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特許7097919高仕事率多波長可視レーザー光を生成するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】高仕事率多波長可視レーザー光を生成するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/30 20060101AFI20220701BHJP
   G02F 1/37 20060101ALI20220701BHJP
   G02F 1/35 20060101ALI20220701BHJP
   H01S 3/109 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
H01S3/30
G02F1/37
G02F1/35 502
H01S3/109
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020008705
(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公開番号】P2020188250
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2020-02-21
(31)【優先権主張番号】108116967
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)2019年1月23日、Optics Express Vol.27,Issue 3,pp.2029-2035(2019) https://doi.org/10.1364/OE.27.002029にてオンライン公開 (2)2019年3月5日、Optics Letters Vol.44,Issue 6,pp.1323-1326(2019) https://doi.org/10.1364/OL.44.001323にてオンライン公開
(73)【特許権者】
【識別番号】520027707
【氏名又は名称】ライトメッド コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LIGHTMED CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100113860
【弁理士】
【氏名又は名称】松橋 泰典
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【氏名又は名称】富田 博行
(72)【発明者】
【氏名】チェン ユンフ
(72)【発明者】
【氏名】リャン シンチー
(72)【発明者】
【氏名】ツォウ チアハン
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-533847(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105633786(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0113994(US,A1)
【文献】特開2007-266537(JP,A)
【文献】特開平05-211369(JP,A)
【文献】国際公開第2014/080520(WO,A1)
【文献】特開平06-164048(JP,A)
【文献】特開2005-057043(JP,A)
【文献】特開平10-256638(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0325976(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00 - 3/02
H01S 3/04 - 3/0959
H01S 3/098 - 3/102
H01S 3/105 - 3/131
H01S 3/136 - 3/213
H01S 3/23 - 4/00
G02B 1/00 - 1/125
G02B 1/21 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多波長可視レーザー光を生成するための方法であって、
前記多波長可視レーザー光は、第一波長を有する第一可視レーザー光及び第二波長を有する第二可視レーザー光を含み、
前記多波長可視レーザー光を生成するための方法は、
ポンプ光を通過させ、第一方向に沿って入射させる第一光学素子を提供する工程と、
第二光学素子を提供し、利得及びラマン媒質、第一三ホウ酸リチウム(LBO)結晶及び第二LBO結晶を、前記第一方向に沿って前記第一光学素子と前記第二光学素子との間に順次に配置する工程と、
前記利得及びラマン媒質によって前記ポンプ光を使用して、第三波長を有する第一赤外ベースレーザー光及び第四波長を有する第二赤外ベースレーザー光を生成する工程と、
前記第一LBO結晶によって前記第一可視レーザー光を生成する工程と、
前記第二LBO結晶によって前記第二可視レーザー光を生成する工程と、
前記第二光学素子を使用して、前記第一可視レーザー光及び前記第二可視レーザー光を前記第一方向に沿って放出させ、前記第一赤外ベースレーザー光及び前記第二赤外ベースレーザー光を前記第一方向と反対の第二方向に沿って反射させる工程と、
前記第一光学素子によって、前記第一可視レーザー光及び前記第二可視レーザー光並びに前記第一赤外ベースレーザー光及び前記第二赤外ベースレーザー光を反射させる工程と、
