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特許7097868米仕上装置、研米槽、研米装置、清浄米の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】米仕上装置、研米槽、研米装置、清浄米の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B02B 5/02 20060101AFI20220701BHJP
   B02B 3/00 20060101ALI20220701BHJP
   B02B 7/00 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
B02B5/02 107
B02B3/00 E
B02B7/00 Z
B02B7/00 104Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019187776
(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公開番号】P2021062333
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-01-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516175180
【氏名又は名称】犬木 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(72)【発明者】
【氏名】犬木 照夫
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-248359(JP,A)
【文献】特開2014-180636(JP,A)
【文献】特開2003-001122(JP,A)
【文献】特開2010-284575(JP,A)
【文献】特開平06-343882(JP,A)
【文献】特開平08-215589(JP,A)
【文献】特開平08-257423(JP,A)
【文献】特開2005-193228(JP,A)
【文献】特開2005-103334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 5/02
B02B 3/00
B02B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精米あるいは研米された米粒から微粉を除去する米仕上装置であって、
米粒を下方から上方に向けエア搬送する搬送筒と、該エア搬送筒の上部に吸引ファンと集塵機を設けて、散乱・浮遊する微粉を集塵する遊離微粉除去装置と、
遊離微粉除去装置の後工程に設けられた、米粒を下方から上方に向けてエア搬送する搬送筒と、該搬送筒の下方あるいは下部に設けられたウォータミスト供給装置と、該搬送筒の上部に設けられた吸引ファンと集塵機を備え、米粒に付着している微粉をウォータミストに曝して加湿し、米粒表面から離れやすくした状態でエア搬送することにより、付着している微粉を分離し上流側で集塵する付着微粉除去装置と、
を備えた米仕上装置。
【請求項2】
米粒が清浄米の米粒であり、清浄米仕上装置であることを特徴とする請求項1記載の米仕上装置。
【請求項3】
研米系装置、精米供給系装置、脱脂糠供給系装置と清浄米仕上系装置を備えた研米装置であって、
研米系装置は、脱脂糠を研米材とする研米槽、研米槽の排出口に設置された米糠選別篩を有し、
脱脂糠供給系装置は、米糠選別篩の直後に脱脂糠再生装置を有しており、
研米槽、米糠選別篩、脱脂糠再生装置は、いずれも縦軸回転型であって、連続した直列縦型に配置されており、研米処理、米糠選別処理、脱脂糠再生処理を上から下へ連続して処理を行い、
清浄米仕上系装置は、米を下から上にエア搬送し、上部に集塵する集塵機を設けたエア搬送筒を利用した遊離微粉除去装置と付着微粉除去装置の2つの微粉除去装置を備えており、
米を米糠選別篩の下部から遊離微粉除去装置のエア搬送筒の下部へ送り出す米送り出し筒を有し、
遊離微粉除去装置のエア搬送筒には、ウォータミスト供給装置を備えていない、エアによって分離される微粉を集塵する集塵機を備えており、
付着微粉除去装置の搬送筒には、下方あるいは下部にウォータミスト供給装置を設けて、米に付着している微粉を分離して集塵する集塵機を備えており、
空気で分離できる微粉の除去処理と、米に付着している微粉をウォータミストとの接触を利用して分離して除去する処理の2段処理を行う清浄米仕上げ処理であることを特徴とする研米装置。
【請求項4】
研米槽と研米槽の排出口に設置された米糠選別篩を有し、米糠選別篩の直後に脱脂糠再生装置を有する研米装置であって、
研米槽、米糠選別篩、脱脂糠再生装置はいずれも縦軸回転型であり、
研米槽と米糠選別篩は、共通の回転軸であり、
米糠選別篩は、精米を、脱脂糠を用いて研米し、研米処理後の脱脂糠と米を選別する篩であって、有孔筒体と、該有孔筒体の内部に送風機構が設けられており、
脱脂糠再生装置は、精米を脱脂糠を用いて研米し、研米処理後の使用済み脱脂糠を選別し再利用する装置であって、使用済み脱脂糠を投入する投入口と、分離部と、再生脱脂糠を回収する回収部を備えており、
分離部は、縦型の外筒体と外筒内に配置される筒形篩を備え、
外筒体は、外筒体の一方に送風部、他方に吸引部を備え、筒形篩は回転機構を備えていることを特徴とする研米装置。
【請求項5】
精米を脱脂糠と混合、摩擦する研米処理を適用して精米に付着している肌糠等の微粉を分離し、脱脂糠と分離して素清浄米を製造する工程、
素清浄米を下方から上方に向けてエア搬送して、搬送流中に散乱している遊離微粉を集塵する遊離微粉除去工程、
遊離微粉を除去した清浄米にウォータミストを噴霧し、米粒に付着している微粉をウォータミストに曝して加湿し、米粒表面から離れやすくした状態で下方から上方に向けてエア搬送し搬送中に分離された付着微粉を集塵する付着微粉除去工程、
を備えたことを特徴とする清浄米の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精米を原料とし、これを更に研米する装置に関する。本発明は、水を使わずに研米して清浄米(「精白米」と称される場合もある)あるいは無洗米を乾式法によって製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
精米した白米の表面には精米機では取りきれない粘性のヌカ(「澱粉」又は「肌糠」とも言う)が残っている。お米をとぎ洗いすることで、このお米の表面についているヌカが洗い落とされ、おいしいご飯になる。お米をとぎ洗いするという手間をなくしたのが無洗米である。無洗米は、洗う必要のない衛生的(きれい)なお米である。袋からお米を出して、水を注ぎ、すぐご飯を炊くことができる。
無洗米を製造する方法として、水を使ってヌカを米の表面から除去して乾燥させた湿式法、水を使わずに研米材などを使用してヌカを落とす乾式法などがある。研米材を使用せず水を利用して精米を水中で摩擦させて研米するいわゆる水洗する湿式法が現在の無洗米の製造方法の主流となっている。しかし、この方法の欠点は食味の低下や精米の劣化等の問題があるが、特筆すべきはカビ等の発生である。
本出願人は、乾式法による無洗米の製造法及び装置に関する発明を提案してきた。即ち、特許第2958885号公報「清浄米製造装置及び製造方法」(特許文献1)、特許第4451006号公報「脱脂糠を用いた清浄米の製造装置及び製造方法」(特許文献2)、および特許第4153844号公報「研米方法、研米装置、研米材並びに無洗米の製造方法及び無洗米製造装置」(特許文献3)である。
