをさらに含み、
前記上部モータアンプは、前記上部スリップリングを介して前記上部ガイド部の駆動部と電気的に連結し、
前記上部モータアンプと前記上部ガイド部の駆動部との間の通信方式は直列通信方式である、請求項9に記載のガイドを用いた巻線装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記少なくとも一つの上部ガイドシステム及び前記少なくとも一つの下部ガイドシステムの少なくとも一つを制御して、前記ボビン上に巻線される同じ層上の金属線材間の空白を除去する、請求項1に記載のガイドを用いた巻線装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記少なくとも一つの上部ガイドシステム及び前記少なくとも一つの下部ガイドシステムの少なくとも一つを制御して、前記ボビン上に巻線される新規層の開始位置をガイドする、請求項1に記載のガイドを用いた巻線装置。
【請求項13】
前記制御部は、非順次パターンの巻線をガイドするように、前記少なくとも一つの上部ガイドシステム及び前記少なくとも一つの下部ガイドシステムの少なくとも一つを制御する、請求項1に記載のガイドを用いた巻線装置。
【請求項14】
前記少なくとも一つの上部ガイドシステムは、第1の上部ガイド部及び第2の上部ガイド部を含み、
前記第1の上部ガイド部及び前記第2の上部ガイド部は互いに対向配置され、
前記少なくとも一つの下部ガイドシステムは、下部ガイド部を含み、
前記制御部は、金属線材が第1の位置に固定されるように、前記第1の上部ガイド部及び前記下部ガイド部を制御し、金属線材が第2の位置に向かって巻線されるように、前記第2の上部ガイド部を制御する、請求項13に記載のガイドを用いた巻線装置。
【請求項15】
前記金属線材の長辺が前記ボビンの巻線部に接触されるように巻線される、請求項1に記載のガイドを用いた巻線装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記少なくとも一つの上部ガイドシステム及び前記少なくとも一つの下部ガイドシステムのガイド部が金属線材の巻線をガイドする際に、前記上部回転部及び前記下部回転部の回転速度が同一に低くなるように制御する、請求項1に記載のガイドを用いた巻線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガイドを用いてボビンにコイルを巻線するための装置に関し、より詳細には、コイルの巻線位置をガイドして巻線の精密度を高めることができる巻線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、二次電池技術の発展及び政府補助金政策等と共に、電気自動車の普及が加速化されている。これにより、電気自動車に搭載される駆動モータの小型化、軽量化及び高出力化に対する要求が増加している。これを達成するために、コイルが巻線できる多様な方法が研究されている。
【0003】
コイルを巻線する多様な方法のうち、円形コイルの代りに四角形コイルを用いて巻線する方法がある。円形コイルの場合は、その形状のため、コイルを如何に密接に巻線しても隙間が発生し得るのに対し、四角形コイルの場合は、構造上ボビンに隙間なく複層で巻線することが可能である。但し、四角形コイルを円形コイルと同様な方式により、精密なガイドなしに高速で巻線する場合、コイルの隔離やパターン崩れ等の問題を発生させる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書で開示する実施例は、金属線材をボビンに巻線する過程において、上部ガイド及び下部ガイドを用いて金属線材をガイドすることで、金属線材が巻線すべき位置から逸脱するのを防止し、正確な位置に金属線材が巻線できる装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施例に係るガイドを用いた巻線装置は、少なくとも一つの上部ガイドシステムを含み、回転軸を中心として回転自在な上部回転部、制御部と少なくとも一つの上部ガイドシステムとの間の電気的な接続を提供するように構成された上部スリップリング、少なくとも一つの下部ガイドシステムを含み、上部回転部と同じ回転軸を中心として回転自在な下部回転部、及び、制御部と少なくとも一つの下部ガイドシステムとの間の電気的な接続を提供するように構成された下部スリップリングを含むことができる。