(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】障害物検知手段を備えた建築用開閉装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/82 20060101AFI20220701BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
E06B9/82 E
E06B9/17 U
(21)【出願番号】P 2018111330
(22)【出願日】2018-06-11
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】泉澤 永士
(72)【発明者】
【氏名】岩階 章
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-165983(JP,A)
【文献】特開平8-105280(JP,A)
【文献】特開2006-233570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に通過可能な開口部の開閉を上下移動により行う開閉体を備え、該開閉体の最下端部に設けられる座板を、開閉体に連結される上座板部と、障害物が当接したことに伴い上座板部に対して上動する下座板部とを備えて構成し、上下座板部間に介装され、下座板部の上動を受けて上動する中間検知部材と、該
上動する中間検知部材が当接することで上動して障害物検知作動をする検知作動体が設けられた障害物検知センサとを備えた建築用開閉装置において、
前記下座板部は、下片部と、該下片部の前後方向両端縁から起立状に設けられる前後の側片部と、該前後の側片部の上端部から水平状に形成され、上座板部に設けた前後の係止受け部に上動可能な状態で受止め係止される上片部とを備えて構成され、前記前後の側片部と下片部とにより、前後の上片部間が上側開口となった凹嵌状のスペースが形成されたものであり、
中間検知部材は、上座板部の前後方向一方側の偏倚部位で前後方向揺動自在に軸支される軸支部と、該軸支部から縦方向に向けて垂下する縦片部と、該縦片部の下端部から下座板部の下片部からは離間する状態で横方向に向けて延出し、該延出した先端縁部が前記前後方向他方側の係止受け部に支持された上片部に上動可能な状態で支持される横片部とを有したL字状部を有したものであり、
前記縦片部には、前後方向一方側の上片部に対向する傾斜状部が形成され、横片部には、検知作動体に対して離間する検知作動部が形成されたものであり、
下座板部の下片部に障害物が当接して上動することに伴い上動した前記前後の上片部のうちの少なくとも一つが、対応する縦片部の傾斜状部または横片部の先端縁部を上動せしめて検知作動部の上動を行うように構成され、
前記検知作動体と検知作動部とは、前記障害物の当接に伴い上動した検知作動部が検知作動体に当接することでなされる障害物検知作動が前記凹嵌状のスペース内で実行されるよう該スペースに配されていることを特徴とする建築用開閉装置。
【請求項2】
検知作動部は、凹陥状のスペースに対し、下座板部が上動していない状態で入り込んでおり、下座板部が障害物当接により上動することでさらに深く入り込むものであることを特徴とする請求項
1記載の障害物検知手段を備えた建築用開閉装置。
【請求項3】
障害物検知センサによる障害物検知は、
検知作動体が検知作動部に当接する状態で中間検知部材の上動に伴い上方に変位することによるものであり、
該検知作動体の検知作動部に対する当接は、
検知作動部の縦片部側が低くなるよう傾斜した状態での当接であり、
前記検知作動体の障害物検知をするための上方変位は、
該検知作動体が、中間検知部材が上動するほど急傾斜になるよう変化する検知作動部を
相対的に下る方向に移動することを伴うものであることを特徴とする請求項
