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特許7097655耐震ベッド、および耐震ベッドの設置方法
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  • 特許-耐震ベッド、および耐震ベッドの設置方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】耐震ベッド、および耐震ベッドの設置方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/34 20060101AFI20220701BHJP
   E02D 27/42 20060101ALI20220701BHJP
   A47C 19/00 20060101ALI20220701BHJP
   A62B 99/00 20090101ALI20220701BHJP
   A47C 31/00 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
E02D27/34 A
E02D27/42 C
A47C19/00 Z
A62B99/00 A
A47C31/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022032070
(22)【出願日】2022-03-02
【審査請求日】2022-03-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196106
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 一直
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-333014(JP,A)
【文献】特開2007-007406(JP,A)
【文献】特開平11-151317(JP,A)
【文献】特開2009-180077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/34
E02D 27/42
E04H 1/12
A47C 17/00-31/12
A62B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド本体の上方を覆う天板部と、
前記ベッド本体を支持するとともに、前記天板部を保持する保持部と、
前記保持部は、前記ベッド本体の四隅の近傍から下方に延びて、床に画定された床孔を経由して、地盤に接続する基礎接続材を有し、
前記床孔は複数個で構成され
前記床孔と前記基礎接続材の間に生じた隙間を埋めるための充填部材をさらに備え、
前記充填部材は、床の上面に接続する鍔部と、前記鍔部の内縁から下方に向かって延びる外筒と、発泡ウレタンおよび/または防振ゴムを含む充填材と、を有し、
前記充填材は、前記外筒と前記基礎接続材の双方に接触することを特徴とする耐震ベッド。
【請求項2】
前記基礎接続材は、前記地盤に設けられた基礎構造を介して前記地盤に接続することを特徴とする請求項1に記載の耐震ベッド。
【請求項3】
前記基礎構造は、前記地盤に画定された基礎穴に基礎コンクリートが充填されており、
前記基礎接続材は、貫入した状態で前記基礎コンクリートに接続することを特徴とする請求項2に記載の耐震ベッド。
【請求項4】
前記保持部は、前記天板部を保持する天板保持材を有し、前記天板保持材と前記基礎接続材は分離可能に接続することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の耐震ベッド。
【請求項5】
ベッド本体の上方を覆う天板部と、
前記ベッド本体を支持するとともに、前記天板部を保持する保持部と、を備え、
前記保持部は、前記ベッド本体の四隅の近傍から下方に延びて、床に画定された床孔を経由して、地盤に接続する基礎接続材を有し、
前記床孔は複数個で構成され
前記床孔と前記基礎接続材の間に生じた隙間を埋めるための充填部材をさらに備え、
前記充填部材は、床の上面に接続する鍔部と、前記鍔部の内縁から下方に向かって延びる外筒と、防振ゴムを含む充填材と、を有し、
前記充填材は、前記外筒と前記基礎接続材の双方に接触することを特徴とする耐震ベッドの設置方法であって、
前記床に前記床孔を画定する工程と、
前記基礎接続材を、前記床孔を通過させて、前記地盤に接続して前記基礎構造を築造する基礎構造築造工程と、を備え
前記基礎構造築造工程は、
前記床孔から前記地盤を掘削して基礎穴を画定する工程と、
