(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20220701BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20220701BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20220701BHJP
H01M 50/342 20210101ALN20220701BHJP
【FI】
H01M50/204 101
H01M50/284
H01M50/35
H01M50/342 201
(21)【出願番号】P 2019538944
(86)(22)【出願日】2018-03-20
(86)【国際出願番号】 JP2018011104
(87)【国際公開番号】W WO2019044010
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2017168528
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社エンビジョンAESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】圓岡 和典
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-218012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを通す管
状部材と、
前記ケーブルの一端と接続された電池を収容する防水袋と、
前記防水袋の開口部を前記管
状部材の内側の空間の中に収め、前記管
状部材の両端の開口部を密閉する密閉部材と、を有
し、
前記密閉部材は、前記管状部材の一端において前記管状部材の内面と前記防水袋の外面との間の隙間を埋めるシール部材と、前記管状部材の他端において前記管状部材の内面と前記ケーブルの外被との間の隙間を埋めるシール部材とを含む、電池パック。
【請求項2】
防水袋で被覆した電池を収容する筐体と、
一端側を前記電池と電気的に接続し、他端側を前記防水袋の開口部から前記筐体の外部へ向けて引き出すケーブルと、
筐体開口部と、
を備え、
前記筐体開口部は、内側封止部と外側封止部とを備え、
前記内側封止部は、前記筐体開口部の一端の内面と前記防水袋の外面との間の隙間を埋めるシール部であり、
前記外側封止部は、前記筐体開口部の他端の内面と前記ケーブルの外被との間の隙間を埋めるシール部であり、
前記防水袋の開口部は、前記内側封止部と、前記外側封止部と、前記筐体開口部の内面とによって包囲される空間に配置されている、電池パック。
【請求項3】
前記筐体開口部の内周面に外周面が当接する管状部材をさらに含み、前記空間
は、前記管状部材の内面と、前記
内側封止部と、前記
外側封止部とによって包囲
されている、請求項
2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記空間
には、ガス吸収材
が充填
されている、請求項
2または3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記管状部材は、ガス排出機構を有する、請求項
3に記載の電池パック。
【請求項6】
前記筐体は回路基板をさらに収容し、前記回路基板は前記電池と電気的に接続されている、請求項2から
5のいずれか1項に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電池パックは、電動工具、電動アシスト自転車、電動バイク、ハイブリッド電気自動車、無人航空機(ドローン)などの用途で広く利用されている。また、電池パックは、家庭や店舗などにおける蓄電などの用途でも利用されている。これら種々の用途において、電池パックは屋外で使用されることもある。そのため、電池パックは、電池パック内にある電池セルを水の浸入から保護する構造を有している必要がある。
【0003】
電池パックに対する水の浸入を防止する構造の一例として、複数の電池セルの集合体である電池パックを、樹脂製の防水袋に収納し、開口部を閉塞するという構造が知られている。特許文献1には、電池のコアパックを収納する防水袋の開口部を、コードブッシュや結束材を用いて水密に閉塞する電池パックが開示されている。また、特許文献2には、電池モジュールに設けられたケーブル引き出し貫通孔にシール部材を嵌めることで、防水性を確保する電池モジュールが開示されている。ケーブル引き出し貫通孔は、電池モジュールに収容された電池セルの電極端子に接続されたケーブルの他端側を、外部機器に接続するために引き出すための孔である。
