(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】埋め込み可能なシステム
(51)【国際特許分類】
A61N 1/378 20060101AFI20220701BHJP
A61N 1/372 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
A61N1/378
A61N1/372
(21)【出願番号】P 2019530763
(86)(22)【出願日】2017-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2017081889
(87)【国際公開番号】W WO2018104476
(87)【国際公開日】2018-06-14
【審査請求日】2020-12-02
(32)【優先日】2016-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516065504
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ グルノーブル アルプ
(73)【特許権者】
【識別番号】518263900
【氏名又は名称】サントル・オスピタリエ・ウニヴェルシテール・グルノーブル・アルプ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・サンカン
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・デュファイ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・チュヴィニョン
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0090873(US,A1)
【文献】米国特許第05411535(US,A)
【文献】国際公開第2013/080038(WO,A2)
【文献】特表2009-538634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36 - A61N 1/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 患者(P)の身体内部の固定位置に埋め込むのに適した、中央デバイスと呼ばれる第1のデバイス(20)と、
- 電極(130)を含む少なくとも1つの第2のデバイス(25)であって、当該第2のデバイス(25)が患者(P)の身体内部の刺激位置に埋め込まれた時に
、患者の器官(C)に電気的に接続するのに適した、少なくとも1つの第2のデバイス(25)と、
を含んでなる埋め込み可能なシステム(10)であって、
前記第1のデバイス(20)
は、前記第2のデバイス(25)
の電極(130)による器官(C)を刺激するための電流の伝達
を指令するようにさらに構成され、
当該埋め込み可能なシステム(10)
は、患者の胃(30)の壁部にアンカーを固定するように構成されたヘッドを
備えたアンカー(15)をさらに含み、前記アンカー(15)
は、前記アンカー(15)が胃(30)内に固定されると
きに、前記アンカー(15)が前記第1のデバイス(20)に固定され、前記第1のデバイス(20)をその固定位置に保持するよう
に構成され、前記第1のデバイス(20)
が固定位置にあると
きに、前記第1のデバイス(20)
が胃(30)内に収容されている
、埋め込み可能なシステム(10)において、
前記第1のデバイス(20)が、前記第2のデバイス(25)にエネルギーを供給するように構成され、
- 前記第1のデバイス(20)が、エミッタを備え、
- 前記第2のデバイス(25)は、器官(C)を刺激できる刺激デバイス(115)と、前記エミッタから放出された波を受信し、それに応答して前記刺激デバイス(115)に供給される電流(C3)を生成できる変換器(125)とを備えており、
- 前記エミッタは、音波エミッタおよび電磁波エミッタの中から選択され、前記エミッタが音波エミッタである場合に、前記変換器(125)は、放出された音波を受信することができ、音響エネルギーを電気エネルギーに変換する変換器(125)であり、或いは、前記エミッタが電磁波エミッタである場合に、前記変換器(125)が、放出された電磁波を受信することができる変換器(125)であることを特徴とする、埋め込み可能なシステム(10)。
【請求項2】
前記音波が超音波であることを特徴とする、請求項
1に記載の埋め込み可能なシステム(10)。
【請求項3】
音響エネルギーを電気エネルギーに変換するための前記変換器(125)が、力を電圧に変換することができる圧電素子を含むことを特徴とする、請求項
1または2に記載の埋め込み可能なシステム(10)。
【請求項4】
放出された電磁波を受信できる前記変換器(125)が、放出された電磁波の周波数で共振することができるコイルを備えていることを特徴とする、請求項1に記載の埋め込み可能なシステム(10)。
【請求項5】
電極(130)が、前記第2のデバイス(25)を患者(P)の心臓に電気的に接続するのに適していることを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載の埋め込み可能なシステム(10)。
【請求項6】
少なくとも2つの第2のデバイス(25)を含むことを特徴とする、請求項
5に記載の埋め込み可能なシステム(10)。
【請求項7】
前記電極(130)が、前記第2のデバイス(25)を患者(P)の神経に電気的に接続するのに適していることを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載の埋め込み可能なシステム(10)。
【請求項8】