ここで、上部回転部と下部回転部とが同期化して回転するように上部回転駆動部及び下部回転駆動部を制御し、制御部は、上部回転部と下部回転部とが同期化して回転する際に、上部回転部及び下部回転部間に固定されたボビンに巻線される金属線材の位置をガイドするように、少なくとも一つの上部ガイドシステム及び少なくとも一つの下部ガイドシステムの少なくとも一つが制御できる。一方、金属線材は四角形の断面を持つことができる。
【発明の効果】
【0006】
本開示の多様な実施例によれば、上部ガイド及び下部ガイドを用いて金属線材をガイドすることで、金属線材を高精密且つ高速で巻線することができる。また、巻線装置にスリップリング(slip ring)を備えることで、ガイドがボビンと共に回転しながら金属線材の巻線をガイドする場合にも、電線のねじれや切断が防止できる。スリップリングの使用により、一般の機構構造からなるものと比較して、巻線装置の構造の単純化が可能になり、巻線装置の軽量化を図ることができる。本開示の効果は、これに制限されず、言及されない他の効果らは、請求範囲の記載から当業者であれば明確に理解されるべきである。
【0007】
本開示の実施例は、以下の添付図面に基づいて説明する。ここで、類似の参照番号は類似の要素を示すが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施例に係るガイドを用いた巻線装置を概略的に示す概略図である。
【
図2】本開示の一実施例に係る上部巻線部の詳細構成を示す図である。
【
図3】本開示の一実施例に係る下部巻線部の詳細構成を示す図である。
【
図4】本開示の一実施例に係る巻線装置にボビンが固定される例を示す図である。
【
図5】本開示の一実施例に係る上部スリップリングの詳細構成を示す図である。
【
図6】本開示の一実施例に係るガイドシステムの詳細構成を示す図である。
【
図7】本開示の一実施例に係るボビンの正面図である。
【
図8】本開示の一実施例に係るボビンの下面図である。
【
図9】本開示の一実施例に係る金属線材の断面図である。
【
図10】本開示の一実施例に係る巻線された分割コアの垂直断面図である。
【
図11】本開示の一実施例に係る2個の分割コアが結合された例を示す図である。
【
図12】本開示の一実施例に係る分割コアステータの垂直断面図である。
【
図13】本開示の一実施例に係るガイド部を用いて金属線材の巻線をガイドする例を示す図である。
【
図14】本開示の他の実施例に係るガイド部を用いて金属線材の巻線をガイドする例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を実施するための具体的な内容を添付図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明では、本開示の要旨を不要にぼやかす恐れがある場合、公知の機能や構成に関する具体的な説明は省略する。
【0010】
本開示の実施例を詳述するに先立ち、図面の上方はその図面に示す構成の“上部”または“上側”、その下方は“下部”または“下側”として称することができる。また、図面において示す構成の上部及び下部の間または上部及び下部を除いた部分は、“側部”または“側面”として称することができる。
【0011】
添付図面において、同一又は対応する構成要素には同一の参照符号が付与される。また、以下の実施例の説明において、同一又は対応する構成要素の重複記述は省略され得る。しかしながら、構成要素に関する記述が省略されても、そのような構成要素がある実施例に含まれないものと意図してはならない。かかる“上部”や“上側”などのような相対的な用語は、図面に示す構成間の関係を説明するために使用されることができ、本開示はそのような用語により限定されるものではない。
【0012】
図1は、本開示の一実施例に係るガイドを用いた巻線装置100を概略的に示す概略図である。巻線装置100は、上部巻線部110及び下部巻線部120を含むことができる。
