(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】筒状部材連結構造及びその関連技術
(51)【国際特許分類】
F16B 7/18 20060101AFI20220701BHJP
A47L 13/20 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
F16B7/18 A
A47L13/20 Z
(21)【出願番号】P 2018211860
(22)【出願日】2018-11-10
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000178583
【氏名又は名称】山崎産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095522
【氏名又は名称】高良 尚志
(72)【発明者】
【氏名】中井 吾郎
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-193608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/18
A47L 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状部材同士を直列状に連結する筒状部材連結構造であって、
第1の筒状部材の一方の端部X
は、外径が先端側に向かってテーパ状に減少するテーパ状外径部を有し、
前記端部Xには、先端側に雄螺子部を備えてなる雄形連結端部の基端側部が連結され、
前記テーパ状外径部と雄螺子部は同軸状に形成されており、
第2の筒状部材の一方の端部Yには、内径が先端側に向かって前記テーパ状外径部と同等の角度のテーパ状に増大するテーパ状内径部と、そのテーパ状内径部の基端側に設けられた雌螺子部とを備えてなる雌形連結端部が内嵌固定され、
前記テーパ状内径部と雌螺子部は同軸状に形成されており、
前記雄形連結端部の雄螺子部が前記雌形連結端部の雌螺子部に螺合することにより、前記テーパ状内径部と前記テーパ状外径部が所定の軸線方向長の全周にわたり同軸状に密接し、第1の筒状部材と第2の筒状部材が直列状に連結されることを特徴とする筒状部材連結構造。
【請求項2】
上記テーパ状外径部を含む第1の筒状部材と雄螺子部が同軸状に形成されている請求項1記載の筒状部材連結構造。
【請求項3】
上記テーパ状内径部と雌螺子部と第2の筒状部材が同軸状に形成されている請求項1又は2記載の筒状部材連結構造。
【請求項4】
上記第2の筒状部材の一方の端部Yは、内径が先端側に向かって増大するテーパ状に形成されたものである請求項1乃至3の何れか1項に記載の筒状部材連結構造。
【請求項5】
上記第1の筒状部材の一方の端部Xの外周部のうち、少なくとも第2の筒状部材の一方の端部Yに内嵌固定された雌形連結端部の内周部と接する部分を構成する材料と、前記雌形連結端部の内周部のうち、少なくとも前記端部Xの外周部と接する部分を構成する材料が異なるものである請求項1乃至4の何れか1項に記載の筒状部材連結構造。
【請求項6】
上記第1の筒状部材と第2の筒状部材は金属製であり、第2の筒状部材の一方の端部Yに内嵌固定された雌形連結端部は合成樹脂製である請求項5記載の筒状部材連結構造。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の筒状部材連結構造用の筒状部材であって、
一方の端部Xに、外径が先端側に向かってテーパ状に減少するテーパ状外径部を有し、
前記端部Xには、先端側に雄螺子部を備えてなる雄形連結端部の基端側部が連結され、
前記テーパ状外径部と雄螺子部は同軸状に形成されてなる連結用筒状部材。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の筒状部材連結構造用の筒状部材であって、
一方の端部Yに、内径が先端側に向かってテーパ状に増大するテーパ状内径部と、そのテーパ状内径部の基端側に設けられた雌螺子部とを備えてなる雌形連結端部が内嵌固定され、
前記テーパ状内径部と雌螺子部は同軸状に形成されてなる連結用筒状部材。