前記基礎接続材を、前記床孔を通過させて前記基礎穴に挿入する工程と、
前記床孔から前記基礎穴にコンクリートを充填する工程と、を有し、
さらに、前記充填部材を前記基礎接続材の上端部から挿入して前記床に設置する工程を備えることを特徴とする耐震ベッド設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震によって家屋が倒壊したとき、倒壊に起因して落下する落下物をベッド本体の上方で受け止める耐震ベッド、および耐震ベッドの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去の地震では、老朽化した木造家屋の倒壊によって、多数の方々が圧死した。地震が起こったとき、家屋の倒壊を防止するために最も有効的なことは、老朽化した木造家屋の耐震改修工事である。しかし、耐震改修工事は多額の費用を要することから、全国には耐震対策の不十分な老朽化した数多くの木造家屋が存在しているのも事実である。
【0003】
このような現状を踏まえ、地震から身を守るための比較的に安価で、簡便な対策として、家屋の倒壊に起因して落下する落下物をベッド本体の上方で受け止めて圧死を回避できる、いわゆる耐震ベッドの設置が提案されている。
【0004】
特許文献1では、ベッド本体の前面側および背面側にそれぞれ、円弧部の両側に垂直部が連続するアーチ形の一対の金属パイプ製の防護フレームを床に立て、両防護フレーム間を3本の金属パイプ製の横桟および4本の補助横桟7で連結している耐震ベッドが開示されている。
【0005】
特許文献2では、支柱部と横架部とで一体の門型フレームとされた主枠の一対を寝具の幅方向に対向して配備し、これら主枠の基部は、四辺枠状をした底盤のコーナー上に脱着自在に取付けられ、左右の主枠間は少なくとも複数本の天井渡しフレームにより脱着自在に連結されているベッドをガードするための防災シェルター(ベッドガードフレーム)が開示されている。
【0006】
特許文献3では、一本のスチールパイプを折り曲げて正面略逆U字状に形成したフレーム体の中央部に梯子部材を垂直方向に設けて構成したところのヘッドフッドを、前後方向に所定間隔を空けて対向位置し、前後のフレーム体の上端部間に全体にわたってアッパーガードレールを設け、主としてメッシュ部材で構成されたメッシュボトムを、前後のヘッドフッドの下部間に全体にわたって水平方向に設け、メッシュボトムの左右端部に沿って前後方向にサイドガードレールを設けた耐震ベッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-208955号公報
【文献】特開2009-293363号公報
【文献】実用新案登録第3172378号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1~3で開示されている耐震ベッドなどは、いずれも床に設置することを前提としている。したがって、仮に、地震に起因して床が倒壊したとき、耐震ベッドが床の倒壊とともに傾動、あるいは転倒する可能性は否定できない。これにより、耐震ベッドに待避または横臥している人々は、圧死等の危険にさらされることとなる。
【0009】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、地盤に直接支持されることで、床が倒壊したとしても傾動、あるいは転倒が回避できる耐震ベッド、および耐震ベッドの設置手順を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための発明は、耐震ベッドであって、ベッド本体の上方を覆う天板
部と、ベッド本体を支持するとともに、天板部を保持する保持部と、を備え、保持部は、ベッド本体の四隅の近傍から下方に延びて、床に画定された床孔を経由して、地盤に接続する基礎接続材を有し、床孔は複数個で構成され、床孔と基礎接続材の間に生じた隙間を埋めるための充填部材をさらに備え、充填部材は、床の上面に接続する鍔部と、鍔部の内縁から下方に向かって延びる外筒と、発泡ウレタンおよび/または防振ゴムを含む充填材と、を有し、充填材は、外筒と基礎接続材の双方に接触することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、ベッド本体は保持材で支持された天板部で覆われるため、地震に起
因して落下する落下物は天板部で受け止められる。これにより、ベッド本体に落下物が直
接に落下することを回避できる。また、ベッド本体を支持するとともに天板部を保持する