前記電極(130)が、前記第2のデバイス(25)を患者(P)の横隔神経に電気的に接続するのに適していることを特徴とする、請求項
7に記載の埋め込み可能なシステム(10)。
【請求項9】
電極(130)が、前記第2のデバイス(25)を患者(P)の横隔膜に電気的に接続するのに適していることを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載の埋め込み可能なシステム(10)。
【請求項10】
前記中央デバイス(20)または前記第2のデバイス(25)が、前記器官(C)のパラメータの少なくとも1つの値を測定するのに適した少なくとも1つのセンサ(117)を含み、前記中央デバイス(20)が、測定値に従って、
前記第2のデバイスによる前記器官(C)
への刺激
を指令するのに適したコントローラ(45)を備えていることを特徴とする、請求項1~
9のいずれか一項に記載の埋め込み可能なシステム(10)。
【請求項11】
前記中央デバイス(20)が、コントローラ(45)と、取外し可能な電気エネルギー・リザーバ(90)および前記電気エネルギー・リザーバ(90)を収容するのに適したコネクタ(85)を
備えた電源(55)と、を含んでなり、前記電気エネルギー・リザーバ(90)が、接続位置で前記電気エネルギー・リザーバ(90)が前記コネクタ(85)に電気的に接続されているときに前記コントローラ(45)に電力を供給するのに適し
ていることを特徴とする、請求項1~
10のいずれか一項に記載の埋め込み可能なシステム(10)。
【請求項12】
前記電気エネルギー・リザーバ(90)は、患者(P)に飲み込まれ、患者(P)の胃(30)に収容されると、前記コネクタ(85)から切断されている切断位置から接続位置に自発的に移動するように構成されていることを特徴とする、請求項11に記載の埋め込み可能なシステム(10)。
【請求項13】
前記中央デバイス(20)が、コントローラ(45)と、患者(P)の体内に存在する少なくとも1つの化学種(P
)を反応させることによって、前記コントローラ(45)の電源電流を生成するのに適した電源(55)と、を備えていることを特徴とする、請求項1~
10のいずれか一項に記載の埋め込み可能なシステム(10)。
【請求項14】
前記中央デバイス(20)が、コントローラ(45)と、機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換することによって、前記コントローラ(45)の電源電流を生成するのに適した電源(55)と、を備えていることを特徴とする、請求項1~
10のいずれか一項に記載の埋め込み可能なシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は埋め込み可能なシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
人体の特定の器官を監視または刺激するために多数の埋め込み可能なデバイスが使用されている。例えば、心臓刺激デバイス(または「ペースメーカー」)は多くの患者に埋め込まれている。これらのデバイスは、一般に、バッテリーなどの電源、監視される器官の挙動を監視するための1つまたは複数のセンサ、および/または刺激された器官に作用を及ぼすことが想定される刺激モジュールを含む。
【0003】
しかしながら、そのような埋め込み可能なデバイスのバッテリーを定期的に充電または交換することが必要である。特に、多くの場合、この置換は外科的処置によって行われる。そのような処置は、病院施設の手術室で行われ、麻酔が必要であり、術後の監視のために病院施設に長期間滞在するため、比較的高価であり患者にとって拘束的である。さらに、いかなる外科的処置に関しても、手術中に患者が感染にかかる危険性がある。
【0004】
他の場合では、上述したタイプの埋め込みデバイスが、患者の体外で患者に着用されたエネルギー貯蔵モジュールによって外部から給電される。例えば、いくつかの電源デバイスが、患者の皮膚および胸郭を通して刺激デバイスまで超音波によりエネルギーを伝達し得る。しかし、超音波は、骨を通過しにくく、このため、埋め込みデバイスに十分な電力を供給するために、埋め込みデバイスが胸郭の前方に位置させられる場合には、超音波源の配置において高い精度が必要とされる。さらに、患者の体外のこのような電源デバイスは、不体裁である。
【0005】
いくつかの埋め込み可能なデバイスは、埋め込み可能なデバイスと外部デバイスとの間の電気的接続または流体移送を可能にする有線コネクタが装備され得る。このようにして、埋め込まれたデバイスのセンサによって測定された電源電流またはデータは、外部デバイスと交換される。この場合もやはり、患者の皮膚を貫通して現れるこれらのコネクタが不体裁となり、患者の日常生活に対して健康上のリスクおよび重大な制約を必然的にもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、患者に対する制約がより少ない埋め込み可能なシステムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、患者の体内の固定位置に埋め込むのに適した中央デバイスとも呼ばれる第1のデバイスと、第2のデバイスが作動したときに患者の器官を刺激するのに適した少なくとも1つの第2のデバイスと、を備えた埋め込み可能なシステムが提案される。第1のデバイスは、第2のデバイスによる器官の刺激を指令するようにさらに構成され、器官は胃とは別の器官であることを特徴とし、第1デバイスが固定位置にあるとき、第1デバイスは患者の胃の中に収容され、胃壁に固定される。
【0008】
実施形態によれば、埋め込み可能なシステムは、単独でまたは任意の技術的に可能な組み合わせによって、以下の特徴のうちの1つまたは複数を備える。
- 第1のデバイスは第2のデバイスに電力を供給するように構成されている。
