(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】撹拌装置
(51)【国際特許分類】
C02F 3/12 20060101AFI20220701BHJP
C02F 3/28 20060101ALI20220701BHJP
B01F 27/90 20220101ALI20220701BHJP
B01F 27/112 20220101ALI20220701BHJP
B01F 35/53 20220101ALI20220701BHJP
【FI】
C02F3/12 A
C02F3/28 A
B01F27/90
B01F27/112
B01F35/53
(21)【出願番号】P 2018068963
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000101042
【氏名又は名称】アクアス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000171919
【氏名又は名称】佐竹マルチミクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【氏名又は名称】澤木 紀一
(74)【代理人】
【識別番号】100081787
【氏名又は名称】小山 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】上野 浩史
(72)【発明者】
【氏名】石間 智生
(72)【発明者】
【氏名】市川 真治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 好一
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 健一
(72)【発明者】
【氏名】根本 孝宏
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-072762(JP,U)
【文献】特開2012-030155(JP,A)
【文献】特開2000-246269(JP,A)
【文献】特開2003-019489(JP,A)
【文献】特開平08-103781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/12
C02F 3/02 - 3/10
C02F 3/28 - 3/34
B01F 27/00 - 27/96
B01F 35/75
B01F 23/20 - 23/2375
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体を有する液体が容れられる処理槽と、
該処理槽内に設けられた回転翼と、
前記処理槽の底部に固定された放射状に延びる静翼と、
担体分離室とよりなり、
該担体分離室は、前記処理槽内に連通するよう形成した上部開口部及び下部開口部とを有する流路室部と、前記流路室部の下部に連通するよう形成した排水用開口部と上部に設けた排出口とを有する分離室部とよりな
り、
前記下部開口部の、前記回転翼の回転方向の後方側には、該回転方向の前方側に向かって、前記処理槽内の中心方向側に傾斜したカバー板が設けられていることを特徴とする撹拌装置。
【請求項2】
前記下部開口部は、該下部開口部の開口面積が、前記上部開口部の開口面積よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の撹拌装置。
【請求項3】
前記流路室部は、上部の流路室部の流路断面積が、下部の流路室部の流路断面積よりも、小さく形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の撹拌装置。
【請求項4】
担体を有する液体が容れられる処理槽と、
該処理槽内に設けられた回転翼と、
前記処理槽の底部に固定された放射状に延びる静翼と、
担体分離室とよりなり、
該担体分離室は、前記処理槽内に連通するよう形成した上部開口部及び下部開口部とを有する流路室部と、前記流路室部の下部に連通するよう形成した排水用開口部と上部に設けた排出口とを有する分離室部とよりなり、
前記下部開口部は、該下部開口部の開口面積が、前記上部開口部の開口面積よりも大きく形成されていることを特徴とする撹拌装置。
【請求項5】
前記下部開口部の、前記回転翼の回転方向の後方側には、該回転方向の前方側に向かって、前記処理槽内の中心方向側に傾斜したカバー板が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の撹拌装置。
