IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ チャグリン デニス ヴァレンチノヴィッチの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】都市輸送および物流システム
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/00 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
E04H1/00
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019529126
(86)(22)【出願日】2017-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-05
(86)【国際出願番号】 RU2017000383
(87)【国際公開番号】W WO2018030915
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】2016133160
(32)【優先日】2016-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】519048942
【氏名又は名称】チャグリン デニス ヴァレンチノヴィッチ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャグリン デニス ヴァレンチノヴィッチ
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-067949(JP,A)
【文献】特開平06-017545(JP,A)
【文献】特開平05-125844(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1525009(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1523184(CN,A)
【文献】特開2013-136923(JP,A)
【文献】特開2002-235450(JP,A)
【文献】特開平9-302689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
都市輸送および物流システムであって、
貨物輸送のための第1の地上階であって、貨物鉄道交通のための線路が設けられた第1の地上階と、
パイプラインの第2階であって、アパートメントビルディングに水及び熱を流すための給水パイプ及びガス配管を含むパイプラインならびに前記アパートメントビルディングに電気を流すための電気ネットワークが設置され、前記第1の地上階の上に設けられる第2階と、
鉄道、動く歩道、及び電気バスを含む乗客交通手段が装備され、前記第2階の上に設けられる第3階と、
第4の歩行者階であって前記第3階の上、且つ天空に開かれて設けられ、前記アパートメントビルディング、非居住用ビルディング、歩行者用通路、及び人力輸送の経路を有し、垂直方向の移動モジュール以外に非人力輸送手段が許容されない、第4の歩行者階と、を含み、
前記歩行者用通路及び前記人力輸送経路と、前記乗客交通手段と、前記貨物鉄道交通手段がそれぞれ別の階に分離され、
それぞれの階は、互いに積み重ねて位置しており、
各階は、前記移動モジュールによって、互いに、ならびに、前記アパートメントビルディングおよび前記非居住用のビルディングと接続されていることを特徴とする、都市輸送および物流システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大都市の輸送および物流システムに関し、50万人を超える人口を有する都市の建設において使用され得る。
【背景技術】
【0002】
現代の都市開発は、渋滞、事故、平均交通速度低下、環境悪化、心理的ストレス、および、交通のエネルギー効率の減少に関連付けられる都市交通危機の出現によって特徴付けられる。
【0003】
多くの発明者が、これらの問題を解決することについて取り組んでおり、たとえば、「URBAN TRANSPORT COMPLEX WITH A MULTIFUNCTIONAL ELEVATED STRUCTURE」が、ロシア特許第73372号(2008年5月20日の優先権)から公知である。都市輸送複合体が開示されており、それは、解体の対象にならない完全に発達したインフラストラクチャを備えた既存の都市スペースの中へ一体化される物体を含み、それは、ビルディング(たとえば、到着および出発ホール、ホテル、ビジネスセンターおよびショッピングセンターを備えた鉄道の駅ビル)、地下アクセスハイウェイ、駐車場、エクスプレスウェイライン、または車用高架道路を備えた鉄道の駅前広場、歩行者ゾーンであり、歩行者ゾーンは、屋根付きの歩道橋の形態で作製され、(乗り降りしている)乗客のための駅プラットフォームに接続されており、屋根付きの歩道橋の歩行者ゾーンは、少なくとも1つの多目的高架道路の形態で作製されており、少なくとも1つの多目的高架道路は、アクセス道路の上方のビルディングと、エクスプレスウェイおよび駐車場の上方の鉄道の駅前広場との間に位置しており、一方、多目的高架道路は、締結具によって接続される別々のバルクモジュールからのサポートの上に装着されており、長手方向および横断方向の両方にモジュール追加のオプションを提供し、乗り降りしている乗客のための駅プラットフォームと接続するための階段エレベータモジュールおよびエスカレータを装備しており、ここで、個々のバルクモジュール重量は、40トンを超えていない。
