(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】人工心臓弁デバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20220701BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2020016227
(22)【出願日】2020-02-03
(62)【分割の表示】P 2018091250の分割
【原出願日】2012-10-19
【審査請求日】2020-02-03
(32)【優先日】2012-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2011-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513157121
【氏名又は名称】トゥエルヴ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジョン モリス
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン ギフォード ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エル. ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジーン-ピエール ドゥーリ
(72)【発明者】
【氏名】マット マクリーン
(72)【発明者】
【氏名】ダリン ギッティングス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ルナ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ディーム
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス サットン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ジェイ. グレンジャー
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-539985(JP,A)
【文献】特表2010-518947(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0198315(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0312333(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0204785(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工心臓弁デバイスであって、
天然心臓弁の天然弁尖間の場所に位置付けられるように構成されている固着部材であって、前記固着部材は、展開構成まで拡張されるように構成されている上流部分を含み、前記展開構成では、前記固着部材の前記上流部分は、前記天然心臓弁の天然弁輪の対応する寸法よりも大きい寸法を有し、かつ、前記天然弁尖の内向き表面上の前記天然弁輪上または前記天然弁輪付近の組織に係合し、前記固着部材は、前記上流部分に結合されている下流部分をさらに含む、固着部材と、
上流端と下流端
とを有する弁支持体であって、
前記下流端は、前記固着部材の前記下流部分に結合されており、前記弁支持体は、人工弁を支持するように構成されており、
前記弁支持体は、前記弁支持体の前記上流端と前記弁支持体の前記下流端との間の縦軸に沿って延在し、前記弁支持体が拡張構成にあり、かつ、前記固着部材が前記展開構成にあるとき、
前記固着部材の前記上流部分は、前記弁支持体の前記上流端が前記固着部材の前記上流部分から離間されるように、前記弁支持体の前記上流端を包囲している、弁支持体と
を備える、人工心臓弁デバイス。
【請求項2】
前記展開構成が維持される範囲で前記固着部材が内向きに変形された場合に、前記弁支持体の前記上流端が実質的に変形されないままであるように、前記弁支持体の位置付けが構成されている、請求項1に記載の人工心臓弁デバイス。
【請求項3】
前記固着部材の前記上流部分は、前記
天然弁輪の内向き表面または前記
天然弁輪の下流の前記天然弁尖の内向き表面から選択される組織に係合するように構成されている、請求項1または請求項2に記載の人工心臓弁デバイス。
【請求項4】
前記上流部分は、前記縦軸から半径方向の外向きに広がる、請求項1~3のいずれか一項に記載の人工心臓弁デバイス。
【請求項5】
前記広がりの漸減角度は、前記上流部分と前記下流部分との間で連続的に変化する、請求項4に記載の人工心臓弁デバイス。
【請求項6】
前記広がりの漸減角度は、前記上流部分の円周の周囲で変化する、請求項4に記載の人工心臓弁デバイス。
【請求項7】
前記上流部分は、広がり部分と垂直部分とを含み、前記垂直部分は、前記天然弁尖の前記内向き表面上の前記天然弁輪上または前記天然弁輪付近の前記組織に係合するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の人工心臓弁デバイス。
【請求項8】
前記上流部分の半径方向内向きの表面は、間隙によって前記弁支持体の外側表面から半径方向に分離されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の人工心臓弁デバイス。
【請求項9】
前記固着部材の表面を覆うスカートをさらに備え、前記スカートは、前記固着部材と前記弁支持体との間の血流を阻止するように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の人工心臓弁デバイス。
【請求項10】
前記固着部材に結合された密閉部材をさらに備え、前記密閉部材は、前記固着部材と、前記天然弁尖の前記内向き表面上の前記天然弁輪上または前記天然弁輪付近の前記組織との間の血流を阻止するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の人工心臓弁デバイス。
【請求項11】
前記固着部材の前記上流部分は、前記弁支持体の前記上流端から機械的に隔離されており、前記固着部材の前記上流部分が非円形の形状に変形されるときに、前記弁支持体の断面形状は、前記人工弁が有能なままであるように安定したままである、請求項1~10のいずれか一項に記載の人工心臓弁デバイス。
【請求項12】
前記固着部材の前記上流部分は、前記弁支持体の前記上流端から半径方向に離間されており、前記固着部材の前記上流部分は、前記弁支持体の前記上流端を実質的に変形させることなく、内向きに変形することが可能である、請求項1~10のいずれか一項に記載の人工心臓弁デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮特許出願第61/605,699号(出願日2012年3月1日)、タイトル ”SYSTEM FOR MITRAL VALVE REPLACEMENT”、米国仮特許出願第61/549,044号(出願日2011年10月19日)、タイトル”CONFORMABLE SYSTEM FOR MITRAL VALVE REPLACEMENT”に対する優先権を主張するものであり、これらの仮特許出願の両方は、参照により本明細書中に援用される。本願は、(1)国際PCT特許出願第PCT/US2012/043636号、タイトル”PROSTHETIC HEART VALVE DEVICES AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS”(出願日2012年6月21日)、(2)米国仮特許出願第61/549,037号、タイトル”SYSTEM FOR MITRAL VALVE REPLACEMENT”(出願日2011年10月19日)、(3)国際PCT特許出願第___________号(代理人管理番号82829-8005WO00)、タイトル”DEVICES, SYSTEMS AND METHODS FOR HEART VALVE REPLACEMENT”(出願日2012年10月19日)の主題の全内容を参照により援用するものである。
【0002】
本技術は、概して、人工心臓弁デバイスに関する。具体的には、いくつかの実施形態は、天然僧帽弁の経皮的修復および/または置換のための人工僧帽弁およびデバイス、ならびに関連システムおよび方法を対象とする
【背景技術】
【0003】
僧帽弁の適切な機能に影響を及ぼす症状は、例えば、僧帽弁逆流、僧帽弁逸脱、および僧帽弁狭窄を含む。僧帽弁逆流は、僧帽弁尖がピーク収縮圧力で並列に接合できず、左心室から左心房の中への血液の異常漏出をもたらす、心臓の障害である。僧帽弁尖の適正な閉鎖に影響を及ぼし得る、いくつかの構造因子がある。例えば、心臓疾患に罹患している多くの患者は、拡大した僧帽弁輪をもたらす、心筋の拡張を体験する。僧帽弁輪の拡大は、弁尖が収縮期中に接合することを困難にする。乳頭筋を僧帽弁尖の下側に接続する腱である、腱索の伸張または裂傷もまた、僧帽弁輪の適正な閉鎖に影響を及ぼし得る。断裂した腱索は、例えば、弁尖への不十分な張力により、弁尖を左心房の中へ逸脱させ得る。異常逆流もまた、例えば、虚血により、乳頭筋の機能が損なわれたときに起こり得る。左心室が収縮期中に収縮すると、罹患乳頭筋が、適正な閉鎖を達成するように十分収縮しない。
【0004】
僧帽弁逸脱、または僧帽弁尖が左心房の中まで異常に突出するとき、僧帽弁の不規則的な挙動を引き起こし、また、僧帽弁逆流にもつながり得る。僧帽弁の正常な機能はまた、拡張期の左心室の充填の障害を引き起こす、僧帽弁狭窄または僧帽弁口の狭小による影響も受け得る。
【0005】
典型的には、僧帽弁逆流の治療は、左心房の中へ戻って流れる血液の量を低減させるように、利尿剤および/または血管拡張剤の適用を伴ってきた。他の手技は、弁の修復または置換のいずれか一方のための外科的アプローチ(開胸および血管内)を伴ってきた。例えば、典型的な修復アプローチは、拡張した弁輪の部分を締めること、または切除することを伴ってきた。
【0006】
弁輪を締めることは、概して、弁輪または周辺組織に固定される、弁輪または弁輪周囲リングの埋込によって達成されてきた。他の修復手技はまた、相互と部分的に並列に弁尖を縫合すること、または締めることも伴ってきた。
【0007】
代替として、より侵襲的な手技は、機械弁または生物組織が僧帽弁の代わりに心臓に埋め込まれる、弁全体自体の置換を伴ってきた。これらの侵襲手技は、従来、大規模な開胸術を通して行われ、したがって、非常に苦痛を伴い、有意な罹患率を有し、長い回復期間を必要とする。
【0008】
しかしながら、多くの修復および置換手技では、デバイスの耐久性、あるいは弁形成リングまたは置換弁の不適切なサイズ決定が、患者にとって付加的な問題をもたらし得る。また、修復手技の多くは、不良または不正確に配置された縫合糸が手技の成功に影響を及ぼし得る、心臓外科医の技能に大いに依存している。
【0009】
近年、大動脈弁置換への低侵襲アプローチが開発されている。事前に組み立てられた経皮的人工弁の実施例は、例えば、Medtronic/Corevalve Inc.(Irvine, CA, USA)からのCoreValve Revalving(登録商標) System、およびEdwards Lifesciences(Irvine, CA, USA)からのEdwards-Sapien(登録商標) Valveを含む。両方の弁システムは、三葉生体弁を収納する拡張可能なフレームを含む。フレームは、実質的に対称で円形の剛性大動脈弁輪に適合するように拡張させられる。これは、送達構成の拡張可能なフレームに、三葉人工弁(人工弁尖の適正な接合のためにそのような対称性を必要とする)を支持するのに好適である、大動脈弁輪における対称な円形の形状を与える。したがって、大動脈弁生体構造が実質的に均一、対称、かつ極めて剛性であるため、大動脈弁生体構造は、置換弁を収納する拡張可能なフレームに適する。
【0010】
僧帽弁置換は、大動脈弁置換と比較して、独特の解剖学的障害物を提起し、経皮的僧帽弁置換を大動脈弁置換よりも有意に困難にする。第1に、比較的対称かつ均一な大動脈弁と異なり、僧帽弁輪は、しばしば対称性が欠けている非平面的な鞍のような幾何学形状を伴う、非円形のD字形または腎臓のような形状を有する。そのような予測不可能性は、僧帽弁輪に一致する能力を有する人工僧帽弁を設計することを困難にする。補綴と天然弁尖および/または弁輪との間のぴったりした嵌合の欠如は、その間に間隙を残し、これらの間隙を通る血液の逆流を生じ得る。円筒形人工弁の配置は、例えば、天然弁の交連領域中に間隙を残し、潜在的に、これらの領域中で弁周囲漏出をもたらし得る。
【0011】
経皮的大動脈弁置換のために開発された現在のデバイスは、僧帽弁への適合に不適切である。第1に、デバイスの多くは、弁輪および/または弁尖ならびに人工弁を支持するデバイス構造に接触する、デバイス構造間の直接構造接続を必要とする。いくつかのデバイスでは、人工弁を支持する同一のステント柱もまた、弁輪または他の周辺組織に接触し、心臓が各心周期中に収縮するにつれて、組織および血液によって及ぼされる歪曲力の多くをデバイスに直接伝達する。大抵の心臓置換デバイスはさらに、生涯の何年にもわたって3つの弁尖の適正な開放および閉鎖のために人工弁の周囲で実質的に対称の円筒形支持体を必要とする、三葉弁を利用する。これらのデバイスが弁輪および他の周辺組織からの運動および力を受けている場合、補綴は、圧縮および/または歪曲され、人工弁尖を機能不全にさせ得る。また、典型的な罹患僧帽弁輪は、任意の利用可能な人工弁よりもはるかに大きい。
【0012】
その不規則で予測不可能な形状に加えて、僧帽弁輪は、周辺組織からの有意量の半径方向支持が欠けている。大動脈弁は、例えば、天然構造支持を提供することによって人工弁に固着するのに役立つ、線維弾性組織によって完全に包囲される。一方で、僧帽弁は、外壁上の筋組織のみによって結合される。僧帽弁の内壁は、大動脈流出路の下部分から僧帽弁輪を分離する、薄い血管壁によって結合される。結果として、ステント補綴を拡張することによって付与される力等の僧帽弁輪への有意な半径方向力は、潜在的に致命的な結果とともに、大動脈路の下部分の虚脱につながり得る。
【0013】
左心室の腱索もまた、人工僧帽弁を展開することにおいて障害を提示し得る。これは、大動脈弁生体構造が腱索を含まないため、僧帽弁に特有である。左心室内の迷路のような腱索は、僧帽弁置換および修復において展開カテーテルをナビゲートして位置付けることをより困難にする。天然僧帽弁の心室側の人工弁または固着デバイスの展開および位置付けはさらに、腱索の存在によって複雑になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
現在の手技と関連付けられる困難を考慮すると、機能不全の心臓弁を治療するための単純で効果的な低侵襲デバイスおよび方法の必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本技術のいくつかの実施形態の具体的詳細が、
図1-71を参照して以下で説明される。実施形態の多くは、人工弁デバイスを使用した天然僧帽弁の経皮的置換のためのデバイス、システム、および方法に関して以下で説明されるが、本明細書で説明されるものに加えて、他の用途および他の実施形態も本技術の範囲内である。加えて、本技術のいくつかの他の実施形態は、本明細書で説明されるものとは異なる構成、構成要素、または手技を有することができる。したがって、当業者であれば、本技術が、付加的な要素を伴う他の実施形態を有することができ、または本技術が、
図1-71を参照して以下で示され、説明される特徴のうちのいくつかを伴わない他の実施形態を有することができることを理解するであろう。
【0016】
本説明内の「遠位」および「近位」という用語に関して、特に指定されない限り、該用語は、オペレータおよび/または血管系または心臓内の場所を参照して、人工弁デバイスおよび/または関連送達デバイスの部分の相対位置を指すことができる。例えば、本明細書で説明される種々の人工弁デバイスを送達して位置付けるために好適な送達カテーテルを指す際に、「近位」は、デバイスのオペレータまたは血管系の中への切開により近い位置を指すことができ、「遠位」は、デバイスのオペレータからより遠位にあるか、または血管系に沿った切開からさらに遠い位置(例えば、カテーテルの端部)を指すことができる。人工心臓弁デバイスに関して、「近位」および「遠位」という用語は、血流の方向に対するデバイスの部分の場所を指すことができる。例えば、近位は、上流位置または血液流入の位置を指すことができ、遠位は、下流位置または血液流出の位置を指すことができる。参照しやすいように、本開示の全体を通して、同様または類似の構成要素または特徴を識別するために、同一の参照番号および/または文字が使用されるが、同一参照番号の使用は、部品が同一であると解釈されるべきであることを暗示しない。実際に、本明細書で説明される多くの実施例では、同一の番号が付けられた部品は、構造および/または機能が明確に異なる。本明細書で提供される見出しは、便宜のためにすぎない
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
心臓の天然弁の修復または置換のためのデバイスであって、前記天然弁は、弁輪および前記弁輪に連結された弁尖を有し、
第1の部分および第2の部分を含む、固着部材であって、前記第1の部分は、前記弁輪の上または下の組織に係合するように、および非円形の形状に変形して前記組織に一致するように構成される、固着部材と、
前記固着部材の前記第2の部分に連結され、人工弁を支持するように構成される弁支持体であって、前記弁支持体は、断面形状を有する、弁支持体と
を備え、前記固着部材の前記第1の部分は、前記固着部材が前記非円形の形状に変形させられたときに、前記弁支持体の前記断面形状が、人工弁が有能なままであるように十分安定したままであるように、前記弁支持体から機械的に隔離される、
デバイス。
(項目2)
天然僧帽弁に埋め込むための人工心臓弁デバイスであって、前記天然僧帽弁は、弁輪および弁尖を有し、
前記弁尖の間の場所に位置付け可能な固着部材であって、前記固着部材は、第1の部分および第2の部分を有し、前記固着部材の前記第1の部分は、前記固着部材の上流移動が、前記弁輪上または付近の組織との前記固着部材の前記第1の部分の係合によって遮断されるように、前記弁輪の対応する寸法よりも大きい寸法まで拡張可能である、固着部材と、
前記固着部材の前記第2の部分に連結される弁支持体であって、前記弁支持体は、少なくとも前記固着部材の前記第1の部分から半径方向内向きに離間され、前記弁支持体は、人工弁を支持するように構成される、弁支持体と
を備える、デバイス。
(項目3)
患者の天然心臓弁の修復または置換のための人工心臓弁デバイスであって、前記心臓弁は、弁輪および弁尖を有し、
第1の断面寸法を有する第1の部分、および前記第1の断面寸法よりも小さい第2の断面寸法を有する第2の部分を有する、固着部材であって、前記第1の部分は、心臓組織に係合して、前記弁輪に対して固定縦方向位置で前記固着部材を保持するように構成される、固着部材と、
前記固着部材の前記第2の部分に連結され、人工弁を支持するように構成される弁支持体であって、前記弁支持体は、前記弁支持体を実質的に変形させることなく、前記固着部材の前記第1の部分が内向きに変形することができるように、前記固着部材の前記第1の部分から半径方向に分離される、弁支持体と
を備える、デバイス。
(項目4)
弁輪および複数の弁尖を有する天然弁の修復または置換のためのデバイスであって、
前記弁尖の間の配置のために構成される拡張可能な弁支持体であって、第1の領域、第2の領域、および弁が連結され得る内部を有する、支持体と、
第1の部分および第2の部分を有する、固着部材であって、前記固着部材の前記第2の部分は、前記弁支持体の前記第2の領域に連結され、前記固着部材の前記第1の部分は、前記拡張可能な弁支持体の前記第2の領域から外向きに離れて延在し、前記固着部材の前記第1の部分は、前記弁輪上または付近の組織に係合するように構成される第1の周囲を有する、固着部材と
を備え、前記固着部材は、前記第1の周囲で、またはその付近で半径方向に及ぼされる力が、前記弁支持体の形状を実質的に変化させないように、前記弁支持体から機械的に隔離される、
デバイス。
(項目5)
前記固着部材の前記第1の部分は、上流部分を備え、前記固着部材の前記第2の部分は、下流部分を備える、項目1~4に記載のデバイス。
(項目6)
前記固着部材の前記第1の部分は、下流部分を備え、前記固着部材の前記第2の部分は、上流部分を備える、項目1~4に記載のデバイス。
(項目7)
前記弁支持体は、前記固着部材が内向きに変形させられた場合に、前記弁支持体の上流領域が実質的に変形させられていないままであるように、前記固着部材の前記第1の部分から半径方向内向きに離間した上流領域を有する、項目1~6に記載のデバイス。
(項目8)
前記固着部材の前記第1の部分は、前記弁輪の内向き表面および前記弁輪の下の前記弁尖の内向き表面から選択される、弁組織に係合するように構成される、項目1~6に記載のデバイス。
(項目9)
前記固着部材の前記第1の部分は、前記弁が開いているときに血液が下流方向に前記弁支持体を通って流れるとき、および前記弁が閉じられているときに血液が上流方向に前記弁を押勢するときの前記デバイスの移動に抵抗するよう、前記弁組織に対して外向きの力を印加するように構成される、項目8に記載のデバイス。
(項目10)
前記固着部材は、自己拡張式である、項目1~6に記載のデバイス。
(項目11)
前記固着部材は、ニチノールを含む、項目10に記載のデバイス。
(項目12)
前記固着部材は、約0.010インチから約0.130インチの壁厚を有する、ニチノール管で形成される、項目1~6に記載のデバイス。
(項目13)
前記固着部材は、前記心臓の左心房に向かった上流方向への前記デバイスの移動に抵抗するように軸方向剛性を有する、複数の縦方向リブを含む、項目1~6に記載のデバイス。
(項目14)
前記固着部材は、複数の縦方向リブを含む、項目1~6に記載のデバイス。
(項目15)
前記複数のリブは、菱形構成で配列される、項目14に記載のデバイス。
(項目16)
前記固着部材は、前記固着部材の円周の周囲に菱形構成で配列される、複数の可撓性フィラメントを含み、前記菱形構成は、前記円周の周囲に1行以上の菱形および約12から約36列の菱形を含む、項目1~6に記載のデバイス。
(項目17)
前記弁支持体は、上流端および下流端を含み、前記上流端は、前記固着部材の前記上流部分を越えて上流方向の距離に延在する、項目1~6に記載のデバイス。
(項目18)
前記弁支持体は、上流端および下流端を含み、前記固着部材の前記第1の部分は、前記弁支持体の前記上流端を越えて上流方向の距離に延在する、上流部分を画定する、項目1~6に記載のデバイス。
(項目19)
前記固着部材は、前記第1の部分の近位端に周縁を含み、前記周縁は、変形していない構成を有し、前記変形していない構成は、略卵形の形状またはD字形を有する、項目1~6に記載のデバイス。
(項目20)
前記周縁は、複数の頂点と、複数の谷とを含む、項目19に記載のデバイス。
(項目21)
前記固着部材は、前記第1の部分の近位端に周縁を含み、前記周縁は、略卵形の形状またはD字形を有し、
前記固着部材は、前記第2の部分の遠位端を含み、前記遠位端と前記周縁との間の距離は、前記固着部材の円周の周囲で変化する、
項目1~6に記載のデバイス。
(項目22)
前記距離は、約6mmから約20mmまで様々である、項目21に記載のデバイス。
(項目23)
前記距離は、約9mmから約12mmまで様々である、項目21に記載のデバイス。
(項目24)
前記距離は、
前記固着部材の第1および第2の領域において約7mmから約8mmである、前記遠位端と前記周縁との間の第1の距離であって、前記第1および第2の領域は、それぞれ、前記天然僧帽弁の第1および第2の交連と整合するように構成される、第1の距離と、
前記固着部材の第3の領域において約9mmから約11mmである、前記遠位端と前記周縁との間の第2の距離であって、前記第3の領域は、前記天然僧帽弁の前尖と整合するように構成される、第2の距離と、
前記第3の領域と反対側の前記固着部材の第4の領域において約12mmから約13mmである、前記遠位端と前記周縁との間の第3の距離であって、前記第4の領域は、前記天然僧帽弁の後尖と整合するように構成される、第3の距離と
を含む、複数の距離を含む、
項目21に記載のデバイス。
(項目25)
前記固着部材は、前記第1の部分の近位端に周縁を含み、前記周縁は、略卵形の形状またはD字形を有し、
前記弁輪の上または下の前記組織は、内径および前記内径と略垂直な外径を有する、非円形の形状を有し、
前記固着部材の前記上流部分は、周囲外径および前記周囲外径と略垂直な周囲内径を有する、外周を有し、
前記周囲外径は、前記外径よりも大きく、
前記周囲内径は、前記内径よりも大きい、
項目1~6に記載のデバイス。
(項目26)
前記周囲外径は、前記外径よりも約2mmから約22mm大きい、項目25に記載のデバイス。
(項目27)
前記周囲外径は、前記外径よりも約8mmから約15mm大きい、項目25に記載のデバイス。
(項目28)
前記周囲外径は、約45mmから約60mmである、項目25に記載のデバイス。
(項目29)
前記周囲内径は、約40mmから約55mmである、項目25に記載のデバイス。
(項目30)
前記弁支持体は、略円形の円筒である、項目1~6に記載のデバイス。
(項目31)
前記弁支持体は、約25mmから約30mmの直径を有する、項目30に記載のデバイス。
(項目32)
前記弁支持体は、約27mmの直径を有する、円筒形の弁支持体である、項目1~6に記載のデバイス。
(項目33)
前記弁支持体は、約14mmから約17mmの縦方向高さを有する、円筒形の弁支持体である、項目1~6に記載のデバイス。
(項目34)
前記固着部材の前記第1の部分は、それぞれ、前記弁輪の天然頂点および谷部分に対応する頂点部分および谷部分を有する、近位端周囲を有し、
前記対応する頂点部分は、前記天然谷部分と整合するように構成され、前記対応する谷部分は、前記天然頂点部分と整合するように構成される、
項目1~6に記載のデバイス。
(項目35)
前記弁支持体は、縦軸の周囲に延在し、前記固着部材の前記第1の部分は、漸減角度によって前記縦軸から外向きに広がる、項目1~6に記載のデバイス。
(項目36)
前記漸減角度は、前記第1の部分と前記第2の部分との間で連続的に変化する、項目35に記載のデバイス。
(項目37)
前記漸減角度は、前記第1の部分の円周の周囲で変化する、項目35に記載のデバイス。
(項目38)
前記漸減角度は、約30°から約75°の間である、項目35に記載のデバイス。
(項目39)
前記漸減角度は、約40°から約60°の間である、項目35に記載のデバイス。
(項目40)
前記弁支持体は、前記第1の縦軸に沿って配向され、前記固着部材は、第2の縦軸に沿って配向され、前記第1および第2の縦軸は、非共線的である、項目1~6に記載のデバイス。
(項目41)
前記第2の縦軸は、前記第1の縦軸からオフセットされる、項目40に記載のデバイス。
(項目42)
前記第2の縦軸は、前記第1の縦軸と非平行である、項目40に記載のデバイス。
(項目43)
前記固着部材の前記第1の部分は、口広部分と、垂直部分とを含み、前記垂直部分は、半径方向に拡張して前記弁輪に係合するように構成される、項目1~6に記載のデバイス。
(項目44)
前記口広部分は、弁輪下組織に係合するように構成される組織係合要素を含む、項目43に記載のデバイス。
(項目45)
前記第1の部分は、間隙によって前記弁支持体から半径方向に分離される、項目1~6に記載のデバイス。
(項目46)
前記固着部材は、前記第1の部分の近位端に周縁を含み、前記周縁は、卵形の形状を有し、
前記弁支持体は、前記固着部材によって少なくとも部分的に包囲される円筒形の弁支持体であり、
前記間隙は、前記円筒形の弁支持体の円周の周囲で変化する、
項目45に記載のデバイス。
(項目47)
前記間隙は、前記デバイスの後尖に面した側よりも前記デバイスの前尖に面した側で大きい、項目46に記載のデバイス。
(項目48)
前記デバイスは、前記心臓の左心室流出路(LVOT)の閉塞を回避するよう構成される、項目1~6に記載のデバイス。
(項目49)
前記固着部材の表面を覆うスカートをさらに備え、前記スカートは、前記固着部材と前記弁支持体との間の血流を阻止するように構成される、項目1~6に記載のデバイス。
(項目50)
前記スカートはさらに、前記固着部材と前記組織との間の血流を阻止するように構成される、項目49に記載のデバイス。
(項目51)
前記スカートは、Dacron(登録商標)、ePTFE、ウシ心膜、ポリマー、熱可塑性ポリマー、ポリエステル、Gore-tex(登録商標)、合成繊維、天然繊維、またはポリエチレンテレフタレート(PET)のうちの1つ以上を含む、項目49に記載のデバイス。
(項目52)
前記弁支持体は、複数のリベットおよび複数の縫合糸のうちの1つ以上で前記固着部材に連結される、項目1~6に記載のデバイス。
(項目53)
前記弁支持体は、約42mmHgから約47mmHgの半径方向強度を有する、項目1~6に記載のデバイス。
(項目54)
逆行性血流を阻止するように前記弁支持体に連結される弁をさらに備える、項目1~6に記載のデバイス。
(項目55)
前記弁は、三葉弁である、項目54に記載のデバイス。
(項目56)
前記弁は、ウシ心膜を含む、項目54に記載のデバイス。
(項目57)
前記弁は、複数の交連付着構造を有し、前記弁は、前記交連付着構造において前記弁支持体に連結される、項目54に記載のデバイス。
(項目58)
前記交連付着構造は、前記弁支持体に永久的に固定される、項目57に記載のデバイス。
(項目59)
前記交連付着構造は、前記弁支持体の内壁と一体である、項目57に記載のデバイス。(項目60)
前記弁支持体は、第1の高さを有し、前記交連付着構造は、前記第1の高さよりも小さい第2の高さを有する、項目57に記載のデバイス。
(項目61)
前記弁支持体はさらに、前記デバイスが天然弁の場所に埋め込まれた後に置換弁を受容するように構成される、項目1~6に記載のデバイス。
(項目62)
前記弁支持体に連結される一時弁をさらに備える、項目61に記載のデバイス。
(項目63)
前記一時弁は、前記置換弁が前記弁支持体の中に受容されたときに、前記弁支持体の内壁に対して変位させられるように適合される、項目62に記載のデバイス。
(項目64)
前記一時弁は、除去可能な弁を備え、前記置換弁は、前記一時弁が除去された後に前記弁支持体内に固定される、項目61に記載のデバイス。
(項目65)
前記弁支持体が、少なくとも前記固着部材の前記第1の部分から機械的に隔離される領域において、前記弁支持体に連結される人工弁をさらに備える、項目1~6に記載のデバイス。
(項目66)
前記固着部材の前記第1の部分が前記天然僧帽弁まで歪曲するときに、前記弁支持体の領域が実質的に歪曲しないままであるように、前記固着部材の前記第1の部分は、第1の可撓性を有し、前記弁支持体は、前記第1の可撓性よりも小さい第2の可撓性を備える、項目1~6に記載のデバイス。
(項目67)
前記固着部材は、前記弁支持体とは別個の構造によって画定され、
前記弁支持体は、前記固着部材の前記第2の部分において前記固着部材に連結され、
前記固着部材の前記第2の部分は、前記固着部材の前記第1の部分から縦方向に離間される、
項目1~6に記載のデバイス。
(項目68)
前記弁支持体を前記固着部材に可撓性に連結するように構成される、複数の可撓性連結機構をさらに備える、項目1~6に記載のデバイス。
(項目69)
前記可撓性連結機構は、縫合糸、ワイヤ、可撓性フィラメント、リベット、ネジ、またはピンのうちの少なくとも1つを含むことができる、項目67に記載のデバイス。
(項目70)
前記デバイスは、
前記弁支持体および前記固着部材が半径方向に収縮させられる、第1の構成と、
前記弁支持体および前記固着部材が半径方向に拡張させられる、第2の構成と、
前記固着部材が、前記弁輪上または付近の組織と係合させられ、それによって少なくとも部分的に変形させられる、第3の構成と
を含む、複数の構成に移動可能である、
項目1~6に記載のデバイス。
(項目71)
前記弁支持体は、前記第2の構成で拡張形状を有し、前記弁支持体は、前記第3の構成で実質的に前記拡張形状にとどまる、項目70に記載のデバイス。
(項目72)
前記固着部材は、不偏状態で前記第2の構成を成す、項目70に記載のデバイス。
(項目73)
前記固着部材は、前記第2の構成から前記第3の構成へ変形可能である、項目70に記載のデバイス。
(項目74)
前記第1の構成の前記デバイスは、前記天然僧帽弁に、またはその付近に位置付けられたガイドカテーテルを通した送達のために構成される、薄型外形を有する、項目70に記載のデバイス。
(項目75)
前記固着部材の前記第1の部分は、前記第2の構成で第1の直径を有し、前記第1の直径は、少なくとも前記天然僧帽弁の天然交連の間の距離に及ぶ、項目70に記載のデバイス。
(項目76)
前記固着部材の前記第1の部分は、第1の直径を有し、前記弁支持体は、前記第2の構成で第2の直径を有し、前記第1の直径は、前記第2の直径の約1.2~1.5倍である、項目70に記載のデバイス。
(項目77)
前記固着部材の前記第1の部分は、約28mmから約80mmの第1の拡張直径を有する、項目1~6に記載のデバイス。
(項目78)
前記弁支持体は、約25mmから約32mmの拡張直径を有する、項目1~6および77に記載のデバイス。
(項目79)
前記固着部材の前記第1の部分は、上流部分を画定する前記固着部材の前記第2の部分から縦方向に離間した下流部分であり、前記上流部分は、第1の断面寸法を有し、前記下流部分は、前記第1の断面寸法よりも小さい第2の断面寸法を有する、項目1~6に記載のデバイス。
(項目80)
前記固着部材は、前記天然僧帽弁の前記弁尖の後ろに延在する前記デバイスのいずれの要素も伴わずに、前記デバイスの上流移動に抵抗する、項目1~6に記載のデバイス。
(項目81)
前記デバイスは、弁輪上組織または前記弁輪の上流の組織に係合しない、項目1~6に記載のデバイス。
(項目82)
前記固着部材の前記第1の部分の周囲に延在し、前記弁輪の上または下流の前記組織に対して密閉し、前記固着部材と前記組織との間の血流を阻止するように構成される、密閉部材をさらに備える、項目1~6に記載のデバイス。
(項目83)
前記密閉部材は、前記密閉部材の中への組織内方成長を推進する、項目82に記載のデバイス。
(項目84)
前記密閉部材は、前記密閉部材の外面上に複数の組織係合要素を含む、項目82に記載のデバイス。
(項目85)
前記固着部材は、上流端の上に複数の先端を有し、前記先端は、前記デバイスの上流移動を防止するように、前記弁輪の上または下流の組織を貫通するように構成される、項目1~6に記載のデバイス。
(項目86)
前記固着部材は、後退位置から係合位置へ前記複数の先端を移行するための送達機構を含み、前記係合位置は、前記先端による前記弁輪組織の貫通を含む、項目85に記載のデバイス。
(項目87)
前記固着部材の端部の上に複数の固着クリップをさらに備え、前記固着クリップは、前記弁輪に係合するように構成される、項目1~6に記載のデバイス。
(項目88)
前記固着部材は、
複数の縦方向リブと、
前記複数のリブを相互接続する複数の円周方向コネクタと
を含み、前記固着部材は、上流方向への前記デバイスの移動を防止するよう、前記リブの端部が前記弁輪の上または下流の組織に係合するために半径方向外向きに配向するように、口広である、
項目1~6に記載のデバイス。
(項目89)
前記固着部材は、中心縦軸を有し、各個別リブは、前記縦軸に対して様々な拡張角度を有する、複数のセグメントを有する、項目88に記載のデバイス。
(項目90)
前記複数の縦方向リブは、第1および第2の複数のリブを含み、前記第1の複数のリブは、前記第2の複数のリブとは異なる特性を有し、前記特性は、サイズ、形状、剛性、拡張角度、および前記固着部材の所与の領域内のリブの数の群から選択される、項目88に記載のデバイス。
(項目91)
前記縦方向リブは、前記固着部材の外周の周囲で均等に離間される、項目88に記載のデバイス。
(項目92)
前記弁支持体は、複数の支柱によって円周方向に接続される複数の柱を含み、各個別縦方向リブは、前記弁支持体上の対応する柱と一体的に形成される、項目88に記載のデバイス。
(項目93)
前記複数の縦方向リブのそれぞれは、前記対応する柱と一体的に形成される曲線状肘部分を備え、前記肘部分は、内向き構成から外向き構成へ半径方向外向きに個々のリブを押動するように構成される、項目92に記載のデバイス。
(項目94)
各個別リブを前記対応する柱と連結する、テザーをさらに備え、前記テザーは、前記リブが拡張構成であるときに、前記リブの外向き偏向を制限するように構成される、項目92に記載のデバイス。
(項目95)
1つ以上の個々の円周方向コネクタは、ループ状コネクタヘッドを含み、1つ以上の個々の支柱は、ループ状支柱ヘッドを含み、前記ループ状コネクタヘッドは、可撓性連結機構を形成するように前記ループ状支柱ヘッドに連結される、項目92に記載のデバイス。(項目96)
前記ループ状コネクタヘッドは、前記可撓性連結機構を形成するように前記ループ状支柱ヘッドを通過させられる、項目95に記載のデバイス。
(項目97)
1つ以上の可撓性フィラメントは、前記可撓性連結機構を形成するように前記ループ状コネクタヘッドを前記ループ状支柱ヘッドに連結する、項目95に記載のデバイス。
(項目98)
前記複数の円周方向コネクタは、前記固着部材の円周の周囲に延在する複数のバンドを含み、前記バンドは、各個別リブに摺動可能に連結される、項目88に記載のデバイス。(項目99)
前記固着部材は、実質的に管状である下流部分を有し、前記固着部材の前記上流部分が、非円形断面に変形可能である一方で、前記弁支持体は、断面が実質的に円形のままである、項目1~6に記載のデバイス。
(項目100)
前記弁支持体は、前記弁支持体の円周の周囲に相互接続された複数の第1の支柱を含み、
前記固着部材は、前記固着部材の円周の周囲に相互接続された複数の第2の支柱を含み、
前記第1の支柱は、前記第2の支柱よりも剛性である、
項目1~6に記載のデバイス。
(項目101)
前記弁輪または弁尖の組織に係合するように構成される、複数の組織係合要素をさらに備える、項目1~6に記載のデバイス。
(項目102)
前記組織係合要素は、
前記組織係合要素が前記組織を貫通するための薄型外形を有する、穿刺構成と、
前記組織係合要素が前記組織内で前記組織係合要素を維持するための拡張外形を有する、保持構成と
を有する、項目101に記載のデバイス。
(項目102)
前記固着部材は、スリーブに連結され、前記スリーブは、前記固着部材が拡張構成であるときに、前記固着部材の半径方向拡張を制限するように構成される、項目1~6に記載のデバイス。
(項目103)
前記スリーブは、前記固着部材を覆うように構成される外側部分と、前記弁支持体を少なくとも部分的に包囲するように構成される内側部分とを含む、項目102に記載のデバイス。
(項目104)
前記スリーブは、前記スリーブの前記外側部分と前記内側部分との間に延在する、複数の水平中隔を含む、項目103に記載のデバイス。
(項目105)
前記固着部材は、前記弁輪の下流の前記弁尖の上流に向いた表面に係合するように構成される、上流部分を有し、
前記弁支持体は、少なくとも部分的に固着体内にあり、前記弁支持体は、人工弁を支持するように構成され、
前記固着体が、非円形断面に変形可能である一方で、前記弁支持体は、断面が実質的に円形のままである、
項目1~6に記載のデバイス。
(項目106)
前記固着部材の前記第2の部分は、下流部分を画定し、前記固着部材の前記第1の部分は、上流部分を画定し、前記下流部分は、前記上流部分から縦方向に分離され、前記下流部分は、前記弁支持体の下流領域に連結される、項目105に記載のデバイス。
(項目107)
前記固着体の前記上流部分を前記弁支持体に連結する、複数のテザーをさらに備え、前記テザーは、前記上流部分の半径方向拡張を制限するように構成される、項目106に記載のデバイス。
(項目108)
前記固着部材は、前記弁輪の下流の前記弁尖の内向き表面に係合するように構成される、前記第1の部分における第1の端部と、前記第2の部分における第2の端部とを含む、双曲面形状を有し、
前記第1の端部は、前記第2の端部よりも大きい断面積を有し、
前記弁支持体は、前記固着部材の中に位置付けられ、前記弁支持体は、前記第1の端部から実質的に離間した場所で前記固着部材に連結され、前記第1の端部において前記固着部材に連結されていない、
項目1~6に記載のデバイス。
(項目109)
前記デバイスの下流移動が、前記弁輪上組織との心房保持体の係合によって遮断されるように、弁輪上組織に係合するように構成される心房保持体をさらに備える、項目1~6に記載のデバイス。
(項目110)
前記心房保持体は、前記弁支持体の外向き拡張部を含む、項目109に記載のデバイス。
(項目111)
前記心房保持体は、前記天然弁を通過して前記弁輪上組織に係合するように構成される、前記固着部材の拡張部を含む、項目109に記載のデバイス。
(項目112)
前記固着部材は、前記弁輪の下流の前記弁尖の前記内向き表面の貫通に抵抗する、複数の非外傷性節点を含む、項目1~6に記載のデバイス。
(項目113)
前記固着部材に連結される1つ以上の位置付け要素をさらに備え、前記位置付け要素は、心室組織に係合し、左心室流出路(LVOT)から離して前記デバイスを位置付けるように構成される、項目1~6に記載のデバイス。
(項目114)
前記位置要素は、
前記固着部材から前記心室組織まで延在するように構成される、位置付けアームと、
前記位置付けアームの遠位端における組織係合部分であって、前記組織係合部分は、前記心室組織に非外傷的に係合するように構成される、組織係合部分と
を備える、項目113に記載のデバイス。
(項目115)
前記固着部材は、前記天然弁尖の後ろに延在する前記デバイスの要素を伴わずに、前記デバイスの上流移動に抵抗する、項目1~6に記載のデバイス。
(項目116)
前記弁支持体は、上部領域と、下部領域と、人工弁を保持する内部とを含み、
前記固着部材は、前記弁支持体の少なくとも一部分を包囲し、前記固着部材は、前記弁尖の間に位置付け可能であり、菱形パターンに配列された複数の可撓性ワイヤ、上部分、および下部分を有し、
前記固着部材の前記上部分は、前記弁輪上または付近の心臓組織に係合して、前記上流方向への前記デバイスの移動を阻止するよう、前記ワイヤの近位端が半径方向外向きを指すように、近位方向へ外向きに口広であり、
前記支持構造の前記下部領域は、前記固着部材の前記下部分に連結され、前記支持構造の前記上部領域は、少なくとも前記固着部材の前記口広上部分の変形から機械的に隔離される、
項目1~6に記載のデバイス。
(項目117)
前記弁支持体は、縦軸を有する円筒形支持体と、それを通って血液が流れ得る前記縦軸に沿った内部とを備え、
前記固着部材は、前記円筒形支持体とは別個の構造によって画定され、前記固着部材は、非円形断面を有し、前記固着部材は、僧帽弁の弁輪下組織に係合するように構成される外向きに口広の上流端を有し、前記固着部材は、前記円筒形支持体を包囲し、前記上流端と反対側の下流端において前記円筒形支持体に連結される、
項目1~6に記載のデバイス。
(項目118)
前記支持体の前記内部内に連結され、前記上流方向に前記支持体を通る血流を遮断し、下流方向に前記支持体を通る血流を可能にするように構成される、弁をさらに備える、項目117に記載のデバイス。
(項目119)
前記固着体の前記下流端から外向きに延在する安定化部材をさらに備え、前記安定化部材は、前記僧帽弁の弁輪の下流の天然組織に係合するように構成される、項目117に記載のデバイス。
(項目120)
