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特許7097700電気化学的水素吸蔵電極および電気化学的電池
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  • 特許-電気化学的水素吸蔵電極および電気化学的電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】電気化学的水素吸蔵電極および電気化学的電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/134 20100101AFI20220701BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20220701BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20220701BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20220701BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20220701BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20220701BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20220701BHJP
【FI】
H01M4/134
H01M4/36 A
H01M4/38 Z
H01M4/48
H01M4/58
H01M10/0568
H01M10/0569
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2017557401
(86)(22)【出願日】2016-04-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-06-07
(86)【国際出願番号】 US2016029980
(87)【国際公開番号】W WO2016178957
(87)【国際公開日】2016-11-10
【審査請求日】2019-04-26
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】62/156,464
(32)【優先日】2015-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クォー ヤング
(72)【発明者】
【氏名】ティエジュン メン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エイ. フェチェンコ
【合議体】
【審判長】清水 稔
【審判官】木下 直哉
【審判官】須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-213905(JP,A)
【文献】国際公開第2006/011620(WO,A1)
【文献】特表2014-519159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、負極と、電解質組成物とを含む電気化学的二次電池であって、前記負極が、ケイ素をベースとする安定な水素吸蔵負極であり、該負極は水素吸蔵材料を含み、前記水素吸蔵材料はケイ素を27質量%超含み、前記水素吸蔵材料は、アモルファスシリコンを含み、充放電サイクル中に負極は、水素の吸蔵および放出を可逆的に行う、電気化学的二次電池。
【請求項2】
前記水素吸蔵材料は、水素化されている、請求項1記載の電気化学的二次電池。
【請求項3】
前記水素吸蔵材料は、金属、ガラス、無機物およびプラスチックから選択される基材に付着した膜の状態で含まれている、請求項1記載の電気化学的二次電池。
【請求項4】
前記水素吸蔵材料は、該水素吸蔵材料の全質量を基準として50質量%以上のSiを含む、請求項1記載の電気化学的二次電池。
【請求項5】
前記負極の全質量を基準として50質量%以上のSiを含む、請求項1記載の電気化学的二次電池。
【請求項6】
記電解質組成物は、中性または酸性のpHであってかつプロトンを輸送する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の電気化学的二次電池。
【請求項7】
前記電解質組成物は、プロトン酸、プロトン性アンモニウム化合物、プロトン性オキソニウム化合物、非プロトン性アンモニウム化合物、非プロトン性オキソニウム化合物、非プロトン性ホスホニウム化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群から選択される1つまたは複数のイオン化合物を含む、請求項6記載の電気化学的二次電池。
【請求項8】
前記電解質組成物は、
NH 、メチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、ジエチルメチルアンモニウムイオン、ヒドロキシエチルアンモニウムイオン、メトキシメチルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、メチルブチルアンモニウムイオン、アニリニウムイオン、ピリジニウムイオン、2-メチルピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、1-メチルイミダゾリウムイオン、1,2-ジメチルイミダゾリウムイオン、イミダゾリニウムイオン、1-エチルイミダゾリウムイオン、1-(4-スルホブチル)-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-アリルイミダゾリウムイオン、キノリニウムイオン、イソキノリニウムイオン、ピロリニウムイオン、ピロリニニウムイオンまたはピロリジニウムイオン;
1-ブチル-1-メチルピロリジニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ-n-ブチルアンモニウムイオン、n-ブチルトリエチルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン、トリ-n-ブチルメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、1-メチルピリジニウムイオン、1-ブチル-3,5-ジメチルピリジニウムイオン、1,2,4-トリメチルピラゾリウムイオン、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムイオン、トリ(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン、ジメチルジ(ポリオキシエチレン)アンモニウムイオン、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ヒドロキシエチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-1-メチルピペリジニウムイオン、4-エチル-4-メチルモルホリニウムイオン、1-(シアノメチル)-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムイオン、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムイオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムイオンまたは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン;および
メチルトリフェニルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン、テトラブチルホスホニウムイオン、トリブチルメチルホスホニウムイオン、トリエチルメチルホスホニウムイオン、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムイオン、トリフェニルプロピルホスホニウムイオンまたはテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムイオン;
からなる群から選択されるカチオンと、
カルボン酸イオン、イミド系イオン、メチド系イオン、硝酸イオン、二フッ化水素イオン、ハロゲン化物イオン、ホウ酸系イオン、リン酸系イオン、ホスフィン酸系イオン、ホスホン酸系イオン、スルホン酸系イオン、硫酸系イオン、炭酸系イオンおよびアルミン酸系イオンからなる群から選択されるアニオンと
を含むイオン化合物を含む、請求項6記載の電気化学的二次電池。
【請求項9】
前記電解質組成物は、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、パーフルオロアルキルカルボン酸イオン、パーフルオロアルキルスルホン酸イオン、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、(パーフルオロアルキルスルホニル)(パーフルオロアルキルカルボキシル)イミドイオン、トリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドイオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ビスオキサラトホウ酸イオン、ジフルオロオキサラトホウ酸イオン、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトホウ酸イオン、トリスオキサラトリン酸イオン、テトラフルオロオキサラトリン酸イオンおよびジ(トリフルオロアセタト)オキサラトアルミン酸イオンからなる群から選択されるアニオンを含むイオン化合物を含む、請求項6記載の電気化学的二次電池。
【請求項10】
前記電解質組成物は、式RCOO[式中、Rは、水素またはヒドロカルビルである]のカルボン酸アニオンを含むイオン化合物を含む、請求項6記載の電気化学的二次電池。
【請求項11】
前記電解質組成物は、
ジシアナミドイオン、N(SOF) 、[N(SOCF、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、N(CFSO)(CF(CFSOまたは(パーフルオロアルキルスルホニル)(パーフルオロアルキルカルボキシル)イミドイオン;
C(CFSO ;HF ;塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンまたはフッ化物イオン;
オルトホウ酸イオン、テトラヒドロキシホウ酸イオン、テトラホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、[B(3,5-(CF、B(C (ビス(オキサラト)ホウ酸イオン)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸イオン、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトホウ酸イオン、B(C またはBF
リン酸二水素イオン、リン酸水素イオン、アルキルリン酸イオン、ジアルキルリン酸イオン、リン酸イオン、PF 、HPO、トリスオキサラトリン酸イオン、テトラフルオロオキサラトリン酸イオン、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C またはFP(C
トリフルオロメタンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオンまたはメタンスルホン酸イオン;
硫酸水素イオン、硫酸イオン、チオ硫酸イオン、メチル硫酸イオンまたはエチル硫酸イオン;
炭酸イオン、炭酸水素イオン、メチル炭酸イオン、エチル炭酸イオンまたはブチル炭酸イオン;および
Al(OC(CF 、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトアルミン酸イオン、テトラクロロアルミン酸イオン、テトラフルオロアルミン酸イオン、テトラヨードアルミン酸イオンまたはテトラブロモアルミン酸イオン
からなる群から選択されるアニオンを含むイオン化合物を含む、請求項6記載の電気化学的二次電池。
【請求項12】
前記電解質組成物は、イオン液体を含む、請求項6記載の電気化学的二次電池。
【請求項13】
前記電解質組成物は、ジエチルメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリエチルアンモニウムメタンスルホナート、2-メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、フッ化アンモニウム、メチルアンモニウムニトラート、ヒドロキシエチルアンモニウムニトラート、エチルアンモニウムニトラート、ジメチルアンモニウムニトラート、1-メチルイミダゾリウムニトラート、1-エチルイミダゾリウムニトラート、t-ブチルアンモニウムテトラフルオロボラート、ヒドロキシエチルアンモニウムテトラフルオロボラート、メチルブチルアンモニウムテトラフルオロボラート、トリエチルアンモニウムテトラフルオロボラート、イミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1,2-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、t-ブチルアンモニウムトリフラート、2-フルオロピリジニウムトリフラート、ヒドロキシエチルアンモニウムトリフラート、1,2-ジメチルイミダゾリウムトリフラート、イミダゾリウムトリフラート、1-メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルファート、1-メチルイミダゾリウムクロリド、1-メチルイミダゾリウムトリフラート、ヒドロニウムトリフラート、メチルアンモニウムメシラート、エチルアンモニウムメシラート、ブチルアンモニウムメシラート、メトキシエチルアンモニウムメシラート、ジメチルアンモニウムメシラート、ジブチルアンモニウムメシラート、トリエチルアンモニウムメシラート、ジメチルエチルアンモニウムメシラート、硫酸水素ヒドロニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素メチルアンモニウム、硫酸水素エチルアンモニウム、硫酸水素プロピルアンモニウム、硫酸水素n-ブチルアンモニウム、硫酸水素-t-ブチルアンモニウム、硫酸水素ジメチルアンモニウム、硫酸水素ジエチルアンモニウム、硫酸水素ジ-n-ブチルアンモニウム、硫酸水素メチルブチルアンモニウム、硫酸水素エチルブチルアンモニウム、硫酸水素トリメチルアンモニウム、硫酸水素トリエチルアンモニウム、硫酸水素トリブチルアンモニウム、硫酸水素ジメチルエチルアンモニウム、フルオロリン酸水素ジブチルアンモニウム、フルオロリン酸水素トリエチルアンモニウム、フルオロリン酸水素トリブチルアンモニウム、リン酸二水素ヒドロニウム、リン酸二水素メチルアンモニウム、リン酸二水素エチルアンモニウム、リン酸二水素プロピルアンモニウム、リン酸二水素n-ブチルアンモニウム、リン酸二水素メトキシエチルアンモニウム、リン酸二水素ジメチルアンモニウム、リン酸二水素ジブチルアンモニウム、リン酸二水素メチルブチルアンモニウム、重フッ化アンモニウム、重フッ化メチルアンモニウム、重フッ化エチルアンモニウムおよび重フッ化ジメチルアンモニウムからなる群から選択されるイオン液体を含む、請求項6記載の電気化学的二次電池。
【請求項14】
前記電解質組成物は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート(BMIM Ac)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリ-n-ブチルメチルアンモニウムメチルスルファート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメチルスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルスルファート、トリス(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルスルファート、1,2,4-トリメチルピラゾリウムメチルスルファート、1,3-ジメチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムニトラート、1-ブチルピリジニウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1-ブチル-3,5-ジメチルピリジニウムブロミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムメチルカーボナート、カルボキシメチルトリブチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-カルボキシエチルメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-カルボキシメチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-カルボキシメチルメチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルホスホニウムメタンスルホナート、トリエチルメチルアンモニウムメチルカーボナート、1-エチル-1-メチルピペリジニウムメチルカーボナート、4-エチル-4-メチルモルホリニウムメチルカーボナート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムメチルカーボナート、トリエチルメチルアンモニウムジブチルホスファート、トリブチルメチルホスホニウムジブチルホスファート、トリエチルメチルホスホニウムジブチルホスファート、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、テトラブチルホスホニウムp-トルエンスルホナート、トリブチルメチルホスホニウムメチルカーボナート、トリブチルメチルアンモニウムメチルカーボナート、トリブチルメチルアンモニウムジブチルホスファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジブチルホスファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジブチルホスファート、1-(シアノメチル)-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムクロリド、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムクロリド、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1,3-ビス(シアノプロピル)イミダゾリウムクロリド、1,3-ビス(3-シアノプロピル)イミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、トリブチルメチルホスホニウムメチルスルファート、トリエチルメチルホスホニウムジブチルホスファート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(2,4,4-トリメチルフェニル)ホスフィナート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムブロミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムクロリド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムデカノアート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムジシアナミド、3-(トリフェニルホスホニオ)プロパン-1-スルホナートおよび3-(トリフェニルホスホニオ)プロパン-1-スルホン酸トシラートからなる群から選択されるイオン液体を含む、請求項6記載の電気化学的二次電池。
【請求項15】
前記電解質組成物は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、過ヨウ素酸、重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウム、重硫酸アンモニウム、HAsF、HBF、H(OEt)BF、HPF、H[N(SOCF]およびH[N(SOCFCF]からなる群から選択されるイオン化合物を含む、請求項6記載の電気化学的二次電池。
【請求項16】
前記電解質組成物は、式RCOOH[式中、Rは、水素またはヒドロカルビルである]のカルボン酸または式RSOH[式中、Rは、アルキル、またはアリール、または1~3個のハロゲンで置換されたアルキルもしくはアリールである]のスルホン酸を含む、請求項6記載の電気化学的二次電池。
【請求項17】
前記電解質組成物は、ギ酸、酢酸、アクリル酸、フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロパン酸、酪酸、3-メチルブタン酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、安息香酸、サリチル酸、2-ニトロ安息香酸、3-ニトロ安息香酸、4-ニトロ安息香酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、リンゴ酸、マンデル酸、ニトリロ三酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレンアミン五酢酸、p-トルエンスルホン酸、フェニルスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、[H(OEt][B[3,5-(CF]、[H(OEt][B(C]または[H(OEt][Al(OC(CF]を含む、請求項6記載の電気化学的二次電池。
【請求項18】
前記電解質組成物は、有機カーボナート類、エーテル類、グリム類、オルトエステル類、ポリアルキレングリコール類、エステル類、ラクトン類、グリコール類、ホルマート類、スルホン類、スルホキシド類、アミド類、アルコール類、ケトン類、ニトロ系溶媒およびニトリル系溶媒からなる群から選択される1つまたは複数の有機溶媒を含む、請求項6記載の電気化学的二次電池。
【請求項19】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の電気化学的二次電池であって、さらに、中に前記負極および正極が配置されたケーシングを含み、前記負極および正極が電解質組成物に接し、
前記電池の質量エネルギー密度は、100Wh/kg超であり、かつ/または
前記電池の体積エネルギー密度は、250Wh/L超であり、かつ/または
前記水素吸蔵材料の放電容量は、20回以上のサイクルにわたって800mAh/g以上である、電気化学的二次電池。
【請求項20】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の電気化学的二次電池であって、前記負極での可逆半電池の充放電の電気化学反応は、
【化1】
であり、ここで、
Siは、ケイ素をベースとする水素吸蔵材料である、電気化学的二次電池。
【請求項21】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の電気化学的二次電池であって、前記正極は、遷移金属、遷移金属酸化物、遷移金属水酸化物、遷移金属酸化物/水酸化物および遷移金属フッ化物からなる群から選択される1つまたは複数のカソード活物質を含む、電気化学的二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学的水素吸蔵電極、電気化学的水素吸蔵材料および電気化学的電池に関する。
【0002】
政府支援声明
本発明は、政府の支援を受け、エネルギー省高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency-Energy)によりDE-AR第0000386号として助成を受けて行われたものである。政府は、本発明の一定の権利を保有する。
【0003】
本発明の背景技術
金属水素化物(MH)を用いた電気化学的二次電池は、例えばポータブルコンピュータ、電話機、産業用途、航空宇宙用途および電気自動車のような数多くの用途で使用されている。
【0004】
金属水素化物を用いた電気化学的電池の負極(アノード)は、AB型金属水素化物合金、AB型金属水素化物合金、A型金属水素化物合金、Ti-Ni系金属水素化物合金、Mg-Ni系金属水素化物合金、BCC金属水素化物合金またはZr-Ni系金属水素化物合金を含むことができる。これらの金属合金は、水素吸蔵合金である。従来のAB型合金およびA型合金は、約320~約360mAh/gの容量を有し、また比較的高重量である。より軽量で、より高容量でかつより質量エネルギー密度の高い電気化学的二次電池が望まれている。
【0005】
1つまたは複数の第IV族元素をベースとする水素吸蔵材料を含む負極が、電気化学的電池における水素の吸蔵/放出成分として高効率であることが判明した。水素吸蔵材料は例えば、ケイ素および/または炭素をベースとする。
【0006】
本発明の概要
本発明のいくつかの非限定的な態様としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0007】
a. 第IV族元素をベースとする電気化学的用途向けの安定な水素吸蔵負極、例えばケイ素をベースとする電気化学的用途向けの安定な水素吸蔵負極。この水素吸蔵電極は、例えば非水系電解質組成物との接触が可能であり、かつ/またはこの水素吸蔵電極は、プロトンを輸送しうる固体電解質界面(SEI)を含む。このSEIは、電極の耐食性を提供するとともに、電気化学的触媒としての役割も果たしうる。このSEI膜の耐久性および機能性が、電気化学的二次電池(バッテリー)の運転にとって非常に重要となる。従来の水素吸蔵合金から作製されたアノード上に存在する典型的なSEIは、酸化物、水酸化物、金属包含物、アモルファス酸化物/金属バッファ、ボイドおよびチャネルを含む。
【0008】
b. 第IV族元素をベースとする安定な水素吸蔵負極、例えばケイ素をベースとする安定な水素吸蔵負極と、該負極に接する水系または非水系の電解質組成物とを含む電気化学的電池。例えば、この電解質組成物は中性または酸性であり、この電解質組成物は約7以下のpHを有する。
【0009】
c. 水素吸蔵負極と、正極と、前記負極および正極に接する電解質組成物とを含む電気化学的電池であって、前記負極での可逆半電池の充放電の電気化学反応が、
【化1】
であり、例えば
【化2】
であり、ここで、IVおよびSiはそれぞれ、第IV族元素をベースとする安定な水素吸蔵材料およびケイ素をベースとする安定な水素吸蔵材料である。
【0010】
d. 電気化学的用途向けの水素吸蔵負極であって、水素吸蔵材料の放電容量は、20回の充放電サイクルにわたって800mAh/g以上である。
【0011】
e. 水素吸蔵負極と、正極と、前記負極および正極に接する電解質組成物とを含む電気化学的電池であって、前記電池は、100Wh/kg超の質量エネルギー密度および/または250Wh/L超の体積エネルギー密度を示す。
【0012】
f. 改質元素および/または改質化合物を使用することによって、アノードの物理的特性(密度、気孔率、融解温度など)、化学的特性(合金生成熱、水素化物生成熱、電子コヒーレントエネルギー、水素結合強度、水素結合の性質など)および電気化学的特性(容量、レート特性、電荷保持性、サイクル安定性、耐食性など)を変化させることができる。第IV族元素をベースとする水素吸蔵性アノード材料の場合には、適切な改質元素としては例えば、1. 構造修飾剤:材料のアモルファス相を促進する元素、例えばB;2. H結合強度向上剤:電池の電圧を調節するための元素、例えばアルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属および周期表の第III族および第V族の他の金属;ならびに3. SEI改質剤:サイクル安定性を持続させ、かつSEI膜の温度感受性を低下させるための元素、例えばO、F、P、Clなどの非金属元素、が挙げられる。
【0013】
詳細な開示
1つまたは複数の第IV族元素をベースとする水素吸蔵負極、例えばSiおよび/または炭素をベースとする水素吸蔵負極を開示する。水素吸蔵電極は、電気化学的電池において有用である。電気化学的電池は電解質組成物を含み、この電解質組成物は、例えば非水系であるかまたは水系であって約7以下のpHを有する。
【0014】
本電気化学的電池において、負極での可逆半電池の電気化学反応は、
【化3】
であると考えられ、ここで、IVは、1つまたは複数の第IV族元素をベースとする水素吸蔵材料である。
【0015】
ケイ素をベースとする水素吸蔵負極の場合には、負極での可逆半電池の電気化学反応は、
【化4】
であると考えられ、ここで、Siは、ケイ素をベースとする水素吸蔵材料である。
【0016】
充電状態では、負極は還元された状態にあって吸蔵された水素を含んでおり、一方で正極は酸化された状態にある。放電時に、プロトンが負極(アノード)から出て電解質組成物を通って正極(カソード)に移動し、一方でこれに付随する電子が外部回路を介してアノードから出る。
【0017】
本電池は二次電池であり、充放電サイクル中に負極は、金属水素化物電池におけるニッケル金属水素化物アノードと全く同一の機序ではないにせよこれと同様に、水素の吸蔵および放出を可逆的に行う。本電気化学的電池を、「水素化物電池」または「非金属水素化物電池」または「プロトン二次電池」と考えることもできる。
【0018】
水素吸蔵負極は、1つまたは複数の第IV族元素をベースとする水素吸蔵材料を含み、例えばケイ素をベースとする水素吸蔵材料を含む。水素吸蔵材料は、電気化学的電池のサイクル運転中に水素の吸蔵および放出を可逆的に行うことができる。例えば水素吸蔵の機序は、プロトンのインターカレーションであることができる。同様に、「水素吸蔵」なる用語は、電気化学的電池のサイクル運転中に水素の吸蔵および放出を可逆的に行えることを意味する。
【0019】
「~をベースとする」または「~系」なる用語は、水素吸蔵材料が、1つまたは複数の第IV族元素を、該水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含むことを意味する。「ケイ素をベースとする」とは、水素吸蔵材料が、該水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超のSiを含むことを意味する。
【0020】
第IV族元素としては例えば、ケイ素、炭素、ゲルマニウムおよびスズが挙げられる。第IV族は、周期表の炭素族または第14族としても知られている。
【0021】
例えば水素吸蔵材料は、第IV族元素からなる群から選択される1つまたは複数の元素、例えばSiおよび/または炭素を、該水素吸蔵材料を基準として28質量%以上、29質量%以上、30質量%以上、33質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、96質量%以上、97質量%以上、98質量%以上または99質量%以上含む。
【0022】
「安定な」なる用語は、電気化学的電池の100回の充放電サイクルにわたってアノードが示す容量低下が10%以下であることを意味する。例えばアノードが100回の充放電サイクルにわたって示しうる容量低下は、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下または4%以下である。
【0023】
100回のサイクルにわたる一定の充放電レートでの容量低下のパーセンテージは、[(cap-cap)/cap]×100で定義され、ここで、capは放電容量の最高値であり、capは放電容量の最低値である。典型的な半電池サイクル運転スキームは、C/5充電レートで110%の充電状態とし(5.5時間)、0.9V vs. 標準Ni(OH)/NiOOHまたは-0.5V vs. Hg/HgO基準電極の終止電圧までC/5レートで放電させるというものである。
【0024】
アノードは、水素吸蔵材料からなってもよいし、実質的に水素吸蔵材料からなってもよく、またアノードは、水素吸蔵材料と基材とを含んでもよい。例えば水素吸蔵材料を、例えば金属基材、ガラス基材、プラスチック基材または無機基材のような基材に吸着させてもよい。無機基材としては例えば、黒鉛が挙げられる。
【0025】
例えば水素吸蔵材料は、ケイ素を含むことができる。ケイ素は有利には、アモルファス状(a-Si)であってもよい。アモルファスシリコンを、化学蒸着法(CVD)技術により、例えばプラズマ支援化学蒸着技術(PECVD)により基材上に薄膜として堆積させることができる。
【0026】
水素化ケイ素を生成するために、ケイ素の水素化をアノード作製の前に行うこともその後に行うこともできる。例えば、a-Si:Hを生成するために、アモルファスシリコンの水素化をアノード作製の前に行うこともその後に行うこともできる。このようにして、電気化学的デバイスを作製する前にアノードを水素化することができる。例えば、水素化されたアモルファスSi(a-Si:H)の薄膜を化学蒸着法により作製することができる。a-Siをrfスパッタリングにより堆積させ、次いで水素化することによって、a-Si:H薄膜を作製することもできる。
【0027】
水素吸蔵材料は、ドープされたシリコンまたはドープされた水素化シリコンを含むことができ、例えばp型シリコンまたは水素化されたp型シリコンを含むことができる。p型シリコンは例えば、Alがドープされたシリコンである。例えば、ホスフィンもしくはホウ素がドープされたシリコンまたは水素化シリコンも適している。例えば水素吸蔵材料は、ドープされた水素化アモルファスシリコン(ドープされたa-Si:H)である。
【0028】
適切なa-Si膜厚は例えば、20nm超、50nm以上、90nm以上、120nm以上または180nm以上である。例えば適切なa-Si膜厚は、約90nm~約10μm、約100nm~約5μm、約150nm~約3μm、約150nm~約2μmまたは約150nm~約1μmである。
【0029】
ケイ素は、微晶質シリコンであってもナノ結晶質シリコンであってもよく、これらは総じて、ケイ素の小結晶を含むアモルファスシリコンを形成する。ケイ素は、単結晶シリコンであっても、多結晶シリコンであっても、プロトクリスタルシリコンであってもよい。
【0030】
ケイ素は、ポーラスシリコン(p-Si)であってもよい。ポーラスシリコンの種類としては例えば、マイクロポーラス、メソポーラスおよびマクロポーラスが挙げられ、これらはそれぞれ約2nm未満、約2nm~約50nmおよび約50nm超の平均孔径を有する。
【0031】
水素吸蔵材料は、1つまたは複数の異なる形態のケイ素を含むことができる。
【0032】
水素吸蔵材料は、ケイ素の合金を含み、例えばケイ素と、炭素、ゲルマニウムおよびスズのうちの1つまたは複数との合金を含む。例えば、ケイ素と炭素とのアモルファス合金(アモルファスシリコンカーバイド)またはケイ素とゲルマニウムとの合金、またはケイ素とスズとの合金が含まれる。ケイ素と炭素とのアモルファス合金を水素化してa-Si1-x:Hを作製することもでき、ここで、xは例えば、約0.01~約0.99、約0.05~約0.95または約0.1~約0.9である。
【0033】
電気化学的デバイスを作製する前に、本発明の他の水素吸蔵材料を水素化することもできる。
【0034】
水素化は例えば、大気圧を上回る圧力の水素ガス下で行われる。水素圧は例えば、約2atm~約20atmである。水素化を、例えば約25℃~約500℃といった高められた温度で行うことができる。水素化を、電気化学的に行うことができる。
【0035】
水素吸蔵材料は、炭素材料および黒鉛材料、例えば天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、グラフェン、炭素繊維、ソフトカーボン、ハードカーボン、難黒鉛化性炭素、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、活性炭、結晶質炭素およびアモルファスカーボンを含むことができる。
【0036】
水素吸蔵材料は、1つまたは複数のさらなる元素を含むことができ、例えば構造修飾剤(材料のアモルファス相を促進するための元素)、水素結合強度向上剤および固体電解質界面(SEI)改質剤からなる群から選択される1つまたは複数のさらなる元素を含むことができる。
【0037】
構造修飾剤としては、例えばBが挙げられる。
【0038】
水素結合向上剤としては例えば、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属ならびに周期表の第III族および第V族の他の金属が挙げられる。
【0039】
SEI改質剤としては例えば、O、F、P、Clなどの非金属が挙げられる。
【0040】
水素吸蔵材料の他に、アノードは、バインダーおよび/または導電性材料および/または他の添加剤をさらに含んでもよい。アノードアセンブリは、これらの混合物を例えば金属箔基材のような集電体に付着させて含むことができる。
【0041】
バインダーは、水素吸蔵材料および導電性材料および混合物を集電体に結合させるのに役立つ。バインダーとしては例えば、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合体(NBR)、フッ化ポリビニリデン(PvDF)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエン重合体(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、それらの共重合体およびそれらの混合物が挙げられる。バインダーを、電極アセンブリの全質量を基準として約1~約50質量%使用することができる。
【0042】
導電性材料は、電極アセンブリの全質量を基準として約1~約20質量%存在することができる。導電性材料としては例えば、黒鉛材料、例えば天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラックまたはランプブラック、導電性繊維、例えば炭素繊維または金属繊維、金属粉末、例えばフッ化炭素粉末、アルミニウム粉末またはニッケル粉末、導電性金属酸化物、例えば酸化亜鉛、チタン酸カリウムまたは酸化チタンおよび他の導電性材料、例えばポリフェニレン誘導体が挙げられる。
【0043】
アノードの膨張を抑制する成分として、フィラーを用いることができる。フィラーとしては例えば、オレフィン系重合体、例えばポリエチレンまたはポリプロピレンおよび繊維状材料、例えばガラス繊維または炭素繊維が挙げられる。
【0044】
