(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】電子体温計
(51)【国際特許分類】
G01K 13/20 20210101AFI20220701BHJP
G01K 1/024 20210101ALI20220701BHJP
【FI】
G01K13/20 341G
G01K1/024
(21)【出願番号】P 2019052918
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】小林 大輔
(72)【発明者】
【氏名】栗尾 勝
(72)【発明者】
【氏名】築田 克美
(72)【発明者】
【氏名】小林 保弘
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-115919(JP,A)
【文献】特開2004-172764(JP,A)
【文献】特開平11-248546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/024,13/20
A61B 5/00,5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出された温度データに基づいて被検者の体温を算出する回路基板と、前記回路基板に電力を供給する給電部とを搭載しているホルダと、
前記体温が算出されたことを報知するブザー部材と、
前記回路基板が外部機器に前記体温の算出結果を送信するためのアンテナを実装しているアンテナ基板と、
前記ホルダと、前記ブザー部材と、前記アンテナ基板とを収容している筐体と
を備え、
前記ブザー部材は、前記アンテナ基板と一体に形成されている、
電子体温計。
【請求項2】
前記アンテナ基板及び前記ブザー部材の少なくとも一方と前記回路基板とを電気的に接続している弾性部材をさらに備える、請求項1に記載の電子体温計。
【請求項3】
前記アンテナは、2つのアンテナ電極を備え、
前記ブザー部材は、圧電素子と、金属板とを備え、
前記弾性部材は、第1弾性部材と、第2弾性部材と、第3弾性部材とを含み、
前記第1弾性部材は、前記回路基板と前記金属板とを電気的に接続し、
前記第2弾性部材は、前記回路基板と前記2つのアンテナ電極それぞれとを電気的に接続し、
前記第3弾性部材は、前記回路基板と前記圧電素子とを電気的に接続する、請求項2に記載の電子体温計。
【請求項4】
前記アンテナ基板の平面視において、前記第2弾性部材が当接する位置と、前記第1弾性部材及び前記第3弾性部材のいずれかが当接する位置とは、三角形の頂点を構成する、請求項3に記載の電子体温計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子体温計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検者の体温を測定する電子体温計が知られている。例えば特許文献1には、体温の測定結果を表示する電子体温計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子体温計は、被検者の体温の測定データを外部出力するために、無線通信用のアンテナを内蔵することがある。電子体温計がアンテナを内蔵する場合でも、電子体温計の小型化が求められる。
【0005】
本開示の目的は、上記問題に鑑み、アンテナを内蔵しつつも小型化されうる電子体温計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様としての電子体温計は、
検出された温度データに基づいて被検者の体温を算出する回路基板と、前記回路基板に電力を供給する給電部とを搭載しているホルダと、
前記体温が算出されたことを報知するブザー部材と、
前記回路基板が外部機器に前記体温の算出結果を送信するためのアンテナを実装しているアンテナ基板と、
前記ホルダと、前記ブザー部材と、前記アンテナ基板とを収容している筐体と
を備え、
前記ブザー部材は、前記アンテナ基板と一体に形成されている。
【0007】
本発明の1つの実施形態としての電子体温計は、前記アンテナ基板及び前記ブザー部材の少なくとも一方と前記回路基板とを電気的に接続している弾性部材をさらに備えてよい。
【0008】
本発明の1つの実施形態として、
前記アンテナは、2つのアンテナ電極を備え、
前記ブザー部材は、圧電素子と、金属板とを備え、
前記弾性部材は、第1弾性部材と、第2弾性部材と、第3弾性部材とを含み、
前記第1弾性部材は、前記回路基板と前記金属板とを電気的に接続し、
