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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】眼鏡ケース及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A45C 11/04 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
A45C11/04 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018093341
(22)【出願日】2018-05-14
(65)【公開番号】P2019198388
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-03-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 食と健康の館(愛知県知多郡美浜町大字小野浦字西川一番地)等での販売による公開
(73)【特許権者】
【識別番号】516239068
【氏名又は名称】榊原 夏枝
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】榊原 夏枝
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】実公昭40-028858(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3145506(JP,U)
【文献】特開平09-056438(JP,A)
【文献】特開2018-039195(JP,A)
【文献】登録実用新案第3171817(JP,U)
【文献】特開平09-154616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布製の眼鏡ケースであって、
長尺袋状に形成されるとともに、その長尺方向の一端側に眼鏡を出し入れするための開口が形成された本体布と、
前記本体布に縫い付けられる眼鏡拭きと、を備え、
前記眼鏡拭きは、前記本体布内に前記眼鏡を収容した状態で前記開口を塞ぎ得るように設けられており、
前記本体布の内側には、前記本体布と略同じ平面形状の裏地布が配置されており、
展開状態の前記本体布及び前記裏地布において前記開口を形成する各一辺部は、直線状に延びる第1縁部と前記第1縁部の両端に連なり円弧状に延びる第2縁部とからなり、
前記本体布及び前記裏地布の前記各第1縁部の間に前記眼鏡拭きの直線状に延びる縁部が第1糸で縫い付けられており、
前記第1糸が外部に露出しないように、前記本体布及び前記裏地布の前記各一辺部が前記本体布と前記裏地布との間の内側に折り込まれていることを特徴とする眼鏡ケース。
【請求項2】
前記本体布は、複数の分割布を縫い合わせて形成されている請求項1に記載の眼鏡ケース。
【請求項3】
前記分割布は、畳縁用の織物により形成されている請求項2に記載の眼鏡ケース。
【請求項4】
前記本体布と前記裏地布との間には、中間布が配置されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載の眼鏡ケース。
【請求項5】
前記中間布は、不織布により形成されている請求項4に記載の眼鏡ケース。
【請求項6】
前記裏地布は、前記眼鏡拭きと同種の材質により形成されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の眼鏡ケース。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の眼鏡ケースの製造方法であって、
シート状の前記本体布の意匠面となる表面側に前記眼鏡拭きを介して前記裏地布を配置して、前記本体布及び前記裏地布の前記各第1縁部の間に前記眼鏡拭きの縁部を第1で縫い付ける第1縫付工程と、
前記第1縫付工程の後に、前記本体布の非意匠面となる裏面側に前記裏地布を配置することで、前記本体布及び前記裏地布の前記各一辺部を前記本体布と前記裏地布との間の内側に折り込む縁部折込工程と、