【請求項6】
前記流路室部は、上部の流路室部の流路断面積が、下部の流路室部の流路断面積よりも、小さく形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の撹拌装置。
【請求項7】
担体を有する液体が容れられる処理槽と、
該処理槽内に設けられた回転翼と、
前記処理槽の底部に固定された放射状に延びる静翼と、
担体分離室とよりなり、
該担体分離室は、前記処理槽内に連通するよう形成した上部開口部及び下部開口部とを有する流路室部と、前記流路室部の下部に連通するよう形成した排水用開口部と上部に設けた排出口とを有する分離室部とよりなり、
前記流路室部は、上部の流路室部の流路断面積が、下部の流路室部の流路断面積よりも、小さく形成されていることを特徴とする撹拌装置。
【請求項8】
前記下部開口部の、前記回転翼の回転方向の後方側には、該回転方向の前方側に向かって、前記処理槽内の中心方向側に傾斜したカバー板が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の撹拌装置。
【請求項9】
前記下部開口部は、該下部開口部の開口面積が、前記上部開口部の開口面積よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の撹拌装置。
【請求項10】
前記担体分離室は、第1の仕切板を有する箱体により形成され、
前記流路室部と前記分離室部とは、該箱体の天井板から、下方の所望の位置まで延びる前記第1の仕切板により仕切られてそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1に記載の撹拌装置。
【請求項11】
前記流路室部は、上部の上部流路室部と下部の下部流路室部とにより形成され、
前記上部の上部流路室部は、前記流路室部の天井板から、下方の所望の位置まで延びる第2の仕切板が設けられ、
該第2の仕切板により、上部の上部流路室部の流路断面積が、下部の下部流路室部の流路断面積よりも、小さく形成されていることを特徴とする請求項10に記載の撹拌装置。
【請求項12】
前記第1の仕切板の下部には、前記下部開口部側に向かう下方に傾斜した傾斜面を有する整流部を設けたことを特徴とする請求項10または11に記載の撹拌装置。
【請求項13】
前記分離室部内に、前記第1の仕切板に対向する、底面から所望の高さまで延びる衝立板を更に設けたことを特徴とする請求項10、11または12に記載の撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撹拌装置、特に、微生物や触媒を担持した担体を有する排水などの液体を撹拌しながら処理する微生物反応装置や排水処理装置などの撹拌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排水を処理するために、排水に微生物や触媒を担持した担体を撹拌して、排水を浄化する方法がある。
【0003】
図19及び
図20は従来の微生物反応装置などの撹拌装置を示し、1は、撹拌装置、2は、該撹拌装置1の処理槽を示し、該処理槽2は、例えば、槽径(直径)が1~10m、高さが、槽径に対して、0.5~5倍の高さの縦型の円筒状よりなる。
【0004】
3は、回転翼を示し、該回転翼3は、例えば、翼径が槽径に対して0.3~0.6倍の長さであり、前記処理槽2の上部から垂設された回転軸3aの下端に半径方向に放射状に固定される。
【0005】
前記回転翼3は、例えば、4枚のフラットパドル翼などの矩形板状の翼板からなり、モータ等の駆動手段(図示せず)により前記回転軸3aを介して、前記処理槽2内に所望の高さまで容れられた液体内の上部、例えば、液面の近傍において回転するように設けられている。
【0006】
4は、静翼を示し、該静翼4は、例えば、4枚の複数の直線状の帯状板からなり、前記回転翼3の下方の前記処理槽2の底部2aの中心に放射状に等角度に離間して固定される。
【0007】
また、前記各帯状板は、例えば、
図20に示すように、該帯状板の交差部に相当する前記帯状体の中心部は互に間隙5を有すると共に、該各帯状板は、例えば、前記回転翼3の回転方向の前方で、前記底部2aの中心を通る半径線Rから間隔dを開けて並行に固定されている。
【0008】
6は、流入管を示し、該流入管6は、例えば、前記処理槽2の側壁の下部に設けられ、処理すべき処理水などの液体を前記処理槽2内に容れるように設けられている。なお、該流入管6は、前記処理槽2の上部に設けてもよい。
