(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 16/21 20190101AFI20220701BHJP
【FI】
G06F16/21
(21)【出願番号】P 2017136756
(22)【出願日】2017-07-13
【審査請求日】2020-05-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】598049322
【氏名又は名称】株式会社三菱UFJ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中島 一海
(72)【発明者】
【氏名】小山 忠博
【合議体】
【審判長】田中 秀人
【審判官】篠原 功一
【審判官】須田 勝巳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/102911(WO,A1)
【文献】特開2009-277185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00 - 16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末とのセッションにおいて受信した変更前情報と変更後情報とを
、データベースに記録することなく前記セッションにおいて一時的に保持する格納部と、
前記変更前情報と前記変更後情報との間の変更箇所を特定し、前記特定した変更箇所を変更ログとして
前記データベースに記録する処理部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記変更ログは、変更を行ったユーザ、変更を指示したユーザ及び変更時間の1つ以上を含む、請求項1
に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記変更後情報が承認されると、前記処理部は、前記変更ログを前記データベースに記録する、請求項1
または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ユーザ端末とのセッションにおいて受信した変更前情報と変更後情報とを、データベースに記録することなく前記セッションにおいて一時的に保持するステップと、
前記変更前情報と前記変更後情報との間の変更箇所を特定し、前記特定した変更箇所を変更ログとして前記データベースに記録するステップと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介した情報処理技術の進展によって、個人や企業などのユーザがコンピュータ端末上で各種金融取引を実行することが可能になってきている。このような状況下において、多くの金融機関は、ユーザが各種金融取引をコンピュータ端末上で実行するためのプラットフォーム又はウェブサイトを提供している。ユーザは、このようなプラットフォーム又はウェブサイト上に実現される金融取引システムにアクセスすることによって、残高照会、取引履歴照会、振込処理、送金処理などの各種金融取引を実行することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
典型的な企業向けの金融取引システムでは、経理部門や財務部門の複数のスタッフにアクセス権限が付与され、スタッフによる入力や操作によって金融サービスが提供されている。これらのスタッフは、入力や操作を行う申請者と入力内容や操作内容をチェックする承認者とに役割分担されるケースが多く、このような役割分担によって入力や操作の正確性を確保している。例えば、申請者の入力内容に誤りなどがあった場合、承認者は修正箇所を申請者に指摘し、申請者に再入力させることができる。
【0005】
一方、金融機関は、金融当局や企業からの要請などによって、修正された情報項目について、変更前の入力内容と変更後の入力内容とを示す変更箇所と共に、何れのスタッフが当該変更を実行したかなどの付属情報を変更ログとしてデータベースに記録及び保持することが求められている。
【0006】
しかしながら、現在、メガバンクなどの大規模な金融機関では、1日に膨大な数の取引がプラットフォーム又はウェブサイト上で処理され、多くの計算リソース及びネットワークリソースが利用されている。ユーザのコンピュータ端末からの入力内容や操作内容をサーバが逐次データベースに保存するようにした場合、処理速度の低下による操作性の低下を招く可能性があり、可能な限りデータベースへのアクセスを減らすことが求められている。
【0007】
上述した問題点を鑑み、本発明の課題は、データベースへのアクセス数を減らしながら、ユーザにより入力された情報の変更ログを効率的に生成することが可能な情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、ユーザ端末とのセッションにおいて受信した変更前情報と変更後情報とを格納する格納部と、前記変更前情報と前記変更後情報との間の変更箇所を特定し、前記特定した変更箇所を変更ログとしてデータベースに記録する処理部とを有する情報処理装置に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、データベースへのアクセス数を減らしながら、ユーザにより入力された情報の変更ログを効率的に生成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例によるセッション管理を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例による情報処理システムを示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例による情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例による情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例による変更前のユーザ入力情報を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施例による変更後のユーザ入力情報を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施例による変更ログを示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施例による変更ログ生成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
