(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】セントラルモニター及びモニタリング履歴作成方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
A61B5/00 102B
A61B5/00 102E
A61B5/00 D
A61B5/00 ZDM
(21)【出願番号】P 2017135025
(22)【出願日】2017-07-10
【審査請求日】2020-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】坂田 泰典
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真司
(72)【発明者】
【氏名】蝶間林 将巳
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-000174(JP,A)
【文献】国際公開第2013/054485(WO,A1)
【文献】特開2009-039157(JP,A)
【文献】特開2009-153645(JP,A)
【文献】特開2015-108942(JP,A)
【文献】特開2017-120562(JP,A)
【文献】特表2005-528178(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0143222(US,A1)
【文献】国際公開第2004/114180(WO,A1)
【文献】特開2011-238096(JP,A)
【文献】特開2015-115664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/398
G06Q 50/22
G16H 10/00 -80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を取得するモニター装置として少なくともトランスポートモニター又はベッドサイドモニターを有するとともに、前記モニター装置で取得された前記生体情報を集約して表示するセントラルモニターを有するシステムに用いられる、前記セントラルモニターであって、
生体情報と、前記生体情報を取得した患者の患者IDと、前記生体情報の取得日時と、前記生体情報の取得場所を特定できる取得場所特定情報と、を前記モニター装置から入力する入力部と、
各患者の前記生体情報がいつどこで前記モニター装置により取得されたかが分かるような、各患者の生体情報の取得履歴一覧を形成する取得履歴一覧形成部と、
前記生体情報及び前記取得履歴一覧を表示する表示部と、
を具備
し、
前記取得履歴一覧は、
各患者について、
縦方向に前記生体情報の取得場所が前記生体情報の取得時間順に順次配置されているとともに、前記取得場所の横方向に前記生体情報の取得時間が棒グラフの形式で示されている、
セントラルモニター。
【請求項2】
前記取得場所は、病棟、手術室、集中治療室、緊急救命室、検査室、外来診察室、分娩室、救急車のいずれか一つを含む、
請求項
1に記載のセントラルモニター。
【請求項3】
操作部を、さらに備え、
前記取得履歴一覧は、前記表示部に表示され、
前記表示部は、前記操作部によって前記棒グラフの位置が選択操作されたとき、選択された棒グラフに対応する生体情報を表示する、
請求項
1に記載のセントラルモニター。
【請求項4】
生体情報を取得するモニター装置として少なくともトランスポートモニター又はベッドサイドモニターを有するとともに、前記モニター装置で取得された前記生体情報を集約して表示するセントラルモニターを有するシステムの前記セントラルモニターで用いられる、モニタリング履歴作成方法であって、
生体情報を取得した患者の患者IDと、前記生体情報の取得日時と、前記生体情報の取得場所を特定できる取得場所特定情報と、を前記モニター装置から入力するステップと、
各患者の前記生体情報がいつどこで前記モニター装置により取得されたかが分かるような、各患者の生体情報の取得履歴一覧を形成するステップと、
前記取得履歴一覧を出力するステップと、
を含
み、
前記取得履歴一覧は、
各患者について、
縦方向に前記生体情報の取得場所が、前記生体情報の取得時間順に順次配置されているとともに、前記取得場所の横方向に前記生体情報の取得時間が棒グラフの形式で示されている、
