(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】締結手段を備える多層触覚センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 1/20 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
G01L1/20 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018004712
(22)【出願日】2018-01-16
【審査請求日】2020-12-11
(31)【優先権主張番号】10 2017 100 791.1
(32)【優先日】2017-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501493037
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー アンド コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オネディン イブロセヴィック
(72)【発明者】
【氏名】マティアス シュヴァイカー
(72)【発明者】
【氏名】ベルント ノイシュヴァンダー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス クチェラ
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-042108(JP,A)
【文献】特開昭61-219885(JP,A)
【文献】特開2016-090319(JP,A)
【文献】特開2004-347415(JP,A)
【文献】特表2012-519846(JP,A)
【文献】国際公開第2014/017407(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/204323(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第03247574(DE,A1)
【文献】特開2009-025227(JP,A)
【文献】登録実用新案第3183657(JP,U)
【文献】特表2003-500758(JP,A)
【文献】特開2010-014694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00-1/26,5/00-5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極
(18)を具備する第1
の層(12)と、第2電極(20)を具備する第2
の層(14)と、前記第1および第2の層(12、14)間に配設されて、前記第1電極(18)を前記第2電極(20)から離間させる感圧材料(22)
を含む中間層(16)と、前記第1
電極および第2電極(18、20)を互いに対して
所定の位置関係で固定する締結手段(24)とを備える多層触覚センサ(10)であって、
前記第1電極(18)
および前記第2電極(20)は、導電性ヤーンから作られて、所定の長手方向(L)に沿って
互いに平行に延び
、かつ前記中間層(16)によって互いに離間されており、
前記締結手段(24)は、前記長手方向(L)に沿って延びるとともに、少なくとも1本の糸
による少なくとも第1の縫い目(26)を
有し、前記少なくとも1本の糸は
、前記第1電極(18)を
前記第2電極(20)に対して所定の位置に固定するために前記感圧材料(22)に複数回繰り返し通されている、多層触覚センサ。
【請求項2】
前記第1の縫い目(26)は、前記第1電極(18)の導電性ヤーンから所定の距離のところに、平行に配設されている複数の出入穴(28)を具備する、請求項1に記載の多層触覚センサ。
【請求項3】
前記第1
の層(12)は前記第1電極(18)が縫い込まれているかまたは織り込まれている第1テキスタイルシート(30)であり、前記第1の縫い目(26)の糸は前記感圧材料(22)および前記第1テキスタイルシート(30)に複数回繰り返し通されている、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の多層触覚センサ。
【請求項4】
前記第2
の層(14)は前記第2電極(20)が縫い込まれているかまたは織り込まれている第2テキスタイルシート(34)であり、前記第1の縫い目(26)の糸は前記感圧材料(22)、前記第1テキスタイルシート(30)および前記第2テキスタイルシート(34)に複数回繰り返し通されている、請求項3に記載の多層触覚センサ。
【請求項5】
前記第1テキスタイルシート(30)および前記第2テキスタイルシート(34)は、前記中間層(16)の側辺(38)で互いに折り重ねられている共通のテキスタイルシートの部分であり、前記センサ(10)の前記第1および第2の層(12、14)を形成する、請求項4に記載の多層触覚センサ。
【請求項7】
前記締結手段(24)は前記第1の縫い目(26)に平行に配設されている第2の縫い目(36)を
有し、前記第1電極(18)が前記第1および第2の縫い目(26、36)間に配設されるようになされている、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の多層触覚センサ。
【請求項8】
前記第1の縫い目(26)の糸は前記第1電極(18)の前記導電性ヤーン
に繰り返し重なり、前記第1電極(18)を前記中間層(16)に保持する、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の多層触覚センサ。