【0004】
ここで、電池パックの構成について簡単に説明する。電池パックは、次のような工程を経て生成される。まず、セパレータを挟んで正極電極と負極電極とを交互に積層する。積層を行うことで電池要素(積層構造体)を生成する。次に、電池要素(積層構造体)を電解液と共にラミネート外装で封止する。さらに、ラミネート外装で封止した電池セル(単位電池)を複数個積層する。そして、電池セル(単位電池)を複数個積層することで組電池を生成する。電池パックは、この組電池をパック内に有している。
【0005】
このような工程で生成される電池パックは、単位電池としてリチウムイオン二次電池を用いている。リチウムイオン二次電池は、初期充電時に非水電解液が負極活物質と反応して分解し、ガスが発生することが知られている。このガスが電極間に存在すると、リチウムイオン二次電池の内部抵抗の増大などの現象が生じる。そして、リチウムイオン二次電池の内部抵抗の増大などに起因して電池容量が減少する。その結果、サイクル特性などの電池特性が低下することがある。特に、フィルム外装体を採用したリチウムイオン二次電池では、電池特性が低下する傾向が顕著である。このガスの発生を要因とする電池特性の低下を防止するため、この種の電池パックでは、次のような対策を行っている。
【0006】
例えば、単位電池からガスが発生したとき、電池パックは、このガスを電池パックの外部へ排出するガス排出機構を備えている。ガス排出機構は、電池パックの内部で発生したガスを電池パックの外部へ排出する機能を有している。さらに、ガス排出機構は、電池パックの外部から水が浸入するのを防止する機能を有している。また、電池パックは、単位電池から発生したガスを吸収するガス吸収材を内部に備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2007-317579号公報
【文献】特開2016-171028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電池パックに対する水の浸入を防止するため、防水袋の開口部をコードブッシュや結束材を用いて閉塞する構造は、防水袋とリード線(ケーブル)との間の隙間を、一箇所でシールすることになる。これに対して、上述したガス排出機構は、電池パックに一旦孔を開け、その場所にガス排出弁を設ける構造を有している。したがって、本来であれば、電池パックの内部と外部との境界である防水袋の開口部にガス排出機構を設けることが、防水機能とガス排出機能とを両立させるという点で効率的である。しかしながら、防水袋の開口部をコードブッシュや結束材を用いて閉塞する構造では、次のような問題がある。それは、電池パックの内部と外部との境界である防水袋の開口部に、ガス排出機構を設けるためのスペースがないという問題がある。そのため、ガス排出機構を、防水袋の開口部以外の領域に設けざるを得ない状況となっている。この状況は、電池セルを電池モジュールに収納した状態で、ケーブルの引き出し貫通孔にシール部材を充填する構造であっても同様である。そのため、ガス排出機構を、防水袋の開口部以外の場所にわざわざ孔を開けて設けることとしていた。したがって、穴の開け方によっては防水機能が劣化してしまうという問題もある。
【0009】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、防水機能とガス排出機能とを両立させた新たな機構を提供するという課題を解決する電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電池パックは、防水袋で被覆した電池を収容する筐体と、一端側を前記電池と電気的に接続し、他端側を前記防水袋の開口部から前記筐体の外部へ向けて引き出すケーブルと、筐体開口部と、を備え、前記筐体開口部は、内側封止部と外側封止部とを備え、前記内側封止部は、前記筐体開口部の一端の内面と前記防水袋の外面との間の隙間を埋めるシール部であり、前記外側封止部は、前記筐体開口部の他端の内面と前記ケーブルの外被との間の隙間を埋めるシール部であり、前記防水袋の開口部は、前記内側封止部と、前記外側封止部と、前記筐体開口部の内面とによって包囲される空間に配置されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、防水機能とガス排出機能とを両立させた新たな機構を有する電池パックを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】電池パックの一例の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す電池パックの一