(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】医療用コネクタ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/10 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
A61M39/10 100
A61M39/10 120
(21)【出願番号】P 2019562840
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(86)【国際出願番号】 JP2018042333
(87)【国際公開番号】W WO2019130891
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2017250127
(32)【優先日】2017-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018196068
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】柿木 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】秋山 和矢
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0036008(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02712652(EP,A2)
【文献】特開2001-187990(JP,A)
【文献】特表2016-519979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路を区画する第1接続部と、
前記第1流路に連通する第2流路を区画する第2接続部と、
前記第1接続部と前記第2接続部との連結状態での相対的な回動を制御する回動制御部と、を備え、
前記第2接続部は、前記第1流路及び前記第2流路に亘って延在する軸に沿って、前記第1接続部が前記第2接続部から離間する方向に移動することを、前記第1接続部に当接することで規制する壁面を備え、
前記回動制御部は、前記第1接続部が前記壁面に当接している状態において、前記第2接続部が前記第1接続部に対して、前記軸を中心軸とする第1周方向に回動することを許容し、かつ、前記第1周方向と逆方向の第2周方向に回動することを規制し、
前記第1接続部は、他の医療器具に対して、前記第2周方向への回動動作を用いて接続可能であると共に、前記第1周方向への回動動作を用いて接続を解除可能であ
り、
前記第1接続部及び前記第2接続部の一方の接続部の第1筒部内に、他方の接続部の第2筒部が挿入されており、
前記一方の接続部の前記第1筒部の外壁には環状溝が形成されており、
前記他方の接続部は、前記一方の接続部の前記第1筒部の径方向の外側に位置し、前記環状溝に嵌り込む爪部を備え、
前記壁面は、前記環状溝の溝壁、又は、前記爪部の外壁、により構成されており、
前記一方の接続部は、前記他方の接続部の前記爪部の前記径方向の外側を覆う外筒部を備える、医療用コネクタ。
【請求項2】
前記第1接続部は、前記他の医療器具の雌ねじ部に螺合可能な雄ねじ部を備え、
前記雄ねじ部は、前記他の医療器具の前記雌ねじ部に対して前記第2周方向に回動させることにより、前記他の医療器具の前記雌ねじ部と螺合するように構成されている、請求項1に記載の医療用コネクタ。
【請求項3】
前記他の医療器具を第1の他の医療器具とした場合に、
前記第2接続部は、第2の他の医療器具に対して、前記第1周方向への回動動作を用いて接続可能であると共に、前記第2周方向への回動動作を用いて接続を解除可能である、請求項1又は2に記載の医療用コネクタ。
【請求項4】
前記第2接続部は、第2の他の医療器具の雄ねじ部に螺合可能な雌ねじ部を備え、
前記雌ねじ部は、前記第2の他の医療器具の前記雄ねじ部に対して前記第1周方向に回動させることにより、前記第2の他の医療器具の前記雄ねじ部に螺合するように構成されている、請求項3に記載の医療用コネクタ。
【請求項5】
前記回動制御部は、前記第1接続部の少なくとも一部を構成する第1ハウジングと、前記第2接続部の少なくとも一部を構成する第2ハウジングと、により形成されたラチェット機構を備える、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の医療用コネクタ。
【請求項6】
前記第1筒部の内壁及び前記第2筒部の外壁は、前記第1筒部及び前記第2筒部が
前記径方向に重なる挿入領域のうち、前記第1筒部及び前記第2筒部の軸方向における一部のみで当接領域を形成しており、
前記第2接続部は、前記当接領域で前記第1接続部と摺動しながら、前記第1接続部に対して、前記第1周方向に回動する、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の医療用コネクタ。
【請求項7】
前記当接領域は、前記第1筒部及び前記第2筒部の周方向の全域に亘って形成されている、請求項6に記載の医療用コネクタ。
【請求項8】
前記壁面を第1壁面とした場合に、
前記第2接続部は、前記軸に沿って、前記第1接続部が前記第2接続部に接近する方向に移動することを、前記第1接続部に当接することで規制する第2壁面を備え、
前記回動制御部は、前記第1接続部が前記第2壁面に当接している状態において、前記第2接続部が前記第1接続部に対して、前記第1周方向に回動することを許容し、かつ、前記第2周方向に回動することを規制する、請求項1乃至
7のいずれか1つに記載の医療用コネクタ。
【請求項9】
前記第1接続部の少なくとも一部は、前記第1流路を塞ぐ弁体により構成されている、請求項1乃至
8のいずれか1つに記載の医療用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は医療用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、輸液、輸血、人工透析などを行う場合に、医療用チューブ等を用いて輸液ラインを形成し、この輸液ラインを通じて体内に薬液等の液体を供給する。輸液ラインにおいて使用される医療用チューブ、シリンジ等の医療器具は、医療用コネクタを用いて互いに接続することができる。
【0003】
特許文献1には、この種の医療用コネクタとして、ハウジングの外周面に、ルアーロックコネクタと螺合可能なネジ部が設けられている構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の医療用コネクタのように、ネジ部を有する医療用コネクタを利用することにより、医療用コネクタと医療器具との接続状態を安定的に維持することができる。しかしながら、例えば医療用チューブの捩れなど、意図しない外力が付加されることで、ネジ部の螺合状態が緩む方向に回動するおそれが依然として存在する。
【0006】
本開示は、医療器具との接続状態を維持し易い構成を有する医療用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様としての医療用コネクタは、第1流路を区画する第1接続部と、前記第1流路に連通する第2流路を区画する第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部との連結状態での相対的な回動を制御する回動制御部と、を備え、前記第2接続部は、前記第1流路及び前記第2流路に亘って延在する軸に沿って、前記第1接続部が前記第2接続部から離間する方向に移動することを、前記第1接続部に当接することで規制する壁面を備え、前記回動制御部は、前記第1接続部が前記壁面に当接している状態において、前記第2接続部が前記第1接続部に対して、前記軸を中心軸とする第1周方向に回動することを許容し、かつ、前記第1周方向と逆方向の第2周方向に回動することを規制し、前記第1接続部は、他の医療器具に対して、前記第2周方向への回動動作を用いて接続可能であると共に、前記第1周方向への回動動作を用いて接続を解除可能である。
【0008】
本開示の一実施形態として、前記第1接続部は、前記他の医療器具の雌ねじ部に螺合可能な雄ねじ部を備え、前記雄ねじ部は、前記他の医療器具の前記雌ねじ部に対して前記第2周方向に回動させることにより、前記他の医療器具の前記雌ねじ部と螺合するように構成されている。
【0009】
本開示の一実施形態として、前記他の医療器具を第1の他の医療器具とした場合に、前記第2接続部は、第2の他の医療器具に対して、前記第1周方向への回動動作を用いて接続可能であると共に、前記第2周方向への回動動作を用いて接続を解除可能である。
【0010】
本開示の一実施形態として、前記第2接続部は、第2の他の医療器具の雄ねじ部に螺合可能な雌ねじ部を備え、前記雌ねじ部は、前記第2の他の医療器具の前記雄ねじ部に対して前記第1周方向に回動させることにより、前記第2の他の医療器具の前記雄ねじ部に螺合するように構成されている。
【0011】
本開示の一実施形態として、前記回動制御部は、前記第1接続部の少なくとも一部を構成する第1ハウジングと、前記第2接続部の少なくとも一部を構成する第2ハウジングと、により形成されたラチェット機構を備える。
【0012】
本開示の一実施形態として、前記第1接続部及び前記第2接続部の一方の接続部の第1筒部内に、他方の接続部の第2筒部が挿入されており、前記第1筒部の内壁及び前記第2筒部の外壁は、前記第1筒部及び前記第2筒部が径方向に重なる挿入領域のうち、前記第1筒部及び前記第2筒部の軸方向における一部のみで当接領域を形成しており、前記第2接続部は、前記当接領域で前記第1接続部と摺動しながら、前記第1接続部に対して、前記第1周方向に回動する。
【0013】
本開示の一実施形態として、前記当接領域は、前記第1筒部及び前記第2筒部の周方向の全域に亘って形成されている。
【0014】
本開示の一実施形態として、前記一方の接続部の前記第1筒部の外壁には環状溝が形成されており、前記他方の接続部は、前記一方の接続部の前記第1筒部の前記径方向の外側に位置し、前記環状溝に嵌り込む爪部を備え、前記壁面は、前記環状溝の溝壁、又は、前記爪部の外壁、により構成されている。
【0015】