前記第二方向における前記利得及びラマン媒質の表面によって前記第一可視レーザー光及び前記第二可視レーザー光を反射させ、前記第一赤外ベースレーザー光及び前記第二赤外ベースレーザー光を容易に透過させる工程と、
14~28℃の間の作動温度で、前記第一可視レーザー光及び前記第二可視レーザー光の出力仕事率をワットレベルの仕事率に維持して調整する工程であって、前記第一可視レーザー光の出力仕事率が、作動温度14℃から上がるにつれて減少し、20℃に達すると増加し始め、前記第二可視レーザー光の出力仕事率が、作動温度14℃から上がるにつれて増加し、20℃に達すると減少し始める、前記工程と、を含む多波長可視レーザー光を生成するための方法。
【請求項2】
前記第二赤外ベースレーザー光は、自己誘導ラマン散乱によって生成され、
前記第一LBO結晶及び前記第二LBO結晶の少なくとも一つは周波数倍増結晶であることを特徴とする請求項1に記載の多波長可視レーザー光を生成するための方法。
【請求項3】
前記第一波長は、前記第三波長の二倍である場合、前記第一LBO結晶は、和周波結晶であり、前記第二LBO結晶は、周波数倍増結晶であることを特徴とする請求項1に記載の多波長可視レーザー光を生成するための方法。
【請求項4】
前記第二波長は、前記第三波長の二倍である場合、前記第一LBO結晶は、周波数倍増結晶であり、前記第二LBO結晶は、和周波結晶であることを特徴とする請求項1に記載の多波長可視レーザー光を生成するための方法。
【請求項5】
前記利得及びラマン媒質と前記第一LBO結晶との間に第三LBO結晶を配置する工程であって、前記第三LBO結晶が、前記第一と前記第二LBO結晶から前記第一と第二赤外ベースレーザー光を受光し、第五波長を有する第三可視レーザー光を生成する前記工程と、を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の多波長可視レーザー光を生成するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願と優先権主張の相互参照
本出願は、台湾経済部智慧財産局での2019年5月16日に出願された特許出願第108116967号に基づく利益を主張し、その内容は参照することにより本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、ラマンレーザー装置に関し、特に高仕事率及び多波長の可視光を生成するためのラマンレーザー装置に関する。
【背景技術】
【0003】
可視波長(約390~700ナノメートル)のレーザー光は実用的な価値が高く、現在、工業加工及び医療技術応用にも続々応用されている。可視波長のレーザー光を生成するための従来のレーザー装置10を図1に示す。波長が808ナノメートルであるポンプ光Lpumpは、図の最も左側のダイオードレーザー源1によって提供され、第一レンズ3を通過し、第一レンズ3と第二レンズ5によって形成される直線状キャビティに入る。前記キャビティには利得媒質7及び周波数倍増結晶9が順次配置される。利得媒質7中の物質は、入射ポンプ光Lpumpを吸収し、エネルギーレベル変換によって波長が約1064ナノメートルの赤外ベースレーザー光Lbaseを放出する。第一レンズ3及び第二レンズ5は、赤外ベースレーザー光Lbaseに対して高反射性を有するため、第一レンズ3及び第二レンズ5によって形成される直線状キャビティ内で往復して反射される。例えば、右に向く第二レンズ5の表面に入射すると、第二レンズ5で反射されて反対方向を向く赤外ベースレーザー光L'baseとなり、周波数倍増結晶9及び利得媒質7を連続的に透過し、左に向く第一レンズ3の表面に入射すると、第一レンズ3によって反射され、右を向く赤外ベースレーザー光L''baseとなる。ポンプ光Lpumpによって連続的に提供される光エネルギーの下で、利得媒質7は、赤外ベースレーザー光Lbaseを連続的に生成し、直線状キャビティ内を往復し続けることができる。
【0004】
周波数倍増結晶9は、約1064ナノメートルの波長を有する赤外ベースレーザー光Lbaseを受光した後、周波数倍増によって532ナノメートルの波長を有する可視レーザー光L1を形成でき、可視レーザー光L1も直線状キャビティ内を往復することができる。しかし、第二レンズ5は、532ナノメートルの波長を有する可視レーザー光L1に対してより良好な透過性を有し、可視レーザー光L1の一部を通過させて放出させることができる。532ナノメートルの波長は、一般的に使用される可視光波長領域に属するため、高い応用価値がある。
【0005】
しかし、上記の素子配置は、しばしば仕事率不足の問題を引き起こす。周波数倍増後の可視レーザー光L'1も左に向く利得媒質7に入射するため、利得媒質7の材料の一部が入射する可視レーザー光L'1を吸収し、入射するポンプ光Lpumpを吸収し続けることはできなく、赤外ベースレーザー光Lbaseを放出することはできない。即ち、左に向く入射する周波数倍増後の可視レーザー光L'1は、利得媒質7の機能を減衰させ、最終的にレーザー装置10の仕事率が不足になり、ワットレベル出力を達成するのが困難になる。図1に示すレーザー装置10は、出力仕事率を増加させるために、使用中に入射ポンプ光Lpumpの仕事率を連続的に増加させる必要がある。そのような装置は効率が悪く、深刻なエネルギー損失を引き起こす。
【0006】