方の筐体を取り外した状態で、筐体内部に収容した組電池やケーブルを模式的に示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態および第2実施形態の電池パックを構成する組電池を防水袋に入れる前の状態の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態および第2実施形態の電池パックを構成する組電池を防水袋に入れた後の状態の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図5】防水袋に入れた後の組電池を上ケースと下ケースとを組み合わせて収納し、第1実施形態の電池パックを形成する状態の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態の電池パックを、単位電池の積層方向から上ケースを透過して見た状態の一例を示す上面図である。
【
図8】防水袋に入れた後の組電池を上ケースと下ケースとを組み合わせて収納し、第2実施形態の電池パックを形成する状態の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図9】第2実施形態の電池パックを、単位電池の積層方向から上ケースを透過して見た状態の一例を示す上面図である。
【
図10】第2実施形態の電池パックの一例の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図11】第2実施形態の電池パックの一例の下ケースを外した状態の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図13】第3実施形態の電池パックの一例の要部について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明の実施形態の説明に入る前に、電池パックの一例について、
図1および
図2を用いて説明する。
図1は、電池パックの一例の外観を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示す電池パックの一方の筐体を取り外した状態で、筐体内部に収容した組電池やケーブルを模式的に示す斜視図である。
【0014】
電池パック1000は、少なくとも、可撓性フィルムのシートで包んだ単位電池1を複数積層した組電池と、保護回路基板とを、筐体100の内部に収容している。筐体100は、一対の第1のケース体101と第2のケース体102とを組み合わせて形成することができる。
筐体100は、開口部450を有している。この開口部450を通じて、筐体100の内部から外部に向かって、一端側を組電池に接続した電源ケーブル200の他端側を引き出している。また、開口部450を通じて、筐体100の内部から外部に向かって、一端側を各単位電池1に接続し、各単位電池1の状態をモニタする信号ケーブル(以下、センス線ともいう。)300の他端側を引き出している。電源ケーブル200は、互いに極性の異なる2本のケーブル220、230を有している。センス線300は、単位電池1の電圧、電流、温度等の状態を出力可能な信号線である。
ケーブル220とケーブル230との他端側は、コネクタ250と接続している。センス線300の他端側は、コネクタ350と接続している。
組電池は防水袋400で被覆している。電源ケーブル200の他端側およびセンス線300の他端側を、防水袋400の開口部401から取り出し、筐体100の外部に引き出している。
【0015】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
初めに、本発明の第1実施形態による電池パックの概略構成を
図3から
図5を用いて説明する。
図3は、第1実施形態の電池パックを構成する組電池を防水袋に入れる前の状態の一例を模式的に示す斜視図である。
【0016】
図3に示すように、第1実施形態の電池パック1001(
図5)は、可撓性フィルムのシートで包んだ単位電池1を複数積層した組電池10を有している。
図3は、単位電池1を7個積層している状態を示している。しかしながら、単位電池1の積層数は、7個に限られず、任意の数とすることができる。
ケーブル220、230の一端側とセンス線300の一端側とは、組電池10の電極端子21、22と電気的に接続している。ケーブル220、230の他端側は、コネクタ250と電気的に接続している。センス線300の他端側は、コネクタ350と電気的に接続している。
【0017】
防水袋400は、略直方体の形状を有しており、組電池10を被覆する。防水袋400は、電源ケーブル200の他端側とセンス線300の他端側とを防水袋400の外部に引き出すための開口部401を有している。組電池10を防水袋400を用いて被覆すると、