【請求項9】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の筒状部材連結構造により連結された複数の筒状部材からなる筒状部材連結体。
【請求項10】
請求項9記載の筒状部材連結体を柄として有する清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃具の柄等に用いられ得る筒状部材連結構造、連結用筒状部材、筒状部材連結体及びその筒状部材連結体を有する清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第5408775号公報には、筒状パイプ10のオス側端部11をテーパー面に形成すると共にネジ部材14を取付け、そのネジ部材14のネジ条と係合する二つの突起15と16を内壁に設けた直管状の筒状パイプ12に挿入して筒状パイプ10のオス側端部11を二つの突起15と16に係合させて両筒状パイプ10・12を連結する連結構造が記載されている。
【0003】
この場合、オス側端部11をテーパー面に形成した筒状パイプ10と直管状の筒状パイプ12の連結精度はあまり良いとは言えず、連結の強度もあまり高いものとすることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、筒状部材同士が良好な精度で直列状に確りと連結される筒状部材連結構造、連結用筒状部材、筒状部材連結体及びその筒状部材連結体を有する清掃具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の筒状部材連結構造、連結用筒状部材、筒状部材連結体及びその筒状部材連結体を有する清掃具は、次のように表すことができる。
【0007】
(1) 筒状部材同士を直列状に連結する筒状部材連結構造であって、
第1の筒状部材の一方の端部Xは、外径が先端側に向かってテーパ状に減少するテーパ状外径部を有し、
前記端部Xには、先端側に雄螺子部を備えてなる雄形連結端部の基端側部が連結され、
前記テーパ状外径部と雄螺子部は同軸状に形成されており、
第2の筒状部材の一方の端部Yには、内径が先端側に向かって前記テーパ状外径部と同等の角度のテーパ状に増大するテーパ状内径部と、そのテーパ状内径部の基端側に設けられた雌螺子部とを備えてなる雌形連結端部が内嵌固定され、
前記テーパ状内径部と雌螺子部は同軸状に形成されており、
前記雄形連結端部の雄螺子部が前記雌形連結端部の雌螺子部に螺合することにより、前記テーパ状内径部と前記テーパ状外径部が所定の軸線方向長の全周にわたり同軸状に密接し、第1の筒状部材と第2の筒状部材が直列状に連結されることを特徴とする筒状部材連結構造。
【0008】
第1の筒状部材の一方の端部Xに基端側部が連結された雄形連結端部が、第2の筒状部材の一方の端部Yに内嵌固定された雌形連結端部内に挿入され、両筒状部材の軸線まわりの相対的な回動により雄形連結端部の雄螺子部が前記雌形連結端部の雌螺子部に螺合することにより、互いに同等の角度のテーパ状である雌形連結端部のテーパ状内径部と、第1の筒状部材の一方の端部Xに有するテーパ状外径部が、設計に基づく所定の軸線方向長の全周にわたり同軸状に密接する。
【0009】
テーパ状外径部と雄螺子部は同軸状に形成されており、テーパ状内径部と雌螺子部は同軸状に形成されているので、第1の筒状部材と第2の筒状部材は、それぞれのテーパ状外径部とテーパ状内径部が良好な精度で同軸状をなす状態で、直列状に確りと連結される。
【0010】
また、第1の筒状部材と第2の筒状部材が接すること及びそれによる不都合(例えば両筒状部材の軸線まわりの相対的な回動による連結時又は分離時に生じる摩耗粉や摩耗粉による汚水の発生、摩耗による連結精度の低下等)を回避することができる。
【0011】
(2) 上記テーパ状外径部を含む第1の筒状部材と雄螺子部が同軸状に形成されている上記(1)記載の筒状部材連結構造。
【0012】
(3) 上記テーパ状内径部と雌螺子部と第2の筒状部材が同軸状に形成されている上記(1)又は(2)記載の筒状部材連結構造。
【0013】
(4) 上記第2の筒状部材の一方の端部Yは、内径が先端側に向かって増大するテーパ状に形成されたものである上記(1)乃至(3)の何れか1項に記載の筒状部材連結構造。
