(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】4DイメージングのためのマルチビームX線露光のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/02 20060101AFI20220701BHJP
H05G 1/70 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
A61B6/02 300A
H05G1/70 B
(21)【出願番号】P 2018556999
(86)(22)【出願日】2017-05-12
(86)【国際出願番号】 EP2017061421
(87)【国際公開番号】W WO2017194727
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-05-01
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】フォフトメイエール ヘレオン
(72)【発明者】
【氏名】エンゲル クラウス ユールゲン
(72)【発明者】
【氏名】グラス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】メンセル ベルンド
(72)【発明者】
【氏名】スタインハウザー ハイドルン
(72)【発明者】
【氏名】ファッジ アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ステヘハイウス ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】スカーフェル ディルク
【審査官】宮川 数正
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-075620(JP,A)
【文献】特開2013-248125(JP,A)
【文献】特開2003-052680(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0039532(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0135550(US,A1)
【文献】米国特許第07396162(US,B1)
【文献】特開2005-261838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の放射線源と、
放射線検出器と
を有するシステムであって、
前記放射線源の各々は、前記検出器のサブエリア上に放射線を放出するように配置され、
前記複数の放射線源のうちの放射線源の第1のグループは、前記検出器のサブエリアの第1のパターン上に放射線を同時に放出し、前記第1のパターンの前記サブエリアは互いにオーバラップせず、
前記複数の放射線源のうちの放射線源の第2のグループは、前記検出器のサブエリアの第2のパターン上に放射線を同時に放出し、前記第2のパターンの前記サブエリアは互いにオーバラップせず、
前記放射線源が、第1の方向及び第2の方向に延在するマトリックス内に配置され、前記第1のグループの放射線源及び前記第2のグループの放射線源は、前記第1の方向及び前記第2の方向において交互に配置され、
前記第1のパターンの前記サブエリアは、前記第2のパターンの前記サブエリアにオーバラップする、
システム。
【請求項2】
前記放射線源の前記第1のグループと前記第2のグループとの間のシーケンシャルなスイッチングが実行される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記放射線源のグループからの放射線放出のスイッチングシーケンスを制御するように構成される制御ユニットをさらに有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の放射線源は、主放射線方向を規定し、前記複数の放射線源の少なくとも1つの放射線源は、前記放射線源の前記放射線方向が前記主放射線方向に対して50°までの角度で傾斜する、請求項1乃至
3の何れか一項に記載のシステム。
【請求項5】
異なる放射線源に異なる電圧を提供する複数の高電圧発生器ユニット及び/又は高速kVスイッチングを提供する手段をさらに有する、請求項1乃至
4の何れか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記放射線検出器に散乱防止グリッドをさらに有する、請求項1乃至
5の何れか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記放射線源の前記グループの放射線の前記放出をシーケンシャルに制御するように構成される制御ユニットをさらに有する、請求項1乃至
6の何れか一項に記載のシステム。
【請求項8】
放射線源の第1のグループから放射線を同時に放出するステップと、
前記検出器のサブエリアの第1のパターン上における前記放出される放射線を検出するステップであって、前記第1のパターンの前記サブエリアは互いにオーバラップしない、ステップと、
