(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】クリーニング機構、クリーニング装置、及びエア・コンディショナー
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0073 20190101AFI20220701BHJP
F24F 1/035 20190101ALI20220701BHJP
【FI】
F24F1/0073
F24F1/035
(21)【出願番号】P 2018504980
(86)(22)【出願日】2016-08-09
(86)【国際出願番号】 CN2016094155
(87)【国際公開番号】W WO2017028710
(87)【国際公開日】2017-02-23
【審査請求日】2019-08-09
(31)【優先権主張番号】201510500300.0
(32)【優先日】2015-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517441262
【氏名又は名称】グリー エレクトリック アプライアンス、インコーポレイテッド オブ チューハイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イー、チエビン
(72)【発明者】
【氏名】リャン、ジホイ
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-263984(JP,A)
【文献】特開昭49-049267(JP,A)
【文献】特開2006-322682(JP,A)
【文献】特開2007-025169(JP,A)
【文献】実開昭53-165567(JP,U)
【文献】国際公開第2006/051740(WO,A1)
【文献】特開2008-057846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0073、1/035、13/28
B01D 46/00-46/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルター・スクリーン及びクリーニング装置を備えるエア・コンディショナーであって、前記フィルター・スクリーンは、前記エア・コンディショナーの2つの隣接する表面に配置され、前記クリーニング装置は、駆動機構、及び前記フィルター・スクリーンから塵埃を除去するためのクリーニング機構を備え、
前記クリーニング機構は、塵埃吸引部材及び切換部材を備え、
前記塵埃吸引部材は、前記フィルター・スクリーンの被掃除面を横切るブラケット(7)として構成され、且つ前記ブラケット(7)の2つの端部に配置されたローラと前記被掃除面の両側に配置された摺動レールとの協働によって、前記フィルター・スクリーンの前記被掃除面に対して往復移動可能であって、前記塵埃吸引部材は、少なくとも2つの別々の塵埃吸引室(8)を備え、各塵埃吸引室(8)は、塵埃吸引口(11)を有し、前記塵埃吸引部材の移動方向に垂直である前記塵埃吸引室(8)の延伸方向において、前記被掃除面における前記塵埃吸引口(11)の突出長は前記被掃除面の長さよりも短く、前記塵埃吸引室(8)の各々はファンと連通し、前記切換部材は、前記ファンを前記塵埃吸引室(8)のうちの1つと選択的に連通させ、
前記駆動機構は、往復移動するように前記塵埃吸引部材を駆動させるように構成され、前記切換部材及び前記駆動機構は、前記2つの隣接する表面の少なくとも1つにおける前記フィルター・スクリーンの前記被掃除面を掃除するために、前記2つの隣接する表面の間の交差部分に設けられ、前記駆動機構、及び前記被掃除面の両側に配置された前記摺動レールは、前記切換部材及び前記ブラケット(7)
を支
持する、エア・コンディショナー。
【請求項2】
前記切換部材は、前記塵埃吸引室(8)と前記ファンとの間の前記塵埃吸引室(8)の出口に設けられている、請求項1に記載のエア・コンディショナー。
【請求項3】
前記切換部材は、駆動部及び回転部を備え、前記回転部には貫通孔が設けられ、前記回転部は前記駆動部の駆動作用に従って回転し、前記貫通孔の周方向位置は、前記ファンを前記塵埃吸引室(8)のうちの1つと選択的に連通させるように前記回転部の回転に伴って変化する、請求項2に記載のエア・コンディショナー。
