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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】横辷り出し窓
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/34 20060101AFI20220701BHJP
   E06B 1/14 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
E06B3/34
E06B1/14
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018054712
(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公開番号】P2019167699
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】中桐 卓大
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-189956(JP,A)
【文献】特開2017-008583(JP,A)
【文献】特開2017-031698(JP,A)
【文献】特開2015-042799(JP,A)
【文献】特開2015-042801(JP,A)
【文献】実開昭60-150280(JP,U)
【文献】特開2013-163911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の開口部に設置される枠体内に障子が開閉可能に設けられた横辷り出し窓であって、
前記枠体の上枠には、下方に延びる垂下部が設けられ、
前記障子の上框には、上方に延びる立設部が設けられ、
前記立設部は、前記垂下部よりも屋内側に配置され、
前記立設部の少なくとも上部と前記垂下部の少なくとも下部とは、屋内外方向に対向配置され、
前記立設部の上部には、上方に向かうにしたがって次第に屋内側に傾斜する傾斜部が設けられ、
前記上框には、取付部材が取り付けられ、
該取付部材は、
前記立設部と、
前記上框の上面に沿って前記立設部の下端部から屋外側に延びる底壁部と、
該底壁部の屋外側の端部から前記上框の屋外側に沿って延びる壁部の屋内側の面に沿って上方に延びる屋外側壁部と、を有する横辷り出し窓。
【請求項2】
前記取付部材は、前記障子の左右方向の中央に設けられている請求項に記載の横辷り出し窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横辷り出し窓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築物の開口部に設置される建具として、横辷り出し窓が知られている。例えば、障子の左右両端部が縦枠にリンク機構を介して連結され、障子の下部が上部よりも大きく屋外側に開くように構成されたものがある。
【0003】
この横辷り出し窓に負圧(屋内側から屋外側に向かう圧力)が生じると、障子が屋外側に大きく変位して、障子が枠体から外れてしまう可能性がある。このため、上枠に下方に向かって垂下するフィン(壁部)を設けて、障子の上框に上方に向かって立設するフィン(壁部)を設けて、これらのフィンどうしの少なくとも一部を屋内外方向に重ならせて配置して、耐風圧性を向上させたものが提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-31698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に記載された横辷り出し窓では、障子の開閉時に、上枠に設けられたフィンと上框に設けられたフィンとが干渉してしまい、障子の開閉に支障をきたす虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐風圧性を確保しつつ、障子の開閉をスムーズにすることができる横辷り出し窓を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
また、本発明に係る横辷り出し窓は、前記上框には、取付部材が取り付けられ、該取付部材は、前記立設部と、前記上框の上面に沿って前記立設部の下端部から屋外側に延びる底壁部と、該底壁部の屋外側の端部から前記上框の屋外側に沿って延びる壁部の屋内側の面に沿って上方に延びる屋外側壁部と、を有することが好ましい。