- 中央デバイスは音波エミッタを含み、第2のデバイスは器官を刺激するのに適した刺激デバイスおよび音エネルギーの電気エネルギーへの変換器を含み、変換器は中央デバイスによって発信された音波を受信しそれに応答して刺激デバイスの電源電流を生成するのに適している。
- 音波は超音波である。
- 中央デバイスは電磁波エミッタを含み、第2のデバイスは、器官を刺激するのに適した刺激デバイスと、中央デバイスによって発信された電磁波を受信しそれに応答して刺激デバイスの電源電流を生成するのに適している変換器とを含む。
- 器官は患者の心臓である。
- 埋め込み可能なシステムは少なくとも2つの第2のデバイスを含む。
- 第2のデバイスが右心室に埋め込まれることが想定され、さらに第2のデバイスが患者の心臓の左心室に埋め込まれることが想定される。
- 器官は患者の神経である。
- 器官は患者の横隔神経である。
- 器官は患者の横隔膜である。
- 中央デバイスが固定位置にあるとき、中央デバイスは胃の上部に収容される。
- 中央デバイスまたは第2のデバイスは器官のパラメータの少なくとも1つの値を測定するのに適した少なくとも1つのセンサを含み、中央デバイスは、測定値に基づく器官への刺激を第2のデバイスによって指令するのに適したコントローラを含む。
- 中央デバイスは、コントローラと、取外し可能な電気エネルギー・リザーバおよび電気エネルギー・リザーバを収容するのに適したコネクタを含む電源と、を備えている。コネクタは、接続位置にあり、好ましくは、患者に飲み込まれ、切断位置から自発的に接続位置に移動するように構成され、電気エネルギー・リザーバは、患者(P)の胃に収容され、コネクタから切断される。
- 中央デバイスは、コントローラと、患者の体内に存在する少なくとも1つの化学種、特にグルコースを反応させることによって、コントローラの電源電流を生成するのに適した電源と、を備えている。
- 中央デバイスは、コントローラと、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換することによってコントローラの電源電流を生成するのに適した電源とを備えている。
【0009】
本発明の特徴および利点は、添付の図面を参照しつつ非限定的な例としてのみ提示された、以下の説明を読むことにより、明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】電源を含む埋め込み可能なシステムの一例を示す図である。
【
図2】患者の体内に埋め込まれた、
図1の埋め込み可能なデバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
埋め込み可能なシステム10の第1の例が、
図1に示される。
【0012】
埋め込み可能なシステム10は、アンカー15と、中央デバイスとも呼ばれる第1のデバイス20と、少なくとも1つの第2のデバイス25とを含む。
【0013】
アンカー15、第1のデバイス20および第2のデバイス25によって形成されたリストからの少なくとも1つの要素が人体に埋め込まれることが想定されることは「埋め込み可能なシステム」によって理解される。
「埋め込み可能なシステム」とは、アンカー15、第1のデバイス20および第2のデバイス25により構成されているリストの中の少なくとも1つの要素が、人体内に埋め込まれるように想定されたものとして理解される。
【0014】
特に、「埋め込み可能な」とは、アンカー15、第1のデバイス20および第2のデバイス25の中の少なくとも1つの要素が、厳密には1週間超の期間、好ましくは1月超の期間、好ましくは1年以上の期間にわたり、患者Pの体内に留まるように想定されたものとして理解される。
【0015】
埋め込み可能なシステム10が患者Pの体内に埋め込まれた場合の埋め込み可能なシステム10は、
図2概略的に示されている。
【0016】
図2の例によれば、アンカー15、中央デバイス20および第2のデバイス25はそれぞれ患者Pの体内に埋め込まれる。
【0017】
アンカー15は、患者Pの胃30内の所定の位置に固定するのに適している。
【0018】
例えば、アンカー15は、胃30の上部中に固定されるように構成されている。特に、アンカー15は、胃30の胃底中に固定されるように構成されている。例えば、アンカー15は、胃底中においてHis角に可能な限り近くに固定されることが想定される。
【0019】
代替的には、アンカー15は、胃30の下部中に固定されるように構成されている。
【0020】
アンカー15は、好ましくは取り外し可能に、中央デバイス20を支持するように構成されている。特に、アンカー15と中央デバイス20とは固定デバイスによって互いに固定されるように構成され、アンカー15は、アンカー15が胃30の中に固定されるときに中央デバイス20を固定位置に保持するように構成されている。
【0021】
アンカー15は、ヘッド35と、第1のコネクタ40とを含む。
【0022】
ヘッド35は、アンカー15を所定の位置に固定するように構成されている。特に、ヘッド35は、アンカー15を胃30の壁部に固定するように構成されている。
【0023】
ヘッド35は、例えば、ヘッド35の2つのブランチ間において胃30の壁部の一部分を把持するように構成された胃腸管クリップである。
【0024】
代替的には、ヘッド35は、胃30の壁部に対して縫合糸を使用して縫合されるのに適している。
【0025】
さらなる代替的な実施形態によれば、ヘッド35は、胃粘膜が切開された後に胃粘膜内部に埋め込まれるのに適している。
【0026】
第1のコネクタ40は、中央デバイス20をヘッド35に固定するように構成されている。
【0027】
中央デバイス20は、第2のデバイス25に電力を供給するように構成されている。
【0028】
中央デバイス20は、第1のコントローラ45、第2のコネクタ50、電源55、第1のエミッタ/レシーバ60、ハウジング65、および送信機70を含む。