前記縁部折込工程の後に、前記本体布及び前記裏地布を前記各一辺部の左右の中心を通る折り返し線で半分に折り返して、前記本体布及び前記裏地布の前記各一辺部以外の周縁部を第2糸で縫い付ける第2縫付工程と、を備えることを特徴とする眼鏡ケースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡ケース及びその製造方法に関し、更に詳しくは、眼鏡拭きを一体に備える眼鏡ケース及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の眼鏡ケースとして、眼鏡拭きを一体に備えるものが一般に知られている(例えば、特許文献1等参照)。この特許文献1には、眼鏡の取出性を高めるために、ケース本体内に収容した眼鏡の一部を開口から突出させることが記載されている。さらに、特許文献1には、ケース本体の内側に眼鏡拭きと一体の裏地布を配置することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平04-133726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載された技術では、ケース本体内に収容した眼鏡の一部を開口から突出させているので、眼鏡ケースの携帯時等に開口から眼鏡が飛び出し易く、さらに眼鏡が汚れ易い。
【0005】
また、上記特許文献1には、ケース本体の材質について具体的な記載がないが、布製のケース本体を採用する場合、意匠性に優れた眼鏡ケースの出現が望まれている。
【0006】
さらに、上記特許文献1に記載された技術では、ケース本体の内側に眼鏡拭きと一体の裏地布を配置しているので、布製のケース本体を採用する場合、ケース本体に裏地布を縫い付けることが考えられる。しかしながら、眼鏡拭きには比較的強い引っ張り荷重が繰り返しかかるため、長期使用により縫い目が解けて眼鏡ケースの意匠生が低下してしまう。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、本体布内に収容した眼鏡の飛び出しや汚れを抑制できる眼鏡ケースを提供することを目的とする。
本発明は、上記目的に加えて、意匠性に優れた眼鏡ケースを提供すること、並びに眼鏡拭きの縫付強度を高めることができる眼鏡ケース及びその製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の通りである。
1.布製の眼鏡ケースであって、長尺袋状に形成されるとともに、その長尺方向の一端側に眼鏡を出し入れするための開口が形成された本体布と、前記本体布に縫い付けられる眼鏡拭きと、を備え、前記眼鏡拭きは、前記本体布内に前記眼鏡を収容した状態で前記開口を塞ぎ得るように設けられていることを特徴とする。
2.前記本体布は、複数の分割布を縫い合わせて形成されている上記1.に記載の眼鏡ケース。
3.前記分割布は、畳縁用の織物により形成されている上記2.に記載の眼鏡ケース。
4.前記本体布の内側には、裏地布が配置されており、前記本体布と前記裏地布との間には、中間布が配置されている上記2.又は3.に記載の眼鏡ケース。
5.前記中間布は、不織布により形成されている上記4.に記載の眼鏡ケース。
6.前記本体布の内側には、裏地布が配置されており、前記本体布及び前記裏地布の前記開口側の各縁部は、前記本体布と前記裏地布との間の内側に折り込まれており、該開口側の各縁部に前記眼鏡拭きの縁部が第1糸で縫い付けられている上記1.乃至5.のいずれか一項に記載の眼鏡ケース。
7.前記裏地布は、前記眼鏡拭きと同種の材質により形成されている上記4.又は6.に記載の眼鏡ケース。
8.上記6.に記載の眼鏡ケースの製造方法であって、シート状の前記本体布の意匠面となる表面側に前記眼鏡拭きを介して前記裏地布を配置して、前記本体布及び前記裏地布の前記開口側の各縁部に前記眼鏡拭きの縁部を第1布で縫い付ける第1縫付工程と、前記第1縫付工程の後に、前記本体布の非意匠面となる裏面側に前記裏地布を配置することで、前記本体布及び前記裏地布の前記開口側の各縁部を前記本体布と前記裏地布との間の内側に折り込む縁部折込工程と、前記縁部折込工程の後に、前記本体布及び前記裏地布を前記開口側の各縁部の左右の中心を通る折り返し線で半分に折り返して、前記本体布及び前記裏地布の前記開口側の各縁部以外の周縁部を第2糸で縫い付ける第2縫付工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の眼鏡ケースによると、長尺袋状に形成されるとともに、その長尺方向の一端側に眼鏡を出し入れするための開口が形成された本体布と、本体布に縫い付けられる眼鏡拭きと、を備え、眼鏡拭きは、本体布内に眼鏡を収容した状態で開口を塞ぎ得るように設けられている。これにより、眼鏡拭きを利用して開口を塞ぐことで、本体布内に収容した眼鏡の飛び出しや汚れ等が抑制される。