【0009】
7は、担体分離室を示し、該担体分離室7は、例えば、上下方向に延びる箱体よりなり、前記処理槽2の側壁の外側に設けられ、下端において、前記処理槽2の側壁の下端に設けられた開口部8に連通し、上部において、排水を排出する排出口9が設けられている。
【0010】
前記従来の撹拌装置においては、微生物や触媒などを担持した担体を有する処理水などの液体を、前記処理槽2内に所望の高さまで流入させて、前記回転翼3を回転させることにより、前記処理槽2内の処理水は、
図19に示すように、前記回転翼3により、半径方向外方に吐出されて、前記処理槽2の側壁内面に当接し、そして、該側壁内面に沿って旋回しながら下方の槽底部に向かう緩やかな下降流Pを形成し、その後、前記処理槽2の底部の中心部において、前記静翼4により、上昇流Qを引き起こし、これにより、前記回転翼3と前記静翼4との間で循環流が形成され、前記処理槽2内で例えば、低せん断かつ低動力により担体のダメージを防ぎ、液体の混合・均一分散化を図ることができるようになる。
【0011】
また、生物処理等された処理水は、前記開口部8を通じて、前記担体分離室7に流入し、そして、処理水に含まれる担体は前記担体分離室7内で、下方に沈下し、前記開口部8から処理槽2内に戻され、担体のない処理水のみが、上部の前記排出口9から、外部に排出されるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前記従来の担体分離室7では、該担体分離室7内に入り込んだ担体が、処理槽2内に戻りにくく、また、担体のない処理水のみを効率よく排出口9から外部に排出することができなかった。
【0014】
本発明は、簡単な構成で、担体等の処理槽外部への排出を防ぎ、担体のない処理水のみを効率よく外部に排出できる撹拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の目的を達成すべく、本発明の撹拌装置は、担体を有する液体が容れられる処理槽と、該処理槽内に設けられた回転翼と、前記処理槽の底部に固定された放射状に延びる静翼と、担体分離室とよりなり、該担体分離室は、前記処理槽内に連通するよう形成した上部開口部及び下部開口部とを有する流路室部と、前記流路室部の下部に連通するよう形成した排水用開口部と上部に設けた排出口とを有する分離室部とよりなることを特徴とする。
【0016】
また、前記下部開口部の、前記回転翼の回転方向の後方側には、該回転方向の前方側に向かって、前記処理槽内の中心方向側に傾斜したカバー板が設けられていることを特徴とする。
【0017】
また、前記下部開口部は、該下部開口部の開口面積が、前記上部開口部の開口面積よりも大きく形成されていることを特徴とする。
【0018】
また、前記流路室部は、上部の流路室部の流路断面積が、下部の流路室部の流路断面積よりも、小さく形成されていることを特徴とする。
【0019】
また、前記担体分離室は、第1の仕切板を有する箱体により形成され、前記流路室部と前記分離室部とは、該箱体の天井板から、下方の所望の位置まで延びる前記第1の仕切板により仕切られてそれぞれ形成されることを特徴とする。
【0020】
また、前記流路室部は、上部の上部流路室部と下部の下部流路室部とにより形成され、前記上部の上部流路室部は、前記流路室部の天井板から、下方の所望の位置まで延びる第2の仕切板が設けられ、該第2の仕切板により、上部の上部流路室部の流路断面積が、下部の下部流路室部の流路断面積よりも、小さく形成されていることを特徴とする。
【0021】
また、前記第1の仕切板の下部には、前記下部開口部側に向かう下方に傾斜した傾斜面を有する整流部を設けたことを特徴とする。
【0022】
また、前記分離室部内に、前記第1の仕切板に対向する、底面から所望の高さまで延びる衝立板を更に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、簡単な構成で、担体等の処理槽外部への排出を防ぎ、担体のない処理水のみを効率よく外部に排出できる撹拌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例1の撹拌装置の縦断側面図である。
【
図2】本発明の実施例1の撹拌装置の横断平面図である。
【
図4】本発明の、処理槽内から見た担体分離室の正面図である。
【
図6】本発明の、カバー体を分離した担体分離室の説明用斜視図である。
【
図7】本発明の担体分離室の他の実施例の縦断側面図である。
