(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B32B 27/36 20060101AFI20220701BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220701BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20220701BHJP
B65D 30/02 20060101ALI20220701BHJP
B65D 85/30 20060101ALI20220701BHJP
B65D 30/20 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
B32B27/36
B32B27/00 H
B32B27/32 C
B65D30/02
B65D85/30 500
B65D30/20 A
(21)【出願番号】P 2018139036
(22)【出願日】2018-07-25
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】501428187
【氏名又は名称】昭和電工パッケージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】川北 圭太郎
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-082075(JP,A)
【文献】特開2005-096089(JP,A)
【文献】特開2016-101721(JP,A)
【文献】特開2016-044308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
B65D 30/02
B65D 85/30
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、最内層としてのシーラント層とを積層状に備えたラミネート包材から形成される包装袋であって、
前記基材層は二軸延伸ポリエステルフィルム層を含み、
前記二軸延伸ポリエステルフィルム層の150℃におけるM方向の熱収縮率が1.5~3.0%の範囲であ
り、
前記シーラント層がポリエチレンフィルム層からなり、
前記シーラント層の前記基材層側に接着剤層としてのポリエチレン樹脂からなる溶融押出層が配置されており、
電子材料部品及び電子材料製品の少なくとも一方を含む包装対象物の包装に用いられるサイドガゼットタイプの包装袋。
【請求項2】
前記二軸延伸ポリエステルフィルム層が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム層である請求項1記載の包装袋。
【請求項3】
前記ラミネート包材の突刺し強さが10N以上である請求項1又は2記載の包装袋。
【請求項4】
前記ラミネート包材はポリアミド系樹脂フィルム層を備えていない請求項1~3のいずれかに記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装袋に関し、詳述すると、電子材料部品及び電子材料製品の少なくとも一方を含む包装対象物を包装するのに特に好適に用いられる包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェハー、化合物半導体ウェハー(例えばガリウム・リンウェハー)、ハードディスク等の電子材料は、クリーン度の要求が極めて高い。そのため、シリコンウェハー、化合物半導体ウェハー、ハードディスク等のディスク状の電子材料製品は、クリーンに洗浄された容器(例:カセット、トレイ)内に収納された後に防塵処理され、そしてクリーンで且つ減圧下状態(結露の発生を抑制するため)において包装袋で包装されるのが一般的である。包装袋としては、通常、最内層としてシーラント層を備えたラミネート包材から形成されたものが用いられる。
【0003】
このようにして電子材料製品を包装した包装袋において、容器の機密性が欠ける場合には、大気中に浮遊している塵(浮遊粒子)や、イオン不純物を含んだ水分が外気とともに容器内部に流入して電子材料製品の表面に付着し、電子材料製品が汚染(変質も含む)されることがある。
【0004】
さらに、容器内部への外気の流入が殆どない場合でも、包装袋の内面に塵やイオン不純物が付着しているときには、包装袋の内面から塵やイオン不純物が容器に転写されて電子材料製品の表面に付着し、やはり電子材料製品が汚染されることがある。
【0005】