1または2記載の障害物検知手段を備えた建築用開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の出入り口等の開口部に建て付けられる障害物検知手段を備えた建築用開閉装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、出入口等の前後方向に通過可能な開口部を、開閉機の駆動により開閉体を上下移動させることで開閉をするように構成した建築用開閉装置が知られており、このような開閉装置として、電動機の正逆駆動に伴う巻取りドラムの回転によりシャッターカーテンを上下移動させて開口部の開閉をするように構成した建築用のシャッター装置が例示されるが、この場合に、閉作動中のシャッターカーテンに人間や荷物等の障害物が挟まれることを回避するため、障害物検知手段を設け、該障害物検知手段が障害物検知をした場合に、シャッターカーテンの閉作動を緊急停止する等の障害物回避作動を行うようにしている。
この様な障害物検知手段として、シャッターカーテン最下端に設けられる座板を、シャッターカーテンの最下端部に一連状に連結される上側の上座板部と、該上座板部に対して上下移動自在に支持される下側の下座板部と、上座板部に設けられ、下座板部が上座板部に対して上動したことを検知する障害物検知センサとを備え、下座板部が障害物に当接したことにより上動したことを障害物検知センサで検知したときを障害物検知をした、と判断するように構成したものが提唱されている。
ところで下座板部に障害物が当接する場合、その当接位置は、左右方向、前後方向に異なったものとなり、このため下座板部は、これに異なった当接位置に対応した多様な上動をすることになるが、これらの上動を、単純に上下座板部のあいだに設けた一つの障害物検知センサで検知することは難しいという問題がある。
そこで、下座板部と上座板部とのあいだに、上座板部に支持される軸支部を支点(起点)として上動(揺動)する中間検知部材を設け、該中間検知部材が、前記下座板部の多様な上動を受けて上動したことを障害物検知センサで検知できるように構成したものが提唱されている(例えば特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-105280号公報
【文献】特開平10-46962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで前記従来のものは、冂字形に形成される上座板部内に障害物検知センサの配設スペースを設けているが、この場合に、該障害物検知センサの配設スペースを、下座板部が上動した場合であっても上座板部内において下座板部の上方に確保する構成になっていたため、その分、上座板部は、上下高さが高い(嵩高い)ものとならざるを得ない。これに対し建築用シャッター装置としては、例えば開口部の有効開口を広く確保したい等の要求から、シャッターカーテンが全開したときのマグサ部に対する座板の収容スペースを小さくして開口部の開口高さを高く(上下高さを広く)したいが、前記上座板部を高いものにした分、前記開口部の有効開口を広く確保したいという要求に反してしまうことになる等の問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、前後方向に通過可能な開口部の開閉を上下移動により行う開閉体を備え、該開閉体の最下端部に設けられる座板を、開閉体に連結される上座板部と、障害物が当接したことに伴い上座板部に対して上動する下座板部とを備えて構成し、上下座板部間に介装され、下座板部の上動を受けて上動する中間検知部材と、該上動する中間検知部材が当接することで上動して障害物検知作動をする検知作動体が設けられた障害物検知センサとを備えた建築用開閉装置において、前記下座板部は、下片部と、該下片部の前後方向両端縁から起立状に設けられる前後の側片部と、該前後の側片部の上端部から水平状に形成され、上座板部に設けた前後の係止受け部に上動可能な状態で受止め係止される上片部とを備えて構成され、前記前後の側片部と下片部とにより、前後の上片部間が上側開口となった凹嵌状のスペースが形成されたものであり、中間検知部材は、上座板部の前後方向一方側の偏倚部位で前後方向揺動自在に軸支される軸支部と、該軸支部から縦方向に向けて垂下する縦片部と、該縦片部の下端部から下座板部の下片部からは離間する状態で横方向に向けて延出し、該延出した先端縁部が前記前後方向他方側の係止受け部に支持された上片部に上動可能な状態で支持される横片部とを有したL字状部を有したものであり、前記縦片部には、前後方向一方側の上片部に対向する傾斜状部が形成され、横片部には、検知作動体に対して離間する検知作動部が形成されたものであり、下座板部の下片部に障害物が当接して上動することに伴い上動した前記前後の上片部のうちの少なくとも一つが、対応する縦片部の傾斜状部または横片部の先端縁部を上動せしめて検知作動部の上動を行うように構成され、前記検知作動体と検知作動部とは、前記障害物の当接に伴い上動した検知作動部が検知作動体に当接することでなされる障害物検知作動が前記凹嵌状のスペース内で実行されるよう該スペースに配されていることを特徴とする建築用開閉装置である。