また、本発明に係る横辷り出し窓は、建築物の開口部に設置される枠体内に障子が開閉可能に設けられた横辷り出し窓であって、前記枠体の上枠には、下方に延びる垂下部が設けられ、前記障子の上框には、上方に延びる立設部が設けられ、前記立設部は、前記垂下部よりも屋内側に配置され、前記立設部の少なくとも上部と前記垂下部の少なくとも下部とは、屋内外方向に対向配置され、前記立設部の上部には、上方に向かうにしたがって次第に屋内側に傾斜する傾斜部が設けられ、前記上框には、取付部材が取り付けられ、該取付部材は、前記立設部と、前記上框の上面に沿って前記立設部の下端部から屋外側に延びる底壁部と、該底壁部の屋外側の端部から前記上框の屋外側に沿って延びる壁部の屋内側の面に沿って上方に延びる屋外側壁部と、を有する。
【0010】
このように構成された横辷り出し窓では、上框に取り付けられた取付部材は、立設部と、上框の上面に沿って立設部の下端部から屋外側に延びる底壁部と、底壁部の屋外側の端部から上方に延びる屋外側壁部と、を有している。よって、取付部材は屋内外方向に沿う鉛直断面が上向き略コ字状をなしているため、取付部材の剛性が高められ、負圧に対して確実に抗することができる。
また、屋外側壁部は上框の屋外側に沿って延びる壁部の屋内側の面に沿って配置されているため、上框の壁部が屋外側壁部で補強される。
【0011】
また、本発明に係る横辷り出し窓は、前記取付部材は、前記障子の左右方向の中央に設けられていてもよい。
【0012】
このように構成された横辷り出し窓では、取付部材は障子の左右方向の中央に設けられているため、負圧が大きく生じる左右方向の中央で、障子の屋外側への変位を確実に軽減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る横辷り出し窓によれば、耐風圧性を確保しつつ、障子の開閉をスムーズにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る横辷り出し窓を屋内側から見た斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る横辷り出し窓の障子が閉じた状態を示した図である。
図3】本発明の一実施形態に係る横辷り出し窓の障子が開いた状態を示した図である。
図4】本発明の一実施形態に係る横辷り出し窓の上部の構成を示す図であり、屋内外方向に沿う縦断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る横辷り出し窓の障子が図4に示す位置から開いた状態を示し、屋内外方向に沿う縦断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る横辷り出し窓の障子が図5に示す位置からさらに開いた状態を示し、屋内外方向に沿う縦断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る横辷り出し窓の障子が図6に示す位置からさらに開いた状態を示し、屋内外方向に沿う縦断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る横辷り出し窓の障子が図7に示す位置からさらに開いた状態を示し、屋内外方向に沿う縦断面図である。
図9】本発明の一実施形態の変形例1に係る横辷り出し窓の上部の構成を示す図であり、屋内外方向に沿う縦断面図である。
図10】本発明の一実施形態の変形例2に係る横辷り出し窓の上部の構成を示す図であり、屋内外方向に沿う縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る横辷り出し窓について、図1から図8に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る横辷り出し窓を屋内側から見た斜視図である。
図1に示すように、横辷り出し窓100は、建築物の開口部Wに設けられ、四角形枠状に形成された枠体1と、枠体1に開閉可能に設けられた障子2と、を備えている。
なお、以下の説明において、屋外側と屋内側とを結ぶ方向を屋内外方向と称する。また、開口部Wが壁部を貫通する方向(壁部に対向する方向)から見た際の左側と右側を結ぶ水平方向を左右方向と称する。
【0016】
枠体1は、左右方向に延在する上枠11及び下枠12と、上枠11の両端部と下枠12の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する縦枠13と、を有している。枠体1は、屋外側に設けられたアルミ合金等の金属製の金属枠体1Aと、その屋内側に設けられた合成樹脂製の樹脂枠体1Bとで構成されている。