また、周波数倍増後のレーザー光L'1によって引き起こされる利得媒質7の機能減衰を避けるために、キャビティの構造を変更しようと試みる人もいる。例えば、直線状キャビティを折線のような複雑な形状に変更する。しかし、光学素子を追加した後の光学損失は、当然避けるのが困難である。
【0007】
医療手術などのいくつかの応用では、タイムリーなスイッチングを提供するために、二つ以上の波長の可視光レーザーが同時に必要とされることが多い。従来の方法は、異なるレーザー装置を選択して使用し、異なる波長のレーザー光を提供することであるため、レーザー装置の購入とスペースの要求は明らかに克服すべきコスト問題である。
【0008】
従って、上記の装置の欠点をどのように避けるかは、解決すべき技術的な問題である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
二つ以上の可視光レーザーを同時に提供し、仕事率損失とコストを大幅に減少させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、直線状キャビティを備える高仕事率多波長可視光のラマンレーザーを提案し、従来技術の欠点を効果的に克服でき、二つ以上の可視レーザーを同時に提供することができ、仕事率損失とコストを大幅に減少させることができる。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、直線状キャビティを備える多波長レーザー装置を提案する。前記直線状キャビティは、第一方向及び第一方向と反対の第二方向を有する。前記直線状キャビティは、第一光学素子と、利得及びラマン媒質と、和周波結晶と、第一周波数倍増結晶と、第二光学素子と、を前記第一方向に沿って配置する。前記第一光学素子は、ポンプ光を通過させ、第一方向に沿って入射させる。前記利得及びラマン媒質は、前記ポンプ光を受光し、第一波長を有する第一赤外ベースレーザー光及び第二波長を有する第二赤外ベースレーザー光を生成する。前記和周波結晶は、前記第一赤外ベースレーザー光及び前記第二赤外ベースレーザー光を受光し、第三波長を有する第一可視レーザー光を生成する。前記第一周波数倍増結晶は、前記第一赤外ベースレーザー光を受光し、第四波長を有する第二可視レーザー光を生成する。前記第二光学素子は、前記第一可視レーザー光及び前記第二可視レーザー光を前記第一方向に沿って投射させる。前記第一光学素子は、前記第二方向において、前記第一波長及び前記第二波長を含む第一波帯に対して第一高反射率を有し、前記第三波長及び前記第四波長を含む第二波帯に対して第二高反射率を有する。前記利得及びラマン媒質は、前記第二方向において、前記第一波帯に対して第一高透過率を有し、前記第二波帯に対して第三高反射率を有する。前記第二光学素子は、前記第一方向において、前記第二波帯に対して第二高透過率を有し、前記第一波帯に対して第四高反射率を有する。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、高仕事率可視レーザー光を生成するための直線状キャビティを提案する。前記直線状キャビティは、第一方向に沿って、第一光学素子と、利得及びラマン媒質と、第一三ホウ酸リチウム(LBO)結晶と、第二光学素子と、を含む。前記第一光学素子は、ポンプ光を通過させ、第一方向に沿って入射させる。前記利得及びラマン媒質は、前記ポンプ光を受光し、第一波長を有する第一赤外ベースレーザー光及び第二波長を有する第二赤外ベースレーザー光を生成する。前記第一LBO結晶は、前記第一赤外ベースレーザー光及び前記第二赤外ベースレーザー光を受光し、第三波長を有する第一可視レーザー光を生成する。前記第二光学素子は、前記第一可視レーザー光を前記第一方向に沿って放出させる。前記第一方向と反対の第二方向に、前記第一光学素子は、前記第一波長及び前記第二波長を含む第一波帯に対して第一高反射率を有し、前記第三波長を含む第二波帯に対して第二高反射率を有する。前記第二方向に、前記利得及びラマン媒質は、前記第一波帯に対して第一高透過率を有し、前記第二波帯に対して第三高反射率を有する。前記第一方向に、前記第二光学素子は、前記第二波帯に対して第二高透過率を有し、前記第一波帯に対して第四高反射率を有する。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、多波長可視レーザー光を生成するための方法を提案する。前記多波長可視レーザー光は、第一波長を有する第一可視レーザー光及び第二波長を有する第二可視レーザー光を含む。前記多波長可視レーザー光を生成するための方法は、(a)ポンプ光を通過させ、第一方向に沿って入射させる第一光学素子を提供する工程と、(b)第二光学素子を提供し、利得及びラマン媒質、第一LBO結晶及び第二LBO結晶を、前記第一方向に沿って前記第一光学素子と前記第二光学素子との間に順次に配置する工程と、(c)前記利得及びラマン媒質によって前記ポンプ光を使用して、第三波長を有する第一赤外ベースレーザー光及び第四波長を有する第二赤外ベースレーザー光を生成する工程と、(d)前記第一LBO結晶によって第一可視レーザー光を生成する工程と、(e)前記第二LBO結晶によって第二可視レーザー光を生成する工程と、(f)前記第二光学素子を使用して、前記第一可視レーザー光及び前記第二可視レーザー光を前記第一方向に沿って放出させ、前記第一赤外ベースレーザー光及び前記第二赤外ベースレーザー光を前記第一方向と反対の第二方向に沿って反射させる工程と、(g)前記第一光学素子によって、前記第一可視レーザー光及び前記第二可視レーザー光並びに前記第一赤外ベースレーザー光及び前記第二赤外ベースレーザー光を反射させる工程と、(h)前記第二方向における前記利得及びラマン媒質の表面によって前記第一可視レーザー光及び前記第二可視レーザー光を反射させ、前記第一赤外ベースレーザー光及び前記第二赤外ベースレーザー光を容易に透過させる工程と、を含む。