図4に示す状態になる。
図4は、第1実施形態および第2実施形態の電池パックを構成する組電池を防水袋に入れた後の状態の一例を模式的に示す斜視図である。
【0018】
次に、防水袋400で被覆した組電池10を、
図5に示すように、第1のケース体(以下、上ケースともいう。)101と第2のケース体(以下、下ケースともいう。)102とを用いて組み付ける。これにより、筐体100は、防水袋400で被覆した組電池10を収容する。
図5は、防水袋に入れた後の組電池を上ケース101と下ケース102とを組み合わせて収納し、第1実施形態の電池パックを形成する状態の一例を模式的に示す斜視図である。
【0019】
図5に示すように、上ケース101と下ケース102とは、筐体開口部105を有している。具体的には、上ケース101と下ケース102とは、電源ケーブル200、センス線300の他端側を防水袋400の開口部401から引き出す引出開始位置(S)から、電源ケーブル200、センス線300の他端側を筐体100の外部へ引き出す引出開始位置(E)にかけて、筐体開口部105を有している。すなわち、上ケース101の上ケース管状部1011と下ケース102の下ケース管状部1021とを組み合わせることで、筐体開口部105を形成している。そして、防水袋400の開口部401を、筐体開口部105の空間内に配置することとしている。
【0020】
上ケース管状部1011は、電源ケーブル200、センス線300の他端側を、筐体100から外部へ引き出す引出開始位置(E)に対応する筐体開口部105に、上ケース封止部501を有している。上ケース管状部1011は、電源ケーブル200、センス線300の他端側を、防水袋400の開口部401から引き出す引出開始位置(S)に対応する筐体開口部105に、上ケース封止部503を有している。
同様に、下ケース管状部1021は、電源ケーブル200、センス線300の他端側を、筐体100から外部へ引き出す引出開始位置(E)に対応する筐体開口部105に、下ケース封止部502を有している。下ケース管状部1021は、電源ケーブル200、センス線300の他端側を、防水袋400の開口部401から引き出す引出開始位置(S)に対応する筐体開口部105に、下ケース封止部504を有している。
すなわち、
図7に示すように、筐体開口部105は、上ケース封止部501と下ケース封止部502とから成る外側封止部551と、上ケース封止部503と下ケース封止部504とから成る内側封止部552と、筐体開口部105の内面とを用いて閉塞した空間である。この点については後述する。
【0021】
筐体開口部105についてさらに
図6を用いて説明する。
図6は、第1実施形態の電池パックを、単位電池の積層方向から上ケースを透過して見た状態の一例を示す上面図である。
図6では、上ケース101を透過して見ている。したがって、筐体開口部105は、下ケース管状部1021と下ケース封止部502と下ケース封止部504とから成る。そして、防水袋400の開口部401を、筐体開口部105の空間内に配置することとしている。
【0022】
次に、外側封止部551と内側封止部552とについて
図7を用いて説明する。
図7は、
図6のA部分を拡大した斜視図である。
図7に示すように、外側封止部551と内側封止部552とを用いて筐体開口部105を閉塞している。外側封止部551は、筐体開口部105の内面と電源ケーブル200、センス線300の外被との間の隙間を埋めるようシールする。内側封止部552は、筐体開口部105の内面と防水袋400の開口部401の外縁との間の隙間を埋めるようシールする。なお、外側封止部551は、筐体開口部105の内面と電源ケーブル200、センス線300の外被との間の隙間を埋める部材であれば如何なる材質のものであってもよい。また、内側封止部552は、筐体開口部105の内面と防水袋400の開口部401の外縁との間の隙間を埋める部材であれば、如何なる材質のものであってもよい。
【0023】
そして、筐体開口部105は、単位電池1から発生するガスを、電池パック1001の外部へ排出するガス排出機構を有していてもよい。これにより、筐体開口部105は、次のような機能を有する。1つは、電池パック1001の外部から水が浸入するのを防止する機能である。もう1つは、電池パック1001の内部で発生したガスを電池パック1001の外部へ排出する機能である。これら2つの機能を両立させることができる。また、筐体開口部105は、単位電池1から発生したガスを吸収するガス吸収材を有していてもよい。
【0024】