以下の実施例では、金融サービスなどの各種サービスをユーザに提供するサーバなどの情報処理装置が開示される。後述される実施例を概略すると、
図1に示されるように、情報処理装置は、ユーザ端末との間で確立されたセッションにおいて、ユーザ端末から受信した入力内容をデータベースでなくセッション保存情報として情報処理装置内のメモリに保持する。図示された具体例は送金処理に関するものであり、送金日、送金通貨、送金額、送金先などの情報内容が入力される。その後、ユーザ端末からの再入力があった場合、情報処理装置は、メモリにセッション保存情報として保存されている変更前の入力内容と再入力された内容とを比較し、これらの差分となる修正箇所を変更ログとして生成し、生成した変更ログをデータベースに記録する。なお、以下の実施例は金融取引システムに関して説明するが、本発明は、これに限定されず、何れかのタイプの情報内容を処理する情報処理装置に適用されてもよい。
【0013】
まず、
図2を参照して、本発明の一実施例による情報処理システムを説明する。
図2は、本発明の一実施例による情報処理システムを示す概略図である。
【0014】
図2に示されるように、情報処理システム10は、情報処理装置100、ユーザ端末200及びデータベース300を有する。情報処理装置100、ユーザ端末200及びデータベース300は、例えば、インターネットなどの公衆ネットワークを介し通信接続されてもよいし、あるいは、専用回線を介し通信接続されてもよい。
【0015】
情報処理装置100は、典型的には、サーバにより実現され、例えば、
図3に示されるようなハードウェア構成を有してもよい。すなわち、情報処理装置100は、バスBを介し相互接続されるドライブ装置101、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU(Central Processing Unit)104、インタフェース装置105及び通信装置106を有する。
【0016】
情報処理装置100における後述される各種機能及び処理を実現するプログラムを含む各種コンピュータプログラムは、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)などの記録媒体107によって提供されてもよい。プログラムを記憶した記録媒体107がドライブ装置101にセットされると、プログラムが記録媒体107からドライブ装置101を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体107により行う必要はなく、ネットワークなどを介し何れかの外部装置からダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータなどを格納する。メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムやデータを読み出して格納する。プロセッサとして機能するCPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムやプログラムを実行するのに必要なパラメータなどの各種データに従って、後述されるような情報処理装置100の各種機能及び処理を実行する。インタフェース装置105は、ネットワーク又は外部装置に接続するための通信インタフェースとして用いられる。通信装置106は、端末や外部装置と通信するための各種通信処理を実行する。しかしながら、情報処理装置100は、上述したハードウェア構成に限定されるものでなく、他の何れか適切なハードウェア構成により実現されてもよい。
【0017】
ユーザ端末200は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどの通信機能を備えた何れかの情報処理装置であってもよい。例えば、ユーザはユーザ端末上のウェブブラウザを操作し、情報処理装置100により提供されるウェブサイトにアクセスし、ユーザID及びパスワードなどの認証情報を入力することによって確立された情報処理装置100との間のセッションにおいて、当該ウェブサイトにより提供される各種サービスを利用することが可能である。
【0018】
データベース300は、情報処理装置100から受信したユーザの入力情報や操作情報と共に、変更前後の情報内容を示す変更ログを記憶する。
【0019】
次に、
図4を参照して、本発明の一実施例による情報処理装置を説明する。
図4は、本発明の一実施例による情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図4に示されるように、情報処理装置100は、格納部110及び処理部120を有する。
【0020】
格納部110は、ユーザ端末200とのセッションにおいて受信した変更前情報と変更後情報とを格納する。具体的には、ユーザ端末200が情報処理装置100により提供されるウェブサイトへのアクセスが許可されると、情報処理装置100は、当該ユーザ端末200に対してセッションを確立し、当該セッションにおいてユーザ端末200に各種サービスを提供する。セッション確立後に、