前記安定化部材は、前記下流端から延在する複数のアームを含み、前記アームは、前記弁輪下組織、天然弁尖、または心室壁のうちの1つ以上に係合するように構成される、項目119に記載のデバイス。
(項目121)
前記アームは、前記天然弁尖の後ろに延在する、項目120に記載のデバイス。
(項目122)
各個別のアームは、アーム本体と、前記アーム本体の遠位端における先端とを含み、前記先端は、天然組織に係合するように構成される、項目120に記載のデバイス。
(項目123)
前記先端は、前記天然組織を貫通することなく前記天然組織に力を及ぼす、項目120に記載のデバイス。
(項目124)
前記先端は、前記天然組織の少なくとも一部分を通って穿刺するための組織係合要素を含む、項目120に記載のデバイス。
(項目125)
前記弁輪上または付近の組織に係合するよう、前記固着部材の前記第1の部分に連結され、外向きに延在する、第2の固着構造をさらに備える、項目1~6に記載のデバイス。(項目126)
前記第2の固着構造は、前記固着部材の上流周囲に連結され、前記第2の固着構造は、下流方向へ外向きに延在する、項目125に記載のデバイス。
(項目127)
前記弁支持体は、外面および内面を有する、内側フレームを備え、前記内面は、人工弁を支持するように構成され、
前記固着部材は、前記内側フレームに連結される外側フレームを備え、前記外側フレームは、前記僧帽弁の弁輪の対応する断面寸法よりも大きい断面寸法を伴う第1の部分を有し、前記第1の部分は、前記僧帽弁の前記弁輪における、またはそれより下側の組織に係合し、心室収縮期中に上向き方向への前記デバイスの移動を防止するように構成され、前記フレームの少なくとも前記第1の部分は、前記内側フレームから機械的に隔離される、
項目1~6に記載のデバイス。
(項目128)
前記固着部材は、後尖に面した側に第1の縦方向長さ、および前尖に面した側に第2の長さを有し、前記第1の長さは、前記第2の長さよりも大きい、項目1~6に記載のデバイス。
(項目129)
前記後尖に面した側はさらに、前記アームと前記外側フレームとの間で後尖を受容するように構成されるアームを含む、項目128に記載のデバイス。
(項目130)
前記弁支持体は、人工弁が連結され得る内部を有する、円筒形の内側骨格を備え、
前記固着部材は、前記内側骨格に連結され、前記弁輪の下流の前記弁尖の間に位置付け可能である外側骨格を備え、前記外側骨格は、菱形構成で配列された複数の可撓性ワイヤを有し、前記ワイヤの少なくとも一部分は、前記上流方向への前記デバイスの移動を防止するよう、天然弁輪下組織に係合するように構成され、
前記外側骨格が、非円形断面に変形可能である一方で、前記内側骨格は、断面が実質的に円形のままである、
項目1~6に記載のデバイス。
(項目131)
前記弁支持体は、近位端および遠位端を有し、前記固着部材は、前記近位端および遠位端の中間の位置で前記弁支持体に連結される、項目1~6に記載のデバイス。
(項目132)
第2の固着部材をさらに備え、前記第2の固着部材は、前記弁輪の上または下流の組織に係合するように構成される第2の上流端を有し、かつ前記弁支持体に連結される第2の下流端を有する、項目1~6に記載のデバイス。
(項目133)
前記固着部材を少なくとも部分的に包囲する第2の固着部材をさらに備え、前記第2の固着部材は、前記弁支持体の前記外面に連結される、第2の口広上流部分および第2の下流部分を有し、前記第2の上流部分は、前記弁支持体から機械的に隔離され、前記天然弁の弁輪下組織に係合するように構成される、項目1~6に記載のデバイス。
(項目134)
前記固着部材は、第1の高さを有し、前記第2の固着部材は、第2の高さを有し、前記第1の高さは、前記第2の高さとは異なる、項目133に記載のデバイス。
(項目135)
前記弁輪上または付近に係合するように構成される、拡張可能な固定要素をさらに備え、前記固定要素は、前記弁支持体および前記固着部材のうちの少なくとも1つに連結される、1つ以上の膨張式チャンバを含む、項目1~6に記載のデバイス。
(項目136)
前記固着部材は、後尖に面した側に第1の縦方向長さ、および前尖に面した側に第2の長さを有し、前記第1の長さは、左心室流出路(LVOT)の閉塞が制限されるように、前記第2の長さよりも大きい、項目1~6に記載のデバイス。
(項目137)
前記後尖に面した側はさらに、前記アームと前記固着部材との間で後尖を受容するように構成されるアームを含む、項目136に記載のデバイス。
(項目138)
前記固着部材は、上部リング、および前記上部リングに連結される下部リングを有する、口広上流部分を有し、前記デバイスはさらに、前記固着部材の円周の周囲に分布し、前記上部リングを前記下部リングに連結する、複数の可撓性弁輪係合要素を含み、前記下部リングは、前記弁輪が前記上部および下部リングの間、ならびに前記弁輪係合要素内で受容されるように、前記上部リングに向かって上流方向に移動するように構成される、項目1~6に記載のデバイス。
(項目139)
弁輪および前記弁輪に連結された弁尖を有する天然心臓弁の置換のための方法であって、
固着部材と、患者の天然僧帽弁において前記固着部材に連結される弁支持体とを含む、人工装具を位置付けるステップ
を含み、
前記固着部材の第1の部分は、前記固着部材の前記第1の部分が前記天然僧帽弁の形状に対して変形するように、前記天然僧帽弁の弁輪の上または下流に組織に係合し、
前記弁支持体は、前記固着部材内で拡張し、
前記弁支持体の一部分が、拡張時に、人工弁を操作するために好適な所定の断面形状を維持する一方で、前記固着部材の前記第1の部分は、前記天然僧帽弁の前記形状に対して変形する、
方法。
(項目140)
前記人工装具は、項目1~138のいずれか1項に記載のデバイスを備える、項目139に記載の方法。
(項目141)
前記弁尖の間に前記人工装具を位置付ける前に、カテーテルによって前記デバイスを送達するステップをさらに含む、項目139に記載の方法。
(項目142)
拡張構成で前記デバイスを露出するように、前記カテーテル上のシースを後退させ、前記固着部材の前記上流部分が組織に係合するように、上流方向に前記デバイスを移動させるステップをさらに含む、項目141に記載の方法。
(項目143)
右心房からの経中隔アプローチ、左心室切開または穿孔を介した経心尖アプローチ、または大動脈を通した経大動脈アプローチのうちの1つ以上によって、送達構成で前記デバイスを保持するように構成される前記カテーテルをナビゲートするステップをさらに含む、項目141に記載の方法。
(項目144)
前記デバイスを位置付けるステップであって、前記デバイスが送達構成にあるときに、前記弁尖の間および前記弁輪の下流に前記デバイスを設置することを含む、ステップと、
前記固着部材が前記弁尖の間に延在する状態で、前記送達構成から拡張構成へ前記デバイスを拡張するステップと、
前記弁輪の上または下流の前記組織を前記上流部分と係合させるように、上流方向に前記デバイスを移動させるステップと
を含む、項目139に記載の方法。
(項目145)
前記固着部材の上流部分は、展開構成であるときに卵形の形状を有し、前記弁輪における、またはそれより下側の組織は、対応する卵形の形状を有し、前記方法はさらに、
心エコーまたは蛍光透視法で前記固着部材および前記僧帽弁を視認するステップと、
前記心エコーまたは蛍光透視法に基づいて、前記弁輪の上または下流の前記組織と係合するように、前記固着部材の前記上流部分を整合させるステップと
を含む、項目144に記載の方法。
(項目146)
弁は、前記弁支持体に連結され、前記弁は、血流が左心房から左心室へ流れることを可能にするように、および前記左心室から前記左心房への血流を阻止するように構成される、項目139に記載の方法。
(項目147)
前記固着部材は、前記左心室が収縮し、前記弁が前記左心室から前記左心房への血流を阻止するときに、弁輪下組織に係合することによって、前記左心房に向かった前記デバイスの移動を阻止する、項目139に記載の方法。
(項目148)
前記僧帽弁に埋め込む前に、カテーテルによって、前記固着部材および前記固着部材に連結された前記弁支持体を同時に送達するステップをさらに含む、項目139に記載の方法。
(項目149)
拡張構成で前記デバイスを露出するように、前記カテーテル上のシースを後退させ、前記固着部材の前記上流部分が弁輪下組織に係合するように、上流方向に前記デバイスを移動させるステップをさらに含む、項目139に記載の方法。
(項目150)
右心房からの経中隔アプローチ、左心室切開または穿孔を介した経心尖アプローチ、または大動脈を通した経大動脈アプローチのうちの1つ以上によって、送達構成で前記デバイスを保持するように構成される前記カテーテルをナビゲートするステップをさらに含む、項目139に記載の方法。
(項目151)
前記デバイスが埋め込まれた後に、前記弁支持体に連結された一時弁を起動するステップをさらに含む、項目139に記載の方法。
(項目152)
前記弁支持体の内部の中に置換弁を位置付け、前記弁支持体と係合するように前記置換弁を拡張するステップをさらに含む、項目151に記載の方法。
(項目153)
前記デバイスが前記僧帽弁に埋め込まれた後に、弁を前記弁支持体に連結するステップをさらに含む、項目139に記載の方法。
(項目154)
前記固着部材が前記弁輪の上または下流の前記組織に係合した後に、前記弁支持体を半径方向に拡張するステップをさらに含む、項目139に記載の方法。
(項目155)
前記デバイスを位置付けるステップは、
前記弁支持体および前記固着部材が半径方向に収縮させられる、第1の構成であって、前記弁支持体は、第1の断面形状を有する、第1の構成と、
前記弁支持体および前記固着部材が半径方向に拡張させられる、第2の構成であって、前記弁支持体は、前記第1の断面形状よりも大きい第2の断面形状を有する、第2の構成と、
前記固着部材が、前記弁輪上または下流の組織と係合させられ、それによって少なくとも部分的に変形させられる一方で、前記弁支持体は、前記第2の断面形状でとどまる、第3の構成と
を含む、複数の構成を通して前記デバイスを移動させることによって、前記弁輪内に、または前記弁輪に隣接して、前記固着部材および前記弁支持体を埋め込むステップを含む、項目139に記載の方法。
(項目156)
前記固着部材に連結された1つ以上の安定化部材を天然組織と係合させるステップをさらに含む、項目139に記載の方法。
(項目157)
患者の僧帽弁を治療するシステムであって、前記僧帽弁は、弁輪を有し、
項目1~138のいずれか1項に記載のデバイスを備える、デバイスと、
その中に前記デバイスを保持するように構成される管腔を有する、カテーテルと
を備える、システム。
(項目158)
天然僧帽弁の場所に前記デバイスを配置した後に前記デバイスに連結するように構成される、置換弁をさらに備える、項目157に記載のシステム。
(項目159)
前記置換弁に連結される送達カテーテルをさらに備える、項目158に記載のシステム。
(項目160)
前記カテーテルは、前記デバイスの複数部分を半径方向に拡張するように構成される、拡張可能な部材を備える、項目157に記載のシステム。
(項目161)
前記カテーテルは、格納式シースを備え、前記デバイスは、前記シース内に含有され、前記デバイスは、前記シースが後退させられたときに弾性的に拡張するように構成される、項目157に記載のシステム。
(項目162)
前記カテーテルは、ガイドワイヤを摺動可能に受容するように適合されるガイドワイヤ管腔を備え、前記ガイドワイヤ管腔は、それを通して前記ガイドワイヤが摺動可能に挿入され得る、近位ポートおよび遠位ポートを有する、項目157に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下の図面を参照して、本開示の多くの側面をより良く理解することができる。図面中の構成要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。代わりに、本開示の原理を明確に例証することに重点が置かれている。さらに、構成要素は、図示された構成要素が必然的に透明であることを示すためではなく、例証を明確にするためだけに、ある図中で透明として示すことができる。
【
図1】
図1および2は、本技術の実施形態による、種々の人工心臓弁デバイスによる置換に好適な天然弁構造を有する、哺乳類の心臓の概略図である。
【
図2】
図1および2は、本技術の実施形態による、種々の人工心臓弁デバイスによる置換に好適な天然弁構造を有する、哺乳類の心臓の概略図である。
【
図3】
図3は、弁輪および弁尖を示す、天然僧帽弁の概略断面側面図である。
【
図4A】
図4Aは、本技術の実施形態による、種々の人工心臓弁デバイスとの組み合わせに好適である、i)僧帽弁内の逸脱弁尖、またはii)損なわれた乳頭筋を有する心臓の左心室内の僧帽弁逆流のいずれか一方を有する、心臓の左心室の概略図である。
【
図4B】
図4Bは、本技術の実施形態による、種々の人工心臓弁デバイスとの組み合わせに好適である、心筋症に罹患している患者の心臓の概略図である。
【
図5A】
図5Aは、天然僧帽弁尖の正常な閉鎖を示す、心臓の天然僧帽弁の概略図である。
【
図5B】
図5Bは、本技術の実施形態による、種々の人工心臓弁デバイスとの組み合わせに好適である、拡張した心臓内の天然僧帽弁尖の異常閉鎖を示す、心臓の天然僧帽弁の概略図である。
【
図5C】
図5Cは、本技術の実施形態による、種々の人工心臓弁デバイスとの組み合わせに好適である、弁輪の寸法を示す、心臓の僧帽弁の概略図である。
【
図6A】
図6Aは、本技術の種々の実施形態による、静脈血管系からの天然僧帽弁への順行性アプローチを示す、心臓の概略断面図である。
【
図6B】
図6Bは、本技術の種々の実施形態による、ガイドワイヤ上のガイドカテーテルの配置によって維持された心房中隔(IAS)を通したアクセスを示す、心臓の概略断面図である。
【
図7】
図7および8は、本技術の種々の実施形態による、大動脈弁および動脈血管系を通した天然僧帽弁への逆行性アプローチを示す、心臓の概略断面図である。
【
図8】
図7および8は、本技術の種々の実施形態による、大動脈弁および動脈血管系を通した天然僧帽弁への逆行性アプローチを示す、心臓の概略断面図である。
【
図9】
図9は、本技術の種々の実施形態による、経心尖穿孔を使用した天然僧帽弁へのアプローチを示す、心臓の概略断面図である。
【
図10A】
図10Aは、本技術の実施形態による、人工心臓弁デバイスの等角図を示す。
【
図10B】
図10Bは、本技術の実施形態による、天然僧帽弁に埋め込まれた
図10Aの人工治療デバイスを示す、心臓の切断図を図示する。
【
図10C】
図10C-10Fは、それぞれ、本技術の実施形態による、人工心臓弁デバイスの側面図、斜視切断図、上面図、および底面図である。
【
図10D】
図10C-10Fは、それぞれ、本技術の実施形態による、人工心臓弁デバイスの側面図、斜視切断図、上面図、および底面図である。
【
図10E】
図10C-10Fは、それぞれ、本技術の実施形態による、人工心臓弁デバイスの側面図、斜視切断図、上面図、および底面図である。
【
図10F】
図10C-10Fは、それぞれ、本技術の実施形態による、人工心臓弁デバイスの側面図、斜視切断図、上面図、および底面図である。
【
図11A】
図11Aは、本技術の実施形態による、拡張構成の弁支持体の側面図である。
【
図11B】
図11B-11Dは、本技術の実施形態による、その中に載置された人工弁を伴う弁支持体の付加的な実施形態の等角図である。
【
図11C】
図11B-11Dは、本技術の実施形態による、その中に載置された人工弁を伴う弁支持体の付加的な実施形態の等角図である。
【
図11D】
図11B-11Dは、本技術の実施形態による、その中に載置された人工弁を伴う弁支持体の付加的な実施形態の等角図である。
【
図11E】
図11Eは、本技術の別の実施形態による、人工心臓弁デバイスの等角図である。
【
図12A】
図12A-12Cは、本技術のさらなる実施形態による、歪曲力に応答して屈曲する種々の縦方向リブの側面図である。
【
図12B】
図12A-12Cは、本技術のさらなる実施形態による、歪曲力に応答して屈曲する種々の縦方向リブの側面図である。
【
図12C】
図12A-12Cは、本技術のさらなる実施形態による、歪曲力に応答して屈曲する種々の縦方向リブの側面図である。
【
図13-1】
図13Aは、本技術の別の実施形態による、人工心臓弁デバイスの概略断面図である。
【
図13-2】
図13B-13Fは、本技術のさらなる実施形態による、種々の縦方向リブ構成を図示する、人工心臓弁デバイスの部分側面図である。
【
図14A】
図14Aは、長軸および短軸を図示する、天然僧帽弁の概略上面図である。
【
図14B】
図14B-14Cは、本技術の実施形態による、それぞれ、拡張構成および展開構成の固着部材の概略上面図である。
【
図14C】
図14B-14Cは、本技術の実施形態による、それぞれ、拡張構成および展開構成の固着部材の概略上面図である。
【
図15】
図15は、本技術の付加的な実施形態による、展開構成で図示された人工心臓弁デバイスの等角図である。
【
図16A】
図16Aは、本技術のさらなる実施形態による、拡張構成で図示された人工心臓弁デバイスの上面図である。
【
図16D】
図16Dは、本技術の別の実施形態による、傾斜角によって弁支持体の縦軸からオフセットした固着部材の縦軸を示す、人工心臓弁デバイスの側面図である。
【
図16E】
図16Eは、本技術の実施形態による、天然僧帽弁に埋め込まれた
図16A-16Cの人工治療デバイスを示す、左心房から見た心臓内の天然僧帽弁の概略上面図である。
【
図17】
図17A-17Cは、本技術の実施形態による、デバイスの種々の側面の寸法および漸減角度を示す、
図16Aの人工心臓弁デバイスの概略上面図ならびに第1および第2の側面図である。
【
図18】
図18は、本技術のさらに別の実施形態による、拡張構成で図示された固着部材の等角図である。
【
図19】
図19A-19Cは、それぞれ、本技術のさらなる実施形態による、密閉部材を有する人工心臓弁デバイスの等角図、側面図、および上面図である。
【
図20-1】
図20Aは、本技術の実施形態による、密閉部材がない人工心臓弁デバイスの等角図である。
【
図20-2】
図20B-20Eは、本技術の付加的な実施形態による、密閉部材を有する人工心臓弁デバイスの等角図である。
【
図21】
図21A-21Bは、本技術のさらなる実施形態による、管状弁支持部材を有する、人工心臓弁デバイスの断面図および等角図である。
図21C-21Fは、本技術の他の実施形態による、管状弁支持部材を有する、人工心臓弁デバイスの断面図および等角図である。
図21C-21Fは、本技術の他の実施形態による、管状弁支持部材を有する、人工心臓弁デバイスの断面図および等角図である。
【
図22-1】
図22A-22Gおよび22I-22Kは、本技術の付加的な実施形態による、弁支持体を固着部材に連結する種々の機構の拡大側面図である。
図22Hは、
図40Gの人工心臓弁デバイス内の柱の側面図である。
【
図22-2】
図22A-22Gおよび22I-22Kは、本技術の付加的な実施形態による、弁支持体を固着部材に連結する種々の機構の拡大側面図である。
図22Hは、
図40Gの人工心臓弁デバイス内の柱の側面図である。
【
図23】
図23A-23Bは、本技術のさらなる実施形態による、固着部材を弁支持部材に連結するための付加的な機構の拡大側面図である。
【
図24】
図24Aは、本技術の付加的な実施形態による、弁支持体と固着部材との間の一体接続の斜視図である。
図24B-24Dは、本技術による、弁支持体と固着部材との間の一体接続の付加的な実施形態の拡大図である。
【
図25】
図25Aは、本技術の実施形態による、固着部材および弁支持体を有する、人工心臓弁デバイスの部分断面図である。
図25Bは、
図25Aに示された指定ボックスの拡大図である。
【
図26】
図26A-26Dは、本技術の種々の実施形態による、心房保持体を有し、天然僧帽弁に埋め込まれた人工心臓弁デバイスの概略断面図である。
【
図27】
図27は、本技術の別の実施形態による、弁輪に係合するための垂直部分を上流端に有する固着部材の側面図である。
【
図28】
図28は、本技術の実施形態による、複数の安定化要素を有する拡張構成の人工心臓弁デバイスの側面図である。
【
図29】
図29は、本技術の実施形態による、拡張したアームを有する、人工心臓弁デバイスの拡大概略側面図である。
【
図30】
図30A-30Cは、本技術のさらなる実施形態による、デバイスの縦軸に対する種々の角度でデバイスに連結されたアームを有する、人工心臓弁デバイスの拡大部分側面図である。
【
図31】
図31A-31Cは、本技術の付加的な実施形態による、デバイスに連結された種々の長さのアームを有する、人工心臓弁デバイスの拡大部分側面図である。
【
図32】
図32A、32B、32C、および32Dは、本技術の種々の実施形態による、弁尖の内向き表面上に配置されたアームを有する、埋め込まれた人工心臓弁デバイスを伴う、心臓の断面図である。
図32A-1、32B-1、32C-1、および32D-1は、それぞれ、本技術の種々の実施形態による、
図32A、32B、32C、および32Dに示されるように弁尖の内向き表面に係合するアームの拡大図である。
【
図33】
図33A-33Cは、本技術による、人工心臓弁デバイスとともに使用するための組織係合要素の種々の実施形態を図示する概略図である。
【
図34】
図34A、34B、および34Cは、本技術の種々の実施形態による、弁尖の内向き表面上に配置された組織係合要素を伴うアームを有する、埋め込まれた人工心臓弁デバイスを伴う、心臓の断面図である。
図34A-1、34B-1、および34C-1は、それぞれ、本技術の種々の実施形態による、
図34A、34B、および34Cに示されるような弁尖の内向き表面に係合するアームの拡大図である。
【
図35A】
図35A-35Cは、本技術のさらなる実施形態による、僧帽弁(断面で図示される)に埋め込まれて示された人工心臓弁デバイスであって、天然弁尖の外向き表面に係合するためのアームを有する、デバイスの側面図である。
【
図35B】
図35A-35Cは、本技術のさらなる実施形態による、僧帽弁(断面で図示される)に埋め込まれて示された人工心臓弁デバイスであって、天然弁尖の外向き表面に係合するためのアームを有する、デバイスの側面図である。
【
図35C】
図35A-35Cは、本技術のさらなる実施形態による、僧帽弁(断面で図示される)に埋め込まれて示された人工心臓弁デバイスであって、天然弁尖の外向き表面に係合するためのアームを有する、デバイスの側面図である。
【
図35C-1】本技術の種々の実施形態による、
図35Cに示されるような弁尖の内向き表面に係合するアームの拡大図である。
【
図36A】
図36Aは、本技術の付加的な実施形態による、僧帽弁(断面で図示される)に埋め込まれて示された人工心臓弁デバイスであって、天然弁尖の外向き表面に係合するためのアーム、および天然弁尖の内向き表面に係合するためのアームを有する、デバイスの側面図である。
【
図37】
図37A-37Dは、本技術による、人工心臓弁デバイスとともに使用するために好適なアームの付加的な実施形態の拡大側面図である。
【
図38】
図38Aは、本技術のさらなる実施形態による、複数の相互接続されていないアームを有する、人工心臓弁デバイスの側面図である。
図38Bは、本技術のさらなる実施形態による、複数の円周方向に接続されたアームを有する、人工心臓弁デバイスの側面図である。
【
図39】
図39A-39Dは、本技術の付加的な実施形態による、アーム位置パターンの概略上面図である。
【
図40-1】
図40A-40Dは、本技術の付加的な実施形態による、デバイスの様々な構造上に組織係合要素を有する、人工心臓弁デバイスの側面図である。
図40E-40Gは、本技術の他の実施形態による、人工心臓弁デバイスとともに使用するために好適な組織係合要素の拡大側面図である。
【
図40-2】
図40I-40Tは、本技術の付加的な実施形態による、人工心臓弁デバイスとともに使用するために好適な組織係合要素の実施形態の拡大側面図である。
【
図40-3】
図40I-40Tは、本技術の付加的な実施形態による、人工心臓弁デバイスとともに使用するために好適な組織係合要素の実施形態の拡大側面図である。
【
図41】
図41は、本技術のさらなる実施形態による、複数の弁輪係合要素を有する人工心臓弁デバイスの等角図である。
【
図42】
図42A-42Bは、本技術の別の実施形態による、複数の管状リブから展開可能な組織係合要素を有する、人工心臓弁デバイスの断面側面図および拡大図である。
【
図43】
図43A-43Bは、本技術の別の実施形態による、組織係合要素を伴って構成された密閉部材を有する、人工心臓弁デバイスの等角図および拡大詳細図である。
【
図44】
図44A-44Fは、本技術の付加的な実施形態による、人工心臓弁デバイスとともに使用するために好適な組織係合要素の実施形態の拡大側面図である。
【
図45】
図45Aは、本技術の実施形態による、固着部材110と弁支持体120との間に複数のテザーを有する、人工心臓弁デバイスの等角図である。
図45Bは、本技術の別の実施形態による、固着部材110と弁支持体120との間に複数の中隔を有する、人工心臓弁デバイスの等角図である。
【
図46A】
図46Aは、本技術の実施形態による、送達システムの側面部分切断図である。
【
図46B】
図46Bは、本技術の実施形態による、送達システムの遠位端の拡大切断図である。
【
図46C】
図46C-46Dは、本技術の実施形態による、
図46Bの送達システムとともに使用するために構成された弁支持体の拡大部分側面図である。
【
図46D】
図46C-46Dは、本技術の実施形態による、
図46Bの送達システムとともに使用するために構成された弁支持体の拡大部分側面図である。
【
図47】
図47A-47Dは、本技術の実施形態による、僧帽弁への順行性または経中隔アプローチを示す、心臓の断面図である。
【
図48A】
図48A-48Cは、本技術の別の実施形態による、経中隔アプローチを使用して人工心臓弁デバイスを埋め込む方法を図示する、心臓の断面図である。
【
図48B】
図48A-48Cは、本技術の別の実施形態による、経中隔アプローチを使用して人工心臓弁デバイスを埋め込む方法を図示する、心臓の断面図である。
【
図48C】
図48A-48Cは、本技術の別の実施形態による、経中隔アプローチを使用して人工心臓弁デバイスを埋め込む方法を図示する、心臓の断面図である。
【
図49】
図49A-49Bは、本技術のさらなる実施形態による、大動脈および左心室を介した僧帽弁への逆行性アプローチを示す、心臓の断面図である。
【
図50】
図50A-50Bは、本技術の側面による、経心尖アプローチを使用して人工心臓弁デバイスを埋め込む方法のさらなる実施形態を図示する、心臓の断面図である。
【
図51】
図51A-51Bは、本技術の別の実施形態による、人工心臓弁デバイスが送達カテーテルの拡張可能なバルーンの上に載置される、送達システムの部分側面図である。
【
図52A】
図52A-52Dは、本技術のさらなる実施形態による、固着部材に移動可能に連結された弁支持体を有する、人工心臓弁デバイスを送達する方法を示す、心臓の断面図である。
【
図52B】
図52A-52Dは、本技術のさらなる実施形態による、固着部材に移動可能に連結された弁支持体を有する、人工心臓弁デバイスを送達する方法を示す、心臓の断面図である。
【
図52C】
図52A-52Dは、本技術のさらなる実施形態による、固着部材に移動可能に連結された弁支持体を有する、人工心臓弁デバイスを送達する方法を示す、心臓の断面図である。
【
図52D】
図52A-52Dは、本技術のさらなる実施形態による、固着部材に移動可能に連結された弁支持体を有する、人工心臓弁デバイスを送達する方法を示す、心臓の断面図である。
【
図53】
図53A-53Dは、本技術の付加的な実施形態による、弁支持体を固着部材に移動可能に連結するための種々の機構を示す、部分側面図である。
図53Eは、
図53Dのデバイスの部分上面図である。
図53Fは、本技術の別の実施形態による、弁支持体および固着部材を摺動可能に連結するための代替的な機構の側面図である。
図53G-53Hは、本技術のさらなる実施形態による、弁支持体を固着部材に連結するためのさらに別の機構を示す、人工心臓弁デバイスの概略側面図である。
【
図54A】
図54Aは、本技術の他の側面による、人工心臓弁デバイスのための送達システムの別の実施形態の断面側面図である。
【
図55】
図55A-55Cは、本発明の人工治療デバイスを送達するステップを図示する、
図46の送達システムの斜視図である。
【
図56】
図56は、本発明の人工治療デバイスのための送達システムのさらなる実施形態の側面断面図である。
【
図57A】
図57A-57Dは、本技術の付加的な実施形態による、人工治療デバイスの等角図である。
【
図57B】
図57A-57Dは、本技術の付加的な実施形態による、人工治療デバイスの等角図である。
【
図57C】
図57A-57Dは、本技術の付加的な実施形態による、人工治療デバイスの等角図である。
【
図57D】
図57A-57Dは、本技術の付加的な実施形態による、人工治療デバイスの等角図である。
【
図57E】
図57Eは、本技術の実施形態による、天然僧帽弁に埋め込まれた
図57Aの人工心臓弁デバイスの概略断面図である。
【
図58-1】
図58A-58Dは、本技術の別の実施形態による、経中隔アプローチを使用して人工心臓弁デバイスを心臓内の天然僧帽弁に送達する方法を示す、心臓の断面図である。
【
図58-2】
図58A-58Dは、本技術の別の実施形態による、経中隔アプローチを使用して人工心臓弁デバイスを心臓内の天然僧帽弁に送達する方法を示す、心臓の断面図である。
【
図59A】
図59A-59Cは、本技術の付加的な実施形態による、人工治療デバイスの等角図である。
【
図59B】
図59A-59Cは、本技術の付加的な実施形態による、人工治療デバイスの等角図である。
【
図59C】
図59A-59Cは、本技術の付加的な実施形態による、人工治療デバイスの等角図である。
【
図59D】
図59Dは、本技術の別の実施形態による、天然僧帽弁に埋め込まれた人工心臓弁デバイスの概略断面図である。
【
図60】
図60A-60Bは、本技術の別の実施形態による、
図59Cの人工心臓弁デバイスを心臓内の天然僧帽弁に送達するための送達カテーテルの遠位端の断面側面図である。
【
図61】
図61は、本技術のさらに別の実施形態による、それぞれ、僧帽弁の弁輪上および弁輪下組織に係合するための第1および第2の固着部材を有する、人工心臓弁デバイスの側面図である。
【
図62】
図62A-62Cは、本技術の別の実施形態による、僧帽弁における
図61の人工心臓弁デバイスの送達を示す、送達システムの遠位端の部分断面側面図である。
【
図63】
図63は、本技術のさらなる実施形態による、弁輪上係合周縁および弁輪下係合リングを伴う固着部材を有する、人工心臓弁デバイスの等角側面図である。
【
図64】
図64A-64Dは、本技術の側面による、僧帽弁輪においてデバイスを展開するための方法の実施形態を示す、
図63の人工心臓弁デバイスの側面図である。
【
図65A】
図65Aは、本技術の別の実施形態による、心臓の天然僧帽弁に埋め込まれて示された、膨張式固着部材を有する人工心臓弁デバイスの断面図である。
【
図65B】
図65Bは、本技術の別の実施形態による、
図65Aの人工心臓弁デバイスの送達に好適な送達システムの遠位端の部分断面側面図である。
【
図66A】
図66A-66Dは、本技術の付加的な実施形態による、充填可能なチャンバを有する人工心臓弁デバイスの断面図である。
【
図66B】
図66A-66Dは、本技術の付加的な実施形態による、充填可能なチャンバを有する人工心臓弁デバイスの断面図である。
【
図66C】
図66A-66Dは、本技術の付加的な実施形態による、充填可能なチャンバを有する人工心臓弁デバイスの断面図である。
【
図66D】
図66A-66Dは、本技術の付加的な実施形態による、充填可能なチャンバを有する人工心臓弁デバイスの断面図である。
【
図67A】
図67A-67Bは、本技術の側面による、人工心臓弁デバイスの付加的な実施形態の等角図である。
【
図67B】
図67A-67Bは、本技術の側面による、人工心臓弁デバイスの付加的な実施形態の等角図である。
【
図68】
図68A-68Bは、本技術の付加的な実施形態による、位置付け要素を有する人工心臓弁デバイスの側面図である。
【
図69-1】
図69A-69Eは、拡張構成で示され、本技術の付加的な実施形態に従って構成された人工心臓弁デバイスの断面および側面図である。
【
図69-2】
図69A-69Eは、拡張構成で示され、本技術の付加的な実施形態に従って構成された人工心臓弁デバイスの断面および側面図である。
【
図70】
図70は、本技術の実施形態に従って構成された別の人工心臓弁デバイスの断面側面図である。
【
図71】
図71は、本技術の実施形態に従って構成された、さらに別の人工心臓弁デバイスの断面側面図である
【発明を実施するための形態】
【0018】
(概説)
システム、デバイス、および方法が、僧帽弁等の天然心臓弁の経皮的置換のために本明細書で提供される。以下に記載される詳細のうちのいくつかは、当業者がそれらを実践、作製、および使用することを可能にするように十分な様式で、以下の実施例および方法を説明するように提供される。しかしながら、以下で説明される詳細および利点のうちのいくつかは、本技術のある実施例および方法を実践するために必要ではなくてもよい。加えて、本技術は、請求項の範囲内であるが、詳細に説明されていない、他の実施例および方法を含んでもよい。
【0019】
本技術の実施形態は、僧帽弁を含む心臓弁等の身体の弁を治療するシステム、方法、および装置を提供する。本装置および方法は、静脈または動脈を通して心臓の中へ血管内送達されるカテーテルを使用する、経皮的アプローチを可能にする。加えて、本装置および方法は、心臓内の標的場所への人工置換弁の経心尖、経心房、および直接大動脈送達を含む、他の低侵襲アプローチを可能にする。本装置および方法は、人工装具が、弁輪および/または弁尖の弁輪下表面との係合によって天然弁の場所に固着されることを可能にする。加えて、本明細書で説明されるようなデバイスおよび方法の実施形態は、順行性または逆行性アプローチおよびそれらの組み合わせで心臓の弁(例えば、僧帽弁または三尖弁)にアクセスする既知の方法等の、多くの既知の手術および手技と組み合わせることができる。
【0020】
本明細書で説明されるデバイスおよび方法は、デバイスの固着部分から人工弁を機械的に隔離しながら、可変的形状の天然僧帽弁生体構造に適応および一致する可撓性を有する、弁置換デバイスを提供する。デバイスのいくつかの実施形態は、天然生体構造によって印加される歪曲力を効果的に吸収する。本デバイスは、経時的に心臓の動的条件に耐えるために必要な構造強度および完全性を有し、したがって、置換弁を永久的に固着し、患者が実質的に通常の生活を再開することを可能にする。本デバイスおよび方法はさらに、低侵襲的にそのようなデバイスを送達し、患者に新しい永久置換弁だけでなく、より低いリスクの手技およびより速い回復も提供する。
【0021】
本技術の種々の実施形態によれば、心臓の天然弁の修復または置換のためのデバイスが開示される。天然弁は、弁輪および弁尖を有し、本デバイスは、弁輪の上または下の組織に係合するように、および非円形の形状に変形して組織に一致するように構成される、第1の部分を有する、固着部材を含む。固着部材はまた、第2の部分も含む。本デバイスはまた、固着部材の第2の部分に連結され、人工弁を支持するように構成され、断面形状を有する、弁支持体も含む。種々の実施形態では、固着部材が非円形の形状に変形させられたときに人工弁が有能なままであるように、固着部材の第1の部分は、弁支持体の断面形状が十分安定したままであるように、弁支持体から機械的に隔離される。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態は、天然僧帽弁に埋め込むための人工心臓弁デバイスを対象とし、僧帽弁は、弁輪および弁尖を有する。一実施形態では、本デバイスは、弁尖の間の場所に位置付け可能な固着部材を有することができ、固着部材の第1の部分は、弁輪の対応する寸法よりも大きい寸法まで拡張可能である。この実施形態では、固着部材の上流移動が、弁輪上または付近の組織との上流部分の係合によって遮断される。固着部材はまた、第2の部分を含むこともできる。本デバイスはまた、固着部材の第2の部分に連結される弁支持体を含むこともでき、弁支持体の上流領域は、少なくとも固着部材の第1の部分から半径方向内向きに離間される。弁支持体は、人工弁を支持するように構成することができる。
【0023】
別の配列では、弁輪および弁尖を有する天然弁に埋め込むためのデバイスは、弁輪の下流の弁尖の内向き表面に係合するように構成される上流端、および下流端を有する、双曲面固着部材を含むことができ、上流端は、下流端よりも大きい断面積を有する。本デバイスはまた、固着部材の中に位置付けられ、人工弁を支持するように構成される、弁支持体を含むこともできる。弁支持体は、上流端から実質的に下流に離間した場所で固着部材に連結され、上流端において固着部材に連結されていない。
【0024】
本開示の他の側面は、患者の天然心臓弁の修復または置換のための人工心臓弁デバイスを対象とし、心臓弁は、弁輪および弁尖を有する。一実施形態では、本デバイスは、第1の断面寸法を有する第1の部分、および第1の断面寸法よりも小さい第2の断面寸法を有する第2の部分を有する、固着部材を含む。第1の部分は、心臓組織に係合して、弁輪に対して固定縦方向位置で固着部材を保持するように構成される。本デバイスはまた、固着部材の第2の部分に連結され、人工弁を支持するように構成される、弁支持体を含むこともできる。弁支持体は、弁支持体を実質的に変形させることなく、第1の部分が内向きに変形することができるように、固着部材の第1の部分から半径方向に分離することができる。
【0025】
さらなる配列では、本開示はまた、天然心臓弁に埋め込むためのデバイスも対象とする。本デバイスは、心臓弁の天然弁輪の上または下流の組織に係合するように構成される上流端を有する、固着部材と、人工弁を支持するように構成される弁支持体とを含むことができる。弁支持体は、固着部材に連結することができる。いくつかの配列では、固着部材は、天然弁尖の後ろに延在するデバイスの要素を伴わずに、デバイスの上流移動に抵抗することができる。
【0026】
別の実施形態では、本デバイスは、天然弁尖の間に位置付け可能な固着部材を含むことができる。固着部材は、上流方向へのデバイスの移動を防止するよう、弁輪上または付近の心臓組織に係合するように構成される、複数の組織係合要素を上流端上および/または外面上に有することができる。本デバイスはまた、固着部材の内部内に位置付けられ、固着部材の下流部分に連結される弁支持体を含むこともでき、弁支持体は、少なくとも固着部材の上流部分から半径方向に分離される。
【0027】
本開示のさらなる実施形態は、上部領域、下部領域、および人工弁を保持する内部を有する、支持構造を含む、弁輪および一対の弁尖を有する天然僧帽弁の修復または置換のためのデバイスを対象とする。本デバイスはまた、支持構造の少なくとも一部分を包囲する固着部材を含むこともでき、固着部材は、弁尖の間に位置付け可能であり、菱形パターンに配列された複数の可撓性要素(例えば、ワイヤ、レーザ切断金属要素等)、上部分、および下部分を有する。固着部材の上部分は、弁輪上または付近の心臓組織に係合して、上流方向へのデバイスの移動を阻止するよう、可撓性要素の近位端が半径方向外向きを指すように、近位方向へ外向きに口広であり得る。支持構造の下部領域は、固着部材の下部分に連結することができ、支持構造の下部領域は、少なくとも固着部材の口広上部分の変形から機械的に隔離することができる。
【0028】
本開示の他の実施形態は、円筒形支持体と、円筒形支持体とは別個の構造によって画定される固着体とを有する、人工心臓弁デバイスを対象とする。円筒形支持体は、縦軸と、それを通って血液が流れ得る縦軸に沿った内部とを有することができる。固着体は、僧帽弁の弁輪下組織に係合するように構成される外向きに口広の上流端を伴って、非円形断面を有することができる。固着体はまた、円筒形支持体を包囲し、上流端と反対側の下流端において支持体に連結することもできる。
【0029】
さらなる実施形態では、本デバイスは、2つの弁尖の間の配置のために構成される拡張可能な弁支持体を含むことができる。支持体は、第1の領域と、第2の領域と、弁が連結され得る内部とを有してもよい。本デバイスはまた、第1の部分および第2の部分を有する、固着部材を含むこともでき、第2の部分は、弁支持体の第2の領域に連結される。固着部材の第1の部分は、第2の部分から離れて外向きに延在することができる。固着部材は、弁輪上または付近の組織に係合するように構成される第1の周囲を第1の部分において有することができる。固着部材は、第1の周囲において、またはその付近で半径方向に及ぼされる力が、弁支持体の形状を実質的に変化させないように、弁支持体から機械的に隔離することができる。
【0030】
付加的な実施形態は、内側フレームと、内側フレームに連結される外側フレームとを含む、患者の心臓弁を治療するデバイスを対象とする。内側フレームは、外面と、人工弁を支持するように構成される内面とを有することができる。外側フレームは、僧帽弁輪の対応する断面寸法よりも大きい断面寸法を伴う上部分を有することができ、上部分は、僧帽弁輪における、またはそれより下側の組織に係合するように構成される。上部分はまた、心室収縮期中に上向きまたは上流方向へのデバイスの移動を防止することもできる。さらに、外側フレームの上部分は、内側フレームから機械的に隔離することができる。
【0031】
さらなる実施形態では、本デバイスは、円筒形の内側骨格と、内側骨格に連結され、弁輪の下流の弁尖の間に位置付け可能な外側骨格とを含むことができる。外側骨格が、非円形断面に変形可能であり得る一方で、内側骨格は、断面が実質的に円形のままである。内側骨格は、人工弁が連結され得る、内部を有することができる。外側骨格は、複数の可撓性要素(例えば、ワイヤ、レーザ切断金属要素等)を有することができ、可撓性要素の少なくとも一部分は、上流方向へのデバイスの移動を防止するよう、天然弁輪下組織に係合するように構成することができる。一実施形態では、複数の可撓性ワイヤは、菱形構成で配列される。
【0032】
その上さらなる実施形態では、人工僧帽弁デバイスは、上流および下流端と、弁が連結され得る内部と、周囲とを有する、弁支持体を含むことができる。本デバイスはまた、口広上流部分と、弁支持体の周囲に連結される下流部分とを有する、固着部材を含むこともできる。上流部分は、弁支持体から機械的に隔離することができ、天然僧帽弁の弁輪下組織に係合するように構成することができる。加えて、本デバイスは、弁支持体および固着部材が半径方向に収縮させられる、第1の構成を含む、複数の構成に移動可能であり得、弁支持体は、第1の断面形状を有する。本デバイスはまた、弁支持体および固着部材が半径方向に拡張させられ、弁支持体が第2の断面形状を有する、第2の構成に移動することもできる。加えて、本デバイスは、固着部材が弁輪下組織と係合させられ、それによって変形させられる一方で、弁支持体は第2の断面形状でとどまる、第3の構成に移動することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、本デバイスは、固着部材または弁支持体から天然僧帽弁輪の少なくとも部分的に上流の位置まで延在する、心房保持体を備えてもよい。心房拡張部材は、デバイスをさらに安定化または固着するために、弁輪の上流表面(例えば、弁輪上表面)および/または心房の内壁に係合するように適合される、心房係合構造を備えてもよい。例えば、心房保持体は、デバイスの下流移動を阻止することができる。
