(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】医用画像データセットの品質評価のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
A61B6/03 360E
A61B6/03 370E
(21)【出願番号】P 2019520980
(86)(22)【出願日】2017-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2017077307
(87)【国際公開番号】W WO2018077949
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-13
(32)【優先日】2016-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ビューロー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヤング スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】ノルドフ ターニャ
(72)【発明者】
【氏名】ハーダー ティム フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ブーク ヤン‐ヘンドリック
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-218139(JP,A)
【文献】特開2007-105264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像データセットの品質評価のための装置であって、前記装置は、
-それぞれの取得情報と共に医用画像データセットを取得するための画像入力部であって、各医用画像データセットは、検査対象
のFOVをスキャンすることによって取得され、前記それぞれの取得情報は前記それぞれの医用画像データセットの取得に関する情報を表す、画像入力部と、
-
前記医用画像データセットの前記FOVを、所定の解剖学的領域
が除外
されるよう決定される基準FOVと比較し、前記基準FOVからの前記FOVの逸脱を示す差分情報を決定するための画像解析ユニット
であって、前記差分情報が、前記医用画像データセットの前記FOV内における前記所定の解剖学的領域の存在の程度を示す存在情報を含む、画像解析ユニットと、
- 前記それぞれの取得情報と、複数の
前記医用画像データセットについて決定される前記差分情報との間の相関を示す相関情報を決定するための相関ユニットと、
- 前記決定される相関情報を出力するための出力ユニットと
を有する、装置。
【請求項2】
前記画像解析ユニットは、前
記医用画像データセットから
、前記基準FOVを決定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記画像解析ユニットは、前
記医用画像データセット内の解剖学的ランドマークの使用によって、前記基準FOV
又は前記基準FOVの一つ又はそれより多くの境界を決定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記画像解析ユニットは、一つ又はそれより多くの
所定のリスク器官が前記基準FOVから除外されるように前記基準FOVを決定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記画像解析ユニットは、前記医用画像データセットに基づいて、データベース
又は解剖学的アトラスから
、前記基準FOVを取得するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記画像解析ユニットは、所定の条件
又は前記所定の解剖学的領域に関して、前記基準FOVからの前記FOVの逸脱を示す
前記差分情報を決定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記画像解析ユニットは、
前記医用画像データセットが所定の条件を満たすか
又は前記医用画像データセットがが所定の解剖学的領域を含むかを最初に決定し、
前記医用画像データセットの前記FOVを基準FOVと比較し、前
記医用画像データセットが所定の条件に適合していると決定される場合にのみ、
前記医用画像データセットについての
前記差分情報を決定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記画像解析ユニットは、基準FOVに関して、
前記医用画像データセットの前記FOVの一つ又はそれより多くの境界及び/又はサイズの逸脱を示す並進情報を有する