図1に示すように、上部巻線部110は上部回転部112、上部回転駆動部172及び上部ハウジング162を含むことができ、上部ハウジング162は上部スリップリング(図示せず)を含むことができる。
【0013】
上部回転部112は、上部回転駆動部172の駆動により回転軸180を中心として全体が回転できる。例えば、上部回転駆動部172は、タイミングプーリ(図示せず)などを用いて上部回転部112に回転動力が伝達できる。上部回転部112は、第1の上部ガイドシステム132と、第2の上部ガイドシステム134と、ボビン190を固定するために垂直方向(z軸方向)に移動可能な固定部142とを含むことができる。第1の上部ガイドシステム132及び第2の上部ガイドシステム134は、上部スリップリング(図示せず)を介して伝達される制御部(図示せず)からの制御信号に基づいてx軸及びz軸の方向に駆動でき、ボビン190に巻線される金属線材の位置がガイドできる。
【0014】
下部巻線部120は下部回転部122、下部回転駆動部174及び下部ハウジング164を含むことができ、下部ハウジング164は下部スリップリング(図示せず)を含むことができる。下部回転部122は、下部回転駆動部174の駆動により回転軸180を中心として全体が回転できる。例えば、下部回転駆動部174は、タイミングプーリ(図示せず)などを用いて下部回転部122に回転動力が伝達できる。
【0015】
下部回転部122は、第1の下部ガイドシステム136と、第2の下部ガイドシステム138と、ボビン190を安着して固定するためのステージ140とを含むことができる。第1の下部ガイドシステム136及び第2の下部ガイドシステム138は、下部スリップリング(図示せず)を介して伝達される制御部(図示せず)からの制御信号に基づいてx軸及びz軸の方向に駆動でき、ボビン190に巻線される金属線材の位置がガイドできる。
【0016】
上部巻線部110及び下部巻線部120は、支持フレーム150により強固に固定支持されることができる。上部回転駆動部172及び下部回転駆動部174は、制御部(図示せず)からの制御信号に基づき、上部回転部112及び下部回転部122を回転させることができる。ここで、上部回転部112及び下部回転部122は、制御部により同期化して同じ方向及び同じ速度で回転できる。上部巻線部110及び下部巻線部120の詳細構成は、
図2及び
図3を参照して後述する。
【0017】
ボビン190に金属線材を巻線するために、まず、ボビン190をステージ140上に固定できる。ここで、金属線材は矩形の断面を持つことができる。その後、クランプ(図示せず)などを用いてボビン190をステージ140に固定し、固定部142をz軸に沿って下方に移動させることで、ボビン190をステージ140及び固定部142間に強固に固定させることができる。
【0018】
上部回転部112及び下部回転部122が同期化して回転することにより、ステージ140及び固定部142間に配置されたボビン190も回転して、金属線材供給部160から供給される金属線材がボビン190に巻線される。金属線材がボビン190に巻線される位置は、金属線材供給部160をz軸方向に移動させることにより制御できる。ここで、金属線材供給部160の移動方向はz軸方向に限定されず、z軸方向だけでなくx軸及びy軸の方向にも移動可能である。
【0019】
このとき、制御部は、第1の上部ガイドシステム132、第2の上部ガイドシステム134、第1の下部ガイドシステム136及び第2の下部ガイドシステム138の少なくとも一つのガイドシステムを制御して、金属線材がボビン190に巻線される位置を精密にガイドしながら巻線できる。
図1には上部ガイドシステム及び下部ガイドシステムを各々2個示したが、これに限定されず、上部ガイドシステム及び下部ガイドシステムの数は必要に応じて変更可能である。
【0020】
また、制御部は、少なくとも一つのガイドシステムが介入するか否かに基づき、上部回転部112及び下部回転部122の回転速度が制御できる。例えば、少なくとも一つのガイドシステムのガイド部が、金属線材供給部160から供給される金属線材を所望のパターンで巻線するために介入する場合、制御部は上部回転部112及び下部回転部122の回転速度を同一に低下させることができる。これにより、ガイドシステムが金属線材を一層安定的にガイドして高い正確度で巻線できる。