【0014】
(5) 上記第1の筒状部材の一方の端部Xの外周部のうち、少なくとも第2の筒状部材の一方の端部Yに内嵌固定された雌形連結端部の内周部と接する部分を構成する材料と、前記雌形連結端部の内周部のうち、少なくとも前記端部Xの外周部と接する部分を構成する材料が異なるものである上記(1)乃至(4)の何れか1項に記載の筒状部材連結構造。
【0015】
(6) 上記第1の筒状部材と第2の筒状部材は金属製であり、第2の筒状部材の一方の端部Yに内嵌固定された雌形連結端部は合成樹脂製である上記(5)記載の筒状部材連結構造。
【0016】
(7) 上記(1)乃至(6)の何れか1項に記載の筒状部材連結構造用の筒状部材であって、
一方の端部Xに、外径が先端側に向かってテーパ状に減少するテーパ状外径部を有し、
前記端部Xには、先端側に雄螺子部を備えてなる雄形連結端部の基端側部が連結され、
前記テーパ状外径部と雄螺子部は同軸状に形成されてなる連結用筒状部材。
【0017】
(8) 上記(1)乃至(6)の何れか1項に記載の筒状部材連結構造用の筒状部材であって、
一方の端部Yに、内径が先端側に向かってテーパ状に増大するテーパ状内径部と、そのテーパ状内径部の基端側に設けられた雌螺子部とを備えてなる雌形連結端部が内嵌固定され、
前記テーパ状内径部と雌螺子部は同軸状に形成されてなる連結用筒状部材。
【0018】
(9) 上記(1)乃至(6)の何れか1項に記載の筒状部材連結構造により連結された複数の筒状部材からなる筒状部材連結体。
【0019】
(10) 上記(9)記載の筒状部材連結体を柄として有する清掃具。
【発明の効果】
【0020】
本発明の筒状部材連結構造、連結用筒状部材、筒状部材連結体及びその筒状部材連結体を有する清掃具においては、第1の筒状部材と第2の筒状部材は、良好な精度で直列状に確りと連結される。
【0021】
また、両筒状部材が接すること及びそれによる、例えば摩耗粉や摩耗粉による汚水の発生、摩耗による連結精度の低下等の不都合を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図13】筒状部材Aの下端部と筒状部材Bの上端部の連結箇所の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[1] 本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図面は何れも本発明の実施の形態の例についてのものである。
【0025】
(1) この例の筒状部材連結構造は、清掃具の柄を構成する筒状部材Aと筒状部材B、筒状部材B同士、及び筒状部材Bと筒状部材Cを、それぞれ直列状に連結する構造である。
【0026】
筒状部材A、筒状部材B及び筒状部材Cは、何れもアルミニウム製で、ほぼ円筒状をなす。
【0027】
なお、以下の記載における上端部、下端部、上端、下端等の表記は、図面に対応させて説明するためのものに過ぎず、実際の使用態様等を特定するものではない。
【0028】
(2) 筒状部材Aの上半部には合成樹脂製の把手部A1が外嵌結合し、把手部A1の把手部上端部A2には吊り下げ等に用い得る貫通孔A3を有する。
【0029】
筒状部材Aの下端部AL(端部Y)は、内外径が下端側に向かってテーパ状に増大し、そのテーパ状の下端が軸線方向下方に開口するよう形成されている。
【0030】
筒状部材Aの下端部ALには、ポリオキシメチレン樹脂製の雌形連結端部Nが内嵌固定されている。
【0031】
雌形連結端部Nは、内径が下端側(先端側)に向かってテーパ状に増大するテーパ状内径部N1と、そのテーパ状内径部N1の上端側(基端側)に設けられた雌螺子部N2を備えてなる。テーパ状内径部N1は、雌形連結端部Nの下端(開口端である先端)に至る。テーパ状内径部N1と雌螺子部N2と筒状部材Aは同軸状に形成されている。
【0032】
(3) 筒状部材Bの上端部BU(端部X)は、外径が上端側(先端側)に向かってテーパ状に減少して上端(先端)に至るテーパ状外径部Sを有する。
【0033】
