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▶ 丸山 あいの特許一覧

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  • 特許-言語表現支援材 図1
  • 特許-言語表現支援材 図2
  • 特許-言語表現支援材 図3
  • 特許-言語表現支援材 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】言語表現支援材
(51)【国際特許分類】
   G09F 1/02 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
G09F1/02 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018138803
(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2020017025
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】510266181
【氏名又は名称】丸山 あい
(74)【代理人】
【識別番号】100099841
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 恒彦
(72)【発明者】
【氏名】丸山 あい
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-113121(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0004902(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0151321(US,A1)
【文献】国際公開第2005/029379(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/00- 5/04
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
言語を通じて所要の主題についての自身の想念を表明しようとする者に対し、前記表明のための独自の表現を支援するための材であって、
前記主題に関係する任意の関係語句を一つ表示した主カードと、前記関係語句を敷延する機縁となる任意の補助語句を表示した補助カードとを組合せた組カードを、異なる前記関係語句について複数種類含む、
言語表現支援材。
【請求項2】
前記補助カードに複数種類の前記補助語句が表示されている、請求項1に記載の言語表現支援材。
【請求項3】
前記補助カードが複数種類の前記補助語句を個別に表示したカード群からなる、請求項1に記載の言語表現支援材。
【請求項4】
前記表現を修辞するための任意の修辞語句を少なくとも一種類表示した修辞カードをさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の言語表現支援材。
【請求項5】
複数種類の前記組カードを一体的に収容するための容器をさらに備えている、請求項1から4のいずれかに記載の言語表現支援材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支援材、特に、言語を通じて所要の主題についての自身の想念を表明しようとする者に対し、当該表明のための独自の表現を支援するための材に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の祝辞、弔辞、各種の挨拶または就職活動での自己PRなどが求められる場面では、所要の主題(入学式や結婚式等における祝辞の内容や自己PRなど。)について口頭または文書等、言語を通じて自身の所存、主張または感情などの想念の表明が求められる。この場合、表明者は、所要の主題に適した表明例を纏めた参考書を参照することが多いが、自身の表現が表明例による影響を受けやすく、表現が平凡になりやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、言語を通じて所要の主題についての自身の想念を表明する者に対し、その表明のための独自の表現を支援するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
言語を通じて所要の主題についての自身の想念を表明しようとする者は、当該主題に関わる様々な表明事項を潜在的に意識していることが多いが、それを言語的に顕在化して表現する際に困難を伴う。しかし、人間の潜在的な意識は、わずかな契機により顕在化しやすい。特に、潜在的な意識は、言語的な契機に触れた場合に言語として顕在化しやすい傾向にある。本発明者は、このような傾向に着目し、本発明に至った。
【0005】
すなわち、本発明は、言語を通じて所要の主題についての自身の想念を表明しようとする者に対し、当該表明のための独自の表現を支援するための材に関するものである。この言語表現支援材は、所要の主題に関係する任意の関係語句を一つ表示した主カードと、関係語句を敷延する機縁となる任意の補助語句を表示した補助カードとを組合せた組カードを、異なる関係語句について複数種類含む。
【0006】
この言語表現支援材の一形態においては、補助カードに複数種類の補助語句が表示されている。また、この言語表現支援材の他の一形態においては、補助カードが複数種類の補助語句を個別に表示したカード群からなる。
【0007】
本発明の言語表現支援材は、上記表現を修辞するための任意の修辞語句を少なくとも一種類表示した修辞カードをさらに含んでいてもよい。
【0008】
本発明の言語表現支援材は、通常、複数種類の組カードを一体的に収容するための容器をさらに備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、所定の主カードと補助カードとを組合せた組カードを複数種類含むものであることから、言語を通じて所要の主題についての自身の想念を表明する者に対し、その表明のための独自の表現を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の言語表現支援材の一形態例を示す図。