【0017】
障子2は、四角形状に形成された框体20と、框体20内に嵌め込まれたガラス29と、を有している。
【0018】
框体20は、左右方向に延在する上框21及び下框22と、上框21の両端部と下框22の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する縦框23と、を有している。框体20は、屋外側に設けられたアルミ合金等の金属製の金属框体20Aと、その屋内側に設けられた合成樹脂製の樹脂框体20Bとで構成されている。
【0019】
下框22には、障子2の開閉操作を行うレバー25が設けられている。また、下框22及び下枠12には、レバー25の操作に伴って、障子2をロック及びロック解除可能な施錠装置(不図示)が設けられている。
【0020】
図2は、障子2が閉じた状態を示した図である。図3は、障子2が開いた状態を示した図である。図2及び図3は、一方の縦枠13側を左右方向の中央側から見た図であり、障子2を二点鎖線で示している。
図2及び図3に示すように、障子2は、開いた際には、下方に向かうにしたがって次第に枠体1から離間して屋外側に向かうように傾斜した姿勢となる。
【0021】
縦枠13と障子2とは、ステー30及び支持ブラケット40により連結されている。ステー30及び支持ブラケット40は、左右方向の両側にそれぞれ設けられている。
【0022】
ステー30は、縦枠13の上部と障子2の縦框23の上部とを連結している。ステー30は、リンクベース31と、第一リンクアーム32と、第二リンクアーム33と、第三リンクアーム34と、を有している。
【0023】
リンクベース31は、縦枠13の上部で、縦框23側(左右方向の中央側)を向く面に設けられている。リンクベース31は、縦枠13に螺子31zで複数箇所に螺子止めされている。
【0024】
第一リンクアーム32の下端部は、リンクベース31の上部に、左右方向を向く第一上部リンク軸36を中心として回動可能に連結されている。
【0025】
第一リンクアーム32の上端部は、第二リンクアーム33の上端部に、左右方向を向く第二上部リンク軸37を中心として回動可能に連結されている。
【0026】
第二リンクアーム33は、縦框23の上部で、縦枠13側(左右方向の端部側)を向く面に設けられている。第二リンクアーム33は、縦框23に螺子33zで複数箇所に螺子止めされている。
【0027】
第二リンクアーム33の下部は、第三リンクアーム34の上端部に、左右方向を向く第三上部リンク軸38を中心として回動可能に連結されている。
【0028】
第三リンクアーム34の下端部は、リンクベース31の下部に、左右方向を向く第四上部リンク軸39を中心として回動可能に連結されている。
【0029】
支持ブラケット40は、縦枠13の下部と縦框23の下部とを連結している。支持ブラケット40は、枠ベース41と、框ベース42と、第一支持アーム43と、第二支持アーム44と、を有している。
【0030】
枠ベース41は、縦枠13の上部で、縦框23側(左右方向の中央側)を向く面に設けられている。枠ベース41は、縦枠13に螺子41zで複数箇所に螺子止めされている。
【0031】
框ベース42は、縦框23の下部に、縦枠13側を向く面に設けられている。框ベース42は、縦框23に螺子42zで複数箇所に螺子止めされている。
【0032】
第一支持アーム43の下端部は、枠ベース41に、左右方向を向く第一下部リンク軸46を中心として回動可能に連結されている。
【0033】
第一支持アーム43の上端部は、第二支持アーム44の上端部に、左右方向を向く第二下部リンク軸47を中心として回動可能に連結されている。
【0034】
第二支持アーム44の下端部は、框ベース42に、左右方向を向く第三下部リンク軸48を中心として回動可能に連結されている。
【0035】
次に、上枠11の構成について説明する。
図4は、横辷り出し窓100の上部の構成を示す図であり、屋内外方向に沿う縦断面図である。
図4に示すように、上枠11は、金属枠体1Aの金属上枠11Aは、屋外側に配置された外側金属上枠111Aと屋内側に配置された内側金属上枠112Aとが、樹脂製のブリッジ材113を挟んで連結されている。内側金属上枠112Aの下部には、樹脂製の樹脂上枠11Bが連結されている。
【0036】
外側金属上枠111Aは、上部枠板部121と、下部枠板部122と、外側連結部123と、内側連結部124と、を有している。
【0037】
上部枠板部121は、板状に形成されている。上部枠板部121は、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。