前記差分情報を決定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記画像解析ユニットは、一つ又はそれより多くの異なる回転軸のまわりの一つ又はそれより多くの回転方向における基準FOVに関して
前記医用画像データセットの前記FOVの逸脱を示す回転情報を有する
前記差分情報を決定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記所定の解剖学的領域
が、一つ又はそれより多くの
所定のリスク器官
である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記取得情報は、
- 前記それぞれの医用画像データセットの取得の時間
、曜日
又は日時を示す時間情報、
- 前記撮像される検査対象の前記状態を示す対象情報、
- 前記それぞれの医用画像データセットが取得される撮像装置に関して前記検査対象の前記位置を示す位置情報、及び
-前記それぞれの医用画像データセットの取得を実行した前記オペレータを示す、前記オペレータに関するオペレータ情報
の少なくとも1つを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記
医用画像データセットは、CT画像データセット又は人間の頭部のCT画像データセットであり、前記所定の解剖学的領域は眼であり、前記解剖学的ランドマークは左右の眼窩上隆起部及び後頭骨の骨片である、請求項
3に記載の装置。
【請求項13】
撮像システムであって、
-検査対象の医用画像データセットを取得するための画像取得システムと、
-請求項1に記載の装置と
を有する、撮像システム。
【請求項14】
医用画像データセットの品質評価方法であって、前記方法は、
- それぞれの取得情報と共に医用画像データセットを取得するステップであって、前記それぞれの医用画像データセットは、検査対象
のFOVをスキャンすることによって取得され、前記それぞれの取得情報は前記それぞれの医用画像データセットの前記取得に関する情報を表す、ステップと、
-
前記医用画像データセットの前記FOVを、所定の解剖学的領域
が除外
されるよう決定される基準FOVと比較するステップと、
- 前記基準FOVからの前記FOVの逸脱を示す差分情報を決定するステップ
であって、前記差分情報は、前記医用画像データセットの前記FOV内における前記所定の解剖学的領域の存在の程度を示す存在情報を含む、ステップと、
-複数の
前記医用画像データセットについて決定される
前記差分情報と前記それぞれの取得情報との間の相関を示す相関情報を決定するステップと、
- 前記決定される相関情報を出力するステップと
を有する、方法。
【請求項15】
コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるとき、請求項14に記載の方法のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を有する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像データセットの品質評価のための装置及び方法に関する。更に本発明は撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
脳のCTスキャンを実行するとき、接眼レンズは放射線に敏感であるので、視野(FOV)に眼球が含まれるのを避けることが重要である。眼球の放射線誘発損傷は蓄積し、白内障を引き起こす可能性がある。腹部などの患者の体の他の部分をスキャンするときも、不要な場合はFOVに性器、特に若い患者のものを含めないことが望ましい。 CT以外の他の撮像モダリティ、例えばX線イメージング又はMRイメージングを用いて医用撮像を実行するときにも、同様の予防措置が賢明であり得る。
【0003】
例えば、眼がFOVの内側にあるか外側にあるかをさかのぼって識別することは容易であるが、個々の画像の特定のエラー/逸脱の識別は、それ自体では、潜在的な画質問題に対する救済に関する十分な情報をもたらさない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、医用画像データセットの自動品質評価を遡及的に可能にして将来の撮像操作において回避され得る潜在的なエラー又は逸脱を識別することを可能にする装置及び方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、対応する撮像システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様では、医用画像データセットの品質評価のための装置であって、前記装置は、
