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特許7097905航空プラットフォームの減速および方向転換の方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】航空プラットフォームの減速および方向転換の方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B64D 19/02 20060101AFI20220701BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20220701BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220701BHJP
   B64D 17/80 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
B64D19/02
B64C27/08
B64C39/02
B64D17/80
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019551441
(86)(22)【出願日】2018-03-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 IL2018050303
(87)【国際公開番号】W WO2018173040
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-02
(31)【優先権主張番号】251342
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】519331752
【氏名又は名称】パラゼロ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツァリア,アミール
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105691606(CN,A)
【文献】特開2001-120848(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106428577(CN,A)
【文献】米国特許第01615682(US,A)
【文献】中国実用新案第202464133(CN,U)
【文献】韓国登録特許第10-1609103(KR,B1)
【文献】国際公開第2016/193690(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 3/56
B64C 27/08
B64C 29/00-29/02
B64C 39/02
B64D 17/80
B64D 19/00-19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空プラットフォームの減速および方向転換の方法であって、
(a)柔軟性のある翼を、展開されていない形態で、マルチロータードローンの対応する各ローターアームとの制御可能かつ解放可能な固定関係によって保持することと、
(b)前記ドローンの第1の方向の落下速度が所定値より大きいことを検出すると、前記保持されている1つまたは複数の翼の前記対応するローターアームからの解放を開始し、前記解放された各翼を、前記ドローンの第1のローターアームから第2のローターアームに外周方向にかつ翼ごとに独立して移動して、隣接するアーム間領域を閉じることと、を含み、
前記外周方向に移動された各翼によって、前記落下するドローンの落下方向を前記第1の方向から第2の方向に変えるのに十分な局所的な揚力が生じる、
ことを特徴とする航空プラットフォームの減速および方向転換の方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数の保持された翼の前記対応するローターアームからの解放は、下方に存在する障害物の検出に応じて開始される、ことを特徴とする請求項1に記載の航空プラットフォームの減速および方向転換の方法。
【請求項3】
障害物が前記ドローンの現在位置から所定距離内に発見されない場合は、前記1つまたは複数の保持されたすべての翼が前記対応するローターアームから解放されて、前記第1の方向の落下が継続される、ことを特徴とする請求項1に記載の航空プラットフォームの減速および方向転換の方法。
【請求項4】
隣接するアーム間領域を閉じた1つまたは複数の翼の平面図形を調節することをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の航空プラットフォームの減速および方向転換の方法。