これらの発明は、研米材として脱脂糠に注目して、精米に残っているヌカを取り除こうとするものである。精米と研米材を混ぜ合わせて攪拌することにより、お米の表面に残っているヌカと脱脂糠を接触させるために、回転軸に回転体を装着して攪拌研米する方法である。この研米技術は、研米材が精米と精米の間に介在しながら一体となって回転するものであって精米の濁度を十分に下げる程度まで研米するには、長時間を必要とするなど、改良の余地があった。
【0003】
特許文献1は、原料精米に、脱脂糠とナット状の加圧材とを配合し、これらの配合物を回転ドラムに投入し、回転攪拌処理し、清浄米、加圧材、並びに清浄材を選別し、米粒に付着する微粉を除去して、無洗米である清浄米を製造する発明である。
特許文献2は、特許文献1で提案した発明を改良した発明であって、加圧材を用いることなく被処理米と脱脂糠を配合して清浄米を製造する製造装置であって、研米手段と装置構成に改良を加えたものである。
特許文献3は、特許文献1で提案した発明を改良した発明であって、間隔を開けて配置した2つの物体間を相対移動させつつ、2つの物体の間隔に米粒と脱脂糠とを供給して米粒を摩擦研米する発明である。
【0004】
脱脂糠は、脱脂されているので精米の表面にある脂質を含むヌカを吸着しやすいこと、強く擦っても米に傷をつけない硬さであること、含水率が米と同程度に調整しやすく米と混ざっても米を乾燥することなく乾燥割れを防止できること、米から得られる天然素材なので安全な材料であること、大量に安価に得られることなどの特徴があって米と馴染みが良いので本発明者が、注目してきたオリジナル研米材である。米と馴染みが良いことは米の表面に付着して、逆に落ちにくいものでもある。本発明者は、脱脂糠と精米を効率よく接触させ、摩擦して、精米に残存する澱粉を脱脂糠に付着させて除去する方法と装置を開発してきた。脱脂糠を米の表面に押しつける手段と装置を特許文献4に提案し、使用済みの脱脂糠を循環使用することを特許文献4、5に提案している。
特許文献4(特許第4738427号公報)は、間隔を開けて配置した2つの物体間を相対移動させつつ、2つの物体の間隔に米粒と研米材とを供給して米粒を摩擦研米する研米方法であって、研米材として、脱脂糠からアルファ化した白色の澱粉を取り除いた研米材を用いることを特徴とする研米方法あるいは無洗米の製造方法である。
特許文献5(特許第5261294号公報)は、研米材を再利用する手段として、一次篩と分級機を利用した二段階で再生する装置を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第2958885号公報
【文献】特許第4451006号公報
【文献】特許第4153844号公報
【文献】特許第4738427号公報
【文献】特許第5261294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、清浄米の清浄性を向上させる装置を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、主に次の構成による。
1.精米あるいは研米された米粒から微粉を除去する米仕上装置であって、
米粒を下方から上方に向けエア搬送する搬送筒と、該エア搬送筒の上部に吸引ファンと集塵機を設けて、散乱・浮遊する微粉を集塵する遊離微粉除去装置と、
遊離微粉除去装置の後工程に設けられた、米粒を下方から上方に向けてエア搬送する搬送筒と、該搬送筒の下方あるいは下部に設けられたウォータミスト供給装置と、該搬送筒の上部に設けられた吸引ファンと集塵機を備え、米粒に付着している微粉をウォータミストに曝して加湿し、米粒表面から離れやすくした状態でエア搬送することにより、付着している微粉を分離し上流側で集塵する付着微粉除去装置と、
を備えた米仕上装置。
2.米粒が清浄米の米粒であり、清浄米仕上装置であることを特徴とする1.記載の米仕上装置。
3.研米系装置、精米供給系装置、脱脂糠供給系装置と清浄米仕上系装置を備えた研米装置であって、
研米系装置は、脱脂糠を研米材とする研米槽、研米槽の排出口に設置された米糠選別篩を有し、
脱脂糠供給系装置は、米糠選別篩の直後に脱脂糠再生装置を有しており、
研米槽、米糠選別篩、脱脂糠再生装置は、いずれも縦軸回転型であって、連続した直列縦型に配置されており、研米処理、米糠選別処理、脱脂糠再生処理を上から下へ連続して処理を行い、
清浄米仕上系装置は、米を下から上にエア搬送し、上部に集塵する集塵機を設けたエア搬送筒を利用した遊離微粉除去装置と付着微粉除去装置の2つの微粉除去装置を備えており、
米を米糠選別篩の下部から遊離微粉除去装置のエア搬送筒の下部へ送り出す米送り出し筒を有し、
遊離微粉除去装置のエア搬送筒には、ウォータミスト供給装置を備えていない、エアによって分離される微粉を集塵する集塵機を備えており、
付着微粉除去装置の搬送筒には、下方あるいは下部にウォータミスト供給装置を設けて、米に付着している微粉を分離して集塵する集塵機を備えており、
空気で分離できる微粉の除去処理と、米に付着している微粉をウォータミストとの接触を利用して分離して除去する処理の2段処理を行う清浄米仕上げ処理であることを特徴とする研米装置。
4.研米槽と研米槽の排出口に設置された米糠選別篩を有し、米糠選別篩の直後に脱脂糠再生装置を有する研米装置であって、
研米槽、米糠選別篩、脱脂糠再生装置はいずれも縦軸回転型であり、
研米槽と米糠選別篩は、共通の回転軸であり、
米糠選別篩は、精米を、脱脂糠を用いて研米し、研米処理後の脱脂糠と米を選別する篩であって、有孔筒体と、該有孔筒体の内部に送風機構が設けられており、
脱脂糠再生装置は、精米を脱脂糠を用いて研米し、研米処理後の使用済み脱脂糠を選別し再利用する装置であって、使用済み脱脂糠を投入する投入口と、分離部と、再生脱脂糠を回収する回収部を備えており、
分離部は、縦型の外筒体と外筒内に配置される筒形篩を備え、
外筒体は、外筒体の一方に送風部、他方に吸引部を備え、筒形篩は回転機構を備えていることを特徴とする研米装置。
5.精米を脱脂糠と混合、摩擦する研米処理を適用して精米に付着している肌糠等の微粉を分離し、脱脂糠と分離して素清浄米を製造する工程、
素清浄米を下方から上方に向けてエア搬送して、搬送流中に散乱している遊離微粉を集塵する遊離微粉除去工程、
遊離微粉を除去した清浄米にウォータミストを噴霧し、米粒に付着している微粉をウォータミストに曝して加湿し、米粒表面から離れやすくした状態で下方から上方に向けてエア搬送し搬送中に分離された付着微粉を集塵する付着微粉除去工程、
を備えたことを特徴とする清浄米の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
1.清浄性を向上させた清浄米を製造することができた。これまで提案してきた清浄米の製造方法の各工程を見直すとともに、新たな手段を追加することによって、清浄米の清浄性を向上させることができた。
2.脱脂糠から分離された素清浄米には、分離しきれていない脱脂糠微粉や米粒に付着している微粉が混入しており、単純な篩では微粉が残るので、本発明ではエア搬送技術を利用し微粉除去を2段階に適用して清浄性を増した清浄米を製造した。この技術は、一般の精米された白米にも適用して、白米の清浄性を向上させることができる。
この2段階仕上げは、最初に、下方から上方に向けてエア搬送することにより、米粒と微粉は散乱・浮遊した状態になるので、上流側で集塵する。次に、米粒に付着している微粉をウォータミストに曝して加湿し、米粒表面から離れやすくした状態でエア搬送することにより、空気流や米粒同士が接触する刺激によって付着している微粉を分離して、上流側で集塵する。米粒の表面に水分が付着し、表面に微粉がある場合は微粉の湿度が上昇し、米粒本体との間に水分差が生じ、搬送に伴う相互摩擦によって、分離されやすくなると考えられる。
