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特許7097856脱酸トマト汁におけるリコピン増量方法、脱酸トマト汁及びその製造方法、並びに、低酸度トマト含有飲料におけるリコピン増量方法及び低酸度トマト含有飲料の製造方法
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  • 特許-脱酸トマト汁におけるリコピン増量方法、脱酸トマト汁及びその製造方法、並びに、低酸度トマト含有飲料におけるリコピン増量方法及び低酸度トマト含有飲料の製造方法 図1
  • 特許-脱酸トマト汁におけるリコピン増量方法、脱酸トマト汁及びその製造方法、並びに、低酸度トマト含有飲料におけるリコピン増量方法及び低酸度トマト含有飲料の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】脱酸トマト汁におけるリコピン増量方法、脱酸トマト汁及びその製造方法、並びに、低酸度トマト含有飲料におけるリコピン増量方法及び低酸度トマト含有飲料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/02 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
A23L2/02 F
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019089552
(22)【出願日】2019-05-10
(62)【分割の表示】P 2017219644の分割
【原出願日】2016-11-11
(65)【公開番号】P2019146585
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2019-05-10
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000104113
【氏名又は名称】カゴメ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】市川 恵里子
【合議体】
【審判長】須藤 康洋
【審判官】加藤 友也
【審判官】奥田 雄介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-149943(JP,A)
【文献】特開2014-82944(JP,A)
【文献】特開2014-82943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L2/00-2/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱酸トマト汁の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも、次の工程であり、
(1)調合
ここで調合されるのは、少なくとも、ホットブレイクされたトマトペーストであり、
それによって得られるのは、調合液であり、
前記調合液は、糖度9.0の時の透過率が18.3%以下であり、
(2)脱酸
ここで脱酸されるのは、前記調合液であり、
(3)除去
ここで除去されるのは、不溶性成分の一部又は全部であり、当該除去は、前記脱酸の後に行われ、
それによって得られるのは、脱酸トマト汁であり、
前記脱酸トマト汁が含有するのは、リコピンであり、その含有量は、0.71mg%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明が関係するのは、脱酸トマト汁におけるリコピン増量方法、脱酸トマト汁及びそ
の製造方法、並びに、低酸度トマト含有飲料におけるリコピン増量方法及び低酸度トマト
含有飲料の製造方法である。
【背景技術】
【0002】
従来から健康の維持のために人々が飲んでいるのは、トマト含有飲料であり、このトマ
ト含有飲料を例示すると、ストレートトマトジュース、濃縮還元トマトジュース、濃縮ト
マト飲料等である。近年、人々が注目しているトマト成分は、リコピンである。リコピン
は、トマトの代表的な機能性成分であり、その認知度も高い。リコピンを手軽に摂取する
方法は、トマト含有飲料の飲用である。それ故、トマト含有飲料の注目度は、高くなって
いる。
【0003】
他方、近年、人々が好んで飲むトマト含有飲料が呈しているのは、強い甘味である。強