【請求項4】
前記塵埃吸引部材における前記塵埃吸引口(11)は、前記塵埃吸引部材の移動の方向に対して直交する方向に配置されている、請求項1に記載のエア・コンディショナー。
【請求項5】
前記塵埃吸引部材の移動の方向に対して直交する方向において、前記塵埃吸引口(11)は、前記塵埃吸引部材の移動の間に前記被掃除面を完全に覆うように互いに重なり合う、請求項4に記載のエア・コンディショナー。
【請求項6】
前記塵埃吸引室(8)の内壁における屈曲部の表面は、前記屈曲部を通る塵埃吸引空気の流れ方向に接するように構成されている、請求項1に記載のエア・コンディショナー。
【請求項7】
前記切換部材と前記塵埃吸引室(8)の前記出口との間の第1の接続部における移行面は、前記第1の接続部を通る塵埃吸引空気の流れ方向に接するように構成され、前記切換部材と前記ファンとの間の第2の接続部における移行面は、前記第2の接続部を通る塵埃吸引空気の流れ方向に接するように構成されている、請求項2に記載のエア・コンディショナー。
【請求項8】
前記ブラケット(7)の前記被掃除面に隣接する側において、前記被掃除面における塵埃を掃除するためのブラシ(9)が設けられている、請求項1に記載のエア・コンディショナー。
【請求項9】
前記駆動機構は、ヘリカルギヤ(4)及びヘリカルラック(5)を備え、前記被掃除面に対する前記塵埃吸引部材の往復移動は、前記ヘリカルギヤ(4)と前記ヘリカルラック(5)との係合によって生じる、請求項1に記載のエア・コンディショナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、発明の名称が「クリーニング機構、クリーニング装置、及びエア・コンディショナー」である、2015年8月14日に中国国家知識産権局に出願された中国特許出願第201510500300.0号に対する優先権の利益を主張し、その全体の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、塵埃除去技術、特に、クリーニング機構、クリーニング装置、及びエア・コンディショナーに関連する。
【背景技術】
【0003】
エア・コンディショナーの従来の室内機においては、本体への塵埃の侵入を防止するためのエア・フィルターが、表面に付着した塵埃を除去するために自由に着脱可能であって掃除されるように、熱交換器の前面に設けられてフィルター・フレームに着脱可能に取り付けられる。
【0004】
先行技術において、エア・フィルターをフィルター・フレームから取り外す必要なく、エア・フィルターに付着した塵埃を自動的に除去することができる自動クリーニング装置もあるが、そのような装置は構造が複雑であって、作業安定性が悪く、部品の製造コストが高い。更に、それは、作業環境に対する過酷な要求を有し、全体的な信頼性に乏しく、洗浄効果を保証することが困難である。
【0005】
また、先行技術においては、エア・フィルターを自動的に掃除する機能を有するエア・コンディショナーがあって、エア・コンディショナーにおいて、駆動源に接続された駆動軸と、駆動軸に摺動可能に取り付けられ、吸引ノズルと共に摺動するウォームホイールと、ウォームホイールに係合したラックとが組み合わされて吸引ノズルを駆動する駆動機構を構成し、吸引ノズルにおける塵埃が排気ファンを介して吸引される。吸引ノズルは、所定の幅を有するフィルム状のベルトの中に形成されている。フィルム状のベルトの面積が比較的大きいために、エア・フィルターにはファンの吸引力に対する強い需要があって、塵埃除去効果は保証することが困難である。塵埃除去効果を向上させるためにファンの出力を高める場合には、ファンを駆動するためのモータが大型化し、それがエア・フィルター全体を大型化させ、その結果、エア・フィルターの小型化の要求を満足することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、被掃除体のためのクリーニング機構の塵埃除去効果を向上させるために、クリーニング機構、クリーニング装置、及びエア・コンディショナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本開示は、塵埃吸引部材及び切換部材を備える、被掃除体の塵埃を除去するためのクリーニング機構を提供し、塵埃吸引部材は、被掃除体の被掃除面に対して往復移動可能であって、塵埃吸引部材は、少なくとも2つの別々の塵埃吸引室を備え、各塵埃吸引室は、塵埃吸引口を有し、塵埃吸引室の延伸方向において、被掃除面における塵埃吸引口の突出長は被掃除面の長さよりも小さく、塵埃吸引室の各々はファンと連通し、切換部材は、ファンを塵埃吸引室のうちの1つと選択的に連通させる。
