(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】生体光組成物、キットおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/352 20060101AFI20220701BHJP
A61K 31/327 20060101ALI20220701BHJP
A61K 33/40 20060101ALI20220701BHJP
A61K 41/00 20200101ALI20220701BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20220701BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220701BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220701BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220701BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20220701BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20220701BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20220701BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220701BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20220701BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20220701BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220701BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220701BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20220701BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
A61K31/352
A61K31/327
A61K33/40
A61K41/00
A61K9/06
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/18
A61K47/14
A61K47/42
A61P1/02
A61P17/00
A61P17/02
A61P17/10
A61P29/00
A61P43/00 121
A61K8/49
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020081967
(22)【出願日】2020-05-07
(62)【分割の表示】P 2018169059の分割
【原出願日】2013-04-19
【審査請求日】2020-06-05
(32)【優先日】2012-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2012-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2012-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2012-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2012-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2012-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】320014134
【氏名又は名称】広東科洛克生物医薬集団有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】ルピス、ニコラオス
(72)【発明者】
【氏名】ピエルガッリーニ、レミージョ
(72)【発明者】
【氏名】ラストージ、シプラ
【審査官】鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-508189(JP,A)
【文献】特表2012-508190(JP,A)
【文献】特開2009-149692(JP,A)
【文献】特開2008-231010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 8/00-8/99
A61K 9/00-9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 41/00-41/17
A61P 1/02
A61P 17/00
A61P 17/02
A61P 17/10
A61P 29/00
A61P 43/00
A61Q 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発色団、およびゲル化剤を含む、瘢痕の形成を減少させるための生体光組成物であって、
ここで、前記
生体光組成物は局所適用に好適な形態であり、前記発色団は作用光による照射により活性化させることができ、かつ、ここで、前記ゲル化剤が、使用中に前記発色団の合計量の15重量%未満しか前記生体光組成物から浸出しないように、前記
生体光組成物をゲル化するのに十分な量で存在し
、
そして、ここで、
前記生体光組成物をゲル化するのに十分な前記量が、前記
生体光組成物の粘度を10,000~50,000cPとなるようにする量であり、ここで、前記
生体光組成物が実質的に透光性であり、20%を超える光透過性を有し
、且つ、ここで、前記生体光組成物は、光活性化されたとき、約490nm~約800nmの波長を有する光を放射
し、
前記生体光組成物は、
前記発色団が、エオシンY、フルオレセイン、ローズベンガル、フロキシンB、ローズベンガル及びフルオレセイン、フロキシンB及びフルオレセイン、フロキシンB及びローズベンガル、フロキシンB及びエオシンY、ローズベンガル及びエオシンY、フルオレセイン及びエオシンYのいずれ1つであり、前記ゲル化剤が、カルボポールゲル、過酸化尿素ゲル、プロピレングリコール、及び、ヒアルロン酸を含む、又は、
前記発色団がフロキシンB及びエオシンYであり、前記ゲル化剤が、カルボポールゲル又はゼラチンゲルである、又は、
前記発色団がエオシンYであり、前記ゲル化剤がカルボポールゲル及びプロピレングリコールである、又は、
前記発色団がローズベンガル及びエオシンYであり、前記ゲル化剤がゼラチンゲルである、又は、
前記発色団がエオシンYであり、前記ゲル化剤がでんぷんゲル又はヒアルロン酸ナトリウムゲルである、生体光組成物。
【請求項2】
前記
生体光組成物が、さらに酸素放出剤を含む、請求項
1に記載の生体光組成物。
【請求項3】
前記酸素放出剤が、過酸化水素、過酸化カルバミド、および過酸化ベンゾイルから選択
され;又は、前記酸素放出剤が、前記
生体光組成物の重量当たり2.5%~5.0%の量において存在する過酸化ベンゾイルである、請求項
2に記載の生体光組成物。
【請求項4】
前記発色団がエオシンYであり、前記酸素放出剤が過酸化水素であり、および、前記ゲル化剤が高分子量の架橋ポリアクリル酸ポリマーを含む、請求項
2に記載の生体光組成物。
【請求項5】
前記瘢痕が創傷治癒に関与する瘢痕である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の生体光
組成物。
【請求項6】
前記瘢痕が、慢性創傷、やけど、切開、切除、病変、裂傷、擦り傷、穿刺または穿通創
傷、手術創、挫傷、血腫、および潰瘍から選択される、請求項
5に記載の生体光組成物。
【請求項7】
前記瘢痕が、萎縮性瘢痕、肥大性瘢痕、ケロイド性瘢痕、および瘢痕拘縮から選択され
る、請求項1~
6のいずれか1項に記載の生体光組成物。
【請求項8】
前記瘢痕が、にきびに関連する、請求項1~
7のいずれか1項に記載の生体光組成物。
【請求項9】
前記にきびが、尋常性座瘡、嚢腫性座瘡、萎縮性座瘡、臭素座瘡、塩素座瘡、集簇性座
瘡、化粧品性座瘡、洗剤性座瘡、流行性座瘡、夏季座瘡、電撃性座瘡、ハロゲン座瘡、硬
結性座瘡、ヨード座瘡、座瘡ケロイド、機械的座瘡、丘疹性座瘡、ポマード座瘡、月経前
座瘡、膿疱性座瘡、壊血病性座瘡、腺病性座瘡、蕁麻疹様座瘡、痘瘡状座瘡、毒物性座瘡
、プロピオン酸座瘡、表皮剥離性座瘡、グラム陰性座瘡、ステロイド座瘡および結節嚢胞
性座瘡から選択される、請求項
8に記載の生体光組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
光線療法は最近、医学、美容および歯科分野の手術、治療および検査での使用の幅広い用途があることが認識されている。例えば、光線療法は、低い侵襲性でがんおよび腫瘍を治療するために開発された。光線療法は、抗菌治療として標的部位を滅菌するためにも使用されている。光線療法は、創傷の治癒を促進することも判明している。
【0002】
光線力学療法は、感光剤の全身投与または罹患または損傷組織への取り込みのステップが関与する光線療法の一種で、このステップの後に活性化光の部位特異的な適用が行なわれる(光線力学療法)。しかしこのようなレジメンは、組織と感光剤との直接接触のために、全身性または局所的毒性を含む望ましくない副作用をしばしば伴う。さらに、このような既存のレジメンは、例えば、感光剤の標的組織への取り込み不良のために、低い治療有効性を示すことがよくある。従って、光線療法において有益な、改善された新規組成物および方法を提供することが本開示の目的である。
【0003】
発明の明細書
本開示は、光線療法において有益な生体光組成物および方法を提供する。具体的には、本開示の生体光組成物は、発色団および局所生体光組成物のその他の構成要素が標的組織が大幅に接触しないように、および/または標的組織を貫通しないようにするため、ゲル化剤など、バリアを提供する媒体中の発色団を含みうる。言い換えれば、本開示の生体光組成物は、ゲル化剤など、媒体中の発色団を含む可能性があり、これは組成物を使用中の浸出に対して実質的に抵抗性にするバリアを提供する。従って、光線療法でのこのような生体光組成物の使用は、組織に対して有毒な可能性があるかまたは望ましくない副作用を引き起こしうる、発色団と標的組織の大幅な直接接触を伴わない。
【0004】
一つの態様から、第一の発色団、および使用中に発色団の合計量の15重量%未満しか生
体光組成物から浸出しないように、組成物のゲル化に十分な量で存在し、生体光組成物を浸出に対して実質的に抵抗性を持つようにするゲル化剤を含む生体光組成物が提供されている。
【0005】
一つの態様から、第一の発色団、および使用中に発色団の合計量の15重量%未満しか生
体光組成物から浸出しないように、組成物のゲル化に十分な量で存在し、生体光組成物を浸出に対して実質的に抵抗性を持つようにするゲル化剤を含む生体光組成物が提供されているが、ここで測定は(i) 生体光組成物の厚さ2 mmの層を、直径2.4~3 cm、厚さ10ミク
ロン、細孔径3ミクロンのポリカーボネート(PC)膜の上面に配置し、(ii) PC膜の底面を受容体区画に含まれるリン酸生理食塩緩衝溶液色団と接触させ、(iii) 室温および室内圧力での治療時間後に、受容体区画の発色団量を測定することによって行なわれる。
【0006】
別の態様から、少なくとも第一の発色団およびゲル化剤を含む生体光組成物であって、生体光組成物がゲルまたは半固体であり、使用中に組織と接触した時、生体光組成物から発色団の合計量の15%未満しか組織中に浸出しないよう、浸出に対して実質的に抵抗性を
持つ生体光組成物が提供されている。特定の実施形態では、生体光組成物は、組織の地形に適合するよう、広げることができる。
【0007】
また別の態様から、少なくとも第一の発色団およびゲル化剤を含む生体光組成物であって、生体光組成物が実質的に透光性であり、使用中に組織と接触した時、生体光組成物から発色団の合計量の15%未満しか組織中に浸出しないよう、浸出に対して実質的に抵抗性
を持つ生体光組成物が提供されている。実質的に透光性とは、約20%を超える透過率を持
つことを意味する。
【0008】
さらなる態様から、少なくとも第一の発色団およびゲル化剤を含む生体光組成物であって、Wells-Brookfield HB円錐/プレート粘度計およびCP-51円錐を使用して、室温で、回転速度2 rpmおよびトルク>10%で測定した時、またはBrookfield DV-II+Pro粘度計でスピ
ンドル7、50 rpmで1分間測定した時、生体光組成物および/またはゲル化剤が、約10,000~100,000、10,000~90,000、10,000~80,000、10,000~70,000、15,000~80,000、15,000~70,000、15,000~50,000、または15,000~45,000 cPの粘度を持つ生体光組成物が提供されている。
【0009】
またさらなる態様から、担体媒体中に第一の発色団を含む生体光組成物であって、組成物が膜内に封入されており、その膜が、使用中に発色団の合計量の15%未満しか組成物か
ら浸出しないよう第一の発色団の浸出を制限する生体光組成物が提供されている。特定の実施形態では、膜は実質的に透光性である。膜は、脂質、ポリマー、ゼラチン、セルロース、およびシクロデキストリンから選択できる。組成物は、ポリ(プロピレンアミン)などを含む、デンドリマーも含むことができる。担体媒体は液体でありうる。これは、ゲルまたは半固体でもありうる。
【0010】
別の態様から、第一の発色団およびゲル化剤を含む生体光組成物であって、生体光組成物の粘度が約10,000~約100,000 cP、好ましくは約10,000~約60,000 cP、さらに好まし
くは約10,000~約50,000 cPである生体光組成物が提供されている。特定の実施形態では
、第一の発色団は、組成物内から光を吸収および放射できる発蛍光団である。好ましくは、生体光組成物は広げることができる稠度を持つ。
【0011】
またさらなる態様から、媒体中に第一の発色団および第二の発色団を含み、第一及び第二の発色団の少なくとも一つが発蛍光団である生体光組成物が提供されている。第一の発色団はフルオレセインで、第二の発色団はエオシンYでありうる。第一の発色団はエオシ
ンYで、第二の発色団は、ローズベンガル、フロキシンBおよびエリスロシンBの一つ以上
でありうる。
【0012】
別の態様から、媒体中に第一および第二の発色団を含み、第一の発色団が発蛍光団であり、光活性化後に第一の発色団によって放射される光が第二の発色団を光活性化できる生体光組成物が提供されている。上述の2つの態様の一部の実施形態では、媒体はゲルであ
るか、またはゲル様である。媒体は、広げることができる稠度を持ちうる。
【0013】
「使用中」とは、最大約5分、最大約10分、最大約15分、最大約20分、最大約25分、ま
たは最大約30分でありうる治療時間中を意味する。治療時間は、組成物が組織と接触している時間の合計の長さを含みうる。
【0014】
浸出に対して実質的に抵抗性を持つとは、室温および室内圧力で5分間、厚さ2 mmの生
体光組成物の層をその上に配置する上面と、リン酸生理食塩水緩衝溶液と直接接触する底面を持つ、厚さが10ミクロンで細孔径が3ミクロンの直径2.4~3 cmのポリカーボネート(PC)膜を通して、発色団の合計量の15%未満が生体光組成物から受容体区画に含まれるリ
ン酸生理食塩水緩衝溶液中に浸出することを意味すると理解されうる。当然のことながら、治療時間が5分より長い場合、浸出試験は治療時間まで延長する必要がある。
【0015】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、生体光局所組成物は、前記発色団量の30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.8%、0.5%または0.1%未満または実質的に0%の生
体光組成物からの浸出を許容する。
【0016】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、生体光組成物は局所組成物である。好ましくは、組成物は、治療部位の上に広げることができるゲル、半固体または粘稠液である。一部の実施形態では、組成物は、治療時間中に治療部位が逆さにされるまたは傾けられる時、治療部位の上に留まることができる。
【0017】
前述または以下の特定の実施形態では、生体光組成物は、実質的に透光性および/または透明である。実質的に透光性とは、約20%を超える透過率を持つことを意味する。一部
の実施形態では、透光性は、厚さ2mmの組成物を通した、少なくとも20%、30%、40%、45%
、50%、55%、60%、65%、70%、75%、85%、90%、95%または100%の光透過性を含む。
【0018】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、組成物および/またはゲル化剤は、Wells-Brookfield HB円錐/プレート粘度計およびCP-51円錐を使用して、室温で、回転速度2 rpmおよびトルク>10%で測定した時、またはBrookfield DV-II+Pro粘度計でスピンド
ル7、50rpmで1分間測定した時、約10,000~100,000、10,000~90,000、10,000~80,000、10,000~70,000、15,000~80,000、15,000~70,000、15,000~50,000、10,000-40,000、15,000-50,000、または15,000~40,000 cPの粘度を持つ。
【0019】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、ゲル化剤は、架橋ポリマーの群から選択される。ポリマーは、共有結合で、または物理的に架橋されうる。ゲル化剤は、親水性材料、吸湿性材料または水和ポリマーの少なくとも一つから選択できる。ゲル化剤は、電荷特性がポリアニオン性である。一部の実施形態では、ゲル化剤はカルボン酸官能基を含み、これは官能基あたり2~7個の炭素原子を含みうる。
【0020】
ゲル化剤は、ビニルポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体、
ポリ(エチレンオキシド)、アクリルアミドポリマーおよびその誘導体または塩から成る群から選択した合成ポリマーでありうる。ゲル化剤は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルアルコールから選択されるビニルポリマーでありうる。ゲル化剤は、アクリル酸の重合で得られるカルボキシビニルポリマーまたはカルボマーでありうる。カルボキシビニルポリマーまたはカルボマーは架橋されうる。
【0021】
特定の実施形態では、ゲル化剤は、約 10,000~100,000、10,000~80,000、15,000~80,000、10,000~70,000、15,000~70,000、15,000~40,000、10,000~60,000、10,000~50,000、10,000~40,000、20,000~100,000、25,000~90,000、30,000~80,000、30,000~70,000、30,000~60,000、25,000~40,000 cPの範囲の粘度を持つ高分子量の架橋ポリアクリル酸ポリマーである。ポリマーは、Carbopol(R) 940、Carbopol(R) 980、ETD 2020
NF、Carbopol(R) 1382ポリマー、71G NF、971P NF、974P NF、980 NF、981 NF、5984 EP、ETF 2020 NF、ultrez 10 NF、ultrez 20、ultrez 21、1342 NF、934 NF、934P NF、940 NF、941 NFから成るがこれに限定されない群から選択されうる。
【0022】
特定の実施形態では、ゲル化剤は、アルキルアクリレートまたはアリルペンタエリスリトールと架橋されたポリアクリル酸ポリマーであり、最終組成物の重量の約0.05%~約5%
、好ましくは最終組成物の重量の約0.5%~約2%の量で存在する。
【0023】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、ゲル化剤は、ヒアルロン酸ナトリウム、ゼラチンおよびコラーゲンの少なくとも一つから選択されうるタンパク質ベースのポリマーを含む。ゲル化剤は、ゼラチンでありえ、最終組成物の重量の約4%以上の量で存在しうる。ゲル化剤は、コラーゲンでありえ、最終組成物の重量の約5%以上の量で存在しうる。
【0024】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、ゲル化剤は、でんぷん、キトサン、キチン、寒天、アルギン酸塩、キサンタン、カラギーナン、グアーガム、ジェランガム、ペクチン、およびローカストビーンガムの少なくとも一つから選択されうる多糖を含む。ゲル化剤は、最終組成物の重量の約0.01%以上の量で存在しうる。
【0025】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、ゲル化剤は少なくとも一つのグリコールを含む。グリコールは、エチレングリコールおよびプロピレングリコールから選択されうる。エチレングリコールは、ポリエチレングリコールでありうる。
【0026】
特定の実施形態では、生体光組成物は、グリセリンなどの保湿剤をさらに含みうる。生体光は、治癒因子、保存剤、pH調節剤、キレート剤などをさらに含みうる。
【0027】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、生体光組成物は、気体の透過は許すが液体は透過させない不浸透性または浸透性の場合がある膜に封入されている。膜は透光性でありうる。膜は脂質、ポリマーまたはゼラチンを含みうる。
【0028】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、生体光組成物は、過酸化物または可酸化物放出剤または水でありうる、酸素放出剤をさらに含む。酸素放出剤は、過酸化水素、過酸化カルバミド、過酸化ベンゾイル、ペルオキシ酸、アルカリ金属化酸化物、アルカリ金属過炭酸塩、ペルオキシ酢酸およびアルカリ金属過ホウ酸塩から選択されうる。