【0004】
「TURNKEY CITY CONSTRUCTION METHOD AND MULTIFUNCTIONAL URBAN COMPLEX」は、ロシア連邦第2014110646号の発明に関する出願(2014年3月20日の優先権)から公知の最も近い解決策である。ターンキー都市建設方法は、多層式の居住用のおよび非居住用のビルディングの建設を含み、地上のおよび地下のユーティリティをビルディングに供給し、また、ターンキー都市建設方法は、道路および歩道、駐車場を備えたマルチレベルの中庭テリトリの形成を含む。多層式の居住用ビルディングの建設の間に、大型のコートヤードの自動車乗り入れ禁止のテリトリが形成され、子供の徒歩圏内のインフラストラクチャ(幼稚園、学校、レジャーおよび文化施設を含む)を収容するように設計されており、また、非居住用のビルディングが、中央に位置し、都市インフラストラクチャの残りの部分(管理および商業ビルディングを含む)を形成する。そのときに、ビルディングは、外部および内部の仕上げを有するプレハブの多層大型フォーマットの壁パネルから、高速フレームモノリシック技術を使用して建築される。そして、ビルディングエリアを開発する前に、グランドが、クリーニングおよびレベリングされ、次いで、地形のレーザプランニングが、構造体の場所の線のレーザ照射、および、構造体に関する土壌のさらなるマーキングを使用して実施され、次いで、土壌は、マーキングされた線に沿って除去され、基礎作業が、下側ビルディング階層における駐車場の形成と同時に、および、エンジニアリング通信の建設と同時に実施されており、一方、交通都市ハイウェイが、下側ビルディング階層に位置している駐車場と接続されている。同時に、都市複合体は、自動化された乗客配送のためのデバイスを使用して、道路に接続されている都市間高速交通線のインターチェンジモジュールを供給される。
【0005】
公知の解決策は、階層(地下および表面駐車場、自動車乗り入れ禁止のエリア)(それは、提案された解決策と共通である)、および、セクター(子供のインフラストラクチャ、ならびに、管理および家庭のインフラストラクチャ)への分割を含有しているが、マルチ階層のシステムは、公知の解決策において、十分に開発および構造化されていない。なかでも、異なるタイプの交通は、異なる階によって分離されておらず、それは、交通ルートのジャンクションにおける交通の蓄積によって引き起こされる交通渋滞の出現を除外せず、テリトリの水平方向のゾーン分けを必要としない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】露国特許第73372号公報
【文献】露国特許出願公開第2014110646号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、最適な輸送および物流構造を有する、100万人の人口を有する都市を建築することを可能にし、そこでは、交通渋滞および歩行者に関与する事故が存在しない。その理由は、輸送および物流システムがマルチ階層になっており、その交通階層が互いに交差しておらず、交通渋滞が形成されるハブの出現を排除しており、また、その交通階層が、垂直方向のつながり、たとえば、エレベータ、階段、エスカレータなどによって相互接続されており、それは、交通階層だけでなく、居住用のおよび非居住用の建物のフロアも相互接続しているからである。
【0008】
提案された解決策の技術的な結果は、都市の輸送および物流システムを最適化し、交通渋滞を排除し、都市の任意のポイントへの急速移動を保証することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その技術的な結果は、都市輸送および物流システムであって、貨物道路およびレール交通のための第1の地上階、パイプラインおよび技術的通信の第2階、乗客交通の第3階、第4の歩行者階を含み、それぞれの階は、鉄筋コンクリート構造体によって、互いに積み重ねて位置しており、それらは、垂直方向の階段エレベータモジュールによって、互いに、ならびに、居住用のおよび非居住用のビルディングと接続されている、都市輸送および物流システムによって実現される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
都市輸送および物流システムは、以下の通りに実装される。
【0011】