上端部BUには、上端側にポリオキシメチレン樹脂製の雄螺子部M1を備えてなる雄形連結端部Mの下端側部(基端側部)が、筒状部材Bの上端(先端)の軸線方向上方に開口する開口部に内嵌されて固定されることにより連結されている。
【0034】
テーパ状外径部Sを含む筒状部材Bと雄螺子部M1は同軸状に形成されている。
【0035】
雌形連結端部Nのテーパ状内径部N1と筒状部材Bのテーパ状外径部Sは、同等のテーパ角度に形成されている。
【0036】
また、雌形連結端部Nの雌螺子部N2には、雄形連結端部Mの雄螺子部M1が螺合し得る。
【0037】
(4) 筒状部材Bの上端部BUに下端側部が連結固定された雄形連結端部Mが、筒状部材Aの下端部ALに内嵌固定された雌形連結端部N内に下方から挿入され、筒状部材Aと筒状部材Bの軸線まわりの相対的な回動によって雄形連結端部Mの雄螺子部M1が雌形連結端部Nの雌螺子部N2に螺合することにより、互いに同等の角度のテーパ状である雌形連結端部Nのテーパ状内径部N1と、筒状部材Bの上端部BUに有するテーパ状外径部Sが、設計に基づく所定の軸線方向長(
図13に示されるように、テーパ状外径部Sの上半部の軸線方向長、すなわち、対応するテーパ状内径部N1の上端部を除く部分の軸線方向長)の全周にわたり同軸状に密接する。
【0038】
テーパ状外径部Sを含む筒状部材Bと雄螺子部M1は同軸状に形成されており、テーパ状内径部N1と雌螺子部N2と筒状部材Aは同軸状に形成されているので、筒状部材Bの上端部BUにおけるテーパ状外径部Sと、筒状部材Aの下端部ALに内嵌固定された雌形連結端部Nのテーパ状内径部N1が良好な精度で同軸状をなし、筒状部材Bと筒状部材Aが良好な精度で同軸状をなす状態で、直列状に確りと連結される。
【0039】
筒状部材Aの下端部ALの内径が下端側に向かってテーパ状に増大しているため、下端部ALに内嵌固定される雌形連結端部Nの外径及びテーパ状内径部N1の内径を十分に大きく設定することができ、対応するテーパ状外径部Sの外径も十分に大きく設定することができる。それにより、筒状部材Bと筒状部材Aが連結する状態におけるテーパ状外径部Sとテーパ状内径部N1の同軸状密接の精度がより良好となると共に、連結強度を高めることができる。
【0040】
また、アルミニウム製の筒状部材Bの上端部BUのテーパ状外径部Sの外周部が、筒状部材Aの下端部ALに内嵌固定されたポリオキシメチレン樹脂製の雌形連結端部Nのテーパ状内径部N1の内周部に挿入された状態で、筒状部材Aと筒状部材Bの軸線まわりの相対的な回動によってそれらの筒状部材Aと筒状部材Bが連結されるので、アルミニウム製の両筒状部材が接すること及びそれによる、摩耗粉や摩耗粉に水分が加わることによる汚水の発生、摩耗による連結精度の低下等の不都合を回避することができる。
【0041】
(5) 筒状部材Bの下端部BL及び下端部BLに内嵌固定された雌形連結端部Nは、筒状部材Aの下端部AL及び下端部ALに内嵌固定された雌形連結端部Nと同様の構成である。
【0042】
筒状部材Cの上端部CU及び上端部CUに下端側部が内嵌固定された雄形連結端部Mは、筒状部材Bの上端部BU及び上端部BUに下端側部が内嵌固定された雄形連結端部Mと同様の構成である。
【0043】
筒状部材Cの下端部CLには、例えばモップ用拭糸やモップ用拭布等を保持するモップヘッドやガラス窓等の洗浄若しくは清掃や結露除去のためのワイパーヘッド等の清掃ヘッドの基部に着脱するための合成樹脂製の着脱体Pの上端部が嵌合固定されている。
【0044】
[2] 本発明の実施の形態を、上記以外の形態を含めて更に説明する。
【0045】
(1) 本発明の筒状部材連結構造は、筒状部材同士を直列状に連結する構造であり、清掃具の柄の他、各種機器・装置の柄、或いはその他の連結長尺体等に用いられ得る。
【0046】
本発明の筒状部材連結構造は、この連結構造により直列状に連結した2つの筒状部材の一方又は両方と、別の筒状部材との直列状連結についても、適用され得る。
【0047】
本発明の筒状部材連結構造を構成する部材としては、少なくとも、筒状部材、筒状部材の端部に連結される雄形連結端部、筒状部材の端部に内嵌固定される雌形連結端部を挙げることができ、必要に応じその他の部材を用い得る。
【0048】
