(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】再剥離性表面保護フィルム
(51)【国際特許分類】
C09J 7/25 20180101AFI20220701BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20220701BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220701BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20220701BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220701BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20220701BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
C09J7/25
C09J7/38
C09J11/06
C09J175/04
B32B27/00 M
B32B27/30 C
B32B27/40
(21)【出願番号】P 2020215646
(22)【出願日】2020-12-24
(62)【分割の表示】P 2017080893の分割
【原出願日】2017-04-14
【審査請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】岸 美央
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-316411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 1/00- 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、
該基材フィルム上に配された粘着層と、
を有する再剥離性表面保護フィルムであって、
前記基材フィルムが、主成分として塩化ビニリデン共重合体を含み、
前記粘着層が、主成分としてポリウレタン粘着剤を含み、
前記再剥離性表面保護フィルムに含まれるエポキシ化植物油の40~80%、及び、脂肪酸グリセリンエステルの40~80%が、粘着層に含まれる、
再剥離性表面保護フィルム。
【請求項2】
前記粘着フィルムの粘着力が0.03~0.30N/25mmである、請求項1に記載の再剥離性表面保護フィルム。
【請求項3】
前記基材フィルムの厚みが10~30μmであり、
流れ方向(MD方向)の2%歪み弾性率、及び幅方向(TD方向)の2%歪み弾性率が、それぞれ190~400MPaであり、並びに、
流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)の引張伸びが、それぞれ80~150%を満たす、
請求項1又は2に記載の再剥離性表面保護フィルム。
【請求項4】
前記粘着層の厚さが、1.0~30μmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の再剥離性表面保護フィルム。
【請求項5】
ポリウレタン粘着剤が、主剤として、水酸基を有するポリウレタンを、硬化剤として、脂肪族ジイソシアネートを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の再剥離性表面保護フィルム。
【請求項6】
円筒状の巻芯と、前記巻芯に巻き取られた請求項1~5のいずれか一項に記載の再剥離性表面保護フィルムとを備える、再剥離性表面保護フィルム巻回体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再剥離性表面保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
表面保護フィルムは、表面を塵、ほこり、汚れ、傷から守るために、様々な物の保護に使用されている。
例えば、グリーンシートに集積回路を形成するときに、グリーンシートに塵、埃、油滴等の不純物が付着して汚れることを防ぐため、積層や剥離ができるグリーンシート用表面保護フィルムがある(特許文献1参照)。
また、偏光板や波長板等の光学部材を保護するために、帯電防止性を有する表面保護フィルムや、パソコン、テレビ、携帯電話等の液晶ディスプレイやタッチパネル等の光学部品の製造工程や、製品の梱包輸送時や使用時、表面を汚れや傷から保護する表面保護フィルムがある(例えば、特許文献2及び3参照)。
【0003】
さらに、医療現場では、電子カルテ等を閲覧するためのパソコンや、医療機器を複数の医療関係者で共有するため、交差感染が懸念され、衛生性を保つことが要求されており、例えば、特許文献4では、抗菌剤入り樹脂で成形されたキーボードカバーが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開H9-316411号公報
【文献】特開2005-314476号公報
【文献】特開2015-7226号公報