前記第2弾性部材は、前記回路基板と前記2つのアンテナ電極それぞれとを電気的に接続し、
前記第3弾性部材は、前記回路基板と前記圧電素子とを電気的に接続してよい。
【0009】
本発明の1つの実施形態として、
前記アンテナ基板の平面視において、前記第2弾性部材が当接する位置と、前記第1弾性部材及び前記第3弾性部材のいずれかが当接する位置とは、三角形の頂点を構成してよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電子体温計によれば、アンテナを内蔵しつつも小型化された構成が実現されうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態に係る電子体温計を、表示部と反対側から見た外観斜視図である。
【
図2】
図1に例示される電子体温計を表示部側から見た外観斜視図である。
【
図3】筐体に収容されている内部構造の一例を示す斜視図である。
【
図8】アンテナ導通部材の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る実施形態が、図面を参照しながら説明される。各図中、同一符号で表されている構成要素は、同一又は同等である。
【0013】
図1及び
図2に示されるように、一実施形態に係る電子体温計1は、本体ハウジング2と、尾部ハウジング3と、エンドキャップ4と、内部構造8とを備える。本体ハウジング2と、尾部ハウジング3と、エンドキャップ4とは、筐体と総称される。筐体は、内部構造8を収容する。
【0014】
本開示に係る実施形態において、Z軸方向は、電子体温計1の長軸方向と同じ方向であり、Z軸の正の方向は電子体温計1の先端方向(すなわち、エンドキャップ4の方向)であり、Z軸の負の方向は尾部ハウジング3側の方向を指す。Y軸方向は、電子体温計1の厚み方向であり、後述のアンテナ基板50、回路基板20、ホルダ10、が搭載される方向である。このうち、Y軸の正の方向は、表示部40を有する方向(後述の第1面方向)である。X軸方向は、電子体温計1の長軸方向及び厚み方向に直交する方向であり、本体ハウジング2の幅方向である。
【0015】
本体ハウジング2は、例えば、ブチレン・スチレン樹脂等の、耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂で構成される。尾部ハウジング3は、例えば、ハイインパクトスチロール樹脂等の、耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂で構成されてもよい。本体ハウジング2は、エンドキャップ4と反対側に開口部を有し、尾部ハウジング3によって封止される。尾部ハウジング3は、超音波融着又は接着剤等により、本体ハウジング2に取り付けられる。なお、尾部ハウジング3は、締結部材により本体ハウジング2に取り付けられてもよい。この場合、締結部材は、ボルト又はビス等の螺合部材であってよい。
【0016】
エンドキャップ4は、内部構造8に含まれる温度計測部22(
図3参照)に対して被検者の体温が伝導しやすいように、例えばステンレス等の金属により被覆される。
【0017】
本体ハウジング2は、内部構造8に含まれる表示部40(
図3参照)が筐体外から見えるようにする表示窓6を有している。表示窓6は、所定の透過率で光を透過する熱可塑性樹脂で構成されてよい。所定の透過率は、表示部40が筐体外から見えるように適宜決定されてよい。表示窓6は、高い液密性を有するように、本体ハウジング2と二色成形されてよい。表示窓6は、本体ハウジング2と別体として成形され、本体ハウジング2に接着又は溶着等によって取り付けられてもよい。
【0018】
電子体温計1は、温度計測部22で検出した温度データに基づいて、被検者の体温を算出する。電子体温計1は、被検者の体温の算出が完了した場合、ブザー部材60(
図5参照)を振動させることによって生じるブザー音で体温の算出の完了を使用者に報知する。電子体温計1は、体温の算出結果を表示部40に表示する。
【0019】
図3に示されるように、内部構造8は、ホルダ10と、アンテナ基板50とを備える。ホルダ10は、回路基板20と、電池30とを搭載する。ホルダ10は、表示部40をさらに搭載する。アンテナ基板50は、ブザー部材60を搭載する。アンテナ基板50とブザー部材60とは、一体に形成されているともいえる。アンテナ基板50とブザー部材60とが一体に形成されていることによって、電子体温計1が通信機能を実現するためにアンテナ基板50を備える場合でも、電子体温計1の小型化が実現されうる。
【0020】