請求項2の発明は、検知作動部は、凹陥状のスペースに対し、下座板部が上動していない状態で入り込んでおり、下座板部が障害物当接により上動することでさらに深く入り込むものであることを特徴とする請求項1記載の障害物検知手段を備えた建築用開閉装置である。
請求項3の発明は、障害物検知センサによる障害物検知は、検知作動体が検知作動部に当接する状態で中間検知部材の上動に伴い上方に変位することによるものであり、該検知作動体の検知作動部に対する当接は、検知作動部の縦片部側が低くなるよう傾斜した状態での当接であり、前記検知作動体の障害物検知をするための上方変位は、該検知作動体が、中間検知部材が上動するほど急傾斜になるよう変化する検知作動部を相対的に下る方向に移動することを伴うものであることを特徴とする請求項1または2記載の障害物検知手段を備えた建築用開閉装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、障害物当接による下座板部の上動を受けた中間検知部材の上動を障害物検知センサにより検知するようにして、障害物の当接位置により下座板部が多様な上動をしたとしても確実な障害物検知ができるようにしたものでありながら、前記障害物検知センサは、下座板部に形成される凹陥状のスペースに入り込むことになり、これによって、上座板部の上下高さを低いものにできる結果、その分、マグサ部での座板収容スペースを小さくして開口部の開口高さを高くし、開口部の有効開口を広くできることになる。
しかも下座板部が上動していない非検知状態の障害物検知センサは、検知作動部から離間しているため、下座板部が振動等によって振れたような場合において障害物検知センサが誤作動することを回避しながら、障害物検知センサが障害物検知するときの作動が凹陥状のスペース内で実行されるため、上座板部の上下高さを低くすることに寄与できることになる。
請求項2の発明とすることにより、障害物検知に基づき下座板部が上動していく過程において、中間検知部材の構成部材である検知作動部が凹陥状のスペースに最初から入り込んでいるものがさらに深く入り込むこととなって、座板の高さを低くすることに貢献できることになる。
請求項3の発明とすることにより、検知作動体が検知作動部に当接して障害物検知作動をする場合に、検知作動体は、急傾斜状に変化していく検知作動部を下る方向の移動を伴うことになる結果、上動する中間検知部材の検知をするものでありながら、検知作動体の検知作動部に対する当接移動の円滑化が図れ、確実な検知作動ができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】座板の障害物検知センサ部位の側面拡大断面図である。
【
図5】(A)(B)は下座板部が平行姿勢で上動する状態を示す作用説明図である。
【
図6】(A)(B)は下座板部の前後方向一方側が上動する状態を示す作用説明図である。
【
図7】(A)(B)は下座板部の前後方向他方側が上動する場合を示す作用説明図である。
【
図8】(A)(B)(C)は上座板部の正面図、平面図、側面図である。
【
図9】(A)(B)(C)は下座板部の正面図、平面図、側面図である。
【
図10】(A)(B)(C)は中間検知部材の正面図、平面図、拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は前後方向に通過可能な開口部の開閉をするため設けられる建築用シャッター装置(建築用開閉装置)であって、該建築用シャッター装置1は、開口部の左右両側に設けられるガイドレール2、該ガイドレール2に上下(昇降)案内移動されることで開口部の開閉をするシャッターカーテン(開閉体)3、開口部の上端部に設けられ、シャッターカーテン3が巻装される巻取りドラム4、巻取りドラム4の正逆駆動をする電動式の開閉機5、開閉機5の駆動制御をする制御部6等の各種の部材装置を備えて構成されること等は何れも従来通りである。尚、前後の方向性についての定義は、開口部を通常に通過する方向を前後方向とし、開口部を基準として手前側を「前」、反対側(向こう側、手先側)を「後」と前後の定義を便宜上しているが、これに限定されないものであることは言うまでもない。