したがって、包装袋を形成するラミネート包材の最内層であるシーラント層は、塵の付着量やイオン不純物の含有量が少ないものであることが強く要求される。
【0006】
このような要求に応え得るものとして、本出願人は、先に下記特許文献1、2に示すような包装袋用積層体を提案した。
【0007】
即ち、特許文献1(特開2003-191363号公報)は、半減期(1分半減期温度)が150~200℃の範囲の過酸化物系ラジカル開始剤単体あるいはこれらの2種類以上を複合して用いた高圧ラジカル重合法によって製造された、メルトフローレートが0.3~5g/10分である密度0.92g/cm3以下の低密度ポリエチレンフィルムをシーラント層に用いた構成の包装袋用積層体を提案するものである(特許文献1の請求項4参照)。
【0008】
また、特許文献2(特開2006-137010号公報)は、メタロセン触媒を重合触媒に用いて製造された直鎖状エチレン-αオレフィン共重合体を含有してなる密度0.925~0.935g/cm3のフィルム(当該フィルムは添加剤を含有しない)をシーラント層に用いた包装袋用積層体(特許文献2の請求項1参照)、あるいはチーグラー触媒を重合触媒に用いて製造された直鎖状エチレン-αオレフィン共重合体がイオン不純物除去操作を経て含有イオン不純物が低減または除去された直鎖状エチレン-αオレフィン共重合体を含有してなる密度0.925~0.935g/cm3のフィルム(当該フィルムは添加剤を含有しない)をシーラント層に用いた包装用積層体(特許文献2の請求項2参照)を提案するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2003-191363号公報
【文献】特開2006-137010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、包装袋のラミネート包材に含まれるポリアミド系樹脂フィルムの残留モノマー(例:ε-カプロラクタムモノマー)のような低分子アミド化合物が半導体ウェハーの表面に付着し、半導体チップの製造に悪影響を与えることが問題視されている。
【0011】
この問題を解決するためには包装袋のラミネート包材にポリアミド系樹脂フィルムを使用しなければいいが、ポリアミド系樹脂フィルムを使用しなければラミネート包材の突刺し強さが低下し、包装対象物の包装時に包装袋が破れやすかった。
【0012】
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、包装対象物を汚染する汚染物質が包装袋から発生するのを抑制しうるとともに、破れにくい包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は以下の手段を提供する。
【0014】
1) 基材層と、最内層としてのシーラント層とを積層状に備えたラミネート包材から形成される包装袋であって、
前記基材層は二軸延伸ポリエステルフィルム層を含み、
前記二軸延伸ポリエステルフィルム層の150℃におけるM方向の熱収縮率が1.5~3.0%の範囲である包装袋。
【0015】
2) 前記二軸延伸ポリエステルフィルム層が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム層である前項1記載の包装袋。
【0016】
3) 前記ラミネート包材の突刺し強さが10N以上である前項1又は2記載の包装袋。
【0017】
4) 前記ラミネート包材はポリアミド系樹脂フィルム層を備えていない前項1~3のいずれかに記載の包装袋。
【0018】
5) 電子材料部品及び電子材料製品の少なくとも一方を含む包装対象物の包装に用いられる前項1~4のいずれかに記載の包装袋。
【発明の効果】
【0019】
本発明は以下の効果を奏する。
【0020】
前項1では、基材層が二軸延伸ポリエステルフィルム層を含むことにより、包装対象物を汚染する汚染物質が包装袋から発生するのを抑制できる。さらに、二軸延伸ポリエステルフィルム層の150℃におけるM方向の熱収縮率が所定の範囲であることにより、包装袋を破れにくくすることができる。
【0021】
前記2では、二軸延伸ポリエステルフィルム層が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム層であることにより、包装袋のガスバリア性を高めることができる。
【0022】
前項3では、包装袋のラミネート包材の突刺し強さが10N以上であることにより、包装袋をより破れにくくすることができる。
【0023】