放射線源の第2のグループから放射線を同時に放出するステップと、
前記検出器のサブエリアの第2のパターン上における前記放出される放射線を検出するステップであって、前記第2のパターンの前記サブエリアは互いにオーバラップしない、ステップと
を有し、前記放射線源が、第1の方向及び第2の方向に延在するマトリックス内に配置され、前記第1のグループの放射線源及び前記第2のグループの放射線源は、前記第1の方向及び前記第2の方向において交互に配置され、前記第1のパターンの前記サブエリアは、前記第2のパターンの前記サブエリアにオーバラップする、請求項1に記載のシステムを使用する方法。
【請求項9】
前記第1のパターンの全てのサブエリアで検出される前記放射線に基づいて第1の画像を再構成するステップと、前記第2のパターンのすべてのサブエリアで検出される前記放射線に基づいて第2の画像を再構成するステップとをさらに有する、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
スペクトル分解のために異なる放射線源に異なる高電圧を供給するステップをさらに有する、請求項
8又は
9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のグループ及び前記第2のグループから放射線を放出する前記ステップが、スイッチングシーケンスで30ms以内に実行される、請求項
8乃至
10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも2つの放射線源の前記検出される放射線に基づいて3D画像情報を再構成する前記ステップをさらに有し、第1の放射線源の第1の放射線方向は第2の放射線源の第2の放射線方向に対して傾斜する、請求項
8乃至
11の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、4DイメージングのためのマルチビームX線露光のためのシステム及び方法に関する。特に、本発明は、第1の次元での高速スイッチングと第2の次元における同時の露光を適用することによって、心臓学における4DイメージングのためのマルチビームX線露光のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
介入プロシージャのために、2次元アレイの放射線源が同時に大きな検出器に照射するX線撮像構成を提供することができる。このような構成では、検出器の必要なサイズが問題となる可能性があり、さらに、この方法は交差散乱を受ける。さもなければ、従来のCアームX線システムが介入プロシージャに使用されてきた。しかしながら、Cアームは患者とテーブルの隣にかなりのスペースを必要とするかさばる装置である。特に、3Dスキャンを行う場合、患者へのアクセスは不可能であり、機器はCアームの動作範囲外に配置されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の問題に鑑み、本発明の目的は、上記の問題を解決するか、又は少なくともこれらの問題を緩和することである。
【0004】
これら及びさらなる目的は、それぞれの独立請求項の主題によって解決される。更なる実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0005】
一般に、単純化された介入X線システムが、特に経皮的冠動脈介入(PCI)及び他の最小侵襲心臓プロシージャのために提案されている。システムは、患者テーブルの下に配置されたマルチX線源ユニットを含むことができる。この「マルチブロック」は、x-y(テーブル)平面に沿って分布した焦点スポット位置を有するいくつかのX線源を含むことができる。 X線源は、「ハイブリッド」スイッチング方式で動作可能であり、グループを規定する特定のX線源を同時に起動することができ、また、そのようなグループ間のシーケンシャルスイッチングを実行することができる。言い換えれば、単一のグループに属する源は同時に活性化されるが、異なるグループに属する源は交互に活性化される。
【0006】
スイッチングは異なる投影角度を備える複数の画像が同時に取得されるように実行されてもよい。言い換えれば、最適なマルチビームX線露光が提案されており、1次元での高速スイッチングと2次元での同時露光が適用される。このようにして、角度ビューの数はスイッチングディメンションにおいて拡大されることができ、交差散乱及び検出器のサイズは制限されることができ、同時露光の利点がほとんど維持される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、システムは、複数の放射線源と、放射線検出器とを備え、各放射線源は、検出器のサブエリア上に放射線を放射するように配置される。複数の放射線源のうち放射線源の第1のグループは、検出器のサブエリアの第1のパターン上に放射線を同時に放射するように構成され、複数の放射線源のうちの放射線源の第2のグループは、検出器のサブエリアの第2のパターン上に放射線を同時に放射するように構成される。第1のパターンのサブエリアは、第2のパターンのサブエリアと重複する。一方、1つのパターン内のサブエリアは、互いに重なり合わない。