-それぞれの取得情報と共に医用画像データセットを取得するための画像入力部であって、各医用画像データセットは、検査対象の視野FOVをスキャンすることによって取得され、前記それぞれの取得情報は前記それぞれの医用画像データセットの取得に関する情報を表す、画像入力部と、
- 取得医用画像データセットのFOVを基準FOVと比較し、前記基準FOVからの前記FOVの逸脱を示す差分情報を決定するための画像解析ユニットと、
- 前記それぞれの取得情報と、前記取得される複数の医用画像データセットについて決定される差分情報との間の相関を示す相関情報を決定するための相関ユニットと、
- 前記決定される相関情報を出力するための出力装置と
を有する、装置が提示される。
【0006】
本発明のさらなる態様では、
- 検査対象の医用画像データセットを取得するための画像取得システムと、
- 取得医用画像データセットの品質評価のための本明細書に開示される装置と
を有する、撮像システムが提示される。
【0007】
本発明のなおさらなる態様では、対応する方法、前記コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるとき、本明細書に開示される方法のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム、及びプロセッサによって実行されるとき、本明細書に開示される方法が実行されるようにするコンピュータプログラムプロダクトをその中に記憶する非一時的コンピュータ可読記録媒体が提案される。
【0008】
本発明の好ましい実施形態は従属請求項に規定されている。請求される方法、システム、コンピュータプログラム及び媒体は、特に従属請求項に規定され、本明細書に開示されているように、請求される装置と類似及び/又は同一の好ましい実施形態を有する。
【0009】
一般的に、改善措置に関する意思決定の基礎を提供するために、集約される基礎で行われているエラーの性質に関する統計的証拠の蓄積が必要である。したがって、本発明は、潜在的なエラー及びそれらの原因を示す相関情報を得るために多数の画像データセットを自動的かつ遡及的に評価する考えに基づくので、将来の撮像操作におけるエラーを回避するための改良が提案されることができる。
【0010】
基準FOVを決定するための様々な選択肢があり、それに応じて画像解析ユニットを構成することができる。一実施形態では、基準FOVは、分析される医用画像データセット自体から決定される。例えば、別の実施形態に従って提供されるように、FOVは、取得医用画像データセット内の認識可能な解剖学的構造(骨、血管の枝など)のような解剖学的ランドマークの使用によって決定され得る。
【0011】
別の実施形態では、基準FOVは、所定の解剖学的領域、特に所定の1つ以上の高感度の器官が基準FOVから除外されるように決定されてもよい。例えば、上述のように、CTヘッドスキャンでは、スキャンから眼を除外することが望ましいかもしれない。
【0012】
一般に、様々な種類の医用画像データセットを本発明によって評価することができる。本発明は、CT画像データセット、特にヒトの頭部について特に有用であり、この場合、特に所定の解剖学的領域が眼であり、前記解剖学的ランドマークが左右の眼窩上隆起部及び後頭骨の骨片である。
【0013】
さらに別の実施形態では、基準FOVは、前記医用画像データセットに基づいて、データベース、特に解剖学的アトラスから決定することができる。したがって、例えば、頭部のCTスキャンであるという情報のような医用画像データセットの種類に基づいて、データベースはアクセスされ、前記種類の医用画像データセットのための、対応する基準FOVがデータベースから取得される。どの種類の画像データセットが与えられるかという情報は、例えばデータセットと共に提供されるメタデータとして、データセットにおいて明示的に指定されてもよく、又は例えば含まれている画像情報を分析することによって、医療画像データセットから自動的に決定されてもよい。
【0014】
好ましい実施形態では、前記画像解析ユニットは、所定の条件、特に所定の解剖学的領域に関して、基準FOVからのFOVの逸脱を示す差分情報を決定するように構成される。所定の条件は、例えば、どのFOVをスキャンするかの命令によって特定されてもよく、又はFOVに関する一般的なガイドラインを通じて与えられてもよい。例えば、所定の条件は、FOVの大きさ及び限界、及び/又はどの解剖学的対象が含まれるか、及び/又は除外されるかを示し得る。
【0015】