【0008】
更に、切換部材は、塵埃吸引室とファンとの間の塵埃吸引室の出口に設けられている。
【0009】
更に、切換部材は、駆動部及び回転部を備え、回転部には貫通孔が設けられ、回転部は駆動部の駆動作用に従って回転し、貫通孔の周方向位置は、ファンを塵埃吸引室のうちの1つと選択的に連通させるように回転部の回転に伴って変化する。
【0010】
更に、塵埃吸引部材は、被掃除面を横切るブラケットとして構成され、塵埃吸引室は、ブラケットに設けられ、ブラケットは、ブラケットの両端に配置されたローラと被掃除面の両側に配置された摺動レールとの協働によって往復移動する。
【0011】
更に、塵埃吸引部材における塵埃吸引口は、塵埃吸引部材の移動の方向に対して直交する方向に配置されている。
【0012】
更に、塵埃吸引部材の移動の方向に対して直交する方向において、塵埃吸引口は、塵埃吸引部材の移動の間に被掃除面を完全に覆うように互いに重なり合う。
【0013】
更に、塵埃吸引室の内壁における屈曲部の表面は、屈曲部を通る塵埃吸引空気の流れ方向に接するように構成されている。
【0014】
更に、切換部材と塵埃吸引室の出口との間の第1の接続部における移行面は、第1の接続部を通る塵埃吸引空気の流れ方向に接するように構成され、切換部材とファンとの間の第2の接続部における移行面は、第2の接続部を通る塵埃吸引空気の流れ方向に接するように構成されている。
【0015】
更に、ブラケットの被掃除面に隣接する側において、被掃除面における塵埃を掃除するためのブラシが設けられている。
【0016】
上記目的を達成するために、本開示は、駆動機構、及び上記クリーニング機構を備えるクリーニング装置を更に提供し、駆動機構は、被掃除面に対して往復移動するように塵埃吸引部材を駆動させる。
【0017】
更に、駆動機構は、ヘリカルギヤ及びヘリカルラックを備え、被掃除面に対する塵埃吸引部材の往復移動は、ヘリカルギヤとヘリカルラックとの係合によって生じる。
【0018】
上記目的を達成するために、本開示は、上記クリーニング機構、又は上記クリーニング装置を備えるエア・コンディショナーを更に提供し、被掃除体はエア・コンディショナーのフィルター・スクリーンである。
【0019】
更に、被掃除面は、エア・コンディショナーの2つの隣接する表面に設けられたフィルター・スクリーンの表面を含み、切換部材及び駆動機構は、2つの隣接する表面の少なくとも1つにおけるフィルター・スクリーンの表面を掃除するために、2つの隣接する表面の間の交差部分に設けられている。
【0020】
上の技術的解決策に基づいて、塵埃吸引部材が少なくとも2つの別々の塵埃吸引室を備える塵埃吸引部材及び切換部材の配置によって、クリーニング機構は、ファンと異なる塵埃吸引室との間の連通を切換部材によって切り換えることができ、塵埃吸引室の延伸方向において、被掃除面上の塵埃吸引室における塵埃吸引口の突出長は被掃除面の長さよりも小さく、被掃除面に対するクリーニング機構のクリーニング工程が領域毎に実行されることができ、同一期間に作動する塵埃吸引口の面積が減少し、それによって、同じファン動力の場合においてより良好な塵埃除去効果が達成される。
【0021】
ここで示される図面は、本開示の更なる理解を提供するためのものであって、従って、本出願の一部を構成する。本開示の例示的な実施形態及びその描写は、本開示を解釈するためのものであって、本開示の不適切な限定を構成するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示によるクリーニング機構の実施形態の構造の概略図である。
【
図2】本開示による駆動機構の実施形態の構造の概略図である。
【
図3】本開示による吸引室の実施形態の構造の概略図である。
【