【0029】
第1のコントローラ45はデータ処理部である。第1のコントローラ45は、第1のメモリ75と第1のプロセッサ80とを含む。
【0030】
代替的には、第1のコントローラ45は、専用の集積回路またはプログラマブル論理構成要素の形態で具現化されている。
【0031】
第1のプロセッサ80は、第1のメモリ75内の電子量または物理量として表されるデータを、レジスタ、或いは、他の種類のディスプレイ、発信器または記憶デバイスにおいて、第1のメモリ75の物理データに対応する他の類似データに処理および/または変換するのに適している。
【0032】
第1のプロセッサ80はさらに、第1のエミッタ/レシーバ60とデータを交換するように構成されている。
【0033】
第2のコネクタ50は、第1のコネクタ40と協働して中央デバイス20を固定位置に保持するように構成されている。
【0034】
例えば、第2のコネクタ50は、スナップ嵌めによって第1のコネクタ40と協働するように構成されている。
【0035】
代替的には、第2のコネクタ50は、第2のコネクタを第1のコネクタに固定するように構成された磁石を含む。磁石は、例えば電磁石である。
【0036】
さらなる代替的な実施形態によれば、第1のコネクタ40は、螺合により第2のコネクタ50に対して固定されるように構成されている。代替的には、第1のコネクタ40は、第2のコネクタ50中に形成された固定オリフィスと相補的な1つのまたは好ましくは2つの差し込みピン(bayonet)を含む。
さらなる代替実施形態によれば、第1のコネクタ40は、ねじ止めによって第2のコネクタ50に固定されるように構成されている。代替的には、第1のコネクタ40は、第2のコネクタ50に形成された固定オリフィスと相補的な1つまたは好ましくは2つの差し込みピン(bayonet)を含む。
【0037】
好ましくは、第2のコネクタ50は、中央デバイス20がアンカー15から分離可能であるように想定されている。特に、第2のコネクタ50は、アンカー15が患者Pの胃30に固定されるときに中央デバイス20がアンカー15から分離可能であるように構成されている。
【0038】
【0039】
電源55は、第1のコントローラ45に第1の電源電流C1を供給するように構成されている。
【0040】
電源55はさらに、送信機70に第2の電源電流C2を供給するように構成されている。
【0041】
電源55は、第3のコネクタ85と第1の電気エネルギー・リザーバ90とを含む。
【0042】
第3のコネクタ85は、第1の電気エネルギー・リザーバ90から第1の電源電流C1および第2の電源電流C2を受け取り、第1の電源電流C1を第1のコントローラ45に、第2の電源電流C2を送信機70にそれぞれに供給するように構成されている。
【0043】
第3のコネクタ85は、第1の電気エネルギー・リザーバ90を収容するように構成されている。特に、第3のコネクタ85は、接続位置において第1の電気エネルギー・リザーバ90を少なくとも部分的に収容するように構成された空洞部95の範囲を定める。
【0044】
図3の例によれば、空洞部95はハウジング65の外側に現れる。特に、空洞部95は、ハウジング65の外側から空洞部95内への第1の電気エネルギー・リザーバ90の挿入を可能にするように構成されている。
【0045】
第3のコネクタ85はさらに、第1の電気エネルギー・リザーバ90が接続位置にあるときに第1の電気エネルギー・リザーバ90に電気的に接続されるように構成された2つの第1の電気接触子100を含む。特に、2つの第1の電気接触子100は空洞部95の内側に現れる。
【0046】
第1の電気エネルギー・リザーバ90は、電気エネルギーを貯蔵するように構成されている。特に、第1の電気エネルギー・リザーバ90は、患者Pの体外の電気エネルギーを用いて充電され、第1の電気エネルギー・リザーバ90が接続位置にあるときに放電されるように構成されている。例えば、第1の電気エネルギー・リザーバ90はバッテリーを含む。代替的には、第1の電気エネルギー・リザーバ90は、少なくとも1つのコンデンサまたは超コンデンサ(supercapacitor)を含む。
【0047】
第1の電気エネルギー・リザーバ90が接続位置にあるとき、第1の電気エネルギー・リザーバは第1のコントローラ45に第1の電源電流C1を供給するように構成されている。さらに、第1の電気エネルギー・リザーバ90は、第1の電気エネルギー・リザーバ90が接続位置にあるときに、送信機70に第2の電源電流C2を供給するように構成されている。
【0048】
図3の例によれば、第1の電気エネルギー・リザーバ90は、第1の電気接触子100と相補的な2つの第2の電気接触子105を含む。
【0049】
第1の電気エネルギー・リザーバ90は、患者Pによって飲み込まれると想定され得る。
【0050】
代替実施形態によれば、第1のエネルギー・リザーバ90は内視鏡法で置換されるのに適している。
【0051】
特に、第1の電気エネルギー・リザーバ90は、厳密に6ミリリットル(ml)未満の容積を有する。
【0052】
第1の電気エネルギー・リザーバ90はさらに、それぞれの方向に沿って測定された3つの寸法を有し、それぞれの方向は他の2つの方向に対して垂直であり、それぞれの寸法は厳密に5センチメートル(cm)未満である。
【0053】
第1の電気エネルギー・リザーバ90は、接続位置と切断位置との間で移動可能である。第1の電気エネルギー・リザーバ90が切断位置にあるとき、第1の電気エネルギー・リザーバ90は患者Pの胃30内に収容されるが、第3のコネクタ85には電気的に接続されない。切断位置にある場合、第1の電気エネルギー・リザーバは空洞部95から完全に取り除かれる。
【0054】