(2) 本発明における筒状部材の断面形状は、全体として内周及び外周が同心円状であること、すなわち全体として円筒状をなすことが好ましいが、必ずしもこれに限るものではない。テーパ状内径部及びテーパ状外径部以外の内外周の断面形状の例としては、円形の他、正多角形を始めとする各種多角形やその他の形状を挙げることができる。
【0049】
また、本発明における筒状部材は、必ずしも全長にわたり中空状であることを要するものではなく、例えば一方の端部等が中実状であるものであってもよい。
【0050】
本発明における筒状部材は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄鋼、ステンレス鋼などの金属製であることが強度・剛性・耐久性等において好ましいが、これに限るものではない。また、筒状部材の一部や把手等として合成樹脂製の部材やその他の材料からなるものを用いることもできる。
【0051】
(3) 本発明の筒状部材連結構造において連結される筒状部材のうち、第1の筒状部材の一方の端部Xは、外径が先端側に向かってテーパ状に減少するテーパ状外径部を有する。
【0052】
テーパ状外径部は、第1の筒状部材の一方の端部Xの先端に至るものとすることができるが、必ずしもこれに限らず、先端には至らないもの(例えば先端近傍部は一定外径)とすることもできる。
【0053】
前記端部Xには、先端側に雄螺子部を備えてなる雄形連結端部の基端側部が(例えば端部Xが軸線方向に開口している場合にその開口部に内嵌されて固定されることにより)連結されている。
【0054】
テーパ状外径部と雄螺子部は同軸状に(すなわち、それぞれの軸線を共通にするように)形成されている。なお、テーパ状外径部を含む第1の筒状部材と雄螺子部が同軸状に形成されていることが好ましい。
【0055】
(4) 本発明の筒状部材連結構造において連結される筒状部材のうち、第2の筒状部材の一方の端部Yには、内径が先端側に向かって前記テーパ状外径部と同等の角度のテーパ状に増大するテーパ状内径部と、そのテーパ状内径部の基端側に設けられた雌螺子部を備えてなる雌形連結端部が内嵌固定されている。雌形連結端部の雌螺子部には、雄形連結端部の雄螺子部が螺合し得る。
【0056】
テーパ状内径部は、雌形連結端部の先端(開口端)に至るものとすることができるが、必ずしもこれに限らず、先端には至らないもの(例えば先端近傍部は一定外径)とすることもできる。
【0057】
テーパ状内径部と雌螺子部は同軸状に形成されている。なお、テーパ状内径部と雌螺子部と第2の筒状部材が同軸状に形成されていることが好ましい。
【0058】
また、第2の筒状部材の一方の端部Yは、内径(又は内外径)が先端側に向かって増大するテーパ状に形成されたものであることが好ましい。雌形連結端部の外径及びその雌形連結端部内のテーパ状内径部の内径を十分に大きい寸法とすることにより、対応するテーパ状外径部の外径も十分な寸法とし、第1の筒状部材と第2の筒状部材の連結を、より精度が良く連結強度の高いものとするためである。
【0059】
(5) 本発明における雄形連結端部及び雌形連結端部の両方又は一方は、その機能を発揮する上で十分な強度及び耐久性を備えた材料からなるものとすることができる。好ましくは合成樹脂製であり、その好ましい例としてポリオキシメチレン(POM)等のポリアセタールを挙げることができるが、これに限るものではない。
【0060】
(6) 第1の筒状部材の一方の端部Xの外周部のうち、少なくとも第2の筒状部材の一方の端部Yに内嵌固定された雌形連結端部の内周部と接する部分を構成する材料と、前記雌形連結端部の内周部のうち、少なくとも前記端部Xの外周部と接する部分を構成する材料は異なるものであることが望ましい。異なる材料の例としては、一方がアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鉄鋼等の金属で他方が合成樹脂の場合を挙げることができるが、これに限るものではない。
【0061】