【0034】
本デバイスのいくつかの実施形態はさらに、デバイスが傾転すること、または横方向に変位させられることを阻止するように、1つ以上の安定化部材を備えてもよい。安定化部材は、弁支持体および/または固着部材から半径方向外向きに延在する複数のアームを備えてもよい。アームは、天然弁尖の後ろに延在するように、および/または心室壁あるいは乳頭筋と係合するように構成されてもよい。
【0035】
本開示の別の側面による、さらなる実施形態は、天然僧帽弁に埋め込むためのデバイスを対象とし、天然僧帽弁は、弁輪および弁尖を有する。本デバイスは、上流および下流端と、弁が連結され得る内部と、外面とを有する、弁支持体を含むことができ、かつ第1の口広上流部分と、弁支持体の外面に連結される第1の下流部分とを有する、第1の固着部材を含むことができる。他の実施形態では、第1の下流部分は、弁支持体の内面に、またはいくつかの実施形態では、弁支持体の端部に連結することができる。本デバイスはまた、第1の固着部材を少なくとも部分的に包囲する、第2の固着部材を含むこともできる。第1の固着部材の第1の上流部分は、弁支持体から機械的に隔離し、天然僧帽弁の弁輪上組織に係合するように構成することができる。第2の固着部材は、第2の口広上流部分と、弁支持体の外面に連結される第2の下流部分とを有することができ、第2の上流部分は、弁支持体から機械的に隔離することができ、天然僧帽弁の弁輪下組織に係合するように構成される。
【0036】
その上さらなる実施形態では、埋込のためのデバイスは、弁輪の上または下流の天然組織に係合するように構成される、半径方向に拡張可能な固着部材を含むことができる。固着部材は、後尖に面した側に第1の縦方向長さ、および前尖に面した側に第2の長さを有することができる。ある実施形態では、第1の長さは、左心室流出路(LVOT)の閉塞が制限されるように、第2の長さよりも大きくあり得る。本デバイスはまた、内部に、または固着部材の端部に連結される、弁支持体、または代替として人工弁を含むこともできる。
【0037】
本技術の他の実施形態は、弁輪および弁尖を有する天然僧帽弁に埋め込むためのデバイスを提供し、本デバイスは、上流および下流端と、弁が連結され得る内部と、外面とを有する、弁支持体を含む。本デバイスはまた、口広上流部分と、弁支持体の外面に連結される下流部分とを有する、固着部材を含むこともでき、上流部分は、上部リングと、上部リングに連結される下部リングとを有することができる。本デバイスはさらに、固着部材の円周の周囲に分布し、上部リングを下部リングに連結する、複数の可撓性弁輪係合要素を含むことができる。下部リングは、弁輪が上部および下部リングの間、ならびに弁輪係合要素内で受容されるように、上部リングに向かって上流方向に移動するように構成される。
【0038】
本開示はさらに、血管内または他の低侵襲形態のアクセスを使用する、人工弁および他のデバイスの送達のためのシステムを提供する。例えば、本技術の実施形態は、僧帽弁が弁輪を有する、患者の僧帽弁を治療するシステムを提供する。本システムは、本明細書で説明されるような僧帽弁を治療するデバイスと、カテーテル内でデバイスを保持するように構成される管腔を有する、カテーテルとを備える。
【0039】
他の側面では、患者の天然弁を置換するためのシステムが提供される。本システムは、遠位端および近位端を有する、細長いカテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端に連結され、閉鎖端および開放端を有する、筐体とを含むことができる。本システムはまた、筐体に対して軸方向に移動可能である筐体内のプランジャと、アクチュエータを移動させることによりプランジャに対して軸方向に筐体を移動させるように、カテーテル本体の近位端においてプランジャに連結されるアクチュエータとを含むこともできる。本システムはさらに、折り畳み構成および拡張構成を有する、人工弁デバイスを含むことができる。人工弁デバイスは、折り畳み構成で筐体の中に位置付け可能であり得、アクチュエータを移動させることによって筐体から近位に解放可能であり得る。
【0040】
さらに別の側面では、本技術の実施形態は、患者の心臓弁を治療する方法を提供する。僧帽弁は、弁輪および弁輪に連結された弁尖を有する。本方法は、弁輪内で、または弁輪に隣接して、本明細書で説明されるようなデバイスを埋め込むステップを含むことができる。本デバイスは、いくつかの実施形態では、固着部材に連結され、それによって少なくとも部分的に包囲される弁支持体を含むことができる。固着部材は、弁尖の間に配置することができ、固着部材の上流部分は、弁輪の上または下流の組織に係合して、上流方向へのデバイスの移動を防止するように構成することができる。さらに、弁支持体は、少なくとも上流部分において固着部材から機械的に隔離することができる。
【0041】
その上さらなる側面では、本技術の実施形態は、弁輪および弁尖を有する天然僧帽弁の置換のための方法を提供する。本方法は、デバイスが折り畳み構成である間に、弁尖の間に本明細書で説明されるようなデバイスを位置付けるステップを含むことができる。本方法はまた、人工装具の固着部材が弁輪の上または下流の組織に係合する弁輪下位置にあるように、人工装具が拡張することを可能にするステップを含むこともできる。固着部材は、弁輪下位置で、弁輪の対応する直径よりも大きい直径を有することができる。本方法はさらに、弁支持体が固着部材内で拡張することを可能にするステップを含むことができ、弁支持体は、固着部材に連結される。種々の実施形態では、弁支持体は、固着部材が組織に係合するときの固着部材の変形が、弁支持体を実質的に変形させないように、固着部材から機械的に隔離することができる。いくつかの配列では、弁支持体のある領域は、変形してもよいが、人工弁を保持するために好適な支持領域は、人工弁の弁尖接合が損なわれないように、実質的に変形しない。
【0042】
本明細書で開示されるデバイスおよび方法は、僧帽弁等の非円形で非対称形状の弁および二葉弁または二尖弁を治療するために構成することができる。本明細書で開示されるデバイスおよび方法の多くはさらに、心臓または天然弁が漸進的拡大または歪曲を受け得る状態でさえも、人工装具の長期的(例えば、永久的)で確実な固着を提供することができる。
【0043】
(心臓および僧帽弁生理学)
図1および2は、正常な心臓Hを示す。心臓は、肺静脈PVを介して肺から酸素を豊富に含む血液を受容し、僧帽弁MVを通して、この酸素を豊富に含む血液を左心室LVの中へ送出する、左心房を備える。収縮期の正常な心臓Hの左心室LVが、
図2で図示されている。左心室LVは、収縮しており、血液は、矢印の方向へ大動脈弁AVを通って外向きに流れる。僧帽弁は、左心室内の圧力が左心房LA内の圧力よりも高いときに逆流を防止する「逆止弁」として構成されるため、僧帽弁MVを通る血液の逆の流れまたは「逆流」が防止される。
【0044】
僧帽弁MVは、
図2で図示されるように、閉鎖するように均等に交わる、または「接合」する、遊離縁FEを有する一対の弁尖を備える。弁尖LFの反対端は、弁輪ANと呼ばれる組織の環状領域を介して、周辺心臓構造に付着している。
図3は、僧帽弁の弁輪および弁尖の概略断面側面図である。図示されるように、弁尖LFの反対端は、弁尖組織LFならびに心臓壁の隣接筋組織の両方と明確に異なる、弁輪ANと呼ばれる密性結合組織の線維輪を介して、周辺心臓構造に付着している。弁尖LFおよび弁輪ANは、様々な強度、靱性、線維性、および可撓性を有する、異なる種類の心臓組織から成る。さらに、僧帽弁MVはまた、本明細書では弁尖/弁輪接続組織LAC(重複平行線によって示される)と呼ばれる、各弁尖LFを弁輪ANに相互接続する組織の独特な領域を備えてもよい。一般に、弁輪組織ANは、弁尖組織LFよりも強靱、線維性、かつ強い。
【0045】
図2を参照すると、僧帽弁尖LFの遊離縁FEは、弁尖LFのそれぞれの下面を覆って固定された複数の分岐腱を含む、腱索CT(本明細書では「腱索(chordae)」と呼ばれる)を通して、左心室LVの下部分に固定される。腱索CTは、ひいては、左心室LVおよび心室中隔IVSの下壁から上向きに延在する、乳頭筋PMに付着している。
【0046】
ここで
図4A-4Bを参照すると、心臓内のいくつかの構造欠陥が、僧帽弁逆流を引き起こし得る。
図4Aに示されるように、不十分な張力が腱索を介して弁尖に伝達されるため、断裂した腱索RCTが、弁尖LF2を逸脱させ得る。他の弁尖LF1が正常な外形を維持する一方で、2つの弁尖は適正に交わらず、左心室LVから左心房LAの中への漏出が、矢印によって示されるように起こるであろう。
【0047】
逆流はまた、
図4Bに示されるように、心臓が拡張され、増大したサイズが、弁尖LFが適正に交わることを妨げる、心筋症に罹患している患者でも起こる。心臓の拡大は、僧帽弁輪を拡大させ、遊離縁FEが収縮期中に交わることを不可能にする。前尖および後尖の遊離縁は、通常、
図5Aに示されるように接合線Cに沿って交わるが、
図5Bに示されるように、有意な間隙Gが、心筋症に罹患している患者において残され得る。
【0048】
僧帽弁逆流はまた、
図4Aで図示されるように、乳頭筋PMの機能が損なわれている、虚血性心疾患に罹患した患者でも起こり得る。左心室LVが収縮期中に収縮すると、乳頭筋PMは、適正な閉鎖を達成するように十分接触しない。次いで、弁尖LF1およびLF2の一方または両方が逸脱する。再度、漏出が左心室LVから左心房LAへ起こる。
【0049】
図5A-5Cはさらに、僧帽弁の弁尖Lの形状および相対サイズを図示する。
図5Cを参照すると、全体的な弁は、長軸MVA1および短軸MVA2を伴う略「D」字形または腎臓のような形状を有することが分かり得る。健康なヒトでは、長軸MVA1は、典型的には、長さが約33.3mmから約42.5mm(37.9+/-4.6mm)の範囲内であり、短軸MVA2は、長さが約26.9から約38.1mm(32.5+/-5.6mm)の範囲内である。しかしながら、減少した心機能を有する患者では、これらの値は、より大きくあり得、例えば、MVA1は、約45mmから55mmの範囲内であり得、MVA2は、約35mmから約40mmの範囲内であり得る。接合線Cは、曲線状またはC字形であり、それにより、比較的大きい前尖ALおよび実質的により小さい後尖PLを画定する(
図5A)。両方の弁尖は、前尖ALが弁の中央で後尖よりも実質的に幅広い、上または心房側から略三日月形に見える。
図5Aで図示されるように、接合線Cの対向端において、弁尖は、それぞれ、前外側交連ACおよび後内側交連PCと呼ばれる角でともに接合する。
【0050】
図5Cは、僧帽弁輪の形状および寸法を示す。弁輪は、弁尖LFよりも厚くて強靱であり、心室および心房壁の筋組織とは明確に異なる線維組織から成る、弁の周囲の環状領域である。弁輪は、頂点間軸IPDに沿って位置する第1の頂点部分PP1および第2の頂点部分PP2、ならびに谷間軸IVDに沿って位置する第1の谷部分VP1および第2の谷部分VP2を伴う、鞍様形状を含んでもよい。第1および第2の頂点部分PP1およびPP2は、2つの谷部分VP1、VP2の底を含有する面に対して高度がより高く、典型的には、ヒトでは、約8~19mm高く、したがって、弁に全体的な鞍様形状を与える。頂点間範囲IPDと呼ばれる、第1および第2の頂点部分PP1、PP2の間の距離は、第1および第2の谷部分VP1、VP2の間の距離である、谷間範囲IVDよりも実質的に短い。
【0051】
当業者であれば、患者の寸法および生理学が患者間で変化し得、一部の患者が異なる生理学を含み得るが、本明細書で説明されるような教示は、僧帽弁の種々の状態、寸法、および形状を有する多くの患者によって使用するために適合できることを認識するであろう。例えば、実施形態に関する研究は、一部の患者が、境界明瞭な頂点および谷部分を伴わずに、弁輪を横断する長い寸法および弁輪を横断する短い寸法を有し得、それに従って、本明細書で説明されるような方法およびデバイスを構成できることを示唆する。
【0052】
(僧帽弁へのアクセス)
僧帽弁または他の房室弁へのアクセスは、経皮的に患者の血管系を通して達成することができる。経皮的とは、典型的には、例えば、Seldinger技法を通した針アクセスの使用等の外科的切開手技または低侵襲手技を使用して、心臓から遠隔にある血管系の場所が皮膚を通してアクセスされることを意味する。遠隔血管系に経皮的にアクセスする能力は、周知であり、特許および医学文献で説明されている。血管アクセスの点に応じて、僧帽弁へのアプローチは、順行性であり得、心房中隔を横断することによる左心房の中への進入に依存し得る。代替として、僧帽弁へのアプローチは、大動脈弁を通して左心室に進入する、逆行性であり得る。いったん経皮的アクセスが達成されると、介入ツールおよび支持カテーテルが、本明細書で説明されるように種々の様式で、血管内で心臓まで前進させられ、標的心臓弁に隣接して位置付けられてもよい。
【0053】
経中隔アプローチを使用して、下大静脈IVCまたは上大静脈SVCを介して、右心房RAを通り、心房中隔IASを横断して、僧帽弁MVより上側の左心房LAの中へ、アクセスが得られる。
【0054】
図6Aに示されるように、針2を有するカテーテル1が、下大静脈IVCから右心房RAの中へ前進させられてもよい。いったんカテーテル1が心房中隔IASの前側に到達すると、針2は、例えば、左心房LAの中への卵円窩FOまたは卵円孔において、中隔を貫通するように前進させられてもよい。この時点で、ガイドワイヤが針2と交換され、カテーテル1が引き出されてもよい。
【0055】
図6Bに示されるように、心房中隔IASを通したアクセスは、通常、典型的には、上記で説明されるように配置されたガイドワイヤ6上のガイドカテーテル4の配置によって、維持されてもよい。ガイドカテーテル4は、本明細書でさらに詳細に説明されるように、デバイスの導入を可能にして僧帽弁を置換するように、後続のアクセスを得る。
【0056】
代替的な順行性アプローチ(図示せず)では、好ましくは肋骨を除去することなく、肋間切除を通して、外科的アクセスが得られてもよく、小さい穿孔および切開が左心房壁に加えられてもよい。次いで、ガイドカテーテルが、この穿孔および切開を通して左心房の中へ直接配置され、巾着縫合によって密閉されてもよい。
【0057】
上記で説明されるような僧帽弁への順行性または経中隔アプローチは、多くの点で有利であり得る。例えば、順行性アプローチの使用は、通常、ガイドカテーテルおよび/または人工弁デバイスのより正確かつ効果的な中心化および安定化を可能にするであろう。正確な位置付けは、人工弁デバイスの配置の精度を促進する。順行性アプローチはまた、カテーテルおよび介入ツールの導入および操作中に弁下デバイスを損傷するリスクを低減させ得る。加えて、順行性アプローチは、逆行性アプローチの場合のような大動脈弁の横断と関連付けられるリスクを減少させ得る。これは、全くまたは相当な損傷のリスクを伴わずに横断することができない、人工大動脈弁がある患者に特に関係があり得る。
【0058】
僧帽弁への逆行性アプローチの実施例が、
図7および8で図示されている。僧帽弁MVは、大動脈弓AAから、大動脈弁AVを横断して、僧帽弁MVより下側の左心室LVの中へのアプローチによってアクセスされてもよい。大動脈弓AAは、従来の大腿動脈アクセス経路を通して、ならびに上腕動脈、腋窩動脈、橈骨動脈、または頸動脈を介したより直接的なアプローチを通してアクセスされてもよい。そのようなアクセスは、ガイドワイヤ6の使用により達成されてもよい。いったん定位置になると、ガイドカテーテル4は、ガイドワイヤ6上で追跡されてもよい。代替として、好ましくは、肋骨を除去することなく肋間で、大動脈自体の穿孔を通してガイドカテーテルを配置し、胸部の切開を通して、外科的アプローチがとられてもよい。ガイドカテーテル4は、本明細書でさらに詳細に説明されるように、人工弁デバイスの配置を可能にするように後続のアクセスを得る。
【0059】
いくつかの特定の場合において、僧帽弁への逆行性動脈アプローチが、ある利点により選択されてもよい。例えば、逆行性アプローチの使用は、経中隔穿孔の必要性を排除することができる。逆行性アプローチはまた、より一般的には、心臓専門医によって使用されており、したがって、精通しているという利点がある。
【0060】
僧帽弁への付加的なアプローチは、
図9に示されるように、経心尖穿孔を介する。このアプローチでは、心臓へのアクセスは、従来の開胸術または胸骨切開術、あるいはより小さい肋間または剣状突起下切開または穿孔であり得る、胸部切開を介して獲得される。次いで、アクセスカニューレが、心尖における、またはその付近の左心室の壁の中の、巾着縫合によって密閉される穿孔を通して配置される。次いで、本発明のカテーテルおよび人工装具は、このアクセスカニューレを通して左心室に導入されてもよい。
【0061】
経心尖アプローチは、僧帽または大動脈弁へのより短く真っ直ぐな直線経路を提供するという特徴を有する。さらに、それが血管内アクセスを伴わないため、経心尖手技は、他の経皮的アプローチで必要とされるカテーテル法を行うために介入心臓学の必要な訓練を受けていない場合がある外科医によっても行うことができる。
【0062】
人工治療デバイスは、該アプローチのために特異的に設計されてもよく、またはアプローチ間で交換可能であり得る。当業者であれば、本明細書で説明される実施形態に従って、個別患者のための適切なアプローチを識別し、識別されたアプローチのための治療装置を設計することができる。
【0063】
人工弁デバイスの配向および操縦は、多くの既知のカテーテル、ツール、およびデバイスと組み合わせることができる。そのような配向は、所望の結果を達成するように、所望の場所へのデバイスの全体的な操縦、次いで、デバイス構成要素の精密な操縦によって達成されてもよい。
【0064】
全体的な操縦は、いくつかの方法によって達成されてもよい。操縦可能なガイドワイヤが、ガイドカテーテルおよび人工治療デバイスを適正な位置に導入するために使用されてもよい。ガイドカテーテルは、例えば、患者の鼠径部内の大腿動脈への外科的切開またはSeldingerアクセスを使用して導入されてもよい。ガイドワイヤを配置した後、ガイドカテーテルが、ガイドワイヤ上で所望の位置に導入されてもよい。代替として、上記で説明される他の経路を通して、より短い異なる形状のガイドカテーテルを導入することができる。
【0065】
ガイドカテーテルは、僧帽弁に対する所望の配向を提供するように事前成形されてもよい。経中隔アプローチを介したアクセスのために、ガイドカテーテルは、それを通ってガイドカテーテルが延在する中隔穿孔の場所から僧帽弁に向かって遠位端を配向するように、その先端で曲線状、傾斜、または他の好適な形状を有してもよい。
図7および8に示されるような逆行性アプローチについては、ガイドカテーテル4は、大動脈弓AAを越え、大動脈弁AVを通して配置された後に、僧帽弁MVに向かって旋回するように構成される、事前成形されたJ先端を有してもよい。
図7に示されるように、ガイドカテーテル4は、介入ツールまたはカテーテルの配向が僧帽弁MVの軸とより密接に整合させられるように、左心室LVの中へ下方に延在し、J字形構成を成すように構成されてもよい。いずれにしても、事前成形されたガイドカテーテルは、ガイドカテーテルの管腔を通過させられるスタイレットまたは剛性ガイドワイヤを用いて、血管内送達のために真っ直ぐにされるように構成されてもよい。ガイドカテーテルはまた、より微細な操縦調整のために、その形状を調整する引張ワイヤまたは他の手段を有する場合もある。
【0066】
(人工心臓弁デバイスおよび方法の選択された実施形態)
本明細書で説明されるような本技術の実施形態は、本明細書で説明されるように心臓の弁のうちの1つ以上を治療するために使用することができ、特定の実施形態では、僧帽弁の治療のために使用することができる。本技術の実施形態による、人工心臓弁デバイス、システム構成要素、および関連方法の実施例が、
図10A-56を参照してこの節で説明される。
図10A-56を参照して説明される実施形態の特定の要素、下部構造、利点、用途、および/または他の特徴は、本技術の付加的な実施形態によれば、相互と、および/または
図57A-71を参照して説明される実施形態と好適に入れ替え、置換し、または別様に構成できることが理解されるであろう。さらに、
図10A-71を参照して説明される実施形態の好適な要素は、独立型および/または内蔵型デバイスとして使用することができる。
【0067】
システム、デバイス、および方法が、患者の心臓内の人工心臓弁の経皮的埋込のために本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、方法およびデバイスが、人工置換心臓弁の低侵襲埋込による、弁疾患の治療のために提示される。一実施形態では、人工置換弁は、患者の心臓内の左心房と左心室との間の僧帽弁の埋込および置換に好適な人工弁デバイスであり得る。別の実施形態では、人工弁デバイスは、患者の心臓内の別の弁(例えば、二尖または三尖弁)の埋込または置換に好適であり得る。
図10Aは、本技術の実施形態による、拡張構成102の人工心臓弁デバイス100の等角図を示し、
図10Bは、心臓の左心房、左心室、および天然僧帽弁を描写する心臓の断面図の概略図である。
図10Bはまた、心臓の天然僧帽弁領域に埋め込まれた拡張可能な人工弁デバイス100の実施形態も示す。
【0068】
図10Aに示されるように、デバイス100は、少なくとも部分的に内側弁支持体120を包囲し、それに連結される可撓性固着部材110を含むことができる。デバイス100はさらに、弁支持体120に連結され、その内側に載置され、または別様にそれによって担持される、人工弁130を含むことができる。
図10C-10Fは、それぞれ、本技術による、人工心臓弁デバイス100の側面、斜視切断、上面、および底面図である。デバイス100はまた、1つ以上の密閉部材140と、組織係合要素170とを含むこともできる。例えば、密閉部材140は、一実施形態では、デバイス100と天然組織との間、および/または固着部材110と弁支持体120との間の弁傍(例えば、補綴近傍)漏出を防止するように、固着部材110の内面141の周囲に、および/または弁支持体120の外面127の周囲に延在することができる。別の具体的実施形態では、
図10Aに示されるように、組織係合要素170は、固着部材110の上流周囲113の上に配置されたスパイクであり得、天然組織に係合し、いくつかの実施形態では天然組織を貫通して、保持を促進し、または所望の埋込場所でデバイスの位置を保持するように、上向きおよび/または半径方向外向き方向に延在することができる。組織係合要素170はまた、固着部材110の外壁142の周囲に含まれてもよく、天然弁尖または他の隣接組織に係合し、いくつかの実施形態ではそれを貫通するように外向きに延在することができる。加えて、弁支持体120は、本明細書でさらに説明されるように、送達カテーテル(図示せず)内およびそこからのデバイス100の装填、保持、および展開を促進するように、上流端121の周囲に小穴等の複数の連結特徴180を有することができる。
【0069】
人工心臓弁デバイス100は、送達構成(図示せず)、拡張構成102(
図10A)、および展開構成104(
図10B)の間で移動可能であり得る。送達構成では、人工心臓弁デバイス100は、本明細書で説明される経中隔、逆行性、または経心尖アプローチを介して心臓の中に位置付けられる小径ガイドカテーテルを通した送達に好適な薄型外形を有する。いくつかの実施形態では、人工心臓弁デバイス100の送達構成は、好ましくは、僧帽弁MVへの経中隔アプローチについては約8~10mm、逆行性アプローチについては約8~10mm、または経心尖アプローチについては約8~12mmを超えない大きさの外形を有するであろう。本明細書で使用されるように、「拡張構成」は、拘束または歪曲力の存在がなく、非拘束サイズに自由に拡張させられたときのデバイスの構成を指す。本明細書で使用されるような「展開構成」は、いったん天然弁部位で拡張させられ、天然生体構造によって及ぼされる拘束または歪曲力を受けているデバイスを指す。
【0070】
再び
図3を参照すると、本明細書で使用されるような「弁輪下」は、天然口の面POの上または下流DNに位置する僧帽弁MVの一部分を指す。本明細書で使用されるように、天然弁口の面POは、長軸MVA1または短軸MVA2のいずれか一方または両方を含有する、弁を通る血流の方向と略垂直な面である(
図5C)。したがって、僧帽弁MVの弁輪下表面は、面POの心室側に位置する組織表面であり、好ましくは、左心室LVに向かって略下流に面するものである。弁輪下表面は、弁輪AN自体、または天然弁尖LFの後ろの心室壁上に配置されてもよく、あるいは、面POより下側に位置する、内向きIFまたは外向きOFのいずれか一方の天然弁尖LFの表面を備えてもよい。したがって、弁輪下表面または弁輪下組織は、弁輪AN自体、天然弁尖LF、弁尖/弁輪結合組織、心室壁、またはそれらの組み合わせを備えてもよい。
【0071】
手術中、人工心臓弁デバイス100は、送達カテーテル(図示せず)内で送達(例えば、折り畳み)構成である間に、僧帽弁MV付近の心臓内の場所等の心臓内の所望の場所に血管内送達することができる。
図10Bを参照すると、デバイス100は、天然弁輪AN内、またはその下流の位置まで前進させることができ、そこでデバイス100は、拡張構成102に向かって拡大するように送達カテーテルから放出することができる(
図10A)。デバイス100は、所望の場所で天然組織に係合し、デバイス100の形状を展開構成104に変形または別様に変化させるであろう(
図10B)。いったんカテーテルから放出されると、デバイス100は、収縮期力に抵抗し、デバイス100の上流移動を防止するよう、可撓性固着部材110の少なくとも一部分が天然弁の弁輪下表面に係合するように、位置付けることができる(
図10B)。
図10Bで図示される実施形態では、固着部材110の上流周囲113は、外向きに押勢され、天然弁輪ANの下で折り畳まれる、天然弁尖LFの内向き表面IF(
図3)に係合する。弁尖LFは、弁輪ANの心室側に係合し、上流方向にさらに押勢されることを妨げられ、したがって、天然弁輪の面より下側で固着部材110を維持する。組織係合要素170は、デバイス100を安定させてしっかりと固着するように、弁尖LFおよび/または弁輪ANの組織を貫通することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、固着部材110のいくつかの部分は、弁輪ANより上側に延在してもよく、固着部材110の少なくともいくつかの部分が、左心房LAに向かったデバイス100の移動を防止するように弁輪下の場所で組織に係合する。
図10Bに示されるように、弁尖LFは、固着部材110の外壁142に対して並列に位置し、密閉部材140との血液密閉シールを形成することができる。組織係合要素170は、デバイス100をさらに安定させて移動を防止するように、固着部材110の外壁142に沿って、弁輪ANまたは弁尖LFに対して圧力を印加するか、または別の実施形態ではそれらを貫通することができる。
【0072】
本技術の側面によれば、固着部材110の近位または上端は、展開構成104である間に、不規則な形状の僧帽弁輪ANに一致し、デバイスを固着するように、および弁傍漏出を防止するように、天然弁輪ANに対してデバイス100を効果的に密閉する。本明細書でさらに説明されるように、固着部材110は、固着部材110が天然力に適応および/または一致し得る一方で、弁支持体120がその構造完全性を維持するように、心臓に存在する歪曲力から弁支持体120を機械的に隔離する。したがって、固着部材110は、天然生体構造によって固着部材110に及ぼされる力から弁支持体120を機械的に隔離するような様式で、十分に可撓性および弾性であり得、および/または弁支持体120に連結することができる。代替として、または上記の特徴に加えて、弁支持体120は、その円筒形または他の所望の形状を維持するよう、および弁支持体構造120内に収納された人工弁130の適正な開放および閉鎖を確保するよう、より剛性であり得、および/または固着部材110の半径方向強度よりも優れた半径方向強度を有し得る。いくつかの実施形態では、弁支持体120は、固着部材110の半径方向強度よりも少なくとも100%、または他の実施形態では200%、およびさらなる実施形態では少なくとも300%大きい半径方向強度を有する。一実施形態では、弁支持体120は、約10Nから約12Nの半径方向強度を有することができる。したがって、その円周に対して半径方向圧縮力を及ぼすことによって、その不偏形状から変形させられた場合、弁支持体120は、所与の程度の変形について、固着部材110によって示されるであろうよりも約2倍から約20倍大きいフープ力を示すことができる。
【0073】
図10A-10Fで図示されるように、固着部材110は、下流部分111と、デバイス100の縦軸101に対して下流部分111と反対側の上流部分112とを有する。固着部材110の上流部分112は、
図10Dに示されるように、デバイス100の略外向き配向部分であり得る。一実施形態では、固着部材110は、二層双曲面の形状等の略双曲面形状を有する。別の実施例では、下流部分111が、断面が実質的に円形であり得る一方で、上流部分112は、略非円形であり得る。いくつかの実施形態では、固着部材110は、いくつかの実施形態では、変形可能および/または可撓性コネクタ116によって円周方向に接続される、一連の円周方向に位置付けられた、弾性的に変形可能な可撓性縦方向リブ114を含むことができる。いったん展開されると、縦方向リブ114の上流端の少なくとも一部分は、天然弁(例えば、僧帽弁)の弁輪下表面に係合する。以下でさらに詳細に説明されるように、縦方向リブ114のある実施形態は、弁輪下組織を貫通し、デバイス100を固着してさらに安定させるように構成される。
【0074】
加えて、
図10A-10Fはまた、縦方向リブ114および/または円周方向コネクタ116が、種々の幾何学的パターンで配列されてもよいことも図示する。
図10A-10Fに示される実施例では、コネクタ116は、山形構成で形成される。当業者であれば、菱形パターン、正弦波構成、閉鎖セル、開放セル、または他の円周方向に拡張可能な構成も可能であることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、縦方向リブ114は、それらの長さに沿って、例えば、コネクタ116が縦方向リブ114と相互接続する、複数の分離したセグメント(図示せず)に分割されてもよい。複数のコネクタ116およびリブ114は、変形可能な材料から、または弾性あるいは形状記憶材料(例えば、ニチノール)から形成することができる。他の実施形態では、固着部材110は、縦方向リブ114および/または円周方向コネクタ116に加えて、またはそれらの代わりに、メッシュまたは織物構造を備えることができる。例えば、固着部材110は、菱形パターンまたは他の構成で配列された複数の可撓性ワイヤまたはフィラメントから形成された管または編組メッシュを含むことができる。別の実施例では、所望のリブまたは支柱幾何学形状を提供するように、金属管をレーザ切断することができる。菱形構成は、いくつかの実施形態では、弁支持体120の中に載置された弁130に対する収縮期血圧の力の下で、弁輪に対するデバイス100の移動を阻止するのに十分なカラム強度を提供することができる。特定の実施例では、固着部材120は、例えば、約0.010インチから約0.030インチの壁厚を有する、事前成形されたニチノール管で形成することができる。
【0075】
図11A-11Eは、
図10A-10Fに示される人工心臓弁デバイス100の実施形態で使用することができる、弁支持体120のいくつかの実施形態を示す。
図11A-11Dは、拡張構成102で示された弁支持体120の側面図および等角図であり、
図11Eは、本技術による、拡張構成102で配置された人工心臓弁デバイス100の別の実施形態の等角図である。
図10A-10Fおよび11A-11Eをともに参照すると、弁支持体120のいくつかの実施形態は、三尖弁または他の人工弁130を支持するように構成される円形、卵形、楕円形、腎臓形、D字形、または他の好適な断面形状を伴って、縦軸101の周囲に形成された上流端121および下流端123を有する、略円筒形であり得る。いくつかの実施形態では、弁支持体120は、複数の支柱124によって円周方向に接続された複数の柱122を含む。柱122および支柱124は、拡張し、人工弁130の完全性を維持するために十分な弾性およびカラム強度を提供することができる、種々の幾何学的パターンで配列することができる。例えば、複数の柱122は、カラム強度を弁支持体120に提供するように、複数列の支柱124を横断して縦方向に延在することができる。しかしながら、他の実施形態では、弁支持体120は、金属、ポリマー、または繊維メッシュあるいは織物構造を含むことができる。
【0076】
概して、複数の柱122は、縦軸101と略平行な軸方向に沿って延在することができ、支柱124は、縦軸101の周囲で円周方向に、かつ縦軸101に対して直角に延在することができる。柱122は、弁支持体120の縦高さH
1(
図11Aに示される)全体に延在することができ、または別の実施形態では、柱122は、弁支持体の高さH
1に沿って複数の独立した別個の柱セグメント(図示せず)を含むことができる。一実施形態では、高さH
1は、約14mmから約17mmであり得る。支柱124は、縦軸101の周囲に一連のリングを形成することができ、各リングは、円周方向に拡張可能な幾何学形状を有する。
図11A、11D、および11Eに示される実施例では、支柱124は、一連のジグザグに形成され、一連の菱形を形成するよう相互と180度面外で一対に配列される。代替的な拡張可能な幾何学形状は、正弦波パターン、山形構成(
図11B)、閉鎖セル(
図11C)、開放セル、または他の拡張可能な構成を含むことができる。複数の支柱124は、支柱および柱が交差する複数の節点125を画定するよう、複数の柱122に付着することができる。複数の支柱124および複数の柱122は、変形可能な材料から、または弾性あるいは形状記憶材料(例えば、ニチノール)から形成することができる。
【0077】
固着部材110および弁支持体120は、同一の材料、またはいくつかの実施形態では異なる材料で作製されてもよい。いくつかの実施形態では、固着部材110および弁支持体120の両方は、ステンレス鋼等の弾性生体適合性金属、MP35N等のニッケルコバルトまたはコバルトクロム合金、またはニチノール等のニッケルチタン合金を含む。ニチノール等の超弾性形状記憶材料は、デバイスが、カテーテルを介した血管系を通る送達に好適な非常に薄型の送達構成に折り畳まれることを可能にし、標的弁を置換するように好適にサイズ決定される展開構成への自己拡張を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、固着部材110および/または弁支持体120は、単一の金属管から所望の幾何学形状にレーザ切断し、相互接続された支柱の管状足場を作成することができる。次いで、固着部材110は、そのような材料のための既知の形状設定技法を使用して、所望の構成、例えば、口広、漏斗様、または双曲面形状に成形されてもよい。
【0078】
図11B-11Eに示されるように、弁支持体120は、内面126および外面127を有し、弁支持体120は、弁支持体120の内部管腔内で人工弁130を受容または支持して、逆行性血流(例えば、左心室から左心房の中への血流)を阻止するように構成される。したがって、弁支持体120は、人工弁組織を固定することができる足場を提供し、固着部材110に対して人工弁130の縦方向位置を維持するように十分な軸方向剛性を有する足場を提供することができる。弁支持体120はさらに、デバイス100が外部半径方向圧力を受けているときに、人工弁130の弁尖132が接合または別様に密閉することを確実にするように、円形(または他の所望の断面形状)を維持する半径方向剛性を有する、そのような足場を提供することができる。一実施形態では、弁支持体120は、人工弁に付着するか、または他の実施形態では、弁尖132の接合部分と整合させられるように構成される、縦軸101に沿った支持領域145を有することができる(
図11Bに示される)。
【0079】
弁130は、上流方向への血流を遮断し、弁支持体120を通る下流方向への血流を可能にするように適合される、一時的または永久的な弁を備えてもよい。弁130はまた、デバイス100が天然僧帽弁に埋め込まれた後に弁支持体120の中に配置されるように構成される、置換弁であってもよい。弁130は、複数の弁尖132を有することができ、PTFE、Dacron(登録商標)、熱分解炭素を含む、種々の可撓性かつ不透過性の材料、または心膜組織等の他の生体適合性材料あるいは生物組織、またはブタ心臓組織あるいはウシ心膜等の異種移植弁組織で形成されてもよい。弁130の他の側面が、以下でさらに説明される。弁支持体120の管腔内の内面126は、血液が弁支持体120の外部の周囲で漏出し得る、弁支持体120の内側から弁支持体120の外側への血流を防止するように、不透過性密閉部材140によって少なくとも部分的に覆うことができる。別の実施形態では、密閉部材140は、弁支持体120の外面127に添着することができ、いずれかの実施形態では、弁130と一体的に形成され、または弁130に直接取り付けられてもよい。付加的な実施形態では、密閉部材140は、弁支持体120の内面126および外面127の両方の少なくとも一部分の上に適用することができる。
【0080】
図11B-11Eに示されるように、人工弁130は、弁交連Cと整合するように構成される、柱122または交連付着構造128に縫合し、リベットで留め、接着し、結合し、機械的に相互係止し、または別様に締結することができる。柱122または交連付着構造128は、人工弁130の取付を促進する縫合糸または他の締結手段の取付を促進するように、その上に形成された小穴129、ループ、または他の特徴を含むことができる。一実施形態では、
図11Bに示されるように、取付構造128は、取付構造128が弁支持体120の円周に分布し、柱122として機能するように、弁支持体120の構造フレームに統合することができる。
図11Dに示される別の実施形態では、取付構造128は、(例えば、柱122の上端に沿って)柱122の部分上に形成された取付パッドであり得る。
図11Eに示されるさらなる実施形態では、取付構造128は、柱122、支柱124、あるいは弁支持体120の内面126に沿った他の構成要素に連結することができる別個の構造であり得る。
【0081】
図11Cで図示されるように、人工弁130はまた、上記で説明されるように、弁支持体120の内面126に取り付けられる、密閉部材140またはスリーブに取り付けられてもよい。いったん取り付けられると、人工弁130は、送達カテーテル(図示せず)に装填するためにデバイス100とともに折り畳むか、または圧縮するのに好適であり得る。一実施形態では、人工弁130は、三葉構成を有するが、二葉構成等の種々の代替的な弁構成が使用されてもよい。三葉対二葉構成の選択等の人工弁130の設計は、弁支持体120の好適な形状を判定するために使用することができる。例えば、三葉弁については、弁支持体120が、円形断面を有することができる一方で、二葉弁については、卵形またはD字形断面等の代替的な断面形状が可能である。特定の実施例では、弁支持体は、27mm等の約25mmから約32mmの円形断面直径を有することができる。
【0082】
いくつかの配列では、弁支持体120は、その中に事前に載置された永久人工弁を有することができ、または弁支持体120は、天然僧帽弁でのデバイス100の埋込に続いて、別個のカテーテル送達された弁を受容するように構成されてもよい。永久または置換弁が望ましい配列では、弁支持体120はさらに、内部管腔内に事前に載置された一時弁を含むことができる。デバイス100の配置と天然人工弁のさらなる埋込との間に、一定の期間が望ましい場合、弁支持体120に縫い込まれた、または弁支持体120内に別様に固定された一時弁が、その間に血流の調節を確保することができる。例えば、一時弁は、約15分から数時間または最大数日までの期間にわたって使用されてもよい。永久または置換人工弁は、一時弁内に埋め込まれてもよく、または一時弁が除去された後に埋め込まれてもよい。事前に組み立てられた経皮的人工弁の実施例は、例えば、Medtronic/Corevalve Inc.(Irvine, CA, USA)からのCoreValve ReValving(登録商標) System、またはEdwards Lifesciences(Irvine, CA, USA)からのEdwards-Sapien(登録商標)弁を含む。別個のカテーテル送達された弁を受容するように適合された場合、弁支持体120は、カテーテル送達された弁に係合し、その中でそれを保持するように、その内部管腔内に、またはその上端あるいは下端の上に、内向きに延在する隆起、段差、突起、またはフラップ等の特徴を有してもよい。本明細書で開示される人工心臓弁デバイスとともに使用するために好適な人工弁、一時弁、および置換弁の構造、送達、および取付に関する付加的な詳細および実施形態は、その内容全体が参照することにより本明細書に組み込まれる、2012年6月21日出願の「PROSTHETIC HEART VALVE DEVICES AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」と題された国際PCT特許出願第PCT/US2012/043636号で見出すことができる。
【0083】
いくつかの配列では、固着部材110は、弁支持体120とは別個の構造によって画定される。例えば、固着部材110は、第1または外側フレームまたは骨格であり得、弁支持体120は、第2または内側フレームまたは骨格であり得る。そのようなものとして、固着部材110は、弁支持体120を少なくとも部分的に包囲することができる。いくつかの実施形態では、固着部材110の下流部分111を弁支持体120に連結することができる一方で、上流部分112は、弁支持体120の形状に過度に影響を及ぼす様式で弁支持体120に接続または連結されない。例えば、いくつかの実施形態では、固着部材110の上流部分112は、弁輪の上または下の天然組織の形状に係合し、それに合わせて変形するように構成することができる一方で、弁支持体120の断面形状は、十分安定したままとなる。例えば、固着部材110が内向きに変形させられた場合、少なくとも弁支持体120の上流端121が、実質的に変形されないままとなるように、弁支持体120は(例えば、少なくとも上流端121で)、固着部材110の上流部分112から半径方向内向きに離間することができる。本明細書で使用されるように、「実質的に変形されていない」とは、弁支持体120が係合または変形させられていない状況を指すことができ、あるいは弁支持体120がわずかに変形することができるが、人工弁130が元の状態で有能なままである(例えば、弁尖132が逆行性血流を防止するように十分に接合する)シナリオを指すことができる。そのような配列では、デバイス100が収縮期圧力または心臓の送出作用からの力を受けているときでさえも、人工弁130の弁尖132は、十分に閉じることができる。
【0084】
縦方向リブ114および/または円周方向コネクタ116は、弁支持体120の柱122および/または支柱124ほど剛性ではなく、固着部材110のより優れた可撓性、および/または弁支持体120の形状および位置に対するさらなる安定性を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、固着部材110の可撓性は、固着部材110が歪曲力を吸収することを可能にするとともに、(弁支持体120を実質的に影響を受けていない状態にしながら)デバイス100が天然弁輪の不規則な非円形の形状に一致することを可能にし、組織内方成長を促し、デバイス100と天然組織との間の漏出を防止するように密閉を作成することができる。加えて、所望の位置でデバイス100を固着するとともに、弁輪下の位置付けがデバイス100の上流移動を効果的に防止するように、天然弁輪よりも大きい上流展開円周150'を維持するよう、縦方向リブ114および/またはコ