本開示の一実施形態として、前記壁面を第1壁面とした場合に、前記第2接続部は、前記軸に沿って、前記第1接続部が前記第2接続部に接近する方向に移動することを、前記第1接続部に当接することで規制する第2壁面を備え、前記回動制御部は、前記第1接続部が前記第2壁面に当接している状態において、前記第2接続部が前記第1接続部に対して、前記第1周方向に回動することを許容し、かつ、前記第2周方向に回動することを規制する。
【0016】
本開示の一実施形態として、前記第1接続部の少なくとも一部は、前記第1流路を塞ぐ弁体により構成されている。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、医療器具との接続状態を維持し易い構成を有する医療用コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一実施形態としての医療用コネクタを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す医療用コネクタを側面側から見た側面図である。
【
図3】
図1に示す医療用コネクタを上面側から見た上面図である。
【
図4】
図3のI-I線に沿う断面を示す断面図である。
【
図5】
図1に示す医療用コネクタを上面側から見た場合の分解斜視図である。
【
図6】
図1に示す医療用コネクタを下面側から見た場合の分解斜視図である。
【
図7】
図1に示す医療用コネクタが第1接続部材及び第2接続部材に分解された状態での、
図4と同断面を示す断面図である。
【
図8】
図1に示す医療用コネクタの回動制御部におけるラチェット機構を示す図である。
【
図9】
図8に示すラチェット機構の概要を示す図である。
【
図10】
図8に示すラチェット機構の変形例を示す図である。
【
図11】
図8に示すラチェット機構の別の変形例を示す図である。
【
図12】
図1に示す医療用コネクタの第1接続部に第1の他の医療器具が接続されていると共に、第2接続部に第2の他の医療器具が接続されている状態を示す断面図である。
【
図13】
図1に示す医療用コネクタを備える輸液セットを示す図である。
【
図14】
図8に示すラチェット機構の別の変形例を示す図である。
【
図15】
図14に示す変形部を備える第2接続部材を示す斜視図である。
【
図16】
図1に示す医療用コネクタの変形例を側面側から見た側面図である。
【
図17】
図16に示す医療用コネクタについての
図4と同断面における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示に係る医療用コネクタの実施形態について、
図1~
図17を参照して説明する。各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。
【0020】
図1は、本実施形態としての医療用コネクタ100を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す医療用コネクタ100を側面側から見た側面図である。
図3は、
図1に示す医療用コネクタ100を上面側から見た上面図である。
図4は、
図3のI-I線に沿う断面を示す断面図である。
【0021】
図1~
図4に示すように、医療用コネクタ100は、第1接続部1と、第2接続部2と、回動制御部3と、を備えている。回動制御部3は、第1接続部1と前記第2接続部2との連結状態での相対的な回動を制御する。
【0022】
より具体的に、本実施形態の医療用コネクタ100において、第1接続部1の一部は第1ハウジング31により構成されている。また、本実施形態の医療用コネクタ100において、第2接続部2の一部は第2ハウジング51により構成されている。そして、本実施形態の回動制御部3は、第1ハウジング31と、第2ハウジング51と、により形成されたラチェット機構を備える。第1ハウジング31、第2ハウジング51、及び、第1ハウジング31と第2ハウジング51とにより形成されるラチェット機構、の詳細な構成は後述する。
【0023】
図4に示すように、第1接続部1は第1流路1aを区画している。第2接続部2は、第1接続部1と連結されている。第2接続部2は、第1流路1aに連通する第2流路2aを区画している。換言すれば、医療用コネクタ100は、第1流路1a及び第2流路2aにより構成されるコネクタ流路4を区画している。また、第1流路1a及び第2流路2aに亘って延在する軸Oが、コネクタ流路4の軸を構成している。
【0024】
第1接続部1及び第2接続部2それぞれは、他の医療器具に対して、回動動作を用いて接続可能である。また、第1接続部1及び第2接続部2それぞれは、他の医療器具に対して、回動動作を用いて接続を解除可能である。「他の医療器具」とは、特に限定されず、例えば、医療用コネクタ100とは別の医療用コネクタ、医療用チューブ、シリンジなどが挙げられる。以下、説明の便宜上、第1接続部1に接続可能な他の医療器具を、「第1の他の医療器具」と記載する。以下、説明の便宜上、第2接続部2に接続可能な他の医療器具を、「第2の他の医療器具」と記載する。
【0025】
「他の医療器具に対して、回動動作を用いて接続可能」とは、他の医療器具と液密な接続状態を実現するための接続過程の一部又は全部において、他の医療器具に対する回動動作が含まれること、を意味している。また、「他の医療器具に対して、・・・回動動作を用いて接続を解除可能」とは、他の医療器具との液密な接続状態を解除する接続解除過程の一部又は全部において、他の医療器具に対する回動動作が含まれること、を意味している。
【0026】
詳細は後述するが、本実施形態の第1接続部1は、第1の他の医療器具に対して、回動動作を用いるねじ結合(以下、「螺合」と記載する場合がある。)により接続可能である。本実施形態の第1接続部1は、第1の他の医療器具に対して、接続時と逆方向の回動動作により接続を解除可能である。また、本実施形態の第2接続部2は、第2の他の医療器具に対して、回動動作を用いるねじ結合により接続可能である。本実施形態の第2接続部2は、第2の他の医療器具に対して、接続時と逆方向の回動動作により接続を解除可能である。換言すれば、本実施形態の医療用コネクタ100は、接続過程及び接続解除過程の全部において、他の医療器具に対する回動動作が利用される一例である。
【0027】
このように、連結状態の第1接続部1及び第2接続部2それぞれは、回動動作を利用することにより、他の医療器具に対して、接続可能及び接続解除可能に、構成されている。そのため、例えば、第1の他の医療器具の一例としての医療用チューブを第1接続部1に接続すると共に、第2の他の医療器具の一例としての別の医療用チューブを第2接続部2に接続した場合、2つの医療用チューブの流路を、医療用コネクタ100のコネクタ流路4を介して、流体連通することができる。
【0028】
医療用コネクタ100において、第1接続部1及び第2接続部2は、軸Oに沿って互いに離間する方向に移動することを規制されている。そのため、第1接続部1及び第2接続部2の一方を他方に対して、軸Oに沿う軸方向Aに離間するように移動させても、両者を分離することはできない。すなわち、第1接続部1及び第2接続部2は、軸方向Aでの離間する方向での移動に対して分離しないように構成されている。換言すれば、第1接続部1の任意の所定箇所と第2接続部2の任意の所定箇所とに着目した場合、これら2つの所定箇所の軸方向Aでの距離は、所定距離以上は離れないようになっている。このような構成は、軸方向Aに重なって配置されていると共に、第1接続部1及び第2接続部2が軸方向Aに離間しようとすると互いに当接して干渉する部位を、第1接続部1及び第2接続部2に設けることで実現可能である。
【0029】
具体的に、第2接続部2は、壁面5を備えている。この壁面5は、第1流路1a及び第2流路2aに亘って延在する軸Oに沿って、第1接続部1が第2接続部2から離間する方向に移動することを、第1接続部1に当接することで規制する。また、第1接続部1は、壁面6を備えている。この壁面6は、第1流路1a及び第2流路2aに亘って延在する軸Oに沿って、第2接続部2が第1接続部1から離間する方向に移動することを、第2接続部2の壁面5に当接することで規制する。より具体的に、第1接続部1の壁面6と第2接続部2の壁面5とは、軸方向Aにおいて対向している。第1接続部1及び第2接続部2が軸方向Aで離間しようとすると、第1接続部1の壁面6及び第2接続部2の壁面5は突き当たる。これにより、第1接続部1及び第2接続部2の軸方向Aでの離間移動が規制される。本実施形態における第1接続部1の壁面6及び第2接続部2の壁面5の詳細は後述する(
図4等参照)。
【0030】
回動制御部3は、第1接続部1及び第2接続部2が、軸Oに沿って互いに離間する方向に移動することを規制されている状態(以下、「離間規制状態」と記載する場合がある。)で、第2接続部2が第1接続部1に対して、軸Oを中心軸とする第1周方向B1に回動することを許容する。また、回動制御部3は、離間規制状態で、第2接続部2が第1接続部1に対して、第1周方向B1と逆方向の第2周方向B2に回動することを規制する。本実施形態における離間規制状態は、上述したように、第1接続部1の壁面6が、第2接続部2の壁面5に当接している状態である。
【0031】
すなわち、回動制御部3は、上述の離間規制状態において、第2接続部2が第1接続部1に対して周方向Bの一方向(第1周方向B1)に相対的に回動することを許容する。これに対して、回動制御部3は、上述の離間規制状態において、第2接続部2が第1接続部1に対して周方向Bの逆方向(第2周方向B2)に相対的に回動することを規制する。本実施形態の回動制御部3の構成の詳細は後述する(
図5~
図11等参照)。
【0032】
上述したように、第1接続部1は、第1の他の医療器具に対して、回動動作を用いて接続可能であると共に、回動動作を用いて接続を解除可能である。より具体的に、第1接続部1は、第1の他の医療器具に対して、第2周方向B2への回動動作を用いて接続可能である。また、第1接続部1は、第1の他の医療器具に対して、第1周方向B1への回動動作を用いて接続を解除可能である。
【0033】
医療用コネクタ100は、上述の回動制御部3と、上述の回動方向で第1の他の医療器具と接続及び接続解除が可能な第1接続部1と、を備えるため、上述の回動制御部3がない構成と比較して、医療用コネクタ100に接続されている第1の他の医療器具が、医療用コネクタ100から外れ難くなる。
【0034】