第1の電気エネルギー・リザーバ90は、切断位置から接続位置へ自発的に移動するように構成されている。例えば、第1の電気エネルギー・リザーバ90はアトラクタ110を含む。
【0055】
アトラクタ110は、第1の電気エネルギー・リザーバ90が切断位置にあるときに、第1の電気エネルギー・リザーバ90を切断位置から接続位置に移動させる傾向を有する力を第1の電気エネルギー・リザーバ90に印加するように構成されている。
【0056】
さらに、アトラクタ110は、第1の電気エネルギー・リザーバ90を接続位置に保持するように構成されている。
【0057】
アトラクタ110は、例えば、第3のコネクタ85の第2の磁石112と協働するのに適した第1の磁石を含む。代替的には、第1の磁石は、第3のコネクタ85の強磁性部分と協働するのに適している。第1の磁石および第2の磁石112は、例えば電磁石である。
【0058】
第1のエミッタ/レシーバ60は、第2のデバイス25とデータを交換するように構成されている。したがって、第1のエミッタ/レシーバ60は、第2のデバイス25と通信手段を形成する。
【0059】
第1のエミッタ/レシーバ60は、例えば、無線通信モジュールである。「無線周波数通信モジュール」は、第1のエミッタ/レシーバ60が少なくとも1つの無線周波数の電磁波を含む信号を介して第2のデバイス25と通信するように構成されていることを理解されたい。無線周波数電磁波は、3キロヘルツ~3ギガヘルツの間の周波数を有する電磁波である。
【0060】
一実施形態によれば、第1のエミッタ/レシーバ60は、ブルートゥース(登録商標)低エネルギープロトコルに従って第2のデバイス25とデータを交換するのに適している。ブルートゥース(登録商標)低エネルギープロトコルは、「ブルートゥース(登録商標)特別利益団体」規格に基づいており、2400メガヘルツ(MHz)~2483.5MHzの範囲で機能するプロトコルである。
【0061】
代替的には、402~405メガヘルツ(MHz)(医療用インプラント通信サービス)または2360~2390MHz(医療用ボディエリアネットワーク)の範囲のデータ伝送モードが使用され得る。
【0062】
ハウジング65は、第1のコントローラ45をハウジング65の外側から隔離するように構成されている。例えば、ハウジング65は、少なくとも第1のコントローラ45、第1のエミッタ/レシーバ60、および送信機70を受けるチャンバを画定する。
【0063】
送信機70は、第2のデバイス25に電力を送信するように構成されている。
【0064】
例えば、送信機70は、音波を発信し、その音波を第2のデバイス25に送るように構成された音波エミッタ/レシーバを含む。
【0065】
代替的には、送信機70は電磁波を発信するように構成されている。電磁波は、例えば、13.56メガヘルツ(MHz)の範囲の周波数のような高い周波数を有する。例えば、送信機70は、電磁波を発信するように構成されたコイルを含む。
【0066】
代替的には、送信機70は、導電体によって第2のデバイス25に接続され、有線リンクを介して第2のデバイス25に電流を送信するように構成されている。
【0067】
第2のデバイス25は患者Pの器官Cを刺激するのに適している。
【0068】
器官Cは患者Pの胃30から離れている。
【0069】
第2のデバイス25は、刺激位置において患者Pの体内に埋め込まれるように構成されている。第2のデバイス25は次に、第2のデバイス25が刺激位置にあるときに器官Cを刺激するように構成されている。
【0070】
第2のデバイス25が刺激位置にあるとき、第2のデバイス25は胃30の外側に位置している。
【0071】
「刺激する」ことにより、第2のデバイス25が器官Cに作用を及ぼし、それに応答して器官Cの作用を引き起こすのに適していることが理解される。筋収縮は器官Cの動作の一例である。神経信号送信は、さらなる動作の一例である。
【0072】
器官Cは患者Pの心臓である。
【0073】
一実施形態では、第2のデバイス25がその刺激位置にあるとき、第2のデバイス25が患者Pの心臓の心内膜、例えば、右心室に埋め込まれ得る。
【0074】
第2のデバイス25は、刺激デバイス115、第2のエミッタ/レシーバ120、および変換器125を含む。
【0075】
刺激デバイス115は、器官Cを刺激するように構成されている。特に、刺激デバイス115は、患者Pの心臓の収縮を引き起こすように構成されている。
【0076】
刺激デバイス115は、例えば、第2のデバイス25を患者Pの器官Cの所定の位置に電気的に接続する電極130を含む。
【0077】
第2のエミッタ/レシーバ120は、第1のエミッタ/レシーバ60とデータを交換するように構成されている。
【0078】
変換器125は、送信機70からエネルギーを受け取り、受け取ったエネルギーを電気エネルギーに変換するように構成されている。
【0079】
特に、変換器125は刺激デバイス115に第3の電源電流C3を供給するように構成されている。
【0080】
例えば、変換器125は、送信機70によって発信された音波を受信し、それに応答して第3の電源電流C3を生成するように構成されている。
【0081】
変換器125は、例えば、力を電圧に変換するのに適した圧電素子を含む。特に、圧電素子は、送信機70によって発信された音波を電圧に変換するのに適している。
【0082】
代替的には、変換器125は、送信機70によって発信された電磁波を受信し、それに応答して第3の電源電流C3を生成するように構成されている。変換器125は、例えば、送信機70によって発信された電磁波の周波数で共振するのに適したコイルを含む。
【0083】
ここで、埋め込み可能なシステム10の作動について説明する。
【0084】
アンカー15、中央デバイス20および第2のデバイス25を患者Pの体内に埋め込む前の第1のステップ中に、第1の電気エネルギー・リザーバ90に電気エネルギーが充電される。したがって、第1の電気エネルギー・リザーバ90は、第1のコントローラ45のための第1の電源電流C1を生成する。