なお、本実施形態では、略半円形の上ケース封止部501と下ケース封止部502とを用いて外側封止部551を形成している。また、本実施形態では、略半円形の上ケース封止部503と下ケース封止部504と用いて内側封止部552を形成している。しかしながら、外側封止部551と内側封止部552とを、複数の部材を用いて形成することに代えて、単一の部材を用いて形成するようにしてもよい。例えば、上ケース管状部1011に略円形の外側封止部551を設け、下ケース管状部1021に略円形の内側封止部552を設ける構成、または、この逆の構成であってもよい。
【0025】
このように、本実施形態では、組電池10の電極21、22に一端側を接続している電源ケーブル200の他端側のうち、防水袋400の開口部401から引き出す引出開始位置(S)から、筐体100から引き出す引出開始位置(E)にかけて、筐体100に連続的な筐体開口部105を形成することとしている。そして、筐体開口部105は、外側封止部551と、内側封止部552と、筐体開口部105の内面とを用いて閉塞した空間を形成している。さらに、外側封止部551は、筐体開口部105の内面と電源ケーブル200、センス線300の外被との間の隙間を埋めるようシールする。また、内側封止部552は、筐体開口部105の内面と防水袋400の開口部401の外縁との間の隙間を埋めるようシールする。そして、筐体開口部105は、単位電池1から発生するガスを、電池パック1001の外部へ排出するガス排出機構を有していてもよい。これにより、筐体開口部105は、次のような機能を有する。1つは、電池パック1001の外部から水が浸入するのを防止する機能である。もう1つは、電池パック1001の内部で発生したガスを電池パック1001の外部へ排出する機能である。これら2つの機能を両立させることができる。
【0026】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による電池パックの概略構成を
図3、
図4及び
図8を用いて説明する。
図3および
図4は、第1実施形態の電池パックと同様であるので詳細な説明は省略する。
【0027】
防水袋400で被覆された組電池10を、
図8に示すように、上ケース101と下ケース102とを用いて組み付ける。これにより、筐体100は、防水袋400で被覆した組電池10を収容する。
図8は、防水袋に入れた後の組電池を上ケース101と下ケース102とを組み合わせて収納し、第2実施形態の電池パックを形成する状態の一例を模式的に示す斜視図である。
【0028】
図8では明確に図示していないが、本実施形態も、第1実施形態の
図5で説明したように、電源ケーブル200、センス線300の他端側を、防水袋400の開口部401から引き出す引出開始位置(S)に対応する位置から、筐体100から外部へ引き出す引出開始位置(E)に対応する位置にかけて、筐体100に連続的な筐体開口部105を形成している。また、上ケース101の上ケース管状部1011と下ケース102の下ケース管状部1021とを組み合わせることで、筐体開口部105を形成している点も、第1実施形態と同様である。
【0029】
本実施形態では、筐体開口部105の内周面に対向して外周面が当接する筒状部材(以下、管状部材ともいう。)500を、筐体開口部105の空間に配置している。そして、管状部材500は、電源ケーブル200、センス線300の他端側を筐体100から引き出す引出開始位置(E)に対応する筐体開口部105の位置に、外側封止部551を有している。さらに、管状部材500は、電源ケーブル200、センス線300の他端側を防水袋400の開口部401から引き出す引出開始位置(S)に対応する筐体開口部105の位置に、内側封止部552を有している。すなわち、
図12に示すように、筐体開口部105は、外側封止部551と内側封止部552と管状部材500の内面を用いて閉塞した空間である。この点については後述する。
【0030】
筐体開口部105及び管状部材500についてさらに
図9を用いて説明する。
図9は、第2実施形態の電池パックを、単位電池の積層方向から上ケースを透過して見た状態の一例を示す上面図である。
図9では、上ケース101を透過して見ている。したがって、筐体開口部105は、下ケース管状部1021と管状部材500の外側封止部551と内側封止部552とから成る。そして、防水袋400の開口部401を、筐体開口部105の空間に配置した管状部材500の空間内に配置することとしている。
【0031】
そして、筐体開口部105の内周面に対向して外周面が当接する管状部材500は、外側封止部551と、内側封止部552と、管状部材500の内周面とを用いて閉塞した空間を形成している。さらに、外側封止部551は、管状部材500の内面と電源ケーブル200、センス線300の外被との間の隙間を埋めるようシールする。内側封止部552は、管状部材500の内面と防水袋400の開口部401の外縁との間の隙間を埋めるようシールする。