3.また、さらに、本発明では、研米槽の上部に加圧部を設ける提案もしており、研米槽内で穀粒と脱脂糠が狭い隙間を通過するので、摩擦によって、穀粒の温度が上昇し、米の温度が上昇すると乾燥が進んで、割れや欠けの原因になるが、ウォータミストの供給によって、米の過加熱を抑えた結果、割れや欠けの防止と、調湿ができ品質の向上につながることとなった。
4.研米槽の上部に加圧部を設けることにより、研米槽の長さ(高さ)を短くすることができ、研米装置の設置高を抑制することができる。設置高を低くすることにより、研米装置の運転、管理が容易になる。特に、研米槽、米糠分離篩、脱脂糠再生装置を直列縦型に配置した場合、研米装置の設置高を抑える効果は高く、精米の供給、脱脂糠の供給も含めて高所作業を少なくすることができることは、安全性も含めて管理が容易になる。
本発明では、加圧手段として回転棒を用いて、過度な加圧を防止し、詰まりや米粒の破損を防止している。回転棒と固定棒の狭い間を通過させる研米手段を採用している本発明では、過度に加圧しても、通過部を通過する米粒に大きな力が加わることになり有益ではないので、スクリュー型送り装置のような強制型は適切ではない。
5.本発明の研米装置は、加圧型の研米槽、エア搬送による遊離微粉除去、ウォータミスト供給、エア搬送による付着微粉除去を採用することにより、精米や清浄米の清浄度を向上させることと、低装置高として管理性も向上させることができた。
6.本発明で製造された清浄米は、一回の水洗で20ppm以下の懸濁性を発揮することができるほどの清浄性を備えている。20ppm以下は、通常米を研いで炊飯する場合の最終の研ぎ水よりもきれいであり、一般に流通している無洗米と同等あるいはそれ以上の清浄性である。
7.さらに、各構成要素の工夫により次のような作用効果を発揮する。
(1)本発明の研米装置は、研米槽と米糠選別篩と脱脂糠再生装置をいずれも縦回転の装置として、上下に並べることによって、米や糠を落下方向に連続的に処理することができ、省力化とコンパクト化を実現した。
(2)縦軸を備えた回転板を有する米糠選別篩を使用することにより、縦回転軸を備えている研米槽と回転軸を共通にすることができ、モータを共通化できる。
(3)米や糠を落下運動させながら処理することを実現するために、米糠選別篩では、研米槽の出口から排出される米と糠の混合物を縦回転板で発生する風によって吹き飛ばすことにより、重い米は下方に落下するか有孔筒に当たって落下する。軽い糠類は、有孔筒の孔から排出されて、米と糠が分けられる。有孔筒に形成される孔は、米が通過しないが、糠が通過する程度の大きさに設定される。
回転板は、風を起こす羽の機能であり、落下する米が板に当たって跳ね飛ばされることもあるが、有孔筒があるので、有孔筒から飛び出ることはなく、落下する。さらに、回転軸から空気を噴出させるなど、中心部から送風することによって、軽量な糠を吹き飛ばす作用を増強することができる。この場合、例えば、回転軸は中空パイプとし、軸端から空気を送り込む。
この選別は、基本的には重力選別であって、重い米を近くに落下させ、軽い脱脂糠を外側に飛ばすものである。有孔筒は、回転板などで飛ばされる米を回収することが主である。分離された米部分に混在する脱脂糠は、後工程の仕上げ篩で取り除かれる。
(4)脱脂糠再生装置は、使用済み脱脂糠を投入する投入口と、分離部と、再生脱脂糠を回収する回収部を備えており、分離部は、縦型の外筒体と外筒内に配置される篩孔を備えた筒形篩を備えている。
分離部の外筒体は一方に送風部と他方に吸引部があって、吸引部から細かな肌糠や微粉化した脱脂糠を吸い出す構成である。外筒体内に配置された篩孔を備えた筒形篩は篩機能である。篩孔は、再利用する脱脂糠の通り抜けを防止する大きさの孔である。回転する筒形篩を使用済み脱脂糠は降下して、降下途中で、吸引と送風を受けて、吸引側では細かい成分を通過させる。吸引側で筒形篩の篩孔が目詰まりなどしても、送風側で吹き飛ばされて吸引側に移動する間に散乱して、吸引側で細かい組成が排出されるという動作を繰り返して、再利用可能な脱脂糠に生成される。繰り返し篩作用を受けるので、再利用に供される脱脂糠の品質が向上する。
使用済み脱脂糠には肌糠などの付着力の強い微粉が含まれていて、脱脂糠同士が塊になることや筒形篩の篩孔に詰まることとなるので、塊を分解すること及び筒形篩の篩孔の目詰まりを防止して篩機能を維持することが重要になる。本発明の脱脂糠再生装置の分離部は、筒形篩を回転させながら、吸引と送風に曝すことによって、吸引側で目詰まりしても、送風に曝されてクリーニングされて篩機能が再生されることとなる。
つまり、回転する筒形篩を縦型にして、送風と吸引によって常時クリーニング機能を持たせたので、付着力の強い肌糠などの成分があっても、篩機能を維持することができる。また、脱脂糠も風に乗って左右に移動する間に散乱してほぐされることとなる。したがって、脱脂糠再生装置では、円筒形の篩を縦回転させて用いた目篩として機能する。
さらに、本発明では、脱脂糠の塊の分解を促進する手段として筒形篩の内部に有孔筒体を同心円状に配置することや筒形篩の内側に傘状の回転傾斜板を配置している。
同心円状に筒形篩の内側に配置された有孔筒体を設けることによって、脱脂糠の塊が有孔筒体を通過して分解が促進される。有孔筒体の孔の径は、外側の筒形篩の篩孔の径よりも大きくする。
脱脂糠は、回転傾斜板の傾斜に沿って転がって昇降して、その間に分解が促進される。
傘状の傾斜回転板は、有孔筒体と組み合わせて用いることができる。
(5)筒形篩の下部側に孔を設けずにめくらとすることにより、送風、吸引作用を受けない部分を形成して、再生用脱脂糠の落下を促進して、回収を促進する。
(6)本発明の研米装置において、これらの工夫された米糠選別篩と脱脂糠再生装置は、研米槽と上下に組み合わせることに適しており、縦一列にして、研米装置全体に高さを低くし、場所をとらず、省スペース、省エネでかつメンテナンスが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】研米装置のブロック図
図2】研米装置の例の概略を示す図
図3】研米機の例を示す図
図4】ミスト供給機付き微粉除去装置の例を示す図
図5】米糠選別篩の例を示す図
図6】脱脂糠再生装置の例を示す図
図7】新脱脂糠混入機構の例を示す図
図8】脱脂糠再生装置の他の例を示す図
図9】脱脂糠再生装置用筒型篩の例2
図10】脱脂糠再生装置用筒型篩の例3
図11】脱脂糠再生装置用筒型篩の例4
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、脱脂糠を研米材に用いて精米を清浄米に加工する技術に関する。
清浄米製造システムのブロック図を図1に示す。
清浄米製造システムである研米装置1000は、研米系100、精米供給系200、脱脂糠供給系300、清浄米仕上系400、廃棄物系500の装置から構成されている。
研米系の装置100では、研米材である脱脂糠Bと精米Aを研米槽に投入して、混合し、摩擦して研米し、両者を混合状態の研米処理物Cとして排出し、脱脂糠等を分離して、素清浄米Dを得る工程である。素清浄米は、清浄米仕上げ系400へ搬出される。
精米供給系200は、玄米を精米機で処理した精米Aを研米系100の研米槽の入り口へ供給する。
脱脂糠供給系の装置300は、脱脂糠を研米系100の研米槽の入口へ供給するものであって、本発明では、研米槽から排出された一旦使用された脱脂糠を再生して循環利用し、不足分として新脱脂糠を供給している。
清浄米仕上系の装置400は、研米系100から排出された素清浄米Dに混ざっている微粉や素清浄米Dに付着している微粉を除去して、清浄度の高い清浄米に仕上げる。
