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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01C 15/00 20060101AFI20220701BHJP
   A01C 11/02 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
A01C15/00 D
A01C11/02 302
A01C15/00 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019041483
(22)【出願日】2019-03-07
(65)【公開番号】P2020141611
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】大井 幸和
(72)【発明者】
【氏名】福島 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】成田 靖
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-204540(JP,A)
【文献】特開2018-000059(JP,A)
【文献】特開2002-119109(JP,A)
【文献】特開2008-245594(JP,A)
【文献】特開2009-178080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 15/00
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農用資材供給装置を備える作業機であって、
前記農用資材供給装置は、
粉粒状の農用資材が貯留される貯留部と、
駆動軸からの回転動力によって駆動されると共に、前記貯留部に貯留された前記農用資材を繰り出す繰出部と、
前記繰出部に接続すると共に、前記繰出部により繰り出された前記農用資材を排出する第1排出部と、
前記貯留部に接続すると共に、前記貯留部から前記繰出部を介さずに前記農用資材を排出する第2排出部と、を有しており、
前記農用資材供給装置は、機体左右方向に沿う揺動軸芯周りに揺動することにより、前記農用資材を供給するときの姿勢である起立姿勢と、倒伏した姿勢である倒伏姿勢と、の間で姿勢変更可能に構成されており、
前記農用資材供給装置が前記起立姿勢であるとき、前記繰出部は前記貯留部の下方に位置しており、且つ、前記第1排出部は前記繰出部から後側へ延びており、且つ、前記第2排出部は前記貯留部から前側へ延びており、
前記起立姿勢からの揺動角度が前記倒伏姿勢よりも小さい姿勢である中間姿勢で前記農用資材供給装置の姿勢を維持する姿勢維持機構を備える作業機。
【請求項2】
前記姿勢維持機構は、機体フレームに支持された第1部材と、前記農用資材供給装置に支持された第2部材と、を有しており、
前記第1部材と前記第2部材とが互いに係合することにより、前記農用資材供給装置の姿勢が前記中間姿勢で維持される請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記第1部材と前記第2部材とは、第1係合状態で互いに係合可能であると共に、前記第1係合状態とは異なる第2係合状態で互いに係合可能であり、
前記第1部材と前記第2部材とが前記第1係合状態で互いに係合している場合、前記農用資材供給装置の姿勢が前記中間姿勢で維持され、
前記第1部材と前記第2部材とが前記第2係合状態で互いに係合している場合、前記農用資材供給装置の姿勢が前記倒伏姿勢で維持される請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
作業者が着座可能な運転座席を備え、
前記農用資材供給装置は、前記運転座席よりも後側に位置すると共に、前記起立姿勢から、前記揺動軸芯周りに、前記貯留部が後側へ倒れる向きに揺動可能である請求項1から3の何れか一項に記載の作業機。
【請求項5】
前記起立姿勢から前記倒伏姿勢までの揺動角度は80度以上である請求項1から4の何れか一項に記載の作業機。
【請求項6】
前記貯留部における上端部に、開閉可能な蓋部が設けられており、
前記蓋部と、前記繰出部を支持する支持フレームと、を連結する蓋留め部材を備える請求項1から5の何れか一項に記載の作業機。
【請求項7】
機体前後方向に延びると共に、エンジンからの動力を往復動力として伝達する駆動ロッドと、
前記駆動ロッドからの往復動力によって往復揺動する揺動部材と、
前記揺動部材からの往復揺動力を、一方向の回転動力に変換して前記駆動軸に伝達するワンウェイクラッチと、を備え、
前記駆動ロッドにおける後端部は、前記揺動部材に、機体左右方向一方側から接続しており、
前記揺動部材は、機体左右方向他方側に突出する突出部を有している請求項1から6の何れか一項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農用資材供給装置を備える作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような作業機として、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この作業機(特許文献1では「乗用型田植機」)において、農用資材供給装置(特許文献1では「施肥装置」)は、貯留部(特許文献1では「肥料タンク」)と、繰出部(特許文献1では「繰り出し機構」)と、第1排出部(特許文献1では「送り出し口」)と、第2排出部(特許文献1では「連結部」)と、を有している。