つまり、第2接続部2が、第1周方向B1に回動しようとすると、この回動トルクが、回動制御部3において第1接続部1と第2接続部2との間の回動動作に用いられる。これにより、上述の回動トルクが、第1接続部1と第1の他の医療器具との接続部分に作用し難い。そのため、第1接続部1が、第1の他の医療器具に対して、第1周方向B1に回動し難くなる。このように、第1接続部1と第1の他の医療器具との接続状態を解除しようとする外力が、第2接続部2の位置に作用したとしても、この外力が、第1接続部1と第1の他の医療器具との接続部分に作用することを、回動制御部3により抑制することができる。そのため、医療用コネクタ100及び第1の他の医療器具の接続状態が意図せずに解除されることを抑制できる。その結果、医療用コネクタ100と第1の他の医療器具との接続状態が維持され易い構成を実現することができる。
【0035】
また、上述したように、本実施形態の第2接続部2も、第2の他の医療器具に対して、回動動作を用いて接続可能であると共に、回動動作を用いて接続を解除可能である。より具体的に、本実施形態の第2接続部2は、第2の他の医療器具に対して、第1周方向B1への回動動作を用いて接続可能である。また、本実施形態の第2接続部2は、第2の他の医療器具に対して、第2周方向B2への回動動作を用いて接続を解除可能である。
【0036】
本実施形態の医療用コネクタ100は、上述の回動制御部3と、上述の回動方向で第2の他の医療器具と接続及び接続解除が可能な第2接続部2と、を備えるため、上述の回動制御部3がない構成と比較して、医療用コネクタ100に接続されている第2の他の医療器具が、医療用コネクタ100から外れ難くなる。
【0037】
つまり、第1接続部1が、第2周方向B2に回動しようとすると、この回動トルクが、回動制御部3において第1接続部1と第2接続部2との間の回動動作に用いられる。これにより、上述の回動トルクが、第2接続部2と第2の他の医療器具との接続部分に作用し難い。そのため、第2接続部2が、第2の他の医療器具に対して、第2周方向B2に回動し難くなる。このように、第2接続部2と第2の他の医療器具との接続状態を解除しようとする外力が、第1接続部1の位置に作用したとしても、この外力が、第2接続部2と第2の他の医療器具との接続部分に作用することを、回動制御部3により抑制することができる。そのため、医療用コネクタ100及び第2の他の医療器具の接続状態が意図せずに解除されることを抑制できる。その結果、医療用コネクタ100と第2の他の医療器具との接続状態が維持され易い構成を実現することができる。
【0038】
以下、本実施形態の医療用コネクタ100の更なる詳細について説明する。
【0039】
本実施形態の医療用コネクタ100は、第1接続部材21と、第2接続部材22と、を備えている。本実施形態の第1接続部1は、第1接続部材21により構成されている。本実施形態の第2接続部2は、第2接続部材22により構成されている。以下、第1接続部材21及び第2接続部材22の詳細を説明する。
【0040】
<第1接続部材21>
第1接続部材21は、第1ハウジング31と、この第1ハウジング31に取り付けられている弁体32と、を備えている。上述したように、本実施形態の第1接続部1は、第1接続部材21により構成されている。すなわち、本実施形態の第1接続部1は、第1ハウジング31及び弁体32により構成されている。
【0041】
[第1ハウジング31]
第1ハウジング31は、外方から挿入されるオスコネクタの挿入口を区画している。この挿入口には、スリット33を有する弁体32が位置している。挿入口は、外方からオスコネクタの先端部を挿入可能な中空部である。この中空部に弁体32が位置するように、第1ハウジング31は弁体32を保持している。換言すれば、第1ハウジング31の挿入口は、第1ハウジング31に弁体32が取り付けられた状態で、弁体32が位置する部分の中空部を意味している。弁体32の内側の中空部、すなわち、挿入口の内側に連続する中空部は流路である。第1接続部1の第1流路1aは、挿入口の内側に連続する上述の流路により構成されている。換言すれば、第1流路1aの一端は、挿入口の位置に配置されている弁体32により塞がれている。
【0042】
より具体的に、本実施形態の第1ハウジング31は、挿入口及び流路の一部を区画するキャップ34と、流路の一部を区画し、キャップ34を支持するホルダ35と、を備えている
【0043】
キャップ34は、天面キャップ36と、底面キャップ37と、を備えている。挿入口は、天面キャップ36の一部と、底面キャップ37の一部とにより区画されている。弁体32は、天面キャップ36と底面キャップ37とにより、周囲を圧縮、挟持されて挿入口内での位置が固定されている。弁体32については後述する。
【0044】
ホルダ35は、キャップ34としての天面キャップ36及び底面キャップ37を支持している。本実施形態では、天面キャップ36及び底面キャップ37の両方がホルダ35に接触して支持される構成であるが、底面キャップ37を天面キャップ36に保持させて、天面キャップ36のみをホルダ35に接触させてホルダ35に支持させる構成を採用してもよい。また逆に天面キャップ36を底面キャップ37に保持させて、底面キャップ37のみをホルダ35に接触させてホルダ35に支持させる構成であってもよい。
【0045】
図4に示すように、天面キャップ36は、略円筒状の中空筒部36aと、この中空筒部36aの一端側に設けられたフランジ部36bと、を備えている。
図4に示すように中空筒部36aの他端側には、環状の平面で構成された上面38が設けられている。この上面38には、上述した挿入口の一端を区画する略円形の縁39が含まれる。中空筒部36aの外壁には、2016年のISO80369-7に準拠するロック式のオスコネクタやオスコネクタ部と螺合することができるように雄ねじ部40が形成されている。フランジ部36bは、中空筒部36aと一体で型成形された部位であり、フランジ部36bが後述するホルダ35と係合することにより天面キャップ36がホルダ35に保持されている。
【0046】
中空筒部36aの内壁には、係止突起41が設けられている。この係止突起41は、オスコネクタの挿入方向C(第1接続部1へのオスコネクタの挿入方向であり、本実施形態では軸方向Aの一方向と同じ方向)に向かって突出し、底面キャップ37の後述の係止突起42と共に弁体32を挟み込んで圧縮して挟持する。
【0047】
図4に示すように、底面キャップ37は、天面キャップ36と同様、略円筒状の中空筒部37aと、この中空筒部37aの一端側に設けられたフランジ部37bと、を備えている。中空筒部37aの他端側には、係止突起42が設けられている。この係止突起42は、オスコネクタの挿入方向Cとは逆方向であるオスコネクタの抜去方向Dに向かって突出し、上述の天面キャップ36の係止突起41と共に弁体32を挟み込んで圧縮して挟持する。
【0048】
底面キャップ37は、天面キャップ36の中空筒部36aの内面及び/又はフランジ部36bの下面(
図4における下面)に超音波溶着等により接合されることにより天面キャップ36に取り付けられている。更に、底面キャップ37は、底面キャップ37のフランジ部37bが後述するホルダ35に対して超音波溶着等により接合されることにより、ホルダ35に対しても取り付けられている。
【0049】
図4に示すように、ホルダ35は、天面キャップ36及び底面キャップ37を支持し、その内部に流路を区画している。
【0050】
より具体的に、ホルダ35は、略円筒状の内筒部35aと、環状の支持部35bと、略円筒状の外筒部35cと、を備えている。内筒部35aは、流路を区画している。支持部35bは、内筒部35aの軸方向(本実施形態では軸方向Aと同じ方向)の一端側(
図4においては上側)で、内筒部35aの外壁から径方向外側に向かって突出し、上述の天面キャップ36及び底面キャップ37を支持している。外筒部35cは、支持部35bから内筒部35aの軸方向の他端側(
図4においては下側)に向かって突出し、内筒部35aの径方向外側に位置している。
【0051】
図4に示すように、内筒部35aは、後述する第2接続部材22の第2ハウジング51の連結内筒部52aと嵌合している。具体的に、内筒部35aには、後述する第2接続部材22の第2ハウジング51の連結内筒部52aが内嵌めされている。より具体的に、内筒部35aのうち、支持部35bが連続する軸方向の一端側を基端側とし、その反対側を先端側とした場合に、第2接続部材22の第2ハウジング51の連結内筒部52aは、内筒部35aの先端側から挿入されて、内嵌めされている。
【0052】
図5は、医療用コネクタ100を上面側から見た場合の分解斜視図である。
図6は、医療用コネクタ100を下面側から見た場合の分解斜視図である。また、
図7は、医療用コネクタ100が第1接続部材21及び第2接続部材22に分解された状態、換言すれば第1接続部材21及び第2接続部材22が連結される前の状態での、
図4と同断面を示す断面図である。
【0053】
図7に示すように、内筒部35aの内周面は、基端側に位置する基端内周面81と、先端側に位置し、先端まで延在する先端内周面82と、内筒部35aの軸方向において基端内周面81と先端内周面82との間に位置する中間内周面83と、を備えている。
【0054】
基端内周面81、先端内周面82及び中間内周面83それぞれは、基端側(
図7では上側)から先端側(
図7では下側)に向かって拡径するテーパ面である。但し、内筒部35aの軸に対するテーパ角度は、基端内周面81及び先端内周面82それぞれのテーパ角度よりも、中間内周面83のテーパ角度の方が大きい。
図7では、中間内周面83のテーパ角度を「θ」として例示しているが、基端内周面81及び先端内周面82それぞれのテーパ角度についても同様の位置での角度を意味する。
【0055】
上述したように、本実施形態の基端内周面81及び先端内周面82それぞれはテーパ面により構成されているが、この構成に限られず、内筒部35aの軸方向において一様な内径を有する内周面としてもよい。また、本実施形態において、基端内周面81のテーパ角度と、先端内周面82のテーパ角度とは、略等しいが、異なる角度としてもよい。
【0056】
図4に示すように、第2接続部材22の第2ハウジング51の連結内筒部52aの外周面は、内筒部35aに内嵌めされている。第2接続部材22の第2ハウジング51の連結内筒部52aの外周面は、内筒部35aの基端内周面81(
図7参照)と密着する。