【0008】
放射線検出器は、複数のサブエリアを画定する単一の検出器であってもよいが、複数の検出器の組み合わせであってもよく、すなわち複数の部分から構成されてもよい。さらに、サブエリアは、検出器のそれぞれの部分によって規定されても、されなくてもよい。
【0009】
一実施形態によれば、システムの放射線源は、第1の方向及び第2の方向に延在するマトリックス内に構成されてもよい。特に、第1及び第2の方向は、検出器から放射線源のマトリクス上に見たときに、見られることができる。このようなビューにおいて、放射線源の第1のグループの放射線源は、実質的にマトリックスの第1の方向に沿って配置されてもよい。第1の方向は、第2の方向に対して垂直に配向されてもよいが、第1の方向及び第2の方向は、互いに対して90°以外の角度を有してもよい。
【0010】
一実施形態によれば、放射線源の第2のグループの放射線源は、放射線源の第1のグループのように、マトリックスの第1の方向に実質的に沿って配置されてもよい。しかしながら、放射線源の第2のグループの放射線源は、放射線源の第1のグループの放射線源から第2の方向にある距離を置いて配置されてもよい。
【0011】
別の実施形態によれば、複数の放射線源は、放射線源の複数のグループを含む。所謂第1及び第2のグループの他に、放射線源の少なくとも1つの更なるグループが、検出器のサブエリアの更なるパターン上に放射線を放射することができ、更なるパターンのサブエリアは、サブエリアの他のパターンの少なくとも1つのサブエリアに重なる。したがって、放射線源の4つ又は5つのグループを有する実施形態では、サブエリアのそれぞれのパターンの各々のサブエリアは互いに重なり合わず、異なるグループのサブエリアは重なることができる。放射線パターンのシーケンスにおける検出器のエリアの繰り返しの利用は、比較的小さな検出器を可能にする。
【0012】
一実施形態によれば、複数の放射線源は主放射線方向を規定し、複数の放射線源の少なくとも1つの放射線源は、その放射線源の放射線方向が主放射線方向に対して傾斜するように配置される。放射線源の放射線方向は、50°までの角度で主放射線方向に対して傾斜していてもよい。傾斜放射線源を有することにより、放射線源のアレイを備えるマルチブロックを動かすことなく、異なる角度から体内の関心領域を通して投影画像を生成することが可能になる。例えば、第1の放射線方向は右側から45°傾けられ、第2の放射線方向は左側から45°傾けられるので、互いに直交する放射線方向を有する2つの画像を提供することができる。放射線方向が互いに対して傾斜している画像を利用して、関心領域の3D画像を生成することができる。
【0013】
さらなる実施形態によれば、システムは、異なる放射線源に異なる電圧を提供するように構成された複数の高電圧発生器ユニットを有する。発生器ユニットによって供給される高電圧は、例えばスペクトル分解のために追加の画像情報を提供する画像が生成されるように制御可能であってもよい。また、高速kVスイッチングのための手段が含まれてもよい。
【0014】
さらに、システムは、放射線検出器に散乱防止グリッドを有することができる。サブエリアの意図された分布に依存して、散乱防止グリッドは例えば、1つのパターンのサブエリアが重ならないように、サブエリアの互いのより良い分離を提供するように配置されることができる。
【0015】
さらなる実施形態によれば、検出器は、120fps(フレーム/秒)まで処理するように構成されることができる。毎秒高いフレーム数を処理するように構成された検出器は、サブエリアの異なる放射線パターンの間の高速スイッチングを可能にする。その結果、例えば鼓動する心臓のイメージングを考慮する場合、ほぼ心拍の単相の間に異なる方向から生成された画像を提供することが可能である。
【0016】
システムは、放射線源のグループからの放射線放出のスイッチングシーケンスを制御するように構成される制御ユニットをさらに有してもよい。放射線放出のシーケンスは、第1グループ、第2グループ、及び随意に第3グループ乃至第nグループのような反復シーケンスであってもよい。放射線放出のシーケンスは、X線源の5つのグループを有する例における第1グループ、第3グループ、第4グループ、第2グループ、第2グループ、第5グループのような、グループの随意のシーケンスであってもよい。 1つのグループ内の放射線源から発生する放射線の放射線パターンの検出器サブエリアは互いに重なり合わず、実際のシーケンスは、放射線源の1つのグループを形成する各放射線源の位置及び方向に基づいて定義されることができる。検出器は、一方向に複数のセクションに分割されてもよく、各セクション内では、複数のサブエリアが他の方向に規定されてもよく、サブエリアは互いに重なり合い、放射線は放射線源の異なるグループの放射線源から放射される。
【0017】
