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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20220701BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20220701BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20220701BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20220701BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20220701BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20220701BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20220701BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20220701BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20220701BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
H01L29/78 652Q
H01L21/60 301P
H01L21/60 321E
H01L21/88 T
H01L23/48 G
H01L27/06 102A
H01L29/78 652D
H01L29/78 652J
H01L29/78 652M
H01L29/78 653A
H01L29/78 655A
H01L29/78 657Z
H01L29/78 658F
H01L29/78 658L
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018088248
(22)【出願日】2018-05-01
(65)【公開番号】P2019195013
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2020-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘幸
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-131183(JP,A)
【文献】特開2014-219335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205、21/336、
21/60、21/8234、
23/48、
27/04、
29/739、29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1辺を有するチップ搭載部と、
前記チップ搭載部上に搭載された半導体チップと、
前記チップ搭載部から離間し、かつ、前記チップ搭載部の前記第1辺に沿って配置された複数のリードと、
を備える、半導体装置であって、
前記複数のリードは、
ゲートリードと、
第1リードと、
を含み、
前記半導体チップは、
パワートランジスタと、
前記パワートランジスタと並列接続されたスナバ容量と、
を有し、
前記パワートランジスタは、
前記ゲートリードと電気的に接続されたゲート電極と、
前記第1リードと電気的に接続された第1領域と、
前記チップ搭載部と電気的に接続された第2領域と、
を有し、
前記スナバ容量は、
前記第1領域と電気的に接続された第1容量電極と、
前記第1容量電極から離間し、かつ、前記第1容量電極と対向するように配置された第2容量電極と、
を有し、
前記半導体チップの表面には、前記スナバ容量の前記第2容量電極と電気的に接続されたスナバ容量パッドが形成されており、
前記半導体チップの表面には、前記チップ搭載部を経由することなく前記パワートランジスタの前記第2領域と電気的に接続された第2パッドが形成されており、
前記スナバ容量パッドと前記第2パッドとは、接続部材を介して互いに、かつ、電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記接続部材は、ワイヤである、半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記接続部材は、クリップである、半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記接続部材は、導電性接着材である、半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記半導体チップは、
前記チップ搭載部の前記第1辺に沿って配置された第1チップ辺と、
前記第1チップ辺の反対側に位置する第2チップ辺と、
前記第1チップ辺および前記第2チップ辺と交差する第3チップ辺と、
前記第1チップ辺および前記第2チップ辺と交差し、かつ、前記第3チップ辺の反対側に位置する第4チップ辺と、
を有する、半導体装置。
【請求項6】
請求項に記載の半導体装置において、
前記半導体チップの表面には、前記パワートランジスタの前記ゲート電極と電気的に接続されたゲートパッドが形成され、
前記ゲートパッドと前記スナバ容量パッドと前記第2パッドは、前記第1チップ辺に沿って配置されている、半導体装置。
【請求項7】
請求項に記載の半導体装置において、
前記半導体チップの表面には、前記パワートランジスタの前記ゲート電極と電気的に接続されたゲートパッドが形成され、
前記ゲートパッドと前記スナバ容量パッドと前記第2パッドは、前記第3チップ辺に沿って配置されている、半導体装置。
【請求項8】
請求項に記載の半導体装置において、
前記半導体チップの表面には、前記パワートランジスタの前記ゲート電極と電気的に接続されたゲートパッドが形成され、
前記ゲートパッドは、前記第1チップ辺と前記第3チップ辺の交点に近接配置され、
前記ゲートパッドと前記スナバ容量パッドは、前記第1チップ辺に沿って配置され、
前記ゲートパッドと前記第2パッドは、前記第3チップ辺に沿って配置されている、半導体装置。
【請求項9】
請求項に記載の半導体装置において、
前記半導体チップの表面には、前記パワートランジスタの前記ゲート電極と電気的に接続されたゲートパッドが形成され、
前記ゲートパッドは、前記第1チップ辺と前記第3チップ辺の交点に近接配置され、
前記ゲートパッドと前記スナバ容量パッドは、前記第3チップ辺に沿って配置され、
前記ゲートパッドと前記第2パッドは、前記第1チップ辺に沿って配置されている、半導体装置。
【請求項10】
請求項に記載の半導体装置において、
前記半導体チップの表面には、前記パワートランジスタの前記ゲート電極と電気的に接続されたゲートパッドが形成され、
前記ゲートパッドは、前記第1チップ辺と前記第3チップ辺の交点に近接配置され、
前記スナバ容量パッドは、前記第2チップ辺と前記第4チップ辺の交点に近接配置されている、半導体装置。
【請求項11】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記半導体チップの表面には、
前記パワートランジスタの前記第1領域と電気的に接続された第1パッドと、
前記パワートランジスタの前記ゲート電極と電気的に接続されたゲートパッドと、
が形成され、
前記第1パッドと前記第1リードとは、第1ワイヤで接続され、
前記ゲートパッドと前記ゲートリードとは、ゲートワイヤで接続され、
前記ゲートワイヤの径は、前記第1ワイヤの径よりも小さく、
前記ワイヤの径は、前記第1ワイヤの径よりも小さい、半導体装置。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置において、
前記ワイヤの径と前記ゲートワイヤの径とは、等しい、半導体装置。
【請求項13】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記パワートランジスタは、パワーMOSFETであり、
前記第1リードは、ソースリードであり、
前記第1領域は、ソース領域であり、
前記第2領域は、ドレイン領域であり、
前記第2パッドは、ドレインパッドである、半導体装置。
【請求項14】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記パワートランジスタは、IGBTであり、
前記第1リードは、エミッタリードであり、
前記第1領域は、エミッタ領域であり、
前記第2領域は、コレクタ領域であり、
前記第2パッドは、コレクタパッドである、半導体装置。
【請求項15】
(a)パワートランジスタと、前記パワートランジスタと電気的に接続されたスナバ容量とが形成されたチップ領域を備え、
前記パワートランジスタは、
第1領域と、
第2領域と、
前記第1領域と前記第2領域との間を流れる電流を制御するゲート電極と、
を有し、
前記スナバ容量は、
前記第1領域と電気的に接続された第1容量電極と、
前記第1容量電極から離間し、かつ、前記第1容量電極と対向するように配置された第2容量電極と、
を有し、
前記チップ領域の表面には、
前記スナバ容量の前記第2容量電極と電気的に接続されたスナバ容量パッドと、
前記第1領域と電気的に接続された第1パッドと、
前記第2領域と電気的に接続された第2パッドと、
前記ゲート電極と電気的に接続されたゲートパッドと、
が形成されている、半導体ウェハを用意する工程、
(b)前記スナバ容量パッドにプローブ針を接触させる工程、
(c)前記第1領域と前記スナバ容量パッドとの間に電圧を印加する工程、
(d)前記第1領域と前記スナバ容量パッドとの間に流れる電流を測定する工程、
(e)前記(d)工程で測定した前記電流に基づいて、前記スナバ容量の良否を判定する工程、
(f)前記(e)工程の後、前記半導体ウェハをダイシングすることにより、前記チップ領域を個片化して、半導体チップを取得する工程、
(g)第1辺を有するチップ搭載部と、前記チップ搭載部から離間し、かつ、前記チップ搭載部の前記第1辺に沿って配置された複数のリードと、を備え、
前記複数のリードは、
ゲートリードと、
第1リードと、
を含む、リードフレームを用意する工程、
(h)前記チップ搭載部上に前記半導体チップを搭載する工程、
(i)前記第1パッドと前記第1リードとを第1ワイヤで接続する工程、
(j)前記(i)工程の後、前記ゲートパッドと前記ゲートリードとをゲートワイヤで接続し、かつ、前記スナバ容量パッドと前記第2パッドとをワイヤで接続する工程、
を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(j)工程では、同じワイヤボンディング装置を使用する、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項15に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(a)工程で用意される前記半導体ウェハの前記チップ領域に形成されている前記スナバ容量は、プラズマCVD法によって形成され、かつ、前記第1容量電極と前記第2容量電極との間に設けられた容量絶縁膜を有する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、例えば、スナバ容量を備える半導体装置およびその製造技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017-63124号公報(特許文献1)および特開2017-143188号公報(特許文献2)には、半導体チップの内部にスナバ容量を形成した半導体装置に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-63124号公報