【請求項9】
前記締結手段(24)は、前記導電性ヤーンの下か
ら繰り返し通されている少なくとも1本の別の糸を備える別の縫い目を
有し、前記第1電極(18)を前記中間層(16)から離間させる、請求項1~
請求項8のいずれか1項に記載の多層触覚センサ。
【請求項10】
前記第1の縫い目(26)の糸は第1所定間隔(d1)で前記第1電極(18)に交差し、前記別の縫い目(46)の糸は第2所定間隔で(d2)で前記第1電極(18)に交差し、前記第1および前記第2所定間隔(d1、d2)は異なる、
請求項9に記載の多層触覚センサ。
【請求項11】
第1
の層(12)を形成する第1電極(18)
を提供するステップと、
第2
の層(14)を形成する第2電極(20
)を提供するステップと、
前記第1および第2の層(12、14)間に配設されて、前記第1電極(18)を前記第2電極(20)から離間させる感圧材料(22)
を含む中間層(16)を提供するステップと、
前記第1
電極および第
2電極(18、20)を締結手段(24)で互いに対して固定するステップと、を備える多層触覚センサの製造方法であって、
前記第1電極(18)
および前記第2電極(20)は導電性ヤーンから作られ、所定の長手方向(L)に沿って
互いに平行に延び
、かつ前記中間層(16)によって互いに離間されており、
前記締結手段(24)は、前記長手方向(L)に延びる
とともに、少なくとも
1本の糸による少なくとも第1の縫い目(26)と
を有し、前記少なくとも1本の糸は
、前記第1電極(18)を
前記第2電極(20)に対して所定の位置に固定するために前記感圧材料(22)に複数回繰り返し通される、
多層触覚センサの製造方法。
【請求項12】
第1電極(18)を具備する第1の層(12)と、第2電極(20)を具備する第2の層(14)と、前記第1および第2の層(12、14)間に配設されて、前記第1電極(18)を前記第2電極(20)から離間させる感圧材料(22)を含む中間層(16)と、前記第1電極および第2電極(18、20)を互いに対して所定の位置関係で固定する締結手段(24)とを備える多層触覚センサ(10)であって、
少なくとも前記第1電極(18)は、少なくとも導電性ヤーンから作られて、所定の長手方向(L)に沿って延びており、
前記締結手段(24)は、前記長手方向(L)に沿って延びるとともに、少なくとも1本の糸による少なくとも第1の縫い目(26)を有し、前記少なくとも1本の糸は、前記第1電極(18)を前記第2電極(20)に対して所定の位置に固定するために前記感圧材料(22)に複数回繰り返し通されており、
前記締結手段(24)は、前記第1電極(18)を前記中間層(16)から離して配置するために、前記導電性ヤーンの下を繰り返し通される少なくとも1本のさらなる糸によるさらなる縫い目を含む、多層触覚センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層触覚センサおよびそれに関連する該センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
汎用多層触覚センサは、いわゆる圧力マットとして知られている。圧力マットは、機械的負荷に応答する感圧表面を備える二次元センサである。たとえば、人が作用面を踏むと、それによって生じる機械的負荷が、センサに接続されている制御ユニットによって検知および評価されて、対応する反応に変換される。前記事象に対する反応は、たとえば、技術システムの電源オフまたは警告メッセージの表示とすることができるであろう。
【0003】
公知の圧力マットは、導電性電極を含む2つの層を感圧中間層によって分離するという原理に基づいている。中間層が圧縮されると、電極間の電気特性が変化する。中間層は、このために圧縮可能な要素を具備してもよく、その結果、圧力マットの表面に対して圧力が横断方向に向けられるとき、2つの電極が一緒に押されて、電極は、圧縮可能な要素間で直接接触することになる。
【0004】
あるいは、中間層を、圧力下でその電気抵抗を変える材料から作ることもできる。このような中間層は連続層にすることができるので、2つの電極が互いに直接接触しなくても、適切な分析回路を使用して、前記抵抗の変化を検知することができる。
【0005】
前述の基本原理に基づき、通例、非常に大きなセンサを1ピースで製作することが目標である。このために、個々の層をまず別々に製作して、後の工程で組み立てて実際のセンサを形作る。
【0006】
連続中間層の他に、好ましくは、電極も連続シート、たとえば、電極が縫い込まれているかまたは織り込まれているテキスタイルシートとして構成されてもよい。この場合、センサは、個々の層を積み重ねて、それを合わせて固定することによって形成される。通常、これは層をハウジング内に置くか、またはそれを積層して複合材にすることによって実現される。どちらの方法も、通常、センサの柔軟性、特に可撓性を制限する。
【0007】