廃棄物系500は、精米Aから分離された肌糠や再利用できないほど小さくなった脱脂糠、欠け米などが、各工程から排出される廃棄物である。
【0011】
本発明では、特に、(1)研米槽の入り口側に加圧部を設けて、研米棒と抵抗棒による研米部を短くし、研米槽全体を小型化(短く)したので、研米槽と縦置きした場合、研米槽のトップを低くすることができ、精米や脱脂糠の投入管理を容易にすることができる。研米槽は、横置タイプにすることもでき、この場合でも小型化できる。
(2)清浄米仕上工程として、研米槽から排出され脱脂糠と分離回収された素清浄米に混入している微粉をエア搬送による上昇流に載せて、穀粒と混入微粉を分離し、散乱した状態にして、集塵する遊離微粉除去装置を設けた。
(3)清浄米仕上工程として、さらに、米粒に付着している微粉を除去するために、エア搬送の下部側からウォータミストを噴霧して、付着している微粉を加湿し、剥がれやすい状態にして、上昇流によるエア搬送を行い、米粒の相互接触、散乱などの作用を受けて、付着微粉を分離し、集塵することにより、清浄米をきれいにする付着微粉除去装置を設けた。
これらの仕上げ工程に用いる2段階の微粉除去装置は清浄米だけでなく精米にも適用できる技術である。
(4)研米装置の高さを抑えて、低い設置箇所にも適用でき、高所作業を省いて運転管理を容易にした抵高さタイプあるいは小型タイプの研米装置であって、微粉の除去機能を清浄米の仕上工程を設けたことにより、洗米水を低濁度に抑えることができるきれいな清浄米(清々清浄米)を製造する研米装置を実現している。
本発明では、そのほか本発明者等が過去に提案した清浄米製造装置の各構成要素を用いることできる。先に挙げた特許文献の外、特願2018-076461号を挙げることができる。
【0012】
脱脂糠を研米材として用いた研米方法の概略は次のとおりである。
1.脱脂糠を研米材として用いる研米方法は、米粒の表層を削り取るのではなく、精米後の米粒に残存するヌカ(「ヌカ」は、精米表面に残っている米糠を意味し、澱粉質を多く含み肌糠とも言われている。精米時に出る糠と区別するために本発明細書では「肌糠」と称する。本出願明細書では、精米を研米して分離される成分を肌糠と称し、この肌糠(「澱粉」などの剥離した微粉材を含んでいる。)を引き剥がすために、脱脂糠を用いるものである。たとえて曰く、米粒の表面を米から得られた糠で拭き取り磨く様な行為である。糠から油成分を除去して得られた脱脂糠が研米材に使用される。脱脂糠を用いる研米方法は、多量の米を短時間に処理する効率性を有し、各米粒の表面に磨きを掛けてきれいにでき、精米を研米して、米粒表面からヌカ分などを除去して、炊飯時に洗米の必要のない程度に清浄にできる。
2.研米槽からは米粒と研米材が混在した状態で排出され、これから米粒を選別して回収して、仕上げ篩をして素清浄米を回収する。米粒の回収に際しては、米粒は研米材である脱脂糠や肌糠より重いので、夾雑物を落下させながら水平風を送ることによって、重い米粒を下方に落下させ、軽量物を遠くに飛ばして分離選別することができる。
3.研米処理に用いる脱脂糠の量は、嵩にして米と同程度の量が用いられるので、廃棄せずに循環利用することは研米装置の開発にあたっては重要な要素技術である。本出願人は、脱脂糠から効果的に澱粉を除去して、脱脂糠を再生し循環使用できる装置を開発している。本発明で提供する清浄米は、「無洗米」の一つとして位置づけることができ、「無洗米」は(社)日本精米工業会の定義にしたがっている。
【0013】
<研米装置の基本構成例>
本発明の研米装置の基本構成は次のとおりである。
原料精米と脱脂糠を研米槽に投入し、研米槽内で両者を摩擦して精米に付着している澱粉質の多い肌糠を脱脂糠に付着させて精米から引き剥がして、脱脂糠に付着させて研米槽から排出し、その後精米は素清浄米として分離され、仕上げ装置に送られて、エア搬送を利用して素清浄米に混入している夾雑物を取り除き、さらに、清浄米をウォータミストを噴霧してエア搬送して、清浄米に付着している微粉を分離して取り除くとともに調湿して清浄度を向上させた清浄米として仕上げる。
一方、清浄米以外の脱脂糠等は、摩滅して細かくなった脱脂糠や肌糠を取り除く再生処理を施して再利用する脱脂糠として精製される。
研米装置の機器構成は、前述のとおり、本出願人が提案した特許第4153844号公報、特許第4738427号公報、特許第5261294号公報、特願2018-076461号明細書に開示した装置を使用できる。
【0014】
本出願で提案する研米装置の主要構成要素を次に説明する。本発明では、特に研米槽と清浄米仕上げ用の装置を改良した。
【0015】
[研米槽]
脱脂糠を研米材とする研米方法は本出願人が提案した特許第4153844号公報や特許第5261294号公報に開示した方法、装置を基礎としている。縦型の研米槽は特許第5261294号公報に開示している。
縦型の研米槽を例示すると、縦に設けた円筒型であって、間隔を開けて配置した円筒体に設けた抵抗体と、回転軸に設けた回転体を備えた研米槽内を、投入した精米が上方から下方に移動させつつ、2つの物体間隔に米粒と研米材(脱脂糠)とを供給して米粒を摩擦研米する研米方法である。
研米槽に収納した精米と脱脂糠を回転攪拌することによって精米を研米する装置であって、研米槽の筒形の研米容器内壁に長さ方向に間隔を空けて固定して設けられた複数本の抵抗体と、研米容器内に該間隔に対向して棒状体の研米棒を配置し、研米容器と研米棒とは、相対移動するように構成された研米機を備えた研米装置である。
本発明の研米槽は、抵抗体と研米棒による研米部の前に加圧部を設けたものである。加圧部は、回転軸に傾斜した棒を設けて、精米に下方へ送り圧をかけるものである。この加圧用の棒は、スクリューのような強力な圧力を生むものではなく、丸棒からやや平面部を設けたもの、少しひねりを設けた程度で圧力をかけつつも、米粒は棒体からすり抜けることができる程度の軽い圧力の発生機構である。これは、抵抗体と研米棒の狭い間を精米を通過させる研米部に過度な圧力を加えると、米粒に大きな力が加わって、欠けなどの損傷が発生するのを防止するためである。
【0016】
[米糠選別篩]
米糠選別篩は、精米と研米材である脱脂糠を混合して研米槽で研米した後に清浄米と研米材を分別する装置である。
特願2018-076461号明細書に提案した米糠選別篩の例は、研米槽からでた研米処理物を落下させながら、風を当てて比重の小さいものを分離する風選手段を利用する。
米糠選別篩の機構は、縦型の有孔筒体と、有孔筒体の内部から外方に向けて風を発生させる起風装置とを備えている。有孔筒体の孔の大きさは、米粒よりも小さく設けられている。研米槽から放出された研米処理物が有孔筒体の上方から投入され、研米処理物が有孔筒体を落下しながら外に向かう風に当たることにより、脱脂糠等の軽い物質(粉粒体)は有孔筒体の孔を通過して外方に放出され、重い米は有孔筒体の下方へ落下することによって、米と脱脂糠(粉粒体)を分離する装置である。なお、この米糠を選別する篩では、落下回収する米成分に多少の糠成分が混じることは許容される。ここで分離された米成分を素清浄米と呼び、後工程で、糠成分を分離させて清浄米として仕上げられる。
有孔筒体があることによって、米粒を筒体内壁に当てて落下させて回収できることとなり、米と糠の選別に必要な面積を大きくする必要がない。
有孔筒体は、米粒よりも小さく、脱脂糠よりも十分に大きな孔を設けた筒体であり、ステンレスなどの金属、プラスチックなどの素材を利用することができる。孔を設けた材料としては、パンチングメタル、網目状のメッシュ体などを利用する。有孔筒体の孔は、脱脂糠よりも十分に大きな径を備えているので、目詰まりすることなく脱脂糠を通過させることができる。
【0017】