図1に示されるようなウェブページがユーザ端末200に提供され、
図1の上部に示されるような情報内容がユーザ端末200によって入力されると、処理部120は、データベースに登録する代わりに、当該セッションにおいて一時的に保持されるセッション保存情報として入力された情報内容を格納部110に保存する。すなわち、変更前情報と変更後情報とは、データベース300に記録することなくセッションにおいて一時的に保持される。その後、
図1の下部に示されるように何れか1つ以上の情報項目が変更されると、処理部120はまた、データベースに登録することなく、当該セッションにおいて保持されるセッション保存情報として再入力された情報内容を格納部110に保存する。
【0021】
ここで、格納部110は、変更前情報と変更後情報との情報内容全体を格納してもよい。また、複数回の変更がなされる場合、格納部110は、各回の情報内容全体を格納してもよいし、初回に入力された情報内容全体と最後に入力された情報内容全体とを格納してもよい。
【0022】
処理部120は、変更前情報と変更後情報との間の変更箇所を特定し、特定した変更箇所を変更ログとしてデータベース300に記録する。例えば、
図5に示される変更前情報と
図6に示される変更後情報とが格納部110に格納されている場合、処理部120は、変更前情報(i_RevisionInfoSctBefore)と変更後情報(i_RevisionInfoSctAfter)との各情報項目を比較し、変更箇所を特定する。図示された例では、処理部120は、2つの情報項目"amountLog"及び"beneficiaryLog"が変更されていることを特定する。この場合、処理部120は、情報項目"amountLog"の変更前情報内容が"2500.55"であり、変更後情報内容が"12345.6"であることと、情報項目"beneficiaryLog"の変更前情報内容が"Name2"であり、変更後情報内容が"taro Name"であることを示す変更ログを生成し、生成した変更ログをデータベース300に登録する。
【0023】
例えば、処理部120は、
図7に示されるような表形式によって変更ログを構成してもよい。図示されるように、当該変更ログでは、情報項目"amountLog"の変更前情報内容が"2500.55"であり、変更後情報内容が"12345.6"であることと、情報項目"beneficiaryLog"の変更前情報内容が"Name2"であり、変更後情報内容が"taro Name"であることが示されている。
【0024】
一実施例では、変更ログは更に、変更を行ったユーザ、変更を指示したユーザ及び変更時間の1つ以上を含むものであってもよい。すなわち、処理部120は、上述した変更箇所と共に、当該変更を実行したユーザ又はユーザ識別子、当該変更を指示したユーザ又はユーザ識別子及び変更時間の1つ以上を示す付加情報を変更ログに含めてもよい。典型的な企業向け金融取引システムでは、経理部門又は財務部門の異なるスタッフが申請者と承認者とに役割分担され、取引内容の入力と確認とをそれぞれ行って、入力される取引内容の正確性を確保している。このような実際上の適用事例を鑑み、変更ログは、修正箇所だけでなく、これらに限定されることなく、申請者、承認者及び/又は変更時間などの付加情報を更に含むようにしてもよい。
【0025】
また、一実施例では、変更後情報が承認されると、処理部120は、変更ログをデータベース300に記録してもよい。具体的には、承認者が申請者によって入力された変更後情報を承認した後、処理部120は、変更箇所を示す変更ログを生成し、データベース300に記録してもよい。例えば、複数回の変更が行われる場合、処理部120は、最終的に承認された変更後情報と最初に入力された変更前情報との差分となる変更箇所を示す変更ログを生成し、データベース300に記録してもよい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、変更がなされる毎に変更箇所を示す変更ログを生成及び記録してもよい。この場合、変更ログは、各変更時における直近の変更前情報と変更後情報との間の変更箇所を示すようにしてもよい。
【0026】
次に、
図8を参照して、本発明の一実施例による変更ログ生成処理を説明する。
図8は、本発明の一実施例による変更ログ生成処理を示すフローチャートである。
【0027】
図8に示されるように、ステップS101において、情報処理装置100は、ユーザ端末200との間で設定されているセッションにおいて、入力された変更前情報をセッション保存情報として情報処理装置100内のメモリに保存する。
【0028】
ステップS102において、ユーザ端末200において変更前情報に対する修正が行われると、情報処理装置100は、再入力された変更後情報をセッション保存情報としてメモリに保存する。
【0029】
ステップS103において、例えば、変更後情報が承認されると、情報処理装置100は、変更前情報と変更後情報との差分である修正箇所を示す変更ログを生成し、生成した変更ログをデータベース300に送信する。
【0030】
上述した変更ログ生成処理は、情報処理装置100のプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0031】
なお、上述した実施例は金融取引システムに関して説明されたが、本発明は、これに限定されず、変更前後の情報を一時的に保持し、変更箇所を示す変更ログをデータベース300に記録する何れかのタイプの情報処理装置に適用されてもよい。
【0032】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0033】
10 情報処理システム
100 情報処理装置
110 格納部
120 処理部
200 ユーザ端末
300 データベース