図7に示すように、第2接続部材22の第2ハウジング51の連結内筒部52aの外周面においても、上述の基端内周面81と密着する先端外周面85が形成されているが、この先端外周面85の詳細は後述する(
図7参照)。
【0057】
また、
図4、
図7に示すように、内筒部35aの内壁には、挿入規制部44が設けられている。この挿入規制部44は、キャップ34の挿入口から挿入されるオスコネクタの先端が当接することで、オスコネクタの挿入方向Cへのそれ以上の挿入を規制する。
図7に示すように、基端内周面81、中間内周面83及び先端内周面82は、内筒部35aの軸方向において、挿入規制部44よりも先端側であるオスコネクタの挿入方向C側(
図7では下側)に位置している。
【0058】
図7等に示すように、内筒部35aの外壁には、周方向(本実施形態では周方向Bと同じ方向)に延在する環状溝45が形成されている。より具体的に、本実施形態の環状溝45は、内筒部35aの先端内周面82(
図7参照)が形成されている領域での外壁の部分に形成されている。
図4に示すように、この環状溝45には、第2接続部材22の第2ハウジング51の爪部57が嵌り込んでいる。爪部57の詳細は後述する。
【0059】
図6に示すように、環状の支持部35bのうち、キャップ34(
図4参照)を支持する面とは反対側の面(以下、単に「支持部35bの下面」と記載する。)には、複数の凸部46が形成されている。より具体的に、支持部35bの下面には、周方向(本実施形態では周方向Bと同じ方向)に所定ピッチで配置された複数の凸部46が形成されている。詳細は後述するが、複数の凸部46は、回動制御部3のラチェット機構の一部を構成している(
図8~
図11、
図14参照)。
【0060】
図4~
図7に示すように、外筒部35cは、内筒部35aの径方向外側に位置している。また、内筒部35aと外筒部35cとの間には、環状の間隙47が形成されている。この間隙47には、後述する第2接続部材22の第2ハウジング51の一部が入り込む。詳細は後述するが、この第2接続部材22の第2ハウジング51の一部には、上述の複数の凸部46と共にラチェット機構を構成する変形部58が設けられている(
図8~
図11、
図14、
図15参照)。
【0061】
本実施形態の第1ハウジング31を構成しているホルダ35、天面キャップ36及び底面キャップ37は、ポリプロピレンにより形成されているが、この材料に限られない。第1ハウジング31を構成するホルダ35、並びにキャップ34としての天面キャップ36及び底面キャップ37の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA);ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリスチレン;ポリアミド;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリ-(4-メチルペンテン-1);アイオノマー;アクリル樹脂;ポリメチルメタクリレート;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂);アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂);ブタジエン-スチレン共重合体;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル;ポリエーテル;ポリエーテルケトン(PEK);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルイミド;ポリアセタール(POM);ポリフェニレンオキシド;変性ポリフェニレンオキシド;ポリサルフォン;ポリエーテルサルフォン;ポリフェニレンサルファイド;ポリアリレート;芳香族ポリエステル(液晶ポリマー);ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂;などの各種樹脂材料が挙げられる。また、これらのうちの1種以上を含むブレンド体やポリマーアロイなどでもよい。その他に、各種ガラス材、セラミックス材料、金属材料であってもよい。
【0062】
本実施形態の第1接続部材21の第1ハウジング31は、ホルダ35、天面キャップ36及び底面キャップ37の3つの部材により構成されているが、この構成に限られず、例えば、ホルダ35と底面キャップ37とを一体成形するなど、2つの部材により構成してもよい。また、単一部材や4つ以上の部材から構成された第1ハウジングとしてもよい。
【0063】
[弁体32]
図4に示すように、弁体32には、オスコネクタが医療用コネクタ100に着脱される際に弾性変形して開閉することができるようにスリット33が設けられている。また、弁体32は、キャップ34としての天面キャップ36及び底面キャップ37により形成された挿入口を閉塞するように配置されている。具体的に、弁体32は、天面キャップ36と底面キャップ37とで構成される挟持部により挟持されて位置が固定される。
【0064】
弁体32は、金型成形され、弾性変形可能に形成される。この弁体32の材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン-プロピレンゴム、ヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合した構成であってもよい。
【0065】
また、弁体32の硬度は、20~60°(A硬度)であることが好ましい。これにより、弁体32に適度な弾性力を確保することができるため、弁体32に後述する弾性変形を生じさせることができる。
【0066】
<第2接続部材22>
図4~
図7に示すように、第2接続部材22は、第2ハウジング51を備えている。上述したように、本実施形態の第2接続部2は、第2接続部材22により構成されている。すなわち、本実施形態の第2接続部2は、第2ハウジング51により構成されている。
【0067】
[第2ハウジング51]
図4~
図7に示すように、第2ハウジング51は、略円筒状の内筒部52と、環状フランジ部53と、略円筒状の外筒部54と、を備えている。内筒部52は、第2流路2aとしての流路を区画している。環状フランジ部53は、内筒部52の外壁から径方向外側に突出している外筒部54は、環状フランジ部53から内筒部52の軸方向(本実施形態では軸方向Aと同じ方向)に向かって突出している。
【0068】
内筒部52は、連結内筒部52aと、先端内筒部52bと、を備えている。連結内筒部52aは、環状フランジ部53から内筒部52の軸方向の一端側(
図4では上側)に突出し、上述した第1接続部材21の内筒部35a内に挿入されている。先端内筒部52bは、環状フランジ部53から内筒部52の軸方向の他端側(
図4では下側)に突出している。
【0069】
図7に示すように、内筒部52の連結内筒部52aの外周面は、環状フランジ部53に連続する基端外周面84と、先端側に位置し、先端まで延在する先端外周面85と、を備えている。
【0070】
基端外周面84及び先端外周面85それぞれは、基端側から先端側(
図7に示す連結内筒部52aでは下側から上側)に向かって縮径するテーパ面である。
【0071】
上述したように、本実施形態の基端外周面84及び先端外周面85それぞれはテーパ面により構成されているが、この構成に限らず、連結内筒部52aの軸方向において一様な内径を有する内周面としてもよい。また、基端外周面84及び先端外周面85それぞれを、軸方向の位置によらず一様なテーパ角度を有する構成としてもよい。この場合、基端外周面84及び先端外周面85のテーパ角度は、略等しい角度としてもよく、異なる角度としてもよい。本実施形態では、基端外周面84のテーパ角度と、先端外周面85の後述する先端根元部面85aのテーパ角度と、が異なる構成であるが、略等しい構成としてもよい。
【0072】
図7に示すように、本実施形態の先端外周面85は、テーパ角度が異なる2つのテーパ面により構成されている。具体的に、本実施形態の先端外周面85は、基端外周面84に連続する先端根元部面85aと、この先端根元部面85aよりもテーパ角度が大きく、先端まで延在する先端部面85bと、により構成されている。先端外周面85を、1つの円筒面又はテーパ面により構成してもよいが、本実施形態のようにテーパ角度が異なる複数の外周面により構成することが好ましい。このようにすれば、第2接続部材22が第1接続部材21と連結される際に、連結内筒部52aを第1接続部材21の第1ハウジング31の内筒部35aにスムーズに嵌合させることができる。
【0073】
図4に示すように、連結内筒部52aに外嵌めされている、第1接続部材21の第1ハウジング31の内筒部35aの内周面は、連結内筒部52aの先端外周面85(
図7参照)と密着する。より具体的に、連結内筒部52aの先端外周面85(
図7参照)は、第1接続部材21の第1ハウジング31の内筒部35aの基端内周面81(
図7参照)と密着する。
【0074】
このように、第1ハウジング31の内筒部35a内に第2ハウジング51の連結内筒部52aが挿入され、内筒部35a及び連結内筒部52aが径方向に重なる、軸方向Aにおける挿入領域T1が形成されている。
図4に示すように、内筒部35aの内周面と連結内筒部52aの外周面とが密着する当接領域T2は、上述の挿入領域T1の一部のみである。このようにすることで、当接領域T2を挿入領域T1全体とする構成と比較して、第1接続部材21と第2接続部材22とが相対的に回動する際の摺動抵抗を低減することができる。
【0075】
本実施形態において、軸方向Aに対する先端根元部面85aのテーパ角度は、軸方向Aに対する中間内周面83のテーパ角度(
図7の「θ」参照)よりも小さい。このようにすることで、先端根元部面85aが、中間内周面83に当接せず、基端内周面81に当接する構成を実現し易い。更に、軸方向Aに対する先端根元部面85aのテーパ角度は、軸方向Aに対する基端内周面81のテーパ角度よりも大きい。このようにすることで、連結内筒部52aが内筒部35a内に過度に挿入されることを抑制できる。これにより、先端根元部面85aと基端内周面81との軸方向Aにおける当接領域T2を小さくすることができる。このように、軸方向Aに対する先端根元部面85aのテーパ角度は、軸方向Aに対する中間内周面83のテーパ角度(
図7の「θ」参照)よりも小さく、かつ、軸方向Aに対する基端内周面81のテーパ角度よりも大きいことが好ましい。