【文献】特開2017-143188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パワートランジスタを含む半導体装置においては、パワートランジスタからの出力電圧に含まれるサージ電圧を減衰させて、素子破壊の防止や、サージ電圧に基づく妨害電磁波の発生を抑制するために、パワートランジスタと並列接続されるスナバ容量が使用されることがある。特に、本発明者の検討の結果、パワートランジスタが形成された半導体チップの内部にスナバ容量を設ける場合、半導体チップの外部にスナバ容量を設ける構成では顕在化しなかった新たな改善の余地が存在することが明らかとなった。したがって、パワートランジスタが形成された半導体チップの内部にスナバ容量を設ける構成を有する半導体装置では、新たに顕在化する改善の余地に対して工夫を施すことが望まれる。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態における半導体装置において、半導体チップの表面には、スナバ容量の容量電極と電気的に接続されたスナバ容量パッドが形成されている。
【発明の効果】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】サージ電圧を抑制する回路構成例を示す回路図である。
図2】パワーMOSFETとスナバ容量とを含む半導体装置のデバイス構造の模式的な構成例を示す断面図である。
図3】パワーMOSFETとスナバ容量とを混載する半導体装置においては、工夫を施さないと、スクリーニング試験を実施できなくなることを説明する図である。
図4】スナバ容量の容量電極間に印加されるパルス電圧を示す図である。
図5】IGBTとスナバ容量とを混載する半導体装置においても、工夫を施さないと、スクリーニング試験を実施できなくなることを説明する図である。
図6】スナバ容量の容量電極間に印加されるパルス電圧を示す図である。
図7】スクリーニング試験を実施するスクリーニング工程における半導体装置の回路構成を模式的に示す回路図である。
図8】スクリーニング試験を実施した後の組立工程における半導体装置の回路構成を模式的に示す回路図である。
図9】実施の形態における半導体装置の外観構成を示す図である。
図10】実施の形態における半導体装置の内部構造を示す図である。
図11】実施の形態の半導体チップにおいて、スナバ容量の構成要素である第2容量電極とスナバ容量パッドとを接続する模式的なレイアウト構成を示す図である。
図12】実施の形態における半導体チップの断面図である。
図13】半導体ウェハを模式的に示す図である。
図14】スクリーニング試験の流れを示すフローチャートである。
図15】スクリーニング試験の具体例を示すフローチャートである。
図16】実施の形態における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図17図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図18図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図19図18に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図20図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図21図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図22図21に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図23図22に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図24】変形例1における半導体装置の模式的な構成を示す図である。
図25】変形例2における半導体装置の模式的な構成を示す図である。
図26】変形例3における半導体装置の模式的な構成を示す図である。
図27】変形例4における半導体装置の模式的な構成を示す図である。
図28】変形例5における半導体装置の模式的な構成を示す図である。
図29】変形例6における半導体装置の模式的な構成を示す図である。
図30】変形例7における半導体装置の模式的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0010】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0011】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0012】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0013】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0014】
<サージ電圧を低減するためのスナバ容量>
現実のパワートランジスタにおいては、寄生インダクタンスの影響によって、ターンオン時やターンオフ時にサージ電圧が発生する。このようなサージ電圧がパワートランジスタの耐圧を超えると、パワートランジスタは破壊されてしまう。さらには、サージ電圧が発生すると、サージ電圧に起因する電磁ノイズが発生して、周辺機器への電磁ノイズに起因する誤動作に代表される悪影響が懸念される。このことから、ターンオン時やターンオフ時に発生するサージ電圧を抑制する必要がある。
【0015】
図1は、サージ電圧を抑制する回路構成例を示す回路図である。図1において、パワートランジスタの一種であるパワーMOSFET100は、ゲート電極Gに印加されるゲート電圧を制御することによって、ドレインDとソースSの間に流れるドレイン電流を制御するように構成されている。すなわち、ゲート電極Gにしきい値電圧以上のゲート電圧を印加すると、ドレインDとソースSの間に電流経路となる反転層が形成され、ドレインDとソースSとの間にドレイン電流が流れる。一方、ゲート電極Gにしきい値電圧よりも小さいゲート電圧を印加すると、ドレインDとソースSの間に形成されている反転層が消滅して、ドレインDとソースSとの間にドレイン電流が流れなくなる。
【0016】
このように構成されているパワーMOSFET100と並列接続されるようにスナバ容量SCが設けられている。これにより、図1に示す回路では、パワーMOSFET100のターンオン時やターンオフ時に発生するサージ電圧を抑制することができる。以下に、この理由について説明する。なお、図1に示す回路において、パワーMOSFET100と逆並列に接続されているボディダイオードBDは、パワーMOSFET100のデバイス構造に起因して寄生的に形成されるダイオードである。
【0017】
例えば、図1において、パワーMOSFET100がターンオフすると、寄生インダクタンスに基づく逆起電力(サージ電圧)が生じる。この逆起電力は、寄生インダクタンスの大きさに比例するとともに、電流変化率にも比例する。すなわち、パワーMOSFET100がターンオフする際には、流れていた電流が流れなくなることから、電流変化率は大きくなる。したがって、ターンオフの際には、大きな逆起電力が生じる。
【0018】
このとき、図1に示すように、パワーMOSFET100と並列にスナバ容量SCが接続されている場合、スナバ容量SCに蓄積されている電荷が放電されることによって、パワーMOSFET100がターンオフをする際の急激な電流変化が緩和される。この結果、図1に示す回路では、スナバ容量SCを設けない単体のパワーMOSFET100の場合よりも、電流変化率が小さくなるため、電流変化率に比例する逆起電力(サージ電圧)の大きさが小さくなる。このことは、スナバ容量SCをパワーMOSFET100と並列に接続することにより、大きなサージ電圧の発生を抑制することができることを意味する。以上のようにして、パワーMOSFET100と並列にスナバ容量SCを接続することにより、大きなサージ電圧の発生を抑制することができる。この結果、サージ電圧に起因する電磁ノイズの発生を抑制できるため、周辺機器への電磁ノイズに起因する誤動作の発生を抑制することができる。さらには、大きなサージ電圧に起因するパワーMOSFET100の破壊も抑制することができる。
【0019】
<スナバ容量を半導体チップの内部に設ける有用性>
例えば、上述したスナバ容量は、パワーMOSFETが形成された半導体チップの外部に設けられることが一般的である。ところが、パワーMOSFETが形成された半導体チップの外部にスナバ容量を設ける場合、パワーMOSFETとスナバ容量とを接続する配線の長さが長くなることから、寄生インダクタンスが増加することになる。そして、逆起電力(サージ電圧)の大きさは、寄生インダクタンスの大きさに比例することから、寄生インダクタンスが大きくなると、寄生インダクタンスに基づく逆起電力(サージ電圧)が大きくなる。したがって、パワーMOSFETが形成された半導体チップの外部にスナバ容量を設ける構成(外付け)では、スナバ容量によって、電流変化率を緩和できる一方で、寄生インダクタンスの大きさを低減することが難しいことから、効果的に大きな逆起電力(サージ電圧)の発生を抑制することが困難となる。
【0020】
この点に関し、パワーMOSFETが形成された半導体チップの内部にスナバ容量を設けることが検討されている。パワーMOSFETが形成された半導体チップの内部にスナバ容量を設ける構成では、スナバ容量を外付けする構成よりも、パワーMOSFETとスナバ容量とを接続する配線の長さを短くすることができる。このことは、寄生インダクタンスを低減できることを意味する。したがって、パワーMOSFETが形成された半導体チップの内部にスナバ容量を設ける構成は、スイッチング時の電流変化率をスナバ容量によって緩和することができる効果と、パワーMOSFETとスナバ容量とを接続する配線の長さが短いことによって寄生インダクタンスを低減できる効果との相乗効果によって、効果的に大きな逆起電力(サージ電圧)の発生を抑制することができる。すなわち、パワーMOSFETが形成された半導体チップの内部にスナバ容量を設ける構成は、効果的に大きな逆起電力(サージ電圧)の発生を抑制する観点から有用であることがわかる。さらには、パワーMOSFETが形成された半導体チップの内部にスナバ容量を設ける構成では、スナバ容量を外付けする構成よりも、半導体装置を実装するための実装基板における部品実装面積の削減や部品点数の削減を図ることもできる。
【0021】
<スクリーニング試験の必要性>