図4】本開示によるエア・コンディショナーの実施形態の構造のグラフィック・モデルである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面において、1は被駆動ギヤ、2は駆動ギヤ、3は電気機械、4はヘリカルギヤ、5はヘリカルラック、6は回転軸、7はブラケット、8は塵埃吸引室、801は第1の室、802は第2の室、803は第1の出口、804は第2の出口、9はブラシ、10はエア・ダクト、11は塵埃吸引口である。
【0024】
次に、実施形態における技術的解決策が、本発明の実施形態における図面と組み合わせて、明確且つ完全に説明される。明らかに、説明される実施形態は、全ての実施形態ではなく、本開示の実施形態の一部に過ぎない。本開示の実施形態に基づいて、発明的な努力を伴わずに当業者によって取得された全ての他の実施形態が本開示の保護範囲に入る。
【0025】
本開示の説明において、図面に基づいた、用語「中心」、「横」、「縦」、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」によって示される方位関係又は位置関係は、言及されたデバイス又は要素が特定の方位を提示し、且つ、特定の方位で構築されて動作されなければならないことを示す、又は含むためではなく、本開示の説明を容易にし、説明を簡略化するために過ぎず、本開示の保護範囲を限定するものとして理解されることができないことは理解されよう。
【0026】
図1は、本開示の実施形態におけるクリーニング機構の概略構成図である。
図4を参照して、被掃除体の塵埃を除去するためのクリーニング機構は、塵埃吸引部材及び切換部材を備え、塵埃吸引部材は被掃除面に対して往復移動可能であって、塵埃吸引部材は少なくとも2つの別々の塵埃吸引室8を備え、各塵埃吸引室8は塵埃吸引口11を有し、塵埃吸引室8の延伸方向において、被掃除面上の塵埃吸引口11の突出長は被掃除面の長さよりも小さく、塵埃吸引室8の各々はファンと連通し、切換部材は、ファンを塵埃吸引室8のうちの1つと選択的に連通させ、塵埃吸引室8の延伸方向は、塵埃吸引室8の長さ方向である。
【0027】
上記実施形態においては、塵埃吸引部材が少なくとも2つの別々の塵埃吸引室を備える塵埃吸引部材及び切換部材の配置によって、クリーニング機構は、ファンと異なる塵埃吸引室との間の連通を切換部材によって切り換えることができ、塵埃吸引室の延伸方向において、被掃除面上の塵埃吸引室における塵埃吸引口の突出長は被掃除面の長さよりも小さく、被掃除面に対するクリーニング機構のクリーニング工程が領域毎に実行されることができ、同一期間に作動する塵埃吸引口の面積が減少し、それによって、同じファン動力の場合においてより良好な塵埃除去効果が達成される。
【0028】
特に、切換部材は、被掃除面の異なる位置に対応する塵埃吸引口11が設けられてもよい異なる塵埃吸引室にファンを対応させることができるので、切換部材は、クリーニング機構が被掃除面に対して区分化された掃除又は局所的な掃除を実行することを可能にし、塵埃吸引のためのファンが一定の動力を有する場合においては、塵埃吸引口11の面積が小さくなるほど塵埃吸引効果がより良好となる。従って、切換部材を採用することによって、各塵埃吸引口11の塵埃吸引効果がより良好となるように、作動状態にある塵埃吸引室の塵埃吸引口11の面積を小さくすることができ、その結果、クリーニング機構の全体的な塵埃吸引効果が向上する。
【0029】
塵埃吸引部材の移動の間にファンと連通する塵埃吸引室8を便宜的に選択するために、塵埃吸引室8とファンとの間の塵埃吸引室8の出口において切換部材が設けられている。すなわち、塵埃吸引室8の出口とエア・ダクト10の入口との間にファンから離れる方向の端部において切換部材が配置されて、被掃除面上の塵埃は、最初に塵埃吸引口11を通って塵埃吸引室8に入り、そして、切換部材を通ってエア・ダクト10に入り、最後にエア・ダクト10を通ってファンに入る。実施形態において、
図3に示されるように、塵埃吸引室8は、第1の室801及び第2の室802を含んでもよく、第1の室801には第1の出口803が設けられ、第2の室802には第2の出口804が設けられ、第1の出口803又は第2の出口804は、切換部材によってエア・ダクト10と連通するようになっている。
【0030】
