(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】脱穀装置
(51)【国際特許分類】
A01F 12/00 20060101AFI20220701BHJP
A01F 12/22 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
A01F12/00 F
A01F12/22 B
(21)【出願番号】P 2018177850
(22)【出願日】2018-09-21
【審査請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】梅林 竜司
(72)【発明者】
【氏名】永翁 和明
(72)【発明者】
【氏名】米田 豊
(72)【発明者】
【氏名】高木 雅志
(72)【発明者】
【氏名】栗林 巧
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-094731(JP,A)
【文献】特開2003-000039(JP,A)
【文献】特開平08-047331(JP,A)
【文献】特開平02-046220(JP,A)
【文献】特開2000-023552(JP,A)
【文献】米国特許第04915671(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/00
A01F 12/18 - 12/28
A01F 12/52
A01F 12/56 - 12/58
A01F 13/00 - 19/00
A01D 41/00 - 41/16
A01D 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室に設けられ
、前後向きの回転軸心周りで回転可能な扱胴と、
前記扱胴を支持すると共に前後向き
の第一揺動軸心周りで上下揺動可能な扱胴フレームと、
前記扱胴及び扱胴フレームを上方から覆う
と共に前後向きの第二揺動軸心周りで上下揺動開閉可能な扱室カバーと、
前記扱胴フレームが上昇位置に位置する状態で、前記扱室カバーを開いた状態に保持する保持機構と、が備えられ
、
前記扱胴フレームが下降位置に位置する状態において、前記第一揺動軸心は、前記回転軸心に対して左右方向一方側に位置し、前記第二揺動軸心は、前記回転軸心に対して左右方向他方側に位置している脱穀装置。
【請求項2】
前記扱室カバーは、前記扱胴の後端よりも後側の位置まで延びており、
前記保持機構は、前記扱室カバーの後部を支持するように構成されている請求項1に記載の脱穀装置。
【請求項3】
前記保持機構は、前記扱室カバーの後部と前記扱室の後壁とに亘って設けられている請求項2に記載の脱穀装置。
【請求項4】
前記後壁は、固定壁と、前記扱胴を支持すると共に前記固定壁に対して上下揺動可能な可動壁と、を有し、
前記保持機構は、前記扱室カバーの後部と前記可動壁とに亘って設けられている請求項3に記載の脱穀装置。
【請求項5】
前記保持機構は、ガスダンパによって構成されている請求項1から4の何れか一項に記載の脱穀装置。
【請求項6】
前記扱胴は、前後方向に延びる扱胴軸と、前記扱胴軸に支持されると共に複数の扱歯が外周部に取り付けられる胴体と、を有し、
前記胴体は、前記胴体が前後に分割されて構成され、かつ、一体に回転する複数の胴体部を有し、
前記複数の胴体部のうち少なくとも一つの胴体部は、前記胴体部が前記扱胴軸周りの周方向に分割されて構成された複数の胴体部構成部材を有し、
前記複数の胴体部構成部材のうち少なくとも一つの胴体部構成部材は、取り外し可能に構成されている請求項1から5の何れか一項に記載の脱穀装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扱室に設けられる扱胴と、扱胴を支持すると共に上下揺動可能な扱胴フレームと、が備えられている脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような脱穀装置として、例えば、特許文献1に記載の脱穀装置が既に知られている。特許文献1に記載の脱穀装置には、扱室(文献では「扱室〔17〕」)に設けられる扱胴(文献では「扱胴〔11〕」)と、扱胴を支持すると共に上下揺動可能な扱胴フレーム(文献では「上部フレーム〔40〕」)と、が備えられている。特許文献1に記載の脱穀装置では、扱胴フレームが上昇位置に位置する状態で、扱胴のメンテナンスを脱穀装置の左側部から行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の脱穀装置では、扱胴のメンテナンスを脱穀装置に対して一方向(脱穀装置の左側部)からしか行うことができず、扱胴のメンテナンス性を向上させる点で改善の余地がある。