【0085】
第2のステップ中に、アンカー15、中央デバイス20および第2のデバイス25は患者Pの体内に埋め込まれる。
【0086】
第3のステップ中に、起動メッセージが外部デバイスによって中央デバイス20に送信される。特に、起動メッセージは無線周波数通信によって送信される。起動メッセージは、埋め込み可能なシステム10が実際に患者Pの体内に植え込まれたことを第1のコントローラ45に知らせる。
【0087】
第3のステップの後の第4のステップ中に、第1のコントローラ45は送信機70による第2のデバイス25の電源供給を命令する。例えば、第1のコントローラ45は第3のコネクタ85を送信機70に電気的に接続するスイッチの閉鎖を命令する。そして、第3のコネクタ85は、第2の電源電流C2を送信機70に送信する。
【0088】
第4のステップ中に、送信機70は音波を発信し、その音波を第2のデバイス25に送る。
【0089】
音波は、例えば超音波である。超音波は、20キロヘルツ~100メガヘルツの間の周波数を有する音波である。
【0090】
第5のステップ中に、変換器125は、送信機70によって発信された音波を受信する。変換器125は、受信した音波のエネルギーの少なくとも一部を電気エネルギーに変換する。そして、変換器125は、受信した音波から第3の電流C3を生成して刺激デバイス115に供給する。
【0091】
第6のステップ中に、第3の電流C3が電極130によって患者Pの心臓に伝達される。次いで、患者の心臓が第3の電流C3に応答して収縮する。例えば、第3の電流C3は、細動などの心調律障害を矯正するのに適している。
【0092】
第7のステップ中に、第1のコントローラ45は第2の電源電流C2の遮断を命令する。したがって、第2のデバイス25にはもはや電力が供給されず、したがって第3の電流C3はもはや患者Pの心臓に伝達されない。したがって、心臓Cの収縮の刺激は終了する。
【0093】
第4、第5、第6、第7のステップは、例えば、この順に所定の時間間隔で順次繰り返される。時間間隔は、例えば、1分あたり約70回の収縮に求められる、典型的には1分あたりの収縮数に対応する期間である。
【0094】
本発明によれば、第2のデバイス25の電気供給は中央デバイス20から提供される。第2のデバイス25は中央デバイス20からのエネルギーの伝達によってのみ作動されるので、受動デバイスである。第2のデバイス25は、中央デバイス20によって発信された音波を心臓Cに伝達される電流に変換するという唯一の機能を有する。
【0095】
第2のデバイス25は製造が簡単である。さらに、第2のデバイス25は、電気エネルギーを蓄えていないので、その容積は小さい。したがって、第2のデバイス25の埋め込みはより容易になり、より多くの場所で可能である。
【0096】
中央デバイス20が胃の中にあると仮定すると、第1の電気エネルギー・リザーバ90の交換は容易で、例えば、食道を介して内視鏡法により、簡単かつ迅速に実行することができる。さらに、第1の電気エネルギー・リザーバ90の交換は、切開が行われないので感染の危険性がほとんどない。
【0097】
アトラクタ110の使用により、患者Pが第1の電気エネルギー・リザーバ90を嚥下することだけが単に必要となるため、内視鏡法を用いずとも第1の電気エネルギー・リザーバ90の位置決めがさらに簡単になる。
【0098】
さらに、埋め込み可能なシステム10は、患者Pが体外に電気エネルギー貯蔵手段を継続的に携えることを、または不体裁な導電体が患者Pの体外に露呈されることを意味しない。したがって、埋め込み可能なシステム10は、患者にとってわずかな制約しか伴わない。
【0099】
非常に多様な器官Cにとって、したがって非常に多様な第2のデバイス25の位置に対して、患者Pの胃30内に中央デバイスを配置することによって、第2のデバイス25と効果的に相互作用することが可能になる。
【0100】
実際、第1の例では心臓刺激の場合について説明されているが、本発明は多数の別の器官Cに適用されるのに適していることに留意されたい。
【0101】
一代替実施形態によれば、器官Cは患者Pの神経である。
【0102】
例えば、器官Cは患者Pの横隔神経である。例えば、第2のデバイス25は横隔神経を電気的に刺激するように構成されている。
【0103】
代替的には、器官Cは神経であり、この刺激によって患者Pの疼痛神経信号を抑制することが可能になる。
【0104】
さらなる代替実施形態によれば、器官Cは心臓とは異なる患者Pの筋肉である。例えば、器官Cは患者Pの横隔膜である。
【0105】
さらなる代替実施形態によれば、埋め込み可能なシステム10は少なくとも2つの第2のデバイス25を備える。例えば、それぞれの第2のデバイス25は、それぞれの器官Cを刺激するのに適している。
【0106】
代替的には、少なくとも2つの第2のデバイス25が同じ器官Cを刺激するように構成されている。例えば、第2のデバイス25のうちの1つが左心室に埋め込まれ、他の第2のデバイス25が右心室に埋め込まれる。患者Pの心臓の刺激は、埋め込み可能なシステム10が単一の第2のデバイス25を含むときよりも生理学的状態に近い。埋め込み可能なシステム10は、特に、ある種の心不全の治療の場合に適している。
【0107】
さらなる代替実施形態によれば、第2のデバイス25は第2のエミッタ/レシーバ120を含まない。この実施形態では、送信機70によって発信され変換器125によって受信される音波は中央デバイス20と第2のデバイス25との間の唯一の通信形態である。
【0108】
ここで、埋め込み可能なシステム10の第2の例について説明する。
図1の埋め込み可能なシステム10の第1の例と同一の要素については再度説明しない。相違点だけが強調表示されている。