起風装置としては、有孔筒体の中に回転板や中心部に設けた送風パイプから空気を吹き出す装置等を利用する。回転板は、回転するうちわ機能を発揮するが、米粒を跳ね飛ばすことがあり、跳ね飛ばされた米粒は有孔筒体の内壁に当たって、落下することとなる。
有孔筒体を回転させる必要はないが、回転させることによって、遠心力を発揮させて、目詰まりを予防することもでき、さらに、外側からブラシを当てて、クリーニングすることも可能となる。
メッシュ体を張った円筒体と、円筒体の中心に設置した送風器を備えており、円筒体の上方から研米処理物を落下させると、軽い脱脂糠等が飛ばされて円筒体のメッシュから外へ排出され、重い清浄米が円筒体の底部に落下する。
清浄米は、さらに仕上げ篩を行って、完成された清浄米とする。
脱脂糠は、さらに再利用するために脱脂糠再生装置によって、再生脱脂糠とする。
【0018】
本発明では、清浄米の仕上工程として、素清浄米にウォータミストを供給して微粉を除去するミスト供給器付き微粉除去装置と集塵機を取り付けたスクリューコンベア型の揚米装置を設けて、清浄度を向上させた。
【0019】
[遊離微粉除去装置]
前述した米糠選別篩から搬送樋などを通過して取り出した素清浄米には、まだ分離しきれていない夾雑物が混入している。この夾雑物が混入している素清浄米を下から上へエアを利用して搬送して、夾雑物を分離し、エア中に散乱させ、浮遊している夾雑物を集塵する遊離微粉除去装置を設けた。
エア搬送する筒内を下から上へ素清浄米を搬送し、上方に集塵機を設けて、夾雑物を回収する装置である。
【0020】
[ウォータミスト供給付着微粉除去装置]
前工程の遊離微粉除去でも分離・回収できない微粉が米粒に付着している。このしつこい付着微粉は、研米工程で一旦剥がれた肌糠分が米粒に再付着したものが多く、本発明では、ウォータミストを噴霧して、米粒表面にある付着微粉を加湿することにより、エア搬送による散乱や米粒同士の接触刺激で米粒から付着微粉を脱落させるものである。分離された微粉は、上方に設けられた集塵機で回収して、清浄米の清浄性が向上する。
細かな霧状のウォータミストを噴霧しても、シャワーのような水滴が付着することがないので、全体に加湿雰囲気となり、表面の粉状の微粉が初めに加湿を受け、米粒表面との湿度差ができ、分離しやすくなると考えられる。その後、米粒も加湿され、適度な保湿状態に調湿することができる。
本ウォータミスト供給付着微粉除去装置は、縦方向(縦傾斜も含む)に設けられたエア搬送筒の下方にウォータミスト噴霧用のノズルを設け、筒の上部に集塵機を設け、穀粒を市から上へエア搬送する装置である。
得られた清浄米を清浄米F2(あるいは「清々清浄米」)と呼ぶこととする。
【0021】
[脱脂糠再生装置]
特願2018-076461号明細書に提案した脱脂糠再生装置は、研米に使用された脱脂糠を再利用するための装置である。
研米槽を出た精米は、研米された清浄米(米粒)と使用済みの脱脂糠と摩耗した脱脂糠や精米から剥落した肌糠(澱粉)などの微粉が混じった状態となって米糠選別篩に入り、米糠選別篩内で清浄米と肌糠や脱脂糠などが分離される。
使用済みの脱脂糠は、研米過程で摩耗や破壊されて細かくなったもの、研米処理にて原料精米から剥離させた澱粉質が多いヌカ(肌糠)等が混入しているので、これらの肌糠や細かくなった脱脂糠などの微粉を除去して再利用できる脱脂糠にする装置が脱脂糠再生装置である。
脱脂糠再生装置の構成は、精米を、脱脂糠を用いて研米し、研米処理後の使用済み脱脂糠を選別し再利用する脱脂糠再生装置であって、使用済み脱脂糠を投入する投入口と、分離部と、再生脱脂糠を回収する回収部を備えており、分離部は、縦型の外筒体と、外筒内に配置される、多数の小孔を有する回転する有孔筒体及び/又は回転傾斜板とを備え、外筒体の一方に送風部、他方に吸引部を備えている。
【0022】
分離部は、縦型の円筒形であって、外筒体と筒形篩を備えている。
外筒体は、対向する位置に送風部と吸引部が設けられており、送風部に送風装置、吸引部に吸気装置が接続されている。もしくは、送風装置あるいは吸気装置の一方でも良い。
【0023】
筒形篩は、パンチングメタルやメッシュスクリーンなどに設けられた小孔を篩孔として形成された回転する筒体である。孔の大きさは再利用する脱脂糠が通り抜けできない大きさである。筒形篩は、廃棄する小さな材を通過させ、再利用する大きさを備えた脱脂糠を通過させずに回収する機能を発揮する。この筒形篩は、目篩の機能を果たしている。筒形篩は縦型であるので、水平方向に選別対象物を送る必要があり、外筒体に対向して設けられている送風口と吸引口によって生ずる水平方向の風に乗せて、選別対象物である前工程で分離された研米材等(脱脂糠等)を水平方向に送っている。なお、ここでいうところの「水平方向に送る」とは、縦型の筒形篩の断面方向に一方から他方に流すことであって、完全に水平を意味しておらず、斜め移動も伴うものである。さらに、上から投入して下方から回収する機構であるので、回収される大きさの脱脂糠は徐々に下降することとなる。
そして、筒形篩は回転するので、外筒体の吸引口側で、一旦筒体の内壁にへばりついた脱脂糠等は送風側に回転移動したときに吹き飛ばされ、再度選別されることとなる。したがって、この縦型の筒形篩を回転させて、一方から他方に向けて送風することによって、篩作用が繰り返され、選別精度が向上することとなる。
また、筒形篩に設けられた篩孔が詰まっても、回転して送風側に回ったときに吹き飛ばされて、詰まりが解消されるというクリーニング機能も発揮する。
【0024】
筒形篩にはさらに内部構成として、有孔筒体や回転傾斜板を設けることができる。
筒形篩における選別対象物は、研米に使用された研米材である脱脂糠と精米から剥離した肌糠等で構成されており、特に肌糠は付着力があるため、脱脂糠同士を付着させて塊が生じている場合がある。この塊をほぐして篩の選別性能を発揮させるために、これらの有孔筒体や回転傾斜板を設ける。有孔筒体に設けられる孔は、篩機能ではないので、篩目と同じかそれより大きい孔とする。
有孔筒体は、パンチングメタルやメッシュスクリーン、金網などを使用して筒体に形成する。有孔筒体は筒形篩と同心円状に配置され、回転する。回転に伴い、送風と吸引を繰り返し受けることとなるので、ほぐし効果も上がる。有孔筒体は、複数設けることもできる。また、有孔筒体には、空き空間と有孔板とを配置するなど大きな空間を設けて、空気流の強弱や乱流を形成することもできる。
【0025】
回転傾斜板は、円錐体等の形状であり、孔の無い板体あるいは有孔板を素材として用いることができる。送風側で脱脂糠等を傾斜板の傾斜に沿って吹き上げる作用を及ぼすことによって、ほぐし効果を奏することができる。回転傾斜板には孔を設けて、風や脱脂糠、微粉を孔から通過させてほぐし機能を発揮させることができる。
回転傾斜板は多段に配置して、ほぐし作用を多段階に発揮させると供に、脱脂糠等の落下スピードを緩和し、縦置きした円筒篩による篩作用回数を増加することができる。
設ける板体の数は、任意であって、傘状に傾斜している板体によって、使用済み脱脂糠などの回転挙動に変化が起こり、分散とばらけが生じて、選別効率が向上する。さらに、板体の上面に多数の突起や孔を設けることにより、使用済み脱脂糠などが衝突して分解して、分散することを補助する。突起は、細い針状体や三角棒が好ましい。
有孔筒体と回転傾斜板は単独あるいは組み合わせて用いることができる。
【実施例
【0026】
図2に実施例1に関する研米装置の例を示す。
研米装置1000は、研米系装置100、精米供給系装置200、脱脂糠供給系装置300、清浄米仕上系装置400から構成されている。廃棄物系は米糠選別篩、脱脂糠再生装置、清浄米仕上工程などの各所から発生するので、表記を省略する。