負極は有利には、1つまたは複数の第IV族元素を、負極の全質量(電極アセンブリの全質量)を基準として30質量%以上含むことができ、例えば、1つまたは複数の第IV族元素を、負極の全質量(電極アセンブリの全質量)を基準として35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上または90質量%以上含むことができる。負極の全質量には、水素吸蔵材料ならびに任意の成分、例えば基材、バインダー、導電性材料および添加剤が含まれる。
【0045】
セパレータは典型的には、カソードとアノードとの間に配置されており、例えばイオン(プロトン)の高度の透過を保証する絶縁性の薄膜である。セパレータは総じて、約0.01~約10ミクロンの孔径および約5~約300ミクロンの厚さを有する。セパレータ材料としては例えばシートまたは不織布が挙げられ、このシートまたは不織布は例えば、ガラス繊維、木綿、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレンおよびクラフト紙といった材料を含む。
【0046】
正極の活物質(カソード活物質)は、充放電反応に関与する。適切な活物質としては例えば、水酸化ニッケル活物質、すなわち水酸化ニッケルまたは改質された水酸化ニッケルが挙げられる。
【0047】
カソード材料は、少なくとも1つの改質剤を有する多相の無秩序な水酸化ニッケル材料を含むことができる。少なくとも1つの改質剤とは例えば、金属、金属酸化物、金属酸化物合金、金属水素化物および/または金属水素化物合金である。例えば改質剤は、Al、Ba、Ca、F、K、Li、Mg、Na、Sr、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、In、LaH、Mn、Ru、Sb、Sn、TiH、TiOおよびZnからなる群から選択される1つまたは複数の成分である。そのような材料は、米国特許第5,348,822号明細書(U.S.Pat.No.5,348,822)に教示されている。
【0048】
適切なカソード材料は、F、Li、Na、K、Mg、Ba、Ln、Se、Nd、Pr、Y、Co、Zn、Al、Cr、Mn、Fe、Cu、Zn、Sc、Sn、Sb、Te、Bi、RuおよびPbから選択される少なくとも1つの改質剤、例えば3つの改質剤を含む無秩序な多相の水酸化ニッケルマトリックスを含むことができる。適切なカソード材料は、例えば米国特許第5,637,423号明細書(U.S.Pat.No.5,637,423)に教示されている。
【0049】
カソード材料は、固溶状態にある1つまたは複数の第II族元素およびCoで改質された水酸化ニッケルを含むことができる。そのような材料は、米国特許第5,366,831号明細書(U.S.Pat.No.5,366,831)に教示されている。
【0050】
カソード活物質は、水酸化ニッケルと、コバルト、水酸化コバルトおよび酸化コバルトからなる群から選択される1つまたは複数の成分と、炭素粉末とを含むことができる。カソード材料はさらに、Ca、Sr、Ba、Cu、AgまたはYの化合物、例えばCa(OH)、CaO、CaF、CaS、CaSO、CaSi、CaC、CaWO、SrCO、Sr(OH)、BaO、CuO、AgO、Y(COまたはYを含むことができる。適切なカソード材料は、例えば米国特許第5,451,475号明細書(U.S.Pat.No.5,451,475)に教示されている。
【0051】
カソード活物質は、金属酸化物と、Co、Ca、Ag、Mn、Zn、V、Sb、Cd、Y、Sr、Ba、Caの酸化物、Srの酸化物、Baの酸化物、Sbの酸化物、Yの酸化物またはZnの酸化物のうちの1つまたは複数とを含むことができる。金属酸化物は例えば、酸化ニッケルおよびまたは酸化マンガンである。そのような活物質は、米国特許第5,455,125号明細書(U.S.Pat.No.5,455,125)に教示されている。
【0052】
カソード材料は、水酸化ニッケルと、Y、In、Sb、BaおよびBeならびにCoおよび/またはCaからなる群から選択されるさらなる成分とを含むことができる。そのような材料は、米国特許第5,466,543号明細書(U.S.Pat.No.5,466,543)に開示されている。
【0053】
硫酸ニッケルと水酸化アンモニウムとを反応させてニッケルアンモニウム錯体を形成し、次いでこの錯体を水酸化ナトリウムと反応させて水酸化ニッケルを形成することによりカソード材料を作製することができる。本方法により、Co、ZnおよびCdのうちの1つまたは複数を含む水酸化ニッケルを提供することができる。これらの材料は、米国特許第5,498,403号明細書(U.S.Pat.No.5,498,403)に教示されている。
【0054】
カソード活物質は、米国特許第5,489,314号明細書(U.S.Pat.No.5,489,314)に教示されているように、水酸化ニッケルおよびオキシ水酸化コバルトを含むことができる。
【0055】
カソード材料は、米国特許第5,506,070号明細書(U.S.Pat.No.5,506,070)に教示されているように、水酸化ニッケル、一酸化コバルトおよび単体亜鉛を含むことができる。
【0056】
カソード材料は、水酸化ニッケルと、ニッケル粉末と、第2の粉末と、コバルト、水酸化コバルトおよび酸化コバルトのうちの少なくとも1つとを含むことができる。第2の粉末は、Ca、Sr、Ba、Cu、AgおよびYのうちの1つまたは複数を含む。そのような材料は、米国特許第5,571,636号明細書(U.S.Pat.No.5,571,636)に教示されている。
【0057】
カソード活物質は、中に導電性材料が少なくとも部分的に埋め込まれた水酸化ニッケルまたは水酸化マンガンの粒子を含むことができる。導電性材料は例えば、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金;金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属ケイ化物もしくは金属ホウ化物;または炭素(黒鉛)であってよい。これらの材料は、米国特許第6,177,213号明細書(U.S.Pat.No.6,177,213)に開示されている。
【0058】
カソード材料は、Al、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、In、La、希土類、Mg、Mn、Ru、Sb、Sn、Ti、Ba、Si、SrおよびZnからなる群から選択される少なくとも3つの改質剤を含む水酸化ニッケル粒子を含むことができる。例えば、水酸化ニッケル粒子は、少なくとも4つの改質剤、例えばCa、Co、MgおよびZnを含むことができる。そのような材料は、米国特許第6,228,535号明細書(U.S.Pat.No.6,228,535)に開示されている。
【0059】
カソード活物質は例えば、水酸化ニッケルおよび炭素材料、例えば黒鉛を含む。カソードは、高分子バインダーを含むこともできる。高分子バインダーは例えば、熱可塑性有機重合体であり、これは例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリメチルメタクリラート、ポリメチルアクリラート、ポリエチルメタクリラート、酢酸アリル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、多環式チオエーテル、ポリジメチルシロキサン、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタラート、ポリカーボナートおよびポリアミドからなる群から選択される。上記のもののブレンドおよび共重合体も適している。高分子バインダーは、エラストマーまたはゴムであってもよく、例えばスチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-エチレン-スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体またはスチレン-アクリロニトリル-ブタジエン-メチルアクリラート共重合体であってもよい。適切な活物質は、例えば米国特許第6,617,072号明細書(U.S.Pat.No.6,617,072)に教示されている。
【0060】
カソード活物質は、米国特許第7,396,379号明細書(U.S.Pat.No.7,396,379)に教示されているように、水酸化ニッケルおよびオキシ水酸化ニッケルを含むことができる。
【0061】
総じてカソード活物質粒子は、焼結されたまたはペースト状の電極として成形される。ペースト状の電極は、材料を種々の添加剤および/またはバインダーと混合し、このペーストを導電性支持体に施与することによって作製することができる。ペースト状の電極に1つまたは複数のコバルト添加剤を加えることが好ましい。このコバルト添加剤は、正極の導電性を高め、正極の利用率を高めかつ正極の電気抵抗を下げるためにCoおよび/またはCoOを含むことができる。
【0062】
改質された水酸化ニッケルは、例えばCo、Cd、Ag、V、Sb、Ca、Mg、Al、Bi、Cr、Cu、Fe、In、希土類、Mn、Ru、Sn、Ti、Ba、Si、SrまたはZnのような1つまたは複数の改質剤を含むことができる。改質された適切な水酸化ニッケルの1つに(Ni,Co,Zn)(OH)が挙げられ、これは例えば球状粉末の形態で存在する。改質された水酸化ニッケルにおいて、ニッケルは総じて、金属を基準として80原子パーセント以上の水準で存在し、例えば90原子パーセント以上の水準で存在する。
【0063】
本発明によれば、さらなるカソード活物質が考えられる。さらなるカソード活物質としては例えば、遷移金属およびそれらの酸化物、水酸化物、酸化物/水酸化物およびフッ化物が挙げられる。例えばさらなるカソード活物質としては、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtおよびAuならびにそれらの酸化物、水酸化物、酸化物/水酸化物およびフッ化物が挙げられる。
【0064】
例えば、さらなるカソード活物質は、
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAu;
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuの酸化物;
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuの水酸化物;
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuの酸化物/水酸化物、および
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuのフッ化物
からなる群から選択される。
【0065】
金属酸化物、金属水酸化物および金属酸化物/水酸化物からなる群から選択されるさらなるカソード活物質において、ニッケルは、金属酸化物、金属水酸化物および金属酸化物/水酸化物の全金属を基準として5原子パーセント以下、10原子パーセント以下、15原子パーセント以下、20原子パーセント以下、25原子パーセント以下、30原子パーセント以下、35原子パーセント以下、40原子パーセント以下、45原子パーセント以下、50原子パーセント以下、55原子パーセント以下、60原子パーセント以下、65原子パーセント以下、70原子パーセント以下、75原子パーセント以下、80原子パーセント以下または85原子パーセント以下、例えば90原子パーセント以下の水準で存在することができる。
【0066】
電解質組成物は、中性または酸性であることができ、約7またはそれ未満のpHを有する。適切な電解質組成物は例えば、同時係属中の、2014年11月13日に出願された米国特許出願第14/540,445号明細書(U.S.patent applications 14/540,445)および2015年3月26日に出願された米国特許出願第14/669,588号明細書(U.S.patent applications 14/669,588)に教示されている。電解質組成物は、プロトンを輸送しうる。
【0067】
例えば電解質組成物は、約1から、約2から、約3から、約4から、約5からまたは約6から約7までのpHを有する。
【0068】
適切な電解質組成物は、1つまたは複数のイオン化合物を含む。イオン化合物は、ブレンステッド酸(プロトン酸)、プロトン性アンモニウム化合物およびプロトン性オキソニウム化合物からなる群から選択されるプロトン性化合物であってもよい。ブレンステッド酸は例えば、約5以下のpKaを有する。
【0069】
イオン化合物は、アンモニウム化合物、オキソニウム化合物、ホスホニウム化合物、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物からなる群から選択される非プロトン性化合物であってもよい。
【0070】
イオン化合物は、カチオンおよびアニオンを含む。
【0071】
アルカリ金属カチオンまたはアルカリ土類金属カチオンとしては例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Be++、Mg++、Ca++、Sr++およびBa++が挙げられる。
【0072】
アンモニウムイオンは、式NRのカチオンであり、ここで、R、R、RおよびRが水素およびヒドロカルビルから選択されるか、またはR~Rのうちの2つが一緒になってヒドロカルビレンとなるか、またはR~Rのうちの3つが一緒になってヒドロカルビレンとなる。R~Rのうちの1つまたは複数が水素である場合には、アンモニウムイオンはプロトン性である。R~Rの4つすべてがヒドロカルビルまたはヒドロカルビレンである場合には、アンモニウムイオンは非プロトン性である。
【0073】
アンモニウムイオンとしては例えば、式RN-NRのヒドラジニウムカチオンも挙げられ、ここで、R、R、R、RおよびRが水素およびヒドロカルビルから選択されるか、またはRとRとが一緒になっておよび/もしくはR~Rのうちの2つが一緒になってヒドロカルビレンとなる。
【0074】
アンモニウムイオンとしては例えば、式HO-Nのヒドロキシアンモニウムカチオンも挙げられ、ここで、R、RおよびRが水素およびヒドロカルビルから選択されるか、またはR~Rのうちの2つが一緒になってヒドロカルビレンとなる。
【0075】
オキソニウムイオンは、式ORの正に帯電した基であり、ここで、R、RおよびRが水素およびヒドロカルビルから選択されるか、またはR~Rのうちの2つが一緒になってヒドロカルビレンとなる。R~Rのうちの1つまたは複数が水素である場合には、オキソニウムはプロトン性である。R~Rの3つすべてがヒドロカルビルまたはヒドロカルビレンである場合には、オキソニウムは非プロトン性である。
【0076】
ホスホニウムイオンは、式PRの正に帯電した基であり、ここで、R、R、RおよびRがヒドロカルビルであるか、またはR~Rのうちの2つが一緒になってヒドロカルビレンとなる。
【0077】
ヒドロカルビルとは、炭素原子を有するカチオン性の窒素、酸素またはリンに結合した任意の炭化水素系の基である。ヒドロカルビレンとは、ヒドロカルビルのうち環を形成するタイプのものである。
【0078】
ヒドロカルビルは例えば、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールまたはアラルキルであり、これらは、ハロゲン、ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、チオ、C~Cアルキルチオ、アミノ、C~Cアルキルアミノ、ジ-C~Cアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、-COOHおよび-COOからなる群から選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよい。ヒドロカルビルは、-O-、-S-、-NH-および-N(C~Cアルキル)-からなる群から選択される1つまたは複数の基によって中断されていてもよい。ヒドロカルビルが、前記基のうちの1つまたは複数によって置換されかつ前記基のうちの1つまたは複数によって中断されていることも可能である。例えば、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールまたはアラルキルは、クロロ、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、チオ、メチルチオ、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、-COOH、-COO、シアノおよびニトロからなる群から選択される1~3つの基によって置換されていてもよくかつ/または-O-、-S-、-NH-および-N(C~Cアルキル)-からなる群から選択される1~3つの基によって中断されていてもよい。
【0079】
ヒドロカルビルとしては例えば、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、例えばR’(OC-またはR’(OC-も挙げられ、ここで、R’は、水素またはアルキルであり、nは、1~50の整数であり、例えば1~40、1~30または1~20の整数であり、例えば1~10の整数である。
【0080】
~Rのうちの2つまたは3つが一緒になってヒドロカルビレンとなる場合、このことは、これらがN原子、O原子またはP原子と一緒になって複素環を形成していることを意味する。この環は例えば、5員または6員である。この複素環はさらなるヘテロ原子を含んでもよく、また飽和であっても不飽和であってもよい。ヒドロカルビレンは例えば、-(CH-、-(CH-、-(CH)N-CH=C(CH)-CH=、=CH-CH=CH-CH=CH-、=C(CH)-C=CH-CH=CH-、=C-C(CH)=CH-CH=CH-、=C-CH=C(CH)-CH=CH-、-CH=CH-CH=CH-、-CH=CH-CH-CH-、-CH=CH-N=CH-、-CHCHNHCHCH-、-CH-CH-N=CH-、-CH-CH-O-CH-CH-または=CH-(CH-である。さらなるヘテロ原子は例えば、N、OまたはSである。
【0081】
アンモニウムイオン環の例は、ピペリジニウム、ピロリニウム、2,4-ジメチルピラゾリウム、ピロリニニウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、モルホリニウムおよびメチルピリジニウムである。ピリジニウムは、R~Rのうちの3つが一緒になって環を形成する場合の一例である。ヒドロカルビレン環が縮合して、例えばキノリニウムまたはイソキノリニウムが形成されることもできる。
【0082】
アルキルは例えば、炭素数が1~25であり、分岐状または非分岐状である。アルキルとしては例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、イソブチル、t-ブチル、2-エチルブチル、n-ペンチル、イソペンチル、1-メチルペンチル、1,3-ジメチルブチル、n-ヘキシル、1-メチルヘキシル、N-ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、1-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、1,1,3-トリメチルヘキシル、1,1,3,3-テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1-メチルウンデシル、ドデシル、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルヘキシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、イコシルおよびドコシルが挙げられる。
【0083】
部分的にフッ素化されたまたは完全にフッ素化されたとは、アルキルの水素のうちの1つ、2つ以上またはすべてがフルオロに置き換わっていることを意味する。パーフルオロアルキルとは、アルキルの水素がすべてフルオロに置き換わっている(完全にフッ素化されている)ことを意味する。
【0084】
アルケニルとは、アルキルのうちの不飽和のタイプのものであり、例えばアリルである。
【0085】
シクロアルキルとしては例えば、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、t-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルが挙げられる。
【0086】
シクロアルケニルは、シクロアルキルのうちの不飽和のタイプのものである。
【0087】
アリールとしては例えば、フェニル、o-メチルフェニル、m-メチルフェニル、p-メチルフェニル、2,3-ジメチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、2,5-ジメチルフェニル、2,6-ジメチルフェニル、3,4-ジメチルフェニル、3,5-ジメチルフェニル、2-メチル-6-エチルフェニル、4-t-ブチルフェニル、2-エチルフェニルまたは2,6-ジエチルフェニルが挙げられる。
【0088】
アラルキルとしては例えば、ベンジル、α-メチルベンジル、α,α-ジメチルベンジルおよび2-フェニルエチルが挙げられる。
【0089】
アンモニウムイオンの例としては、プロトン性イオン、例えばNH (アンモニウムイオン)、メチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン(NMe)、トリエチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、ジエチルメチルアンモニウムイオン、ヒドロキシエチルアンモニウムイオン、メトキシメチルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、メチルブチルアンモニウムイオン、アニリニウムイオン、ピリジニウムイオン、2-メチルピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、1-メチルイミダゾリウムイオン、1,2-ジメチルイミダゾリウムイオン、イミダゾリニウムイオン、1-エチルイミダゾリウムイオン、1-(4-スルホブチル)-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-アリルイミダゾリウムイオン、キノリニウムイオン、イソキノリニウムイオン、ピロリニウムイオン、ピロリニニウムイオンおよびピロリジニウムイオンが挙げられる。
【0090】
アンモニウムイオンの例としてはさらに、非プロトン性イオン、例えば1-ブチル-1-メチルピロリジニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ-n-ブチルアンモニウムイオン、n-ブチルトリエチルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン、トリ-n-ブチルメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、1-メチルピリジニウムイオン、1-ブチル-3,5-ジメチルピリジニウムイオン、1,2,4-トリメチルピラゾリウムイオン、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム(コリン)イオン、トリ(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン、ジメチルジ(ポリオキシエチレン)アンモニウムイオン、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ヒドロキシエチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-1-メチルピペリジニウムイオン、4-エチル-4-メチルモルホリニウムイオン、1-(シアノメチル)-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムイオン、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムイオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムイオンおよび1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオンも挙げられる。
【0091】
ピロリニウムイオンはピロールのアンモニウムカチオンであり、ピロリニニウムイオンはピロリンのアンモニウムカチオンであり、ピロリジニウムイオンはピロリジンのアンモニウムカチオンである。ピロリンは1-ピロリン、2-ピロリンまたは3-ピロリンであることができ、したがって1-ピロリン、2-ピロリンまたは3-ピロリンのアンモニウムカチオンが含まれる。
【0092】
ヒドラジニウムイオンの一例は、ヒドラジニウムイオン(HNNH )である。
【0093】
ヒドロキシルアンモニウムイオンの一例は、ヒドロキシルアンモニウムイオン(HO-NH )である。
【0094】
プロトン性オキソニウムイオンの例としては、H(ヒドロニウムイオン)、HO(Et)、HEtO、HMeO、HO(Me)、プロトン化THFおよびプロトン化2-メチル-THFが挙げられる。
【0095】
非プロトン性オキソニウムイオンの例としては、O(Me)O(Et)およびメチル化またはエチル化されたTHFまたは2-メチル-THFが挙げられる。
【0096】
Meはメチルであり、Etはエチルであり、nBuはn-ブチルであり、tBuはt-ブチルであり、THFはテトラヒドロフランである。指定のない場合、ブチルはn-ブチルを意味する。
【0097】
ホスホニウムイオンの例としては、メチルトリフェニルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン、テトラブチルホスホニウムイオン、トリブチルメチルホスホニウムイオン、トリエチルメチルホスホニウムイオン、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムイオン、トリフェニルプロピルホスホニウムイオンおよびテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムイオンが挙げられる。
【0098】
適切なアニオンの例は、水酸化物イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、二フッ化水素イオン、アルコキシドイオン、ハロゲン化物イオン、リン酸系イオン、ホスフィン酸系イオン、ホスホン酸系イオン、ホウ酸系イオン、カルボン酸イオン、亜硫酸系イオン、硫酸系イオン、スルホン酸系イオン、炭酸系イオン、イミド系イオン、アルミン酸系イオン、シアン酸系イオン、メチド系イオン、ヒ酸系イオン、ケイ酸系イオンおよびアンチモン酸系イオンである。
【0099】
アニオン、カチオンおよびイオン化合物は、例えば米国特許第6,254,797号明細書(U.S.Pat.No.6,254,797)および米国特許出願公開第2011/0045359号明細書(U.S.Pub.No.2011/0045359)に開示されたものであることができる。二フッ化水素イオンは、HF である。アルコキシドイオンは、ROであり、ここで、Rはヒドロカルビルであり、例えばメトキシド、エトキシド、n-プロポキシド、i-プロポキシド、n-ブトキシド、t-ブトキシドまたはフェノキシドである。Rがパーフルオロアルキルであるアルコキシドイオンも挙げられる。ハロゲン化物イオンは、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンまたはフッ化物イオンである。リン酸系イオンとしては例えば、リン酸二水素イオン、リン酸水素イオン、アルキルリン酸イオン、ジアルキルリン酸イオン、リン酸イオン、PF (ヘキサフルオロリン酸イオン)、HPO(フルオロリン酸水素イオン)、トリスオキサラトリン酸イオン(TOP)、テトラフルオロオキサラトリン酸イオン(TFOP)およびフルオロ(パーフルオロアルキル)リン酸イオン、例えばFP(C 、FP(C (トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸イオンまたはFAP)、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C およびFP(C が挙げられる。ホスフィン酸系イオンは例えば、アルキルホスフィン酸水素イオン、ジアルキルホスフィン酸イオン、アリールホスフィン酸水素イオンまたはジアリールホスフィン酸水素イオンである。例えば、ビス(2,4,4-トリメチルフェニル)ホスフィン酸イオンである。ホスホン酸系イオンは例えば、アルキルホスホン酸イオン、例えばメチルホスホン酸イオンまたはホスホン酸水素イオン(ホスホン酸イオン)である。ホウ酸系イオンとしては例えば、オルトホウ酸イオン、テトラヒドロキシホウ酸イオン、テトラホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、[B(3,5-(CF(BARF)、B(C (ビス(オキサラト)ホウ酸イオン)(BOB)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸イオン(dFOB)、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトホウ酸イオン(D(Ac)OB)、B(C およびBF (テトラフルオロホウ酸イオン)が挙げられる。カルボン酸アニオンは、式RCOOであり、ここで、Rは、水素またはヒドロカルビルであり、カルボン酸アニオンとしては例えば、ギ酸イオン、酢酸イオン(エタン酸イオン)、プロパン酸イオン、n-ブタン酸イオン、i-ブタン酸イオン、n-ペンタン酸イオン、i-ペンタン酸イオン、オクタン酸イオン、デカン酸イオン、安息香酸イオン、サリチル酸イオン、チオサリチル酸イオン、2-ニトロ安息香酸イオン、3-ニトロ安息香酸イオン、4-ニトロ安息香酸イオン、クエン酸イオン、シュウ酸イオン、酒石酸イオン、グリコール酸イオン、グルコン酸イオン、リンゴ酸イオン、マンデル酸イオン、ニトリロ三酢酸のカルボン酸イオン、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸のカルボン酸イオン、エチレンジアミン四酢酸のカルボン酸イオン、ジエチレントリアミン五酢酸のカルボン酸イオンおよびハロアルキルカルボン酸イオン、例えばフルオロ酢酸イオン、ジフルオロ酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、クロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオンおよびトリクロロ酢酸イオンが挙げられる。亜硫酸系イオンとしては例えば、亜硫酸イオンおよび亜硫酸水素イオンが挙げられる。硫酸系イオンとしては例えば、硫酸水素イオン、硫酸イオン、チオ硫酸イオンおよびアルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオンおよびエチル硫酸イオンが挙げられる。スルホン酸系イオンとしては例えば、アルキルスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオンおよびパーフルオロアルキルスルホン酸イオン、例えばトリフルオロメタンスルホン酸イオン(トリフラートイオン)、p-トルエンスルホン酸イオン(トシラートイオン)またはメタンスルホン酸イオン(メシラートイオン)が挙げられる。炭酸系アニオンは例えば、炭酸イオン、炭酸水素イオンまたはアルキル炭酸イオン、例えばメチル炭酸イオン、エチル炭酸イオンまたはブチル炭酸イオンである。イミド系アニオンとしては例えば、ジシアナミドイオン、N(SOF) ((ビスフルオロスルホニル)イミドイオン)、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、例えば[N(SOCF(ビストリフリミドイオン)、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドイオンおよびN(CFSO)(CF(CFSOおよび(パーフルオロアルキルスルホニル)(パーフルオロアルキルカルボキシル)イミドイオンが挙げられる。アルミン酸系イオンとしては例えば、Al(OC(CF 、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトアルミン酸イオン(d(Ac)OAl)、テトラクロロアルミン酸イオン、テトラフルオロアルミン酸イオン、テトラヨードアルミン酸イオンおよびテトラブロモアルミン酸イオンが挙げられる。シアン酸系イオンとしては例えば、チオシアン酸イオンおよびシアン酸イオンが挙げられる。メチド系イオンとしては例えば、トリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドイオン、例えばトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、C(CFSO が挙げられる。ヒ酸系イオンとしては例えば、ヒ酸イオン、ヒ酸水素イオン、ヒ酸二水素イオンおよびAsF が挙げられる。ケイ酸系イオンとしては例えば、SiF -2が挙げられる。アンチモン酸系イオンとしては例えば、SbF およびSb(OH) が挙げられる。
【0100】
例えば、プロトン性イオン化合物は、HPO、NHSOCF、NHBF、NHOH、NHCl、NHBr、NHI、NHF、NHPO、(NHHPO、ホスホン酸メチルアンモニウム、トシル酸ピリジニウム、塩化ピリジニウム、塩化アニリニウム、塩化ヒドロキシルアンモニウム、(NHSO、硫酸ヒドラジニウム(NSO)、(NH)HSO、NaHSO、NHBF、HSO、KHPO、KHPO、NaHPO、NaHPO、HBF、H(OEt)BF、HPF、HAsF、HClO、HSOCF、H[N(SOCF]またはH[N(SOCFCF]である。
【0101】
プロトン性イオン化合物は、オキソニウムイオンと、例えばブルックハート酸イオン(BARF酸イオン)のような高度に非配位性のイオンとから形成されてもよく、すなわち[H(OEt][B[3,5-(CF]であってもよい。他の例としては、[H(OEt][B(C](オキソニウム酸)および[H(OEt][Al(OC(CF]が挙げられる。これらのケースでは、カチオンは、プロトン化ジエチルエーテル(ジエチルエーテルオキソニウム)である。あるいは、カチオンは、他のプロトン化エーテルであってもよく、例えばプロトン化テトラヒドロフラン(THF)であってもよい。
【0102】
プロトン性イオン化合物は、プロトン性イオン液体であってもよく、例えばエチルアンモニウムニトラート、ジエチルメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホナート(DEMA TfO)、トリエチルアンモニウムメタンスルホナート、2-メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、フッ化アンモニウム、メチルアンモニウムニトラート、ヒドロキシエチルアンモニウムニトラート、エチルアンモニウムニトラート、ジメチルアンモニウムニトラート、1-メチルイミダゾリウムニトラート、1-エチルイミダゾリウムニトラート、t-ブチルアンモニウムテトラフルオロボラート、ヒドロキシエチルアンモニウムテトラフルオロボラート、メチルブチルアンモニウムテトラフルオロボラート、トリエチルアンモニウムテトラフルオロボラート、イミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1,2-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、t-ブチルアンモニウムトリフラート、2-フルオロピリジニウムトリフラート、ヒドロキシエチルアンモニウムトリフラート、1,2-ジメチルイミダゾリウムトリフラート、イミダゾリウムトリフラート、1-メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルファート、1-メチルイミダゾリウムクロリド、1-メチルイミダゾリウムトリフラート、ヒドロニウムトリフラート、メチルアンモニウムメシラート、エチルアンモニウムメシラート、ブチルアンモニウムメシラート、メトキシエチルアンモニウムメシラート、ジメチルアンモニウムメシラート、ジブチルアンモニウムメシラート、トリエチルアンモニウムメシラート、ジメチルエチルアンモニウムメシラート、硫酸水素ヒドロニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素メチルアンモニウム、硫酸水素エチルアンモニウム、硫酸水素プロピルアンモニウム、硫酸水素n-ブチルアンモニウム、硫酸水素-t-ブチルアンモニウム、硫酸水素ジメチルアンモニウム、硫酸水素ジエチルアンモニウム、硫酸水素ジ-n-ブチルアンモニウム、硫酸水素メチルブチルアンモニウム、硫酸水素エチルブチルアンモニウム、硫酸水素トリメチルアンモニウム、硫酸水素トリエチルアンモニウム、硫酸水素トリブチルアンモニウム、硫酸水素ジメチルエチルアンモニウム、フルオロリン酸水素ジブチルアンモニウム、フルオロリン酸水素トリエチルアンモニウム、フルオロリン酸水素トリブチルアンモニウム、リン酸二水素ヒドロニウム、リン酸二水素メチルアンモニウム、リン酸二水素エチルアンモニウム、リン酸二水素プロピルアンモニウム、リン酸二水素n-ブチルアンモニウム、リン酸二水素メトキシエチルアンモニウム、リン酸二水素ジメチルアンモニウム、リン酸二水素ジブチルアンモニウム、リン酸二水素メチルブチルアンモニウム、重フッ化アンモニウム、重フッ化メチルアンモニウム、重フッ化エチルアンモニウムまたは重フッ化ジメチルアンモニウムであってもよい。
【0103】
カルボン酸は、プロトン酸/プロトン性化合物である。カルボン酸は、式RCOOHのものであり、ここで、Rは、水素またはヒドロカルビルである。カルボン酸は、カルボン酸アニオンを含む。カルボン酸としては例えば、ギ酸、酢酸、アクリル酸、フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロパン酸、酪酸、3-メチルブタン酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、安息香酸、サリチル酸、2-ニトロ安息香酸、3-ニトロ安息香酸、4-ニトロ安息香酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、リンゴ酸、マンデル酸、ニトリロ三酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸およびジエチレンアミン五酢酸が挙げられる。
【0104】
例えば、非プロトン性イオン化合物は、NMe SOCF 、NMeOH、NEt BF 、NMe Cl、NEt Br、NnBu 、NnBu 、NEt PO 、(NMeHPO、メチルトリフェニルホスホニウムヨージド、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、1-メチルピリジニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム、MeOBF、EtOBF、NEtPF、NMeAsF、NMeClO、NEtSOCF、NMe[N(SOCF]またはNEt[N(SOCFCF]である。