【0032】
次に、第2実施形態の電池パックの外観、下ケースを外した状態の外観について説明する。
図10は、第2実施形態の電池パックの一例の外観を模式的に示す斜視図である。
図11は、第2実施形態の電池パックの一例の下ケースを外した状態の外観を模式的に示す斜視図である。なお、
図10および
図11では、上ケース管状部1011と下ケース管状部1021との記載を省略している。
【0033】
本実施形態の電池パック1002の基本的な構成は、上記
図1および
図2において説明したものと同様である。そして、本実施形態では、
図10および
図11に示すように、電源ケーブル200、センス線300の他端側を、筐体100から外部へ引き出す引出開始位置に対応する管状部材500の位置に、外側封止部551を設けている。さらに、本実施形態では、
図10および
図11には図示していないが、電源ケーブル200、センス線300の他端側を、防水袋400の開口部401から引き出す引出開始位置に対応する管状部材500位置に、内側封止部552を設けている。そして、外側封止部551は、管状部材500の内面と電源ケーブル200、センス線300の外被との間の隙間を埋めるようシールする。さらに、
図10および
図11には図示していないが、内側封止部552は、管状部材500の内面と防水袋400の開口部401の外縁との間の隙間を埋めるようシールする。
【0034】
次に、管状部材500の内部構成について、
図12を用いて説明する。
図12は、
図10のX-X´断面図である。
図12に示すように、電源ケーブル200の他端側の、筐体100から引き出す引出開始位置(E)に対応する位置から、防水袋400の開口部401から引き出す引出開始位置(S)に対応する位置にかけて、筐体100に連続的に筐体開口部105が形成されている。そして、筐体開口部105の空間に管状部材500を配置している。その結果、管状部材500は、外側封止部551と内側封止部552と管状部材500の内面とを用いて閉塞した空間を形成する。
【0035】
図12に示すように、防水袋400の開口部401から引き出す電源ケーブル200の他端側を、管状部材500の内面を通って筐体100の外部へ引き出す。そして、外側封止部551は、管状部材500の内面と電源ケーブル200の外被との間の隙間を埋めるようシールする。内側封止部552は、管状部材500の内面と防水袋400の開口部401の外縁との間の隙間を埋めるようシールする。
【0036】
本実施形態においても、管状部材500は、単位電池1から発生するガスを、電池パック1002の外部へ排出するガス排出機構を有していてもよい。これにより、管状部材500は、次のような機能を有する。1つは、電池パック1002の外部から水が浸入する機能である。もう1つは、電池パック1002の内部で発生したガスを電池パック1002の外部へ排出する機能である。これら2つの機能を両立させることができる。また、管状部材500は、単位電池1から発生したガスを吸収するガス吸収材を有していてもよい。
【0037】
このように、本実施形態では、電源ケーブル200の一端側を組電池10の電極21、22に接続している。また、電源ケーブル200の他端側のうち、防水袋400の開口部401から引き出す引出開始位置(S)から、筐体100から引き出す引出開始位置(E)にかけて、筐体100に連続的な筐体開口部105を形成している。そして、筐体開口部105の内周面に対向して外周面が当接する管状部材500の内面と、外側封止部551と、内側封止部552とを用いて閉塞した空間を形成している。さらに、外側封止部551は、管状部材500の内面と電源ケーブル200、センス線300の外被との間の隙間を埋めるようシールする。また、内側封止部552は、管状部材500の内面と防水袋400の開口部401の外縁との間の隙間を埋めるようシールする。そして、管状部材500は、単位電池1から発生するガスを、電池パック1002の外部へ排出するガス排出機構を有していてもよい。これにより、管状部材500は、次のような機能を有する。1つは、電池パック1002の外部から水が浸入するのを防止する機能である。もう1つは、電池パック1002の内部で発生したガスを電池パック1002の外部へ排出する機能である。これら2つの機能を両立させることができる。
【0038】