切換部材が塵埃吸引室8の出口とエア・ダクト10の入口との間にファンから離れる方向の端部において設けられて、エア・ダクト10と塵埃吸引部材と共に切換部材を移動させることができ、すなわち、塵埃吸引部材は、それ自身によって切換部材を提供し、切換部材は、クリーニング機構が単一のエア・ダクトによって被掃除面を掃除することを可能にして、部品の数を低減し、部品間の干渉を低減し、設置スペースを節約する。
【0031】
好ましい実施形態においては、切換部材は、具体的には以下のように構成されてもよい。切換部材は、駆動部及び回転部を備え、回転部には貫通孔が設けられ、回転部は駆動部の駆動作用に従って回転し、貫通孔の周方向位置は、ファンを塵埃吸引室のうちの1つと選択的に連通させるように回転部の回転に伴って変化する。言い換えると、異なる位置への回転部の回転は、異なる塵埃吸引室8との連通を達成するために、貫通孔が異なる塵埃吸引室8に対応することを可能にする。
図3に示されるように、駆動部の駆動作用に従って回転部が第1の位置に回転すると、回転部の貫通孔は、第1の室801の第1の出口803と連通し、ファンは、第1の室801における塵埃吸引口11を通って塵埃を吸引し、第1の室801における塵埃吸引口に対応する被掃除面上の領域が完全に掃除された後、回転部は、回転部の貫通孔が第2の室802の第2の出口804と連通する第2の位置に回転し、ファンは、第2の室802の塵埃吸引口11を通って塵埃を吸引し、すなわち、第2の室802における塵埃吸引口に対応する被掃除面における領域を掃除する。このような切換部材は、構造が簡単であって、実装が容易である。
【0032】
2つ以上の塵埃吸引室8が採用されている場合には、本開示のクリーニング機構は、被掃除面の区分化された掃除を実現するために、依然として1つのエア・ダクトのみを使用することができ、切換部材の構造を変更するだけでよく、他の構造を変更する必要はない。例えば、回転部の貫通孔の数は、貫通孔と塵埃吸引室8との間の対応する位置関係を満足するように変更されてもよい。
【0033】
具体的には、駆動部が、電気機械3、又は例えば、小型エンジン、モータ、オイルシリンダー、ガスシリンダー、等の動力部であってもよい。回転部は、1つのギヤ、又は被駆動ギヤ1と駆動ギヤ2とが互いに協働する2つのギヤであってもよい。別の実施形態においては、被駆動ギヤ1はまたカムであってもよい。良好な移動安定性を有し、切換部材により良好な塵埃吸引効果を与える、ギヤ・トランスミッションによる切換部材を採用することが好ましい。
【0034】
別の好ましい実施形態においては、塵埃吸引部材は、具体的には以下のように構成されてもよい。
図1に示されるように、塵埃吸引部材は、被掃除面を横切るブラケット7として構成され、塵埃吸引室8はブラケット7に設けられ、駆動機構の駆動に従って、ブラケット7は、ブラケット7の両端に配置されたローラと被掃除面の両側に配置された摺動レールとの協働によって往復移動する。ブラケット7は被掃除面上に及び、被掃除面上のブラケット7の高さは、塵埃吸引の効率を保証するために、ファンの動力に応じて決定されることができる。ブラケット7の両端には、被掃除部材のフレーム上の摺動レールと協働し、駆動機構の駆動作用に従って移動するローラが設けられている。
【0035】
図1に示されるようなクリーニング機構においては、少なくとも2つの塵埃吸引室8が設けられ、塵埃吸引室8の各々は、そこに塵埃吸引口11を備え、それが主に作用することによって、被掃除面における塵埃は、ファンの吸引作用に従って、塵埃吸引口11を通って塵埃吸引室の中に流入し、それからファンと接続されたエア・ダクト10の中に吸引され、最後にファンの中に供給されて、被掃除面の掃除が実現される。
【0036】
塵埃吸引部材8の各々における塵埃吸引口11の配置は、塵埃吸引口11を通ってファンの中に塵埃が吸引されることを可能にすることができる限り、柔軟に選択されてもよい。例えば、塵埃吸引口11は、塵埃吸引部材の移動の方向に配置されてもよく、すなわち、塵埃吸引口11の長辺の方向は、塵埃吸引部材の移動の方向と平行である。勿論、塵埃吸引口11の長辺の方向はまた、塵埃吸引部材の移動の方向と直交していてもよいし、塵埃吸引部材の移動の方向に対してある角度を有していてもよい。
【0037】