【0105】
非プロトン性イオン化合物は、高度に非配位性のアニオン、例えばBARFをも含み、これは例えば、ナトリウムBARF、NaB[3,5-(CFである。他の例としては、KB(C およびKAl(OC(CF が挙げられる。
【0106】
非プロトン性イオン化合物は、非プロトン性イオン液体であってもよく、例えばHAsFであってもよい。
【0107】
カルボキシラート化合物の例は、安息香酸テトラメチルアンモニウム、シュウ酸テトラエチルアンモニウム、酒石酸テトラブチルアンモニウム、酒石酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、1-メチルピリジニウムクロリド、3塩基性クエン酸トリメチルアンモニウム、2-ニトロ安息香酸テトラメチルアンモニウム、3-ニトロ安息香酸テトラメチルアンモニウム、4-ニトロ安息香酸テトラメチルアンモニウム、安息香酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、メチルトリフェニルホスホニウムアセタート、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムベンゾアート、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムホルマート、酒石酸一カリウム、酒石酸二カリウム、1塩基性クエン酸アンモニウム、2塩基性クエン酸アンモニウム、3塩基性クエン酸アンモニウム、2-ニトロ安息香酸アンモニウム、3-ニトロ安息香酸アンモニウム、4-ニトロ安息香酸アンモニウム、トリフルオロ酢酸カリウムおよびクロロ酢酸カリウムである。
【0108】
多塩基性カルボン酸において、アンモニウムイオンおよび/またはアルカリ金属イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを1つまたは任意の数の酸性水素に置き換えて、本カルボキシラート化合物を形成することができる。例えば1塩基性、2塩基性および3塩基性のクエン酸アンモニウムならびに1塩基性、2塩基性および3塩基性のクエン酸ナトリウムが挙げられる。
【0109】
イオン液体とは、100℃以下の融点を示すイオン化合物である。
【0110】
あるいはイオン化合物とは、100℃超の融点を有する「塩」である。
【0111】
イオン液体とは総じて、アンモニウムカチオンまたはホスホニウムカチオンを含むアンモニウム化合物またはホスホニウム化合物である。
【0112】
塩としては例えば、ハロゲン化物塩、例えばアルカリ金属のハロゲン化物塩またはアルカリ土類金属のハロゲン化物塩、例えばNaCl、KClまたはKBrならびに100℃超の融点を有する他のイオン化合物が挙げられる。アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩は例えば、硝酸アニオン、過塩素酸アニオン、二フッ化水素アニオン、ハロゲン化物アニオン、リン酸アニオン、ホスフィン酸アニオン、ホスホン酸アニオン、ホウ酸アニオン、カルボン酸アニオン、亜硫酸アニオン、硫酸アニオン、スルホン酸アニオン、炭酸アニオン、イミドアニオン、アルミン酸アニオン、シアン酸アニオン、メチドアニオン、ヒ酸アニオン、ケイ酸アニオンおよびアンチモン酸アニオンからなる群から選択されるアニオンを含む。
【0113】
本イオン化合物は、同一分子内にカチオンとアニオンとを一緒に含むことができる。したがって、例えばベタインのような双性イオン化合物(分子内塩)も挙げられる。例えば、アンモニウムイオンまたはホスホニウムイオンとスルホン酸イオンまたは硫酸イオンとを含む双性イオンが挙げられる。例えば、ヒドロキシスルタイン、4-(トリフェニルホスホニオ)ブタン-1-スルホナート、メチルN-(トリエチルアンモニオスルホニル)カルバマート(バージェス試薬)および例えば米国特許第3,471,544号明細書(U.S.Pat.No.3,471,544)に教示されているホスホニウムスルファート双性イオンが挙げられる。スルファミン酸が挙げられる。
【0114】
有利には、2つ以上の異なるイオン化合物が電解質組成物に使用される。例えば、2つの異なるイオン化合物は、プロトン性イオン化合物と非プロトン性イオン化合物であってもよいし、イオン液体と塩であってもよい。
【0115】
例えば、本電解質組成物は、少なくとも2つの異なるイオン液体を含むことができる。電解質組成物は、1つまたは複数のイオン液体と、1つまたは複数の塩、例えばプロトン性もしくは非プロトン性のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩、例えばアルカリ金属ハロゲン化物とを含むことができる。
【0116】
電解質組成物は、カルボキシラート化合物とカルボン酸との混合物を含むことができる。電解質組成物は、カルボキシラートを含むイオン液体とカルボン酸との混合物を含むことができる。電解質組成物は、2つの異なるカルボン酸を含むことができる。
【0117】
電解質組成物は、プロトン酸、プロトン性アンモニウム化合物またはプロトン性オキソニウム化合物と、イオン液体とを含むことができる。
【0118】
少なくとも2つの異なるイオン化合物が存在する場合、これら2つの異なるイオン化合物の質量:質量比は、約99.9:0.1~約0.1:99.9、約99.5:0.5~約0.5:99.5、約99:1~約1:99、約95:5~約5:95、約90:10~約10:90、約80:20~約20:80、約70:30~約30:70または約60:40~約40:60である。
【0119】
2つの異なるイオン化合物において、カチオンまたはアニオンが同一であってもよい。
【0120】
電解質組成物は有利には、イオン液体を含む。イオン液体のカチオンとしては、上述のアンモニウムイオンおよびホスホニウムイオンが挙げられる。イオン液体は、式(a)-(h)
【化5】
からなる群から選択されるカチオンを含むことができ、ここで、
各Rは、独立して、H、C~C16アルキルまたはヒドロキシC~C16アルキルであり、例えばメチル、エチル、ヒドロキシエチルまたはプロピルであり、かつ
Xは、CH、O、SまたはNRであり、ここで、Rは、HまたはC~C16アルキルであり、例えばH、メチル、エチルまたはプロピルである。
【0121】
例えば、イオン液体の適切なカチオンとしては例えば、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムイオンおよびトリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムイオンが挙げられる。
【0122】
イオン液体のアニオンとしては例えば、カルボン酸イオン、イミド系イオン、メチド系イオン、硝酸イオン、二フッ化水素イオン、ハロゲン化物イオン、ホウ酸系イオン、リン酸系イオン、ホスフィン酸系イオン、ホスホン酸系イオン、スルホン酸系イオン、硫酸系イオン、炭酸系イオンおよびアルミン酸系イオンが挙げられる。
【0123】
イオン液体は、[FB(C2m+14-z、[FP(C2m+16-y、[(C2m+1P(O)O]、[C2m+1P(O)O2-、[O-C(O)-C2m+1、[O-S(O)-C2m+1、[N(C(O)-C2m+1、[N(S(O)-C2m+1、[N(C(O)-C2m+1)(S(O)-C2m+1)]、[N(C(O)-C2m+1)(C(O)F)]、[N(S(O)-C2m+1)(S(O)F)]、[N(S(O)F)、[C(C(O)-C2m+1、[C(S(O)-C2m+1
【化6】
からなる群から選択されるアニオンを含むことができ、ここで、
yは、1~6の整数であり、
mは、1~8の整数であり、例えば1~4の整数であり、
zは、1~4の整数であり、
Xは、BまたはAlであり、かつ
、R、RおよびRは、独立して、ハロゲン、C~C20アルキル、部分的もしくは完全にフッ素化されたC~C20アルキル、C~C20アルコキシ、部分的もしくは完全にフッ素化されたC~C20アルコキシ、C~C20アルキル-COOまたは部分的もしくは完全にフッ素化されたC~C20アルキル-COOであり、かつ
【化7】
は、独立して、1,2-ジオールの-OH基、1,3-ジオールの-OH基、1,2-ジカルボン酸、1,3-ジカルボン酸、1,2-ヒドロキシカルボン酸または1,3-ヒドロキシカルボン酸から誘導された2座の基であり、
CF基のいずれか1つは、O、S(O)、NRまたはCHで置き換えられていてもよい。
【0124】
イオン液体のアニオンとしては例えば、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、パーフルオロアルキルカルボン酸イオン、パーフルオロアルキルスルホン酸イオン、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、(パーフルオロアルキルスルホニル)(パーフルオロアルキルカルボキシル)イミドイオン、トリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドイオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(トリフラートイオン)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、テトラフルオロホウ酸イオン、スピロオキソホウ酸イオンおよびスピロオキソリン酸イオン、例えばビスオキサラトホウ酸イオン(BOB)、ジフルオロオキサラトホウ酸イオン(dFOB)、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトホウ酸イオン(d(Ac)OB)、トリスオキサラトリン酸イオン、テトラフルオロオキサラトリン酸イオンおよびジ(トリフルオロアセタト)オキサラトアルミン酸イオンが挙げられる。
【0125】
電解質組成物は、意図しない水を実質的に含まない「非水系」であることができ、例えば該電解質組成物の全質量を基準として、水は1000質量ppm以下、100質量ppm以下または10質量ppm以下である。
【0126】
電解質組成物は有利には、「無水系」であることができ、つまり、ほとんどまたは全く水を含まないことができる。電解質組成物は、該電解質組成物の全質量を基準として10質量ppm以下、例えば9質量ppm以下、8質量ppm以下、7質量ppm以下、6質量ppm以下、5質量ppm以下または4質量ppm以下の水を含むことができる。
【0127】
電解質組成物は有利には、溶媒を含むことができる。あるいは、電解質組成物は溶媒を含まなくてもよい。例えば、1つまたは複数のイオン液体が電解質組成物で使用される場合には溶媒は不要である。「無溶媒」とは、有機溶媒が存在せず、かつ意図しない水が実質的に存在しないことを意味する。
【0128】
溶媒が電解質組成物中に存在する場合、イオン化合物全体と溶媒との質量:質量比は、約99.9:0.1~約0.1:99.9、約99.5:0.5~約0.5:99.5、約99:1~約1:99、約95:5~約5:95、約90:10~約10:90、約80:20~約20:80、約70:30~約30:70または約60:40~約40:60であることができる。
【0129】
本電解質組成物は、水の水素および酸素の発生電位により制限されることはない。したがって、開示される電気化学的電池は、1.2V(ボルト)超の公称開回路電圧を示すことができる。本電池は、約6Vまでの公称開回路電圧を供給することができる。例えば本電池は、約1.2~約6.0V、約1.3~約6.0V、約1.4~約6.0Vまたは約1.5~約6.0Vの公称開回路電圧を示すことができる。例えば本電池は、約1.3V、約1.4V、約1.5V、約1.6V、約1.7V、約1.8V、約1.9V、約2.0V、約2.1V、約2.2V、約2.3V、約2.4V、約2.5V、約2.6V、約2.7V、約2.8V、約2.9V、約3.0V、約3.1V、約3.2V、約3.3V、約3.4V、約3.5V、約3.6V、約3.7V、約3.8V、約3.9V、約4.0V、約4.1V、約4.2V、約4.3V、約4.4V、約4.5V、約4.6V、約4.7V、約4.8V、約4.9V、約5.0V、約5.1V、約5.2V、約5.3V、約5.4V、約5.5V、約5.6V、約5.7V、約5.8V、約5.9Vまたは約6.0Vの公称開回路電圧を示すことができる。
【0130】
溶媒は、水および有機溶媒である。
【0131】
溶媒は、実質的に水からなっていてもよいし、実質的に有機溶媒からなっていてもよい。溶媒は、水:有機溶媒の様々な比率を含むことができる。
【0132】
溶媒が実質的に有機溶媒からなる場合、水は非常に低い水準でしか存在することができず、電解質組成物の全質量を基準として例えば、1000質量ppm以下、100質量ppm以下または10質量ppm以下の水しか存在することができない。溶媒が実質的に水からなる場合、有機溶媒は、同様の低い水準でしか存在することができない。
【0133】
例えば溶媒は、水/有機溶媒混合物であってもよく、ここで、水と有機溶媒との質量:質量比は、約99.9:0.1~約0.1:99.9、約99.5:0.5~約0.5:99.5、約99:1~約1:99、約95:5~約5:95、約90:10~約10:90、約80:20~約20:80、約70:30~約30:70または約60:40~約40:60である。
【0134】
電解質組成物が、有機溶媒を含むが水を含まない、ということもできる。電解質組成物が、水を含むが有機溶媒を含まない、ということもできる。
【0135】
適切な有機溶媒は例えば、有機カーボナート類、エーテル類、グリム類、オルトエステル類、ポリアルキレングリコール類、エステル類、ラクトン類、グリコール類、ホルマート類、スルホン類、スルホキシド類、アミド類、アルコール類、ケトン類、ニトロ系溶媒、ニトリル系溶媒およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0136】
有機カーボナート類は、環式または非環式であり、例えばエチレンカーボナート(EC)、プロピレンカーボナート(PC)、トリメチレンカーボナート、1,2-ブチレンカーボナート(BC)、ジメチルカーボナート(DMC)、ジエチルカーボナート(DEC)、エチルメチルカーボナート(EMC)、ビニレンカーボナート、ジフルオロエチレンカーボナートおよびモノフルオロエチレンカーボナートが挙げられる。
【0137】
エーテル類およびグリム類としては例えば、ジメトキシメタン(DMM)、ジエトキシメタン、1,2-ジメトキシエタン(DMEまたはエチレングリコールジメチルエーテルまたはグリム)、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、エチレングリコールジエチルエーテル(DEE)、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソラン(DIOX)、4-メチル-1,3-ジオキソラン(4-MeDIOX)、2-メチル-1,3-ジオキソラン(2-MeDIOX)、1,4-ジオキサン、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-t-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、エチル-t-ブチルエーテルおよびt-アミルメチルエーテルが挙げられる。
【0138】
オルトエステル類としては例えば、トリメトキシメタン、トリエトキシメタン、1,4-ジメチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンおよび4-エチル-1-メチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンが挙げられる。
【0139】
ポリアルキレングリコール類は、C~Cアルキレングリコールの単独低重合体または共低重合体または単独重合体または共重合体である。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、モノメチル(エンドキャップ)ポリエチレングリコール、ジメチル(エンドキャップ)ポリエチレングリコールまたはジエチル(エンドキャップ)ポリエチレングリコールである。ポリアルキレングリコール類の重量平均分子量(Mw)は例えば、約200~約1200g/モル、約200~約1000g/モル、約200~約900g/モル、約200~約700g/モルまたは約200~約500g/モルである。4つ以上の単量体の低重合体が挙げられ、例えばテトラエチレングリコール、フッ素化テトラエチレングリコールおよびテトラプロピレングリコールが挙げられる。例えば、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900またはPEG1000が挙げられる。
【0140】
エステル類およびラクトン類としては例えば、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、酢酸エチル(EA)、2-メトキシエチルアセタート、2-エトキシエチルアセタート、2-ブトキシエチルアセタート、2-(2-ブトキシエトキシ)エチルアセタート(ジエチレングリコールブチルエーテルアセタート、DBA)、エチレングリコールジアセタート(EGDA)、3-エトキシエチルプロピオナート(EEP)、メチルブチラート(MB)、n-アミルアセタート(NAAC)、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PMA)、エチルブチラート(EB)、ジエチルマロナート、ジメチルマロナートおよび2塩基性酸エステル混合物(DBE)が挙げられる。
【0141】
2塩基性酸エステル混合物としては例えば、アジピン酸、グルタル酸およびコハク酸のメチルエステルが挙げられる。
【0142】
グリコール類としては例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-イソプロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール(エチレングリコールブチルエーテル、EB)、2-フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール(ジエチレングリコールブチルエーテル、DB)、プロピレングリコールブチルエーテル(PB)、プロピレングリコールメチルエーテル(PM)、トリエチレングリコール(TEG)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPM)、ジエチレングリコールメチルエーテル、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、パーフルオロ-1,4-ブタンジオール、パーフルオロ-1,5-ブタンジオール、フッ素化ジエチレングリコールメチルエーテル、フッ素化トリエチレングリコール、フッ素化トリエチレングリコールメチルエーテルおよびフッ素化ジエチレングリコールブチルエーテルが挙げられる。
【0143】
ホルマート類としては例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチルおよびギ酸t-ブチルが挙げられる。
【0144】
スルホン類およびスルホキシド類としては例えば、メチルスルホニルメタン(MSMまたはジメチルスルホン)、エチルメチルスルホン、スルホランおよびジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。
【0145】
アミド類としては例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチルピロリドン(NMP)、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ヘキサメチルホスホラミド(HMPA)およびN,N’-ジメチル-N,N’-トリメチレンウレア(1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU))が挙げられる。
【0146】
アルコール類としては例えば、ベンジルアルコール(BA)、エタノール、トリフルオロエタノール(2,2,2-トリフルオロエタノール)、メタノール、イソプロパノール、t-ブタノールおよびn-ブタノールが挙げられる。
【0147】
ケトン類としては例えば、メチルエチルケトン(MEK)およびメチルイソアミルケトン(MIAK)が挙げられる。
【0148】
ニトロ系溶媒としては例えば、ニトロベンゼン、ニトロメタンおよびニトロエタンが挙げられる。
【0149】
ニトリル系溶媒としては例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルおよびアジポニトリルが挙げられる。
【0150】
溶媒の混合物を使用することが有利であり、例えば有機カーボナート類の混合物か、または1つもしくは複数の有機カーボナート類と1つもしくは複数のエーテル類もしくはグリム類との混合物が使用される。
【0151】
他の有機溶媒を使用することもでき、例えば一般的な非極性有機溶媒を使用することもでき、これには例えば、トルエン、ヘキサン、ヘプタンなどが挙げられる。
【0152】
電解質組成物は有利には、イオン液体およびプロトン酸および/または有機溶媒を含むことができる。
【0153】
本電解質組成物は例えば、室温(25℃)で液体である。液体には、シロップ状の高粘度の液体が含まれる。例えば電解質組成物は、25℃で約0.2cP~約100cPの粘度を有する。例えば電解質組成物は、25℃で100cP以下、90cP以下、80cP以下、70cP以下、50cP以下、40cP以下、30cP以下、20cP以下、10cP以下または5cP以下の粘度を有する。
【0154】
粘度の測定は、例えば回転式レオメーターを用いて行うことができ、また、マイクロ粘度計を用いて、ガラスキャピラリー内で鋼球を転がして時間を計測し、対照標準液体に対して校正することによって行うこともできる。DVI型もしくはDVII型のブルックフィールド粘度計、プレート型粘度計または振動式粘度計を用いて粘度を測定することもできる。
【0155】
電解質組成物はさらに、防食剤、固体電解質界面(SEI)改良剤、プロトン発生向上剤、自己放電抑制剤、抗ガス発生剤、粘度調整剤、カソード保護剤、塩安定剤、導電率向上剤および溶媒和剤からなる群から選択される1つまたは複数の添加剤を含むことができる。
【0156】
例えば電解質組成物は、以下:
フッ素化油、スズ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたはポリアクリル酸;
HFまたはKF、例えばYのような希土類の酸化物もしくは水酸化物、金属ポルフィン、例えばNiポルフィンまたはFeポルフィン、ビニレンカーボナート、ビニルエチレンカーボナート、メチレンエチレンカーボナートまたはフルオロエチレンカーボナート;
ポリグリコール類、ポリグリコールアルキルエーテル類、ポリグリコールアルキルリン酸エステル類またはポリソルベート類、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリソルベート20、ポリソルベート40もしくはポリソルベート80、またはPEG600とポリソルベート20との混合物、またはPEG600とZnOとの混合物;
リン酸エステル系界面活性剤、プロパンスルトンまたはフルオロプロパンスルトン;および
DMSO;
からなる群から選択される1つまたは複数の添加剤を、該電解質組成物の全質量を基準として例えば約0.1質量%~約15質量%の水準で含むことができる。
【0157】
第IV族元素は、例えば28g/モルの分子量を有するケイ素は、従来の金属水素化物合金よりもはるかに軽量である。典型的なAB型合金およびAB型合金は、約70g/モルの分子量を有する。本電気化学的電池は、従来の金属水素化物電池よりも質量エネルギー密度および/または体積エネルギー密度が高い。
【0158】
本二次電池は、100Wh/kg超の質量エネルギー密度を示すことができる。例えばこの質量エネルギー密度は、110Wh/kg以上、115Wh/kg以上、120Wh/kg以上、125Wh/kg以上、130Wh/kg以上、135Wh/kg以上、140Wh/kg以上、145Wh/kg以上、150Wh/kg以上、155Wh/kg以上、160Wh/kg以上、165Wh/kg以上、170Wh/kg以上、175Wh/kg以上、180Wh/kg以上、185Wh/kg以上、190Wh/kg以上、195Wh/kg以上または200Wh/kg以上である。
【0159】
本二次電池は、250Wh/L超の体積エネルギー密度を示すことができ、例えばこの体積エネルギー密度は、260Wh/kg以上、265Wh/kg以上、270Wh/kg以上、275Wh/kg以上、280Wh/kg以上、285Wh/kg以上、290Wh/kg以上、295Wh/kg以上、300Wh/kg以上、305Wh/kg以上、310Wh/kg以上、315Wh/kg以上、320Wh/kg以上、325Wh/kg以上、330Wh/kg以上、335Wh/kg以上、340Wh/kg以上、345Wh/kg以上または350Wh/kg以上である。
【0160】
本アノードは、水素吸蔵材料の質量を基準として、20回以上のサイクルにわたって(少なくとも20回のサイクルにわたって)800mAh/g以上の放電容量を示すことができ、例えば20回以上のサイクルにわたって810mAh/g以上、820mAh/g以上、825mAh/g以上、830mAh/g以上、835mAh/g以上、840mAh/g以上、845mAh/g以上、850mAh/g以上、855mAh/g以上、860mAh/g以上、865mAh/g以上、870mAh/g以上、875mAh/g以上、880mAh/g以上または895mAh/g以上の放電容量を示すことができる。
【0161】
「電気化学的用途向けの負極」、「電気化学的電池」および「電気化学的デバイス」とは、水素吸蔵性の固体媒体デバイス、電池、燃料電池、空気電池系などに向けた電極を意味する。
【0162】
ここに、本明細書で論じる米国特許明細書、米国特許出願公開明細書および米国特許出願明細書をそれぞれ、本明細書の一部を構成するものとして援用する。
【0163】
「a」および「an」なる冠詞は、本明細書中で、この冠詞の文法上の1つまたは複数の(すなわち少なくとも1つの)対象物を指すために用いられる。一例として、「イオン液体(an ionic liquid)」は、1つのイオン液体または複数のイオン液体を意味する。
【0164】
本明細書に列挙した範囲はいずれも、両端の値を含む。
【0165】
本明細書全体を通じて用いられる「実質的に」および「約」なる用語は、わずかな変動を記載しかつ説明するために用いられる。例えばこうした用語は、±5%以下を指すことができ、例えば±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.2%以下、±0.1%以下または±0.05%以下を指すことができる。本明細書に記載の数値はいずれも、明示されているか否かにかかわらず、「約」なる用語により修飾される。当然のことながら、「約」なる用語で修飾された値には、特定の値が含まれる。例えば「約5.0」には、5.0が含まれるはずである。
【0166】
別段の指示がない限り、本明細書に記載の測定はいずれも周囲条件で、25℃で1atmの圧力で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
図1図1に、25回の化成サイクル後の例1の電池の電気化学的性能を示す。アノードは、ニッケル基材上に250nmのa-Si膜を含む。カソードは、ニッケルメッシュ基材上の焼結された水酸化ニッケルである。電解質組成物は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート中の2Mの酢酸である。本電池を、387mA/gの充放電電流密度でサイクル運転させる。
【0168】
以下に、本発明のいくつかの実施形態を示す。
【0169】
E1. 第IV族元素をベースとする電気化学的用途向けの安定な水素吸蔵負極、例えばケイ素をベースとする電気化学的用途向けの安定な水素吸蔵負極または炭素をベースとする電気化学的用途向けの安定な水素吸蔵負極であって、例えば前記水素吸蔵負極は、水素吸蔵材料を含み、前記水素吸蔵材料は、C、Si、GeおよびSnからなる群から選択される1つまたは複数の元素を、前記水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含む、負極。
【0170】
E2. 実施形態1に記載の負極であって、前記負極は水素吸蔵材料を含み、前記水素吸蔵材料は、C、Si、GeおよびSnからなる群から選択される1つまたは複数の元素を、前記水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含み、例えばケイ素を前記水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含むか、または炭素を前記水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含む、負極。
【0171】
E3. 前記水素吸蔵材料は、アモルファスシリコン、微晶質シリコン、ナノ結晶質シリコン、単結晶シリコン、多結晶シリコン、プロトクリスタルシリコンまたはポーラスシリコンを含む、実施形態1または2に記載の負極。
【0172】
E4. 前記水素吸蔵材料は、アモルファスシリコンを含む、前記実施形態のいずれかに記載の負極。
【0173】
E5. 前記水素吸蔵材料は、炭素を含み、例えば天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、グラフェン、炭素繊維、ソフトカーボン、ハードカーボン、難黒鉛化性炭素、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、活性炭、結晶質炭素またはアモルファスカーボンの形態の炭素を含む、前記実施形態のいずれかに記載の負極。
【0174】
E6. 前記水素吸蔵材料は、ケイ素と、炭素、ゲルマニウムおよびスズのうちの1つもしくは複数との合金、例えばアモルファスシリコンカーバイド、またはケイ素とゲルマニウムとの合金、またはケイ素とスズとの合金を含む、前記実施形態のいずれかに記載の負極。
【0175】
E7. 前記負極(予備水素化された負極)を組立てる前またはその後に水素化された水素吸蔵材料を含む、前記実施形態のいずれかに記載の負極であって、例えば前記水素吸蔵材料は、水素化されたアモルファスシリコン(a-Si:H)または水素化されたアモルファスシリコンカーバイド(a-Si1-x:H、ここで、xは例えば、約0.01~約0.99、約0.05~約0.95または約0.1~約0.9である)である、負極。
【0176】
E8. 前記水素吸蔵材料、例えばアモルファスシリコンは、膜の状態で含まれており、例えば、20nm超、50nm以上、90nm以上、120nm以上もしくは180nm以上、または約90nm~約10μm、約100nm~約5μm、約150nm~約3μm、約150nm~約2μmもしくは約150nm~約1μmの厚さを有する膜の状態で含まれている、前記実施形態のいずれかに記載の負極。
【0177】
E9. 前記水素吸蔵材料は、基材に付着した膜の状態で含まれており、例えば金属、ガラス、無機物およびプラスチックから選択される基材に付着した膜の状態で含まれている、前記実施形態のいずれかに記載の負極。
【0178】
E10. 前記水素吸蔵材料は、1つまたは複数のさらなる元素を含み、例えばB、Al、Ga、In、As、Sb、Teおよび遷移金属からなる群から選択される1つまたは複数の元素を含む、前記実施形態のいずれかに記載の負極。
【0179】
E11. 前記水素吸蔵材料は、第IV族元素、例えばSiおよび/またはCからなる群から選択される1つまたは複数の元素を、前記水素吸蔵材料の全質量を基準として28質量%以上、29質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、96質量%以上、97質量%以上、98質量%以上または99質量%以上含む、前記実施形態のいずれかに記載の負極。
【0180】
E12. 前記1つまたは複数の第IV族元素を、前記負極の全質量を基準として30質量%以上含み、例えば、前記1つまたは複数の第IV族元素、例えばSiおよび/またはCを、前記負極の全質量を基準として35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上または90質量%以上含む、前記実施形態のいずれかに記載の負極。
【0181】
E13. バインダー、導電性材料および他の添加剤からなる群から選択される1つまたは複数の構成要素をさらに含む、前記実施形態のいずれかに記載の負極。
【0182】
E14. プロトンを輸送しうる固体電解質界面を含む、前記実施形態のいずれかに記載の負極。
【0183】
E15. 前記水素吸蔵材料は、構造修飾剤(材料のアモルファス相を促進するための元素)、水素結合強度向上剤および固体電解質界面(SEI)改質剤からなる群から選択される1つまたは複数のさらなる元素を含み、例えばB、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属および周期表の第III族または第V族の他の金属、O、F、P、Clなどからなる群から選択される1つまたは複数のさらなる元素を含む、前記実施形態のいずれかに記載の負極。
【0184】
E16. 電解質組成物に接する前記実施形態のいずれかに記載の負極であって、前記電解質組成物は、中性または酸性であり、例えば約7以下のpHを有し、例えば約1から、約2から、約3から、約4から、約5からまたは約6から約7までのpHを有する、負極。
【0185】
E17. 前記電解質組成物は、プロトン酸、プロトン性アンモニウム化合物、プロトン性オキソニウム化合物、非プロトン性アンモニウム化合物、非プロトン性オキソニウム化合物、非プロトン性ホスホニウム化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群から選択される1つまたは複数のイオン化合物を含む、実施形態16記載の負極。
【0186】
E18. 前記電解質組成物は、
NH (アンモニウムイオン)、メチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン(NMe)、トリエチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、ジエチルメチルアンモニウムイオン、ヒドロキシエチルアンモニウムイオン、メトキシメチルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、メチルブチルアンモニウムイオン、アニリニウムイオン、ピリジニウムイオン、2-メチルピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、1-メチルイミダゾリウムイオン、1,2-ジメチルイミダゾリウムイオン、イミダゾリニウムイオン、1-エチルイミダゾリウムイオン、1-(4-スルホブチル)-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-アリルイミダゾリウムイオン、キノリニウムイオン、イソキノリニウムイオン、ピロリニウムイオン、ピロリニニウムイオンまたはピロリジニウムイオン;
1-ブチル-1-メチルピロリジニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ-n-ブチルアンモニウムイオン、n-ブチルトリエチルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン、トリ-n-ブチルメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、1-メチルピリジニウムイオン、1-ブチル-3,5-ジメチルピリジニウムイオン、1,2,4-トリメチルピラゾリウムイオン、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム(コリン)イオン、トリ(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン、ジメチルジ(ポリオキシエチレン)アンモニウムイオン、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ヒドロキシエチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-1-メチルピペリジニウムイオン、4-エチル-4-メチルモルホリニウムイオン、1-(シアノメチル)-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムイオン、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムイオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムイオンまたは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン;および
メチルトリフェニルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン、テトラブチルホスホニウムイオン、トリブチルメチルホスホニウムイオン、トリエチルメチルホスホニウムイオン、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムイオン、トリフェニルプロピルホスホニウムイオンまたはテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムイオン;
からなる群から選択されるカチオンを含むイオン化合物を含み、
例えば前記カチオンは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムイオンまたはトリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムイオンである、実施形態16または17記載の負極。
【0187】
E19. 前記電解質組成物は、カルボン酸イオン、イミド系イオン、メチド系イオン、硝酸イオン、二フッ化水素イオン、ハロゲン化物イオン、ホウ酸系イオン、リン酸系イオン、ホスフィン酸系イオン、ホスホン酸系イオン、スルホン酸系イオン、硫酸系イオン、炭酸系イオンおよびアルミン酸系イオンからなる群から選択されるアニオンを含むイオン化合物を含む、実施形態16から18までのいずれかに記載の負極。
【0188】
E20. 前記電解質組成物は、[FB(C2m+14-z、[FP(C2m+16-y、[(C2m+1P(O)O]、[C2m+1P(O)O2-、[O-C(O)-C2m+1、[O-S(O)-C2m+1、[N(C(O)-C2m+1、[N(S(O)-C2m+1、[N(C(O)-C2m+1)(S(O)-C2m+1)]、[N(C(O)-C2m+1)(C(O)F)]、[N(S(O)-C2m+1)(S(O)F)]、[N(S(O)F)、[C(C(O)-C2m+1、[C(S(O)-C2m+1