前項4では、ラミネート包材がポリアミド系樹脂フィルム層を備えていないことにより、ポリアミド系樹脂フィルムの残留モノマー(例:ε-カプロラクタムモノマー)等の低分子アミド化合物が包装袋から発生しない。これにより、包装対象物の汚染を確実に抑制できる。
【0024】
前項5では、包装袋が電子材料部品及び電子材料製品の少なくとも一方を含む包装対象物の包装に用いられるものであることにより、包装対象物に含まれる電子材料部品及び電子材料製品の少なくとも一方の汚染を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る包装袋を形成するラミネート包材の一例を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、同包装袋を形成するラミネート包材のもう一つの例を示す概略断面図である。
【
図4】
図4は、同包装袋の使用状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0027】
本発明の実施形態に係る包装袋20は、
図4に示すように、電子材料部品及び電子材料製品の少なくとも一方を含む包装対象物(図示せず)の包装に用いられるものであり、例えば、
図1に示したラミネート包材1Aや
図2に示したラミネート包材1Bから形成されるものである。
【0028】
これらのラミネート包材1(1A、1B)は、いずれも、複数の層が積層状に接着一体化された積層フィルムからなる。各ラミネート包材1は、例えば、複数の層が接着剤によるドライラミネート法により貼り合わされて形成されたものであっても良いし、接着プライマー層を介して押出ラミネート法により貼り合わされて形成されたものであっても良い。
【0029】
図1に示したラミネート包材1Aは、基材層4と、最内層としてのシーラント層2とを積層状に備えており、基材層4とシーラント層2は両層2、4間に配置された接着剤層6で接着一体化されている。基材層4はラミネート包材1Aの最外層である。
【0030】
さらに、ラミネート包材1Aは、ナイロンフィルム層(例:6ナイロンフィルム層、6,6ナイロンフィルム層、MXDナイロンフィルム層)等のポリアミド系樹脂フィルム層を備えていない。そのため、ポリアミド系樹脂フィルムの残留モノマー(例:ε-カプロラクタムモノマー)等の低分子アミド化合物が包装袋20から発生しない。したがって、低分子アミド化合物による包装対象物の汚染を防止できる。
【0031】
基材層4は、二軸延伸ポリエステルフィルムから形成される二軸延伸ポリエステルフィルム層10を含んでいる。
図1に示したラミネート包材1Aでは、基材層4は二軸延伸ポリエステルフィルム層10からなる。
【0032】
二軸延伸ポリエステルフィルム層10の150℃におけるM方向の熱収縮率は1.5~3.0%の範囲に設定されている。これにより、包装袋20が破れにくくなっている。なお、熱収縮率はJIS(日本工業規格) C2318に準拠して測定される。
【0033】
二軸延伸ポリエステルフィルム層10の厚さは限定されるものではなく、特に20μm以下であることが望ましい。この場合、包装袋20の製造コストの引下げを図ることができる。二軸延伸ポリエステルフィルム層10の厚さの下限は限定されるものではなく、特に5μm、更には10μmであることが望ましい。この場合、包装袋20を確実に破れにくくすることができる。
【0034】
二軸延伸ポリエステルフィルムとしては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムなどが用いられる。
【0035】
特に、二軸延伸ポリエステルフィルムとして二軸延伸PETフィルムが用いられることが望ましく、すなわち、二軸延伸ポリエステルフィルム層10は二軸延伸PETフィルム層であることが望ましい。この場合、包装袋20のガスバリア性を高めることができる。
【0036】
ここで、基材層4は、二軸延伸ポリエステルフィルム層10に金属(例:アルミニウム)やセラミック(例:アルミナ、シリカ)が蒸着されたバリア性を有するものを含んでいても良い。すなわち、基材層4は、二軸延伸ポリエステルフィルム層10の他にバリア層を含んでいても良い。基材層4がバリア層を含む場合、通常、バリア層は二軸延伸ポリエステルフィルム層10とシーラント層2との間に配置される。
【0037】
シーラント層2は限定されるものではなく、例えばポリエチレンフィルム層からなる。ポリエチレンフィルム層を形成するポリエチレンフィルムとしては、直鎖状低密度ポリエチレン(PE-LLD)フィルム等が用いられる。
【0038】