ここで、パワーMOSFETが形成された半導体チップの内部にスナバ容量を設ける構成を採用すると、スナバ容量の信頼性を確保する観点から、パワーMOSFETを含む半導体装置を製造する工程において、スナバ容量の信頼性試験(スクリーニング試験)が必要となる。なぜなら、パワーMOSFETが形成された半導体チップの内部にスナバ容量が含まれる半導体装置では、スナバ容量が不良になると、パワーMOSFETが良品であっても、パワーMOSFETとスナバ容量とを含む半導体装置としては不良品と判断する必要があるからである。つまり、パワーMOSFETとスナバ容量とを含む半導体装置においては、パワーMOSFETに対する信頼性試験を実施する必要があるだけでなく、スナバ容量に対する信頼性試験も実施する必要性が生じるのである。
【0022】
<顕在化する改善の余地>
このように、効果的に大きな逆起電力(サージ電圧)の発生を抑制する観点から、パワーMOSFETが形成された半導体チップの内部にスナバ容量を設ける構成を採用すると、スナバ容量の信頼性を確保するために、パワーMOSFETとスナバ容量とを含む半導体装置の製造工程において、スナバ容量の信頼性を担保するスクリーニング試験を実施する必要性が生じる。この点に関し、本発明者は、パワーMOSFETと混載されるスナバ容量のスクリーニング試験を実施するにあたって工夫を施す必要性を新規に見出した。すなわち、本発明者は、パワーMOSFETが形成された半導体チップの内部にスナバ容量を設ける構成を採用すると、新たな改善の余地が顕在化することを見出した。そこで、以下では、まず、新たに顕在化する改善の余地について説明する。
【0023】
図2は、パワーMOSFETとスナバ容量とを含む半導体装置のデバイス構造の模式的な構成例を示す断面図である。図2において、半導体基板(n型基板)SUB上には、エピタキシャル層(n型半導体層)EPIが形成されており、このエピタキシャル層EPIには、チャネル領域(p型半導体領域)CHとp型カラムPCRが形成されて、いわゆるスーパージャンクション構造が形成されている。
【0024】
そして、チャネル領域CHを貫通してエピタキシャル層EPIに達するようにトレンチが形成されており、このトレンチの内壁には、例えば、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜GOXが形成されている。さらに、ゲート絶縁膜GOXを介してトレンチの内部を埋め込むように、例えば、ポリシリコン膜からなるゲート電極GEが形成されている。一方、チャネル領域CHの表面には、ソース領域(n型半導体領域)が形成されており、さらに、チャネル領域CHの内部には、チャネル領域CHよりも不純物濃度の高いボディコンタクト領域(p型半導体領域)BCが形成されている。このようにして、パワーMOSFETが形成されている。すなわち、パワーMOSFETは、ゲート電極GEと、ドレイン領域として機能するエピタキシャル層EPIおよび半導体基板SUBと、ソース領域SRとを有する。このとき、上述した構成を有するパワーMOSFETにおいては、n型半導体層であるエピタキシャル層EPIと、p型半導体領域であるチャネル領域CHとによって、寄生的にpn接合ダイオードが形成される。この寄生的に形成されるpn接合ダイオードは、ボディダイオードと呼ばれる。
【0025】
続いて、図2において、パワーMOSFETを覆うように、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁層IL1が形成されており、この層間絶縁層IL1には、層間絶縁層IL1を貫通するプラグPLG1が形成されている。プラグPLG1は、ソース領域SRとボディコンタクト領域BCの両方と電気的に接続されている。
【0026】
次に、図2に示すように、プラグPLG1が形成された層間絶縁層IL1上には、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁層IL2が形成されている。このとき、この層間絶縁層IL2には、層間絶縁層IL2を貫通し、かつ、プラグPLG1と接続されたプラグPLG2が形成されているとともに、スナバ容量の容量電極CE2が形成されている。そして、層間絶縁層IL2上には、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁層IL3が形成されている。この層間絶縁層IL3には、層間絶縁層IL3を貫通し、かつ、プラグPLG2と接続されるプラグPLG3が形成されている。さらに、プラグPLG3が形成された層間絶縁層IL3上には、ソースパッド(ソース電極)SPが形成されている。したがって、ソース領域SRとソースパッドSPとは、プラグPLG1とプラグPLG2とプラグPLG3とを介して電気的に接続されていることになる。
【0027】
ここで、図2に示すように、スナバ容量は、主に、層間絶縁層IL2に形成された容量電極CE2と、容量電極CE2と対向するプラグPLG2との間の容量と、容量電極CE2とソースパッドSPとの間の容量とにより構成されている。そして、図2では示されていないが、容量電極CE2は、パワーMOSFETのドレイン領域となる半導体基板SUB(エピタキシャル層EPI)と電気的に接続されている。したがって、スナバ容量は、パワーMOSFETのソース領域SRとドレイン領域との間に並列接続される。
【0028】
特に、図2に示すデバイス構造では、ゲート電極GEの上方に形成されるスペースを有効活用して、スナバ容量の容量電極CE2が形成されている。このことから、半導体チップのサイズの増大を招くことなく、パワーMOSFETが形成された半導体チップにスナバ容量を混載することができる。
【0029】
ここで、例えば、層間絶縁層IL1~層間絶縁層IL3のそれぞれを構成する酸化シリコン膜は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を使用して形成される。このとき、プラズマCVD法で形成される酸化シリコン膜には、汚染物質(不純物)が含まれている。したがって、例えば、層間絶縁膜IL2を構成する酸化シリコン膜の一部は、
スナバ容量の容量絶縁膜となるため、スナバ容量の容量絶縁膜は、プラズマCVD法で形成された酸化シリコン膜から構成されることになる。そして、スナバ容量の容量絶縁膜には、サージ電圧が印加されても絶縁破壊されない絶縁耐性が要求される。ところが、プラズマCVD法で形成された酸化シリコン膜においては、部分的に汚染物質が混入する可能性があり、この汚染物質に起因して、容量絶縁膜の絶縁耐性が低下するおそれがある。つまり、図2に示すデバイス構造のようにして、パワーMOSFETとスナバ容量とを混載する場合、スナバ容量を構成する容量絶縁膜の絶縁耐性が良好であるかをテストする必要がある。なぜなら、スナバ容量を構成する容量絶縁膜の絶縁不良が生じると、スナバ容量が不良となるため、このような製品は、スクリーニング試験を施すことによって除外する必要があるからである。そこで、上述したように、パワーMOSFETとスナバ容量とを含む半導体装置においては、パワーMOSFETに対する信頼性試験を実施する必要があるだけでなく、スナバ容量に対する信頼性試験も実施する必要性が生じる。
【0030】
この点に関し、本発明者は、パワーMOSFETとスナバ容量とを混載する半導体装置において、スナバ容量のスクリーニング試験を実施する際には工夫を施さないと、スクリーニング試験を実施できなくなることを新規に見出した。
【0031】
<<パワーMOSFETの場合>>
まず、パワーMOSFETとスナバ容量とを混載する半導体装置においては、スナバ容量のスクリーニング試験を実施する際には工夫を施さないと、スクリーニング試験を実施できなくなることについて説明する。
【0032】
図3は、パワーMOSFET100とスナバ容量SCとを混載する半導体装置においては、工夫を施さないと、スクリーニング試験を実施できなくなることを説明する図である。図3において、パワーMOSFET100のドレインDとソースSとの間にスナバ容量SCが並列接続されている。このとき、スナバ容量SCを構成する容量絶縁膜の絶縁耐性が良好であるかをテストするスクリーニング試験においては、スナバ容量SCの容量電極間にパルス電圧を印加する。そして、スナバ容量SCの容量電極間にパルス電圧を印加した状態において、容量電極間に挟まれた容量絶縁膜に流れるパルス電流を測定することにより、スナバ容量SCを構成する容量絶縁膜の絶縁耐性が良好であるかがテストされる。
【0033】
具体的に、図4は、スナバ容量SCの容量電極間に印加されるパルス電圧を示す図である。例えば、図4の破線で示すように、スナバ容量SCを構成する容量絶縁膜の絶縁耐性をテストするためには、スナバ容量SCの容量電極間に電圧Vcを印加する。例えば、スクリーニング試験においては、スナバ容量SCの容量電極間に、パワーMOSFET100のソース・ドレイン間耐圧の4倍程度の電圧V1を印加する必要がある。ところが、スナバ容量SCは、パワーMOSFET100のソースSとドレインDとの間に並列接続されている。このことから、スナバ容量SCの容量電極間に、電圧V1を印加するために、パワーMOSFET100のソースSとドレインDとの間に、電圧V1が印加されることになる。ここで、図3に示すように、パワーMOSFET100には、デバイス構造上、寄生的にボディダイオードBDが形成される。この結果、スナバ容量SCの容量電極間に、電圧V1を印加するために、パワーMOSFET100のソースSとドレインDとの間に、電圧V1を印加すると、寄生的に形成されているボディダイオードBDにも、電圧V1が印加されることになる。特に、図3に示すように、ボディダイオードBDは、パワーMOSFETと逆並列接続されていることから、パワーMOSFET100のソースSとドレインDとの間に、電圧V1が印加されると、ボディダイオードBDにおいては、電圧V1が、逆方向電圧として印加されることになる。このとき、ボディダイオードBDの逆降伏電圧は、電圧V1よりも遥かに小さいことから、ボディダイオードBDに、電圧V1が印加されると降伏する。すなわち、パワーMOSFET100のソースSとドレインDとの間に、電圧V1を印加しても、ボディダイオードBDによってクランプされる結果、図4の実線で示すように、パワーMOSFET100のソースSとドレインDとの間には、ボディダイオードBDによってクランプされた電圧V2しか印加されないことになる。このことは、スナバ容量SCの容量電極間に、電圧V1を印加する必要があるにも関わらず、ボディダイオードBDの存在によって、スナバ容量SCの容量電極間には、ボディダイオードBDによってクランプされた電圧V2しか印加されないことになる。このことは、スナバ容量SCを構成する容量絶縁膜の絶縁耐性をテストすることができなくなることを意味する。すなわち、パワーMOSFET100とスナバ容量SCとを混載する半導体装置においては、寄生的に形成されるボディダイオードBDの存在によって、何らかの工夫を施さないと、スナバ容量SCを構成する容量絶縁膜の絶縁耐性をテストするスクリーニング試験を実施できなくなる。
【0034】
<<IGBTの場合>>