【化8】
からなる群から選択されるアニオンを含むイオン化合物を含み、ここで、
yは、1~6の整数であり、
mは、1~8の整数であり、例えば1~4の整数であり、
zは、1~4の整数であり、
Xは、BまたはAlであり、かつ
、R、RおよびRは、独立して、ハロゲン、C~C20アルキル、部分的もしくは完全にフッ素化されたC~C20アルキル、C~C20アルコキシ、部分的もしくは完全にフッ素化されたC~C20アルコキシ、C~C20アルキル-COOまたは部分的もしくは完全にフッ素化されたC~C20アルキル-COOであり、かつ
【化9】
は、独立して、1,2-ジオールの-OH基、1,3-ジオールの-OH基、1,2-ジカルボン酸、1,3-ジカルボン酸、1,2-ヒドロキシカルボン酸または1,3-ヒドロキシカルボン酸から誘導された2座の基であり、
CF基のいずれか1つは、O、S(O)、NRまたはCHで置き換えられていてもよい、実施形態16から19までのいずれかに記載の負極。
【0189】
E21. 前記電解質組成物は、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、パーフルオロアルキルカルボン酸イオン、パーフルオロアルキルスルホン酸イオン、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、(パーフルオロアルキルスルホニル)(パーフルオロアルキルカルボキシル)イミドイオン、トリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドイオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(トリフラートイオン)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、テトラフルオロホウ酸イオン、スピロオキソホウ酸イオンおよびスピロオキソリン酸イオン、例えばビスオキサラトホウ酸イオン(BOB)、ジフルオロオキサラトホウ酸イオン(dFOB)、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトホウ酸イオン(d(Ac)OB)、トリスオキサラトリン酸イオン、テトラフルオロオキサラトリン酸イオンおよびジ(トリフルオロアセタト)オキサラトアルミン酸イオンからなる群から選択されるアニオンを含むイオン化合物を含む、実施形態16から20までのいずれかに記載の負極。
【0190】
E22. 前記電解質組成物は、式RCOO[式中、Rは、水素またはヒドロカルビルである]のカルボン酸アニオンを含むイオン化合物を含み、例えばギ酸イオン、酢酸イオン(エタン酸イオン)、アクリル酸イオン、プロパン酸イオン、n-ブタン酸イオン、i-ブタン酸イオン、n-ペンタン酸イオン、i-ペンタン酸イオン、オクタン酸イオン、デカン酸イオン、安息香酸イオン、サリチル酸イオン、チオサリチル酸イオン、2-ニトロ安息香酸イオン、3-ニトロ安息香酸イオン、4-ニトロ安息香酸イオン、クエン酸イオン、シュウ酸イオン、酒石酸イオン、グリコール酸イオン、グルコン酸イオン、リンゴ酸イオン、マンデル酸イオン、ニトリロ三酢酸のカルボン酸イオン、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸のカルボン酸イオン、エチレンジアミン四酢酸のカルボン酸イオン、ジエチレントリアミン五酢酸のカルボン酸イオンまたはハロアルキルカルボン酸イオン、例えばフルオロ酢酸イオン、ジフルオロ酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、クロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオンもしくはトリクロロ酢酸イオンを含むイオン化合物を含む、実施形態16から21までのいずれかに記載の負極。
【0191】
E23. 前記電解質組成物は、
イミド系アニオン、例えばジシアナミドイオン、N(SOF) ((ビスフルオロスルホニル)イミドイオン)、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、例えば[N(SOCF(ビストリフリミドイオン)、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドイオンもしくはN(CFSO)(CF(CFSOもしくは(パーフルオロアルキルスルホニル)(パーフルオロアルキルカルボキシル)イミドイオン;または
メチド系イオン、例えばトリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドイオン、例えばトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、C(CFSO ;または
二フッ化水素イオン(HF );または
塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンもしくはフッ化物イオン;または
ホウ酸系イオン、例えばオルトホウ酸イオン、テトラヒドロキシホウ酸イオン、テトラホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、[B(3,5-(CF(BARF)、B(C (ビス(オキサラト)ホウ酸イオン)(BOB)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸イオン(dFOB)、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトホウ酸イオン(D(Ac)OB)、B(C もしくはBF (テトラフルオロホウ酸イオン);または
リン酸系イオン、例えばリン酸二水素イオン、リン酸水素イオン、アルキルリン酸イオン、ジアルキルリン酸イオン、リン酸イオン、PF (ヘキサフルオロリン酸イオン)、HPO(フルオロリン酸水素イオン)、トリスオキサラトリン酸イオン(TOP)、テトラフルオロオキサラトリン酸イオン(TFOP)もしくはフルオロ(パーフルオロアルキル)リン酸イオン、例えばFP(C 、FP(C (トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸イオンもしくはFAP)、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C もしくはFP(C ;または
スルホン酸系イオン、例えばアルキルスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオンもしくはパーフルオロアルキルスルホン酸イオン、例えばトリフルオロメタンスルホン酸イオン(トリフラートイオン)、p-トルエンスルホン酸イオン(トシラートイオン)もしくはメタンスルホン酸イオン(メシラートイオン);または
硫酸系イオン、例えば硫酸水素イオン、硫酸イオン、チオ硫酸イオンもしくはアルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオンもしくはエチル硫酸イオン;または
炭酸系アニオン、例えば炭酸イオン、炭酸水素イオンもしくはアルキル炭酸イオン、例えばメチル炭酸イオン、エチル炭酸イオンもしくはブチル炭酸イオン;または
アルミン酸系イオン、例えばAl(OC(CF 、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトアルミン酸イオン(d(Ac)OAl)、テトラクロロアルミン酸イオン、テトラフルオロアルミン酸イオン、テトラヨードアルミン酸イオンもしくはテトラブロモアルミン酸イオン
を含むイオン化合物を含む、実施形態16から22までのいずれかに記載の負極。
【0192】
E24. 前記電解質組成物は、イオン液体を含む、実施形態16から23までのいずれかに記載の負極。
【0193】
E25. 前記電解質組成物は、ジエチルメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホナート(DEMA TfO)、エチルアンモニウムニトラート、トリエチルアンモニウムメタンスルホナート、2-メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、フッ化アンモニウム、メチルアンモニウムニトラート、ヒドロキシエチルアンモニウムニトラート、エチルアンモニウムニトラート、ジメチルアンモニウムニトラート、1-メチルイミダゾリウムニトラート、1-エチルイミダゾリウムニトラート、t-ブチルアンモニウムテトラフルオロボラート、ヒドロキシエチルアンモニウムテトラフルオロボラート、メチルブチルアンモニウムテトラフルオロボラート、トリエチルアンモニウムテトラフルオロボラート、イミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1,2-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、t-ブチルアンモニウムトリフラート、2-フルオロピリジニウムトリフラート、ヒドロキシエチルアンモニウムトリフラート、1,2-ジメチルイミダゾリウムトリフラート、イミダゾリウムトリフラート、1-メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルファート、1-メチルイミダゾリウムクロリド、1-メチルイミダゾリウムトリフラート、ヒドロニウムトリフラート、メチルアンモニウムメシラート、エチルアンモニウムメシラート、ブチルアンモニウムメシラート、メトキシエチルアンモニウムメシラート、ジメチルアンモニウムメシラート、ジブチルアンモニウムメシラート、トリエチルアンモニウムメシラート、ジメチルエチルアンモニウムメシラート、硫酸水素ヒドロニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素メチルアンモニウム、硫酸水素エチルアンモニウム、硫酸水素プロピルアンモニウム、硫酸水素n-ブチルアンモニウム、硫酸水素-t-ブチルアンモニウム、硫酸水素ジメチルアンモニウム、硫酸水素ジエチルアンモニウム、硫酸水素ジ-n-ブチルアンモニウム、硫酸水素メチルブチルアンモニウム、硫酸水素エチルブチルアンモニウム、硫酸水素トリメチルアンモニウム、硫酸水素トリエチルアンモニウム、硫酸水素トリブチルアンモニウム、硫酸水素ジメチルエチルアンモニウム、フルオロリン酸水素ジブチルアンモニウム、フルオロリン酸水素トリエチルアンモニウム、フルオロリン酸水素トリブチルアンモニウム、リン酸二水素ヒドロニウム、リン酸二水素メチルアンモニウム、リン酸二水素エチルアンモニウム、リン酸二水素プロピルアンモニウム、リン酸二水素n-ブチルアンモニウム、リン酸二水素メトキシエチルアンモニウム、リン酸二水素ジメチルアンモニウム、リン酸二水素ジブチルアンモニウム、リン酸二水素メチルブチルアンモニウム、重フッ化アンモニウム、重フッ化メチルアンモニウム、重フッ化エチルアンモニウムおよび重フッ化ジメチルアンモニウムからなる群から選択されるイオン液体を含む、実施形態16から24までのいずれかに記載の負極。
【0194】
E26. 前記電解質組成物は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート(EMIM TfO)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(EMIM BF)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMIM TFSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート(EMIM Ac)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート(BMIM TfO)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート(BMIM Ac)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(BMIM TFSI)、トリ-n-ブチルメチルアンモニウムメチルスルファート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメチルスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルスルファート、トリス(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルスルファート、1,2,4-トリメチルピラゾリウムメチルスルファート、1,3-ジメチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムニトラート、1-ブチルピリジニウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1-ブチル-3,5-ジメチルピリジニウムブロミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムメチルカーボナート、カルボキシメチルトリブチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-カルボキシエチルメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-カルボキシメチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-カルボキシメチルメチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルホスホニウムメタンスルホナート、トリエチルメチルアンモニウムメチルカーボナート、1-エチル-1-メチルピペリジニウムメチルカーボナート、4-エチル-4-メチルモルホリニウムメチルカーボナート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムメチルカーボナート、トリエチルメチルアンモニウムジブチルホスファート、トリブチルメチルホスホニウムジブチルホスファート、トリエチルメチルホスホニウムジブチルホスファート、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、テトラブチルホスホニウムp-トルエンスルホナート、トリブチルメチルホスホニウムメチルカーボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、トリブチルメチルアンモニウムメチルカーボナート、トリブチルメチルアンモニウムジブチルホスファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジブチルホスファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジブチルホスファート、1-(シアノメチル)-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムクロリド、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムクロリド、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1,3-ビス(シアノプロピル)イミダゾリウムクロリド、1,3-ビス(3-シアノプロピル)イミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、トリブチルメチルホスホニウムメチルスルファート、トリエチルメチルホスホニウムジブチルホスファート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(2,4,4-トリメチルフェニル)ホスフィナート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムブロミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムクロリド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムデカノアート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムジシアナミド、3-(トリフェニルホスホニオ)プロパン-1-スルホナートおよび3-(トリフェニルホスホニオ)プロパン-1-スルホン酸トシラートからなる群から選択されるイオン液体を含む、実施形態16から25までのいずれかに記載の負極。
【0195】
E27. 前記電解質組成物は、プロトン酸を含み、例えば
塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸もしくは過ヨウ素酸;または
重硫酸塩、例えば重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウムもしくは重硫酸アンモニウム;または
HAsF、HBF、H(OEt)BF、HPF、H[N(SOCF]もしくはH[N(SOCFCF
のようなプロトン酸を含む、実施形態16から26までのいずれかに記載の負極。
【0196】
E28. 前記電解質組成物は、有機プロトン酸、例えば式RCOOH[式中、Rは、水素またはヒドロカルビルである]のカルボン酸を含み、例えばギ酸、酢酸、アクリル酸、フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロパン酸、酪酸、3-メチルブタン酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、安息香酸、サリチル酸、2-ニトロ安息香酸、3-ニトロ安息香酸、4-ニトロ安息香酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、リンゴ酸、マンデル酸、ニトリロ三酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸またはジエチレンアミン五酢酸を含む、実施形態16から27までのいずれかに記載の負極。
【0197】
E29. 前記電解質組成物は、式RSOH[式中、Rは、アルキル、またはアリール、または1~3個のハロゲンで置換されたアルキルもしくはアリールである]のプロトン性スルホン酸を含み、例えばp-トルエンスルホン酸、フェニルスルホン酸、メタンスルホン酸またはトリフルオロメタンスルホン酸を含む、実施形態16から28までのいずれかに記載の負極。
【0198】
E30. 前記電解質組成物は、オキソニウムイオンと、例えばブルックハート酸イオン(BARF酸イオン)のような高度に非配位性のイオンとが合一したプロトン酸[H(OEt][B[3,5-(CF]、[H(OEt][B(C](オキソニウム酸)または[H(OEt][Al(OC(CF]を含む、実施形態16から29までのいずれかに記載の負極。
【0199】
E31. 前記電解質組成物は、少なくとも2つの異なるイオン化合物を含み、例えば前記電解質組成物は、
1つのプロトン性イオン化合物と、1つの非プロトン性イオン化合物;
2つの異なるプロトン性イオン化合物;
2つの異なる非プロトン性イオン化合物;
2つの異なる塩;
2つの異なるイオン液体;
1つの塩と1つのイオン液体、例えば1つのプロトン性もしくは非プロトン性のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩、例えばアルカリ金属ハロゲン化物;
1つのプロトン酸、1つのプロトン性アンモニウム化合物または1つのプロトン性オキソニウム化合物と、1つのイオン液体、例えばカルボン酸とイオン液体
を含む、実施形態16から30までのいずれかに記載の負極。
【0200】
E32. 前記電解質組成物は、同一のカチオンまたは同一のアニオンを含む少なくとも2つの異なるイオン化合物を含む、実施形態16から31までのいずれかに記載の負極。
【0201】
E33. 前記電解質組成物は、2つの異なるイオン化合物を、約99.9:0.1~約0.1:99.9、約99.5:0.5~約0.5:99.5、約99:1~約1:99、約95:5~約5:95、約90:10~約10:90、約80:20~約20:80、約70:30~約30:70または約60:40~約40:60の質量:質量比で含む、実施形態16から32までのいずれかに記載の負極。
【0202】
E34. 前記電解質組成物は、有機溶媒を含まずに、前記電解質組成物の全質量を基準として1000質量ppm以下、100質量ppm以下もしくは10質量ppm以下の水を含むか、または前記電解質組成物は、前記電解質組成物の全質量を基準として9質量ppm以下、8質量ppm以下、7質量ppm以下、6質量ppm以下、5質量ppm以下もしくは4質量ppm以下の水を含む、実施形態16から33までのいずれかに記載の負極。
【0203】
E35. 前記電解質組成物は、溶媒を含む、実施形態16から33までのいずれかに記載の負極。
【0204】
E36. 前記電解質組成物は、実質的に水からなる溶媒を含む、実施形態16から33までのいずれかに記載の負極。
【0205】
E37. 前記電解質組成物は、実質的に有機溶媒からなる溶媒を含む、実施形態16から33までのいずれかに記載の負極。
【0206】
E38. 前記電解質組成物は、水を含む溶媒と有機溶媒とを含む、実施形態16から33までのいずれかに記載の負極。
【0207】
E39. 水と有機溶媒との質量:質量比は、約99.9:0.1~約0.1:99.9、約99.5:0.5~約0.5:99.5、約99:1~約1:99、約95:5~約5:95、約90:10~約10:90、約80:20~約20:80、約70:30~約30:70または約60:40~約40:60である、実施形態38記載の負極。
【0208】
E40. 前記有機溶媒は、有機カーボナート類、エーテル類、グリム類、オルトエステル類、ポリアルキレングリコール類、エステル類、ラクトン類、グリコール類、ホルマート類、スルホン類、スルホキシド類、アミド類、アルコール類、ケトン類、ニトロ系溶媒およびニトリル系溶媒からなる群から選択される1つまたは複数の溶媒を含む、実施形態37から39までのいずれかに記載の負極。
【0209】
E41. 前記電解質組成物は、有機溶媒、例えば
有機カーボナート類、例えば環式もしくは非環式の有機カーボナート類、例えばエチレンカーボナート(EC)、プロピレンカーボナート(PC)、トリメチレンカーボナート、1,2-ブチレンカーボナート(BC)、ジメチルカーボナート(DMC)、ジエチルカーボナート(DEC)、エチルメチルカーボナート(EMC)、ビニレンカーボナート、ジフルオロエチレンカーボナートもしくはモノフルオロエチレンカーボナート;または
エーテル類またはグリム類、例えばジメトキシメタン(DMM)、ジエトキシメタン、1,2-ジメトキシエタン(DMEもしくはエチレングリコールジメチルエーテルもしくはグリム)、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、エチレングリコールジエチルエーテル(DEE)、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソラン(DIOX)、4-メチル-1,3-ジオキソラン(4-MeDIOX)、2-メチル-1,3-ジオキソラン(2-MeDIOX)、1,4-ジオキサン、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-t-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、エチル-t-ブチルエーテルもしくはt-アミルメチルエーテル;または
オルトエステル類、例えばトリメトキシメタン、トリエトキシメタン、1,4-ジメチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンもしくは4-エチル-1-メチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン;または
~Cアルキレングリコールの単独低重合体もしくは共低重合体もしくは単独重合体もしくは共重合体であるポリアルキレングリコール類、例えば約200~約1200g/モル、約200~約1000g/モル、約200~約900g/モル、約200~約700g/モルもしくは約200~約500g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する、例えばポリエチレングリコール(PEG)、モノメチル(エンドキャップ)ポリエチレングリコール、ジメチル(エンドキャップ)ポリエチレングリコールもしくはジエチル(エンドキャップ)ポリエチレングリコール、例えば4つ以上の単量体の低重合体、例えばテトラエチレングリコール、フッ素化テトラエチレングリコールもしくはテトラプロピレングリコール、例えばPEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900もしくはPEG1000;または
エステル類もしくはラクトン類、例えばγ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、酢酸エチル(EA)、2-メトキシエチルアセタート、2-エトキシエチルアセタート、2-ブトキシエチルアセタート、2-(2-ブトキシエトキシ)エチルアセタート(ジエチレングリコールブチルエーテルアセタート、DBA)、エチレングリコールジアセタート(EGDA)、3-エトキシエチルプロピオナート(EEP)、メチルブチラート(MB)、n-アミルアセタート(NAAC)、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PMA)、エチルブチラート(EB)、ジエチルマロナートもしくはジメチルマロナート;または
2塩基性酸エステル混合物、例えばアジピン酸、グルタル酸もしくはコハク酸のメチルエステル;または
グリコール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-イソプロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール(エチレングリコールブチルエーテル、EB)、2-フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール(ジエチレングリコールブチルエーテル、DB)、プロピレングリコールブチルエーテル(PB)、プロピレングリコールメチルエーテル(PM)、トリエチレングリコール(TEG)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPM)、ジエチレングリコールメチルエーテル、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、パーフルオロ-1,4-ブタンジオール、パーフルオロ-1,5-ブタンジオール、フッ素化ジエチレングリコールメチルエーテル、フッ素化トリエチレングリコール、フッ素化トリエチレングリコールメチルエーテルもしくはフッ素化ジエチレングリコールブチルエーテル;または
ホルマート類、例えばギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチルもしくはギ酸t-ブチル;または
スルホン類もしくはスルホキシド類、例えばメチルスルホニルメタン(MSMもしくはジメチルスルホン)、エチルメチルスルホン、スルホランもしくはジメチルスルホキシド(DMSO);または
アミド類、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチルピロリドン(NMP)、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ヘキサメチルホスホラミド(HMPA)もしくはN,N’-ジメチル-N,N’-トリメチレンウレア(1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU));または
アルコール類、例えばベンジルアルコール(BA)、エタノール、トリフルオロエタノール(2,2,2-トリフルオロエタノール)、メタノール、イソプロパノール、t-ブタノールもしくはn-ブタノール;または
ケトン類、例えばメチルエチルケトン(MEK)もしくはメチルイソアミルケトン(MIAK);または
ニトロ系溶媒、例えばニトロベンゼン、ニトロメタンもしくはニトロエタン;または
ニトリル系溶媒、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルもしくはアジポニトリル
を含む、実施形態40記載の負極。
【0210】
E42. 前記電解質組成物が溶媒を含み、イオン化合物全体と溶媒との質量:質量比は、約99.9:0.1~約0.1:99.9、約99.5:0.5~約0.5:99.5、約99:1~約1:99、約95:5~約5:95、約90:10~約10:90、約80:20~約20:80、約70:30~約30:70または約60:40~約40:60である、実施形態16から33までおよび35から41までのいずれかに記載の負極。
【0211】
E43. 前記電解質組成物はさらに、防食剤、固体電解質界面(SEI)改良剤、プロトン発生向上剤、自己放電抑制剤、抗ガス発生剤、粘度調整剤、カソード保護剤、塩安定剤、導電率向上剤および溶媒和剤からなる群から選択される1つまたは複数の添加剤を含む、実施形態16から42までのいずれかに記載の負極。
【0212】
E44. 前記電解質組成物は、以下:
フッ素化油、スズ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたはポリアクリル酸;
HFまたはKF、例えばYのような希土類の酸化物もしくは水酸化物、金属ポルフィン、例えばNiポルフィンまたはFeポルフィン、ビニレンカーボナート、ビニルエチレンカーボナート、メチレンエチレンカーボナートまたはフルオロエチレンカーボナート;
ポリグリコール類、ポリグリコールアルキルエーテル類、ポリグリコールアルキルリン酸エステル類またはポリソルベート類、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリソルベート20、ポリソルベート40もしくはポリソルベート80、またはPEG600とポリソルベート20との混合物、またはPEG600とZnOとの混合物;
リン酸エステル系界面活性剤、プロパンスルトンまたはフルオロプロパンスルトン;および
DMSO;
からなる群から選択される1つまたは複数の添加剤を、前記電解質組成物の全質量を基準として例えば約0.1質量%~約15質量%の水準で含む、実施形態16から43までのいずれかに記載の負極。
【0213】
E45. 実施形態1から15までのいずれかに記載の負極と、正極と、中に前記負極および正極が配置されたケーシングと、前記負極および正極に接する実施形態16から44までのいずれかに記載の電解質組成物とを含む電気化学的二次電池であって、
前記電池の質量エネルギー密度は、100Wh/kg超、110Wh/kg以上、115Wh/kg以上、120Wh/kg以上、125Wh/kg以上、130Wh/kg以上、135Wh/kg以上、140Wh/kg以上、145Wh/kg以上、150Wh/kg以上、155Wh/kg以上、160Wh/kg以上、165Wh/kg以上、170Wh/kg以上、175Wh/kg以上、180Wh/kg以上、185Wh/kg以上、190Wh/kg以上、195Wh/kg以上もしくは200Wh/kg以上であり、かつ/または
前記電池の体積エネルギー密度は、250Wh/L超であり、例えば260Wh/kg以上、265Wh/kg以上、270Wh/kg以上、275Wh/kg以上、280Wh/kg以上、285Wh/kg以上、290Wh/kg以上、295Wh/kg以上、300Wh/kg以上、305Wh/kg以上、310Wh/kg以上、315Wh/kg以上、320Wh/kg以上、325Wh/kg以上、330Wh/kg以上、335Wh/kg以上、340Wh/kg以上、345Wh/kg以上もしくは350Wh/kg以上であり、かつ/または
前記水素吸蔵材料の放電容量は、20回以上のサイクルにわたって(少なくとも20回のサイクルにわたって)800mAh/g以上であり、例えば20回以上のサイクルにわたって810mAh/g以上、820mAh/g以上、825mAh/g以上、830mAh/g以上、835mAh/g以上、840mAh/g以上、845mAh/g以上、850mAh/g以上、855mAh/g以上、860mAh/g以上、865mAh/g以上、870mAh/g以上、875mAh/g以上、880mAh/g以上もしくは895mAh/g以上である、電気化学的二次電池。
【0214】
E46. 実施形態1から15までのいずれかに記載の負極と、正極と、中に前記負極および正極が配置されたケーシングと、前記負極および正極に接する実施形態16から44までのいずれかに記載の電解質組成物とを含む電気化学的二次電池であって、前記負極での可逆半電池の充放電の電気化学反応は、
【化10】
または
【化11】
であり、ここで、
IVは、第IV族元素をベースとする水素吸蔵材料であり、かつ
Siは、ケイ素をベースとする水素吸蔵材料である、電気化学的二次電池。
【0215】
E47. 実施形態1から15までのいずれかに記載の負極と、正極と、中に前記負極および正極が配置されたケーシングと、前記負極および正極に接する実施形態16から44までのいずれかに記載の電解質組成物とを含む電気化学的二次電池であって、前記正極は、遷移金属、遷移金属酸化物、遷移金属水酸化物、遷移金属酸化物/水酸化物および遷移金属フッ化物からなる群から選択される1つまたは複数のカソード活物質を含み、例えば、
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAu;
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuの酸化物;
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuの水酸化物;
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuの酸化物/水酸化物、および
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuのフッ化物
からなる群から選択される1つまたは複数の材料を含む、電気化学的二次電池。
【0216】
本発明のさらなる実施形態を以下に示す。
【0217】
E1. 第IV族元素をベースとする安定な水素吸蔵負極を含む電気化学的電池、例えばケイ素をベースとする安定な水素吸蔵負極を含む電気化学的電池または炭素をベースとする安定な水素吸蔵負極を含む電気化学的電池であって、例えば前記負極は、水素吸蔵材料を含み、前記水素吸蔵材料は、C、Si、GeおよびSnからなる群から選択される1つまたは複数の元素を、前記水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含み、前記電池はさらに、前記電極に接した水系または非水系の電解質組成物を含む、電池。
【0218】
E2. 実施形態1に記載の電池であって、前記負極は水素吸蔵材料を含み、前記水素吸蔵材料は、C、Si、GeおよびSnからなる群から選択される1つまたは複数の元素を、前記水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含み、例えばケイ素を前記水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含むか、または炭素を前記水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含む、電池。
【0219】
E3. 前記水素吸蔵材料は、アモルファスシリコン、微晶質シリコン、ナノ結晶質シリコン、単結晶シリコン、多結晶シリコン、プロトクリスタルシリコンまたはポーラスシリコンを含む、実施形態1または2に記載の電池。
【0220】
E4. 前記水素吸蔵材料は、アモルファスシリコンを含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0221】
E5. 前記水素吸蔵材料は、炭素を含み、例えば天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、グラフェン、炭素繊維、ソフトカーボン、ハードカーボン、難黒鉛化性炭素、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、活性炭、結晶質炭素またはアモルファスカーボンの形態の炭素を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0222】
E6. 前記水素吸蔵材料は、ケイ素と、炭素、ゲルマニウムおよびスズのうちの1つもしくは複数との合金、例えばアモルファスシリコンカーバイド、またはケイ素とゲルマニウムとの合金、またはケイ素とスズとの合金を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0223】
E7. 前記水素吸蔵材料は、前記電池(予備水素化された負極)を組立てる前に水素化され、例えば前記水素吸蔵材料は、水素化されたアモルファスシリコン(a-Si:H)または水素化されたアモルファスシリコンカーバイド(a-Si1-x:H、ここで、xは例えば、約0.01~約0.99、約0.05~約0.95または約0.1~約0.9である)である、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0224】
E8. 前記水素吸蔵材料、例えばアモルファスシリコンは、膜の状態で含まれており、例えば、20nm超、50nm以上、90nm以上、120nm以上もしくは180nm以上、または約90nm~約10μm、約100nm~約5μm、約150nm~約3μm、約150nm~約2μmもしくは約150nm~約1μmの厚さを有する膜の状態で含まれている、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0225】
E9. 前記水素吸蔵材料は、基材に付着した膜の状態で含まれており、例えば金属、ガラス、無機物およびプラスチックから選択される基材に付着した膜の状態で含まれている、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0226】
E10. 前記水素吸蔵材料は、1つまたは複数のさらなる元素を含み、例えばB、Al、Ga、In、As、Sb、Teおよび遷移金属からなる群から選択される1つまたは複数の元素を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0227】