【文献】特開2006-330954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パソコンや医療機器は、キーボードや、スイッチや、操作盤等を有しており、角部や凹凸が存在しているため、これらの表面をフィルムで保護する場合、角部や凹凸が存在しても、貼付けがしやすいこと、すなわち、濡れ広がり性があることや、シワができにくいことが求められる。また、表面をフィルムで覆うときに、泡ができないことが求められる。
濡れ広がり性が不十分であったり、シワや泡が存在したりすると、パソコンや医療機器の操作性が悪くなり、円滑な操作ができない。
また、パソコンや医療機器が表面保護フィルムにより覆われたとき、そのフィルムを介してパソコンや機器の操作がされるため、フィルム上から対象物が確認できるよう、表面保護フィルムは、色等変化せず、透明に維持されることが求められる。
【0006】
引用文献1に記載のグリーンシート用表面保護用フィルムは、二軸延伸ポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルムの片面に、アクリル系共重合体を架橋したものを含む粘着剤層が積層されている。
引用文献2に記載の表面保護フィルムは、帯電防止処理されてなるプラスチック基材からなる支持体上に(メタ)アクリル系モノマーを含む粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層が形成されている。
引用文献3に記載の表面保護用フィルムは、プラスチックフィルム基材に、ポリウレタン樹脂を含有する再剥離型ウレタン粘着剤組成物の粘着層が形成されている。
しかしながら、これら引用文献1~3に記載の表面保護用フィルムはいずれも、フィルムに被覆される対象物に傷や汚れがつくことを防止しするために使用されるものであって、フィルムにより覆われた対象物を、フィルムの上から操作することを前提にはされておらず、フィルムで覆う対象物の操作性が優れない。
【0007】
そこで、本発明は、濡れ広がり性に優れ、対象物にシワや泡が発生することなく貼り付けることができ、白化が起こりにくいフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の重合体を含む基材フィルムと、該基材フィルム上に配された特定の粘着剤を含む粘着層とを有するフィルムは、対象物に貼り付けるとき、濡れ広がり性に優れ、シワや泡が発生することなく、白化が起こりにくく、フィルムの透明性が維持されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
【0010】
[1]
基材フィルムと、
該基材フィルム上に配された粘着層と、
を有する再剥離性表面保護フィルムであって、
前記基材フィルムが、主成分として塩化ビニリデン共重合体を含み、
前記粘着層が、主成分としてポリウレタン粘着剤を含む、
再剥離性表面保護フィルム。
[2]
前記粘着フィルムの粘着力が0.03~0.30N/25mmである、[1]に記載の再剥離性表面保護フィルム。
[3]
前記基材フィルムの厚みが10~30μmであり、
流れ方向(MD方向)の2%歪み弾性率、及び幅方向(TD方向)の2%歪み弾性率が、それぞれ190~400MPaであり、並びに、
流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)の引張伸びが、それぞれ80~150%を満たす、
[1]又は[2]に記載の再剥離性表面保護フィルム。
[4]
前記再剥離性表面保護フィルムに含まれるエポキシ化植物油の40~80%、及び、脂肪酸グリセリンエステルの40~80%が、粘着層に含まれる、[1]~[3]のいずれかに記載の再剥離性表面保護フィルム。
[5]
前記粘着層の厚さが、1.0~30μmである、[1]~[4]のいずれかに記載の再剥離性表面保護フィルム。
[6]
ポリウレタン粘着剤が、主剤として、水酸基を有するポリウレタンを、硬化剤として、脂肪族ジイソシアネートを含む、[1]~[5]のいずれかに記載の再剥離性表面保護フィルム。
[7]
円筒状の巻芯と、前記巻芯に巻き取られた[1]~[6]のいずれかに記載の再剥離性表面保護フィルムとを備える、再剥離性表面保護フィルム巻回体。
[8]
医療機器の保護に用いる、[1]~[6]のいずれかに記載の再剥離性表面保護フィルム。
【発明の効果】
【0011】
本発明の再剥離性表面保護フィルムは、対象物に貼り付けるとき、濡れ広がり性に優れ、シワや泡の発生が抑えられる。また、本発明の再剥離性表面保護フィルムは、白化が起こりにくく、フィルムの透明性が維持される。そのため、特に医療現場にてパソコンや医療機器等を保護することに用いた場合、複数の医療関係者が間接的に接触する使用環境において交差感染の予防ができ、フィルムの上からパソコンや医療機器の操作ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態の再剥離性表面保護フィルムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの本実施形態にのみ限定する趣旨ではない。そして、本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0014】