一実施形態では、画像解析ユニットは、取得医用画像データセットが所定の条件を満たすか、特にそれが所定の解剖学的領域を含むかを最初に決定し、取得医用画像データセットのFOVを基準FOVと比較し、取得医用画像データセットが所定の条件に適合していると決定される場合にのみ、取得医用画像データセットについての差分情報を決定するように構成される。したがって、条件が満たされない場合、例えば上記の例では、眼がFOVに含まれていない場合、時間と処理電力を節約するために医用画像データセットはさらに分析されない。
【0016】
開示される装置及び方法の様々な実施形態に従って、異なる種類の差分情報が決定されてもよい。例えば、一実施形態では、画像解析ユニットは、基準FOVに対する、取得医用画像データセットのサイズの逸脱及び/又はFOVの一つ又はそれより多くの境界を示す並進情報を含む差分情報を決定するように構成され得る。別の実施形態では、画像解析ユニットは、一つ又はそれより多くの異なる回転軸のまわりの一つ又はそれより多くの回転方向における基準FOVに対する取得医用画像データセットのFOVの逸脱を示す回転情報を有する差分情報を決定するように構成され得る。さらに別の実施形態では、画像解析ユニットは、得られる医用画像データセットのFOV内の所定の解剖学的領域、特に一つ又はそれより多くの感度の高い器官の存在の程度を示す存在情報を有する差分情報を決定するように構成され得る。決定されるべき差分情報の種類は、医用画像データセットの種類及び/又は医用画像データセットの種類について満たされるべき重要な条件に依存し得る。したがって、ユーザは、例えば、どの差分情報を取得するかを事前に決定し、又はガイドラインに基づいて、どの差分情報を決定するかが自動的に決定されることができる。
【0017】
他の実施形態によれば、取得情報は、
- それぞれの医用画像データセットの取得の時間、特に曜日及び日時を示す時間情報、
- 撮像される検査対象の状態を示す対象情報、
- それぞれの医用画像データセットが取得される撮像装置に対する検査対象の位置を示す位置情報、及び
- 各医用画像データセットの取得を実行したオペレータを示す、オペレータに関するオペレータ情報
の少なくとも1つを有する。
【0018】
この情報の一部又は全部は、所望の品質評価において有用であり得、画像データセットの将来の取得をガイドし、可能なエラーを回避するために適切かつ有用な相関情報を決定するために使用され得る。
【0019】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施形態を参照して明らかになりかつ説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明によるシステム及び装置の概略図を示す。
【
図2】眼確率マップを重ね合わせた脳CTスキャンの軸スライス画像を示す。
【
図3A】脳CTスキャンの最適下部スキャン面を規定するランドマークを例示する、頭蓋骨の異なるビュー及びスライス画像を示す。
【
図3B】脳CTスキャンの最適下部スキャン面を規定するランドマークを例示する、他の頭蓋骨の異なるビュー及びスライス画像を示す。
【
図3C】脳CTスキャンの最適下部スキャン面を規定するランドマークを例示する、他の頭蓋骨の異なるビュー及びスライス画像を示す。
【
図3D】脳CTスキャンの最適下部スキャン面を規定するランドマークを例示する、他の頭蓋骨の異なるビュー及びスライス画像を示す。
【
図4A】異なるパラメータに関する最適FOVからのスキャンFOVの逸脱を示す、異なる図を示す。
【
図4B】異なるパラメータに関する最適FOVからのスキャンFOVの逸脱を示す、他の異なる図を示す。
【
図4C】異なるパラメータに関する最適FOVからのスキャンFOVの逸脱を示す、他の異なる図を示す。
【
図5】視野内の眼のパーセンテージに関して、エラーソースと画質との相関関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明による医用画像データセットの品質評価のためのシステム1及び装置20の概略図を示す。システム1は、検査対象の医用画像データセットを取得するための画像取得システム10と、取得医用画像データセットの品質評価のための装置20とを備える。画像取得システム10は、例えば、検査対象、例えば、患者又は患者の一部、例えば、頭、胴体、又は腹部のCT画像データセットを取得するように構成されるCTスキャナである。他の実施形態では、画像取得システム10は、患者又は患者の一部のMR画像データセットを取得するためのMRスキャナであり得る。
【0022】