【0038】
下部枠板部122は、上部枠板部121の下方に配置されている。下部枠板部122は、板状に形成されている。下部枠板部122は、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。下部枠板部122の下面122dは、障子2の上框21に対向している。
【0039】
外側連結部123は、上部枠板部121の屋外側の部分と下部枠板部122の屋外側の部分とを連結している。内側連結部124は、上部枠板部121の屋内側の部分と下部枠板部122の屋内側の部分とを連結している。
【0040】
下部枠板部122には、下方に向かって延びる枠側フィン(垂下部)125が設けられている。枠側フィン125は、上枠11の延在方向にわたって設けられている。
【0041】
枠側フィン125は、第一垂下壁部126と、傾斜壁部127と、第二垂下壁部128と、を有している。
【0042】
第一垂下壁部126は、下部枠板部122から鉛直下方に向かって延びている。第一垂下壁部126は、板状に形成されている。第一垂下壁部126は、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0043】
傾斜壁部127は、第一垂下壁部126の下端部から、下方に向かうにしたがって次第に屋外側に傾斜するように延びている。傾斜壁部127は、板状に形成されている。傾斜壁部127は、該傾斜壁部127の傾斜方向と直交する方向に向けて配置されている。
【0044】
第二垂下壁部128は、傾斜壁部127の下端部から鉛直下方に向かって延びている。第二垂下壁部128は、板状に形成されている。第二垂下壁部128は、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0045】
次に、上框21の構成について説明する。
上框21は、屋外側に配置された金属框体20Aの金属上框21Aと、屋内側に配置された樹脂框体20Bの樹脂上框21Bとが連結されている。
【0046】
金属上框21Aは、上部框板部211と、外側框板部(壁部)212と、を有している。上部框板部211は、上枠11の下部枠板部122の下方に配置されている。
【0047】
上部框板部211は、板状に形成されている。上部框板部211は、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。上部框板部211の下面は、ガラス29の周縁部が配置される溝28の底部(ガラス29の端面側を向く面)を形成している。上部框板部211の屋内側の端部は、樹脂上框21Bに連結されている。
【0048】
外側框板部212は、上部框板部211の屋外側に、上下方向に沿って配置されている。外側框板部212は、板状に形成されている。外側框板部212は、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0049】
上部框板部211の屋内外方向の中間には、上方に延びる中間框板部216が設けられている。中間框板部216は、板状に形成されている。中間框板部216は、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0050】
上部框板部211の上面211uに沿って、補強材(取付部材)220が設けられている。補強材220は、上框21の延在方向(左右方向)の中央に設けられている。
【0051】
補強材220は、底板部(底壁部)221と、外側板部(屋外側壁部)222と、框側フィン(立設部)223と、を有している。底板部221、外側板部222及び框側フィン223は、一体として形成されている。例えば、補強材220は、ステンレス鋼板で形成されている。
【0052】
底板部221は、上部框板部211の上面211uに沿って配置されている。底板部221は、板状に形成されている。底板部221は、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。
【0053】
底板部221には、上下方向に貫通する取付孔221hが形成されている。取付孔221hに挿通された螺子221zは、上部框板部211にねじ込まれている。螺子221zは、左右方向に離間して複数箇所に螺子止めされている。
【0054】
外側板部222は、底板部221の屋外側の端部から上方に向かって延びている。外側板部222は、板状に形成されている。外側板部222は、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0055】