<再剥離性表面保護フィルム>
本実施形態の再剥離性表面保護フィルムは、基材フィルムと、該基材フィルム上に配された粘着層と、
を有する。また、前記基材フィルムが、主成分として塩化ビニリデン共重合体を含み、前記粘着層が、主成分としてポリウレタン粘着剤を含む。
再剥離性とは、対象物に一度フィルムを貼り付けた後、剥がせることができる性質を意味する。また、再剥離性は、本実施形態における粘着層に由来する。
【0015】
(基材フィルム)
本実施形態における基材フィルムは、主成分として塩化ビニリデン共重合体を含む。
本実施形態における基材フィルムとしては、塩化ビニリデン単量体単位75~96質量%を満たし、重量平均分子量7×104~14×104g/molである塩化ビニリデン共重合体100質量部と、脂肪酸エステル類とエポキシ化化合物との混合物1~20質量部と、を含むことが好ましい。また、脂肪酸エステル類とエポキシ化化合物との混合物は、上記塩化ビニリデン共重合体100質量部に対し、1~15質量部であることがより好ましく、1~10質量部であることがさらに好ましい。
また、本実施形態における基材フィルムは、塩化ビニリデン共重合体以外の樹脂を含んでいてもよいが、基材フィルムに含まれる樹脂としては、塩化ビニリデン共重合体からなることが好ましい。
【0016】
本実施形態における基材フィルムの厚みは、濡れ広がり性の観点や、パソコンや医療機器の操作性や耐久性の観点から、好ましくは5~45μmであり、より好ましくは10~30μmであり、さらに好ましくは15~30μmである。
【0017】
また、本実施形態における基材フィルムは、流れ方向(MD方向)の2%歪み弾性率、及び幅方向(TD方向)の2%歪み弾性率が、それぞれ190~400MPaであり、並びに、流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)の引張伸びが、それぞれ80~150%を満たすことが好ましい。
本実施形態の再剥離性表面保護フィルムは、基材フィルムの2%歪み弾性率が190~400MPaであることにより、フィルムが伸びにくく、破れない傾向にある。
本実施形態の再剥離性表面保護フィルムは、基材フィルムの引張伸びが80~150%であることにより、フィルムが伸びにくく、破れない傾向にある。
【0018】
本実施形態に用いる基材フィルムは、流れ方向(MD方向)の2%歪み弾性率が、190~350MPaであることがより好ましく、200~300MPaであることがさらに好ましい。
また、本実施形態に用いる基材フィルムは、幅方向(TD方向)の2%歪み弾性率が、190~350MPaであることがより好ましく、190~300MPaであることがさらに好ましい。
【0019】
さらに、本実施形態に用いる基材フィルムは、流れ方向(MD方向)の引張伸びが、90~140%であることがより好ましく、90~130%であることがさらに好ましい。
またさらに、本実施形態に用いる基材フィルムは、幅方向(TD方向)の引張伸びが、80~140%であることがより好ましく、90~130%であることがさらに好ましい。
【0020】
このような特性を有する基材フィルムを用いると、再剥離性表面保護フィルムは、例えば、キーボードカバーとして使用した際、反復でキータッチしてもフィルムがより伸びにくく一層破れ難くなる傾向にある。また、各種機器の角部でも同様に伸び難く、破れ難いため機器の保護に用いることができる。各種機器とは例えば、事務所の複合機や、小売りのレジやバックヤードの計量機、病院のMRIやCT等の検査機器のスイッチや操作盤、電子カルテワゴン、ストレッチャー等、あらゆる角部を有する機器が挙げられる。
【0021】
基材フィルムの2%歪み弾性率及び引張伸びを上記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、樹脂と可塑剤とを環状ダイより単層または多層原反として押し出す工程と、押し出された原反を冷却固化する工程と、冷却固化された原反を延伸処理する工程とにより構成する方法を挙げることができる。
【0022】
さらに、基材フィルムは延伸されていることが好ましい。延伸処理工程は、フィルム原反に対して一軸または二軸方向に延伸処理を行う公知の工程である。延伸方法に限定はなく、好ましくは二軸延伸、より好ましくは逐次または同時二軸延伸法又はインフレーション二軸延伸法を採用することができ、この中でもインフレーション二軸延伸法が好ましい。
【0023】
なお、本実施形態において、基材フィルムの2%歪み弾性率及び引張伸びは後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0024】
(粘着層)
本実施形態における粘着層は、主成分としてポリウレタン粘着剤を含み、かかるポリウレタン粘着剤により形成された層である。
本実施形態における粘着層の主成分とは、全成分を100質量%とした場合、70質量%以上の成分をいい、好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは100質量%である。