次に、パワートランジスタの一種であるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)とスナバ容量とを混載する半導体装置においても、スナバ容量のスクリーニング試験を実施する際には工夫を施さないと、スクリーニング試験を実施できなくなることについて説明する。図5は、IGBT200とスナバ容量SCとを混載する半導体装置においても、工夫を施さないと、スクリーニング試験を実施できなくなることを説明する図である。図5において、IGBT200のコレクタCとソースEとの間にスナバ容量SCが並列接続されている。このとき、スナバ容量SCを構成する容量絶縁膜の絶縁耐性が良好であるかをテストするスクリーニング試験においては、スナバ容量SCの容量電極間にパルス電圧を印加する。そして、スナバ容量SCの容量電極間にパルス電圧を印加した状態において、容量電極間に挟まれた容量絶縁膜に流れるパルス電流を測定することにより、スナバ容量SCを構成する容量絶縁膜の絶縁耐性が良好であるかがテストされる。
【0035】
具体的に、図6は、スナバ容量SCの容量電極間に印加されるパルス電圧を示す図である。例えば、図6に示すように、スナバ容量SCを構成する容量絶縁膜の絶縁耐性をテストするためには、スナバ容量SCの容量電極間に電圧Vcを印加する。例えば、スクリーニング試験においては、スナバ容量SCの容量電極間に、IGBT耐圧の4倍程度の電圧V3を印加する必要がある。ところが、スナバ容量SCは、IGBT200のエミッタEとコレクタCとの間に並列接続されている。このことから、スナバ容量SCの容量電極間に、電圧V3を印加するために、IGBT200のエミッタEとコレクタCとの間に、電圧V3が印加されることになる。このとき、IGBT200においては、パワーMOSFET100と異なり、寄生的にボディダイオードBDは形成されないが、スナバ容量SCを構成する容量絶縁膜のスクリーニング試験を実施すると、IGBT200のエミッタEとコレクタCとの間に耐圧を超える電圧V3が加わることになる。このことは、IGBT200が破壊されてしまうことを意味する。このように、IGBT200とスナバ容量SCとを混載する半導体装置においては、何らかの工夫を施さないと、スナバ容量SCを構成する容量絶縁膜の絶縁耐性をテストするスクリーニング試験を実施できなくなる。
【0036】
<実施の形態における基本思想>
そこで、本実施の形態では、パワーMOSFETやIGBTに代表されるパワートランジスタと並列接続されたスナバ容量を備える半導体装置において、スナバ容量を構成する容量絶縁膜の絶縁耐性をテストするスクリーニング試験を実施するための工夫を施している。以下では、この工夫を施した実施の形態における基本思想について説明する。
【0037】
図7は、スクリーニング試験を実施するスクリーニング工程における半導体装置の回路構成を模式的に示す回路図である。図7に示すように、パワーMOSFET100は、ゲート電極GとソースSとドレインとを有し、パワーMOSFETのドレインはドレインパッドと電気的に接続されている。このように構成されているパワーMOSFET100においては、ソースSとドレインとの間に寄生的にボディダイオードBDが形成されている。また、スナバ容量SCの一方の容量電極は、パワーMOSFET100のソースSと電気的に接続されている一方、スナバ容量SCの他方の容量電極は、スナバ容量パッドSNPと電気的に接続されている。このとき、スクリーニング試験を実施するスクリーニング工程においては、図7に示すように、ドレインパッドDPとスナバ容量パッドSNPとは、電気的に接続されていない。すなわち、スクリーニング工程においては、パワーMOSFET100とスナバ容量SCとは並列接続されていない。この状態で、スナバ容量パッドSNPとパワーMOSFETのソースSとの間にパルス電圧を印加する。ここで、本実施の形態では、ドレインパッドDPとスナバ容量パッドSNPとが電気的に接続されていないことから、パワーMOSFET100自体に、パワーMOSFET100自体の耐圧を超えるパルス電圧が印加されない。このため、スクリーニング試験を実施しても、パワーMOSFET100が破壊されることはない。さらに、ボディダイオードBDにもパルス電圧が印加されないことから、ボディダイオードBDのクランプに起因して、スナバ容量SCに意図するパルス電圧が加わらなくなることを防止できる。このように、本実施の形態における基本思想は、パワーMOSFET100のドレインとは電気的に接続されていないスナバ容量パッドSNPを設けることにより、スクリーニング試験を実施する際、スナバ容量SCに規定のパルス電圧を印加する一方、パワーMOSFET100のソースSとドレインとの間にパルス電圧が印加しないように構成する点にある。これにより、本実施の形態によれば、パワーMOSFET100の破壊を防止し、かつ、ボディダイオードBDの存在に邪魔されることなく、スナバ容量SCを構成する容量絶縁膜の絶縁耐性をテストするスクリーニング試験を確実に実施することができる。
【0038】
ただし、最終的な半導体装置においては、パワーMOSFET100とスナバ容量SCとを並列接続する必要があることから、スクリーニング試験を実施した後、パワーMOSFET100のドレインパッドDPと、スナバ容量SCのスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続する必要がある。
【0039】
図8は、例えば、スクリーニング試験を実施した後の組立工程における半導体装置の回路構成を模式的に示す回路図である。図8に示すように、パワーMOSFET100のドレインパッドDPと、スナバ容量SCのスナバ容量パッドSNPとは、例えば、外部接続部材ECMで電気的に接続されている。これにより、本実施の形態における半導体装置では、スクリーニング試験を実施した後、パワーMOSFET100とスナバ容量SCとを並列接続することができる。
【0040】
本実施の形態における基本思想は、パワーMOSFET100とスナバ容量SCとを並列接続した状態では、スナバ容量SCを構成する容量絶縁膜の絶縁耐性をテストすることが困難となることを考慮した上での工夫である。具体的に、本実施の形態における基本思想は、スナバ容量SCを構成する容量絶縁膜の絶縁耐性をテストする段階においては、パワーMOSFET100のドレインパッドDPとスナバ容量SCのスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続しない一方、スクリーニング試験を実施した後の段階においては、ドレインパッドDPとスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続する思想である。これにより、本実施の形態によれば、スナバ容量SCを構成する容量絶縁膜の絶縁耐性を確実にテストすることができるとともに、パワーMOSFET100とスナバ容量SCとを並列接続することができる。この結果、スクリーニング試験が実施可能となることに起因するパワーMOSFET100とスナバ容量SCとを含む半導体装置の歩留り向上を図りながら、半導体装置において、大きな逆起電力(サージ電圧)の発生を抑制することができるとともに、スナバ容量を外付けする構成よりも、半導体装置を実装するための実装基板での部品実装面積の削減や部品点数の削減を図ることができる。
【0041】
<半導体装置の構成>
次に、本実施の形態における半導体装置の構成について説明する。図9は、本実施の形態における半導体装置SA1の外観構成を示す図である。図9において、本実施の形態における半導体装置SA1は、平面形状が略矩形形状の封止体MRを有し、この封止体MRからは、ゲートリードGLと、リードLと、ソースリードSLとが突出している。
【0042】
続いて、図10は、本実施の形態における半導体装置SA1の内部構造を示す図である。図10において、本実施の形態における半導体装置SA1は、辺S1を有するチップ搭載部TABと、半田材SDを介して、チップ搭載部TAB上に搭載された半導体チップCHPと、チップ搭載部TABの辺S1に離間して対向配置された複数のリードとを備える。このとき、複数のリードには、ゲートリードGLと、ソースリードSLと、チップ搭載部TABと一体的に形成されたリードLとが含まれている。
【0043】
半導体チップCHPには、パワートランジスタの一種であるパワーMOSFETと、このパワーMOSFETと並列接続されたスナバ容量とが形成されている。そして、パワーMOSFETは、ゲートリードGLと電気的に接続されたゲート電極と、ソースリードSLと電気的に接続されたソース領域と、チップ搭載部TABと電気的に接続されたドレイン領域とを有する。一方、スナバ容量は、ソース領域と電気的に接続された第1容量電極と、第1容量電極と離間して対向配置された第2容量電極と、第1容量電極と第2容量電極とに挟まれた容量絶縁膜とを有する。
【0044】
図10に示すように、半導体チップCHPは、平面形状が略矩形形状をしている。具体的に、半導体チップCHPは、チップ搭載部TABの辺S1と対向して配置されたチップ辺CS1と、チップ辺CS1の反対側に位置するチップ辺CS2と、チップ辺CS1およびチップ辺CS2と交差するチップ辺CS3と、チップ辺CS1およびチップ辺CS2と交差し、かつ、チップ辺CS3の反対側に位置するチップ辺CS4とを有する。
【0045】
そして、半導体チップCHPの表面には、パワーMOSFETのソース領域と電気的に接続された複数のソースパッドSPが形成され、複数のソースパッドSPは、ソースワイヤSWによって、ソースリードSLと電気的に接続されている。また、半導体チップCHPの表面には、パワーMOSFETのゲート電極と電気的に接続されたゲートパッドGPが形成されている。このゲートパッドGPは、ゲートワイヤGWによって、ゲートリードGLと電気的に接続されている。さらに、半導体チップCHPの表面には、スナバ容量の第2容量電極と電気的に接続されたスナバ容量パッドSNPが形成されている。また、半導体チップCHPの表面には、パワーMOSFETのドレイン領域と電気的に接続されたドレインパッドDPも形成されている。このとき、図10に示すように、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとは、ワイヤWで電気的に接続されている。
【0046】
ここで、図10に示すように、ゲートワイヤGWの径は、ソースワイヤSWの径よりも小さくなっている。同様に、ワイヤWの径も、ソースワイヤSWの径よりも小さくなっている。一方、ワイヤWの径とゲートワイヤGWの径とは、互いに等しくなっている。
【0047】
次に、図11は、本実施の形態の半導体チップCHPにおいて、スナバ容量の構成要素である第2容量電極とスナバ容量パッドとを接続する模式的なレイアウト構成を示す図である。図11において、半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPの下層には、複数の容量電極(第2容量電極)CE2が配置されている。そして、複数の容量電極CE2は、プラグPLGによって上層の配線WL1および配線WL2と接続されている。この結果、複数の容量電極CE2は、配線WL1および配線WL2によって、半導体チップCHPの表面に形成されているスナバ容量パッドSNPと電気的に接続されることになる。
【0048】
続いて、図12は、本実施の形態における半導体チップCHPの断面図である。図12においては、パワーMOSFET形成領域A1における断面構造と、ドレインパッド形成領域A2における断面構造と、スナバ容量パッドと接続される配線WL1が形成されている配線形成領域A3における断面構造とが図示されている。
【0049】