【0009】
前記シャッターカーテン3の最下端部には、該シャッターカーテン3と略同幅になることで左右方向に長い座板7が設けられるが、該座板7は、シャッターカーテン3の最下端スラット3aに連結される(設けられる)上座板部8と、該上座板部8に対して上下動自在に設けられる下座板部9と、これら上下座板部9、9間に介装される中間検知部材10と、上座板部8と中間検知部材10とのあいだに配される状態で上座板部8に設けられる障害物検知センサ11とを備えて構成されており、以下、これらについて詳述する。
【0010】
前記上座板部8は下側(下端縁部)が開口したものであって、天井側の上片部8aと前後両側の側片部8bとを備えた冂形状に形成されるが、そのうちの上片部8aは、本実施の形態では、上下方向を向いた前後の段差片部8cをあいだに介する状態で前後方向中央(中間)部位が高くなった第一上片部8dと、該第一上片部8dよりも低い状態で前後に配される第二上片部8eとを備えた凸形状に形成されるが、第一上片部8dの前後方向中央(中間)部位には上方に向けて連結片部8fが突設形成されている。そして上座板部8は、連結片部8fが最下端スラット3aに締結金具であるボルト3bを介して固定されている。
さらに前記側片部8bは、第二上片部8eの前後方向外端縁から垂下状に設けられるが、該側片部8bの下端部には、前後方向に向けて水平状に突出する水平片部8gが突出形成されている。そして該水平片部8gのうち、反対側(対向する側)の側片部8b側に向けて延出する部位は、後述するように下座板部9を受止め係止するための係止受け部8hとなっている。
【0011】
一方、下座板部9は、上側が開口したものであって、底側の下片部9aと、該下片部9aの前後方向両端縁から起立状に設けられる前後の側片部9bとを備えることで凹陥状に形成されたものであるが、側片部9bは、下片部9aの前後両端縁部から立設する下側の第一側片部9cと、該第一側片部9cの上端部から前後方向内側に向くよう形成された段差片部9dと、該段差片部9dの前後方向内端部から上方に向けて形成された第二側片部9eと、該第二側片部9eの上端部から前後方向外方に向けて水平状に形成された上片部9fとを備えたものとして形成され、本実施の形態においては前後の第一側片部9c間、及び第二側片部9e間に上下方向に続く状態で凹陥状のスペースSが形成されている。
この場合に上片部9fは、図6、7、8から明らかなように、上座板部8に設けた前後の係止受け部8hに上動可能な状態で受止め係止されている。
【0012】
そして下座板部9は、前記上座板部係止受け部8hの前後方向内端に第二側片部9eが遊嵌状に(前後方向に間隙(隙間)を存する状態で)内嵌することにより、上片部9fが係止受け部8hの上面に係止する位置を下限とし、段差片部9dが係止受け片8hの下面に当接する位置を上限として上下移動自在に構成されているが、該下座板部9は、前後両上片部9fが上座板部8の前後両係止受け部8hに受止め係止された状態が自然の下動姿勢となっており、これによって上片部9fは、上座板部8に対して下座板部9を係止するための係止部を構成している。
しかもこの場合に、下座板部9の上動は、該下座板部9が前記自然の下動姿勢を維持した状態(平行状態)で上動するもの(
図5参照)に、前後方向一方側の上片部9fが持上がる傾斜状の上動(
図6参照)、他方側の上片部9fが持上がる傾斜状の上動(
図7参照)、並びにこれらの中間の傾斜状の上動を含むものとして定義される。
【0013】
そしてこのように下座板部9が上動したときの上座板部8に対する上動姿勢は、下座板部9に障害物が当接して挟まれた場合において、その典型的な上動例として、前後方向中央部位に障害物が当接した場合には前記自然の下動姿勢(自然姿勢)を維持した状態での上動(
図5参照)、前後方向一方側に偏倚する状態で障害物が当接した場合には該一方側が持上がった傾斜状態での上動(
図6参照)、前後方向他方側に偏倚する状態で障害物が当接した場合には該他方側が持上がった傾斜状態での上動(