【0025】
ポリウレタン粘着剤は、ポリウレタン及び硬化剤を含むものであれば特に制限されない。また、ポリウレタン粘着剤は、その他の添加剤として、カップリング剤、可塑剤、テルペン系やロジン系等の粘着付与剤、炭酸カルシウムや酸化チタン等の無機充填剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤等が含まれていてもよい。
【0026】
上記ポリウレタンとしては、ウレタン結合を有する重合体であれば特に制限されず、例えば、水酸基を有するポリウレタン等を好適に挙げることができる。水酸基を有するポリウレタンとしては、具体的には、イソシアネート化合物とポリオールとの重合体を挙げることができる。
【0027】
イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート;カルボジイミド基を有するポリイソシアネート;アロファネート基を有するポリイソシアネート;イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート;等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせ使用してもよい。
【0028】
ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせ使用してもよい。
【0029】
ポリエステルポリオールとしては、ポリカルボン酸とポリオールとを反応させて得られるものを使用することができる。
ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸、o-フタル酸等の芳香族ポリカルボン酸等を使用することができる。
ポリエステルポリオールの製造に使用可能なポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,8-オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール等を使用することができる。
また、前記ポリエステルポリオールとしては、γ-ブチロラクトンやε-カプロラクトン等の開環重合物、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオール等を使用することもできる。
【0030】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、上述したポリオールやポリアミン等を開始剤とし、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合して得られるものが挙げられる。
【0031】
ポリエステルエーテルポリオールとしては、例えば、上述したポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールの共重合物等が挙げられる。
【0032】
また、水酸基を有するポリウレタンの製造に使用するポリオールとしては、分子量が60~140の低分子量のポリオールを使用することもできる。
低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,8-オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、メチルグリコシド等が挙げられる。
【0033】
水酸基を有するポリウレタンは、上記のポリオール化合物に加え、アミン化合物を鎖延長剤として使用し製造されたポリウレタンであってもよい。
アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン等のジアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミノアルコール類;等が挙げられる。
【0034】
水酸基を有するポリウレタンとしては、市販品を使用することができ、市販品としては、例えば、トーヨーケムSH-101等が挙げられる。
【0035】
上記硬化剤としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ジイソシアネート;等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせ使用してもよい。
上記の硬化剤の中でも、好ましくは脂肪族ジイソシアネートである。
硬化剤としては、市販品を使用することができ、市販品としては、例えば、トーヨーケムT501B等が挙げられる。
【0036】
上記ポリウレタン粘着剤は、硬化剤を、当該ポリウレタン粘着剤の質量に対して、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは2.0~8.0質量%、さらに好ましくは4.0~6.0質量%含む。
硬化剤の量を0.1質量%以上とすることにより、硬化が適切に進み使用時の糊残りが発生しない傾向にある。また、硬化剤の量を10質量%以下とすることにより、目的の粘着性能が得られる。