い甘味を実現する原材料は、いくつか知られており、例えば、脱酸トマト汁等である。こ
こで、脱酸トマト汁とは、トマトの搾汁又はその濃縮還元汁であって、酸が除去又は低減
されたものをいう。脱酸トマト汁の製造方法は、各種知られており、具体的には、次のと
おりである。
【0004】
特許文献1が開示するのは、脱酸トマト汁の製造方法であり、その目的は、トマトの酸
味の抑制である。当該製造方法を構成するのは、少なくとも、配合及び除去である。すな
わち、透明トマト汁に配合されるのは、カルシウム又はその塩である。配合後、透明トマ
ト汁から除去されるのは、カルシウム生成物である。
【0005】
特許文献2が開示するのは、脱酸トマト汁の製造方法であり、その目的は、トマトの酸
味の抑制である。当該製法を構成するのは、少なくとも、陰イオン交換である。すなわち
、透明トマト汁を陰イオン交換する手段は、重炭酸置換又は炭酸置換された陰イオン交換
樹脂である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5534235号公報
【文献】特許第5639950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、低酸度トマト含有飲料におけるリコピンの増量であ
る。ここで、低酸度トマト含有飲料とは、トマト含有飲料であって、その原材料の一部又
は全部が脱酸されたものをいう。そのような原材料を例示すると、脱酸された透明トマト
汁(以下、本段落では、単に「脱酸トマト汁」という。)である。低酸度トマト含有飲料
におけるリコピン含有量を増す方法は、脱酸トマト汁の配合量を増すこと、又は、未脱酸
のトマト原材料の配合量を増すことである。脱酸トマト汁の配合量を増す場合、pHが高
くなり、殺菌条件が厳しくなる。殺菌条件が厳しくなると、加熱臭等、香味への悪い影響
が生じてしまう。他方で、未脱酸のトマト原料の配合量を増す場合、酸度が上がり、酸味
が強くなる。酸味が強くなると、低酸度トマト含有飲料の価値は低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上を踏まえて、本願発明者が鋭意検討して見出したのは、トマト加工原料の調合液を
脱酸する工程において、当該調合液の透過率を低くすることで、透過率の高い調合液を脱
酸するのに比べ、リコピン含有量が増量することである。この知見の下で本願発明者が完
成させた発明は、次のとおりである。
【0009】
本発明に係る脱酸トマト汁におけるリコピン増量方法を構成するのは、少なくとも、
脱酸及び測定である。すなわち、トマト加工品の調合液は、脱酸され、それによって得ら
れるのは、脱酸トマト汁である。当該脱酸トマト汁が含有するのは、リコピンであり、そ
の含有量は、0.71mg%以上である。当該調合液の透過率が測定されるのは、当該脱
酸の前である。当該方法において、当該調合液の透過率は、18.3%以下である。当該
透過率の測定時における当該調合液の糖度は、9.0である。
【0010】
本発明に係る脱酸トマト汁の製造方法を構成するのは、少なくとも、調合及び脱酸であ
る。一又は複数のトマト加工品が調合されて得られるのは、調合液である。当該調合液の
透過率は、18.3%以下である。当該調合液が脱酸されて得られるのは、脱酸トマト汁
である。当該製造方法を構成するのは、更に、測定である。すなわち、当該調合液の透過
率が測定されるのは、当該脱酸の前である。当該透過率の測定時における前記調合液の糖
度は、9.0である。当該調合において、当該トマト加工品の一部又は全部は、ホットブ
レイクされている。
【0011】
以上を纏めると、本発明に係る脱酸トマト汁が含有するのは、リコピンであり、その含
有量は、0.71mg%以上である。
【0012】
本発明に係る低酸度トマト含有飲料におけるリコピン増量方法を構成するのは、少なく
とも、配合である。ここで、少なくとも脱酸トマト汁は、配合される。当該脱酸トマト汁
が含有するのは、リコピンであり、その含有量は、0.71mg%以上である。
【0013】
本発明に係る低酸度トマト含有飲料の製造方法を構成するのは、少なくとも、配合であ
る。ここで、少なくとも脱酸トマト汁は、配合される。当該脱酸トマト汁が含有するのは
、リコピンであり、その含有量は、0.71mg%以上である。
【発明の効果】
【0014】
本発明が提供できるのは、低酸度トマト含有飲料であって、そのリコピン含有量が増量
したものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施の形態に係る脱酸トマト汁の製造方法の流れ図
図2】本実施の形態に係るトマト含有飲料の製造方法の流れ図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本実施の形態に係る脱酸トマト汁の製造方法の概要>
図1が示すのは、本実施の形態に係る脱酸トマト汁(以下、本脱酸トマト汁)の製造方
法の流れである。本脱酸トマト汁の製造方法を構成するのは、調合(S10)、脱酸(S
20)、除去(S30)、並びに殺菌、冷却(S40)及び充填(S50)である。
【0017】
<調合(S10)>
調合工程では、少なくとも、透過率が18.3%以下の調合液が調合される。透過率が
18.3%以下の調合液を調合する目的は、リコピン含有量の増量である。当該調合液が
含むトマト加工原料は、リコピンを含有していれば特に限定されず、例えば、トマトの搾
汁液、トマトの搾汁残渣、トマトペースト及びトマトピューレ―などである。
【0018】
<脱酸(S20)>
脱酸工程では、トマト加工原料の有機酸が除去される。有機酸を除去する目的は、酸味
の抑制である。有機酸を除去する手段は、公知の手段でよいが、好ましくは、カルシウム
又はその塩か、あるいは、陰イオン交換樹脂である。具体的な説明のために、本明細書が
取り込むのは、特許第5534235号公報及び、特許第5639950号公報の内容で
ある。
【0019】
<除去(S30)>
除去過工程では、不溶性成分の一部又は全部が除かれる。不溶性固形分の一部又は全部
を除く理由は、濁りの除去および低粘度化である。濁りの原因は、カルシウム生成物であ
る。当該カルシウム生成物は、脱酸工程で加えられたカルシウム又はその塩と、トマト原
料に含まれる酸味成分が反応して形成されたものである。不溶性固形分を除去する手段は
、公知の方法で良く、例えば、遠心分離等がある。除去工程は、陰イオン交換樹脂を用い
て脱酸を行う場合、適宜省略可能である。
【0020】
<殺菌、冷却(S40)、及び充填(S50)>
以上に加えて、本脱酸トマト汁の製造方法が適宜採用するのは、殺菌、冷却、及び充填
である。これらの方法は、公知の方法で良く、例えば、プレート式殺菌、チューブラー式
殺菌方法等がある。各工程は、適宜省略可能である。
【0021】
<トマト加工原料>
トマト加工原料を列挙すると、トマトの搾汁(ストレート果汁)、濃縮トマト(トマト
ピューレ及びトマトペースト)及び濃縮トマトの還元汁、並びにそれらの加工汁である。
トマトの搾汁(ストレート果汁)及び濃縮トマトの定義を説明するため、本明細書に取り
込まれるのは、トマト加工品の日本農林規格(最終改正平成21年5月19日農林水産省
告示第669号)である。また、トマトペーストのうち、ホットブレイクトマトペースト
とは、ホットブレイクされたものをいい、コールドブレイクトマトペーストとは、コール
ドブレイクされたものをいう。ホットブレイクとは、加熱によりペクチナーゼ活性を抑制
し、トマトペーストの粘度を高める方法である。他方、コールドブレイクとは、加熱によ
るペクチナーゼ活性の抑制を行わない、又はホットブレイクよりも弱い加熱を行う方法で
あり、ホットブレイクされたトマトペーストに比べ、粘度が低くなる。また、搾汁及び濃
縮の詳細な説明のため、本明細書に取り込まれるのは、最新果汁・果実飲料辞典(社団法
人日本果汁協会監修)の内容である。当該加工汁を例示すると、除パルプ汁や脱酸トマト
汁である。除パルプ汁とは、トマトの搾汁又は濃縮トマトの還元汁であって、その不溶性
固形分の一部又は全部が取り除かれたものである。脱酸トマト汁とは、先に述べたとおり
である。
【0022】
<糖度(Brix)>
本実施の形態に係る、脱酸トマト汁のBrixは、特に限定されないが、好ましくは、
5.0以上15.0以下である。Brixの測定方法は、公知の方法でよい。測定手段を
例示すると、デジタル屈折計(RX5000i ATAGO社製)である。
【0023】
<酸度>
本実施の形態に係る、脱酸トマト汁の酸度は、特に限定されないが、好ましくは、0.
1以上0.5以下である。酸度の測定方法は、公知の方法でよい。測定方法を例示すると
、0.1N水酸化ナトリウム標準液を用いた滴定法である。
【0024】
<pH>
本実施の形態に係る、脱酸トマト汁のpHは、特に限定されないが、好ましくは、4.