回路基板20は、電池30と、表示部40と、アンテナ基板50と、ブザー部材60とに電気的に接続される。回路基板20は、他の種々の構成と電気的に接続されていてよい。電池30は、回路基板20に電力を供給する。電池30は、回路基板20を介して、表示部40と、アンテナ基板50と、ブザー部材60とに電力を供給する。電池30は、回路基板20に接続されている種々の構成に電力を供給してもよい。電池30は、例えば、無線で電力を受けたり、自ら発電したりする給電回路に置き換えられてもよい。この場合、電池30及び給電回路は、給電部と総称される。
【0021】
回路基板20は、プロセッサ21を搭載する。プロセッサ21は、電子体温計1の各構成部を制御する。プロセッサ21は、各構成部から信号を取得し、各構成部に対して信号を出力する。プロセッサ21は、種々のプログラムを実行できるIC(Integrated Circuit)等を含んでよい。プロセッサ21は、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサを含んでもよい。プロセッサ21は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用プロセッサを含んでもよい。プロセッサ21は、電子体温計1の動作に必要な種々のデータ、又は、プログラムを格納する記憶部を含んでよい。記憶部は、プロセッサ21と別体の構成として回路基板20に搭載されていてもよい。プロセッサ21は、被検者の体温の算出結果を記憶部に格納する。プロセッサ21は、被検者の体温の算出結果を、体温の測定日時を表すデータ等の他の種々のデータと関連づけて記憶部に格納してもよい。
【0022】
回路基板20は、温度計測部配線22aを介して温度計測部22に接続されている。回路基板20は、プロセッサ21と温度計測部配線22aとを電気的に接続する配線パターンを有する。プロセッサ21は、温度計測部22で検出した温度を取得し、その温度に基づいて、被検者の体温を算出する。
【0023】
回路基板20は、プロセッサ21とブザー部材60とを電気的に接続する配線パターンを有する。プロセッサ21は、被検者の体温を算出した場合、算出が完了したことを表すブザー音をブザー部材60に発生させる。つまり、ブザー部材60は、被検者の体温が算出されたことをブザー音によって報知する。
【0024】
回路基板20は、プロセッサ21と表示部40とを電気的に接続する配線パターンを有する。プロセッサ21は、被検者の体温の算出結果を表示部40に表示させる。
【0025】
回路基板20は、プロセッサ21とアンテナ基板50を電気的に接続する配線パターンを有する。プロセッサ21は、アンテナ基板50を介して、コンピュータ、クラウド等の外部機器又はサーバと無線通信し、体温の測定日時を表すデータ等の他の種々のデータと関連づけた被検者の体温の算出結果を外部出力する。プロセッサ21は、通信モジュールを含み、通信機能を実現するプログラムを実行する。アンテナ基板50は、例えば、NFC(Near Field Communication)規格に基づく通信を実現する。アンテナ基板50は、例えば、外部機器に接続されているUSB(Universal Serial Bus)リーダライタとの間でNFC規格に基づく通信を実現してもよい。アンテナ基板50は、他の種々の規格に基づく通信を実現してもよい。
【0026】
図4に示されるように、ホルダ10に、表示部40と回路基板20とが取り付けられる。
【0027】
ホルダ10は、ベース板18を有する。ベース板18は、Y軸の正の方向の側に位置する表示窓6に対向する第1面と、Y軸の負の方向の側に位置するアンテナ基板50に対向する第2面とを有する。ベース板18のZ軸の正の方向の側に位置する部分の幅(X軸方向の長さ)は、Z軸の負の方向の側に位置する部分の幅よりも狭くなっている。つまり、ベース板18は、筐体の内部形状に合わせた形状を有する。
【0028】
ホルダ10は、第1面の側に表示部40を保持する。表示部40は、表示面を有する。ベース板18は、表示部40がホルダ10に保持されている状態で、表示面が表示窓6から見えるように、縁部13によって区画されている開口13aを有している。ホルダ10は、表示面が開口13a内に位置するように表示部40を保持する。ホルダ10は、表示部固定部材15を有する。表示部固定部材15は、ベース板18とともに、表示部40を挟持する。つまり、表示部40は、ベース板18と表示部固定部材15との間に保持される。表示部固定部材15は、位置決め孔16を有する。ホルダ10は、ベース板18からY軸の負の方向に突出するボス12を有する。表示部固定部材15は、位置決め孔16にボス12が貫通するように位置する。つまり、表示部固定部材15の位置は、ボス12の位置によって決定される。表示部40及び表示部固定部材15は、ホルダ10に対して、例えば接着剤等によって接着されてもよいし、ネジ等によって締結されてもよい。