上から研米槽1、米糠選別篩2、脱脂糠再生装置3が順に垂直に配置されている。側方に脱脂糠供給系装置300と精米供給系装置200が配置されている。また、清浄米仕上系装置400が側方に設けてあって、米糠選別篩2の下方から清浄米仕上系装置400に向けて素清浄米が送り出される。脱脂糠再生装置3の下部から再生された脱脂糠が脱脂糠供給系装置300に供給され、途中で新脱脂糠が補給される。研米槽1に供給される精米は精米供給系装置200に設けた精米貯留槽53から供給される。そして、研米槽1の上方に精米ホッパー52と脱脂糠ホッパー42が設けられている。
研米槽1の回転軸11は研米軸回転モーター12で回転される。本例では、研米軸回転モーター12の駆動力は米糠選別篩2の軸も回転させることとなっている。
【0027】
精米及び脱脂糠の処理は次のようになされる。
精米貯留槽53から揚穀筒51を経て上部の精米ホッパー52に精米Aが一旦貯められる。一方、研米材である脱脂糠Bは、最初は新脱脂糠貯留槽43に貯められている新脱脂糠Hが揚糠筒41を上昇して上部の脱脂糠ホッパー42に一旦貯められている。
精米Aと脱脂糠Bは所定割合になるような分量をそれぞれのホッパーから研米槽1に供給され、研米処理されて、米粒と脱脂糠と精米から剥離した肌糠等が混在した研米処理物Cが研米槽1の下部にある排出口16から排出され、そのまま米糠選別篩2に入り、米糠選別篩2において、米粒が分離されて素清浄米Dと粉粒体Eに分離される。
素清浄米Dは清浄米仕上系装置400に移されて、仕上工程で微粉や屑米等を分離して清々清浄米F2に仕上げられる。
研米に使用された脱脂糠、精米から剥離した肌糠などが混在している粉粒体Eは、脱脂糠再生装置3で処理されて、再利用可能な大きさの再生脱脂糠Gと、肌糠や摩耗して微粉化した脱脂糠などの混在した肌糠等微粉J1、さらにシフターから排出される肌糠等微粉J2が分離される。再生脱脂糠Gは、揚糠筒41の下方に供給され、途中で不足分として新脱脂糠が補充されて、上部の脱脂糠ホッパー42に供給される。これによって脱脂糠は循環使用されることとなる。
【0028】
[研米機]
研米機101の例を図3に示す。研米機101は、研米槽1と米糠選別篩2を備えている。
研米槽1は、研米部110の上部に加圧部111が設けられており、容器である槽10、回転軸11、研米軸回転モーター12、加圧棒112、抵抗体13、研米棒14、投入口15、排出口16を備えている。精米Aと脱脂糠Bを槽10の上方に設けられている投入口15から投入し、研米部110では、槽10内で精米Aと脱脂糠Bとを回転攪拌して研磨し、槽10の下方に設けられた排出口16から研米処理されたものを排出する研米槽1であって、槽10内には、槽10の内壁に取り付けた複数本の抵抗体13と回転軸11に設けた研米棒14を配置してある。槽内で研米棒14を回転させることと、抵抗体13の抵抗作用で、精米の移動を制限しつつ精米と脱脂糠を擦り合わせて研米作用を行うように構成された研米槽である。
研米部110の上方に加圧部111が設けてある。回転軸11に加圧棒112が傾斜して設けられている。槽内に投入された精米Aと脱脂糠Bに加圧棒112が作用して、下向きに送る圧力が発生する。加圧棒112で発生させる圧力は、研米部に過度な圧力を発生させて、研米棒の回転によって精米に割れが生ずるようなものではない。
加圧棒は、丸棒や断面楕円形など米粒がすり抜けられるような形状で十分であり、ひねりをつけて取り付けることもできる。
【0029】
[米糠選別篩]
米糠選別篩2は、研米槽1から出た研米処理物Cを落下させながら、風を当てて脱脂糠などの比重の小さいものを分離する風選手段を利用して選別する装置である。
米糠選別篩2の詳細例を図5に示す。
米糠選別篩の全体構成は図5(a)に示され、米糠選別篩2は、有孔筒体21、送風機構22(回転板27)、回転軸(送風筒)23、有孔筒絞り端24、筐体25、米送り出し筒26、受け入れホッパー28、下部開口29を備えている。
断面構成が図5(b)に示されている。断面は中心に回転軸23が有り、回転軸23に回転板24が設けられている。回転軸23と同心円状に孔21bが設けられている有孔筒体21とその外側に筐体25が配置されている。回転軸23は、研米槽1の回転軸11と共通化あるいは、回転軸11の回転に連動させる機構とすることができる。本例では、共通軸として表している。
回転板27は回転することによって団扇の機能を発揮して、風を周囲に送って送風機能を発揮する。回転軸23を多数の孔を設けた筒体として、この筒体に送風することにより、空気吹き出し筒として使用する送風機能を発揮させることができる。送風機構は、回転板27とこの空気吹き出し筒となる回転軸23の双方あるいはどちらか一方を利用することができる。
【0030】
有孔筒体21の素材例を図5(c)に示す。この有孔素材21aはパンチングメタルである。孔21bは米粒の大きさよりも小さく、脱脂糠よりも大きいものを選択する。風選を利用しているが、回転板ではじかれる米粒があるので、遮蔽板の役割を果たすようにしてある。また、米粒を筒体内壁に当てて落下させて回収できるので、米と糠の選別に必要な面積を大きくする必要がなく、遮蔽板の機能を積極的に利用することにより、有孔筒体の径を小さくすることができる。有孔筒体21は、固定タイプあるいは回転軸に取り付けた回転タイプを採用することができる。
有孔筒体の素材例は、耐久性を優先してパンチングメタルにしてあるが、プラスチック製も可能である。プラスチックの場合は、耐久性に劣るものの頻繁に交換して、使い捨てにすることも可能である。したがって、ステンレスなどの金属、プラスチックなどの素材を利用することができる。孔を設けた材料としては、パンチングメタル、網目状のメッシュ体などを利用する。有孔筒体の孔は、脱脂糠よりも十分に大きな径を形成して、目詰まりすることなく脱脂糠を通過させる。
【0031】
米糠選別篩2は、縦型の有孔筒体21と、有孔筒体21の内部から外方に向けて風を発生させる送風機構22、及び有孔体21を包む筐体25とを備えている。有孔筒体21の孔21bの大きさは、米粒よりも小さく設けられている。研米槽1から放出された研米処理物Cを有孔筒体21の上方に設けた受け入れホッパー28から受け入れられる。研米した穀粒と脱脂糠などが混じった研米処理物Cは、有孔筒体21内を落下しながら送風機構22(回転板27あるいは送風筒23)で作られた外に向かう風に当たって、脱脂糠等の軽い物質(粉粒体E)は有孔筒体21の孔21bを通過して外方に放出され、重い米粒は有孔筒体21内を落下して有孔筒絞り端24に集められ素清浄米Dとなり、米送り出し筒26に回収されて清浄米仕上系400に送られる。一方、有孔筒体21の孔21bから外に出た脱脂糠等の軽量成分である粉粒体Eは、筐体25の下部開口29を通過して脱脂糠再生装置3へ投入される。
【0032】
起風装置としては、回転板27を回転軸23に取り付けた団扇機能を発揮させた送風機構22や吹き出し孔を多数設けた筒体を回転軸23とした送風機構などによって構築することができる。回転板27と送風筒23は単独あるいは単独で不十分な場合は双方を利用することができる。
【0033】
[清浄米仕上装置]
清浄米仕上系400は、遊離している夾雑物を除去する微粉除去装置401と米粒に付着している微粉を除去する加湿微粉除去部402を備えている。両装置とも微粉を除去し清浄米の清浄度を向上させるとともに、粗熱を冷まし、調湿して、清浄米の品質の劣化を防止し、品質を向上させる機能を果たしている。
【0034】
[遊離微粉除去装置]
図4に微粉除去装置401の例を示す。
微粉除去装置401は、米糠選別篩2後の素清浄米Dを米送り出し筒26から受け入れ、エア搬送筒体411内を下方から上方へ素清浄米Dを散乱させながら送り、上部に設けた集塵機430で微粉を集塵して、夾雑物を除去した清浄米F1を得る装置である。