センサを圧力マットとして使用する場合には、柔軟性が失われることは、最初は大したことではないが、他のアプリケーションにとっては、個々の層の元の柔軟性を維持することが望ましい。該アプリケーションは、たとえば、センサの作用面をロボットの外部輪郭に適合させる場合におけるロボットの皮膚としての触覚センサの使用、または、ピンチエッジ(pinch edges)およびシャーエッジ(shear edges)による挟み込み保護手段としてセンサを使用する場合においてセンサが帯状であり監視されるエッジに沿って延びている場合である。どちらの場合も、個々の層の元の柔軟性をできる限り維持することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記背景に照らし、本発明の目的は、前述の欠点をなくす多層触覚センサを提供することである。とりわけ、特に柔軟性および可撓性があり、異なる幾何学形状を可能にする触覚センサを提供することが目的である。同時に、本発明のセンサは単純で、ロバストで、製造コストが安くあるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様によると、この目的は、第1電極を具備する第1層と、第2電極を具備する第2層と、第1層と第2層との間に配設されて、第1電極を第2電極から離間させる感圧材料の中間層と、第1電極および第2電極を互いに対して固定する締結手段とを備える多層触覚センサであって、少なくとも前記第1電極は導電性ヤーンから作られ、所定の長手方向に沿って延びており、前記締結手段は、第1電極の所定の長手方向に沿って延びるとともに少なくとも1本の糸(thread)を含む少なくとも1つの第1の縫い目(seam)を具備し、前記少なくとも1本の糸は第1電極を所定の位置に固定するために感圧材料に複数回繰り返し通される、多層触覚センサによって達成される。
【0010】
本発明の別の態様によると、この目的は、次のステップを備える多層触覚センサの製造方法によって達成される。
・第1層を形成する第1電極と、第2層を形成する第2電極とを提供するステップと、
・第1および第2層間に配設されて、第1電極を第2電極から離間させる感圧材料の中間層を提供するステップと、
・第1電極および第2電極を、第1電極を第2電極から離間させる締結手段によって、互いに対して固定するステップと、を有し、
少なくとも前記第1電極は導電性ヤーンから作られ、所定の長手方向に沿って延びており、前記締結手段は、長手方向に延びるとともに少なくとも1本の糸を含む少なくとも第1の縫い目を具備し、前記少なくとも1本の糸は第1電極を所定の位置に固定するために感圧材料に複数回繰り返し通される。
【0011】
このように、本発明のアイデアは、電極が個々に締結手段で固定されている、長手方向に延びている電極を備える触覚センサを提供することである。締結手段は電極自体と同様な形態の糸を含む縫い目にして、センサの全体としての柔軟性が締結手段によって大幅に悪影響を受けないようにする。このため、このセンサは、層を積層したセンサ、または層もしくは電極を固定するためになにか他の方法で収納しなければならないセンサよりも可撓性がある。
【0012】
さらに、締結手段が電極と同じ方向に延びていて、したがって、電極を好ましくは全長にわたってしっかりと適所に保持しているので、電極は互いに対して完璧に整列されて、固定されている。したがって、センサ全体を、機能を制限されることなく、曲げまたはねじることができる。このように、センサは、たとえば、ロボットのアームなど、不均一な輪郭に直接締結することができる。
【0013】
また、個々に固定することは、触覚センサの特殊な幾何学形状が可能であるという利点を有する。たとえば、個々に固定することで、比較的長細くて薄い寸法にされて、接着テープのように巻いて貼ることのできる帯状のセンサが可能となる。同様に、剛性の取り囲みハウジングまたは積層をなくしたおかげで、簡単に、球形または円筒形の表面に位置付けることが可能である。
【0014】
最後に、本発明による締結手段は、機械によって縫い目として簡単かつ精密に、したがって安価に、実現することができる。このように、新規のセンサの製造は大幅に難しくなるわけではない。したがって、平面形状とは異なる幾何学形状のセンサは特に簡単かつ安価に製造することができる。同時に、縫い目は、電極を中間層に特にロバストに保持することが可能である。このように、前述の目的は完全に達成される。
【0015】
好適な改良形態では、第1の縫い目は、第1電極の導電性ヤーンから所定の距離のところに平行に配設されている複数の出入穴を具備する。このように、第1の縫い目は第1電極に平行に配設されて、前記第1電極を中間層に対して均一に固定している。このように、電極は特に精密に固定し、配向することができる。
【0016】
別の改良形態では、第1層は、第1電極が縫い込まれているかまたは織り込まれている第1テキスタイルシートであり、第1の縫い目の糸は感圧材料および第1テキスタイルシートに複数回繰り返し通されている。したがって、この実施形態では、第1電極は第1層を形成する第1テキスタイルシートの一部である。このことは、特殊な場合には1本のみの導電性糸であってもよい、薄い電極を使用することができるという利点を有する。締結手段の縫い目が第1テキスタイルシートを中間層に保持し、したがって、第1電極を間接的に固定する。この改良形態では、特に薄い電極を、より大きなシートの一部として容易に扱うことができるセンサに使用することができ、それにもかかわらず、本発明による締結手段に精密かつ均一に固定することができる。
【0017】
別の改良形態では、第2層は第2電極が縫い込まれているかまたは織り込まれている第2テキスタイルシートであり、第1の縫い目の糸は感圧材料、第1テキスタイルシートおよび第2テキスタイルシートに複数回繰り返し通されている。この改良形態では、第2層も、第2電極が配設されているテキスタイルシートである。第1層および第2層は、それぞれ、容易に扱うことのできるシートにすることができる。したがって、センサは特に容易に、それにより、安価に製造することができる。同時に、前記設計は、また、第2電極を特に細く設計し、第1電極に対して精密に固定することを可能にする。
【0018】