【0029】
ホルダ10は、第2面の側に電池30を搭載している。
【0030】
ホルダ10は、第2面の側に回路基板20を搭載している。ホルダ10は、ベース板18からY軸の負の方向に突出する爪部11を有する。ホルダ10は、回路基板20の端部を爪部11で係合することによって、回路基板20を保持する。回路基板20のZ軸の正の方向の側に位置する部分の幅は、Z軸の負の方向の側に位置する部分の幅よりも狭くなっている。つまり、回路基板20は、ホルダ10の形状に合わせた形状を有する。
【0031】
回路基板20は、ブザー部材60と電気的に接続するための電極23及び電極24を有する。回路基板20は、アンテナ基板50と電気的に接続するための電極25を有する。回路基板20は、プロセッサ21と、電極23、24及び25それぞれとを電気的に接続する配線パターンを有する。すなわち、ブザー部材60とアンテナ基板50とは、回路基板20の別々の部分から給電される。プロセッサ21は、電極23及び電極24を介して、ブザー部材60に信号を出力し、ブザー部材60にブザー音を発生させる。プロセッサ21は、電極25を介してアンテナ基板50に信号を出力することによって、アンテナ基板50に電波を送信させ、無線通信によって情報を外部へ出力する。プロセッサ21は、電極25を介してアンテナ基板50から受信した電波に基づく信号を取得することによって、外部から送信された情報を取得する。
【0032】
アンテナ基板50及びブザー部材60はそれぞれ、アンテナ接続部材70及びブザー接続部材80を介して、回路基板20と電気的に接続される。本実施形態に係る電子体温計1は、ブザー部材60が搭載されているアンテナ基板50が筐体内に取り付けられた後に、回路基板20と表示部40とを保持しているホルダ10を筐体内に挿入することで、組み立てられる。このとき、アンテナ接続部材70及びブザー接続部材80は、回路基板20に取り付けられており、ホルダ10とともに筐体内に挿入される。
図4において、内部構造8の分解斜視図を表現するために、アンテナ基板50及びブザー部材60が回路基板20に直接取付けられているように表現されている。より詳細には、本実施形態に係る電子体温計1の組み立て工程において、アンテナ基板50及びブザー部材60が、本体ハウジング2の開口部から、本体ハウジング2内に挿入された後に、回路基板20と表示部40とを保持しているホルダ10が本体ハウジング2の開口部から挿入される。電子体温計1は、例示した工程に限られず、種々の工程によって組み立てられてよい。
【0033】
図5、
図6及び
図7に示されるように、アンテナ基板50は、ブザー部材60を搭載している。アンテナ基板50及びブザー部材60は、略矩形の板状に構成されている。アンテナ基板50及びブザー部材60の形状は、これに限られず、種々の形状であってよい。ブザー部材60は、アンテナ基板50に対して、Y軸の正の方向の側に位置している。
【0034】
アンテナ基板50は、例えばガラスエポキシ樹脂等の樹脂によって構成されている。アンテナ基板50は、プリント基板を構成しうる他の種々の材料によって構成されてもよい。アンテナ基板50は、中央部に、縁部56によって区画される開口56aを有する。アンテナ基板50の一方の面には、シールド部材57が積層される。シールド部材57は、電子体温計1の組み立て状態において、回路基板20側に積層される。シールド部材57は、焼結体フェライトを含む磁性シートを用いることができる。アンテナ基板50は、縁部56の周囲にアンテナ配線52を有する。アンテナ配線52は、開口56aを取り囲むようにスパイラル状に延在している。アンテナ配線52は、これに限られず、種々の態様で設けられてもよい。アンテナ配線52は、例えば銅等の金属で構成されてもよい。アンテナ配線52は、これに限られず、種々の導電性材料で構成されてもよい。アンテナ配線52は、単にアンテナとも称される。アンテナ基板50は、アンテナを実装しているともいえる。アンテナ基板50は、アンテナ電極54を有する。アンテナ配線52の両端は、アンテナ電極54に電気的に接続される。アンテナ基板50は、アンテナ配線52で受信した電波に基づく電気信号をアンテナ電極54から出力する。アンテナ基板50は、アンテナ電極54に入力される電気信号に基づく電波をアンテナ配線52から送信する。
【0035】