框側フィン223は、第一傾斜板部(傾斜部)224と、第二傾斜板部(傾斜部)225と、延出板部226と、を有している。框側フィン223は、上枠11の枠側フィン125よりも屋内側に配置されている。
【0056】
第一傾斜板部224は、底板部221の屋内側の端部から、上方に向かうにしたがって次第に屋内側に傾斜するように延びている。第一傾斜板部224は、板状に形成されている。第一傾斜板部224は、板厚方向を該第一傾斜板部224の傾斜方向と直交する方向に向けて配置されている。
【0057】
第二傾斜板部225は、第一傾斜板部224の屋内側の端部から、上方に向かうにしたがって次第に屋内側に傾斜するように延びている。第二傾斜板部225の傾斜角(第二傾斜板部225の延在方向と水平面とのなす角度)は、第一傾斜板部224の傾斜角(第一傾斜板部224の延在方向と水平面とのなす角度)よりも小さい。第二傾斜板部225は、板状に形成されている。第二傾斜板部225は、板厚方向を該第二傾斜板部225の傾斜方向と直交する方向に向けて配置されている。
【0058】
第一傾斜板部224と第二傾斜板部225との接続部分の下面は、金属上框21Aの中間框板部216の上端部に当接している。
【0059】
延出板部226は、第二傾斜板部225の屋内側の端部から屋内側に向かって延びている。延出板部226は、板状に形成されている。延出板部226は、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。
【0060】
框側フィン223と上枠11の枠側フィン125とでは、框側フィン223の第一傾斜板部224の上部、第二傾斜板部225及び延出板部226と枠側フィン125の傾斜壁部127及び第二垂下壁部128とが、屋内外方向に対向(屋内外方向に重なって)配置されている。
【0061】
補強材220では、屋内外方向に沿う鉛直断面が上向き略コ字状をなしているため、剛性が高められている。また、第一傾斜板部224が下方に向かうにしたがって次第に屋外側に傾斜するように形成されているため、外側板部222と第一傾斜板部224との距離は上側よりも下側の方が短い。これにより、補強材220を金属上框21Aの上部框板部211上に配置する際には、外側框板部212と中間框板部216との間に嵌め込みやすい。
【0062】
次に、障子2の開閉時の動作について説明する。
図2に示す障子2が閉じた状態から、操作者が障子2の下端部に設けられたレバー25(図1参照。以下同じ。)を持って屋外側に押す。図3に示すように、ステー30では、第一リンクアーム32は、上端部に設けられた第二上部リンク軸37及び下端部に設けられた第一上部リンク軸36を中心に回動する。また、第三リンクアーム34は、上端部に設けられた第三上部リンク軸38及び下端部に設けられた第四上部リンク軸39を中心に回動する。
【0063】
第一リンクアーム32及び第三リンクアーム34は、上端部を屋外側に向けるように傾斜して、障子2が下端部を上端部よりも大きく屋外側に変位させて枠体1内を開放する。
【0064】
また、支持ブラケット40では、第一支持アーム43は、下端部に設けられた第一下部リンク軸46及び上端部に設けられた第二下部リンク軸47を中心に回動する。また、第二支持アーム44は、上端部に設けられた第二下部リンク軸47及び下端部に設けられた第三下部リンク軸48を中心に回動する。障子2が開くにともない、第一支持アーム43と第二支持アーム44とは、下端部どうしを離間させるようにそれぞれ回動する。
【0065】
図5は、障子2が図4に示す位置から開いた状態を示し、屋内外方向に沿う縦断面図である。図6は、障子2が図5に示す位置からさらに開いた状態を示し、屋内外方向に沿う縦断面図である。図7は、障子2が図6に示す位置からさらに開いた状態を示し、屋内外方向に沿う縦断面図である。図8は、障子2が図7に示す位置からさらに開いた状態を示し、屋内外方向に沿う縦断面図である。
【0066】
上記の横辷り出し窓100において、図4に示す障子2が枠体1内を閉塞する閉位置から枠体1内を開放する開位置への変位する際には、図5及び図6に示すように、上框21に設けられた補強材220の第一傾斜板部224が、上枠11に設けられた枠側フィン125の下方を通過する。さらに、障子2が変位すると、図7及び図8に示すように、補強材220の第二傾斜板部225が、上枠11に設けられた枠側フィン125の下方を通過する。このように、補強材220が枠側フィン125に干渉することなく、障子2は開位置へと変位する。
また、開位置から閉位置へは、障子2が上記の軌跡を逆に変位して、上記と同様に補強材220が枠側フィン125に干渉することがない。