図7参照)を示すことができ、実際の下座板部9の上動は、これらの上動が複雑に組み合わされたものとなり、後述するように障害物検知センサ11は、これらの何れの上動も検知するように設定されている。
【0014】
また前記中間検知部材10は、前後方向一方側端部が上座板部8に前後方向揺動自在に軸支されている。つまり中間検知部材10は、上端部に上方が開口した円筒状の軸支部10aを備えているが、該軸支部10aは、上座板部8の前後一対の第二上片部8eのうちの前後方向一方側の第二上片部8eの下面に形成した円柱状の軸受部8iに前後方向揺動(摺動)自在に外嵌している。そして中間検知部材10は、該軸支部10aから縦方向(下方)に向けて垂下する縦片部10bと、該縦片部の下端部から前後方向他方側に向けて横方向に延出する横片部10cと、縦片部10bに対して前後方向他方側(後述の軸支部10aを通る垂線Xよりも前後方向他方側)に位置する状態で軸支部10aと横片部10cとのあいだを連結するようにして設けられる補強片部10dとを備えて構成されることにより略L字形に形成されており、そして補強片部10dは、軸支部10a、縦片部10b、横片部10cの前後方向一方側部位とともにホロー状(筒状)になっており、これによって前記L字形になった縦片部10bと横片部10cとのあいだの補強をする構成になっている。
【0015】
しかも縦片部10bは、軸支部(の軸心O)10aを通る垂線Xに対して前後方向一方側に偏倚する位置から垂下したものとして構成されるが、その垂下形態として、まず軸支部10aの前後方向一方側に偏倚する部位から、前後方向一方側に向けて膨出するよう円弧状(弧状)部10fが形成され、該円弧状部10fの膨出頂部部位からは下側ほど前後方向他方側に向いて傾斜した傾斜状部(円弧状、直線状の傾斜を含む)10gが
、図4から明らかなように前後方向一方側の上片部9fに対向する状態で形成され、そして傾斜状部10gの下端部に近い傾斜過程において前記垂線Xを越えて前後方向他方側に至り、係止受け部8hよりも低位になる位置で横片部10cの前後方向一方側端部に略L字形をした連結部10hを介して連結されている。
【0016】
一方、横片部10cは、前記縦片部10bに連結した部位から前後方向他方側に向けて横方向に延出するよう設けられるが、その延出形態として、前記連結部10hから上座板部8の前後方向中央位置(座板中心位置)Mを越えた位置まで前後方向他方側に向けて水平状
で、かつ図4から明らかなように検知作動体11cから離間する状態で設けられる第一横片部10iと、該第一横片部10iの前後方向他方側端部から前後方向他方側に至るほど上昇するよう傾斜状に延出し、傾斜上端部(前後方向他方側端部)が下座板部9の上片部9fの高さにまで至るよう設定される第二横片部10jと、該第二横片部10jの前後方向他端部から前後方向他方側に向けて水平状に延出して下座板部9の前後方向他方側の上片部9fにまで至って該上片部9fに上側から当接する第三横片部10kとを備えたものとして構成されている。
【0017】
そしてシャッターカーテン3が下降している開口部の閉鎖過程において、下座板部9に障害物が下側から当接することで、該下座板部9は上座板部8に対して上動する(持ち上げられる)ことになり、これを受けて中間検知部材10は軸支部10aを支点として障害物検知のための上動するが、この中間検知部材10の上動について次に説明する。
前述したように下座板部9は、障害物の当接がない状態では、前後方向両側の上片部9fが上座板部8の前後方向両側の係止受け部8hにそれぞれ上側から当接して受け止め係止される自然の垂下姿勢になっており、この状態で下座板部9に障害物が当接すると、その当接位置により、下座板部9は、前記自然の下動姿勢を維持した状態で、前後方向両側の上片部9fが持上がって該両側の係止受け部8hから離間する状態の上動(第一の上動)、前後方向一方側の上片部9fが該側の係止受け部8hから持上がり、他方側の上片部9fは該側の係止受け部8hに当接した傾斜状態の上動(第二の上動)、前後方向他方側の上片部9fが該側の係止受け部8hから持上がり、前後方向一方側の上片部9fは該側の係止受け部8hに当接した傾斜状態の上動(第三の上動)を典型状態とする上動を行うことになるが、この典型状態の上動を用いて中間検知部材10の上動を説明する。
【0018】