【0003】
そして、この作業機において、貯留部には、粉粒状の農用資材(特許文献1では「肥料」)が貯留される。また、繰出部は、駆動軸(特許文献1では「回転伝動軸」)からの回転動力によって駆動されると共に、貯留部に貯留された農用資材を繰り出す。
【0004】
また、第1排出部は、繰出部に接続すると共に、繰出部により繰り出された農用資材を排出する。また、第2排出部は、貯留部に接続すると共に、貯留部から繰出部を介さずに農用資材を排出する。
【0005】
そして、農用資材供給装置は、機体左右方向に沿う揺動軸芯周りに揺動することにより、農用資材を供給するときの状態である起立取り付け状態と、繰出部が貯留部から前側へ突出した状態である倒伏取り付け状態と、の間で状態変更可能に構成されている。
【0006】
ここで、農用資材供給装置が起立取り付け状態であるとき、繰出部は貯留部の下方に位置しており、且つ、第1排出部は繰出部から後側へ延びており、且つ、第2排出部は貯留部から前側へ延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-204540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の作業機において、作業者は、農用資材供給装置をメンテナンスする際、農用資材供給装置を起立取り付け状態から倒伏取り付け状態へ状態変更する。これにより、第2排出部は前側へ移動する。
【0009】
その結果、作業者が農用資材供給装置の前方に位置している場合、作業者は、第2排出部に容易にアクセスすることができる。
【0010】
しかしながら、このとき、作業者と第1排出部との間の距離は、比較的長い。そのため、作業者は、第1排出部にアクセスしにくい。その結果、第1排出部にアクセスするために、農用資材供給装置の後方に移動する工程や、第1排出部の周囲に位置する部材を取り外す工程等が必要となりがちである。
【0011】
これにより、農用資材供給装置のメンテナンス作業に、比較的多くの労力が必要となりがちである。
【0012】
本発明の目的は、農用資材供給装置のメンテナンス作業の省力化が可能な作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の特徴は、農用資材供給装置を備える作業機であって、前記農用資材供給装置は、粉粒状の農用資材が貯留される貯留部と、駆動軸からの回転動力によって駆動されると共に、前記貯留部に貯留された前記農用資材を繰り出す繰出部と、前記繰出部に接続すると共に、前記繰出部により繰り出された前記農用資材を排出する第1排出部と、前記貯留部に接続すると共に、前記貯留部から前記繰出部を介さずに前記農用資材を排出する第2排出部と、を有しており、前記農用資材供給装置は、機体左右方向に沿う揺動軸芯周りに揺動することにより、前記農用資材を供給するときの姿勢である起立姿勢と、倒伏した姿勢である倒伏姿勢と、の間で姿勢変更可能に構成されており、前記農用資材供給装置が前記起立姿勢であるとき、前記繰出部は前記貯留部の下方に位置しており、且つ、前記第1排出部は前記繰出部から後側へ延びており、且つ、前記第2排出部は前記貯留部から前側へ延びており、前記起立姿勢からの揺動角度が前記倒伏姿勢よりも小さい姿勢である中間姿勢で前記農用資材供給装置の姿勢を維持する姿勢維持機構を備えることにある。
【0014】
本発明であれば、作業者は、農用資材供給装置をメンテナンスする際に、農用資材供給装置を、中間姿勢と、倒伏姿勢と、の2段階に倒伏させることができる。
【0015】
そのため、農用資材供給装置が、起立姿勢から揺動軸芯周りに、貯留部が後側へ倒れる向きに揺動可能である場合には、起立姿勢から中間姿勢までの揺動角度を、農用資材供給装置が中間姿勢であるときに第2排出部に前方からアクセスしやすい角度に設定できる。さらに、起立姿勢から倒伏姿勢までの揺動角度を、農用資材供給装置が倒伏姿勢であるときに第1排出部に前方からアクセスしやすい角度に設定できる。
【0016】
また、農用資材供給装置が、起立姿勢から揺動軸芯周りに、貯留部が前側へ倒れる向きに揺動可能である場合には、起立姿勢から中間姿勢までの揺動角度を、農用資材供給装置が中間姿勢であるときに第1排出部に後方からアクセスしやすい角度に設定できる。さらに、起立姿勢から倒伏姿勢までの揺動角度を、農用資材供給装置が倒伏姿勢であるときに第2排出部に後方からアクセスしやすい角度に設定できる。
【0017】
これにより、第1排出部及び第2排出部の何れにもアクセスしやすい構成を実現できる。その結果、農用資材供給装置のメンテナンス作業の省力化が可能な作業機を実現できる。
【0018】
さらに、本発明において、前記姿勢維持機構は、機体フレームに支持された第1部材と、前記農用資材供給装置に支持された第2部材と、を有しており、前記第1部材と前記第2部材とが互いに係合することにより、前記農用資材供給装置の姿勢が前記中間姿勢で維持されると好適である。
【0019】
この構成によれば、姿勢維持機構を、比較的簡素な構造によって実現できる。従って、姿勢維持機構が比較的複雑な構造となることによって製造コストが増大する事態を回避しやすい。
【0020】