【0029】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、第一の発色団は、組成物中で水溶液またはアルコール溶液でありうる。ゲル化剤および発色団溶液は、親水コロイドを形成しうる。
【0030】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、第一の発色団は、200~600 nm、ま
たは400~800nmの波長の光を吸収する。前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、第一の発色団は、可視スペクトルの範囲の波長の光を吸収する。一部の実施形態では、第一の発色団は蛍光発色団(発蛍光団)である。第一の発色団はキサンチン染料でありうる。第一の発色団は、エオシンY、エオシンB、エリスロシンB、フルオレセイン、ローズ
ベンガルおよびフロキシンBから選択されうる。第一の発色団は、合計組成物の重量の約0.001%~約40%、好ましくは合計組成物の重量の約0.005%~約2%、さらに好ましくは合計組成物の重量の約0.01%~約2%の量で存在しうる。
【0031】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、組成物は第二の発色団をさらに含む。第一の発色団は、第二の発色団の吸収スペクトルと少なくとも5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%重複する発光スペクトルを持ちうる。一部の実施形態では、生体光局所組成物の第一の発色団は、存在する場合、第二の発色団の吸収スペクトルと少なくとも1~10%、5~15%、10~20%、15~25%、20~30%、25~35%、30~40%、35~45%、50~60%
、55~65%または60~70%重複する発光スペクトルを持つ。
【0032】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、第一の発色団は、光を照射した時、第二の発色団にエネルギーを移動させる。生体光局所組成物に光を照射すると、第一の発色団から第二の発色団へのエネルギーの移動が起こる。一部の実施形態では、第二の発色団は、第一の発色団からエネルギーを吸収した後、蛍光を放射する、および/または活性酸素種を生成する。発色団の少なくとも一つ、例えば第一の発色団は、光の照射中に光退色しうる。発色団の少なくとも一つ、例えば第一の発色団は、光の照射時、蛍光を放射しうる。特定の実施形態では、生体光組成物は、光照射の後、大量の熱を生成しない。一部の実施形態では、生体光組成物によって放射されたエネルギーは、組織損傷を起こさない。
【0033】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、第二の発色団は、可視スペクトルの範囲の波長の光を吸収しうる。一部の実施形態では、第二の発色団は、第一の発色団の吸収波長よりも比較的長い吸収波長、例えば、10~100 nm、20~80 nm、25~70 nm、または30~60 nm長い吸収波長を持つ。
【0034】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、第一の発色団はエオシンYであり、
第二の発色団は、フルオレセイン、フロキシンBおよびエリスロシンBから選択される一つ以上である。前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、第一の発色団はフルオレセインであり、第二の発色団はエオシンYである。随意に、ローズベンガルなどの第三の
発色団が存在しうる。その他の実施形態では、第一の発色団はローズベンガルである。一部の実施形態では、生体光組成物はエオシンおよびフルオレセインを含む。一部の実施形態では、生体光組成物はエオシンおよびローズベンガルを含む。一部の実施形態では、生体光組成物はフルオレセインおよびローズベンガルを含む。一部の実施形態では、生体光組成物はフルオレセインおよびローズベンガルを含む。
【0035】
第二の発色団は、合計組成物重量の約0.0001%~約40%、好ましくは合計組成物重量の約0.0001%~約2%の量で存在しうる。
【0036】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、組成物は第三の発色団を含む。第三の発色団は、クロロフィル(例えば、クロロフィリン、クロロフィルa、クロロフィルb)またはサフロンでありうる。
【0037】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、組成物のpHは4.0~7.0の範囲、好ましくは4.0~6.5の範囲、より好ましくは4.0~5.0の範囲である。組成物のpHは6.0~8.0の範囲内、好ましくは6.5~7.5の範囲でもありうる。
【0038】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、生体光組成物は、パッド、包帯、織物または不織布などの材料に塗布または含浸させうる。含浸された材料は、マスク(例えば、フェイスマスク)または包帯として使用されうる。
【0039】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、生体光組成物は組成物内またはそれに隣接して少なくとも一つの導波管をさらに含む。導波管は、光を伝達および/または放射できる材料で作られた粒子、繊維または繊維ネットワークでありうる。
【0040】
前述または以下のいずれかの特定の実施形態では、組成物は、シリカのような不透明粒子を含まない。
【0041】
さらなる態様から、上述のように、肌の若返り術での使用、創傷の治療での使用、皮膚障害(にきび、乾癬など)の治療または予防での使用、歯周炎の治療または予防での使用、急性炎症の治療での使用、または真菌、細菌またはウイルス感染の治療での使用のための生体光組成物が提供されている。
【0042】
またさらなる態様から、上述のように、肌の若返り術、創傷の治療、皮膚障害(にきび、乾癬など)の治療または予防、歯周炎の治療または予防、急性炎症の治療、または真菌、細菌またはウイルス感染の治療のための生体光組成物の使用が提供されている。
【0043】
別の態様では、上記に定義されたような生体光組成物を局所的に皮膚に塗布すること、および第一の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を前記生体光組成物に照射することを含む、美容治療を提供するための方法が提供されている。美容治療は、肌の若
返りを促進しうる。
【0044】
さらなる態様では、上記に定義されたような生体光組成物を局所的に創傷に塗布すること、および第一の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を前記生体光組成物に照射することを含む、創傷の治癒を促進する方法が提供されている。方法の特定の実施形態では、本書に記述の創傷には、例えば、糖尿病性足潰瘍、褥瘡、静脈性潰瘍または切断など、慢性または急性創傷が含まれる。創傷に生体光治療を提供する方法の一部の実施形態では、方法は瘢痕組織形成の減少を促進する。
【0045】
またさらなる態様では、上記に定義されたような生体光組成物を、皮膚疾患に罹患した標的皮膚組織に局所的に塗布すること、および第一の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を前記生体光組成物に照射することを含む、皮膚疾患の生体光治療方法が提供されている。
【0046】
さらなる態様では、上記に定義されたような生体光組成物を、にきび病変またはにきび跡である標的組織に局所的に塗布すること、および第一の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を前記生体光組成物に照射することを含む、にきびの生体光治療方法が提供されている。
【0047】
別の態様では、上記に定義されたような生体光組成物を局所的に歯周病ポケットに塗布すること、および第一の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を前記生体光組成物に照射することを含む、歯周病の生体光治療方法が提供されている。
【0048】
本開示の任意の方法の特定の実施形態では、生体光組成物は、例えば、1~30分、好ま
しくは20分、15分、10分または約5分未満など、治療あたり任意の時間中照射され、ここ
で生体光組成物が活性化される。治療時間は、第一の発色団が光退色するのにかかる時間に対応するか、またはそれより長くてもよい。特定の実施形態では、本開示の方法は、生体光組成物を少なくとも30秒、2分間、3分間、5分間、7分間、10分間、15分間、20分間、25分間、または30分間、照射するステップを含む。一部の実施形態では、生体光組成物は、少なくとも3分間照射される。好ましくは、生体光組成物は、紫および/または青い光
など、非干渉可視光で照射される。その他の任意の適切な光源を使用しうる。
【0049】
生体光組成物からの光源の距離は、例えば、5、10、15または20 cmなど、生体光組成物および/または皮膚組織に適切な光出力密度を届けることができる任意の距離でありうる。生体光組成物は、任意の適切な厚さで局所的に塗布される。典型的には、生体光組成物は、少なくとも約2mm、約2mm~約10mmの厚さで、皮膚または創傷に局所的に塗布される。
【0050】
本開示の方法の特定の実施形態では、生体光組成物は、光の適用後に治療部位から取り除かれる。それに応じて、生体光組成物は、塗布後少なくとも30秒、2分、3分、5分、7分、10分、15分、20分、25分または30分以内に、治療部位から取り除かれる。一部の実施形態では、生体光組成物は、生体光組織を治療部位に塗布してから、少なくとも3分経った
後に取り除かれる。
【0051】
その他の特定の実施形態では、組成物は治療部分に留まり、必要に応じて再照射されうる。生体光組成物は、最大1、2または3週間、所定位置に保持しうる。組成物は、さまざ
まな間隔で、周辺光を含みうる光で再照射されうる。この場合、組成物は、光への暴露と暴露の間、覆われうる。例えば、生体光組成物は、包帯に浸され、創傷の内側または上に配置されて、所定位置に長時間(例えば、1日を越えて)保持されうる。
【0052】
にきびの生体光治療方法の特定の実施形態では、治療は、顔などの皮膚組織に、1週間
または1回、2回、3回、4回、5回または6回、毎日、またはその他の任意の頻度で塗布されうる。合計治療時間は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9
週間、10週間、11週間、12週間、または適切と考えられるその他の任意の長さでありうる。特定の実施形態では、顔は別々のエリア(頬、額)に分け、各エリアを別々に治療しうる。例えば、組成物を第一の部分に局所的に塗布し、その部分を光で照射し、その後生体光組成物を取り除きうる。次に、組成物が第二の部分に塗布され、光が照射されて、取り除かれる。最後に、組成物が第三の部分に塗布され、光が照射されて、取り除かれる。
【0053】
創傷の生体光治療方法の特定の実施形態では、治療は、創傷に、1週間または1回、2回
、3回、4回、5回または6回、毎日、またはその他の任意の頻度で塗布されうる。合計治療時間は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、または適切と考えられるその他の任意の長さでありうる。
【0054】
にきび、創傷またはその他の皮膚疾患の治療に対する開示方法は、例えば、生体光治療前、最中またはその後に、全身性または局所性薬剤を投与することをさらに含みうる。薬剤は、抗生物質、ホルモン治療、またはにきびまたは創傷の治療に役立ちうるその他の任意の医薬品でありうる。全身性治療と局所性生体光治療との組み合わせは、全身性治療の時間を減少させうる。
【0055】
別の態様から、上述の組成物、および発色団を活性化するための光源、組成物および/または光源の使用指示、包帯、および治療エリアに組成物を塗布および/または除去するための装置のうち一つ以上を含むキットが提供されている。
【0056】
別の態様から、第一の発色団を含む第一の構成要素、および使用中に発色団の合計量の15重量%未満しか生体光組成物から浸出しないように、組成物をゲル化または粘性を高め
るのに十分な量で存在し、生体光組成物を浸出に対して実質的に抵抗性を持つゲル化剤を含む第二の構成要素を含むキットが提供されている。
【0057】
またさらなる態様から、第一の発色団を含む第一の構成要素、およびゲル化剤を含む第二の構成要素を含み、第一の構成要素と第二の構成要素を組み合わせた時、使用中に発色団の合計量の15重量%未満しか生体光組成物から浸出しないように、浸出に対して実質的
に抵抗性を持つ生体光組成物を形成するキットが提供されている。第一の構成要素および/または第二の構成要素も、浸出に対して個別に抵抗性を持ちうる。
【0058】
別の態様から、上述の組成物を含む第一の構成要素、および酸素放出剤を含む第二の構成要素を含むキットが提供されている。具体的には、第一の構成要素は第一の発色団およびゲル化剤を含む可能性があり、第一の構成要素の組成物、並びに組み合わされた第一および第二の構成要素組成物は、使用中に発色団の合計量の15重量%未満しか生体光組成物
から浸出しないように、浸出に対して実質的に抵抗性である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】
図1は、皮膚のさまざまな層での光の吸収を示す(Samson et al. Evidence Report/Technology Assessment 2004, 111, pages 1-97)。
【
図3】
図3は、供与体および受容体発色団の吸収および発光スペクトルを示す。受容体発色団の吸収スペクトルと供与体発色団の発光スペクトルの間のスペクトルの重複も示されている。
【
図4】
図4は、供与体発光と受容体吸収との間に関与する結合遷移を示す、ヤブロンスキー図の概略図である。
【
図5】
図5は、生体光組成物の発色団の浸出を評価するin vitro放出試験の実験セットアップを示す(実施例6)。
【
図6a-6b】
図6a-6bは、それぞれ、ゲル中にエオシンおよびフルオレセインを含む本開示の特定の実施形態による組成物の、吸収および発光スペクトルである(実施例1)。
【
図7a-7b】
図7a-7bは、それぞれ、水溶液中にエオシンおよびフルオレセインを含む本開示の特定の実施形態による組成物の、吸収および発光スペクトルである(実施例2)。
【
図8a-8b】
図8a-8bは、それぞれ、ゲル中にエオシン、フルオレセインおよびローズベンガルを含む本開示の特定の実施形態による組成物の、吸収および発光スペクトルである(実施例3)。
【
図9a-9b】
図9a-9bは、それぞれ、水溶液中にエオシン、フルオレセインおよびローズベンガルを含む本開示の特定の実施形態による組成物の、吸収および発光スペクトルである(実施例4)。
【
図10】
図10は、実施例5で試験された本開示の生体光組成物から放射される光の経時的強度を示す発光スペクトルである。
【
図11】
図11は、実施例7で試験された本開示の生体光組成物から放射される光の経時的強度を示す発光スペクトルである。
【
図12】
図12は、Ki67発現についての開示の生体光組成物の効果を示す(実施例10)。
【
図13】
図13は、組成物中の発色団からの放射蛍光は組成物の増加と共に急速に増加するが、エオシンY(上)およびフルオレセイン(下)のさらなる濃度の増加では鈍化して頭打ちとなることを示している(実施例13)。
【
図14】
図14は、エオシンおよびローズベンガルが相乗的に作用することを示す(実施例14)。
【発明を実施するための形態】
【0060】
詳細な説明
(1)概要
光線力学療法レジメンは、創傷の治癒、顔の皮膚の若返りおよびさまざまな皮膚疾患の治療を促進するために開発されてきた。しかし、これらの方法は、標的皮膚への感光剤の直接適用および/または皮膚細胞への感光剤の取り込みを必要とする。上述のように、感光剤と組織の直接接触は、細胞損傷/破壊および患者に対する全身的または局所的毒性を含む、望ましくない副作用を引き起こす可能性がある。さらに、多くの既存の光線力学療法レジメンは、例えば、標的組織の皮膚細胞への感光剤の取り込み不良のために、低い治療有効性を示すことがよくある。このため、多くのレジメンは、光増感剤を内在化させるために、約1~72時間の待ち時間を必要とする。
【0061】
一方、光線療法は光の治療効果を利用する。しかし、光の治療的波長および強度を提供するために、高価で高性能な光源が必要なことがよくある。
【0062】
本開示は、光線療法に有用で、治療的光を放射できるかまたは生体光組成物のその他の構成要素を活性化することによって治療部位への治療効果を促進できる光活性外因性発色団を含む、生体光組成物を提供する。本開示は、創傷の治癒の促進、皮膚の若返りなどの皮膚の美容治療、にきびの治療およびその他の皮膚疾患の治療、にきび炎症の治療に有用で、従来の光線力学療法と区別される方法も提供する。
【0063】
本組成物を使用した生体光治療は、発色団の細胞内への内在化、または細胞または標的組織との実質的な接触に依存しない。従って、直接接触によって生じる望ましくない副作用が、低減、最小化、または防止されうる。最大限でも、発色団は、組成物が塗布される組織と表面接触するだけで、これは治療時間が短いために持続時間が非常に短い可能性が
高い。さらに、光線力学療法とは異なり、本生体光組成物の実施形態での生体光治療は、細胞死または損傷に依存しない。実際、申請者は、本開示の実施形態による生体光組成物が細胞壊死を減少させたというin vitro試験を示している(実施例10を参照)。
【0064】
(2)定義
本開示のさらなる詳細の記述を続ける前に、特定の組成物または過程段階はさまざまに異なりうるという理由から、本開示はこれらに限定されないことが理解されるべきである。本明細書および添付した請求項で使用するとき、文脈により明らかにそうでないことが示されていない限り、単数形(「a」、「an」、および「the」)には、複数の対象物が含まれることに注意する必要がある。
【0065】
本書で使用される場合、値または範囲の文脈での「約」という用語は、与えられた値または範囲の20%以内、好ましくは10%以内、さらに好ましくは5%以内の値または範囲を指す。
【0066】
「および/または」という用語は本書で使用される場合、もう一方のあるなしに関わらず、2つの特定された特徴または構成要素のそれぞれの特定開示として解釈されるべきこ
とをここで指摘しておく。例えば、「Aおよび/またはB」は、それぞれが本書に個別に提示されたかのように、(i) A、(ii) B、(iii) AおよびBのそれぞれの特定開示として解釈
されるものとする。
【0067】
「生体光」とは、生体関連の文脈での、光子の生成、操作、検出および適用を意味する。すなわち、生体光組成物は、主に光子の生成および操作のために、その生理的効果を発揮する。「生体光組成物」は、光によって活性化されて、生物関連用途のために光子を生成しうる、本書に記述されたような組成物である。
【0068】
「ゲル」とは、かなり希薄な架橋システムとして定義される。ゲルは、半固体の場合があり、室温(例えば、約20~25℃)で定常状態の場合、実質的に流れを呈さないことがある。本書では定常状態とは、治療時間中および治療条件下を意味する。本書で定義されるゲルは、物理的または化学的に架橋されうる。本書で定義される場合、ゲルは粘稠液などのゲル様組成物も含む。
【0069】
「局所」とは、皮膚、粘膜、膣、口腔、内部の手術創部など、体の表面に適用されることを意味する。
【0070】
「発色団」、「光活性化剤」および「光活性剤」という用語は、本書では互換的に使用される。発色団とは、光照射に接触した時、光を吸収することができる化合物を意味する。発色団は容易に光励起を受け、次にそのエネルギーをその他の分子に移動するかまたは光として放射することができる。
【0071】
「光退色」とは、発色団の光化学的破壊である。
【0072】
「浸出」とは、生体光組成物の一つ以上の構成要素(例えば発色団)の組成物から、例えば創傷部位などの周囲環境へ、または組成物で治療されている組織中への放出を意味する。生体光組成物の浸出特性は、(i)生体光組成物の2 mmの厚さの層を、直径2.4~3 cm、厚さ10 μm、細孔径3 μmのポリカーボネート(PC)膜の上面、受容体区画のリン酸生理
食塩水緩衝溶液と接触している膜の下面に配置し、(ii)生体光組成物を、室温および室内圧力で、生体光組成物を使用した治療時間に対応する時間だけ膜の上面上に放置し、(iii)溶液のサンプルを受容体区画から取り除き、溶液中の発色団の濃度を測定することによ
って測定できる。
【0073】
「作用光」という用語は、特定の光源(例えば、ランプ、LED、またはレーザー)から
放射され、物質(例えば、上記で定義される発色団または光活性剤)によって吸収されることができる光エネルギーを意味することを意図する。好適実施形態では、作用光は可視光である。
【0074】
本書で使用される場合、「吸湿性」物質とは、例えば、室温(例えば、約20~25℃)で50%と低い相対湿度であっても、吸収または吸着によって水を吸い上げることができる物
質である。
【0075】
「不透過性膜」とは、膜内に含まれる材料が周囲環境に対して十分または実質的に不透過性であり、このような材料の膜外への移動、および/または環境構成要素(水など)の膜内への移動が非常に少ないために膜内に保持される材料の機能または活性に有害な影響を実質的に与えないようになることを意味する。不透過性膜は、液体の流れは許容されない一方、膜を通した気体の流れが許容されるという点で「通気性」でありうる。不透過性膜は、膜を通した一部の材料の移動も選択的に許容しうるが、他の材料の移動は許容しない。
【0076】
「創傷」とは、例えば、急性、亜急性、遅延または治癒困難創傷、および慢性創傷を含む、任意の組織の傷害を意味する。創傷の例には、開放創および閉鎖創を含みうる。創傷には、例えば、やけど、切開、切除、病変、裂傷、擦り傷、穿刺または穿通創傷、銃創、手術創、挫傷、血腫、圧挫損傷、潰瘍(例えば、圧力、静脈、圧力または糖尿病性など)、歯周炎(歯周組織の炎症)によって生じる創傷が含まれる。
【0077】
「肌の若返り術」とは、一つ以上の皮膚の老化の兆候を、減少、縮小、遅延または逆転する過程を意味する。例えば、皮膚の老化の一般的な兆候には、小皺またはしわの出現、薄く透明な皮膚、(こけた頬と眼窩並びに手および首の堅さの顕著な喪失につながる)下層脂肪の減少、骨量の減少(骨量減少のために骨が皮膚から離れて縮小し、皮膚のたるみを生じる)、乾燥肌(痒い場合がある)、皮膚を冷却するために十分に汗をかくことができない、望ましくない顔の毛、そばかす、しみ、クモ状静脈、荒れてガサガサの肌、伸ばすと消える小皺、たるんだ皮膚、またはまだらな顔色が含まれるがこれに限定されない。本開示によると、上記の老化の兆候の一つ以上は、本開示の組成物および方法によって、減少、縮小、遅延または逆転さえも行いうる。