図示された微粉除去装置401は、エア搬送筒411、エア搬送筒の上部に設けた吸引ファン412、エア搬送筒411の上部に設けた集塵機430、集塵機430に取りつけられている微粉回収用の集塵袋431とエア搬送筒411の上部出口側に設けられた中継筒415を備えている。エア搬送筒411の下部は、空気を吸い込むことができるように開口が設けられており、また米受けホッパ417を設けており、前工程から素清浄米Dを受け入れる米送り出し筒26の先端部が臨んでいる。米受けホッパ417は、パンチングメタルなどの通気性のある材料で形成されている。
吸引ファン412による吸引により、エア搬送筒411内に取り込まれたエア422の上昇に伴い素清浄米Dも上方に送られ、空気流に曝された穀粒と夾雑物は分離されて、上方で集塵機430で吸い込まれ、集塵袋431に回収される。
夾雑物が除去された清浄米は、中間筒415を通って加湿微粉除去装置402のエア搬送筒441の下部へ送られる。
【0035】
図示では、エア搬送筒411は直立しているが、傾斜筒も採用することができる。エア搬送は吸引タイプとしているが、下方から噴き上げる送風用のファン方式を採用することもできる。
【0036】
[加湿微粉除去装置]
図4に加湿微粉除去装置の例を示す。
図示された加湿微粉除去装置402は、エア搬送筒441を備えている。エア搬送筒441の上部側には、吸引ファン442、集塵機432、微粉を回収する集塵袋431、清浄米送り筒416が設けられている。清浄米送り筒416の先には清浄米タンク480があり、清々清浄米F2は、清浄米タンクに貯蔵される。エア搬送筒441の下部は、空気を吸い込むことができるように開口が設けられており、また通気性のある米受けホッパ417を設けており、前工程から清浄米を受け入れる中継筒415の先端部が臨んでいる。また、米受けホッパ417の下部側にウォータミスト421を噴霧するノズル423が設けられている。
ウォータミスト発生装置420は、ノズル423とコンプレッサ424を備えており、ノズル423から噴霧されたウォータミスト421は吸引されるエア422に取り込まれ、ウォータミストエア425となって、エア搬送筒441内を上昇する。なお、ウォータミスト発生装置420には、図示されていない水供給パイプを通して給水される。
【0037】
加湿微粉除去装置402は、前工程で夾雑物などの遊離していた微粉が取り除かれた清浄米F1をエア搬送筒441の下部側に取り込み、ウォータミスト421を含むウォータミストエア425をファン442によってエア搬送筒411内に供給し、ウォータミストエア425にのせて清浄米F1を下方から上方に噴き上げ、清浄米F1が散乱しつつ上方に搬送される途中で、米粒に付着している微粉を分離するとともに、米粒を調湿する装置である。出口から排出される清々清浄米F2は、米粒表面にあった付着微粉の大半が除去され、清浄性が向上している。
清々清浄米F2は、無精米基準をクリアし、濁度20ppmを達成することもできる。
【0038】
清浄米F1には、米粒にまとわりついている微粉が残っており、この米粒表面にある微粉は最初にウォータミスト421に触れて、米粒本体よりも湿っており、米粒本体と微粉分には水分差があって、エア搬送で持ち上げられる途中に米粒同士が混合される過程で剥がれ落ちる。この剥がれ落ちた微粉を上方に設けられた集塵機432で吸引して集塵袋431に回収して、きれいな清浄米F2(清々清浄米)を得ることができる。
この遊離した微粉を除去する微粉除去装置401と加湿微粉除去装置402は、清浄米製造装置以外に精米装置にも適用できる一般性を備えた仕上げ装置である。
【0039】
[脱脂糠再生装置]
本例の脱脂糠再生装置3の例を図6に示す。
脱脂糠再生装置3は、研米に使用された脱脂糠を再利用するための装置である。
図6(a)は全体構成図を示している。脱脂糠再生装置3は、外筒体6と外筒体6の内側に配置される筒形篩7と再生された脱脂糠を脱脂糠供給系に送るシフタ―36を備えている。外筒体6の上方には投入口33(米糠選別篩2側の下部開口29と共通)が設けられている。
脱脂糠再生装置3では、投入口33に供給された粉粒体Eは、筒形篩7を通過して肌糠等微粉J1が分離され、さらに、シフター36で肌糠等微粉J2が分離されて、精製された再生脱脂糠Gとなって、脱脂糠供給系に提供される。
【0040】
図6(b)に外筒体6を示す。外筒体6は、筒形篩7の周面を覆う筐体60と筐体60の一方の側面に送風部61、他方の側面に吸引部62を備えている。底面には底板34があり、底板34には回転軸31を通す穴と、底面の一部に再生脱脂糠を落下させる排出口35が設けられている。図示では排出口35をスリットで表しているが、底板34の一部又は全体をメッシュ材として、排出する面積を調整できる。この排出用の開口部の設計は、風の流れが関係するので、シャッターを設けて開口面積を調整する構成を付加できる。
上面は開口となっている。上面の開口部も、空気が吹き出さないように開口部形や開口面積を考慮する。送風部61から吸引部62に向けて横風63が発生することとなる。
脱脂糠再生装置3における空気の流れは、吸引側にファンなどの動力を設けると、篩作用を発揮するので、吸引装置が必須である。しかし、脱脂糠再生装置3の上面は開口しているので、落下する脱脂糠等全体を吸引するのは難しく、選別性能としては芳しくない。さらに送風部を加えて、積極的に送風側から吸引側へ向かう空気流を作ることによって、落下する脱脂糠等を水平方向に流すことができ、選別効果を向上させることができる。したがって、送風と吸引は対になっていることが適切である。
【0041】
図6(c)に筒形篩7を示す。円筒形の筒形篩71を縦型として、回転させて用いている。「円筒篩7」は機構を表し、「円筒篩71」は篩目の筒体を表している。回転軸31が中央にあって、この回転軸31に円筒篩71が取り付けられている。上方の米糠選別篩2から供給される脱脂糠等は外筒体に設けられている送風部61から吸引部62に向けて流れる横風63に乗って縦型に設けられた円筒篩71の目で選別される仕組みである。
円筒篩71は回転するので、篩機能部分は常に更新される。また、吸引部62からそれると風圧が弱くなり、篩内面に付着した脱脂糠が落下して回収することができる。さらに、回転して円筒篩71の送風部61に面する部分は、該面側から強い風に曝されて、目詰まりや目に付着した物質が吹き飛ばされてクリーニングされた状態となる。したがって、円筒篩71は回転しながら横風に曝されることによって、縦型であっても、篩機能を発揮でき、クリーニング作用、回収機能を効果的に発揮できることとなる。
さらに、円筒篩71の下部側に篩目のないめくら部72(めくら、あるいは微小メッシュ材)を設けて、風あたりを軽減することにより、脱脂糠の回収性を向上させることができる。
沈下した脱脂糠を外筒体の底板34から排出口35へ導くスクレーパーを円筒篩71の下端に設けることもできる。その場合、回転軸31にスクレーパーを取り付けると効率的である。
【0042】
円筒篩71に用いる篩素材を図6(d)に示す。
この円筒篩71に使用される篩目は脱脂糠よりも小さい開口である。丸い穴や縦長の穴などが形成されたパンチングメタルを例示してある。素材はステンレスが耐久性があって、衛生面や破損の面でも最適である。プラスチックも十分に使用することができる。
【0043】
シフター36は篩機能と送り機能を備えており、微粉を廃棄することができ、振動しながら再生脱脂糠一定量を脱脂糠供給系に供給することが可能である。本発明者が提案した特許第4738427号公報において採用した振動フィーダーと同様の行動である。
【0044】
[脱脂糠再生装置の他の例1]
図8、9に他の脱脂糠再生装置の例を示す。
脱脂糠再生装置3は、筒形篩7の内部機構として、有孔筒体73と回転傾斜板74を設けている例である。外筒体6など他の機構は、前述(図6)と共通している。本例の筒形篩7の例を図9に示す。