保持材は、地盤に接続するので、床が倒壊したとしても、ベッドは傾動することなく元通
りの姿勢を維持できる。また、床孔は複数個で構成されているので、必要な領域に床孔を
画定すればよく、余分な領域に床孔を画定することを要しない。
この構成によれば、床孔と基礎接続材の間に生じた隙間は充填部材によって埋められる
ので、耐震ベッドを設置する室内の環境を良好に保つことができる。
この構成によれば、充填部材は、床の上面に接続する鍔部と、鍔部の内縁から下方に向
かって延びる外筒と、充填材と、を有し、充填材は、外筒と基礎接続材の双方に接触する
ので、充填部材が床孔に落下することはない。また、充填材の材質を、防振効果が期待で
きるものとすることで、ベッド本体の揺れを抑制できる。
【0012】
好ましくは、基礎接続材は、地盤に設けられた基礎構造を介して地盤に接続することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、基礎接続材は、地盤に設けられた基礎構造を介して地盤に接続するので、耐震ベッドは、基礎構造を介して地盤に強固に設置される。
【0014】
好ましくは、基礎構造は、地盤に画定された基礎穴に基礎コンクリートが充填されており、基礎接続材は、貫入した状態で基礎コンクリートに接続することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、基礎接続材は、地盤に画定された基礎穴に基礎コンクリートが充填された基礎構造に貫入した状態で接続するので、耐震ベッドは、基礎構造を介してより一層、強固に地盤に設置される。
【0020】
好ましくは、保持部は、天板部を保持する天板保持材を有し、天板保持材と基礎接続材は分離可能に接続することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、保持部は、天板部を保持する天板保持材を有し、天板保持材と基礎接続材は分離可能に接続するので、保持部の室内への搬入、あるいは組立が容易となる。
【0022】
上記課題を解決するための他の態様の発明は、ベッド本体の上方を覆う天板部と、ベッド本体を支持するとともに、天板部を保持する保持部と、を備え、保持部は、ベッド本体の四隅の近傍から下方に延びて、床に画定された床孔を経由して、地盤に設けられた基礎構造に接続する基礎接続材を有し、床孔は複数個で構成され、床孔と前記基礎接続材の間に生じた隙間を埋めるための充填部材をさらに備え、充填部材は、床の上面に接続する鍔部と、鍔部の内縁から下方に向かって延びる外筒と、発泡ウレタンおよび/または防振ゴムを含む充填材と、を有し、充填材は、外筒と基礎接続材の双方に接触することを特徴とする耐震ベッドの設置方法であって、床に床孔を画定する工程と、基礎接続材を、床孔を通過させて、地盤に接続して基礎構造を築造する基礎構造築造工程と、を備え、基礎構造築造工程は、床孔から地盤を掘削して基礎穴を画定する工程と、基礎接続材を、床孔を通過させて基礎穴に挿入する工程と、床孔から基礎穴にコンクリートを充填する工程と、を有し、さらに、充填部材を基礎接続材の上端部から挿入して床に設置する工程を備えることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、床孔は複数個で構成されるので、床は、基礎接続材を通過させるために必要な領域のみを加工することで足りる。
この構成によれば、基礎構造築造工程は、床孔から地盤を掘削して基礎穴を画定する工程と、基礎接続材を、床孔を通過させて基礎穴に挿入する工程と、床孔から基礎穴にコンクリートを充填する工程と、を有するので、耐震ベッドを設置予定の室内から、基礎構造を構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】(a)は、耐震ベッドの正面図であり、(b)は、同、矢視A-Aの平面断面図である。
図2】(a)は、充填部材の断面斜視図であり、(b)は、同、変形例の断面斜視図である。
図3】天板保持材の斜視図である。
図4】基礎接続材と天板保持材の接続箇所の部分断面図である。
図5】マットおよび敷板の斜視図である。
図6】(a)~(d)は、耐震ベッドの設置手順を説明する概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図1~5を参照して本発明の耐震ベッドの実施形態を詳述する。
【0028】