【0014】
本発明により提案される高仕事率多波長可視光のラマンレーザーは、医療手術又は工業生産での使用に適しており、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
当業者にとって、以下の詳細な説明と添付の図面を参照した後には、本発明の目的及び利点がより容易に明らかとなる。
図1】可視波長レーザー光を生成するための従来のレーザー装置の概略図である。
図2A】本発明の実施形態に係る高仕事率多波長可視光のラマンレーザーの概略図である。
図2B-2E】本発明の別の実施形態に係る高仕事率多波長可視光のラマンレーザーの概略図である。
図3】本発明の別の実施形態に係る高仕事率多波長可視光のラマンレーザーの概略図である。
図4】本発明の別の実施形態に係る高仕事率多波長可視光のラマンレーザーの概略図である
図5】本発明の更に別の実施形態に係る高仕事率多波長可視光のラマンレーザーの概略図である。
図6】本発明の実施形態に係るレーザー装置が異なる作動温度による出力仕事率を示す概略図である。
図7】本発明の実施形態に係るレーザー装置の入力及び出力仕事率を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明を実施例に基づいて詳述するが、あくまでも例示であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載されており、さらに特許請求の範囲の記載と均等な意味及び範囲内での全ての変更を含んでいる。
【0017】
図2Aは、本発明の実施形態に係る高仕事率多波長可視光のラマンレーザーを示す概略図である。本発明は、ラマン効果により生成し、直線状キャビティ内を往復する別の波長の赤外ベースレーザー光を利用して、異なる波長の可視レーザー光を発生させる。図2A図2D及び図3図5の実施形態において、二つの異なる波長の赤外ベースレーザー光が、利得媒質の自己誘導ラマン現象によって共振キャビティ内で同時に生成される。図2Eの実施形態において、二つの異なる波長の赤外ベースレーザー光が、それぞれ利得媒質及びラマン媒質によって生成される。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、必要に応じて適切な素子配置を選択することができる。
【0018】
図2Aに示すように、本発明の高仕事率多波長可視光のラマンレーザー100は、第一方向及び第一方向と反対の第二方向を有する直線状キャビティ110を含む。直線状キャビティ110は、第一光学素子130と、利得及びラマン媒質120と、和周波結晶140と、第一周波数倍増結晶160と、第二光学素子150と、を前記第一方向に沿って配置する。
【0019】
一実施形態によれば、第一光学素子130は、レンズ133上に光学フィルム131を配置する組み合わせであってもよい。第一光学素子130は、前記第一方向において、ダイオードレーザー源1から前記第一方向に沿って入射するポンプ光Lpump(波長は808ナノメートル)に対して高透過率(反射率は0.2%未満)を有し、ポンプ光を通過させ、第一方向に沿って入射させるのに適する。利得及びラマン媒質120は、第一光学素子130からのポンプ光Lpumpを受光し、第一波長を有する第一赤外ベースレーザー光Lbase1及び第二波長を有する第二赤外ベースレーザー光Lbase2を生成する。例えば、ダイオードレーザー源は、波長が808ナノメートルの入射するポンプ光Lpumpを提供する。利得及びラマン媒質120は、ネオジムドープバナジン酸塩(例えば、ネオジムをドープしたバナジン酸イットリウムNd:YVO)を含む。ドープされた物質を介してポンプ光Lpumpエネルギーを吸収し、約1064ナノメートルの波長を有する第一赤外ベースレーザー光Lbase1に変換できることに加えて、直線状キャビティ110の第一光学素子130及び第二光学素子150は、第一赤外ベースレーザー光Lbase1に対して反射率が99.8%以上に達する場合、即ち、第一赤外ベースレーザー光Lbase1が直線状キャビティ110内に効果的にロックされて定在波を形成できる場合、利得及びラマン媒質120はまた、自己誘導ラマン散乱(Self-Stimulated Raman Scattering)によって約1176の波長を有する第二赤外ベースレーザー光Lbase2を生成することができる。直線状キャビティ110内に存在する二つのベースレーザー光は、異なる可視波長のレーザー光を形成するための工具として使用できる。別の観点から、第一赤外ベースレーザー光Lbase1及び第二赤外ベースレーザー光Lbase2は直線状キャビティ110内で往復して反射されること及び第一光学素子130と第二光学素子150との間の距離により、これら二つのベースレーザー光は、定在波を形成し、一定の仕事率を維持する。
【0020】