【0021】
図2は、本開示の一実施例に係る上部巻線部110の詳細構成を示す図である。上部巻線部110は上部回転部112、上部回転駆動部172及び上部スリップリング(図示せず)を含むことができ、上部スリップリングは上部ハウジング162内に配置されることができる。上部回転部112は、第1の上部ガイド部210と、第2の上部ガイド部220と、ボビンを固定するための固定部142とを含むことができる。
【0022】
固定部142は垂直方向(z軸方向)に移動可能であるように構成され、ボビンに金属線材を巻線する際に、固定部142がz軸に沿って下方に移動して下部巻線部に結合されたボビンを固定することで、巻線時にボビンが遠心力によって巻線装置から分離されるのが防止できる。例えば、固定部142は、ボビンと結合されるように構成された結合部と、結合部が垂直に移動可能にするロードとからなることができる。ここで、結合部は、図に示すように、ボビンの上部と対応する形状を持つことができる。
【0023】
上部回転部112は、上部回転駆動部172の駆動により回転軸180を中心として全体が回転できる。したがって、固定部142により固定されたボビンも回転して、金属線材供給部から供給される金属線材がボビンに巻線されることができる。このとき、第1の上部ガイド部210及び第2の上部ガイド部220は、制御部(図示せず)から伝達される制御信号に基づいて作動でき、ボビンと共に回転しながら巻線される金属線材の位置がガイドできる。
【0024】
このために、上部回転部112は、第1の上部ガイド部210をx軸に移動させるための第1の上部x軸駆動部212及びz軸に移動させるための第1の上部z軸駆動部214と、第2の上部ガイド部220をx軸に移動させるための第2の上部x軸駆動部222及びz軸に移動させるための第2の上部z軸駆動部224とをさらに含むことができる。例えば、第1の上部ガイド部210及び第2の上部ガイド部220は固定部142の両側面に対向配置され、金属線材がボビンに巻線される位置をガイドするように各々制御できる。
図2では上部ガイド部を2個示したが、これに限定されず、必要に応じて変更可能である。
【0025】
第1の上部x軸駆動部212及び第1の上部z軸駆動部214は、制御部からの制御信号に基づき、第1の上部ガイド部210をx軸及びz軸の方向に移動させることができる。同様に、第2の上部x軸駆動部222及び第2の上部z軸駆動部224は、制御部からの制御信号に基づき、第2の上部ガイド部220をx軸及びz軸の方向に移動させることができる。制御部と、第1の上部x軸駆動部212、第1の上部z軸駆動部214、第2の上部x軸駆動部222及び第2の上部z軸駆動部224とは、制御信号を伝達するために電気的に連結され得る。
【0026】
制御部とx軸及びz軸駆動部212、214、222、224との間が電線で連結する際、上部回転駆動部172が上部回転部112を回転させる場合、当該電線のねじれや切断の問題が発生し得る。このような問題点を解決するために、上部ハウジング162内に回転軸180上に上部スリップリング(図示せず)が配置できる。上部スリップリングは、上部回転部112が回転しても、制御部とx軸及びz軸駆動部212、214、222、224との間の電線のねじれや切断も発生させないと同時に、電気的な連結を維持させることで、制御信号が回転中にもx軸及びz軸駆動部212、214、222、224に伝達できるようにする。スリップリングの詳細構成は
図5を参照して後述する。
【0027】
図3は、本開示の一実施例に係る下部巻線部120の詳細構成を示す図である。下部巻線部120は下部回転部122、下部回転駆動部174及び下部スリップリング(図示せず)を含むことができ、下部スリップリングは下部ハウジング164内に配置されることができる。下部回転部122は、第1の下部ガイド部310と、第2の下部ガイド部320と、ボビンが安着して固定されるステージ340と、ボビンをステージ340上に固定するためのクランプ330とを含むことができる。ここで、クランプ330は、水平方向(x軸方向)に移動可能であるように構成できる。