別の態様によれば、上記のようなシステムを使用する方法は、第1グループの放射線源から同時に放射線を放出するステップと、検出器のサブエリアの第1パターン上で放出放射線を検出するステップと、第2のグループの放射線源から同時に放射線を放出するステップと、検出器のサブエリアの第2のパターン上で放出放射線を検出するステップとを有し、第1のパターンのサブエリアは第2のパターンのサブエリアに重なる。
【0018】
一実施形態によれば、この方法は、第1のパターンのサブエリアの少なくとも1つにおいて検出される放射線に基づいて第1の画像を再構成するステップと、第2のパターンのサブエリアの少なくとも1つにおいて検出される放射線に基づいて第2の画像を再構成するステップを更に有する。
【0019】
別の実施形態によれば、この方法は、異なる放射線源に異なる高電圧を提供するステップをさらに有することができる。これにより、スペクトル分解が可能になる。電圧に依存して、放射線源は多かれ少なかれ放射線を放射し、放射線の量に依存して、関心本体の特定の構造を可視化することができる。したがって、異なる構造の視覚化をほぼ同時に、すなわち異なる電圧で動作する異なる放射線源間の高速スイッチングによって可能にする画像を生成することができる。
【0020】
一実施形態によれば、第1のグループから放射線を放射するステップと第2のグループから放射線を放射するステップとの間のスイッチングは、30ミリ秒以内に、好ましくは16ミリ秒以内に、又はさらに速く実行され得る。
【0021】
互いに対して傾けられた方向から生成される画像に基づいて、3D画像が生成されてもよい。
【0022】
本発明の上述の態様及びさらなる態様、特徴及び利点は、以下に記載される実施形態の例から導かれ、実施形態の例を参照して説明されてもよい。本発明は、以下の実施例を参照してより詳細に説明されるが、本発明はこれらに限定されない。上記の実施形態は、特定の特徴及び異なる特徴に基づいて説明され、それらの特徴の組み合わせ、すなわちこれらの実施形態の利点も有益であり得ることに特に注意される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1の視線方向からのシステムの第1の実施形態の態様を示す。
【
図2】第1の実施形態の態様を第2の視線方向から示している。
【
図3a】放射線源の2つのグループを形成する9つの放射線源に基づく2つの放射線パターンのシーケンスの第1の例を示す。
【
図3b】放射線源の2つのグループを形成する9つの放射線源に基づく2つの放射線パターンのシーケンスの第1の他の例を示す。
【
図4a】放射線源の2つのグループを形成する9つの放射線源に基づく2つの放射線パターンのシーケンスの第2の例を示す。
【
図4b】放射線源の2つのグループを形成する9つの放射線源に基づく2つの放射線パターンのシーケンスの第2の他の例を示す。
【
図5】第1の視線方向からのシステムの第2の実施形態の態様を示す。
【
図6】第2の視野方向からの第2の実施形態の態様を示す。
【
図7】放射線パターンのシーケンスの例の一般的な態様を示す。
【
図9】システムの第4の実施形態の態様を示す。 図面の図は、概略的なものに過ぎず、一定の縮尺ではない。必要に応じて、同様の要素には異なる図面で同じ参照符号が付されていることに留意される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1及び
図2は、第1の実施形態によるシステムの態様を示す。このシステムは、
図1に示す放射線源X1、X2及びX3と、
図2に示す放射線源1Y、2Y及び3Yと、検出器20とを有するマルチブロック10を備える。放射線源のアレイは、平坦であり、すなわち1つの平面内にある。
【0025】
図1は、患者テーブル30の長手方向を横断する平面内のスライスを示す。このスライスでは、3つの放射線源X1、X2及びX3が並んで存在する。放射線源X1は、患者を通って患者テーブル30の下の左側から、及び検出器20の表面の右側に放射線を放射するように傾斜している。放射線源X1の放射線方向は、左前斜位(LAO)として示すことができる。放射線源X3も放射線源X1の反対側に傾斜しており、患者を通って患者テーブル30の下の右側から、及び検出器20の表面の左側に放射線を放射する。放射線源X3の放射線方向は、右前斜位(RAO)として示すことができる。放射線源X2は、患者テーブル30の真下に位置し、検出器表面に垂直な放射線方向の放射線を放射する。
【0026】
実施形態に関連して、主放射線方向は、複数の放射線源の放射線方向に基づいて、すべての放射線方向の平均として定義することができる。例えば、
図1では、放射線源X2の放射線方向は垂直であるが、放射線源X3の放射線方向は、放射線源X2の放射線方向に対して角度「a」で傾斜している。一方、放射線源X1の放射線方向は、放射線源X2の放射線方向に対して考慮した場合、放射線源X3の放射線方向とは反対方向に傾斜している。この例では、放射線方向の平均又は中央値は、放射線源X2の放射線方向に平行な主方向として見ることができる。代わりに、放射線方向をベクトルと見なしてもよく、主方向を形成するベクトルは、すべての放射線源のすべてのベクトルの合計として計算される。