【0037】
上述したような粘着剤により形成された粘着層を有すると、本実施形態の再剥離性表面保護フィルムは、例えば、医療機器のカバーとして使用した際、医療機器にしっかり貼りつき、剥がす際には簡単に剥がれるという効果が発現する。また、フィルムが絡まることなく、取扱いやすくなる。
【0038】
また、本実施形態における粘着層の厚みは、粘着層の粘着力の観点から、0.5~40μmであることが好ましく、1.0~30μmであることがより好ましく、3.0~25μmであることがさらに好ましく、5.0~25μmであることがよりさらに好ましい。
粘着層の厚みが上記範囲であると、本実施形態の感再剥離性表面保護フィルムは、例えば、医療機器のカバーとして使用した際、医療機器にしっかり貼りつき、剥がす際には簡単に剥がれるという効果がより一層発現する。また、フィルムが絡まることなく一層取扱いやすくなる。
また、本実施形態における粘着層の厚みを上記の範囲とすることにより、粘着層に含まれるエポキシ化植物油及び脂肪酸グリセリンエステルの量を制御することができる。
【0039】
本実施形態の再剥離性表面保護フィルムは、粘着層を含み、当該粘着層の粘着力(JIS0237準拠180度剥離力)は、好ましくは0.01~0.40N/25mmである。前記粘着力は、より好ましくは0.02~0.30N/25mmであり、さらに好ましくは0.03~0.30N/25mmである。再剥離性表面保護フィルムが0.01~0.40N/25mmの粘着力を有する粘着層を含むことにより、例えば、医療機器のカバーとして使用した際、医療機器にしっかり貼りつき、剥がす際には簡単に剥がれるという効果を奏する。また、上述の基材フィルムに前記粘着層で微粘着加工を施すことで、フィルムを貼り付ける際にフィルム同士が絡まることなく取扱いやすくなる。さらに、再剥離性表面保護フィルムが0.01~0.40N/25mmの粘着力を有する粘着層を含むことにより、貼りつける際にシワや泡の発生を抑制できる傾向にある。
【0040】
粘着層の粘着力を上記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、粘着剤の硬さや粘着層の厚みを調整する方法、粘着層に含まれるエポキシ化植物油及び脂肪酸グリセリンエステルを調節する方法等が挙げられる。
【0041】
なお、本実施形態において、粘着層の粘着力はJIS0237準拠した測定方法により得られる180度剥離力とする。また、粘着層の粘着力は、具体的には実施例に記載の方法によって測定することができる。
【0042】
本実施形態における粘着層は、再剥離性表面保護フィルムに含まれるエポキシ化植物油の40~80%、及び、脂肪酸グリセリンエステルの40~80%を含むことが好ましい。
粘着層におけるエポキシ化植物油、及び、脂肪酸グリセリンエステルの上記比率は、40~70%であることがより好ましく、40~60%であることがさらに好ましい。
前記エポキシ化植物油及び脂肪酸グリセリンエステルの上限値が80%であることにより、粘着層が粘着力を十分に有しており、例えば、医療機器のカバーとして使用した際、医療機器にしっかり貼りつくことができる。
前記エポキシ化植物油及び脂肪酸グリセリンエステルの下限値が40%であることにより、基材フィルムの適度なコシを維持することができる。
【0043】
粘着層のエポキシ化植物油及び脂肪酸グリセリンエステルの量を上記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、粘着剤の硬さや粘着層の厚みを調整する方法、硬化剤の量を調整する方法等が挙げられる。
【0044】
なお、粘着層のエポキシ化植物油及び脂肪酸グリセリンエステルの量は、具体的には実施例に記載の方法によって測定することができる。
【0045】
(離型層)
本実施形態の再剥離性表面保護フィルムは、基材フィルムの背面(粘着層が積層されていない面)に離型層をさらに含んでいてもよい。本実施形態の再剥離性表面保護フィルムは、離型層を含むと、再剥離性表面保護フィルムを巻回体としたとき、巻き出しやすくなる傾向にある。
離型層には、特に限定されないが、例えば、シリコーン系や長鎖アルキルペンダントポリマー系を用いることができる。
また、離型層の厚みは、0.1~1.0μmであることが好ましく、0.15~0.9μmであることがより好ましく、0.2~0.7μmであることがさらに好ましい。
またさらに、本実施形態の再剥離性表面保護フィルムは、基材フィルムと粘着層の間に印刷層やプライマー層を設けてもよい。
【0046】
(セパレーター)
本実施形態の再剥離性表面保護フィルムは、基材フィルム及び粘着層を含む層の粘着層側、すなわち、粘着剤層の上にさらにセパレーターを有してもよい。セパレーターは特に限定しないが、例えば、シリコーン処理で離型性を発現させたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムや紙等を用いることができる。
【0047】
本実施形態の再剥離性表面保護フィルムの一態様を
図1に概略図として示した。