モニタリング履歴作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セントラルモニター及びモニタリング履歴作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院などの医療現場においては、一人一人の患者の生体情報(例えば、心電図、血圧、呼吸回数、脈拍など)を、随時、収集したり、分析したり、表示したりすることが必要となる。また、患者は、病室、検査室、手術室などを移送されることになるので、その患者の生体情報の収集も患者の移送と一緒に行う必要がある。小型の医療用ポータブルモニタシステム(例えば特許文献1、2参照)が広く用いられている。
【0003】
この種のシステムとして、据置型のベッドサイドモニターに可搬型のトランスポートモニターを接続可能(具体的にはドッキング及び取り外し可能)とされたものがある。なおこの種のベッドサイドモニターは、トランスポートモニターに対するホストモニターと言うこともできる。
【0004】
トランスポートモニターは、心電図測定用電極などが接続される端子部、小型ディスプレイ、データ記憶装置、及び、バッテリなどを有し、患者が移送中でも生体情報を途切れなく取得し、それを表示及び記録することができる。患者の移送中にトランスポートモニターに記録された生体情報は、トランスポートモニターがベッドサイドモニターにドッキングされた際にベッドサイドモニターに転送される。ベッドサイドモニターに転送された生体情報は、ベッドサイドモニターに接続されたセントラルモニターにも送られる。
【0005】
このようなトランスポートモニターを有するシステムを用いれば、移送中の患者の生体情報を容易に取得できる。また、ベッドサイドモニターにトランスポートモニターをドッキングするように構成したことにより、患者に装着された生体情報取得用の電極などをベッドサイドモニターとトランスポートモニターとの間で接続し直すことなく、トランスポートモニターをベッドサイドモニターに抜き差しするだけで生体情報の測定を継続できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表平8-504345号公報
【文献】特表平8-504531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の生体情報モニタリングシステムにおいては、取得された生体情報がどの患者の生体情報かを分かるようにするために、各生体情報には患者IDが紐付けられている。そして、各ベッドサイドモニター及び各トランスポートモニターで取得された生体情報が集約される上位のサーバ装置では、患者IDに対応する生体情報を集めて、時間方向に繋げることで、各患者の容体経過が分かるような表示を行うことができるようになっている。
【0008】
しかしながら、従来の生体情報のモニタリングでは、患者が床移動することについては十分な配慮がなされておらず、床移動した患者の容体経過を総合的に判断することができるような表示を行う点では未だ不十分であった。
【0009】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、床移動した患者の容体経過を総合的に判断し得る表示を行うことができるセントラルモニター及びモニタリング履歴作成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のセントラルモニターの一つの態様は、
生体情報を取得するモニター装置として少なくともトランスポートモニター又はベッドサイドモニターを有するとともに、前記モニター装置で取得された前記生体情報を集約して表示するセントラルモニターを有するシステムに用いられる、前記セントラルモニターであって、
生体情報と、前記生体情報を取得した患者の患者IDと、前記生体情報の取得日時と、前記生体情報の取得場所を特定できる取得場所特定情報と、を前記モニター装置から入力する入力部と、
各患者の前記生体情報がいつどこで前記モニター装置により取得されたかが分かるような、各患者の生体情報の取得履歴一覧を形成する取得履歴一覧形成部と、
前記生体情報及び前記取得履歴一覧を表示する表示部と、
を具備する。
【0011】
本発明のモニタリング履歴作成方法の一つの態様は、
生体情報を取得するモニター装置として少なくともトランスポートモニター又はベッドサイドモニターを有するとともに、前記モニター装置で取得された前記生体情報を集約して表示するセントラルモニターを有するシステムの前記セントラルモニターで用いられる、モニタリング履歴作成方法であって、