装置20は、それぞれの取得情報と共に医用画像データセットを取得するための画像入力部21を含み、各医用画像データセットは、検査対象の視野FOVをスキャンすることによって取得され、それぞれの取得情報は、各医用画像データセットの取得に関する情報を表す。画像入力部は、例えば、病院の画像データベース30にアクセスすることができるインターフェースであってもよく、複数の検査対象に対して、同じ又は異なるオペレータの使用によって、及び同じ又は異なる画像取得システム(例えば、同じCTイメージングスキャナ10又は異なるCTイメージングスキャナ)を用いて、経時的に取得される多数の画像データセットを記憶する。
【0023】
装置20は、得られる医用画像データセットのFOVを基準FOVと比較し、基準FOVからのFOVの逸脱を示す差分情報を決定するための画像解析ユニット22をさらに含む。例えば、患者の頭部の2つ以上のCT画像データセットが分析されて、エラーが発生したか、またどのエラーが発生したか、及びオペレータ、時間、曜日、CTスキャナの一つ又はそれより多くに関して何れかの相関があるかがチェックされる。したがって、この例では、例えば、病院のデータベースの一部でもよいし、又は解剖学的アトラスにおいて、例えばクラウド内又は特定のサーバー上で利用可能であってもよい、随意の参照データベース31から基準FOVが得られる。
【0024】
装置20はさらに、複数の取得医用画像データセットについて決定される差分情報とそれぞれの取得情報との間の相関を示す相関情報を決定するための相関ユニット23を含む。相関情報は、例えば、特定のオペレータが同じエラーを頻繁に起こすこと(例えば、小さすぎる又は大きすぎるFOV又は誤った位置のFOVを使用すること、又は患者の体のスキャンされる部分を誤って配置すること)、又は同じエラーが同じ日(例えば、月曜日の朝)に頻繁に発生すること、又は同じスキャナが同じエラーを示すことを示す。エラーは、関心器官全体がFOV内に存在しないこと、又は器官が、(診断を可能にするために重要になり得る)対応するガイドラインによって規定されるように正しく配向されていないことであってもよく、電離放射によるモダリティだけでなく、例えば MRイメージングにも関連している。
【0025】
次に、決定される相関情報は、他のエンティティ(例えば、病院の中央コンピュータ又は品質部門のコンピュータ又は医師のコンピュータ)に相関を送信するためのデータインターフェースを有することができる出力ユニット24によって出力される。出力ユニット24は、例えば推奨、統計、チャート、相関情報の内容を説明するテキスト情報などの形式で、相関情報を直接表示するためのディスプレイも有する。
【0026】
装置20は、一般に、プロセッサ、コンピュータ、又はそれに従ってプログラムされるスマートフォン、ラップトップ、コンピュータなどのユーザ装置上で実行されるアプリケーションプログラム(「app」)として、ハードウェア及び/又はソフトウェアで実施することができる。さらに、装置20は、本発明による方法のステップを実行するように設計されている適切な回路の形態で構成されることができる。装置20は、画像取得システム10と一体的に形成されることができ、例えば画像取得システム10の取得モジュールを制御しているコンピュータ上に形成されることができる。しかしながら、他の実施形態では、画像取得システム10及び装置20は、画像取得システム10から装置20に画像データセットを提供するために接続され得る別々のエンティティである。代替として、画像取得システム10は、装置20と接続されるのではなく、装置20が分析されるべき画像データセットを取得する画像データベースと接続されてもよい。
【0027】
そのような分析は、規則的又は不規則的な間隔、例えば月に1回又は年に1回で行うことができる。一実施形態では、同じ検査対象、例えば、同じ解剖学的領域(例えば頭部)に対する画像データセット、及び/又は同じ画像取得システム10からの画像データセットのみが分析される。他の実施形態では、分析は、異なる検査対象、及び/又は異なる画像取得システムに対する画像データセットに対して行われる。
【0028】
装置20の例示的な実施態様では、眼が脳CTスキャンのFOVの内側にあるか外側にあるかを識別するために、画像解析ユニット22によって自動画像解析が行われる。 FOV内の少なくとも一部の眼を有する画像については、画像解析ユニット22は、例えばガイドライン、データベース、又は解剖学的イメージングアトラスから、このスキャンに最適なFOV(すなわち基準FOV)を検出する。画像解析ユニット22は次に、最適FOVを脳CTスキャンの実際のFOVと比較する。次いで、相関ユニット23は、画像の識別される品質欠陥をこの欠陥の根本原因と結び付けて、相関情報、好ましくは欠陥に対する既知の改善策を生成する。同じ分析が大きなデータベース(例えば、PACS内の脳CTデータ)に適用されて、全体的な品質及び特定の改善機会に関する累積的な相関情報が生成される。
【0029】