好ましくは、塵埃吸引部材の塵埃吸引口11の各々は、塵埃吸引部材の移動の方向と直交する方向に配置されている。このように、被掃除面における所定の領域を掃除する際に、塵埃吸引部材の移動方向と直交する方向に配置された塵埃吸引口は最小の面積を有し、それによって、ファンの動力が節約され、良好な塵埃吸引効果が達成される。
【0038】
また、塵埃吸引口11の形状は、柔軟に選択されてもよい。塵埃吸引口11は、細長い長方形のスリットに限定されず、楕円形、円形、正方形、又はさもなければ不規則な形状であってもよい。塵埃吸引口11の数も限定されず、1つ以上の塵埃吸引口11が存在してもよい。塵埃吸引口11は、連続的に設けられてもよいし、離散的に設けられてもよい。例えば、塵埃吸引口11は、1つの細長い長方形のスリットであってもよいし、複数の離散の小円形の孔であってもよい。好ましくは、複数の離散の小円形の孔は、それらの全長方向が塵埃吸引部材の移動の方向に直交するように構成されている。更に、塵埃吸引口11の幅は、ファンの吸引力によって決定されてもよく、一般的には5mm以下である。
【0039】
塵埃吸引効果を更に向上させ、被掃除面を包括的に掃除するために、塵埃吸引口11は、塵埃吸引部材の移動の間に被掃除面を完全に覆うように塵埃吸引部材の移動の方向に対して直交する方向において互いに重なり合う。すなわち、全ての塵埃吸引室8における全ての塵埃吸引口11は、塵埃吸引部材の移動工程において被掃除面全体を覆うことができる。
図4に示されるように、塵埃吸引口11は、千鳥配置されていてもよいし、各塵埃吸引口11に対応する被掃除面における領域は、死角のない包括的な掃除を実現するように重なり合う。
【0040】
実施形態における塵埃吸引室8の具体的な構造は、
図3に示される通りである。塵埃吸引室8は、複数のプレートで形成されてもよい。好ましくは、塵埃吸引室8の内壁における屈曲部の表面は、屈曲部を通る、すなわち塵埃吸引室8において曲げられ、又は継ぎ合わされた全ての位置において、塵埃吸引空気の流れ方向に接するように構成されており、その表面は、塵埃吸引空気ができるだけ円滑に流れることを可能にし、塵埃吸引空気が塵埃吸引室8において渦流を発生させることを防止するように、そこを通る塵埃吸引空気の流れ方向に接するように設計され、塵埃吸引部材の振動を低減し、振動による損傷を防止し、同時にクリーニング機構の内部騒音を低減することができる。
【0041】
更に、切換部材と塵埃吸引室8の出口との間の第1の接続部における移行面は、第1の接続部を通る塵埃吸引空気の流れ方向に接するように構成されており、切換部材とエア・ダクト10との間の第2の接続部における移行面は、第2の接続部を通る塵埃吸引空気の流れ方向に接するように構成されている。これは主に、塵埃吸引空気が移行部において振動を発生させることを防止し、それによって、クリーニング機構の内部騒音を低減し、塵埃吸引部材の振動を低減し、振動によって関連部材が破損することを防止するために、塵埃吸引空気が、塵埃吸引室8から切換部材を通ってエア・ダクト10に流れる工程でできるだけ円滑に移行部を通過することを可能にすることを意図している。
【0042】
塵埃除去効果を更に向上させるために、ブラケット7の被掃除面に近い側に、被掃除面における塵埃を掃除するためのブラシ9が設けられている。ブラシ9は、塵埃が被掃除部材からより容易に吸引されることができるように被掃除部材における塵埃を払いのけるために、ブラケット7の底部に配置されてもよい。
【0043】
上記実施形態の各々におけるクリーニング機構は、被掃除面を掃除する必要性がある限り、異なる装置に適用されることができる。例えば、煙草乾燥機、衣類乾燥機、又はエア・フィルター、等に適用されることができる。
【0044】
上に説明されたようなクリーニング機構に基づいて、本開示はまた、上記実施形態の各々におけるクリーニング機構、及び被掃除面に対して往復移動させるように塵埃吸引部材を駆動させるための駆動機構を備えるクリーニング装置を提供する。
【0045】