ブザー部材60は、金属板62と、圧電素子64とを備える。金属板62は、例えば銅等の金属で構成されていてよい。金属板62は、金属に限られず、導電性を有する他の材料で置き換えられてもよい。圧電素子64は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等のセラミックス材料で構成されていてよい。圧電素子64は、これに限られず、電気信号の印加によって変位を生じさせる種々の圧電材料で構成されてもよい。
【0036】
アンテナ基板50のY軸の正の方向の側の面は、シールド部材57、金属板62と圧電素子64とが順に積層されている。アンテナ基板50と、シールド部材57と、金属板62と、圧電素子64とは、接着等によって接合されていてよい。ブザー部材60は、金属板62と圧電素子64に印加される電気信号に基づいて振動し、ブザー音を発生する。ブザー部材60は、金属板62のY軸の負の方向の側の面で、シールド部材57を介してアンテナ基板50に取り付けられている。アンテナ基板50をY軸の負の方向から見た場合、アンテナ基板50の開口56aを介してシールド部材57が見える。
【0037】
金属板62は、回路基板側アーム62aを有する。回路基板側アーム62aは、金属板62の一部を屈曲部62bでY軸の正の方向に屈曲させることによって形成されている。回路基板側アーム62aは、金属板62の平板部分から、屈曲部62bを介して、Y軸の正の方向の側に傾斜する方向に突出している。回路基板側アーム62aと屈曲部62bとは、回路基板側端子62cがY軸の負の方向の側に変位することによって、Y軸の正の方向の側に弾性力を生じる弾性部材として機能する。回路基板側アーム62aと屈曲部62bとは、第1弾性部材とも称される。
【0038】
回路基板側アーム62aは、先端に回路基板側端子62cを有する。ブザー部材60を搭載しているアンテナ基板50と回路基板20とが組み合わされた場合、回路基板側端子62cは、回路基板20の電極24に当接する。さらに、回路基板側端子62cは、回路基板側アーム62aと屈曲部62bとによって生じる弾性力によって、電極24に押圧される。このようにすることで、金属板62と回路基板20との電気的な接続が安定しうる。回路基板側端子62cは、Y軸の正の方向に向けて凸形状を有するように屈曲している。このようにすることで、回路基板側端子62cと電極24との接触面積が増大しうる。その結果、金属板62と回路基板20との電気的な接続がより一層安定する。金属板62と回路基板20との電気的な接続が安定することによって、電子体温計1の耐衝撃性が向上する。なお、本実施形態では、電極24は、電極23よりもZ軸の正の方向に設けられる、かつ、Y軸の正の方向に向かった見たときに回路基板20の長軸方向の中心からXの正の方向へオフセットされている。これにより、本実施形態に係る電子体温計1の組み立て工程において、アンテナ基板50及びブザー部材60が、本体ハウジング2の開口部から、本体ハウジング2内に挿入された後に、回路基板20が、本体ハウジング2の開口部から挿入されたとしても、回路基板20上の他の部品と第1弾性部材が干渉するのを抑制することができる。このように、電子体温計1の長軸方向で複数の電極を設けた場合、電子体温計1の先端方向側に位置する電極24は、電子体温計1の幅方向(X軸)の中心よりオフセットされているのが好ましい。
【0039】
図7に示されるように、アンテナ基板50は、搭載しているブザー部材60の側において、回路基板20から支持される。ブザー部材60の金属板62は、回路基板側端子62cで回路基板20の電極24に当接する。この場合、ブザー部材60は、金属板62から回路基板側アーム62aが突出している屈曲部62bで回路基板20から支持される。ブザー接続部材80のブザー部材側端子86(
図9参照)は、ブザー部材60の圧電素子64に位置する当接部85aで当接する。この場合、アンテナ基板50は、搭載しているブザー部材60を介して、当接部85aで回路基板20から支持される。アンテナ基板50は、ブザー部材60を介して、屈曲部62bの位置と、当接部85aの位置とで回路基板20から支持される。このとき、回路基板側アーム62aとブザー部材側端子86は、ブザー部材60からY軸の正の方向、かつ、回路基板20に向かうように接続する。このような構成とすることで、接点を容易に確保しながら組立てやすくなる。
【0040】
アンテナ接続部材70のアンテナ基板側端子73(