【
図8】本発明の担体分離室の説明用縦断側面図である。
【
図10】本発明の担体分離室の説明用模式図である。
【
図11】本発明の担体分離室の説明用模式図である。
【
図12】本発明の第2実施例の担体分離室の説明用斜視図である。
【
図13】本発明の第2実施例の、処理槽内から見た担体分離室の説明用正面図である。
【
図14】本発明の第3実施例の担体分離室の説明用縦断側面図である。
【
図15】本発明の第3実施例の担体分離室の他の実施例の説明用斜視図である。
【
図16】本発明の第3実施例の担体分離室の他の実施例の説明用縦断側面図である。
【
図17】本発明の、処理槽内から見た担体分離室の他の例の正面図である。
【
図18】本発明の、処理槽内から見た担体分離室の更に他の例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。なお、前記従来例と同じ部分には、同じ符号を付け、説明を省略する。
【実施例1】
【0026】
【0027】
(1.担体分離室の説明)
【0028】
本発明の撹拌装置10は、前記従来の撹拌装置1において、前記担体分離室7を用いる代わりに、前記処理槽2の側壁の外側に、担体分離室11を設ける。
【0029】
該担体分離室11は、
図1及び
図2に示すように、流路室部12と分離室部13との前後又は左右に並列する2室よりなる。また、前記流路室部12は、上下方向に延びて形成され、前記処理槽2内からの処理水が入流するよう、前記処理槽2内に連通するよう形成した上部開口部14と、該流路室部12内に流入した処理水が、前記処理槽2内に流出するよう、前記処理槽2内に連通するよう形成した、前記上部開口部14よりも下方に設けた下部開口部15とを有する。また、前記分離室部13は、上下方向に延びて形成され、前記流路室部12内の処理水の一部が流入するよう、該流路室部12内の下部に連通するように形成された排水用開口部16を下部に有すると共に、上部に排出口17を有する。
【0030】
なお、前記上部開口部14から前記流路室部12内に流入した、前記処理槽2からの処理水が、前記排水用開口部16よりも、前記下部開口部15から流出しやすくするために、前記分離室部13の排水用開口部16の上端開口縁は、前記下部開口部15の上端開口縁と同じ高さ、あるいは、若干下方にあることが好ましい。
【0031】
(2.カバー体の説明)
【0032】
また、前記下部開口部15の、前記回転翼3の回転方向の後方側の縁部15aに、回転方向の前方側に向かって、処理槽2の中心方向側に傾斜して延びるカバー板18aを有するカバー体18を設け、前記処理槽2内の側壁の内周面を旋回する処理水が、前記下部開口部15から前記流路室部12内に入流することを防止するようにしてもよい。
【0033】
(3.担体分離室の一例の説明)
【0034】
前記担体分離室11は、例えば、
図3~
図6に示すように、その面が互いに平行に対向して配置された垂直方向に延びる左右の側壁11a、11bと、前記処理槽2の側壁の外周面に固定された前面板11cと、該前面板11cの面に対向して配置された背面板11dと、底面板11eと、水平状に延びる天井板11fとの箱体に形成され、前記前面板11cの上端には、前記処理槽2内に連通した前記上部開口部14が形成されると共に、前記前面板11cの下端に、前記処理槽2内に連通した前記下部開口部15が形成される。
【0035】
なお、前記下部開口部15の開口面積は、前記上部開口部14の開口面積より大きく形成することが望ましい。
【0036】
なお、前記担体分離室11は、前記処理槽2の下方に設けられ、例えば、
図1に示すように、前記処理槽の底部からの高さ(L1)が、例えば、槽径に対して0.1~0.5倍の高さに設けられる。
【0037】
また、前記箱体状の担体分離室11は、例えば、
図3及び
図4に示すように、縦方向の長さ(L2)が槽径に対して0.3~0.6倍の長さ、横方向(左右方向)の長さ(L3)が槽径に対して0.1~0.3倍の長さ、奥行きの長さ(L4)が槽径に対して0.2~0.4倍の長さである。
【0038】
また、前記箱体内において、前記前面板11cと前記背面板11dとの間に、前記箱体内を、前面側と背面側とに仕切る、例えば、両側辺が前記左右の側壁11a、11bに接続され、前記天井板11fから下方の所望の位置まで延びる、垂直状の矩形状の第1の仕切板19が設けられる。
【0039】
なお、前記第1の仕切板19は、
図3に示すように、前記前面板11cから、所望の距離(L5)、例えば、槽径に対して0.05~0.2倍の距離、離間して設けられる。