接着剤層6は、熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン(PE)樹脂による溶融押出した溶融押出層(例:PE押出層)、あるいは、2液硬化型ポリエステルウレタン樹脂接着剤をグラビアロールで塗布乾燥したドライ接着層などにより形成される。
【0039】
図2に示したラミネート包材1Bは、基材層4と、最内層としてのシーラント層2と、両層2、4間に配置されたバリア層5とを備えている。シーラント層2とバリア層5は両層2、5間に配置された内側接着剤層6aで接着されており、バリア層5と基材層4は両層5、4間に配置された外側接着剤層6bで接着されている。これにより、これらの層2、4、5が積層状に接着一体化されている。基材層4はラミネート包材1Bの最外層である。
【0040】
さらに、ラミネート包材1Bは、上述した
図1に示したラミネート包材1Aと同じく、ナイロンフィルム層等のポリアミド系樹脂フィルム層を備えていない。そのため、ポリアミド系樹脂フィルムの残留モノマー(例:ε-カプロラクタムモノマー)等の低分子アミド化合物が包装袋20から発生しない。したがって、低分子アミド化合物による包装対象物の汚染を防止できる。
【0041】
このラミネート包材1Bにおいて、基材層4の構成は例えば
図1に示したラミネート包材1Aの基材層4と同じであり、シーラント層2の構成は例えば
図1に示したラミネート包材1Aのシーラント層2と同じであり、各接着剤層6a、6bの構成は例えば
図1に示したラミネート包材1Aの接着剤層6と同じである。
【0042】
バリア層5は限定されるものではなく、金属箔層(例:アルミニウム箔層、銅箔層、鉄箔層)、金属蒸着層(例:アルミニウム蒸着層)、アルミナ蒸着層、シリカ蒸着層などからなる。バリア層5として金属箔層が用いられる場合、金属箔層の厚さは限定されるものではなく、特に5~50μmの範囲であることが望ましい。さらに、金属箔層はアルミニウム箔層であることが望ましく、この場合、アルミニウム箔層の厚さは10~30μmの範囲であることが特に望ましい。
【0043】
ラミネート包材1の幾つかの具体的なラミネート構成例を以下に挙示する。ただし本発明は、これらの構成例のラミネート包材に限定されるものではない。なお、「AC」は、アンカーコート層(接着促進層)を意味している。
【0044】
<アルミニウム箔をバリア層として設けた構成例>
・二軸延伸ポリエステルフィルム層(基材層)/アルミニウム箔層(バリア層)/シーラント層
・二軸延伸ポリエステルフィルム層(基材層)/アルミニウム箔層(バリア層)/AC/PE押出層(接着剤層)/シーラント層
・二軸延伸ポリエステルフィルム層(基材層)/AC/PE押出層(接着剤層)/アルミニウム箔層(バリア層)/AC/PE押出層(接着剤層)/シーラント層。
【0045】
<バリア層を設けない構成例>
・二軸延伸ポリエステルフィルム層(基材層)/シーラント層
・二軸延伸ポリエステルフィルム層(基材層)/AC/PE押出層(接着剤層)/シーラント層。
【0046】
<透明なバリア層を設けた構成例>
・シリカ蒸着二軸延伸ポリエステルフィルム層(基材層、バリア層)/シーラント層
・シリカ蒸着二軸延伸ポリエステルフィルム層(基材層、バリア層)/AC/PE押出層(接着剤層)/シーラント層。
【0047】
次に、本実施形態の包装袋20の使用形態について
図3及び4を参照して以下に説明する。
【0048】
図3に示すように、包装袋20は、ガゼットタイプ(詳述するとサイドガゼットタイプ)の袋であって、前後一対の前壁21及び後壁22と、左右一対の二つ折り状のガゼット左壁23及び右壁24とを備えており、これらの壁21~24の互いに対応する所定の縁部同士がヒートシール(そのシール部「25」)により溶着されることにより、上縁側が開口する袋状に形成されたものである。なお、
図3及び4ではシール部25には細かなドットハッチングが付されている。
【0049】
図4に示すように、包装袋20は、その内側に包装対象物(図示せず)を収納した状態(即ち包装袋20の使用状態)では略直方体状(立方体状を含む)となり、その開口縁部同士がヒートシールにより密封状に溶着される。
【0050】
包装袋20において、各壁21~24はいずれも本実施形態の上述したラミネート包材から形成されており、ラミネート包材1のシーラント層2は包装袋20の最内層(最内側)となるように配置されている。
【0051】
包装対象物は、上述したように電子材料部品及び電子材料製品の少なくとも一方を含むものであり、具体的には、シリコンウェハー、化合物半導体ウェハー(例えばガリウム・リンウェハー)、ハードディスク等のディスク状の製品などである。このようなディスク状製品などは、通常、所定の容器(例:カセット、トレイ)内に収納された状態で包装袋20内に入れられて包装される。容器は例えば樹脂製である。