好適な別の改良形態では、第1テキスタイルシートおよび第2テキスタイルシートは、中間層の側辺で互いに折り重ねられた共通のテキスタイルシートのセクションであり、したがって、センサの第1層および第2層を形成する。それにより、第1および第2のテキスタイルシートは共通のシートの一部であり、そのため1ピースで製造することができる。共通のテキスタイルシートは、好ましくは、第1長形電極および第2長形電極を含み、両電極は感圧材料によって離間されている相互に平行な2つの電極を備える長形センサを形成するために、互いに折り重ねることによって感圧材料の周囲に敷設されている。
【0019】
特に好適な改良形態では、第1の縫い目は第1側辺に平行に走行して、第1電極および第2電極が第1の縫い目と側辺との間に配設されている。前記好適な改良形態では、共通のテキスタイルシートが織物の袋を形成し、その前側に第1電極が、後側に第2電極が配設されている。袋は、袋の前側および後側に互いに離間している感圧材料のセクションを含む。第1の縫い目は袋を閉じ、さらに、中間層を共通のテキスタイルシートに、好ましくは両側で固定する。このような織物の袋により、帯状のセンサは少数の作業工程で、少数の基本構成要素のみで特に容易に製作することができる。
【0020】
別の改良形態では、締結手段は、第1電極が第1の縫い目と第2の縫い目との間に配設されるように、第1の縫い目に平行に配設されている第2の縫い目を具備する。この実施形態では、第1電極、および好ましくは第2電極は、第1の縫い目と第2の縫い目との間に配設されている。このように、電極を、互いに対して特に精密に整列させて固定することができる。
【0021】
別の改良形態では、第1の縫い目の糸は第1電極の導電性ヤーンに、好ましくは第1電極の全長にわたって繰り返し重なり、第1電極を中間層に保持する。第1電極の導電性ヤーンを繰り返し重ねることによって、電極は中間層に押しつけられ、それにより中間層に特によく固定される。この改良形態は、触覚センサを提供することが可能で、その第1層はもっぱら個々の電極から形成することができ、特殊な場合には、電極は導電性ヤーンの個々の糸からなる。このように、特に細く柔軟性のあるセンサを実施することができる。
【0022】
別の改良形態では、第1の縫い目は、その端部が2本の平行な線または曲線を描き、その間に第1電極が平行に配設されるように、鋭角で鎖状連結されている短いセクションを有する第1ジグザグパターンを画定する少なくとも1本の糸を備える第1ジグザグ縫い目である。ジグザグ縫い目を使用することにより、電極は中間層に特に容易にかつ精密に固定することができる。同時に、ジグザグ縫い目は機械によって特に容易に製作することができるので、固定を特に容易に製造することができる。
【0023】
別の改良形態では、締結手段は、第1電極を中間層から離間させるために、導電性ヤーンの下から繰り返し通される少なくとも1本の別の糸を備える別の縫い目を具備する。この改良形態では、第1電極は中間層の別の縫い目によって支持される。別の縫い目はそれにより、第1電極と感圧材料との間のスペーサとして使用される。個々の支持点間、つまり、別の縫い目が電極と交差する点間の距離を変えることによって、センサの感度を調整することができる。支持点が互いに近くにあると、センサを作動させるための圧力負荷は大きくならなければならない。他方で、支持点がより離れると、同じ結果を得るには、より低い圧力で十分である。
【0024】
好適な改良形態では、第1の縫い目の糸は第1所定間隔で第1電極に交差し、別の縫い目の糸は第2所定間隔で第1電極に交差し、第1および第2所定間隔は異なる。前記好適な設計では、スペーサによってセンサの感度を調整できるだけでなく、第1の縫い目に対する下向きの力も変えることができる。それによって、この改良形態は、締結手段の選択および構成だけで、センサを可変に調整することを可能にする。
【0025】
前述の特徴およびこれから説明する特徴は、それぞれ明記される組み合わせだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせまたは単独でも使用できることは理解されるであろう。
【0026】
本発明の例示的な実施形態を図面に示し、以下の説明で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図4】センサの第4実施形態を示す断面図および上面図である。
【
図5】センサの第5実施形態を示す断面図および上面図である。
【
図6】センサのハウジングの一実施形態を示す斜視図である。
【
図8】センサのアプリケーションの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、センサの第1実施形態を斜視図で示す。センサはここでは全体を参照符号10で記されている。センサ10は多層であり、少なくとも第1層12と、第2層14と、第1層と第2層との間に配設されている中間層とを具備する。第1層12は第1電極18を具備し、第2層14は第2電極20を具備する。
【0029】
この実施形態では、第1および第2の電極18,20は、導電性ヤーンから作られている。特に、この実施形態の第1および第2の電極18,20は、それぞれ導電性ヤーンの糸であり、そのため柔軟である。一般に、導電性ヤーンは、織物、編物、かぎ針編物および刺繍に加工することができ、特に縫製に使用することのできる直線状の織布である。通常のヤーンと比べて、導電性ヤーンは電流を通すことができる。これは導電性繊維、たとえば、ステンレススチール繊維からヤーンを紡績することによって実現することができる。あるいは、糸に導電性材料を被覆することにより、従来の非導電性糸を導電性にすることができる。たとえば、導電性糸を得るために、普通のナイロン糸に銀を被覆することができる。異なる種類の導電性ヤーンは強度および伝導率に関して異なる利点および欠点を有するが、センサに関しては同様に使用することができる。糸は完全に導電性であると同時に、テキスタイルのような特性、特に柔軟性および可撓性を保つことは明白である。