ネクタ116は、天然弁、心室、および/または大動脈構造に対して半径方向外向きに押勢するように構成することができる(
図14Cにおいて以下でさらに説明される)。さらに、縦方向リブ114は、固着部材110および/またはデバイス100の縦方向崩壊または外転を防止するように、および上流方向へのデバイスの移動に抵抗するように、十分な弾性およびカラム強度(例えば、軸方向剛性)を有することができる。
【0085】
弁支持体120から固着部材110を構造的に分離することによって、弁130および弁支持体120は、天然組織によって固着部材110に及ぼされる歪曲力、例えば、天然弁輪および/または弁尖によって及ぼされる半径方向圧縮力、縦方向の拡張期および収縮期力、フープ応力等から、効果的に機械的に隔離される。例えば、天然組織による固着部材110の変形が、(例えば、非円形または非対称断面へ)固着部材110の断面を変化させることができる一方で、弁支持体120は、実質的に変形されていなくてもよい。一実施形態では、例えば、固着部材110が弁支持体120(例えば、下流端123)に連結される場合に、弁支持体120の少なくとも一部分を、半径方向圧縮力によって変形させることができる。しかしながら、弁支持体120の上流端121および/または弁支持領域145(
図11B)は、少なくとも弁支持領域145が実質的に未変形であり得るように、固着部材110および圧縮力から機械的に隔離される。したがって、弁支持体120、および少なくとも弁支持領域145は、弁が安定した、および/または有能なままであるように、円形または他の望ましい断面を維持することができる。縦方向リブ114の可撓性は、歪曲力の吸収に寄与し、また、固着部材110から弁支持体120および弁130を機械的に隔離するのに役立つこともできる。
【0086】
左心房に向かって配向されたデバイス100の上流端において、弁支持体120は、固着部材110の上流部分112の最上末端より下側に、それと水平に、またはそれより上側に位置するように構成することができる。左心室に向かって配向され、その内側に存在するデバイス100の下流端において、固着部材110を弁支持体120に連結することができる。代替として、固着部材110は、弁支持体120の長さに沿ったいずれかの場所で弁支持体120に連結することができる。弁支持体120および固着部材110は、当技術分野で公知である種々の方法、例えば、縫合、はんだ付け、溶接、ステープル、リベットまたは他の締結具、機械的連動、摩擦、締り嵌め、またはそれらの任意の組み合わせによって連結されてもよい。他の実施形態では、弁支持体120および固着部材110は、相互と一体的に形成することができる。さらに別の実施形態では、スリーブまたは他の重層構造(図示せず)が、2つの構造を相互接続するように固着部材110および弁支持体120の両方に取り付けられてもよい。
【0087】
図12A-12Cは、本技術のさらなる実施形態による、歪曲力Fに応答して撓曲する種々の縦方向リブ114の側面図である。個々の縦方向リブ114(したがって固着部材110)の可撓性の程度は、固着部材110の全てのリブの間で一貫していてもよく、または代替として、いくつかのリブ114は、同一の固着部材110内の他のリブ114よりも可撓性であり得る。同様に、個々のリブ114の可撓性の程度は、リブ114の全長の全体を通して一貫していてもよく、または可撓性の程度は、各リブ114の長さに沿って変化することができる。
【0088】
図12A-12Cに示されるように、縦方向リブ114(114A-114Cとして個別に示される)は、デバイス100の埋込中または後に周辺組織によって印加することができる歪曲力Fに応答して、それぞれの長さに沿って撓曲してもよい。
図12Aでは、リブ114Aは、それぞれ、上向きまたは下向きの力F
1に応答して、位置75’まで下向きに、または位置75”まで上向きに撓曲してもよい。同様に、
図12Bでは、複数の特異的セグメント85A、85B、85Cを伴うリブ114Bは、横方向に方向付けられた力F
2に応答して、内向き/外向きに、または左右に撓曲および/または回転してもよい。リブ114Bの端部における明確に異なるセグメント85Aは、下方の特異的セグメント85Bおよび85Cとは別個の横方向に方向付けられた力F
2に応答して、内向き/外向きに、または左右に(例えば、位置85A’まで)撓曲および/または回転してもよい。他の配列では、セグメント85Aは、特異的セグメント85Bとともに、両方のセグメント85Bおよび85Cとともに一緒に(図示せず)、(例えば、位置85AB’まで)撓曲および/または回転してもよい。
図12に示されるように、弛緩状態であるときに略直線状形状を有するリブ114Cはまた、曲線状形状を作成するように屈曲することによって、または示されていない別の実施形態では、2つの実質的に直線状のセグメントを作成するよう屈曲することによって、横方向に方向付けられた力F
3に応答して、内向き/外向きに、または左右に(例えば、位置95’または95”まで)撓曲および/または回転してもよい。
【0089】
個々のリブ114はまた、種々の形状を有し、固着部材110の円周の周囲で種々の位置に配置することができる。いくつかの実施形態では、デバイス100は、第1および第2の複数のリブを含むことができ、第1の複数のリブは、第2の複数のリブとは異なる特性を有する。種々の特性は、リブのサイズ、リブ形状、リブ剛性、拡張角度、および固着部材の所与の領域内のリブの数を含むことができる。他の実施形態では、縦方向リブは、固着部材の外周の周囲で不均等または均等に離間することができる。
【0090】
リブ114は、固着部材110の任意の数の全体的な断面幾何学形状、例えば、円形、D字形、卵形、腎臓形、不規則な形を作成するように、固着部材110の縦軸101に沿って配向された円周の周囲に位置付けることができる。
図13Aは、本技術の別の実施形態による、人工心臓弁デバイスの概略断面図であり、
図13B-13Fは、本技術の付加的な実施形態による、種々の縦方向リブ構成を図示する、人工心臓弁デバイスの部分側面図である。
図13Aを参照すると、個別リブ114は、セグメント85Aおよび85B等の複数の直線状セグメントを備えることができる。図示した実施例では、リブセグメント85Bは、第1の角度A
1によって半径方向外向きに角度を成す(例えば、縦軸101から離れて角度を成す)。リブセグメント85Bは、セグメント85Bの下流端における弁支持体120へのその付着点から上流方向に延在し、それにより、固着部材110の上流部分112においてより大きい直径D
2、および下流部分112においてより小さい直径D
3を伴って、円錐または口広形状を固着部材110に与える。一実施形態では、上部リブセグメント85Aは、縦軸101に対して下部リブセグメント85Bよりも急峻な第2の角度A
2で角度を成し、固着部材110の上流部分112において、より広い口広上流部分112Aをもたらすことができる。いくつかの配列では、より広い口広上流部分112Aが、固着部材110と天然組織との間の密閉を増進してもよい一方で、下流部分111は、収縮期力がデバイス100に及ぼされたときにデバイス100の上流移動に抵抗するために、より剛性の幾何学形状を提供することができる。代替として、リブ114は、
図13Bの部分側面図に示されるように、その長さの全体または一部分にわたって弓形であり得る。
【0091】
さらに他の実施形態では、
図13C-13Fによって図示されるように、リブ114は、複数の特異的セグメント85A、85B、85Cによって画定される、より複雑な形状を有することができる。例えば、
図13Cに示されるように、リブ114は、その上流端において直線状で半径方向外向きに延在するリブセグメント85Bに接続される、縦軸101と略平行な直線状リブセグメント85Cを含み、リブセグメント85Bは、その上流端において、縦軸101と略平行である、より垂直なリブセグメント85Aに接続される。
図13Dを参照すると、リブ114は、縦軸101と略平行であり、その上流端において、縦軸101と略垂直である直線状の半径方向外向きに延在するリブセグメント85Aに接続される、直線状リブセグメント85Bを含むことができる。
図13Eを参照すると、リブ114は、縦軸101と略平行であり、その上流端において、縦軸101と略垂直である直線状の半径方向外向きに延在するリブセグメント85Bに接続される、直線状リブセグメント85Cを含むことができる。リブセグメント85Bはさらに、その最も半径方向外向きの端部において、縦軸101と略平行な垂直リブセグメント85Cに接続することができる。
図13Fを参照して、リブ114は、縦軸101と略平行であり、その上流端において、縦軸101と略垂直である半径方向外向きに延在するリブセグメント85Cに接続される、直線状セグメント85Dを含む。リブセグメント85Cはさらに、その最も半径方向外向きの端部において、縦軸101と略平行である直線状の垂直セグメント85Bに接続することができ、85Bは、その最も半径方向外向きの端部において、直線状の半径方向内向きに延在するセグメント85Aに接続される。
【0092】
図13C-13Fで図示される実施形態では、リブ114は、弁支持体120の機械的隔離を増進する様式で弁支持体120に連結(例えば、柱122に連結)することができる。例えば、付着点の上流の各リブ114の大部分が、弁支持体120に対して移動可能かつ変形可能であり、それにより、リブ120が弁支持体120に対して半径方向外向きまたは円周方向に前後に撓曲することを可能にするように、リブ114は、リブ114の下流端の付近で弁支持体120に取り付けられてもよい。加えて、当業者であれば、
図13A-13Fで図示される実施形態のうちのいずれかでは、リブセグメントのうちのいずれかまたは全てが、曲率を有してもよく、代わりに、角度を成すように示されるセグメントの任意の相互接続が曲線状であり得ることを認識するであろう。したがって、これらの種々の幾何学形状のうちのいずれかは、固着部材110が天然生体構造に一致し、デバイス100の移動に抵抗し、天然組織によって固着部材110に及ぼされる力から、弁支持体120および/またはその中に含有された人工弁130を機械的に隔離することを可能にするように構成されてもよい。
【0093】
個々のリブ114の可撓性特性は、不均等で独特な形状の天然組織に対して固着部材110を係合および密閉するように、固着部材110の可撓性および一致を可能にすることができる。加えて、可撓性は、デバイス100と周辺生体構造との間に密閉を作成することを支援することができる。
図14Aは、短軸50および長軸55を図示する天然僧帽弁MVの概略上面図であり、
図14B-14Cは、本技術の実施形態による、天然僧帽弁MVの概略図を覆う、それぞれ、拡張構成102および展開構成104の固着部材110の概略上面図である。
【0094】
図14Bを参照すると、固着部材110の上流部分112(
図10A)は、固着部材110が拡張構成102(鎖線として示される)であるときに、天然弁輪の短軸50(
図14A)よりも大きく、通常は、弁輪の長軸55よりも小さい、直径D
1を伴う外周150を有することができる。他の実施形態では、固着部材110は、少なくとも天然交連Cの間の距離と同じくらいの大きさの直径D
1を有してもよく、天然弁輪の長軸55と同じくらいの大きさか、またはそれよりもさらに大きくあり得る。いくつかの実施形態では、固着部材110の外周150は、弁支持体120(または人工弁130)の直径(図示せず)の約1.2~1.5倍である直径D
1を有し、弁支持体120(または人工弁130)の直径より2.5倍大きくあり得る。従来の弁は、種々のサイズの罹患弁を治療するように複数のサイズで製造されなければならないが、弁支持体120および人工弁130は、本技術の側面によれば、多数の天然弁サイズに適合するように単一の直径のみで製造されてもよい。例えば、弁支持体120および人工弁130は、正確に天然生体構造に係合して適合する必要はない。具体的実施例では、弁支持体120は、成人患者については約25mmから約32mmの範囲内の直径(図示せず)を有してもよい。また、本技術の側面によれば、固着部材110は、種々の天然弁サイズに適合するように、複数の直径で提供されてもよく、上流端において直径が約28mmから約80mmに及び、または他の実施形態では80mmより大きくてもよい。
【0095】
図14Cに示される固着部材110の上面図は、固着部材110が、鎖線によって示されるような拡張構成102に対して、太い線によって示されるような展開構成104に歪曲することを、1つ以上の縦方向リブ114および/またはリブセグメントの可撓性および/または変形がどのようにして可能にするかを図示する。
図14Cに示されるように、固着部材110は、僧帽弁輪に、またはその下に展開された、または埋め込まれたとき、点線によって示されるように、高度に可変の天然僧帽弁組織形状MVに一致することができる一方で、リブ114は、固着部材110の全体的形状が、完全拡張構成102の代わりに、展開(例えば、概して、より卵形またはD字形、あるいは他の不規則な形状)構成104を有するように、屈曲、捻転、および伸張する。
図14B-14Cをともに参照すると、固着部材110が、展開構成104で僧帽弁交連Cを覆う一方で、交連Cは、より円形の拡張構成102で非密閉または露出状態にされ、潜在的に弁傍漏出を可能にするであろう。固着部材110はまた、不偏状態であるときに、略卵形またはD字形、あるいは他の形状に事前成形することもできる。
【0096】
図15は、本技術の実施形態による、展開構成104で図示された人工心臓弁デバイス100の実施形態の等角図である。
図15は、複数のリブ114を有するデバイス100を図示し、第1組のリブ160は、内向きに屈曲するか、またはデバイス100の中心縦軸101に向かって圧縮するように構成することができ、第2組のリブ162は、外向きに屈曲するか、または天然弁の弁輪下空間に存在する歪曲力に応答して撓曲するように構成することができる。結果として、固着部材110の外周150は、鎖線によって示されるような拡張構成102でより円形の形状から、太い線によって示されるような拡張構成104で概してより卵形またはD字形へ歪曲し、したがって、天然生体構造の形状に一致してもよい。さらなる配列では、固着部材110の上流部分112は、固着部材110が、その展開構成104で、わずかにより小さい直径に圧縮されるように、それが展開される弁輪下空間よりもわずかに大きくサイズ決定されてもよい。これは、隣接するリブ114の間の密閉部材セクションが、
図15に示されるように、内向きまたは外向きに膨らみ、または湾曲して、緩いセクションBiを形成するように十分緩んでいるように、密閉部材142のわずかな弛緩を引き起こし得る。そのような膨らみは、弛緩したスリーブセグメントBiの曲率が、僧帽弁尖組織に係合して一致し、それにより、デバイス100と天然組織との間に形成される密閉を増進することができるため、いくつかの配列で望ましくあり得る。
【0097】
図15に示されるように、図示した実施形態では、断面が円形である、弁支持体120の不偏拡張構成が、実質的に影響を受けていないままである一方で、固着部材110は、天然僧帽弁輪MVの非円形の形状に一致する。したがって、弁支持体120は、これらの力から機械的に隔離され、その構造形状および完全性を維持する。固着部材110からの弁支持体120の機械的隔離は、人工心臓弁デバイス100のいくつかの側面に起因し得る。例えば、弁支持体120のより低い可撓性と比較した固着部材110の比較的高い可撓性は、固着部材110が、展開されたとき、および動作中であるときに、有意に変形する(例えば、心室収縮期力を受けている生体構造の形状および運動に一致する)ことを可能にする一方で、弁支持体120は、これらの同一の条件で変形されない(例えば、略円形)ままである。加えて、特に固着部材110が天然弁輪および/または弁輪下組織に係合する上流部分/上流端において、固着部材110と弁支持体120との間の半径方向間隔は、弁支持体110に係合することなく、固着部材110が相当量を内向きに変形させられることを可能にする。さらに、固着部材110は、固着部材110が天然弁輪に係合する場所(例えば、固着部材110の上流部分112)から縦方向に実質的距離で離間される場所(例えば、固着部材110の下流部分111)で、弁支持体120に連結することができ、固着部材110のリブ114が、歪曲力を弁支持体120に直接伝達するよりもむしろ、それに及ぼされたこれらの力の多くを吸収することを可能にする。また、固着部材110を弁支持体120に取り付けるために採用された連結機構は、固着部材110から弁支持体120への力の伝達を低減させるよう(例えば、可撓性または移動可能であるように)構成することができる(本明細書でさらに論議される)。
【0098】
多くの実施形態では、固着部材110が展開構成104(
図14Cおよび15)であるときに天然僧帽弁輪に一致するように、固着部材110は、十分な可撓性を有することができるが、展開構成104であるときに、固着部材110が、天然弁輪、弁尖、および/または弁輪の直下の心室壁に対して半径方向外向きに押勢するように、固着部材110は、その拡張構成102(例えば、
図10Aおよび14B)に向かって付勢されたままとなるように構成することができる。いくつかの配列では、付勢された固着部材形状によって生成される半径方向力は、天然弁の短軸50(
図14A)がわずかに増加させられ、および/または弁輪の形状が別様に変化させられるように、天然生体構造を変形させるのに十分であり得る。そのような半径方向力は、弁130が心室収縮期中に閉じられるときの心房に向かった移動、ならびに弁130が開いているときの心室に向かった移動に抵抗するように、デバイス100の固着を増進することができる。さらに、固着部材110と弁尖および/または心室壁あるいは他の構造との間の結果として生じる圧縮嵌合は、組織内方成長および封入を促すことによって、組織とデバイス100との間の長期結合を作成するのに役立つ。
【0099】
図16A-17Cは、本開示の付加的な実施形態に従って構成された人工心臓弁デバイス100を図示する。
図16A-16Cは、
図10A-15を参照して上記で説明される人工心臓弁デバイス100の特徴に概して類似する特徴を含む、拡張構成102で図示された人工心臓弁デバイス100の上面図ならびに第1および第2の側面図である。例えば、デバイス100は、弁支持体120と、弁支持体120の内部管腔内に収納された人工弁130とを含む。しかしながら、
図16A-16Cに示される実施形態では、デバイス100は、固着部材210が僧帽弁の弁輪下領域中の組織に係合し、それと一致するために好適であるように、卵形またはD字形の上流周囲213を有する固着部材210と、固着部材210の円周250の周囲の複数の高度とを含む。
【0100】
図16A-16Cをともに参照すると、デバイス100は、固着部材210の下流部分211において弁支持体120を少なくとも部分的に包囲し、それに連結される、可撓性固着部材210を含むことができる。デバイス100はまた、デバイス100と天然組織との間、および/または固着部材210と弁支持体120との間の弁傍漏出を防止するように、固着部材210の内壁241の周囲に、および/または弁支持体120の外面127または内面126の周囲に延在する、1つ以上の密閉部材140を含むこともできる。一実施形態では、密閉部材140は、固着部材210の上流周囲213を包み込む、および/または覆うことができる。例えば、密閉部材140は、壁241、242に縫い付け、縫合し、または接着することができ、上流周囲213に折り重なる拡張部分(図示せず)を有することができる。一実施形態では、密閉部材140は、反対側の壁に接着することができる(例えば、上流周囲213を覆うように内壁241から延在し、外壁242の上部分に取り付けられる)。しかしながら、他の実施形態では、密閉部材140は、付着していない状態でより長い遊離縁(図示せず)を有することができる。密閉部材140の遊離縁は、いくつかの配列では、上部周囲213と天然組織との間の血流を阻止するのに好適であり得る。
【0101】
図16B-16Cで図示されるように、固着部材210は、下流部分211と、デバイス100の縦軸201に沿った下流部分111と反対側の上流部分212とを有する。デバイス100の固着部材110(
図10A)と同様に、固着部材210の上流部分212は、デバイス100の略外向き配向部分であり得る。いくつかの実施形態では、固着部材110は、菱形パターンを形成するように固着部材210の円周250の周囲に十字パターンであり得る、一連の円周方向に位置付けられた弾性的に変形可能な可撓性リブ214を含むことができる。一実施形態では、リブ214は、菱形パターンまたは構成で配列された可撓性ワイヤまたはフィラメントであり得る。菱形構成は、いくつかの実施形態では、弁支持体120の中に載置された弁130に対する収縮期血圧の力の下で、弁輪に対するデバイス100の移動を阻止するのに十分なカラム強度を提供することができる。特定の実施例では、固着部材120は、例えば、約0.010インチから約0.030インチの壁厚を有する、事前成形されたニチノール管で形成することができる。菱形パターンまたは構成は、例えば、固着部材210の円周250の周囲に、1行以上の菱形、およびいくつかの実施形態では、約12から約36列の菱形を含むことができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、固着部材210の上流周囲213は、単一の面内に位置しない。例えば、リブ214は、下流周囲215と上流周囲213との間の距離(例えば、高度)が円周250の周囲で変化することができるように、可変長を有することができ、および/または可変角度で相互からオフセットすることができる。例えば、上流周囲213は、天然僧帽弁の形状に適合するために複数の頂点251および谷252(
図16B)を有する、周縁を形成することができる(
図5C参照)。本明細書で使用されるように、「頂点」および「谷」とは、複数のリブ214によって形成される菱形パターンの菱形頂点および菱形谷を指さないが、下流周囲215に対する高度の変化によって形成される起伏形状を有する、上流周囲213の部分を指す。一実施形態では、下流周囲215と上流周囲との間の距離(例えば、高度)は、約6mmから約20mm、および別の実施形態では約9mmから約12mmまで異なり得る。
【0103】
一実施形態では、固着部材210の上流周囲213は、2つの谷252によって分離される2つの頂点251を有することができる。いくつかの実施形態では、第1の頂点は、第2の頂点とは異なる形状または高度を有することができる。他の実施形態では、谷252の形状は、逆の頂点251の形状とは異なり得る。したがって、頂点251および谷252は、固着部材210の円周250の周囲で非対称に位置付け、成形することができる。種々の配列では、谷252は、天然弁輪の交連領域に沿って位置付けるために構成することができ、頂点251は、天然弁輪の弁尖領域に沿って位置付けるために構成することができる。一実施形態では、頂点251は、弁尖の中間点領域付近に位置付けられるように構成される先端を有することができる。
【0104】
図17A-17Cを参照すると、固着部材210の1つの具体的実施例は、固着部材の第1および第2の領域253、254において約7mmから約8mmの第1の高度E
1を下流周囲215と上流周囲213との間に有することができる。第1および第2の領域253、254は、天然僧帽弁の第1および第2の交連(例えば、前外側交連ACおよび後内側交連PC、
図5A)と整合するように構成される。固着部材210はまた、固着部材210の第3の領域255において約9mmから約11mmの第2の高度E
2を下流周囲215と上流周囲213との間に有することができ、第3の領域255は、天然僧帽弁の前尖AL(
図5A)と整合するように構成される。固着部材210はさらに、第3の領域255と反対側の固着部材210の第4の領域256において約12mmから約13mmの第3の高度E
3を下流周囲215と上流周囲213との間に有することができ、第4の領域256は、天然僧帽弁の後尖PL(
図5A)と整合するように構成される。当業者であれば、高度E
1、E
2、およびE
3は、他の測定値を有することができ、いくつかの実施形態では、高度E
1、E
2、およびE
3は、相互とは異なり得るか、または同一であり得ることを認識するであろう。
【0105】
加えて、上流周囲213は、天然僧帽弁の形状に適合するために、略卵形またはD字形、あるいは他の不規則な形状を有する、周縁を形成することができる。例えば、
図17Aを参照すると、固着部材210の上流周囲213は、周囲外径D
m1と、周囲外径D
m1と垂直な周囲内径D
m2とを有することができる。一実施形態では、周囲外径D
m1は、デバイス100が拡張構成102(
図17A)であるときに、天然僧帽弁の長軸MVA1(
図5Cに示される)よりも長い。別の実施形態では、周囲外径D
m1は、デバイス100が拡張構成102であるときに、長軸MVA1よりも小さい。そのような実施形態では、デバイス100は、デバイスが展開構成であるときに(例えば、天然弁輪の上または下の組織に係合するとき、
図16E参照)、長軸MVA1よりも大きい周囲外径D
m1を有するように構成することができる。さらに、周囲内径D
m2は、デバイス100が拡張構成102(
図17A)であるか、または代替として展開構成(
図16E)であるときに、天然僧帽弁の短軸MVA2(
図5Cに示される)よりも大きくあり得る。一実施形態では、周囲外径D
m1および/または周囲内径D
m2は、それぞれ、天然僧帽弁の長軸MVA1および/または短軸MVA2よりも約2mmから約22mm、または別の実施形態では約8mmから約15mm大きくあり得る。いくつかの実施形態では、周囲外径は、約45mmから約60mmであり得、周囲内径は、約40mmから約55mmであり得る。
【0106】
再度、
図16Cを参照すると、固着部材210の上流部分212は、間隙257によって弁支持体120から半径方向に分離することができる。一実施形態では、間隙257は、(例えば、第4の領域256に沿った)デバイス100の後尖に面した側よりも(例えば、第3の領域255に沿った)デバイス100の前尖に面した側で大きい。
【0107】
図16Aおよび16Cを再び参照すると、弁支持体120は、第1の縦軸101に沿って配向することができ、固着部材210は、第2の縦軸201に沿って配向することができる。第2の縦軸201は、第1の縦軸101からオフセットすることができる。「オフセット」とは、間隙257が円周250の周囲で変化することができるように、軸101、201が平行であるが分離されている、配列を指すことができる(
図16C)。
図16Dは、「オフセット」が、固着部材210が、概して、弁支持体120に対して傾斜するように、第2の軸201が第1の軸101から角度を成すことができる(例えば、第1および第2の軸101、201が非共線的または非平行である)配列を指すことができる、別の実施形態を示す。一実施形態では、第2の縦軸201は、第1の縦軸101に対して15°から45°の間の傾斜角A
TLで配置される。
【0108】
付加的な実施形態では、
図18でさらに詳細に示されるように、上流周囲213の第1および第2の領域253および254は、第3の領域255および第4の領域256よりも縦軸201から遠く延在することができる。例えば、固着部材210は、略円錐体(点線で示される)を有し、第1および第2の領域253および254の中で上流周縁拡張部258を有することができる。いくつかの実施形態では、上流周囲213の第3の領域255は、第4の領域256よりも縦軸201からさらに延在することができる。いくつかの配列では、第3の領域255は、左心室流出路(LVOT)を実質的に閉塞することなく、固着部材210が前尖の内向き表面に係合することを可能にするサイズおよび形状を有することができる。
【0109】
図17A-17Cをともに参照すると、弁支持体120は、縦軸101に沿って配向することができ、固着部材210の上流部分212は、漸減角度A
Tによって縦軸101から外向きに広がることができる。リブ214が、概して、(直線状よりもむしろ)下流部分211から上流部分212まで外向きに曲線状である、実施形態では、漸減角度A
Tは、下流部分と上流部分との間で連続的に変化することができる。いくつかの実施形態では、漸減角度A
Tは、固着部材210の上流部分212の円周250の周囲で同一であり得るが、他の実施形態では、漸減角度A
Tは、円周250の周囲で変化することができる。例えば、固着部材210は、それぞれ、前外側交連ACおよび後内側交連PC(
図5C参照)と整合するように構成することができる、第1および第2の領域253および254(
図17B)において、第1の漸減角度A
T1を有することができる。固着部材210はさらに、前尖と整合するように構成することができる第3の領域255において第2の漸減角度A
T2と、後尖と整合するように構成することができる第4の領域256において第3の漸減角度A
T3とを有することができる(
図17C)。一実施形態では、漸減角度は、約30°から約75°、別の実施形態では、約40°から約60°であり得る。
【0110】
図16Eは、本技術の実施形態による、天然僧帽弁MVに埋め込まれた
図16A-16Cの人工治療デバイス100を示す、左心房から見た心臓内の天然僧帽弁の概略上面図である。いったん展開されると、
図16Eで図示されるように、(
図16B-16Cに示される)リブ214の上流端の少なくとも一部分が、天然弁(例えば、僧帽弁)の弁輪下表面に係合する。以下でさらに詳細に説明されるように、リブ114または214のある実施形態は、弁輪下組織を貫通し、デバイス100を固着してさらに安定させるように構成される。
【0111】
固着部材210は、天然生体構造によって及ぼされる歪曲力に応答して変形可能であるが、弁支持体120は、円形または他の元の断面形状を維持するように十分な剛性を有し、したがって、開放および閉鎖するときに人工弁尖132の適正な機能を確保することができる。固着部材210からのそのような機械的隔離は、固着部材210が変形させられている間に変形に抵抗するように十分な剛性を有する弁支持体120によって、および弁支持体120またはその中に含有された人工弁130への固着部材210を通した力の伝達を軽減するよう、弁支持体120を固着部材210に連結するための場所および手段を選択することによって、達成されてもよい。例えば、弁支持体120は、固着部材210が弁輪に係合する上流端121から分離される、弁支持体120の上流端121のみで固着部材210に連結されてもよい。固着部材210の上流端121の上で、弁支持体120は、弁支持体120の形状に影響を及ぼすことなく固着部材210の変形を可能にするように、固着部材210に完全に接続されず、間隙257によって固着部材210から半径方向に離間されてもよい(人工弁130が位置する
図16A-16Cを参照)。したがって、弁輪によって固着部材210に及ぼされる力は、弁支持体120の下流端123へのそのような力の伝達を軽減するように、固着部材210の可撓性リブ214によって吸収することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、デバイス100が弁輪の下流で左心室の中へ延在する距離を制限すること(例えば、左心室流出路(LVOT)の閉塞を制限すること)が望ましくあり得る。したがって、デバイス100のいくつかの実施形態は、固着部材210がLVOTの中へ延在しない、またはLVOTを閉塞しないように、比較的低い全体的高さ(例えば、高度E
1、E
2、およびE
3、
図17B-17C)を有する固着部材210を含むことができる。
図16Bの側面図で示されるように、例えば、固着部材110は、弁支持体120の高さH
Vに対して低い全体的高度E
L(例えば、固着部材210の上流周囲213と下流周囲215との間の距離)を有することができる。そのような実施形態では、固着部材110の上流周囲213が、天然僧帽弁輪の直下にあり、天然僧帽弁輪に隣接し、または天然僧帽弁輪内に位置付けられ得る一方で、固着部材210の下流周囲215は、デバイス100が埋め込まれたときに天然僧帽弁輪より下側の左心室の中へ最小限に延在するように構成される。いくつかの配列では、弁支持体120は、左心室の中への突出も最小限化するよう、固着部材210に連結することができ、いくつかの実施形態では、天然弁輪の面を通って左心房の中へ上向きに延在してもよい。
【0113】
(人工心臓弁デバイスとともに使用するために好適な付加的な構成要素および特徴)
人工心臓弁デバイス(例えば、上記で説明されるデバイス100)とともに使用するために好適である、付加的な構成要素および特徴が本明細書で説明される。ある構成要素および特徴が特定のデバイス(例えば、デバイス100)に関して説明されるが、該構成要素および特徴はまた、本明細書でさらに説明されるような他のデバイスとともに使用するために好適であり得るか、または他のデバイスとともに組み込まれることができることが、当業者によって認識されるであろう。
【0114】
図10Aに関して上記で論議されるように、人工心臓弁デバイス100のいくつかの実施形態は、固着部材110および/または弁支持体120の部分の周囲に延在する、密閉部材140を含むことができる。例えば、
図10Aで図示される実施形態は、デバイス100と生体構造との間だけでなく、デバイス100の構成要素も通る弁傍漏出を防止するように、固着部材110の内壁141の周囲および弁支持体120の外面127の周囲に密閉部材140を有する。
【0115】
図19A-19Cは、それぞれ、本技術のさらなる実施形態による、密閉部材140を有する人工心臓弁デバイス100の等角図、側面図、および上面図である。
図19A-19Cをともに参照すると、デバイス100は、スカート144等の密閉部材140を含む。スカート144は、外壁142の上に配置するか、または内壁141の上で固着部材110の上流周囲113を少なくとも部分的に覆って配置することができる。したがって、スカート144は、固着部材110の任意の表面に固定および/または連結することができる。スカート144はまた、弁支持体120の内面126(
図19Aに示される)および/または外面127に重なることもできる。スカート144および/または密閉部材140の変形例は、(1)固着部材110と天然組織との間に血流阻止密閉を作成し、(2)固着部材110の壁141、142を通る、および/または弁支持体120の表面126、127を通る血流を阻止し、(3)弁支持体120と固着部材110との間の空間を通る血流を阻止するように構成することができる。いくつかの実施形態では、密閉部材140は、隣接組織の内方成長を推進するように構成することができる。密閉部材140は、血流が人工弁130を通って左心房から左心室へ流れることに制限されるように、固着部材110と弁支持体120との間、ならびにデバイス100と周辺生体構造との間を密閉するのに役立つことができる。加えて、密閉部材140は、拡張構成102(
図10A、16A、および19A)または展開構成104(
図10Bおよび16B)であるときに、固着部材110のための円周方向支持を提供することができる。いくつかの実施形態では、密閉部材140はさらに、固着部材110を弁支持体120に取り付ける働きをしてもよい。例えば、スカート144は、固着部材110の内壁141に連結し、弁支持体120に連結される密閉部材140と一体的に形成するか、または別様にそれに取り付けることができる。他の実施形態では、密閉部材140は、弁支持体120を、弁支持体120の内部に収納された人工弁130に連結するために使用することができる。スカート144等の密閉部材140は、縫合糸、リベット、または他の既知の機械的締結具で固着部材110および/または弁支持体120に連結することができる。他の実施形態では、密閉部材をデバイス100の構成要素に連結するために、接着剤、糊、および他の結合材料を使用することができる。
【0116】
図20Aは、密閉部材140がない人工心臓弁デバイス100の等角図であり、
図20B-20Eは、本技術の付加的な実施形態による、密閉部材140を有する人工心臓弁デバイス100の等角図である。例えば、
図20B-20Cは、密閉部材140がスリーブ146である、デバイス100の実施形態を示す。スリーブ146は、円筒形であり、以下でさらに説明されるようにデバイス100の種々のフレームまたは骨格構造内または上で適合するように構成される、不透過性密閉材料を含むことができる。
図20Bでは、スリーブ146は、弁支持体120の外面127の上にあるが、
図20Cでは、スリーブ146はまた、固着部材110の内壁141上および弁支持体120の外面127上にも配置される。
図20Dは、スリーブ146が固着部材110の外壁142上、および弁支持体120の外面127上に配置される、デバイス100の実施形態を図示する。
図20Eを参照すると、デバイス100はまた、固着部材110の外壁142および内壁141の両方の上、ならびに弁支持体120の外面127の上にスリーブ146を組み込むこともできる。
【0117】
当業者であれば、
図19A-20Eに示されるスカート144およびスリーブ146等の密閉部材140が、壁141、142、または表面126、127を完全に覆うことができ、または他の実施形態では、それぞれ、固着部材110および弁支持体120の壁141、142および/または表面126、127を少なくとも部分的に覆うことができることを認識するであろう。密閉部材140の任意の組み合わせが考慮される。加えて、密閉部材140は、固着部材110と弁支持体120との間に密閉を作成することができる、(例えば、固着部材110の内面141および弁支持体120の外面127を覆うための)流体不浸透性材料の単一の連続シートを含むことができる。種々の実施形態では、スカート144またはスリーブ146等の密閉部材140は、組織と一体化して弁傍漏出を最小限化するように、Dacron(登録商標)、ePTFE、ウシ心膜、または他の好適な可撓性材料等の繊維または他の可撓性および生体適合性材料を含むことができる。他の実施形態では、密閉部材140は、ポリマー、熱可塑性ポリマー、ポリエステル、Gore-tex(登録商標)、合成繊維、天然繊維、またはポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことができる。弁130はまた、密閉部材140に取り付けられるか、または密閉部材140と一体的に形成されてもよい。
【0118】
図21A-21Fに示される、さらなる実施形態では、弁支持体120は、金属または他の構造支持をほとんどまたは全く伴わない、繊維、ポリマー、または心膜の管状部材148を備えてもよい。
図21A-21Bを参照すると、管状部材148は、その形状を保持することが可能であり、収縮期中の半径方向および軸方向張力、ならびに拡張期中の軸方向圧縮力に抵抗するのに十分な強度を有する、スリーブ146のより厚く剛性の部分であってもよい。人工弁130の弁尖132は、管状部材148と一体的に形成され、それに縫い付けられ、または別様に取り付けられてもよい。一実施形態では、管状部材148は、(
図21Aに示される)固着部材110の周囲に延在するスリーブ146の外側部分146Aと一体的に形成することができ、または別の実施形態では、管状部材148は、血液密閉様式でスリーブ146に縫い付けられ、結合され、または別様に締結される、別個のおよび/またはより厚い部材であり得る。管状部材148は、随意に、それにさらに優れた強度を与えるように、および弁130を操作するために好適な望ましい形状を保持するのに役立つように、補強部材を含むことができる。例えば、金属またはポリマーの一連の比較的剛性の縦支柱190を、管状部材148の壁に連結するか、またはその内側に埋め込むことができ(
図21C)、および/またはワイヤコイル192は、管状部材148の壁の周囲に延在するか、またはその内側に埋め込まれてもよい(
図21D)。さらなる実施形態では、一連のテザー194を、スリーブ146の外側部分146Aと管状部材148との間に連結することができる(
図21E)。1つの配列では、テザー194は、心房収縮期中に管状部材148の崩壊または構造的減弱を阻止するよう、固着部材110の上流部分112から下流角度で延在することができる。さらに別の実施形態では、複数の垂直中隔196が、固着部材110(および/または固着部材110の内壁141に連結された密閉部材140)と管状部材148との間に相互接続されてもよい(
図21F)。固着部材110と弁支持体120との間の連結される複数の垂直中隔196は、可撓性繊維またはポリマーであり得、いくつかの実施形態では、スリーブ146に使用される同一の材料であり得る。薄型送達構成(図示せず)に固着部材110とともに折り畳むことができる中隔196はまた、デバイス100が拡張構成102であるときにリブ114の外向き偏向を制約することもできる。
【0119】
本明細書で説明されるように、固着部材110は、弁支持体120とは別個の構造または構成要素であり得る。一実施形態では、固着部材110を、例えば、弁支持体120の下流端123において弁支持体120に連結することができる一方で、固着部材110の上流部分は、弁支持体120に連結されないままとなり、および/または別様に弁支持体120から機械的に隔離することができる。固着部材110は、可撓性または非剛性の連結機構を含む、種々の機構を使用して、弁支持体120に連結することができる。
図22A-22Gおよび22I-22Kは、本技術の付加的な実施形態による、下流部分または固着部材110と弁支持体120との間の相対運動を可能にするか、または固着部材110からの弁支持体120の機械的隔離を別様に提供する、弁支持体120を固着部材110に連結する種々の機構の拡大側面図である。
【0120】
図22A-22Bは、弁支持体120の柱122に連結された固着部材110のリブ114の下流端326を図示する。第1の実施形態では、リブ114は、隣接要素に巻き付けられて結ばれる、縫合糸、ワイヤ、または他の好適なフィラメント310によって、柱122に連結することができる(
図22B)。いくつかの実施形態では、リブ114および柱122のいずれか一方または両方は、その中でフィラメント310を保持し、リブ114または柱122に沿った摺動を阻止するように構成される、貫通穴312(
図22C)、ループまたは小穴314(
図22D)、あるいは溝316等の、フィラメント310が固定され得る特徴を有してもよい。
【0121】
図22Fに示される別の実施形態では、リブ114は、リブ114および柱122の中の整合穴319を通過する、リベット、ネジ、ピン、または他の締結具318によって、柱122に連結することができる。代替として、
図22G-22Hに示されるように、柱122は、リブ144の下流端326を受容するように構成される空洞320を、その外壁の中に有してもよく、2つの要素114、122は、フィラメントまたは締結具322によってともに締結することができる。この配列では、リブ114の下流端が空洞320の底に係合し、それにより、縫合糸または弁支持体110に及ぼされる収縮期力に抵抗しなければならないことから締結具322を解放するため、そのような力の大部分をリブ114に直接伝えることができる。
【0122】
図22I-22Jに示される、さらなる実施形態では、リブ114の下流端326は、柱122を通して形成された通路324を通過する。次いで、下流端326は、上記で説明されるもののような締結具328またはフィラメントによって柱122に固定される。加えて、リブ114が通路324内で保持されるため、弁支持体120に及ぼされる収縮期負荷を、締結具328よりもむしろリブ114に直接伝えることができる。