なお、上記2つの実施形態において、筐体開口部105および管状部材500の電源ケーブル200の長さ方向の寸法は、以下のようにすることが可能である。すなわち、筐体100の外部へ電源ケーブル200を引き出す引出開始位置(E)から、防水袋400の開口部401から電源ケーブル200を引き出す引出開始位置(S)までの任意の長さとすることが可能である。
さらに、上記2つの実施形態において、単位電池1は、充放電可能な二次電池のうち、リチウムイオン二次電池を対象として説明を行っている。しかしながら、単位電池1は、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池とすることもできる。さらに、上記2つの実施形態において、電池パック1001、1002は、単位電池1として、電池要素(積層構造体)を電解液と共にラミネート外装で封止したラミネート電池を例に挙げて説明を行っている。しかしながら、単位電池1の形状は、円筒型電池や角型電池など、任意の形状を採ることができる。
また、上記2つの実施形態において、組電池10として単位電池1を7個積層している状態を示している。しかしながら、単位電池1の積層数は7個に限られず、任意の数とすることができる。
【0039】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による電池パックについて、
図13を用いて説明する。
図13は、第3実施形態の電池パックの一例の要部について説明する図である。
【0040】
本実施形態の電池パック1003は、筐体100と、ケーブル220と、筐体開口部105と、第1の部材510と、第2の部材520とを有する。
筐体100は、防水袋400で被覆した電池11を収容する。ケーブル220の一端側は、電池11と電気的に接続する。ケーブル220の他端側は、防水袋400の開口部401から筐体100の外部へ向けて引き出す。
筐体開口部105を、次の位置に形成する。すなわち、ケーブル220の他端側を筐体100の外部へ向けて引き出す引出開始位置に対応する筐体100の第1の位置から、防水袋400の開口部401から引き出す引出開始位置に対応する筐体100の第2の位置にかけて形成する。筐体開口部105は、筐体100に連続的に形成する。
第1の部材510は、筐体100の第1の位置において、筐体開口部105の内面とケーブル220の外被との間の隙間を埋める。第2の部材520は、筐体100の第2の位置において、筐体開口部105の内面と防水袋400の開口部401の外縁との間の隙間を埋める。
【0041】
本実施形態では、筐体開口部105を、次の位置に形成している。すなわち、ケーブル220の他端側のうち、筐体100から引き出す引出開始位置に対応する筐体100の第1の位置から、防水袋400の開口部401から引き出す引出開始位置に対応する筐体100の第2の位置にかけて形成している。そして、筐体100の第1の位置において、筐体開口部105の内面とケーブル220の外被との間の隙間を、第1の部材510を用いてシールしている。また、筐体100の第2の位置において、筐体開口部105の内面と防水袋400の開口部401の外縁との間の隙間を、第2の部材520を用いてシールしている。そして、筐体開口部105は、単位電池1から発生するガスを、電池パック1003の外部へ排出するガス排出機構を有していてもよい。これにより、防水機能とガス排出機能とを両立させた新たな機構を有する電池パック1003を提供することができる。
【0042】
なお、上記実施形態では、筐体開口部105を筐体100に連続的に形成することを前提として説明を行っている。しかしながら、例えば、ケーブル220を通す管の中に、電池11を収容する防水袋400の開口部401を収め、この管の両端の開口部を密閉する第1の部材510と第2の部材502とを有する構成であれば、同様の効果を得ることができる。
【0043】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0044】
この出願は、2017年9月1日に出願された日本出願特願2017-168528を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0045】
1 単位電池
10 組電池
21、22 電極
100 筐体
101 第1のケース体
102 第2のケース体
105 筐体開口部
200 電源ケーブル
220、230 ケーブル
250、350 コネクタ
300 センス線
400 防水袋
401、450 開口部
500 管状部材
501、503 上ケース封止部
502、504 下ケース封止部
510 第1の部材
520 第2の部材
551 外側封止部
552 内側封止部
1000、1001、1002、1003 電池パック
1011 上ケース管状部
1021 下ケース管状部