まず、パワーMOSFET形成領域A1における断面構造について説明する。図12のパワーMOSFET形成領域A1において、半導体基板(n型基板)SUB上には、エピタキシャル層(n型半導体層)EPIが形成されており、このエピタキシャル層EPIには、チャネル領域(p型半導体領域)CHとp型カラムPCRが形成されて、いわゆるスーパージャンクション構造が形成されている。このとき、半導体基板SUBおよびエピタキシャル層EPIは、パワーMOSFETのドレイン領域として機能することになる。
【0050】
例えば、スーパージャンクション構造を有するパワーMOSFETでは、オフ状態において、p型カラム領域PCRとエピタキシャル層EPIの境界領域に形成されるpn接合から横方向にも空乏層が延びる。このため、スーパージャンクション構造を有するパワーMOSFETでは、電流通路であるエピタキシャル層EPIの不純物濃度を高くしても、2つの境界領域に挟まれるエピタキシャル層EPIの内側方向に延びる空乏層が繋がってエピタキシャル層EPI全体が空乏化しやすくなる。
【0051】
これにより、オフ状態でエピタキシャル層EPI全体が空乏化するため、耐圧を確保することができる。つまり、スーパージャンクション構造を有するパワーMOSFETでは、電流通路であるエピタキシャル層EPIの不純物濃度を高くしながらも、エピタキシャル層EPI全体を空乏化することができる。この結果、スーパージャンクション構造を有するパワーMOSFETは、高耐圧を確保しながら、オン抵抗を低減することができる。
【0052】
そして、チャネル領域CHを貫通してエピタキシャル層EPIに達するようにトレンチが形成されており、このトレンチの内壁には、例えば、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜GOXが形成されている。さらに、ゲート絶縁膜GOXを介してトレンチの内部を埋め込むように、例えば、ポリシリコン膜からなるゲート電極GEが形成されている。一方、チャネル領域CHの表面には、ソース領域(n型半導体領域)が形成されており、さらに、チャネル領域CHの内部には、チャネル領域CHよりも不純物濃度の高いボディコンタクト領域(p型半導体領域)BCが形成されている。このようにして、パワーMOSFETが形成されている。すなわち、パワーMOSFETは、ゲート電極GEと、ドレイン領域として機能するエピタキシャル層EPIおよび半導体基板SUBと、ソース領域SRとを有する。このとき、上述した構成を有するパワーMOSFETにおいては、n型半導体層であるエピタキシャル層EPIと、p型半導体領域であるチャネル領域CHとによって、寄生的にpn接合ダイオードが形成される。この寄生的に形成されるpn接合ダイオードは、ボディダイオードと呼ばれる。
【0053】
続いて、図12のパワーMOSFET形成領域A1において、パワーMOSFETを覆うように、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁層IL1が形成されており、この層間絶縁層IL1には、層間絶縁層IL1を貫通するプラグPLG1が形成されている。プラグPLG1は、ソース領域SRとボディコンタクト領域BCの両方と電気的に接続されている。
【0054】
したがって、図12のパワーMOSFET形成領域A1に示すパワーMOSFETにおいては、ソース領域SRとボディコンタクト領域BCとが電気的に接続されている。言い換えれば、ソース領域SRは、ボディコンタクト領域BCを介して、チャネル領域CHと電気的に接続されている。ここで、ボディコンタクト領域BCは、プラグPLG1とのオーミック接触を確保する機能を有し、このボディコンタクト領域BCが存在することにより、ソース領域SRとチャネル領域CHは同電位で電気的に接続されることになる。
【0055】
このため、ソース領域SRをエミッタ領域とし、チャネル領域CHをベース領域とし、かつ、エピタキシャル層EPIをコレクタ領域とする寄生npnバイポーラトランジスタのオン動作を抑制することができる。すなわち、ソース領域SRとチャネル領域CHが同電位で電気的に接続されているということは、寄生npnバイポーラトランジスタのエミッタ領域とベース領域との間に電位差が生じていないことを意味し、これによって、寄生npnバイポーラトランジスタのオン動作を抑制することができる。
【0056】
次に、図12のパワーMOSFET形成領域A1に示すように、プラグPLG1が形成された層間絶縁層IL1上には、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁層IL2が形成されている。このとき、この層間絶縁層IL2には、層間絶縁層IL2を貫通し、かつ、プラグPLG1と接続されたプラグPLG2が形成されているとともに、スナバ容量の容量電極(第2容量電極)CE2が形成されている。そして、層間絶縁層IL2上には、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁層IL3が形成されている。この層間絶縁層IL3には、層間絶縁層IL3を貫通し、かつ、プラグPLG2と接続されるプラグPLG3が形成されている。さらに、プラグPLG3が形成された層間絶縁層IL3上には、ソースパッド(ソース電極)SPが形成されている。したがって、ソース領域SRとソースパッドSPとは、プラグPLG1とプラグPLG2とプラグPLG3とを介して電気的に接続されていることになる。
【0057】
ここで、図12に示すように、スナバ容量は、主に、層間絶縁層IL2に形成された容量電極CE2と、容量電極CE2と対向するプラグPLG2との間の容量と、容量電極CE2とソースパッドSPとの間の容量とにより構成されている。すなわち、スナバ容量は、第2容量電極となる容量電極CE2と、第1容量電極として機能する「プラグPLG2+ソースパッドSP」と、第1容量電極と第2容量電極とに挟まれた「層間絶縁層IL2の一部+層間絶縁層IL3の一部」からなる容量絶縁膜とから構成される。
【0058】
特に、図12のパワーMOSFET形成領域A1に示すデバイス構造では、ゲート電極GEの上方に形成されるスペースを有効活用して、スナバ容量の容量電極CE2が形成されている。このことから、半導体チップのサイズの増大を招くことなく、パワーMOSFETが形成された半導体チップにスナバ容量を混載することができる。
【0059】
続いて、ドレインパッド形成領域A2における断面構造について説明する。図12のドレインパッド形成領域A2において、半導体基板(n型基板)SUB上には、エピタキシャル層(n型半導体層)EPIが形成されている。そして、エピタキシャル層EPI上には、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁層IL1が形成されている。この層間絶縁層IL1には、層間絶縁層IL1を貫通するプラグPLG1が形成されている。このとき、プラグPLG1と接触するエピタキシャル層EPIの表面には、エピタキシャル層EPIよりも不純物濃度の高い高濃度n型半導体領域が形成されている。この高濃度n型半導体領域は、プラグPLG1とエピタキシャル層EPIとの間でオーミック接触を確保する機能を有する。
【0060】
次に、図12のドレインパッド形成領域A2に示すように、プラグPLG1が形成された層間絶縁層IL1上には、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁層IL2が形成されている。このとき、この層間絶縁層IL2には、層間絶縁層IL2を貫通し、かつ、プラグPLG1と接続されたプラグPLG2が形成されている。そして、層間絶縁層IL2上には、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁層IL3が形成されている。この層間絶縁層IL3には、層間絶縁層IL3を貫通し、かつ、プラグPLG2と接続されるプラグPLG3が形成されている。さらに、プラグPLG3が形成された層間絶縁層IL3上には、ドレインパッドDPが形成されている。したがって、エピタキシャル層EPIとドレインパッドDPとは、プラグPLG1とプラグPLG2とプラグPLG3とを介して電気的に接続されていることになる。ここで、半導体基板SUBおよびエピタキシャル層EPIは、パワーMOSFETのドレイン領域となることから、半導体チップの表面に形成されているドレインパッドDPは、パワーMOSFETのドレイン領域と電気的に接続されていることになる。
【0061】
続いて、スナバ容量パッドと接続される配線WL1が形成されている配線形成領域A3における断面構造について説明する。図12の配線形成領域A3において、半導体基板(n型基板)SUB上には、エピタキシャル層(n型半導体層)EPIが形成されている。そして、エピタキシャル層EPI上には、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁層IL1が形成されている。そして、図12の配線形成領域A3に示すように、層間絶縁層IL1上には、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁層IL2が形成されている。このとき、この層間絶縁層IL2には、層間絶縁層IL2を貫通する容量電極CE2が形成されている。そして、層間絶縁層IL2上には、例えば、酸化シリコン膜からなる層間絶縁層IL3が形成されている。この層間絶縁層IL3には、層間絶縁層IL3を貫通し、かつ、容量電極CE2と接続されるプラグPLGが形成されている。さらに、プラグPLGが形成された層間絶縁層IL3上には、配線WL1が形成されている。このとき、例えば、図11に示すように、配線WL1は、スナバ容量パッドSNPと電気的に接続されている。したがって、図12の配線形成領域A3に示す容量電極CE2は、プラグPLGと配線WL1とを介して、スナバ容量パッドSNPと電気的に接続されていることになる。そして、図10に示すように、本実施の形態における半導体装置SA1では、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとがワイヤWで接続されている。そして、図12のドレインパッド形成領域A2に示すように、ドレインパッドDPは、パワーMOSFETのドレイン領域(「エピタキシャル層EPI+半導体基板SUB」)と電気的に接続されていることから、容量電極CE2は、パワーMOSFETのドレイン領域と電気的に接続されていることになる。一方、図12のパワーMOSFET形成領域A1に示すように、容量電極(第2容量電極)CE2と対向する第1容量電極として機能する「プラグPLG2+ソースパッドSP」は、パワーMOSFETのソース領域SRと電気的に接続されている。したがって、容量電極(第2容量電極)CE2と第1容量電極(「プラグPLG2+ソースパッドSP」)から構成されるスナバ容量は、パワーMOSFETのソース領域SRとドレイン領域との間に並列接続されることになる。
【0062】
<半導体装置の製造方法>
本実施の形態における半導体装置SA1は、上記のように構成されており、以下に、その製造方法について、図面を参照しながら説明することにする。
【0063】
まず、図13は、半導体ウェハWFを模式的に示す図であり、半導体ウェハWFの領域RAの拡大図も示されている。図13の領域RAの拡大図に示すように、半導体ウェハWFには、複数のチップ領域CRが形成されている。