【0040】
該第1の仕切板19は、天井板11fから、例えば、前記下部開口部15の上端縁と略同じ位置の高さまで延び、該第1の仕切板19の下端と前記底面板11eとの間には、排水用開口部16が形成されるようになる。
【0041】
そして、前記第1の仕切板19により、前記箱体内において、該第1の仕切板19の一方の面側の一方の部屋と、他方の面側の他方の部屋との2室が形成され、それぞれ、前記流路室部12と分離室部13とが形成されるようになる。
【0042】
即ち、前記箱体は、例えば、前記第1の仕切板19により、前後の2室に仕切られ、前面側が前記流路室部12となり、背面側が、前記分離室部13となる。
【0043】
なお、前記前面板11cは、前記処理槽2の側壁自体により構成されてもよい。
【0044】
また、前記上部開口部14は、例えば、矩形状の開口に形成され、横方向(左右方向)が、前記左側の側壁11aから右側の側壁11bに至り、縦方向(上下方向)が、前記天井板11fから、下方に所望の長さ(L6)、例えば、槽径に対して0.01~0.1倍の長さで形成される。
【0045】
また、前記下部開口部15は、例えば、矩形状の開口に形成され、横方向(左右方向)が、前記左側の側壁11aから右側の側壁11bに至り、縦方向が、前記底面板11eから、上方に所望の長さ(L7)、例えば、槽径に対して0.05~0.2倍の長さに形成される。なお、前記下部開口部15の開口の縦方向の長さ(L7)は、前記上部開口部14の開口の縦方向の長さ(L6)よりも大きく形成するのが好ましく、これにより、より前記流路室部12内の処理水が、前記下部開口部15を通じて、前記処理槽2内に排出されやすくなる。
【0046】
なお、前記底面板11eは、例えば、
図3に示すように、凹状に湾曲させる以外に、
図7に示すように、直線状に傾斜させるようにしてもよい。
【0047】
また、前記底面板11eを、前記下部開口部15の縁部から水平状に延び、そこから、直線状に上方に傾斜させて、前記背面板11dに接続するようにしてもよい。
【0048】
また、
図4に示すように、前記下部開口部15を、前記上部開口部14の真下に設ける以外に、例えば、
図17に示すように、前記上部開口部14を、回転翼3の回転方向の後方側に形成し、前記下部開口部15を、回転翼3の回転方向の前方側に形成して、前記下部開口部15を、前記上部開口部14に対して、回転翼3の回転方向に対して前方側の、斜め下方に設けるようにしてもよい。
【0049】
また、
図18に示すように、前記流路室部12を、下方に向かうに従って、回転翼3の回転方向に対して前方側に向くように、斜め下方に傾斜させてもよい。
【0050】
これらにより、前記処理槽2から前記流路室部12内に流入した液体の流速を高めることができ、前記液体内の担体が前記下部開口15から前記処理槽2内に戻りやすくなる。
【0051】
(4.カバー体の一例の説明)
【0052】
また、前記カバー体18は、例えば、
図5及び
図6に示すように、前記下部開口部15の、回転翼3の回転方向の後方側の縁部15aに設けた、回転方向の前方側に向かって、前記処理槽2の中心方向側に傾斜して延びる、前記下部開口部15を略覆う大きさの、矩形状のカバー板18aと、該カバー板18aの上辺と前記下部開口部15の上辺縁とを連結した略三角形状の上板18bと、前記カバー板18aの下辺と前記下部開口部15の下辺縁とを連結した略三角形状の下板18cとよりなる、回転方向の前方側に、略正方形状の開口部18dが形成された断面三角形状の筒状で形成される。
【0053】
そして、前記流路室部12からの処理水が、前記下部開口部15を通じて、前記カバー体18内に流入し、該カバー体18の開口部18dから、前記処理槽2内に排出されるようになる。
【0054】
なお、前記下板18cを省略して、前記カバー体18の下部も開口するようにしてもよい。
【0055】
該カバー体18により、前記下部開口部15から前記流路室部12内に前記処理槽2内の処理水が逆流しないようになると共に、前記流路室部12内の処理水が、処理槽内に流出しやすいようになる。
【0056】
(5.排水処理方法と効果の説明)
【0057】
次に、前記実施例1の撹拌装置による処理方法と効果を説明する。
【0058】
前記流入管6より、微生物や触媒などを担持した担体を有する処理水などの液体を、前記処理槽2内に所望の高さまで流入させて、前記液体を前記処理槽2内に貯めるようにする。
【0059】
前記回転翼3を回転させることにより、