【0052】
上述したラミネート包材1において、ラミネート包材1の突刺し強さは10N以上であることが望ましい。この場合、包装袋20をより破れにくくすることができる。突刺し強さの上限は限定されるものではなく、通常20Nである。なお、突刺し強さは、JIS Z1707:1997に準拠して測定される。
【0053】
以上で本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能であることは言うまでもない。
【実施例】
【0054】
次に、本発明の具体的な実施例及び比較例を以下に示す。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0055】
【0056】
表1に示した基材層(最外層)とシーラント層(最内層)が両層間に配置された接着剤層で積層状に接着一体化されたラミネート包材を準備した。ラミネート包材における各層の材質及び厚さを表中の「材質」及び「厚さ」欄に示した。
【0057】
各層の「材質」欄において、「PET」は二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、「Ny」は二軸延伸6ナイロンフィルム、「PET押出層」はポリエチレン押出層、及び、「LLD」は直鎖状低密度ポリエチレンフィルムをそれぞれ意味している。
【0058】
<<熱収縮率の測定>>
実施例1~3、参考例1~2及び比較例3では、各ラミネート包材の基材層に用いた二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの150℃におけるM方向の熱収縮率を測定した。また、比較例1、2では、各ラミネート包材の基材層に用いた二軸延伸6ナイロンフィルムの150℃におけるM方向の熱収縮率を測定した。これらの熱収縮率の測定はJIS C2318に準拠して行った。これらの結果を表1中の「熱収縮率」欄に記入した。
【0059】
<<アウトガス量の測定>>
各ラミネート包材のアウトガス量を次のようにして測定した。すなわち、各ラミネート包材から裁断した2mm×40mmの短冊状の5枚の試料を60℃で1時間加熱し、この時に発生したガスをラミネート包材からのアウトガスとして捕集し、ガスクロマトグラフ質量分析法によりこのアウトガス量を測定した。その結果を表1中の「アウトガス量」欄に記入した。なお、同欄中の「-」は検出限界未満(即ち0.2μg/g未満)を意味している。
【0060】
<<突刺し強さの測定>>
各ラミネート包材の突刺し強さは、JIS Z1707:1997に準拠して測定した。その結果を表1中の「突刺し強さ」欄に記入した。
【0061】
<<製造コストの評価>>
各ラミネート包材を用いて上記実施形態の包装袋20を製造する場合における包装袋20の製造コストを比較した。その結果を表1中の「コスト」欄に示した。同欄中の符号の意味は次のとおりである。
【0062】
○:製造コストが低い
△:製造コストがやや低い
×:製造コストが高い。
【0063】
表1に示すにように、実施例1~3及び参考例1~2のラミネート包材は突刺し強さが高くまたアウトガス量が検出限界未満であった。したがって、包装袋製造用のラミネート包材として実施例1~3及び参考例1~2のラミネート包材を用いることにより、破れにくい包装袋を製造できるし、包装対象物を汚染する汚染物質が包装袋から発生するのを抑制できる。
【0064】
さらに、実施例1~3及び参考例1~2のラミネート包材はポリアミド系樹脂フィルム層を備えていないので、ポリアミド系樹脂フィルムの残留モノマー(例:ε-カプロラクタムモノマー)等の低分子アミド化合物が包装袋から発生しない。したがって、電子材料部品及び電子材料製品の少なくとも一方を含む包装対象物を包装袋で包装する場合であっても、低分子アミド化合物による包装対象物の汚染を抑制できる。
【0065】
さらに、実施例1~2及び参考例1~2のラミネート包材は包装袋の製造コストの引下げを図る上でとても有利である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、例えば、電子材料部品及び電子材料製品の少なくとも一方を含む包装対象物を包装するのに特に好適に用いられる包装袋に利用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1:ラミネート包材
2:シーラント層
4:基材層
5:バリア層
6:接着剤層
10:二軸延伸ポリエステルフィルム層
20:包装袋