図2Aに示すように、和周波結晶140は、特別な切断角度の三ホウ酸リチウム(LBO)結晶から形成されてもよく、利得及びラマン媒質120からの第一赤外ベースレーザー光Lbase1及び第二赤外ベースレーザー光Lbase2を受光し、第三波長を有する第一可視レーザー光L1を生成する。前の段落で説明した実施形態を例にとると、第一赤外ベースレーザー光Lbase1及び第二赤外ベースレーザー光Lbase2の波長がそれぞれ1064及び1176nmである場合、和周波後に和周波結晶140によって生成される第一可視レーザー光L1は約559nmの波長を有する。
【0021】
第一周波数倍増結晶160は、和周波結晶140とは異なる特別な切断角度で形成された三ホウ酸リチウム(LBO)結晶であり、和周波結晶140を通過する第一赤外ベースレーザー光Lbase1を受光し、第四波長を有する第二可視レーザー光L2を生成する。上記の例をとると、第一赤外ベースレーザー光Lbase1の波長が約1064nmである場合、第一周波数倍増結晶160による周波数倍増後に生成される第二可視レーザー光L2は約532nmの波長を有する。本発明の一実施形態によれば、第二光学素子150はレンズであり、第一方向に面する表面上に光学フィルムを有し、第一赤外ベースレーザー光Lbase1及び第二赤外ベースレーザー光Lbase2の波長範囲(例えば、1080~1180nm)に対して最大99.8%の高反射率に達するだけでなく、同時に、第一可視レーザー光L1及び第二可視レーザー光L2の波長範囲(例えば、530~590nm)に対して0.3%未満の低反射率又は高透過率を有するため、第一可視レーザー光L1及び第二可視レーザー光L2は第一方向に沿って放出させる。532及び559ナノメートルの波長のレーザー光は、可視範囲の異なる色光であり、医療用途(例えば、網膜光凝固手術)で重要な価値がある。本発明の高仕事率レーザーキャビティ110は、二つ以上の可視レーザー光を同時に提供することができ、これは重要なブレークスルーである。
【0022】
図2Aに示す実施形態によれば、本発明は、第一可視レーザー光L1及び第二可視レーザー光L2が前記第二方向から利得及びラマン媒質120に入るのを防ぐために、前記第二方向に向く利得及びラマン媒質120の表面に光学フィルム121が配置され、利得及びラマン媒質120は、前記第二方向において、第一可視レーザー光L1及び第二可視レーザー光L2の波長をカバーする波帯(例えば、530~590nm)に対して高反射率(例えば、95%以上の反射率)を有させる。同時に、利得及びラマン媒質は、前記第二方向において、第一赤外ベースレーザー光Lbase1及び第二赤外ベースレーザー光Lbase2の波長をカバーする波帯(例えば、1060~1180nm)に対して高透過率(例えば、0.3%以下の反射率)を有させる。このように、第一赤外ベースレーザー光Lbase1は、利得及びラマン媒質120を介して自己誘導ラマン散乱を引き起こし続け、約1176の波長を有する第二赤外ベースレーザー光Lbase2を生成することができ、第一可視レーザー光L1及び第二可視レーザー光L2は反射され、前記第一方向に伝送する。本発明の配置によれば、利得及びラマン媒質120は、第一可視レーザー光L1及び第二可視レーザー光L2の影響を受けないため、キャビティ110の仕事率をより良好な状態に維持することができる。
【0023】
図2B~2Eは、図2Aと類似の本発明の異なる実施形態に係る高仕事率多波長可視光のラマンレーザーを示す概略図である。ラマンレーザー100は、第一方向及び第一方向と反対の第二方向を有する直線状キャビティ110を含む。直線状キャビティ110は、第一光学素子130と、利得及びラマン媒質120と、和周波結晶140と、第一周波数倍増結晶160と、第二光学素子150と、を前記第一方向に沿って配置する。違いは、第一光学素子130と利得及びラマン媒質120が、わずかに変更されるさまざまな素子配置で実現されることである。
【0024】
図2Bに示される実施形態において、第一光学素子130は、前記第一方向に面する利得及びラマン媒質120の表面上に光学フィルムの形態で配置されるため、図2Aのレンズ133を省略することができる。素子の数量を減らす結果として、直線状キャビティ110内の光路損失を更に減らすことができる。
【0025】
図2Cに示す実施形態において、第一光学素子130の配置は、図2Aに示す第一光学素子130の配置と同じである。前記第二方向から利得及びラマン媒質120に入る光線をフィルタリングするための光学フィルム121は、光学フィルムなしの利得及びラマン媒質125及び和周波結晶140の間に位置するレンズ123上に配置される。図の素子121、123、及び125の組み合わせは、利得及びラマン媒質120に成る。このような素子配置において、各光学フィルム131/121/151は単独のレンズに配置されるため、光学フィルムは必要に応じていつでも更換でき、直線状キャビティ110の素子配置に高い柔軟性を有させる。
【0026】
図2Dに示す実施形態において、第一光学素子130は、前記第一方向に面する利得及びラマン媒質120の表面上に光学フィルムの形態で配置される。
【0027】
図2Eに示す実施形態において、利得及びラマン媒質120の機能は、利得媒質129、ラマンマン媒質127、及び光学フィルム121の組み合わせによって実現され得る。利得媒質129は、ネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)結晶であってもよく、波長が808ナノメートルのポンプ光Lpumpを、波長が約1064ナノメートルの第一赤外ベースレーザー光Lbase1に変換できる。ラマンマン媒質127は、ネオジムドープバナジン酸塩(例えば、ネオジムをドープしたバナジン酸イットリウムNd:YVO4)を含み、波長が約1064ナノメートルの第一赤外ベースレーザー光Lbase1によって励起され、ラマン散乱を生成し、約1176の波長を有する第二赤外ベースレーザー光Lbase2を生成する。