生体情報を取得した患者の患者IDと、前記生体情報の取得日時と、前記生体情報の取得場所を特定できる取得場所特定情報と、を前記モニター装置から入力するステップと、
各患者の前記生体情報がいつどこで前記モニター装置により取得されたかが分かるような、各患者の生体情報の取得履歴一覧を形成するステップと、
前記取得履歴一覧を出力するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各患者の生体情報がいつどこで取得されたかが分かるような、各患者の生体情報の取得履歴一覧を作成するようにしたので、床移動した患者の容体経過を総合的に判断し得る表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態に係るベッドサイドモニター及びトランスポートモニターのドッキング(接続)の様子を示す図であり、
図1Aはベッドサイドモニターからトランスポートモニターを取り外す様子を示す図、
図1Bは患者と一緒にトランスポートモニターを移動させる様子を示す図、
図1Cはベッドサイドモニターにトランスポートモニターをドッキングさせる様子を示す図
【
図2】実施の形態のベッドサイドモニター及びトランスポートモニターが接続される院内システムの概略構成を示す図
【
図3】実施の形態のベッドサイドモニターの構成を示すブロック図
【
図4】トランスポートモニターがベッドサイドモニターから外されたときにタッチパネルに表示される画面を示す図
【
図5】トランスポートモニターがベッドサイドモニターに接続されたときにタッチパネルに表示される患者選択画面を示す図
【
図6】トランスポートモニターの移動とそれに伴う生体情報の送受の例を示す図
【
図8】実施の形態のセントラルモニターの構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
<1>全体構成
先ず、実施の形態の全体構成及び前提構成について説明する。
【0016】
図1は、ベッドサイドモニター11、12及びトランスポートモニター20のドッキング(接続)の様子を示す図である。ここで、図示していないが、トランスポートモニター20には、心電図測定用電極などの患者の生体情報を取得するための生体情報検出部が接続されている。
【0017】
患者が、ベッドサイドモニター11が配置された場所からベッドサイドモニター12が配置された場所へと移送される場合、医師や看護師などの医療従事者はベッドサイドモニター11からトランスポートモニター20を取り外し(
図1A)、患者と一緒にトランスポートモニターを移動させた(
図1B)後、ベッドサイドモニター12にトランスポートモニター20をドッキングさせる(
図1C)。このようにすることで、患者の移送中でもトランスポートモニター20によってその患者の生体情報を取得することができる。
【0018】
ここで、トランスポートモニター20の底面や側面、及び、それに対応するベッドサイドモニター11、12の面には、ドッキングしたときに互いに電気的に接続するコネクタ部が設けられており、これにより、トランスポートモニター20とベッドサイドモニター11、12は、このコネクタ部を介して互いに生体情報及び設定情報などの情報を送受できるようになっている。
【0019】
ベッドサイドモニター11、12とトランスポートモニター20とを互いに比較した場合の各装置の特徴は以下の通りである。
【0020】
ベッドサイドモニター:
・ベッドサイドに据え置いて設置されることが想定されており、トランスポートモニターよりも重い。
・表示できる生体情報のパラメータの数がトランスポートモニターよりも多い。
・接続できる外部機器の数がトランスポートモニターよりも多い。
・ディスプレイがトランスポートモニターよりも大きく、拡張ディスプレイも接続できる。
・セントラルモニターにネットワーク接続されることが前提となっている。
【0021】
トランスポートモニター:
・持ち運びすることが想定されており、ベッドサイドモニターよりも小型で軽い。
・表示できる生体情報のパラメータの数がベッドサイドモニターよりも少ない。
・接続できる外部機器の数がベッドサイドモニターよりも少ない。
・ディスプレイがベッドサイドモニターよりも小さい。
・移動中に患者の生体情報を記録できるメモリを有する。このメモリは、例えば10日間分の生体情報を記録できる容量を有する。