本実施形態の再剥離性表面保護フィルムは、具体的には、
図1に示すように、表面保護フィルムの1で表され、
基材フィルム2、粘着層3、離型層4、セパレーター5を含み、
基材フィルム2の第一の面に、前記粘着層3が積層され、第二の面に離型層4が積層され、
前記粘着層3の上にセパレーター5が積層された構造を有する。
【0048】
<再剥離性表面保護フィルムの製造方法>
本実施形態の再剥離性表面保護フィルムの製造方法は、基材フィルム上に粘着層を積層できる方法であれば特に制限されない。また、本実施形態における基材フィルムは、例えば、樹脂と可塑剤とを環状ダイより、単層又は多層原反として押し出す工程と、押し出された原反を冷却固化する工程と、冷却固化された原反を延伸処理する工程とを含む方法により製造することができる。
【0049】
延伸処理工程は、フィルム原反に対して一軸または二軸方向に延伸処理を行う公知の工程である。延伸方法に限定はなく、好ましくは二軸延伸、より好ましくは逐次または同時二軸延伸法又はインフレーション二軸延伸法を採用することができ、この中でもインフレーション二軸延伸法が好ましい。
【0050】
本実施形態の再剥離性表面保護フィルムは、例えば、上記のように得られた基材フィルムに、コンマコーター若しくはグラビアコーターで粘着剤を塗布し乾燥後巻取り、2日間40℃でエージングして得ることができる。その際に、セパレーターに粘着剤を塗布し乾燥後、基材フィルムをラミネートする方法を用いてもよい。粘着剤を塗布する前に、あらかじめ粘着層と基材層とに親和性のあるプライマーを塗布したり、基材フィルムにコロナ処理を施したりしてもよい。また、粘着剤塗工の前後の工程で、基材への背面処理を行ってもよい。
【0051】
<再剥離性表面保護フィルム巻回体>
本実施形態の再剥離性表面保護フィルムは、再剥離性表面保護フィルム巻回体としてもよく、かかるフィルム巻回体は、芯管と、前記芯管に巻き取られた上述の再剥離性表面保護フィルムとを備える。
【0052】
芯管は、その材料に限定はなく、例えば、紙製、プラスチック製、金属製等のものを用いることができる。芯管は内部が中空の円筒状物でも、中空でない円柱状物でもよい。また、芯管の直径に限定はなく、例えば、10mm~50mmとすることができる。
【0053】
本実施形態の再剥離性表面保護フィルム巻回体において、前記芯管から再剥離性表面保護フィルムを引き出す引出力は、30~300cN/200mm巾であることが好ましく、35~200cN/200mm巾であることがより好ましく、40~100cN/200mm巾であることがさらに好ましい。当該引出力を上記範囲とすることで、軽い力で必要な量の再剥離性表面保護フィルムを引き出すことができる。
【0054】
芯管から再剥離性表面保護フィルムを引き出す引出力を上記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、再剥離性表面保護フィルムの粘着力の設定のほかに、再剥離性表面保護フィルムの背面へ離型層を設ける方法が挙げられる。
【0055】
なお、本実施形態において、芯管から再剥離性表面保護フィルムを引き出す引出力は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
【0056】
<再剥離性表面保護フィルム収納箱>
前記再剥離性表面保護フィルム巻回体は、箱(以下、「再剥離性表面保護フィルム収納箱」とも言う。)に収納してもよい。
再剥離性表面保護フィルム収納箱は、芯管から再剥離性表面保護フィルムを引き出す手段を備える。再剥離性表面保護フィルム巻回体を引き出す取り出し口を備え、巻回体が収納箱の中で自由に回転できる構造とすることで、必要量のフィルムを引き出すことができる。
さらに、前記再剥離性表面保護フィルム収納箱は、芯管から引き出された再剥離性表面保護フィルムを切断する手段を備えることができる。これにより引き出した必要量の再剥離性表面保護フィルムを容易に切断することができる。切断する手段としては金属製、紙製、プラスチック製等の鋸刃の他に、スライドカッターを用いてもよい。
【0057】
<再剥離性表面保護フィルムの用途>
本実施形態の再剥離性表面保護フィルムは、医療機器の保護に用いることができる。ここで、医療機器等の対象物には、例えば、病院等の医療機関にある、MRIやCT等の検査機器のスイッチや操作盤、診察台、電子カルテワゴン、ストレッチャー、パソコン、事務所のコピー複合機等、医療機関で使用される機器類、器具類、備品類、什器類、事務所家具が挙げられる。また、医療機関以外にも、例えば、小売り店舗のレジ、バックヤードや食材加工場の計量機、充填機等の機器類や作業台、移動台車、建材表面や工事現場の電子機器、工事機械の操作盤等、医療機関以外の用途にも制限なく使用可能である。
【実施例】
【0058】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0059】
実施例及び比較例で用いた各測定方法は、以下のとおりとした。
【0060】
(1)基材フィルムの2%歪み弾性率