E11. 前記水素吸蔵材料は、第IV族元素、例えばSiおよび/またはCからなる群から選択される1つまたは複数の元素を、前記水素吸蔵材料の全質量を基準として28質量%以上、29質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、96質量%以上、97質量%以上、98質量%以上または99質量%以上含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0228】
E12. 前記負極は、前記1つまたは複数の第IV族元素を、前記負極の全質量を基準として30質量%以上含み、例えば、前記1つまたは複数の第IV族元素、例えばSiおよび/またはCを、前記負極の全質量を基準として35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上または90質量%以上含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0229】
E13. 前記負極は、バインダー、導電性材料および他の添加剤からなる群から選択される1つまたは複数の構成要素をさらに含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0230】
E14. 前記負極は、プロトンを輸送しうる固体電解質界面を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0231】
E15. 前記水素吸蔵材料は、構造修飾剤(材料のアモルファス相を促進するための元素)、水素結合強度向上剤および固体電解質界面(SEI)改質剤からなる群から選択される1つまたは複数のさらなる元素を含み、例えばB、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属および周期表の第III族または第V族の他の金属、O、F、P、Clなどからなる群から選択される1つまたは複数のさらなる元素を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0232】
E16. 前記電解質組成物は、中性または酸性であり、例えば約7以下のpHを有し、例えば約1から、約2から、約3から、約4から、約5からまたは約6から約7までのpHを有する、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0233】
E17. 前記電解質組成物は、プロトン酸、プロトン性アンモニウム化合物、プロトン性オキソニウム化合物、非プロトン性アンモニウム化合物、非プロトン性オキソニウム化合物、非プロトン性ホスホニウム化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群から選択される1つまたは複数のイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0234】
E18. 前記電解質組成物は、
NH (アンモニウムイオン)、メチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン(NMe)、トリエチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、ジエチルメチルアンモニウムイオン、ヒドロキシエチルアンモニウムイオン、メトキシメチルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、メチルブチルアンモニウムイオン、アニリニウムイオン、ピリジニウムイオン、2-メチルピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、1-メチルイミダゾリウムイオン、1,2-ジメチルイミダゾリウムイオン、イミダゾリニウムイオン、1-エチルイミダゾリウムイオン、1-(4-スルホブチル)-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-アリルイミダゾリウムイオン、キノリニウムイオン、イソキノリニウムイオン、ピロリニウムイオン、ピロリニニウムイオンまたはピロリジニウムイオン;
1-ブチル-1-メチルピロリジニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ-n-ブチルアンモニウムイオン、n-ブチルトリエチルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン、トリ-n-ブチルメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、1-メチルピリジニウムイオン、1-ブチル-3,5-ジメチルピリジニウムイオン、1,2,4-トリメチルピラゾリウムイオン、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム(コリン)イオン、トリ(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン、ジメチルジ(ポリオキシエチレン)アンモニウムイオン、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ヒドロキシエチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-1-メチルピペリジニウムイオン、4-エチル-4-メチルモルホリニウムイオン、1-(シアノメチル)-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムイオン、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムイオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムイオンまたは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン;および
メチルトリフェニルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン、テトラブチルホスホニウムイオン、トリブチルメチルホスホニウムイオン、トリエチルメチルホスホニウムイオン、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムイオン、トリフェニルプロピルホスホニウムイオンまたはテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムイオン;
からなる群から選択されるカチオンを含むイオン化合物を含み、
例えば前記カチオンは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムイオンまたはトリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムイオンである、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0235】
E19. 前記電解質組成物は、カルボン酸イオン、イミド系イオン、メチド系イオン、硝酸イオン、二フッ化水素イオン、ハロゲン化物イオン、ホウ酸系イオン、リン酸系イオン、ホスフィン酸系イオン、ホスホン酸系イオン、スルホン酸系イオン、硫酸系イオン、炭酸系イオンおよびアルミン酸系イオンからなる群から選択されるアニオンを含むイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0236】
E20. 前記電解質組成物は、[FB(C2m+14-z、[FP(C2m+16-y、[(C2m+1P(O)O]、[C2m+1P(O)O2-、[O-C(O)-C2m+1、[O-S(O)-C2m+1、[N(C(O)-C2m+1、[N(S(O)-C2m+1、[N(C(O)-C2m+1)(S(O)-C2m+1)]、[N(C(O)-C2m+1)(C(O)F)]、[N(S(O)-C2m+1)(S(O)F)]、[N(S(O)F)、[C(C(O)-C2m+1、[C(S(O)-C2m+1
【化12】
からなる群から選択されるアニオンを含むイオン化合物を含み、ここで、
yは、1~6の整数であり、
mは、1~8の整数であり、例えば1~4の整数であり、
zは、1~4の整数であり、
Xは、BまたはAlであり、かつ
、R、RおよびRは、独立して、ハロゲン、C~C20アルキル、部分的もしくは完全にフッ素化されたC~C20アルキル、C~C20アルコキシ、部分的もしくは完全にフッ素化されたC~C20アルコキシ、C~C20アルキル-COOまたは部分的もしくは完全にフッ素化されたC~C20アルキル-COOであり、かつ
【化13】
は、独立して、1,2-ジオールの-OH基、1,3-ジオールの-OH基、1,2-ジカルボン酸、1,3-ジカルボン酸、1,2-ヒドロキシカルボン酸または1,3-ヒドロキシカルボン酸から誘導された2座の基であり、
CF基のいずれか1つは、O、S(O)、NRまたはCHで置き換えられていてもよい、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0237】
E21. 前記電解質組成物は、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、パーフルオロアルキルカルボン酸イオン、パーフルオロアルキルスルホン酸イオン、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、(パーフルオロアルキルスルホニル)(パーフルオロアルキルカルボキシル)イミドイオン、トリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドイオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(トリフラートイオン)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、テトラフルオロホウ酸イオン、スピロオキソホウ酸イオンおよびスピロオキソリン酸イオン、例えばビスオキサラトホウ酸イオン(BOB)、ジフルオロオキサラトホウ酸イオン(dFOB)、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトホウ酸イオン(d(Ac)OB)、トリスオキサラトリン酸イオン、テトラフルオロオキサラトリン酸イオンおよびジ(トリフルオロアセタト)オキサラトアルミン酸イオンからなる群から選択されるアニオンを含むイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0238】
E22. 前記電解質組成物は、式RCOO[式中、Rは、水素またはヒドロカルビルである]のカルボン酸アニオンを含むイオン化合物を含み、例えばギ酸イオン、酢酸イオン(エタン酸イオン)、アクリル酸イオン、プロパン酸イオン、n-ブタン酸イオン、i-ブタン酸イオン、n-ペンタン酸イオン、i-ペンタン酸イオン、オクタン酸イオン、デカン酸イオン、安息香酸イオン、サリチル酸イオン、チオサリチル酸イオン、2-ニトロ安息香酸イオン、3-ニトロ安息香酸イオン、4-ニトロ安息香酸イオン、クエン酸イオン、シュウ酸イオン、酒石酸イオン、グリコール酸イオン、グルコン酸イオン、リンゴ酸イオン、マンデル酸イオン、ニトリロ三酢酸のカルボン酸イオン、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸のカルボン酸イオン、エチレンジアミン四酢酸のカルボン酸イオン、ジエチレントリアミン五酢酸のカルボン酸イオンまたはハロアルキルカルボン酸イオン、例えばフルオロ酢酸イオン、ジフルオロ酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、クロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオンもしくはトリクロロ酢酸イオンを含むイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0239】
E23. 前記電解質組成物は、
イミド系アニオン、例えばジシアナミドイオン、N(SOF) ((ビスフルオロスルホニル)イミドイオン)、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、例えば[N(SOCF(ビストリフリミドイオン)、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドイオンもしくはN(CFSO)(CF(CFSOもしくは(パーフルオロアルキルスルホニル)(パーフルオロアルキルカルボキシル)イミドイオン;または
メチド系イオン、例えばトリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドイオン、例えばトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、C(CFSO ;または
二フッ化水素イオン(HF );または
塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンもしくはフッ化物イオン;または
ホウ酸系イオン、例えばオルトホウ酸イオン、テトラヒドロキシホウ酸イオン、テトラホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、[B(3,5-(CF(BARF)、B(C (ビス(オキサラト)ホウ酸イオン)(BOB)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸イオン(dFOB)、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトホウ酸イオン(D(Ac)OB)、B(C もしくはBF (テトラフルオロホウ酸イオン);または
リン酸系イオン、例えばリン酸二水素イオン、リン酸水素イオン、アルキルリン酸イオン、ジアルキルリン酸イオン、リン酸イオン、PF (ヘキサフルオロリン酸イオン)、HPO(フルオロリン酸水素イオン)、トリスオキサラトリン酸イオン(TOP)、テトラフルオロオキサラトリン酸イオン(TFOP)もしくはフルオロ(パーフルオロアルキル)リン酸イオン、例えばFP(C 、FP(C (トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸イオンもしくはFAP)、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C もしくはFP(C ;または
スルホン酸系イオン、例えばアルキルスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオンもしくはパーフルオロアルキルスルホン酸イオン、例えばトリフルオロメタンスルホン酸イオン(トリフラートイオン)、p-トルエンスルホン酸イオン(トシラートイオン)もしくはメタンスルホン酸イオン(メシラートイオン);または
硫酸系イオン、例えば硫酸水素イオン、硫酸イオン、チオ硫酸イオンもしくはアルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオンもしくはエチル硫酸イオン;または
炭酸系アニオン、例えば炭酸イオン、炭酸水素イオンもしくはアルキル炭酸イオン、例えばメチル炭酸イオン、エチル炭酸イオンもしくはブチル炭酸イオン;または
アルミン酸系イオン、例えばAl(OC(CF 、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトアルミン酸イオン(d(Ac)OAl)、テトラクロロアルミン酸イオン、テトラフルオロアルミン酸イオン、テトラヨードアルミン酸イオンもしくはテトラブロモアルミン酸イオン
を含むイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0240】
E24. 前記電解質組成物は、イオン液体を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0241】
E25. 前記電解質組成物は、ジエチルメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホナート(DEMA TfO)、エチルアンモニウムニトラート、トリエチルアンモニウムメタンスルホナート、2-メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、フッ化アンモニウム、メチルアンモニウムニトラート、ヒドロキシエチルアンモニウムニトラート、エチルアンモニウムニトラート、ジメチルアンモニウムニトラート、1-メチルイミダゾリウムニトラート、1-エチルイミダゾリウムニトラート、t-ブチルアンモニウムテトラフルオロボラート、ヒドロキシエチルアンモニウムテトラフルオロボラート、メチルブチルアンモニウムテトラフルオロボラート、トリエチルアンモニウムテトラフルオロボラート、イミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1,2-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、t-ブチルアンモニウムトリフラート、2-フルオロピリジニウムトリフラート、ヒドロキシエチルアンモニウムトリフラート、1,2-ジメチルイミダゾリウムトリフラート、イミダゾリウムトリフラート、1-メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルファート、1-メチルイミダゾリウムクロリド、1-メチルイミダゾリウムトリフラート、ヒドロニウムトリフラート、メチルアンモニウムメシラート、エチルアンモニウムメシラート、ブチルアンモニウムメシラート、メトキシエチルアンモニウムメシラート、ジメチルアンモニウムメシラート、ジブチルアンモニウムメシラート、トリエチルアンモニウムメシラート、ジメチルエチルアンモニウムメシラート、硫酸水素ヒドロニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素メチルアンモニウム、硫酸水素エチルアンモニウム、硫酸水素プロピルアンモニウム、硫酸水素n-ブチルアンモニウム、硫酸水素-t-ブチルアンモニウム、硫酸水素ジメチルアンモニウム、硫酸水素ジエチルアンモニウム、硫酸水素ジ-n-ブチルアンモニウム、硫酸水素メチルブチルアンモニウム、硫酸水素エチルブチルアンモニウム、硫酸水素トリメチルアンモニウム、硫酸水素トリエチルアンモニウム、硫酸水素トリブチルアンモニウム、硫酸水素ジメチルエチルアンモニウム、フルオロリン酸水素ジブチルアンモニウム、フルオロリン酸水素トリエチルアンモニウム、フルオロリン酸水素トリブチルアンモニウム、リン酸二水素ヒドロニウム、リン酸二水素メチルアンモニウム、リン酸二水素エチルアンモニウム、リン酸二水素プロピルアンモニウム、リン酸二水素n-ブチルアンモニウム、リン酸二水素メトキシエチルアンモニウム、リン酸二水素ジメチルアンモニウム、リン酸二水素ジブチルアンモニウム、リン酸二水素メチルブチルアンモニウム、重フッ化アンモニウム、重フッ化メチルアンモニウム、重フッ化エチルアンモニウムおよび重フッ化ジメチルアンモニウムからなる群から選択されるイオン液体を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0242】
E26. 前記電解質組成物は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート(EMIM TfO)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(EMIM BF)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMIM TFSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート(EMIM Ac)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート(BMIM TfO)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート(BMIM Ac)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(BMIM TFSI)、トリ-n-ブチルメチルアンモニウムメチルスルファート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメチルスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルスルファート、トリス(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルスルファート、1,2,4-トリメチルピラゾリウムメチルスルファート、1,3-ジメチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムニトラート、1-ブチルピリジニウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1-ブチル-3,5-ジメチルピリジニウムブロミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムメチルカーボナート、カルボキシメチルトリブチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-カルボキシエチルメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-カルボキシメチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-カルボキシメチルメチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルホスホニウムメタンスルホナート、トリエチルメチルアンモニウムメチルカーボナート、1-エチル-1-メチルピペリジニウムメチルカーボナート、4-エチル-4-メチルモルホリニウムメチルカーボナート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムメチルカーボナート、トリエチルメチルアンモニウムジブチルホスファート、トリブチルメチルホスホニウムジブチルホスファート、トリエチルメチルホスホニウムジブチルホスファート、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、テトラブチルホスホニウムp-トルエンスルホナート、トリブチルメチルホスホニウムメチルカーボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、トリブチルメチルアンモニウムメチルカーボナート、トリブチルメチルアンモニウムジブチルホスファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジブチルホスファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジブチルホスファート、1-(シアノメチル)-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムクロリド、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムクロリド、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1,3-ビス(シアノプロピル)イミダゾリウムクロリド、1,3-ビス(3-シアノプロピル)イミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、トリブチルメチルホスホニウムメチルスルファート、トリエチルメチルホスホニウムジブチルホスファート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(2,4,4-トリメチルフェニル)ホスフィナート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムブロミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムクロリド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムデカノアート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムジシアナミド、3-(トリフェニルホスホニオ)プロパン-1-スルホナートおよび3-(トリフェニルホスホニオ)プロパン-1-スルホン酸トシラートからなる群から選択されるイオン液体を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0243】
E27. 前記電解質組成物は、プロトン酸を含み、例えば
塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸もしくは過ヨウ素酸;または
重硫酸塩、例えば重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウムもしくは重硫酸アンモニウム;または
HAsF、HBF、H(OEt)BF、HPF、H[N(SOCF]もしくはH[N(SOCFCF
のようなプロトン酸を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0244】
E28. 前記電解質組成物は、有機プロトン酸、例えば式RCOOH[式中、Rは、水素またはヒドロカルビルである]のカルボン酸を含み、例えばギ酸、酢酸、アクリル酸、フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロパン酸、酪酸、3-メチルブタン酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、安息香酸、サリチル酸、2-ニトロ安息香酸、3-ニトロ安息香酸、4-ニトロ安息香酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、リンゴ酸、マンデル酸、ニトリロ三酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸またはジエチレンアミン五酢酸を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0245】
E29. 前記電解質組成物は、式RSOH[式中、Rは、アルキル、またはアリール、または1~3個のハロゲンで置換されたアルキルもしくはアリールである]のプロトン性スルホン酸を含み、例えばp-トルエンスルホン酸、フェニルスルホン酸、メタンスルホン酸またはトリフルオロメタンスルホン酸を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0246】
E30. 前記電解質組成物は、オキソニウムイオンと、例えばブルックハート酸イオン(BARF酸イオン)のような高度に非配位性のイオンとが合一したプロトン酸[H(OEt][B[3,5-(CF]、[H(OEt][B(C](オキソニウム酸)または[H(OEt][Al(OC(CF]を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0247】
E31. 前記電解質組成物は、少なくとも2つの異なるイオン化合物を含み、例えば前記電解質組成物は、
1つのプロトン性イオン化合物と、1つの非プロトン性イオン化合物;
2つの異なるプロトン性イオン化合物;
2つの異なる非プロトン性イオン化合物;
2つの異なる塩;
2つの異なるイオン液体;
1つの塩と1つのイオン液体、例えば1つのプロトン性もしくは非プロトン性のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩、例えばアルカリ金属ハロゲン化物;
1つのプロトン酸、1つのプロトン性アンモニウム化合物または1つのプロトン性オキソニウム化合物と、1つのイオン液体、例えばカルボン酸とイオン液体
を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0248】
E32. 前記電解質組成物は、同一のカチオンまたは同一のアニオンを含む少なくとも2つの異なるイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0249】
E33. 前記電解質組成物は、2つの異なるイオン化合物を、約99.9:0.1~約0.1:99.9、約99.5:0.5~約0.5:99.5、約99:1~約1:99、約95:5~約5:95、約90:10~約10:90、約80:20~約20:80、約70:30~約30:70または約60:40~約40:60の質量:質量比で含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0250】
E34. 前記電解質組成物は、有機溶媒を含まずに、前記電解質組成物の全質量を基準として1000質量ppm以下、100質量ppm以下もしくは10質量ppm以下の水を含むか、または前記電解質組成物は、前記電解質組成物の全質量を基準として9質量ppm以下、8質量ppm以下、7質量ppm以下、6質量ppm以下、5質量ppm以下もしくは4質量ppm以下の水を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0251】
E35. 前記電解質組成物は、溶媒を含む、実施形態1から33までのいずれかに記載の電池。
【0252】
E36. 前記電解質組成物は、実質的に水からなる溶媒を含む、実施形態1から33までのいずれかに記載の電池。
【0253】
E37. 前記電解質組成物は、実質的に有機溶媒からなる溶媒を含む、実施形態1から33までのいずれかに記載の電池。
【0254】
E38. 前記電解質組成物は、水を含む溶媒と有機溶媒とを含む、実施形態1から33までのいずれかに記載の電池。
【0255】
E39. 水と有機溶媒との質量:質量比は、約99.9:0.1~約0.1:99.9、約99.5:0.5~約0.5:99.5、約99:1~約1:99、約95:5~約5:95、約90:10~約10:90、約80:20~約20:80、約70:30~約30:70または約60:40~約40:60である、実施形態38記載の電池。
【0256】
E40. 前記有機溶媒は、有機カーボナート類、エーテル類、グリム類、オルトエステル類、ポリアルキレングリコール類、エステル類、ラクトン類、グリコール類、ホルマート類、スルホン類、スルホキシド類、アミド類、アルコール類、ケトン類、ニトロ系溶媒およびニトリル系溶媒からなる群から選択される1つまたは複数の溶媒を含む、実施形態37から39までのいずれかに記載の電池。
【0257】
E41. 前記電解質組成物は、有機溶媒、例えば
有機カーボナート類、例えば環式もしくは非環式の有機カーボナート類、例えばエチレンカーボナート(EC)、プロピレンカーボナート(PC)、トリメチレンカーボナート、1,2-ブチレンカーボナート(BC)、ジメチルカーボナート(DMC)、ジエチルカーボナート(DEC)、エチルメチルカーボナート(EMC)、ビニレンカーボナート、ジフルオロエチレンカーボナートもしくはモノフルオロエチレンカーボナート;または
エーテル類またはグリム類、例えばジメトキシメタン(DMM)、ジエトキシメタン、1,2-ジメトキシエタン(DMEもしくはエチレングリコールジメチルエーテルもしくはグリム)、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、エチレングリコールジエチルエーテル(DEE)、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソラン(DIOX)、4-メチル-1,3-ジオキソラン(4-MeDIOX)、2-メチル-1,3-ジオキソラン(2-MeDIOX)、1,4-ジオキサン、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-t-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、エチル-t-ブチルエーテルもしくはt-アミルメチルエーテル;または
オルトエステル類、例えばトリメトキシメタン、トリエトキシメタン、1,4-ジメチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンもしくは4-エチル-1-メチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン;または
~Cアルキレングリコールの単独低重合体もしくは共低重合体もしくは単独重合体もしくは共重合体であるポリアルキレングリコール類、例えば約200~約1200g/モル、約200~約1000g/モル、約200~約900g/モル、約200~約700g/モルもしくは約200~約500g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する、例えばポリエチレングリコール(PEG)、モノメチル(エンドキャップ)ポリエチレングリコール、ジメチル(エンドキャップ)ポリエチレングリコールもしくはジエチル(エンドキャップ)ポリエチレングリコール、例えば4つ以上の単量体の低重合体、例えばテトラエチレングリコール、フッ素化テトラエチレングリコールもしくはテトラプロピレングリコール、例えばPEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900もしくはPEG1000;または
エステル類もしくはラクトン類、例えばγ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、酢酸エチル(EA)、2-メトキシエチルアセタート、2-エトキシエチルアセタート、2-ブトキシエチルアセタート、2-(2-ブトキシエトキシ)エチルアセタート(ジエチレングリコールブチルエーテルアセタート、DBA)、エチレングリコールジアセタート(EGDA)、3-エトキシエチルプロピオナート(EEP)、メチルブチラート(MB)、n-アミルアセタート(NAAC)、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PMA)、エチルブチラート(EB)、ジエチルマロナートもしくはジメチルマロナート;または
2塩基性酸エステル混合物、例えばアジピン酸、グルタル酸もしくはコハク酸のメチルエステル;または
グリコール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-イソプロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール(エチレングリコールブチルエーテル、EB)、2-フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール(ジエチレングリコールブチルエーテル、DB)、プロピレングリコールブチルエーテル(PB)、プロピレングリコールメチルエーテル(PM)、トリエチレングリコール(TEG)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPM)、ジエチレングリコールメチルエーテル、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、パーフルオロ-1,4-ブタンジオール、パーフルオロ-1,5-ブタンジオール、フッ素化ジエチレングリコールメチルエーテル、フッ素化トリエチレングリコール、フッ素化トリエチレングリコールメチルエーテルもしくはフッ素化ジエチレングリコールブチルエーテル;または
ホルマート類、例えばギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチルもしくはギ酸t-ブチル;または
スルホン類もしくはスルホキシド類、例えばメチルスルホニルメタン(MSMもしくはジメチルスルホン)、エチルメチルスルホン、スルホランもしくはジメチルスルホキシド(DMSO);または
アミド類、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチルピロリドン(NMP)、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ヘキサメチルホスホラミド(HMPA)もしくはN,N’-ジメチル-N,N’-トリメチレンウレア(1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU));または
アルコール類、例えばベンジルアルコール(BA)、エタノール、トリフルオロエタノール(2,2,2-トリフルオロエタノール)、メタノール、イソプロパノール、t-ブタノールもしくはn-ブタノール;または
ケトン類、例えばメチルエチルケトン(MEK)もしくはメチルイソアミルケトン(MIAK);または
ニトロ系溶媒、例えばニトロベンゼン、ニトロメタンもしくはニトロエタン;または
ニトリル系溶媒、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルもしくはアジポニトリル
を含む、実施形態40記載の電池。
【0258】
E42. 前記電解質組成物が溶媒を含み、イオン化合物全体と溶媒との質量:質量比は、約99.9:0.1~約0.1:99.9、約99.5:0.5~約0.5:99.5、約99:1~約1:99、約95:5~約5:95、約90:10~約10:90、約80:20~約20:80、約70:30~約30:70または約60:40~約40:60である、実施形態1から33までおよび35から41までのいずれかに記載の電池。
【0259】
E43. 前記電解質組成物はさらに、防食剤、固体電解質界面(SEI)改良剤、プロトン発生向上剤、自己放電抑制剤、抗ガス発生剤、粘度調整剤、カソード保護剤、塩安定剤、導電率向上剤および溶媒和剤からなる群から選択される1つまたは複数の添加剤を含む、実施形態1から42までのいずれかに記載の電池。
【0260】
E44. 前記電解質組成物は、以下:
フッ素化油、スズ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたはポリアクリル酸;
HFまたはKF、例えばYのような希土類の酸化物もしくは水酸化物、金属ポルフィン、例えばNiポルフィンまたはFeポルフィン、ビニレンカーボナート、ビニルエチレンカーボナート、メチレンエチレンカーボナートまたはフルオロエチレンカーボナート;
ポリグリコール類、ポリグリコールアルキルエーテル類、ポリグリコールアルキルリン酸エステル類またはポリソルベート類、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリソルベート20、ポリソルベート40もしくはポリソルベート80、またはPEG600とポリソルベート20との混合物、またはPEG600とZnOとの混合物;