【0109】
刺激デバイス115は、第2の電気エネルギー・リザーバを含む。第2のリザーバは、例えば、コンデンサを含む。第2のリザーバは、第3の電源電流C3を受け取り、第3の電源電流C3の電気エネルギーの少なくとも一部を貯蔵するのに適している。
【0110】
刺激デバイス115は、第2のリザーバに貯蔵された電気エネルギーから電気パルスを生成するように構成されている。
【0111】
次に、第2実施例の動作について説明する。
【0112】
第1、第2および第3のステップは、第1の例の第1、第2および第3のステップと同じである。
【0113】
第4のステップは、時間間隔よりも厳密に長い期間です。持続期間は、例えば、1時間以上、特に1週間以上である。
【0114】
例えば、第4のステップは、第2のデバイス25による起動メッセージの受信時に開始し、無効化メッセージの受信に続いて終了する。無効化メッセージは無線周波数メッセージである。例えば、埋め込み可能なシステム10を患者Pの体から取り外すように医師が指示したときに、無効化メッセージが外部デバイスによって埋め込み可能なシステム10に生成される。
【0115】
第5のステップは、第4のステップと同じ期間である。第5のステップ中に、第2のリザーバに第3の電源電流C3が供給される。したがって、第2のリザーバは電気エネルギーで徐々に充電される。
【0116】
第6のステップ中に、中央デバイス20は、刺激デバイス115による器官Cの刺激指令メッセージをエミッタ/レシーバ120に送信する。
【0117】
指令メッセージに応答して、刺激デバイス115は電気パルスを生成する。
【0118】
電気パルスは、電極130によって患者Pの心臓に伝導される。次いで、患者の心臓は、第3の電流C3に応答して収縮する。
【0119】
第6のステップは、期間と共に周期的に実行される。
【0120】
第7のステップは実行されない。
【0121】
第2の例では、第2のデバイス25の電力供給は連続的である。そのとき使用される波の振幅はもっと小さい。したがって、埋め込み可能なシステム10は、より多数の送信機70と互換性がある。
【0122】
ここで、埋め込み可能なシステム10の第3の例について説明する。
図1の埋め込み可能なシステム10の第1の例と同一の要素については再度説明しない。相違点だけが強調表示されている。
【0123】
第2のデバイス25は、少なくとも1つのセンサ117を含む。それぞれのセンサ117は、患者Pの生理学的現象の代表的なパラメータの値を測定するのに適している。次に、第2のエミッタ/レシーバ120は、測定された値を中央デバイス20に送信するように構成されている。
【0124】
第1のコントローラ45は、患者Pに発生する少なくとも1つの生理学的現象を検出するように構成されている。特に、第1のコントローラ45は、第2のデバイス25に組み込まれたセンサによって測定された値に基づいて生理学的現象を検出するように構成されている。
【0125】
生理学的現象は、例えば、睡眠時無呼吸である。例えば、器官Cは横隔神経である。
【0126】
この場合、センサ117は、吸入を示す、患者Pの横隔膜の動きを検出するのに適している。吸入が所定の期間検出されなかった場合、第1のコントローラ45は睡眠時無呼吸を検出する。
【0127】
生理学的現象が検出されると、中央デバイス20は器官Cの刺激に応答して命令する。特に、第2のデバイス25は中央デバイス20によって送信された命令に応答して器官Cを電気的に刺激する。
【0128】
例えば、中央デバイス20は、第2のデバイス25による患者の横隔神経の刺激を指令する。横隔神経の刺激は、その後、患者Pの上気道を閉塞させない咳を誘発する。
【0129】
代替的には、器官Cは横隔膜である。次いで刺激は横隔膜の反射収縮を引き起こし、それが吸入を誘発する。
【0130】
さらなる代替の実施形態によれば、生理学的現象は心調律障害、例えば、徐脈または失神である。この場合、センサ117は、心臓の電気的または機械的活動などのリズム障害に関するパラメータの値を測定するのに適している。例えば、センサ117は、2つの電極間の電位差および/または心臓収縮によって引き起こされる加速度を測定するのに適している。この場合、第2のデバイス25は心臓を刺激するのに適している。
【0131】
さらなる代替的な実施形態によれば、少なくとも1つのセンサ117は、患者Pの体液F中の生物学的マーカーのレベルを測定するのに適している。
【0132】
第4の例によれば、中央デバイス20は少なくとも1つのセンサ117を含む。例えば、中央デバイス20は2つのセンサ117を含む。
【0133】
それぞれのセンサ117は、第1のコントローラ45の外部にあるが、第1のコントローラ45と通信するのに適している。
【0134】
それぞれのセンサ117は、患者Pの生理学的パラメータの値を測定するように構成されている。生理学的パラメータは、例えば、器官Cのパラメータである。
【0135】
例えば、少なくとも1つのセンサ117が心臓のパラメータの値を測定するのに適している。
【0136】
例えば、センサ117は、心臓Cの収縮によって引き起こされる加速度のような中央デバイス20の加速度の値を測定するのに適している。
【0137】
代替的に或いは追加的に、例えば、中央デバイス20に組み込まれたセンサ117は、センサ117の2つの電極間の電位差の値を測定するのに適している。胃壁部の先端、すなわち2つの電極は胃壁部と接触している。代替的には、センサ117は1つの電極のみを含み、電極とアンカー15との間の電位差を測定するのに適している。
【0138】
次に、埋め込み可能なシステム10の第5の例について説明する。埋め込み可能なシステム10の第1の例と同一の要素については再度説明しない。相違点だけが強調表示されている。
【0139】