【0027】
図1から分かるように、検出器20は、長さd1の患者テーブル30の長手方向を横切る方向に延在する。
図2から分かるように、検出器20は、長さd1と異なる長さd2を備える患者テーブル30の長手方向に延在する。
図1及び
図2の例では、長さd2は長さd1より小さい。
【0028】
図2は、第1の実施形態によるシステム上、及び患者テーブル30の側の側面図を示している。放射線源1Y、2Y、3Y、及び検出器20のマルチブロック10の向きは、それぞれ、患者の頭部及び足部への方向を示す用語「頭部側」及び「尾側」によって示される。放射線源2Yは、マルチブロック10の中央に配置され、この放射線源の放射線方向は、患者テーブル30及び検出器20の表面に垂直である。放射線源1Yは、放射線源2Yに対してオフセット配置されており、この放射線源の放射線方向は放射線源2Yの放射線の方向に対して傾斜している。他方では、放射線源3Yは、傾斜放射線方向で配置されており、放射線源3Yの放射線方向は、放射線源2Yの放射線方向に対して角度「b」だけ傾斜して示されている。
【0029】
図1及び
図2の放射線源のそれぞれは、円錐角を有するそれぞれの放射線を放射し、すなわち、放射線は平行ビームとしてではなく、ある程度開くので、放射線に曝される検出器表面上のサブエリアが放射線源での実際の開口よりも大きくなる。シャッタ要素は、放射ファンの特定のサイズ及び形状を規定する放射線源に設けられてもよい。放射線源は、ファン角を有する放射線を放射するように構成されるので、一部のサブエリアは重なり合わず、他が互いに重なり合う。
図1及び
図2の例では、放射線源X1及びX3のサブエリアは重なり合わず、放射線源1Y及び3Yのサブエリアも重ならない。そうでなければ、放射線源X2及び2Yのサブエリアは、他の放射線源のそれぞれのサブエリアに重なり合う。
【0030】
図3a及び
図3bは、マルチブロック10の放射線源の配置ならびに検出器表面のサブエリアへの分割を概略的に示す。
図3aにおいて、(
図1に示されるように)検出器表面の長さD1及び(
図2に示されるように)長さD2は、6つのサブエリアを有する検出器表面のディメンションを示す。さらに、対応する放射線源11,12及び13(第1列)、21,22及び23(第2の列)及び31,32及び33(第3の列)が示されている。検出器表面上の6つのサブエリアは、例えば、第1及び第3の列の放射線源によって放射される放射線を検出することができる。
図3bでは、患者に対する方向が、検出器表面、すなわち頭部、RAO、PA、LAO及び尾部に示されている。ここでは、放射線源の一般的なナバリングは、矢印X及びYによって示されている。各放射線源は2桁の参照符号を有し、第1桁はX方向の位置を示し、第2桁はY方向の位置を示す。したがって、
図1の放射線源X1、X2、X3は、Y方向に延在する1列の3つの放射線源であり、X方向に延在する1列の3つの放射線源の
図2の放射線源1Y、2Y、3Y である。
【0031】
図3a及び
図3bの例では、2Dアレイがサブアレイに分割されるアプローチが示され、2つ以上の露光が実行され、源の1つのサブアレイが各露光でアクティブである。例えば、3×3源アレイでは、第1の露光において、外側の列の6つの源、すなわちアレイの第1及び第3の列が使用されてもよく、中央又は第2の列の3つの源が使用される第2の露光によって後続されることができる。効果的には、このアプローチは、一方向(行方向)での同時露光と、他方の方向(列方向)での高速スイッチングを使用する。
【0032】
放射線源の3×3アレイに基づいて実現され得る別の露光方式が、
図4a及び
図4bに示されている。第1の露光では、アレイのコーナーにある放射線源、放射線源11,13,31,33ならびに中央の放射線源、放射線源22が使用されてもよく、残りの源、放射線源12,21,23及び32に基づいて後続される。
図4a及び
図4bのそれぞれの検出器の表面には、サブエリアの分布が示され、それぞれ第1及び第2の露光における放出放射線源のパターンに対応する。
【0033】
図5及び
図6は、システムの第2の実施形態を示す。ここでは、システムは、7本の線(X)と3本の列(Y)を有する放射線源のアレイを有する。第1の実施形態と同様に、第2の実施形態によるシステムは、患者テーブルの長手方向を横切る長さd1及び患者テーブルの長手方向の長さd2を有する平坦な検出器20を備える。
【0034】
第1の実施形態とは対照的に、第2の実施形態による放射線源は、曲線に沿って配置される。少なくとも
図5及び
図6に示す放射線源の線はそれぞれ湾曲している。曲率半径は、異なる実施形態だけでなく、単一の実施形態の1つの線路から別の線路まで変化し得ることが理解されるであろう。さらに、放射線源は、X方向の直線及びY方向の曲線に沿って、又はその逆に配置されてもよい。例えば、実施形態は、
図2及び
図5の組み合わせに基づいて形成されてもよい。
【0035】