また、前記本体布が、複数の分割布を縫い合わせて形成されている場合は、意匠性の高い分割布を採用することで、眼鏡ケースの意匠性が高められる。
また、前記分割布が、畳縁用の織物により形成されている場合は、意匠性に優れるとともに、軽量且つ丈夫で汚れ難い本体布を採用できる。
また、前記本体布の内側に、裏地布が配置されており、前記本体布と前記裏地布との間に、中間布が配置されている場合は、裏地布及び中間布により本体布の各分割布の縫い合わせ部分での手触りの違和感(凹凸感)が抑制される。さらに、裏地布により本体布内に収容された眼鏡の保護性が高められる。
また、前記中間布が、不織布により形成されている場合は、比較的薄い中間布により本体布の手触りの違和感が抑制される。
また、前記本体布の内側に、裏地布が配置されており、前記本体布及び前記裏地布の前記開口側の各縁部が、前記本体布と前記裏地布との間の内側に折り込まれており、該開口側の各縁部に前記眼鏡拭きの縁部が第1糸で縫い付けられている場合は、本体布及び裏地布の両者に眼鏡拭きが縫い付けられるとともに、眼鏡拭きの縫い目が外部に露出しないため、長期使用しても眼鏡拭きの縫い目が解け難く、眼鏡拭きの縫付強度が高められて眼鏡ケースの意匠性の低下が抑制される。さらに、裏地布により本体布内に収容された眼鏡の保護性が高められる。
さらに、前記裏地布が、前記眼鏡拭きと同種の材質により形成されている場合は、裏地布に眼鏡拭き機能を持たせることができる。
【0010】
本発明の眼鏡ケースの製造方法によると、シート状の本体布の意匠面となる表面側に眼鏡拭きを介して裏地布を配置して、本体布及び裏地布の開口側の各縁部に眼鏡拭きの縁部を第1糸で縫い付ける第1縫付工程と、第1縫付工程の後に、本体布の非意匠面となる裏面側に裏地布を配置することで、本体布及び裏地布の開口側の各縁部を本体布と裏地布との間の内側に折り込む縁部折込工程と、縁部折込工程の後に、本体布及び裏地布を開口側の各縁部の左右の中心を通る折り返し線で半分に折り返して、本体布及び裏地布の開口側の各縁部以外の周縁部を第2糸で縫い付ける第2縫付工程と、を備える。これにより、上述の眼鏡ケースを効率良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
図1】実施例に係る眼鏡ケースの斜視図であり、(a)は開口の開放状態を示し、(b)は開口の閉塞状態を示す。
図2図1のII-II線断面拡大図である。
図3図1のIII-III線断面拡大図である。
図4】上記眼鏡ケースの製造方法(本体布形成工程)を説明するための説明図であり、(a)は複数の分割布の各平面図を示し、(b)は複数の分割布を縫い合わせて一枚の本体布を形成した状態を示す。
図5】上記眼鏡ケースの製造方法(第1縫付工程)を説明するための説明図であり、本体布上に、眼鏡拭き、裏地布及び中間布を順に配置する状態を示す。
図6】上記眼鏡ケースの製造方法(第1縫付工程)を説明するための説明図であり、(a)は本体布、眼鏡拭き、裏地布及び中間布の各縁部を第1糸で縫い付けた状態を示し、(b)はb-b線断面拡大図を示す。
図7】上記眼鏡ケースの製造方法(縁部折込工程)を説明するための説明図であり、(a)は本体布、裏地布及び中間布を裏返す途中の状態を示し、(b)はb-b線断面拡大図を示す。
図8】上記眼鏡ケースの製造方法(縁部折込工程)を説明するための説明図であり、(a)は本体布、裏地布及び中間布を裏返した状態を示し、(b)はb-b線断面拡大図を示す。
図9】上記眼鏡ケースの製造方法(第2縫付工程)を説明するための説明図であり、(a)は本体布、裏地布及び中間布を半分に折り返す途中の状態を示し、(b)は本体布、裏地布及び中間布を半分に折り返した状態を示し、(c)は本体布、裏地布及び中間布の周縁部を第2糸で縫い付けた状態を示す。