【0028】
図3は、本発明の別の実施形態に係る高仕事率多波長可視光のラマンレーザーを示す概略図である。図3に示すように、本発明の高仕事率多波長可視光のラマンレーザー200は、第一方向及び第一方向と反対の第二方向を有する直線状キャビティ210を含む。直線状キャビティ210は、第一光学素子130と、利得及びラマン媒質120と、第二周波数倍増結晶180と、和周波結晶140と、第二光学素子150と、を前記第一方向に沿って配置する。
【0029】
第二周波数倍増結晶180は、和周波結晶140及び第一周波数倍増結晶160とは異なる特別な切断角度で形成された三ホウ酸リチウム(LBO)結晶であり、利得及びラマン媒質120からの第二赤外ベースレーザー光Lbase2を受光し、周波数倍増により第五波長を有する第三可視レーザー光L3を生成する。上記の例をとると、第二赤外ベースレーザー光Lbase2の波長が約1176nmである場合、第三可視レーザー光L3の波長は約588nmであり、第一可視レーザー光L1及び第二可視レーザー光L2の波長をカバーする波帯範囲(例えば、530~590nm)内にある。和周波結晶140の特性及び機能は、前の実施形態で説明した内容と同じであり、ここでは繰り返し説明しない。
【0030】
ラマン散乱によって生成される第二赤外ベースレーザー光Lbase2の強度は、第一赤外ベースレーザー光Lbase1の強度よりもはるかに低いため、生成される二つ以上の可視レーザー光に類似の仕事率を持たせて応用のニーズを満たすために、本発明の直線状キャビティは、二つの基本レーザー光の強度を考慮し、異なる三ホウ酸リチウム(LBO)結晶に対して前記第一方向に沿って適切な前後位置を選択する必要がある。図2A~2Eの実施形態において、和周波結晶140は、比較的弱い第二赤外ベースレーザー光Lbase2が和周波結晶140に直接入り、和周波後に第一可視レーザー光L1を生成できるように、第一周波数倍増結晶160の前に配置する必要がある。和周波結晶140を通過する第一赤外ベースレーザー光Lbase1は部分的に吸収されるが、残りのレーザー光強度は、第一周波数倍増結晶160が十分な仕事率を有する第二可視レーザー光L2を生成することができる。対照的に、図3の実施形態では、比較的弱い第二赤外ベースレーザー光Lbase2が第二周波数倍増結晶180に直接入射できるように、第二周波数倍増結晶180の後に和周波結晶140を配置する必要がある。
【0031】
図4は、本発明の別の実施形態に係る高仕事率多波長可視光のラマンレーザー300の概略図である。同じ概念に従って、当業者は、第四波長を有する第二可視レーザー光L2及び第五波長を有する第三可視レーザー光L3が必要な場合、直線状キャビティ310において、第二周波数倍増結晶180は、第一周波数倍増結晶160の前に配置してもよいことを理解できる。
【0032】
図5は、本発明の別の実施形態に係る高仕事率多波長可視光のラマンレーザー400の概略図である。図5に示すように、本発明の高仕事率多波長可視光のラマンレーザー400は、第一方向及び第一方向と反対の第二方向を有する直線状キャビティ410を含む。直線状キャビティ410は、第一光学素子130と、利得及びラマン媒質120と、第二周波数倍増結晶180と、和周波結晶140と、第一周波数倍増結晶160と、第二光学素子150と、を前記第一方向に沿って配置する。各素子の技術的特徴は、前の段落で説明したものと同じであり、ここでは繰り返し説明しない。三つの異なる波長の可視レーザー光L1/L2/L3を同時に得るために、三つの周波数変調結晶、即ち第二周波数倍増結晶180、和周波結晶140、及び第一周波数倍増結晶160を直線状キャビティ内に順次に配置してもよい。利得及びラマン媒質120によって生成される第一赤外ベースレーザー光Lbase1及び第二赤外ベースレーザー光Lbase2が第一光学素子130と第二光学素子150との間で連続的に往復する状態では、それぞれ周波数倍増又は和周波の機能によって第一/第二/第三可視レーザー光L1/L2/L3を生成する。
【0033】
上述したように、本発明の別の観点によれば、高仕事率レーザーを生成するための直線状キャビティを提案する。前記直線状キャビティは、第一方向に沿って、ポンプ光Lpumpを通過させ、第一方向に沿って入射させる第一光学素子130と、前記第一光学素子から130のポンプ光Lpumpを受光し、第一波長を有する第一赤外ベースレーザー光Lbase1及び第二波長を有する第二赤外ベースレーザー光Lbase2を生成する利得及びラマン媒質120と、第一赤外ベースレーザー光Lbase1及び前記第二赤外ベースレーザー光Lbase2を受光し、第三波長を有する第一可視レーザー光L1を生成する第一LBO結晶と、第一可視レーザー光L1を前記第一方向に沿って放出させる第二光学素子150と、を含む。前記第一方向と反対の第二方向に、第一光学素子130は、前記第一波長及び前記第二波長を含む第一波帯に対して第一高反射率を有し、前記第三波長を含む第二波帯に対して第二高反射率を有し、前記第二方向に、利得及びラマン媒質120は、前記第一波帯に対して第一高透過率を有し、前記第二波帯に対して第三高反射率を有し、前記第一方向に、第二光学素子150は、前記第二波帯に対して第二高透過率を有し、前記第一波帯に対して第四高反射率を有する。本発明の直線状キャビティは、高仕事率レーザー光を生成することができ、上記の第一可視レーザー光L1は一例であり、和周波結晶140として前述の実施形態のLBO結晶を用いるため、和周波後の第一可視レーザー光L1を得ることができる。ユーザーは、必要に応じて、異なるLBO結晶を周波数倍増結晶として個別に配置して、異なる波長の可視レーザー光を得り、または、複数のLBO結晶が利得及びラマン媒質120と第二光学素子150との間に直線状キャビティの前記第一方向に沿って同時に配置され、異なる波長の複数の可視レーザー光を同時に得る。