湾曲した線に沿った放射線源の配置は、それぞれの放射線源の開口を取り囲むマルチブロック本体の外面に垂直な放射線方向の向きを備えるマルチブロック10の本体内に放射線源を配置する可能性を提供し、滑らかな表面が、医療環境での装置の使用のためにを容易に洗浄されることができるという利点がある。
【0036】
図7は、x方向の7つの放射線源及び、y方向の3つの放射線源の例示的な分布を示す。この図では、放射線源のナンバリングは、本開示の文脈において、11からXYにどのように行われるかが示されている。結果として、yのx倍の放射線源のアレイ内の全ての可能な数の放射線源を包含することが意図されている。例えば、この概念は、15個の源(5×3)のアレイに対する4回の露光、又は概して3×(n + 1)個の源のアレイのためのn回の露光を有する方式に基づいて実現することができる。露出の数(高速スイッチングアプローチの欠点を有するより高い数)と(同時スイッチングの問題である)交差散乱との間のトレードオフは、特定のアプリケーションごとに決定することができる。
【0037】
適応される再構成アルゴリズムは、(異なるサブアレイからの)連続した「フローズンモーションボリューム」を、患者の可動部分及び静的部分の別々の再構成及びモデリングによって結合し、医師の必要に応じて2D又は3D画像/ボリュームを移動するようにそれらを視覚化する。
【0038】
図7の上半分には、いくつかのサブエリアに分割される検出器表面の例が示されている。太い線で分割される、検出器の6つの部分又はサブエリアは、検出器の異なる部分であってもよい。さらに、これらの部分は、例えば、
図8に1つ又は2つの方向で示されているように、互いに対して傾斜していてもよい。
図7のグレースケールで示されているように、すなわち検出器表面の暗い部分として、放射線がこれらのサブエリアに放射されるときに、検出器の1つよりも多くの部分にわたって延在するサブエリアが規定されてもよい。さらに、検出器表面に平行な細い線で示すように、散乱防止グリッドを検出器に設けることができる。好ましくは、グリッド線は、対応する検出器エリアを照射する源の対応する線に向かって集束される。
【0039】
図8は、セグメント化される検出器を有する実施形態を示す。検出器は、互いに近接して、すなわち隣接するエッジでさえも配置される検出器部分201,202及び203によって形成される。各検出器部分は、平坦な検出器として形成される。この実施形態では、検出器部分は、1つの放射線源が検出器部分の1つに関連付けられ、放射線源10によって放射される放射線が患者の体内の関心領域内で互いに交差するように配置される。外部放射線源が主放射線方向に対してある角度で放射線を放出する態様に対応して、検出器の外側部分は放射線をより良く受けるように傾けられる。例えば、検出器部分203に属するグリッド部分のグリッド線は、好ましくは、
図8の左側の線源によって示される源の線に向かって集束されることができる。
【0040】
図9は、湾曲検出器を有する別の実施形態を示す。ここでも、外部放射線源からの放射線は、放射線アレイ10の主放射線方向に対して傾斜した表面法線を有する検出器204の外側部分を有する検出器により良好に受信されてもよい。
【0041】
さらなる態様として、検出される放射線に基づく画像の制御及び再構成は、システムのプロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムとして実施されてもよい。このようなコンピュータプログラムは、光記憶媒体又はプロセッサと一緒に又はプロセッサの一部として供給される固体媒体などの適切な媒体上に提供されてもよいが、インターネット又は他の有線又は無線電気通信システムを有する。
【0042】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されてきたが、そのような図示及び説明は、例示的又は例示的であって制限的ではないとみなされるべきであり、本発明は開示される実施形態に限定されない。開示される実施形態に対する他の変更は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、請求の範囲に記載の発明を実施する上での当業者によって理解され得、達成され得る。
【0043】
特許請求の範囲において、「有する(comprising)」という単語は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの測定される組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。特許請求の範囲内のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0044】
10 マルチブロック
20,204 検出器
201,202,203 検出器部品
30 患者テーブル
11,12,13 放射線源
21,22,23 放射線源
31,32,33 放射線源
41 放射線源
X1、X2、X3 放射線源
1Y、2Y、3Y 放射線源
XY 放射線源