【0022】
なお、ベッドサイドモニターとトランスポートモニターは必ずしも上述の特徴の全てを有する必要は無いが、少なくともトランスポートモニターはベッドサイドモニターよりも小型で軽く構成されており、持ち運び可能である。
【0023】
図2は、本実施の形態のベッドサイドモニター及びトランスポートモニターが接続される病院内システム(以下「院内システム」と呼ぶ)10の概略構成を示す図である。院内システム10では、手術室に1以上のベッドサイドモニター11A~11Xが設置され、ICU(Intensive Care Unit:集中治療室)に1以上のベッドサイドモニター12A~12Xが設置され、病棟に1以上のベッドサイドモニター13A~13Xが設置されている。なお、本明細書で述べる「病棟」とは、手術室やICUなどの特別な処置室を除くいわゆる「一般病棟」のことである。
【0024】
手術室のベッドサイドモニター11A~11Xはセントラルモニター31に接続されており、ICUのベッドサイドモニター12A~12Xはセントラルモニター32に接続されており、病棟のベッドサイドモニター13A~13Xはセントラルモニター33に接続されている。
【0025】
さらに、セントラルモニター31、32、33は、サーバ装置40に接続されている。これにより、ベッドサイドモニター11A~11Xにより取得された生体情報はセントラルモニター31に集約されて表示や記録が行われ、ベッドサイドモニター12A~12Xにより取得された生体情報はセントラルモニター32に集約されて表示や記録が行われ、ベッドサイドモニター13A~13Xにより取得された生体情報はセントラルモニター33に集約されて表示や記録が行われる。また、セントラルモニター31、32、33で取得された生体情報はサーバ装置40に集約されて記録される。サーバ装置40は、例えばセントラルモニター31、32、33やベッドサイドモニター11A~11X、12A~12X、13A~13Xの要求に応じて、記録した生体情報をセントラルモニター31、32、33やベッドサイドモニター11A~11X、12A~12X、13A~13Xに送ることができる。
【0026】
トランスポートモニター20は、各ベッドサイドモニター11A~11X、12A~12X、13A~13Xにドッキング(接続)可能であり、患者と一緒に移動し、患者が移送された先のベッドサイドモニター11A~11X、12A~12X、13A~13Xにドッキング(接続)される。
【0027】
なお、
図2では、院内システム10を示したが、トランスポートモニター20は、例えば救急車内に設けられたベッドサイドモニターにドッキング(接続)することもできる。
【0028】
<2>ベッドサイドモニターの構成
図3は、本実施の形態のベッドサイドモニター100の構成を示すブロック図である。ベッドサイドモニター100は、
図1及び
図2のベッドサイドモニター11A~11X、12A~12X、13A~13Xとして用いられるものである。
【0029】
ベッドサイドモニター100は、コネクタ部101、102、103を有する。
【0030】
コネクタ部101は、患者に装着された生体情報検出部をベッドサイドモニター100に接続するためのコネクタである。コネクタ部101には、心電図を検出するための心電図測定用電極201、血圧を検出するための血圧測定用カフ202、体温を検出するための体温センサ203、SpO2を検出するためのSpO2センサ204、及び心拍出量を検出するための心拍出量センサ205等の生体情報検出部が接続される。
【0031】
コネクタ部102には、トランスポートモニター20が接続される。コネクタ部103には、セントラルモニター30が接続される。
【0032】
計測処理部104は、所定の計測処理を実行することで、コネクタ部101に接続された生体情報検出部(心電図測定用電極201、血圧測定用カフ202、体温センサ203、SpO2センサ204及び心拍出量センサ205)を用いて患者の生体情報を計測する。なお、上記生体情報検出部を用いた各種生体情報の計測方法については従来周知のものを適用可能であるため、ここではその詳細な説明を省略する。計測処理部104によって得られた生体情報は、記憶部105に記憶されるとともにタッチパネル109に表示される。
【0033】