【請求項5】
マルチロータードローンと共に使用される減速システムであって、
(a)翼ごとに独立して移動可能な複数の翼と、
(b)前記翼のそれぞれを、前記ドローンの対応するローターアームに対して、展開されていない形態で保持する翼保持部と、
(c)前記翼保持部を制御可能かつ解放可能に対応するローターアームに固定する保護
部材と、
(d)前記ドローンを前後軸周りに回転させることによって、前記複数の翼のうちの1つまたは複数の翼を、前記保持部から解放された後に、前記ドローンの第1のローターアームから第2のローターアームに外周方向に移動して隣接するアーム間領域を閉じるための、回転可能な放出部と、
を有する減速システム。
【請求項6】
前記ドローンの所定の急降下を検出する1つまたは複数のセンサと、前記1つまたは複数のセンサおよび前記回転可能な放出部および前記翼保持部の保護部材のそれぞれとデータ通信を行う安全保証の処理装置と、をさらに有し、
前記所定の急降下の検出に応じて、前記複数の翼のうちの前記1つまたは複数の翼の外周方向への移動を発生させるトリガ信号が、前記安全保証の処理装置から前記放出部と前記複数の翼のうちの前記1つまたは複数の翼に対応する前記保護部材とに送信される、
ことを特徴とする請求項5に記載の減速システム。
【請求項7】
前記放出部から前記複数の翼のそれぞれに制御可能に伸長可能な、前記安全保証の処理装置とデータ通信を行う対応する作動部材をさらに有し、
翼部分と伸長された作動部分とが係合すると、前記放出部の回転時に、前記対応する翼が外周方向に移動して前記隣接するアーム間領域を閉じる、
ことを特徴とする請求項6に記載の減速システム。
【請求項8】
前記ドローンの第1の方向の未修正の落下経路上に存在する障害物の検出時に、検出信号を前記安全保証の処理装置に送信する、前記安全保証の処理装置とデータ通信を行う下向きを向く衝突回避システムをさらに有し、
前記安全保証の処理装置は、前記障害物を回避するために必要な落下方向を計算し、前記トリガ信号を送信して、十分な数の前記複数の翼を外周方向に移動するように動作可能であり、前記外周方向に移動された前記翼のそれぞれは、前記落下中のドローンの落下方向を前記第1の方向から前記障害物を回避するのに適当な第2の方向に変えるのに十分な局所的な揚力を発生させる、
ことを特徴とする請求項7に記載の減速システム。
【請求項9】
前記安全保証の処理装置は、オンボードコンピュータである、ことを特徴とする請求項6に記載の減速システム。
【請求項10】
前記トリガ信号の送信および前記複数の翼のうちの前記1つまたは複数の翼の外周方向の移動を行う、各翼の平面図形調節手段をさらに有する、ことを特徴とする請求項6に記載の減速システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人機(UAV)やドローンなどのマルチローター航空機の分野に関する。特に、本発明は、当該航空機のプラットフォームの減速および方向転換の方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドローンやその他の種類のマルチローター航空機の使用は、特に汚染検出、航空写真、監視などの自律的な任務を行うことを目的として、近年着実に増加している。ときとして、任務の自律的あるいは半自律的な性質から、ドローンに不測の衝突が生じたり、ドローンが予期せず故障したりする結果、ドローンが十分な揚力を生み出せずに急降下することがある。
【0003】
一部のドローンには、上記のような考慮すべき状況において急降下するドローンを減速させる自動パラシュート展開システムが備わっている。しかしながら、上記の従来技術に係るパラシュート展開システムは、単に落下速度を緩めるだけで、落下方向の制御は行わない。そのため、急速に落下するドローンが、下方に存在するビルや山などの構造物と衝突して、修復不能な損害や多額の費用がかかる損害をもたらす重大なリスクがある。
【0004】
また、従来技術に係るドローンのパラシュートのサイズや重量は限られているため、達成できる減速の程度にも限界がある。
【0005】
本発明の目的は、航空機の落下方向を制御することができる減速システムを有するマルチローラー航空機を提供することである。
【0006】