図1(a)、(b)に示す通り、耐震ベッド1は家屋の一階に位置する室内100に設置されている。ベッド本体60は、保持部10を介して地盤110に支持されている。ベッド本体60の上方は、天板部40で覆われている。天板部40は保持部10によって支持されている。保持部10は、天板部40を保持する天板保持材12と、基礎構造50に接続する基礎接続材11とを有しており、天板保持材12と基礎接続材11は着脱可能に接続している。
【0029】
ベッド本体60は天板保持材12に装着される支持枠18に支持されている。支持枠18は、枠材13の下端部に四方に組まれた状態で、天板保持材12に着脱可能に接続している。これにより、枠材13の強度を増強させるとともに変形は抑制される。
【0030】
天板部40は、天井からの落下物を受け止めて、落下物をベッド本体60に落下させないためのものであり、着脱できる状態で、横繋材14に保持されている。天板部40の材質は、軽量で可撓性に富み、強度に優れた板状構造であることが好ましい。例えば、ポリカーボネイト板であることが好ましい。また、板状構造に限らず、アラミド繊維等で織られた膜状構造であってもよい。
【0031】
ベッド本体60の四隅近傍の直下の地盤110に4個の基礎穴50aが画定され、それぞれの基礎穴50aに充填された基礎コンクリート51に、基礎接続材11が貫入することで基礎構造50を構築している。また4本で構成される基礎接続材11のそれぞれは、床30に画定された床孔30aを経由してそれぞれの基礎コンクリート51に貫入している。床孔30aは、ベッド本体60の四隅近傍の直下に位置している。本実施形態では、床30は板張りを例示しているが、畳敷きであってもよい。また、基礎接続材11は、金属製の円管を例示しているが、角管であってもよい。
【0032】
基礎構造50は、基礎コンクリート51に基礎接続材11が貫入する構造としているが、基礎接続材11を直接に地盤110に貫入させてもよいし、地盤110の不陸を整形した後に基礎接続材11を直接に載置してもよい。基礎構造50については、地盤110の状況、天板部40に落下する落下物の想定される衝撃力などを勘案して、適宜に定めればよい。
【0033】
床孔30aには、充填部材20が設置されており、基礎接続材11が、充填部材20の中心部を貫通している。図2(a)に示す通り、充填部材20は上端部に鍔部21を有しており、外筒22の内部に充填材23が配置されている。鍔部21は、外縁が平面視で床孔30aの外径よりも大きなドーナツ形状の平板であり、床30に固定されている。
【0034】
外筒22は、鍔部21の内縁から下方(地盤110の方向)に向かって延びる円筒であり、床孔30aに挿入されている。充填材23は、肉厚の厚い円筒であり外筒22と基礎接続材11の間に生じている隙間に充填されている。これにより、床孔30aを閉鎖することができる。充填材23の材質は、可撓性に富むとともに、防振性能に優れるものとすることで、地震が発生したとき、ベッド本体60の揺れを抑制できる。本実施形態では、発泡ウレタン、防振ゴムが例示される。これに限らず、少なくとも2層を有する積層構造としてもよい。例えば、図2(b)に示す通り、上層充填材223aを発泡ウレタン、下層充填材223bを防振ゴムとしてもよいし、上層充填材223aを防振ゴム、下層充填材223bを発泡ウレタンとする充填部材220としてもよい。充填材23の肉厚は、十分な防振が得られるよう、想定する地震の震度、基礎接続材11の剛度、ベッド本体60の重量のなどを勘案して、適宜に定めればよい。
【0035】
図3に示す通り、天板保持材12は、アーチ形状の角筒である一対の枠材13、13を有している。一対の枠材13、13は、横繋材14を介して、それぞれが相互に接続している。枠材13と横繋材14は分離可能に接続することが好ましい。これにより、天板保持材12の室内100への搬入が容易となる。
【0036】
枠材13の下端部に、挿入管15が装着されている。挿入管15は、基礎接続材11との接続に用いる管であり、基礎接続材11の上端に挿入されている。また、図4に示す通り、挿入管15と、基礎接続材11は、ボルトで相互に固定されている。
【0037】
図5に示す通り、ベッド本体60は、マット61と、マット61を支持する敷板62とを有している。敷板62は、板材が四方に組まれた梯子形状の部材であり、支持枠18に支持されている。マット61は、直接に横臥するためのものであり、楽に横臥できて、しかも軽量であることが好ましい。
【0038】
図6を参照して、本実施形態における耐震ベッド1の設置手順を説明する。
【0039】
家屋の一階の室内100のいずれかの位置に、耐震ベッド1の設置を予定している場所を選定する。家屋は平屋であっても、2階建てであってもよいが、耐震ベッド1の設置位置は、2階は不可であり、一階の室内100の所定の場所とする必要がある。