さらに、本発明において、前記第1部材と前記第2部材とは、第1係合状態で互いに係合可能であると共に、前記第1係合状態とは異なる第2係合状態で互いに係合可能であり、前記第1部材と前記第2部材とが前記第1係合状態で互いに係合している場合、前記農用資材供給装置の姿勢が前記中間姿勢で維持され、前記第1部材と前記第2部材とが前記第2係合状態で互いに係合している場合、前記農用資材供給装置の姿勢が前記倒伏姿勢で維持されると好適である。
【0021】
この構成によれば、第1部材と第2部材とが第2係合状態で互いに係合している場合には、農用資材供給装置の姿勢が、作業者の意図に反して倒伏姿勢から中間姿勢または起立姿勢に変化してしまう事態を回避できる。
【0022】
しかも、この構成によれば、1つの姿勢維持機構によって、中間姿勢での維持と、倒伏姿勢での維持と、が可能となる。そのため、倒伏姿勢での維持のための機構を新たに設ける必要がない。従って、製造コストの増大を抑制できる。
【0023】
さらに、本発明において、作業者が着座可能な運転座席を備え、前記農用資材供給装置は、前記運転座席よりも後側に位置すると共に、前記起立姿勢から、前記揺動軸芯周りに、前記貯留部が後側へ倒れる向きに揺動可能であると好適である。
【0024】
この構成によれば、作業者は、運転座席に着座した状態、または、運転座席の近傍に立った状態で、農用資材供給装置を揺動させることにより、第1排出部及び第2排出部の何れにも、前方から容易にアクセスすることができる。
【0025】
即ち、この構成によれば、作業者は、運転座席に着座したままで、または、運転座席の近傍に立ったままで、第1排出部及び第2排出部の何れにも容易にアクセスすることができる。
【0026】
さらに、本発明において、前記起立姿勢から前記倒伏姿勢までの揺動角度は80度以上であると好適である。
【0027】
この構成によれば、農用資材供給装置が、起立姿勢から揺動軸芯周りに、貯留部が後側へ倒れる向きに揺動可能である場合においては、農用資材供給装置が倒伏姿勢であるときに第1排出部に前方からアクセスしやすい。
【0028】
これにより、第1排出部に前方からアクセスしやすい作業機を、確実に実現できる。
【0029】
また、農用資材供給装置が、起立姿勢から揺動軸芯周りに、貯留部が前側へ倒れる向きに揺動可能である場合においては、農用資材供給装置が倒伏姿勢であるときに第2排出部に後方からアクセスしやすい。
【0030】
これにより、第2排出部に後方からアクセスしやすい作業機を、確実に実現できる。
【0031】
さらに、本発明において、前記貯留部における上端部に、開閉可能な蓋部が設けられており、前記蓋部と、前記繰出部を支持する支持フレームと、を連結する蓋留め部材を備えると好適である。
【0032】
この構成によれば、作業機が走行することに伴う振動によって蓋部が開いてしまう事態を回避しやすい。
【0033】
さらに、本発明において、機体前後方向に延びると共に、エンジンからの動力を往復動力として伝達する駆動ロッドと、前記駆動ロッドからの往復動力によって往復揺動する揺動部材と、前記揺動部材からの往復揺動力を、一方向の回転動力に変換して前記駆動軸に伝達するワンウェイクラッチと、を備え、前記駆動ロッドにおける後端部は、前記揺動部材に、機体左右方向一方側から接続しており、前記揺動部材は、機体左右方向他方側に突出する突出部を有していると好適である。
【0034】
この構成によれば、作業機の製造時において、駆動ロッドの後端部を揺動部材に、誤って機体左右方向他方側から接続させようとした場合には、駆動ロッドと突出部とが干渉する。これにより、駆動ロッドの後端部を揺動部材に、誤って機体左右方向他方側から接続させてしまう事態を回避できる。
【0035】
しかも、突出部を有することにより、揺動部材の強度が増大する。これにより、揺動部材の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】田植機の平面図である。
図2】田植機の左側面図である。
図3】施肥装置周辺の構成を示す正面図である。
図4】施肥装置周辺の構成を示す背面図である。
図5】施肥装置周辺の構成を示す一部破断左側面図である。
図6】施肥装置周辺の構成を示す一部破断平面図である。
図7】倒伏姿勢の施肥装置を示す一部破断左側面図である。
図8】中間姿勢の施肥装置を示す一部破断左側面図である。
図9】駆動ロッド及び揺動部材の構成を示す図である。
図10】駆動ロッド及び揺動部材の構成を示す図である。
図11】乗降用ステップ周辺の構成を示す平面図である。
図12図11のXII-XII断面矢視図である。
図13】吸気ダクトの構成を示す斜視図である。
図14図6のXIV-XIV断面矢視図である。
図15】第1別実施形態における倒伏姿勢の施肥装置を示す一部破断左側面図である。
図16】第1別実施形態における中間姿勢の施肥装置を示す一部破断左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、図1図2図5から図8図10図11図15図16に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、図1図3図4図6図9図11図12図14に示す矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、図2から図5図7図8図10図12図14から図16に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0038】