【0028】
下部回転部122は、下部回転駆動部174の駆動により上部回転部と同じ回転軸180を中心として全体が回転するように構成できる。一実施例において、下部回転部122は、制御部に入力される制御信号により上部回転部と同期化して同じ方向及び同じ速度で回転できる。
【0029】
金属線材を巻線するボビンはステージ340上に安着して固定され、ステージ340からボビンが分離されるのを防止するために、クランプ330を用いてボビンをステージ340に固定できる。例えば、図に示すように、クランプ330はボビンの下部と対応する形状を持つことができ、ボビンのサイズによってx軸に沿って左右方向に移動してボビンを強固に固定できる。
【0030】
したがって、下部回転部122の回転により、ステージ340に固定されたボビンが共に回転して金属線材がボビンに巻線されることができる。このとき、第1の下部ガイド部310及び第2の下部ガイド部320は、制御部(図示せず)から伝達される制御信号に基づいて作動でき、ボビンと共に回転しながら巻線される金属線材の位置がガイドできる。
【0031】
このために、下部回転部122は、第1の下部ガイド部310をx軸に移動させるための第1の下部x軸駆動部312及びz軸に移動させるための第1の下部z軸駆動部314と、第2の下部ガイド部320をx軸に移動させるための第2の下部x軸駆動部322及びz軸に移動させるための第2の下部z軸駆動部324とをさらに含むことができる。例えば、第1の下部ガイド部310及び第2の下部ガイド部320はステージ340の両側面に対向配置され、金属線材がボビンに巻線される位置をガイドするように各々制御できる。
図3では下部ガイド部を2個示したが、これに限定されず、必要に応じて変更可能である。
【0032】
第1の下部x軸駆動部312及び第1の下部z軸駆動部314は、制御部からの制御信号に基づき、第1の下部ガイド部310をx軸及びz軸の方向に移動させることができる。同様に、第2の下部x軸駆動部322及び第2の下部z軸駆動部324は、制御部からの制御信号に基づき、第2の下部ガイド部320をx軸及びz軸の方向に移動させることができる。制御部と、第1の下部x軸駆動部312、第1の下部z軸駆動部314、第2の下部x軸駆動部322及び第2の下部z軸駆動部324とは、制御信号を伝達するために電気的に連結され得る。
【0033】
制御部とx軸及びz軸駆動部312、314、322、324との間が電線で連結する際に、下部回転駆動部174が下部回転部122を回転させる場合、当該電線のねじれや切断の問題が発生し得る。このような問題点を解決するために、下部ハウジング164内に回転軸180上に下部スリップリング(図示せず)が配置できる。下部スリップリングは、下部回転部122が回転しても、制御部とx軸及びz軸駆動部312、314、322、324との間の電線のねじれや切断を発生させないと同時に、電気的な連結を維持させることで、制御信号が回転中にもx軸及びz軸駆動部312、314、322、324に伝達できるようにする。スリップリングの詳細構成は
図5を参照して後述する。
【0034】
図4は、本開示の一実施例に係る巻線装置にボビン410が固定される例を示す図である。ボビン410は、ステージ340上に安着して固定され、上部回転部の固定部142及び下部回転部のクランプ330により強固に固定できる。前述したように、ステージ340上にボビン410が固定された後、クランプ330が水平方向(x軸方向)に移動してボビン410の下側を固定し、固定部142がz軸に沿って下方に移動してボビン410の上側が固定できる。したがって、巻線装置を用いてボビンを回転させながら金属線材を巻線する途中、遠心力により巻線装置とボビンとが分離されたり、ボビンが正位置から逸脱したりするのが防止でき、上部ガイドシステム及び下部ガイドシステムにより金属線材をガイドして、正確な位置に金属線材を巻線することで、高い精密度を持つ分割コア巻線が生産できる。
【0035】