【0076】
本実施形態の当接領域T2は、内筒部35a及び連結内筒部52aの周方向(本実施形態では周方向Bと同じ方向)の全域に亘って形成されている。すなわち、内筒部35aの内周面のうち基端内周面81(
図7参照)は、連結内筒部52aの外周面のうち先端外周面85(
図7参照)と、周方向の全域で当接している。これにより、第1接続部材21により区画される第1接続部1の第1流路1aと、第2接続部材22により区画される第2接続部2の第2流路2aと、が液密に接続される。このように、第2接続部材22の連結内筒部52aと、第1接続部材21の内筒部35aと、を当接させることで接続箇所のシール性を確保してもよい。この他に、例えば連結内筒部52aの外壁と内筒部35aの内壁との間にOリングなどの別部材を介在させることでシール性を確保してもよい。
【0077】
内筒部52の先端内筒部52bは、例えば、2016年のISO80369-7に準拠するオスルアー部である。
【0078】
図4に示すように、外筒部54は、略円筒状の連結外筒部54aと、略円筒状の先端外筒部54bと、を備えている。連結外筒部54aは、環状フランジ部53の外縁部から、内筒部52の軸方向の一端側(
図4では上側)に突出し、内筒部52の連結内筒部52aの径方向の周囲に位置する。先端外筒部54bは、環状フランジ部53の外縁部から、内筒部52の軸方向の他端側(
図4では下側)に突出し、内筒部52の先端内筒部52bの径方向の周囲に位置する。
【0079】
また、
図4に示すように、外筒部54の連結外筒部54aは、周壁部56と、爪部57と、を備えている。爪部57は、周壁部56と一部のみが連続し、その連続する位置以外が周壁部56の径方向に弾性変形可能である。
【0080】
本実施形態の爪部57は、周壁部56の軸方向(本実施形態では軸方向Aと同じ方向)の一方側(
図4では上側)のみが周壁部56と連続している。これに対して、本実施形態の爪部57は、周壁部56の軸方向の他方側、及び、周壁部56の周方向の両側において、周壁部56と連続していない。そのため、本実施形態の爪部57は、周壁部56の軸方向の一方側の周壁部56に連続する位置を支点として、周壁部56の径方向に弾性変形して揺動可能である。また、
図1等に示すように、本実施形態の爪部57は、周壁部56の周方向(本実施形態では周方向Bと同じ方向)の異なる位置に、複数(本実施形態では4つ)設けられている。
【0081】
より具体的に、本実施形態の爪部57は、変形部57aと、係止突部57bと、を備えている。変形部57aは、周壁部56の径方向に弾性変形することができる。係止突部57bは、変形部57aの先端部から周壁部56の径方向内側に向かって突出している。
【0082】
上述したように、第1接続部材21の第1ハウジング31の内筒部35aの外壁には、周方向に延在する環状溝45(
図4等参照)が形成されている。本実施形態の爪部57は、第1接続部材21の第1ハウジング31の内筒部35aの径方向の外側に位置している。そして、爪部57の係止突部57bが環状溝45に嵌り込むことにより、第1接続部材21と第2接続部材22とを連結することができる。爪部57は、上述したように径方向に弾性変形可能である。このような構成とすることで、内筒部35a及び連結内筒部52aが相対的に回動する際の摺動抵抗の増加を抑制することができる。
【0083】
また、
図5に示すように、外筒部54の連結外筒部54aは、変形部58を更に備えている。変形部58は、第1接続部材21の内筒部35aと外筒部35cとの間の環状の間隙47(
図6等参照)に挿入され、第1接続部材21の支持部35bの下面に形成されている複数の凸部46(
図6参照)と係合する。
【0084】
より具体的に、本実施形態の変形部58は、上述の周壁部56から突出している突出部により構成されている。
図5に示すように、本実施形態の周壁部56には、軸方向(本実施形態では軸方向Aと同じ方向)の端面に、切欠き状の凹部56aが形成されている。そして、本実施形態の変形部58としての突出部は、周壁部56の端面における凹部56aの縁部の位置から、周壁部56の周方向(本実施形態では周方向Bと同じ方向)において凹部56a側に向かって突出している。また、本実施形態の変形部58としての突出部は、凹部56aの縁部に連続しており、周壁部56と一体成形されている。変形部58としての突出部は、凹部56aの縁部を支点として、周壁部56の軸方向に弾性変形して揺動可能である。本実施形態の周壁部56の軸方向の端面には、周方向の異なる位置に、2つの切欠き状の凹部56aが設けられている。各凹部56aの位置には、1つの変形部58が設けられている。また、2つの凹部56aは、周壁部56の径方向で対向する位置に形成されていてもよく、径方向で対向しない位置に形成されていてもよい。凹部56a及び変形部58の、個数及び周方向における位置は、本実施形態で示す個数及び周方向の位置に限られず、適宜設計可能である。本実施形態の変形部58としての突出部の更なる詳細は後述する(
図8~
図11、
図14、
図15参照)。
【0085】
図4等に示すように、外筒部54の先端外筒部54bの内壁には、雌ねじ部60が形成されている。雌ねじ部60は、2016年のISO80369-7に準拠するロック式のメスコネクタやメスコネクタ部と螺合することができる。
【0086】
本実施形態の第2ハウジング51は、ポリカーボネートにより形成されているが、第2ハウジング51の材料はこの材料に限られない。第2ハウジング51の材料としては、例えば、上述した第1接続部材21の第1ハウジング31の材料として例示した材料を用いることができる。
【0087】
また、本実施形態の第2接続部材22の第2ハウジング51は、1つの部材により構成されているが、この構成に限らず、2つ以上の部材により構成してもよい。
【0088】
[第1ハウジング31及び第2ハウジング51により形成されるラチェット機構]
第1接続部材21の第1ハウジング31と、第2接続部材22の第2ハウジング51と、によりラチェット機構が形成されている。本実施形態の回動制御部3は、このラチェット機構を備えることで、上述の回動制御を実行することができる。以下、本実施形態のラチェット機構の詳細について説明する。
【0089】
図8は、第1ハウジング31と第2ハウジング51とにより形成されるラチェット機構を示す図である。上述したように、第1ハウジング31の支持部35b(
図4、
図6等参照)の下面には、凸部46(
図6等参照)が、外筒部35cの周方向(本実施形態では周方向Bと同じ方向)に沿って凹凸を繰り返すように、複数設けられている。より具体的に、複数の凸部46は、周方向Bに沿って略等しいピッチで、周方向Bの全域に亘って配置されている。
【0090】
これに対して、第2ハウジング51の連結外筒部54aの周壁部56の端面には、変形部58としての突出部が設けられている。そして、
図8に示すように、第1接続部材21及び第2接続部材22が連結されている状態で、変形部58は、周方向Bに隣接する凸部46の間の窪みに嵌り込むように構成されている。換言すれば、第1接続部材21及び第2接続部材22が連結されている状態で、変形部58及び凸部46の少なくとも一部は、周方向Bにおいて重なる位置に配置されている。
【0091】
図9は、第1ハウジング31の複数の凸部46、及び、第2ハウジング51の変形部58、により構成されるラチェット機構の概要を示す図である。
図9に示すように、各凸部46の周方向B両側の側面の軸方向Aに対する角度は異なっている。具体的に、凸部46の周方向Bの一方側である第1周方向B1側に位置する第1側面46aの、軸方向Aに対する角度は、凸部46の周方向Bの他方側である第2周方向B2側に位置する第2側面46bの、軸方向Aに対する角度(
図9の「δ1」参照)よりも小さい。換言すれば、凸部46の第1周方向B1側の第1側面46aは、凸部46の第2周方向B2側の第2側面46bよりも、軸方向Aに沿って延在している。
図9に示す例では、凸部46の第1周方向B1側の第1側面46aの軸方向Aに対する角度は0度であり、第1側面46aは軸方向Aに略平行して延在している。
【0092】
変形部58としての突出部の先端側は、軸方向Aに弾性変形することで揺動可能(
図9の二点鎖線及び太線矢印参照)に構成されている。具体的に、変形部58としての突出部には、第1周方向B1側に位置する第1当接面58aと、第2周方向B2側に位置する第2当接面58bと、が形成されている。
図9に示すように、第2当接面58bの軸方向Aに対する角度は、第1当接面58aの軸方向Aに対する角度(
図9の「δ2」参照)よりも小さい。換言すれば、第2当接面58bは、第1当接面58aよりも、軸方向Aに沿って延在している。
図9に示す例では、第2当接面58bの軸方向Aに対する角度は0度であり、第2当接面58bは軸方向Aに略平行して延在している。
【0093】
本実施形態では、凸部46の第1側面46a及び第2側面46b、並びに、変形部58の第1当接面58a及び第2当接面58b、の軸方向Aに対する角度を、上述の傾斜関係とすることで、回動制御部3のラチェット機構を実現している。
【0094】
具体的に、変形部58としての突出部が、凸部46に対して第1周方向B1側に回動すると、凸部46の第2側面46bが変形部58の第1当接面58aに当接及び摺動する。これにより、変形部58の第1当接面58a近傍の先端部62が第2側面46bにより挿入方向Cに押圧され、変形部58の先端部62が挿入方向Cに弾性変形する(
図9の二点鎖線参照)。これにより、変形部58は、凸部46を乗り越えることができる。
【0095】
換言すれば、このラチェット機構によれば、第2接続部2を構成する第2接続部材22(
図8参照)の、第1接続部1を構成する第1接続部材21(
図8参照)に対する、第1周方向B1への相対的な回動が許容される。
【0096】
逆に、変形部58としての突出部が、凸部46に対して第2周方向B2側に回動すると、凸部46の第1側面46aが変形部58の第2当接面58bに突き当たるが、両者は摺動しない。本実施形態の凸部46の第1側面46aは、むしろ、第2当接面58bを介して、変形部58としての突出部を、凸部46間の窪みに押し込むように、挿入方向Cの逆方向である抜去方向Dに押し上げる。このように、凸部46の第1側面46aは、変形部58の第2当接面58b近傍の先端部62を挿入方向Cに押圧しないため、変形部58の先端部62は挿入方向Cに向かって弾性変形しない。そのため、変形部58は、凸部46を乗り越えることができない。