【0078】
(3)生体光局所組成物
本開示は、生体光組成物を提供する。生体光組成物は、広い意味で、特定の波長の光(例えば、光子)によって活性化される組成物である。これらの組成物は、光によって活性化され、光エネルギーの分散を加速する少なくとも一つの外因性発色団を含むが、これは光がそれ自身で治療効果を継続すること、および/または組成物に含まれるその他の薬剤の光化学的活性化につながる(例えば、組成物または治療部位にこのような化合物が存在する場合の過酸化物(酸素放出剤)の分解過程の加速で、一重項酸素などの酸素ラジカルの形成につながる)。組成物は、第一の発色団と混合され、その後光によって活性化された時に光化学的に活性化され、これが一重項酸素などの酸素ラジカルの形成につながりうる、酸素放出剤を含みうる。
【0079】
一部の態様では、本開示は、媒体中に少なくとも第一の発色団を含む生体光組成物を提供するが、ここで生体光組成物から少量または無視できる量の発色団が、治療中に組成物がその上に塗布される治療部位(例えば組織)中に浸出するように、組成物は浸出に対して実質的に抵抗性を持つ。特定の実施形態では、これは、発色団の動きまたは浸出を遅くするかまたは制限するゲル化剤を含む媒体によって達成される。その他の実施形態では、
これは、媒体中の第一の発色団の周りに封入膜を提供することによって達成される。このようにして、発色団と組織の接触を最小化または回避できる。
【0080】
一部の態様では、本開示の生体光組成物は、治療中にそれが局所的に塗布される組織を着色しない。着色は、生体光組成物が、望ましい治療時間に対応する時間中、生体光組成物と接触して配置された、70容量%エタノール/30容量%水で飽和された白い試験紙を着色するかどうかを目視で評価することによって決定される。一部の実施形態では、本開示の生体光組成物は、生体光組成物が、大気圧下、望ましい治療時間に対応する時間中、生体光組成物と接触して配置された、70容量%エタノール/30容量%水で飽和された白い試験紙を着色するかどうかを目視で評価することによって決定される。特定の実施形態で、治療時間に対応する時間は、少なくとも約5分、少なくとも約10分、15分、20分、25分または30分である。
【0081】
発色団が特定波長の光子を吸収する時、それは励起される。これは不安定な状態であり、分子は基底状態に戻ろうとして過剰のエネルギーを放出する。一部の発色団については、基底状態に戻る時、過剰エネルギーを光として放射することが好ましい。この過程は、蛍光発光と呼ばれる。放射された蛍光のピーク波長は、吸収波長と比べて長波長に向かってシフトする(「ストークスシフト」)。次に放射された蛍光エネルギーは、組成物のその他の構成要素に、または生体光組成物が局所的に塗布される治療部位に移動される。
図1は、光の異なる波長の異なる浸透深度を示す。光の波長を変えることは、組織に対して
異なる補助的治療効果を持ちうる。ストークスシフトは
図2に示されている。
【0082】
理論に束縛されるものではないが、光活性化された発色団によって放射される蛍光は、生物細胞および組織によって認識され、好ましいバイオモジュレーションにつながりうる、そのフェムト秒、ピコ秒、またはナノ秒の放射特性のために治療特性を持ちうると考えられる。さらに、放射された蛍光は、より長い波長を持つため、活性化光よりも深く組織中に浸透する。一部の実施形態では組成物を通過する活性化光を含む、このような広い範囲の波長で組織を照射することは、細胞および組織に対して異なった補助的効果を持ちうる。さらに、酸素放出剤を含む組成物の実施形態では、組成物内のマイクロバブル発生が発明者によって観察されており、これは光活性化された発色団による酸素種の生成と関連している可能性がある。これは、例えば、バイオフィルムの除去および壊死組織の創面切除、または圧力刺激の提供によって、それが適用される組織に対する物理的影響を持ちうる。バイオフィルムは、本開示の組成物で治療する前にバイオフィルムを弱くするために、酸素放出剤で前処理することもできる。
【0083】
本開示の生体光組成物の特定の実施形態は、組成物中へ、またそれを通した光の消散を許容するために、実質的に透明/透光性である、および/または高い光透過率を持つ。このように、組成物の下の組織のエリアは、組成物によって放射される蛍光と、組成物を活性化するために照射する光の両方で治療でき、異なる波長を持つ光の異なる治療効果から恩恵を受けうる。
【0084】
生体光組成物の透過率%は、例えば、Perkin-Elmer Lambda 9500シリーズUV-可視分光光度計を使用して、250 nm~800 nmの波長範囲で測定できる。または、380 nm~900 nmの波長範囲で、Synergy HT分光光度計(BioTek Instrument, Inc.)を使用することができる
。
透過率は、以下の方程式に従って計算される:
【0085】
【0086】
式中、Aは吸光度、Tは透過率、I0は材料を通過する前の放射強度、Iは材料を通過する
光の強度である。
値は厚さに対して正規化しうる。本書で記述される時、透過率%(透光性)は、厚さ2 mmのサンプルで、526 nmの波長で測定される。その他の波長を使用しうることは明らかで
ある。
【0087】
一部の実施形態では、生体光組成物は、15%、20%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、または85%を超える透明性または透光性を持つ。一部の実施形態では、透明性は70%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%を超える。本書で報告されたすべての透過率値は、Synergy HT分光光度計を使用して526
nmの波長で、厚さ2mmのサンプルで測定される。
【0088】
本開示の生体光組成物の実施形態は、局所使用である。生体光組成物は、組成物からの発色団の浸出を重量で15%未満に制限する特性を持つ、半固体または粘稠液の形態であり
うる。好ましくは、生体光組成物は、粘稠液を含む、ゲルまたはゲル様であり、光照射前に室温(例えば、約20~25℃)で広げることのできる稠度を持つ。広げることができるとは、組成物を約2 mmの厚さで、治療部位に局所的に塗布できるという意味である。広げることのできる組成物は、例えば創傷などの治療部位の地形に適合することができる。これは、治療部位のより良いおよび/またはより完全な照射が達成できるという点で、不適合材料に比べて有利でありうる。
【0089】
これらの組成物は、組成物を構成する構成要素に基づいて説明されうる。追加的または代替的に、本開示の組成物は機能的および構造的特性を持ち、これらの特性も、組成物を定義および説明するために使用されうる。本開示の組成物の個別の構成要素は、以下に詳述される。
【0090】
(a) 発色団
本開示の生体光局所組成物は、例えば皮膚または組織に自然には存在しない、外因性であると見なされうる一つ以上の発色団を含む。発色団は、治療時間中に組成物が塗布される標的組織と実質的に接触しないように、生体光組成物内に包含または保持されている。このようにして、発色団と細胞の接触によって生じる損傷作用の可能性なしに、発色団の有益および治療特性が利用されうる。
【0091】
適切な発色団は、蛍光色素(または染料)でありうるが、その他の染料グループまたは染料(生物学的および組織学的染料、食品着色料、カロテノイド、天然蛍光およびその他の染料)も使用しうる。適切な発色団は、一般に安全と認められる(GRAS)ものでありうるが、組成物の浸出障壁性のために使用中の皮膚との接触は最小限なので、皮膚またはその他の組織による忍容性が良好でない発色団を生体光組成物に含めることができる。
【0092】
特定の実施形態では、本開示の生体光局所組成物は、光の適用時に部分的または完全な光退色を受ける第一の発色団を含む。光退色とは、色の喪失として一般的に視覚化されうる、発色団の光化学的破壊を意味する。
【0093】
一部の実施形態では、第一の発色団は、約380~800 nm、380~700、または380~600 nm
の波長など、可視スペクトルの範囲の波長で吸収する。その他の実施形態では、第一の発色団は、約200~800 nm、200~700 nm、200~600 nmまたは200~500 nmの波長で吸収する。一つの実施形態では、第一の発色団は、約200~600 nmの波長で吸収する。一部の実施
形態では、第一の発色団は、約200~300 nm、250~350 nm、300~400 nm、350~450 nm、400~500 nm、400~600 nm、450~650 nm、600~700 nm、650~750 nmまたは700~800 nmで光を吸収する。
【0094】
当業者には当然のことながら、特定の発色団の光特性は、発色団の周囲の媒体に応じて変化しうる。従って、本書で使用される場合、特定の発色団の吸収および/または放射波長(またはスペクトル)は、本開示の生体光組成物で測定される波長(またはスペクトル)に対応する。
【0095】
本書に開示された生体光組成物は、少なくとも一つの追加的発色団を含みうる。発色団を組み合わせることは、組み合わされた染料分子による光吸収を増加し、吸収およびフォトバイオモジュレーションの選択性を高めうる。これは、新しい感光性および/または選択的発色団混合物の生成の複数の可能性を作り出す。
【0096】
このような複数発色団組成物が光で照射される時、エネルギー移動は発色団間で起こりうる。共鳴エネルギー移動として知られるこの過程は、励起された「供与体」発色団(本書では第一の発色団とも呼ばれる)がその励起エネルギーを「受容体」発色団(本書では第二の発色団とも呼ばれる)に移動させる、光物理的過程である。共鳴エネルギー移動の効率および指示性は、供与体および受容体発色団のスペクトル特性に依存する。特に、発色団間のエネルギーの流れは、吸収および放射スペクトルの相対的位置付けおよび形状を反映する、スペクトルの重複に依存する。エネルギー移動が起こる際には、供与体発色団の放射スペクトルが、受容体発色団の吸収スペクトルと重複する(
図3)。
【0097】
エネルギー移動は、供与体放射の減少またはクエンチングおよび励起状態の存続時間の減少を通して現れ、受容体放射強度の増加も伴う。
図4は、供与体放射と受容体吸光度と
の間に関与する結合遷移を示すヤブロンスキー図である。
【0098】
エネルギー移動の効率を高めるためには、供与体発色団は、光子を吸収し光子を放出する良好な能力を持つべきである。さらに、供与体発色団の放射スペクトルと受容体発色団の吸収スペクトルの間の重複が多いほど、供与体発色団はより良く受容体発色団にエネルギーを移動することができると考えられている。
【0099】
特定の実施形態では、本開示の生体光局所組成物は、第二の発色団をさらに含む。一部の実施形態では、第一の発色団は、第二の発色団の吸収スペクトルと少なくとも約80%、50%、40%、30%、20%、10%重複する発光スペクトルを持つ。一部の実施形態では、第一の発色団は、第二の発色団の吸収スペクトルと少なくとも約20%重複する発光スペクトルを持
つ。一部の実施形態では、第一の発色団は、第二の発色団の吸収スペクトルと少なくとも1~10%、5~15%、10~20%、15~25%、20~30%、25~35%、30~40%、35~45%、50~60%、55~65%または60~70%重複する発光スペクトルを持つ。
【0100】
本書で使用される場合、スペクトルの重複%は、スペクトル四半値全幅(FWQM)で測定
された、供与体発色団の放射波長範囲と受容体発色団の吸収波長範囲との重複%を意味す
る。例えば
図3は、供与体および受容体発色団の正規化された吸収および発光スペクトル
を示す。受容体発色団の吸収スペクトルのスペクトルFWQMは、約60 nm(515 nm~約575 nm)である。供与体発色団のスペクトルと受容体発色団の吸収スペクトルの重複は約40 nm(515 nm~約555 nm)である。従って、重複%は、40nm / 60nm x 100 = 66.6%として計算できる。
【0101】
一部の特定の実施形態では、第二の発色団は、可視スペクトルの範囲の波長の光を吸収する。特定の実施形態では、第二の発色団は、約50~250、25~150または10~100 nmの範囲内の、第一の発色団の吸収波長よりも比較的長い吸収波長を持つ。
【0102】
上述のように、本開示の組成物への光の適用は、発色団間のエネルギー移動のカスケードを生じさせる。特定の実施形態では、このようなエネルギー移動のカスケードは、創傷部位、またはにきびまたは皮膚疾患に罹患した組織などを含む、標的組織の表皮、真皮および/または粘膜を貫通する光子を提供する。一部の実施形態では、このようなエネルギー移動のカスケードは、熱の同時生成を伴わない。一部の実施形態では、エネルギー移動のカスケードは、組織損傷を引き起こさない。
【0103】
随意に、生体光局所組成物が、第一および第二の発色団を含む時、第一の発色団は組成物の重量あたり約0.005~40%の量で存在し、第二の発色団は組成物の重量あたり約0.001
~40%の量で存在する。特定の実施形態では、発色団または発色団の組み合わせの重量あ
たりの合計重量は、組成物の重量あたり約0.005~40.001%の量でありうる。特定の実施形態では、第一の発色団は、組成物の重量あたり、約0.005~1%、0.01~2%、0.02~1%、0.02~2%、0.05~1%、0.05~2%、0.05~1%、0.05~2%、1~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5~17.5%、15~20%、17.5~22.5%、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5~32.5%、30~35%、32.5~37.5%、または35~40%の量で存在する。特定の実施形態では、第二の発色団は、組成物の重量あたり、約0.001~1%、0.001~2%、0.001~0.01%、0.01~0.1%、0.1~1.0%、1~2%、1~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5
~17.5%、15-20%、17.5~22.5%、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5~32.5%、30~35%、32.5~37.5%、または35~40%の量で存在する。特定の実施形態では、発色団または発
色団の組み合わせの重量あたりの合計重量は、組成物の重量あたり約0.005~1%、0.01~2%、0.05~2%、0.5~1%、0.5~2%、1~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5~17.5%、15~20%、17.5~22.5%、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5~32.5%、30
~35%、32.5~37.5%、または35~40.05%の量でありうる。
【0104】
一部の実施形態では、発色団は、光活性化時のその放射蛍光が電磁スペクトルの緑、黄、オレンジ、赤および赤外部分の一つ以上の中にあり、例えば約490 nm~約800 nmの範囲内のピーク波長を持つように選択される。特定の実施形態では、放射蛍光は、0.005~約10 mW/cm2、約0.5~約5 mW/cm2の間の出力密度を持つ。
【0105】
本開示の生体光局所組成物に使用されうる適切な発色団には、以下が含まれるがこれに限定されない:
【0106】
クロロフィル染料
模範的クロロフィル染料には、クロロフィルa、クロロフィルb、油溶性クロロフィル、細菌クロロフィルa、細菌クロロフィルb、細菌クロロフィルc、細菌クロロフィルd、プロトクロロフィル、プロトクロロフィルa、両親媒性クロロフィル誘導体1および両親媒性クロロフィル誘導体2が含まれるがこれに限定されない。
【0107】
キサンテン誘導体
模範的キサンテン染料には、エオシンB(4',5'-ジブロモ,2',7'-ジニトロ- o-フルオレセイン, ジアニオン)、エオシンY、エオシンY (2',4',5',7'-テトラブロモ-フルオレセイン, ジアニオン)、エオシン(2',4',5',7'-テトラブロモ-フルオレセイン, ジアニオ
ン)、エオシン (2',4',5',7'-テトラブロモ-フルオレセイン, ジアニオン)メチルエステル、エオシン(2',4',5',7'-テトラブロモ-フルオレセイン, モノアニオン) p-イソプロピルベンジルエステル、エオシン誘導体(2',7'-ジブロモ-フルオレセイン, ジアニオ
ン)、エオシン誘導体(4',5'-ジブロモ-フルオレセイン, ジアニオン)、エオシン誘導
体(2',7'-ジクロロ-フルオレセイン, ジアニオン)、エオシン誘導体(4',5'-ジクロロ-フルオレセイン, ジアニオン)、エオシン誘導体(2',7'-ジヨード-フルオレセイン, ジ
アニオン)、エオシン誘導体(4',5'-ジヨード-フルオレセイン, ジアニオン)、エオシ
ン誘導体(トリブロモ-フルオレセイン, ジアニオン)、エオシン誘導体(2',4',5',7'-
テトラクロロ-フルオレセイン, ジアニオン)、エオシン、エオシン ジセチルピリジニウム塩素イオン対、エリスロシンB(2',4',5',7'-テトラヨード-フルオレセイン, ジアニオン)、エリスロシン、エリスロシンジアニオン、エリチオシンB、フルオレセイン、フル
オレセインジアニオン、フロキシンB(2',4',5',7'-テトラブロモ-3,4,5,6-テトラクロロ-フルオレセイン, ジアニオン)、フロキシンB(テトラクロロ-テトラブロモ-フルオレセイン)、フロキシンB、ローズベンガル(3,4,5,6-テトラクロロ-2',4',5',7'-テトラヨードフルオレセイン, ジアニオン)、ピロニンG、ピロニンJ、ピロニンY、ローダミンなど
のローダミン染料(4,5-ジブロモ-ローダミンメチルエステル、4,5-ジブロモ-ローダミンn-ブチルエステル、ローダミン101メチルエステル、ローダミン123、ローダミン6G、ローダミン6Gヘキシルエステル、テトラブロモ-ローダミン123、およびテトラメチル-ローダ
ミンエチルエステルを含む)が含まれるがこれに限定されない。
【0108】
メチレンブルー染料
模範的メチレンブルー誘導体には、1-メチルメチレンブルー、1,9-ジメチルメチレンブルー、メチレンブルー、メチレンブルー(16 .mu.M)、メチレンブルー(14 .mu.M)、メチレンバイオレット、ブロモメチレンバイオレット、4-ヨードメチレンバイオレット、1,9-ジメチル-3-ジメチル-アミノ-7-ジエチル-アミノ-フェノチアジン、および1,9-ジメチ
ル-3-ジメチルアミノ-7-ジブチル-アミノ-フェノチアジンが含まれるがこれに限定されない。
【0109】
アゾ染料
模範的アゾ(またはジアゾ)染料には、メチルバイオレット、ニュートラルレッド、パラレッド(ピグメントレッド1)、アマランス(アゾルビンS)、カルモイシン(アゾルビン、フードレッド3、アシッドレッド14)、アルーラレッドAC(FD&C 40)、タートラジン(FD&Cイエロー5)、オレンジG(アシッドオレンジ10)、ポンソー4R(フードレッド7)
、メチルレッド(アシッドレッド2)、およびムレキシド-プルプル酸アンモニウムが含まれるがこれに限定されない。
【0110】
本開示の一部の態様では、本書に開示の生体光組成物の一つ以上の発色団は、アシッドブラック1、アシッドブルー22、アシッドブルー93、アシッドフクシン、アシッドグリー
ン、アシッドグリーン1、アシッドグリーン5、アシッドマゼンタ、アシッドオレンジ10、アシッドレッド26、アシッドレッド29、アシッドレッド44、アシッドレッド51、アシッドレッド66、アシッドレッド87、アシッドレッド91、アシッドレッド92、アシッドレッド94、アシッドレッド101、アシッドレッド103、アシッドローセイン、アシッドルビン、アシッドバイオレット19、アシッドイエロー1、アシッドイエロー9、アシッドイエロー23、アシッドイエロー24、アシッドイエロー36、アシッドイエロー73、アシッドイエローS、ア
クリジンオレンジ、アクリフラビン、 アルシアンブルー、アルシアンイエロー、アルコ
ール可溶性エオシン、アリザリン、アリザリンブルー2RC、アリザリンカルミン、アリザ
リンシアニンBBS、アリザロールシアニンR、アリザリンレッドS、アリザリンパープリン
、アルミノン、アミドブラック10B、アミドシュワルツ、アニリンブルーWS、アントラセ
ンブルーSWR、オーラミンO、アゾカルミンB、アゾカルミンG、アゾイックジアゾ5、アゾ
イックジアゾ48、アズールA、アズールB、アズールC、ベーシックブルー8、ベーシックブルー9、ベーシックブルー12、ベーシックブルー15、ベーシックブルー17、ベーシックブ
ルー20、ベーシックブルー26、ベーシックブラウン1、ベーシックフクシン、ベーシック
グリーン4、ベーシックオレンジ14、ベーシックレッド2(サフラニンO)、ベーシックレ
ッド5、ベーシックレッド9、ベーシックバイオレット2、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット14、ベーシ
ックイエロー1、ベーシックイエロー2、ビエブリッヒスカーレット、ビスマルクブラウンY、ブリリアントクリスタルスカーレット6R、カルシウムレッド、カルミン、カルミン酸
(アシッドレッド4)、セレスチンブルーB、チャイナブルー、コチニール、コエレスチンブルー、クロムバイオレットCG、クロモトロープ2R、クロモキサンシアニンR、コンゴコ
リント、コンゴレッド、コットンブルー、コットンレッド、クロセインスカーレット、クロシン、クリスタルポンソー6R、クリスタルバイオレット、ダリア、ダイアモンドグリーンB、DiOC6、ダイレクトブルー14、ダイレクトブルー58、ダイレクトレッド、ダイレクトレッド10、ダイレクトレッド28、ダイレクトレッド80、ダイレクトイエロー7、エオシンB、エオシンブルーイッシュ、エオシン、エオシンY、エオシンイエローイッシュ、エオシ
ノール、エリーガーネットB、エリオクロムシアニンR、エリスロシンB、エチルエオシン
、エチルグリーン、エチルバイオレット、エバンスブルー、ファーストブルーB、ファー
ストグリーンFCF、ファーストレッドB、ファーストイエロー、フルオレセイン、フードグリーン3、ガレイン、ガラミンブルー、ガロシアニン、 ゲンチアナバイオレット、ヘマテイン、ヘマチン、ヘマトキシリン、ヘリオファーストルビンBBL、ヘルベチアブルー、ヘ