【0005】
上記状況に鑑み、扱胴のメンテナンス性を向上させることが可能な脱穀装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、扱室に設けられ、前後向きの回転軸心周りで回転可能な扱胴と、前記扱胴を支持すると共に前後向きの第一揺動軸心周りで上下揺動可能な扱胴フレームと、前記扱胴及び扱胴フレームを上方から覆うと共に前後向きの第二揺動軸心周りで上下揺動開閉可能な扱室カバーと、前記扱胴フレームが上昇位置に位置する状態で、前記扱室カバーを開いた状態に保持する保持機構と、が備えられ、前記扱胴フレームが下降位置に位置する状態において、前記第一揺動軸心は、前記回転軸心に対して左右方向一方側に位置し、前記第二揺動軸心は、前記回転軸心に対して左右方向他方側に位置していることにある。
【0007】
本特徴構成によれば、扱胴フレームが上昇位置に位置する状態で、保持機構によって扱室カバーを開いた状態に保持することにより、扱胴のメンテナンスを脱穀装置に対して二方向(脱穀装置の横側部及び上部)から行うことができる。すなわち、本特徴構成によれば、扱胴のメンテナンス性を向上させることが可能な脱穀装置を実現することができる。
【0008】
さらに、本発明において、前記扱室カバーは、前記扱胴の後端よりも後側の位置まで延びており、前記保持機構は、前記扱室カバーの後部を支持するように構成されていると好適である。
【0009】
本特徴構成によれば、扱室カバーが扱胴の後端よりも後側の位置まで延びるものであっても、扱室カバーの後部をしっかりと支持することができる。
【0010】
さらに、本発明において、前記保持機構は、前記扱室カバーの後部と前記扱室の後壁とに亘って設けられていると好適である。
【0011】
本特徴構成によれば、保持機構が比較的剛性の高い後壁に支持されることになる。これにより、保持機構をしっかりと支持することができる。
【0012】
さらに、本発明において、前記後壁は、固定壁と、前記扱胴を支持すると共に前記固定壁に対して上下揺動可能な可動壁と、を有し、前記保持機構は、前記扱室カバーの後部と前記可動壁とに亘って設けられていると好適である。
【0013】
本特徴構成によれば、可動壁が固定壁に対して上下揺動すると、保持機構が可動壁と共に位置変化することになる。これにより、可動壁が固定壁に対して上下揺動したとしても、保持機構の構成に影響を及ぼすことがない。
【0014】
さらに、本発明において、前記保持機構は、ガスダンパによって構成されていると好適である。
【0015】
本特徴構成によれば、扱室カバーの保持及びその解除を容易に行うことができる。
【0016】
さらに、本発明において、前記扱胴は、前後方向に延びる扱胴軸と、前記扱胴軸に支持されると共に複数の扱歯が外周部に取り付けられる胴体と、を有し、前記胴体は、前記胴体が前後に分割されて構成され、かつ、一体に回転する複数の胴体部を有し、前記複数の胴体部のうち少なくとも一つの胴体部は、前記胴体部が前記扱胴軸周りの周方向に分割されて構成された複数の胴体部構成部材を有し、前記複数の胴体部構成部材のうち少なくとも一つの胴体部構成部材は、取り外し可能に構成されていると好適である。
【0017】
本特徴構成によれば、胴体部構成部材を取り外すことにより、胴体のうち胴体部構成部材が取り外された箇所の開口から胴体の内部に手を入れて、扱胴のメンテナンス(例えば、扱歯の交換等)を容易に行うことができる。その際、扱歯の交換等を脱穀装置に対して二方向(脱穀装置の横側部及び上部)から行うことにより、扱胴を大きく回転させることなく、これらの作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図8】
図6におけるVIII-VIII断面図である。
【
図9】扱胴フレームが上昇位置に位置する状態で、左扱室カバーが開いた状態に保持された状態を示す正面断面図である。
【
図10】別実施形態において、左扱室カバーが開いた状態に保持された状態を示す正面断面図である。
【
図11】右扱室カバー用のロック機構を示す斜視図である。
【
図12】右扱室カバーが開いた状態に保持された状態を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。
【0020】
〔コンバインの全体構成〕
図1及び
図2には、自脱型コンバインを示している。本コンバインには、機体フレーム1と、クローラ走行装置2と、が備えられている。走行機体の前方には、植立穀稈を刈り取る刈取部3が設けられている。走行機体の前部における右側部分には、運転キャビン4が設けられている。運転キャビン4には、運転者が搭乗する運転部5と、運転部5を覆うキャビン6と、が備えられている。運転部5の下方には、エンジン(図示省略)が設けられている。