図1に示す前記処理槽2内において、担体を有する処理水は、
図19に示す従来の装置と同様に、前記回転翼3により、半径方向外側に吐出されて処理槽2の側壁内面に当接して下方に流れて、前記処理槽2の側壁内面を旋回しながら緩やかに処理槽2の底部2aに向かう下降流Pが形成され、その後、該処理槽2の中心部の底部において、前記静翼4により、上昇流Qを引き起こし、これにより、前記回転翼3と前記静翼4との間において、循環流が形成され、前記処理槽2内で処理水の混合・均一分散化を図ることができるようになる。
【0060】
また、前記旋回する下降流Pの一部は、
図8に示すように、前記上部開口部14から前記流路室部12内に流入し、前記流路部室12内で前記下降流Pの流れに沿った比較的流れの強い下降流Rを形成して、該流路室部12内を下降して、前記下部開口部15から処理槽2内に戻り、この際、前記流路室部12内を流れる、前記処理水よりも比重が重い担体は、前記下降流Rと共に、そのまま前記下部開口部15から前記カバー体18を介して前記処理槽2内に戻されるようなる。
【0061】
そして、前記排水用開口部16には、
図8に示すように、担体のない処理水のみが流入するようになり、前記分離室部13内には、前記排出口17に向かう、前記下降流Rに比べて弱い流れの上昇する排出流Sが形成され、前記排出口17からは、担体の無い処理水のみを槽外に排出することができるようになる。
【0062】
また、一部の担体が前記分離室部13に流入しても、前記処理水よりも比重が重い担体は、下方に沈降し、前記排水用開口部16を通じて、前記流路室部12内に戻り、前記下部開口部15から前記処理槽2内に戻されるようになる。
【0063】
また、前記カバー体18により、前記下部開口部15から、前記処理槽2内の旋回流が入り込まないようになるので、前記流路室部12内の下降流Rを妨げることがなく、担体の処理槽2内への流出がスムーズに行われるようになる。
【0064】
(6.仕切板の他の実施例の説明)
【0065】
なお、前記垂直状に形成した第1の仕切板19においては、
図9に示すように、前記分離室部13内の下部において、回転流が生じ、前記流路室部12内の担体が巻き込まれて、前記分離室部13内に入り込んでしまう場合がある。
【0066】
そこで、
図10に示すように、前記第1の仕切板19の下部に、上方から下方に向かうに従って、前記下部開口部15に向かって傾斜した傾斜面20aを有する、例えば、断面三角形状の三角柱状の整流部20を設ける。
【0067】
該整流部20の傾斜面20aにより、前記流路室部12内を通る処理水が、前記下部開口部15側に向かって流れるようになると共に、前記整流部20の下面の下部において回転流が形成され、前記分離室部13内に、担体が巻き込まれることが少なくなるようになる。
【0068】
なお、前記断面三角形状の整流部20は、
図10に示すように、前記傾斜面20aの下端から、前記仕切板19に向かう下面20bが、上方に向かうように形成され、該下面20bと前記第1の仕切板19とのなす角が鈍角状に形成され、この場合には、前記下面20bの下に、回転流が形成され、その回転流の一部が、前記分離室部13内に形成されるため、前記流路室部12内の担体が、前記分離室部13内に巻き込まれる恐れがある。
【0069】
そこで、
図11に示すように、前記下面20bを、下方に向かって傾斜する傾斜面とし、該下面20bと前記第1の仕切板19とのなす角を鋭角又は直角とした断面三角形状の三角柱状の整流部20を設けることにより、下面に形成される回転流を流路室部側に発生させ、前記流路室部内の担体が、前記分離室部内に巻き込まれないようにしてもよい。
【実施例2】
【0070】
(7.担体分離室の他の実施例の説明)
【0071】
本発明の第2の実施例の担体分離室21においては、前記第1の実施例において、前記担体分離室11の前記流路室部12を、下部の流路室部の流路断面積が、上部の流路室部の流路断面積に比べて大きくなるように形成し、そして、前記上部開口部14を前記上部の流路室部に形成し、前記下部開口部15を前記下部の流路室部に形成するようにする。
【0072】
(8.流路室部の他の実施例の一例の説明)
【0073】
前記担体分離室21の流路室部12は、例えば、上部の上部流路室部12aと、その下部の下部流路室部12bにより形成され、該上部流路室部12aは、例えば、
図12及び