【0034】
図6は、図2Aの実施形態に係るレーザー装置が異なる作動温度による出力仕事率の概略図を示す。図6に示すデータから、室温が摂氏14~28度の範囲にある場合、レーザー装置によって生成される二つの異なる波長の可視レーザー光強度は、ワット(Watt)レベルの仕事率に維持され、産業のニーズを完全に満たすことができる。作動温度が摂氏約20度の場合、波長が532ナノメートルの可視レーザー光は最高出力仕事率に達し、波長が559ナノメートルの可視レーザー光は最低出力仕事率になる。作動温度が摂氏約16及び23度の場合、二つの異なる波長の可視レーザー光の出力仕事率は約4ワットである。特に、図6に示すテストデータは、31.6ワットのレーザー光がポンプ光Lpumpとして使用される。
【0035】
前記データによると、本発明により提案されるレーザー装置は、約30ワットのポンプ光の入力で同時に数ワットの出力仕事率の多波長可視レーザー光を提供できることを示す。異なるLBO結晶によって生成される可視レーザー仕事率は異なる温度で変化するため、本発明の一実施形態によれば、作動温度を制御することにより、第一可視レーザー光及び第二可視レーザー光の出力仕事率を調整することができる。例えば、二つの仕事率を近づける必要がある場合、作動温度は摂氏16又は23度前後に制御する。波長が532ナノメートルのレーザー光の仕事率を波長が559ナノメートルのレーザー光の仕事率よりも高くする必要がある場合、動作温度を摂氏16又は23度、好ましくは約摂氏20度に制御してもよい。
【0036】
図7は、室温が摂氏23度の時の図2Aの実施形態に係るレーザー装置の入力及び出力仕事率の概略図である。入射ポンプ光の出力が10ワットを超えると、合計出力仕事率がワットのレベルに達す。入射ポンプ光の仕事率が32ワットに近づくと、波長が532ナノメートルの可視レーザー光と波長が559ナノメートルの可視レーザー光の出力仕事率は両方とも4ワットに達し、合計出力仕事率は8ワットに達す。
【0037】
上記の実施形態により、本発明により提案される高仕事率多波長可視光のラマンレーザーは、同じ配置で直線状共振キャビティを使用し、必要に応じて異なる配置を用意し、異なる波長の高仕事率可視レーザー光を得ることができ、大きな技術革新であると言える。
【0038】
実施例
1、第一方向及び第一方向と反対の第二方向を有する直線状キャビティを備える多波長レーザー装置であって、
前記直線状キャビティは、
前記第一方向に沿って入射するポンプ光を受光する第一光学素子と、
前記第一光学素子からの前記ポンプ光を受光し、第一波長を有する第一赤外ベースレーザー光及び第二波長を有する第二赤外ベースレーザー光を生成する利得及びラマン媒質と、
前記利得及びラマン媒質からの前記第一赤外ベースレーザー光及び前記第二赤外ベースレーザー光を受光し、第三波長を有する第一可視レーザー光を生成する和周波結晶と、
前記和周波結晶を通過する前記第一赤外ベースレーザー光を受光し、第四波長を有する第二可視レーザー光を生成する第一周波数倍増結晶と、
前記第一可視レーザー光及び前記第二可視レーザー光を前記第一方向に沿って投射させる第二光学素子と、を前記第一方向に沿って配置し、
前記第一光学素子は、前記第二方向において、前記第一波長及び前記第二波長を含む第一波帯に対して第一高反射率を有し、前記第三波長及び前記第四波長を含む第二波帯に対して第二高反射率を有し、
前記利得及びラマン媒質は、前記第二方向において、前記第一波帯に対して第一高透過率を有し、前記第二波帯に対して第三高反射率を有し、
前記第二光学素子は、前記第一方向において、前記第二波帯に対して第二高透過率を有し、前記第一波帯に対して第四高反射率を有することを特徴とする多波長レーザー装置。
2、実施例1に記載の多波長レーザー装置において、前記利得及びラマン媒質は、ネオジムドープバナジン酸塩を含み、前記第二赤外ベースレーザー光は、自己誘導ラマン散乱(Self-Stimulated Raman Scattering)によって生成されることを特徴とする。
3、実施例1~2に記載の多波長レーザー装置において、前記和周波結晶及び前記第一周波数倍増結晶は、異なる切断角度の三ホウ酸リチウム(LBO)結晶から形成されることを特徴とする。
4、実施例1~3に記載の多波長レーザー装置において、前記直線状キャビティは、前記利得及びラマン媒質と前記和周波結晶との間に配置される第二周波数倍増結晶を更に含み、
前記第二周波数倍増結晶は、前記第二赤外ベースレーザー光を受光し、第五波長を有する第三可視レーザー光を生成し、前記第二波帯は、第五波長を含むことを特徴とする。
5、高仕事率可視レーザー光を生成するための直線状キャビティであって、
前記直線状キャビティは、第一方向に沿って、前記第一方向に沿って入射するポンプ光を受光する第一光学素子と、
前記第一光学素子からの前記ポンプ光を受光し、第一波長を有する第一赤外ベースレーザー光及び第二波長を有する第二赤外ベースレーザー光を生成する利得及びラマン媒質と、