〔田植機の全体構成〕
図1及び図2に示すように、乗用型の田植機A(本発明に係る「作業機」に相当)には、左右の前車輪11と、左右の後車輪12と、が設けられている。そして、左右の前車輪11及び左右の後車輪12により、走行機体13が支持されている。
【0039】
走行機体13の後部には、リンク機構14を介して、植付装置15が支持されている。さらに、走行機体13の後部には、施肥装置16(本発明に係る「農用資材供給装置」に相当)が支持されている。即ち、田植機Aは、施肥装置16を備えている。
【0040】
また、走行機体13の前後方向における中央部には、作業者により各種の運転操作が行われる運転部17が備えられている。
【0041】
運転部17は、運転座席71及び操縦ハンドル72を有している。運転座席71には、作業者が着座可能である。そして、作業者は、操縦ハンドル72を操作することにより、田植機Aの操向操作を行うことができる。
【0042】
また、図1に示すように、施肥装置16は、運転座席71よりも後側に位置している。
【0043】
運転部17の前方には、ボンネット18が設けられている。ボンネット18の内側には、エンジン19が備えられている。
【0044】
また、田植機Aは、静油圧式無段変速機20及びミッションケース21を備えている。静油圧式無段変速機20及びミッションケース21は、田植機Aの前部における下部に設けられている。そして、ミッションケース21は、副変速装置(図示せず)を収容している。
【0045】
エンジン19の駆動力は、静油圧式無段変速機20へ伝達される。そして、静油圧式無段変速機20へ伝達された駆動力は、ミッションケース21に収容されている副変速装置を介して、左右の前車輪11及び左右の後車輪12へ伝達される。
【0046】
以上で説明した構成により、田植機Aは、圃場において走行しながら、植付装置15によって苗の植え付けを行い、施肥装置16によって圃場に肥料を供給する。
【0047】
〔施肥装置に関する構成〕
図3から図6に示すように、施肥装置16は、貯留部1、複数の繰出部2、複数の第1排出部7、複数の第2排出部8を有している。また、田植機Aは、ブロア4、吸気ダクト5、送風ダクト6を備えている。
【0048】
貯留部1には、粉粒状の肥料(本発明に係る「農用資材」に相当)が貯留される。
【0049】
また、図4及び図5に示すように、田植機Aは、駆動軸10を備えている。駆動軸10は、エンジン19の動力により回転する。
【0050】
複数の繰出部2の内部には、それぞれ、回転に伴って肥料を所定量ずつ繰り出す回転部材(図示せず)が設けられている。そして、各回転部材は、駆動軸10からの回転動力によって回転する。
【0051】
即ち、複数の繰出部2は、それぞれ、駆動軸10からの回転動力によって駆動されると共に、貯留部1に貯留された肥料を繰り出す。
【0052】
尚、本実施形態において、繰出部2の個数は2つである。
【0053】
図6に示すように、ブロア4には、吸気ダクト5及び送風ダクト6が接続している。また、ブロア4は、電動モータ41を有している。そして、電動モータ41が駆動することにより、ブロア4は、吸気ダクト5から空気を吸い込み、送風ダクト6へ空気を吐出する。
【0054】
図6に示すように、送風ダクト6は、第1送風ダクト61及び第2送風ダクト62を有している。第1送風ダクト61の上流側端部は、ブロア4に接続している。また、第1送風ダクト61の下流側端部は、第2送風ダクト62の上流側端部に接続している。そして、第2送風ダクト62の下流側端部には、吐出口62aが形成されている。また、吐出口62aには、キャップ62bが、着脱可能な状態で取り付けられている。
【0055】
また、図5及び図6に示すように、複数の第1排出部7は、それぞれ、管状に形成されている。また、図4に示すように、複数の第1排出部7は、それぞれ、複数の繰出部2に対応する位置に設けられている。そして、図4から図6に示すように、各第1排出部7は、各繰出部2に接続している。
【0056】
尚、本実施形態において、第1排出部7の個数は4つである。そして、機体左側の繰出部2に、2つの第1排出部7が接続している。また、機体右側の繰出部2にも、2つの第1排出部7が接続している。
【0057】
また、図3に示すように、複数の第2排出部8は、それぞれ、複数の繰出部2に対応する位置に設けられている。そして、図3及び図5に示すように、各第2排出部8は、貯留部1に接続している。
【0058】
また、図5に示すように、各第2排出部8には、弁体81が設けられている。弁体81は、作業者の操作によって揺動開閉可能である。
【0059】
尚、本実施形態において、第2排出部8の個数は2つである。
【0060】
また、図4に示すように、施肥装置16は、可動フレーム22及び固定フレーム23を介して、走行機体13に支持されている。
【0061】
詳述すると、可動フレーム22は、機体左右方向に延びる状態で設けられている。そして、施肥装置16は、可動フレーム22に支持されている。
【0062】
可動フレーム22は、固定フレーム23に支持されている。また、固定フレーム23は、走行機体13に固定されている。そして、図5及び図7に示すように、可動フレーム22は、機体左右方向に沿う揺動軸芯P周りに、固定フレーム23に対して揺動可能に構成されている。
【0063】