図22Kに示される、さらに別の実施形態では、柱122の下流端330は、フックまたはJ字形で半径方向外向きに形成され、リブ114の下流端326を受容することができるチャネル332を形成する。2つの要素の端部330、326は、リブ114および柱122の中の穴319を通過する締結具334によって固定されてもよい。柱122に印加される収縮期負荷は、チャネル332を介してリブ114に直接伝えることができ、負荷の大部分を負うことから締結具334を解放する。
【0123】
図23A-23Bは、固着部材110を弁支持体120に連結するために好適な機構のさらなる実施形態を図示する。
図23A-23Bに示される実施形態では、固着部材110の円周方向コネクタ116は、弁支持体120の支柱124に連結される。例えば、
図23Aでは、コネクタ116は、腰部338を形成する砂時計形部分336と、コネクタセル341を形成する拡大コネクタヘッド340とを有するよう形成される。支柱124は、同様に、支柱セル347を形成する拡大支柱ヘッド346を有する。コネクタ116の砂時計部分336は、支柱ヘッド346がコネクタ116の腰部338の周囲に延在するように、支柱セル347を通過するように構成することができる。コネクタヘッド340は、支柱セル347から解放されることを妨げられるように十分大きくあり得る。さらに、コネクタセグメント116A、116Bの発散角度により、支柱ヘッド346が、コネクタヘッド340に対して上向きに摺動することを妨げることができる。そのような配列では、上向き方向へ弁支持体120に及ぼされる収縮期負荷は、支柱124を通してコネクタ116に伝えることができ、ひいては、デバイス100を定位置で固着するように、これらの力を、天然生体構造の中へ駆動されるリブ114に伝える。
【0124】
図23Bでは、コネクタ116は、支柱124の中に形成された凹状部分350の中で入れ子になった、下向きに延在するループ部分348を有するよう、形成することができる。ループ部分348は、例えば、各部材348、350に巻き付けられた縫合糸352によって、種々の方法で凹状部分350に締結することができる。この配列では、上流方向へ弁支持体120に印加される収縮期負荷は、凹状部分350を通して固着部材110のループ部分348に伝えることができる。
【0125】
他の実施形態では、固着部材110またはその選択された構成要素は、弁支持体120と一体的に形成することができる。
図24Aに示されるように、固着部材110のリブ114は、各リブ114をそれぞれ整合した柱122に相互接続するU字形ブリッジ部材356を伴って、弁支持体120の柱122と一体的に形成することができる。リブ114は、それと一体的に形成された拡張可能なコネクタ116によって、円周方向に相互接続されてもよい。代替として、
図24Aに示される実施形態では、複数の別個のバンドまたはワイヤ358は、固着部材110の円周150の周囲に延在し、それぞれ、例えば、各個別リブ114に形成された穴360を通って延在することによって、リブ114に摺動可能に連結される。可撓性バンドまたはワイヤ358は、拡張構成102であるときにリブ114の外向き偏向を制限しながら、リブ114が薄型送達構成(図示せず)に内向きに折り畳まれることを可能にする。代替として、ワイヤまたは縫合糸のテザー361は、拡張構成102であるときにリブ114の外向き偏向を制限するように、個々のリブ114と柱122(
図24Bに示される)との間で連結されてもよい。
【0126】
さらなる実施形態では、デバイス100が拡張構成であるときにリブ114の外向き偏向を制限する様式で、スリーブ146がリブ114に固定されてもよい(
図24Cに示される)。スリーブ146は、例えば、所定の限界を越えて外向きに拡張することを制約するように、
図24Cに示されるように各リブ114の外側の周囲に延在してもよい。随意に、スリーブ146はさらに、弁支持体120の周囲に延在するスリーブ146の内側部分146Bと、固着部材110の周囲に延在するスリーブ146の外側部分146Aとの間に延在する、水平中隔359を含んでもよい。水平中隔359は、リブ114の外向き屈曲をより強固に制約することができる。いくつかの実施形態では、中隔359はまた、この空洞163の中への血流を制限し、その中の血栓形成を最小限化するように、内側部分146Bと外側部分146Aとの間の中隔359によって形成される環状空洞163を密閉することもできる。代替として、血栓の領域を形成するように、血液が封入された空洞163の中へ流れることを可能にし、それにより、リブ114の偏向を制限し、デバイスをより剛性にしてしっかりと固着させることができる、開口部(図示せず)が、中隔359の下流のスリーブ146に形成されてもよい。可撓性繊維、ポリマー、または心膜材料であり得る、中隔359は、示されるようにデバイス100の上流端に、または弁支持体120の上流端121からさらに下流に離間した場所に位置してもよい。
図24Dに示される、さらなる実施形態では、各個別リブ114は、スリーブ繊維の2つの層をともに縫合または結合することによって、スリーブ146に形成された通路364内に拘束することができる。拡張構成102では、スリーブ146に対してリブ114の移動を制限することができる。
【0127】
図25Aは、固着部材110および弁支持体120を有する、人工心臓弁デバイス100の部分断面図であり、
図25Bは、本技術の実施形態による、
図25Aに示された指定ボックスの拡大図である。
図25Aおよび25Bに示されるように、弁支持体120と固着部材110の下部分111との間に間隙108があり得る。間隙108が存在する場合、間隙108は、血液が上流または下流方向のいずれか一方へ固着部材110と弁支持体120との間で漏出することを防止するように、スリーブ146によって保護することができる。
【0128】
図26A-26Dは、本技術の種々の実施形態による、心房保持体410を有し、天然僧帽弁MVに埋め込まれた人工心臓弁デバイス100の概略断面図である。
図26A-26Cは、デバイス100が、弁輪ANの弁輪上表面または左心房内の他の組織に係合して、左心室の中へのデバイス100の下流移動を防止するのに天然弁尖を支援するように構成される、心房保持体410を含む、デバイス100のいくつかの実施形態を示す。これらの配列では、弁輪ANは、固着部材110の最上円周150と心房保持体410の底面との間に挟持することができる。
【0129】
図26Aに示されるように、デバイス100の一実施形態は、内側弁支持体120に連結された、またはそれと一体的に形成された心房保持体410を含むことができる。心房保持体410は、弁輪ANを通って心房内の弁輪上空間の中へ上流に延在し、弁輪上表面または他の心房組織を外向きに延在するフランジ420と係合させることができる。
図26Bに示される別の実施形態では、心房保持体410は、(例えば、柱122の上向き拡張部または固着部材110の上向き拡張部を備える)弁支持体120と一体的に形成され、またはそれに別様に連結され得る、複数の指部412を備えることができる。指部212は、概して、
図26Bで図示されるように、左心房内で覆われない、または露出することができるが、別の実施形態では、指部412は、円錐形を形成して、弁輪ANの心房側の天然組織でデバイス100を密閉するのに役立つように、および人工弁130(
図10A)の中へ血液を注ぎ込むのに役立つように、指部412の外面または内面の周囲に延在する、密閉部材(図示せず)、または繊維、ポリマーシート、あるいは心膜組織の他の被覆で覆うことができる。指部412はまた、外側偏向を制限して指部の剛性を増進するように指部412を相互接続する、円周方向支柱(図示せず)を含んでもよい。指部412は、送達のために指部を真っ直ぐにして内向きに偏向させ、示されるように拡張構成102で不偏の半径方向に突出する外向き位置に解放することができるように、弾性形状記憶材料(例えば、ニチノール)を含むことができる。例えば、指部412は、拡張構成102で、外向きに、およびいくつかの配列では下流方向に付勢された、指先端部414を有することができる。天然僧帽弁MV内の所望の位置への送達中に、指部412が弁輪ANの心房側に係合するよう最初に解放されるように、デバイス100を遠位または下流方向に抜き出すことができる(以下でさらに詳細に論議される)。これは、固着部材110が天然弁輪ANの心室側に位置付けられるが、抜き出されて拡張されたときに心室の中へ過度に拡張されないことを確実にするように、天然弁に対してデバイス100の位置にインデックスを付ける。
【0130】
心房保持体410は、代替として、固着部材110の拡張部であってもよい。
図26Cに示される一実施形態では、心房保持体410は、より垂直な面で描写されるが、代替として、天然弁輪ANの面とより平行な面に位置し得、弁輪ANを通って上流に延在し、次いで、弁輪上表面に係合するように半径方向外向きに延在する、複数の心房ループ416を含むことができる。固着部材110の1つ以上のリブ114の拡張部を備え得る、ループ416は、送達のために薄型形状に圧縮され、次いで、
図26Cに示される半径方向に拡張した構成まで拡張するように解放され得る、弾性形状記憶金属(例えば、ニチノール)または他の材料を含むことができる。
図26Cのデバイス100と同様に、
図26Dはまた、固着部材110の拡張部によって形成される心房保持体410を含む、人工心臓弁デバイス100の断面図でもある。
図26Dに示されるように、心房保持体410は、弁輪上表面に係合するように天然弁輪ANの心房側を覆って延在するフランジ420を近位領域に伴って、固着部材110から天然弁輪ANを通って上向きに延在する円筒形部分418を含むことができる。フランジ420は、送達のために折り畳み、天然僧帽弁MVで展開されたときに拡張することができる、弾性形状記憶材料(例えば、ニチノール)を含むことができる。円筒形部分418およびフランジ420は、固着部材110と一体的に形成され、例えば、リブ114の拡張部から成ってもよく、または別の実施形態では、固着部材110および/または弁支持体120の1つ以上の部分に連結することができる。
【0131】
他の実施形態では、人工心臓弁デバイス100は、天然僧帽弁内の所望の場所でデバイス100を保持することを支援するが、心房または弁輪上組織に実質的に係合しない、心房拡張特徴を含むことができる。例えば、
図27は、本技術の別の実施形態による、弁輪ANに係合するための垂直部分422を上流端424において有する、固着部材110の側面図である。固着部材110は、下部分111と、弁尖LFと弁輪ANの下流との間の弁輪下の場所に位置付け可能である、上部口広部分112とを含むことができる。上流部分112は、弁輪下組織および/または内向きに面した弁尖LFの対応する寸法よりも大きい寸法まで拡張可能であり得る。垂直部分422は、固着部材110の上流円周150全体の周囲で弁輪ANに係合するよう、弁輪口内で適合することができる。垂直部分422は、垂直部分422の半径方向拡張が天然組織を外向きに圧迫して、天然僧帽弁を伴う所望の場所でデバイスを保持することを支援するように、弁輪ANの対応する寸法よりも大きい寸法まで拡張可能であり得る。随意に、固着部材110はまた、スパイク等の複数の組織係合要素170を含むこともできる。一実施形態では、スパイク(ここでは組織係合要素170として示される)は、固着部材110の上部分112の円周150の周囲に分布し、スパイクが弁輪下の場所で組織を貫通することができるように配向することができ、固着部材110が上流または下流方向のいずれか一方での移動に抵抗するのに役立つように構成することができる。
【0132】
(安定化部材を有する人工心臓弁デバイス)
図28は、天然弁部位においてデバイス100を安定させ、いくつかの実施形態では、傾転または横方向移動を防止するのに役立つように、またはデバイス100の上流あるいは下流移動を阻止するように、1つ以上の安定化部材501をさらに備える、拡張構成102の人工心臓弁デバイス100の一実施形態を図示する。いくつかの実施形態では、安定化部材501は、固着部材110の下または下流部分111から延在する、1つ以上のアーム510を備えてもよい。アーム510は、構成に応じて、天然弁尖の内側または外側のいずれか一方で、天然組織、例えば、弁尖、弁輪下組織、または心室壁に係合するように構成される。
【0133】
図29は、本技術の実施形態による、拡張したアームを有する人工心臓弁デバイスの拡大概略側面図である。
図29に示されるように、個別のアーム510は、アーム本体512と、アーム拡張部514と、アーム先端516とを備えてもよい。アーム本体512は、アーム本体長L
1を有し、第1の接合部508で柱511に接続してもよい。柱511は、弁支持柱122、固着部材リブ114、および/またはデバイス100の別の特徴(例えば、支柱124またはコネクタ116)であり得る。第1のアーム角度A
A1が、柱511およびアーム本体512の軸の交差によって形成され、第1のアーム角度A
A1は、先端516が、所望の場所、例えば、弁輪下組織または天然弁尖の後ろの心室壁で天然組織に係合することができるように、アーム512が位置付け可能であるように選択される。
図30A-30Cは、本技術のさらなる実施形態による、デバイスの縦軸101に対する種々の角度でデバイスに連結されたアーム510を有する、人工心臓弁デバイス100の拡大部分側面図である。一実施形態では、第1のアーム角度A
A1は、約10°から約45°であり得る。他の実施形態では、第1のアーム角度A
A1は、鈍角(
図30A)、略垂直または約90°の角度(
図30B)、あるいは鋭角(
図30C)であり得る。
【0134】
再び
図29を参照すると、アーム本体512は、アーム本体512の遠位端でアーム拡張部514に接続することができる。アーム拡張部514は、約0.5~2mm等の、天然組織の中へ所望の距離で貫通するために選択または最適化することができる、アーム拡張部長L
2を有することができる。アーム拡張部514は、第2のアーム角度A
A2でアーム本体212から延在することができる。第2のアーム角度A
A2は、アーム拡張部514とアーム本体512との間の交差によって形成し、約100°から約135°等の天然組織との係合の所望の角度を提供するように選択することができる。他の実施形態では、アーム拡張部514は、アーム本体512と平行または同一線上にあり得る(図示せず)か、あるいは完全に排除されてもよい。アーム拡張部514は、アーム先端516で終端する。アーム拡張部514がない実施形態では、アーム先端516は、アーム本体512の最遠位部分であり得る(図示せず)。
【0135】
アーム510は、デバイス100の縦軸101と平行な軸に沿ったアーム先端516(
図29に示される)であり得る、第1の接合点508からアームの最遠位到達点まで延在する、アーム高さH
A1を有してもよい。アーム高さH
A1は、デバイス100が天然僧帽弁に対して所望の縦方向位置にあるときに(例えば、固着部材110が弁輪下組織と係合しているときに)、アーム先端516が弁輪下生体構造内の所望の場所に係合するように、選択または最適化することができる。アーム高さH
A1は、固着部材110および/または弁支持体120の全体的な高さ、ならびに接合点508の場所に依存するであろう。
図31A-31Cは、種々の長さ(L
1+L
2)のアーム510を有し、したがって、可変高さH
A1を有する、人工心臓弁デバイスの拡大部分側面図である。示されるように、アーム高さH
A1は、(リブ114によって表される)固着部材110の全体的な高さH
D1または弁支持体よりも大きく(
図31A)、(リブ114によって表される)固着部材110および(柱122によって表される)弁支持体120のそれぞれの高さH
D1、H
V1の中間(
図31B)、または(リブ114によって表される)固着部材110および弁支持体120の両方の全体的な高さH
D1よりも小さくあり得る(
図31C)。
【0136】
デバイス100とともに使用するために好適なアームまたは他の安定化部材の構造および取付に関する付加的な詳細および実施形態は、その内容全体が参照することにより本明細書に組み込まれる、2012年6月21日出願の「PROSTHETIC HEART
VALVE DEVICES AND ASSOCIATED SYSTEMS AND METHODS」と題された国際PCT特許出願第PCT/US2012/043636号で見出すことができる。
【0137】
図32A、32B、32C、および32Dは、弁尖LFの内向き表面上に配置されたアーム510aを有する、埋め込まれた人工心臓弁デバイス100を伴う、心臓の断面図であり、
図32A-1、32B-1、32C-1、および32D-1は、それぞれ、
図32A、32B、32C、および32Dで示されるように弁尖の内向き表面に係合する、アーム510aの拡大図である。
図32A-32D-1で図示される人工心臓弁デバイス100の実施形態は、弁尖LFの半径方向に内側の位置、弁尖LFの半径方向に外側の位置、または弁尖LFの内側および外側の組み合わせまで拡張するように構成されるアーム510aを有する。例えば、
図32Aおよび32A-1は、拡張して弁尖LFの内向き表面に係合するアーム510aを示し、かつ弁尖LFを部分的に穿刺するアーム510aを示す。
図32Bおよび32B-1で図示される別の実施例では、アーム510aは、弁尖LFを完全に貫通してもよい。さらなる実施例では、デバイス100は、1)弁尖LFを完全に貫通する、および2)弁輪下組織を部分的に穿刺するアーム510aを組み込むことができる(
図32Cおよび32C-1)。
図32Dおよび32D-1を参照すると、デバイス100は、弁尖LFおよび僧帽弁MVの弁輪組織の両方を完全に貫通する、アーム510aを組み込むように構成することができる。
【0138】
図33A-33Cは、本技術による、人工心臓弁デバイス100とともに使用するための組織係合要素170の種々の実施形態を図示する概略図である。組織係合要素170は、鈍的要素等の非外傷的に組織に係合する、あるいは鉤またはスパイク等の心臓組織を部分的に穿刺するか、または完全に貫通する、任意の特徴を含むことができる。本明細書で使用されるように、「組織係合」とは、
図33Aに示されるように、組織Tに力を及ぼすが、組織Tにとって非外傷性である等、組織Tを必ずしも穿刺しない、要素170を指す。本明細書で使用されるように、「部分的に穿刺する」とは、
図33Bに示されるように、組織Tを少なくとも部分的に貫通するが、反対表面Sを突破しない、組織係合特徴170を指す。本明細書で使用されるように、「完全に穿刺する」とは、
図33Cに示されるように、組織Tに進入するとともに退出することができる、組織係合特徴170を指す。「穿刺」のみは、部分的または完全穿刺のいずれか一方を指してもよい。組織係合要素170は、スパイク、鉤、または心臓組織を穿刺することが可能な当技術分野で公知である任意の構造、あるいは代替として、組織を穿刺することなく心臓組織に圧力を印加するように構成される任意の鈍的または非外傷性特徴の形態を成してもよい。そのような要素の位置付けに関するさらなる詳細が、本明細書に説明される。
【0139】
図34A、34B、および34Cは、弁尖LFの内向き表面上に配置された組織係合要素170を伴うアーム510aを有する、埋め込まれた人工心臓弁デバイス100を伴う、心臓の断面図であり、
図34A-1、34B-1、および34C-1は、それぞれ、
図34A、34B、および34Cに示されるような弁尖LFの内向き表面に係合するアーム510aの拡大図である。
図34A-34C-1で図示されるように、組織係合要素170は、下流方向(
図34Aおよび34A-1)、上流方向(
図34Bおよび34B-1)、または下流および上流方向(
図34Cおよび34C-1)の両方のいずれかで、アーム510aの上に組み込み、そこから延在することができる。他の実施形態では、組織係合要素170は、上流および下流方向のいずれか一方または両方で、固着部材110および/または弁支持体120の構成要素上に組み込み、そこから延在することができる。
【0140】
図35A-35Cは、本技術の種々の実施形態による、デバイスが天然弁尖LFの外向き表面に係合するためのアーム510bを有する、展開構成104で僧帽弁MV(断面で図示される)に埋め込まれた人工心臓弁デバイス100を示す、側面図である。
図35Aは、弁尖LFがアーム510bと固着部材110の外壁142との間で効果的に挟持されるように、デバイス100の下流端(例えば、弁尖の下流の天然僧帽弁に埋め込まれたデバイスの心室端部)から延在して弁尖LFの後ろに到達するように構成されるアーム510bを含む、デバイス100の実施形態を示す。別の実施形態では、
図35Bに示されるように、アーム510bは、アーム510bと固着部材110の外壁142との間の空間内で、弁尖LFを折り畳ませてもよい。
図35Cで図示されるさらなる実施形態では、アーム510bはまた、組織係合要素170を含むこともできる。
図35C-1は、
図35Cに示されるように弁尖LFの外向き表面に係合するための組織係合要素170を有する、アーム510bの拡大図である。
図35C-1に示されるように、天然弁尖LFの外側に面した表面に契合するように構成されるアーム510bは、弁尖組織に向かって配向されるように、アーム510bの内面上に組織係合要素170を含んでもよい。
【0141】
本技術の別の実施形態によれば、
図36Aは、僧帽弁MV(断面で図示される)に埋め込まれた人工心臓弁デバイス100を示す側面図である。
図36Aに示されるデバイスは、天然弁尖LFの外向き表面に係合するためのアーム510b、および天然弁尖LFの内向き表面に係合するためのアーム510aを有する。内側/外側アーム510a、510bはさらに、それぞれ、弁尖組織に係合または穿刺するためのアーム510a、510bの半径方向に内側の表面または半径方向に外側の表面上に組織係合要素170を備えてもよい。デバイス100の円周の周囲での内側/外側アーム510a、510bの配列は、事前設計されたパターンで交互に入れ替わることができる。例えば、内側アーム510aは、
図36Bに示されるように、外側アーム510bと交互に入れ替わることができ、または代替として、アーム510a、510bは、デバイス100の配置に応じて、かつ天然後尖および前尖との整合に対して、ランダムに、または不規則な間隔で、半径方向外向きおよび/または半径方向内向きに延在してもよい。
【0142】
図37A-37Dは、本技術による、人工心臓弁デバイス100とともに使用するために好適なアーム510の付加的な実施形態の拡大側面図である。例えば、
図37A-37Dでは、アーム510は、固着部材110の外形と類似の全体的外形を有することができる。固着部材110は、全体的な固着部材の外形を形成するために、様々な形状、サイズ、および/または外向きあるいは内向きに配向したリブセグメント85を有する、リブを含むことができる。したがって、アーム510はまた、固着部材110の外形を模倣する、様々な形状、サイズ、および/または外向きあるいは内向きに配向したアームセグメントを有することもできる。いくつかの配列では、
図37A-37Dに示される実施形態は、デバイスの増進した密閉および固着のために弁尖組織を固着デバイス110の形状に一致させるよう、アーム510とリブ114との間で弁尖LFおよび/または弁輪AN組織を締め付けるように構成される。例えば、
図37Aは、アーム拡張部514および/またはアーム本体512が、リブ114および/またはリブセグメント85の形状を部分的に模倣し得る、一実施形態を図示し、
図37Bは、アーム拡張部514および/またはアーム本体512が、リブ114の形状により密接に従う、別の実施形態を図示する。
図37A-37Bによって包含される実施形態は、外向き表面係合アーム510bおよび/または内向き表面係合アーム510aに適用することができる。加えて、
図37A-37Bに示されるように、アーム拡張部514は、リブ114の上流セグメント85Aと略平行であるよう、半径方向外向きに延在することができる。アーム拡張部514は、リブ114および/またはリブセグメント85の長さに部分的に沿って(
図37Aおよび37C)、あるいはリブ114および/またはリブセグメント85の長さに完全に沿って延在するように構成することができる。
図37Dでは、アーム510は、第2のリブセグメント85Bおよび第3のリブセグメント85Aと略平行であるよう、第1のアーム拡張部514の上流部分に接続され、外向きに延在する第2のアーム拡張部518を有する。
【0143】
いくつかの実施形態では、人工心臓弁デバイス100は、デバイス100の円周の周囲に複数のアーム510を組み込んでもよいが、他の実施形態では、デバイスは、グループ(例えば、それぞれ、後尖および前尖に係合するよう第1および第2のグループ)で複数のアームを含んでもよい。加えて、アーム510は、
図38Aに示されるように、他のアーム510を含む他の構成要素から独立して、固着部材110および/または弁支持体120から延在してもよい。他の実施形態では、
図38Bに示されるように、デバイス100はさらに、アーム支柱520を相互接続することによって、少なくとも1つの第2のアーム510yと相互接続された少なくとも1つの第1のアーム510xを含んでもよい。アーム支柱520は、円周方向に拡張可能であるように構成することができ、全てのアーム510(例えば、アーム510xおよび510y)またはアーム510の1つ以上のグループを接続してもよい。いくつかの実施形態では、アーム支柱520は、デバイス100から離してアーム510x、510yの外向き拡張部を制限することができる。
【0144】
本技術の側面によれば、アーム510は、デバイス100の円周150の周囲で対称および/または非対称に、デバイス100の構成要素に連結する、および/またはデバイス100の構成要素から延在することができる。
図39A-39Dは、(例えば、
図38Aに示されるような)固着部材110のリブ114に対するアーム位置パターンの概略上面図である。アーム510は、リブ114を組み入れることができ(
図39Aおよび39C)、固着部材110のリブ114と同一の半径方向面内にあり得(
図39B)、またはリブ114を組み入れることができるとともに、それと同一平面内にあり得る(
図39D)。さらに、アーム510は、固着部材110の拡張外周150の外側に延在し(
図39B)、固着部材110の拡張外周150の内側に延在し(
図39A)、固着部材110の同一の外周150まで延在し(
図39C)、またはこれらの構成の組み合わせ(
図39D)に構成されてもよい。
【0145】
上記の実施形態では、アーム510は、固着部材110の展開から独立して組織に係合するように構成されてもよい。例えば、人工心臓弁デバイス100の送達に好適な送達カテーテルは、個別に、または別様に相互から独立して、アーム510および固着部材110を展開するように動作可能である別個の機構を装備してもよい。このようにして、固着部材110は、最初に、所望の最終位置が獲得されるまで、デバイス100の位置がオペレータによって査定および調整され得るように、天然組織と係合するよう解放されてもよい。固着部材110の展開および位置付けに続いて、アーム510は、組織に係合するように解放することができる。そのような展開システムおよび方法は、アーム510が、いったん展開されるとデバイス100の任意の再配置を禁止し得る、組織係合要素170を装備するときに有用である。いくつかの実施形態では、固着部材110は、いったん固着部材110が展開されると、組織を貫通しない、またはデバイス移転を阻止する、非外傷性組織係合要素170を装備するであろう。したがって、デバイス100のいくつかの実施形態は、アーム510が非展開構成で拘束される限り、固着部材110が拡張された状態でさえも再配置可能であり得、デバイス100は、アーム510が解放されたときのみ永久的に固着される。
【0146】
代替として、または上記で説明されるようにアーム510の上に存在する組織係合要素170に加えて、組織係合要素170が、デバイス100の他の構成要素の上に存在してもよい。
図40A-40Eは、本技術の付加的な実施形態による、デバイス100の様々な構造上に組織係合要素170を有する、人工心臓弁デバイス100の側面図である。例えば、組織係合要素170を、固着部材110のリブ114の上に組み込むことができる。
図40Aは、上部リブセグメント85A上に組み込まれた組織係合要素170を示し、
図40Bは、下部リブセグメント85B上に組み込まれた組織係合要素170を示す。
図40Cは、リブ114全体に沿って組織係合要素170を有する、デバイスの実施形態を図示する。組織係合要素170が、
図40A-40Cで概略的に示されているが、当業者であれば、要素が本明細書で説明される種々の組織係合要素170(例えば、非外傷性、部分的に穿刺する、完全に貫通する等)のうちのいずれか、または他の実施形態では異なる種類の組織係合要素170の組み合わせであり得ることを認識するであろう。加えて、組織係合要素170は、(例えば、デバイス100の上流移動を阻止するように)上流方向に配向されて示されるが、他の実施形態では、組織係合要素170は、(例えば、デバイス100の下流移動を阻止するように)下流方向に、または下流および上流配向方向の組み合わせで配向することができる。組織係合要素170は、デバイス100の円周の周囲で対称に組み込むことができ、または他の実施形態では、組織係合要素170は、非対称に組み込むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、組織係合要素170は、後尖と整合させられたデバイス100の側面上に存在することができるが、左心室から大動脈弁を分離する壁が組織係合要素170による影響を受けないように、存在しないか、または前尖と整合させられたデバイス100の側面上で異なる配列を有することができる。
【0147】
図40Dは、デバイス100が僧帽弁の弁輪の上または下で展開されたときに、弁輪下組織を完全または部分的に貫通するようにスパイクを構成することができる、リブ114の上流端175上のスパイク等の組織係合要素170を有する、デバイス100の実施形態を図示する。いくつかの実施形態では、組織係合要素170(例えば、スパイク)は、組織の中で組織係合要素170(例えば、スパイク)を保持するための鉤176または他の特徴を含むことができる。他の実施形態では、組織係合要素170(例えば、スパイク)は、弁輪下組織に係合するが貫通しないよう、鈍的であり得る。
図40E-40Gは、リブ114の上流先端175の上で使用するために好適な組織係合要素170(例えば、スパイク)の拡大側面図である。上流先端175の上に組織係合要素170を有するデバイス100はまた、組織の中への貫通の距離を制限するための特徴を組み込むこともできる。例えば、上流先端175は、組織係合要素170が弁輪下組織を貫通することができる距離を制限するように、各組織係合要素170の先端の近位に、例えば、1~5mmの短い距離で形成された柄177を有することができる(
図40E)。代替として、
図40Fに示されるように、組織の中への組織係合要素170の貫通深度は、組織係合要素170の先端からの所望の距離にコネクタ116を位置付けることによって制限することができる。
図40Gに示される、さらなる実施形態では、密閉部材140の上流縁178が組織係合要素170の貫通深度を制限することができるように、密閉部材140がリブ114に取り付けられてもよい。密閉部材140の下向きの滑動を防止するために、縫合糸を受容するように構成される穴173等の取付特徴が、密閉部材140をしっかりと固定することができる、その上流先端175からの所望の距離でリブ114の中に形成されてもよい。
【0148】
代替として、心臓組織に摩擦力を及ぼすように構成される、段差、隆起、または他の突起等の組織係合要素170もまた、1つ以上の弁支持体支柱124、弁支持柱122、および/または他の構成要素(例えば、密閉部材140)の上に存在してもよい。これらの組織係合要素170は、これらの特徴の外側部分の上に配置することができ、外向きに延在して天然弁尖に係合するように、および所望の場所でデバイス100を安定かつしっかりと固着するように構成することができる。代替として、隆起、塊片、棘毛、または指向性を有する他の特徴が、反対方向への移動を制限しながら、1つの方向への天然組織に対する移動を可能にするように、リブ114、コネクタ116、または密閉部材140の表面上に形成されてもよい。
【0149】
固着部材110上の組織係合要素170は、これらの要素が完全に展開されるまで、ある期間にわたって、デバイスが再配置または除去されることを可能にするよう、遅延した展開を有するように構成される、鉤、スパイク、または他の保持特徴であり得る。例えば、組織係合要素170は、展開構成で事前成形され、天然組織の中で組織係合要素170を保持するように適合される、形状記憶材料(例えば、ニチノール)で構築されてもよい。組織係合要素170は、組織からの除去を可能にする収縮構成に変形させられ、生体内分解性材料または接着剤によって、この形状で保持されてもよい。いったん組織に浸漬されると、この材料は、ある期間(例えば、10分~2時間)にわたって腐食することができ、組織係合要素170がその不偏展開形状に戻ることを可能にし、組織の中で組織係合要素170を保持することを支援するであろう。
【0150】
そのような遅延した展開可能な組織係合要素170のいくつかの実施例が、
図40I-40Tに示されている。
図40Iの実施形態では、組織係合要素170は、組織を貫通するほど十分に鋭くあり得る、その遠位先端452の付近に、菱形の窓451を有するよう、レーザ切断された形状記憶合金シャフト450を備える。形状は、窓451が
図40Iに示されるような拡張構成で開く状態に向かって付勢されるように設定される。デバイスの送達前に、窓451が、挟まれた状態で閉じられてもよく、生体内分解性糊455が、
図40Jに示されるような閉鎖構成で保つように窓451に注入されてもよい。デバイスの展開時に、遠位先端452は、
図40Kに示されるように、天然組織、例えば、弁尖または弁輪を貫通することができる。窓451内の糊455は、必要であれば、オペレータがデバイスを再配置または除去することを可能にするように、ある期間にわたって閉鎖構成でそれを維持する。定位置に残された場合、糊455は腐食し、窓451が拡張構成に再び開くことを可能にし、
図40Lに示されるように、組織の中で組織係合要素170を保持するであろう。
【0151】
図40M-40Pに示される実施形態では、組織係合要素170は、
図40Mに示されるように、半径方向外向きに角度を成すように付勢され、近位方向を指す、2つ以上の翼454を有する、矢じり形の先端453を備える。生体内分解性糊または被覆455が、
図40Nに示されるように、半径方向に収縮した構成で翼454を保つように矢じり先端453を覆って適用される。収縮構成では、デバイス100は、
図40Oに示されるように、組織係合要素170が天然組織を穿刺するように展開される。次いで、生体内分解性被覆455は、翼454が
図40Pに示される横方向に拡張した構成に戻ることを可能にするまで、徐々に腐食し、したがって、組織の中で組織係合要素170を保持する。
【0152】
さらなる実施形態が、
図40Q-40Tに示されている。この実施形態では、組織係合要素170は、不偏状態でらせん先端456を備える。生体内分解性被覆455は、
図40Rに示されるように、直線構成でらせん先端456を保持するために使用されてもよい。組織係合要素170は、収縮構成で組織を貫通し、らせん先端456がその展開構成に戻ることを可能にするように、生体内分解性被覆455が十分に腐食するときに、組織係合要素170を組織の中で保持することができる。
【0153】
人工心臓弁デバイス100はまた、弁輪に係合するための付加的な組織係合要素170を有するように構成することもできる。例えば、
図41は、本技術のさらなる実施形態による、複数の弁輪係合要素179を有する人工心臓弁デバイス100の等角図である。弁輪係合要素179は、要素179が、弁輪上の組織、ならびに弁輪上組織および弁輪下組織の一部分に係合することを可能にする、C字形のフック特徴または他の形状であり得る。示されるように、弁輪係合要素179は、固着部材110の上流周囲の周囲で対称(
図41に示される)または非対称に散在し、リブ114、コネクタ116(図示せず)、または密閉部材140に連結することができる。弁輪係合要素179はまた、上流周囲113の下流の他の場所で固着部材110に、または他の実施形態では、少なくとも弁輪面PO(
図3)を通って延在する弁支持体120の一部分に、連結されてもよい。加えて、弁輪係合要素179は、(例えば、弁輪組織を押勢するが貫通しないために)鈍的であり得るか、あるいは弁輪上または弁輪下表面のいずれか一方または両方の上の弁輪組織を貫通するために鋭くあり得る。弁輪係合要素179は、(例えば、弁輪より下側に固着部材110を伴って)所望の場所でデバイス100を位置付けるため、ならびに上流または下流方向のいずれかへのデバイスの移動を阻止するための両方に好適であり得る。
【0154】
図42A-42Bに示される別の実施形態では、人工心臓弁デバイス100は、複数の管状リブ314から展開可能な組織係合要素372を有することができる。
図42Aを参照すると、人工心臓弁デバイス100は、複数の展開可能な組織係合要素372を保持するように構成される複数の管状リブ314を有する、固着部材110を有することができる。
図42Bは、リブ314の管腔316内で保持され、要素372の展開前に示された、管状リブ314および展開可能な組織係合要素372の拡大図である。組織係合要素372は、リブ314の内側管腔316からの組織係合要素372の解放時に事前形成された形状に展開するように構成される、形状記憶材料(例えば、ニチノール)を含むことができる。組織係合要素372の解放は、組織係合要素372の近位端374に係合することによって達成することができる。例えば、近位端374は、固着部材110が弁輪ANより下側の所望の場所に位置付けられた後に組織係合要素372を解放するように、デバイス100の展開中に係合させることができる。管状リブ314は、U字形の偏向器318と、リブ314の遠位開口部315を通して遠位に組織係合要素372を誘導するように構成される枢動点320とを含むことができる。
図42Bにおいて点線で図示されるように、要素372の近位端374の係合は、隣接弁輪下組織を貫通するように、管状リブ314の遠位開口部315からの組織係合要素372の遠位端376を促すであろう。いったん展開され、弁輪上表面等の反対面Sから退出した後、組織係合要素372は、組織からの遠位端376の後退に抵抗することができる、渦巻状形状378等のその事前形成された形状に移行することができる。
【0155】
人工治療デバイス100の別の実施形態によれば、組織係合要素170を密閉部材140(例えば、スリーブ146)に組み込むことができる。
図43A-43Bは、組織係合要素170を伴って構成された密閉部材140を有する、人工心臓弁デバイス100の等角図および拡大詳細図である。
図43A-43Bをともに参照すると、組織係合要素170は、密閉部材140材料に織り込まれるか、または別様にそれに連結される、組織を貫通するほど十分に剛性かつ鋭い、金属またはポリマーワイヤ178または繊維を備えることができる。次いで、密閉部材140は、組織係合要素170が密閉部材140から半径方向外向きに延在して、隣接する弁尖または他の組織に係合するように、固着部材110の外壁および/または内壁141、142、および/または弁支持体120の内面および/または外面126、127に取り付けることができる。
【0156】
図44A-44Fは、固着部材110または弁支持体120等のデバイス特徴に組み込まれ得る、支柱、コネクタ、柱、アーム、および/またはリブ等の種々のデバイス構造(集合的に「ST」と呼ばれる)の上に組み込むことができる、付加的な組織係合要素の実施形態の拡大側面図である。例えば、付加的な組織係合要素は、組織係合要素170の代わりに、またはそれに加えて、1つ以上の切り欠き突起350(
図44Aおよび44B)を備えてもよい。
図44Cの側面図によって示されるような折り畳みまたは直線構成では、切り欠き突起350は、送達中に薄型外形を維持するように、構造STの表面に対して低い起伏を維持する。デバイス100が拡張し、構造STがその展開構成(例えば、
図44Dに示されるような曲率)に変化すると、突起がより高い起伏までSTから分離する。突起350はまた、弁輪下組織を把持し、構造STからさらに遠く切り欠き突起を引き離すように構成されてもよい。デバイス構造STはまた、
図44Eで図示されるように、その縁または面のうちの1つ以上に沿って鋭い突起352を含むように成形されてもよく、または
図44Fに示されるように、尖ったスケール様突起354も含んでもよい。
【0157】
上記で説明される安定化部材501に加えて、本明細書で説明される人工心臓弁デバイス(例えば、デバイス100)はまた、固着部材110および/または弁支持体120を安定させるため、および/または(例えば、心室収縮期中に)デバイス100のより広い領域にわたって圧力勾配負荷を均等に拡散するために、テザー360および密閉部材中隔370等の支持特徴を含んでもよい。
図45Aを参照すると、デバイス100の一実施例は、固着部材110の上部分112を弁支持体120の上流端121に少なくとも緩く連結する、複数のテザー360を組み込むことができる。一実施形態では、テザー360は、固着部材110の円周150の周囲で連続的に及ぶ、単一の縫合糸を含むことができる。別の実施形態では、デバイス100は、固着部材110と弁支持体120との間で結ばれる、離散的な長さの数本の縫合糸を含むことができる。一実施形態では、テザーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、縫合糸であり得る。概して、テザー360は、弁支持体120を変形させること、または人工弁130の閉鎖を損なうことなく、固着部材110に沿って均等に力を分配することを支援する。いくつかの配列では、テザー360は、上流部分の半径方向拡張を制限することを支援することができる。したがって、テザー360を組み込んでも、弁支持体120は、少なくとも固着部材110の上流部分から機械的に隔離されたままである。
【0158】
図45Bは、固着部材110および/または弁支持体120を安定させるため、および/または(例えば、心室収縮期中に)デバイス100のより広い領域にわたって圧力勾配負荷を均等に拡散するために好適な安定化部材501の別の実施例を示す。
図45Bに示されるように、デバイス100は、固着部材110と弁支持体120との間に延在する複数の密閉部材中隔370を含むことができる。図示した実施形態では、中隔370は、固着部材110の内壁141に連結されるスカート144等の密閉部材140と、弁支持体120の内面または外面126、127に連結されるスリーブ146等の密閉部材140との間に及ぶように構成される、密閉部材材料の拡張部であり得る。したがって、中隔370は、Dacron(登録商標)、ePTFE、ウシ心膜、または他の好適な材料等の繊維または他の可撓性および生体適合性材料で形成することができる。
図45Aで図示される実施形態と同様に、中隔370は、弁支持体120を変形させること、または人工弁130の閉鎖を損なうことなく、固着部材110に沿って均等に力を分配することを支援することができる。いくつかの配列では、中隔370は、心室収縮期中にデバイス100が裏返るのを防止することを支援することができる。したがって、中隔370を組み込んでも、弁支持体120は、少なくとも固着部材110の上流部分から機械的に隔離される。
【0159】