【0097】
換言すれば、このラチェット機構によれば、第2接続部2を構成する第2接続部材22(
図8参照)の、第1接続部1を構成する第1接続部材21(
図8参照)に対する、第2周方向B2への相対的な回動が規制される。
【0098】
図9に示すように、本実施形態の変形部58としての突出部は、本体部61と、先端部62と、を備えている。本体部61は、周方向Bに延在し、軸方向Aに弾性変形可能である先端部62は、本体部61の先端側で本体部61から挿入方向Cとは反対の抜去方向Dに突設されている。第1当接面58aは、先端部62において、周方向Bで本体部61が位置する側(
図9では第1周方向B1側)の面に形成されている。また、第2当接面58bは、先端部62において、周方向Bで本体部61が位置しない側(
図9では第2周方向B2側)の面に形成されている。しかしながら、ラチェット機構で利用した変形部58の形状は、本実施形態の形状に限られず、別の形状としてもよい。
図10は、変形部58の変形例を示す図である。
図10に示す変形部58としての突出部は、本体部61と先端部62とを備えている。但し、
図10に示す変形部58の第1当接面58aは、先端部62において、周方向Bで本体部61が位置しない側(
図10では第1周方向B1側)の面に形成されている。また、
図10に示す変形部58の第2当接面58bは、先端部62において、周方向Bで本体部61が位置する側(
図10では第2周方向B2側)の面に形成されている。
図10に示すような変形部58とすれば、
図9に示す構成と比較して、変形部58の耐久性を高めることができる。具体的に、第2接続部材22が第1接続部材21に対して相対的に第2周方向B2に回動しようとする際に、変形部58の本体部61に周方向Bの引張力が作用するが、軸方向Aに回動する曲げモーメントが作用し難い。そのため、第1接続部材21及び第2接続部材22の相対的な回動を規制する際に、変形部58に曲げモーメントが作用し難くなり、変形部58の破損を抑制することができる。
【0099】
図14は、変形部58の別の変形例を示す図である。
図14に示す変形部58としての突出部は、軸方向Aに対して傾斜して直線状に延在している。変形部58を直線状に延在する構成とすることで、
図9に示す構成と比較して、変形部58の耐久性を高めることができる。具体的に、第2接続部材22が第1接続部材21に対して相対的に第2周方向B2に回動しようとする際に、破損し難い変形部58を実現できる。
【0100】
図15は、
図14に示す変形部58を備える第2接続部材22を示す斜視図である。
図15に示す変形部58は、周方向Bの異なる位置に4つ設けられているが、その個数は、特に限定されず、1~3、又は、5以上であってもよい。
【0101】
図11は、ラチェット機構の別の変形例を示す概要図である。
図11では、医療用コネクタの一部の構成のみを示している。
図11では、第1接続部材21の外筒部35cの内壁に、周方向Bに沿って、所定ピッチで、複数の凸部46を設けている。また、
図11では、第2接続部材22の連結外筒部54aの外壁に、径方向の外側に突出し、周方向Bに弾性変形可能な変形部58としての突出部を設けている。ラチェット機構は、
図11に示すような凸部46及び変形部58を含む構成としてもよい。更に、
図1~
図11では、第1接続部材21に凸部46を設け、第2接続部材22に変形部58を設けているが、凸部46及び変形部58の設置箇所を逆にしてもよい。すなわち、第1接続部材21に変形部を設け、第2接続部材22に凸部を設ける構成としてもよい。
【0102】
[医療用コネクタ100と他の医療器具との接続動作及び接続解除動作]
次に、本実施形態の医療用コネクタ100と他の医療器具との接続動作及び接続解除動作について説明する。
図12は、本実施形態の医療用コネクタ100の第1接続部1に、第1の他の医療器具としての、2016年のISO80369-7に準拠するロック式のオスコネクタ501が接続されている状態を示している。また、
図12は、本実施形態の医療用コネクタ100の第2接続部2に、第2の他の医療器具としての、2016年のISO80369-7に準拠するロック式のメスコネクタ部503を備える医療用チューブ505が接続されている状態を示している。但し、第2の他の医療器具として、医療用チューブ505に対して着脱可能な、2016年のISO80369-7に準拠するロック式のメスコネクタを用いてもよい。
【0103】
上述したように、本実施形態の医療用コネクタ100において、第1接続部材21が第1接続部1を構成し、第2接続部材22が第2接続部2を構成している(
図1等参照)。また、上述したように、回動制御部3は、第1接続部材21及び第2接続部材22により形成されているラチェット機構を備えている。この回動制御部3のラチェット機構により、第2接続部2は、第1接続部1に対して第1周方向B1に回動することが許容される。また、この回動制御部3のラチェット機構により、第2接続部2は、第1接続部1に対して第1周方向B1と反対の第2周方向B2に回動することが規制されている。
【0104】
図12に示すように、第1接続部1は、第1の他の医療器具としてのロック式のオスコネクタ501の雌ねじ部502に螺合可能な雄ねじ部40を備えている。具体的に、本実施形態の雄ねじ部40は、上述したように、第1接続部1を構成する第1接続部材21の第1ハウジング31における天面キャップ36の中空筒部36aの外壁に形成されている(
図4等参照)。
【0105】
図12に示すように、雄ねじ部40は、ロック式のオスコネクタ501の雌ねじ部502に対して、第1周方向B1に回動させることにより、ロック式のオスコネクタ501の雌ねじ部502と螺合するように構成されている。
【0106】
このような構成とすれば、医療用コネクタ100の第1接続部1に、ロック式のオスコネクタ501の雌ねじ部502を接続する際に、医師や看護師などの医療従事者は、第1接続部1を把持せず、第2接続部2を把持した状態であっても、ロック式のオスコネクタ501の雌ねじ部502と螺合による接合を実行することができる。具体的に、医療従事者が、片手で第2接続部2を把持し、別の片手でロック式のオスコネクタ501を把持した場合を想定して説明する。この場合に、第2接続部2を、ロック式のオスコネクタ501の雌ねじ部502に対して相対的に第2周方向B2に回動させると、第1接続部1がラチェット機構により共回りする。そのため、第1接続部1を、雌ねじ部502に対して相対的に第2周方向B2に回動させることができる。これにより、第1接続部1とロック式のオスコネクタ501の雌ねじ部502とを螺合により接続することができる。
【0107】
次に、第1接続部1とロック式のオスコネクタ501の雌ねじ部502とが螺合により接続されている状態を想定して説明する。この状態において、第2接続部2を構成する第2接続部材22に対して、第1周方向B1に回動させる意図しない外力が作用したとしても、回動制御部3のラチェット機構により、第1接続部1と第2接続部2とが互いに回動して空回りする。これにより、第2接続部材22に対して作用した第1周方向B1に回動させる外力が、第1接続部1とロック式のオスコネクタ501の雌ねじ部502との螺合部分に伝達され難い。つまり、第1接続部1が、雌ねじ部502に対して、第1周方向B1に回動し難くなる。これにより、第1接続部1と、ロック式のオスコネクタ501の雌ねじ部502と、の螺合による接続状態が、意図しない外力によって緩むことを抑制することができる。そのため、第1接続部1と、ロック式のオスコネクタ501の雌ねじ部502と、の螺合による接続状態が、意図しない外力によって解除されることを抑制することができる。
【0108】
更に、第1接続部1とロック式のオスコネクタ501の雌ねじ部502とが螺合により接続されている状態において、医療従事者は、ロック式のオスコネクタ501を片手で把持すると共に、第1接続部1を別の片手で把持し、相対的に周方向Bに回動させることで、接続を解除することができる。しかしながら、同位置での接続解除を目的とした誤操作が発生する可能性がある。ここで言う誤操作とは、医療従事者が、ロック式のオスコネクタ501を片手で把持すると共に、医療用コネクタ100ではなく、第2接続部2に接続されている医療用チューブ505を別の片手で把持し、相対的に周方向Bに回動させる操作である。本実施形態の医療用コネクタ100であれば、上述の誤操作が行われたとしても、回動制御部3のラチェット機構により、第1接続部1及び第2接続部2が空回りする。そのため、第2接続部2と、医療用チューブ505のロック式のメスコネクタ部503の雄ねじ部504と、の接続が誤って解除されることはない。つまり、意図していない誤った位置で接続が解除されることを抑制することができる。
【0109】
また、
図12に示すように、第2接続部2は、雌ねじ部60を備えている。この雌ねじ部60は、第2の他の医療器具としての医療用チューブ505の、ロック式のメスコネクタ部503の雄ねじ部504に螺合可能である。具体的に、本実施形態の雌ねじ部60は、上述したように、第2接続部2を構成する第2接続部材22の第2ハウジング51における先端外筒部54bの内壁に形成されている(
図4等参照)。
【0110】
図12に示すように、雌ねじ部60は、医療用チューブ505のロック式のメスコネクタ部503の雄ねじ部504に対して、第1周方向B1に回動させることにより、ロック式のメスコネクタ部503の雄ねじ部504と螺合するように構成されている。
【0111】
このような構成とすれば、医療用コネクタ100の第2接続部2に、ロック式のメスコネクタ部503の雄ねじ部504を接続する際に、医師や看護師などの医療従事者は、第2接続部2を把持せず、第1接続部1を把持した状態であっても、医療用チューブ505におけるロック式のメスコネクタ部503の雄ねじ部504と螺合による接合を実行することができる。具体的に、医療従事者が、片手で第1接続部1を把持し、別の片手で、ロック式のメスコネクタ部503を有する医療用チューブ505を把持した場合を想定して説明する。この場合に、第1接続部1を、ロック式のメスコネクタ部503の雄ねじ部504に対して相対的に第1周方向B1に回動させると、第2接続部2がラチェット機構により共回りする。そのため、第2接続部2を、雄ねじ部504に対して相対的に第1周方向B1に回動させることができる。これにより、第2接続部2と、医療用チューブ505におけるロック式のメスコネクタ部503の雄ねじ部504とを螺合により接続することができる。