本発明のその他の目的や有利な点については、以下の説明により明らかになる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、航空プラットフォームの減速および方向転換の方法であって、柔軟性のある翼を、展開されていない形態で、マルチロータードローンの対応する各ローターアームとの制御可能かつ解放可能な固定関係によって保持することと、ドローンの第1の方向の落下速度が所定値より大きいことを検出すると、保持されている1つまたは複数の翼の対応するローターアームからの解放を開始し、解放された各翼を、ドローンの第1のローターアームから第2のローターアームに外周方向に移動して、隣接するアーム間領域を閉じることと、を含み、外周方向に移動された各翼によって、落下するドローンの落下方向を第1の方向から第2の方向に変えるのに十分な局所的な揚力が生じる、ことを特徴とする方法である。
【0008】
また、1つまたは複数の保持された翼の対応するローターアームからの解放は、下方に存在する障害物の検出に応じて開始されてもよい。また、障害物がドローンの現在位置から所定距離内に発見されない場合は、1つまたは複数の保持されたすべての翼が対応するローターアームから解放されて、第1の方向の落下が継続されてもよい。
【0009】
また、本発明は、マルチロータードローンと共に使用される減速システムであって、複数の翼と、翼のそれぞれを、ドローンの対応するローターアームに対して、展開されていない形態で保持する翼保持部と、翼保持部を制御可能かつ解放可能に対応するローターアームに固定する保護部材と、ドローンを前後軸周りに回転させることによって、1つまた
は複数の翼を、保持部から解放された後に、ドローンの第1のローターアームから第2のローターアームに外周方向に移動して隣接するアーム間領域を閉じるための、回転可能な放出部と、を有する減速システムである。
【0010】
他の実施形態によれば、減速システムは以下のいずれかの構成要素を有してもよい。
A.ドローンの所定の急降下を検出する1つまたは複数のセンサと、1つまたは複数のセンサおよび回転可能な放出部および翼保持部の保護部材のそれぞれとデータ通信を行う安全保証の処理装置と、をさらに有し、所定の急降下の検出に応じて、1つまたは複数の翼の外周方向への移動を発生させるトリガ信号が、安全保証の処理装置から放出部と1つまたは複数の翼に対応する保護部材とに送信される。
B.放出部から翼のそれぞれに制御可能に伸長可能な、安全保証の処理装置とデータ通信を行う対応する作動部材をさらに有し、翼部分と伸長された作動部分とが係合すると、放出部の回転時に、対応する翼が外周方向に移動して隣接するアーム間領域を閉じる。
C.ドローンの第1の方向の未修正の落下経路上に存在する障害物の検出時に、検出信号を安全保証の処理装置に送信する、安全保証の処理装置とデータ通信を行う下向きを向く衝突回避システムをさらに有し、安全保証の処理装置は、障害物を回避するために必要な落下方向を計算し、トリガ信号を送信して、十分な数の翼を外周方向に移動するように動作可能であり、外周方向に移動された翼のそれぞれは、落下中のドローンの落下方向を第1の方向から障害物を回避するのに適当な第2の方向に変えるのに十分な局所的な揚力を発生させる。
D.トリガ信号の送信および1つまたは複数の翼の外周方向の移動を行う、各翼の平面図形調節手段をさらに有する。
【0011】
一側面によれば、安全保証の処理装置は、オンボードコンピュータである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るマルチロータードローンの概略平面図であり、外周側に移動された対応する翼によって囲まれる、選択されたアーム間領域を示す。
図2図1のドローンの概略平面図であり、ドローンの翼が完全に展開された状態を示す。
図3図1のドローンの概略平面図であり、ドローンの2つの翼が完全に展開されて、ドローンをピッチ軸周りに回転させる状態を示す。
図4図1のドローンの概略平面図であり、ドローンの2つの翼が完全に展開されて、ドローンをロール軸周りに回転させる状態を示す。
図5図1のドローンの概略平面図であり、ドローンの2つの翼が完全に展開されて、ドローンを浮留させる状態を示す。
図6】本発明の一実施形態に係る減速システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ドローンは、推進システム、通信システム、制御システム、衝突回避システム、電源システムなど、遠隔制御によって実行可能な半自動な任務や完全に自律的な任務をも支援する多数の高度なシステムと共に構成される。これらのシステムが1つでも故障すると、たちまちドローンが失われることにつながる。
【0014】
