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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/14 20180101AFI20220701BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20220701BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20220701BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20220701BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220701BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20220701BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20220701BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20220701BHJP
【FI】
F21S41/14
F21S43/14
F21Y101:00 300
F21Y113:13
F21Y115:10
F21Y115:30
F21W102:00
F21W103:00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018097753
(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公開番号】P2019204628
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】大塚 文弥
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-159375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/14
F21S 43/14
F21W 102/00
F21W 103/00
F21Y 101/00
F21Y 113/13
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの内側に光源ユニットが配置された車両用灯具であって、
前記ハウジングの背面側に設けられた作業孔に対して着脱自在に取り付けられるカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記作業孔を閉塞するカバー本体と、前記カバー本体の外面を凹ませた窪み部と、前記窪み部に対応して前記カバー本体の内面から突出した突出部とを有し、
前記突出部は、前記カバー本体を軸線方向において断面視したときに、前記カバー本体の内周側から外周側に向かって拡径方向に傾斜した傾斜面を形成し、前記カバー本体の内面を平面視したときに、前記カバー本体の外周側から内周側に向かって湾曲した凸面を形成していることを特徴する車両用灯具。
【請求項2】
前記カバー本体は、前記作業孔と対向する天壁部と、前記天壁部の周囲を囲む周壁部とを有し、
前記窪み部及び前記突出部は、前記周壁部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記窪み部及び前記突出部は、前記周壁部の周方向に複数並んで設けられていることを特徴とする請求項に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記窪み部は、前記カバー部材を把持する取手部であることを特徴とする請求項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記カバー本体は、前記周壁部の周囲から拡径方向に突出されたフランジ部と、前記周壁部の前記フランジ部よりも前面側に位置して前記作業孔に嵌合される前筒部とを有し、
前記前筒部の周囲には、前記作業孔に対する抜け止めとなる複数の爪部が周方向に並んで設けられていることを特徴とする請求項の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、前面が開口したハウジングと、ハウジングの開口を覆うレンズカバーとにより構成される灯体の内側に光源ユニットが配置された車両用灯具がある。このような車両用灯具では、ハウジングの背面側に作業孔を設けて、この作業孔に対してカバー部材が着脱自在に取り付けられている。これにより、作業孔を通して、例えば光源ユニットの交換や配線コードの引き回しなどを行うことが可能となっている(例えば、下記特許文献1,2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2009-539213号公報
【文献】特開2014-89877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載のカバー部材は、作業孔に対する抜け止めとなる複数の爪部を有し、このカバー部材の前面側を作業孔に嵌め込みながら周方向に回転させることで、カバー部材を作業孔に取り付ける構成となっている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のカバー部材では、このカバー部材を把持する部分がないため回しづらく、カバー部材の背面側に十分な空間を確保しないと、カバー部材の着脱操作がしづらくなるといった問題がある。
【0006】