【0021】
運転キャビン4の後方には、脱穀処理後の穀粒を貯留する穀粒貯留タンク7が設けられている。穀粒貯留タンク7内の穀粒を排出する穀粒排出装置8が設けられている。穀粒貯留タンク7の左隣には、脱穀装置9が設けられている。脱穀装置9の左側部には、刈取穀稈を挟持搬送するフィードチェーン10と、フィードチェーン10と上下に対向する位置でフィードチェーン10と共に刈取穀稈を挟持するレール台11と、が設けられている。脱穀装置9は、扱胴12を有すると共にフィードチェーン10によって搬送される刈取穀稈を脱穀処理する。脱穀装置9の後部には、排藁搬送装置13が連設されている。排藁搬送装置13は、フィードチェーン10から脱穀処理後の排藁を受け取って後方へ挟持搬送する。排藁搬送装置13の下方には、排藁搬送装置13によって搬送された排藁を切断処理する排藁切断装置14が設けられている。
【0022】
〔脱穀装置〕
図3に示すように、脱穀装置9の上部には、扱室18が形成されている。脱穀装置9の天板を構成する扱室カバー19が設けられている。扱室18には、扱胴12が前後向き軸心(回転軸心)Y1周りで回転可能に設けられている。扱胴12は、扱胴軸20を介して、扱室18を形成する前後両側の壁21に回転可能に支持されている。扱胴12の下方には、受網22が設けられている。扱胴12の後方には、塵埃を外部に排出する排塵ファン23が設けられている。
【0023】
脱穀装置9の下部には、選別対象物を揺動選別する揺動選別装置24や揺動選別装置24に選別風を送風する唐箕25、一番物の穀粒(単粒化穀粒等)を回収する一番回収部26、二番物の穀粒(枝梗付き穀粒等)を回収する二番回収部27が設けられている。一番回収部26には、一番物の穀粒を右方へ搬送する一番スクリュ28が備えられている。一番スクリュ28からの一番物の穀粒を穀粒貯留タンク7に向けて揚穀搬送する揚穀装置29が設けられている。揚穀装置29は、一番スクリュ28の右端部に連動連結されている。二番回収部27には、二番物の穀粒を右方へ搬送する二番スクリュ30が備えられている。二番スクリュ30からの二番物の穀粒を揺動選別装置24に還元する二番還元装置31が設けられている。二番還元装置31は、二番スクリュ30の右端部に連動連結されている。
【0024】
図3から
図5に示すように、壁21には、可動壁32と、固定壁33と、が備えられている。前側の可動壁32と後側の可動壁32とに亘って、扱胴軸20が架設されている。可動壁32は、前後向き軸心(揺動軸心)Y2周りで上下揺動可能なように、アーム34を介して固定壁33に支持されている。前側の固定壁33と後側の固定壁33とに亘って、前記エンジンの動力が伝達される伝動軸35が設けられている。
【0025】
脱穀装置9の上部における左右両側部の夫々には、脱穀装置9における前部と後部とに亘って前後方向に延びる上部フレーム36、37が設けられている。左側の上部フレーム36は、前側の可動壁32と後側の可動壁32とに亘って設けられ、かつ、後側の壁21よりも後側の位置まで延びている。右側の上部フレーム37は、前側の固定壁33と後側の固定壁33とに亘って設けられ、かつ、後側の壁21よりも後側の位置まで延びている。
【0026】
扱胴12を支持すると共に機体横内側(右側)に位置する揺動軸心Y2周りで上下揺動可能な扱胴フレーム38が設けられている。扱胴フレーム38には、前側の可動壁32と、後側の可動壁32と、左側の上部フレーム36と、が備えられている。扱胴フレーム38は、左側の上部フレーム36が位置する側の横端部(左端部)が上下動するように、揺動軸心Y2周りで上下揺動可能に構成されている。
【0027】
扱胴フレーム38を上下揺動駆動するシリンダ39が設けられている。シリンダ39は、後側のアーム34と後側の固定壁33とに亘って設けられている。本実施形態では、シリンダ39は、電動油圧シリンダによって構成されている。扱胴フレーム38を上側に揺動付勢するガスダンパ40が設けられている。ガスダンパ40は、後側の可動壁32と後側の固定壁33とに亘って設けられている。
【0028】