図2】前記形態例の変形例を示す図。
図3】前記形態例において用いられる修辞カードの一形態例を示す図。
図4】修辞カードの前記形態例の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照して、本発明の言語表現支援材の一形態を説明する。図において、言語表現支援材1は、自己PRを試みる者が言語を通じて「自己PR」という主題についての自身の想念を表明する場合において、その表明のための独自の表現を支援するためのものであり、第1、第2および第3の三種類の組カードCC1、CC2、CC3を含む。
【0012】
第1組カードCC1は、正方形状の第1主カードSC1と、第1主カードSC1を配置可能な正方形状のくり抜き部10を中心部に有する正方形状の第1補助カードAC1とを有している。第1主カードSC1は、語句が一つ表示されている。第1主カードSC1に表示された語句は、自己PRという主題に関係する任意の関係語句である。一方、第1補助カードAC1は、くり抜き部10を含めて全体が碁盤目状に九つに区画されたものであり、くり抜き部10を除く八つの各区画に語句が一つずつ表示されている。第1補助カードAC1の各区画に表示された語句は、第1主カードSC1に表示された語句を自己PRという主題との関係で敷延する機縁となる補助語句である。補助語句は、例えば、関係語句の概念を具体化した概念の語句である。
【0013】
第2組カードCC2は、第1組カードCC1と同様のものであり、その第2主カードSC2に表示された関係語句は、自己PRという主題に関係する任意のものであって第1主カードSC1に表示されたものとは異なるものである。第2組カードCC2の第2補助カードAC2の各区画に表示された補助語句は、第2主カードSC2に表示された関係語句を自己PRという主題との関係で敷延する機縁となる語句であり、通常、第1補助カードAC1の各区画にそれぞれ表示された補助語句とは異なるものが好ましい。
【0014】
第3組カードCC3は、第1組カードCC1と同様のものであり、その第3主カードSC3に表示された関係語句は、自己PRという主題に関係する任意のものであって第1主カードSC1および第2主カードSC2にそれぞれ表示された関係語句とは異なるものである。第3組カードCC3の第3補助カードAC3の各区画に表示された補助語句は、主カードSC3に表示された関係語句を自己PRという主題との関係で敷延する機縁となる語句であり、通常、第1補助カードAC1の各区画および第2補助カードAC2の各区画にそれぞれ表示された補助語句とは異なるものが好ましい。
【0015】
図1に示した形態例の言語表現支援材1において、各組カードCC1、CC2、CC3に表示された語句は次のとおりである。各語句は、単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
【0016】
<第1組カードCC1>
第1主カードSC1に表示された関係語句:長所
第1補助カードAC1に表示された補助語句:創造力、積極性、持続性、意欲、コミュニケーション能力、ポジティブ思考、協調性、不屈
<第2組カードCC2>
第2主カードSC2に表示された関係語句:責任感
第2補助カードAC2に表示された補助語句:思いやり、行動力、目標、有限実行、粘り強さ、説明力、正確性、努力
<第3組カードCC3>
第3主カードSC3に表示された関係語句:性格
第3補助カードAC3に表示された補助語句:楽観的、誠実、軸、向学心、真面目、冷静、負けず嫌い、柔軟
【0017】
次に、上述の形態例に係る言語表現支援材1を用いた自己PRを主題とする弁舌方法を説明する。
弁舌を試みる者(試行者)は、先ず、第1、第2および第3の三種類の組カードCC1、CC2、CC3のうちから一つの組カードを選択する。この際、試行者が自己PRのために利用しやすい関係用語が表示された組カードを選択してもよいし、任意の組カードを選択してもよい。
【0018】
ここで、試行者が第1組カードCC1を選択したものとすると、次に、試行者は、第1組カードCC1の第1補助カードAC1に表示された八つの補助語句から任意の補助語句を選択する。選択する補助語句の数は、一つでもよいし、複数でもよい。複数の補助語句を選択する場合、任意に複数の語句を選択してもよいし、第1補助カードAC1における補助語句の配置に従って選択してもよい。後者の場合、例えば、図1における一点鎖線の両矢印上にある二語の組合せ(すなわち、「創造力」と「不屈」との組合せ、「積極性」と「協調性」との組合せ、「持続性」と「ポジティブ思考」との組合せ、および、「意欲」と「コミュニケーション能力」との組合せ。)のうちの一つまたは複数を選択することができ、或いは、同図における点線の両矢印上にある三語の組合せ(すなわち、「創造力」、「積極性」および「持続性」の組合せ、「ポジティブ思考」、「協調性」および「不屈」の組合せ、「創造力」、「意欲」および「ポジティブ思考」の組合せ、並びに、「持続性」、「コミュニケーション能力」および「不屈」の組合せ。)のうちの一つまたは複数を選択することができる。なお、選択する補助語句の数が多いと、試行者による自己PRの表現内容が散漫になりやすいことから、補助語句の選択数は、通常、二つまたは三つに留めるのが好ましい。
【0019】
次に補助語句を選択した試行者は、選択した補助語句を機縁とし、第1主カードSC1に記載された関係用語(この場合は「長所」。)を敷延して自己PRの弁舌を試みる。例えば、補助語句として「積極性」および「協調性」の二語を選択した場合、「積極性」および「協調性」の観点から自己の「長所」の弁舌を試みる。複数の補助語句を選択した場合、弁舌において参照する補助語句の順序は、試行者の好みにより設定してもよいし、任意に設定してもよい。
【0020】