図10】他の形態に係る眼鏡ケースを説明するための説明図であり、(a)は本体布の縁部の内側に中間布の縁部が配置される形態を示し、(b)は中間布を備えない形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0013】
<眼鏡ケース>
本実施形態に係る眼鏡ケースは、布製の眼鏡ケース(1)であって、長尺袋状に形成されるとともに、その長尺方向の一端側に眼鏡(2)を出し入れするための開口(3)が形成された本体布(5)と、本体布に縫い付けられる眼鏡拭き(6)と、を備え、眼鏡拭き(6)は、本体布(5)内に眼鏡(2)を収容した状態で開口(3)を塞ぎ得るように設けられている(例えば、図1等参照)。この本体布(5)の材質、形状、大きさ等は特に問わない。さらに、眼鏡拭き(6)の材質、形状、大きさ等は特に問わない。この眼鏡拭きは、例えば、マイクロファイバーからなる生地により形成されていることができる。
【0014】
本実施形態に係る眼鏡ケースとしては、例えば、上記本体布(5)は、複数の分割布(7a~7c)を縫い合わせて形成されていることができる(例えば、図4等参照)。この分割布(7a~7c)の材質、形状、大きさ、個数等は特に問わない。この分割布は、例えば、畳縁用の織物により形成されていることができる。
【0015】
上述の形態の場合、例えば、上記本体布(5)の内側には、裏地布(8)が配置されており、本体布(5)と裏地布(8)との間には、中間布(13)が配置されている形態(例えば、図2等参照)が挙げられる。この裏地布(8)の材質、形状、大きさ等は特に問わない。この裏地布は、例えば、眼鏡拭きと同種の材質により形成されていることができる。また、中間布(13)の種類、形状、大きさ等は特に問わない。この中間布は、例えば、不織布により形成されていることができる。
【0016】
本実施形態に係る眼鏡ケースとしては、例えば、上記本体布の内側には、裏地布(8)が配置されており、本体布及び裏地布の開口側の各縁部(11a、11b)は、本体布(5)と裏地布(8)との間の内側に折り込まれており、該開口側の各縁部(11a、11b)に眼鏡拭き(6)の縁部が第1糸(15)で縫い付けられている形態(例えば、図2及び図3等参照)が挙げられる。
【0017】
<眼鏡ケースの製造方法>
本実施形態に係る眼鏡ケースの製造方法は、上記実施形態に係る眼鏡ケース(1)の製造方法であって、シート状の本体布(5A)の意匠面となる表面(5a)側に眼鏡拭き(6)を介して裏地布(8)を配置して、本体布及び裏地布の開口側の各縁部(11a、11b)に眼鏡拭き(6)の縁部を第1糸(15)で縫い付ける第1縫付工程(例えば、図5、6等参照)と、第1縫付工程の後に、本体布(5A)の非意匠面となる裏面(5b)側に裏地布(8)を配置することで、本体布及び裏地布の開口側の各縁部(11a、11b)を本体布(5)と裏地布(8)との間の内側に折り込む縁部折込工程(例えば、図7、8等参照)と、縁部折込工程の後に、本体布(5)及び裏地布(8)を開口側の各縁部(11a、11b)の左右の中心を通る折り返し線(L)で半分に折り返して、本体布(5)及び裏地布(8)の開口側の各縁部(11a、11b)以外の周縁部を第2糸(16)で縫い付ける第2縫付工程(例えば、図9等参照)と、を備える。
【0018】
本実施形態に係る眼鏡ケースの製造方法としては、例えば、複数の分割布(7a~7c)を縫い合わせてシート状の本体布(5A)を形成する本体布形成工程(例えば、図4等参照)を備えることができる。
【0019】
なお、上記実施形態で記載した各構成の括弧内の符号は、後述する実施例に記載の具体的構成との対応関係を示すものである。
【実施例
【0020】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
【0021】
(1)眼鏡ケースの構成
本実施例に係る眼鏡ケース1は、図1及び図2に示すように、長尺袋状(具体的に、側面視で略矩形袋状)に形成されるとともに、その長尺方向の一端側に眼鏡2を出し入れするための開口3が形成された本体布5と、本体布5に縫い付けられる眼鏡拭き6と、を備えている。この眼鏡拭き6は、本体布5内に眼鏡2を収容した状態で開口3を塞ぎ得るように設けられている(図1(b)参照)。さらに、眼鏡拭き6は、マイクロファイバーからなる生地により形成されている。
【0022】