図8参照)は、アンテナ基板50の2つのアンテナ電極54それぞれに位置する当接部73aで当接する。この場合、アンテナ基板50は、当接部73aで回路基板20から支持される。つまり、アンテナ基板50は、ブザー部材60及びブザー接続部材80を介して2点で回路基板20から支持されるとともに、2箇所の当接部73aに対応する2点で回路基板20から支持される。アンテナ基板50が2箇所の当接部73aの位置と、屈曲部62bの位置と、当接部85aの位置とで回路基板20から支持されることによって、1箇所あたりの荷重が低減しうる。荷重の低減によって、回路基板20に加わる応力が低減する。その結果、電子体温計1の信頼性が向上しうる。また、アンテナ基板50が回路基板20から支持される点の増加によって、回路基板20とアンテナ基板50との電気的な接続が安定しうる。その結果、電子体温計1の耐衝撃性が向上しうる。
【0041】
仮に、ブザー部材60がアンテナ基板50に搭載されずに単独で回路基板20に取り付けられる場合、屈曲部62b及び当接部85aの2点で回路基板20から支持される。一方、本実施形態に係るアンテナ基板50は、2箇所の当接部73aの位置と、屈曲部62bの位置とで回路基板20から支持されることによって、3点で回路基板20から支持されているとみなされうる。この場合、2箇所の当接部73aの位置と、屈曲部62bの位置とは、アンテナ基板50の平面視において、三角形の頂点を構成しているといえる。また、本実施形態に係るアンテナ基板50は、2箇所の当接部73aの位置と、当接部85aの位置とで回路基板20から支持されることによって、3点で回路基板20から支持されているとみなされうる。この場合、2箇所の当接部73aの位置と、当接部85aの位置とは、アンテナ基板50の平面視において、三角形の頂点を構成しているといえる。基板の支持点が3点である場合、基板の支持点が2点である場合よりも、基板は安定に支持されうる。つまり、本実施形態に係るアンテナ基板50は、3点で回路基板20から支持されていることによって、回路基板20から安定に支持されうる。その結果、電子体温計1の耐衝撃性が向上する。
【0042】
ブザー部材60がアンテナ基板50に搭載されることによって、ブザー部材60は、さらに硬い材料で構成されているアンテナ基板50によって補強されうる。その結果、ブザー部材60は、高い強度と、高い耐衝撃性とを有しうる。また、アンテナ基板50の開口56aと重なる位置にブザー部材60を配置できるため、ブザー音の伝達効率が向上する。
【0043】
図8に示されるように、アンテナ接続部材70は、アンテナ基板側アーム71と、回路基板側ベース75とを有する。アンテナ接続部材70は、アンテナ基板側アーム71と回路基板側ベース75との間に位置する屈曲部74をさらに有する。
【0044】
アンテナ接続部材70は、アンテナ基板50のアンテナ電極54と電気的に接続するアンテナ基板側端子73をさらに有する。アンテナ基板側端子73は、アンテナ基板側アーム71の先端に位置し、アンテナ基板側アーム71から2つに分岐した板状の端子である。アンテナ基板側端子73は、アンテナ基板側アーム71が延在している方向から、Y軸の負の方向の側で所定の曲率を有しながら凸になるように湾曲している。アンテナ基板50は、アンテナ接続部材70から見てY軸の負の方向の側に位置する。つまり、アンテナ基板側端子73は、アンテナ基板50のアンテナ電極54と対向する面が所定の曲率を有する凸面となるように構成されている。アンテナ基板側端子73は、アンテナ基板側アーム71と屈曲部74とに生じる弾性力によってアンテナ電極54に向けて押圧される。アンテナ基板側端子73は、アンテナ電極54に向けて押圧されることによって、アンテナ電極54に対してより一層安定して接続される。アンテナ基板側端子73の、アンテナ電極54と対向する面が所定の曲率を有する凸面となることによって、アンテナ基板側端子73がアンテナ電極54に向けて押圧された場合に、アンテナ電極54とアンテナ接続部材70との接触面積が増大しうる。その結果、回路基板20とアンテナ基板50とが、より一層安定して接続されうる。回路基板20とアンテナ基板50との電気的な接続が安定することによって、電子体温計1の耐衝撃性が向上する。アンテナ基板側アーム71と屈曲部74とは、アンテナ基板側端子73がY軸の正の方向の側に変位することによって、Y軸の負の方向の側に弾性力を生じる弾性部材として機能する。アンテナ基板側アーム71と屈曲部74とは、第2弾性部材とも称される。
【0045】
アンテナ接続部材70は、回路基板20の電極25と電気的に接続する回路基板側端子72をさらに有する。回路基板側端子72は、回路基板側ベース75から、Y軸の正の方向に突出している。回路基板20は、アンテナ接続部材70から見てY軸の正の方向の側に位置する。つまり、回路基板側端子72は、回路基板側ベース75から、回路基板20に向けて突出している。回路基板側端子72は、回路基板20上の配線にはんだ付け等で固定されることによって、回路基板20と電気的に接続されてよい。回路基板側端子72は、回路基板20上に設けられているコネクタに挿入されることによって、回路基板20と電気的に接続されてよい。