図2に示されるように、駆動機構は、ヘリカルギヤ4及びヘリカルラック5を備えてもよく、被掃除面に対する塵埃吸引部材の往復移動は、ヘリカルギヤ4のヘリカルラック5との係合によって生じる。特に、駆動機構は、動力部品と、被掃除部材の両端に設置された回転軸6と、回転軸6の軸線方向に配置されたヘリカルラック5と、回転軸6に嵌合されたヘリカルギヤ4とを備え、被掃除部材側に、回転軸6を回転駆動してヘリカルギヤ4を回転させるために使用される動力部品が配置され、ヘリカルギヤ4の回転が、ヘリカルギヤ4のヘリカルラック5との係合によって回転軸6の軸線方向におけるヘリカルラック5の移動に変換されて、塵埃吸引部材は、ヘリカルラック5によって回転軸6の軸線方向において移動するように駆動される。
【0046】
動力部品は、電気機械、エンジン、又はギヤボックス、等であってもよい。動力部品は、動力部品と他の移動機構との間の干渉を防止することができ、可能な限り他の移動部品のための設置スペースを提供することができる、被掃除部材側に設けられる。回転軸の材料は、必要に応じて選択されることができる。別の実施形態においては、塵埃吸引部材が移動するように駆動する駆動機構はまた、ナイロンのロープ・アンド・プーリー・トランスミッション、ベルト・トランスミッション、又は他の柔軟なトランスミッション・モード、等の柔軟なトランスミッションを採用してもよく、駆動機構はまた、ウォーム・アンド・ギヤ・トランスミッション、等の他の剛性のトランスミッション・モードを採用してもよい。柔軟なトランスミッション・モードのための部品は、構造が簡単で、実装が容易である。剛性のトランスミッション・モードは、高い安定性を有する。トランスミッションのためにヘリカルギヤ及びヘリカルラックを使用する実施形態において、ヘリカルギヤはポリオキシメチレン(POM)で製造されることができ、ヘリカルラックはポリアミド66(PA66)で製造されてもよく、ヘリカルギヤとヘリカルラックとは共に円滑な歯面を有することが保証される。ヘリカルギヤ及びヘリカルラックは自己潤滑性を有し、機構係合タイプは直線係合であるため、実際の作動工程においては潤滑油を添加する必要がないので、塵埃は潤滑油で円滑な係合歯面に留まらず、歯面の耐摩耗性は大幅に向上し、それによって、トランスミッション機構の寿命及び安定が保証される。ヘリカルギヤ及びヘリカルラックは、良好な運転安定性及び高い信頼性を有する。
【0047】
上で説明されたようなクリーニング装置に基づいて、本開示はまた、被掃除部材がエア・コンディショナーのフィルター・スクリーンである、上記実施形態の各々におけるクリーニング装置を備えるエア・コンディショナーを提供する。
【0048】
エア・コンディショナーとは別に、本開示の上記実施形態の各々におけるクリーニング装置は、他の産業的又は機械的装置、例えば、煙草乾燥機、衣類乾燥機、エア・フィルター、等に適用されることができる。
【0049】
エア・コンディショナーのために、被掃除面は、エア・コンディショナーの2つの隣接する表面に設けられたフィルター・スクリーンの表面を含み、切換部材及び駆動機構は、2つの隣接する表面の少なくとも1つにおいてフィルター・スクリーンの表面を掃除することができるように、2つの隣接する表面の間の交差部分に設けられている。すなわち、エア・コンディショナーの底面と側面との両方にフィルター・スクリーンが設けられることができ、上記自動クリーニング装置は、2つの面におけるフィルター・スクリーンを同時に清掃することができる。ブラケット7は、2つの面におけるフィルター・スクリーン上に及び、切換部材及びエア・ダクト10の入口は、2つの面の間の交差部分に配置され、塵埃吸引室は、2つの面上のブラケットにおいて別々に設けられることができる。これによって、駆動機構はまた、切換部材及びブラケットのための支持を形成することができ、フィルター・スクリーンのフレームにおいて摺動レールを追加することによって、三角形の支持体が形成されて、自動クリーニング装置のより高い取り付け安定性を可能にし、振動を発生しにくくし、装置の寿命を向上させる。
【0050】
エア・コンディショナーに適用される際の本開示の自動クリーニング装置の作動工程が、
図1~
図4を参照して説明される(
図4は、フィルター・スクリーンが除去されたエア・コンディショナーの斜視構成図である)。
【0051】