【0030】
図1による実施形態では、第1電極および第2電極18,20として1本の電気糸だけが示されている。これは特殊なケースである。他の実施形態では、第1および第2の電極18,20は複数の導電性糸から作ってもよい。以下、
図1に示すように電極として導電性ヤーンの1本の糸だけを備える特殊なケースを「単糸電極(single-yarn electrode)」と呼ぶ。
【0031】
また、
図1による実施形態では、第1および第2の電極18,20は同じ設計である。これは必ずしもそうしなければならないのではなく、他の実施形態では第1層の電極は第2層の電極とは異なる設計にできることは理解されるであろう。
【0032】
電極18,20をヤーンとして形成することは、電極18,20が本質的に長手方向Lに延びている必要がある。それにもかかわらず、電極は直線である必要はない。事実、電極は、関連のアプリケーションが必要とする幾何学形状によって、弧状に延びていてもよい。
【0033】
この実施形態では、第1および第2の電極18,20は互いに平行に走行し、中間層16によって互いに離間している。中間層16は感圧材料22から作られる。たとえば、中間層は、圧力が電極18,20に対して横断方向に加えられると強制的に引き離される圧縮可能な要素を具備して、第1および第2の電極18,20が圧力負荷点で接触するようにしてもよい。あるいは、圧力下で第1電極18と第2電極20との間でその電気特性が変化する材料を中間層に使用してもよい。特に、圧力下でその電気抵抗が変化する材料を使用することができる。好ましくは、該中間層16がここで示すように表面全体に広がっていてもよい。
【0034】
その設計に関係なく、圧力が中間層16に対して垂直に加えられると、第1電極18と第2電極20との間で変化した電気特性が、分析回路(ここでは図示せず)によって検知されてもよい。
図1に示すような「単糸電極」を備えるセンサの特殊なケースの場合、表面に電極が延びている圧力マットと同じ作用原理が適用される。
【0035】
また、センサは、少なくとも第1電極を中間層16の所定の位置に保持する締結手段24を具備する。締結手段24は、第1電極によって画定される長手方向Lに延びている少なくとも1つの第1の縫い目26を具備する。すなわち、縫い目26は第1電極18に平行に走行している出入穴28を具備する。糸は、第1電極18を中間層16に保持するために、出入穴28を通じて感圧材料22に複数回繰り返し通される。ここに図示される実施形態では、この目的のために、糸は第1電極の上を繰り返し横切り、それによって電極を中間層16上に押しつける。
【0036】
好適な実施形態では、第2電極20が第1電極と同様に具現されている場合、第2電極も縫い目によって中間層16に締結してもよいことは理解されるであろう。特に好ましくは、この場合、第2電極20も第1の縫い目26によって保持して、第1および第2の電極18,20に必要な締結手段24を1つだけにする。この場合、第1の縫い目26の糸は、伝導率は別にして、第1または第2の電極18,20の導電性ヤーンと同様な特性を具備し、センサが全体として電極の柔軟性を保つようにする。このように、センサの柔軟性は締結手段24によって大幅に制限されることはない。同時に、第1電極18は、センサ10がねじれているまたは曲がっているときでも、所定の位置に保持される。
【0037】
好ましくは、本発明によるセンサは、たとえば、工業用生産システムのピンチエッジおよびシャーチエッジ、建築技術の自動ドア、ゲートもしくは窓、または公共交通機関の車両ドアを保護するために、帯状センサとして使用される。このため、好適なセンサは本質的に長手方向Lに延びており、センサの高さHおよび幅Bはその奥行Tに対して小さい。好適な実施形態では、奥行Tは幅Bの少なくとも10倍である。さらに、好適な実施形態では、センサは接着テープのように巻いて貼ってもよい。本発明によるセンサは、エンドユーザによって最終的な形に切断される連続アイテムとして製作してもよい。ロバストさは電極の設計のみに左右され、センサの幾何学形状には左右されないため、電極の個々の固定によって実現されるロバストさはこれによって失われない。
【0038】
本発明は前述の帯状センサに制限されるのではなく、個々の固定は異なる幾何学形状を有する他の形状の触覚センサとともに使用することもできることは理解されるであろう。
【0039】
図2を参照すると、本発明によるセンサの第2実施形態が描かれている。
図2はセンサの断面図を示す。同じ参照符号は、
図1による実施形態と同じ部品を表す。
【0040】
図1による実施形態に対し、第1および第2の層は導電性ヤーンの電極だけから作られているのではない。実際、導電性電極18,20はそれぞれテキスタイルシートの一部である。第1テキスタイルシート30は第1層12を形成するとともに、導電性ヤーンの第1電極18に加えて非導電性糸32をさらに具備する。非導電性糸32および第1電極18は図の平面で長手方向Lに延びており、テキスタイル半製品を形成するために長手方向に対して横断方向に走行している糸と織り合わされる。したがって、第1シートは導電性糸と非導電性糸とから作られる織布である。
【0041】
第1電極18と同様に、この実施形態の第2電極20も非導電性糸と織り合わされて第2シート34を形成する。第1および第2のテキスタイルシート30,34は中間層16の向かい合う面に貼られる。
【0042】