【0064】
複数のチップ領域CRのそれぞれには、パワートランジスタと、パワートランジスタと電気的に接続されたスナバ容量とが形成されている。ここで、パワートランジスタは、ソース領域(第1領域)と、ドレイン領域(第2領域)と、ソース領域とドレイン領域との間を流れる電流を制御するゲート電極とを有する。また、スナバ容量は、ソース領域と電気的に接続された第1容量電極と、第1容量電極と離間して対向配置された第2容量電極とを有する。このとき、複数のチップ領域のそれぞれの表面には、スナバ容量の第2容量電極と電気的に接続されたスナバ容量パッドと、ソース領域と電気的に接続されたソースパッドと、ドレイン領域と電気的に接続されたドレインパッドと、ゲート電極と電気的に接続されたゲートパッドとが形成されている。
【0065】
このように構成されている半導体ウェハを準備した後、複数のチップ領域CRのそれぞれに形成されているスナバ容量に対して、第1容量電極と第2容量電極とに挟まれた容量絶縁膜の絶縁耐性をテストする(スクリーニング試験)。
【0066】
図14は、スクリーニング試験の流れを示すフローチャートである。図14において、まず、ソースパッドにプローブ針を接触させるとともに、スナバ容量パッドにプローブ針を接触させる(S101)。次に、ソースパッドとスナバ容量パッドとの間に電圧を印加する(S102)。続いて、ソースパッドとスナバ容量パッドとの間に流れる電流を測定する(S103)。その後、測定した電流に基づいて、スナバ容量の良否を判定する(S104)。図15は、スクリーニング試験の具体例を示すフローチャートである。図15において、まず、スナバ容量パッドにプローブ針を接触させた後、スナバ容量パッドにプローブ針が接触しているかどうかを確認する。具体的に、スナバ容量は、容量であることから、直流的にはオープンであるため、「ケルビンチェック」で、スナバ容量パッドにプローブ針が接触しているかどうかをチェックする(S201)。次に、パワーMOSFETのソースとスナバ容量パッドとの間にパルス電圧を印加する(S202)。続いて、パワーMOSFETのソースとスナバ容量パッドとの間に流れる電流を測定し、測定した電流が規定値(例えば、1μA)以上である場合は、スナバ容量の絶縁耐性が不良であると判断する(S203)。一方、測定した電流が規定値未満である場合は、スナバ容量の絶縁耐性が良好であると判断する(S203)。その後、特性保証項目のテストである能動特性テストが実施される(S204)。以上のようにして、スナバ容量のスクリーニング試験が実施されることになる。
【0067】
次に、半導体ウェハWFをダイシングすることにより、複数のチップ領域CRを個片化して、半導体チップを取得する。このとき、スクリーニング試験をパスしたスナバ容量が形成されている半導体チップが良品として抽出される。
【0068】
続いて、図16に示すように、辺S1を有するチップ搭載部TABと、チップ搭載部TABの辺S1に離間して対向配置された複数のリードとを備えるリードフレームLFを用意する。ここで、複数のリードは、ゲートリードGLと、ソースリードSLと、チップ搭載部TABと一体的形成されたリードLとを含む。そして、ゲートリードGLのポスト部およびソースリードSLのポスト部にニッケルからなるめっき膜を形成する(図16のドット領域を参照)。
【0069】
その後、図17に示すように、チップ搭載部TAB上に半田SDを供給する。そして、図18に示すように、チップ搭載部TAB上に供給された半田SDを引き延ばす。
【0070】
次に、図19に示すように、半田SDを介して、スクリーニング試験をパスしたスナバ容量が形成されている半導体チップCHPをチップ搭載部TAB上に搭載する。このとき、半導体チップCHPの表面には、スナバ容量パッドSNPと、ソースパッドSPと、ドレインパッドDPと、ゲートパッドGPとが形成されている。
【0071】
続いて、図20に示すように、半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPと、ニッケルからなるめっき膜が形成されたソースリードSLのポスト)とをソースワイヤSWで接続する。その後、図21に示すように、半導体チップCHPの表面に形成されているスナバ容量パッドSNPと、半導体チップCHPの表面に形成されているドレインパッドDPとをワイヤWで接続する。そして、図22に示すように、半導体チップCHPの表面に形成されているゲートパッドGPと、ニッケルからなるめっき膜が形成されたゲートパッドGLのポスト部とをゲートワイヤGWで接続する。
【0072】
次に、図23に示すように、例えば、樹脂からなる封止体MRによって、半導体チップ(CHP)が搭載されたチップ搭載部(TAB)とソースワイヤ(SW)とゲートワイヤ(GW)とワイヤ(W)とを封止する。このとき、ゲートリードGLの一部分とソースリードSLの一部分とリードLの一部分は、封止体から露出する。その後、封止体MRから露出するリード(ゲートリードGL、リードL、ソースリードSL)の表面にめっき膜を形成した後、リードを成形する(リード成形工程)。そして、半導体装置を個片化した後(個片化工程)、マーキング工程および特性選別工程を実施する。以上のようにして、本実施の形態における半導体装置を製造することができる。
【0073】
<実施の形態における特徴>
続いて、本実施の形態における特徴点について説明する。本実施の形態における第1特徴点は、例えば、図10に示すように、パワーMOSFETとスナバ容量とが形成された半導体チップCHPの表面に、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとが形成され、かつ、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとが接続部材(ワイヤW)で接続されている点にある。これにより、スナバ容量を構成する容量絶縁膜の絶縁耐性をテストするスクリーニング試験の段階においては、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとを接続部材(ワイヤW)で接続せずに、パワーMOSFETのドレインパッドDPとスナバ容量のスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続しないように構成することができる(図13図15参照)。一方、スクリーニング試験を実施した後の段階においては、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとを接続部材(ワイヤW)で接続することにより、ドレインパッドDPとスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続することができる(図22参照)。
【0074】
この結果、本実施の形態によれば、スナバ容量を構成する容量絶縁膜の絶縁耐性を確実にテストすることができるとともに、スクリーニング試験の終了後の段階で、パワーMOSFETとスナバ容量SCとを並列接続することができる。この結果、スクリーニング試験が実施可能となることに起因するパワーMOSFETとスナバ容量とを含む半導体装置の歩留り向上を図りながら、半導体装置において、大きな逆起電力(サージ電圧)の発生を抑制することができるとともに、スナバ容量を外付けする構成よりも、半導体装置を実装するための実装基板での部品実装面積の削減や部品点数の削減を図ることができる。
【0075】
次に、本実施の形態における第2特徴点は、例えば、図10に示すように、ゲートパッドGPが、半導体チップCHPのチップ辺CS1とチップ辺CS3の交点に近接配置されている一方、スナバ容量パッドSNPが、半導体チップCHPのチップ辺CS3とチップ辺CS4の交点に近接配置されている点にある。これにより、半導体チップCHPの中央部から離れた角部近傍にスナバ容量パッドSNPが配置されるため、半導体チップCHPの中央部のスペースを犠牲にすることなく、半導体チップCHPの表面にスナバ容量パッドSNPを配置することができる。すなわち、本実施の形態における第2特徴点によれば、ソースパッドSPが配置される半導体チップCHPの中央部のスペースを犠牲することなく、半導体チップCHPの表面にスナバ容量パッドSNPを配置することができる。つまり、ソースパッドSPは、パワーMOSFETのソースとして機能し、大電流が流れる。このため、パワーMOSFETの性能向上を図る観点から、半導体チップCHPの表面における複数のソースパッドSPの占有面積をできるだけ大きくして、オン抵抗を低減することが重要である。この点に関し、本実施の形態における第2特徴点によれば、複数のソースパッドSPが配置される半導体チップCHPの中央部を避けて、半導体チップCHPの角部近傍にスナバ容量パッドSNPが配置されることになる。このため、本実施の形態における第2特徴点によれば、半導体チップCHPの表面にスナバ容量パッドSNPを配置しながらも、半導体チップCHPの表面における複数のソースパッドSPの占有面積をできるだけ大きく取ることができる。これにより、パワーMOSFETのオン抵抗の低減を図りながら、スナバ容量パッドSNPを使用したスナバ容量のスクリーニング試験を実施することができる。したがって、本実施の形態における第2特徴点によれば、パワーMOSFETのオン抵抗の低減による半導体装置の性能向上を図りながら、スナバ容量パッドSNPを使用したスナバ容量のスクリーニング試験が可能となることによる半導体装置の歩留り向上を図ることができる。
【0076】
さらに、本実施の形態における第2特徴点によれば、ゲートパッドGPとスナバ容量パッドSNPとが半導体チップCHPの異なる角部に配置されていることになる。つまり、本実施の形態における第2特徴点によれば、ゲートパッドGPとスナバ容量パッドSNPとが分散配置されることになる。これにより、複数のソースパッドSPの配置変更を伴うことなく、複数のソースパッドSPが配置できないデッドスペースを有効活用することができ、これによって、半導体チップCHPのレイアウトの設計変更を最小限にすることができる。すなわち、本実施の形態における第2特徴点によれば、半導体チップCHPのレイアウトの設計変更にともなう製造コストの上昇を抑制しながら、スナバ容量パッドSNPを使用したスナバ容量のスクリーニング試験が可能となることによる半導体装置の歩留り向上を図ることができる。
【0077】