システム故障の結果生じるドローンへの被害や、ドローンによって引き起こされる衝突に伴う近隣の構造物への被害を最小限に留めるため、ドローンのオンボードコンピュータや専用のリモートコンピュータによって実装される安全保証の処理装置によって、例えば所定の閾値を超えるなどによりドローンの急降下を検知したときに減速システムが作動され、落下速度を低下させることができる。ローターベースの推進システムが実装されている場合は、減速システムへの被害発生を回避するため、当該システムが自動的に停止され
る。
【0015】
減速システムの補助によって落下しているときに、ドローンは、横風や重力の影響を受けるため、着地までに制御できない経路を進んだり、運が悪い場合はその経路上に存在する構造物に衝突したりする。
【0016】
減速システムの補助によって落下しているときにドローンと構造物との衝突を回避するために、本発明の減速システムは、安全保証の処理装置と連携して、ドローンの落下方向を制御することができる。
【0017】
図1に示すように、本発明に好適なドローンの種類は、マルチロータータイプであり、1つのローターが、対応するローターアームの放射状に延びる方向の外側の端部、あるいは当該端部の近接部分によって支持される。各ローターは、独立して回転可能および制御可能であり、ドローンの所望の推力と所望のモーメントが達成される。
【0018】
概略的に図示されたマルチロータードローン10は、中心ハブ6から、あるいは中心の収斂域から放射状に外側に向かって延びる4つのローターアーム4a~dを有し、2つの隣り合うローターアーム4によって、正常時には遮られることのないアーム間領域Rが規定されている。本発明は、その他の任意の本数のローターアームを有するドローンにも同様に適用できる。
【0019】
ドローン全体に対して1つのパラシュートが設けられる先行技術に係るパラシュート展開システムとは異なり、本発明の展開システムは、複数の翼を有し、各ローターアームに1つの翼が設けられている。ドローンの所定の急降下の検知に応じて安全保証の処理装置によってトリガ信号が生成されると、1つまたは複数の翼が、1つのローターアームから別のローターアームに向かって同じ回転方向で、強制的に外周側へ移動し、隣接するアーム間領域Rを閉じる。それぞれ選択されたアーム間領域Rが閉じられると、領域を閉じている翼が広げられることによる揚力が生じ、これによってドローンの落下速度が低下する。
【0020】
翼を省スペースかつ非展開状態の形態で維持するための翼保持部8は、各ローターアーム4に設けられている。必須ではないが、翼は、好ましくは、柔軟性があり軽量の無孔の素材で作製される。翼保持部8はキャニスターを用いて構成することができ、このキャニスターは、隣接するアーム間領域Rに対向する開口と、翼をキャニスターの閉じられた壁に制御可能かつ解放可能に保持するための1つ以上の部材とを有する。一実施形態では、翼保持部8は、翼を対応するローターアーム4に外部から制御可能かつ解放可能に保持する1つ以上の取り付け部材を有する。
【0021】
独立して移動可能な複数の翼を用いることで、上昇速度や揚力の向きを好適に制御することができる。図2に示すようにすべての翼9が展開されると、合成した揚力が垂直方向を向き、落下中のドローン10が実質的に垂直方向の下向きの経路をより低速で進み、横風のみに影響されることとなる。ただし、1つ以上の翼9が展開されていないときは、ドローンは、バランスを取るのを止めて、例えば衝突するとドローンや見物人に重大な被害を及ぼす可能性がある下方に存在する構造物を避けるために落下方向を変える。
【0022】
例えば、図3に示すように、翼9a、9dが展開されて領域R、Rが閉じられると、正反対の領域R、Rに比べて領域R、Rに局所的に生じる揚力が大きくなるため、ドローン10は、ローターアーム4b、4dによって規定されるピッチ軸周りに矢印11で示す方向に回転する。このため、下向きの引力と組み合わさり、ドローン10は、図の向きに従って左向きに移動する力を受ける。
【0023】
あるいは、図4に示すように、翼9a、9bが展開されて領域R、Rが閉じられると、正反対の領域R、Rに比べて領域R、Rに局所的に生じる揚力が大きくなるため、ドローン10は、ローターアーム4a、4cによって規定されるロール軸周りに矢印12で示す方向に回転する。このため、下向きの引力と組み合わさり、ドローン10は、図の向きに従って右向きに移動する力を受ける。
【0024】
図5に示す別の事例では、対角線上で向かい合う翼9a、9cが展開されて領域R、Rが閉じられると、下向きの引力を打ち消す対角で釣り合う揚力が当該領域に局所的に生じる結果、ドローン10は浮留することができる。
【0025】
落下速度は、下向きの方向に垂直な翼の表面領域とドローンの積載重量性能とに大きく影響される。