第1および第2の電極18,20が重なり合う領域が作用領域を形成し、該作用領域では中間層16の感圧材料22の圧縮を第1および第2の電極18,20によって知ることができる。ここに示す実施形態では、第1電極18および第2電極20はその全長にわたって互いに平行に配設されて、作用領域が第1および第2の電極18,20の寸法によって画定されるようにする。電極の異なる配置が考えられることは理解されるであろう。特に、他の実施形態では、個々にポーリングすることのできる感圧セルを画定するために、行列状に配設されるさらなる電極を提供してもよい。
【0043】
図2による実施形態では、第2の縫い目36が第1の縫い目26のそばに設けられて、一緒に締結手段24を形成する。この実施形態では、第1の縫い目26の糸および第2の縫い目36の糸はともに、第1層12、第2層14および中間層16に複数回繰り返し通される。縫い目26,36は第1および第2の電極18,20に平行に長手方向Lに沿って走行している。この実施形態の第1の縫い目26も第2の縫い目36も、第1電極18または第2電極20を固定するためにこれらに直接接続されているわけではない。実際、第1の縫い目26および第2の縫い目36は、中間層16に固定するために、第1テキスタイルシート30および第2テキスタイルシート34に結びつけられている。第1電極18および第2電極20はどちらも、それぞれ第1シート30または第2シート34に織り込まれているため、締結手段24は第1の縫い目26および第2の縫い目36を、したがって電極を互いに対して所定の位置に固定している。このように、この実施形態では、電極は縫い目26,36によって間接的にのみ固定されている。
【0044】
センサ10の可撓性は主に個々の層12,14,16の可撓性に依存し、本質的には第1および第2の縫い目26,36からの影響を受けない。それにもかかわらず、電極18,20は、センサが曲がっているまたはねじれている間でも、所定の位置にとどまる。この実施形態の縫い目は電極に直接接触することはないため、縫い目は導電性ヤーン製であってもよく、もしかすると電極またはセンサの他の構成要素の接触に寄与することになるかもしれない。
【0045】
図3を参照して、
図2の実施形態のさらなる改良形態を以下詳細に説明する。
図3はセンサの断面図も示し、同じ参照符号は同じ部品を表す。
【0046】
図3による実施形態では、第1電極18および第2電極20はテキスタイルシートの一部でもある。しかし、前述した実施例に対し、第1シート30および第2シート34は中間層16の感圧材料22の側辺38で折り返されている共通シートのセクションである。したがって、この実施形態では、第1および第2の層12,14は、1ピースのテキスタイル半製品を折り重ねた結果として形成される。封筒と同様に、感圧材料22の中間層は折りたたまれたシートに差し込まれている。好ましくは、シートは、第1電極18および第2電極20が積み重なるように、側辺38で折り返されている。第1電極18および第2電極20が重なり合う領域は、センサ10の作用領域である。ここに示す実施形態では、第1電極18および第2電極20は長手方向Lに全長にわたって重なり合っている。
【0047】
さらに、前述の実施形態に対し、
図3によると、個々の縫い目26は締結手段24として提供される。この実施形態では、個々の縫い目26は第1および第2の電極18,20ならびに側辺38と平行に走行している。したがって、縫い目26は、層16の感圧材料22が手紙のように差し込まれる封筒を閉じる。ここで、縫い目26を第1シート30、第2シート34および中間層16に通過させることによって、縫い目26は第1層12、第2層14および中間層16を一緒に固定する。
【0048】
1つの縫い目だけを敷設すればよく、縫い目の他に必要なのが織り込まれた電極および中間層を備える1ピースの半製品のみであるため、
図3の実施形態による帯状センサは特に単純かつ安価に実施することができる。
【0049】
図4および
図5は、センサの2つの別の実施形態を示す。
図4は、センサを図の下部に上面図で、上半分に断面図で両方示す。同じ参照符号は同じ部品を表す。ここでは、
図1による実施形態と同様に、センサ10は第1層12に単一電極と、第2層14に単一電極とを具備する。したがって、どちらの層も「単糸電極」を具備する。しかし、以下詳細に説明する電極の固定はこの設計に制限されるのではなく、他の設計の電極とともに使用することもできることは理解されるであろう。特に、電極は隣り合って並べられ、ねじられ、または織られる複数の糸から構成することもできる。
【0050】
前述の実施形態と同様に、第1電極18および第2電極20は感圧材料の中間層16によって互いに離間している。第1および第2の電極18,20は長手方向Lに沿って延びており、それによって本質的にセンサ10の寸法を決める。このため、センサ10は比較的長く、細くて薄い帯状のセンサであり、たとえば、ドアまたは窓の細いエッジに適合されてもよい。センサの作用領域は、第1電極18および第2電極20が重なり合う領域に対応する。第1電極および第2電極18,20の近い周囲での感圧材料22の圧縮は、センサ10によって、圧縮により生じる第1電極18と第2電極20との間の電気特性の変化を観察して検知することができる。
【0051】
第1電極18は締結手段24によって中間層16に保持されている。ここで、締結手段24は第1ジグザグパターンを画定する糸によるジグザグ縫い目40を具備する。糸は感圧材料22に通されて、出入穴28から感圧材料22を出て、第1電極18を介して別の出入穴28に通され、そこから感圧材料22に入る。糸が個々の出入穴28間を画定する短いセクション42は同じ角度44で鎖状連結されるので、端部、すなわち出入穴28は第1電極18が間に入る2本の平行な線または弧を描く。好ましくは、出入穴28は第1電極18の各側にこれから等距離のところに配設されているので、電極は短いセクション42によって中間層16上に均一に押しつけられる。すなわち、ジグザグ縫い目40は長手方向Lに沿って所定の間隔d1で第1電極18と交差する。ジグザグ縫い目40は機械によって特に簡単に作ることができる。同時に、第1電極18はジグザグ縫い目40によって所定の位置に最適に固定される。