扱胴12を、脱穀処理を行う脱穀処理位置に位置保持する前後一対の扱胴ロック機構67が設けられている。前側の扱胴ロック機構67は、前側の可動壁32と前側の固定壁33とに亘って設けられている。後側の扱胴ロック機構67は、後側の可動壁32と後側の固定壁33とに亘って設けられている。扱胴ロック機構67には、プレート68と、ローラ69と、が備えられている。プレート68は、前後向き軸心(揺動軸心)Y3周りで揺動可能に可動壁32に支持されている。プレート68の先端部には、ローラ69に係合可能なフック部68aが形成されている。プレート68を揺動駆動するモータ(図示省略)が設けられている。ローラ69は、支軸70を介して固定壁33に支持されている。フック部68aがローラ69に係合することにより、扱胴12が脱穀処理位置に位置保持されることになる。ローラ69に対するフック部68aの係合が解除されることにより、扱胴フレーム38がシリンダ39及びガスダンパ40によって上側に揺動されることになる。
【0029】
ここで、排藁搬送装置13を支持すると共に揺動軸心Y2周りで上下揺動可能な排藁フレーム(図示省略)が設けられている。本実施形態では、扱胴フレーム38と前記排藁フレームとが連結解除可能に連結され、かつ、扱胴フレーム38と前記排藁フレームとが連結された状態で、扱胴フレーム38と前記排藁フレームとが一体にシリンダ39によって上下揺動可能に構成されている。
【0030】
〔扱胴〕
図3に示すように、扱胴12には、前後方向に延びる扱胴軸20と、扱胴軸20に支持されると共に複数の扱歯41が外周部に取り付けられる略円筒形状の胴体42と、が備えられている。扱胴軸20は、前側の壁21と後側の壁21とに亘って設けられている。扱胴軸20は、前ベアリング43を介して前側の壁21に回転可能に支持され、かつ、後ベアリング44を介して後側の壁21に回転可能に支持されている。扱胴軸20のうち前側の壁21から前方に突出する部分には、前記エンジンからの駆動力が入力される入力プーリ45が設けられている。
【0031】
図6から
図8に示すように、胴体42には、前側部分を構成する前胴体部46と、後側部分を構成する後胴体部47と、前胴体部46と後胴体部47との間の部分を構成する中胴体部48と、が備えられている。胴体42は、前胴体部46、後胴体部47及び中胴体部48に前後に三分割されて構成されている。前胴体部46、後胴体部47及び中胴体部48は、これらが一体に回転するように、単一の扱胴軸20に支持されている。すなわち、胴体42には、胴体42が前後に分割(本実施形態では、三分割)されて構成され、かつ、一体に回転する複数(本実施形態では、三つ)の前胴体部46、後胴体部47及び中胴体部48が備えられている。
【0032】
前胴体部46は、ロール成形された板によって構成されている。前胴体部46には、扱歯41が取り付けられる孔が多数形成されている。前胴体部46は、後胴体部47よりも前後方向に短い。前胴体部46の前端開口部には、前胴体部46の前端開口部を塞ぐように、前円板49がボルト固定されている。前円板49には、前方に向かって径が小さくなる縮径部49aが形成されている。前円板49の後面(胴体42の内部側の面)には、前ボス50がボルト51によって固定されている。前ボス50は、扱胴軸20にボルト52によって固定されている。
【0033】
後胴体部47は、ロール成形された板によって構成されている。後胴体部47には、扱歯41が取り付けられる孔が多数形成されている。後胴体部47の後端開口部には、後胴体部47の後端開口部を塞ぐように、後円板53がボルト固定されている。後円板53の前面(胴体42の内部側の面)には、後ボス54がボルト55によって固定されている。後ボス54は、扱胴軸20にボルト56によって固定されている。
【0034】
中胴体部48は、ロール成形された板によって構成されている。中胴体部48には、扱歯41が取り付けられる孔が多数形成されている。中胴体部48は、前胴体部46及び後胴体部47よりも前後方向に長い。中胴体部48は、二つの第一中胴体部構成板57(胴体部構成部材)及び二つの第二中胴体部構成板58(胴体部構成部材)に扱胴軸20周りの周方向に四分割されて構成されている。すなわち、中胴体部48には、中胴体部48が扱胴軸20周りの周方向に分割(本実施形態では、四分割)されて構成された複数(本実施形態では、四つ)の第一中胴体部構成板57及び第二中胴体部構成板58が備えられている。
【0035】
第一中胴体部構成板57及び第二中胴体部構成板58は、中胴体部48が扱胴軸20周りの周方向に等分割(90度間隔で分割)されて構成されている。第一中胴体部構成板57及び第二中胴体部構成板58は、扱胴軸20周りの周方向に交互に配置されている。二つの第一中胴体部構成板57及び二つの第二中胴体部構成板58は、全て取り外し可能に構成されている。
【0036】
第一中胴体部構成板57のうち扱胴軸20周りの周方向における両縁部には、夫々、第二中胴体部構成板58が取り付けられる取り付け座59が設けられている。第二中胴体部構成板58のうち扱胴軸20周りの周方向における両縁部は、夫々、取り付け座59に対して胴体42の径方向の外側からボルト固定されている。取り付け座59には、ボルト固定用のボルト孔59aが複数形成されている。第二中胴体部構成板58のうち扱胴軸20周りの周方向における両縁部には、夫々、ボルト固定用のボルト孔58aが複数形成されている。