電源55は、第3のコネクタ85または電気エネルギー・リザーバ90を含まない。
【0140】
電源55は電気エネルギー発生器を含む。「電気エネルギー発生器」は、電気エネルギー発生器が、電流によって電気エネルギーで充電されるように構成されていないことを理解されたい。
【0141】
電気エネルギー発生器は、患者Pの身体内に存在する少なくとも1つの化学種を反応させることによって少なくとも1つの電流を生成させるのに適している。より具体的には、電気エネルギー発生器は、第1の電源電流C1および第2の電源電流C2を生成させるのに適している。
【0142】
例えば、電気エネルギー発生器は2つの電極を含み、電極は、中央デバイス20が固定位置にあるときに患者Pの胃液に浸される。代替的には、電気エネルギー発生器の電極が、中央デバイス20が固定位置にあるときに患者Pの消化管に浸されることが想定される。
【0143】
それぞれの電極は少なくとも1つの酵素を含む。代替的には、それぞれの電極は少なくとも1つの微生物を含む。例えば、電気エネルギー発生器のそれぞれの電極は、酵素または微生物で被覆された導電体を含み、このように形成された全体が膜によって囲まれている。膜は、例えば、患者Pの消化管の胃に自然に存在するある種の化学種によって横断されるように構成されている。
【0144】
電気エネルギー発生器の電極が胃液または腸液に浸されると、一方の電極が第1の化学種を含む酸化還元反応においてアノードとして作用する。同時に、他方の電極は、第2の化学種を含む酸化還元反応においてカソードとして作用する。
【0145】
第1の化学種および第2の化学種の同時酸化および還元によって、2つの導電体間に電圧が生じる。そして、第1の電源電流C1と第2の電源電流C2とが生成される。
【0146】
第1の化学種は、例えば、グルコースである。第2の化学種は、例えば、酸素である。
【0147】
埋め込み可能なシステム10の第6の例は、電気エネルギー・リザーバ90の充電または患者Pの体内への電気エネルギー・リザーバ90の挿入を必要としない。
【0148】
患者Pに対する制約は、ここでもまた減少する。
【0149】
第6の例によれば、電気エネルギー発生器は、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換することによって少なくとも1つの電流を発生させるのに適している。特に、電気エネルギー発生器は、胃30の動きから少なくとも1つの電流を発生させるのに適している。
【0150】
上記の説明では、埋め込み可能なシステム10の機能は、読者による理解を容易にするためにいくつかの例に分けられている。しかしながら、前述した例を組み合わせて新しい実施形態を生み出すことができることに留意されたい。
【0151】
例えば、第2のデバイス25が器官Cを刺激するためのデバイスである場合、中央デバイス20はセンサ117を含むのに適しており、器官Cの刺激時間は、センサ117によって測定された値に基づいて第1のコントローラ45によって計算される。
【0152】
さらに、上記説明は、アンカー15と中央デバイス20とが2つの別々のデバイスを形成する場合について与えられた。当業者であれば、中央デバイス20およびアンカー15は単一のデバイスを形成するのに適しており、したがってアンカー15および中央デバイス20は互いに分離されないことを容易に理解するであろう。例えば、アンカー15は中央デバイス20のハウジング65と一体である。
【0153】
さらなる例によれば、ヘッド35は胃30の外側に位置する少なくとも1つのベースを含む。例えば、ヘッド35は2つのベースを含む。
【0154】
それぞれのベースは、胃30の壁部の内方面に対して埋め込み可能なデバイス20を押圧する傾向となる力を印加するために、胃30の壁部の外方面に対して対接するように、および埋め込み可能なデバイス20に対して連結されるように構成されている。代替的な実施形態によれば、それぞれのベースは、腹膜の臓側板と壁側板との間に配置されるように、および胃30の壁部の内方面に対して埋め込み可能なデバイス20を押圧するために臓側板に対接するように構成されている。
【0155】
それぞれのベースは、例えばプレートである。代替的には、各ベースは、フレーム、特に屈曲し内視鏡または中空ニードルまで挿入されるのに適した可撓性フレームの上に広げられたストランド格子を含む。
【0156】
第1のコネクタ40は、例えば、ハウジング65に堅固に接続された1つまたは複数のリングを含む。それぞれのベースは、例えば、1つまたは複数のリングに固定された1つまたは複数のストランドによって埋め込み可能なデバイス20に固定される。
【0157】
1つまたは複数のベースによる固定は、埋め込み可能なデバイスによって加えられる圧力を胃30の壁部のより広い表面にわたって分散させることを可能にし、したがって加えられる圧力を減らすことを可能にする。さらに、この固定モードは、胃壁に、それに固定されたアンカーの張力の上昇を生じさせる、胃の容積を減少させる折り目を生じさせることではない。胃壁にかかる力が減少するので、胃粘膜の炎症反応の発症の危険性が制限される。
【符号の説明】
【0158】
10 埋め込み可能なシステム
15 アンカー
20 埋め込み可能なデバイス、デバイス、中央デバイス
25 第2のデバイス
30 胃
35 ヘッド
40 第1のコネクタ
45 第1のコントローラ
50 第2のコネクタ
55 電源
60 第1のエミッタ/レシーバ
65 ハウジング
70 送信機
75 第1のメモリ
80 第1のプロセッサ
85 第3のコネクタ
90 第1の電気エネルギー・リザーバ
95 空洞部
100 第1の電気接触子
105 第2の電気接触子
110 アトラクタ
115 刺激デバイス
117 センサ
120 第2のエミッタ/レシー
125 変換器
130 電極
C1 第1の電源電流
C2 第2の電源電流
C3 第3の電源電流