続いて、本実施の形態における第3特徴点は、例えば、図10に示すように、ドレインパッドDPをスナバ容量パッドSNPに近接配置する点にある。これにより、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとを接続するワイヤWの長さを短くすることができる。このことは、ワイヤWの寄生インダクタンスを低減できることを意味し、これによって、パワーMOSFETのターンオン時やターンオフ時に発生するサージ電圧の大きさを抑制することができる。例えば、スナバ容量パッドSNPは、スクリーニング試験の段階では、パワーMOSFETのドレインと電気的に分離されている必要があるが、最終製品(半導体装置)の段階では、パワーMOSFETとスナバ容量とを並列接続する必要があることから、スナバ容量パッドSNPとパワーMOSFETのドレインとは電気的に接続する必要がある。この点に関し、例えば、図12に示すように、半導体基板SUBおよびエピタキシャル層EPIは、パワーMOSFETのドレイン領域として機能する。したがって、スナバ容量パッドSNPとパワーMOSFETのドレインとを電気的に接続するためには、スナバ容量パッドSNPと半導体基板SUB(エピタキシャル層EPI)とを電気的に接続すればよい。ただし、半導体チップCHPの表面に形成されているスナバ容量パッドSNPと、半導体チップCHPの裏面に露出する半導体基板SUBとを電気的に接続することは物理的に困難である。ここで、例えば、図10に示すように、半導体チップCHPは、半田SDを介して、チップ搭載部TAB上に搭載されることから、チップ搭載部TABは、半導体基板SUBと電気的に接続されることになる。つまり、チップ搭載部TABもパワーMOSFETのドレインと同電位となる。このことから、例えば、図10において、パワーMOSFETとスナバ容量とを並列接続するために、半導体チップCHPの表面に形成されているスナバ容量パッドSNPと、半導体チップCHPが搭載されていないチップ搭載部TAB上の一部分とをワイヤで接続することが考えられる。ただし、この場合、チップ搭載部TAB上には、めっき膜が形成されていないため、チップ搭載部TABとワイヤとの接続が困難となる。すなわち、例えば、図16に示すように、ワイヤと接続される部分には、めっき膜を形成する(図16のドット領域参照)。したがって、スナバ容量パッドSNPとチップ搭載部TABとをワイヤで接続するためには、チップ搭載部TABの表面にもめっき膜を形成する必要がある。ところが、大きな面積を有するチップ搭載部の表面全体にめっき膜を形成すると、半導体装置の製造コストが大幅に上昇することになる。そこで、本実施の形態では、例えば、図12のドレインパッド形成領域A2に示すように、半導体チップCHPの表面にドレインパッドDPを形成し、このドレインパッドDPと、パワーMOSFETのドレイン領域となるエピタキシャル層EPIとをプラグPLG1~PLG3によって電気的に接続している。この結果、半導体チップCHPの表面に形成されているドレインパッドDPとスナバ容量パッドSNPとを接続することにより、パワーMOSFETとスナバ容量との並列接続を実現している。このように、本実施の形態における第3特徴点の前提として、半導体チップCHPの表面にドレインパッドDPを設ける技術的意義は、製造コストの大幅な上昇を招くことなく、容易にスナバ容量パッドSNPをパワーMOSFETのドレインと電気的に接続することになる。そして、この構成を前提として、ドレインパッドDPをスナバ容量パッドSNPに近接配置するという本実施の形態における第3特徴点によれば、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとを接続するワイヤWの長さを短くすることができる。この結果、本実施の形態における第3特徴点によれば。スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとをワイヤWで接続することによって、パワーMOSFETとスナバ容量とを並列接続することができるとともに、ワイヤWに起因する寄生インダクタンスの増加を最小限に抑制することができる。
【0078】
次に、本実施の形態における第4特徴点は、例えば、図10に示すように、スナバ容量パッドSNPの平面サイズが、ドレインパッドDPの平面サイズよりも大きい点にある。これにより、スナバ容量パッドSNPを使用したスクリーニング試験を実施しながら、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとを接続するワイヤの接続強度を向上することができる。以下に、この点について説明する。例えば、スナバ容量のスクリーニング試験においては、スナバ容量パッドSNPにプローブ針を接触させながら実施される。この結果、スナバ容量パッドSNPには、プローブ針を接触させたことによるプローブ痕が形成される。そして、スナバ容量パッドSNPの表面にプローブ痕が形成されると、スナバ容量パッドの表面の凹凸が大きくなる。このような凹凸の大きなプローブ痕上にワイヤWを接続する場合、プローブ痕に起因する凹凸によって、スナバ容量パッドSNPとワイヤWとの接続信頼性が低下することになる。そこで、本実施の形態では、スナバ容量パッドSNPの平面サイズを大きくして、スナバ容量パッドSNPにプローブ針と接触させるプローブ針接触部と、ワイヤWと接続するワイヤ接続部とを別々に設けるように構成している。これにより、スナバ容量パッドSNPの表面には、プローブ針接触部とワイヤ接続部という別々の領域が確保されることから、プローブ針と接触させるプローブ針接触部にプローブ痕が形成されても、ワイヤ接続部には、プローブ痕が形成されずに、表面の平坦性が確保される。この結果、本実施の形態におけるスナバ容量パッドSNPによれば、スナバ容量パッドSNPを使用したスクリーニング試験の実施を確保しながらも、スナバ容量パッドSNPとワイヤとの接続強度を向上することができる。一方、ドレインパッドDPは、スナバ容量のスクリーニング試験では使用されないことから、プローブ針の針当ても行なわれることはない。このことから、ドレインパッドDPにおいては、プローブ針と接触させる領域を確保する必要はなく、ワイヤとの接続領域を確保すればよい。このため、本実施の形態におけるドレインパッドDPの平面サイズは、本実施の形態におけるスナバ容量パッドSNPの平面サイズよりも小さくなる。このようにして、本実施の形態における第4特徴点によれば、スナバ容量パッドSNPを使用したスクリーニング試験の実施を考慮しながら、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとを合わせた占有面積(平面サイズ)を最小限にすることができる。
【0079】
続いて、本実施の形態における第5特徴点は、例えば、図13図15に示すように、半導体ウェハWFの状態で、個々のチップ領域CRに形成されているスナバ容量のスクリーニング試験を実施する点にある。この場合、一例として、プローブカードを使用することにより、半導体ウェハWFの状態で、個々のチップ領域CRに形成されているスナバ容量のスクリーニング試験を一括で実施することができる。一方、半導体ウェハWFをダイシングして個片化された個々の半導体チップCHPに対して、スクリーニング試験を実施する場合には、多大な時間がかかる。すなわち、本実施の形態における第5特徴点によれば、スクリーニング試験の効率化を図ることができる結果、TAT(Turn Around Time)を大幅に短縮することができる。
【0080】
次に、本実施の形態における第6特徴点は、例えば、図20図22に示すように、ソースパッドSPと、ソースリードSL(ソースリードSLのポスト部)とをソースワイヤSWで接続した後、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとをワイヤWで接続する点にある。これにより、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとを接続するワイヤWの切断を抑制することができる。以下に、この点について説明する。例えば、ソースパッドSPと、ソースリードSL(ソースリードSLのポスト部)とを接続するソースワイヤSWには、大電流が流れるため、ソースワイヤSWの径は大きくなっている。一方、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとを接続するワイヤWには、ソースワイヤWを流れる電流ほど大きな電流は流れない。このことから、ワイヤWの径は、ソースワイヤSWの径よりも小さくなっている。
【0081】
そして、ソースワイヤSWによって、ソースパッドSPと、ソースリードSL(ソースリードSLのポスト部)とを接続するワイヤボンディング工程は、超音波を印加しながら実施される。このとき、ソースワイヤSWの径は、大きいことから、超音波の強度も大きくなる。したがって、先に、ワイヤWによって、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとを接続した状態で、ソースパッドSPと、ソースリードSL(ソースリードSLのポスト部)とを接続するワイヤボンディング工程を実施すると、強度の大きな超音波の振動がワイヤWに伝わることによって、径の小さなワイヤWが切断されてしまう可能性がある。このことから、本実施の形態では、ソースパッドSPと、ソースリードSL(ソースリードSLのポスト部)とをソースワイヤSWで接続した後、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとをワイヤWで接続している。これにより、本実施の形態における第6特徴点によれば、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとを接続するワイヤWの切断を効果的に防止することができる。
【0082】
続いて、本実施の形態における第7特徴点は、例えば、図21図22に示すように、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとを接続するワイヤWの径が、ゲートパッドGPと、ゲートリードGL(ゲートリードGLのポスト部)とを接続するゲートワイヤGWの径と等しい点にある。これにより、ゲートワイヤWで、ゲートパッドGPと、ゲートリードGL(ゲートリードGLのポスト部)とを接続するワイヤボンディング工程で使用されるワイヤボンディング装置を、ワイヤWでスナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとを接続するワイヤボンディング工程にも使用できる。この結果、本実施の形態における第7特徴点によれば、半導体装置の製造工程の複雑化を抑制することができ、これによって、半導体装置の製造コストの上昇を抑制することができる。
【0083】
次に、本実施の形態における第8特徴点は、例えば、図12のパワーMOSFET形成領域A1に示すように、ゲート電極GEの上方に存在するスペースを有効活用して、スナバ容量を設けている点にある。これにより、半導体チップCHPのサイズの増大を招くことなく、パワーMOSFETが形成された半導体チップCHPの内部にスナバ容量を混載することができる。
【0084】
ここで、スーパージャンクション構造のパワーMOSFETでは、スーパージャンクション構造ではない通常のパワーMOSFETに比べて、特定周波数でのノイズ(EMIノイズ、電磁波ノイズ)のレベルが大きくなる傾向がある。この理由は、デバイス構造の相違によって寄生容量が異なるため、スイッチング時(ターンオン時やターンオフ時)にノイズレベルに差が出るからと考えられている。すなわち、デバイス構造の相違によって、スーパージャンクション構造のパワーMOSFETでは、通常のパワーMOSFETよりも寄生容量が小さくなっており、寄生容量によるリンキングピーク電圧(逆起電力に起因するサージ電圧)の緩和効果が小さいと考えられる。この結果、スーパージャンクション構造のパワーMOSFETでは、通常のパワーMOSFETよりも、半導体チップの内部にスナバ容量を追加する必要性が高くなる。
【0085】