ここで、可動フレーム22は、施肥装置16と一体的に揺動する。即ち、施肥装置16は、揺動軸芯P周りに揺動可能である。そして、施肥装置16は、揺動軸芯P周りに揺動することにより、起立姿勢と、倒伏姿勢と、の間で姿勢変更可能である。
【0064】
尚、起立姿勢とは、施肥装置16が圃場に肥料を供給するときの姿勢である。図7においては、起立姿勢の施肥装置16における貯留部1が、仮想線で示されている。
【0065】
また、倒伏姿勢とは、倒伏した姿勢である。図7においては、倒伏姿勢の施肥装置16が、実線で示されている。
【0066】
図7に示すように、本実施形態において、起立姿勢から倒伏姿勢までの揺動角度は80度以上である。より具体的には、起立姿勢から倒伏姿勢までの揺動角度は90度である。
【0067】
また、本実施形態において、施肥装置16は、起立姿勢から、揺動軸芯P周りに、貯留部1が後側へ倒れる向きに揺動可能である。
【0068】
図5に示すように、施肥装置16が起立姿勢であるとき、各繰出部2は貯留部1の下方に位置している。また、このとき、各第1排出部7は各繰出部2から後側へ延びている。また、このとき、各第2排出部8は貯留部1から前側へ延びている。
【0069】
また、図5及び図6に示すように、各第1排出部7の後端部には、施肥ホース24が接続している。また、各第1排出部7の前端部は、第1送風ダクト61に接続している。また、各第2排出部8は、第2送風ダクト62に接続している。
【0070】
この構成により、キャップ62bが吐出口62aに装着されている場合、ブロア4から吐出された空気は、第1送風ダクト61から、各第1排出部7へ流入する。そして、各第1排出部7に流入した空気は、各第1排出部7から各施肥ホース24へ流入し、各施肥ホース24の出口から排出される。
【0071】
また、キャップ62bが吐出口62aから取り外されている場合、ブロア4から吐出された空気は、第1送風ダクト61及び第2送風ダクト62を流れ、吐出口62aから大気中へ排出される。
【0072】
また、図7に示すように、各施肥ホース24は、それぞれ、ホースホルダー29により保持されている。そのため、施肥ホース24を第1排出部7から取り外した場合に、施肥ホース24は落下しない。
【0073】
〔肥料供給及び残留肥料排出について〕
上述の通り、各繰出部2は、肥料を所定量ずつ繰り出す。繰り出された肥料は、各第1排出部7へ落下する。
【0074】
ここで、施肥装置16による肥料供給の作業を行う場合、作業者は、キャップ62bが吐出口62aに装着されている状態で、ブロア4を駆動させる。これにより、各第1排出部7へ落下した肥料は、各第1排出部7の内部の空気の流れによって、各施肥ホース24を通り、圃場に供給される。
【0075】
また、肥料供給の作業を終え、貯留部1に残留した肥料を排出する場合、作業者は、弁体81を開状態に操作する。そして、キャップ62bが吐出口62aから取り外された状態で、ブロア4を駆動させる。
【0076】
これにより、貯留部1に残留した肥料は、各繰出部2を介さずに、各第2排出部8を通り、第2送風ダクト62へ流下する。流下した肥料は、第2送風ダクト62の内部の空気の流れによって、第2送風ダクト62の内部を流動し、吐出口62aから排出される。
【0077】
即ち、各第1排出部7は、各繰出部2により繰り出された肥料を排出する。また、各第2排出部8は、貯留部1から各繰出部2を介さずに肥料を排出する。
【0078】
〔姿勢維持機構について〕
図5に示すように、田植機Aは、姿勢維持機構3を備えている。姿勢維持機構3は、第1部材31と、第2部材32と、を有している。
【0079】
第1部材31は、走行機体13における機体フレーム25に支持されている。また、第1部材31は、平面視で略U字型に形成されている。そして、第1部材31は、機体左右方向に沿う第1軸芯Q1周りに揺動可能に構成されている。
【0080】
第2部材32は、可動フレーム22に固定されている。即ち、第2部材32は、可動フレーム22を介して、施肥装置16に支持されている。
【0081】
また、第2部材32は、施肥装置16が起立姿勢である状態において、可動フレーム22の下面から、下方へ延びる状態で設けられている。そして、図8に示すように、第2部材32の先端部には、第1凹部32a及び第2凹部32bが形成されている。
【0082】
図8に示すように、第1部材31と第2部材32とは、第1係合状態で互いに係合可能である。第1係合状態において、第1部材31は、後上がりに傾斜した状態で、第2凹部32bに係合している。また、第1係合状態において、水平面に対する第1部材31の傾斜角度は、角度G1である。
【0083】
そして、第1部材31と第2部材32とが第1係合状態で互いに係合している場合、施肥装置16の姿勢は、中間姿勢で維持される。
【0084】
尚、中間姿勢とは、起立姿勢からの揺動角度が倒伏姿勢よりも小さい姿勢である。図8においては、起立姿勢の施肥装置16における貯留部1が、仮想線で示されている。また、中間姿勢の施肥装置16が、実線で示されている。本実施形態において、起立姿勢から中間姿勢までの揺動角度は45度である。
【0085】
このように、第1部材31と第2部材32とが互いに係合することにより、施肥装置16の姿勢が中間姿勢で維持される。また、姿勢維持機構3は、起立姿勢からの揺動角度が倒伏姿勢よりも小さい姿勢である中間姿勢で施肥装置16の姿勢を維持する。
【0086】