【0052】
ジグザグパターンの他に、異なる縫い目パターンを使用してもよく、それを用いて第1電極18を中間層16上に押しつけるとともに、所定の位置に固定することは理解されるであろう。ジグザグパターンは特に容易に作ることができるので好ましい。また、別の実施形態では、第2電極20も適切な縫い目を用いて同様に中間層16に固定することができる。
【0053】
図5は、
図4によるセンサの実施形態の改良形態を示す。同じ参照符号は同じ部品を指す。
図5はセンサ10を上面図(下)および断面図(上)の両方で示す。
【0054】
前述の実施形態と同様に、第1および第2の層12,14はそれぞれ単一電極18,20を具備し、感圧材料22の中間層16によって互いに離間している。第1電極18は第1ジグザグ縫い目40によって中間層16に保持されている。
【0055】
前述の実施形態に加えて、締結手段24は、第1ジグザグ縫い目40の他に第2ジグザグ縫い目46を具備する。第1ジグザグ縫い目40と同様に、第2ジグザグ縫い目46も第1電極18によって画定される長手方向Lに延びている。第1ジグザグ縫い目40に対し、第2ジグザグ縫い目46は、第1電極18の下の第1電極18と中間層16との間に配設されている。すなわち、第2ジグザグ縫い目46は中間層16の表面に直接接触している。さらに、ここでは、第2ジグザグ縫い目46は所定の間隔d2で第1電極18と交差する。したがって、第1電極18は交点では第1中間層16上に直に置かれているのではなく、第2ジグザグ縫い目46によって支持されている。
【0056】
その結果、この実施形態では第2ジグザグ縫い目46はスペーサとして作用し、それによりセンサ10の感度を調整することができる。支持点の数を増やすことによって、第1電極18と第2電極20との間の電気特性の変化を生じさせるためには、電極18および中間層16に対してより大きな圧力をかけなければならないように、センサ10を調整することができる。特に、第1ジグザグ縫い目40によって第1電極18にかけられる高い押圧力は、第2ジグザグ縫い目46によって補償し、バランスを取ることができる。
【0057】
全体として、有利なことに、支持点の距離ならびに/または第1および第2のジグザグ縫い目40,46の重なりの距離を変えることによって、センサの感度を調整することができる。このように、この実施形態では締結手段24は電極の個々の固定としてだけでなく、センサの感度を制御するための調整手段としても使用される。他の実施形態では、センサの異なる点で異なる感度を提供するために、支持点の間隔(d2)または重なりの間隔(d1)を長手方向Lに沿って変えることが考えられる。このように、締結手段24だけでセンサの異なる領域に異なる感度を与えることができる。別の実施形態では、締結のために、またはスペーサとして、ジグザグ縫い目とは異なる縫い目を使用してもよいことは理解されるであろう。
【0058】
この実施形態では締結手段24を第1電極18に関して説明してきたが、同じ締結手段24を第2電極20にも使用することも考えられる。個々の実施形態の異なる締結手段を互いに組み合わせることも考えられる。たとえば、第1および/または第2の層がテキスタイルシートの場合、ジグザグ縫い目を使用してもよい。また、第1層12のために第1締結手段24を使用し、第2層14のために異なる締結手段を使用することが考えられる。この点に関し、各層の個々の締結手段は自由に変えることができる。図示する実施形態は「単糸電極」の特殊なケースに特に適するが、導電性ヤーンの複数本の糸から作られる電極にも使用してもよいことも理解されるであろう。
【0059】
図6を参照して、上記開示してきたセンサのためのハウジングの好適な実施形態を以下説明する。ハウジングは特に締結および帯状センサの保護のために設計されている。
【0060】
図6は、2つのイメージで、センサの斜視図を示す。上のイメージは閉鎖形のハウジングを示すのに対し、下のイメージはハウジングの内部の図を示しており、外部輪郭をここでは点線で表している。両方のイメージで、同じ参照符号は同じ部品を指す。
【0061】
全体が参照符号100で表されるハウジングは、基本ボディ102、圧縮ボディ104および接合セクション106に分割される。ハウジングは1ピースの弾性材料として作られているため、圧縮ボディ104、基本ボディ102および接合セクション106は互いにシームレスに移行する。帯状センサユニット10がセンサ100内に、より正確にいうと、基本ボディ102内に配設されている。帯状センサユニット10は、好ましくは、
図1から
図5を参照して上記説明してきたセンサの実施形態である。したがって、特に、導電性ヤーンの少なくとも1つの電極を具備するセンサである。ここで示される該センサの代表例は、「単糸電極」を備える特殊なケースである。収容するセンサと同様、ハウジング100は本質的に長手方向Lに沿って延びている。
【0062】
ハウジング100は、センサユニット10と一緒に、ハウジングの一部ではないが、センサ10を適切に支持するとともに、外部の影響に対して遮蔽するためにハウジングと連動する支持体108に取り付けられている。ハウジング100は、好ましくは、支持体108とぴったり嵌合される。このために、ハウジングは、接合セクション106に、支持体108の確動ロックと係合するような形状にされている接続要素を具備する。それにより、支持体108は、好ましくは、外形が接続要素110に一致する矩形プロファイルである。