【0037】
前胴体部46、後胴体部47及び中胴体部48が取り付けられる取り付けフレーム60が設けられている。取り付けフレーム60には、前リング61と、後リング62と、前リング61と後リング62とを連結する複数(本実施形態では、四本)の連結部材63と、前リブ64と、後リブ65と、中リブ66と、が備えられている。
【0038】
前リング61には、前胴体部46の後端部、第一中胴体部構成板57の前端部及び第二中胴体部構成板58の前端部が取り外し可能にボルト固定されている。後リング62には、後胴体部47の前端部、第一中胴体部構成板57の後端部及び第二中胴体部構成板58の後端部が取り外し可能にボルト固定されている。前リング61は、扱室18において、脱穀負荷が大きい箇所(扱室18の前部)に位置しているところ、前リング61の剛性を向上させるべく、前リブ64の板厚を後リブ65の板厚よりも厚くしている。
【0039】
前リブ64には、前リング61の外周面から胴体42の径方向の外側に突出する突出部64aが扱胴軸20周りの周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では、四つ)形成されている。後リブ65には、後リング62の外周面から胴体42の径方向の外側に突出する突出部65aが扱胴軸20周りの周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では、四つ)形成されている。
【0040】
〔扱室カバー〕
図2、
図4及び
図5に示すように、扱室カバー19は、扱胴12、扱胴フレーム38及び前記排藁フレームを上方から覆っている。扱室カバー19には、左扱室カバー71と、右扱室カバー72と、が備えられている。左扱室カバー71及び右扱室カバー72は、扱胴12の後端よりも後側の位置まで延びている。左扱室カバー71は、機体横外側(左側)に位置する前後向き軸心(揺動軸心)Y4周りで上下揺動開閉可能に構成されている。左扱室カバー71は、支持部材73を介して左側の上部フレーム36に支持されている。左扱室カバー71の裏面には、プレート74が取り付けられている。プレート74には、複数の送塵弁75が前後方向に間隔をあけて取り付けられている。
【0041】
右扱室カバー72は、機体横内側(右側)に位置する前後向き軸心(揺動軸心)Y5周りで上下揺動開閉可能に右側の上部フレーム37に支持されている。右扱室カバー72は、その左端部が左扱室カバー71の右端部に乗り上がる状態で設けられている。
【0042】
〔ガスダンパ〕
左扱室カバー71を開いた状態に保持するガスダンパ76(保持機構)が設けられている。ガスダンパ76は、左扱室カバー71の後部を支持するように構成されている。ガスダンパ76は、左扱室カバー71の後部と後側の可動壁32とに亘って設けられている。ガスダンパ76のうち左扱室カバー71側の端部は、連結部77に連結されている。連結部77は、左扱室カバー71において、リブ71a(若しくはリブ71aの近傍)に設けられている。ガスダンパ76のうち後側の可動壁32側の端部は、連結部78に連結されている。連結部78は、後側の可動壁32の上部に設けられている。
【0043】
図9に示すように、扱胴フレーム38が上昇位置に位置する状態で、左扱室カバー71をガスダンパ76によって開いた状態に保持することができる。
図9では、右扱室カバー72を取り外した状態としている。
【0044】
ここで、
図9に示す状態にする手順としては、左扱室カバー71を開いてから扱胴フレーム38を上昇させることが好ましい。また、
図9に示す状態から元(
図4参照)に戻す手順としては、扱胴フレーム38を下降させてから左扱室カバー71を閉じることが好ましい。
【0045】
このような構成によれば、扱胴フレーム38が上昇位置に位置する状態で、ガスダンパ76によって左扱室カバー71を開いた状態に保持することにより、扱胴12のメンテナンスを脱穀装置9に対して二方向(脱穀装置9の左側部及び上部)から行うことができる。そして、中胴体部48(第一中胴体部構成板57及び第二中胴体部構成板58)を取り外すことにより、胴体42のうち中胴体部48が取り外された箇所の開口から胴体42の内部に手を入れて、扱胴12のメンテナンス(例えば、扱歯41の交換等)を容易に行うことができる。
【0046】
〔別実施形態〕
(1)