ただし、半導体チップの内部にスナバ容量を追加すると、必然的に、チップサイズの増大を招くことになる。この点に関し、特に、スーパージャンクション構造のパワーMOSFETにおいて、例えば、図12のパワーMOSFET形成領域A1に示すように、ゲート電極GEの上方に存在するスペースを有効活用して、スナバ容量を設けるという有用性が高まることになる。なぜなら、スーパージャンクション構造のパワーMOSFETでは、通常のパワーMOSFETに比べて、寄生容量によるリンキングピーク電圧(逆起電力に起因するサージ電圧)の緩和効果が小さいため、スナバ容量を追加することによるリンキングピーク電圧(逆起電力に起因するサージ電圧)の緩和効果の必要性が高まるからである。したがって、特に、スーパージャンクション構造のパワーMOSFETでは、半導体チップの内部にスナバ容量を設ける必要性が大きいことから、チップサイズの増大を招くことなく、半導体チップの内部にスナバ容量を設ける工夫である本実施の形態における第8特徴点を採用する有用性が高まるのである。ただし、本実施の形態における第8特徴点は、スーパージャンクション構造のパワーMOSFETとスナバ容量とを混載する構成だけでなく、通常のパワーMOSFETとスナバ容量とを混載する構成にも幅広く適用することができる。
【0086】
<変形例1>
図24は、実施の形態の変形例1における半導体装置SA1の模式的な構成を示す図である。図24において、本変形例1では、ゲートパッドGPとスナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPが、半導体チップCHPにチップ辺CS1に沿って配置されている。このように、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとをレイアウト配置することもできる。この場合においても、スナバ容量を構成する容量絶縁膜の絶縁耐性をテストする段階においては、パワーMOSFETのドレインパッドDPとスナバ容量のスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続しない一方、スクリーニング試験を実施した後の段階においては、ドレインパッドDPとスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続するという基本思想を実現することができる。
【0087】
<変形例2>
図25は、実施の形態の変形例2における半導体装置SA1の模式的な構成を示す図である。図25において、本変形例2では、ゲートパッドGPは、チップ辺CS1とチップ辺CS3の交点に近接配置されている。言い換えれば、ゲートパッドGPは、チップ辺CS1とチップ辺CS3との交差する角部に配置されている。そして、ゲートパッドGPとスナバ容量パッドSNPは、チップ辺CS1に沿って配置され、かつ、ゲートパッドGPとドレインパッドDPは、チップ辺CS3に沿って配置されている。また、逆に、ゲートパッドGPとスナバ容量パッドSNPとを、チップ辺CS3に沿って配置し、かつ、ゲートパッドGPとドレインパッドDPとを、チップ辺CS1に沿って配置することもできる。このように、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとをレイアウト配置することもできる。この場合においても、スナバ容量を構成する容量絶縁膜の絶縁耐性をテストする段階においては、パワーMOSFETのドレインパッドDPとスナバ容量のスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続しない一方、スクリーニング試験を実施した後の段階においては、ドレインパッドDPとスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続するという基本思想を実現することができる。
【0088】
<変形例3>
図26は、実施の形態の変形例3における半導体装置SA1の模式的な構成を示す図である。図26において、本変形例3では、ゲートパッドGPとスナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPは、チップ辺CS3に沿って配置されている。このように、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとをレイアウト配置することもできる。この場合においても、スナバ容量を構成する容量絶縁膜の絶縁耐性をテストする段階においては、パワーMOSFETのドレインパッドDPとスナバ容量のスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続しない一方、スクリーニング試験を実施した後の段階においては、ドレインパッドDPとスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続するという基本思想を実現することができる。
【0089】
<変形例4>
図27は、実施の形態の変形例4における半導体装置SA1の模式的な構成を示す図である。図27において、本変形例4では、半導体チップCHPの表面に形成されているソースパッドSPとソースリードSL(ソースリードSLのポスト部)とが、例えば、銅からなるクリップCLP1で接続されている。同様に、本変形例4では、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとが、クリップCLP2で接続されている。
【0090】
この場合においても、スナバ容量を構成する容量絶縁膜の絶縁耐性をテストする段階においては、パワーMOSFETのドレインパッドDPとスナバ容量のスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続しない一方、スクリーニング試験を実施した後の段階においては、ドレインパッドDPとスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続するという基本思想を実現することができる。
【0091】
<変形例5>
図28は、実施の形態の変形例5における半導体装置SA1の模式的な構成を示す図である。図28において、本変形例5では、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとが、導電性接着材ADHで接続されている。
【0092】
この場合においても、スナバ容量を構成する容量絶縁膜の絶縁耐性をテストする段階においては、パワーMOSFETのドレインパッドDPとスナバ容量のスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続しない一方、スクリーニング試験を実施した後の段階においては、ドレインパッドDPとスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続するという基本思想を実現することができる。
【0093】
<変形例6>
図29は、実施の形態の変形例6における半導体装置SA1の模式的な構成を示す図である。例えば、図29に示すように、半導体チップCHPは、半田SDを介して、チップ搭載部TAB上に搭載されることから、チップ搭載部TABは、半導体基板と電気的に接続されることになる。つまり、チップ搭載部TABもパワーMOSFETのドレインと同電位となる。このことから、例えば、図29において、本変形例6では、パワーMOSFETとスナバ容量とを並列接続するために、半導体チップCHPの表面に形成されているスナバ容量パッドSNPと、半導体チップCHPが搭載されていないチップ搭載部TAB上の一部分とをワイヤWで接続している。この場合、半導体チップCHPの表面にドレインパッド(DP)を設ける必要はなくなる。
【0094】
ただし、チップ搭載部TAB上には、めっき膜が形成されていないため、チップ搭載部TABとワイヤWとの接続が困難となる。すなわち、例えば、図16に示すように、ワイヤと接続される部分には、めっき膜を形成する(図16のドット領域参照)。したがって、スナバ容量パッドSNPとチップ搭載部TABとをワイヤで接続するためには、チップ搭載部TABの表面にもめっき膜を形成する必要がある。ところが、大きな面積を有するチップ搭載部の表面全体にめっき膜を形成すると、半導体装置の製造コストが大幅に上昇することになる。したがって、ワイヤWの接続信頼性および製造コストを抑制する観点からは、例えば、図10に示す実施の形態のように、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとをワイヤWで接続する構成のほうが望ましい。
【0095】
<変形例7>
図30は、実施の形態の変形例7における半導体装置SA1の模式的な構成を示す図である。図30において、本変形例7では、半導体チップCHPの中央部にスナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPが設けられており、このスナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとがワイヤWで接続されている。
【0096】
この場合においても、スナバ容量を構成する容量絶縁膜の絶縁耐性をテストする段階においては、パワーMOSFETのドレインパッドDPとスナバ容量のスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続しない一方、スクリーニング試験を実施した後の段階においては、ドレインパッドDPとスナバ容量パッドSNPとを電気的に接続するという基本思想を実現することができる。
【0097】
ただし、本変形例7の構成では、半導体チップCHPに占めるセル領域(パワーMOSFETを構成するセルが形成される領域)の面積が小さくなる。このことから、半導体チップCHPに占めるセル領域を大きくして、パワーMOSFETのオン抵抗を低減する観点からは、例えば、図10に示す実施の形態のように、スナバ容量パッドSNPとドレインパッドDPとを半導体チップCHPの角部に配置する構成のほうが望ましい。
【0098】
<変形例8>
実施の形態では、パワートランジスタの一例として、パワーMOSFETを例に挙げて説明したが、実施の形態における技術的思想は、これに限らず、例えば、パワートランジスタとして、IGBTを採用する場合にも適用することができる。このとき、パワーMOSFETを含む半導体装置SA1と、IGBTを含む半導体装置との対応関係としては、以下のようになる。すなわち、ソースリードSLは、エミッタリードとなり、かつ、ソース領域は、エミッタ領域となり、かつ、ドレイン領域は、コレクタ領域となり、かつ、ドレインパッドDPは、コレクタパッドとなる。
【0099】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0100】
100 パワーMOSFET
200 IGBT
ADH 導電性接着材
CE2 容量電極
CHP 半導体チップ
CLP1 クリップ
CLP2 クリップ
CS1 チップ辺
CS2 チップ辺
CS3 チップ辺
CS4 チップ辺
DP ドレインパッド
GE ゲート電極
GL ゲートリード
GP ゲートパッド
GW ゲートワイヤ
L リード
SL ソースリード
SNP スナバ容量パッド
SR ソース領域
SW ソースワイヤ
S1 辺
TAB チップ搭載部
W ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30