一方、トランスポートモニター20によって取得された生体情報は、コネクタ部102及び送受信処理部106を介して記憶部105に記憶される。因みに、トランスポートモニター20の移動中にトランスポートモニター20によって取得された生体情報は、一旦トランスポートモニターの記憶部(図示せず)に記憶され、ベッドサイドモニター100と接続されたときにコネクタ部102及び送受信処理部106を介してベッドサイドモニター100の記憶部105に転送記憶される。
【0034】
記憶部105に記憶された生体情報は、送受信処理部106及びコネクタ部103を介してセントラルモニター30に送られる。これにより、セントラルモニター30では、ベッドサイドモニター100及びトランスポートモニター20で取得された生体情報を表示及び記録することができる。
【0035】
制御部110は、計測処理部104、送受信処理部106、表示制御部107及びアラームインジケータ108を制御する。
【0036】
タッチパネル109は、表示制御部107によって制御され、生体情報を計測値又は波形の形式で表示する。また、タッチパネル109は、生体情報を表示する表示機能を有するだけでなく、操作者による入力操作を受け付ける操作入力部としての機能も有する。具体的には、タッチパネル109におけるユーザーのタッチ操作を示す情報がタッチパネル109から制御部110に送られ、制御部110はタッチ操作に従って、タッチパネル109上での表示変更やベッドサイドモニター100のモード変更、各種の登録処理などを行う。
【0037】
アラームインジケータ108は、ベッドサイドモニター100の筐体上部などに設けられており、制御部110によって生体情報に異常が生じたと判定されたときに例えば赤色に発光するようになっている。
【0038】
また、ベッドサイドモニター100は、接続検出部111及びID識別部112を有する。接続検出部111は、コネクタ部102にトランスポートモニター20が接続されているか否かを検出し、検出結果を制御部110に送出する。ID識別部112は、コネクタ部102に接続されたトランスポートモニター20に設定されている患者IDをコネクタ部102を介して入力し、この患者IDが以前に接続されたトランスポートモニター20の患者IDと同じか否かを識別し、識別結果を制御部110に送出する。
【0039】
トランスポートモニター20がベッドサイドモニター100から外された場合、接続検出部111によってこのことが検出され、タッチパネル109には、
図4に示す画面が表示される。ユーザー(医療従事者)によって「モニター中断」ボタンがタッチされると、ベッドサイドモニター100はモニタリングの中断モードとなり、生体情報のモニタリングを中断する。これに対して、ユーザーによって「退床」ボタンがタッチされると、ベッドサイドモニター100は退床処理を行う。
【0040】
トランスポートモニター20がベッドサイドモニター100に接続された場合、接続検出部111によってこのことが検出され、タッチパネル109には、
図5に示す患者選択画面が表示される。ユーザーは、この画面において、トランスポートモニター20に設定されている患者IDに紐付けられた患者情報を使うモード、本装置(ベッドサイドモニター100)に設定されている患者IDに紐付けられた患者情報を使うモード、又は、新規に患者情報を入力してモニタリングを開始するモードのうちのいずれかを選択できる。
【0041】
<3>実施の形態による履歴表示
次に、本実施の形態によるモニタリング履歴一覧表示について説明する。
【0042】
図6は、トランスポートモニター20の移動と、それに伴う生体情報の送受の例を示す図である。
【0043】
先ず、トランスポートモニター20がICUのベッドサイドモニター12Aにドッキングされ、その状態で生体情報Xが取得される。次に、トランスポートモニター20がベッドサイドモニター12Aから外され、患者と一緒に移動しながら移動中の生体情報Yを取得する。
【0044】
次に、トランスポートモニター20は病棟のベッドサイドモニター13Aにドッキングされる。ベッドサイドモニター13Aはトランスポートモニター20から生体情報X、Yを受け取る。また、ベッドサイドモニター13Aは、トランスポートモニター20とドッキングした状態で生体情報Zを得る。
【0045】
病棟のセントラルモニター33は、ベッドサイドモニター13Aから生体情報Y、Zを受け取る。また、セントラルモニター33は、ICUのセントラルモニター32から生体情報Xを参照として受け取ることもできる。因みに、セントラルモニター33は、生体情報Xをベッドサイドモニター13Aから受け取ることもできるが、このようにすると、トランスポートモニター20の移動時間、及び、トランスポートモニター20からベッドサイドモニター13Aへの生体情報Xの転送時間の分だけ遅延が生じるので、セントラルモニター32から受け取った方が早く受け取ることができる。