図5は、本開示の一実施例に係る上部スリップリング500の詳細構成を示す図である。上部スリップリング500は、スリップリング固定部510及びスリップリング回転部520を含むことができ、上部回転部及び下部回転部が回転する回転軸180上に配置されることができる。上部スリップリング500は、制御部(図示せず)及び上部ガイド部を電気的に連結できる。
【0036】
具体的に、上部スリップリング500は、制御部から制御信号が伝達される上部モータアンプ(図示せず)と、上部ガイド部のx軸駆動部及びz軸駆動部とを電気的に連結させ、上部回転部の回転中にも制御部からの制御信号が上部ガイド部のx軸駆動部及びz軸駆動部に伝達されるようにする。一実施例において、一つのモータアンプは4個の駆動部と連結できる。このとき、制御部/モータアンプと上部ガイド部のx軸駆動部及びz軸駆動部との間の通信方式は、パルス(pulse)方式の代りに直列(serial)通信方式が使用できる。パルス方式はノイズに弱くてスリップリングと結線時にガイド部の位置制御に問題が発生し得るのに対し、直列通信方式は結線数が少なく、ノイズに強いため、ガイド部の位置をより正確に制御できるからである。
【0037】
図に示すように、スリップリング固定部510は第1の配線530を介して制御部/モータアンプと電気的に連結し、スリップリング回転部520は第2の配線540を介して上部ガイド部のx軸駆動部及びz軸駆動部と電気的に連結できる。かかる構成により、スリップリング固定部510が固定された状態で上部回転部が回転する場合、スリップリング回転部520が共に回転しながら制御部と上部ガイド部のx軸駆動部及びz軸駆動部との間の電気的な連結が維持できる。
図5は上部スリップリング500を示したが、下部スリップリングも上部スリップリング500と類似の構造で構成できる。
【0038】
図6は、本開示の一実施例に係るガイドシステム600の詳細構成を示す図である。図に示すように、ガイドシステム600は、ガイド部610、x軸駆動部620、x軸駆動部端子630、z軸駆動部640及びz軸駆動部端子650を含むことができる。一実施例において、x軸駆動部620を制御するための配線はx軸駆動部端子630に連結し、z軸駆動部640を制御するための配線はz軸駆動部端子650に連結できる。x軸駆動部620及びz軸駆動部640は、スリップリングを介して制御部から伝達される制御信号に基づき、ガイド部610を各々x軸方向(ボビンの水平方向)及びz軸方向(ボビンの垂直方向)に移動させることができる。
【0039】
必要に応じて、ガイド部610をy軸に移動させるためのy軸駆動部を使用できるが、ガイド部610のy軸の幅がボビンの長辺より広い場合、ガイド部610のy軸への移動が不要なので、y軸駆動部が省略できる。したがって、一つのガイド部は2個の駆動部により制御されることで、2個の軸に対して自由度(x軸及びz軸)を持つことができる。
【0040】
ガイド部610の介入が不要な場合、x軸駆動部620がガイド部610をボビンから遠く移動させ、ガイド部610の介入が必要な場合、x軸駆動部620が巻線ガイドが必要な位置に合うように、ガイド部610をボビンの近所に移動させることができる。また、ガイド部610の介入が必要な場合、z軸駆動部640が巻線ガイドが必要な高さに合うように、ガイド部610をz軸に移動させることができる。このようなガイド部610の活用により、所望のパターン及び/または所望の位置に金属線材をガイドしてボビンに巻線できる。
【0041】
図7は、本開示の一実施例に係るボビン700の正面図である。図に示すように、ボビン700は、金属線材が巻線される巻線部720、上部回転部と結合される上部フランジ710及び下部回転部と結合される下部フランジ730を含むように構成できる。ここで、上部フランジ710及び下部フランジ730は、巻線部720に巻線される金属線材の脱離を防止するために、巻線部720の幅よりも大きく構成できる。一実施例において、ボビン700は、巻線部720に巻線される金属線材が上部フランジ710から下部フランジ730の方に行くほど多層で積層されるピラミッド構造で巻線可能であるように、下部フランジ730の幅が上部フランジ710の幅よりも広く構成できる。