まず中間検知部材10は、障害物の当接がなく下座板部9が自然の垂下姿勢の状態のとき、前後方向一方側では上片部9fと第二側片部9eとのあいだのコーナー部9gは縦片部10bから離間し、前後方向他方側においては第三横片部10kが上片部9fに上側から当接した載置状態になっており、この状態から、下座板部9が、前後方向他方側の上片部9fが上動する前記第一、第三の上動をした場合、中間検知部材10は、上動当初の段階では、下座板部9のコーナー部9gが縦片部10bから離間しているため、第三横片部10kが前後方向他方側の上片部9fにより押し上げられた上動をすることになる。
そしてこの場合の上動が、前記前後方向他方側のみが持上がった第三の上動である場合、中間検知部材10は、第三横片部10kが前後方向他方側の上片部9fにより押し上げられる上動がそのまま継続された上動をすることになるが、下座板部9が自然の下動姿勢を維持した状態の第一の上動(前後方向両側の上動)である場合において、
図5に示すように下座板部9が前後方向中央位置に位置した理想状態で上昇した場合には、下座板部9の前後方向一方側のコーナー部9gが、傾斜状部10eから離間(遊びによる離間)しているため、下座板部9の上動途中から縦片部10bの傾斜状部10gに当接することになって、以降、中間検知部材10は、後述する下座板部9が第二の上動をした場合を受けての揺動をすることになるが、下座板部9が前後方向に位置ズレしている場合には、その位置ズレ位置および位置ズレ量に対応した揺動(上動)をすることになる。その場合、コーナー部9gが最初から傾斜状部10gに当接した状態の上動、コーナー部9gが傾斜状部10gに当接することなく最初から第三横片部10kが前後方向他方側の上片部9fにより押し上げられる上動を二極状態としてこれらが複合した上動を実際にはすることになる。
【0019】
これに対し、下座板部9が前記第二の上動をした場合、前後方向他方側の上片部9fが係止受け部8hに当接したままの状態で、前後方向一方側の上片部9fが上動する傾斜状の上動になって該側のコーナー部9gが軸支部8iの垂線Xよりも前後方向一方側に偏倚した位置で傾斜状部10gに当接する。この当接状態でコーナー部9gが上昇していくと、該コーナー部9gは傾斜状部10gを摺動しながら上昇していくことになるが、傾斜状部10gは上側ほど前後方向一方側に偏倚するよう設定されているため、縦片部10bは、コーナー部9gの前記摺動しながらの上昇を受けて前後方向他方側に向けて押しやられることになる。そしてこれによって中間検知部材10は、軸支部10aを支点として第三横片部10kが上動する揺動をするように設定され、この上動過程で前記障害物検知センサ11による検知作動がなされることになり、このように構成される傾斜状部10gが、下座板部9が当接状態で摺動した場合に縦片部10bを前記垂線X方向に向けて押しやるための検知受け部10eを構成している。
そしてこのものでは、下座板部9の第三の上動が最大状態になったとき、つまり下座板部9の前後方向一方側の段差片部9dが上座板部8の水平片部8bに当接した状態になったとき、該側のコーナー部9gは傾斜状部10gを越えて円弧状部10fの上半部部位に至ることになるが、この状態でも、コーナー部9gは垂線Xに対して前後方向一方側に偏倚した側に位置することになっていて、垂線Xを前後方向他方側には越えない設定になっている。
【0020】
一方、前記障害物検知センサ11は、本実施の形態では常時閉接点(B接点)方式の汎用のマイクロスイッチを用いて構成されたものであるが、センサ本体11aに支軸11bを介して揺動自在に設けられる検知レバー(本発明の「検知作動体」に相当する。)11cは、復帰弾機11cの付勢力を受けて(本実施の形態では検知レバー11cの自重降下力も受けている。)下動してセンサ本体11aに設けられるスイッチレバー11dを押圧移動せしめた状態になっており、この状態では、障害物検知センサ11は非検知状態(OFF検知状態)になっている。そして検知レバー11cが後述するように上動していくと、スイッチレバー11dは、押圧が解除されることになって図示しない内装の復帰弾機の付勢力を受けて自然姿勢側に移動し、これによって障害物検知センサ11は検知状態(ON検知状態)に切換わるように設定されている。
【0021】