【0046】
サーバ装置40には、生体情報X、Y、Zが収集される。これにより、サーバ装置40は、患者IDと取得時間とが付された生体情報X、Y、Zを収集することができる。
【0047】
図7は、本実施の形態による履歴表示を示す図である。本実施の形態の履歴表示の特徴は、各患者の生体情報がいつどこで取得されたかが分かるような、各患者の生体情報の取得履歴一覧を表示する点にある。
【0048】
図7の履歴表示は、セントラルモニターによって行われる。以下では、セントラルモニター33が履歴表示を行う場合を例に説明する。セントラルモニター33は、生体情報を取得した患者の患者IDと、生体情報の取得日時と、生体情報の取得場所を特定できる取得場所特定情報と、を入力し、
図7に示したように、各患者の生体情報がいつどこで取得されたかが分かるような、各患者の生体情報の取得履歴一覧を表示する。
【0049】
医療従事者は、
図7のモニタリング履歴表示から以下のようなことを認識できる。
【0050】
時点t1~t2の期間に、緊急救命室「ER-001」のベッドサイドモニターで生体情報が取得された。時点t3~t4の期間に、ICU「ICU-001」のベッドサイドモニターで生体情報が取得された。因みに、この時点t3~t4の期間の生体情報は、ICUのベッドサイドモニターにトランスポートモニターがドッキングされた状態で取得された生体情報である。時点t4~t5の期間に、トランスポートモニターで移動中に生体情報が取得された。なお、時点t4では、ICUのベッドサイドモニターからトランスポートモニターが外され、退床操作が行われた。
【0051】
時点t5~t6の期間に、病棟「BED-001」のベッドサイドモニターで生体情報が取得された。なお、時点t5では、病棟のベッドサイドモニターにトランスポートモニターがドッキングされ、入床操作が行われた。
【0052】
時点t6~t7の期間に、トランスポートモニターで移動中に生体情報が取得された。なお、時点t6では、病棟のベッドサイドモニターからトランスポートモニターが外され、中断操作が行われた。
【0053】
時点t7~t8の期間に、病棟「BED-001」のベッドサイドモニターで生体情報が取得された。なお、時点t7では、病棟のベッドサイドモニターにトランスポートモニターがドッキングされ、継続(再開)操作が行われた。
【0054】
時点t8~t9の期間に、トランスポートモニターで移動中に生体情報が取得された。なお、時点t8では、病棟のベッドサイドモニターからトランスポートモニターが外され、中断操作が行われた。
【0055】
時点t9~t10の期間に、病棟「BED-001」のベッドサイドモニターで生体情報が取得された。なお、時点t9では、病棟のベッドサイドモニターにトランスポートモニターがドッキングされ、継続(再開)操作が行われた。
【0056】
セントラルモニター33によって
図7に示したようなモニタリング履歴を表示するようにしたことにより、医療従事者は、その患者の生体情報がどの場所(病棟、手術室、集中治療室、緊急救命室)で取得されたかの履歴を知ることができる。
【0057】
また、本実施の形態では、
図7におけるいずれかの生体情報区間を選択すると、別画面に、選択した生体情報区間の生体情報が表示されるようになっている。例えば
図7中の符号A1で示した生体情報区間(棒グラフ)をマウスなどを用いて選択すると、7月5日の13:00~14:00にトランスポートモニターで取得された生体情報(心電図、SpO
2など)が別画面に表示される。
【0058】
<4>セントラルモニターの構成
図8は、
図7のようなモニタリング履歴表示を実現するためのセントラルモニター30(31、32、33)の構成例を示す。セントラルモニター30の外部入出力部41には例えば院内LAN(Local Area Network)を介してベッドサイドモニターからの生体情報が入力される。このとき、外部入出力部41には、生体情報に付随して、その生体情報を取得した患者の患者ID、その生体情報の取得日時、及び、その生体情報の取得場所を特定できる取得場所特定情報が入力される。なお、もしも取得場所特定情報として取得場所そのものが入力されなくても、例えば生体情報を取得した生体情報モニターの機器番号などが入力されれば、その機器番号の機器が設置される場所を予め登録しておくことで、機器番号からテーブル引きなどによって生体情報の取得場所を特定することができる。