【0042】
前述したように、上部フランジ710は、上部回転部の固定部と固定結合可能であるように構成できる。例えば、上部フランジ710は、上部回転部の固定部と対応する形状であり得、固定部と強固に固定結合できる。一実施例において、下部フランジ730は、下部回転部のステージに固定結合可能であるように構成できる。
【0043】
図に示すように、下部フランジ730は凹部736を含むことができ、ステージは下部フランジ730と対応する形状の凸部を含むことができる。したがって、凹部736とステージの凸部とを嵌合させることで、ボビン700をステージに固定できる。また、下部フランジ730は、金属線材が巻線された他の分割コアの突出部と結合可能であるように左側部に受容部734が構成でき、右側部に他の分割コアの受容部と結合するように構成された突出部732が構成できる。前述した受容部734及び突出部732はボビンが下部回転部のクランプにより固定されるのにも用いられ、下部回転部のクランプは受容部734及び突出部732と対応する形状を持つことができる。
【0044】
図8は、本開示の一実施例に係るボビン810の下面図である。図に示すように、ボビン810は、一側面の長さd2が他側面の長さd1よりも長い矩形の構造であり得る。ガイド部820はボビン810の長辺d2側に配置されて金属線材がガイドでき、ガイド部820の幅はボビンの長辺d2よりも広く構成できる。したがって、ボビン810に金属線材を巻線する場合、ガイド部820はボビンの長辺d2よりも広いため、y軸方向に移動が不要であり、2個の自由度(x軸及びz軸の方向)のみに移動しながら金属線材の巻線がガイドできる。
図7及び
図8に示すボビンの形態は一つの例であるだけで、必要に応じて多様な形態のボビンが使用できる。本発明に係る巻線装置は、多様な形態のボビンに金属線材をガイドしながら巻線することが可能である。
【0045】
図9は、本開示の一実施例に係る金属線材900の断面図である。図に示すように、ボビンに巻線される金属線材900の断面は矩形であり得る。通常、巻線装置を用いてボビンを巻線する場合、巻線装置が高速で回転する間に、金属線材供給部をz軸方向に移動させながら金属線材を巻線するため、金属線材が巻線されるべき位置よりも上方又は下方の地点に巻線される場合が発生する。これにより、所望のパターンの分割コアの生産に困難がある。金属線材供給部がz軸方向に移動されて金属線材を巻線することを説明したが、z軸方向だけでなくx軸及びy軸の方向にも移動可能である。
【0046】
断面が円形である金属線材の場合、円形の金属線材と対応する形状の溝がボビンに形成されることで、金属線材の巻線位置に多少誤差が発生しても、金属線材が自然に正位置に戻る傾向にある。反面、図に示すように、矩形の断面を持つ金属線材900の場合、ボビンに多層で金属線材を積層すると、構造上金属線材の巻線位置に誤差が発生することが多数あり得る。したがって、金属線材の断面が矩形である場合、金属線材900の巻線位置を物理的にガイドできるメカニズムが必要である。このような金属線材900は、長辺がボビンの巻線部に接触されるように巻線できる。
【0047】
図10は、本開示の一実施例に係る巻線された分割コア1000の垂直断面図である。一実施例において、分割コア1000は、上部フランジ1010から下部フランジ1020の方に行くほど金属線材1030が多層で積層されたピラミッド形態で巻線できる。例えば、図に示すように、ボビンの上部から下部の方に行くほど金属線材1030が2層、3層、4層及び5層で積層されてピラミッド形態で巻線できる。
【0048】
図11は、本開示の一実施例に係る2個の分割コア1110、1120が結合された例を示す図である。前述したように、分割コアは、突出部及び受容部を含むように構成されて他の分割コアと結合される。図に示すように、第1の分割コア1110の突出部と第2の分割コア1120の受容部とを嵌合して、第1の分割コア1110と第2の分割コア1120とが結合できる。
【0049】