5以上6.5以下である。pHの測定方法は、公知の方法でよい。測定手段を例示すると
、pH計(pH METER F-52 HORIBA社製)である。
【0025】
<リコピン含有量>
本実施の形態に係る、脱酸トマト汁のリコピン含有量は、0.71mg%以上である。
好ましくは、1.70mg%以上2.74mg%以下である。リコピンの測定方法は、公
知の方法でよい。公知のリコピンの測定方法として、非特許文献(J. Agric.
Food Chem. 2011,59,2966-2971 )等に記載の方法がある
。測定手段を例示すると、液体高速クロマトグラフィー(SPD-10A、LC-10A
D 島津社製)である。なお、単位「mg%」が意味する所は、対象となる試料100g
中に含まれる、物質の重量(mg)である。
【0026】
<透過率>
本実施の形態に係る脱酸トマト汁の脱酸前の透過率は、18.3%以下である。好まし
くは、1.0%以上18.3%以下であり、より好ましくは、2.0%以上8.7%以下
である。透過率が低すぎると、粘度が高くなり、扱いにくくなる。透過率が高すぎると、
リコピン含有量が増量しない。透過率の測定時期は、脱酸の前である。透過率を測定する
ことの利点は、リコピンを測定するよりも簡便な点である。また、有機溶媒を使用する必
要もないため、食品製造工程へ導入し易い。透過率の測定は、分光光度計によって行われ
る。測定手順を例示すると、試料を1,450×gで10分間遠心分離を行い、遠心分離
後、上清を採取して、660nmの波長における透過率(%T)を試料の透過率とする。
試料は、予めBrixを9.0に調整したものを用いる。試料のBrixを調整する目的
は、濃度の差が透過率に与える影響を排除するためである。調整するBrixが9.0で
ある理由は、飲料に配合する原料として扱いやすい濃度の下限だからである。脱酸前の脱
酸トマト汁のBrixが9.0を下回ると、飲料に配合する際に、大量の脱酸トマト汁が
必要となるため、扱いにくくなる。脱酸前の脱酸トマト汁のBrixが9.0を上回って
いる場合は、水で希釈して測定を行えば良い。
【0027】
<本実施の形態に係るトマト含有飲料の製造方法の概要>
図2が示すのは、本実施の形態に係るトマト含有飲料(以下、「本飲料」とする。)の
製造方法の流れである。本飲料の製造方法を構成するのは、配合(S60)、並びに、殺
菌、冷却(S70)及び充填(S80)である。
【0028】
<トマト含有飲料>
トマト含有飲料とは、飲料であって、その主原料がトマト(以下、「トマト加工原料」
ともいう。)であるものをいい、例示すると、ストレートトマトジュース、濃縮還元トマ
トジュース、濃縮トマト飲料等である。本飲料の流通形態は、好ましくは、容器詰である
。容器を例示すると、PET容器、紙容器、缶などである。
【0029】
<配合(S60)>
配合工程では、少なくとも、リコピン含有量が、0.71mg%以上の脱酸トマト汁が
配合される。加えて、リコピン含有量が、0.71mg%未満の脱酸トマト汁が配合され
ても良い。つまり、ここで、調整されるのは、リコピン含有量が0.71mg%以上の脱
酸トマト汁の配合量に対するリコピン含有量が0.71mg%未満の脱酸トマト汁の配合
量である。
【0030】
<殺菌、冷却(S70)、及び充填(S80)>
以上に加えて、本飲料の製造方法が適宜採用するのは、殺菌、冷却、及び充填である。
これらの方法は、公知の方法で良く、例えば、ホットパック殺菌、プレート式殺菌、チュ
ーブラー式殺菌方法等がある。各工程は、適宜省略可能である。
【実施例
【0031】
<脱酸トマト汁の調製法>
市販の透明濃縮トマト汁(Clear Tomato Concentrate、LY
CORED社製、Brix63、酸度4.5%)と、市販のトマトペーストHB(トマト
ペースト ポルトガル産 ホットドブレイク製法、カゴメ製、Brix27、酸度2.0