マテイン、ヘマチン、ヘマトキシリン、ホフマンバイオレット、インペリアルレッド、インドシアニングリーン、イングレインブルー、イングレインブルー1、イングレインイエ
ロー1、INT、ケルメス、ケルメス酸、ケルンエヒトロート、Lac、ラッカイン酸、ラウト
バイオレット、ライトグリーン、リサミングリーンSF、ルクソールファーストブルー、マゼンタ0、マゼンタI、マゼンタII、マゼンタIII、マラカイトグリーン、マンチェスター
ブラウン、マルチウスイエロー、メルブロミン、マーキュロクロム、メタニルイエロー、メチレンアズールA、メチレンアズールB、メチレンアズールC、メチレンブルー、メチル
ブルー、メチルグリーン、メチルバイオレット、メチルバイオレット2B、メチルバイオレット10B、モルダントブルー3、モルダントブルー10、モルダントブルー14、モルダントブルー23、モルダントブルー32、モルダントブルー45、モルダントレッド3、モルダントレ
ッド11、モルダントバイオレット25、モルダントバイオレット39、ナフトールブルーブラック、ナフトールグリーンB、ナフトールイエローS、ナチュラルブラック1、ナチュラル
レッド、ナチュラルレッド3、ナチュラルレッド4、ナチュラルレッド8、ナチュラルレッ
ド16、ナチュラルレッド25、ナチュラルレッド28、ナチュラルイエロー6、NBT、ニュートラルレッド、ニューフクシン、ナイアガラブルー3B、ナイトブルー、ナイルブルー、ナイルブルーA、ナイルブルーオキサゾン、ナイルブルー硫酸エステル、ナイルレッド、ニト
ロBT、ニトロブルーテトラゾリウム、ニュークリアファーストレッド、オイルレッドO、
オレンジG、オルセイン、パラロサニリン、フロキシンB、フィコビリン、フィコシアニン、フィコエリスリン、フィコエリスリンシアニン(PEC)、フタロシアニン、ピクリン酸
、ポンソー2R、ポンソー6R、ポンソーB、ポンソー・デ・キシリジン、ポンソーS、プリムラ、パープリン、ピロニンB、ピロニンG、ピロニンY、ローダミンB、ロザニリン、ローズベンガル、サフロン、サフラニンO、スカーレットR、スカーレットレッド、シャルラッハR、シェラック、シリウスレッドF3B、ソロクロムシアニンR、ソルブルブルー、ソルベン
トブラック3、ソルベントブルー38、ソルベントレッド23、ソルベントレッド24、ソルベ
ントレッド27、ソルベントレッド45、ソルベントイエロー94、スピリットソルブルエオシン、スーダンIII、スーダンIV、スーダンブラックB、サルファーイエローS、スイスブル
ー、タートラジン、チオフラビンS、チオフラビンT、チオニン、トルイジンブルー、トルイジンレッド、トロペオリンG、トリパフラビン、トリパンブルー、ウラニン、ビクトリ
アブルー4R、ビクトリアブルーB、ビクトリアグリーンB、ウォーターブルーI、ウォータ
ーソルブルエオシン、キシリジンポンソー、またはイエローイッシュエオシンのいずれかから独立して選択されうる。
【0111】
特定の実施形態では、適用部位で生体光の影響を提供するために、本開示の組成物には、上記にリストされた発色団のいずれか、またはその組み合わせが含まれる。これは、こ
れらの薬剤の別個の用途で、単純な染料として、または光重合の触媒としての発色団の使用とは異なる。
【0112】
発色団は、例えば、発蛍光団の場合は放射波長特性に関して、エネルギー移動ポテンシャル、活性酸素種を生成する能力、または抗菌効果に基づいて選択されうる。これらのニーズは、治療を必要とする状態によって変わりうる。例えば、クロロフィルは、顔に見られる細菌に対して抗菌作用を持ちうる。
【0113】
一部の実施形態では、組成物は、第一の発色団としてエオシンY、および第二の発色団
として、ローズベンガル、エリスロシン、フロキシンBのいずれか一つ以上を含む。エオ
シンYは活性化された時、エネルギーをローズベンガル、エリスロシンまたはフロキシンBに移動できるので、これらの組み合わせは相乗効果を持つと考えられる。この移動されたエネルギーは、次に蛍光として、または活性酸素種の生成によって放射される。この吸収されて再放射された光は、組成物全体に移動され、治療部位中へも移動されると考えられる。
【0114】
さらなる実施形態では、組成物は以下の相乗的組み合わせを含む:エオシンYとフルオ
レセイン、フルオレセインとローズベンガル、エリスロシンとエオシンY、ローズベンガ
ルまたはフルオレセインとの組み合わせ、フロキシンBとエオシンY、ローズベンガル、フルオレセイン、エリスロシンの一つ以上との組み合わせ。その他の相乗的な発色団の組み合わせも可能である。
【0115】
組成物中の発色団の組み合わせの相乗効果によって、活性化光(LEDからの青い光など
)によって通常は活性化されない発色団が、活性化光によって活性化される発色団からのエネルギー移動を通して活性化されうる。このようにして、光活性化された発色団の異なる特性を利用し、必要な美容または医学的治療に従って調整することができる。
【0116】
例えば、ローズベンガルは、分子酸素の存在下で光活性化された時、高収率の一重項酸素を生成できるが、放射された蛍光に関しては低い量子収率を持つ。ローズベンガルは、540 nmのあたりにピーク吸収を持つので、通常、緑色の光によって活性化される。エオシンYは高い量子収率を持ち、青い光によって活性化されうる。ローズベンガルとエオシンYを組み合わせることによって、治療的蛍光を放射し、青い光で活性化された時に一重項酸素を生成できる組成物が得られる。この場合、青い光はエオシンYを光活性化し、これは
そのエネルギーの一部をローズベンガルに移動するだけでなく、一部のエネルギーを蛍光として放射する。
【0117】
発色団の組み合わせは、その光活性化状態に関しても相乗効果を持ちうる。例えば、2
つの発色団を使うことができ、その一つは青と緑の範囲で活性化された時に蛍光を放射し、もう一方は赤、オレンジおよび黄色の範囲で蛍光を放射し、それによって互いを補完して、標的組織への異なる貫通深度および異なる治療効果を持つ幅広い波長の光で標的組織を照射する。
【0118】
(b)ゲル化剤
本開示は、少なくとも第一の発色団およびゲル化剤を含む生体光組成物を提供し、ゲル化剤は、生体光局所組成物の発色団が実質的に標的組織と接触しないように、バリアを提供する。ゲル化剤は、本開示の生体光組成物中に存在する時、発色団または生体光局所組成物の感光剤が標的組織と実質的に接触しないように、組成物を浸出に対して実質的に抵抗性を持つようにすることができる。
【0119】
特定の実施形態では、生体光局所組成物は、前記発色団量の30%、25%、20%、15%、10%
、5%、1%、0.8%、0.5%または0.1%未満または実質的に0%の生体光組成物からの浸出を許容する。
【0120】
一部の実施形態では、生体光組成物は、組成物が組織に局所的に塗布され、光を照射する治療時間中、合計発色団量の15%未満しか組織中に浸出しないように、第一の発色団の
浸出を制限する。一部の実施形態では、生体光組成物は、組成物が組織に局所的に塗布され、光を照射する治療時間中、合計発色団量の30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.8%
、0.5%または0.1%未満または実質的に0%しか組織中に浸出しないように、第一の発色団の浸出を制限する。一部の実施形態では、治療時間は少なくとも約5分、少なくとも約10分
、少なくとも約15分、少なくとも約20分、少なくとも約25分または少なくとも約30分である。
【0121】
浸出は、実施例6に記述されたように決定される(
図5を参照)。一部の実施形態では、生体光組成物が、望ましい治療時間に対応する時間中、多孔質膜を通して水溶液と接触して配置される時、本開示の生体光組成物は、多孔質膜を通して水溶液中に、合計発色団量の30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.8%、0.5%または0.1%未満または実質的に0%が生
体光組成物から浸出することを許容する。特定の実施形態で、治療時間に対応する時間は、少なくとも約5分、少なくとも約10分、15分、20分、25分または30分である。
【0122】
本開示による使用のためのゲル化剤は、本書に記述された局所生体光処方での使用に適した任意の材料を含みうる。ゲル化剤は、物理的および/または化学的架橋を含む、架橋基質を形成することができる薬剤でありうる。ゲル化剤は、生体適合性であることが好ましく、生分解性でありうる。一部の実施形態では、ゲル化剤は、ヒドロゲルまたは親水コロイドを形成することができる。適切なゲル化剤は、粘稠液または半固体を形成できるものである。好適実施形態では、ゲル化剤および/または組成物は、適切な光透過性特性を持つ。発色団の生体光活性を許容するゲル化剤を選択することも重要である。例えば、一部の発色団は、蛍光を発するために水和環境を必要とする。ゲル化剤は、単独でまたは水または別のゲル化剤などのその他の材料と組み合わせて、または治療部位に塗布された時または光を照射された時にゲルを形成しうる。
【0123】
本開示のさまざまな実施形態によるゲル化剤には、ポリアルキレンオキシド、特にポリエチレングリコールおよびポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)共重合体
(ブロックおよびランダム共重合体を含む)、ポリオール(グリセロール、ポリグリセロール(特に高度に分岐したポリグリセロール)など)、一つ以上のポリアルキレンオキシドで置換されたプロピレングリコールおよびトリメチレングリコール(例えば、モノ-、
ジ-、トリ-ポリオキシエチル化されたグリセロール、モノ-およびジ-ポリオキシ-エチル
化されたプロピレングリコール、およびモノ-およびジ-ポリオキシエチル化されたトリメチレングリコール、ポリオキシエチル化されたソルビトール、ポリオキシエチル化されたグルコース、アクリル酸ポリマーおよびその類似体と共重合体(ポリアクリル酸自体など)、ポリメタクリル酸、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリル酸塩)、ポリ(ヒドロキシエチ
ルアクリル酸塩)、ポリ(メチルアルキルスルホキシドメタクリル酸塩)、ポリ(メチルアルキルスルホキシドアクリル酸塩)および前述のいずれかの共重合体、および/またはアミ
ノエチルアクリル酸塩およびモノ-2-(アクリロキシ)-エチルコハク酸塩などの追加的アクリル酸種を伴うもの、ポリマレイン酸、ポリ(アクリルアミド)(ポリアクリルアミド自体、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、およびポリ(N-イソプロピ
ル-アクリルアミド)など)、ポリ(オレフィンアルコール)(ポリ(ビニルアルコール)など))、ポリ(N-ビニルラクタム)(ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(N-ビニルカプロラクタ
ム)、およびその共重合体など)、ポリオキサゾリン(ポリ(メチルオキサゾリン)および
ポリ(エチルオキサゾリン)を含む)およびポリビニルアミンが含まれるがこれに限定されない。
【0124】
本開示の特定の実施形態によるゲル化剤には、合成または半合成重合材料、ポリアクリレート共重合体、セルロース誘導体およびポリメチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体のいずれかから選択されるポリマーを含みうる。一部の実施形態では、親水性ポリマーは、高分子量(すなわち、モル質量が約5,000を超える、一部の場合、約10,000また
は100,000または1,000,000を超える)および/または架橋ポリアクリル酸ポリマーであるポリマーを含む。一部の実施形態では、ポリマーはポリアクリル酸ポリマーで、約10,000~100,000、10,000~80,000、15,000~80,000、10,000~70,000、15,000~70,000、10,000~60,000、10,000~50,000、10,000~40,000、20,000~100,000、25,000~90,000、30,000~80,000、30,000~70,000、30,000~60,000、25,000~40,000 cPの範囲の粘度を持つ
。特定の実施形態では、ポリマーは高分子、および/または架橋ポリアクリル酸ポリマーで、ポリアクリル酸ポリマーは約10,000~80,000 cPの範囲の粘度を持つ。
【0125】
一部の実施形態では、ゲル化剤はカルボマーである。カルボマーは、約3 x 106の分子
量を持つペンタエリトリトールのアリルスクロースまたはアリルエーテルのいずれかと架橋されたアクリル酸の高分子量ポリマーである。ゲル化機構は、可溶性塩を形成するためのカルボン酸部分の中和に依存する。ポリマーは親水性で、中和された時、発泡性透明ゲルを生成する。カルボマーゲルは、ゲル粘度および降伏値が温度によって実質的に影響されないという点で、良好な熱安定性を持つ。局所製剤として、カルボマーゲルは、最適なレオロジー特性を持つ。固有の擬塑性流動のために、せん断が終了した時に粘度の即時回復が可能となり、高い降伏値および素早い切断は分配のために理想的である。Carbopol(R)の水溶液は、遊離のカルボン酸残基の存在のために酸性である。この溶液の中和は、
ポリマーを架橋およびゲル化して、望ましい粘度の粘性一体構造を形成する。
【0126】
カルボマーは、水に分散して、粘度の低い酸性のコロイド懸濁液(1%分散液は約pH 3)を形成する白色微粉末として入手できる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化アンモニウム、低分子量アミンおよびアルカノールアミンなどの塩基を使用した、これらの懸濁液の中和は、透光性ゲルの形成を生じる。塩化ニコチンなどのニコチン塩は、約pH 3.5でカルボマーと安定な水溶性複合体を形成し、約5.6の最適pHで安定化さ
れる。
【0127】
本開示の一部の実施形態では、カルボマーはカルボポールである。このようなポリマーは、Carbopol(R) 71G NF、420、430、475、488、493、910、934、934P、940、971PNF、974P NF、980 NF、981 NFなどの名称で、B.F. GoodrichまたはLubrizolから市販されている。カルボポールは、Brock(Pharmacotherapy, 14:430-7(1994))およびDurrani(Pharmaceutical Res.(Supp.)8:S-135(1991))によって記述されるように、多用途の放出制御ポリマーで、ポリアルケニルポリエーテルと架橋された、アクリル酸の合成、高分子、非直鎖ポリマーであるカルボマー族に属する。一部の実施形態では、カルボマーは、Carbopol(R) 974P NF、980 NF、5984 EP、ETD 2020NF、Ultrez 10 NF、934 NF、934P NF
または940 NFである。特定の実施形態では、カルボマーは、Carbopol(R) 980 NF、ETD 2020 NF、Ultrez 10 NF、Ultrez 21または1382ポリマー、1342 NF、940 NFである。例え
ば、高分子量カルボポールの最終組成物の重量の0.05~10%、好ましくは0.5~5%、より好ましくは1~3%が、ゲル化剤として存在することができ、約10,000cPを超える、または好
ましくは約15,000cPを超える粘度を持つゲルを形成しうる。
【0128】
特定の実施形態では、ゲル化剤は、その親水特性のために使用されうる吸湿性および/または親水性材料を含み、これは発色団の浸出も阻止または制限しうる。吸湿性または親水性材料には、グルコサミン、多糖、グルコサミノグリカン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメチルアクリル酸塩)、ポリエチレンオキシド、コラーゲン、キトサン、アルギン酸塩、ポリ(アクリロニトリル)ベースのヒドロゲル、ポリ(エチレング
リコール)/ポリ(アクリル酸)浸透ポリマーネットワークヒドロゲル、ポリエチレンオキシド-ポリブチレンテレフタル酸塩、ヒアルロン酸、高分子量ポリアクリル酸、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリル酸塩)、ポリ(エチレングリコール)、テトラエチレングリコールジ
アクリル酸塩、 ポリエチレングリコールメタクリル酸塩、およびポリ(メチルアクリル酸塩-co-ヒドロキシエチルアクリル酸塩)が含まれるがこれに限定されない。
【0129】
発色団の浸出を阻止する能力に従って、一つ以上のゲル化剤を選択できる。例えば、生体光組成物の粘度を増加させるゲル化剤を選択できる。一部の実施形態では、生体光組成物の粘度は15,000~100,000、15,000~90,000、15,000~80,000、20,000~80,000、20,000~70,000、20,000~50,000、10,000~50,000、15,000~50,000、10,000~40,000、15,000~40,000 cPである。十分高い粘度パラメータを持つ組成物は、組成物からの発色団の浸出を阻止または制限できる。本開示の生体光組成物の粘度は、CP-51を使って円錐/プレ
ート粘度計(Wells-Brookfield)を使用し、速度2 rpmでトルクが>10%であることを確実
にして測定されたものである。スピンドルは、粘度の測定値を読み取る前に、少なくとも5回回転する必要がある。または、Brookfield DV-II+Pro粘度計、スピンドル7、50 rpm、1分も使用できる。
【0130】
脂質または発色団をコートできるその他のコート剤を含むゲル化剤も、浸出を制限または阻止するために使用できる。ゲル化剤は、ヒアルロン酸ナトリウム、ゼラチンまたはコラーゲンなど、タンパク質ベース/天然由来の材料でありうる。ゲル化剤は、デンプン、キトサン、キチン、アガロース、寒天、ローカストビーンガム、カラギーナン、ジェランガム、ペクチン、アルギン酸塩、キサンタン、グアーガムなどの多糖でありうる。
【0131】
一つの実施形態では、組成物は、最終組成物の重量の約2%までのヒアルロン酸ナトリウムを単一ゲル化剤として含むことができる。別の実施形態では、組成物は、最終組成物の重量の約4%を超える、好ましくは約5%を超えるゼラチンを単一ゲル化剤として含むことができる。別の実施例では、組成物は約10%まで、好ましくは約8%までのでんぷんを単一ゲ
ル化剤として含むことができる。また別の実施形態では、組成物は、最終組成物の重量の約5%を超える、好ましくは約10%を超えるコラーゲンをゲル化剤として含むことができる
。さらなる実施形態では、最終組成物の重量の約0.1~10%、または約0.5~3%のキチンが
ゲル化剤として使用できる。その他の実施形態では、最終組成物の重量の0.5%~5%のコーンスターチ、または最終組成物の重量の5~10%のでんぷんが、ゲル化剤として使用できる。特定のその他の実施形態では、最終組成物の重量の2.5重量%を超えるアルギン酸塩を、組成物中のゲル化剤として使用できる。その他の実施形態では、最終組成物の重量パーセントでのゲル化剤のパーセントは、次のようでありうる:セルロースゲル(約0.3~2.0%
)、こんにゃくガム(0.5~0.7%)、カラギーナンガム(0.02~2.0%)、キサンタンガム
(0.01~2.0%)、アカシアガム(3~30%)、寒天(0.04~1.2%)、グアーガム(0.1~1%
)、ローカストビーンガム(0.15~0.75%)、ペクチン(0.1~0.6%)、タラガム(0.1~1.0%)、ポリビニルピロリドン(1~5%)、ポリアクリル酸ナトリウム(1~10%)。組成物をゲル化するのに十分な量、または組成物の粘性を十分に高くして発色団の浸出を回避または最小化する量で、その他のゲル化剤を使用できる。当然のことながら、上記のゲル化剤の低めの量は、別のゲル化剤または増粘剤の存在下で使用しうる。
【0132】
本開示の生体光組成物は、例えば、膜内にさらに封入されうる。このような膜は、透明、および/または実質的に、または完全に不透過性でありうる。膜は、液体に対しては不透過性であるが、空気などの気体に対しては透過性でありうる。特定の実施形態では、組成物は、生体光局所組成物の発色団を封入する膜を形成でき、膜は液体および/または気体に対して実質的に不透過性でありうる。
【0133】
特定の実施形態では、治療時間中の組成物の発色団の保持は、担体媒体中の発色団の周
りに膜を提供することによって達成できる。この場合、バリアを提供することによってなど、発色団の浸出を制限または阻止するのは膜である。担体媒体は、膜で封入された液体でありえ、封入された組成物から合計発色団量の15%未満しか浸出しないように、膜は発
色団の浸出に対して十分に抵抗性を持つ。膜は、一つ以上の脂質剤、ポリマー、ゼラチン、セルロースまたはシクロデキストリンなどから形成されうる。好ましくは、膜は透光性または透明で、発色団へ、およびそれからの光の浸透を可能にする。一つの実施形態では、組成物は、外膜がポリ(プロピレンアミン)を含むデンドリマーである。別の実施形態では、外膜はゼラチンを含む。
【0134】
(c)酸素放出剤
特定の実施形態によると、本開示の組成物は、酸素放出剤などの一つ以上の追加的構成要素を随意にさらに含みうる。例えば、本開示の生体光局所組成物は、酸素の供給源として酸素放出剤を随意に含みうる。過酸化物化合物は、2つの酸素原子を含み、それぞれが
お互いおよびラジカルまたは一部の元素に結合されている鎖状の構造である、過酸化基(R-O-O-R)を含む酸素放出剤である。
【0135】
酸素放出剤を含む本開示の生体光組成物に光が照射されると、発色団がより高いエネルギー状態に励起される。発色団の電子がより低いエネルギー状態に戻る時、より低いエネルギーレベルの光子を放射し、そのためより長い波長の光の放射を生じる(ストークシフト)。適正な環境では、このエネルギー放出の一部が酸素または活性過酸化水素に移動されて、一重項酸素などの酸素ラジカルの形成を生じる。生体光組成物の活性化によって生成される一重項酸素およびその他の活性酸素種は、ホルミシス形式で働くと考えられる。つまり、標的組織の細胞のストレス反応経路を刺激・調節することにより、通常は有毒な刺激(例えば、活性酸素)への低い暴露によってもたらされる健康利益効果である。外因性に生成されたフリーラジカル(活性酸素種)に対する内因性反応は、外因性フリーラジカルに対する防御力の増加で調節され、治癒および再生過程の加速を誘発する。さらに、組成物の活性化は、抗菌効果も生成しうる。フリーラジカルへの暴露に対する細菌の極端な感受性は、本開示の組成物を事実上の殺菌組成物にする。
【0136】
上述のように、一部の実施形態の組成物による酸素種の生成には、適用部位でのバイオフィルムの創面切除または除去に寄与しうるマイクロバブル発生を伴う。これによって、活性化光および/または蛍光の治療部位への浸透が改善され、例えば、細菌コロニーを非活性化して、その数の減少をもたらしうる。