【0059】
外部入出力部41に入力された情報は、表示制御部42及び処理部43に送られる。処理部43は、記憶部44及びアラーム判定部45を有する。アラーム判定部45は、生体情報を閾値判定し、生体情報が閾値の範囲外となった場合に、表示制御部42にアラーム出力指示信号を出力する。
【0060】
表示制御部42は、取得履歴一覧形成部として機能し、患者ID、取得日時、取得場所特定情報に基づいて、同一患者について、
図7に示したようなモニタリング履歴を作成し、これを液晶ディスプレイなどでなる表示部46に表示させる。
【0061】
また、マウスやキーボードなどからなる操作部47によって、
図7におけるいずれかの生体情報区間(棒グラフ)が選択されると、その生体情報区間に相当する生体情報が表示制御部42によって記憶部44から読み出され、この生体情報が表示部46に表示される。
【0062】
<5>まとめ
以上説明したように、本実施の形態によれば、セントラルモニター30が、ベッドサイドモニターから、生体情報と、生体情報を取得した患者の患者IDと、生体情報の取得日時と、生体情報の取得場所を特定できる取得場所特定情報と、を入力する外部入出力部41と、各患者の生体情報がいつどこで取得されたかが分かるような、各患者の生体情報の取得履歴一覧(
図7)を表示する表示部46と、を有する。これにより、床移動した患者の容体経過を総合的に判断し得る表示を行うことができるようになる。つまり、単に各患者の生体情報を収集して時系列的に配置して表示する場合と比較して、その生体情報はどの場所(病棟、手術室、集中治療室、緊急救命室)で取得されたものなのか、またどういう場所を経由して取得されたものなのかを把握できる。
【0063】
例えば、生体情報だけを見れば容体が良くないと診断されるものであっても、医療従事者は、その生体情報が手術室やICUで取得されたものであったと分かれば、生体情報の変化は手術や薬剤などの影響によるものと判断して診断を行うことができる。また、例えば、生体情報だけを見れば容体が良くないと診断されるものであっても、医療従事者は、その生体情報が移送中や移送直後に取得されたものであると分かれば、生体情報の変化は移送の影響によるものと判断して診断を行うことができる。
【0064】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【0065】
上述の実施の形態では、
図7に示したように、縦方向に生体情報の取得場所を、生体情報の取得時間順に順次配置するとともに、取得場所の横方向に生体情報の取得時間を棒グラフの形式で配置したが、取得履歴一覧の形式はこれに限らず、要は、各患者の生体情報がいつどこで取得されたかが分かるようなものであればよい。つまり、生体情報の取得場所(病棟、手術室、集中治療室、緊急救命室)と取得時間の両方が一覧表示されたものであればよい。
【0066】
また上述の実施の形態では、生体情報の取得場所、つまりベッドサイドモニターが設置される場所として病棟、手術室、集中治療室、緊急救命室を例に挙げたが、生体情報の取得場所はこれに限らず、例えば検査室、外来診察室、分娩室、救急車などであってもよい。
【0067】
また上述の実施の形態では、各患者の生体情報の取得履歴一覧の作成及び表示を、セントラルモニターで行う場合について述べたが、この生体情報の取得履歴一覧の作成及び表示はベッドサイドモニターで行うようにしてもよい。
【0068】
また上述の実施の形態では、作成した生体情報の取得履歴一覧を表示部46に表示した場合について述べたが、作成した生体情報の取得履歴一覧は、プリンタに出力してもよく、或いはセントラルモニターやベッドサイドモニターに接続された他のディスプレイに出力してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、例えば各患者の生体情報の履歴を表示可能なセントラルモニターに適用して好適である。
【符号の説明】
【0070】
11、11A~11X、12、12A~12X、13A~13X、100 ベッドサイドモニター
20 トランスポートモニター
30、31、32、33 セントラルモニター
41 外部入出力部
42 表示制御部
43 処理部
46 表示部
47 操作部