%)と、市販のトマトペーストCB(トマトペースト ポルトガル産 コールドブレイク
製法、カゴメ製、Brix27、酸度2.0%)と、市販のトマトピューレ―(トマトピ
ューレ―、カゴメ製、Brix21、酸度0.4%)とを、表1に示す割合で混合し、調
合液とした。当該調合液を、80度まで加熱した。加熱した後に、0.5%の炭酸カルシ
ウムを加え、10分間撹拌した。撹拌後、20度まで冷却した。冷却後、遠心分離(8,
000×gで15分間)して得られる上清を、脱酸トマト汁とした。
【0032】
<透過率の測定>
本測定で採用した透過率の測定器は、分光光度計(U-3900 HITACHI社製
)である。前記調合液を一部採取して、Brixを9に調整した後に、1450×gで1
0分間遠心分離を行った。遠心分離後、上清を採取して、660nmの波長における透過
率(%T)を測定した。測定時期は、脱酸前である。
【0033】
<糖度(Brix)の測定>
本測定で採用した糖度(Brix)の測定器は、デジタル屈折計RX5000i(AT
AGO社製)である。測定時の品温は、20度であった。
【0034】
<酸度の測定>
本測定で採用した酸度の算出方法は、0.1N水酸化ナトリウム標準液を用いた滴定法
である。滴定値よりクエン酸当量に換算して算出した。
【0035】
<pHの測定>
本測定で採用したpHの測定器は、pH計(pH METER F-52 HORIB
A社製)である。測定時の品温は、20度であった。
【0036】
<リコピンの測定>
本測定で採用したリコピンの測定方法は、HPLC法である。試料は公知の方法に基づ
いて、溶媒抽出を行い、フィルター濾過したものを検体とした。詳細な測定条件は、以下
のとおりである。
【0037】
<HPLC装置構成>
オートサンプラー :SIL-10ADvp(SHIMADZU)
ポンプ :LC-10ADvp(SHIMADZU)
カラムオーブン :CTO-10Avp(SHIMADZU)
検出器 :SPD-10AVvp(SHIMADZU)
<測定条件>
カラム :ODS(REVERSE-PHASE C18)
(化学物質評価研究機構 L-Column
4.6mm×150mm)
移動相 :アセトニトリル:メタノール:テトラヒドロフラン混液
(55:40:5(v/v)
(α-トコフェロール50ppm含有)
流速 :1.5mL/min
検出波長 :453nm
カラム温度 :40℃
試料注入量 :10μL
分析時間 :20min
<測定結果>
表1が示すのは、比較例と、実施例1から5の測定値である。比較例と実施例1から5
を比較すると、比較例に比べ、実施例1から5のリコピン含有量は、増量した。リコピン
含有量が増量した理由は、推察ではあるが、透過率を上昇させる原因となる微細な不溶性
固形分である。リコピンは水不溶性であるため、不溶性固形分に多く含まれる。透過率を
上昇させる原因となる微細な不溶性固形分が増えることで、リコピン含有量が増量する。
ただし、作用はこれに限定されない。
【0038】
表2が示すのは、市販のトマトペーストCB及び、比較例または実施例1から5を一定
の割合で配合した飲料のシミュレーション値である。シミュレーション1から6を比較す
ると、シミュレーション1に比べ、シミュレーション2から6は、酸度は同程度であるも
のの、リコピン含有量は増量する。
【0039】
<本脱酸トマト汁の物性値>
表1の測定値を踏まえて、本脱酸トマト汁を定義すると、以下のとおりである。当該脱
酸トマト汁のリコピン含有量は0.71mg%以上である。当該脱酸トマト汁を脱酸する
前の調合液の透過率は、18.3%以下である。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明が有用な分野は、トマト含有飲料等の製造及び販売である。
図1
図2