デバイス100の要素および部材のそれぞれは、所望の結果に応じて、任意の数の好適な生体適合性材料、例えば、ステンレス鋼、NitinolTM等のニッケルチタン合金、MP35N等のコバルトクロム合金、ELGILOY(登録商標)(Elgin, IL)等の他の合金、種々のポリマー、熱分解炭素、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、または任意の数の他の材料あるいは材料の組み合わせから作製されてもよい。アーム部材510、密閉部材140、スリーブ146、固着部材110、および/または弁支持体120、あるいはデバイス100の他の要素はまた、組織内方成長を推進する材料(例えば、Dacron(登録商標)、PTFE等)で被覆され、または覆われてもよい。
【0160】
(送達システム)
図46A-46Dは、本明細書で開示される人工心臓弁デバイスの送達に好適な送達システム10の一実施形態を図示する。送達システムを参照して使用されるように、「遠位」とは、システム10の縦軸に沿って送達システム10のハンドルからさらに遠い距離を有する位置を指し、「近位」とは、システム10の縦軸に沿って送達システム10のハンドルにより近い距離を有する位置を指す。
【0161】
図46Aは、血管系を通して患者の心臓まで、本明細書で開示される人工心臓弁デバイス100の実施形態を送達して展開するために使用され得る、送達システム10の一実施形態を図示する。送達システム10は、随意に、一実施形態では直径が34F以下であり、別の実施形態では28F以下である、送達シャフト16に連結されたハンドル12を有する、誘導カテーテルGCを含んでもよい。誘導カテーテルGCは、標的弁への特定のアプローチに好適な構成で操縦可能であり得るか、または事前成形されてもよい。送達カテーテル18は、止血弁HVを通して誘導カテーテルGCの近位端上に配置され、デバイス100が折り畳みまたは送達構成106で位置付けられる送達シース20まで延在する、可撓性の管状外側シャフト19を含む。可撓性内側シャフト28は、外側シャフト19内で摺動可能に位置付けられ、デバイス100を通って遠位端におけるノーズコーン21まで延在する。内側シャフト28は、それを通してガイドワイヤ24が摺動可能に位置付けられ得る、ガイドワイヤ管腔を有する。デバイス100は、以下でさらに完全に説明されるように、内側シャフト28に連結され、解放ワイヤ30によって内側シャフト28から解放可能である。送達シース20は、送達中にその折り畳み構成106でデバイス100を防御および保護することができる。外側シャフト20は、送達カテーテル18のハンドル14上の後退機構23に連結される。軸方向に摺動可能なレバー、回転可能なラックおよびピニオンギア、または他の既知の機構等の種々の後退機構23が使用されてもよい。このようにして、外側シャフト20は、シース20からデバイス100を解放(例えば、展開)するように、内側シャフト28に対して後退させられてもよい。
【0162】
図46Bは、内側シャフト28へのデバイス100の連結を図示するようにシース20が切り取られた、送達カテーテル18の遠位端を示す。複数の係止指部32が、ノーズコーン21に連結され、デバイス100の弁支持体120の内部を通して近位に延在する。
図46Cに示されるように、弁支持体120の選択された数の柱122が、その近位端において各柱122から切り取られたタブ34を備える、連結要素61を有する。タブ34は、
図46Bに示されるように柱122から内向きに偏向されてもよく、
図46Dに示されるように係止指部32の中の窓42を通って延在するように構成される。解放ワイヤ30は、タブ34の中の穴40を通過し、デバイス100を内側シャフト28に固定するように、タブ34が窓42から引き出されることを防止する。引張ワイヤ30が近位または遠位方向に滑動することを摩擦が一時的に防止するように、引張ワイヤ30をタブ34と係止指部32との間で緊密に挟持することができる。このようにして、シース20は、内側シャフト28が生体構造に対してデバイス100の縦方向位置を維持している間に、デバイス100の拡張を可能にするように、デバイス100に対して後退させられてもよい。引張ワイヤ30は、例えば、内側シャフト28と外側シャフト19との間で、または1つ以上の指定管腔内で、ハンドル14まで近位に延在してもよい。ハンドル14の上の好適な機構(図示せず)は、オペレータが、タブ34から係脱されるまで解放ワイヤ30を近位方向に後退させることを可能にすることができる。したがって、デバイス100は、係止指部32から解放し、標的部位での展開のために拡張することができる。
【0163】
図47A-47Dは、人工心臓弁デバイス100を送達および展開するための経中隔または順行性アプローチを示す、心臓Hの概略断面側面図である。
図47Aに示されるように、ガイドワイヤ24が、任意の数の技法を使用して血管内で、例えば、下大静脈IVCまたは上大静脈SVCを通して、心房中隔IASを通して、右心房RAの中へ前進させられてもよい。誘導カテーテルGCは、
図47Bに示されるように、心房中隔ASの前側に到達するまで、ガイドワイヤ24に沿って右心房RAの中へ前進させられてもよい。この点で、ガイドワイヤ24は、心房中隔IASを貫通するために使用される針25と交換されてもよい(
図47C)。次いで、誘導カテーテルGCは、
図47Dに示されるように、針25上で左心房LAの中へ前進させられてもよい。誘導カテーテルGCは、僧帽弁に向かって送達カテーテル18(
図46A)を方向付けるように、誘導カテーテルGCを成形または操縦するよう事前成形された、または操縦可能な遠位端を有してもよい。
【0164】
経中隔アプローチの代替案として、僧帽弁は、左心房内の切開を通して直接アクセスされてもよい。心臓へのアクセスが、肋骨を除去することなく、胸部内の肋間切開を通して得られてもよく、誘導カテーテルが、巾着縫合で密閉される心房切開を通して左心房の中へ配置されてもよい。次いで、送達カテーテルが、誘導カテーテルを通して僧帽弁まで前進させられてもよい。代替として、送達カテーテルは、誘導カテーテルを使用することなく、心房切開を通して直接配置されてもよい。
【0165】
図48A-48Cは、経中隔アプローチを使用して人工心臓弁デバイス100を埋め込む方法を図示する、心臓の断面図である。
図48A-48Cをともに参照すると、送達カテーテル18の遠位端21が、僧帽弁MVに近接して前進させられてもよい。随意に、
図48Aに示されるように、カテーテル18がガイドワイヤGW上で摺動可能に前進させられ得る、ガイドワイヤGWが使用されてもよい。折り畳み構成106でデバイス100を含有する送達カテーテル18のシース20は、
図48Aに示されるように、天然弁尖LFの間の僧帽弁輪ANを通して前進させられる。次いで、
図48Bを参照すると、シース20が遠位ノーズコーン27に対して近位に後退させられ、固着部材110が弁尖LFを外向きに押勢して僧帽弁輪ANの下に折り畳むように、デバイス100が拡張することを可能にする。リブ114の先端は、弁尖組織に係合し、弁輪ANの組織にさらに係合するように、弁尖組織の中へ、またはそれを通って貫通してもよい。シース20が除去され、デバイス100が拡張させられた後に、オペレータが拡張構成102のデバイス100の配置をさらに制御することができるように、送達システムを依然としてデバイス100に接続することができる(例えば、示されていないシステム小穴が、
図10Aに示されるデバイス小穴180に接続される)。例えば、デバイス100は、標的場所の上流または下流で拡張され、次いで、送達システム10からデバイス100を解放する前に、それぞれ、所望の標的場所内へ下流または上流に押勢されてもよい。いったんデバイス100が標的部位に位置付けられると、引張ワイヤ30(
図46A-46B)は、送達カテーテル18から展開構成104のデバイス100を切り離すように、近位方向に後退させられてもよい。次いで、送達カテーテル18は、
図48Cに示されるように除去することができる。代替として、デバイス100が展開し、送達システム10から完全に解放されるように、デバイス100は、送達システム10に接続されなくてもよい。
【0166】
図49Aおよび49Bは、大動脈および左心室を介した僧帽弁への逆行性アプローチを使用して、1つ以上の人工心臓弁デバイス100を送達および展開するための別の変形例を図示する。この実施例では、ガイドワイヤGWは、大腿または橈骨動脈から、または大動脈AOおよび大動脈弁AVを通した直接大動脈穿刺を通して、心臓Hの左心室LVの中へ血管内で前進させられてもよい(
図49A)。誘導カテーテルGC、または代替として、送達カテーテル18は、
図49Aおよび49Bに示されるように、遠位端が僧帽弁MVに近接して左心室内に位置付けられるまで、ガイドワイヤGWに沿って前進させられてもよい。多くの配列では、誘導カテーテルGCおよび/または送達カテーテル18は、大動脈弁AVから僧帽弁MVへ180°旋回で操縦されることを可能にする、操縦機構または事前成形された遠位先端を有するであろう。送達カテーテル18の遠位端は、随意に、少なくとも部分的に僧帽弁MVを通して左心房LAの中へ前進させられてもよい。
【0167】
図50A-50Bは、経心尖アプローチでの僧帽弁MVへの折り畳み構成106のデバイス100の送達を図示する。
図50Aを参照すると、送達カテーテル18は、心尖における、またはその付近の左心室壁内の穿孔を通して、心臓の左心室に挿入された、誘導カテーテルGCを通して前進させられる。カテーテルは、巾着縫合によって密閉することができる。カテーテルは、巾着縫合によって密閉することができる。代替として、送達カテーテル18は、誘導カテーテルを伴わずに巾着縫合で密閉した経心尖切開を通して直接配置されてもよい。シース20およびシース20内の(例えば、折り畳み構成106の)デバイス100は、
図50Aに示されるように、天然弁尖LFの間の僧帽弁輪ANを通して前進させられる。
図50Bを参照すると、シース20は、デバイス100が拡張および/または展開構成102、104まで拡張するように、近位に引っ張られる。送達システム10は、拡張構成102である間に、オペレータがデバイス100の配置を制御することができるように、シース20を除去した後にデバイス100に接続されたままとなることができる(例えば、示されていないシステム小穴がデバイス小穴180に接続される、
図10A)。引張ワイヤ30は、送達システム10からデバイス100を解放するように近位方向に後退させられてもよく、送達システム10が除去され、デバイスが展開構成104で僧帽弁MVに完全に埋め込まれることを可能にする。一実施形態では、デバイス100は、所望の標的場所の上流または下流で拡張され、次いで、送達システム10からデバイス100を解放する前に、それぞれ、下流または上流で、標的場所に引き込まれ、または押し込まれてもよい。代替として、デバイス100が展開し、送達システム10から完全に解放されるように、デバイス100は、送達システム10に接続されなくてもよい。
【0168】
図51A-51Bは、本技術の別の実施形態による、人工心臓弁デバイス100が送達カテーテル18の拡張可能なバルーン300の上に載置される、送達システム10の部分側面図である。
図51Aおよび51Bをともに参照すると、デバイス100は、折り畳み構成106である間に送達カテーテルの拡張可能なバルーンの上に載置し、天然僧帽弁における、またはその付近の所望の場所へ送達することができる(
図51A)。デバイス100がシース20から解放されたとき(
図46A-46B)、デバイス100は、バルーン300の膨張によって、その拡張構成102まで拡張させることができる(
図51B)。送達システム10とともにバルーン300を使用するとき、デバイス100は、最初に標的場所にデバイス100を位置付けるように、送達シャフト16から前進させることができる。バルーン300は、デバイス100を完全に拡張するように膨張させることができる。次いで、僧帽弁に対するデバイス100の位置は、デバイスを所望の埋込部位に(例えば、天然僧帽弁輪の直下に)位置付けるように、デバイス係止ハブを使用して調整されてもよい。別の実施形態では、バルーン300は、最初に、左心房の中でデバイス100を部分的に拡張するように、部分的に膨張させることができる。次いで、送達システム10は、部分的に拡張した心臓弁デバイス100を(アプローチに応じて)埋込部位に押し込む、または引き込むように調整することができ、その後、デバイス100を、その機能的サイズまで完全に拡張することができる。他の代替的な方法では、固着部材110が、最初に、天然生体構造に係合するように標的部位でシース20から解放される(
図46A-46B)、自己拡張式構築物である一方で、弁支持体120は、固着部材110が解放された後に、次いで、弁支持体120を完全に展開するように拡張させられる、バルーン300の上に載置されたバルーンで拡張可能な要素である。
【0169】
なおもさらなる実施形態では、デバイス100の弁支持体120は、固着部材110から軸方向に移動可能または着脱可能であるように構成されてもよい。そのような配列では、2つの構成要素110、120は、送達システム10内で軸方向に分離した構成で装填されてもよく、それにより、システム10の全体的な外形を縮小させる。標的弁部位への送達後に、構成要素110、120をともに組み立てることができる。
図52A-52Dは、心臓の中で弁支持体120および固着部材110を組み立てる実施形態を示す。
図52Aに示されるように、送達カテーテル380は、心房中隔または心房壁を通して配置された誘導カテーテルGCを介して、左心房の中へ前進させられる。送達カテーテル380は、遠位ノーズコーン382と、近位カプセル384とを備える、分割シース382、384を有する。送達カテーテル380は、ノーズコーン382が天然弁輪ANの遠位に位置付けられるまで、天然弁MVを通して前進させられる(
図52A)。次いで、ノーズコーン382は、送達カテーテル380の残りの部分の位置を維持しながら、さらに遠位に前進させられ、それにより、ノーズコーン382から固着部材110を解放する(
図52B)。固着部材110は、外向きに自己拡張し、天然弁尖LFに係合して、
図52Bに示されるように、天然弁輪ANの下でそれらを外向きに折り畳む。リブ114の上流先端(
図52B)は、デバイス100を定位置で固着するように弁輪下組織に係合する。密閉部材140は、固着部材110の周囲113に固定され、近位カプセル384の中へ延在する接続部分386を有し、そこで、依然として近位カプセル384内で拘束されている弁支持体120に固定される。次いで、送達カテーテル380は、
図52Cに示されるように、固着部材110内に近位カプセル384を位置付けるよう前進させられる。密閉部材140が緊張した状態になるまでカテーテル380を前進させることによって、適正な位置付けが獲得されてもよい。次いで、近位カプセル384から弁支持体120を解放するように、近位カプセル384がノーズコーン382に対して後退させられる。弁支持体120は、固着部材110の下流端と係合するように自己拡張し、2つの構成要素をともに連結することができる。次いで、送達カテーテル380は、患者から引き出されてもよい。
【0170】
図53A-53Hは、
図52A-52Dに示されるプロセスで弁支持体120を固着部材110に連結するために使用され得る、種々の機構を示す。例えば、
図53Aに示されるように、弁支持体120は、2つの構成要素の着脱を阻止するように固着部材110内の溝390の中に係合する、円周方向隆起または戻り止め388を、その下流端の付近に含んでもよい。代替として、弁支持体120は、固着部材110の下流端の周囲に、例えば、
図53B-53Cに示されるように、リブ114またはコネクタ116の下流先端のいずれか一方の周囲に延在するように構成される、各柱122の下流端に形成されたフック392を有してもよい。例えば、フック392は、
図53Cに示されるように、弁支持体120が前進させられるにつれて、リブ114の内面に係合するときに、内向きに撓曲するように構成され、およびリブ114の下流端を越えて拡張されたときに、その外向き構成へ弾性的に反動するように構成されてもよい。随意に、固着部材110上の段差または隆起396等の相補的特徴に係合して、所定の深度を越えた弁支持体120の挿入を防止するように構成される、スタブ396等の深度制限特徴が、弁支持体120から外向きに延在してもよい。
【0171】
図53D-53Fに示される、さらなる実施形態では、弁支持体120は、固着部材110に摺動可能に連結するように構成される連結要素398を、その外面上に有してもよい。第1の構成では、連結要素398は、それを通して固着部材110上の垂直ガイド部材402が摺動し得る、
図53Eに示されるループ400を備える。固着部材110は、その円周の周囲に離間した場所で、その下流端から上向きに延在する、複数のそのようなガイド部材402を有してもよい。弁支持体120が上流方向へ後方に摺動することを阻止するように、その上でループ400が摺動し得る、ガイド部材402の下流端の付近に、段差404が形成されてもよい(
図53D)。
図53Fに示される代替的な構成では、ガイド部材402は、弁支持体120上の半径方向に延在するピン408がその中へ延在することができる、垂直スロット406を有する。ピン408は、それが腰部411を通して押動され得る、スロット406の下流端へ摺動してもよく、ピン408が上流方向へ後方に摺動することを防止する。
【0172】
図53G-53Hに示される、さらなる実施形態では、弁支持体120上の連結要素398は、それら自体が(
図53D-53Fに関して説明される)ガイド部材402と類似の機能を果たす、リブ114を摺動可能に受容するように構成される。
図53Gに示されるように、弁支持体120へのリブ114の連結は、弁支持体120が固着部材110に対して軸方向に上向きに摺動するときに、半径方向に小型の構成でリブ114を拘束するのに役立つ。
図53GG-53Hに示される配列では、デバイス100の送達は、送達中にリブ114を拘束するために別個のシースの必要性を要求しなくてもよい。
図53Hに示されるように、弁支持体120は、リブ114がそれらの半径方向外向き構成を成すまで、固着部材110に対して下流方向に摺動してもよい。ガイド部材402と同様に、各リブ114は、それを通り過ぎて連結要素398が押動され得るが、次いで、弁支持体120が上流方向に摺動することを阻止する、その下流端の付近に形成された段差412を有してもよい(
図53H)。
【0173】
図54A-55Cは、本技術の付加的な側面による、送達システム40の送達カテーテル400を図示する。
図54Aは、人工心臓弁デバイス100のための送達システム40の断面側面図であり、
図54Bは、
図54Aに示される送達システム40の遠位部分の部分断面側面図である。
図54Aおよび54Bに示されるように、送達カテーテル400は、外壁403と、ブラインド環状空洞408を画定する閉鎖遠位突出部406とを有する、シース402を備える。内壁405は、カテーテル(図示せず)の近位端まで近位に延在し、したがって、ガイドワイヤGWが摺動可能に位置付けられ得る、それを通って軸方向に延在する内側管腔を画定する、管状カテーテルシャフト407を形成する。ピストン412は、空洞408の中に摺動可能に配置され、空洞408の壁と流体密閉を作成するように、その円周の周囲にOリング413を有する。管状ピストンシャフト414は、ピストン412から近位に延在し、カテーテルシャフト407を覆って摺動可能に載置される。ピストンシャフト414は、空洞408と連通している流体管腔416を画定するよう、カテーテルシャフト407に対して大きくサイズ決定される。デバイス26は、ピストンシャフト414およびカテーテルシャフト407が弁支持体120の内部を通って延在する状態で、空洞408内で、その半径方向に折り畳んだ送達構成において保持される(
図55A-55Cに示される)。好ましくは、デバイス100は、例えば、ピストンシャフト414から半径方向外向きに延在するピン(図示せず)によって、ピストン412に解放可能に連結される。
【0174】
シース402は、その進行を制限する特徴を有してもよい。例えば、ワイヤ(図示せず)が、保護シースをカテーテル400の近位端上のハンドルに繋留してもよい。ワイヤは、ハンドル上の調整可能な停止部に取り付けられてもよく、ピストン進行の長さが調整されることを可能にする。流体が空洞408に注入されたとき、ピストン412は、この停止部に到達するまで進行するであろう。このようにして、展開の進捗を制御することができる。
【0175】
展開後にデバイス100の弁を通したシース402の後退を容易にするために、先細特徴が、シース402の近位端に隣接するように前進してもよい(
図56参照)。代替として、ピストン412は、近位方向に面するピストン412の後部に直接添着された先細または軟質緩衝材料を有してもよい。このようにして、ピストンの近位側は、それ自体が、弁支持体120を通したシース402の後退を容易にするように、非外傷性先頭面を提供するであろう。
【0176】
デバイス100の展開を制御して円滑にすることを目的としている特徴を組み込むことができる。例えば、自己拡張式ステントの展開中の一般的な問題は、最終要素が展開デバイスから退出する際に、展開されたデバイスが前方または後方に「飛び出す」または跳ね上がる傾向である。デバイス100の拡張骨格によってシース402が前方に突き出ることを防止する特徴が、心室または他の組織への偶発的な損傷を防止するために重要であり得る。そのような特徴は、展開されたデバイス100に対してシース402の位置を保持するように設計されている停止部またはテザーを展開システム内に組み込んでもよい。例えば、シース402の近位縁は、ピストンがシースから退出することを防止するように、および上記で説明される先細または緩衝特徴を正確に設置して、展開された弁を通したシステムの引き出しを容易にするように、わずかに内向きにスエージ加工することができる。代替として、または加えて、デバイス100の最後の特徴がシース402から撤退するときに、シースが、わずかに新たに展開されたデバイス100の下流端の中へ能動的に後退するように、バネ機構(図示せず)を送達システム40に組み込むことができる。
【0177】
送達カテーテル400の動作が
図55A-55Cで図示されている。送達カテーテル400は、本明細書の他の場所で説明されるアプローチのうちの1つを使用して、標的弁部位に位置付けられる。送達カテーテル400は、上流方向から天然弁を通した配置に特によく適している。カテーテル400は、シース402が天然弁輪の下流に位置付けられるまで前進させられる(
図55A)。次いで、流体管腔416を通して、ピストン412より遠位の空洞408に流体を注入することができる(
図55B)。これは、シース402を遠位に駆動し、空洞408からデバイス100を解放する(
図55C)。送達カテーテル400およびデバイス100は、デバイス100が展開されている間に、天然弁に対して静止縦方向位置にとどまり、それにより、展開の精度を増加させてもよい。加えて、デバイス100は、ゆっくりと制御された様式で展開されてもよく、デバイス100の突然の制御されていない跳ね上がりを回避する。さらに、そのような油圧作動は、デバイス100を部分的にのみ展開するように、シース402が増分段階で移動させられることを可能にし、完全展開前に、オペレータが天然弁に対するその位置を査定し、必要に応じて、再配置することを可能にする。
【0178】
一実施形態では、ピストン412は、油圧で作動させることができるが、別の実施形態では、ピストン412は、ピストンシャフト414の手動後退またはシース402の前進によって操作することができる。送達カテーテル400は、ピストンシャフト414および/またはカテーテルシャフト407に連結された後退機構を有するハンドルを、その近位端上に装備してもよい。そのような機構は、ピストンを後退させるか、またはシースを前進させるために必要とされる力を低減させる機械効率を提供するために、歯車または滑車を使用してもよい。
【0179】
本技術の側面による送達カテーテルはさらに、完全または部分展開後にデバイス100がカテーテル400の中へ戻って後退させられることを可能にするよう、可逆的であるように構成されてもよい。そのようなカテーテルの一実施形態が、
図56で図示され、
図54A-55Cの送達カテーテル400は、そこから完全または部分的に展開された後に、デバイス100をシース402の中へ戻して後退させるように適合される。ピストン412が、少なくともそれに連結された第1の滑車420を有する一方で、遠位突出部406は、少なくともそれに連結された第2の滑車422を有する。複数の付加的な滑車423もまた、付加的な機械的支援のために、ピストン412の円周の周囲の場所に提供されてもよい。1本のワイヤまたは縫合糸を備え得る、ケーブル424が、流体管腔416および空洞408を通って延在し、第1および第2の滑車420、422および任意の付加的な滑車423の周囲を通過し、ピストン412に固定される。デバイス100は、好ましくは、その下流端428の付近で、デバイス100と係合するようにピストンシャフト414から半径方向に延在する複数のピン426によって、ピストンシャフト414に解放可能に連結することができる。
【0180】
デバイス100を展開するために、
図56の送達カテーテル400は、
図54A-55Cと関連して上記で説明されるように、同様に動作するが、付加的な実施形態では、下流端428がシース402から完全に解放される前に、オペレータがデバイス100の場所をチェックすることができる。展開時に、デバイス100の上流端430は、その拡張構成に向かって拡張するであろう。オペレータは、超音波、蛍光透視法、MRI、または他の手段を使用して、天然組織の中の展開されたデバイス100の位置および形状を視認することができる。位置付け後に、シース402は、シース402からデバイス100を完全に展開するように、ピストン412に対してさらに前進させられてもよく、そうすることによって、下流端428が完全に拡張し、ピン426がデバイス100から係脱される。オペレータが再配置または他の理由のためにシース402の中へ戻してデバイス100を回収することを所望する状況で、ケーブル424は、シース402に対して遠位方向にピストン412を移動させるよう引っ張られる。ピン426は、シース402の中へピストン412とともにバイス100を引き戻し、デバイス100は、シース402に引き込まれるにつれて折り畳まれる。次いで、送達カテーテル400が再配置され、デバイスが再展開されてもよい。
【0181】
一実施形態では、人工心臓弁デバイス100は、僧帽弁に到達する特定のアプローチまたは送達方法のために特異的に設計されてもよく、または別の実施形態では、デバイス100は、アプローチまたは送達方法間で交換可能であるように設計されてもよい。
【0182】
(人工心臓弁デバイス、送達システム、および方法の付加的な実施形態)
図57A-57Eは、拡張構成602で示され、本技術の付加的な実施形態に従って構成された人工治療デバイス600の等角図である。人工心臓弁デバイス600は、
図10A-56を参照して上記で説明される人工心臓弁デバイス100の特徴に概して類似する特徴を含む。例えば、人工心臓弁デバイス600は、人工弁130を支持するように構成される弁支持体120と、天然僧帽弁に埋め込まれたときに固着部材610に及ぼされる力から弁支持体120を機械的に隔離する様式で弁支持体120に連結される固着部材610とを含む。しかしながら、
図57A-57Eに示される実施形態では、上流方向へのデバイス600の移動を阻止するよう、固着部材610の上流領域612が、弁輪の上または下流の天然組織に係合するように構成されるように、固着部材610の上流領域612は、弁支持体120に連結される。
【0183】
図57Aおよび57Bは、固着部材610が、弁支持体120の上流端121に連結され、下流から遠位の方向に延在する、複数の縦方向リブ614を含む、デバイス600の実施形態を図示する。
図57Aに示されるように、リブ614は、下流領域611が、僧帽弁輪より下側の弁輪下組織に係合するために外向きに口広であるように、固着部材610の下流領域611において、縦軸101から半径方向外向きに突出することができる。
図57Bは、下流領域において上向きの穴縁617を伴う固着部材610を有する、デバイス600の実施形態を図示する。この実施形態では、リブ614は、下流領域が縦軸101から外向きに略口広であるが、リブ614の先端615が再配向して穴縁617において上流方向を指すように、形成することができる。穴縁617は、固着部材610が弁輪下組織に係合することを支援してもよく、デバイス100に関して上記に説明されるように組織係合要素(図示せず)を含むように構成することができる。固着部材610はまた、天然弁内に弁支持体120および人工弁130を位置付けるために望ましい位置で弁支持体120に連結することもできる。例えば、
図57Cは、上流端121から下流の場所で固着部材610を弁支持体120に連結することができる、デバイス600の実施形態を図示する。
【0184】
図57A-57Cをともに参照すると、固着部材610は、下流領域611における第2の断面寸法D
C2よりも小さい第1の断面寸法D
C1を上流領域612において有することができる。加えて、弁支持体120は、デバイス600が展開されたときに、弁支持体120の上流部分を変形させることなく下流領域611が内向きに変形することができるように、固着部材610の下流領域611から半径方向に分離される。加えて、固着部材610が、略卵形またはD字形、あるいは
図16A-17Cに関して上記で説明されるもの等の他の不規則な形状を有することができる一方で、弁支持体120は、形状が略円筒形であり得る。そのような実施形態では、第2の断面寸法D
C2は、天然僧帽弁の弁輪の対応する断面寸法(例えば、MVA1またはMVA2)(
図5C)よりも大きくあり得る。
【0185】
図57Dは、拡張構成602のデバイス600のさらに別の実施形態を図示する。示されるように、弁支持体120は、弁支持体120の下流端123にフランジ620を含むことができる。フランジ620は、弁輪下組織に半径方向に係合するように、下流端123において縦軸101から半径方向外向きに延在することができる。固着部材610は、フランジ620の外側周縁622に付着するように、弁支持体120の上流端121に連結され、下流方向へ半径方向外向きに延在する、複数のリブ614を含むことができる。固着部材610は、弁尖の内向き表面等の弁輪下組織に係合するように構成することができる。この実施形態では、リブ614は、上流領域612における連結部と下部領域611におけるフランジ620への連結部との間の固着部材610の変形が、人工弁が接続される弁支持体120を実質的に変形させないように、可撓性であり得る。
【0186】
図57Eは、本技術の実施形態による、天然僧帽弁MVに埋め込まれた
図57Aの人工心臓弁デバイス600の概略断面図である。示されるように、固着部材610の口広下流領域611は、弁輪下組織、例えば、弁尖LFの内向き表面、弁輪下表面等に係合することができる。リブ614は、組織を貫通する、および/または部分的に貫通するために、リブ先端615の上に組織係合要素170を組み込むことができる。さらに、固着部材610は、組織に対して半径方向外向きに密閉して(図示せず)、上流または下流方向へのデバイス600の移動を防止するように、および/または組織とデバイス600との間の弁傍漏出を防止するように拡張することができる。したがって、デバイス600は、デバイス100に関して上記で説明されるように、1つ以上の密閉部材140を組み込むことができる。加えて、デバイス600はまた、デバイス100に関して上記で説明されるように、心房拡張部材または心房保持体410(点線で示される)を含むこともできる。心房保持体は、存在する場合、弁輪上表面または左心房LA内の何らかの他の組織等の弁輪ANより上側の組織に係合して、(例えば、心房収縮期中に)デバイスの下流移動を阻止するように構成することができる。
【0187】
図58A-58Dは、本技術の別の実施形態による、経心尖アプローチを使用して人工心臓弁デバイス600を心臓内の天然僧帽弁MVに送達する方法を示す、心臓の断面図である。
図58Aを参照すると、送達カテーテル18は、心尖における、またはその付近の左心室壁内の穿刺を通して、心臓の左心室LVに進入する、誘導カテーテル(図示せず)を通して前進させられ、巾着縫合によって密閉される。代替として、送達カテーテル18は、誘導カテーテルを伴わずに巾着縫合で密閉した経心尖切開を通して直接配置されてもよい。折り畳んだデバイス600、606(
図58Bに示される)を含有するシース20は、
図58Aに示されるように、天然弁尖LFの間の僧帽弁輪ANを通して前進させられる。
図58B-58Dをともに参照すると、シース20は、デバイス600が拡張および/または展開構成602、604(
図58Cおよび58D)まで拡張するように、近位に引っ張られる。
【0188】
シース20を後退させ、デバイス600を拡張させることができるが、送達システムは、拡張構成602(
図58Cおよび58D)である間に、オペレータがデバイス600の配置を制御することができるように、デバイス600に接続されたままとなることができる(例えば、示されていないシステム小穴が、示されていないデバイス小穴に接続される)。例えば、シース20がデバイス600から係脱されると、固着部材610の上流領域612は、シース内で折り畳まれたままとなり、固着部材610が完全に拡張することを防止することができる(
図58C)。この送達の段階中に、僧帽弁領域内のデバイス600の位置を調整または変更することができる。デバイス600が標的部位に位置した後、シース20をデバイス600から完全に除去することができ、デバイス600の固着部材610は、弁尖LF等の弁輪下組織に係合するように、および所望の標的場所でデバイス600を保持するように、下流領域611において外向きに拡張することができる。引張ワイヤ(図示せず)は、送達システムからデバイス600を解放するように近位方向に後退させられてもよく、送達システムが除去され、デバイスが展開構成104で僧帽弁MVに完全に埋め込まれることを可能にする。代替として、デバイス600は、所望の標的場所の上流または下流で拡張させられ、次いで、送達システムからデバイス600を解放する前に、それぞれ、下流または上流で、標的場所に引き込まれ、または押し込まれてもよい。
【0189】
図59A-59Cは、拡張構成702で示された人工治療デバイス700の等角図であり、
図59Dは、本技術のさらなる実施形態に従って構成された天然僧帽弁に埋め込まれた、人工心臓弁デバイス700の概略断面図である。人工心臓弁デバイス700は、
図10A-58Dを参照して上記で説明される人工心臓弁デバイス100および600の特徴に概して類似する特徴を含む。例えば、人工心臓弁デバイス700は、人工弁130を支持するように構成される弁支持体120と、天然僧帽弁に埋め込まれたときに第1の固着部材610に及ぼされる力から弁支持体120を機械的に隔離する様式で弁支持体120に連結される第1の固着部材610とを含む。特に、第1の固着部材610の上流領域612は、弁支持体120に連結され、第1の固着部材610の下流領域611は、上流方向へのデバイス600の移動を防止するよう、外向きに広がって弁輪の上または下流の天然組織に係合するように構成される。しかしながら、
図59A-59Dに示される実施形態では、デバイス700はまた、弁支持体120に連結される下流領域711と、上流方向へ半径方向外向きに延在する上流領域712とを有する、第2の固着部材710も含む。したがって、デバイス700は、僧帽弁の弁輪の上または下の組織に係合するための第1および第2の固着部材610および710の両方を含む。
【0190】
図59A-59Dをともに参照すると、第1の固着部材610は、下流領域611における第2の断面寸法D
C2よりも小さい第1の断面寸法D
C1を上流領域612において有することができる。第2の固着部材710は、下流領域711における第4の断面寸法D
C4よりも大きい第3の断面寸法D
C3を上流領域712において有することができる。いくつかの実施形態では、第3の断面寸法D
C3は、第2の固着部材710を第1の固着部材610によって部分的に包囲することができるように、第2の断面寸法D
C2よりも小さい(
図59A)。そのような実施形態では、上流領域712は、第1の固着部材610の内壁(図示せず)に対して半径方向外向きの圧力を印加し、弁輪の上または下の組織への第1の固着部材610の固定をさらに支持することができる。
図59Bに示される別の実施形態では、第3の断面寸法D
C3は、第1および第2の固着部材610、710が口広接合部740において交わるように、第2の断面寸法D
C2と略同一であり得る。一実施形態では、第1および第2の固着部材610および710は、口広接合部740において連結することができるが、他の実施形態では、第1および第2の固着部材610および710は連結されない。
図59Cは、第1の固着部材610の下流領域615が、間隙750によって第2の固着部材710の上流領域713から分離される、デバイス700の別の実施形態を示す。一実施形態では、弁輪が間隙750内で保持または捕捉されるように、
図59Cに示されるデバイス700は、第1の固着部材610が弁輪上組織または弁輪の上流の他の心臓組織に係合することができ、第2の固着部材710が弁輪下組織または弁輪の下流の他の心臓組織に係合することができるように、天然心臓弁に埋め込むことができる。
【0191】
図59Dで図示される、さらなる実施形態では、第3の断面寸法D
C3は、第2の固着部材710が第1の固着部材610を部分的に包囲することができるように、第2の断面寸法D
C2よりも大きい。そのような実施形態では、第1の固着部材610の下流領域611は、第2の固着部材710の内壁741に対して半径方向外向きの圧力を印加し、弁輪ANの上または下の組織への第2の固着部材710の固定をさらに支持することができる。
【0192】
加えて、弁支持体120は、デバイス700が展開されたときに、下流領域611および/または上流領域712が、弁支持体120を実質的に変形させることなく、または人工弁130を支持する弁支持体120の支持領域734を変形させることなく、内向きに変形させることができるように、第1の固着部材610の下流領域611ならびに第2の固着部材710の上流領域712から半径方向に分離することができる。加えて、第1および第2の固着部材610、710が、略卵形またはD字形、あるいは
図16A-17Cに関して上記で説明されるもの等の他の不規則な形状を有することができる一方で、弁支持体120は、形状が略円筒形であり得る。また、デバイス100に関して上記で説明されるような密閉膜140および組織係合要素170等の付加的な特徴が、デバイス700の上に組み込まれてもよい。
【0193】
図60A-60Bは、本技術の別の実施形態による、
図59Cの人工心臓弁デバイスを心臓内の天然僧帽弁に送達するための送達カテーテル18の遠位端の断面側面図である。
図60A-60Bに示されるように、人工心臓弁デバイス700は、送達構成706に折り畳まれ、カテーテル18の遠位端において2部分送達シース70内で保持される(
図60A)。天然僧帽弁における、またはその付近の所望の場所へのカテーテル18の遠位端の送達時に、遠位方向に上部分72を後退させ、および/または近位方向に下部分74を後退させ(
図60Aにおいて矢印で示される)、それにより、シースを分離し、シース70内から折り畳んだデバイス700を露出することによって、デバイス700を2部分シース70から解放することができる。一実施形態では、デバイス700は、シース70の後退後に、その拡張構成702まで自己拡張することができる(
図60B)。
図60Bで図示されるように、シース70が近位および遠位方向の両方に後退させられるときに、第1および第2の固着部材610、710は、天然組織に係合するように外向きに自己拡張することができる。支持弁120を拡張するためにバルーン300を使用するとき、バルーン300は、デバイス700を完全に拡張するために膨張させることができる。
【0194】
図61は、本技術の別の実施形態に従って構成された人工心臓弁デバイス800を図示する。
図61は、
図10A-60Bを参照して上記で説明される人工心臓弁デバイス100、600、700の特徴に概して類似する特徴を含む、デバイス800の側面図である。例えば、デバイス800は、上流および下流端121、123と、弁(図示せず)が連結され得る内部とを有する、支持弁120を含む。デバイスはまた、第1および第2の固着部材810および850も含む。第1の固着部材810は、第1の口広上流部分812と、弁支持体120の外側または外面127に連結される第1の下流部分811とを有する。第1の口広上流部分812は、弁支持体120から機械的に隔離することができる。加えて、第1の口広上流部分812は、天然僧帽弁の弁輪上組織に係合するように構成することができる。第2の固着部材850は、第1の固着部材810を少なくとも部分的に包囲するように、および天然僧帽弁の弁輪下組織に係合するための第2の口広上流部分852を有するように構成することができる。第2の固着部材850はまた、少なくとも第2の上流部分852から弁支持体120を機械的に隔離する様式で弁支持体120の外面127に連結される、第2の下流部分851を有することもできる。
【0195】
図61に示されるように、第1の固着部材810は、複数の第1の縦方向リブ814を有することができ、第2の固着部材850は、複数の第2の縦方向リブ854を有することができる。一実施形態では、個々の第1のリブ814のそれぞれは、第1の固着部材810が第2の固着部材850の高さH
AM2よりも大きい高さH
AM1を有するように、個々の第2のリブ854のそれぞれよりも長い。したがって、第2の固着部材850を配向して弁輪下組織に係合するように、高さH
AM2を選択することができる一方で、左心室から僧帽弁を通って延在するように第1の固着部材810を配向して、左心房内の弁輪上組織に係合するように、高さH
AM1を選択することができる。
【0196】
図61は、その上でリブ814、854を相互接続することができる、下部リング808を含むことができる、デバイス800の一実施形態を図示する。下部リング808は、リブ814、854が上流部分812、852において弁支持体120から離れて半径方向外向きに拡張することを可能にすることができる。デバイス800はまた、複数の第1の縦方向リブ814に連結される第1の上部リング部材816を含むこともできる。第1の上部リング部材816は、弁輪上組織に係合するための下向きに配向した周縁818を有するように、成形および/またはパターン化することができる。本デバイスはさらに、複数の第2の縦方向リブ854に連結される第2の上部リング部材856を含むことができる。第2の上部リング部材856は、弁輪下組織に係合するための上向きに配向した周縁858を有するように、成形および/またはパターン化することができる。
【0197】
図62A-62Cは、本技術の別の実施形態による、僧帽弁MVにおける
図61の人工心臓弁デバイス800の送達を示す、送達システム10の遠位端の部分断面側面図である。デバイス800は、送達システムのシース20内で折り畳み構成806において保持することができる(
図62A)。送達システムの遠位端が標的場所に係合するとき、シース20をデバイス800から近位に後退させることができ、それにより、拡張構成102に拡張するようにデバイス800の特徴を解放する(
図62B-62C)。
図62Bに示されるように、第2の固着部材850を、最初に後退するシース20から解放することができ、第2の上部リング部材856の上向きに配向した周縁858を、弁輪下組織に係合するように位置付けることができる。第2の固着部材850の周縁858が弁輪下組織に係合するように定位置に移動させられるまで、シース20は、第1の固着部材810が送達システム10から係脱すること、および/またはシース20の外側に移動することを防止することができる。