グランド階層多層式フレームが、たとえば、除去可能な型枠を使用して、鉄筋コンクリートから、公知の方法によって建設され、それぞれの階の高さは、7メートルから10メートルである。第1の地上階において、貨物鉄道交通のための線路、および、貨物道路交通のための自動車用道路が建築され、次いで、第1階の上方の鉄筋コンクリートラックの上に、第2のエンジニアリングおよび技術階が位置し、その階に、たとえば、給水パイプ、熱パイプ、および下水パイプ、ガーベッジシュート建設物、ガス、電気ネットワークなどのような、パイプラインが設置される。第3階は、乗客交通、すなわち、地下鉄、動く歩道、電気バスなどを装備している。第4階は、歩行者のために設計および建築される(人力のもの以外の交通の手段は許容されない)。それは、最後のものであり、その上方には他の階は存在していない。したがって、それは、屋外に位置しており、いくつかのエリアでは、それは、屋根を装備していることも可能であり、屋根は、降雨などのような環境の影響から保護する。第4階は、自然の景観になっており、その基礎の上に土壌を含有しており、水栽培システム(その一部は、第2のエンジニアリングおよび技術階の上に位置してもよい)を装備しており、公園を形成する植物および樹木の生命を維持する。自然公園の景観の他に、この階(第4階)は、必要なインフラストラクチャ:ウォーキング経路およびサイクリング経路、子供のグランドおよびスポーツグランド、ならびに、都市居住者のための他のレクリエーションエリアを含有する。また、第4階の上には、居住用のおよび非居住用の高層ビルディングが位置しており、そのエレベータおよび階段システムが、ビルディングのフロアをすべての階の交通システムと接続しており、したがって、ビルディングからビルディングへ人を移動させることが、第3の交通階を通って出て行く必要なしに保証される。
【0012】
都市輸送および物流システムは、以下の通りに動作する。
【0013】
完全に発達した交通および物流システムを備えた都市の中で、人は、たとえば、100階建てのアパートメントビルディングに住んでいる(多数のフロアを有するアパートメントビルディングが、このシステムにとってコスト効率が良い)。ガーベッジシュートによって投げ捨てられたごみは、即座に、第2のエンジニアリングおよび技術フロアに行き、次いで、第1のフロアの上で、貨物列車のワゴンへ低下させられ、貨物列車は、ごみをリサイクルの現場へ持っていき、したがって、人間の生活と同じ平面(同じ階)にごみ缶は存在しておらず(人は、家および子供の遊び場などの近くで、ごみ缶を見ることはない)、ごみトラックの動作によって引き起こされるごみ収集問題または交通渋滞は存在しない。水供給システム、電気、熱は、第2の技術フロアから人のアパートメントへ流れ、それらの故障/修理の間に、人の生活スペース(第4階および第3階)は、決して影響を受けない。また、人は、第4階に位置している公園の中を歩くことが可能であり、また、下水道システムまたは水ラインの故障が、彼らと同じ緯度および経度において起こった場合でも、仕事に行くことが可能である。その理由は、これらの階は、重複しておらず、積み重なっており、第2の技術階フロアのすべてのシステムの修理およびメンテナンスサービスは、他の階の交通システムの動作を遮断するかまたはそれに干渉しならないからである。人は、外へ出ることなしに、彼らのアパートメントビルディングから真っ直ぐに垂直方向に移動するエレベータに乗って、乗客交通の第3階へ下っていき、そして、迅速に、交通渋滞なしに、都市の所望のポイントへ移動する。交通システムが分離されているので、渋滞は存在せず、この階に横断歩道は存在せず、または、貨物交通流量セクション、パイプライン輸送システムが存在しない。都市の中の所望のポイントに到着すると、人は、エレベータに乗って、第4の地上階へ、たとえば、公園へ行き、そこで、彼らは、フィットネスインストラクターとして働く。したがって、提案された交通および物流システムを備えた都市にいることで、人は、交通渋滞なしに、ごみ缶なしに、排気ガスに汚染された大気なしに、任意の車両にぶつかられる可能性なしに、彼らが必要とするポイントへ迅速に移動することになる。その理由は、並列の交差しない階に位置している別のシステムの動作を遮断するかまたはそれに干渉することなく、システムのそれぞれが、その階に最適に位置しているからである。これは、交通問題に対する解決策になることになり、また、都市エリアの合理的な使用を狙った内部発達に関する触媒になることになる。
【0014】
必須の特徴の全体セットを備えた本発明は、都市の輸送および物流システムを大いに最適化し、交通渋滞を排除し、都市の中の任意のポイントへの迅速な移動を保証する。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、100万人の人口の都市を一から建設する際に使用され得、その建設の技術は今日では公知であり一般的であるので、産業上の利用可能性の要件を満たす。
【0016】
必須の特徴の全体セットを備えた本発明は、当業者にとって、先行技術から明らかではなく、したがって、本発明は進歩性を含む。
【0017】
この技術的解決策は本明細書に示されている実施形態に限定されず、技術的解決策の公式のフレームワークの中で自由に修正され得る。