第1の筒状部材の一方の端部Xの外周部(テーパ状外径部の外周部又はテーパ状外径部及びその他の部分の外周部)が、第2の筒状部材の一方の端部Yに内嵌固定された雌形連結端部の内周部(テーパ状内径部の内周部又はテーパ状内径部及びその他の部分の内周部)に挿入された状態で、両筒状部材が連結されるので、第1の筒状部材の一方の端部Xの外周部のうち、少なくとも第2の筒状部材の一方の端部Yに内嵌固定された雌形連結端部の内周部と接する部分を構成する材料と、前記雌形連結端部の内周部のうち、少なくとも前記端部Xの外周部と接する部分を構成する材料が異なるものであることにより、同一材料の部分同士が接する状態で両筒状部材の軸線まわりの相対的な回動による連結及び分離が行われること並びにそれによる不都合(例えば摩耗粉や摩耗粉による汚水の発生、摩耗による連結精度の低下等)を回避することができる。
【0062】
例えば、第1の筒状部材と第2の筒状部材はアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鉄鋼等の金属製であり、第2の筒状部材の一方の端部Yに内嵌固定された雌形連結端部はポリオキシメチレン又はその他の合成樹脂製であるものとすることにより、金属製である第1の筒状部材の一方の端部Xの外周部と、第2の筒状部材の一方の端部Yに内嵌固定された合成樹脂製の雌形連結端部の内周部が接する状態で両筒状部材が連結することとなる。
【0063】
この場合、第1の筒状部材と第2の筒状部材のように金属材料製の部材同士が接することによって、両筒状部材の軸線まわりの相対的な回動による連結時又は分離時に摩耗粉や摩耗粉による汚水が発生すること、摩耗による連結精度が低下すること等の不都合が生じることを、回避することができる。
【0064】
(7) 本発明の筒状部材連結構造は、テーパ状外径部を含む第1の筒状部材と雄螺子部が同軸状に形成されており、テーパ状内径部と雌螺子部と第2の筒状部材が同軸状に形成されていることが望ましい。
【0065】
これにより、第1の筒状部材の一方の端部Xにおけるテーパ状外径部と、第2の筒状部材の一方の端部Yに内嵌固定された雌形連結端部のテーパ状内径部が良好な精度で同軸状をなし、第1の筒状部材と第2の筒状部材が良好な精度で同軸状をなす状態で、直列状に確りと連結される。
【0066】
(8) 筒状部材は、外径が先端側に向かってテーパ状に減少するテーパ状外径部を有し、雄形連結端部の基端側部が連結された端部Xと、雌形連結端部が内嵌固定された端部Yを、一方の端部と他方の端部にそれぞれ有するものとすることができる他、一方の端部に端部X又は端部Yを有し、他方の端部は端部X及び端部Yの何れでもないもの(例えば把手部又は清掃ヘッド等を着脱し得る着脱体等)とすること、或いは、両方の端部が端部X又は端部Yの何れかであるものとすることもできる。
【0067】
(9) 本発明の連結用筒状部材は、上記筒状部材連結構造用の筒状部材であって、
一方の端部Xに、外径が先端側に向かってテーパ状に減少するテーパ状外径部を有し、
前記端部Xには、先端側に雄螺子部を備えてなる雄形連結端部の基端側部が連結され、
前記テーパ状外径部と雄螺子部は同軸状に形成されてなるものである。
【0068】
(10) 本発明の別の連結用筒状部材は、上記筒状部材連結構造用の筒状部材であって、
一方の端部Yに、内径が先端側に向かってテーパ状に増大するテーパ状内径部と、そのテーパ状内径部の基端側に設けられた雌螺子部とを備えてなる雌形連結端部が内嵌固定され、
前記テーパ状内径部と雌螺子部は同軸状に形成されてなるものである。
【0069】
(11) 上記(9)記載の連結用筒状部材は、他方の端部に関して上記(10)記載の連結用筒状部材であってもよく、上記(10)記載の連結用筒状部材は、他方の端部に関して上記(9)記載の連結用筒状部材であってもよい。
【0070】
(12) 本発明の筒状部材連結体は、上記筒状部材連結構造により連結された複数の筒状部材からなる。
【0071】
(13) 本発明の清掃具は、上記本発明の筒状部材連結体を柄として有するものである。
【符号の説明】
【0072】
A 筒状部材
A1 把手部
A2 把手部上端部
A3 貫通孔
AL 下端部
B 筒状部材
BL 下端部
BU 上端部
C 筒状部材
CL 下端部
CU 上端部
M 雄形連結端部
M1 雄螺子部
N 雌形連結端部
N1 テーパ状内径部
N2 雌螺子部
P 着脱体
S テーパ状外径部