図10に示す例では、左扱室カバー71は、支点(揺動軸心Y4)越えの位置まで揺動してフレーム等に当接することにより、開いた状態に保持されている。そして、脱穀装置9の右側板9aを取り外すことにより、扱胴12のメンテナンスを脱穀装置9に対して二方向(脱穀装置9の右側部及び上部)から行うことができる。
【0047】
(2)上記実施形態及び上記別実施形態(1)において、右扱室カバー72を開いた状態に保持するロック機構79が設けられていてもよい。
図11及び
図12に示すように、ロック機構79は、右扱室カバー72の前端部と前側の壁21とに亘って設けられている。ロック機構79には、ロッド80と、受け部材81と、が備えられている。ロッド80は、ステー82に前後向き軸心(揺動軸心)Y6周りで揺動可能に支持されている。ステー82は、前側の固定壁33の上部に設けられている。ステー82には、ロッド80の揺動先端部が嵌まる切り欠き部82aが形成されている。ロッド80の揺動先端部が切り欠き部82aに嵌まることにより、ロッド80が収納位置に保持されることになる。
【0048】
受け部材81は、右扱室カバー72の裏面に設けられている。受け部材81には、ロッド80の揺動先端部が差し込まれる孔81a、81bが形成されている。孔81a、81bは、右扱室カバー72の幅方向に沿って配列されている。
【0049】
このような構成によれば、
図12の上段の図に示すように、ロッド80の揺動先端部が孔81a、81bのうち揺動軸心Y5から遠い側の孔81bに差し込まれることにより、右扱室カバー72が小さく開いた状態に保持されることになる。この場合、右扱室カバー72が穀粒貯留タンク7と干渉することがない。また、
図12の下段の図に示すように、ロッド80の揺動先端部が孔81a、81bのうち揺動軸心Y5に近い側の孔81aに差し込まれることにより、右扱室カバー72が大きく開いた状態に保持されることになる。この場合、穀粒貯留タンク7が機体横外側に開いた状態であれば、右扱室カバー72が穀粒貯留タンク7と干渉することがない。このように、ロック機構79によって右扱室カバー72を開いた状態に保持することにより、脱穀装置9内部のメンテナンスを行う際に、右扱室カバー72を開いた状態に手で支えておく必要がなく、脱穀装置9内部のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0050】
(3)上記実施形態では、ガスダンパ76が左扱室カバー71の後部を支持するように構成されている。しかし、ガスダンパ76が左扱室カバー71の前部を支持するように構成されていてもよい。あるいは、左扱室カバー71の後部を支持するガスダンパ76に加えて、左扱室カバー71の前部を支持するガスダンパが設けられていてもよい。ここで、左扱室カバー71の前部を支持するガスダンパを設ける場合、当該ガスダンパが扱室カバー71の前部と扱室18の前壁(前側の壁21、具体的には、前側の可動壁32)とに亘って設けられていてもよい。
【0051】
(4)上記実施形態では、保持機構がガスダンパ76によって構成されている。しかし、保持機構は、ガスダンパ76に限定されるものではない。例えば、保持機構がロック機構によって構成されていてもよい。
【0052】
(5)上記実施形態では、二つの第一中胴体部構成板57及び二つの第二中胴体部構成板58は、全て取り外し可能に構成されている。しかし、二つの第一中胴体部構成板57及び二つの第二中胴体部構成板58のうち少なくとも一つの第一中胴体部構成板57又は第二中胴体部構成板58が取り外し可能に構成されていればよい。
【0053】
(6)上記実施形態では、中胴体部48が扱胴軸20周りの周方向に四分割されている。しかし、中胴体部48が扱胴軸20周りの周方向に五分割以上されていてもよい。あるいは、中胴体部48が扱胴軸20周りの周方向に二分割又は三分割されていてもよい。
【0054】
(7)上記実施形態では、胴体42が前後に三分割されている。しかし、胴体42が前後に四分割以上されていてもよい。あるいは、胴体42が前後に二分割されていてもよい。あるいは、胴体42が前後に分割されていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、コンバイン用の脱穀装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
9 脱穀装置
12 扱胴
18 扱室
20 扱胴軸
21 後側の壁
32 可動壁
33 固定壁
38 扱胴フレーム
41 扱歯
42 胴体
46 前胴体部
47 後胴体部
48 中胴体部
57 第一中胴体部構成板(胴体部構成部材)
58 第二中胴体部構成板(胴体部構成部材)
71 左扱室カバー
76 ガスダンパ(保持機構)
Y2 前後向き軸心