試行者は、自己PRという主題に関わる様々な表明事項を潜在的に意識していることが多いが、それを弁舌時に顕在化して表現する際に困難が伴う。しかし、人間の潜在的な意識は、言語的な契機に触れた場合に言語として顕在化されやすい傾向にある。この形態例の言語表現支援材1では、第1補助カードAC1から選択した補助語句が試行者の潜在意識に作用する契機となり、第1主カードSC1に表示された関係語句について、選択した補助語句に基づいた独自の表現による自己PRを支援することができる。
【0021】
上述の弁舌方法では、三種類の組カードCC1、CC2、CC3のうちから一つの組カードを選択しているが、選択する組カードは複数であってもよい。例えば、第1組カードCC1とともに第2組カードCC2を選択し、第2組カードCC2についても第2補助カードAC2から一つまたは複数の補助語句を選択する。そして、第1組カードCC1および第2組カードCC2のそれぞれの関係語句および補助語句に基づいた表現による弁舌を試みる。このように複数の組カードを選択した場合、複数の関係用語に基づいて弁舌をすることができることから、自己PRの内容および表現をより充実させることができる。
【0022】
なお、上述の形態例の言語表現支援材1においては、第1、第2および第3の組カードCC1、CC2、CC3の間において、それぞれの主カードSC1、SC2、SC3を任意に入れ替えることができる。例えば、第1組カードCC1の第1主カードSC1と第3組カードCC3の第3主カードSC3とを交換することができる。このようにすれば、各主カードSC1、SC2、SC3に表示した関係語句と各補助カードAC1、AC2、AC3に表示した補助語句との組合せが変動することになることから、状況や要請に応じてより独自性が高く多彩な表現による自己PRが可能になる。
【0023】
上述の形態例に係る言語表現支援材1は、各組カードCC1、CC2、CC3のそれぞれにおいて各補助カードAC1、AC2、AC3を一枚とし、各補助カードAC1、AC2、AC3に複数の補助語句を表示しているが、各補助カードAC1、AC2、AC3は、図2に示すように、補助語句毎に分割されたカードからなるカード群であってもよい。この変形例の場合、各組カードCC1、CC2、CC3の間において、分割された補助カードAC1、AC2、AC3の全部または一部を自在に入れ替えることができることから、各主カードSC1、SC2、SC3に表示したそれぞれの関係語句と、当該関係語句に対する各補助カードAC1、AC2、AC3における補助語句との組合せ関係を自由に変動させることができる。このため、この変形例によれば、自己PRの表現内容のパターン化を抑え、弁舌の度に印象の異なる自己PRが可能になる。
【0024】
本実施の形態に係る言語表現支援材1は、各組カードCC1、CC2、CC3に加え、例えば図3に示すような修辞カードRCをさらに含むものであってもよい。修辞カードRCは、組カードCC1、CC2、CC3に基づく自己PRの表現を修辞可能な任意の語句(修辞語句)を表示したものであり、この例では六種類の修辞語句、すなわち、「客観的評価」、「経験」、「短所」、「妥協」、「ストレス」および「失敗」の各語句が表示されている。これらの語句は、単なる例示であり、本発明を限定するものではない。修辞語句としては、例えば、各組カードCC1、CC2、CC3に表示した関係語句および補助語句のそれぞれの概念とは別の概念の語句(例えば、関係語句および補助語句の概念に対して逆説的な概念に関する語句。)を選定することができる。
【0025】
組カードCC1、CC2、CC3に基づく自己PRの試行者は、修辞カードRCに表示された修辞語句のうちから少なくとも一つを参照することで、潜在的に意識している自己PRに関わる様々な表明事項をさらに顕在化させることができ、それを端緒としてより豊かな言語内容による表現で自己PRを試みることができる。なお、修辞カードRCから選択する修辞語句の数が多いと、試行者による自己PRの表現内容が散漫になる可能性があることから、修辞語句の選択数は、通常、一つから三つ程度に留めるのが好ましい。
【0026】
上述の例に係る修辞カードRCは一枚のカードに複数の修辞語句を表示しているが、修辞カードRCは、図4に示すように、修辞語句毎に分割されたカードからなるカード群であってもよい。
【0027】
上述の形態に係る言語表現支援材1はカードからなることから、必要なカードのみを抽出して手元に置くことで弁舌に用いることができ、試行者にとっての利便性が高い。その一方、上述の形態に係る言語表現支援材1は、多数のカードを含むことから、通常、保管や携帯の利便性を高めるため、第1、第2および第3の組カードCC1、CC2、CC3を一体的に収容するための容器を備えているのが好ましい。言語表現支援材1が修辞カードRCを含むものである場合、この容器は、修辞カードRCを併せて収容できるものが好ましい。
【0028】
上述の実施の形態では、自己PRを試みる者が言語を通じて自己PRという主題についての自身の想念を表明する場合において、その表明の支援に適した言語表現支援材について説明したが、本発明の言語表現支援材は、自己PRという主題に限らず、各種カードに表示する関係語句および補助語句を適宜選定すれば、入学式、卒業式、授賞式、結婚式および各種の記念式等における祝辞や挨拶、病気や災害等に対する見舞い、弔辞、各種の講演や司会の際の前置き並びに創作等における様々な主題について言語を通じて自身の想念の表明を試みる場合においても活用することができる。
【0029】
また、本発明の言語表現支援材は、所要の主題についての自身の想念を弁舌により表明する場合に利用できるだけではなく、文章により表明する場合においても活用可能である。
【0030】
上述の実施の形態では三種類の組カードを含む言語表現支援材について説明したが、本発明の言語表現支援材に含まれる組カードの種類は、二種類であってもよいし、四種類以上であってもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 言語表現支援材
CC1 第1組カード
CC2 第2組カード
CC3 第3組カード
SC1 第1主カード
SC2 第2主カード
SC3 第3主カード
AC1 第1補助カード
AC2 第2補助カード
AC3 第3補助カード
RC 修辞カード
図1
図2
図3
図4