自動クリーニング装置はブラケット7を備え、ブラケット7は、ブラケット7の中に2つの塵埃吸引室8、すなわち第1の室801及び第2の室802を備え、第1の室801は第1の出口803を備え、第2の室802は第2の出口804を備え、切換部材は、塵埃吸引室8の出口とファンから離れる方向の端部におけるエア・ダクト10の入口との間に配置され、切換部材において、被駆動ギヤ1には貫通孔が設けられる。駆動ギヤ2が電気機械3によって駆動されて被駆動ギヤ1が第1の位置に回転すると、被駆動ギヤ1における貫通孔は第1の出口803と連通し、フィルター・スクリーンにおける塵埃は、第1の室801における塵埃吸引口11を通って第1の室801の中に入り、それから、第1の出口803及び貫通孔を通ってエア・ダクト10に中に入り、最後にファンによって運び去られる。自動クリーニング装置がフィルター・スクリーンの一方の側から他方の側に移動する際、第1の室801における塵埃吸引口に対応する位置のフィルター・スクリーンにおける塵埃を完全に掃除するために、ブラケット7は初期移動位置に戻されてもよいし、初期移動位置に戻さずに直接切換工程に移行させてもよく、その工程において、駆動ギヤ2が電気機械3によって駆動されて被駆動ギヤ1が第2の位置に回転し、このとき、被駆動ギヤ1における貫通孔は第2の出口804と連通し、フィルター・スクリーンにおける塵埃は、第2の室802における塵埃吸引口11を通って第2の室802の中に入り、それから、第2の出口804及び貫通孔を通ってエア・ダクト10の中に入り、最後にファンによって運び去られる。
【0052】
この工程において、フィルター・スクリーン側におけるギヤボックスの駆動作用に従って、フィルター・スクリーンのフレームに取り付けられた回転軸6が回転し、回転軸6に嵌合されたヘリカルギヤ4を回転させてもよい。ヘリカルギヤ4がヘリカルラック5と係合すると、ヘリカルラック5は、回転軸6に沿って軸線方向に移動し、その間に回転軸6に沿って軸線方向に移動するようにブラケット7を駆動させて、ファンから離れる方向のエア・ダクト10の端部はまたブラケット7と共に回転軸6に沿って軸線方向に移動するので、フィルター・スクリーンの異なる位置における塵埃はファンによって運び去られることができる。ブラケット7の底部に設けられたブラシ9は、塵埃をファンによってより容易に吸引させることができる。
【0053】
図4に示されるように、ファン、及び回転するように回転軸6を回転させるためのギヤボックスは、共に本明細書において省略されており、且つ、図面において示されていない。ファンは、
図4に示されるように、エア・ダクト10の端部に、すなわちフィルター・スクリーンのフレームの左端に配置されてもよく、一方で、ギヤボックスは、ファン及びギヤボックスの両方をより大きな設置スペースで提供するために、ファンとは反対側に配置されてもよい。
【0054】
本開示の実施形態におけるクリーニング機構、クリーニング装置、及びエア・コンディショナーは、本開示のクリーニング機構、クリーニング装置、及びエア・コンディショナーの実施形態を説明することによって、少なくとも1つ以上の以下の利点を有することが理解されよう。
【0055】
1.切換部材の採用は、クリーニング工程がセグメント毎に実行されることを可能にして、作動状態において塵埃吸引口の面積を低減し、それによって、塵埃吸引効果を向上させる。
【0056】
2.切換部材は、ギヤ・トランスミッションを採用し、その結果、構造が簡単であって、より安定して確実に切り換えることができる。
【0057】
3.駆動機構は、簡単な構造を有し、潤滑油を必要とせず、従って、塵埃が潤滑油による円滑な係合歯面に残ることを防止する、ヘリカルギヤ及びヘリカルラックによるトランスミッションを実現して、係合歯面の耐摩耗性を大幅に向上させ、トランスミッション機構の寿命及び安定性を保証する。ヘリカルギヤ及びヘリカルラックは、高い運転安定性及び信頼性を有する。
【0058】
最後に、上記実施形態は、本開示の技術的解決策を限定するのではなく説明するためにのみ使用されていることが明確にされるべきである。好ましい実施形態を参照することによって本開示に対して詳細な説明がなされているが、本開示の実施形態に対する変更が行われ、又は技術的特徴の一部に同等の置き換えが行われることが依然として可能であることは当業者であれば理解されるべきである。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、それらはすべて、本開示において保護が求められる技術的解決策の範囲に含まれるべきである。