リン酸エステル系界面活性剤、プロパンスルトンまたはフルオロプロパンスルトン;および
DMSO;
からなる群から選択される1つまたは複数の添加剤を、前記電解質組成物の全質量を基準として例えば約0.1質量%~約15質量%の水準で含む、実施形態1から43までのいずれかに記載の電池。
【0261】
E45. 正極と、中に前記電極が配置されたケーシングと、前記電極に接する電解質組成物とを含む前記実施形態のいずれかに記載の電気化学的二次電池であって、
前記電池の質量エネルギー密度は、100Wh/kg超、110Wh/kg以上、115Wh/kg以上、120Wh/kg以上、125Wh/kg以上、130Wh/kg以上、135Wh/kg以上、140Wh/kg以上、145Wh/kg以上、150Wh/kg以上、155Wh/kg以上、160Wh/kg以上、165Wh/kg以上、170Wh/kg以上、175Wh/kg以上、180Wh/kg以上、185Wh/kg以上、190Wh/kg以上、195Wh/kg以上もしくは200Wh/kg以上であり、かつ/または
前記電池の体積エネルギー密度は、250Wh/L超であり、例えば260Wh/kg以上、265Wh/kg以上、270Wh/kg以上、275Wh/kg以上、280Wh/kg以上、285Wh/kg以上、290Wh/kg以上、295Wh/kg以上、300Wh/kg以上、305Wh/kg以上、310Wh/kg以上、315Wh/kg以上、320Wh/kg以上、325Wh/kg以上、330Wh/kg以上、335Wh/kg以上、340Wh/kg以上、345Wh/kg以上もしくは350Wh/kg以上であり、かつ/または
前記水素吸蔵材料の放電容量は、20回以上のサイクルにわたって(少なくとも20回のサイクルにわたって)800mAh/g以上であり、例えば20回以上のサイクルにわたって810mAh/g以上、820mAh/g以上、825mAh/g以上、830mAh/g以上、835mAh/g以上、840mAh/g以上、845mAh/g以上、850mAh/g以上、855mAh/g以上、860mAh/g以上、865mAh/g以上、870mAh/g以上、875mAh/g以上、880mAh/g以上もしくは895mAh/g以上である、電気化学的二次電池。
【0262】
E46. 正極と、中に前記電極が配置されたケーシングと、前記電極に接する電解質組成物とを含む前記実施形態のいずれかに記載の電気化学的二次電池であって、前記負極での可逆半電池の充放電の電気化学反応は、
【化14】
または
【化15】
であり、ここで、
IVは、第IV族元素をベースとする水素吸蔵材料であり、かつ
Siは、ケイ素をベースとする水素吸蔵材料である、電気化学的二次電池。
【0263】
E47. 正極を含む前記実施形態のいずれかに記載の電池であって、前記正極は、遷移金属、遷移金属酸化物、遷移金属水酸化物、遷移金属酸化物/水酸化物および遷移金属フッ化物からなる群から選択される1つまたは複数のカソード活物質を含み、例えば、
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAu;
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuの酸化物;
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuの水酸化物;
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuの酸化物/水酸化物、および
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuのフッ化物
からなる群から選択される1つまたは複数の材料を含む、電池。
【0264】
本発明のいくつかのさらなる実施形態を、以下に示す。
【0265】
E1. 第IV族元素をベースとする安定な水素吸蔵負極を含む電気化学的二次電池、例えばケイ素をベースとする安定な水素吸蔵負極を含む電気化学的二次電池または炭素をベースとする安定な水素吸蔵負極を含む電気化学的二次電池であって、例えば前記負極は、水素吸蔵材料を含み、前記水素吸蔵材料は、C、Si、GeおよびSnからなる群から選択される1つまたは複数の元素を、前記水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含み;
前記電池はさらに、正極と、中に前記電極が配置されたケーシングと、前記電極に接する電解質組成物とを含み、前記負極での可逆半電池の充放電の電気化学反応は、
【化16】
または
【化17】
であり、ここで、
IVは、第IV族元素をベースとする水素吸蔵材料であり、かつ
Siは、ケイ素をベースとする水素吸蔵材料である、電池。
【0266】
E2. 実施形態1に記載の電池であって、前記負極は水素吸蔵材料を含み、前記水素吸蔵材料は、C、Si、GeおよびSnからなる群から選択される1つまたは複数の元素を、前記水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含み、例えばケイ素を前記水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含むか、または炭素を前記水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含む、電池。
【0267】
E3. 前記水素吸蔵材料は、アモルファスシリコン、微晶質シリコン、ナノ結晶質シリコン、単結晶シリコン、多結晶シリコン、プロトクリスタルシリコンまたはポーラスシリコンを含む、実施形態1または2に記載の電池。
【0268】
E4. 前記水素吸蔵材料は、アモルファスシリコンを含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0269】
E5. 前記水素吸蔵材料は、炭素を含み、例えば天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、グラフェン、炭素繊維、ソフトカーボン、ハードカーボン、難黒鉛化性炭素、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、活性炭、結晶質炭素またはアモルファスカーボンの形態の炭素を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0270】
E6. 前記水素吸蔵材料は、ケイ素と、炭素、ゲルマニウムおよびスズのうちの1つもしくは複数との合金、例えばアモルファスシリコンカーバイド、またはケイ素とゲルマニウムとの合金、またはケイ素とスズとの合金を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0271】
E7. 前記水素吸蔵材料は、前記電池(予備水素化された負極)を組立てる前に水素化され、例えば前記水素吸蔵材料は、水素化されたアモルファスシリコン(a-Si:H)または水素化されたアモルファスシリコンカーバイド(a-Si1-x:H、ここで、xは例えば、約0.01~約0.99、約0.05~約0.95または約0.1~約0.9である)である、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0272】
E8. 前記水素吸蔵材料、例えばアモルファスシリコンは、膜の状態で含まれており、例えば、20nm超、50nm以上、90nm以上、120nm以上もしくは180nm以上、または約90nm~約10μm、約100nm~約5μm、約150nm~約3μm、約150nm~約2μmもしくは約150nm~約1μmの厚さを有する膜の状態で含まれている、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0273】
E9. 前記水素吸蔵材料は、基材に付着した膜の状態で含まれており、例えば金属、ガラス、無機物およびプラスチックから選択される基材に付着した膜の状態で含まれている、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0274】
E10. 前記水素吸蔵材料は、1つまたは複数のさらなる元素を含み、例えばB、Al、Ga、In、As、Sb、Teおよび遷移金属からなる群から選択される1つまたは複数の元素を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0275】
E11. 前記水素吸蔵材料は、第IV族元素、例えばSiおよび/またはCからなる群から選択される1つまたは複数の元素を、前記水素吸蔵材料の全質量を基準として28質量%以上、29質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、96質量%以上、97質量%以上、98質量%以上または99質量%以上含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0276】
E12. 前記負極は、前記1つまたは複数の第IV族元素を、前記負極の全質量を基準として30質量%以上含み、例えば、前記1つまたは複数の第IV族元素、例えばSiおよび/またはCを、前記負極の全質量を基準として35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上または90質量%以上含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0277】
E13. 前記負極は、バインダー、導電性材料および他の添加剤からなる群から選択される1つまたは複数の構成要素をさらに含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0278】
E14. 前記負極は、プロトンを輸送しうる固体電解質界面を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0279】
E15. 前記水素吸蔵材料は、構造修飾剤(材料のアモルファス相を促進するための元素)、水素結合強度向上剤および固体電解質界面(SEI)改質剤からなる群から選択される1つまたは複数のさらなる元素を含み、例えばB、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属および周期表の第III族または第V族の他の金属、O、F、P、Clなどからなる群から選択される1つまたは複数のさらなる元素を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0280】
E16. 前記電解質組成物は、中性または酸性であり、例えば約7以下のpHを有し、例えば約1から、約2から、約3から、約4から、約5からまたは約6から約7までのpHを有する、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0281】
E17. 前記電解質組成物は、プロトン酸、プロトン性アンモニウム化合物、プロトン性オキソニウム化合物、非プロトン性アンモニウム化合物、非プロトン性オキソニウム化合物、非プロトン性ホスホニウム化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群から選択される1つまたは複数のイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0282】
E18. 前記電解質組成物は、
NH (アンモニウムイオン)、メチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン(NMe)、トリエチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、ジエチルメチルアンモニウムイオン、ヒドロキシエチルアンモニウムイオン、メトキシメチルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、メチルブチルアンモニウムイオン、アニリニウムイオン、ピリジニウムイオン、2-メチルピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、1-メチルイミダゾリウムイオン、1,2-ジメチルイミダゾリウムイオン、イミダゾリニウムイオン、1-エチルイミダゾリウムイオン、1-(4-スルホブチル)-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-アリルイミダゾリウムイオン、キノリニウムイオン、イソキノリニウムイオン、ピロリニウムイオン、ピロリニニウムイオンまたはピロリジニウムイオン;
1-ブチル-1-メチルピロリジニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ-n-ブチルアンモニウムイオン、n-ブチルトリエチルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン、トリ-n-ブチルメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、1-メチルピリジニウムイオン、1-ブチル-3,5-ジメチルピリジニウムイオン、1,2,4-トリメチルピラゾリウムイオン、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム(コリン)イオン、トリ(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン、ジメチルジ(ポリオキシエチレン)アンモニウムイオン、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ヒドロキシエチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-1-メチルピペリジニウムイオン、4-エチル-4-メチルモルホリニウムイオン、1-(シアノメチル)-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムイオン、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムイオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムイオンまたは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン;および
メチルトリフェニルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン、テトラブチルホスホニウムイオン、トリブチルメチルホスホニウムイオン、トリエチルメチルホスホニウムイオン、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムイオン、トリフェニルプロピルホスホニウムイオンまたはテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムイオン;
からなる群から選択されるカチオンを含むイオン化合物を含み、
例えば前記カチオンは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムイオンまたはトリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムイオンである、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0283】
E19. 前記電解質組成物は、カルボン酸イオン、イミド系イオン、メチド系イオン、硝酸イオン、二フッ化水素イオン、ハロゲン化物イオン、ホウ酸系イオン、リン酸系イオン、ホスフィン酸系イオン、ホスホン酸系イオン、スルホン酸系イオン、硫酸系イオン、炭酸系イオンおよびアルミン酸系イオンからなる群から選択されるアニオンを含むイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0284】
E20. 前記電解質組成物は、[FB(C2m+14-z、[FP(C2m+16-y、[(C2m+1P(O)O]、[C2m+1P(O)O2-、[O-C(O)-C2m+1、[O-S(O)-C2m+1、[N(C(O)-C2m+1、[N(S(O)-C2m+1、[N(C(O)-C2m+1)(S(O)-C2m+1)]、[N(C(O)-C2m+1)(C(O)F)]、[N(S(O)-C2m+1)(S(O)F)]、[N(S(O)F)、[C(C(O)-C2m+1、[C(S(O)-C2m+1
【化18】
からなる群から選択されるアニオンを含むイオン化合物を含み、ここで、
yは、1~6の整数であり、
mは、1~8の整数であり、例えば1~4の整数であり、
zは、1~4の整数であり、
Xは、BまたはAlであり、かつ
、R、RおよびRは、独立して、ハロゲン、C~C20アルキル、部分的もしくは完全にフッ素化されたC~C20アルキル、C~C20アルコキシ、部分的もしくは完全にフッ素化されたC~C20アルコキシ、C~C20アルキル-COOまたは部分的もしくは完全にフッ素化されたC~C20アルキル-COOであり、かつ
【化19】
は、独立して、1,2-ジオールの-OH基、1,3-ジオールの-OH基、1,2-ジカルボン酸、1,3-ジカルボン酸、1,2-ヒドロキシカルボン酸または1,3-ヒドロキシカルボン酸から誘導された2座の基であり、
CF基のいずれか1つは、O、S(O)、NRまたはCHで置き換えられていてもよい、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0285】
E21. 前記電解質組成物は、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、パーフルオロアルキルカルボン酸イオン、パーフルオロアルキルスルホン酸イオン、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、(パーフルオロアルキルスルホニル)(パーフルオロアルキルカルボキシル)イミドイオン、トリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドイオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(トリフラートイオン)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、テトラフルオロホウ酸イオン、スピロオキソホウ酸イオンおよびスピロオキソリン酸イオン、例えばビスオキサラトホウ酸イオン(BOB)、ジフルオロオキサラトホウ酸イオン(dFOB)、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトホウ酸イオン(d(Ac)OB)、トリスオキサラトリン酸イオン、テトラフルオロオキサラトリン酸イオンおよびジ(トリフルオロアセタト)オキサラトアルミン酸イオンからなる群から選択されるアニオンを含むイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0286】
E22. 前記電解質組成物は、式RCOO[式中、Rは、水素またはヒドロカルビルである]のカルボン酸アニオンを含むイオン化合物を含み、例えばギ酸イオン、酢酸イオン(エタン酸イオン)、アクリル酸イオン、プロパン酸イオン、n-ブタン酸イオン、i-ブタン酸イオン、n-ペンタン酸イオン、i-ペンタン酸イオン、オクタン酸イオン、デカン酸イオン、安息香酸イオン、サリチル酸イオン、チオサリチル酸イオン、2-ニトロ安息香酸イオン、3-ニトロ安息香酸イオン、4-ニトロ安息香酸イオン、クエン酸イオン、シュウ酸イオン、酒石酸イオン、グリコール酸イオン、グルコン酸イオン、リンゴ酸イオン、マンデル酸イオン、ニトリロ三酢酸のカルボン酸イオン、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸のカルボン酸イオン、エチレンジアミン四酢酸のカルボン酸イオン、ジエチレントリアミン五酢酸のカルボン酸イオンまたはハロアルキルカルボン酸イオン、例えばフルオロ酢酸イオン、ジフルオロ酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、クロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオンもしくはトリクロロ酢酸イオンを含むイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0287】
E23. 前記電解質組成物は、
イミド系アニオン、例えばジシアナミドイオン、N(SOF) ((ビスフルオロスルホニル)イミドイオン)、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、例えば[N(SOCF(ビストリフリミドイオン)、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドイオンもしくはN(CFSO)(CF(CFSOもしくは(パーフルオロアルキルスルホニル)(パーフルオロアルキルカルボキシル)イミドイオン;または
メチド系イオン、例えばトリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドイオン、例えばトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、C(CFSO ;または
二フッ化水素イオン(HF );または
塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンもしくはフッ化物イオン;または
ホウ酸系イオン、例えばオルトホウ酸イオン、テトラヒドロキシホウ酸イオン、テトラホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、[B(3,5-(CF(BARF)、B(C (ビス(オキサラト)ホウ酸イオン)(BOB)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸イオン(dFOB)、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトホウ酸イオン(D(Ac)OB)、B(C もしくはBF (テトラフルオロホウ酸イオン);または
リン酸系イオン、例えばリン酸二水素イオン、リン酸水素イオン、アルキルリン酸イオン、ジアルキルリン酸イオン、リン酸イオン、PF (ヘキサフルオロリン酸イオン)、HPO(フルオロリン酸水素イオン)、トリスオキサラトリン酸イオン(TOP)、テトラフルオロオキサラトリン酸イオン(TFOP)もしくはフルオロ(パーフルオロアルキル)リン酸イオン、例えばFP(C 、FP(C (トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸イオンもしくはFAP)、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C もしくはFP(C ;または
スルホン酸系イオン、例えばアルキルスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオンもしくはパーフルオロアルキルスルホン酸イオン、例えばトリフルオロメタンスルホン酸イオン(トリフラートイオン)、p-トルエンスルホン酸イオン(トシラートイオン)もしくはメタンスルホン酸イオン(メシラートイオン);または
硫酸系イオン、例えば硫酸水素イオン、硫酸イオン、チオ硫酸イオンもしくはアルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオンもしくはエチル硫酸イオン;または
炭酸系アニオン、例えば炭酸イオン、炭酸水素イオンもしくはアルキル炭酸イオン、例えばメチル炭酸イオン、エチル炭酸イオンもしくはブチル炭酸イオン;または
アルミン酸系イオン、例えばAl(OC(CF 、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトアルミン酸イオン(d(Ac)OAl)、テトラクロロアルミン酸イオン、テトラフルオロアルミン酸イオン、テトラヨードアルミン酸イオンもしくはテトラブロモアルミン酸イオン
を含むイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0288】
E24. 前記電解質組成物は、イオン液体を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0289】
E25. 前記電解質組成物は、ジエチルメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホナート(DEMA TfO)、エチルアンモニウムニトラート、トリエチルアンモニウムメタンスルホナート、2-メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、フッ化アンモニウム、メチルアンモニウムニトラート、ヒドロキシエチルアンモニウムニトラート、エチルアンモニウムニトラート、ジメチルアンモニウムニトラート、1-メチルイミダゾリウムニトラート、1-エチルイミダゾリウムニトラート、t-ブチルアンモニウムテトラフルオロボラート、ヒドロキシエチルアンモニウムテトラフルオロボラート、メチルブチルアンモニウムテトラフルオロボラート、トリエチルアンモニウムテトラフルオロボラート、イミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1,2-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、t-ブチルアンモニウムトリフラート、2-フルオロピリジニウムトリフラート、ヒドロキシエチルアンモニウムトリフラート、1,2-ジメチルイミダゾリウムトリフラート、イミダゾリウムトリフラート、1-メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルファート、1-メチルイミダゾリウムクロリド、1-メチルイミダゾリウムトリフラート、ヒドロニウムトリフラート、メチルアンモニウムメシラート、エチルアンモニウムメシラート、ブチルアンモニウムメシラート、メトキシエチルアンモニウムメシラート、ジメチルアンモニウムメシラート、ジブチルアンモニウムメシラート、トリエチルアンモニウムメシラート、ジメチルエチルアンモニウムメシラート、硫酸水素ヒドロニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素メチルアンモニウム、硫酸水素エチルアンモニウム、硫酸水素プロピルアンモニウム、硫酸水素n-ブチルアンモニウム、硫酸水素-t-ブチルアンモニウム、硫酸水素ジメチルアンモニウム、硫酸水素ジエチルアンモニウム、硫酸水素ジ-n-ブチルアンモニウム、硫酸水素メチルブチルアンモニウム、硫酸水素エチルブチルアンモニウム、硫酸水素トリメチルアンモニウム、硫酸水素トリエチルアンモニウム、硫酸水素トリブチルアンモニウム、硫酸水素ジメチルエチルアンモニウム、フルオロリン酸水素ジブチルアンモニウム、フルオロリン酸水素トリエチルアンモニウム、フルオロリン酸水素トリブチルアンモニウム、リン酸二水素ヒドロニウム、リン酸二水素メチルアンモニウム、リン酸二水素エチルアンモニウム、リン酸二水素プロピルアンモニウム、リン酸二水素n-ブチルアンモニウム、リン酸二水素メトキシエチルアンモニウム、リン酸二水素ジメチルアンモニウム、リン酸二水素ジブチルアンモニウム、リン酸二水素メチルブチルアンモニウム、重フッ化アンモニウム、重フッ化メチルアンモニウム、重フッ化エチルアンモニウムおよび重フッ化ジメチルアンモニウムからなる群から選択されるイオン液体を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0290】
E26. 前記電解質組成物は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート(EMIM TfO)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(EMIM BF)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMIM TFSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート(EMIM Ac)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート(BMIM TfO)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート(BMIM Ac)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(BMIM TFSI)、トリ-n-ブチルメチルアンモニウムメチルスルファート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメチルスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルスルファート、トリス(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルスルファート、1,2,4-トリメチルピラゾリウムメチルスルファート、1,3-ジメチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムニトラート、1-ブチルピリジニウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1-ブチル-3,5-ジメチルピリジニウムブロミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムメチルカーボナート、カルボキシメチルトリブチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-カルボキシエチルメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-カルボキシメチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-カルボキシメチルメチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルホスホニウムメタンスルホナート、トリエチルメチルアンモニウムメチルカーボナート、1-エチル-1-メチルピペリジニウムメチルカーボナート、4-エチル-4-メチルモルホリニウムメチルカーボナート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムメチルカーボナート、トリエチルメチルアンモニウムジブチルホスファート、トリブチルメチルホスホニウムジブチルホスファート、トリエチルメチルホスホニウムジブチルホスファート、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、テトラブチルホスホニウムp-トルエンスルホナート、トリブチルメチルホスホニウムメチルカーボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、トリブチルメチルアンモニウムメチルカーボナート、トリブチルメチルアンモニウムジブチルホスファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジブチルホスファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジブチルホスファート、1-(シアノメチル)-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムクロリド、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムクロリド、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1,3-ビス(シアノプロピル)イミダゾリウムクロリド、1,3-ビス(3-シアノプロピル)イミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、トリブチルメチルホスホニウムメチルスルファート、トリエチルメチルホスホニウムジブチルホスファート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(2,4,4-トリメチルフェニル)ホスフィナート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムブロミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムクロリド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムデカノアート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムジシアナミド、3-(トリフェニルホスホニオ)プロパン-1-スルホナートおよび3-(トリフェニルホスホニオ)プロパン-1-スルホン酸トシラートからなる群から選択されるイオン液体を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0291】
E27. 前記電解質組成物は、プロトン酸を含み、例えば
塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸もしくは過ヨウ素酸;または
重硫酸塩、例えば重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウムもしくは重硫酸アンモニウム;または
HAsF、HBF、H(OEt)BF、HPF、H[N(SOCF]もしくはH[N(SOCFCF
のようなプロトン酸を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0292】
E28. 前記電解質組成物は、有機プロトン酸、例えば式RCOOH[式中、Rは、水素またはヒドロカルビルである]のカルボン酸を含み、例えばギ酸、酢酸、アクリル酸、フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロパン酸、酪酸、3-メチルブタン酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、安息香酸、サリチル酸、2-ニトロ安息香酸、3-ニトロ安息香酸、4-ニトロ安息香酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、リンゴ酸、マンデル酸、ニトリロ三酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸またはジエチレンアミン五酢酸を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0293】
E29. 前記電解質組成物は、式RSOH[式中、Rは、アルキル、またはアリール、または1~3個のハロゲンで置換されたアルキルもしくはアリールである]のプロトン性スルホン酸を含み、例えばp-トルエンスルホン酸、フェニルスルホン酸、メタンスルホン酸またはトリフルオロメタンスルホン酸を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0294】
E30. 前記電解質組成物は、オキソニウムイオンと、例えばブルックハート酸イオン(BARF酸イオン)のような高度に非配位性のイオンとが合一したプロトン酸[H(OEt][B[3,5-(CF]、[H(OEt][B(C](オキソニウム酸)または[H(OEt][Al(OC(CF]を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0295】
E31. 前記電解質組成物は、少なくとも2つの異なるイオン化合物を含み、例えば前記電解質組成物は、
1つのプロトン性イオン化合物と、1つの非プロトン性イオン化合物;
2つの異なるプロトン性イオン化合物;
2つの異なる非プロトン性イオン化合物;
2つの異なる塩;
2つの異なるイオン液体;
1つの塩と1つのイオン液体、例えば1つのプロトン性もしくは非プロトン性のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩、例えばアルカリ金属ハロゲン化物;
1つのプロトン酸、1つのプロトン性アンモニウム化合物または1つのプロトン性オキソニウム化合物と、1つのイオン液体、例えばカルボン酸とイオン液体
を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0296】
E32. 前記電解質組成物は、同一のカチオンまたは同一のアニオンを含む少なくとも2つの異なるイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0297】
E33. 前記電解質組成物は、2つの異なるイオン化合物を、約99.9:0.1~約0.1:99.9、約99.5:0.5~約0.5:99.5、約99:1~約1:99、約95:5~約5:95、約90:10~約10:90、約80:20~約20:80、約70:30~約30:70または約60:40~約40:60の質量:質量比で含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0298】
E34. 前記電解質組成物は、有機溶媒を含まずに、前記電解質組成物の全質量を基準として1000質量ppm以下、100質量ppm以下もしくは10質量ppm以下の水を含むか、または前記電解質組成物は、前記電解質組成物の全質量を基準として9質量ppm以下、8質量ppm以下、7質量ppm以下、6質量ppm以下、5質量ppm以下もしくは4質量ppm以下の水を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0299】
E35. 前記電解質組成物は、溶媒を含む、実施形態1から33までのいずれかに記載の電池。
【0300】
E36. 前記電解質組成物は、実質的に水からなる溶媒を含む、実施形態1から33までのいずれかに記載の電池。
【0301】
E37. 前記電解質組成物は、実質的に有機溶媒からなる溶媒を含む、実施形態1から33までのいずれかに記載の電池。
【0302】
E38. 前記電解質組成物は、水を含む溶媒と有機溶媒とを含む、実施形態1から33までのいずれかに記載の電池。
【0303】
E39. 水と有機溶媒との質量:質量比は、約99.9:0.1~約0.1:99.9、約99.5:0.5~約0.5:99.5、約99:1~約1:99、約95:5~約5:95、約90:10~約10:90、約80:20~約20:80、約70:30~約30:70または約60:40~約40:60である、実施形態38記載の電池。