図12は、本開示の一実施例に係る分割コアステータ1200の垂直断面図である。ボビンに金属線材が巻線された分割コアは複数個の他の分割コアと結合して環状で組立され、環状の支持ブラケット1210に固定されて分割コアステータ1200が形成できる。前述したように、各々の分割コアは、金属線材が高精密度で巻線されることで、ピラミッド形態の積層構造が崩れることなく生産できる。したがって、複数の分割コアを結合して環状の分割コアステータ1200を形成する際に、低い巻線品質によって隣接する分割コアに巻線された金属線材が互いに接触することを発生させないようにできる。
【0050】
図13は、本開示の一実施例に係るガイド部1330を用いて金属線材の巻線をガイドする例を示す図である。第1の動作段階1310は、すぐ直前に巻線した層の巻線方向と反対に巻線する場合、ガイド部1330を用いて金属線材をガイドする状態を示す。図に示すように、ボビン1340に金属線材の第1の層を巻線した後、上部フランジにある空間に金属線材が入らない場合、その次の層(第2の層)に金属線材が巻線できる。その次の層を巻線する場合、すぐ直前に巻線した層の巻線方向と反対に巻線できる。
【0051】
このとき、巻線される金属線材1350の一側面が上部フランジ、下部フランジまたは既に巻線された他の金属線材により固定支持されない場合、巻線装置の回転力により金属線材1350が巻線されるべき位置よりも上方又は下方の地点に巻線され得る。したがって、ガイド部1330を用いて所望の巻線位置上に壁を作って金属線材1350が正位置に巻線できるように誘導できる。すなわち、ガイド部1330は、金属線材1350がボビン1340上に巻線される新規層の開始位置がガイドできる。例えば、第1の動作段階1310に示すように、第1の層の巻線を完了した後、第2の層の巻線を開始する場合、金属線材1350が巻線されるべき位置のすぐ上部にガイド部1330を配置させて、金属線材1350が所望の位置よりも上方に巻線されるのが防止できる。その後、ガイド部1330を固定させた状態で第2の層の残りの部分が巻線できる。
【0052】
第2の動作段階1320は、金属線材を巻線する場合、ガイド部1330を用いて金属線材の巻線開始位置をガイドする状態を示す。第2の動作段階1320に示すように、金属線材1360が第4の層で巻線を開始する際に、ガイド部1330が巻線開始位置をガイドして金属線材1360が所望の位置よりも上方で巻線されるのが防止できる。
【0053】
図14は、本開示の他の実施例に係るガイド部1440、1450、1460を用いて金属線材の巻線をガイドする例を示す図である。一実施例において、ガイド部1440、1450、1460は、金属線材の巻線位置が急激に変化するパターン(非順次パターン)の巻線がガイドできる。例えば、図に示すように、ボビン1410上に第2の層を巻線した後、金属線材を第1の位置1420から第2の位置1430に急激に移動して巻線できるが、このとき、ガイド部を使用しなくて巻線を進行する場合、第1の位置1420の金属線材が巻線中に正位置から逸脱することがある。
【0054】
したがって、このような場合、ガイド部を用いて金属線材の巻線をガイドすることが望ましい。例えば、第1のガイド部1440を第1の位置1420の金属線材の上部に配置し、第2のガイド部1450を第1の位置1420の金属線材の下部に配置して、第1の位置1420の金属線材1420が第1の位置1420から逸脱しないように固定できる。一方、第2の位置1430の金属線材は下部フランジがその下部面を支持しているので、一つのガイド部1460のみを用いて巻線される金属線材の位置を第2の位置1430にガイドできる。例えば、第2の上部ガイド部1460が金属線材の上側に配置されて金属線材1430を下方に加圧することで、金属線材1430が第2の位置1430に巻線されるようにガイドできる。このように、少なくとも一つのガイド部を活用することで、所望のパターン及び/または所望の位置に金属線材をガイドしてボビンに巻線できる。
【0055】
本明細書では、本開示が一部の実施例によって説明されたが、本開示の発明が属する技術分野における通常の技術者が理解し得る本開示から逸脱しない範囲内で多様な変形や変更が可能である。また、そのような変形や変更は、本明細書に添付された特許請求の範囲内に属するものと理解されるべきである。