前記利得及びラマン媒質からの前記第一赤外ベースレーザー光及び前記第二赤外ベースレーザー光を受光し、第三波長を有する第一可視レーザー光を生成する第一三ホウ酸リチウム(LBO)結晶と、
前記第一可視レーザー光を前記第一方向に沿って放出させる第二光学素子と、を含み、
前記第一方向と反対の第二方向に、前記第一光学素子は、前記第一波長及び前記第二波長を含む第一波帯に対して第一高反射率を有し、前記第三波長を含む第二波帯に対して第二高反射率を有し、
前記第二方向に、前記利得及びラマン媒質は、前記第一波帯に対して第一高透過率を有し、前記第二波帯に対して第三高反射率を有し、
前記第一方向に、前記第二光学素子は、前記第二波帯に対して第二高透過率を有し、前記第一波帯に対して第四高反射率を有することを特徴とする高仕事率可視レーザー光を生成するための直線状キャビティ。
6、実施例5に記載の高仕事率可視レーザー光を生成するための直線状キャビティにおいて、前記利得及びラマン媒質は、ネオジムドープバナジン酸塩を含み、前記第二赤外ベースレーザー光は、自己誘導ラマン散乱によって生成され、
前記直線状キャビティは、前記第一LBO結晶と前記第二光学素子との間に配置される第二LBO結晶を更に含み、
前記第二LBO結晶は、前記第一LBO結晶を通過する前記第一赤外ベースレーザー光及び前記第二赤外ベースレーザー光を受光し、第四波長を有する第二可視レーザー光を生成し、前記第二波帯は、第四波長を含むことを特徴とする。
7、実施例5~6に記載の高仕事率可視レーザー光を生成するための直線状キャビティにおいて、前記第一波長は、前記第三波長の二倍である場合、前記第一LBO結晶は、和周波結晶であり、前記第二LBO結晶は、周波数倍増結晶であり、
前記第二波長は、前記第三波長の二倍である場合、前記第一LBO結晶は、周波数倍増結晶であり、前記第二LBO結晶は、和周波結晶であることを特徴とする。
8、実施例5~7に記載の高仕事率可視レーザー光を生成するための直線状キャビティにおいて、前記直線状キャビティは、前記利得及びラマン媒質と前記第一LBO結晶との間に配置される第三LBO結晶を更に含み、
前記第三LBO結晶は、前記第一LBO結晶及び前記第二LBO結晶を通過する前記第一赤外ベースレーザー光及び前記第二赤外ベースレーザー光を受光し、第五波長を有する第三可視レーザー光を生成し、前記第二波帯は、前記第五波長を含むことを特徴とする。
9、多波長可視レーザー光を生成するための方法であって、
前記多波長可視レーザー光は、第一波長を有する第一可視レーザー光及び第二波長を有する第二可視レーザー光を含み、
前記多波長可視レーザー光を生成するための方法は、
ポンプ光を通過させ、第一方向に沿って入射させる第一光学素子を提供する工程と、
第二光学素子を提供し、利得及びラマン媒質、第一三ホウ酸リチウム(LBO)結晶及び第二LBO結晶を、前記第一方向に沿って前記第一光学素子と前記第二光学素子との間に順次に配置する工程と、
前記利得及びラマン媒質によって前記ポンプ光を使用して、第三波長を有する第一赤外ベースレーザー光及び第四波長を有する第二赤外ベースレーザー光を生成する工程と、
前記第一LBO結晶によって第一可視レーザー光を生成する工程と、
前記第二LBO結晶によって第二可視レーザー光を生成する工程と、
前記第二光学素子を使用して、前記第一可視レーザー光及び前記第二可視レーザー光を前記第一方向に沿って放出させ、前記第一赤外ベースレーザー光及び前記第二赤外ベースレーザー光を前記第一方向と反対の第二方向に沿って反射させる工程と、
前記第一光学素子によって、前記第一可視レーザー光及び前記第二可視レーザー光並びに前記第一赤外ベースレーザー光及び前記第二赤外ベースレーザー光を反射させる工程と、
前記第二方向における前記利得及びラマン媒質の表面によって前記第一可視レーザー光及び前記第二可視レーザー光を反射させ、前記第一赤外ベースレーザー光及び前記第二赤外ベースレーザー光を容易に透過させる工程と、を含む多波長可視レーザー光を生成するための方法。
10、実施例9に記載の多波長可視レーザー光を生成するための方法において、前記第二赤外ベースレーザー光は、自己誘導ラマン散乱によって生成され、
前記第一LBO結晶及び前記第二LBO結晶の少なくとも一つは周波数倍増結晶であり、
前記多波長可視レーザー光を生成するための方法は、前記第一可視レーザー光及び前記第二可視レーザー光の仕事率を作動温度を制御することによって調整する工程と、を更に含み、
前記作動温度は、14~28℃の間であることを特徴とする。
【符号の説明】
【0039】
1 ダイオードレーザー源
3 第一レンズ
5 第二レンズ
7 利得媒質
9 周波数倍増結晶
10 レーザー装置
100/200/300/400 ラマンレーザー
110/210/310/410 キャビティ
120 利得及びラマン媒質
121/131/151 光学フィルム
123/133 レンズ
125 光学フィルムなしの利得及びラマン媒質
127 ラマンマン媒質
129 利得媒質
130 第一光学素子
140 和周波結晶
150 第二光学素子
160 第一周波数倍増結晶
180 第二周波数倍増結晶
L1/L'1/L2/L3 可視レーザー光
base/L'base/L''base/Lbase1/Lbase2 赤外ベースレーザー光
pump ポンプ光
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6
図7