一方、上記特許文献2に記載のカバー部材は、その内側に乾燥剤を配置した構成となっている。しかしながら、カバー部材の内側に乾燥剤を配置した場合、上述した配線コードを引き回すための空間を確保できず、配線コードがカバー部材の内側と干渉してしまう虞がある。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、カバー部材の着脱操作を容易に行うことができ、なお且つ、カバー部材の内側と配線コードとの干渉等を防ぐことが可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 ハウジングの内側に光源ユニットが配置された車両用灯具であって、
前記ハウジングの背面側に設けられた作業孔に対して着脱自在に取り付けられるカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記作業孔を閉塞するカバー本体と、前記カバー本体の外面を凹ませた窪み部と、前記窪み部に対応して前記カバー本体の内面から突出した突出部とを有し、
前記突出部は、前記カバー本体を軸線方向において断面視したときに、前記カバー本体の内周側から外周側に向かって拡径方向に傾斜した傾斜面を形成し、前記カバー本体の内面を平面視したときに、前記カバー本体の外周側から内周側に向かって湾曲した凸面を形成していることを特徴する車両用灯具
〕 前記カバー本体は、前記作業孔と対向する天壁部と、前記天壁部の周囲を囲む周壁部とを有し、
前記窪み部及び前記突出部は、前記周壁部に設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〕 前記窪み部及び前記突出部は、前記周壁部の周方向に複数並んで設けられていることを特徴とする前記〔〕に記載の車両用灯具。
〕 前記窪み部は、前記カバー部材を把持する取手部であることを特徴とする前記〔〕に記載の車両用灯具。
〕 前記カバー本体は、前記周壁部の周囲から拡径方向に突出されたフランジ部と、前記周壁部の前記フランジ部よりも前面側に位置して前記作業孔に嵌合される前筒部とを有し、
前記前筒部の周囲には、前記作業孔に対する抜け止めとなる複数の爪部が周方向に並んで設けられていることを特徴とする前記〔〕~〔〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、カバー部材の着脱操作を容易に行うことができ、なお且つ、カバー部材の内側と配線コードとの干渉等を防ぐことが可能な車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るカバー部材を備えた車両用灯具の一構成例を示す断面図である。
図2図1に示すカバー部材を外面側から見た斜視図である。
図3図1に示すカバー部材を内面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0012】
本発明の一実施形態として、例えば図1図3に示すカバー部材1を備えた車両用灯具100について説明する。
なお、図1は、カバー部材1を備えた車両用灯具100の一構成例を示す断面図である。図2は、カバー部材1を外面側から見た斜視図である。図3は、カバー部材1を内面側から見た斜視図である。
【0013】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具100の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具100の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具100の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0014】
本実施形態の車両用灯具1は、例えば、車両(図示せず。)の前端側の両コーナー部に搭載される車両用前照灯(ヘッドランプ)に本発明を適用したものである。
【0015】
具体的に、この車両用灯具100は、図1に示すように、前面が開口したハウジング101と、ハウジング101の開口を覆う透明なレンズカバー(図示せず。)とにより構成される灯体102の内側に、車両前方(+X軸方向)に向けて光を投影する光源ユニット103が配置された構造を有している。
【0016】
光源ユニット103は、光源(図示せず。)として、白色光を発する発光ダイオード(LED)を用いている。光源ユニット103では、LEDが実装された実装基板(図示せず。)と、LEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板(図示せず。)とを灯体102の内側に別々に配置し、これら実装基板と回路基板とを配線コード104a,104bを介して電気的に接続し、LEDが発する熱から駆動回路を保護することが行われている。
【0017】
また、光源ユニット103では、実装基板側の配線コード104aに取り付けられたプラグ105を、回路基板側の配線コード104bに取り付けられたソケット106に差し込むことによって、実装基板と回路基板との間を電気的に接続している。
【0018】
本実施形態の車両用灯具100において、ソケット106に対するプラグ105の差し込み操作は、ハウジング101の背面側に設けられた略円形状の作業孔107を通して行われる。
【0019】
本実施形態の車両用灯具100は、ソケット106に対するプラグ105の差し込みを行った後に作業孔107を閉塞(封止)するため、この作業孔107に対して着脱自在に取り付けられるカバー部材1を備えている。
【0020】
カバー部材1は、図2及び図3に示すように、カバー本体2と、カバー本体2の外面を凹ませた複数(本実施形態では3つ)の窪み部3と、各窪み部3に対応してカバー本体2の内面から突出した複数(本実施形態では3つ)の突出部4とを有している。
【0021】
カバー本体2は、例えば合成樹脂の成形体からなり、作業孔107を閉塞するキャップ形状を有している。具体的に、このカバー本体2は、作業孔107と対向する天壁部2aと、天壁部2aの周囲を囲む周壁部2bと、周壁部2bの周囲から拡径方向に突出されたフランジ部2cと、周壁部2bのフランジ部2cよりも前面側に位置して作業孔107に嵌合される前筒部2dとを有している。