回転軸31に取り付けた円筒篩71の内側に有孔筒体73を取付け、有孔筒体73の下方に回転傾斜板74が取り付けられている。円筒篩71の下部周面はめくら部72が形成されている。
有孔筒体73は、円筒篩71よりも径が小さく、短い長さである。有孔筒体73に設けられている孔は円筒篩71の篩目よりも大きく、脱脂糠が十分に通り抜けることができる大きさに形成されている。有孔筒体73は、多重に設けることもできる。有孔筒体73は金網状のメッシュ素材が適している。
回転傾斜板74は、円錐形の傘状で、回転軸31に取り付けられている。図示の例では3枚設けられているが、1~数枚設けることができる。
【0045】
有孔筒体73と回転傾斜板74は、円筒篩71の内部を下方に向けて通過する粉粒体Eをほぐして、バラバラにする機構である。粉粒体Eは、粘着性のある肌糠などが含まれているので、脱脂糠同士が団子状になった塊ができやすい。この塊は、円筒篩71の目詰まりの原因となり、落下も速いので、再生脱脂糠の品質低下にもなる。この塊をほぐしてバラバラにして篩にかける予備作用をこの有孔筒体73と回転傾斜板74が担っている。
粉粒体Eは、送風部61から吸引部62に向かって流れる風によって有孔筒体73に衝突して、ばらけることとなる。さらに、下方の回転傾斜板74では、送風側では回転しながら押し上げられ、風下側では転がり落ちる作用をうけて、ばらしが行われる。このような作用によって、粉粒体Eから不要な微粉を取り除き、再生脱脂糠Gの品質を向上させる。
【0046】
[脱脂糠再生装置の他の例2]
さらに、図10に筒形篩7を備えた他の脱脂糠再生装置の例を示す。
筒形篩7の内部機構として、有孔筒体73を設けている例である。外筒体6など他の機構は、前出と共通している。回転軸31に取り付けた円筒篩71の内側に有孔筒体73aを取付けている。円筒篩71の下部周面はめくら部72が形成されている。
有孔筒体73aは、円筒篩71よりも径が小さい筒体を複層配置している。有孔筒体73に設けられている孔は円筒篩71の篩目よりも大きく、脱脂糠が十分に通り抜けることができる大きさである。内側の有孔筒体の孔をより大きくして、粉粒体Eを衝突させる回数を増やし、ほぐし効果を上げる。
本例では、有孔筒体73をひとつ示しているが、複数とすることもできる。
筒体は容易に製造することができ、メンテナンスも容易である。有孔筒体73は金網状のメッシュ素材が適している。
【0047】
[脱脂糠再生装置の他の例3]
脱脂糠再生装置3は、筒形篩7の内部機構として、回転傾斜板74を設けている例を図11に示す。脱脂糠再生装置3の断面図を(a)に回転傾斜板の例を(b)に示す。
円筒篩71の内側に回転傾斜板74を多重に配置し、回転軸31に取り付けている。円筒篩71の下部周面はめくら部が形成されている。
回転傾斜板74では、送風側では回転しながら押し上げられ、風下側では転がり落ちる作用をうけて、粉粒体Eに対しするばらし作用を行う。
図(b)に示す回転傾斜板74は、多数の孔を設けた円錐型である。孔の大きさは再生する脱脂糠程度の大きさ、あるいは脱脂糠より小さな孔にする。吹き上げや吸引など回転に伴う複雑な空気の流れが粉粒体Eに影響して、表面の転がりに加えてほぐし効果が向上する。あるいは、小さな突起を表面に設けて、ぶつかり作用を与えてもよく、孔と併用してもよい。
【0048】
[脱脂糠供給系]
シフター36から再生された脱脂糠が脱脂糠供給系に供給される。途中で新脱脂糠が補給される。脱脂糠供給系(図1参照)に利用される揚糠筒41はパイプの内部に螺旋軸の回転を用いた搬送手段などを用いることができる。この他、脱脂糠の送り装置として、精米装置などで用いられている穀粒搬送に用いられている装置を利用することができる。
脱脂糠は消耗するので、再生脱脂糠Gに新しい脱脂糠Hを新脱脂糠貯留槽43から供給する。供給量は、脱脂糠ホッパー42に設けたレベルセンサー45で制御することや、シフター36から供給される再生脱脂糠Gを検知して不足分の新脱脂糠Hを追加することができる。これらの新脱脂糠Hを補給する新脱脂糠混入機構44はすでに提案した特許第4738427号公報、特許第5261294号公報に開示した技術を利用することができる。
例えば、特許第4738427号公報に開示されている新脱脂糠混入機構を例として、図8に示す。この例示の機構は、シフター36から揚穀筒41に移送する途中に設けることとなる。詳しい説明は省略する。
【0049】
[精米供給系]
研米槽1に供給される精米Aは精米供給系200から供給される。精米供給系200は、精米貯留槽53と揚穀筒51、研米槽1の上方に設けられている一時貯留用の精米ホッパー52を備えている。本発明は、研米槽1、米糠選別篩2、脱脂糠再生装置3が縦直列になっているが、研米槽1は低く抑えられているので、精米Aを下方から研米槽1の上方まで送る揚穀筒51も短くて済む。研米処理量にもよるが、研米槽の上端を3m以下、望ましくは2m以下に抑えて、高所作業や高所管理を避けて、作業の容易性と安全性と実現している。
【0050】
[清浄米の品質について]
本出願人が先に提案した清浄米の製造方法で製造された清浄米の洗米水濁度は、例えば特許第4738427号公報に開示(特許公報の表1、2参照)しているように、59~74程度であった。本発明の清浄米仕上工程を施して得られた清浄米(清々清浄米)を一回水洗した水洗水の濁度は十分に無洗米基準に達しており、装置の管理次第で20ppm程度となり、精製度が向上していることが分かった。
【符号の説明】
【0051】
A・・・精米
B・・・脱脂糠
C・・・研米処理物
D・・・素清浄米
E・・・粉粒体
F、F2・・・清浄米(F2:清々清浄米)
F1・・・清浄米
G・・・再生脱脂糠
H・・・新脱脂糠
I・・・屑米
J1・・肌糠等微粉
J2・・肌糠等微粉

1・・・研米槽
10・・槽
11・・回転軸
12・・研米軸回転モーター
13・・抵抗体
14・・研米棒
15・・投入口
16・・排出口

2・・・米糠選別篩
21・・有孔筒体
21a・有孔素材
21b・孔
22・・送風機構
23・・回転軸(送風筒)
24・・有孔筒絞り端
25・・筐体
26・・米送り出し筒
27・・回転板
28・・受け入れホッパー
29・・下部開口

3・・・脱脂糠再生装置
31・・回転軸
32・・モーター
33・・投入口
34・・底板
35・・排出口
36・・シフター

41・・揚糠筒
42・・脱脂糠ホッパー
43・・新脱脂糠貯留槽
44・・新脱脂糠混入機構
45・・レベルセンサー

51・・揚穀筒
52・・精米ホッパー
53・・精米貯留槽

6・・・外筒体
60・・筐体
61・・送風部
62・・吸引部
63・・横風

7・・・筒形篩
71・・円筒篩
72・・めくら部
73・・有孔筒体
74・・回転傾斜板


1000・研米装置
100・・・研米系装置
200・・・精米供給系装置
300・・・脱脂糠供給系装置
400・・・清浄米仕上系装置
500・・・廃棄物

101・・・研米機
110・・・研米部
111・・・加圧部
112・・・加圧棒
401・・・微粉除去装置
402・・・加湿微粉除去装置


411・・・エア搬送筒
412・・・吸引ファン
415・・・中継筒
416・・・清浄米送り筒
417・・・米受けホッパ
420・・・ウォータミスト発生装置
421・・・ウォータミスト
422・・・エア
423・・・ノズル
424・・・コンプレッサ
425・・・ウォータミストエア

430・・・集塵機
431・・・集塵袋
432・・・集塵機
441・・・エア搬送筒
442・・・吸引ファン

480・・・清浄米タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11