図62Cを参照すると、プランジャ11は、(
図62Bにおいて下向きの矢印によって示されるように)第1の固着部材810に係合することができ、および/またはシース20は、第1の固着部材810から(
図62Cにおいて上向きの矢印によって示されるように)係脱/後退させることができ、それにより、第2の固着部材850が拡張構成802まで半径方向外向きに移動することを可能にする。第1の上部リング部材816の下向きに配向した周縁818は、弁輪上組織に係合するように位置付けることができる(
図62C)。いったん展開されると、リング816、856は、僧帽弁の弁輪ANを挟持し、上流および下流方向の両方へのデバイス800の移動を阻止することができる。
【0198】
図63は、本技術のさらなる実施形態による、人工心臓弁デバイス900の等角側面図である。デバイス900は、
図10A-62Cを参照して上記で説明される人工心臓弁デバイス100、600、700、および800の特徴に概して類似する特徴を含む。例えば、デバイス900は、上流および下流端121、123と、弁(図示せず)が連結され得る内部とを有する、支持弁120を含む。デバイス900は、口広上流部分912、および弁支持体120に連結される下流部分911を有する、固着部材910を含む。しかしながら、デバイス900はまた、上部および下部リング950、952と、固着部材910の円周980の周囲に分布し、上部リング950を下部リング952に連結するように構成される、複数の可撓性弁輪係合要素970とを含む。可撓性弁輪係合要素970は、天然弁輪ANを弁輪係合要素970の陥凹971の中に係合させることができるように、デバイス900から外向きに開放部分を有するように配向されるC字形またはU字形等の形状を有することができる。弁輪係合要素970はまた、それぞれ、弁輪上または弁輪下組織に係合し、潜在的にそれを穿刺するための先端972、973を含むこともできる。弁輪係合要素970は、デバイス900が展開されたときにデバイス900を弁輪ANに固定するために先端972、973をともに近づける様式で屈曲するように、好適に可撓性であり得る。
【0199】
図64A-64Bは、天然僧帽弁輪においてデバイス900を展開するための方法を図示する。
図63および64A-64Bをともに参照すると、弁輪係合要素970は、開放状態903で、略弛緩するか、または広い陥凹971を有することができる。そのようなものとして、上部リング950は、要素970が開放状態903であるときに第1の距離D
R1で下部リング952より上側に静置することができる。デバイス900はまた、(例えば、穴975を通して)上部リング950と摺動可能に係合させられ、下部リング952に固定される、複数の引張ワイヤ974を含むこともできる。ワイヤ974が上向きまたは上流方向に引っ張られたときに、下部リング952は、上部リング950に向かって上向き/上流方向に移動する。下部リング952が上部リング950に接近すると、弁輪係合要素970は、先端972、973がともに近づけられ、および/または弁輪組織に係合または穿刺するように、屈曲することができる(
図64B)。したがって、デバイス900が展開状態904であるときに、上部リング950は、下部リング952より上側で第2の距離D
R2において引張ワイヤ974によって保持することができ、第2の距離D
R2は、第1の距離D
R1よりも小さい。
【0200】
図64C-64Dは、ワイヤ974が上部リング950に固定され、(例えば、穴976を通して)下部リング952と摺動可能に係合させられる、引張ワイヤ974の代替的な配列を示す。引張ワイヤ974はまた、展開状態904でリング950、952をともに近づけるよう、引張ワイヤを上向き方向に引っ張ることができるように、(例えば、穴975を通して)上部リング950と摺動可能に係合させることもできる。
【0201】
図65Aは、本技術のさらなる実施形態による、人工心臓弁デバイス1000の等角図である。デバイス1000は、
図10A-64Dを参照して上記で説明される人工心臓弁デバイス100、600、700、800、および900の特徴に概して類似する特徴を含む。例えば、デバイス1000は、上流および下流端121、123と、弁130が連結され得る内部134とを有する、支持弁120を含む。しかしながら、デバイス1000は、弁支持体120に連結され、それを少なくとも部分的に包囲する、膨張式固着部材1010を含む。膨張式固着部材1010は、展開時に膨張/拡張し、所望の標的場所で天然組織に係合するように構成することができる。
図65Aに示されるように、膨張式固着部材1010は、デバイス1000の埋込後に、溶液(例えば、生理食塩水または他の液体)またはガス(例えば、ヘリウム、CO
2、または他のガス)等の充填物質を受容するための1つ以上の充填可能なチャンバ1014を有することができる。他の実施形態では、充填可能なチャンバ1014は、硬化物質(例えば、エポキシ、セメント、または他の樹脂)で充填することができる。
【0202】
一実施形態では、充填可能なチャンバ1014および/または固着部材1010は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ウレタン、または他の発泡性ポリマーあるいは生体適合性材料で形成することができる。充填可能なチャンバ1014は、充填可能なチャンバ1014が、膨張させられたときに、天然生体構造に係合するための固定要素1015を形成するように、所定の形状を有することができる。例えば、固定要素1015は、左心房LA内の弁輪ANの表面に係合するための弁輪上フランジ1016を含むことができる。要素1015はまた、弁輪下組織に係合するための弁輪下フランジ1018および/または(例えば、弁尖の後ろで)弁尖LFに係合するためのアーム1020を含んでもよい。したがって、心臓内で生成される拡張期および収縮期歪曲力、特に、天然僧帽弁において、またはその付近でデバイス1000に及ぼされる半径方向力から弁支持体120を機械的に隔離しながら、固着部材1010が弁輪上組織、弁輪下組織、弁尖、または僧帽弁MVにおける、あるいはその付近の他の組織に係合するように、チャンバ1014を組み込むか、または成形することができる。例えば、展開後に、膨張式固着部材1010は、固着部材1010の変形が弁支持体120を実質的に変形させないように、デバイス1000に対して生成される拍動負荷および他の力を吸収することができる。
【0203】
図65Bは、本技術の別の実施形態による、
図65Aの人工心臓弁デバイス1000の送達に好適な送達システム10の遠位端の部分断面側面図である。
図65Bに示されるように、送達システム10は、折り畳み構成1006でデバイス1000を保持するように構成される送達カテーテル18を含むことができる。折り畳み構成1006では、膨張式固着部材1010が収縮させられる。送達システム10はまた、デバイス1000が定位置にあり、展開の準備ができているときに、充填物質を送達するのに好適な充填管90を含むこともできる。
図65A-65Bをともに参照すると、一実施形態では、標的場所で定位置にデバイス1000を保つように固着部材1010を完全に拡張および/または膨張させる前に、固定要素1015を天然組織特徴と整合させるよう埋込部位におけるデバイス1000の位置を調整することができるように、膨張式固着部材1010は、充填物質で部分的に充填することができる。
【0204】
図66A-66Dは、本技術の付加的な実施形態による、充填可能なチャンバ1114を有する人工心臓弁デバイス1100の断面図である。
図65A-65Bに関して論議されるデバイス1000と同様に、デバイス1100は、弁130が連結され得る内部134を有する、支持弁120等の特徴を含み、かつ天然僧帽弁に埋め込まれたときに固着部材1110に及ぼされる力から弁支持体120を機械的に隔離する様式で弁支持体120に連結される、拡張可能な固着部材1110を含む。上流方向へのデバイス1100の移動を防止するよう、固着部材1110の上流領域1112が弁輪の上または下流の天然組織に係合するように構成されるように、固着部材1110は、弁支持体120に連結することができる。
図66A-66Dに示される実施形態では、デバイス1100はまた、外向き方向に拡張および/または膨張して、固着部材1100の外向き拡張を支持する(
図66A、66C-66D)ように、または天然組織に係合する(
図66B)ように構成される、1つ以上の充填可能なチャンバ1114を含むこともできる。一実施形態では、充填可能なチャンバ1114および/または固着部材1010は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ウレタン、または他の発泡性ポリマーあるいは生体適合性材料で形成することができる。充填可能なチャンバ1114が、膨張させられたときに、(
図66Bに示されるように)天然生体構造に係合するため、または(
図66A、66C、および66Dに示されるように)固着部材1110に係合するための固定要素を形成するように、充填可能なチャンバ1114は、所定の形状を有することができる。
【0205】
図66Aを参照すると、充填可能なチャンバ1114は、弁支持体120と固着部材1110との間に空間を伴って作成されるチャンバ1114であり得る。デバイス1100の拡張後に、充填可能なチャンバ1114は、溶液(例えば、生理食塩水または他の液体)またはガス(例えば、ヘリウム、CO
2、または他のガス)等の充填物質で充填することができる。他の実施形態では、充填可能なチャンバ1114は、硬化物質(例えば、エポキシ、セメント、または他の樹脂)で充填することができる。他の実施形態では、充填可能なチャンバ1114は、固着部材1110の外面1142(
図66B)に、または固着部材1110の内面1141に、または支持弁120の外面127に連結されるリング状のチャンバ1150等のデバイス1100の別個の構成要素であり得る。
図66C-66Dでは、例えば、リング状のチャンバ1150は、内向き変形がリング状のチャンバ1150の存在によって対抗されるように、付加的な支持を固着部材1110に提供することができる。加えて、
図66Dに示されるように、充填可能なチャンバ114は、天然組織に対して外向き方向に固着部材1110を変形させる、リング状のチャンバ1150であり得る。
【0206】
本技術の別の側面によれば、
図67A-67Bは、人工心臓弁デバイス1200の他の実施形態を図示する。
図67A-67Bをともに参照すると、デバイス1200は、弁輪の上または下流の天然組織に係合するように構成される、半径方向に拡張可能な固着部材1210と、固着部材1210の内部1234に連結される支持弁120および/または人工弁130とを含むことができる。固着部材1210は、固着部材1210の後尖に面した側1222に第1の縦方向長さL
L1を有し、固着部材1210の前尖に面した側1224に第2の縦方向長さL
L2を有することができる。
図67Aに示されるように、第1の長さL
L1は、左心室流出路(LVOT)の閉塞が制限されるように、第2の長さL
L2よりも大きい。したがって、一実施形態では、後尖に面した側1222は、僧帽弁の後尖側のより厚い心室壁および組織に係合することによって、固着部材1210の好適な固定および支持を提供することができる。同時に、固着部材1210のより短い前尖に面した側1224は、前尖および/または天然弁の前尖と整合させられた弁輪下組織に係合するのに十分な密閉および一致を有することができる。
【0207】
随意に、デバイス1200はまた、弁尖および/または弁輪下表面に係合するために固着部材1210に連結される、アーム1250等の1つ以上の安定化要素を含むこともできる。
図67Aでは、アーム1250は、固着部材1210の後尖に面した側1222で固着部材1210の下流端1223に連結することができ、後尖の後ろに延在するように構成することができる。一実施形態では、アーム1250は、アーム1250と固着部材1210との間に後尖を挟持するように構成することができる。
【0208】
図67Bでは、デバイス1200は、弁尖および/または弁輪下表面に係合するために、固着部材1210に連結される第1および第2のアーム(1250aおよび1250bとして個別に識別される)を含むことができる。例えば、第1のアーム1250aは、拡張部1251aで固着部材1210の前尖に面した側1224において下流端1223に連結することができ、かつ前尖の後ろにさらに延在するように構成することができる。第2のアーム1250bは、拡張部1251bで固着部材1210の後尖に面した側1222の下流端1223に連結し、後尖の後ろに延在するように構成することができる。図示した実施形態では、拡張部1251aおよび1251bは、相互に対して変化し、標的組織の生体構造に基づいて選択することができる。示されていない他の実施形態では、アーム1250および/または固着部材1210は、所望の標的場所でのデバイス1200のさらなる位置付けおよび安定化のために、デバイス100に関して上記で説明されるような組織係合要素を含むことができる。当業者であれば、弁支持体が左心室流出路(LVOT)を実質的に閉塞しないように、弁支持体120はまた、不均等であり得るか、または異なる長さを有する側面を有することができると認識するであろう。
【0209】
図68A-68Bは、拡張構成1302で示され、本技術の付加的な実施形態に従って構成された人工心臓弁デバイス1300の側面図である。人工心臓弁デバイス1300は、
図10A-56を参照して上記で説明される人工心臓弁デバイス100の特徴に概して類似する特徴を含む。例えば、人工心臓弁デバイス1300は、人工弁130を支持するように構成される弁支持体120と、天然僧帽弁に埋め込まれたときに固着部材110に及ぼされる力から弁支持体120を機械的に隔離する様式で弁支持体120に連結される固着部材110とを含む。しかしながら、
図68A-68Bに示される実施形態では、デバイス1300はまた、(例えば、LVOTから離れて)天然僧帽弁内または付近のデバイス1300の所望の位置を調整または維持するように構成される、位置付け要素1350も含む。位置付け要素1350は、要素接続点1352において、(
図68A-68Bに示されるように)固着部材110の下流部分111、固着部材110の上流部分112、または弁支持体120に連結し、所望の位置で心室組織に係合するように要素接続点1352から外向きに延在することができる。一実施形態では、位置付け要素1350は、縦軸101に対して略直角な方向にデバイス1300から外向きに延在することができる。示されていない他の実施形態では、位置付け要素1350は、所望の場所で心室組織に係合するために、縦軸101に対して鈍角または鋭角でデバイス1300から外向きに延在することができる。
【0210】
図68Aに示される実施形態では、位置付け要素1350は、位置付けアーム1354と、位置付けアーム1354の遠位アーム端1358に連結される組織係合部分1356とを含むことができる。位置付けアーム1354および組織係合部分1356はともに、位置付け要素1350の遠位端1360が心室壁等の心室組織に係合することができるように、デバイス1300上の要素接続点1352から離れて(例えば、固着部材110から)所望の位置付け距離D
P1に延在することができる。いくつかの実施形態では、位置付け距離D
P1は、位置付け要素1350が、心室組織に係合した後に、インプラントデバイス1300と心室組織との間の距離に延在するように、埋め込まれたデバイス1300と心室組織との間の距離よりも大きくなるように選択することができる。このようにして、デバイス1300は、僧帽弁内または付近の代替的な位置に位置付け、整合させ、維持することができる。
【0211】
組織係合部分1356は、組織係合部分1356が組織を貫通または穿刺しないように、非外傷的に、心室組織または他の組織(例えば、弁輪組織、弁尖組織等)に接触するように構成することができる。一実施形態では、組織係合部分1356は、弾性であり得、および/または組織に係合するときに部分的に変形させることができる形状記憶材料(例えば、ニチノール)で形成することができる。例えば、組織係合部分1356は、移動を伝えること、または天然僧帽弁に対するデバイス1300の所望の位置を変更することなく、例えば、収縮期中に、心室組織(例えば、心室壁)によって生成される力を吸収するように構成することができる。他の実施形態では、位置付け要素1350の遠位端1360は、心室組織に貫通する他の形状または構成を有することができる。デバイス1300は、天然生体構造に対するデバイス1300の所望の位置に位置付け、および/または維持するためにデバイス1300の周囲に配置される、1つ以上の位置付け要素1350を含むことができる。例えば、デバイス1300と左心室流出路(LVOT)との間の距離を増加させることが望ましくあり得、位置付け要素1350は、心室組織に係合して、LVOTから離れた選択された距離へデバイス1300を押勢するか、または促すように構成することができる。
【0212】
図68Bに示される実施形態では、位置付け要素1350は、接続点1352においてデバイス1300に連結される、ループ状組織係合部分1358を含むことができる。ループ状組織係合部分1358は、ループ状組織係合部分1358の遠位端1360が心室壁等の心室組織に係合することができるように、デバイス1300上の要素接続点1352から離れた(例えば、固着部材110からの)所望の位置付け距離D
P1に延在することができる。ループ状組織係合部分1358は、天然心臓弁に対するデバイス1300の位置へ伝達されないように、または位置を変更することができるように、半径方向に収縮する力または(例えば、左心室内の)心室組織によって生成および伝達される他の力を吸収するように構成することができる。したがって、デバイス1300は、僧帽弁内または付近の代替的な位置に位置付け、整合させ、維持することができる。
【0213】
示されていない別の実施形態では、人工心臓弁デバイス100とは別個の位置付け構造を、左心室の中(例えば、LVOTにおいて、またはその付近で)に埋め込むか、または別様に位置付けることができ、固着部材110等のデバイス100の部分に係合するように構成することができる。したがって、そのような位置付け構造は、デバイス100がLVOTを閉塞すること、または部分的に閉塞することを防止するように提供することができる。示されていない一実施形態では、位置付け構造は、心室壁と係合するように拡張し、血液が左心室から大動脈へ自由に流れることを可能にするようにLVOTを障害物がない状態に保つ、ステント様円筒またはケージであり得る。一実施例では、位置付け構造は、デバイス100を送達して埋め込むために使用される同一の送達カテーテルを介して、大動脈および大動脈弁を通して左心室の中へ、または心尖あるいは左心房を通して挿入される、カテーテルによって送達することができる。
【0214】
図69A-69Eは、拡張構成1402で示され、本技術の付加的な実施形態に従って構成された人工心臓弁デバイス1400の断面および側面図である。人工心臓弁デバイス1400は、
図10A-57Eを参照して上記で説明される人工心臓弁デバイス100、600の特徴に概して類似する特徴を含む。例えば、人工心臓弁デバイス1400は、人工弁130を支持するように構成される弁支持体120と、天然僧帽弁に埋め込まれたときに固着部材110に及ぼされる力から弁支持体120を機械的に隔離する様式で弁支持体120に連結される固着部材110または610とを含む。しかしながら、
図69A-69Eに示される実施形態では、デバイス1400はまた、固着部材110の組織係合部分に連結され、心臓弁の弁輪における、またはその付近の天然組織に係合するための付加的な接触面を提供するように構成される、拡張可能な組織係合リング1450も含む。
【0215】
図69A-69Bに示される一実施形態では、拡張可能な組織係合リング1450は、固着部材110の上流周囲113に連結し、デバイス1400に対して外向き方向に面する組織係合表面1452を有することができる。いくつかの実施形態では、組織係合表面1452は、組織に係合および/または穿刺するための組織係合要素170を有することができる。
図69Cに示される別の実施形態では、拡張可能な組織係合リング1450は、固着部材1410の下流周囲115に連結することができ、デバイス1400に対して外向き方向に面する組織係合表面1452を有することができる。
図69Dに示される別の実施形態では、拡張可能な組織係合リング1450は、組織内方成長、血栓を促すように構成し、および/または固着部材110と組織との間に密閉を提供するように構成することができる、複数の繊維状要素1454(例えば、繊維要素)を含んでもよい。種々の配列では、拡張可能な組織係合リング1450は、種々の展開および送達構成の間で拡張および収縮することができる。
【0216】
図69Eは、拡張可能な組織係合リング1450を有する人工心臓弁デバイス1400の別の実施形態を示す。この実施形態では、デバイス1400は、第1の固着部材110および第2の固着部材に連結される、弁支持体120を有することができる。一実施形態では、第1の固着部材110は、下流端123において弁支持体120に連結し、外向きおよび上流方向に拡張することができる。第2の固着部材1410は、上流端121において弁支持体120に連結し、外向きおよび下流方向に拡張することができる。拡張可能な組織係合リング1450は、第1および第2の固着部材110、1410の遠位部分に連結し、弁輪ANまたは弁尖LFにおける、またはその付近の組織に係合するために、デバイス1500に対して外向き方向に面する組織係合表面1452を有することができる。特定の実施例では、拡張可能な組織係合リング1450は、第1の固着部材110の上流端1461に連結される第1の端部1460を有することができる。拡張可能な組織係合リング1450はまた、第2の固着部材1410の下流端1471に連結される第2の端部1470を有することもできる。組織係合表面1452はまた、標的場所で組織に係合および/または穿刺するための組織係合要素170を含んでもよい。
【0217】
図69A-69Eをともに参照すると、固着部材110および/または1410によって支持される、組織に対する拡張可能な組織係合リング1450の外向き半径方向力は、デバイス1400が上流方向に移動することを防止することができる。加えて、拡張可能な組織係合リング1450は、少なくとも、弁支持体120から分断される固着部材110および/または1410の部分とともに、心臓弁組織からデバイス1400に及ぼされる、減弱する半径方向圧縮力から、弁支持体120および弁130を効果的に機械的に隔離することができる。
【0218】
図70は、本技術の実施形態に従って構成された別の人工心臓弁デバイス1500の断面側面図である。デバイス1500はまた、弁支持体120と、弁支持体120内で保持された人工弁130とを含む、上記で説明されるような特徴を含むこともできる。デバイス1500はまた、複数の固着部材(110a-cとして個別に識別される)を含むこともできる。固着部材110a-cは、それぞれの下流周囲115a-cにおいて弁支持体120に連結し、それぞれの上流周囲113a-cが天然弁における可変標的場所で心臓組織に係合することができるように、間隙1515によって分離することができる。随意に、デバイス1500はまた、天然弁における組織にさらに係合するための組織係合特徴170を有するもの等の拡張可能な組織係合リング1450(
図69A-D)を含むこともできる。一実施形態では、拡張可能な組織係合リング1450は、1つよりも多くの固着部材の上流周囲(例えば、固着部材110bおよび110cの上流周囲113bおよび113c)に連結することができる。しかしながら、他の配列では、デバイス1500は、拡張可能な組織係合リング1450を持たないであろう。
【0219】
図71は、本技術の実施形態に従って構成された、さらに別の人工心臓弁デバイス1600の断面側面図である。デバイス1600はまた、弁支持体120と、弁支持体120内で保持された人工弁130とを含む、上記で説明されるような特徴を含むこともできる。デバイス1500はまた、固着部材110を含むこともできる。しかしながら、デバイス1600はまた、天然弁輪におけるまたはその付近の組織にさらに係合するための拡張可能な保持体1610を含むこともできる。一実施形態では、保持体1610は、弁支持体120の上流端121の拡張部であり得るが、別の実施形態では、保持体1610は、弁支持体の上流端121に連結される別個の拡張可能な特徴を含むことができる。いくつかの配列では、保持体1610は、天然弁において生成される力が、保持体1610によって吸収されるか、または別様に伝えられるように、弁支持体120から機械的に隔離することができる。このようにして、保持体1610が、保持体1610に及ぼされる半径方向力によって変形されてもよい一方で、弁支持体は、実質的に変形させられていないままである。
【0220】
一実施形態では、示されるように、固着部材110は、保持体1610に係合するように構成することができるが、他の実施形態では、固着部材110は、固着部材110が保持体1610とは異なる組織に接触するように、異なって位置付けることができる。例えば、固着部材110は、弁輪下組織に接触するように保持体の半径(図示せず)の外側に延在してもよい。本明細書で開示される人工心臓弁デバイスとともに使用するために好適な保持体1610の構造、送達、および取付に関する付加的な詳細および実施形態は、その内容全体が参照することにより本明細書に組み込まれる、2012年10月19日に出願された「DEVICES, SYSTEMS AND METHODS FOR HEART VALVE REPLACEMENT」と題された国際PCT特許出願第_______号(代理人整理番号82829-8005WO00)で見出すことができる。
【0221】
(付加的な実施形態)
上記で説明され、
図10A-71で図示される人工心臓弁デバイス構成要素の特徴は、本技術に従って構成される付加的な実施形態を形成するように修正することができる。例えば、口広固着部材がない
図65A-65Bで図示される人工心臓弁デバイス1100は、弁支持体または他の特徴に連結され、半径方向外向きに拡張して弁輪下組織に係合するように構成される、固着部材を含むことができる。同様に、上記で説明され、
図57A-71で図示される人工心臓弁デバイスは、密閉部材ならびにアームおよび組織係合要素等の安定化特徴等の特徴を含むことができる。
【0222】
上記で説明される人工心臓弁デバイス構成要素の特徴はまた、本技術の付加的な実施形態を形成するように入れ替えることもできる。例えば、
図67Aで図示される人工心臓弁デバイス1200の固着部材1210は、
図57A-57Cに示される人工心臓弁デバイス600に組み込むことができる。
【0223】
以下の実施例は、本技術のいくつかの実施形態を例証する。
【実施例】
【0224】
1. 心臓の天然弁であって、弁輪および弁輪に連結された弁尖を有する、天然弁の修復または置換のためのデバイスであって、弁輪の上または下の組織と係合するように、および非円形の形状に変形して組織に一致するように構成される、上流部分または第1の部分、および下流部分または第2の部分を含む、固着部材と、固着部材の下流部分に連結され、人工弁を支持するように構成される弁支持体であって、弁支持体は、断面形状を有する、弁支持体と、を備え、固着部材の上流部分は、固着部材が非円形の形状に変形させられたときに人工弁が有能なままであるように、弁支持体の断面形状が十分安定したままであるように、弁支持体から機械的に隔離される、デバイス。
2. 弁支持体は、固着部材が内向きに変形させられた場合に、上流領域が実質的に変形させられていないままであるように、固着部材の上流部分から半径方向内向きに離間した上流領域を有する、実施例1に記載のデバイス。
3. 上流部分は、弁輪の内向き表面および弁輪の下の弁尖の内向き表面から選択される、弁組織に係合するように構成される、実施例1に記載のデバイス。
4. 固着部材は、弁が開いているときに血液が下流方向に弁支持体を通って流れるとき、および弁が閉じられているときに血液が上流方向に弁を押勢するときのデバイスの移動に抵抗するよう、弁組織に対して外向きの力を印加するように構成される、実施例3に記載のデバイス。
5. 固着部材は、自己拡張式である、実施例1に記載のデバイス。
6. 固着部材は、ニチノールを含む、実施例5に記載のデバイス。
7. 弁支持体は、自己拡張式である、実施例5に記載のデバイス。
8. 固着部材および弁支持体の両方は、金属を含む、実施例1に記載のデバイス。
9. 固着部材は、約0.010インチから約0.130インチの壁厚を有する、ニチノール管で形成される、実施例1に記載のデバイス。
10. 固着部材は、上流方向へのデバイスの移動に抵抗するように軸方向剛性を有する、複数の縦方向リブを含む、実施例1に記載のデバイス。
11. 固着部材は、複数の相互接続された支柱を含む、実施例1に記載のデバイス。
12. 複数の相互接続された支柱は、菱形構成で配列される、実施例11に記載のデバイス。
13. 固着部材は、複数のワイヤを備える、実施例1に記載のデバイス。
14. 複数のワイヤは、ともに編成および/または溶接される、実施例13に記載のデ
バイス。
15. 固着部材は、固着部材の円周の周囲に菱形構成で配列される、複数の可撓性フィラメントを含み、菱形構成は、円周の周囲に1行以上の菱形および約12から約36列の菱形を含む、実施例1に記載のデバイス。
16. 弁支持体は、上流端および下流端を含み、上流端は、固着部材の上流部分を越えて上流方向の距離に延在する、実施例1に記載のデバイス。
17. 弁支持体は、上流端および下流端を含み、固着部材の上流部分は、弁支持体の上流端を越えて上流方向の距離に延在する、実施例1に記載のデバイス。
18. 固着部材は、上流部分の近位端に周縁を含み、周縁は、変形していない構成を有し、変形していない構成は、略卵形の形状またはD字形を有する、実施例1に記載のデバイス。
19. 周縁は、複数の頂点と、複数の谷とを含む、実施例14に記載のデバイス。
20. 固着部材は、上流部分の近位端に周縁を含み、周縁は、略卵形の形状またはD字形を有し、固着部材は、下流端を含み、下流端と周縁との間の距離は、固着部材の円周の周囲で変化する、実施例1に記載のデバイス。
21. 距離は、約6mmから約20mmまで様々である、実施例20に記載のデバイス。
22. 距離は、約9mmから約12mmまで様々である、実施例20に記載のデバイス。
23. 距離は、固着部材の第1および第2の領域において約7mmから約8mmである、下流端と周縁との間の第1の距離であって、第1および第2の領域は、天然僧帽弁の第1および第2の交連と整合するように構成される、第1の距離と、固着部材の第3の領域において約9mmから約11mmである、下流端と周縁との間の第2の距離であって、第3の領域は、天然僧帽弁の前尖と整合するように構成される、第2の距離と、第3の領域と反対側の固着部材の第4の領域において約12mmから約13mmである、下流端と周縁との間の第3の距離であって、第4の領域は、天然僧帽弁の後尖と整合するように構成される、第3の距離と、を含む、複数の距離を含む、実施例20に記載のデバイス。
24. 固着部材は、上流部分の近位端に周縁を含み、周縁は、略卵形の形状またはD字形を有し、弁輪の上または下の組織は、内径および内径と略垂直な外径を有する、非円形の形状を有し、固着部材の上流部分は、周囲外径および周囲外径と略垂直な周囲内径を有する、外周を有し、周囲外径は、外径よりも大きく、周囲内径は、内径よりも大きい、実施例1に記載のデバイス。
25. 周囲外径は、外径よりも約2mmから約22mm大きい、実施例24に記載のデバイス。
26. 周囲外径は、外径よりも約8mmから約15mm大きい、実施例24に記載のデバイス。
27. 周囲外径は、約45mmから約60mmである、実施例24に記載のデバイス。
28. 周囲内径は、約40mmから約55mmである、実施例24に記載のデバイス。
29. 弁支持体は、略円形の円筒である、実施例1に記載のデバイス。
30. 弁支持体は、約25mmから約30mmの直径を有する、実施例29に記載のデバイス。
31. 弁支持体は、約27mmの直径を有する、円筒形の弁支持体である、実施例1に記載のデバイス。
32. 弁支持体は、約14mmから約17mmの縦方向高さを有する、円筒形の弁支持体である、実施例1に記載のデバイス。
33. 固着部材の上流部分は、それぞれ、弁輪の天然頂点および谷部分に対応する頂点部分および谷部分を有する、近位端周囲を有し、対応する頂点部分は、天然谷部分と整合するように構成され、対応する谷部分は、天然頂点部分と整合するように構成される、実施例1に記載のデバイス。
34. 弁支持体は、縦軸の周囲に延在し、固着部材の上流部分は、漸減角度によって縦軸から外向きに広がる、実施例1に記載のデバイス。
35. 漸減角度は、下流部分と上流部分との間で連続的に変化する、実施例34に記載のデバイス。
36. 漸減角度は、上流部分の円周の周囲で変化する、実施例34に記載のデバイス。
37. 漸減角度は、約30°から約75°の間である、実施例34に記載のデバイス。
38.漸減角度は、約40°から約60°の間である、実施例34に記載のデバイス。
39. 弁支持体は、第1の縦軸に沿って配向され、固着部材は、第2の縦軸に沿って配向され、第1および第2の縦軸は、非共線的である、実施例1に記載のデバイス。
40. 第2の縦軸は、第1の縦軸からオフセットされる、実施例39に記載のデバイス。
41. 第2の縦軸は、第1の縦軸と非平行である、実施例39に記載のデバイス。
42. 第2の縦軸は、第1の縦軸に対して15°から45°の間の角度で配置される、実施例41に記載のデバイス。
43. 固着部材の上流部分は、口広部分と、垂直部分とを含み、垂直部分は、半径方向に拡張して弁輪に係合するように構成される、実施例1に記載のデバイス。
44. 口広部分は、弁輪下組織に係合するように構成される組織係合要素を含む、実施例43に記載のデバイス。
45. 上流部分は、間隙によって弁支持体から半径方向に分離される、実施例1に記載のデバイス。
46. 固着部材は、上流部分の近位端に周縁を含み、周縁は、卵形の形状を有し、弁支持体は、固着部材によって少なくとも部分的に包囲される円筒形の弁支持体であり、間隙は、円筒形の弁支持体の円周の周囲で変化する、実施例45に記載のデバイス。
47. 間隙は、デバイスの後尖に面した側よりもデバイスの前尖に面した側で大きい、実施例46に記載のデバイス。
48. デバイスは、心臓の左心室流出路(LVOT)の閉塞を回避するよう構成される、実施例1に記載のデバイス。
49. 固着部材の表面を覆うスカートをさらに備え、スカートは、固着部材と弁支持体との間の血流を阻止するように構成される、実施例1に記載のデバイス。
50. スカートはさらに、固着部材と組織との間の血流を阻止するように構成される、実施例49に記載のデバイス。
51. スカートは、Dacron(登録商標)、ePTFE、ウシ心膜、ポリマー、熱可塑性ポリマー、ポリエステル、Gore-tex(登録商標)、合成繊維、天然繊維、またはポリエチレンテレフタレート(PET)のうちの1つ以上を含む、実施例49に記載のデバイス。
52. 弁支持体は、複数のリベットおよび複数の縫合糸のうちの1つ以上で固着部材に連結される、実施例1に記載のデバイス。
53. 弁支持体は、約42mmHgから約47mmHgの半径方向強度を有する、実施例1に記載のデバイス。
54. 弁支持体は、固着部材の半径方向強度よりも少なくとも100%大きい半径方向強度を有する、実施例1に記載のデバイス。
55. 逆行性血流を阻止するように弁支持体に連結される弁をさらに備える、実施例1に記載のデバイス。
56. 弁は、三葉弁である、実施例55に記載のデバイス。
57. 弁は、ウシ心膜を含む、実施例55に記載のデバイス。
58. 弁は、複数の交連付着構造を有し、弁は、交連付着構造において弁支持体に連結される、実施例55に記載のデバイス。
59. 交連付着構造は、弁支持体に永久的に固定される、実施例58に記載のデバイス。
60. 交連付着構造は、弁支持体の内壁と一体である、実施例58に記載のデバイス。
61. 弁支持体は、第1の高さを有し、交連付着構造は、第1の高さよりも小さい第2の高さを有する、実施例58に記載のデバイス。
62. 弁支持体はさらに、デバイスが天然弁の場所に埋め込まれた後に置換弁を受容するように構成される、実施例1に記載のデバイス。
63. 弁支持体に連結される一時弁をさらに備える、実施例62に記載のデバイス。
64. 一時弁は、置換弁が弁支持体の中に受容されたときに、弁支持体の内壁に対して変位させられるように適合される、実施例63に記載のデバイス。
65. 一時弁は、除去可能な弁を備え、置換弁は、一時弁が除去された後に弁支持体内に固定される、実施例63に記載のデバイス。
66. 天然僧帽弁であって、弁輪および弁尖を有する天然僧帽弁に埋め込むための人工心臓弁デバイスであって、弁尖の間の場所に位置付け可能な固着部材であって、固着部材の上流部分または第1の部分は、固着部材の上流移動が、弁輪上または付近の組織との上流部分の係合によって遮断されるように、弁輪の対応する寸法よりも大きい寸法まで拡張可能であり、固着部材は、下流部分または第2の部分を有する、固着部材と、固着部材の下流部分に連結される弁支持体であって、弁支持体は、少なくとも固着部材の上流部分から半径方向内向きに離間され、弁支持体は、人工弁を支持するように構成される、弁支持体と、を備える、デバイス。
67. 弁支持体は、少なくとも固着部材の上流部分から機械的に隔離される、実施例66に記載のデバイス。
68. 固着部材の上流部分が歪曲された場合に、弁支持体が実質的に歪曲しないままであるように、固着部材の上流部分は、第1の可撓性を有し、弁支持体は、第1の可撓性よりも小さい第2の可撓性を備える、実施例66に記載のデバイス。
69. 固着部材が内向きに変形させられた場合に、弁支持体が係合させられないように、弁支持体の上流領域は、固着部材の上流部分から半径方向内向きに離間される、実施例66に記載のデバイス。
70. 固着部材は、弁支持体とは別個の構造によって画定され、弁支持体は、固着部材の下流部分において固着部材に連結され、下流部分は、上流部分から縦方向に離間される、実施例66に記載のデバイス。
71. 弁支持体を固着部材の下流部分に可撓性に連結するように構成される、複数の可撓性連結機構をさらに備える、実施例66に記載のデバイス。
72. 可撓性連結機構は、縫合糸、ワイヤ、または可撓性フィラメントのうちの少なとも1つを含むことができる、実施例71に記載のデバイス。
73. 可撓性連結機構は、リベット、ネジ、またはピンのうちの少なくとも1つを含むことができる、実施例71に記載のデバイス。
74. デバイスは、弁支持体および固着部材が半径方向に収縮させられる、第1の構成と、弁支持体および固着部材が半径方向に拡張させられる、第2の構成と、固着部材が、弁輪上または付近の組織と係合させられ、それによって少なくとも部分的に変形させられる、第3の構成と、を含む、複数の構成に移動可能である、実施例66に記載のデバイス。
75. 弁支持体は、第2の構成で拡張形状を有し、弁支持体は、第3の構成で実質的に拡張形状にとどまる、実施例74に記載のデバイス。
76. 固着部材は、不偏状態で第2の構成を成す、実施例74に記載のデバイス。
77. 固着部材は、第2の構成から第3の構成へ変形可能である、実施例74に記載のデバイス。
78. 第1の構成のデバイスは、天然僧帽弁に、またはその付近に位置付けられたガイドカテーテルを通した送達のために構成される、薄型外形を有する、実施例74に記載のデバイス。
79. 固着部材の上流部分は、第2の構成で第1の直径を有し、第1の直径は、少なくとも天然僧帽弁の天然交連の間の距離に及ぶ、実施例76に記載のデバイス。
80. 固着部材の上流部分は、第1の直径を有し、弁支持体は、第2の構成で第2の直径を有し、第1の直径は、第2の直径の約1.2~1.5倍である、実施例76に記載のデバイス。
81. 固着部材の上流部分は、約28mmから約80mmの第1の拡張直径を有する、実施例66に記載のデバイス。
82. 弁支持体は、約25mmから約32mmの拡張直径を有する、実施例66に記載のデバイス。
83. 下流部分は、上流部分から縦方向に離間され、上流部分は、第1の断面寸法を有し、下流部分は、第1の断面寸法よりも小さい第2の断面寸法を有する、実施例66に記載のデバイス。
84. 上流部分は、弁輪の下流の弁尖の内向き表面上に係合するように構成される、実施例66に記載のデバイス。
85. 固着部材は、天然僧帽弁の弁尖の後ろに延在するデバイスのいずれの要素も伴わずに、デバイスの上流移動に抵抗する、実施例66に記載のデバイス。
86. デバイスは、弁輪上組織または弁輪の上流の組織に係合しない、実施例66に記載のデバイス。
87. 固着部材の上流部分の周囲に延在し、弁輪の上または下流の組織に対して密閉し、固着部材と組織との間の血流を阻止するように構成される、密閉部材をさらに備える、実施例66に記載のデバイス。
89. 密閉部材は、密閉部材の中への組織内方成長を推進する、実施例87に記載のデバイス。
89. 密閉部材は、ポリマー、熱可塑性ポリマー、ポリエステル、合成繊維、繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PTFE、Gore-tex(登録商標)、またはDacron(登録商標)のうちの1つ以上を含む、実施例87に記載のデバイス。
90. 密閉部材は、密閉部材の外面上に複数の組織係合要素を含む、実施例87に記載のデバイス。
91. 固着部材は、上流端の上に複数の先端を有し、先端は、デバイスの上流移動を防止するよう、弁輪の上または下流の組織を貫通するように構成される、実施例87に記載のデバイス。
92. 固着部材は、後退位置から係合位置へ複数の先端を移行するための送達機構を含み、係合位置は、先端による弁輪組織の貫通を含む、実施例91に記載のデバイス。
93. 固着部材の上流端の上に複数の固着クリップをさらに備え、固着クリップは、弁輪に係合するように構成される、実施例66に記載のデバイス。
94. 固着部材は、複数の縦方向リブと、複数のリブを相互接続する複数の円周方向コネクタと、を含み、固着部材は、上流方向へのデバイスの移動を防止するよう、リブの近位端が弁輪の上または下流の組織に係合するために半径方向外向きに配向するように、近位方向に口広である、実施例66に記載のデバイス。
95. 固着部材は、中心縦軸を有し、各個別リブは、縦軸に対して様々な拡張角度を有する、複数のセグメントを有する、実施例94に記載のデバイス。
96. 複数の縦方向リブは、第1および第2の複数のリブを含み、第1の複数のリブは、第2の複数のリブとは異なる特性を有し、特性は、サイズ、形状、剛性、拡張角度、および固着部材の所与の領域内のリブの数の群から選択される、実施例94に記載のデバイス。
97. 縦方向リブは、固着部材の外周の周囲で不均等に離間される、実施例94に記載のデバイス。
98. 弁支持体は、複数の支柱によって円周方向に接続される複数の柱を含み、各個別縦方向リブは、弁支持体上の対応する柱と一体的に形成される、実施例94に記載のデバイス。
99. 複数の縦方向リブのそれぞれは、対応する柱と一体的に形成される曲線状肘部分を備え、肘部分は、内向き構成から外向き構成へ半径方向外向きに個々のリブを押動するように構成される、実施例98に記載のデバイス。
100. 各個別リブを対応する柱と連結する、テザーをさらに備え、テザーは、リブが拡張構成であるときに、リブの外向き偏向を制限するように構成される、実施例98に記載のデバイス。