【0137】
組成物に含められうる適切な酸素放出剤には、以下が含まれるがこれに限定されない:
【0138】
過酸化水素(H2O2)は、有機過酸化物を調製するための開始材料である。H2O2は、強力な酸素放出剤で、過酸化水素のユニークな特性は、水と酸素に分解して、いかなる持続的な有毒残渣化合物も形成しないことである。本組成物で使用するための過酸化水素は、例えば、6%の過酸化水素のゲルで使用されうる。過酸化水素が本組成物で使用されうる濃度の適切な範囲は、約0.1%~約6%である。
【0139】
過酸化尿素(尿素過酸化水素、過酸化カルバミドまたはペルカルバミドとしても知られる)は、水溶性があり、約35%の過酸化水素を含む。本組成物で使用するための過酸化カ
ルバミドは、例えば5.6%の過酸化水素に相当する16%の過酸化カルバミド、または12%の過酸化カルバミドを持つ、ゲルとして使用されうる。過酸化尿素が本組成物で使用されうる濃度の適切な範囲は、約0.3%~約16%である。過酸化尿素は、熱または光化学で加速され
うる持続放出形式で、尿素と過酸化水素に分解する。放出された尿素[カルバミド、(NH2)CO2)]は、非常に高い水溶性があり、強力なタンパク質変性剤である。これは一部のタ
ンパク質の可溶性を増加させ、皮膚および/または粘膜の水分補給を亢進する。
【0140】
過酸化ベンゾイルは、過酸化基で結合された2つのベンゾイル基(カルボン酸のHを除去した安息香酸)から成る。これは、にきびの治療では、2.5%~10%に変化する濃度で存在
する。放出された過酸化基は、細菌を殺傷するのに効果的である。過酸化ベンゾイルは、皮膚の代謝回転および毛穴の清浄も促進し、これは細菌数の低減およびにきびの減少にさらに寄与する。過酸化ベンゾイルは、皮膚に接触すると安息香酸と酸素に分解するが、どちらも毒性はない。過酸化ベンゾイルが本組成物で使用されうる濃度の適切な範囲は、約2.5%~約5%である。
【0141】
本開示の材料または方法で好ましく使用される特定の酸素放出剤には、過酸化水素、過酸化カルバミド、または過酸化ベンゾイルが含まれるがこれに限定されない。ペルオキシ酸、アルカリ金属過酸化物、アルカリ金属過炭酸塩、ペルオキシ酢酸、およびアルカリ金属過ホウ酸塩も、酸素放出剤として含めることができる。酸素放出剤は、粉末、液体またはゲルの形態で提供されうる。代替的に、酸素放出剤は、組成物とは別々に組織部位に適用することもできる。代替的に、組成物は、酸素放出剤の治療部位への別個の適用によって増大した酸素放出剤の量を含みうる。
【0142】
本開示の組成物および方法では、追加的構成成分を随意に含めるか、または本書に記述された生体光組成物との組み合わせで使用しうる。このような追加的構成要素には、回復因子、成長因子、抗菌剤、しわ充填剤(例えば、ボトックス、ヒアルロン酸またはポリ乳酸)、コラーゲン、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗生物質、医薬品、および/またはコラーゲン合成を促進する薬剤を含むがこれに限定されない。これらの追加的構成成分は、本開示の生体光組成物の局所適用の前、それと同時、および/またはその後に、創傷、皮膚または粘膜に局所的に適用でき、全身的にも投与されうる。適切な回復因子、抗菌剤、コラーゲン、および/またはコラーゲン合成を促進する薬剤が以下に考察されている:
【0143】
(d)回復因子
回復因子は、組成物の適用部位上の組織の治癒または再生過程を促進または亢進する化合物を含む。本開示の組成物の光活性化の間、治療部位で皮膚、創傷または粘膜による分子吸収の増加がある。治療部位での血流の増加が、長時間観察されている。フリーラジカルカスケードの動的相互作用による、リンパ排液の増加および浸透圧平衡の変化の可能性は、回復因子を含めることで強化または補強もされうる。適切な回復因子には、以下が含まれるがこれに限定されない:
【0144】
ヒアルロン酸(ヒアルロナン、ヒアルロン酸塩)は非硫酸化グルコサミノグリカンであり、結合組織、上皮組織および神経組織全体に幅広く分配される。これは細胞外基質の主要構成要素の一つであり、細胞増殖および移動に顕著に寄与する。ヒアルロナンは皮膚の主な構成要素で、組織修復に関与する。これは細胞外基質に豊富であるが、組織流体力学、細胞の動きと増殖に寄与し、特に一次受容体CD44を含むものなど、多くの細胞表面受容体相互作用に関与する。ヒアルロニダーゼ酵素はヒアルロナンを分解する。人には少なくとも7つのタイプのヒアルロニダーゼ様酵素があり、そのうちのいくつかは腫瘍抑制因子
である。ヒアルロン酸の分解生成物、オリゴ糖および超低分子ヒアルロン酸は、血管新生促進特性を示す。さらに、最近の研究では、天然の高分子量のヒアルロナンではなく、ヒアルロナン断片は、組織傷害においてマクロファージおよび樹枝状細胞の炎症反応を誘発しうることが示されている。ヒアルロン酸は、皮膚を標的とする生物学的用途に良く適している。その高い生体適合性のために、これは組織再生を刺激するために使用される。研究では、ヒアルロン酸が治癒の早期段階で現れ、免疫反応を媒介する白血球のための場所を物理的に作ることが示されている。これは、創傷治癒用途の生物学的骨格の合成およびしわの治療において使用される。ヒアルロン酸が本組成物で使用されうる濃度の適切な範囲は、約0.001%~約3%である。
【0145】
グルコサミンは、人の組織中で最も豊富な単糖の一つで、糖化タンパク質および脂質の生物学的合成の前駆体である。これは、変形性関節症の治療に一般的に使用される。使用されるグルコサミンの一般的形態は硫酸塩で、硫酸グルコサミン塩化ナトリウムを含む。グルコサミンは、抗炎症活性、プロテオグリカンの合成およびタンパク質分解酵素の合成の刺激を含む多くの作用を示す。グルコサミンが本組成物で使用されうる濃度の適切な範囲は、約0.01%~約3%である。
【0146】
アラントインは、グリコシル酸のジウレイドである。これは、角質溶解作用を持ち、細胞外基質の水分を増加させ、死んだ(アポトーシス)皮膚細胞の上層の落屑を高め、皮膚増殖および創傷治癒を促進する。
【0147】
また、サフロンは、発色団と回復因子の両方の役割、および増強剤の役割を果たすことができる。成長因子など、その他の回復剤も含めることができる。
【0148】
(e)抗菌剤
抗菌剤は、微生物を殺すかまたは、その成長または蓄積を阻害する。模範的抗菌剤(または抗菌薬)は、米国特許出願公開第20040009227号および第20110081530号に記載されている。本開示の方法での使用に適切な抗菌剤には、フェノールおよび塩素化フェノールおよび塩素化フェノール化合物、レゾルシノールおよびその誘導体、ビスフェノール化合物、ベンゾインエステル(パラベン)、ハロゲン化カルボニリド、高分子抗菌剤、チアゾリン、トリクロロメチルチオイミド、天然抗菌剤(「天然製油」とも呼ばれる)、金属塩、および広域スペクトル抗生物質が含まれるがこれに限定されない。
【0149】
本開示で使用しうる特定のフェノールおよび塩素化フェノール抗菌剤には、フェノール、2-メチルフェノール、3-メチルフェノール、4-メチルフェノール、4-エチルフェノール、2,4-ジメチルフェノール、2,5-ジメチルフェノール、3,4-ジメチルフェノール、2,6-ジメチルフェノール、4-n-プロピルフェノール、4-n-ブチルフェノール、4-n-アミルフェノール、4-tert-アミルフェノール、4-n-ヘキシルフェノール、4-n-ヘプチルフェノール、
モノ-およびポリ-アルキルおよび芳香族ハロフェノール、p-クロロフェニル、メチルp-クロロフェノール、エチルp-クロロフェノール、n-プロピルp-クロロフェノール、n-ブチルp-クロロフェノール、n-アミルp-クロロフェノール、sec-アミルp-クロロフェノール、n-ヘキシルp-クロロフェノール、シクロヘキシルp-クロロフェノール、n-ヘプチルp-クロロフェノール、n-オクチルp-クロロフェノール、o-クロロフェノール、メチルo-クロロフェノール、エチルo-クロロフェノール、n-プロピルo-クロロフェノール、n-ブチルo-クロロフェノール、n-アミルo-クロロフェノール、tert-アミルo-クロロフェノール、n-ヘキシ
ルo-クロロフェノール、n-ヘプチルo-クロロフェノール、o-ベンジルp-クロロフェノール、o-ベンジル-m-メチルp-クロロフェノール、o-ベンジル-m,m-ジメチルp-クロロフェノール、o-フェニルエチルp-クロロフェノール、o-フェニルエチル-m-メチルp-クロロフェノ
ール、3-メチルp-クロロフェノール、3,5-ジメチルp-クロロフェノール、6-エチル-3-メ
チルp-クロロフェノール、6-n-プロピル-3-メチルp-クロロフェノール、6-イソ-プロピル-3-メチルp-クロロフェノール、 2-エチル-3,5-ジメチルp-クロロフェノール、6-sec-ブ
チル-3-メチルp-クロロフェノール、2-イソ-プロピル-3,5-ジメチルp-クロロフェノール
、6-ジエチルメチル-3-メチルp-クロロフェノール、6-iso-プロピル-2-エチル-3-メチルp-クロロフェノール、2-sec-アミル-3,5-ジメチルp-クロロフェノール、2-ジエチルメチル-3,5-ジメチルp-クロロフェノール、6-sec-オクチル-3-メチルp-クロロフェノール、p-クロロ-m-クレゾールp-ブロモフェノール、メチルp-ブロモフェノール、エチルp-ブロモフ
ェノール、n-プロピルp-ブロモフェノール、n-ブチルp-ブロモフェノール、n-アミルp-ブロモフェノール、sec-アミルp-ブロモフェノール、n-ヘキシルp-ブロモフェノール、シクロヘキシルp-ブロモフェノール、o-ブロモフェノール、tert-アミルo-ブロモフェノール
、n-ヘキシルo-ブロモフェノール、n-プロピル-m,m-ジメチルo-ブロモフェノール、2-フ
ェニルフェノール、4-クロロ-2-メチルフェノール、4-クロロ-3-メチルフェノール、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,4-ジクロロ-3,5-ジメチルフェノール、3,4,5,6-テトラブロモ-2-メチルフェノール、5-メチル-2-ペンチルフェノール、4-イソプロピル-3-メチ
ルフェノール、パラ-クロロ-メタキシレノール(PCMX)、クロロチモール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、および5-クロロ-2-ヒドロキシジフェニルメタ
ンが含まれるがこれに限定されない。
【0150】
レゾルシノールおよびその誘導体も、抗菌剤として使用できる。特定のレゾルシノール誘導体には、メチルレゾルシノール、エチルレゾルシノール、n-プロピルレゾルシノール、n-ブチルレゾルシノール、n-アミルレゾルシノール、n-ヘキシルレゾルシノール、n-ヘプチルレゾルシノール、n-オクチルレゾルシノール、n-ノニルレゾルシノール、フェニルレゾルシノール、ベンジルレゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、フェニルプロピルレゾルシノール、p-クロロベンジルレゾルシノール、5-クロロ-2,4-ジヒドロキシ
ジフェニルメタン、4'-クロロ-2,4-ジヒドロキシジフェニルメタン、5-ブロモ-2,4-ジヒ
ドロキシジフェニルメタン、および4'-ブロモ-2,4-ジヒドロキシジフェニルメタンを含むがこれに限定されない。
【0151】
本開示に使用しうる特定のビスフェノール抗菌剤には、2,2'-メチレン ビス-(4-クロロフェノール)、2,4,4'トリクロロ-2'-ヒドロキシ-ジフェニルエーテル(Ciba Geigy(ニュージャージー州フローラムパーク)からTriclosan(R)という商標で販売されている)、2,2'-メチレン ビス-(3,4,6-トリクロロフェノール)、2,2'-メチレン ビス-(4-クロロ-6-ブロモフェノール)、ビス-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)スルフィド、およびビ
ス-(2-ヒドロキシ-5-クロロベンジル)スルフィドが含まれるがこれに限定されない。
【0152】
本開示で使用しうる特定のベンゾイルエステル(パラベン)には、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、イソプロピルパラベン、イソブチルパラベン、ベンジルパラベン、メチルパラベンナトリウム、およびプロピルパラベンナトリウムが含まれるがこれに限定されない。
【0153】
本開示で使用しうる特定のハロゲン化カルバニリドには、3,4,4'-トリクロロカルバニ
リド(Ciba-Geigy(ニュージャージー州フローラムパーク)からTriclocarban(R)とい
う商標で販売されている3-(4-クロロフェニル)-1-(3,4-ジクロロフェニル)尿素など)、3-トリフルオロメチル-4,4'-ジクロロカルバニリド、および3,3',4-トリクロロカルバニリドが含まれるがこれに限定されない。
【0154】
本開示で使用しうる特定の高分子抗菌剤には、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩、およびポリ(イミノイミドカルボニル イミノイミドカルボニル イミノヘキサメチレン塩酸塩)(Vantocil(R) IBという商標で販売されている)を含むがこれに限定されない。
【0155】
本開示で使用しうる特定のチアゾリンには、Micro-Check(R)という商標で販売されているもの、および2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(Vinyzene(R) IT-3000 DIDPという商標で販売されている)を含むがこれに限定されない。
【0156】
本開示で使用しうる特定のトリクロロメチルチオイミドには、N-(トリクロロメチルチ
オ)フタルイミド(Fungitrol(R)という商標で販売されている)、およびN-トリクロロ
メチルチオ-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボキシイミド(Vancide(R)という商標で販売されている)を含むがこれに限定されない。
【0157】
本開示で使用しうる特定の天然抗菌剤には、アニス、レモン、オレンジ、ローズマリー、ウィンターグリーン、タイム、ラベンダー、クローブ、ホップ、ティーツリー、シトロネラ、小麦、大麦、レモングラス、ニオイヒバ、シダーウッド、シナモン、フリーグラス、ゼラニウム、ビャクダン、スミレ、クランベリー、ユーカリ、クマツヅラ、ペパーミント、安息香、バジル、フェンネル、モミ、バルサム、メントール、オクメア・オリガナム、ヒダスティス、カラデンシス、ベルベリダシアエ・ダセアエ、ラタフィアエ・ロンガ、およびウコンの油を含むがこれに限定されない。また、このクラスの天然抗菌剤には、抗菌性の利益を提供することがわかっている植物油の重要な化学成分も含まれる。これらの化学物質には、アネトール、カテコール、カンフェン、チモール、オイゲノール、ユーカリプトール、フェルラ酸、ファルネソール、ヒノキトール、トロポロン、リモネン、メントール、サリチル酸メチル、カルバコール、テルピネオール、ベルベノン、ベルベリン、ラタニア抽出物、カリオフィレン・オキシド、シトロネル酸、クルクミン、ネロリドール、およびゲラニオールが含まれるがこれに限定されない。
【0158】
本開示で使用しうる特定の金属塩には、周期表の3a~5a、3b~7bおよび8のグループの
金属塩が含まれるがこれに限定されない。金属塩の特定の例には、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、銀、金、銅、ランタン、スズ、水銀、ビスマス、セレニウム、ストロンチウム、スカンジウム、イットリウム、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、タリウム、イッテルビウム、ルテチウム、およびその混合物が含まれるがこれに限定されない。金属イオンベースの抗菌剤の例は、HealthShield(R)という商
標で販売されている、HealthShield Technology社(マサチューセッツ州ウェイクフィー
ルド)製のものである。[例えば、Smith and Nephewなどのその他の例をここに記載]
【0159】
本開示で使用されうる特定の広域スペクトル抗生物質には、本書の抗菌剤のその他のカテゴリーで記載された物を含むがこれに限定されない。
【0160】
本開示の方法で使用しうる追加的抗菌剤には、ピリチオン(特にピリチオン含有亜鉛複合体で、Octopirox(R)という商標で販売されているものなど)、ジメチルジメチルオール ヒダントイン(Glydant(R)という商標で販売)、メチルクロロイソチアゾリノン/
メチルイソチアゾリノン(Kathon CG(R)という商標で販売)、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、イミダゾリジニル尿素(Germall 115(R)という商標で販売)、ジアゾリジニル尿素(Germall 11(R)という商標で販売)、ベンジルアルコールv2-ブロモ-2-
ニトロプロパン-1,3-ジオール(Bronopol(R)という商標で販売)、ホルマリンまたはホルムアルデヒド、ヨードプロペニル ブチルカルバメート(Polyphase P100(R)という商標で販売)、クロロアセタミド、メタンアミン、メチルジブロモニトリル グルタロニト
リル(1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタン)(Tektamer(R)という商標で販売)、グルタルアルデヒド、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン(Bronidox(R)という商標で販売)、
フェネチルアルコール、o-フェニルフェノール/ナトリウム o-フェニルフェノールナト
リウム ヒドロキシメチルグリシネート(Suttocide A(R)という商標で販売)、ポリメ
トキシ二環式オキサゾリジン(Nuosept C(R)という商標で販売)、ジメトキサン、チメロサール、ジクロロベンジルアルコール、カプタン、クロルフェネネシン、ジクロロフェン、クロルブタノール、ラウリン酸グリセリル、ハロゲン化ジフェニルエーテル、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシ-ジフェニルエーテル(Ciba-Geigy(ニュージャージー州フローラムパーク)からTriclosan(R)という商標で販売)、および2,2'-ジヒドロキシ-5,5'-ジブロモ-ジフェニルエーテルが含まれるがこれに限定されない。
【0161】
本開示の方法で使用しうる追加的抗菌剤には、米国特許第3,141,321、4,402,959、4,430,381、4,533,435、4,625,026、4,736,467、4,855,139、5,069,907、5,091,102、5,639,464、5,853,883、5,854,147、5,894,042、および5,919,554号、および米国特許出願公開第
20040009227および20110081530号に開示されたものが含まれる。
【0162】
(f)コラーゲンおよびコラーゲン合成を促進する薬剤
コラーゲンは、皮膚線維芽細胞で生成される線維性タンパク質で、真皮の70%を形成す
る。コラーゲンは、皮膚の平滑化および引き締めに関与している。従って、コラーゲンの合成が減少すると、皮膚の老化が起こり、皮膚の引き締めおよび平滑化が急速に減少する。結果として、皮膚がたるみ、しわができる。一方、皮膚のコラーゲン合成の刺激によってコラーゲンの代謝が活性化されると、真皮基質の構成要素が増加し、しわの改善、張りの改善および皮膚の強化などの効果をもたらす。このように、コラーゲンおよびコラーゲン合成を促進する薬剤も、本開示で有用でありうる。コラーゲン合成を促進する薬剤(すなわち、コラーゲン合成促進剤)には、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、小さな化学分子、天然産物および天然産物からの抽出物が含まれる。
【0163】
例えば、ビタミンC、鉄、およびコラーゲンの摂取は、皮膚または骨のコラーゲン量を
効果的に増加させることが発見された。例えば、米国特許出願公開第20090069217号を参
照。ビタミンCの例には、L-アスコルビン酸またはL-アスコルビン酸ナトリウムなどのア
スコルビン酸誘導体、アスコルビン酸を乳化剤または同種のものでコーティングして得られるアスコルビン酸製剤、およびこれらビタミンCの2つ以上を任意の割合で含む混合物が含まれる。さらに、アセロラおよびレモンなど、ビタミンCを含む天然産物も使用されう
る。鉄製剤の例には、硫酸第一鉄、クエン酸第一鉄ナトリウム、またはピロリン酸第二鉄などの無機鉄、ヘム鉄、フェリチン鉄、またはラクトフェリン鉄などの有機鉄、およびこれらの鉄の2つ以上を任意の割合で含む混合物が含まれる。さらに、ほうれん草またはレ
バーなど、鉄を含む天然産物も使用されうる。さらに、コラーゲンの例には、ウシまたはブタなど、哺乳類の骨、皮膚、または同種のものを酸またはアルカリで処理することで得られる抽出物、ペプシン、トリプシン、またはキモトリプシンなどのプロテアーゼで抽出物を加水分解することで得られるペプチド、およびこれらのコラーゲンの2つ以上を任意
の割合で含む混合物が含まれる。植物起源から抽出されたコラーゲンも使用されうる。
【0164】
追加的なコラーゲン合成促進剤は、例えば、米国特許第7598291、7722904、6203805、5529769号など、および米国特許出願公開第20060247313、20080108681、20110130459、20090325885、20110086060号などに記述されている。
【0165】
組成物は、保湿剤(例えば、グリセリンおよびプロピレングリコール)、パラベンなどの保存剤、および水酸化ナトリウムなどのpH調節剤など、その他の材料も含むことができる。
【0166】
(4) 使用方法
本開示の生体光組成物には多くの用途がある。理論に束縛されるものではないが、本開示の生体光組成物は、創傷治癒または組織修復を促進しうる。本開示の生体光組成物は、皮膚疾患を治療するためにも使用されうる。本開示の生体光組成物は、にきびを治療するためにも使用されうる。本開示の生体光組成物は、皮膚の若返りのためにも使用されうる。本開示の生体光組成物は、急性炎症の治療のためにも使用されうる。従って、本開示の目的は、創傷に生体光治療を提供する方法を提供することで、方法は創傷治癒を促進する。にきびに罹患した皮膚組織に生体光治療を提供するための方法であって、前記方法がにきびの治療に使用される方法を提供することも本開示の目的である。皮膚疾患に罹患した皮膚組織に生体光治療を提供するための方法であって、前記方法が皮膚疾患の治療に使用される方法を提供することも本開示の目的である。皮膚組織に生体光治療を提供するための方法であって、前記方法が皮膚の若返りを促進するために使用される方法を提供することも本開示の目的である。