そしてこのように構成される障害物検知センサ11は、本実施の形態では逆L字形をした金具12を介して上座板部8に取付けられることになるが、その取付け位置は、上座板部8の第一上片部8d下面において、前記座板中心位置Mに対して前後方向他方側に偏倚した位置であって、第一、第二横片部10i、10jの上方を臨む位置に配されるよう設定されており、このようにして取付けられた障害物検知センサ11は、検知レバー(本発明の「検知作動体」に相当する。)11cが前記座板中心位置Mに略位置していて第一横片部10iの前後方向中間位置を臨む位置、つまり凹陥状のスペースSを下方に臨む位置に配されるよう設定されている。そして下座板部9に障害物当接がない自然状態(通常状態、非検知状態)では、検知レバー11cの下端縁が、下座板部横片部10cの対向する第一横片部10iに対して離間した状態になっており、この状態では障害物検知センサ11は、前述したように検知レバー11cが下動した自然状態になっていて非検知状態になっている。
【0022】
このような非検知状態から、下座板部9の障害物当接による上動を受けて中間検知部材10の横片部10cが軸支部10aを支点として前述したように上動した場合、検知レバー11cが上動した第一横片部10iの前後方向中間部位に当接することになって該検知レバー11cが押し上げられ、これによって障害物検知センサ11は非検知状態から検知状態に切換わる(スイッチ切換えされる)ように設定されており、このようにして第一横片部10iには、検知レバー11cを検知作動させるための検知作動部が構成されている。
【0023】
この場合において、第一横片部10iは、検知レバー11cに当接した時点では前後方向一方側(縦片部10b側)が低くなった緩傾斜状態になっており、この状態から、下座板部9の上動が進んでいくと、第一横片部10iは、前後方向他方側が高くなって前記緩傾斜状態から急傾斜状態に変姿することになり、これにより検知レバー11cの押し上げが進行していって障害物検知センサ11による障害物検知がなされることになる。
つまり、このときの検知レバー11cの第一横片部10iに対する移動(摺動)は、該第一横片部10iの上動を受けながら、中間検知部材10が上動するほど前後方向一方側が低くなって急傾斜になるよう変化する傾斜状態の第一横片部10iを下る方向に移動することを含むものとなり、これによって検知レバー11cの第一横片部10iを摺動しながらの押し上げ作動が円滑にできることになって、障害物検知センサ11の検知作動に無理がなく確実性が向上する。
【0024】
しかも前述したように、座板部9が障害物に当接したことに伴う上動を受けて中間検知部材10が軸支部10aを支点として上動し、これを障害物検知センサ11が検知することになって障害物検知作動が行われるが、この場合に中間検知部材10は、障害物当接がない状態において、下座板部9に形成される前記凹陥状のスペースSに傾斜状部10gの一部、並びに第一、第二横片部10i、10jが浅く入り込んだ状態になっている。そしてこの状態から下座板部9の障害物当接に対応した上動を受けて中間検知部材10が前記上動をした場合に、中間検知部材10は、さらに第三横片部10kの一部(前後方向一方側部位)も含めた状態で前記スペースSに深く入り込むように設定され、このようにして障害物検知に対応して揺動する中間検知部材10の収容(収納)スペースが下座板部9に確保された構成になっている。
そのうえこのものでは、障害物検知センサ11も、障害物当接により上動した下座板部9の前記スペースSに下側部位が併せて入り込むように設定されている。
尚、図中、13は上座板部8の左右両端部に設けられる振れ止め材、14は下座板部9の左右両端部に設けられる延長部材であって、何れもガイドレール2のガイド溝内に嵌入する設定になっている。また15は開閉機5の正逆駆動及びその停止を行うため設けられる操作スイッチ、16は障害物検知センサ11からの検知信号を送信するための送信機である。
【0025】
叙述の如く構成された本実施の形態において、シャッターカーテン3が閉作動している過程において、障害物が下座板部9に当接した場合に、該下座板部9は、障害物の当接位置により上動し、これに連動する中間検知部材10の上動を受けて障害物検知センサ11が障害物検知作動をすることになるが、この場合の障害物検知センサ11は、下座板部9に形成される凹陥状のスペースSに入り込んだ状態になる。このため上座板部8としては、凹陥状のスペースSに入り込んだ分のスペースを上座板部8自体に確保する必要がなく、高さの低いものにできる。