上記本体布5は、複数の分割布7a~7cを縫い合わせて形成されている(図4参照)。これら各分割布7a~7cは、畳縁用の織物により形成されている。また、本体布5の内側には、本体布5の非意匠面となる裏面5b側を覆うように裏地布8が配置されている。この裏地布8は、眼鏡拭き6と同種の材質(すなわち、マイクロファイバーからなる生地)により形成されている。さらに、裏地布8は、シート状の本体布5Aの平面形状と略同じ平面形状に形成されている(図5参照)。
【0023】
なお、上記本体布5の長尺方向の一端側には、開口3を形成する円弧状縁部9が形成されている。よって、開口3は、眼鏡ケース1を開口3を上向きに垂直に立てたとき、手前側に向かって下方に広がる。
【0024】
上記本体布5及び裏地布8の開口3側の各縁部11a、11bは、図3に示すように、本体布5と裏地布8との間の内側に折り込まれている。この開口3側の各縁部11a、11bの間に眼鏡拭き6の縁部が第1糸15で縫い付けられている。また、本体布5と裏地布8との間には、不織布により形成された中間布13が配置されている(図2参照)。この中間布13の開口3側の縁部11cは、裏地布8の開口側の縁部11bの内側に挟み込まれている。さらに、中間布13は、シート状の本体布5Aの平面形状と略同じ平面形状に形成されている(図5参照)。
【0025】
(2)眼鏡ケースの製造方法について
本実施例の眼鏡ケース1の製造方法は、以下に述べる本体布形成工程、第1縫付工程、縁部折込工程及び第2縫付工程を備えている。なお、本実施例では、袋状の本体布を符号「5」で示し、袋状となる前のシート状の本体布を符号「5A」で示す。
【0026】
上記本体布形成工程は、図4に示すように、複数の分割布7a~7cを縫い合わせて1枚のシート状の本体布5Aを形成する。具体的に、本体布5Aは、中央の分割布7aに対して左右の分割布7b、7cを縫い合わせて形成されている。その縫い合わせ部分は、各分割布7a~7cの縁部を折曲げて縫い付けられた部分であり、本体布5の他の部分よりも厚肉となる。
【0027】
上記第1縫付工程は、図5及び図6に示すように、本体布5Aの意匠面となる表面5a側に眼鏡拭き6を介して裏地布8を配置して、本体布5A及び裏地布8の開口3側の各縁部11a、11bに対して眼鏡拭き6の縁部を第1糸15(図6(a)中に破線で示す。)で縫い付ける。具体的に、本体布5A上に、眼鏡拭き6、裏地布8及び中間布13をこの順で積層し、本体布5A、裏地布8及び中間布13の開口側の各縁部11a~11cに眼鏡拭き6の縁部を第1糸15で縫い付ける。この第1糸15による縫い付けは、本体布5A、裏地布8及び中間布13の開口3側の各縁部11a~11cにわたって施される。
【0028】
上記縁部折込工程は、図7及び図8に示すように、第1縫付工程の後に、本体布5Aの非意匠面となる裏面5b側に中間布13を挟んで裏地布8を配置することで、本体布5A及び裏地布8の開口3側の各縁部11a、11bを本体布5と裏地布6との間の内側に折り込む。具体的に、第1糸15で縫い付けられた開口3側の縁部11a~11cを起点として本体布5Aに対して裏地布8及び中間布13を裏返すことで、本体布5Aの裏面5b側に中間布13を挟んで裏地布8が配置される。
【0029】
上記第2縫付工程は、図9に示すように、縁部折込工程の後に、本体布5A、裏地布8及び中間布13を開口3側の各縁部11a~11cの左右の中心を通る折り返し線Lで裏地布8同士が重なるように半分に折り返して、本体布5A、裏地布8及び中間布13の開口3側の各縁部11a~11c以外の周縁部を第2糸16(図9(c)中に破線で示す。)で縫い付ける。
【0030】
(3)眼鏡ケースの作用
次に、上記構成の眼鏡ケース1の作用について説明する。図1(a)に示すように、本体布5の開口3を介して眼鏡2を出し入れする。この出し入れ時に、裏地布8により眼鏡2のレンズが拭かれる。また、本体布5内から眼鏡2を取り出した状態においては、眼鏡拭き6により眼鏡2のレンズを拭くことができる。さらに、図1(b)に示すように、眼鏡2の長期収容時等には、眼鏡拭き6で開口3を塞いでおく。
【0031】
(4)実施例の効果
本実施例の眼鏡ケース1によると、長尺袋状に形成されるとともに、その長尺方向の一端側に眼鏡2を出し入れするための開口3が形成された本体布5と、本体布5に縫い付けられる眼鏡拭き6と、を備え、眼鏡拭き6は、本体布5内に眼鏡2を収容した状態で開口3を塞ぎ得るように設けられている。これにより、眼鏡拭き6を利用して開口3を塞ぐことで、本体布5内に収容した眼鏡2の飛び出しや汚れ等が抑制される。