101. 1つ以上の個々の円周方向コネクタは、ループ状コネクタヘッドを含み、1つ以上の個々の支柱は、ループ状支柱ヘッドを含み、ループ状コネクタヘッドは、可撓性連結機構を形成するようにループ状支柱ヘッドに連結される、実施例98に記載のデバイス。
102. ループ状コネクタヘッドは、可撓性連結機構を形成するようにループ状支柱ヘッドを通過させられる、実施例101に記載のデバイス。
103. 1つ以上の可撓性フィラメントは、可撓性連結機構を形成するようにループ状コネクタヘッドをループ状支柱に連結する、実施例101に記載のデバイス。
104. 複数の円周方向コネクタは、固着部材の円周の周囲に延在する複数のバンドを含み、バンドは、各個別リブに摺動可能に連結される、実施例94に記載のデバイス。
105. 固着部材は、菱形構成を形成するように十字パターンで配列される複数の縦方向リブを含み、固着部材は、上流方向へのデバイスの移動を防止するよう、リブの近位端が弁輪の上または付近の組織に係合するために半径方向外向きに配向するように、近位方向に口広である、実施例66に記載のデバイス。
106. 弁支持体は、略円筒形であり、少なくとも固着部材の上流部分は、略非円形である、実施例66に記載のデバイス。
107. 固着部材の上流部分は、D字形である、実施例106に記載のデバイス。
108. 上流部分は、周縁を有する近位端を含み、周縁は、単一の面内に位置しない、実施例66に記載のデバイス。
109. 周縁は、上流方向に延在する頂点および下流方向に延在する谷を伴う起伏する形状を有する、実施例108に記載のデバイス。
110. 少なくとも1つの頂点は、少なくとも1つの他の頂点とは異なる形状または寸法を有する、実施例109に記載のデバイス。
111. 少なくとも1つの頂点は、縦方向に反転させられた場合、少なくとも1つの谷とは異なる形状または寸法を有する、実施例109に記載のデバイス。
112. 周縁は、2つの谷によって分離される2つの頂点を有する、実施例109に記載のデバイス。
113. 谷は、弁輪の交連領域に沿って位置付けるために構成される、実施例109に記載のデバイス。
114. 頂点は、弁尖の中間点領域付近に位置付けられるように構成される先端を有する、実施例109に記載のデバイス。
115. 弁輪は、天然頂点部分と、天然谷部分とを備え、固着部材の上流部分は、対応する頂点部分および対応する谷部分を有する、近位端周囲を有し、対応する頂点部分は、天然谷部分と整合するように構成され、対応する谷部分は、天然頂点部分と整合するように構成される、実施例66に記載のデバイス。
116. 固着部材の上流部分は、天然僧帽弁の弁輪の対応する断面寸法よりも大きい断面寸法を有し、弁支持体は、弁輪の対応する断面寸法よりも小さい支持断面寸法を有する、実施例66に記載のデバイス。
117. 少なくとも上流部分は、弁支持体から機械的に隔離される、実施例66に記載のデバイス。
118. 下流部分は、実質的に管状であり、固着部材の上流部分が、非円形断面に変形可能である一方で、弁支持体は、断面が実質的に円形のままである、実施例66に記載のデバイス。
119. 弁支持体は、弁支持体の円周の周囲に相互接続された複数の第1の支柱を含み、固着部材は、固着部材の円周の周囲に相互接続された複数の第2の支柱を含み、第1の支柱は、第2の支柱よりも剛性である、実施例66に記載のデバイス。
120. 縦方向リブは、天然僧帽弁を有する心臓において生成される拡張期および収縮期歪曲力を吸収するように構成される、実施例94に記載のデバイス。
121. リブおよびコネクタは、山形構成で形成される、実施例94に記載のデバイス。
122. 複数の第2の支柱は、山形構成で相互接続される、実施例119に記載のデバイス。
123. 複数の第2の支柱は、菱形構成で相互接続される、実施例94に記載のデバイス。
124. 柱および支柱は、山形構成で形成される、実施例119に記載のデバイス。
125. リブおよびコネクタは、形状記憶材料で形成される、実施例94に記載のデバイス。
126. 形状記憶材料は、ニチノールを含む、実施例125に記載のデバイス。
127. リブまたは円周方向コネクタのうちの少なくとも1つの上に複数の組織係合要素をさらに備え、組織係合要素は、弁輪または弁尖の組織に係合するように構成される、実施例94に記載のデバイス。
128. 少なくとも第2の支柱の上に複数の組織係合要素をさらに備え、組織係合要素は、弁輪または弁尖の組織に係合するように構成される、実施例119に記載のデバイス。
129. 組織係合要素は、鉤、フック、またはスパイクのうちの1つである、実施例127に記載のデバイス。
130. 1つ以上の組織係合要素は、上流方向に配向され、1つ以上の組織係合要素は、心室収縮期中に上流方向へのデバイスの移動を制限するように構成される、実施例127に記載のデバイス。
131. 1つ以上の組織係合要素は、下流方向に配向され、1つ以上の組織係合要素は、下流方向へのデバイスの移動を制限するように構成される、実施例127に記載のデバイス。
132. 組織係合要素は、組織係合要素が組織を貫通するための薄型外形を有する、穿刺構成と、組織係合要素が組織内で組織係合要素を維持するための拡張外形を有する、保持構成と、を有する、実施例127に記載のデバイス。
133. 組織係合要素は、生分解性糊または生分解性被覆のうちの1つ以上を用いて穿刺構成で保持される、実施例132に記載のデバイス。
134. 組織係合要素は、保持構成であるときに、菱形、矢じり形、またはらせん形のうちの1つ以上まで拡張する、実施例132に記載のデバイス。
135. 固着部材は、スリーブに連結され、スリーブは、固着部材が拡張構成であるときに、固着部材の半径方向拡張を制限するように構成される、実施例66に記載のデバイス。
136. スリーブは、固着部材を覆うように構成される外側部分と、弁支持体を少なくとも部分的に包囲するように構成される内側部分とを含む、実施例135に記載のデバイス。
137. スリーブは、スリーブの外側部分と内側部分との間に延在する、複数の水平中隔を含む、実施例136に記載のデバイス。
138. 各個別リブは、他のリブの可撓性から独立した可撓性を有する、実施例84に記載のデバイス。
139. 各個別リブは、リブの長さに沿って可変可撓性を有する、実施例94に記載のデバイス。
140. 固着部材の上流部分は、展開構成である間に天然僧帽弁の弁輪の形状に一致する、実施例66に記載のデバイス。
141. 弁輪および弁尖を有する天然僧帽弁を治療するためのデバイスであって、弁輪の下流の弁尖の上流に面した表面に係合するように構成される上流部分を有する、固着体と、少なくとも固着体内にある弁支持体であって、弁支持体は、人工弁を支持するように構成される、弁支持体と、固着体が、非円形断面に変形可能である一方で、弁支持体は、断面が実質的に円形のままである、デバイス。
142. 弁支持体を少なくとも部分的に包囲するスリーブをさらに備え、スリーブは、流体障壁を提供する、実施例141に記載のデバイス。
143. 固着体の上流部分の周囲に延在し、少なくとも弁尖の上流に面した表面に対して密閉し、固着体と弁尖との間の血流を阻止するように構成される、密閉部材をさらに備える、実施例141に記載のデバイス。
144. 密閉部材はさらに、弁支持体の周囲に延在し、密閉部材は、弁支持体と固着体との間の空間内の血流を阻止するように構成される、実施例143に記載のデバイス。
145. 固着体は、上流部分から縦方向に分離される下流部分を有し、下流部分は、弁支持体の下流端に連結される、実施例141に記載のデバイス。
146. 上流部分は、弁支持体に直接連結されない、実施例145に記載のデバイス。
147. 弁支持体は、縦軸に沿って配向される上流端および下流端を有し、固着体は、上流および下流端の間の中間位置で弁支持体に連結される、実施例141に記載のデバイス。
148. 固着体の上流部分を弁支持体に連結する複数のテザーをさらに備え、テザーは、上流部分の半径方向拡張を制限するように構成される、実施例141に記載のデバイス。
150. 弁輪および弁尖を有する天然弁に埋め込むためのデバイスであって、弁輪の下流の弁尖の内向き表面に係合するように構成される上流端と、下流端とを有する、双曲面固着部材であって、上流端は、下流端とは異なる断面積を有し、固着部材の中に位置付けられ、人工弁を支持するように構成される弁支持体であって、弁支持体は、上流端から実質的に下流に離間した場所で固着部材に連結され、上流端において固着部材に連結されていない、弁支持体と、を備える、デバイス。
151. 固着部材は、菱形パターンで形成され、半径方向外向きに自己拡張するように構成される、可撓性の形状記憶材料で形成される、実施例150に記載のデバイス。
152. 口広固着部材は、二層双曲面の形状を有する、実施例150に記載のデバイス。
153. デバイスの下流移動が、弁輪上組織との心房保持体の係合によって遮断されるように、弁輪上組織に係合するように構成される心房保持体をさらに備える、実施例150に記載のデバイス。
154. 心房保持体は、弁支持体の外向き拡張部を含む、実施例153に記載のデバイス。
155. 心房保持体は、天然弁を通過して弁輪上組織に係合するように構成される、固着部材の拡張部を含む、実施例153に記載のデバイス。
156. 固着部材および弁支持体の上に配置される密閉部材であって、弁支持体と固着部材との間の血流を阻止するように構成される、密閉部材をさらに備える、実施例150に記載のデバイス。
157. 密閉部材は、弁支持体の外面および固着部材の内面を包囲する、実施例156に記載のデバイス。
158. 密閉部材は、固着部材の上流端の少なくとも一部分を覆うように構成され、少なくとも弁尖の内向き表面に対して密閉し、固着部材と弁尖との間の血流を阻止するように構成される、スリーブを含む、実施例156に記載のデバイス。
159. 密閉部材は、可撓性の生体適合性材料を含む、実施例156に記載のデバイス。
160. 材料は、Dacron(登録商標)、ePTFE、またはウシ心膜のうちの1つ以上を含む、実施例159に記載のデバイス。
160. 上流端が弁輪の下流の弁尖の内向き表面の貫通に抵抗するように、上流端は、複数の非外傷性節点を伴って構成される、実施例150に記載のデバイス。
170. 上流端は、複数の非外傷性節点を伴って構成され、非外傷性節点は、上流端の周囲で円周方向へ不均等に離間される、実施例150に記載のデバイス。
171. 固着部材は、後方に面した側と、前方に面した側とを含み、後方に面した側の第1の非外傷性節点構成は、前方に面した側の第2の非外傷性節点構成とは異なる、実施例170に記載のデバイス。
172. 患者の天然心臓弁であって、弁輪および弁尖を有する心臓弁の修復または置換のための人工心臓弁デバイスであって、第1の断面寸法を有する上流部分または第1の部分、および第1の断面寸法よりも小さい第2の断面寸法を有する下流部分または第2の部分を有する、固着部材であって、上流部分は、心臓組織に係合して、弁輪に対して固定縦方向位置で固着部材を保持するように構成される、固着部材と、固着部材の下流部分に連結され、人工弁を支持するように構成される弁支持体であって、弁支持体は、弁支持体を実質的に変形させることなく、上流部分が内向きに変形することができるように、固着部材の上流部分から半径方向に分離される、弁支持体と、を備える、デバイス。
173. 固着部材は、患者の血管系を通したデバイスの送達のための折り畳み構成から、心臓組織の係合のための拡張構成へ移動可能である、実施例172に記載のデバイス。174.弁支持体は、バルーンを受容するようにサイズ決定される内部を備え、バルーンは、送達構成から拡張構成へ弁支持体を拡張する、実施例172に記載のデバイス。
175. 固着部材または弁支持体のうちの少なくとも1つは、弾性材料、形状記憶材料、超弾性材料、またはニッケルチタン合金のうちの1つ以上を含み、弁支持体または固着部材のうちの少なくとも1つは、拘束から解放されたときに送達構成から拡張構成へ自己拡張するように構成される、実施例172に記載のデバイス。
176. 固着部材に連結される1つ以上の位置付け要素をさらに備え、位置付け要素は、心室組織に係合し、左心室流出路(LVOT)から離してデバイスを位置付けるように構成される、実施例172に記載のデバイス。
177. 位置要素は、固着部材から心室組織まで延在するように構成される、位置付けアームと、位置付けアームの遠位端における組織係合部分であって、組織係合部分は、心室組織に非外傷的に係合するように構成される、組織係合部分と、を備える、実施例176に記載のデバイス。
178. 弁輪および複数の弁尖を有する天然弁に埋め込むためのデバイスであって、弁尖の間の場所に位置付け可能であり、上流方向へのデバイスの移動を防止するよう、弁輪上または付近の心臓組織に係合するように構成される複数の組織係合要素を上流端の上に有する、固着部材と、固着部材の内部に位置付けられ、固着部材の下流部分に連結される弁支持体であって、弁支持体は、少なくとも固着部材の上流部分から半径方向に分離される、弁支持体と、を備える、デバイス。
179. 弁輪および一対の弁尖を有する天然僧帽弁の修復または置換のためのデバイスであって、上部領域、下部領域、および人工弁を保持する内部を有する、支持構造と、支持構造の少なくとも一部分を包囲する固着部材であって、固着部材は、弁尖の間に位置付け可能であり、複数の相互接続された支柱、上部分、および下部分を有する、固着部材と、を備え、固着部材の上部分は、近位方向へ外向きに口広であり、弁輪上または付近の心臓組織に係合して、上流方向へのデバイスの移動を阻止するよう、半径方向外向きに延在する複数の組織係合要素を含み、支持構造の下部領域は、固着部材の下部分に連結され、支持構造の下部領域は、少なくとも固着部材の口広上部分の変形から機械的に隔離される、デバイス。
180. 固着部材は、中心縦軸を有し、相互接続された支柱は、縦軸から離れて外向きに延在する、弓形領域を含む、実施例179に記載のデバイス。
181. デバイスはさらに、支持構造を固着部材に可撓性に連結するように構成される、複数の可撓性連結機構を備える、実施例179に記載のデバイス。
182. 可撓性連結機構は、縫合糸、ワイヤ、可撓性フィラメント、リベット、ネジ、またはピンのうちの少なくとも1つを含むことができる、実施例181に記載のデバイス。
182. 複数の相互接続された支柱は、弾性材料を含む、実施例179に記載のデバイス。
183. 固着部材は、拘束状態から解放されたときに内向き構成から外向き構成へ自己拡張するように十分弾性の材料を含む、実施例179に記載のデバイス。
184. 複数の相互接続された支柱を覆って延在する被覆であって、組織内方成長を促す材料を含む、被覆をさらに備える、実施例179に記載のデバイス。
185. 被覆は、固着部材の少なくとも一部分を覆って延在するスカートを備える、実施例179に記載のデバイス。
186. 縦軸、およびそれを通って血液が流れ得る縦軸に沿った内部を有する、円筒形支持体と、円筒形支持体とは別個の構造によって画定される固着体であって、非円形断面を有し、僧帽弁の弁輪下組織に係合するように構成される外向きに口広の上流端を有し、円筒形支持体を包囲し、上流端と反対側の下流端において円筒形支持体に連結される、固着体と、備える、人工心臓弁デバイス。
187. 支持体の内部内に連結され、上流方向に支持体を通る血流を遮断し、下流方向に支持体を通る血流を可能にするように構成される、弁をさらに備える、実施例186に記載のデバイス。
188. 固着体の下流端から外向きに延在する安定化部材をさらに備え、安定化部材は、僧帽弁の弁輪の下流の天然組織に係合するように構成される、実施例186に記載のデバイス。
189. 安定化部材は、下流端から延在する複数のアームを含み、アームは、弁輪下組織、天然弁尖、または心室壁のうちの1つ以上に係合するように構成される、実施例188に記載のデバイス。
190. アームは、天然弁尖の後ろに延在する、実施例189に記載のデバイス。
191. 各個別のアームは、アーム本体と、アーム本体の遠位端における先端とを含み、先端は、天然組織に係合するように構成される、実施例189に記載のデバイス。
192. 先端は、天然組織を貫通することなく天然組織に力を及ぼす、実施例191に記載のデバイス。
193. 先端は、天然組織の少なくとも一部分を通って穿刺するための組織係合要素を含む、実施例191に記載のデバイス。
194. 組織係合要素は、スパイクおよび鉤のうちの少なくとも1つを含む、実施例193に記載のデバイス。
195. 各個別のアームは、第1の角度で縦軸から離れて延在するアーム本体を含み、各アームはまた、第1の角度よりも大きい第2の角度で縦軸から離れて延在するアーム拡張部を含む、実施例191に記載のデバイス。
196. 固着体は、第2の縦軸を有し、第2の縦軸は、円筒形支持体の縦軸からオフセットされる、実施例186に記載のデバイス。
197. 弁輪および複数の弁尖を有する天然弁の修復または置換のためのデバイスであって、弁尖の間の配置のために構成される拡張可能な弁支持体であって、上流領域または第1の領域、下流領域または第2の領域、および弁が連結され得る内部を有する、支持体と、第1の部分および第2の部分を有する、固着部材であって、固着構造の第2の部分は、円筒形支持体の下流領域に連結され、固着構造の第1の部分は、第2の部分から外向きに離れて延在し、固着構造は、弁輪上または付近の組織に係合するように構成される上流または第1の周囲を有する、固着部材と、を備え、固着部材は、上流周囲で、またはその付近で半径方向に及ぼされる力が、円筒形支持体の形状を実質的に変化させないように、円筒形支持体から機械的に隔離される、デバイス。
198. デバイスは、天然僧帽弁に埋込可能である、実施例197に記載のデバイス。
199. 固着構造は、弁輪上または付近の組織の係合によって、上流方向へのデバイスの移動を阻止するように係合される、実施例198に記載のデバイス。
200. 拡張可能な円筒形支持体および固着構造は、送達カテーテルの管腔の中のデバイスの配置のための送達構成と天然弁内の配置のための拡張構成との間で移動可能である、実施例197に記載のデバイス。
201. 上流周囲は、弁輪上または付近の組織を少なくとも部分的に貫通するように構成される組織係合要素を含む、実施例197に記載のデバイス。
202. 固着構造あるいは弁輪上または付近の組織のうちの少なくとも1つに係合するよう、円筒形支持体の上流領域に連結され、外向きに延在する、第2の固着構造をさらに備える、実施例197に記載のデバイス。
203. 上流周囲に連結される第2の固着構造であって、下流方向へ外向きに延在する第2の固着構造をさらに備える、実施例197に記載のデバイス。
204. 第2の固着構造は、円筒形支持体から機械的に隔離される、実施例202または203のいずれか1つに記載のデバイス。
205. 患者の心臓僧帽弁を治療するデバイスであって
外面および内面を有する、内側フレームを備え、内面は、人工弁を支持するように構成される、内側フレームと、内側フレームに連結される外側フレームを備え、外側フレームは、僧帽弁の弁輪の対応する断面寸法よりも大きい断面寸法を伴う上部分を有し、上部分は、僧帽弁の弁輪における、またはそれより下側の組織に係合し、心室収縮期中に上向き方向へのデバイスの移動を防止するように構成され、少なくとも上部分は、内側フレームから機械的に隔離される、外側フレームと、を備える、デバイス。
206. 内側フレームは、縦軸を備え、内側フレームは、送達構成および拡張構成を備え、外面は、送達構成よりも拡張構成で縦軸から遠い、実施例205に記載のデバイス。
207. 内側フレームは、縦軸を備え、外面は、第1の距離によって縦軸から分離され、外側フレームの上部分は、第1の距離よりも大きい第2の距離によって縦軸から分離される、実施例205に記載のデバイス。
207. 外側フレームは、上部分と下部分との間で円錐形または先細である、実施例205に記載のデバイス。
208. 内側フレームは、後尖に面した側に第1の縦方向長さ、および前尖に面した側に第2の長さを有し、第1の長さは、第2の長さよりも大きい、実施例205に記載のデバイス。
209. 後尖に面した側はさらに、アームと外側フレームとの間で後尖を受容するように構成されるアームを含む、実施例208に記載のデバイス。
210. 弁輪および一対の弁尖を有する天然僧帽弁を治療するための人工心臓弁デバイスであって、人工弁が連結され得る内部を有する、円筒形の内側骨格と、内側骨格に連結され、弁輪の下側の弁尖の間に位置付け可能である外側骨格であって、複数の相互接続された支柱を有する、外側骨格であって、支柱の少なくとも一部分は、上流方向へのデバイスの移動を防止するよう、天然弁輪下組織に係合するように構成される、外側骨格と、
を備え、外側骨格が、非円形断面に変形可能である一方で、内側骨格は、断面が実質的に円形のままである、デバイス。
211. 相互接続された支柱のそれぞれは、内側骨格から離れて傾斜している、実施例210に記載のデバイス。
212. 外側骨格は、下流部分および上流部分を有し、下流部分は、内側骨格に連結され、支柱は、天然弁輪下組織に係合するように上流部分において外向きに延在する、実施例210に記載のデバイス。
213. 外側骨格は、下流部分および上流部分を有し、上流部分は、内側骨格に連結され、支柱は、天然弁輪下組織に係合するように下流部分において外向きに延在する、実施例210に記載のデバイス。
214. 相互接続された支柱のそれぞれは、内側骨格の中に載置された弁に対する収縮期血圧の下で、弁輪に対するデバイスの移動を阻止するように十分なカラム強度を提供する、実施例210に記載のデバイス。
215. 支柱のうちの少なくともいくつかは、左心房の中の弁輪上組織に係合するように構成される上流拡張部を含む、実施例210に記載のデバイス。
216. 内側骨格は、デバイスの下流移動が心房拡張部材によって遮断されるように、弁輪上組織に係合する心房拡張部材を含む、実施例210に記載のデバイス。
217. 相互接続された支柱は、複数の円周方向コネクタによって相互接続されるリブを備える、実施例210に記載のデバイス。
218. 相互接続された支柱は、菱形構成で配列される、実施例210に記載のデバイス。
219. 人工僧帽弁デバイスであって、
上流および下流端、弁が連結され得る内部、ならびに周囲を有する、弁支持体と、口広上流部分、および弁支持体の周囲に連結される下流部分を有する、固着部材であって、上流部分は、弁支持体から機械的に隔離され、天然僧帽弁の弁輪下組織に係合するように構成される、固着部材と、を備え、デバイスは、弁支持体および固着部材が半径方向に収縮させられる、第1の構成であって、弁支持体は、第1の断面形状を有する、第1の構成と、弁支持体および固着部材が半径方向に拡張させられる、第2の構成であって、弁支持体は、第2の断面形状を有する、第2の構成と、固着部材が、弁輪下組織と係合させられ、それによって変形させられる一方で、弁支持体は、第2の断面形状でとどまる、第3の構成と、を含む、複数の構成に移動可能である、デバイス。
220. 固着部材の上流部分は、第3の構成で卵形またはD字形である、実施例219に記載のデバイス。
221. 固着部材の上流部分は、第2の構成で卵形またはD字形である、実施例219に記載のデバイス。
222. 固着部材の上流部分は、第3の構成で天然僧帽弁交連を覆う密閉を提供する、実施例219に記載のデバイス。
223. 固着部材の上流部分は、弁輪下組織の形状に実質的に一致する、実施例219に記載のデバイス。
224. 固着部材の上流部分は、第2の構成で実質的に円形である、実施例219に記載のデバイス。
225. 弁支持体は、第3の構成で断面が実質的に円形である、実施例219に記載のデバイス。
226. 固着部材の上流部分は、第2の構成で第1の寸法を有し、第1の寸法は、上流部分が第1の寸法よりも小さく、デバイスが第3の構成であるときの対応する寸法と実質的に同一である、第2の寸法に圧縮されるように、弁輪下組織の対応する寸法よりも大きい、実施例219に記載のデバイス。
227. 上流部分は、固着部材が弁輪下組織に対する半径方向外向きの力を提供するように、第1の寸法に向かって拡張することに向けて付勢されたままである、実施例226に記載のデバイス。
228. 患者の天然僧帽弁であって、弁輪および一対の弁尖を有する天然僧帽弁を治療するためのデバイスであって、
弁尖の間の場所に位置付け可能であり、上流方向へのデバイスの移動を防止するよう、弁輪の上または下流の天然組織に係合するように構成される下流端を有する、固着部材と、人工弁を支持するように構成される弁支持体であって、弁支持体は、固着部材に連結され、弁支持体は、固着部材から機械的に隔離される、弁支持体と、を備える、デバイス。
229. 固着部材は、支持構造の少なくとも一部分を包囲し、
固着部材は、菱形パターンに配列された複数の可撓性ワイヤを有し、固着部材は、弁輪上または付近の天然組織に係合するよう、および上流方向へのデバイスの移動を阻止するよう、ワイヤの遠位端が半径方向外向きを指すように、遠位方向に口広であり、弁支持体は、少なくとも固着部材の口広部分から機械的に隔離される、実施例228に記載のデバイス。
230. 固着部材は、第1の断面寸法を有する上流端と、第1の断面寸法よりも大きい第2の断面寸法を有する下流端とを有し、下流端は、弁輪の下流の弁尖の内向き表面に係合するように構成される、実施例228に記載のデバイス。
231. 弁支持体は、弁支持体を実質的に変形させることなく、下流端が内向きに変形することができるように、固着部材の下流端から半径方向に分離される、実施例228に記載のデバイス。
232. 固着部材の下流端は、非円筒形であり、
弁支持体は、円筒形であり、固着部材によって少なくとも部分的に包囲され、
固着部材は、下流端と反対側の上流端において弁支持体に連結される、
実施例228に記載のデバイス。
233. 固着部材は、天然僧帽弁の弁輪の対応する断面寸法よりも大きい断面寸法を伴う下流部分を有する、実施例228に記載のデバイス。
234. 固着部材の下流端の周囲に延在し、天然組織に対して密閉し、固着部材と天然組織との間の血流を阻止するように構成される、密閉部材をさらに備える、実施例228に記載のデバイス。
235. 弁支持体は、近位端および遠位端を有し、固着部材は、近位および遠位端の中間の位置で弁支持体に連結される、実施例228に記載のデバイス。
236. 弁支持体は、下流部分を含み、下流部分は、弁輪下組織に半径方向に係合する
ように構成される、外向きに延在するフランジを含む、実施例228に記載のデバイス。237.下流端は、上流方向に口広である、実施例228に記載のデバイス。
238. 第2の固着部材をさらに備え、第2の固着部材は、弁輪の上または下流の組織に係合するように構成される第2の上流端を有し、かつ弁支持体に連結される第2の下流端を有する、実施例228に記載のデバイス。
239. 固着部材の上に組織係合要素をさらに備える、実施例228に記載のデバイス。
240. 天然僧帽弁であって、弁輪および弁尖を有する天然僧帽弁に埋め込むためのデバイスであって、
上流および下流端、弁が連結され得る内部、ならびに外面を有する、弁支持体と、第1の口広上流部分、および弁支持体の外面に連結される第1の下流部分を有する、第1の固着部材であって、第1の上流部分は、弁支持体から機械的に隔離され、天然僧帽弁の弁輪上組織に係合するように構成される、第1の固着部材と、第1の固着部材を少なくとも部分的に包囲する、第2の固着部材であって、第2の口広上流部分、および弁支持体の外面に連結される第2の下流部分を有する、第2の固着部材であって、第2の上流部分は、弁支持体から機械的に隔離され、天然僧帽弁の弁輪上組織に係合するように構成される、第2の固着部材と、を備える、デバイス。
241. 第1の固着部材は、菱形構成で配列される、複数の第1の可撓性フィラメントを有し、第1のフィラメントの少なくとも一部分は、下流方向へのデバイスの移動を防止するよう、天然弁輪上組織に係合するように構成され、
第2の固着部材は、菱形構成で配列される、複数の第2の可撓性フィラメントを有し、第2のフィラメントの少なくとも一部分は、上流方向へのデバイスの移動を防止するよう、天然弁輪上組織に係合するように構成される、
実施例240に記載のデバイス。
242. 第1の固着部材は、第1の高さを有し、第2の固着部材は、第2の複数の高さを有し、第1の高さは、第2の高さとは異なる、実施例241に記載のデバイス。
243. 第1の上流部分は、弁輪上組織に係合するための第1のリング部材を含み、第2の上流部分は、弁輪下組織に係合するための第2のリング部材を含む、実施例240に記載のデバイス。
244. 天然僧帽弁であって、弁輪および弁尖を有する天然僧帽弁に埋め込むためのデバイスであって、
上流および下流端、弁が連結され得る内部、ならびに外面を有する、弁支持体と、外面に連結される、拡張可能な固定要素であって、固定要素は、弁輪より上側、それの上、およびそれより下側の組織に係合するように構成される、固定要素と、を備え、固定要素は、上流および下流端の間の弁支持体の外面に連結され、かつそれから機械的に隔離される、1つ以上の膨張式チャンバを含む、実施例244に記載のデバイス。
245. 膨張式チャンバは、生理食塩水で充填される、実施例244に記載のデバイス。
246. 膨張式チャンバは、ガスで充填される、実施例244に記載のデバイス。
247. 膨張式チャンバは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはウレタンで形成される、実施例244に記載のデバイス。
248. 膨張式チャンバは、弁輪および弁尖に係合するためのU字形構造を形成する、実施例244に記載のデバイス。
249. 天然僧帽弁であって、弁輪および弁尖を有する天然僧帽弁に埋め込むためのデバイスであって、
弁輪の上または下流の天然組織に係合するように構成される、半径方向に拡張可能な弁支持体であって、弁支持体は、後尖に面した側に第1の縦方向長さ、および前尖に面した側に第2の長さを有する、弁支持体と、弁支持体の内部に連結される弁と、を備え、第1の長さは、左心室流出路(LVOT)の閉塞が制限されるように、第2の長さよりも大きい、デバイス。
250. 後尖に面した側はさらに、アームと固着部材との間で後尖を受容するように構成されるアームを含む、実施例249に記載のデバイス。
251. 天然僧帽弁であって、弁輪および弁尖を有する天然僧帽弁に埋め込むためのデバイスであって、
上流および下流端、弁が連結され得る内部、ならびに外面を有する、弁支持体と、口広上流部分、および弁支持体の外面に連結される下流部分を有する、固着部材であって、上流部分は、上部リング、および上部リングに連結される下部リングを有する、固着部材と、上部リングを下部リングに連結し、下部および上部リングをともに引き出すように構成される、複数の可撓性連結要素と、
を備え、下部リングは、弁輪が上部および下部リングの間で受容されるように、上部リングに向かって上流方向に移動するように構成される、
デバイス。
252. 固着部材は、弁支持体から機械的に隔離される、実施例251に記載のデバイス。
253. 下部リングは、下部リングに取り付けられたワイヤとともに上流方向に移動させられる、実施例251に記載のデバイス。
254. 弁輪および弁輪に連結された弁尖を有する天然心臓弁の置換のための方法であって、
折り畳み構成で弁尖の間に人工装具を位置付けるステップと、人工装具の固着部材が、弁輪の上または下流の組織に係合する弁輪下位置にあるように、人工装具が拡張することを可能にするステップであって、固着部材は、弁輪下位置で弁輪の対応する直径よりも大きい直径を有する、ステップと、弁支持体が固着部材内で拡張することを可能にするステップであって、弁支持体は、固着部材に連結され、弁支持体は、人工弁を支持するように構成される支持領域を有する、ステップと、を含み、弁支持体の支持領域は、組織に係合するときの固着部材の変形が支持領域を実質的に変形させないように、固着部材から機械的に隔離される、方法。
255. 人工装具は、1~140、150~178、219~227、および251~253のいずれか1つに記載のデバイスを備える、実施例254に記載の方法。
256. 弁尖の間に人工装具を位置付ける前に、カテーテルによって人工装具を送達するステップをさらに含む、実施例254に記載の方法。
257. 拡張構成で人工装具を露出するように、カテーテル上のシースを後退させ、固着部材の上流部分が組織に係合するように、上流方向に人工装具を移動させるステップをさらに含む、実施例256に記載の方法。
258. 右心房からの経中隔アプローチ、左心室切開または穿孔を介した経心尖アプローチ、または大動脈を通した経大動脈アプローチのうちの1つ以上によって、送達構成で人工装具を保持するように構成されるカテーテルをナビゲートするステップをさらに含む、実施例256に記載の方法。
259. 患者の僧帽弁であって、弁輪および弁尖を有する僧帽弁を治療する方法であって、
弁輪内に、または弁輪に隣接してデバイスを埋め込むステップを含み、デバイスは、弁支持体と、弁支持体に連結され、それを少なくとも部分的に包囲する固着部材とを備え、固着部材は、弁尖の間に配置され、固着部材の上流部分は、上流方向へのデバイスの移動を防止するように、弁輪の上または下流の組織に係合し、弁支持体は、人工弁を支持するための支持領域を有し、支持領域は、上流部分の変形が支持領域を実質的に変形させないように、少なくとも上流部分において固着部材から機械的に隔離される、方法。
260. 埋め込むステップは、
デバイスが送達構成であるときに弁尖の間および弁輪の下流にデバイスを位置付けるステップと、固着部材が弁尖の間に延在する状態で、送達構成から拡張構成へデバイスを拡張するステップと、弁輪の上または下流の組織を上流部分と係合させるように、上流方向にデバイスを移動させるステップと、を含む、実施例259に記載の方法。
261. 固着部材の上流部分は、展開構成であるときに卵形の形状を有し、弁輪における、またはそれより下側の組織は、対応する卵形の形状を有し、方法はさらに、心エコーまたは蛍光透視法で固着部材および僧帽弁を視認するステップと、心エコーまたは蛍光透視法に基づいて、弁輪の上または下流の組織と係合するように、固着部材の上流部分を整合させるステップと、を含む、実施例259に記載の方法。
262. 人工弁は、弁支持体に連結され、人工弁は、血流が左心房から左心室へ流れることを可能にするように、および左心室から左心房への血流を阻止するように構成される、実施例259に記載の方法。
263. 固着部材は、左心室が収縮し、弁が左心室から左心房への血流を阻止するときに、弁輪下組織に係合することによって、左心房に向かったデバイスの移動を阻止する、実施例262に記載の方法。
264. 僧帽弁に埋め込む前に、カテーテルによってデバイスを送達するステップをさらに含む、実施例259に記載の方法。
265. 拡張構成でデバイスを露出するように、カテーテル上のシースを後退させ、固着部材の上流部分が弁輪下組織に係合するように、上流方向にデバイスを移動させるステップをさらに含む、実施例259に記載の方法。
266. 右心房からの経中隔アプローチ、左心室切開または穿孔を介した経心尖アプローチ、または大動脈を通した経大動脈アプローチのうちの1つ以上によって、送達構成でデバイスを保持するように構成されるカテーテルをナビゲートするステップをさらに含む、実施例259に記載の方法。
267. 弁支持体に連結される一時弁は、デバイスが埋め込まれた後に起動される、実施例259に記載の方法。
268. 弁支持体の内部の中に置換弁を位置付け、デバイスが埋め込まれた後に、弁支持体と係合するように置換弁を拡張するステップをさらに含む、実施例267に記載の方法。
269. デバイスが僧帽弁に埋め込まれた後に、人工弁を弁支持体に連結するステップをさらに含む、実施例259に記載の方法。
270. デバイスはさらに、デバイスが埋め込まれる前に弁支持体の支持領域に載置される、人工弁を備える、実施例259に記載の方法。
271. 人工弁は、組織弁を備える、実施例270に記載の方法。
272. 人工弁は、上流方向への弁支持体を通る血流を遮断するように接合する、複数の弁尖を備える、実施例270に記載の方法。
273. 支持領域は、上流部分が非円形の形状に変形させられたときに、弁尖が血流を遮断するように十分接合されたままであるように、固着部材から機械的に隔離される、実施例272に記載の方法。
274. 固着部材は、上流部分の周囲に複数の組織係合要素を有し、方法はさらに、組織を組織係合要素と係合させるステップを含む、実施例259に記載の方法。
275. 組織に係合するステップは、組織係合要素で組織を貫通するステップを含む、実施例274に記載の方法。
276. 固着部材と組織との間の血流路を密閉するステップをさらに含む、実施例25
9に記載の方法。
277. 血流路を密閉するステップは、固着部材と組織との間に可撓性密閉部材を位置付けるステップを含む、実施例276に記載の方法。
278. 可撓性密閉部材は、固着部材の円周の周囲に延在するスカートを備える、実施例277に記載の方法。
279. スカートは、固着部材と支持部材との間の血流を遮断するように構成される、実施例278に記載の方法。
280. 僧帽弁の弁輪に対するデバイスの下流移動を阻止するステップをさらに含む、実施例259に記載の方法。
281. 僧帽弁の弁輪に対するデバイスの下流移動を阻止するステップは、弁輪上組織をデバイスに連結された心房要素と係合させるステップを含む、実施例280に記載の方法。
282. 僧帽弁の弁輪に対するデバイスの下流移動を阻止するステップは、固着部材に連結された複数の組織係合要素で、弁輪上または付近の組織を貫通するステップを含む、実施例280に記載の方法。
283. 組織係合要素で組織を貫通するステップをさらに含み、組織係合要素は、貫通後の組織からの引き出しに抵抗するように構成される保持要素を備える、実施例282に記載の方法。
284. 組織係合要素で組織を貫通するステップは、
小型構成で保持要素を組織に挿入するステップと、
組織の貫通後に保持要素が拡張構成に拡張することを可能にするステップと、
を含む、実施例283に記載の方法。
285. 送達構成からデバイスを拡張するステップは、弁支持体が折り畳み構成から展開構成へ弾性的に自己拡張することを可能にするステップを含む、実施例260に記載の方法。
286. 送達構成からデバイスを拡張するステップは、固着部材が送達構成から拡張構成へ弾性的に自己拡張することを可能にするステップを含む、実施例260に記載の方法。
287. 固着部材が弁輪の上または下流の組織に係合した後に、弁支持体を半径方向に拡張するステップをさらに含む、実施例259に記載の方法。
288. デバイスは、実施例1~140、150~178、219~227、および251~253のいずれか1つに記載のデバイスである、実施例259に記載の方法。
289. 弁輪内に、または弁輪に隣接してデバイスを埋め込むステップは、
弁支持体および固着部材が半径方向に収縮させられる、第1の構成であって、弁支持体は、第1の断面形状を有する、第1の構成と、弁支持体および固着部材が半径方向に拡張させられ、弁支持体が、第1の断面形状よりも大きい第2の断面形状を有する、第2の構成と、固着部材が、弁輪の上または付近の組織と係合させられ、それによって少なくとも部分的に変形させられる一方で、弁支持体は、第2の断面形状でとどまる、第3の構成と、を含む、複数の構成を通してデバイスを移動させるステップを含む、実施例259に記載の方法。
290. 固着部材に連結された1つ以上の安定化部材を天然組織と係合させるステップをさらに含む、実施例259に記載の方法。
291. 患者の天然弁を置換するためのシステムであって、
遠位端および近位端を有する、細長いカテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端に連結され、閉鎖端および開放端を有する、筐体と、それに対して軸方向に移動可能である筐体内のプランジャと、アクチュエータを移動させることにより、プランジャに対して軸方向に筐体を移動させるように、プランジャに連結される、カテーテル本体の近位端におけるアクチュエータと、折り畳み構成および拡張構成を有する、人工弁デバイスであって、人工弁デバイスは、折り畳み構成で筐体の中に位置付け可能であり、アクチュエータを移動させることによって筐体から近位に解放可能である、人工弁デバイスと、を備える、システム。
292. 人工弁デバイスは、実施例1~253のいずれか1つに記載のデバイスを備える、実施例291に記載のシステム。
293. 患者の僧帽弁であって、弁輪を有する僧帽弁を治療するシステムであって、
実施例1~253のいずれか1つに記載のデバイスを備える、デバイスと、その中にデバイスを保持するように構成される管腔を有する、カテーテルと、を備える、システム。
294. 天然僧帽弁の場所にデバイスを配置した後にデバイスに連結するように構成される、置換弁をさらに備える、実施例293に記載のシステム。
295. 置換弁に連結される送達カテーテルをさらに備える、実施例294に記載のシステム。
296. カテーテルは、デバイスの部分を半径方向に拡張するように構成される、拡張可能な部材を備える、実施例293に記載のシステム。
297. カテーテルは、格納式シースを備え、デバイスは、シース内に含有され、デバイスは、シースが後退させられたときに弾性的に拡張するように構成される、実施例293に記載のシステム。
298. カテーテルは、ガイドワイヤを摺動可能に受容するように適合されるガイドワイヤ管腔を備え、ガイドワイヤ管腔は、それを通してガイドワイヤが摺動可能に挿入され得る、近位および遠位ポートを有する、実施例293に記載のシステム。
【0225】
(結語)
本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、包括的となること、または本技術を上記で開示される正確な形態に限定することを目的としていない。本技術の具体的実施形態および実施例は、例証目的で上記に説明されるが、当業者によって認識されるように、種々の同等な修正が本技術の範囲内で可能である。例えば、ステップは所与の順序で提示されるが、代替的な実施形態は、異なる順序でステップを行ってもよい。本明細書で説明される種々の実施形態はまた、さらなる実施形態を提供するように組み合わせられてもよい。
【0226】
先述の内容から、本技術の具体的実施形態は、例証の目的で本明細書において説明されているが、本技術の実施形態の説明を不必要に曖昧にすることを回避するために、周知の構造および機能は詳細に示されず、または説明されていないことが理解されるであろう。文脈が許可する場合、単数形または複数形の用語はまた、それぞれ、複数形または単数形の用語を含んでもよい。
【0227】
また、「または」という言葉が、2つ以上の項目のリストを参照して、他の項目から排他的な単一の項目のみを意味するように明示的に限定されない限り、次いで、そのようなリストの中の「または」の使用は、(a)リストの中の任意の単一の項目、(b)リストの中の項目の全て、または(c)リストの中の項目の任意の組み合わせを含むものとして解釈されるものである。加えて、「備える」という用語は、任意のより多くの数の同一の特徴および/または付加的な種類の他の特徴が除外されないように、少なくとも記載された特徴を含むことを意味するために、全体を通して使用される。また、具体的実施形態が、例証の目的で本明細書において説明されているが、本技術から逸脱することなく、種々の修正が行われてもよいことも理解されるであろう。さらに、本技術のある実施形態と関連付けられる利点が、これらの実施形態との関連で説明されているが、他の実施形態もまた、そのような利点を示してもよく、全ての実施形態が、本技術の範囲内に入るために、そのような利点を必ずしも必要とするわけではない。したがって、本開示および関連技術は、本明細書で明示的に示されていない、または説明されていない、他の実施形態を包含することができる。