【0026】
この場合において、障害物検知センサ11は、凹陥状のスペースSを下方に臨む位置、本実施の形態では前後方向略中央部位に配される状態で上座板部8に設けることができるため、凹陥状スペースSの直上部位に垂直姿勢に配することが可能になって、障害物検知センサ11の取付けが容易になるだけでなく、障害物検知のない状態、つまり下座板部9の上動がない通常状態においても障害物検知センサ11を凹陥状のスペースSに入り込んだ構成にすることができ、そして障害物検知をした状態の障害物検知センサ11をさらに深く入り込む構成にできることになり、これによっても座板7の高さを低くすることに寄与できる。しかも障害物検知センサ11としては、垂直姿勢での配設が可能となって、傾斜方向での検知をする場合のようにセンサ感度の低下を来すこともない。
【0027】
またこの場合、障害物検知センサ11だけでなく、中間検知部材10についても、障害物検知センサ11の検知レバー11cに当接する検知作動部を構成の第一横片部10iについても併せて凹陥状のスペースSに入り込むことになって、上座板部8の上下高さをより小さくし、これによって座板7を高さの低いものに設定できることになる。
しかもこのものでは、障害物検知センサ11の検知レバー11cの下端部が、障害物検知をしていない状態でも凹陥状のスペースSに入り込んでいる結果、座板7の高さを低いものにする設定がより簡単になるだけでなく、凹陥状スペースSを利用して垂直状の障害物検知センサ11の配設が可能となり、取付け構造が複雑になることを回避できる。
【0028】
またこの場合に、下座板部が上動していない非検知状態での障害物検知センサ11の検知レバー11cは、第一横片部10iから離間しているため、下座板部9が振動等によって不用意に振れたような場合に、障害物検知センサ11が検知作動をするような誤作動の回避をしながら、障害物検知センサ11が障害物検知をするときの作動が凹陥状のスペースS内で実行されることとなる結果、これにより上座板部8の上下高さを低くすることにさらに寄与できることになる。
【0029】
さらに中間検知部材10としては、前後方向一方側の縦片部10bの上端部が軸支部10aを介して上座板部8側に揺動自在に軸支され、前後方向他方側が下座板部9に支持される横片部10cに、障害物検知センサ11の検知作動を行わせるための検知作動部としての第一横片部10iが形成されているため、中間検知部材10を、縦片部10bと横片部10cとにより構造簡単なL字形のもので構成できることになって構造の簡略化が図られる。
【0030】
さらにこのものでは、障害物検知センサ11は、検知レバー11cが第一横片部10iに当接することで障害物検知作動をすることになるが、このとき、検知レバー11cは、障害物検知状態が進行することに伴い急傾斜状に変化していく第一横片部10iを下る方向の移動を伴う状態を含みながらの上動をして検知作動することになる結果、上動する中間検知部材10の検知をするものでありながら、検知レバー11cの第一横片部10iに対する当接移動の円滑化が図れ、検知作動の確実性が向上することになる。
【0031】
尚、本発明は前記実施の形態のものに限定されないものであることは勿論であるが、前記実施の形態のものは、シャッターカーテン3を、板状のスラットを上下方向に一連状に連結したものとして構成しているが、これに限定されず、パイプ材を上下方向に間隔を存して配設して構成した所謂パイプ式(グリル式)、さらにはスラットを筒状(フォロー状)にしたのもの、パネル板状にしたもの等、適宜の形状のものとしても実行できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、建造物の出入り口等の開口部に建て付けられる障害物検知手段を備えた建築用開閉装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 建築用シャッター装置
2 ガイドレール
3 シャッターカーテン
3a 最下端スラット
7 座板
8 上座板部
8h 係止受け部
9 下座板部
10 中間検知部材
10a 軸支部
10b 縦片部
10c 横片部
10e 検知受け部
10i 第一横片部
10j 第二横片部
10k 第三横片部
11 障害物検知センサ
11c 検知レバー
M 座板中心
O 軸心
S 凹陥状のスペース
X 垂線