【0067】
このように構成された横辷り出し窓100では、上枠11に設けられた枠側フィン125と上框21に設けられた補強材220の框側フィン223とでは、枠側フィン125の傾斜壁部127及び第二垂下壁部128と補強材220の第一傾斜板部224の上部、第二傾斜板部225及び延出板部226とが、屋内外方向に対向(屋内外方向に重なって)配置されている。よって、負圧が生じた際には、枠側フィン125及び框側フィン223の互いに対向している部分が負圧を受けて抗するため、障子2の屋外側への変位を軽減でき、耐風圧性を確保することができる。
【0068】
また、框側フィン223の上部には上方に向かうにしたがって次第に屋内側に傾斜する第一傾斜板部224及び第二傾斜板部225が設けられているため、障子2の開閉時、つまり障子2が屋内外方向に変位する際に、框側フィン223は上枠11の枠側フィン125の下方を通過する。よって、框側フィン223が枠側フィン125に干渉することがないため、障子2の開閉をスムーズにすることができる。
【0069】
また、框側フィン223では、第一傾斜板部224の上部に設けられた第二傾斜板部225の傾斜角は、第一傾斜板部224の傾斜角よりも小さい。よって、障子2の開閉時に、框側フィン223が枠側フィン125に干渉することがより一層抑制される。
【0070】
また、框側フィン223において、第一傾斜板部224の上部に、第一傾斜板部224の傾斜角よりも小さい傾斜角で形成された第二傾斜板部225を設けることにより、框側フィン223の高さが確保される。よって、枠側フィン125と框側フィン223との間で、屋内外方向に対向する部分の高さが確保されるため、耐風圧性をより一層確保することができる。
【0071】
また、補強材220は、上框21の上面に沿って配置された底板部221と、底板部221の屋外側の端部から上方に延びる外側板部222と、底板部221の屋内側の端部から上方に延びる框側フィン223と、を有している。よって、補強材220は屋内外方向に沿う鉛直断面が上向き略コ字状をなしているため、補強材220の剛性が高められ、負圧に対して確実に抗することができる。
【0072】
また、外側板部222は上框21の屋外側に沿って延びる外側框板部212の屋内側の面に沿って配置されているため、上框21の外側框板部212が外側板部222で補強される。
【0073】
また、補強材220は障子2の左右方向の中央に設けられているため、負圧が大きく生じる左右方向の中央で、障子2の屋外側への変位を確実に軽減することができる。
【0074】
また、横辷り出し窓100の施工誤差等により障子2が上方に設置されてしまった場合、補強材220の延出板部226が無いと、図8に示す開位置から障子2を閉塞する際に、第二傾斜板部225の上端部が枠側フィン125の下端部に接触してしまい、第二傾斜板部225が枠側フィン125を屋内側に乗り越えることができず、障子2が閉じない可能性がある。本実施形態では、補強材220に延出板部226を設けることで、障子2が上方に設置されてしまった場合、延出板部226が枠側フィン125の下端部に当接させて、延出板部226上に枠側フィン125を滑らせて、障子2が閉じることができる。
【0075】
(変形例1)
次に、本発明の変形例1に係る横辷り出し窓について、主に図9を用いて説明する。
図9は、本発明の一実施形態の変形例1に係る横辷り出し窓の上部の構成を示す図であり、屋内外方向に沿う縦断面図である。なお、図9において、開閉時の障子の軌跡を二点鎖線で示している。
下記に示す変形例の説明において、前述した部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0076】
図9に示すように、本変形例では、補強材(取付部材)220Aの框側フィン(立設部)223Aは、立ち上がり板部227と、傾斜板部(傾斜部)228と、折り返し板部229と、を有している。框側フィン223Aは、上枠11の枠側フィン125よりも屋内側に配置されている。
【0077】
立ち上がり板部227は、底板部221の屋内側の端部から鉛直上方に延びている。立ち上がり板部227は、板状に形成されている。立ち上がり板部227は、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。立ち上がり板部227は、金属上框21Aの中間框板部216よりも屋外側に配置されている。
【0078】