【0112】
次に、第2接続部2と、医療用チューブ505におけるロック式のメスコネクタ部503の雄ねじ部504とが螺合により接続されている状態を想定して説明する。この状態において、第1接続部1を構成する第1接続部材21に対して、第2周方向B2に回動させる意図しない外力が作用したとしても、回動制御部3のラチェット機構により、第1接続部1と第2接続部2とが互いに回動して空回りする。これにより、第1接続部材21に対して作用した第2周方向B2に回動させる外力が、第2接続部2とロック式のメスコネクタ部503の雄ねじ部504との螺合部分に伝達され難い。つまり、第2接続部2が、雄ねじ部504に対して、第2周方向B2に回動し難くなる。これにより、第2接続部2と、ロック式のメスコネクタ部503の雄ねじ部504と、の螺合による接続状態が、意図しない外力によって緩むことを抑制することができる。そのため、第2接続部2と、ロック式のメスコネクタ部503の雄ねじ部504を有する医療用チューブ505と、の螺合による接続状態が、意図しない外力によって解除されることを抑制することができる。
【0113】
更に、第2接続部2と、医療用チューブ505におけるロック式のメスコネクタ部503の雄ねじ部504と、が螺合により接続されている状態において、医療従事者は、ロック式のメスコネクタ部503を有する医療用チューブ505を片手で把持すると共に、第2接続部2を別の片手で把持し、相対的に周方向Bに回動させることで、接続を解除することができる。しかしながら、同位置での接続解除を目的とした誤操作が発生する可能性がある。ここで言う誤操作とは、医療従事者が、ロック式のメスコネクタ部503を有する医療用チューブ505を片手で把持すると共に、医療用コネクタ100ではなく、第1接続部1に接続されているロック式のオスコネクタ501を別の片手で把持し、相対的に周方向Bに回動させる操作である。本実施形態の医療用コネクタ100であれば、上述の誤操作が行われたとしても、回動制御部3のラチェット機構により、第1接続部1及び第2接続部2が空回りする。そのため、第1接続部1とロック式のオスコネクタ501の雌ねじ部502との接続が誤って解除されることはない。つまり、意図していない誤った位置で接続が解除されることを抑制することができる。
【0114】
[医療用コネクタ100のラチェット機構の回動性能及びシール性能について]
図4に示すように、本実施形態の医療用コネクタ100では、第1接続部1の第1筒部としての内筒部35a内に、第2接続部2の第2筒部としての連結内筒部52aが挿入されている。
【0115】
また、
図4に示すように、第1筒部としての内筒部35aの内壁、及び、第2筒部としての連結内筒部52aの外壁は、挿入領域T1のうち、内筒部35a及び連結内筒部52aの軸方向における一部のみで当接領域T2を形成している。上述したように、挿入領域T1とは、内筒部35a及び連結内筒部52aが径方向に重なる、軸方向(本実施形態では軸方向Aと同じ方向)における領域である。また、当接領域T2とは、内筒部35aの内周面と連結内筒部52aの外周面とが密着する、軸方向における領域である。そして、第2接続部2は、上述の当接領域T2で第1接続部1と摺動しながら、第1接続部1に対して、第1周方向B1に回動する。
【0116】
このように、内筒部35a及び連結内筒部52aの軸方向において、当接領域T2は、挿入領域T1の一部のみである。そのため、当接領域が挿入領域の全域に及ぶ場合と比較して、内筒部35a及び連結内筒部52aが相対的に回動する際の摺動抵抗を低減することができる。これにより、第1接続部1及び第2接続部2の相対的な回動を円滑に実行させることが可能となる。当接領域T2にシリコンオイルなどの潤滑剤を介在させてもよい。このようにすれば、第1接続部1及び第2接続部2の相対的な回動を、より一層、円滑に実行させることが可能となる。
【0117】
本実施形態において、当接領域T2の軸方向Aにおける長さは、挿入領域T1の軸方向Aにおける全長の1/3以下とすることが好ましく、1/4以下とすることがより好ましい。
【0118】
また、本実施形態では、上述したように、当接領域T2(
図4参照)の軸方向Aの長さを短くするため、内筒部35aの基端内周面81(
図7参照)の軸方向Aに対するテーパ角度と、連結内筒部52aの先端外周面85の先端根元部面85a(
図7参照)の軸方向Aに対するテーパ角度と、を異ならせている。より具体的には、連結内筒部52aの先端外周面85の先端根元部面85a(
図7参照)の軸方向Aに対するテーパ角度を、内筒部35aの基端内周面81(
図7参照)の軸方向Aに対するテーパ角度よりも大きくしている。この他に、例えばアンダーカット嵌合を利用することで、当接領域T2の軸方向Aの長さを短くしてもよい。
【0119】
更に、本実施形態における当接領域T2(
図4参照)は、第1接続部1を構成する第1接続部材21の内筒部35aの基端内周面81(
図7参照)と、第2接続部2を構成する第2接続部材22の連結内筒部52aの先端外周面85(
図7参照)と、により形成されているが、この構成に限られない。当接領域T2は、例えば、内筒部35aの内周面の別の位置と、連結内筒部52aの外周面の別の位置又は先端面と、で形成されていてもよい。
【0120】
また更に、
図4に示すように、本実施形態では第1接続部1の第1筒部としての内筒部35a内に、第2接続部2の第2筒部としての連結内筒部52aを挿入し、当接領域T2を形成しているが、この構成に限られない。当接領域T2は、例えば、第2接続部2の第1筒部としての連結内筒部内に、第1接続部1の第2筒部としての内筒部が挿入されることで形成されてもよい。
【0121】
本実施形態の当接領域T2は、上述したように、第1筒部としての内筒部35a及び第2筒部としての連結内筒部52aの周方向(本実施形態では周方向Bと同じ方向)の全域に亘って形成されている。これにより、上述したように、第1接続部材21により区画される第1接続部1の第1流路1aと、第2接続部材22により区画される第2接続部2の第2流路2aと、が液密に接続される。
【0122】
[第1ハウジング31と第2ハウジング51との連結構成について]
図4に示すように、第1接続部1の第1筒部としての内筒部35aの外壁には、環状溝45が形成されている。また、
図4に示すように、第2接続部2は、第1接続部1の内筒部35aの径方向の外側に位置し、環状溝45に嵌り込む爪部57を備えている。
【0123】
つまり、本実施形態において、第1接続部1を構成する第1接続部材21の第1ハウジング31と、第2接続部2を構成する第2接続部材22の第2ハウジング51と、は環状溝45と爪部57とが嵌合することで連結されている。
【0124】
上述したように、第2接続部2は、壁面5を備えている。この壁面5は、軸方向Aに沿って、第1接続部1が第2接続部2から離間する方向に移動することを、第1接続部1に当接することで規制する。そして、本実施形態では、この壁面5が、爪部57の外壁により構成されている。より具体的に、本実施形態の壁面5は、爪部57の係止突部57bのうち、挿入方向C側の端面57b1により構成されている。
【0125】
また、上述したように、本実施形態の第1接続部1は、壁面6を備えている。この壁面6は、軸方向Aに沿って、第2接続部2が第1接続部1から離間する方向に移動することを、第2接続部2の壁面5に当接することで規制する。そして、本実施形態では、この壁面6が、環状溝45の溝壁により構成されている。より具体的に、本実施形態の壁面6は、環状溝45の、挿入方向Cの逆方向である抜去方向D側の溝壁45a1により構成されている。
【0126】
更に、本実施形態の第2接続部2は、壁面7を備えている。この壁面7は、軸方向Aに沿って、第1接続部1が第2接続部2に接近する方向に移動することを、第1接続部1に当接することで規制する。以下、説明の便宜上、第2接続部2の壁面5及び壁面7を区別するため、壁面5を「第1壁面5」と記載し、壁面7を「第2壁面7」と記載する。そして、本実施形態では、この第2接続部2の第2壁面7が、爪部57の外壁により構成されている。より具体的に、本実施形態の第2接続部2の第2壁面7は、爪部57の係止突部57bのうち、挿入方向Cの逆方向である抜去方向D側の端面57b2により構成されている。
【0127】
また、本実施形態の第1接続部1は、壁面8を備えている。この壁面8は、軸方向Aに沿って、第2接続部2が第1接続部1に接近する方向に移動することを、第2接続部2の第2壁面7に当接することで規制する。以下、説明の便宜上、第1接続部1の壁面6及び壁面8を区別するため、壁面6を「第1壁面6」と記載し、壁面8を「第2壁面8」と記載する。そして、本実施形態では、この第1接続部1の第2壁面8が、環状溝45の溝壁により構成されている。より具体的に、本実施形態の第1接続部1の第2壁面8は、環状溝45の、挿入方向C側の溝壁45a2により構成されている。
【0128】
第1接続部1の第1壁面6としての、環状溝45の溝壁45a1と、第2接続部2の第1壁面5としての、爪部57の係止突部57bの端面57b1と、が軸方向Aで突き当たるように当接する。これにより、連結されている状態の第1接続部1及び第2接続部2は、軸方向Aに離間する移動が規制される。そのため、第1接続部1及び第2接続部2の連結状態が維持される。換言すれば、第1接続部1の第1壁面6としての、環状溝45の溝壁45a1と、第2接続部2の第1壁面5としての、爪部57の係止突部57bの端面57b1と、が軸方向Aで突き当たるように当接する状態が、上述した離間規制状態である。
【0129】
そして、回動制御部3は、上述の離間規制状態において、第2接続部2が第1接続部1に対して、第1周方向B1に回動することを許容し、かつ、第2周方向B2に回動することを規制する。
【0130】
更に、第1接続部1の第2壁面8としての、環状溝45の溝壁45a2と、第2接続部2の第2壁面7としての、爪部57の係止突部57bの端面57b2と、が軸方向Aで突き当たるように当接する。これにより、連結されている状態の第1接続部1及び第2接続部2は、軸方向Aに接近する移動が規制される。換言すれば、第1接続部1の第2壁面8としての、環状溝45の溝壁45a2と、第2接続部2の第2壁面7としての、爪部57の係止突部57bの端面57b2と、が軸方向Aで突き当たるように当接する状態が、接近規制状態となる。