【0040】
床30をカッター等で切断して、4個の床孔30aを画定する。床孔30aの位置は、耐震ベッド1の四隅の直下の近傍の所定の位置である。床孔30aからダブルスコップを挿入して地盤110を掘削する。掘削した土砂は、床孔30aを経由して室内100に搬入した後、室外に搬出する。床孔30aの大きさは、掘削作業の作業効率を考慮して適宜に定めればよい。
【0041】
比較的柔らかい地盤条件のときは、1mを目途にダブルスコップを用いて掘削し、基礎穴50aを画定する。また、掘削深度が1mに満たない状態で硬い地盤条件となり、掘削が困難となったときは、地盤110の掘削を中止してもよい。
【0042】
基礎接続材11を基礎穴50aに建てこむ。建てこむときは、建てこみ治具52を用いて基礎接続材11の鉛直度を確保することが好ましい。具体的には、床30に建てこみ治具52を設置して、建てこみ治具52に画定される孔52aを経由して、基礎接続材11を床孔30aに挿入し、鉛直度を確保した状態でさらに降下させて、基礎接続材11の底部を地盤110に接続させる。
【0043】
床孔30aから基礎穴50aにコンクリートを打設して、基礎コンクリート51を構築する。コンクリートが凝固して所定の強度が確保されたことを確認した後、建てこみ治具52を取り外して、基礎接続材11のみが基礎コンクリート51に支持される状態とする。打設するコンクリートは凝固が早く、早期に所定強度が発現できるものであることが好ましい。これにより、耐震ベッド1の設置期間を短縮することができる。
【0044】
充填部材20を基礎接続材11の上端部から挿入して床30に設置した後に鍔部21を床に固定する。これにより、床孔30aと基礎接続材11との間に生じていた隙間は閉鎖され、室内100と床下の空気の移動を制限できて、室内100の良好な環境を維持できる。また、基礎接続材11は基礎コンクリート51と、充填部材20の2箇所で接合された状態となり、基礎接続材11の上端の変位を拘束できる構造となる。
【0045】
基礎接続材11の上端部に、枠材13に装着される挿入管15を挿入した後、ボルトを用いて基礎接続材11と挿入管15を連結する。
【0046】
一対の枠材13、13と、基礎接続材11とを連結した後、一対の枠材13、13に横繋材14を架け渡す。横繋材14に天板部40を載せて、横繋材14に天板部40を連結する。
【0047】
支持枠18を四方に組んだ後、支持枠18にベッド本体60を載せる。これによりベッド本体60は、保持部10を介して地盤110に直接支持される。
【0048】
本実施形態は例示であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で改変できることは勿論である。例えば、本実施形態では、4個の床孔30aを画定して、4個の床孔30aのそれぞれに1本の基礎接続材を挿入していたが、1つの床孔30aに2本以上の基礎接続材11を挿入して、床孔30aの数を、2個、あるいは3個としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る耐震ベッドは、横臥しているときに、不意に地震が発生したとしてもベッドから振り落とされて床面に落ちるリスクを回避できる。特に、ベッドでの横臥を余儀なくされる方々にとって、地震時の安全を確保できることから産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0050】
1:耐震ベッド
10:保持部
11:基礎接続材
12:天板保持材
20:充填部材
21:鍔部
22:外筒
23:充填材
30:床
30a:床孔
40:天板部
50:基礎構造
50a:基礎穴
51:基礎コンクリート
60:ベッド本体
110:地盤
【要約】
【課題】地盤に直接支持されることで、床が倒壊したとしても傾動、あるいは転倒が回避できる耐震ベッド、および耐震ベッドの設置手順を提供する。
【解決手段】耐震ベッド1は家屋の一階に位置する室内100に設置されている。ベッド本体60は、保持部10を介して地盤110に支持されている。ベッド本体60の上方は、天板部40で覆われている。天板部40は保持部10によって支持されている。保持部10は、天板部40を保持する天板保持材12と、基礎構造50に接続する基礎接続材11とを有しており、天板保持材12と基礎接続材11は着脱可能に接続している。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6