【0026】
ドローン10が図のように浮留する状態において、上面視における翼の投影領域などの平面図形を選択的に調節することで、所望の方向に若干の方向転換が求められる場合がある。揚力は翼の平面図形の領域に正比例するため、ある翼に働く揚力は、翼を膨張あるいは収縮させたり、水平面に対する翼の半径方向内向きの先端の角度など、翼の一部の位置を変更したりして、平面図形を調節することで制御することができる。これにより、2つの異なる翼に働く揚力の差を調節して、ドローン10の方向転換を行うことができる。すべての翼が展開された場合や各翼の平面図形が異なる場合、ドローン10をどの方向に方向転換するかをより精度よく制御することができる。
【0027】
図6は、本発明の一実施形態に係る減速システム20を概略的に示す。減速システム20は、制御信号の送信を司るオンボードコンピュータ22と、ドローンの所定の急降下を検出するための、コンピュータ22とデータ通信を行う1つまたは複数のセンサ24と、解放可能な翼保持部の保護部材29のための、オンボードコンピュータ22とデータ通信を行うアクチュエータ17と、を有する。コンピュータ22は、ドローンの所定の急降下を検出すると、選択されたアクチュエータ27それぞれに、有線信号または無線信号による信号を送信し、対応する保護部材29の翼保持部8からの解放を開始する。
【0028】
減速システム20は、下部に配置された回転式の翼放出部33を有してもよく、翼放出部33は、ローターアームの収斂域6と、放出部33から対応する翼部分(AP)37に向かって制御可能に伸長可能であり待避可能な作動部材36と、制御可能な結合部材41と、にそれぞれ接続可能である。下向きを向く衝突回避システム39も、コンピュータ22とデータ通信を行う。
【0029】
稼働時は、トリガ信号Tが、回転運動を発生させる放出部33のモーター34と、衝突回避システム39とに同時に送信される。衝突回避システム39が、ドローンの未修正の落下経路上に存在する障害物、例えば所定距離内に存在する障害物を検出すると、検出信号DTがコンピュータ22に送信され、これに応じてコンピュータ22は検出された障害物を回避するために必要な落下方向を計算する。障害物が比較的近接している場合は、翼部分37の外周方向への移動速度を上げることができる。障害物が検出されていない場合は、すべての翼が同時に展開され、合成された揚力が垂直方向に向いて、ドローンが継続して下向きに下降する。
【0030】
コンピュータ22は、必要な落下方向を計算した後に、展開信号DEを、翼保持部の保護部材29のアクチュエータ27と、必要な落下方向を実現するために必要な方向性のある揚力を生み出すために展開する必要がある選択された翼に関連付けられている作動部材36とに同時に送信する。選択された作動部材36の伸長は、対応する保護部材29の解
放から若干の時間経過後に同期して行われる。伸長された作動部材36は、解放された保護部材29に近接する対応する翼部分37と、例えば作動可能な専用の係合部材を用いた手段によって係合するように構成されている。
【0031】
放出部33が中心軸38周りに所定速度で回転し、伸長された作動部材36が対応する翼部分37と係合するため、翼部分37は、翼保持部8に設けられている第1のローターアームから外周方向に向かって移動し、隣接するアーム間領域を閉じる。翼の外周方向への移動が完了すると、翼と接続された結合部材41が、結合信号COの送信に続いて作動し、第2のローターアームに固定されることで、翼による揚力発生機能が有効になる。
【0032】
減速システム20は、下方に存在する障害物の検出後0.3秒以内に、あるいはその他の適当な時間内に、選択された数の翼を展開することで揚力を発生させて落下方向を修正するのに十分に高速に応答することができる。
【0033】
減速システム20は、トリガ信号Tに応答する、各翼用の平面図形調節手段を有していてもよい。
【0034】
上記の翼は、下方に存在する障害物の検出に応じて制御信号の送信を司ったり1つまたは複数の翼に対する外周方向への移動や平面図形の調節を行ったりするための、安全保証の処理装置を備える専用のリモートコンピュータによって制御される遠隔制御動作に応答して展開されてもよい。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態について例示的に説明したが、本発明は、特許請求の範囲を超えることなく、当業者が実施可能な範囲において、種々の変更、バリエーション、改造、均等物、代替の解決手段を採用して実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6