傾斜板部228は、立ち上がり板部227の上端部から、上方に向かうにしたがって次第に屋内側に傾斜するように延びている。傾斜板部228は、板状に形成されている。傾斜板部228は、板厚方向を該傾斜板部228の傾斜方向と直交する方向に向けて配置されている。傾斜板部228の下面は、金属上框21Aの中間框板部216の上端部に当接している。
【0079】
折り返し板部229は、傾斜板部228の屋内側の端部から傾斜板部228の下面に沿って折り返されている。換言すると、折り返し板部229は、下方に向かうにしたがって次第に屋外側に傾斜するように延びている。折り返し板部229は、板状に形成されている。折り返し板部229は、板厚方向を該折り返し板部229の傾斜方向と直交する方向に向けて配置されている。
【0080】
框側フィン223Aと上枠11の枠側フィン125とでは、框側フィン223Aの立ち上がり板部227の上部及び傾斜板部228と枠側フィン125の傾斜壁部127及び第二垂下壁部128とが、屋内外方向に対向(屋内外方向に重なって)配置されている。
【0081】
補強材220Aでは、屋内外方向に沿う鉛直断面が上向き略コ字状をなしているため、剛性が高められている。また、補強材220Aの外側板部222と立ち上がり板部227との距離が金属上框21Aの外側框板部212と中間框板部216との距離よりも短いため、補強材220Aを金属上框21Aの上部框板部211上に配置する際には、外側框板部212と中間框板部216との間に配置しやすい。
【0082】
上記の横辷り出し窓100Aにおいて、図9に実線で示す障子2が枠体1内を閉塞する閉位置から、図9に二点鎖線で示す障子2が枠体1内を開放する開位置への変位する際には、上框21に設けられた補強材220Aの立ち上がり板部227が、上枠11に設けられた枠側フィン125の下方を通過する。さらに、障子2が変位すると、補強材220Aの傾斜板部228及び折り返し板部229が、上枠11に設けられた枠側フィン125の下方を通過する。このように、補強材220Aが枠側フィン125に干渉することなく、障子2は開位置へと変位する。
また、開位置から閉位置へは、障子2が上記の軌跡を逆に変位して、上記と同様に補強材220が枠側フィン125に干渉することがない。
【0083】
このように構成された横辷り出し窓100Aでは、上枠11に設けられた枠側フィン125と上框21に設けられた補強材220Aの框側フィン223Aとでは、枠側フィン125の傾斜壁部127及び第二垂下壁部128と補強材220Aの立ち上がり板部227の上部及び傾斜板部228とが、屋内外方向に対向(屋内外方向に重なって)配置されている。よって、負圧が生じた際には、枠側フィン125及び框側フィン223Aの互いに対向している部分が負圧を受けて抗するため、障子2の屋外側への変位を軽減でき、耐風圧性を確保することができる。
【0084】
また、框側フィン223Aの上部には上方に向かうにしたがって次第に屋内側に傾斜する傾斜板部228及び折り返し板部229が設けられているため、障子2の開閉時、つまり障子2が屋内外方向に変位する際に、框側フィン223Aは上枠11の枠側フィン125の下方を通過する。よって、框側フィン223Aが枠側フィン125に干渉することがないため、障子2の開閉をスムーズにすることができる。
【0085】
また、框側フィン223Aの傾斜板部228の下面には折り返し板部229が設けられているため、傾斜板部228が折り返し板部229で補強され、傾斜板部228の剛性が高められる。
【0086】
(変形例2)
次に、本発明の変形例2に係る横辷り出し窓について、主に図10を用いて説明する。
図10は、本発明の一実施形態の変形例2に係る横辷り出し窓の上部の構成を示す図であり、屋内外方向に沿う縦断面図である。
【0087】
図10に示すように、本変形例では、補強材(取付部材)220Bの框側フィン(立設部)223Bは、立ち上がり板部227と、傾斜板部(傾斜部)228と、延出板部230と、下向き板部231と、を有している。框側フィン223Bは、上枠11の枠側フィン125よりも屋内側に配置されている。
【0088】
延出板部230は、傾斜板部228の屋内側の端部から屋内側に延びている。延出板部230は、板状に形成されている。延出板部230は、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。
【0089】
下向き板部231は、延出板部230の屋内側の端部から下方に延びている。下向き板部231は、板状に形成されている。下向き板部231は、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。下向き板部231の下端部は、上框21の上面に当接している。