【0131】
そして、本実施形態の回動制御部3は、上述の接近規制状態においても、第2接続部2が第1接続部1に対して、第1周方向B1に回動することを許容し、かつ、第2周方向B2に回動することを規制する。
【0132】
つまり、本実施形態の回動制御部3は、上述の離間規制状態及び接近規制状態の両方の状態で、第2接続部2が第1接続部1に対して、第1周方向B1に回動することを許容する。また、本実施形態の回動制御部3は、上述の離間規制状態及び接近規制状態の両方の状態で、第2接続部2が第1接続部1に対して、第2周方向B2に回動することを規制する。換言すれば、本実施形態の回動制御部3は、上述の離間規制状態及び接近規制状態が設けられていることで、連結状態で常に上述の回動制御を実行可能に構成されている。より具体的に、本実施形態では、上述の離間規制状態を設けることで、凸部46(
図6等参照)と変形部58(
図5等参照)とが周方向Bで重なる位置に配置される状態が維持される。また、本実施形態では、上述の接近規制状態を設けることで、凸部46(
図6等参照)と変形部58(
図5等参照)とが過度に干渉することを抑制している。つまり、変形部58(
図5等参照)が凸部46(
図6等参照)を過度に押圧することで第2接続部2が第1接続部1に対して第1周方向B1に回動しなくなるような、回動制御部3の機能不全を抑制することができる。
【0133】
最後に、本実施形態の医療用コネクタ100を含む輸液セット600について、
図13を参照して説明する。
【0134】
輸液セット600は、
図13において図示しない輸液バッグ等の輸液保持具から、
図13において同じく図示しない留置針までを接続する輸液ラインを構成している。具体的には、輸液セット600は、複数の医療用チューブ601と、点滴筒602と、調整用クランプ603と、閉塞用クランプ604と、医療用コネクタ100と、を備える。
図13に示す複数の医療用チューブ601は、第1医療用チューブ601aと、第2医療用チューブ601bと、を備えている。点滴筒602は、輸液保持具から供給される輸液剤の流量を視認可能にする。調整用クランプ603は、医療用チューブ601内の輸液剤の流量を複数の状態へと変更可能である。閉塞用クランプ604は、医療用チューブ601を閉塞可能である。医療用コネクタ100は、複数の医療用チューブ601間を接続している。
【0135】
第1医療用チューブ601aの遠位端部には、
図12に示す第1の他の医療器具としてのロック式のオスコネクタ501が取り付けられている。第1医療用チューブ601aと、ロック式のオスコネクタ501と、は取り外し不能に接続されていてもよく、取り外し可能に接続されていてもよい。
【0136】
第2の他の医療器具としての第2医療用チューブ601bは、その近位端部において、
図12に示すロック式のメスコネクタ部503を備えている。但し、第2の他の医療器具として、第2医療用チューブ601bの近位端部に取り付けられているロック式のメスコネクタとしてもよい。かかる場合に、ロック式のメスコネクタは、第2医療用チューブ601bに対して取り外し不能に接続されていてもよく、取り外し可能に接続されていてもよい。
【0137】
図13に示すように、医療用コネクタ100のうち、近位端側(輸液ラインの流路上流側)に位置する第1接続部1は、ロック式のオスコネクタ501と接続されている。また、
図13に示すように、医療用コネクタ100のうち、遠位端側(輸液ラインの流路下流側)に位置する第2接続部2は、第2医療用チューブ601bのロック式のメスコネクタ部503と接続されている。このようにすることで、医療用コネクタ100は、第1医療用チューブ601a内の流路と、第2医療用チューブ601b内の流路と、を第1流路1a(
図4参照)及び第2流路2a(
図4参照)を通じて、液密に接続している。
【0138】
図13に示す輸液セット600は一例であり、少なくとも1つの医療用チューブ601と、医療用コネクタ100と、を含む構成であればよく、
図13に示す構成に限られない。
【0139】
本開示に係る医療用コネクタは、上記実施形態に示す具体的な構成に限られず、特許請求の範囲の記載を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。例えば、上述の実施形態の医療用コネクタ100では、第1接続部1に雄ねじ部40(
図4等参照)が設けられ、第2接続部2に雌ねじ部60(
図4等参照)が設けられている。しかしながら、医療用コネクタは、例えば、第1接続部1に雌ねじ部が設けられ、第2接続部2に雄ねじ部が設けられる構成であってもよい。更に、医療用コネクタは、例えば、第1接続部1及び第2接続部2に雄ねじ部を設ける構成や、第1接続部1及び第2接続部2に雌ねじ部を設ける構成であってもよい。
【0140】
また、上述の実施形態の医療用コネクタ100では、第1接続部1及び第2接続部2が、螺合により、他の医療器具と接続される構成であるが、回動制御部3により回動制御される周方向Bの回動動作を利用することにより、他の医療器具と接続される構成であればよく、螺合に限られない。但し、上述の実施形態の医療用コネクタ100のように、螺合を利用することが好ましい。このようにすれば、他の医療器具との接続動作が容易になると共に、回動制御部3による回動制御も実現し易くなる。
【0141】
更に、上述の実施形態の医療用コネクタ100では、環状溝45(
図4等参照)と爪部57(
図4等参照)とにより、第1接続部1及び第2接続部2の軸方向Aへの離間及び接近が規制されているが、他の構成を用いて、第1接続部1及び第2接続部2の軸方向Aへの離間及び接近を規制してもよい。但し、本実施形態の医療用コネクタ100のように、環状溝45(
図4等参照)と爪部57(
図4等参照)とにより、第1接続部1及び第2接続部2の軸方向Aへの離間及び接近を規制する構成とすれば、簡易な構成で上述の離間及び接近の規制を実現できる。
【0142】
また更に、上述の実施形態では、医療用コネクタ100の第1接続部1に、2016年のISO80369-7に準拠するロック式のオスコネクタ501が接続される例(
図12参照)を示しているが、この構成に限られず、例えば、2016年のISO80369-7に準拠するロック式のオスコネクタ部が端部に設けられた医療用チューブなど、別の医療器具を接続してもよい。
【0143】
また、上述の実施形態では、医療用コネクタ100の第1ハウジング31の外筒部35cが、第2ハウジング51の爪部57の径方向外側を完全には覆っていない。これに対して、
図16、
図17に示すように、第1ハウジング31の外筒部35cの軸方向Aの長さを、
図4等に示す構成よりも長くしてもよい。このようにすれば、医療用コネクタ100の外部に露出する外表面において、第1ハウジング31の占める割合が大きくなり、かつ、第2ハウジング51の占める割合が小さくなる。そのため、医療従事者などの操作者が、第1接続部材21から第1の他の医療器具501(
図12参照)を取り外す際に、第1接続部材21の第1ハウジング31を把持し易くなる。その結果、誤って第2接続部材22の第2ハウジング51を把持することを抑制できる。
図17に示すように、外筒部35cは、内筒部35aよりも長い。より具体的に、外筒部35cの挿入方向Cの先端が、内筒部35aの挿入方向Cの先端よりも、更に挿入方向Cに位置している。
【0144】
また、
図16、
図17では、外筒部35cが、第2ハウジング51の爪部57の径方向外側を覆っている。このような構成とすることで、医療従事者などの操作者が、医療用コネクタ100の操作時に、径方向の外側から内側に向かって爪部57を誤って押圧することを抑制できる。これにより、爪部57が環状溝45の溝底に押圧され両者の間の摩擦力が増大することを抑制できる。その結果、医療用コネクタ100のラチェット機構が正常に動作しないような不具合の発生を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本開示は医療用コネクタに関する。
【符号の説明】
【0146】
1:第1接続部
1a:第1流路
2:第2接続部
2a:第2流路
3:回動制御部
4:コネクタ流路
5:第2接続部の第1壁面
6:第1接続部の第1壁面
7:第2接続部の第2壁面
8:第1接続部の第1壁面
21:第1接続部材
22:第2接続部材
31:第1ハウジング
32:弁体
33:スリット
34:キャップ
35:ホルダ
35a:内筒部(第1筒部)
35b:支持部
35c:外筒部
36:天面キャップ
36a:中空筒部
36b:フランジ部
37:底面キャップ
37a:中空筒部
37b:フランジ部
38:上面
39:縁
40:第1接続部の雄ねじ部
41:天面キャップの係止突起
42:底面キャップの係止突起
44:挿入規制部
45:環状溝
45a1、45a2:溝壁
46:凸部(ラチェット機構の一部)
46a:第1側面
46b:第2側面
47:間隙
51:第2ハウジング
52:内筒部
52a:連結内筒部(第2筒部)
52b:先端内筒部
53:環状フランジ部
54:外筒部
54a:連結外筒部
54b:先端外筒部
56:周壁部
56a:凹部
57:爪部
57a:変形部
57b:係止突部
57b1、57b2:係止突部の端面
58:変形部(ラチェット機構の一部)
58a:第1当接面
58b:第2当接面
60:第2接続部の雌ねじ部
61:変形部の本体部
62:変形部の先端部
81:第1接続部材の内筒部の基端内周面
82:第1接続部材の内筒部の先端内周面
83:第1接続部材の内筒部の中間内周面
84:第2接続部材の連結内筒部の基端外周面
85:第2接続部材の連結内筒部の先端外周面
100:医療用コネクタ
501:オスコネクタ(第1の他の医療器具)
502:雌ねじ部
503:メスコネクタ部
504:雄ねじ部
505:医療用チューブ(第2の他の医療器具)
600:輸液セット
601:医療用チューブ
601a:第1医療用チューブ
601b:第2医療用チューブ(第2の他の医療器具)
602:点滴筒
603:調整用クランプ
604:閉塞用クランプ
A:軸方向
B:周方向
B1:第1周方向
B2:第2周方向
C:オスコネクタの挿入方向
D:オスコネクタの抜去方向
O:第1流路及び第2流路に亘って延在する軸
T1:挿入領域
T2:当接領域
θ:テーパ角度
δ1:第2側面の軸方向に対する角度
δ2:第1当接面の軸方向に対する角度