【0032】
また、本実施例では、本体布5は、複数の分割布7a~7cを縫い合わせて形成されている。これにより、意匠性の高い分割布7a~7cを採用することで、眼鏡ケース1の意匠性が高められる。特に、本実施例では、分割布7a~7cは、畳縁用の織物により形成されている。これにより、意匠性に優れるとともに、軽量且つ丈夫で汚れ難い本体布5を採用できる。
【0033】
また、本実施例では、本体布5の内側には、裏地布8が配置されており、本体布5と裏地布8との間には、中間布13が配置されている。これにより、裏地布8及び中間布13により本体布5の各分割布7a~7cの縫い合わせ部分での手触りの違和感(凹凸感)が抑制される。さらに、裏地布8により本体布5内に収容された眼鏡2の保護性が高められる。特に、本実施例では、中間布13は、不織布により形成されているので、比較的薄い中間布13により本体布5の手触りの違和感が抑制される。
【0034】
また、本実施例では、本体布5の内側には、裏地布8が配置されており、本体布5及び裏地布8の開口側の各縁部11a、11bは、本体布5と裏地布8との間の内側に折り込まれており、該開口側の各縁部11a、11bに眼鏡拭き6の縁部が第1糸15で縫い付けられている。これにより、本体布5及び裏地布8の両者に眼鏡拭き6が縫い付けられるとともに、眼鏡拭き6の縫い目が外部に露出しないため、長期使用しても眼鏡拭き6の縫い目が解け難く、眼鏡拭き6の縫付強度が高められて眼鏡ケース1の意匠性の低下が抑制される。さらに、裏地布8により本体布5内に収容された眼鏡2の保護性が高められる。
【0035】
さらに、本実施例では、裏地布8は、眼鏡拭き6と同種の材質により形成されている。これにより、裏地布8に眼鏡拭き機能を持たせることができる。
【0036】
本実施例の眼鏡ケース1の製造方法によると、シート状の本体布5Aの意匠面となる表面5a側に眼鏡拭き6を介して裏地布8を配置して、本体布5及び裏地布8の開口側の各縁部11a、11bに眼鏡拭き6の縁部を第1糸15で縫い付ける第1縫付工程と、第1縫付工程の後に、本体布5の非意匠面となる裏面5b側に裏地布8を配置することで、本体布5及び裏地布8の開口側の各縁部11a、11bを本体布5と裏地布8との間の内側に折り込む縁部折込工程と、縁部折込工程の後に、本体布5及び裏地布8を開口側の各縁部11a、11bの左右の中心を通る折り返し線Lで半分に折り返して、本体布5及び裏地布8の開口側の各縁部11a、11b以外の周縁部を第2糸16で縫い付ける第2縫付工程と、を備える。これにより、上述の眼鏡ケース1を効率良く製造できる。
【0037】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、中間布13の開口3側の縁部11cが裏地布8の開口3側の縁部11bの折り返しの内側に挟まれる形態(図3参照)を例示したが、これに限定されず、例えば、図10(a)に示すように、中間布13の開口3側の縁部11cが本体布5の開口3側の縁部11aの折り返しの内側に挟まれるようにしてもよい。
【0038】
また、上記実施例では、本体布5と裏地布8の間に中間布13を備える形態(図3参照)を例示したが、これに限定されず、例えば、図10(b)に示すように、本体布5と裏地布8の間に中間布13を備えないようにしてもよい。
【0039】
さらに、上記実施例では、複数の分割布7a~7cからなる本体布5(5A)を例示したが、これに限定されず、一枚の生地からなる本体布5(5A)としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、布製の眼鏡ケースに関する技術として広く利用される。
【符号の説明】
【0041】
1;眼鏡ケース、2;眼鏡、3;開口、5;本体布、5a;本体布の表面(意匠面)、5b;本体布の裏面(非意匠面)、6;眼鏡拭き、7a,7b,7c;分割布、8;裏地布、11a;本体布の開口側の縁部、11b;裏地布の開口側の縁部、13;中間布、15;第1糸、16;第2糸、L;折り返し線。
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図10