また、図7に示すように、第1部材31と第2部材32とは、第2係合状態で互いに係合可能である。第2係合状態において、第1部材31は、後上がりに傾斜した状態で、第1凹部32aに係合している。また、第2係合状態において、水平面に対する第1部材31の傾斜角度は、角度G2である。尚、角度G2は、角度G1よりも大きい。
【0087】
そして、第1部材31と第2部材32とが第2係合状態で互いに係合している場合、施肥装置16の姿勢は、倒伏姿勢で維持される。
【0088】
このように、第1部材31と第2部材32とは、第1係合状態で互いに係合可能であると共に、第1係合状態とは異なる第2係合状態で互いに係合可能である。
【0089】
尚、図5に示す状態では、第1部材31は、運転座席71の下方に格納されている。また、図7及び図8に示すように、運転座席71は、前側へ倒すことができるように構成されている。
【0090】
作業者は、施肥装置16を起立姿勢から中間姿勢または倒伏姿勢に変更する場合、まず、運転座席71を前側へ倒す。次に、第1部材31を第1軸芯Q1周りに後側へ揺動させて、施肥装置16を揺動軸芯P周りに揺動させる。そして、第1部材31と第2部材32とを互いに係合させることにより、施肥装置16の姿勢が、中間姿勢または倒伏姿勢で維持される状態となる。
【0091】
〔蓋留め部材について〕
図3及び図5に示すように、各繰出部2は、支持フレーム26に支持されている。支持フレーム26は、可動フレーム22に、ボルトによって締結されている。また、支持フレーム26は、機体左右方向に延びる状態で設けられている。
【0092】
そして、支持フレーム26における機体左右方向中央部分に、連結ステー27が固定されている。連結ステー27は、前方に突出する第1突出部27aを有している。
【0093】
また、貯留部1における上端部に、開閉可能な蓋部9が設けられている。作業者は、蓋部9の前端部を持ち上げることにより、蓋部9を揺動開閉することができる。
【0094】
そして、蓋部9の前端部における機体左右方向中央部分に、前方に突出する第2突出部9aが形成されている。
【0095】
また、図3に示すように、田植機Aは、棒状の蓋留め部材28を備えている。蓋留め部材28の一端部には、第1リング部28aが形成されている。また、蓋留め部材28の他端部には、第2リング部28bが形成されている。
【0096】
そして、第1リング部28aは、第1突出部27aに係合可能である。また、第2リング部28bは、第2突出部9aに係合可能である。
【0097】
第1リング部28aが第1突出部27aに係合し、且つ、第2リング部28bが第2突出部9aに係合している状態では、蓋留め部材28を介して、第1突出部27aと、第2突出部9aと、が連結されることとなる。
【0098】
即ち、蓋留め部材28は、蓋部9と、支持フレーム26と、を連結する。
【0099】
尚、本実施形態において、蓋留め部材28は、ゴム製である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、蓋留め部材28はゴム製でなくても良い。例えば、蓋留め部材28は樹脂製であっても良い。
【0100】
また、連結ステー27は、前方に突出する第3突出部27bを有している。また、蓋留め部材28は、第1突出部27a及び第2突出部9aから取り外すことができる。
【0101】
作業者は、蓋留め部材28を第1突出部27a及び第2突出部9aから取り外した後、第2リング部28bを第3突出部27bに係合させ、蓋留め部材28を貯留部1の外壁に立てかけることができる。尚、図3においては、このときの蓋留め部材28が仮想線で示されている。
【0102】
〔駆動ロッド及び揺動部材について〕
図2に示すように、田植機Aは、駆動ロッド91を備えている。駆動ロッド91は、機体前後方向に延びている。また、駆動ロッド91は、エンジン19からの動力を、機体前後方向の往復動力として伝達するように構成されている。
【0103】
また、図4図9図10に示すように、田植機Aは、揺動部材92、動力伝達機構93、第1ワンウェイクラッチ94(本発明に係る「ワンウェイクラッチ」に相当)、第2ワンウェイクラッチ95(本発明に係る「ワンウェイクラッチ」に相当)を備えている。
【0104】
図9に示すように、揺動部材92は、右側に突出する突出部92aを有している。また、駆動ロッド91における後端部は、揺動部材92に、左側から接続している。そして、揺動部材92は、機体左右方向に沿う第2軸芯Q2周りに揺動可能に構成されている。
【0105】
この構成により、駆動ロッド91の往復動力は、揺動部材92に伝達される。そして、揺動部材92は、駆動ロッド91からの往復動力によって、第2軸芯Q2周りに、前後に往復揺動する。
【0106】
また、揺動部材92は、動力伝達機構93、第1ワンウェイクラッチ94、第2ワンウェイクラッチ95を介して、駆動軸10に連係している。揺動部材92の往復揺動力は、動力伝達機構93を介して、第1ワンウェイクラッチ94及び第2ワンウェイクラッチ95に伝達される。
【0107】
第1ワンウェイクラッチ94は、揺動部材92の往復揺動力のうち、揺動部材92が前方へ揺動するときの揺動力を、一方向の回転動力に変換して、駆動軸10に伝達する。
【0108】
また、第2ワンウェイクラッチ95は、揺動部材92の往復揺動力のうち、揺動部材92が後方へ揺動するときの揺動力を、一方向の回転動力に変換して、駆動軸10に伝達する。
【0109】
即ち、第1ワンウェイクラッチ94及び第2ワンウェイクラッチ95は、揺動部材92からの往復揺動力を、一方向の回転動力に変換して駆動軸10に伝達する。