【0090】
框側フィン223Bと上枠11の枠側フィン125とでは、框側フィン223Bの立ち上がり板部227の上部、傾斜板部228及び延出板部230と枠側フィン125の傾斜壁部127及び第二垂下壁部128とが、屋内外方向に対向(屋内外方向に重なって)配置されている。さらに、框側フィン223Bの下向き板部231は、枠側フィン125の傾斜壁部127及び第二垂下壁部128と屋内外方向に重なって配置されるとともに、框側フィン223Bの立ち上がり板部227、傾斜板部228及び延出板部230と屋内外方向に重なって配置されている。
【0091】
補強材220Bでは、屋内外方向に沿う鉛直断面が略Sコ字状をなしているため、剛性が高められている。また、補強材220Bの外側板部222と立ち上がり板部227との距離が金属上框21Aの外側框板部212と中間框板部216との距離よりも短いため、補強材220Bを金属上框21Aの上部框板部211上に配置する際には、外側框板部212と中間框板部216との間に配置しやすい。
【0092】
このように構成された横辷り出し窓100Bでは、上枠11に設けられた枠側フィン125と上框21に設けられた補強材220Bの框側フィン223Bとでは、枠側フィン125の傾斜壁部127及び第二垂下壁部128と補強材220Bの立ち上がり板部227の上部、傾斜板部228及び延出板部230とが、屋内外方向に対向(屋内外方向に重なって)配置されている。さらに、補強材220Bの下向き板部231は、枠側フィン125の傾斜壁部127及び第二垂下壁部128と屋内外方向に重なって配置されるとともに、框側フィン223Bの立ち上がり板部227、傾斜板部228及び延出板部230と屋内外方向に重なって配置されている。よって、負圧が生じた際には、枠側フィン125及び框側フィン223Bの互いに屋内外方向に重なっている部分が負圧を受けて抗するため、障子2の屋外側への変位を軽減でき、耐風圧性を確保することができる。
【0093】
また、框側フィン223Bの上部には上方に向かうにしたがって次第に屋内側に傾斜する傾斜板部228が設けられているため、障子2の開閉時、つまり障子2が屋内外方向に変位する際に、框側フィン223Bは上枠11の枠側フィン125の下方を通過する。よって、框側フィン223Bが枠側フィン125に干渉することがないため、障子2の開閉をスムーズにすることができる。
【0094】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0095】
例えば、上記に示す実施形態では、補強材220は上框21とは別体で設けられ、上框21に螺子止めされているが、本発明はこれに限られない。上方に向かうにしたがって次第に屋内側に傾斜する傾斜部を有する立設部が上框に設けられていればよく、例えば、金属上框21Aの上部框板部211から立設部が直接立ち上がるように設けられていてもよい。
【0096】
また、上記に示す実施形態では、補強材220は底板部221と外側板部222とを有しているが、本発明はこれに限られない。例えば、補強材の立設部が金属上框21Aの中間框板部216等に固定される構成であってもよい。
【0097】
また、上記に示す実施形態では、補強材220は上框21の左右方向の中央に設けられているが、本発明はこれに限られず、障子の左右方向に離間して複数箇所に設けられていたり、上框21の延在方向の略全長にわたって設けられていたりしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…枠体
2…障子
11…上枠
12…下枠
13…縦枠
14…見込み板部
20…框体
21…上框
22…下框
23…縦框
25…レバー
29…ガラス
30…ステー
31…リンクベース
32…第一リンクアーム
33…第二リンクアーム
34…第三リンクアーム
36…第一上部リンク軸
37…第二上部リンク軸
38…第三上部リンク軸
39…第四上部リンク軸
40…支持ブラケット
41…枠ベース
42…框ベース
43…第一支持アーム
44…第二支持アーム
46…第一下部リンク軸
47…第二下部リンク軸
48…第三下部リンク軸
100…横辷り出し窓
125…枠側フィン(垂下部)
212…外側框板部(壁部)
220…補強材(取付部材)
221…底板部(底壁部)
222…外側板部(屋外側壁部)
223…框側フィン(立設部)
224…第一傾斜板部(傾斜部)
225…第二傾斜板部(傾斜部)
226…延出板部
W…開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10