図13に示すように、前記第1の実施例の担体分離室11の前記流路室部12内に、上部の流路を狭めるための第2の仕切板22が設けられ、該第2の仕切板22と前記第1の仕切板19と前記右側の側壁11bと前記前面板11cとにより囲まれた部分により構成され、また、前記下部流路室部12bは、前記上部流路室部12aの下部の前記流路室部12により構成される。
【0074】
そして、
図12(b)に示すように、前記下部流路室部12bの流路断面積Aは、前記上部流路室部12aの流路断面積Bに対して大きく形成されるようになる。
【0075】
そして、前記上部開口部14は、前記流路を狭められた上部流路室部12aの上部に形成され、前記下部開口部15は、前記下部流路室部12に形成されるようなる。
【0076】
該第2の仕切板22は、例えば、前記左側の側壁11aと前記右側の側壁11bとの間、例えば、中間部分に、前記流路室部12内の上部を左側と右側に仕切る、例えば、前後辺が前記前側板11cと前記仕切板19に接続され、前記天井板11fから前記仕切板19の下端(又は、前記下部開口部の上部縁)まで延びる、垂直状の矩形状に形成される。
【0077】
また、前記上部開口部14は、前記第2の仕切板22と前記右側の側壁11bとの間の、前記前面板11cの上端に形成される。
【0078】
なお、前記第1の仕切板19は、前記上部流路室部12aの構成に不要な部分、例えば、前記左側の側壁11aから前記第2の仕切板22までの部分を省略してもよい。
【0079】
なお、前記上部開口部14は、例えば、矩形状の開口に形成され、横方向(左右方向)が、前記第2の仕切板22から右側の側壁11bに至り、縦方向(上下方向)が、前記天井板11fから、下方に所望の長さで形成される。
【0080】
なお、前記上部開口部14の縦方向(上下方向)の長さは、例えば、前記L6と同様、槽径に対して0.01~0.1倍の長さ、下部開口部15の縦方向(上下方向)の長さは、例えば、前記L7と同様、槽径に対して0.05~0.2倍の長さである。
【0081】
(9.排水処理方法と効果)
【0082】
本発明の第2の実施例においては、前記流路室部12に流入した処理水は、前記上部流路室部12aから、前記下方流路室部12bに流入する際に、流速が遅くなり、担体が前記下部開口部15から排出されやすくなり、これにより、前記排水用開口部16を通じて、前記分離室部13に入り込まなくなる。
【実施例3】
【0083】
なお、例えば、前記第2実施例の担体分離室21において、
図14に示すように、前記分離室部13に、前記第1の仕切板19の面に対向する、底面板11eから所望の上方まで延びる、垂直状の矩形板状の衝立板23を設けるようにしてもよい。
【0084】
なお、前記衝立板23は、例えば、その両側において、前記担体分離室21の左右の側壁11a、11bに接続され、前記第1の仕切板と所望の距離(L8)、例えば、槽径に対して0.01~0.05倍の距離、離間して設けられる。
【0085】
なお、前記排出口17は、例えば、前記衝立板23と前記背面板11dの間の天井板11fに設けるようにする。
【0086】
このように、前記分離室部13内に衝立板23を設けることにより、より担体が、前記分離室部13内に流入することを防ぐことができるようになる。
【0087】
なお、
図15及び
図16は、前記担体分離室13において、前記衝立板23の上端辺と、前記背面板11dとを塞ぎ板24により塞いだ例を示す。
【0088】
この実施例においても、
図16に示すように、担体分離をすることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の撹拌装置は、嫌気処理や、好気処理、脱窒・硝化処理などでも活用することができ、用途も電子産業、食品、畜産、農業、オフィス、下水など、産業排水や生活排水において利用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 撹拌装置
2 処理槽
2a 底部
3 回転翼
3a 回転軸
4 静翼
5 間隙
6 流入管
7 担体分離室
8 開口部
9 排出口
10 撹拌装置
11 担体分離室
11a 左側の側壁
11b 右側の側壁
11c 前面板
11d 背面板
11e 底面板
11f 天井板
12 流路室部
12a 上部流路室部
12b 下部流路室部
13 分離室部
14 上部開口部
15 下部開口部
15a 縁部
16 排水用開口部
17 排出口
18 カバー体
18a カバー板
18b 上板
18c 下板
18d 開口部
19 第1の仕切板
20 整流部
20a 傾斜面
20b 下面
21 担体分離室
22 第2の仕切板
23 衝立板
24 塞ぎ板