【0110】
以上の構成により、駆動軸10は、エンジン19の動力により回転する。
【0111】
尚、本発明は以上で説明した構成に限定されず、第1ワンウェイクラッチ94は、揺動部材92の往復揺動力のうち、揺動部材92が後方へ揺動するときの揺動力を、一方向の回転動力に変換して、駆動軸10に伝達するように構成されていても良い。また、第2ワンウェイクラッチ95は、揺動部材92の往復揺動力のうち、揺動部材92が前方へ揺動するときの揺動力を、一方向の回転動力に変換して、駆動軸10に伝達するように構成されていても良い。
【0112】
〔断熱材について〕
図1及び図11に示すように、運転部17には、運転部ステップ73が設けられている。作業者は、運転座席71に着座しているとき、運転部ステップ73を足場として利用できる。
【0113】
また、運転部ステップ73よりも前側の位置に、左右の乗降用ステップ74が設けられている。作業者は、運転部17から田植機Aの前方に降りるとき、左右の乗降用ステップ74を足場として利用できる。また、作業者は、田植機Aの前方から運転部17に搭乗するとき、左右の乗降用ステップ74を足場として利用できる。
【0114】
尚、運転部ステップ73及び左右の乗降用ステップ74は、何れも樹脂製である。
【0115】
また、図11及び図12に示すように、エンジン19は、マフラー75を有している。マフラー75は、左の乗降用ステップ74の下方に位置している。
【0116】
図12に示すように、マフラー75と、左の乗降用ステップ74と、に挟まれる位置に、金属製の板状部材76が設けられている。即ち、板状部材76は、マフラー75の上方、且つ、左の乗降用ステップ74の下方に位置している。また、板状部材76は、機体フレーム25に、ボルトによって締結されている。
【0117】
そして、板状部材76の下面には、断熱部材77が貼り付けられている。
【0118】
この構成により、マフラー75の熱によって左の乗降用ステップ74が高温となる事態を回避しやすい。
【0119】
尚、本実施形態において、断熱部材77は、グラスウールにより構成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、断熱部材77は、グラスウール以外の素材により構成されていても良い。
【0120】
〔吸気ダクトについて〕
図13及び図14に示すように、吸気ダクト5は、第1吸気ダクト51及び第2吸気ダクト52を有している。第1吸気ダクト51の上流側端部には、開口部51aが形成されている。また、第1吸気ダクト51の下流側端部は、第2吸気ダクト52の上流側端部に接続している。そして、第2吸気ダクト52の下流側端部は、ブロア4に接続している。
【0121】
この構成により、電動モータ41が駆動すると、外気が開口部51aから第1吸気ダクト51へ流入する。そして、第1吸気ダクト51に流入した空気は、第2吸気ダクト52を通り、ブロア4に吸い込まれる。
【0122】
ここで、図6及び図14に示すように、開口部51aは、静油圧式無段変速機20及びミッションケース21に対向する位置に設けられている。また、開口部51aは、エンジン19の近傍に設けられている。
【0123】
この構成により、開口部51aは、エンジン19の熱により暖められた空気を取り込みやすい。
【0124】
また、開口部51aは、右方に開口している。また、第1吸気ダクト51の上流側端部には、下側壁部51bが形成されている。下側壁部51bは、右下がりに傾斜している。そして、下側壁部51bの右端は、開口部51aに接続している。
【0125】
この構成により、前方から第1吸気ダクト51へ向かって飛ぶ泥や水は、開口部51aに入り込みにくい。また、泥や水が開口部51aに入り込んだ場合、下側壁部51bの傾斜によって泥や水が排出されやすい。
【0126】
以上で説明した構成によれば、作業者は、施肥装置16をメンテナンスする際に、施肥装置16を、中間姿勢と、倒伏姿勢と、の2段階に倒伏させることができる。
【0127】
そのため、施肥装置16が、起立姿勢から揺動軸芯P周りに、貯留部1が後側へ倒れる向きに揺動可能である場合には、起立姿勢から中間姿勢までの揺動角度を、施肥装置16が中間姿勢であるときに第2排出部8に前方からアクセスしやすい角度に設定できる。さらに、起立姿勢から倒伏姿勢までの揺動角度を、施肥装置16が倒伏姿勢であるときに第1排出部7に前方からアクセスしやすい角度に設定できる。
【0128】
また、施肥装置16が、起立姿勢から揺動軸芯P周りに、貯留部1が前側へ倒れる向きに揺動可能である場合には、起立姿勢から中間姿勢までの揺動角度を、施肥装置16が中間姿勢であるときに第1排出部7に後方からアクセスしやすい角度に設定できる。さらに、起立姿勢から倒伏姿勢までの揺動角度を、施肥装置16が倒伏姿勢であるときに第2排出部8に後方からアクセスしやすい角度に設定できる。
【0129】
これにより、第1排出部7及び第2排出部8の何れにもアクセスしやすい構成を実現できる。その結果、施肥装置16のメンテナンス作業の省力化が可能な田植機Aを実現できる。
【0130】
〔第1別実施形態〕
上記実施形態においては、姿勢維持機構3は、第1部材31と、第2部材32と、を有している。
【0131】