【0046】
アンテナ接続部材70は、アンテナ基板側端子73でアンテナ基板50のアンテナ電極54と電気的に接続するとともに、回路基板側端子72で回路基板20の電極25と電気的に接続することによって、アンテナ基板50と回路基板20とを電気的に接続する。
【0047】
アンテナ接続部材70は、例えば銅等の金属、又は、複数種類の金属を含む合金等で構成されていてよい。アンテナ接続部材70は、これに限られず、弾性と導電性とを有する種々の材料で構成されていてもよい。アンテナ接続部材70は、所定パターンで切り出した平板に対して曲げ加工を施すことによって形成される板金部品であってよい。アンテナ接続部材70が板金部品であることによって、アンテナ基板側アーム71等で生じる弾性力が容易に制御されうるとともに、製造コストが低減されうる。
【0048】
図9に示されるように、ブザー接続部材80は、ベース81と、回路基板側アーム82と、ブザー部材側アーム85と、係合部88とを有する。ブザー接続部材80は、ベース81と回路基板側アーム82との間に位置する屈曲部84をさらに有する。ブザー接続部材80は、ベース81とブザー部材側アーム85との間に位置する屈曲部87をさらに有する。
【0049】
係合部88は、開口89aを区画する縁部89を有する。
図4に示される回路基板20は、側面からX軸の正の方向及び負の方向それぞれに突出する係合部26を有する。開口89aに対して係合部26が嵌合することによって、ブザー接続部材80の係合部88が、回路基板20の係合部26と係合する。
【0050】
ブザー接続部材80は、回路基板20の電極23と電気的に接続する回路基板側端子83をさらに有する。回路基板側端子83は、回路基板側アーム82の先端に位置する。回路基板側端子83は、回路基板側アーム82の先端がY軸の正の方向の側で所定の曲率を有しながら凸になるように湾曲することによって形成されている。回路基板側アーム82は、ベース81が延在する面に対してY軸の正の方向の側に傾斜する方向に延在している。回路基板側端子83は、係合部88が回路基板20の係合部26と係合している状態において、電極23に当接するとともに、回路基板側アーム82と屈曲部84とに生じる弾性力によって、電極23に押圧される。回路基板側端子83は、回路基板20の電極23と対向する面が所定の曲率を有する凸面となるように構成されている。回路基板側端子83は、電極23に向けて押圧されることによって、電極23に対してより一層安定して接続される。回路基板側端子83の、電極23と対向する面が所定の曲率を有する凸面となることによって、回路基板側端子83が電極23に向けて押圧された場合に、電極23とブザー接続部材80との接触面積が増大しうる。その結果、回路基板20とブザー部材60との電気的な接続がより一層安定しうる。
【0051】
ブザー接続部材80は、ブザー部材60の圧電素子64と電気的に接続するブザー部材側端子86をさらに有する。ブザー部材側端子86は、ブザー部材側アーム85の先端に位置する。ブザー部材側端子86は、ブザー部材側アーム85の先端がY軸の負の方向の側で所定の曲率を有しながら凸になるように湾曲することによって形成されている。ブザー部材側アーム85は、ベース81が延在する面に対してY軸の負の方向の側に傾斜する方向に延在している。ブザー部材側端子86は、圧電素子64に当接するとともに、ブザー部材側アーム85と屈曲部87とに生じる弾性力によって、圧電素子64に押圧される。ブザー部材側端子86は、ブザー部材60の圧電素子64と対向する面が所定の曲率を有する凸面となるように構成されている。ブザー部材側端子86は、圧電素子64に向けて押圧されることによって、圧電素子64に対してより一層安定して接続される。ブザー部材側端子86の、圧電素子64と対向する面が所定の曲率を有する凸面となることによって、ブザー部材側端子86が圧電素子64に向けて押圧された場合に、圧電素子64とブザー接続部材80との接触面積が増大しうる。その結果、回路基板20とブザー部材60との電気的な接続がより一層安定しうる。回路基板20とブザー部材60との電気的な接続が安定することによって、電子体温計1の耐衝撃性が向上する。ブザー部材側アーム85と屈曲部87とは、ブザー部材側端子86がY軸の正の方向の側に変位することによって、Y軸の負の方向の側に弾性力を生じる弾性部材として機能する。ブザー部材側アーム85と屈曲部87とは、第3弾性部材とも称される。