【0304】
E40. 前記有機溶媒は、有機カーボナート類、エーテル類、グリム類、オルトエステル類、ポリアルキレングリコール類、エステル類、ラクトン類、グリコール類、ホルマート類、スルホン類、スルホキシド類、アミド類、アルコール類、ケトン類、ニトロ系溶媒およびニトリル系溶媒からなる群から選択される1つまたは複数の溶媒を含む、実施形態37から39までのいずれかに記載の電池。
【0305】
E41. 前記電解質組成物は、有機溶媒、例えば
有機カーボナート類、例えば環式もしくは非環式の有機カーボナート類、例えばエチレンカーボナート(EC)、プロピレンカーボナート(PC)、トリメチレンカーボナート、1,2-ブチレンカーボナート(BC)、ジメチルカーボナート(DMC)、ジエチルカーボナート(DEC)、エチルメチルカーボナート(EMC)、ビニレンカーボナート、ジフルオロエチレンカーボナートもしくはモノフルオロエチレンカーボナート;または
エーテル類またはグリム類、例えばジメトキシメタン(DMM)、ジエトキシメタン、1,2-ジメトキシエタン(DMEもしくはエチレングリコールジメチルエーテルもしくはグリム)、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、エチレングリコールジエチルエーテル(DEE)、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソラン(DIOX)、4-メチル-1,3-ジオキソラン(4-MeDIOX)、2-メチル-1,3-ジオキソラン(2-MeDIOX)、1,4-ジオキサン、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-t-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、エチル-t-ブチルエーテルもしくはt-アミルメチルエーテル;または
オルトエステル類、例えばトリメトキシメタン、トリエトキシメタン、1,4-ジメチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンもしくは4-エチル-1-メチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン;または
~Cアルキレングリコールの単独低重合体もしくは共低重合体もしくは単独重合体もしくは共重合体であるポリアルキレングリコール類、例えば約200~約1200g/モル、約200~約1000g/モル、約200~約900g/モル、約200~約700g/モルもしくは約200~約500g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する、例えばポリエチレングリコール(PEG)、モノメチル(エンドキャップ)ポリエチレングリコール、ジメチル(エンドキャップ)ポリエチレングリコールもしくはジエチル(エンドキャップ)ポリエチレングリコール、例えば4つ以上の単量体の低重合体、例えばテトラエチレングリコール、フッ素化テトラエチレングリコールもしくはテトラプロピレングリコール、例えばPEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900もしくはPEG1000;または
エステル類もしくはラクトン類、例えばγ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、酢酸エチル(EA)、2-メトキシエチルアセタート、2-エトキシエチルアセタート、2-ブトキシエチルアセタート、2-(2-ブトキシエトキシ)エチルアセタート(ジエチレングリコールブチルエーテルアセタート、DBA)、エチレングリコールジアセタート(EGDA)、3-エトキシエチルプロピオナート(EEP)、メチルブチラート(MB)、n-アミルアセタート(NAAC)、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PMA)、エチルブチラート(EB)、ジエチルマロナートもしくはジメチルマロナート;または
2塩基性酸エステル混合物、例えばアジピン酸、グルタル酸もしくはコハク酸のメチルエステル;または
グリコール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-イソプロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール(エチレングリコールブチルエーテル、EB)、2-フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール(ジエチレングリコールブチルエーテル、DB)、プロピレングリコールブチルエーテル(PB)、プロピレングリコールメチルエーテル(PM)、トリエチレングリコール(TEG)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPM)、ジエチレングリコールメチルエーテル、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、パーフルオロ-1,4-ブタンジオール、パーフルオロ-1,5-ブタンジオール、フッ素化ジエチレングリコールメチルエーテル、フッ素化トリエチレングリコール、フッ素化トリエチレングリコールメチルエーテルもしくはフッ素化ジエチレングリコールブチルエーテル;または
ホルマート類、例えばギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチルもしくはギ酸t-ブチル;または
スルホン類もしくはスルホキシド類、例えばメチルスルホニルメタン(MSMもしくはジメチルスルホン)、エチルメチルスルホン、スルホランもしくはジメチルスルホキシド(DMSO);または
アミド類、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチルピロリドン(NMP)、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ヘキサメチルホスホラミド(HMPA)もしくはN,N’-ジメチル-N,N’-トリメチレンウレア(1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU));または
アルコール類、例えばベンジルアルコール(BA)、エタノール、トリフルオロエタノール(2,2,2-トリフルオロエタノール)、メタノール、イソプロパノール、t-ブタノールもしくはn-ブタノール;または
ケトン類、例えばメチルエチルケトン(MEK)もしくはメチルイソアミルケトン(MIAK);または
ニトロ系溶媒、例えばニトロベンゼン、ニトロメタンもしくはニトロエタン;または
ニトリル系溶媒、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルもしくはアジポニトリル
を含む、実施形態40記載の電池。
【0306】
E42. 前記電解質組成物が溶媒を含み、イオン化合物全体と溶媒との質量:質量比は、約99.9:0.1~約0.1:99.9、約99.5:0.5~約0.5:99.5、約99:1~約1:99、約95:5~約5:95、約90:10~約10:90、約80:20~約20:80、約70:30~約30:70または約60:40~約40:60である、実施形態1から33までおよび35から41までのいずれかに記載の電池。
【0307】
E43. 前記電解質組成物はさらに、防食剤、固体電解質界面(SEI)改良剤、プロトン発生向上剤、自己放電抑制剤、抗ガス発生剤、粘度調整剤、カソード保護剤、塩安定剤、導電率向上剤および溶媒和剤からなる群から選択される1つまたは複数の添加剤を含む、実施形態1から42までのいずれかに記載の電池。
【0308】
E44. 前記電解質組成物は、以下:
フッ素化油、スズ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたはポリアクリル酸;
HFまたはKF、例えばYのような希土類の酸化物もしくは水酸化物、金属ポルフィン、例えばNiポルフィンまたはFeポルフィン、ビニレンカーボナート、ビニルエチレンカーボナート、メチレンエチレンカーボナートまたはフルオロエチレンカーボナート;
ポリグリコール類、ポリグリコールアルキルエーテル類、ポリグリコールアルキルリン酸エステル類またはポリソルベート類、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリソルベート20、ポリソルベート40もしくはポリソルベート80、またはPEG600とポリソルベート20との混合物、またはPEG600とZnOとの混合物;
リン酸エステル系界面活性剤、プロパンスルトンまたはフルオロプロパンスルトン;および
DMSO;
からなる群から選択される1つまたは複数の添加剤を、前記電解質組成物の全質量を基準として例えば約0.1質量%~約15質量%の水準で含む、実施形態1から43までのいずれかに記載の電池。
【0309】
E45. 正極と、中に前記電極が配置されたケーシングと、前記電極に接する電解質組成物とを含む前記実施形態のいずれかに記載の電気化学的二次電池であって、
前記電池の質量エネルギー密度は、100Wh/kg超、110Wh/kg以上、115Wh/kg以上、120Wh/kg以上、125Wh/kg以上、130Wh/kg以上、135Wh/kg以上、140Wh/kg以上、145Wh/kg以上、150Wh/kg以上、155Wh/kg以上、160Wh/kg以上、165Wh/kg以上、170Wh/kg以上、175Wh/kg以上、180Wh/kg以上、185Wh/kg以上、190Wh/kg以上、195Wh/kg以上もしくは200Wh/kg以上であり、かつ/または
前記電池の体積エネルギー密度は、250Wh/L超であり、例えば260Wh/kg以上、265Wh/kg以上、270Wh/kg以上、275Wh/kg以上、280Wh/kg以上、285Wh/kg以上、290Wh/kg以上、295Wh/kg以上、300Wh/kg以上、305Wh/kg以上、310Wh/kg以上、315Wh/kg以上、320Wh/kg以上、325Wh/kg以上、330Wh/kg以上、335Wh/kg以上、340Wh/kg以上、345Wh/kg以上もしくは350Wh/kg以上であり、かつ/または
前記水素吸蔵材料の放電容量は、20回以上のサイクルにわたって(少なくとも20回のサイクルにわたって)800mAh/g以上であり、例えば20回以上のサイクルにわたって810mAh/g以上、820mAh/g以上、825mAh/g以上、830mAh/g以上、835mAh/g以上、840mAh/g以上、845mAh/g以上、850mAh/g以上、855mAh/g以上、860mAh/g以上、865mAh/g以上、870mAh/g以上、875mAh/g以上、880mAh/g以上もしくは895mAh/g以上である、電気化学的二次電池。
【0310】
E46. 正極を含む前記実施形態のいずれかに記載の電池であって、前記正極は、遷移金属、遷移金属酸化物、遷移金属水酸化物、遷移金属酸化物/水酸化物および遷移金属フッ化物からなる群から選択される1つまたは複数のカソード活物質を含み、例えば、
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAu;
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuの酸化物;
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuの水酸化物;
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuの酸化物/水酸化物、および
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuのフッ化物
からなる群から選択される1つまたは複数の材料を含む、電池。
【0311】
本発明のさらなる実施形態を、以下に示す。
【0312】
E1. 第IV族元素をベースとする安定な水素吸蔵負極を含む電気化学的二次電池、例えばケイ素をベースとする安定な水素吸蔵負極を含む電気化学的二次電池または炭素をベースとする安定な水素吸蔵負極を含む電気化学的二次電池であって、例えば前記負極は、水素吸蔵材料を含み、前記水素吸蔵材料は、C、Si、GeおよびSnからなる群から選択される1つまたは複数の元素を、前記水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含み;
前記電池はさらに、正極と、中に前記電極が配置されたケーシングと、前記電極に接する電解質組成物とを含み、
前記電池の質量エネルギー密度は、100Wh/kg超、110Wh/kg以上、115Wh/kg以上、120Wh/kg以上、125Wh/kg以上、130Wh/kg以上、135Wh/kg以上、140Wh/kg以上、145Wh/kg以上、150Wh/kg以上、155Wh/kg以上、160Wh/kg以上、165Wh/kg以上、170Wh/kg以上、175Wh/kg以上、180Wh/kg以上、185Wh/kg以上、190Wh/kg以上、195Wh/kg以上もしくは200Wh/kg以上であり、かつ/または
前記電池の体積エネルギー密度は、250Wh/L超であり、例えば260Wh/kg以上、265Wh/kg以上、270Wh/kg以上、275Wh/kg以上、280Wh/kg以上、285Wh/kg以上、290Wh/kg以上、295Wh/kg以上、300Wh/kg以上、305Wh/kg以上、310Wh/kg以上、315Wh/kg以上、320Wh/kg以上、325Wh/kg以上、330Wh/kg以上、335Wh/kg以上、340Wh/kg以上、345Wh/kg以上もしくは350Wh/kg以上であり、かつ/または
前記水素吸蔵材料の放電容量は、20回以上のサイクルにわたって(少なくとも20回のサイクルにわたって)800mAh/g以上であり、例えば20回以上のサイクルにわたって810mAh/g以上、820mAh/g以上、825mAh/g以上、830mAh/g以上、835mAh/g以上、840mAh/g以上、845mAh/g以上、850mAh/g以上、855mAh/g以上、860mAh/g以上、865mAh/g以上、870mAh/g以上、875mAh/g以上、880mAh/g以上もしくは895mAh/g以上である、電気化学的二次電池。
【0313】
E2. 実施形態1に記載の電池であって、前記負極は水素吸蔵材料を含み、前記水素吸蔵材料は、C、Si、GeおよびSnからなる群から選択される1つまたは複数の元素を、前記水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含み、例えばケイ素を前記水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含むか、または炭素を前記水素吸蔵材料の全質量を基準として27質量%超含む、電池。
【0314】
E3. 前記水素吸蔵材料は、アモルファスシリコン、微晶質シリコン、ナノ結晶質シリコン、単結晶シリコン、多結晶シリコン、プロトクリスタルシリコンまたはポーラスシリコンを含む、実施形態1または2に記載の電池。
【0315】
E4. 前記水素吸蔵材料は、アモルファスシリコンを含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0316】
E5. 前記水素吸蔵材料は、炭素を含み、例えば天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、グラフェン、炭素繊維、ソフトカーボン、ハードカーボン、難黒鉛化性炭素、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、活性炭、結晶質炭素またはアモルファスカーボンの形態の炭素を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0317】
E6. 前記水素吸蔵材料は、ケイ素と、炭素、ゲルマニウムおよびスズのうちの1つもしくは複数との合金、例えばアモルファスシリコンカーバイド、またはケイ素とゲルマニウムとの合金、またはケイ素とスズとの合金を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0318】
E7. 前記水素吸蔵材料は、前記電池(予備水素化された負極)を組立てる前に水素化され、例えば前記水素吸蔵材料は、水素化されたアモルファスシリコン(a-Si:H)または水素化されたアモルファスシリコンカーバイド(a-Si1-x:H、ここで、xは例えば、約0.01~約0.99、約0.05~約0.95または約0.1~約0.9である)である、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0319】
E8. 前記水素吸蔵材料、例えばアモルファスシリコンは、膜の状態で含まれており、例えば、20nm超、50nm以上、90nm以上、120nm以上もしくは180nm以上、または約90nm~約10μm、約100nm~約5μm、約150nm~約3μm、約150nm~約2μmもしくは約150nm~約1μmの厚さを有する膜の状態で含まれている、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0320】
E9. 前記水素吸蔵材料は、基材に付着した膜の状態で含まれており、例えば金属、ガラス、無機物およびプラスチックから選択される基材に付着した膜の状態で含まれている、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0321】
E10. 前記水素吸蔵材料は、1つまたは複数のさらなる元素を含み、例えばB、Al、Ga、In、As、Sb、Teおよび遷移金属からなる群から選択される1つまたは複数の元素を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0322】
E11. 前記水素吸蔵材料は、第IV族元素、例えばSiおよび/またはCからなる群から選択される1つまたは複数の元素を、前記水素吸蔵材料の全質量を基準として28質量%以上、29質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、96質量%以上、97質量%以上、98質量%以上または99質量%以上含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0323】
E12. 前記負極は、前記1つまたは複数の第IV族元素を、前記負極の全質量を基準として30質量%以上含み、例えば、前記1つまたは複数の第IV族元素、例えばSiおよび/またはCを、前記負極の全質量を基準として35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上または90質量%以上含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0324】
E13. 前記負極は、バインダー、導電性材料および他の添加剤からなる群から選択される1つまたは複数の構成要素をさらに含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0325】
E14. 前記負極は、プロトンを輸送しうる固体電解質界面を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0326】
E15. 前記水素吸蔵材料は、構造修飾剤(材料のアモルファス相を促進するための元素)、水素結合強度向上剤および固体電解質界面(SEI)改質剤からなる群から選択される1つまたは複数のさらなる元素を含み、例えばB、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属および周期表の第III族または第V族の他の金属、O、F、P、Clなどからなる群から選択される1つまたは複数のさらなる元素を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0327】
E16. 前記電解質組成物は、中性または酸性であり、例えば約7以下のpHを有し、例えば約1から、約2から、約3から、約4から、約5からまたは約6から約7までのpHを有する、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0328】
E17. 前記電解質組成物は、プロトン酸、プロトン性アンモニウム化合物、プロトン性オキソニウム化合物、非プロトン性アンモニウム化合物、非プロトン性オキソニウム化合物、非プロトン性ホスホニウム化合物、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群から選択される1つまたは複数のイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0329】
E18. 前記電解質組成物は、
NH (アンモニウムイオン)、メチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン(NMe)、トリエチルアンモニウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、ジエチルメチルアンモニウムイオン、ヒドロキシエチルアンモニウムイオン、メトキシメチルアンモニウムイオン、ジブチルアンモニウムイオン、メチルブチルアンモニウムイオン、アニリニウムイオン、ピリジニウムイオン、2-メチルピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、1-メチルイミダゾリウムイオン、1,2-ジメチルイミダゾリウムイオン、イミダゾリニウムイオン、1-エチルイミダゾリウムイオン、1-(4-スルホブチル)-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-アリルイミダゾリウムイオン、キノリニウムイオン、イソキノリニウムイオン、ピロリニウムイオン、ピロリニニウムイオンまたはピロリジニウムイオン;
1-ブチル-1-メチルピロリジニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラ-n-ブチルアンモニウムイオン、n-ブチルトリエチルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン、トリ-n-ブチルメチルアンモニウムイオン、ベンジルトリエチルアンモニウムイオン、1-メチルピリジニウムイオン、1-ブチル-3,5-ジメチルピリジニウムイオン、1,2,4-トリメチルピラゾリウムイオン、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム(コリン)イオン、トリ(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン、ジメチルジ(ポリオキシエチレン)アンモニウムイオン、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-アリル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ヒドロキシエチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-1-メチルピペリジニウムイオン、4-エチル-4-メチルモルホリニウムイオン、1-(シアノメチル)-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムイオン、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムイオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムイオンまたは1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン;および
メチルトリフェニルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン、テトラブチルホスホニウムイオン、トリブチルメチルホスホニウムイオン、トリエチルメチルホスホニウムイオン、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムイオン、トリフェニルプロピルホスホニウムイオンまたはテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムイオン;
からなる群から選択されるカチオンを含むイオン化合物を含み、
例えば前記カチオンは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムイオンまたはトリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムイオンである、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0330】
E19. 前記電解質組成物は、カルボン酸イオン、イミド系イオン、メチド系イオン、硝酸イオン、二フッ化水素イオン、ハロゲン化物イオン、ホウ酸系イオン、リン酸系イオン、ホスフィン酸系イオン、ホスホン酸系イオン、スルホン酸系イオン、硫酸系イオン、炭酸系イオンおよびアルミン酸系イオンからなる群から選択されるアニオンを含むイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0331】
E20. 前記電解質組成物は、[FB(C2m+14-z、[FP(C2m+16-y、[(C2m+1P(O)O]、[C2m+1P(O)O2-、[O-C(O)-C2m+1、[O-S(O)-C2m+1、[N(C(O)-C2m+1、[N(S(O)-C2m+1、[N(C(O)-C2m+1)(S(O)-C2m+1)]、[N(C(O)-C2m+1)(C(O)F)]、[N(S(O)-C2m+1)(S(O)F)]、[N(S(O)F)、[C(C(O)-C2m+1、[C(S(O)-C2m+1
【化20】
からなる群から選択されるアニオンを含むイオン化合物を含み、ここで、
yは、1~6の整数であり、
mは、1~8の整数であり、例えば1~4の整数であり、
zは、1~4の整数であり、
Xは、BまたはAlであり、かつ
、R、RおよびRは、独立して、ハロゲン、C~C20アルキル、部分的もしくは完全にフッ素化されたC~C20アルキル、C~C20アルコキシ、部分的もしくは完全にフッ素化されたC~C20アルコキシ、C~C20アルキル-COOまたは部分的もしくは完全にフッ素化されたC~C20アルキル-COOであり、かつ
【化21】
は、独立して、1,2-ジオールの-OH基、1,3-ジオールの-OH基、1,2-ジカルボン酸、1,3-ジカルボン酸、1,2-ヒドロキシカルボン酸または1,3-ヒドロキシカルボン酸から誘導された2座の基であり、
CF基のいずれか1つは、O、S(O)、NRまたはCHで置き換えられていてもよい、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0332】
E21. 前記電解質組成物は、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、パーフルオロアルキルカルボン酸イオン、パーフルオロアルキルスルホン酸イオン、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、(パーフルオロアルキルスルホニル)(パーフルオロアルキルカルボキシル)イミドイオン、トリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドイオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(トリフラートイオン)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、テトラフルオロホウ酸イオン、スピロオキソホウ酸イオンおよびスピロオキソリン酸イオン、例えばビスオキサラトホウ酸イオン(BOB)、ジフルオロオキサラトホウ酸イオン(dFOB)、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトホウ酸イオン(d(Ac)OB)、トリスオキサラトリン酸イオン、テトラフルオロオキサラトリン酸イオンおよびジ(トリフルオロアセタト)オキサラトアルミン酸イオンからなる群から選択されるアニオンを含むイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0333】
E22. 前記電解質組成物は、式RCOO[式中、Rは、水素またはヒドロカルビルである]のカルボン酸アニオンを含むイオン化合物を含み、例えばギ酸イオン、酢酸イオン(エタン酸イオン)、アクリル酸イオン、プロパン酸イオン、n-ブタン酸イオン、i-ブタン酸イオン、n-ペンタン酸イオン、i-ペンタン酸イオン、オクタン酸イオン、デカン酸イオン、安息香酸イオン、サリチル酸イオン、チオサリチル酸イオン、2-ニトロ安息香酸イオン、3-ニトロ安息香酸イオン、4-ニトロ安息香酸イオン、クエン酸イオン、シュウ酸イオン、酒石酸イオン、グリコール酸イオン、グルコン酸イオン、リンゴ酸イオン、マンデル酸イオン、ニトリロ三酢酸のカルボン酸イオン、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸のカルボン酸イオン、エチレンジアミン四酢酸のカルボン酸イオン、ジエチレントリアミン五酢酸のカルボン酸イオンまたはハロアルキルカルボン酸イオン、例えばフルオロ酢酸イオン、ジフルオロ酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、クロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオンもしくはトリクロロ酢酸イオンを含むイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0334】
E23. 前記電解質組成物は、
イミド系アニオン、例えばジシアナミドイオン、N(SOF) ((ビスフルオロスルホニル)イミドイオン)、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、例えば[N(SOCF(ビストリフリミドイオン)、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドイオンもしくはN(CFSO)(CF(CFSOもしくは(パーフルオロアルキルスルホニル)(パーフルオロアルキルカルボキシル)イミドイオン;または
メチド系イオン、例えばトリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドイオン、例えばトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、C(CFSO ;または
二フッ化水素イオン(HF );または
塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンもしくはフッ化物イオン;または
ホウ酸系イオン、例えばオルトホウ酸イオン、テトラヒドロキシホウ酸イオン、テトラホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、[B(3,5-(CF(BARF)、B(C (ビス(オキサラト)ホウ酸イオン)(BOB)、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸イオン(dFOB)、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトホウ酸イオン(D(Ac)OB)、B(C もしくはBF (テトラフルオロホウ酸イオン);または
リン酸系イオン、例えばリン酸二水素イオン、リン酸水素イオン、アルキルリン酸イオン、ジアルキルリン酸イオン、リン酸イオン、PF (ヘキサフルオロリン酸イオン)、HPO(フルオロリン酸水素イオン)、トリスオキサラトリン酸イオン(TOP)、テトラフルオロオキサラトリン酸イオン(TFOP)もしくはフルオロ(パーフルオロアルキル)リン酸イオン、例えばFP(C 、FP(C (トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸イオンもしくはFAP)、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C 、FP(C もしくはFP(C ;または
スルホン酸系イオン、例えばアルキルスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオンもしくはパーフルオロアルキルスルホン酸イオン、例えばトリフルオロメタンスルホン酸イオン(トリフラートイオン)、p-トルエンスルホン酸イオン(トシラートイオン)もしくはメタンスルホン酸イオン(メシラートイオン);または
硫酸系イオン、例えば硫酸水素イオン、硫酸イオン、チオ硫酸イオンもしくはアルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオンもしくはエチル硫酸イオン;または
炭酸系アニオン、例えば炭酸イオン、炭酸水素イオンもしくはアルキル炭酸イオン、例えばメチル炭酸イオン、エチル炭酸イオンもしくはブチル炭酸イオン;または
アルミン酸系イオン、例えばAl(OC(CF 、ジ(トリフルオロアセタト)オキサラトアルミン酸イオン(d(Ac)OAl)、テトラクロロアルミン酸イオン、テトラフルオロアルミン酸イオン、テトラヨードアルミン酸イオンもしくはテトラブロモアルミン酸イオン
を含むイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0335】
E24. 前記電解質組成物は、イオン液体を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0336】
E25. 前記電解質組成物は、ジエチルメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホナート(DEMA TfO)、エチルアンモニウムニトラート、トリエチルアンモニウムメタンスルホナート、2-メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、フッ化アンモニウム、メチルアンモニウムニトラート、ヒドロキシエチルアンモニウムニトラート、エチルアンモニウムニトラート、ジメチルアンモニウムニトラート、1-メチルイミダゾリウムニトラート、1-エチルイミダゾリウムニトラート、t-ブチルアンモニウムテトラフルオロボラート、ヒドロキシエチルアンモニウムテトラフルオロボラート、メチルブチルアンモニウムテトラフルオロボラート、トリエチルアンモニウムテトラフルオロボラート、イミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1,2-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、t-ブチルアンモニウムトリフラート、2-フルオロピリジニウムトリフラート、ヒドロキシエチルアンモニウムトリフラート、1,2-ジメチルイミダゾリウムトリフラート、イミダゾリウムトリフラート、1-メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルファート、1-メチルイミダゾリウムクロリド、1-メチルイミダゾリウムトリフラート、ヒドロニウムトリフラート、メチルアンモニウムメシラート、エチルアンモニウムメシラート、ブチルアンモニウムメシラート、メトキシエチルアンモニウムメシラート、ジメチルアンモニウムメシラート、ジブチルアンモニウムメシラート、トリエチルアンモニウムメシラート、ジメチルエチルアンモニウムメシラート、硫酸水素ヒドロニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素メチルアンモニウム、硫酸水素エチルアンモニウム、硫酸水素プロピルアンモニウム、硫酸水素n-ブチルアンモニウム、硫酸水素-t-ブチルアンモニウム、硫酸水素ジメチルアンモニウム、硫酸水素ジエチルアンモニウム、硫酸水素ジ-n-ブチルアンモニウム、硫酸水素メチルブチルアンモニウム、硫酸水素エチルブチルアンモニウム、硫酸水素トリメチルアンモニウム、硫酸水素トリエチルアンモニウム、硫酸水素トリブチルアンモニウム、硫酸水素ジメチルエチルアンモニウム、フルオロリン酸水素ジブチルアンモニウム、フルオロリン酸水素トリエチルアンモニウム、フルオロリン酸水素トリブチルアンモニウム、リン酸二水素ヒドロニウム、リン酸二水素メチルアンモニウム、リン酸二水素エチルアンモニウム、リン酸二水素プロピルアンモニウム、リン酸二水素n-ブチルアンモニウム、リン酸二水素メトキシエチルアンモニウム、リン酸二水素ジメチルアンモニウム、リン酸二水素ジブチルアンモニウム、リン酸二水素メチルブチルアンモニウム、重フッ化アンモニウム、重フッ化メチルアンモニウム、重フッ化エチルアンモニウムおよび重フッ化ジメチルアンモニウムからなる群から選択されるイオン液体を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0337】