しかしながら、本発明はこれに限定されない。以下では、本発明に係る第1別実施形態について、上記実施形態とは異なる点を中心に説明する。以下で説明している部分以外の構成は、上記実施形態と同様である。また、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付している。
【0132】
図15に示すように、本発明に係る第1別実施形態において、姿勢維持機構3は、第2部材32を有していない。そして、姿勢維持機構3は、第1部材31、前側係合部材33(本発明に係る「第2部材」に相当)、後側係合部材34を有している。
【0133】
図15に示すように、支持フレーム26の前端に、前側へ延びる第1フレーム96が固定されている。また、第1フレーム96の前端部には、U字状断面の第2フレーム97が固定されている。そして、第2フレーム97に、前側係合部材33が固定されている。
【0134】
前側係合部材33の前端部には、第3凹部33aが形成されている。
【0135】
また、後側係合部材34は、上記実施形態における第2部材32と同様に、施肥装置16が起立姿勢である状態において、可動フレーム22の下面から、下方へ延びる状態で設けられている。そして、後側係合部材34の先端部には、第4凹部34aが形成されている。
【0136】
図15に示すように、第1部材31と後側係合部材34とは、互いに係合可能である。この状態において、第1部材31は、後上がりに傾斜した状態で、第4凹部34aに係合している。また、この状態において、水平面に対する第1部材31の傾斜角度は、角度G2である。
【0137】
そして、第1部材31と後側係合部材34とが互いに係合している場合、施肥装置16の姿勢は、倒伏姿勢で維持される。
【0138】
また、図16に示すように、第1部材31と前側係合部材33とは、互いに係合可能である。この状態において、第1部材31は、略真上に延びる状態で、第3凹部33aに係合している。また、この状態において、水平面に対する第1部材31の傾斜角度は、角度G3である。尚、角度G3は、角度G2よりも大きい。
【0139】
そして、第1部材31と前側係合部材33とが互いに係合している場合、施肥装置16の姿勢は、中間姿勢で維持される。
【0140】
尚、以上に記載した各実施形態は一例に過ぎないのであり、本発明はこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0141】
〔その他の実施形態〕
(1)施肥装置16に代えて、粉粒状の農薬を散布する農薬散布装置が備えられていても良い。この場合、農薬は、本発明に係る「農用資材」に相当する。
【0142】
(2)施肥装置16に代えて、粉粒状の種子をまく播種装置が備えられていても良い。この場合、種子は、本発明に係る「農用資材」に相当する。
【0143】
(3)エンジン19に代えて、バッテリ及びモータが設けられていても良い。
【0144】
(4)駆動ロッド91、揺動部材92、動力伝達機構93、第1ワンウェイクラッチ94、第2ワンウェイクラッチ95は、設けられていなくても良い。これらが設けられていない場合、駆動軸10に回転動力を与えるモータが設けられていても良い。
【0145】
(5)突出部92aは、左側に突出するように構成されていても良い。この場合、駆動ロッド91における後端部は、揺動部材92に、右側から接続していても良い。
【0146】
(6)揺動部材92において、突出部92aは形成されていなくても良い。
【0147】
(7)蓋留め部材28は設けられていなくても良い。
【0148】
(8)蓋部9は設けられていなくても良い。
【0149】
(9)起立姿勢から倒伏姿勢までの揺動角度は、90度以外のいかなる角度であっても良い。例えば、起立姿勢から倒伏姿勢までの揺動角度は、80度であっても良いし、45度であっても良い。即ち、起立姿勢から倒伏姿勢までの揺動角度は、80度未満であっても良い。
【0150】
(10)施肥装置16は、起立姿勢から、揺動軸芯P周りに、貯留部1が前側へ倒れる向きに揺動可能であっても良い。
【0151】
(11)施肥装置16は、運転座席71よりも前側に位置していても良い。
【0152】
(12)第1部材31と第2部材32とは、第2係合状態で互いに係合可能に構成されていなくても良い。即ち、姿勢維持機構3は、倒伏姿勢で施肥装置16の姿勢を維持することができないように構成されていても良い。
【0153】
(13)第1部材31と第2部材32とは、互いに係合可能に構成されていなくても良い。その場合、例えば、第1部材31と第2部材32とが、互いに係合することなく、互いに接当することにより、施肥装置16の姿勢が中間姿勢で維持されるように構成されていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明は、農用資材供給装置を備える作業機に利用可能である。
【符号の説明】
【0155】
1 貯留部
2 繰出部
3 姿勢維持機構
7 第1排出部
8 第2排出部
9 蓋部
10 駆動軸
16 施肥装置(農用資材供給装置)
19 エンジン
25 機体フレーム
26 支持フレーム
28 蓋留め部材
31 第1部材
32 第2部材
33 前側係合部材(第2部材)
71 運転座席
91 駆動ロッド
92 揺動部材
92a 突出部
94 第1ワンウェイクラッチ(ワンウェイクラッチ)
95 第2ワンウェイクラッチ(ワンウェイクラッチ)
A 田植機(作業機)
P 揺動軸芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16