【0167】
特定の実施形態では、本開示は、生体光治療を創傷に提供する方法を提供し、方法は、本開示の生体光組成物を創傷部位に(例えば、局所適用によって)塗布すること、および生体光組成物の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を、生体光組成物に照射することを含む。
【0168】
一つの態様では、本開示は、第一の発色団を含む生体光組成物を局所塗布すること、および第一の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を前記生体光組成物に照射することを含む、生体光治療を創傷に提供する方法を提供するが、ここで生体光組成物は、治療中に発色団の組織中への浸出を制限するよう、浸出に対して実質的に抵抗性を持つ。一部の実施形態では、治療の間、合計発色団量の30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.8%、0.5%または0.1%未満または実質的に0%しか生体光組成物から創傷または組織中に浸出
しない。
【0169】
一つの態様では、本開示は、第一の発色団およびゲル化剤を含む生体光組成物を創傷部位に局所塗布すること、および第一の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を前記生体光組成物に照射することを含む、創傷の治療または生体光治療を創傷に提供する方法を提供するが、ここでゲル化剤は、治療中に発色団の創傷部位への浸出を実質的にブロックする。一部の実施形態では、治療の間、合計発色団量の30%、25%、20%、15%、10%
、5%、1%、0.8%、0.5%または0.1%未満または実質的に0%しか生体光組成物から創傷または組織中に浸出しない。
【0170】
また別の態様では、本開示は皮膚の若返りを促進する方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、皮膚の若返りを提供する方法を提供し、方法は、本開示の生体光組成物を皮膚に(例えば、局所適用によって)塗布すること、および生体光組成物の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を生体光組成物に照射することを含む。
【0171】
その他の態様では、本開示は、第一の発色団を含む生体光組成物を皮膚に局所塗布すること、および第一の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を前記生体光組成物に照射することを含む、皮膚の若返りを促進する方法を提供するが、ここで生体光組成物は、治療中に発色団の皮膚中への浸出を制限するよう、浸出に対して実質的に抵抗性を持つ。一部の実施形態では、治療の間、合計発色団量の30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%
、0.8%、0.5%または0.1%未満または実質的に0%しか生体光組成物から創傷または組織中に浸出しない。
【0172】
別の態様では、本開示は、第一の発色団およびゲル化剤を含む生体光組成物を皮膚に局所塗布すること、および第一の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を前記生体光組成物に照射することを含む、皮膚の若返りを促進する方法を提供するが、ここで生体光組成物は、治療中に発色団の皮膚中への浸出を実質的にブロックするよう、浸出に対して実質的に抵抗性を持つ。一部の実施形態では、治療の間、合計発色団量の30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.8%、0.5%または0.1%未満または実質的に0%しか生体光組成物
から皮膚中に浸出しない。
【0173】
また別の態様では、本開示は、皮膚疾患に罹患した標的皮膚組織に、生体光治療を提供する方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、生体光治療を標的皮膚組織に提供する方法を提供し、方法は、本開示の生体光組成物を標的皮膚組織に(例えば、局所適用によって)塗布すること、および生体光組成物の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を生体光組成物に照射することを含む。
【0174】
その他の態様では、本開示は、第一の発色団を含む生体光組成物を皮膚疾患に罹患した標的皮膚組織に局所塗布すること、および第一の発色団の吸収スペクトルと重複する波長
を持つ光を前記生体光組成物に照射することを含む、皮膚疾患を治療するための方法を提供するが、ここで生体光組成物は、治療中に発色団の皮膚中への浸出を制限するよう、浸出に対して実質的に抵抗性を持つ。一部の実施形態では、治療の間、合計発色団量の30%
、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.8%、0.5%または0.1%未満または実質的に0%しか生体光組成物から皮膚中に浸出しない。
【0175】
別の態様では、本開示は、第一の発色団およびゲル化剤を含む生体光組成物を皮膚疾患に罹患した皮膚に局所塗布すること、および第一の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を前記生体光組成物に照射することを含む、皮膚疾患を治療するための方法を提供するが、ここで生体光組成物は、治療中に発色団の皮膚中への浸出を実質的にブロックするよう、浸出に対して実質的に抵抗性を持つ。一部の実施形態では、治療の間、合計発色団量の30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.8%、0.5%または0.1%未満または実質的
に0%しか生体光組成物から皮膚中に浸出しない。
【0176】
また別の態様では、本開示は、にきびに罹患した標的皮膚組織に、生体光治療を提供する方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、生体光治療をにきびに罹患した標的皮膚組織に提供する方法を提供し、方法は、本開示の生体光組成物を標的皮膚組織に(例えば、局所適用によって)塗布すること、および生体光組成物の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を生体光組成物に照射することを含む。
【0177】
その他の態様では、本開示は、第一の発色団を含む生体光組成物をにきびに罹患した標的皮膚組織に局所塗布すること、および第一の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を、前記生体光組成物に照射することを含む、にきびを治療するための方法を提供するが、ここで生体光組成物は、治療中に発色団の皮膚中への浸出を制限するよう、浸出に対して実質的に抵抗性を持つ。一部の実施形態では、治療の間、合計発色団量の30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.8%、0.5%または0.1%未満または実質的に0%しか生体光組
成物から組織中に浸出しない。
【0178】
別の態様では、本開示は、第一の発色団を含む生体光組成物をにきびに罹患した皮膚に局所塗布すること、および第一の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を、前記生体光組成物に照射することを含む、にきびを治療するための方法を提供するが、ここで生体光組成物は、治療中に発色団の皮膚中への浸出を実質的にブロックするよう、浸出に対して実質的に抵抗性を持つ。一部の実施形態では、治療の間、合計発色団量の30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.8%、0.5%または0.1%未満または実質的に0%しか生体光組
成物から創傷または組織中に浸出しない。
【0179】
その他の態様では、本開示は、第一の発色団を含む生体光組成物を急性炎症のある標的皮膚組織に局所塗布すること、および第一の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を前記生体光組成物に照射することを含む、急性炎症を治療するための方法を提供するが、ここで生体光組成物は、治療中に発色団の皮膚中への浸出を制限するよう、浸出に対して実質的に抵抗性を持つ。一部の実施形態では、治療中、合計発色団量の30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.8%、0.5%または0.1%未満または実質的に0%しか生体光組成物
から組織中に浸出しない。
【0180】
別の態様では、本開示は、第一の発色団を含む生体光組成物を急性炎症に罹患した皮膚に局所塗布すること、および第一の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を前記生体光組成物に照射することを含む、急性炎症を治療するための方法を提供するが、ここで生体光組成物は、治療中に発色団の皮膚中への浸出を実質的にブロックするよう、浸出に対して実質的に抵抗性を持つ。一部の実施形態では、治療の間、合計発色団量の30%
、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.8%、0.5%または0.1%未満または実質的に0%しか生体光
組成物から創傷または組織中に浸出しない。
【0181】
別の態様では、本開示は、第一の発色団を含む生体光組成物を急性炎症に罹患した標的部位に局所塗布すること、および第一の発色団の吸収スペクトルと重複する波長を持つ光を前記生体光組成物に照射することを含む、真菌感染を治療するための方法を提供するが、ここで生体光組成物は、治療中に発色団の標的部位への浸出を実質的にブロックするよう、浸出に対して実質的に抵抗性を持つ。一部の実施形態では、治療の間、合計発色団量の30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.8%、0.5%または0.1%未満または実質的に0%しか
生体光組成物から創傷または組織中に浸出しない。一部の実施形態では、標的部位は皮膚または爪でありうる。
【0182】
本開示の方法での使用に適した生体光組成物は、上記の生体光組成物の実施形態の任意のものから選択されうる。例えば、本開示の方法で有用な生体光組成物は、光の適用時、少なくとも部分的に光退色を受ける第一の発色団を含みうる。第一の発色団は、約200~800 nm、200~700 nm、200~600 nmまたは200~500 nmの波長で吸収する。一つの実施形態では、第一の発色団は、約200~600 nmの波長で吸収する。一部の実施形態では、第一の
発色団は、約200~300 nm、250~350 nm、300~400 nm、350~450 nm、400~500 nm、450~650 nm、600~700 nm、650~750 nmまたは700~800 nmで光を吸収する。その他の例で
は、本開示の方法に適した生体光組成物は、少なくとも一つの追加的発色団(例えば、第二の発色団)をさらに含みうる。第二の発色団の吸収スペクトルは、第一の発色団の放射スペクトルと少なくとも約80%、50%、40%、30%、または20%重複する。一部の実施形態で
は、生体光局所組成物の第一の発色団は、第二の発色団の吸収スペクトルと少なくとも1
~10%、5~15%、10~20%、15~25%、20~30%、25~35%、30~40%、35~45%、50~60%、55~65%または60~70%重複する発光スペクトルを持つ。
【0183】
生体光組成物に光を照射すると、第一の発色団から第二の発色団へのエネルギーの移動が起こりうる。その後、第二の発色団は、エネルギーを蛍光として放射する、および/または活性酸素種を生成しうる。本開示の方法の特定の実施形態では、光の適用によって生じるエネルギー移動には、熱の生成を伴わず、組織損傷を引き起こさない。
【0184】
本方法で有用な生体光組成物は、ゲル化剤を含む。ゲル化剤には、グリセリンなどの脂質、プロピレングリコールなどのグリコール、ヒアルロン酸、硫酸グルコサミン、セルロース誘導体(ヒドロキシプロピル メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースなど)、非セルロース多糖(ガラクトマンナン、グアーガム、ナゴマメガム、アラビアゴム、インドゴム、寒天、アルギン酸塩など)およびアクリル酸ポリマーを含みうるがこれに限定されない。
【0185】
方法に少なくとも2つの発色団を持つ生体光組成物が関与する時、第一の発色団は組成
物の重量あたり約0.01~40%の量で存在し、第二の発色団は組成物の重量あたり約0.001~40%の量で存在する。特定の実施形態では、第一の発色団は、組成物の重量あたり、約0.01~1%、0.5~2%、1~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5~17.5%、15~20%、17.5~22.5%、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5~32.5%、30~35%、32.5~37.5%、または35~40%の量で存在する。特定の実施形態では、第二の発色団は、組成物の重
量あたり、約0.001~1%、0.5~2%、1~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5~17.5%、15~20%、17.5~22.5%、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5~32.5%、30~35%、32.5~37.5%、または35~40%の量で存在する。特定の実施形態では、発色団また
は発色団の組み合わせの重量あたりの合計重量は、組成物の重量あたり約0.01~1%、0.5
~2%、1~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5~17.5%、15~20%、17.5
~22.5%、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5~32.5%、30~35%、32.5~37.5%、また
は35~40.05%の量でありうる。
【0186】
本開示の方法では、任意の作用光源を使用できる。任意のタイプのハロゲン、LEDまた
はプラズマアークランプまたはレーザーが適切でありうる。適切な作用光源の主要特性は、それらが、組成物中に存在する一つ以上の光活性因子を活性化するために適切な波長(または複数の波長)の光を照射することである。一つの実施形態では、アルゴンレーザーが使用される。別の実施形態では、チタンリン酸カリウム(KTP)レーザー(例えば、GreenLight(商標)レーザー)が使用される。別の実施形態では、太陽光を使用しうる。ま
た別の実施形態では、LED光硬化装置が作用光の光源である。また別の実施形態では、作
用光の光源は、約200~800 nmの波長を持つ光源である。別の実施形態では、作用光の光
源は、約400~600 nmの波長を持つ可視光源である。さらに、作用光源は、適切な出力密
度を持つべきである。非平行光源(LED、ハロゲン、またはプラズマランプ)の適切な出
力密度は、約1 mW/cm2~約200 mW/cm2の範囲である。レーザー光源の適切な出力密度は、約0.5 mW/cm2~約0.8 mW/cm2の範囲である。
【0187】
本開示の方法の一部の実施形態では、被験者の皮膚、創傷または粘膜表面で光は、約1 mW/cm2~約500 mW/cm2、1~300 mW/cm2、または1~200 mW/cm2のエネルギーを持ち、与えられるエネルギーは、治療されている状態、光の波長、被験者の皮膚から光源までの距離、および生体光組成物の厚さに少なくとも依存する。特定の実施形態では、被験者の皮膚で光は、約1~40 mW/cm2、または20~60 mW/cm2、または40~80 mW/cm2、または60~100 mW/cm2、または80~120 mW/cm2、または100~140 mW/cm2、または120~160 mW/cm2、または140~180 mW/cm2、または160~200 mW/cm2、または110~240 mW/cm2、または110~150 mW/cm2、または190~240 mW/cm2である。
【0188】
一部の実施形態では、本開示の生体光組成物の実施形態を活性化するために携帯装置を使用でき、ここで携帯装置は、生体光組成物の発色団の吸収スペクトルに重複する放射スペクトルを持つ光を放射できる。携帯装置は、それを通して光が放射される表示画面を持ちうる、および/または携帯装置は、生体光組成物を光活性化できる懐中電灯から光を放射しうる。
【0189】
一部の実施形態では、生体光組成物を活性化するためにテレビまたはコンピュータモニターの表示画面を使用でき、ここで表示画面は、生体光組成物の光活性化剤の吸収スペクトルと重複する放射スペクトルを持つ光を放射しうる。
【0190】
特定の実施形態では、第一および/または第二の発色団(存在する時)は、太陽またはその他の光源から由来しうる周辺光によって光活性化されうる。周辺光とは、目に見える光源のない部屋ですべての方向から来る一般的な照明と考えられうる。 特定の実施形態
では、第一および/または第二の発色団(存在する時)は、電磁スペクトルの可視範囲の光によって光活性化されうる。周辺光への暴露時間は、直接光への暴露時間より長い可能性がある。
【0191】
特定の実施形態では、周辺光と直接LED光の組み合わせなど、異なる光源を使用して、
生体光組成物を光活性化しうる。
【0192】
必要となる作用光への暴露持続時間は、治療表面積、治療されている病変、外傷または傷害のタイプ、出力密度、光源の波長および帯域幅、生体光組成物の厚さ、および光源からの治療距離に依存する。蛍光による治療エリアの照射は、数秒または数分の一秒で起こりうるが、本開示の組成物への吸収、反射および再放射光の相乗効果および治療されている組織とそれの相互作用を生かすために、暴露時間の延長は有益である。一つの実施形態では、生体光組成物が塗布された組織、皮膚または創傷の作用光への暴露時間は、1分~5分の間である。別の実施形態では、生体光組成物が塗布された組織、皮膚または創傷の作
用光への暴露時間は、1分~5分の間である。一部のその他の実施形態では、生体光組成物は、1分~3分の間照射される。特定の実施形態では、光は、1~30秒、15~45秒、30~60
秒、0.75~1.5分、1~2分、1.5~2.5分、2~3分、2.5~3.5分、3~4分、3.5~4.5分、4~5分、5~10分、10~15分、15~20分、20~25分、または20~30分の間適用される。また別の実施形態では、作用光源は、適切な暴露時間中、治療エリアの上で連続動作する。また別の実施形態では、生体光組成物および作用光の複数回適用が行なわれる。一部の実施形態では、組織、皮膚または創傷は、少なくとも2回、3回、4回、5回または6回、作用光に
暴露される。一部の実施形態では、作用光への暴露の前に、生体光組成物の新しい塗布が行なわれる。
【0193】
本開示の方法では、生体光組成物は、光の適用後に、随意に治療部位から取り除かれうる。特定の実施形態では、生体光組成物は、治療部位上に、30分を超えて、1時間を越え
て、2時間を越えて、3時間を越えて塗布されたままにされる。これには周辺光を照射しうる。乾燥を防ぐために、組成物は、ポリマーフィルムなどの透明または透光性カバー、または照射前に取り外しうる不透明カバーで覆うことができる。
【0194】
(5)創傷および創傷治癒
本開示の生体光組成物および方法は、創傷を治療し創傷治癒を促進するために使用されうる。本開示の生体光組成物および方法によって治療されうる創傷には、例えば、異なる方法で始まり、異なる特性を持つ、皮膚および皮下組織への傷害(例えば、長期間のベッド休養による褥瘡、外傷によって誘発された創傷、歯周炎などの状態によって誘発された創傷)を含む。特定の実施形態では、本開示は、例えば、やけど、切開、切除、裂傷、剥離、刺創または穿通創、手術創、挫傷、血腫、圧挫損傷、痛みおよび潰瘍の治療および/または治癒を促進するための生体光組成物および方法を提供する。
【0195】
本開示の生体光組成物および方法は、耐久性のある構造的、機能的、および美容的閉合を作るための順序正しくタイムリーな一連のイベントをたどらなかった創傷である、慢性皮膚潰瘍または創傷の治療および/または治癒を促進するために使用されうる。慢性創傷の大部分は、その病因に基づいて、褥瘡、神経障害性(糖尿病性足部)潰瘍および血管性(静脈性または動脈性)潰瘍の3つのカテゴリーに分類できる。
【0196】
特定のその他の実施形態では、本開示は、グレードI~IVの潰瘍の治療および/または
治癒の促進のための生体光組成物および方法を提供する。特定の実施形態では、本出願は、特にグレードIIの潰瘍での使用に適した組成物を提供する。潰瘍は、創傷の深さによって4つのグレードに分類されうる:i) グレードI:上皮に限定された創傷、ii) グレードII:真皮に拡大した創傷、iii) グレードIII:皮下組織に拡大した創傷、およびiv) グレ
ードIV(または全層損傷):骨が露出した創傷(例えば、大転子または仙骨などの骨の圧点)。
【0197】
例えば、本開示は、糖尿病性潰瘍の治療および/または治癒の促進のための生体光組成物および方法を提供する。糖尿病患者は、神経性および血管性の両方の合併症のために、足およびその他の潰瘍形成を起こしやすい。末梢神経障害は、足および/または脚の感覚の変化または完全喪失を起こしうる。進行した神経障害を持つ糖尿病患者は、鋭いものと鈍いものを区別するすべての能力を失う。神経障害患者は、足への切り傷または外傷に、数日または数週間、全く気が付かないことがある。進行した神経障害を持つ患者は、持続的な圧力損傷を感じる能力を失い、その結果、組織虚血および壊死が起こり、例えば足底潰瘍形成につながりうる。微小血管疾患は、糖尿病の重大な合併症の一つで、潰瘍形成にもつながりうる。特定の実施形態では、慢性創傷の治療のための組成物および方法が本書に提供されており、慢性創傷は、糖尿病の神経性および/または血管性の合併症による糖尿病性足部潰瘍および/または潰瘍形成によって特徴付けられる。
【0198】