ASTM-D882に従って測定した。すなわち、各例の基材フィルムをMD、TD方向に沿うように、それぞれ幅10mm、長さ100mmに切り出してサンプルとし、5mm/分の引張速度にて測定を行った。得られた応力-歪のグラフに接線を引き、2%伸長時の応力値をサンプルの厚みに換算した値を算出し、5回の測定の平均値を測定値とし、MD方向とTD方向との平均値を2%歪み弾性率の値とした。測定装置には、島津製作所社製AUTOGRAPH AG-ISを用いた。
【0061】
(2)基材フィルムの引張伸び
ASTM-D882に従って測定した。すなわち、各例の基材フィルムをMD、TD方向に沿うように、それぞれ幅10mm、長さ100mmに切り出してサンプルとし、300mm/分の引張速度にて測定を行い破断した際の伸びについて、5回の測定の平均値を測定値とし、MD方向とTD方向との平均値を引張伸びの値とした。測定には、島津製作所社製AUTOGRAPH AG-ISを用いた。
【0062】
(3)粘着層の粘着力
粘着層の粘着力は、JISZ0237に準拠して以下のとおり測定した。すなわち、フィルムをMD方向に沿って幅25mm、長さ300mmに切り出してサンプルとし、SUS304板鏡面仕上げに、2kg錘ローラーを用いて10mm/秒で2往復させて貼りつけた。300mm/分の速度にて引張り測定を行い、剥離力について5回の測定の平均値を粘着力の値とした。測定には、島津製作所社製AUTOGRAPH AG-ISを用いた。このようにして得られた180度剥離力を粘着層の粘着力とした。
【0063】
(4-1)基材フィルムの厚み
ミクロトームを用いてフィルムを切断し、その切断面を光学顕微鏡(キーエンス社VHX-900)で観察して基材フィルムの厚みを測定した。これをさらにフィルムのMD方向(巻出方向)に1mおきに同じく測定して、最終的には10点の平均値を基材フィルムの厚みとした。
【0064】
(4-2)粘着層の厚み
ミクロトームを用いて再剥離性表面保護フィルムを切断し、その切断面を光学顕微鏡(キーエンス社VHX-900)で観察して粘着層の厚みを測定した。これをさらにフィルムのMD方向(巻出方向)に1mおきに同じく測定して、最終的には10点の平均値を粘着層の厚みとした。
【0065】
(5)エポキシ化植物油の含有量、及び、グリセリン脂肪酸エステルの含有量
再剥離性表面保護フィルムを、再剥離性表面保護フィルムの粘着層をスパチュラで剥がすことによって、基材フィルムと粘着剤とに、分離し、それぞれをヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)に溶解させて抽出した後、乾固した。それぞれについてd8-テトラヒドロフラン(THF)に溶解して、NMRを測定し、1H-NMRスペクトルのシグナル分析値から内部標準法(内部標準物質;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF))により、エポキシ化植物油の含有量、及び、グリセリン脂肪酸エステルの含有量を定量した。粘着剤から得られた含有量の値を、粘着層に含まれるエポキシ化植物油の含有量、及び、グリセリン脂肪酸エステルの含有量とした。
【0066】
(6)濡れ広がり性
濡れ広がり性は、濡れ広がりにかかった時間により、評価した。
再剥離性表面保護フィルムを20cm角に切り出し、1片をガラス板に貼りつけ、対する1片の両端部を手で持ち、引っ張って、フィルムのシワが無い状態としてから手を離して貼り付けた。
<評価基準>
◎:濡れ広がりにかかった時間が、5秒未満であった。
○:濡れ広がりにかかった時間が、5秒以上10秒未満であった。
△:濡れ広がりにかかった時間が、10秒以上であった。
×:再剥離性表面保護フィルムが、ガラス板に貼り付かなかった。
【0067】
(6)泡の有無
再剥離性表面保護フィルムを20cm角に切り出し、1片をガラス板に貼りつけ、対する1片の両端部を手で持ち引っ張ってフィルムのシワが無い状態としてから、手を離して貼り付けた。
<評価基準>
◎:フィルムとガラス板の間に泡がなかった。
○:フィルムとガラス板の間に泡が1~2か所あった。
△:フィルムとガラス板の間に泡が3~5か所あった。
×:フィルムとガラス板の間に泡が5か所以上あった。
【0068】
(7)シワの有無
再剥離性表面保護フィルムを20cm角に切り出し、1片をガラス板に貼りつけ、対する1片の両端部を手で持ち引っ張ってフィルムのシワが無い状態としてから手を離して貼り付けた後、手の平で圧着した。
<評価基準>
◎:シワがなかった。
○:シワが1~2か所あった。
△:シワが3~5か所あった。
×:シワが6か所以上あった。
【0069】
(8)白化の有無
再剥離性表面保護フィルムをキーボードへ貼り付け、反復してキータッチし、ランダムな日本語の文章2万文字分をタイプして評価した。
<評価基準>
◎:白化しなかった。
〇:白化するが文字は見えた。
△:白化して文字が見えなかった。
×:白化して粉が発生した。
【0070】
[実施例1]
〔基材フィルムの製造〕
塩化ビニリデン共重合体(PVDC)を主成分とする基材フィルム(PVDCフィルム、厚み:21μm)を以下のとおり製造した。