【0022】
また、前筒部2dの周囲には、複数(本実施形態では3つ)の爪部5が外側に向かって突出して設けられている。複数の爪部5は、後述する作業孔107に対する抜け止め及び周り止めとなるものであり、前筒部2dの周方向に間隔を空けて(本実施形態では等間隔に)並んで設けられている。また、複数の爪部5は、作業孔107の周囲に設けられた複数の切欠部(図示せず。)に合わせて、その位置及び周方向の長さが設定されている。
【0023】
複数の窪み部3は、カバー部材1を把持する取手部として、周壁部2bの外面において、周壁部2bの周方向に間隔を空けて(本実施形態では等間隔に)並んで設けられている。また、各窪み部3の位置は、周壁部2bの周方向において、各爪部5の位置と一致している。
【0024】
各窪み部3は、カバー本体2の外面を平面視したときに、カバー本体の外周側から内周側に向かって湾曲した凹面を形成している。また、各窪み部3は、カバー本体2を軸線方向(X軸方向)において断面視したときに、カバー本体の内周側から外周側に向かって拡径方向に傾斜した傾斜面を形成している。
【0025】
また、各窪み部3の表面には、滑り止めとなるローレット状の突起部6が周壁部2bの周方向に並んで設けられている。また、周壁部2bの各窪み部3を挟んだ両側には、一対のリブ壁7が突出して設けられている。
【0026】
複数の突出部4は、各窪み部3に対応した位置からカバー本体2の内側に向かって突出した部分であり、各窪み部3を反映した形状を有している。すなわち、複数の突出部4は、周壁部2bの内面において、周壁部2bの周方向に間隔を空けて(本実施形態では等間隔に)並んで設けられている。
【0027】
各突出部4は、カバー本体2の内面を平面視したときに、カバー本体の外周側から内周側に向かって湾曲した凸面を形成している。また、各突出部4は、カバー本体2を軸線方向において断面視したときに、カバー本体の内周側から外周側に向かって拡径方向に傾斜した傾斜面を形成している。
【0028】
以上のような構成を有するカバー部材1を作業孔107に取り付ける際は、図1に示すように、前筒部2dの周囲にOリング(パッキン)108を取り付けた状態で、作業孔107に前筒部2dに嵌め込みながら、カバー本体2を周方向の一方側(右回り)に所定の角度だけ回転させる。
【0029】
このとき、作業孔107の周囲にある複数の切欠部から複数の爪部5を進入させた状態から、カバー本体2を周方向の一方側(右回り)に回転させることで、作業孔107に対して複数の爪部が抜け止め及び周り止めされた状態となる。これにより、カバー部材1を作業孔107に取り付けることが可能となっている。
【0030】
一方、上述したカバー部材1の取り付け操作とは逆の操作、すなわち、カバー部材1が作業孔107に取り付けられた状態から、このカバー本体2を周方向の他方側(左回り)に所定の角度だけ回転させる。これにより、各切欠部と各爪部5との位置を一致させることによって、カバー部材1を作業孔107から取り外すことが可能となっている。
【0031】
本実施形態の車両用灯具100では、上述したカバー本体2の外面に複数の窪み部3(取手部)を設けることによって、カバー部材1が把持し易く、なお且つ、回し易くなっている。これにより、カバー部材1の背面側に十分な空間を確保しなくても、このカバー部材1の着脱操作を容易に行うことが可能である。
【0032】
また、本実施形態の車両用灯具100では、上述したカバー本体2の内面から突出した複数の突出部4がカバー本体2の内周側から外周側に向かって拡径方向に傾斜した傾斜面を形成している。これにより、上述したカバー本体2(カバー部材1)の内側に配線コード104a,104bを引き回すための空間を確保しながら、配線コード104a,104bが突出部4(カバー部材1の内側)と干渉することを防ぐことが可能である。
【0033】
特に、最近では、LEDなどの発光素子を並べて配置し、各発光素子の点灯を切り替えることによって、ハイビーム用配光パターンの配光を可変に制御する配光可変ヘッドランプ(ADB:Adaptive Driving Beam)において、配線コードの数が増加する傾向にあるため、本実施形態のカバー部材1を用いることが特に有効である。
【0034】
以上のようにして、本実施形態の車両用灯具100では、カバー部材1の着脱操作を容易に行うことができ、なお且つ、カバー部材1の内側と配線コード104a,104bとの干渉等を防ぎながら、配線コード104a,104bの損傷等を未然に防止することが可能である。
【0035】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、車両用前照灯(ヘッドランプ)に本発明を適用した場合を例示したが、本発明が適用される車両用灯具については、上述したフロント側の車両用灯具に限らず、例えばリアコンビネーションランプなどのリア側の車両用灯具に本発明を適用することも可能である。
【0036】
また、上記光源ユニット103では、上述した光源としてLED以外にも、例えばハロゲンランプやHIDランプ、レーザーダイオード(LD)などを用いることができる。また、光源が発する光の色については、上述した白色光に限らず、赤色光や橙色光など、その光源の用途に応じて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…カバー部材 2…カバー本体 2a…天壁部 2b…周壁部 2c…フランジ部 2d…前筒部 3…窪み部(取手部) 4…突出部 5…爪部 6…突起部 7…リブ壁 100…車両用灯具 101…ハウジング 102…灯体 103…光源ユニット 104a,104b…配線コード 105…プラグ 106…ソケット 107…作業孔 108…パッキン
図1
図2
図3