その他の例では、本開示は、褥瘡の治療および/または治癒の促進のための生体光組成物および方法を提供する。褥瘡には、床擦れ、褥瘡性潰瘍および坐骨結節潰瘍を含み、患者にかなりの痛みおよび不快感を生じうる。褥瘡は、皮膚に長時間圧力が加えられた結果として起こりうる。従って、個人の体重または質量のために、患者の皮膚に圧力が加えられうる。褥瘡は、皮膚のエリアへの血液供給が、2時間または3時間を超えて妨害または遮断された時に発症しうる。影響を受けた皮膚エリアは、赤くなり、痛くなって壊死しうる。治療しない場合、皮膚が破れて開き、感染しうる。従って潰瘍のただれは、例えば、長時間ベッドに横になる、車椅子に座る、および/またはギブス包帯を装着することから、圧力下にある皮膚のエリアに起こる皮膚潰瘍である。褥瘡は、人が寝たきり、無意識、痛みを感じることができない、または動けない時に起こりうる。褥瘡は、臀部エリア(仙骨または腸骨稜上)、または足のかかとなど、体の骨張った隆起に起こることがよくある。
【0199】
その他の例では、本開示は、急性創傷の治療および/または治癒の促進のための生体光組成物および方法を提供する。
【0200】
本開示の生体光組成物および方法によって治療できる創傷のさらなるタイプには、米国特許出願公開第20090220450号に開示されているものが含まれ、これは参照により本書に
組み込まれる。
【0201】
成体組織の創傷治癒は複雑な修復過程である。例えば、皮膚の治癒過程には、さまざまな特殊化した細胞の創傷部位への動員、細胞外基質および基底膜沈着、血管新生、選択的プロテアーゼ活性および再上皮形成が関与する。
【0202】
創傷治癒過程には3つの明確な段階がある。第一に、創傷が起こった時から最初の2~5
日までに典型的に起こる炎症段階では、血小板が凝集して顆粒を沈着し、フィブリンの沈着を促進し、成長因子の放出を刺激する。白血球が創傷部位に移動し、破片を消化して創傷から外に移動し始める。この炎症段階の間、単球もマクロファージに変換され、これは血管新生および線維芽細胞の生成を刺激するために成長因子を放出する。
【0203】
第二に、典型的には2日~3週間起こる増殖段階では、肉芽組織が形成され、上皮形成および収縮が開始される。この段階の重要な細胞タイプである線維芽細胞は、増殖してコラーゲンを合成し、創傷を満たして、その上で上皮細胞が成長する強い基質を提供する。線維芽細胞がコラーゲンを生成すると、血管新生が近くの血管から拡大し、肉芽組織を生じる。肉芽組織は、典型的には創傷の基部から成長する。上皮形成には、創傷を密封するために、上皮細胞の、創傷表面からの移動を伴う。上皮細胞は、類似のタイプの細胞に接触する必要性によって促進され、これらの細胞がその上を移動するグリッドとして機能するフィブリン鎖のネットワークによって誘導されている。筋線維芽細胞と呼ばれる収縮性細胞が創傷中に現れ、創傷の閉鎖を助ける。これらの細胞は、コラーゲン合成および収縮性を示し、肉芽創では一般的である。
【0204】
第三に、3週間から数年まで起こりうる創傷治癒の最終段階の再形成段階では、瘢痕中
のコラーゲンが繰り返し分解および再合成を受ける、この段階の間、新しく形成された皮膚の引張強度が増加する。
【0205】
しかし、創傷治癒の速度が増すと、瘢痕形成の関連増加がよく起こる。瘢痕化は、大部分の成体動物およびヒト組織における治癒過程の結果である。瘢痕組織は、通常、機能品質が劣るため、それを置換する組織と同一ではない。瘢痕のタイプには、萎縮性、肥大性およびケロイド性瘢痕、および瘢痕拘縮が含まれるがこれに限定されない。萎縮性瘢痕は平らで、谷または穴として周辺の皮膚よりも下にくぼんでいる。肥大性瘢痕は、元の病変
の境界内に留まっている隆起した瘢痕であり、異常なパターンで配列された過剰のコラーゲンを含むことがよくある。ケロイド性瘢痕は、元の創傷の縁を越えて広がる隆起した瘢痕であり、周辺の正常皮膚に部位特異的な方法で侵入し、異常な形状で配置された渦巻き状コラーゲンをしばしば含む。
【0206】
それに対して、正常皮膚は、バスケットウィーブパターンに配列されたコラーゲン線維から成り、これは真皮の強度と弾性の両方に寄与する。従って、より滑らかな創傷治癒過程を達成するためには、コラーゲン生成を刺激するだけでなく、瘢痕形成を減少させる方法でそれを行うアプローチが必要である。
【0207】
本開示の生体光組成物および方法は、実質的に均一な上皮化形成の促進、コラーゲン合成の促進、制御された収縮の促進によって、および/または瘢痕組織の形成の低減によって、創傷治癒を促進する。特定の実施形態では、本開示の生体光組成物および方法は、実質的に均一な上皮化の形成を促進することによって創傷治癒を促進しうる。一部の実施形態では、本開示の生体光組成物および方法は、コラーゲン合成を促進する。一部の実施形態では、本開示の生体光組成物および方法は、制御された収縮を促進する。特定の実施形態では、本開示の生体光組成物および方法は、例えば、瘢痕組織の形成を減少させることによって、または創傷の閉鎖過程を加速することによって、創傷治癒を促進する。特定の実施形態では、本開示の生体光組成物および方法は、例えば、炎症を減少させることによって、創傷治癒を促進する。特定の実施形態では、生体光組成物は、瘢痕の修正を最適化するために、瘢痕閉鎖の後に使用できる。この場合、生体光組成物は、週1回または、医
師によって適切と見なされる間隔など、定期的な間隔で適用されうる。
【0208】
生体光組成物は、織物または不織布材料またはスポンジに浸漬して、創傷包帯として適用されうる。LEDまたは導波管などの光源は、組成物を照射するために、創傷包帯または
組成物の中またはそれに隣接して提供されうる。導波管は、その端部からだけでなく、本体からも光を伝導できる光ファイバーでありうる。例えば、ポリカーボネートまたはポリメチルメタクリレートから成る。
【0209】
局所的または全身性(抗生物質治療など)でありうる補助療法も、使用しうる。創傷閉鎖を補助および/または組成物を除去するために、陰圧閉鎖補助創傷閉鎖も使用できる。
【0210】
(6)にきびおよびにきび跡
本開示の生体光組成物および方法は、にきびを治療するために使用しうる。本書で使用される場合、「にきび」とは、皮膚腺または毛包の炎症によって生じる皮膚の疾患を意味する。本開示の生体光組成物および方法は、早期の発現前段階またはにきびの病変が目に見える後の段階で、にきびを治療するために使用できる。軽度、中程度および重度のにきびは、生体光組成物および方法の実施形態で治療できる。にきびの発現前の早期段階は、毛嚢脂腺器官にある皮脂腺からの皮脂または真皮油の過剰分泌で通常始まる。皮脂は、毛包の管を通して皮膚表面に達する。管の中および皮膚上での過剰量の脂質の存在は、毛包管からの脂質の正常な流れを妨害または停滞させる傾向があり、そのため脂質の濃縮化および固化を起こして、面皰として知られる固体の栓を作る。にきびの発症の正常な順序では、毛包口の過角化が刺激され、そのため管のブロックを完結する。通常の結果は、丘疹、膿疱、または嚢胞で、細菌で汚染されていることがよくあり、これは二次感染を引き起こす。にきびは、面皰、炎症性丘疹、または嚢胞の存在によって具体的に特徴付けられる。にきびの外観は、わずかな皮膚炎から、陥凹および外観を損なう瘢痕の発現までに及びうる。結果的に、本開示の生体光組成物および方法は、皮膚炎、陥凹、瘢痕の発現、面皰、炎症性丘疹、嚢胞、過角化、およびにきびに関連した脂質の濃厚化および硬化の一つ以上を治療するために使用できる。
【0211】
組成物は、織物または不織布材料またはスポンジに浸漬するかまたは塗布して、顔、体、腕、脚などの体の部分へのマスクとして適用されうる。LEDまたは導波管などの光源は
、組成物を照射するために、マスクまたは組成物の中またはそれに隣接して提供されうる。導波管は、その端部からだけでなく、本体からも光を伝導できる光ファイバーでありうる。例えば、ポリカーボネートまたはポリメチルメタクリレートから成る。
【0212】
本開示の生体光組成物および方法は、さまざまなタイプのにきびを治療するために使用されうる。にきびの一部のタイプには、例えば、尋常性座瘡、嚢腫性座瘡、萎縮性座瘡、臭素座瘡、塩素座瘡、集簇性座瘡、化粧品性座瘡、洗剤性座瘡、流行性座瘡、夏季座瘡、電撃性座瘡、ハロゲン座瘡、硬結性座瘡、ヨード座瘡、座瘡ケロイド、機械的座瘡、丘疹性座瘡、ポマード座瘡、月経前座瘡、膿疱性座瘡、壊血病性座瘡、腺病性座瘡、蕁麻疹様座瘡、痘瘡状座瘡、毒物性座瘡、プロピオン酸座瘡、表皮剥離性座瘡、グラム陰性座瘡、ステロイド座瘡および結節嚢胞性座瘡が含まれる。
【0213】
(7)皮膚の老化および若返り
真皮は、皮膚の2番目の層で、皮膚の構造要素である結合組織を含む。異なる機能を持
つさまざまなタイプの結合組織がある。エラスチン線維は、皮膚に弾力性を与え、コラーゲンは皮膚に強度を与える。
【0214】
真皮と表皮の間の接合点は、重要な構造である。真皮・表皮接合部は、連結して指のような上皮小稜を形成する。表皮の細胞は、真皮の血管から栄養素を受け取る。上皮小稜は、これらの血管および必要な栄養素に曝される表皮の面積を増加させる。
【0215】
皮膚の老化には、皮膚への著しい生理学的変化が伴う。新しい皮膚細胞の生成は減速し、真皮・表皮接合部の上皮小稜は平らになる。エラスチン線維の数は増加するが、その構造および結合力は減少する。皮膚の老化と共に、コラーゲンの量および真皮の厚さも減少する。
【0216】
コラーゲンは、皮膚の細胞外基質の主な構成要素で、構造骨組を提供する。老化過程の間、コラーゲン合成の減少およびコラーゲン線維の不溶化は、真皮の菲薄化および皮膚の生物力学特性の低下に寄与する。
【0217】
皮膚の生理学的変化は、しばしば経時老化、内因性老化、および光老化と呼ばれる、顕著な老化症状をもたらす。皮膚はより乾燥し、粗さおよび落屑が増加し、外観がくすみ、最も明瞭には小皺およびしわが現れる。皮膚の老化のその他の症状または兆候には、薄く透明な皮膚、(こけた頬と眼窩並びに手および首の堅さの顕著な喪失につながる)下層脂肪の減少、骨量の減少(骨量減少のために骨が皮膚から離れて縮小し、皮膚のたるみを生じる)、乾燥肌(痒い場合がある)、皮膚を冷却するために十分に汗をかくことができない、望ましくない顔の毛、そばかす、しみ、クモ状静脈、荒れてガサガサの肌、伸ばすと消える小皺、たるんだ皮膚、まだらな顔色が含まれるがこれに限定されない。
【0218】
真皮・表皮接合部は、表皮のケラチン生成細胞を、真皮の下部にある細胞外基質から分離する基底膜である。この膜は、ケラチン生成細胞と接触している基底膜、および細胞外基質と接触している下層網状板の2つの層から構成される。基底膜は、コラーゲンのタイ
プIVおよび、構造ネットワークおよび細胞付着のための生体接着特性を提供する役割を果たす分子であるラミニンを豊富に含む。
【0219】
ラミニンは、基底膜にのみ存在する糖タンパク質である。これは、非対称な十字の形状に配置され、ジスルフィド結合で一緒に保持された3つのポリペプチド鎖(アルファ、ベ
ータおよびガンマ)から成る。3つの鎖は、ラミニン1およびラミニン5を含む、ラミニン
の12の異なるイソ型を生じる、異なるサブタイプとして存在する。
【0220】
真皮は、α-インテグリンおよびその他のタンパク質から成る、ケラチン生成細胞上に
ある特定接合点である半接着斑に、ケラチン生成細胞の基底膜の所でタイプVIIコラーゲ
ン原線維によって固定されている。ラミニン、および特にラミニン5は、基底ケラチン細
胞中の半接着斑膜貫通タンパクとタイプVIIコラーゲンとの間の実際の固定点を構成する
。
【0221】
ラミニン5合成およびタイプVIIコラーゲン発現は、老化した皮膚では減少することが証明されている。これによって、真皮と表皮の間の接触が失われ、皮膚が弾力性を失い、垂れ下がるようになる。
【0222】
最近、表情じわと一般的に呼ばれる別のタイプのしわが、一般的認知を得た。これらのしわは、特に真皮での復元力の低下を必要とするが、このため顔の表情を作る顔の筋肉が皮膚にストレスを与える時、皮膚が元の状態にもはや戻ることができず、表情じわを生じる。
【0223】
本開示の組成物および方法は、皮膚の若返りを促進する。特定の実施形態では、本開示の生体光組成物および方法は、コラーゲン合成を促進する。特定のその他の実施形態では、本開示の組成物および方法は、小皺またはしわの出現、薄く透明な皮膚、(こけた頬と眼窩並びに手および首の堅さの顕著な喪失につながる)下層脂肪の減少、骨量の減少(骨量減少のために骨が皮膚から離れて縮小し、皮膚のたるみを生じる)、乾燥肌(痒い場合がある)、皮膚を冷却するために十分に汗をかくことができない、望ましくない顔の毛、そばかす、しみ、クモ状静脈、荒れてガサガサの肌、伸ばすと消える小皺、たるんだ皮膚、またはまだらな顔色が含まれるがこれに限定されない皮膚老化の一つ以上の兆候を減少、軽減、遅延または逆転さえしうる。特定の実施形態では、本開示の組成物および方法には、毛穴サイズの減少を誘発し、皮膚小区分のスカルプチャー、および/または皮膚の透光性を高めうる。
【0224】
(8)皮膚疾患
本開示の生体光組成物および方法は、紅斑、毛細血管拡張症、血管拡張性座瘡、乾癬、皮膚がん、天疱瘡、日焼け、皮膚炎、湿疹、発疹、膿痂疹、慢性単純性苔癬、鼻瘤、口囲皮膚炎、鬚髯毛嚢炎、薬疹、多形性紅斑、結節性紅斑、環状肉芽腫、光線角化症、紫斑病、円形脱毛症、アフタ性口内炎、薬疹、乾燥肌、あかぎれ、乾燥症、尋常性魚鱗癬、真菌感染、寄生虫感染、単純疱疹、間擦疹、ケロイド、角化症、汗疹、伝染性軟属腫、バラ色粃糠疹、掻痒、じんましん、および血管腫瘍および奇形を含むがこれに限定されない皮膚疾患の治療に使用されうる。皮膚炎には、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、貨幣状皮膚炎、全身性剥脱性皮膚炎、およびうっ滞性皮膚炎が含まれる。皮膚がんには、黒色腫、基底細胞がん、および扁平上皮がんが含まれる。
【0225】
一部の皮膚疾患は、赤み、顔面紅潮、ヒリヒリ感、落屑、吹き出物、丘疹、膿疱、面皰、斑、結節、小疱、水疱、毛細血管拡張症、クモ状静脈、痛み(sores)、表面の過敏ま
たは痛み、痒み、炎症、赤、紫または青い斑点または変色、ほくろ、および/または腫瘍を含むさまざまな症状を呈する。従って、本開示の生体光組成物および方法は、赤み、顔面紅潮、ヒリヒリ感、落屑、吹き出物、丘疹、膿疱、面皰、斑、結節、小疱、水疱、毛細血管拡張症、クモ状静脈、痛み(sores)、表面の過敏または痛み、痒み、急性炎症、赤
、紫または青い斑点または変色、ほくろ、および/または腫瘍を治療するために使用できる。急性炎症は、痛み、熱、赤み、腫れおよび機能の喪失として現れうる。これには、例えば、虫刺され(蚊、ミツバチ、スズメバチ、アリ、クモなど)、ウルシまたはイラクサなどへの反応、切除後治療など、アレルギー反応で見られるものが含まれる。
【0226】
組成物は、織物または不織布材料またはスポンジに浸漬するかまたは塗布して、皮膚疾患を治療するために体の部分にマスクとして適用されうる。LEDまたは導波管などの光源
は、組成物を照射するために、マスクまたは組成物の中またはそれに隣接して提供されうる。導波管は、その端部からだけでなく、本体からも光を伝導できる光ファイバーでありうる。例えば、導波管はポリカーボネートまたはポリメチルメタクリレートで作ることができる。
【0227】
(9)キット
本開示は、本開示の組成物のいずれかの調製および/または適用のためのキットも提供する。キットは、光源、組成物の適用または除去のための装置、組成物および/または光源の使用のための指示の一つ以上と共に、上記に定義された生体光局所組成物を含みうる。一部の実施形態では、組成物は、ゲル化剤に少なくとも第一の発色団を含む。発色団は、組成物の重量あたり約0.001~0.1%、0.05~1%、0.5~2%、1~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5~17.5%、15~20%、17.5~22.5%、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5~32.5%、30~35%、32.5~37.5%、または35~40%の量で存在しうる。生体光
局所組成物が、複数の発色団を含む実施形態では、第一の発色団は組成物の重量あたり約0.01~40%の量で存在し、第二の発色団は組成物の重量あたり約0.0001~40%の量で存在しうる。特定の実施形態では、第一の発色団は、組成物の重量あたり、約0.01~0.1%、0.05~1%、0.5~2%、1~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5~17.5%、15~20%、17.5~22.5%、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5~32.5%、30~35%、32.5~37.5%、または35~40%の量で存在する。特定の実施形態では、第二の発色団は、組成物の重量あたり、約0.001~0.1%、0.05~1%、0.5~2%、1~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5~17.5%、15~20%、17.5~22.5%、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5
~32.5%、30~35%、32.5~37.5%、または35~40%の量で存在する。特定の実施形態では、発色団または発色団の組み合わせの量は、組成物の重量あたり約0.05~40.05%の量でありうる。特定の実施形態では、発色団または発色団の組み合わせの量は、組成物の重量あたり約0.001~0.1%、0.05~1%、0.5~2%、1~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5~17.5%、15~20%、17.5~22.5%、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5~32.5%、30~35%、32.5~37.5%、または35~40.05%の量でありうる。組成物は、組成物の重量に対して重量で約0.01%~40%、0.01%~1.0%、0.5%~10.0%、5%~15%、10%~20%、15%~25%
、20%~30%、15.0%~25%、20%~30%、25%~35%、または30%~40%の量で存在する酸素放出剤を含む。または、キットは、発色団含有組成物とは別の構成要素として酸素放出剤を含みうる。
【0228】
一部の実施形態では、キットは、例えば、第一および第二の組成物など、複数の組成物を含む。第一の組成物は酸素放出剤を含み、第二の組成物はゲル化剤中に第一の発色団を含みうる。第一の発色団は、約400 nm~約570 nmの間の放射波長を持ちうる。酸素放出剤は、第一の組成物の重量に対して重量で約0.01%~1.0%、0.5%~10.0%、5%~15%、10%~20%、15%~25%、20%~30%、15.0%~25%、20%~30%、25%~35%、30%~40%または35%~45%の
量で存在しうる。発色団は、第二の組成物の重量あたり約0.001~0.1%、0.05~1%、0.5~2%、1~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5~17.5%、15~20%、17.5~22.5%、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5~32.5%、30~35%、32.5~37.5%、または35~40%の量で、第二の組成物中に存在しうる。第二の組成物が複数の発色団を含む実施形
態では、第一の発色団は第二の組成物の重量あたり約0.01~40%の量で存在し、第二の発
色団は第二の組成物の重量あたり約0.0001~40%の量で存在しうる。特定の実施形態では
、第一の発色団は、第二の組成物の重量あたり、約0.001~0.1%、0.05~1%、0.5~2%、1
~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5~17.5%、15~20%、17.5~22.5%
、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5~32.5%、30~35%、32.5~37.5%、または35~40%の量で存在する。特定の実施形態では、第二の発色団は、第二の組成物の重量あたり、
約0.001~0.1%、0.05~1%、0.05~1%、1~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5~17.5%、15~20%、17.5~22.5%、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5~32.5%
、30~35%、32.5~37.5%、または35~40%の量で存在する。特定の実施形態では、発色団
または発色団の組み合わせの量は、第二の組成物の重量あたり約0.05~40.05%の量でありうる。特定の実施形態では、発色団または発色団の組み合わせの量は、第二の組成物の重量あたり約0.001~0.1%、0.05~1%、0.5~2%、1~5%、2.5~7.5%、5~10%、7.5~12.5%、10~15%、12.5~17.5%、15~20%、17.5~22.5%、20~25%、22.5~27.5%、25~30%、27.5
~32.5%、30~35%、32.5~37.5%、または35~40.05%の量でありうる。
【0229】
一部のその他の実施形態では、第一の組成物は、第一の発色団を液体または粉末として含み、第二の組成物は、第一の組成物を濃厚化させるためのゲル化組成物を含みうる。酸素放出剤は、キットの第二の組成物中、または第三の組成物中に含有されうる。一部の実施形態では、キットは、本開示の組成物を含む容器を含む。一部の実施形態では、キットは、酸素放出剤を含む第一の組成物を含む第一の容器、および少なくとも一つの発色団を含む第二の組成物を含む第二の容器を含む。容器は、光透過性、気密および/または空気漏れ抵抗性でありうる。模範的容器には、シリンジ、バイアル、またはパウチを含むがこれに限定されない。第一および第二の組成物は、同じ容器内に含まれうるが、ユーザーが組成物を混合するまで互いに分離されている。例えば、容器は、チャンバーの内容物が、チャンバーからの組成物の排出時に混合される、二重チャンバーシリンジでありうる。別の例では、パウチは、壊れやすい膜で分離された2つのチャンバーを含みうる。別の例で
は、一つの構成要素はシリンジに含まれており、第二の構成要素を含む容器中に注入しうる。
【0230】
生体光組成物は、生体光組成物の一つ以上の構成要素を保持するための一つ以上のチャンバーおよび、容器から生体光組成物を排出するための一つ以上のチャンバーと連通している出口を備える容器中にも提供されうる。一つの実施形態では、生体光組成物の排出は、組成物の構成要素の混合を生じ、15%未満の浸出特性を持つ生体光組成物を形成する。