E26. 前記電解質組成物は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート(EMIM TfO)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(EMIM BF)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMIM TFSI)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート(EMIM Ac)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート(BMIM TfO)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート(BMIM Ac)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(BMIM TFSI)、トリ-n-ブチルメチルアンモニウムメチルスルファート、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメチルスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムメチルスルファート、トリス(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルスルファート、1,2,4-トリメチルピラゾリウムメチルスルファート、1,3-ジメチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロアルミナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムチオシアナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムニトラート、1-ブチルピリジニウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1-ブチル-3,5-ジメチルピリジニウムブロミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムメチルカーボナート、カルボキシメチルトリブチルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-カルボキシエチルメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-カルボキシメチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-カルボキシメチルメチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、テトラブチルホスホニウムメタンスルホナート、トリエチルメチルアンモニウムメチルカーボナート、1-エチル-1-メチルピペリジニウムメチルカーボナート、4-エチル-4-メチルモルホリニウムメチルカーボナート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムメチルカーボナート、トリエチルメチルアンモニウムジブチルホスファート、トリブチルメチルホスホニウムジブチルホスファート、トリエチルメチルホスホニウムジブチルホスファート、テトラブチルホスホニウムテトラフルオロボラート、テトラブチルホスホニウムp-トルエンスルホナート、トリブチルメチルホスホニウムメチルカーボナート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムハイドロジェンカーボナート、トリブチルメチルアンモニウムメチルカーボナート、トリブチルメチルアンモニウムジブチルホスファート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムジブチルホスファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムジブチルホスファート、1-(シアノメチル)-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウムジシアナミド、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムクロリド、1-(3-シアノプロピル)ピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムクロリド、1,3-ビス(シアノメチル)イミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1,3-ビス(シアノプロピル)イミダゾリウムクロリド、1,3-ビス(3-シアノプロピル)イミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、トリブチルメチルホスホニウムメチルスルファート、トリエチルメチルホスホニウムジブチルホスファート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムビス(2,4,4-トリメチルフェニル)ホスフィナート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムブロミド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムクロリド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムデカノアート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムジシアナミド、3-(トリフェニルホスホニオ)プロパン-1-スルホナートおよび3-(トリフェニルホスホニオ)プロパン-1-スルホン酸トシラートからなる群から選択されるイオン液体を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0338】
E27. 前記電解質組成物は、プロトン酸を含み、例えば
塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸もしくは過ヨウ素酸;または
重硫酸塩、例えば重硫酸ナトリウム、重硫酸カリウムもしくは重硫酸アンモニウム;または
HAsF、HBF、H(OEt)BF、HPF、H[N(SOCF]もしくはH[N(SOCFCF
のようなプロトン酸を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0339】
E28. 前記電解質組成物は、有機プロトン酸、例えば式RCOOH[式中、Rは、水素またはヒドロカルビルである]のカルボン酸を含み、例えばギ酸、酢酸、アクリル酸、フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロパン酸、酪酸、3-メチルブタン酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、安息香酸、サリチル酸、2-ニトロ安息香酸、3-ニトロ安息香酸、4-ニトロ安息香酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、リンゴ酸、マンデル酸、ニトリロ三酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸またはジエチレンアミン五酢酸を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0340】
E29. 前記電解質組成物は、式RSOH[式中、Rは、アルキル、またはアリール、または1~3個のハロゲンで置換されたアルキルもしくはアリールである]のプロトン性スルホン酸を含み、例えばp-トルエンスルホン酸、フェニルスルホン酸、メタンスルホン酸またはトリフルオロメタンスルホン酸を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0341】
E30. 前記電解質組成物は、オキソニウムイオンと、例えばブルックハート酸イオン(BARF酸イオン)のような高度に非配位性のイオンとが合一したプロトン酸[H(OEt][B[3,5-(CF]、[H(OEt][B(C](オキソニウム酸)または[H(OEt][Al(OC(CF]を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0342】
E31. 前記電解質組成物は、少なくとも2つの異なるイオン化合物を含み、例えば前記電解質組成物は、
1つのプロトン性イオン化合物と、1つの非プロトン性イオン化合物;
2つの異なるプロトン性イオン化合物;
2つの異なる非プロトン性イオン化合物;
2つの異なる塩;
2つの異なるイオン液体;
1つの塩と1つのイオン液体、例えば1つのプロトン性もしくは非プロトン性のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩、例えばアルカリ金属ハロゲン化物;
1つのプロトン酸、1つのプロトン性アンモニウム化合物または1つのプロトン性オキソニウム化合物と、1つのイオン液体、例えばカルボン酸とイオン液体
を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0343】
E32. 前記電解質組成物は、同一のカチオンまたは同一のアニオンを含む少なくとも2つの異なるイオン化合物を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0344】
E33. 前記電解質組成物は、2つの異なるイオン化合物を、約99.9:0.1~約0.1:99.9、約99.5:0.5~約0.5:99.5、約99:1~約1:99、約95:5~約5:95、約90:10~約10:90、約80:20~約20:80、約70:30~約30:70または約60:40~約40:60の質量:質量比で含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0345】
E34. 前記電解質組成物は、有機溶媒を含まずに、前記電解質組成物の全質量を基準として1000質量ppm以下、100質量ppm以下もしくは10質量ppm以下の水を含むか、または前記電解質組成物は、前記電解質組成物の全質量を基準として9質量ppm以下、8質量ppm以下、7質量ppm以下、6質量ppm以下、5質量ppm以下もしくは4質量ppm以下の水を含む、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0346】
E35. 前記電解質組成物は、溶媒を含む、実施形態1から33までのいずれかに記載の電池。
【0347】
E36. 前記電解質組成物は、実質的に水からなる溶媒を含む、実施形態1から33までのいずれかに記載の電池。
【0348】
E37. 前記電解質組成物は、実質的に有機溶媒からなる溶媒を含む、実施形態1から33までのいずれかに記載の電池。
【0349】
E38. 前記電解質組成物は、水を含む溶媒と有機溶媒とを含む、実施形態1から33までのいずれかに記載の電池。
【0350】
E39. 水と有機溶媒との質量:質量比は、約99.9:0.1~約0.1:99.9、約99.5:0.5~約0.5:99.5、約99:1~約1:99、約95:5~約5:95、約90:10~約10:90、約80:20~約20:80、約70:30~約30:70または約60:40~約40:60である、実施形態38記載の電池。
【0351】
E40. 前記有機溶媒は、有機カーボナート類、エーテル類、グリム類、オルトエステル類、ポリアルキレングリコール類、エステル類、ラクトン類、グリコール類、ホルマート類、スルホン類、スルホキシド類、アミド類、アルコール類、ケトン類、ニトロ系溶媒およびニトリル系溶媒からなる群から選択される1つまたは複数の溶媒を含む、実施形態37から39までのいずれかに記載の電池。
【0352】
E41. 前記電解質組成物は、有機溶媒、例えば
有機カーボナート類、例えば環式もしくは非環式の有機カーボナート類、例えばエチレンカーボナート(EC)、プロピレンカーボナート(PC)、トリメチレンカーボナート、1,2-ブチレンカーボナート(BC)、ジメチルカーボナート(DMC)、ジエチルカーボナート(DEC)、エチルメチルカーボナート(EMC)、ビニレンカーボナート、ジフルオロエチレンカーボナートもしくはモノフルオロエチレンカーボナート;または
エーテル類またはグリム類、例えばジメトキシメタン(DMM)、ジエトキシメタン、1,2-ジメトキシエタン(DMEもしくはエチレングリコールジメチルエーテルもしくはグリム)、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、エチレングリコールジエチルエーテル(DEE)、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソラン(DIOX)、4-メチル-1,3-ジオキソラン(4-MeDIOX)、2-メチル-1,3-ジオキソラン(2-MeDIOX)、1,4-ジオキサン、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-t-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、エチル-t-ブチルエーテルもしくはt-アミルメチルエーテル;または
オルトエステル類、例えばトリメトキシメタン、トリエトキシメタン、1,4-ジメチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンもしくは4-エチル-1-メチル-3,5,8-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン;または
~Cアルキレングリコールの単独低重合体もしくは共低重合体もしくは単独重合体もしくは共重合体であるポリアルキレングリコール類、例えば約200~約1200g/モル、約200~約1000g/モル、約200~約900g/モル、約200~約700g/モルもしくは約200~約500g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する、例えばポリエチレングリコール(PEG)、モノメチル(エンドキャップ)ポリエチレングリコール、ジメチル(エンドキャップ)ポリエチレングリコールもしくはジエチル(エンドキャップ)ポリエチレングリコール、例えば4つ以上の単量体の低重合体、例えばテトラエチレングリコール、フッ素化テトラエチレングリコールもしくはテトラプロピレングリコール、例えばPEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG700、PEG800、PEG900もしくはPEG1000;または
エステル類もしくはラクトン類、例えばγ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、酢酸エチル(EA)、2-メトキシエチルアセタート、2-エトキシエチルアセタート、2-ブトキシエチルアセタート、2-(2-ブトキシエトキシ)エチルアセタート(ジエチレングリコールブチルエーテルアセタート、DBA)、エチレングリコールジアセタート(EGDA)、3-エトキシエチルプロピオナート(EEP)、メチルブチラート(MB)、n-アミルアセタート(NAAC)、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PMA)、エチルブチラート(EB)、ジエチルマロナートもしくはジメチルマロナート;または
2塩基性酸エステル混合物、例えばアジピン酸、グルタル酸もしくはコハク酸のメチルエステル;または
グリコール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-イソプロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール(エチレングリコールブチルエーテル、EB)、2-フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール(ジエチレングリコールブチルエーテル、DB)、プロピレングリコールブチルエーテル(PB)、プロピレングリコールメチルエーテル(PM)、トリエチレングリコール(TEG)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPM)、ジエチレングリコールメチルエーテル、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、パーフルオロ-1,4-ブタンジオール、パーフルオロ-1,5-ブタンジオール、フッ素化ジエチレングリコールメチルエーテル、フッ素化トリエチレングリコール、フッ素化トリエチレングリコールメチルエーテルもしくはフッ素化ジエチレングリコールブチルエーテル;または
ホルマート類、例えばギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチルもしくはギ酸t-ブチル;または
スルホン類もしくはスルホキシド類、例えばメチルスルホニルメタン(MSMもしくはジメチルスルホン)、エチルメチルスルホン、スルホランもしくはジメチルスルホキシド(DMSO);または
アミド類、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチルピロリドン(NMP)、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ヘキサメチルホスホラミド(HMPA)もしくはN,N’-ジメチル-N,N’-トリメチレンウレア(1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU));または
アルコール類、例えばベンジルアルコール(BA)、エタノール、トリフルオロエタノール(2,2,2-トリフルオロエタノール)、メタノール、イソプロパノール、t-ブタノールもしくはn-ブタノール;または
ケトン類、例えばメチルエチルケトン(MEK)もしくはメチルイソアミルケトン(MIAK);または
ニトロ系溶媒、例えばニトロベンゼン、ニトロメタンもしくはニトロエタン;または
ニトリル系溶媒、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルもしくはアジポニトリル
を含む、実施形態40記載の電池。
【0353】
E42. 前記電解質組成物が溶媒を含み、イオン化合物全体と溶媒との質量:質量比は、約99.9:0.1~約0.1:99.9、約99.5:0.5~約0.5:99.5、約99:1~約1:99、約95:5~約5:95、約90:10~約10:90、約80:20~約20:80、約70:30~約30:70または約60:40~約40:60である、実施形態1から33までおよび35から41までのいずれかに記載の電池。
【0354】
E43. 前記電解質組成物はさらに、防食剤、固体電解質界面(SEI)改良剤、プロトン発生向上剤、自己放電抑制剤、抗ガス発生剤、粘度調整剤、カソード保護剤、塩安定剤、導電率向上剤および溶媒和剤からなる群から選択される1つまたは複数の添加剤を含む、実施形態1から42までのいずれかに記載の電池。
【0355】
E44. 前記電解質組成物は、以下:
フッ素化油、スズ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたはポリアクリル酸;
HFまたはKF、例えばYのような希土類の酸化物もしくは水酸化物、金属ポルフィン、例えばNiポルフィンまたはFeポルフィン、ビニレンカーボナート、ビニルエチレンカーボナート、メチレンエチレンカーボナートまたはフルオロエチレンカーボナート;
ポリグリコール類、ポリグリコールアルキルエーテル類、ポリグリコールアルキルリン酸エステル類またはポリソルベート類、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリソルベート20、ポリソルベート40もしくはポリソルベート80、またはPEG600とポリソルベート20との混合物、またはPEG600とZnOとの混合物;
リン酸エステル系界面活性剤、プロパンスルトンまたはフルオロプロパンスルトン;および
DMSO;
からなる群から選択される1つまたは複数の添加剤を、前記電解質組成物の全質量を基準として例えば約0.1質量%~約15質量%の水準で含む、実施形態1から43までのいずれかに記載の電池。
【0356】
E45. 前記負極での可逆半電池の充放電の電気化学反応は、
【化22】
または
【化23】
であり、ここで、
IVは、第IV族元素をベースとする水素吸蔵材料であり、かつ
Siは、ケイ素をベースとする水素吸蔵材料である、前記実施形態のいずれかに記載の電池。
【0357】
E46. 正極を含む前記実施形態のいずれかに記載の電池であって、前記正極は、遷移金属、遷移金属酸化物、遷移金属水酸化物、遷移金属酸化物/水酸化物および遷移金属フッ化物からなる群から選択される1つまたは複数のカソード活物質を含み、例えば、
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAu;
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuの酸化物;
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuの水酸化物;
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuの酸化物/水酸化物、および
Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、PtまたはAuのフッ化物
からなる群から選択される1つまたは複数の材料を含む、電池。
【0358】
例1
本アノードを、SWAGELOK電池アセンブリにおいて使用する。比較的小さなアノードを使用するため、容量は制限される。
【0359】
ニッケル基材にアモルファスシリコンを化学蒸着させることにより、アノードを作製する。このアノードは0.94cmであり、膜厚約250nm、膜質量51.7μgのアモルファスシリコン膜を備えている。厚さを、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定する。カソードは、ニッケルメッシュ基材上の焼結された水酸化ニッケルである。電解質組成物は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート中の2Mの酢酸である。
【0360】
この電池を、387mA/gの充放電電流密度でサイクル運転させる。この電池は、図1に示されているように、25回のサイクル後に安定した充放電特性を示す。アノードは、約1.4Vで充電プラトーを示し、約1.2Vで放電プラトーを示し、20回目のサイクルで約889mAh/gの比容量を示す。
【0361】
1質量パーセント(質量%)の水素(1gまたは1モル)を含むアノード合金100gは、96500A・s(ファラデー定数)、すなわち26.8A・h、すなわち268mAh/g合金の容量を有する。この膜は889mAh/gの容量を示すため、889/268=3.3質量%の水素を吸蔵する。これは、Si原子1個当たりに吸蔵されるH原子が0.9個を上回ることに相当する:1g/モル(H)/28g/モル(Si)=3.57質量%;Si原子1個当たりのHは、3.3/3.57=0.92個。
【0362】
例2
例1を繰返し、電池を408mA/gのレートで10時間充電し、かつ510mA/g、1020mA/g、2041mA/gおよび4082mA/gのレートで放電させると、それぞれ2604mAh/g、1681mAh/g、1080mAh/gおよび647mAh/gの放電容量が生じる。
【0363】
例3
水素化されたアモルファスシリコン(a-Si:H)薄膜を、AMAT P5000プラズマ支援化学蒸着(PECVD)系においてニッケル箔基材上に堆積させる。この膜の導電率を高めるため、処理ガス中でホスフィンを加えることにより、n型のドープされたa-Si:H薄膜がインサイチュで得られる。PECVDのためのガス流は、シラン60sccm、ヘリウム460sccmおよびヘリウム中の5%ホスフィン40sccmである。基材温度は100℃であり、高周波(rf)電力は30Wであり、処理圧力は、堆積の際に3Torrである。堆積時間は125秒であり、堆積時のa-Si:H薄膜の平均厚さは247nmである。CVDプロセスに加えて、アモルファスシリコンの試料を、物理蒸着法(PVD)の一種であるrfスパッタリング技術によっても作製する。水素化されていないa-Si膜を、rfスパッタリングによりニッケル基材上に堆積させ、次いで後続のエクスサイチュ水素化処理を行う。スパッタ蒸着源は、スパッタリングカソードバッキングプレートに接合された単結晶シリコンウエハ(0.001Ωcm、ホウ素ドープ)のセグメントから構成された800の直径の平面状のシリコンターゲットである。典型的なスパッタ堆積パラメータには、アルゴン3sccmのガス流量、8mTorrのグロー放電圧力、486W(1.5Wcm-2)のrf(13.56MHz)電力および74mmのターゲット・基材距離が含まれ、基材を室温近傍に保持する。基材をターゲットの下方の固定位置に配置し、これらの条件下でレーストラック領域において、約125Åmin-1の最大堆積速度が得られる。堆積後のエクスサイチュ水素化処理を、圧力-濃度-温度測定に使用される鋼製反応容器中で行う。ピーク圧の可変値(1MPaおよび6MPa)およびピーク温度の可変値(300℃および500℃)およびアニール時間の可変値(2時間および20分間)を用いる。
【0364】
非水系電解質は、[EMIM][Ac](>95%、IoLiTec GmbH)(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセタート)中の2M氷酢酸(CHCOOH、>99.7%、Alfa Aesar)である。残留水を除去するために、[EMIM][Ac]を、真空オーブン中で115℃で48時間焼成する。このイオン液体の水分含有量をカールフィッシャー電量滴定装置を用いて測定したところ、1000ppm未満である。次いで氷酢酸を、1.14:10の体積比で[EMIM][Ac]と混合する。導電率計(YSI型3200)により測定したところ、イオン伝導度は6mScm-1である。Ni基材(1.25cm×1.25cm)上にa-Si:H薄膜を堆積させた後、試料を切断して円形のディスク(直径=1.25cm)とする。a-Si:H膜の厚さは247nm~3.0mmの間で変化し、活物質の質量は70mg~840mgの間で変化する。a-Si:H薄膜の電気化学的性能を、P/N比(正の容量/負の容量)が100超である半電池構成体を用いて試験する。正極は、焼結されたNi(OH)片であり、これは社内で作製され、本出願人らによるNi/MH電池研究用の標準的な正極として使用されるものである。両電極とも、電池の組立て前に真空オーブン中で115℃で12時間焼成する。Arを充填したグローブボックス内で、a-Si:H薄膜アノードおよび焼結されたNi(OH)カソードを使用し、これらを標準的な不織布セパレータで隔て、1.25cm(直径)の2つのニッケルロッド集電体にクランプ留めして組立てて、1.25cm(直径)のSwagelok型電池を作製する。次いで、この電池を試験のために封止する前に、この電池に電解質1mLを注入する。電気化学的充放電試験を、定電流でかつ0.6Vの放電終止電圧でArbin BT-2143電池試験ステーションを用いて行う。a-Si:Hアノードのレート能力を調べるために、電流密度を510mAg-1~4082mAg-1で変化させる。サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を、3電極Swagelok電池においてGamry社製Interface 1000ポテンショスタット/ガルバノスタットを用いて行う。作用電極はNi箔上のa-Si:H薄膜であり、対電極は焼結されたNi(OH)のディスクである。リークフリー基準電極(Warner Instruments)を、基準物としてSwagelok電池の上部ポートを通じて挿入する。これは、3.4MのKCl溶液中で0.24V vs. 標準水素電極の標準電位を有する。表面形態および膜厚を、JEOL-JSM6320F SEMを用いて測定する。ラマンシフトを、532nmの励起源を備えたE-Zラマン分光システムを用いて測定する。この機器を、シリコン標準物質の520cm-1のシグナルを用いて校正する。フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを、Perkin Elmer Spotlight 400 FTIR Imaging Systemを使用して測定する。
【0365】
CVDにより作製したa-Si:Hアノードを、2041mAg-1のレート(約1Cレート)で1935mAhg-1まで充電し、同一のレート(約1C)で0.6V vs. Ni(OH)対電極の終止電圧まで放電させる。初期放電容量は888mAhg-1であり、これは徐々に増加して38回目のサイクルでは1418mAhg-1となり、これはNi/MH電池において使用される従来のAB型合金の4倍超の高さである。Si原子1個当たりの水素の数に変換すると、これはSiH1.48に相当する。初期サイクル運転中の容量の増加は、a-Si:Hアノードの活性化に起因しうる。LIB(リチウムイオン電池)におけるSi薄膜アノードに関しても同様の現象が報告されており、容量の増加は、結晶質SiからアモルファスSiへの遷移によるものであることが示唆されている。a-Si:H薄膜は、本実験ではすでにアモルファスであるため、結晶質シリコンの場合とは原因が異なる。LIBにおけるアモルファスSi薄膜アノードに関する別の報告では、容量の増加は、初期サイクル時の微小割れ/粒界の密度増加に起因してリチウムの拡散が増大することによるものとされている。本研究における容量の増加についてもこれと同様に、最初の数サイクルの間に生じる微小割れ/粒界が増大し、その結果として水素の拡散が増大したことに起因する可能性がある。充電後の開回路電圧は、1.3Vである。初回のサイクル試験に関して、充電電圧プラトーおよび放電電圧プラトーはそれぞれ、1.37Vおよび1.24V(中間点)に認められ、38回目のサイクルで比容量が最大値に達するまで、充放電過電圧は劇的な増大を示さなかった。その後、充放電過電圧は増大し、容量が徐々に低下した。100回目のサイクルで比容量が917mAhg-1に低下し、充電電圧プラトーが1.7V超の値まで増加した。放電曲線では、約1.0Vおよび0.85Vの低下した電圧に2つのプラトーが存在し、これらは、サイクル運転中に膜において相またはSi-H結合構造が変化したことに関連するものと考えられ、解明が必要とされる。a-Si:Hアノードは長いサイクル寿命を示し、500回のサイクルの終了時に707mAhg-1であり、放電電圧プラトーは約0.9Vである。非水系のLIBにおいて通常見られるように、サイクル運転時の充放電過電圧の増大は、内部抵抗の増大に起因しうるものであり、これは、電解質と電極との間にある固体電解質界面(SEI)の成長、電解質の分解および/またはニッケル基材からのa-Si:H薄膜の接触の損失により生じる接触抵抗の増大によるものである。500回のサイクル後にこの電池を解体してアノードを目視検査したところ、a-Si:H薄膜は損傷のないままであることが判明した。
【0366】
a-Si:Hアノードのレート能力を試験する。このアノードを、2041mAg-1のレートで4082mAhg-1まで充電し、かつ4つの異なるレート:510mAg-1、1020mAg-1、2041mAg-1および4082mAg-1で放電させる。放電容量は、電流密度の増加に伴って劇的に低下し、得られた放電容量は、2604mAhg-1、1681mAhg-1、1080mAhg-1および647mAhg-1であり、これはそれぞれ、SiH2.72、SiH1.76、SiH1.13およびSiH0.68に相当する。510mAg-1の一定の放電レートでの放電容量およびクーロン効率を、充電容量と相関させて測定する。
【0367】
充電容量が増加すると、放電容量は増加するが、一方でクーロン効率は低下する。a-Si:Hアノードを5752mAhg-1まで充電した場合、得られる最高の放電容量は3635mAhg-1であり、これは、各ケイ素原子に吸蔵された水素原子が約3.8個であることに相当する。この能力は、LIBにおけるa-Si薄膜アノードについて報告された最高容量に匹敵するものである。アノードを1000mAhg-1まで充電した場合のクーロン効率は87%であるが、充電容量が5752mAhg-1である場合には、クーロン効率は63%に低下する。こうしたクーロン効率はLIBよりも相対的に低く、容量低下の機序についてさらなる調査が必要である。
【0368】
a-Si:H電極の充電プロセス時に、非水系電解質中の弱く結合したプロトンが還元されてこの電極の表面に吸着し、次いでこのバルクa-Si:Hにおいて水素が吸収および拡散されるものと考えられる。放電時には、水素がアノード/電解質界面に向かって拡散し、酸化されかつ脱着される。
【0369】
-0.2V vs. 基準電極の近傍でアノードピークが観察されるが、これは、アノード-電解質界面で吸収された水素原子が酸化しかつ脱離することに起因するものである。スキャンレートの増加に伴ってアノードピーク電流が増加し、ピーク電位がわずかに正の方向にシフトする。アルカリ性溶液中での典型的な金属水素化物電極とは異なり、-0.9V vs. 基準電極の近傍で完全なカソードピークが観察される。このことは、非水系のILベースの電解質の電気化学的な領域が広がるという利点を有する。水素吸着のピークと電解質の還元の縁部との間には約0.3Vの電圧のギャップが存在するが、30%KOH水系電解質中の金属水素化物電極については、水素吸着のピークは水素発生の閾値と極めて接近しており、水素発生ピークと重なって区別できない。30%KOH電解質中の金属水素化物電極については、ピークではなくプラトーが観察される場合が多く、自己放電を無視することができる。その電気化学的領域が広がることから、非水系IL(イオン液体)電解質によって、より高い標準電位を有するレドックス対の使用が可能となり、したがってプロトン伝導性Ni/MH電池のエネルギー密度のさらなる増大が見込まれる。
【0370】
電気化学的サイクル運転実験の前および500回のサイクル後に、a-Si:H薄膜のSEM顕微鏡写真を撮影する。堆積時のa-Si:H薄膜は、平滑な表面および247nmの平均膜厚を示す。500回のサイクル後に、膜表面は粗くなり、割れが観察される。しかし、この膜はNi基材に付着したままであり、剥離しなかった。500回のサイクル後に、平均膜厚は281nmに増加し、これは堆積時の膜に対して約13%の増加である。LIBに関して報告されているように、リチオ化プロセス時には、膜表面に対して垂直な方向での優先的な膨張を伴って異方的に体積膨張が生じる。脱リチオ化プロセス時には、膜表面と同一面内にも膜表面に対して垂直な方向にも収縮が生じ、その結果、膜の割れが生じる。本研究におけるa-Si:H薄膜についてサイクル運転後に割れや厚さの増大が見られたことも、LIBのSi薄膜アノードに関する研究結果によって説明がつく。最初に微小割れが生じ、これによって水素の拡散が増大するとともに、初期容量が増加する。体積膨張と収縮が繰返されると割れが成長し、いくつかの活物質が集電体との接触を失い、その結果、徐々に容量が低下する。
【0371】
a-Si:H薄膜における結合構造の変化を調べるために、ラマン分光法およびFTIR分光法を行う。ラマン分光法はSi-Si結合構造に対する感度が高いのに対して、FTIR分光法はSi-H結合の構成を明らかにするのに有効である。500回のサイクルの前後に、a-Si:H薄膜のラマンスペクトルを得る。a-Si:H薄膜の典型的なラマンスペクトルは4つのガウスピークから構成され、これらは横型光学(TO)モード、縦型光学(LO)モード、縦型音響(LA)モードおよび横型音響(TA)モードに相当する。アモルファスSiから微晶質/結晶質Siへの遷移は、ピーク波数シフトと区別される。460~490cm-1の広いピークは、アモルファスシリコンのTO振動モードにより生じ、1512~520cm-1の鋭いピークは、異なるサイズの結晶粒のTOモードを表す。500cm-1の近傍に存在する第3のピークは、粒界での結合の拡張(dilation)により生じるものである。500回のサイクルの前後に存在する唯一の広いピークは、460~520cm-1の範囲内にある。この広いピークの中心は480cm-1にあり、このことは、この膜が純粋にアモルファスであることを意味する。サイクル運転の前後に顕著なラマンシフトは観察されず、このことは、サイクル運転中にa-Si:H薄膜がアモルファスのままであることを示す。
【0372】
500回のサイクル運転の前後に、a-Si:H薄膜のFTIRスペクトルを得る。FTIR分光計は、650cm-1から出発する限られた範囲しか有しておらず、この範囲は、Siの一水素化物(Si-H)の縦揺れ振動モードゆえに630cm-1の近傍に中心を有する主要吸収帯の端部に存在する。800~1000cm-1および2100cm-1の近傍には、強度がさほど高くない吸収帯が観察され、これらはそれぞれ、Siの二水素化物(Si-H)および多水素化物錯体(Si-Hの曲げ振動モードおよび伸縮モードに割り当てられる。Si-Hの伸縮モードにより生じる2000cm-1の近傍の吸収帯は、観察されない。これらのSi-Hおよび(Si-Hによる吸収ピークは、より低い波数に向かってシフトし、500回のサイクル後には強度がわずかに増加する。630cm-1の近傍にある最も強いSi-Hピークはしばしば、a-Si:H薄膜中の水素含有量を推定するために使用される。
【0373】
rfスパッタリングにより堆積されたSi薄膜の電気化学的性能を調べる。水素化されていないa-Si膜は、200mAhg-1未満の非常に低い放電比容量を示し、また水素化処理後に容量が著しく増加するが、このことは、水素化後に水素の拡散が増大することに起因しうる。具体的には、6MPaの水素圧で300℃で2時間水素化した比較的厚みのある約3.0ミクロンの試料NT(ニッケルタブ)-92は、3回のサイクル後に2224mAhg-1を上回る放電容量を示す。しかし、容量はその後すぐに低下した。それとは対照的に、1MPaで500℃で2時間水素化した比較的薄い約1.2ミクロンの試料NT-93は、13回のサイクル後に2377mAhg-1の放電容量を示し、14回のサイクル後であっても容量低下の兆候を示さない。LIBにおける厚さ1mmのSi薄膜アノードは、12回のサイクルにわたって3000mAhg-1の容量を示すが、この容量はその後急激に低下する。リチオ化/脱リチオ化の際にSi薄膜アノードの体積が大きく変化することと比較すると、水素化/脱水素化の際の体積変化は、これよりもはるかに小さいことが可能である。なぜならば、水素はリチウムよりもはるかに小さいためである。このようにして、比較的厚みのある(1mm超の)a-Si薄膜について、より長寿命で高容量を保持することができる。
【0374】
いくつかのエクスサイチュ水素化された対照標準a-Si:H薄膜(1MPa/300℃/2h)は、サイクル試験において不十分な挙動を示し、水素化されていないa-Si膜と同程度の低い容量(200mAhg-1未満)しか得られなかった。熱活性化プロセスによって、シリコン膜の微細構造の永久的な変化が生じるにせよ、あるいは単に高温で緩和により誘発される水素種の拡散の増大が生じるに過ぎないにせよ、シリコン網目構造への水素の取込みにはこの熱活性化が必要であるものと考えられる。アモルファス膜から微晶質への再成長が約600℃で起こることは、薄膜シリコン技術では周知である。
【0375】
要約すると、インサイチュで水素化してからCVDを行うことと、rfスパッタリングを行ってからエクスサイチュ水素化を行うことの双方によってa-Si:H薄膜を作製し、これを、非水系イオン液体をベースとする電解質を有するプロトン伝導性Ni/MH電池において、高い比容量および優れたサイクル安定性を示すアノードとして使用する。CVDで成長させた薄膜において、38回目のサイクルについて2041mAg-1の放電レートで1418mAhg-1の比放電容量が得られ、また500回のサイクル後に容量は707mAhg-1を保持し、また、より低い放電レートでは、3635mAhg-1の最大容量が得られる。rfスパッタンリングを行い、これを500℃で水素化した厚さ1.2ミクロンのa-Si:H薄膜アノードが2377mAhg-1の容量を示すのに対して、厚さ3.0ミクロンの他のa-Si:H薄膜は、3回目のサイクルで2224mAhg-1の容量を示す。
図1