【0052】
ブザー接続部材80は、回路基板側端子83で回路基板20の電極23と電気的に接続するとともに、ブザー部材側端子86でブザー部材60の圧電素子64と電気的に接続することによって、ブザー部材60と回路基板20とを電気的に接続する。
【0053】
ブザー接続部材80は、例えば銅等の金属、又は、複数種類の金属を含む合金等で構成されていてよい。ブザー接続部材80は、これに限られず、弾性と導電性とを有する種々の材料で構成されていてもよい。ブザー接続部材80は、所定パターンで切り出した平板に対して曲げ加工を施すことによって形成される板金部品であってよい。ブザー接続部材80が板金部品であることによって、回路基板側アーム82等で生じる弾性力が容易に制御されうるとともに、製造コストが低減されうる。
【0054】
本実施形態に係る電子体温計1の組み立て工程において、ブザー部材60を搭載したアンテナ基板50が予め取り付けられている筐体に、回路基板20が取り付けられたホルダ10が挿入される。ホルダ10は、Z軸の正の方向に向けて、筐体に挿入される。ホルダ10が筐体に挿入される際、アンテナ接続部材70、ブザー接続部材80、及び、ブザー部材60の回路基板側アーム62aが弾性部材として機能することによって、回路基板20は、アンテナ基板50及びブザー部材60に容易に電気的に接続されうる。その結果、組み立てが容易になりうる。
【0055】
アンテナ接続部材70のアンテナ基板側アーム71は、Z軸の負の方向からY軸の負の方向に傾斜する方向に延在している。これによって、アンテナ基板側アーム71の先端に位置するアンテナ基板側端子73がアンテナ基板50に引っ掛かりにくくなる。その結果、電子体温計1の組み立て時に、アンテナ接続部材70及びアンテナ基板50が破損しにくくなる。逆に、ホルダ10が筐体から抜けようとする場合、アンテナ基板側端子73がアンテナ基板50に引っ掛かりやすくなる。その結果、ホルダ10が筐体から脱落しにくくなる。
【0056】
ブザー接続部材80のブザー部材側アーム85は、Z軸の負の方向からY軸の負の方向に傾斜する方向に延在している。これによって、ブザー部材側アーム85の先端に位置するブザー部材側端子86がアンテナ基板50に引っ掛かりにくくなる。その結果、電子体温計1の組み立て時に、ブザー接続部材80及びアンテナ基板50が破損しにくくなる。逆に、ホルダ10が筐体から抜けようとする場合、ブザー部材側端子86がアンテナ基板50に引っ掛かりやすくなる。その結果、ホルダ10が筐体から脱落しにくくなる。
【0057】
ブザー部材60の金属板62に設けられている回路基板側アーム62aは、Z軸の正の方向からY軸の正の方向に傾斜する方向に延在している。これによって、回路基板側アーム62aの先端に位置する回路基板側端子62cが回路基板20に引っ掛かりにくくなる。その結果、電子体温計1の組み立て時に、ブザー部材60及び回路基板20が破損しにくくなる。逆に、ホルダ10が筐体から抜けようとする場合、回路基板側端子62cがアンテナ基板50に引っ掛かりやすくなる。その結果、ホルダ10が筐体から脱落しにくくなる。
【0058】
本開示に係る構成は、上述した実施形態で特定された構成に限定されず、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再構成可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 電子体温計(2:本体ハウジング、3:尾部ハウジング、4:エンドキャップ、、6:表示窓、8:内部構造)
10 ホルダ(11:爪部、12:ボス、13:縁部、13a:開口、15:表示部固定部材、16:位置決め孔、18:ベース板)
20 回路基板(21:プロセッサ、22:温度計測部、22a:温度計測部配線、23、24、25:電極、26:係合部)
30 電池
40 表示部
50 アンテナ基板(52:アンテナ配線、54:アンテナ電極、56:縁部、56a:開口、57:シールド部材)
60 ブザー部材(62:金属板(62a:回路基板側アーム、62b:屈曲部、62c:回路基板側端子)、64:圧電素子)
70 アンテナ接続部材(71:アンテナ基板側アーム、72:回路基板側端子、73:アンテナ基板側端子、74:屈曲部、75:回路基板側ベース)
80 ブザー接続部材(81:ベース、82:回路基板側アーム、83:回路基板側端子、84:屈曲部、85:ブザー部材側アーム、86:ブザー部材側端子、87:屈曲部、88:係合部、89:縁部、89a:開口)