【0063】
ここに示す実施形態では、支持体108は、上側フランジ112と下側フランジ114と、この2つのフランジを接合する中央柱116とを備えるダブルT形プロファイルである。上側フランジ112はセンサユニット10の支持面として作用する平らな表面118を有する。したがって、表面118はセンサユニット10の安定した均一な基盤を形成する。さらに、ハウジング100はセンサユニット10と一緒に支持面118を包囲する。したがって、センサユニット10はハウジング100内に密閉されている。圧縮ボディ104によって、衝撃はセンサユニット10に均一に伝達する。基本ボディ102、圧縮ボディ104および接合セクション106の特定の形およびその機能を、
図7を参照して以下詳細に説明する。
【0064】
図7は、
図6によるハウジングの実施形態を断面図で示す。同じ参照符号は同じ部品を指す。ハウジング100が圧縮ボディ104、基本ボディ102および接合セクション106に区分されていることが、点線で示されている。前述したように、この実施形態では、接合セクション106は2つの接続要素110を具備し、それによって支持体(ここでは図示せず)との確動ロック接続を可能にすることができる。接続要素110は支持体に取り付けるために離間するように設計されている。
【0065】
基本ボディ102は、センサユニット10を挿入することのできる受け部120を具備する。受け部120は上部を圧縮ボディ104によって、側面をセンサユニット10の高さに対応するサイド部121によって閉鎖する。下部セクション、つまり、接合セクション106への移行部では、受け部120はセンサユニット10が接合セクション106を通して基本ボディ102に挿入することができるように開いていることが好ましい。支持体への取り付けと同様に、このために、接続要素110は離間しており、センサユニット10が受け部120に挿入される。このように、センサユニット10は工具なく組み立てることができる。
【0066】
取り付けられた状態では、つまり、ハウジング100が支持体に載せられているとき、接続要素110は水および埃に対して受け部120を封止するので、センサは外部の影響に対して保護される。好ましくは、このため、センサは保護等級IP67で製作してもよい。好ましくはセンサの上部で行われる、センサユニット10との電気接点が通される領域では、封止は対応するクランプ部(ここでは図示せず)を用いて、または後でポッティングすることによって保証することができる。
【0067】
圧縮ボディ104は圧縮ボディ104の表面122に作用する力を帯状のセンサユニット10に伝達するように設計されている。同時に、圧縮ボディ104は、センサユニット10がさらに取り囲むハウジングなく受け部120に挿入することができるように、センサ10に対する衝撃を適切に減衰させるように具現される。圧縮ボディはハウジングの残りの部分に比較して相対的に厚く、柔らかいように設計され、好ましくは湾曲面122を具備する。湾曲面122は、それに作用する力をセンサ10に均一に伝達するという利点を有する。その結果、有利なことに、センサ10の感度が高まる。
【0068】
ハウジング100を1ピースとして作る材料は、好ましくは封止面を備える発泡ポリウレタンである。ハウジング100の寸法は、本質的には、使用するセンサユニット10によって決まる。ハウジングの長さ、つまりこの場合、図の平面の範囲は、その幅または高さの少なくとも2桁倍であることが好ましい。ハウジングの高さは、本質的に、圧縮ボディ104および接合セクション106によって画定されるのに対し、センサユニット10と同程度に細い基本ボディ102を実施することができ、そのため、高さに大きく寄与しない。特に好ましくは、センサの幅Bは1cm未満であり、好ましくは0.7cm、特に0.5cm未満である。このように、センサは自動ドア、ゲートおよび窓の挟み込み保護手段として使用するのに、または該自動ドア、ゲートおよび窓が密封されているかどうかを判断するのに特に優れる。特定のアプリケーションの実施例を
図8を参照して以下説明する。
【0069】
図8は、本発明によるセンサ10が配設されている自動閉鎖窓124を示す。窓124は開口部126を閉じるように設計されており、第1部分128と第2部分130とを有する。第1部分128は、矢印134によって表される移動方向に沿って可動な枠132に配設されている窓ガラスである。第2部分130は、窓124が開口部126を閉じようとしている場合に、枠132の側辺135が同一平面上に接触することになるストッパを形成する。
【0070】
センサの一実施形態が枠132の該側辺135に全長にわたり配設されている。センサ10は、ここでは、開口部126が完全に閉まっているかどうかを検知するように設計される。別の実施形態では、ここではストッパとして設計されて固定されている、第2部分130も可動にしてもよい。第2部分130は、好ましくは、断面がセンサ10のハウジング100と同様に設計されているシーリングリップ136を具備する。それにより、シーリングリップ136およびハウジング100がシールとして作用してもよい。
【0071】
センサは、ドア、ゲートまたは窓の封止を、触覚原理に基づいて単純に点検することが可能である。特に、センサユニット10が負荷自体に加えて、センサ上のその強度またはその分布も判断するように設計されている場合、センサは同時に、たとえば封止およびクランプ保護のテストなど、異なるアプリケーションのために使用することができることが有利である。