【0231】
その他の実施形態では、キットは、組成物の治療を向上させる全身性または局所性薬剤を含む。例えば、キットは、にきび治療または創傷治癒のための全身性または局所性抗生物質またはホルモン治療を含みうる。
【0232】
本開示による生体光組成物の使い方についての書面指示をキットに含めるか、または本開示の組成物を含む容器に含めるか関連させうる。
【0233】
特定の実施形態では、キットは、包帯であるさらなる構成要素を含みうる。包帯は、生体光組成物を受け入れるために多孔質または半多孔質でありうる。包帯は、織物または不織布繊維材料を含みうる。
【0234】
キットの特定の実施形態では、キットは、生体光組成物の発色団を活性化するために適切な波長を持つ携帯光などの光源をさらに含みうる。携帯光は、電池式または再充電式でありうる。
【0235】
特定の実施形態では、キットは、一つ以上の導波管をさらに含みうる。
【0236】
同等の組成物の同一性、方法およびキットは、通常の実施者の技能の範囲内であり、本開示の教えを考慮すると、通常の実験以上のものを必要としない。本開示の実施は、以下の実施例からさらに完全に理解されるが、これらは、例示目的のみで本書に提示されており、いかなる方法でも本開示を制限するとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0237】
実施例
以下の実施例は、本開示のさまざまな実施形態の実施を例示するために提供されている。それらは、本開示の範囲全体を制限または定義することを目的としていない。
【0238】
実施例1
本開示の実施形態によるゲル中(約12%の過酸化カルバミドを含む)(i) 約0.09 mg/mL
のフルオレセインナトリウム塩、(ii) 約0.305 mg/mLのエオシンY、および(iii) 約0.09 mg/mLのフルオレセインナトリウム塩と約0.305 mg/mLのエオシンYの混合物の光力学特性
が評価された。次のパラメータと共にFlexstation 384 II分光計が使用された:蛍光モード、励起460 nm、放射スペクトル465~750 nm。吸収および放射スペクトルは、組み合わ
せた発色団の間のエネルギー移動を示す
図6a-6bに示されている。
【0239】
実施例2
水溶液中の、(i) 最終濃度0.18 mg/mLのフルオレセインナトリウム塩、(ii) 約0.305 mg/mLのエオシンY、および(iii) 約0.18 mg/mLのフルオレセインナトリウム塩と約0.305 mg/mLのエオシンYの混合物の光力学特性が評価された。次のパラメータと共にFlexstation
384 II分光計が使用された:蛍光モード、励起460 nm、放射スペクトル465~750 nm。吸収および放射スペクトルは、組み合わせた発色団の間のエネルギー移動を示す
図7a-7bに示されている。
【0240】
実施例3
本発明の実施形態による、約12%過酸化カルバミド(セットA)を含むゲル中の(i) 約0.085 mg/mLのローズベンガル、(ii)最終濃度が約0.44 mg/mLのフルオレセインナトリウム
塩、(iii) 約0.305 mg/mLのエオシンY、および(iv) (i)、(ii)および(iii)の混合物の光
力学特性が評価された。次のパラメータと共にFlexstation 384 II分光計が使用された:蛍光モード、励起460 nm、放射スペクトル465~750 nm。吸収および放射スペクトルは、
発色団の組み合わせの発色団の間のエネルギー移動を示す
図8a-8bに示されている。
【0241】
実施例4
水溶液(セットA)中の(i) 約0.085 mg/mLのローズベンガル、(ii)最終濃度が約0.44 mg/mLのフルオレセインナトリウム塩、(iii) 約0.305 mg/mLのエオシンY、および(iv) (i)、(ii)および(iii)の混合物の光力学特性が評価された。次のパラメータと共にFlexstation 384 II分光計が使用された:蛍光モード、励起460 nm、放射スペクトル465~750 nm。吸収および放射スペクトルは、酸素放出剤が存在しない場合の、発色団の組み合わせの発色団の間のエネルギー移動を示す
図9a-9bに示されている。
エネルギー移動は、その他の組み合わせの中で、エオシンYとローズベンガル、フロキ
シンBとエオシンY、フロキシンB、エオシンYおよびフルオレセインの間でも見られた。エネルギー移動が、本開示の生体光組成物中でも起こりうることが合理的に推測される。
【0242】
実施例5
12週間の無作為化、顔面分割臨床試験が、中程度~重度の顔面座瘡を持つ90人の患者(14~30歳)で実施された。中程度の顔面座瘡は、「治験責任医師の包括的評価(IGA)が3で、20~40個の炎症病変および1個以下の結節」を持つものと定義された。重度の顔面座
瘡は、「IGAが4で、40個を超える炎症病変および2個を超える結節の存在および/または
重度の紅斑および炎症性瘢痕型の病変の存在」を持つものと定義された。各患者に対して、顔の無作為に選択された側を、過酸化カルバミドを含むカルボマーポリマーベースのゲル中に発蛍光団(エオシンY)を含む、広げることができる透光性の生体光組成物で、週2回、6週間治療した。生体光ゲルは、実施例6に従って最大30分間試験した時、発色団の15%未満の浸出を示した。治療には、生体光組成物を治療エリアに局所塗布すること、およ
び組成物をLED光源からの光(ピーク波長範囲400~470 nm)に約5分間暴露することを含
んでいた。その他の片側顔面は、6週間の間治療されないままであった。顔の治療側およ
び未治療側が、12週間後に評価された。結果が以下の表1~5に示されている。治療中、生体光ゲルが照射された時に観察された蛍光スペクトルが、
図10に示されている。治療は患者で良好な忍容性を示し、重篤な有害事象はなかった。患者の80%が、有害事象の報告な
しに治験を完了した。第4週に、治療側では炎症病変(丘疹、膿疱および結節を含む)の30%の減少があり、これに対して未治療側では9.0%の減少であった。第6週では、減少は治
療側で46.8%で未治療側で18.4%となり、第12週では、減少は治療側で59.2%、未治療側で35.6%であった。
【0243】
【0244】
【0245】
【0246】
【0247】
【0248】
図10は、生体光組成物から放射される光の経時的強度を示す発光スペクトルである。
【0249】
実施例6 - ポリカーボネート膜を使用した浸出試験
図5は、本開示の生体光組成物からの発色団またはその他の化合物(例えば、酸素放出
剤)の浸出を評価するin vitro放出試験の実験セットアップを示す。このin vitro試験では、生体光組成物の2 mmの厚さの層を、直径2.4~3 cm、厚さ10ミクロン、細孔径3ミクロンの円形ポリカーボネート(PC)膜の上面に塗布する。膜の下面は、閉鎖区画(すなわち、受容体区画)に含まれるリン酸生理食塩水緩衝液(PBS)と直接接触している。次に、
異なる時点(例えば、5、10、20、および30分)で受容体区画からサンプル(100 μl x 2
)を取り、分光光度法またはその他の任意の適切な方法を使用して、発色団またはその他の任意の生体光組成物の構成要素の濃度を評価する。
例えば、試験されている発色団がエオシンの場合、約517 nmの波長(吸光度)が使用されうる。次に、PBS中で調製され、同時に測定された既知濃度の発色団標準に基づいて、
発色団の濃度が計算されうる。過酸化物の存在(すなわち、酸素放出剤の指標)も、過酸化物試験用スティック(例えば、Quantofix Peroxide 25、Sigma Aldrich)を使用して評価できる。
表6は、本開示に従った異なる生体光組成物に対する浸出データを要約している。すべ
ての組成物は、約10,000~80,000 cPの粘度を持つ、広げることができる透光性のゲルで
あった。受容体区画内で見られた過酸化水素量は、表6の過酸化物を含むすべての組成物
で非常に低かった。分光光度法による発色団の検出方法では、0.2 μg/mlからの発色団濃度を測定できる。試験されたすべての生体光組成物では、発色団の放出は時間と共に増加した。すべての組成物で、5分、10分、15分および25分の培養後に、浸出した発色団は15%未満であった。過酸化尿素を含むカルボポールポリマーゲル中のエオシンY(0.2%)を除
いて、すべての試験された組成物では、30分の培養後でも発色団の浸出は15%未満であっ
たが、これは本開示の多くの実施形態によると、治療時間よりも長い時間である。
生体光組成物から浸出している発色団への照射の効果も調査された。生体光組成物に、5 cmの距離で光を5分間照射すると、発色団の光退色を誘発することがわかった。実際、発
色団は、約2~3分で光退色した。これらの場合、発色団は、受容体区画では検出できなかった。従って、治療に伴う光照射の間、表9に示される結果よりもさらに低い発色団の浸
出が合理的に予想できる。
【0250】
【0251】
実施例7 - 本開示の生体光組成物の血管新生能力
本開示の生体光組成物の血管新生能力を評価するために、ヒトの皮膚モデルが開発された。手短には、過酸化尿素を含むカルボマーポリマーベースのゲル中に発色団(エオシンYおよびエリスロシン)を含む生体光組成物を、線維芽細胞およびケラチン生成細胞を含
むヒト皮膚モデルの上に配置した。広げることができる透光性の生体光組成物は、実施例6に従って別々に試験した場合、30分までの発色団の浸出は15%未満であった。皮膚モデル
および組成物は、細孔径20ミクロンのナイロンメッシュで分離された。次に組成物は、青い光(「活性化光」)で、光源から5 cmの距離で5分間照射された。活性化光は、約400~470 nmの平均ピーク波長、および10 cmで測定した時、7.7 J/cm
2~11.5 J/cm
2の出力強度を持つLEDランプから放射された光で構成された。活性化光での照射時、生体光組成物は
蛍光を放射した(
図4)。生体光組成物と細胞の接触は制限されていたので、線維芽細胞
およびケラチン生成細胞が、主に活性化光および生体光組成物から放射された蛍光に暴露された。次に、治療されたヒト3D皮膚モデルからの馴化培地が、以前にマトリゲルに蒔かれたヒト大動脈内皮細胞に適用された。24時間後に、内皮細胞による管の形成が顕微鏡で観察・モニターされた。光照射治療された3D皮膚モデルからの馴化培地は、in vitroで内皮管形成を誘発し、線維芽細胞およびケラチン生成細胞による因子の生成を介した血管新生に対する光治療(青い光および蛍光)の間接的効果を示唆している。単純培地および未治療皮膚サンプルからの馴化培地を対照として使用したが、内皮管形成は誘発しなかった。
図11は、生体光組成物から放射される光の経時的強度を示す発光スペクトルである。
【0252】
実施例8 - タンパク質分泌および遺伝子発現のプロファイル
明白なタンパク質分泌および遺伝子発現プロファイルを引き起こす、本開示の生体光組成物の能力を評価するために、創傷および非創傷の3Dヒト皮膚モデル(EpiDermFT、MatTek Corporation)を使用した。簡潔には、過酸化尿素を含むカルボマーポリマーベースの
ゲル中にエオシンおよびエリスロシンを含む生体光組成物を、異なる条件下(成長因子あり、50%成長因子および成長因子なし)で培養した創傷および非創傷3Dヒト皮膚モデルの
上部に配置した。広げることのできる透光性の生体光ゲルの発色団の浸出は、実施例6に
従った30分の試験時間中、15%未満であった。皮膚モデルおよび組成物は、細孔径20ミク
ロンのナイロンメッシュで分離された。次に各皮膚モデル・組成物の組み合わせは、青い光(「活性化光」)で、光源から5 cmの距離で5分間照射された。活性化光は、約400~470 nmの平均ピーク波長、および5 cmで測定した時、60~150mW/cm2の出力密度、および5分後に約18~39 J/cm2の合計強度を持つLEDランプから放射された光で構成された。対照は
、光を照射しない3D皮膚モデルから成った。
遺伝子発現およびタンパク質分泌プロファイルは、光暴露の24時間後に測定された。サイトカイン分泌は抗体アレイ(RayBioヒトサイトカイン抗体アレイ)で分析され、遺伝子発現は、PRCアレイ(PAHS-013A、SABioscience)で分析され、細胞毒性はGAPDHおよびLDH放出によって決定された。結果(表7および8)では、光治療が、創傷皮膚インサートおよび非飢餓状態下の創傷治癒の早期炎症段階に関与する分泌タンパク質および遺伝子発現のレベルを増加させることができることが示された。慢性創傷を真似た飢餓状態では、対照と比較した時、分泌される炎症タンパク質レベルは増加しなかった。興味深いことに、非創傷皮膚モデルに対する光治療の効果は、細胞レベルでは創傷皮膚インサートに対するよりも影響がずっと低く、光治療の細胞作用レベルでの効果を示唆している。それは、創傷治癒過程の炎症段階を加速するように見える。3D皮膚モデルにマクロファージなどのその他の細胞タイプがないため、抗炎症フィードバックはなく、創傷閉鎖の遅れを説明しうる。光治療での細胞毒性は観察されなかった。
【0253】
【0254】
【0255】
実施例9 - 皮膚のコラーゲン形成
32人の患者を4群(A、B、CおよびD)に分けた、無作為化、プラセボ対照、一重盲検、
顔面分割、片手試験で、4週間に渡って、週1回の治療の安全性および有効性を評価した:
(A) 「光のみ」 - 本開示の実施形態に従って、150 mW/cm2未満の出力密度で、約400~4
90 nmの平均ピーク波長を持つLED光源からの光を含む光を5分間、およびプラセボ製剤、(B) 「光 + ゲル」 - (A) の光+本開示の実施形態による生体光ゲル、(C) 「ゲルのみ」
- (B) の生体光ゲルおよび疑似光(白色LED光)、および(D) 0.1%レチノイン酸ベースのクリーム。生体光ゲルは、カルボポールゲル中の発蛍光団および過酸化尿素を含み、ゲルは約10,000 cP~50,000 cPの粘度を持ち、実施例6に従って30分まで試験した時、15%未満の浸出を示した。ゲルは透光性で広げることができた。治療部位から治療前および治療の12週間後に、皮膚生検が採取された。皮膚生検の組織学的サンプルは、治療割当てに対して盲検化された、経験豊富な独立した病理学者によって類別された。結果は、以下の表9
に示されており、本開示の実施形態によると、光治療は生体光ゲルがある場合とない場合で、皮膚の治療部位のゴモリトリクローム染色で見た場合のコラーゲンクラスターを、それぞれ287%および400%、ベースラインから増加させたことが示されている。重篤な有害事象はなかった。報告または観察された光過敏性、炎症または痛みはなかった。
【0256】
【0257】
実施例10 - 弁の閉鎖
尾部ベースの長方形弁を、ウィスター系ラットの背中で持ち上げた。皮弁の下層組織への接着および再かん流を防ぐために、シリコンシートを皮弁の下に挿入した。弁の閉鎖の後、本開示の実施形態による生体光ゲルを背面弁上に薄い単一層(2 mm)で塗布し、約440~470 nmのピーク波長を持つLED光源からの光に5分間暴露させた。広げることのできる
生体光ゲルは、カルボポールゲル中の発蛍光団および過酸化尿素を含み、ゲルは約10,000
cP~50,000 cPの粘度を持ち、実施例6に従って30分まで試験した時、15%未満の浸出を示した。治療から9日後に、組織学的分析のために、生体光ゲルを除去して弁の異なるエリ
アから皮膚標本が採取された。治療群は、非治療群の結果と比較して、Ki67陽性染色事象(P=0.02)の数が有意に大きく、治療が創傷治癒に関与する細胞の増殖を調整しうることを示唆している(
図12)。外部病理学者による検査の後、治療群は、対照群と比較して、表皮の凝固壊死の有意な減少(P<0.05)および線維性基質(真皮)の増加と関連付けられた。
【0258】
実施例11 - エタノール浸漬紙からの生体光組成物の除去の評価
通常の白色印刷用紙を70%エタノール(EtOH)に浸漬した。本開示による生体光組成物
の異なる実施形態(表10)を2mmの厚さで浸漬用紙の上に配置し、5分間放置した。5分後
、組成物を70% EtOHで洗い流した。エオシン(0.017%)、シリカ粒子、加工でんぷん、および過酸化水素を含む組成物も試験された。
結果は、カルバミドゲルを含む本開示の生体光組成物が白色紙を染色しないことを示している。エオシンおよびシリカ粒子と組み合わせた別の親水性ポリマー(でんぷん)を含む組成物は、紙を染色した。
【0259】
【0260】
実施例12 - 生体光組成物の照射中の熱放散の評価
本開示の実施形態によるカルボポールゲル中に蛍光発色団を含む本開示の実施形態に従った生体光組成物の厚さ3mmの層を、異なる皮膚タイプのボランティアの手の皮膚に塗布
し、約50~150mW/cm2の出力密度を持つ青いLED光で、ライトから5 cmの距離で5分間照射
した。生体光ゲルは広げることができ、実施例6に従って試験された時、重量の15%未満が浸出した。温度計プローブを皮膚の表面の組成物中に配置し、組成物の照射中、リアルタイムで温度をモニターした。組成物なしで同じ光照射をした皮膚温度も、同じボランティアで測定された。試験された皮膚タイプは、フィッツパトリック分類スケールによると、タイプIII(白い皮膚、時々やけど状態になり次第に日焼けする)、タイプIV(ベージュ
色から茶色の皮膚、めったにやけど状態にはならず、簡単に日焼けする)およびタイプVI(黒い皮膚、決してやけど状態にならず、非常に簡単に日焼けする)であった。結果が表11に示されている。
【0261】
【0262】
生体光組成物を塗布したすべての皮膚タイプで、素肌(生体光組成物なし)と比べてゆっくりとした温度の上昇が示され、生体光組成物は緩衝作用をもたらした。5分間の光照
射の後、すべてのボランティアで、生体光組成物下の皮膚の温度は最大39.9℃に達したが、光のみの素肌では40℃であった。全体として、ボランティアは痛み、ヒリヒリ感または不快感を感じなかった。
【0263】
実施例13 - 生体光組成物の発色団濃度の選択
異なる発色団濃度の生体光組成物の蛍光スペクトルを、分光光度計および活性化青色光を使用して調査した。エオシンYおよびフルオレセインの模範的蛍光スペクトルを
図13に
示す。発色団からの放射蛍光は、濃度の増加と共に急速に増加するが、さらなる濃度の増加と共に減速して頭打ちとなる。組成物を通過する活性化光は、発色団組成物が増加すると減少するが、これはより多くが発色団によって吸収されるためである。従って、本開示の生体光組成物中の発色団の濃度は、この例に基づいて、組織を治療する活性化光および蛍光の必要とされる割合およびレベルに従って選択されうる。一部の実施形態では、それは急速な増加ゾーンの後、すなわち、エオシンYの0.5~1 mg/mLの間となる(
図13)。
従って、濃度は、必要とされる活性化光および蛍光に従って選択できる。一部の実施形態では、それは急速な増加ゾーンの後、すなわち、エオシンYの0.5~1 mg/mLの間となる
(
図13)。当業者であれば、組成物中のその他の材料の蛍光に対する影響も考慮し、それに従って発色団の濃度を適合させるであろう。例えば、特定のゲル化剤は、その蛍光を低下させうる特定の発色団に結合する。一つの例はアルブミンである。このような場合、より高い濃度の発色団を組成物に使用できる。
【0264】
実施例14 - エオシンおよびローズベンガルは相乗的に作用する
以下を調製することによって、本開示のさまざまな実施形態による2つの発色団の間の
相乗効果を調べた:
1 - 12%カルバミドゲル中のエオシンY(0.035%) + ローズベンガル(0.085%)
1 - 12%カルバミドゲル中の ローズベンガル(0.085%)
ローズベンガルは、緑の光で光活性化された時、酸素放出剤の存在下の酸素生成に関して、高い量子収量を持つことが知られている。エオシンYは、光活性化された時、放射蛍
光に関して高い量子収量を持つことが知られており、ゲル中にある時、青い光で少なくとも部分的に活性化されうる。光活性化されたエオシンYは、酸素放出剤の存在下の酸素生
成に関して、高い量子収量を持たない。エオシンYおよびローズベンガルが組み合わされ
た時、
図14によって示されるように、両方の発色団は同じ青い光によって活性化される。
図14の左のパネルは、活性化光への暴露の前に光学顕微鏡下(x250)で見た組成物の写真を示す。両方の組成物に気泡はほとんど見られなかった。青い光の照射の後(右のパネル)、エオシンYおよびローズベンガルの組み合わせを含む組成物で気泡の劇的な増加が
見られたが、ローズベンガルのみを含む組成物では見られなかった。これは、エオシンY
からローズベンガルへのエネルギーの移動があり、酸素種の形成につながることを示唆している。
【0265】
実施例15 - 広げることのできる組成物の粘度
本開示の生体光組成物の実施形態での使用のための安定性について、異なる濃度のカルボポールポリマーベースのゲルを評価した。ゲルの粘度、展延性および定位置に留まることができる能力が評価された。ゲルは、カルボポール940、グリセリン、プロピレングリ
コール、水、並びに少量のキレート剤、pH調節剤、治癒因子および保存剤を含んでいた。異なる量のカルボポール940を持ち、その他のすべての材料濃度は同じである10個のゲル
組成物が試験された。(1) Brookfield DV-II+Pro粘度計、スピンドル7、50 rpm、1分間、および(2) Brookfield HN粘度計、スピンドルCP51、2 rpmを使用して粘度を評価した。簡単に広げられる能力は、表面上への厚さ2mmの層の形成しやすさ、および表面地形への適
合能力に基づいて評価された。定位置に留まる能力は、創傷を真似るために直径8 mmの生検パンチを持つ豚肉の切り身の表面上に各ゲルの厚さ2 mmの層を配置することによって評価された。その後、切り身は、その上にゲルのある表面が水平面に対して約90°(すなわち、ゲルは実質的に垂直)となるように位置付けられ、次に室温で5分間その位置で放置
された。結果は表12に要約されている。
【0266】
【0267】
垂直に位置付けられた時に流れなかったゲルは、0.5%以上のカルボポール重量%で得ら
れた。カルボポール重量%が0.5%より大きく2%未満のゲルは、厚さ2 mmの層として広げる
ことができた。これらのゲルは、本発明の生体光組成物の適切なゲル化剤でありうる。カルボポールのその他の濃度も、本開示の生体光組成物中の増粘剤または希釈剤と併せて使用されうる。また、その他のカルボポールグレード、ポリマーおよびその他のゲル化剤も、本組成物のゲル化剤としての使用に適した特性を持ちうる。
【0268】
当然ながら、本発明は本書に記述および図示された特定の実施形態に限定されず、添付の請求項で定義される本発明の範囲内に入るすべての変更および変形が含まれる。