視野内の眼の識別のため様々な画像解析方法が存在する。好ましい実施形態は、確率論的解剖学的アトラスへのCTスキャンのマッピングを有する。画像内の各ボクセルについて、眼の部分を表すボクセルの尤度は、
図2に示されるように与えられ、これは、眼の確率マップ41のオーバーレイを伴う脳CTスキャンの軸スライス画像40を示す。高い眼の確率を備える領域(FOV内又はFOV外)の位置に基づいて、画像は、「画像の中の眼」又は「画像の中にない眼」として分類される。
【0030】
ランドマークの検出により、最適な(基準)FOVを識別することができる。これは、脳CTスキャンの最適下部スキャン平面53を規定するランドマーク51、52を示す頭蓋骨50のスライス画像及び異なるビューを示す
図3A乃至
図3Dに示される。ガイドライン及び臨床診療によれば、スキャンの最も低いスライスは、後頭骨の開口部(=大後頭孔)51及び左右の眼窩上隆起部52と交差しなければならない。
【0031】
実際のスキャンボリュームと最適スキャンボリュームとの逸脱が計算され、4つの異なるパラメータに分離される。Δzはスキャンボリュームの劣った範囲の逸脱を示し、正のΔzはスキャンが必要以上に継続したことを示す。 Δpitch、Δroll、及びΔyawは、
図4A乃至
図4Cに示すように、3つの角度成分に関して最適スキャンからの逸脱を示す。
【0032】
エラーパラメータは、視野内の眼のパーセンテージに関して画質に対するエラーソースの相関関係を示す図を示す
図5に示されるように、異なる根本原因に関連付けられている。これらの根本原因は、以下のうちの1つ以上を含む場合がある。
-大きなΔzが、トポグラムに基づいてスキャナコンソール上にスキャンボックスを配置する間に生じること、
-ピッチ、ロール、ヨーの大きなずれが、患者の頭の誤った位置決めにより生じること、
- スキャナがガントリの傾斜を許容する場合、ピッチのずれは患者のより良いポジショニングによって、又はガントリの傾斜の適応によって補償されることができること
である。
【0033】
説明したステップを多数の画像データセットに適用した後、スキャン境界条件との特定の誤差の相関関係が分析される。これらの境界条件は、オペレータ、患者の年齢、スキャンの理由、患者の意識及び協力、時刻、曜日などのうちの1つ又は複数を有することができる。
【0034】
この分析を特定される根本原因と組み合わせることは、目標とする改善措置を提案し、それが最も必要とされている所で効率的なトレーニングをスタッフに提供することによって時間と費用を節約するように使用される。そのような提案される改善の例は、
- 平均して、オペレータXは平均距離よりも低い方向にスキャンを拡大することが観察された。計画されるFOVの下方マージンをできるだけ後頭点と軌道上のリッジとの間の接続平面によって規定される平面に近づけることに焦点を当てることが推奨される。
- オペレータXは、(最適なFOV配置を提示する)オペレータYとチームを組む必要がある。
-夜勤中は頭の正しい位置に特別な注意を払うべきである。
【0035】
したがって、本発明を使用することによって、将来の撮像動作において回避され得る潜在的なエラー又は逸脱を識別するために医用画像データセットの自動品質評価を行うことができる。
【0036】
本発明を図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明してきたが、そのような図示及び説明は例証的又は例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。本発明は開示される実施形態に限定されない。開示される実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求される発明を実施する際に当業者によって理解され達成され得る。
【0037】
請求項において、単語「有する」は他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を排除しない。単一の要素又は他のユニットが特許請求の範囲に記載のいくつかの項目の機能を果たすことができる。特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0038】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体などの適切な非一時的媒体に記憶/配布することができるが、インターネット、その他の有線又は無線の電気通信システムなどの他の形態で配布することもできる。
【0039】
請求項中の如何なる参照符号も範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。