塩化ビニリデン-塩化ビニル共重合体(塩化ビニリデン単量体単位含有量/塩化ビニル単量体単位含有量=80質量%/20質量%、重量平均分子量12万、表1中では「PVDC」と表記)100質量部に対し、脂肪酸エステル類としてジブチルセバケートを3質量部、アセチルトリブチルシトレートを3質量部、エポキシ化化合物としてエポキシ化大豆油を2質量部、添加してヘンシェルミキサーで5分混合した。得られた混合物を溶融押出機で管状に押出し、約10℃の冷水槽で過冷却後、35℃の水中に通し、延伸温度30℃、長手(MD)方向に3.0倍、幅(TD)方向に4.0倍のインフレーション二軸延伸を行って得た管状フィルムをピンチロールで折りたたみ、厚み42μmの平坦長尺状のフィルムを作製した。その後スリッターを用いてシングルフィルムに剥離させ21μmのフィルムとした。得られたフィルム(基材フィルム)の特性を上記方法により測定した。当該測定結果を表1に示す。
【0071】
〔再剥離性表面保護フィルムの製造〕
セパレーター(シリコーン処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)に、ウレタン系粘着剤であるウレタン1(主剤:トーヨーケムSH-101(100質量部)、硬化剤:トーヨーケム-T501B(5質量部))を15μmの厚さでコンマコーターを用いて塗工し、上記製造した基材フィルムをラミネートして巻き取った。次に基材フィルム面に背面処理剤(ライオンスペシャリティケミカルズピーロイル1050)1.5%溶液を版目18μmのグラビアコーターで塗布し巻き取った。これを40℃で3日間エージング後、セパレーターをデラミネートすることにより再剥離性表面保護フィルムを製造した。得られた再剥離性表面保護フィルムは、28℃で1か月エージングした後、特性について上記のとおり測定した。該測定結果を表1に示す。
【0072】
[実施例2]
粘着剤として、ウレタン1にかえて、ウレタン2(主剤:トーヨーケムSH-101(100質量部)、硬化剤:トーヨーケム―T501B(6質量部))を使用し、粘着層の厚みを20μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして再剥離性表面保護フィルムを製造した。
【0073】
[実施例3及び実施例4]
基材フィルムの厚み、粘着層の厚みを表1のとおり変更したこと以外は、実施例1と同様にして再剥離性表面保護フィルムを製造した。
【0074】
[実施例5]
実施例1と同様にして再剥離性表面保護フィルムを製造し、さらに、得られたフィルムを40℃で1か月エージングし、再剥離性表面保護フィルムを得た。
【0075】
[実施例6]
実施例1と同様にして再剥離性表面保護フィルムを製造し、さらに、得られたフィルムを15℃で1か月エージングし、再剥離性表面保護フィルムを得た。
【0076】
[比較例1]
粘着剤として、ウレタン1にかえて、アクリル系粘着剤であるアクリル1(主剤:サイデン化学MS3999(100質量部)、硬化剤:サイデン化学K315(1.5質量部))を使用したこと以外は、実施例1と同様にして再剥離性表面保護フィルムを製造した。
【0077】
[比較例2]
基材として、ウレタン2にかえて、アクリル2(主剤:ライオンスペシャリティケミカルズAS665(100質量部)、硬化剤:ライオンスペシャリティケミカルズB-45(5質量部))を使用したこと以外は、実施例1と同様にして再剥離性表面保護フィルムを製造した。
【0078】
[比較例3]
基材として、塩化ビニリデン共重合体にかえて、ポリエチレン樹脂を使用したこと以外は、実施例1と同様にして再剥離性表面保護フィルムを製造した。なお、得られた再剥離性表面保護フィルムには、脂肪酸エステル類とエポキシ化化合物等の可塑剤は含まれなかった。
【0079】
[比較例4]
基材として、塩化ビニリデン共重合体にかえて、ポリエチレン樹脂を使用したこと以外は、実施例2と同様にして再剥離性表面保護フィルムを製造した。なお、得られた再剥離性表面保護フィルムには、脂肪酸エステル類とエポキシ化化合物等の可塑剤は含まれなかった。
【0080】
得られた再剥離性表面保護フィルムの特性について上記のとおり測定した。該測定結果を表1に示す。
【0081】
【0082】
表中、N/Aは、測定データを得なかったことを表す。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の再剥離性表面保護フィルムは、病院内で複数の医療関係者が接触する電子カルテキーボードや操作盤を有する各種検査機器等において、菌やウイルスの付着、血液や嘔吐物、その他体液の付着を防止し、医療関係者間の交差感染を予防することがでる。また、本発明の再剥離性表面保護フィルムは、各種機器の角部でも同様に伸び難く、破れ難いため機器、特に、医療機器の保護に用いることができる。したがって、本発明の再剥離性表面保護フィルムは、医療現場で使用する機器や装置等の表面保護フィルムとして、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0084】
1 :表面保護フィルム
2 :基材フィルム
3 :粘着層
4 :離型層
5 :セパレーター