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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】難溶接性材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/34 20140101AFI20220701BHJP
   B23K 15/00 20060101ALI20220701BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20220701BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220701BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20220701BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20220701BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20220701BHJP
   C22F 1/10 20060101ALI20220701BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20220701BHJP
【FI】
B23K26/34
B23K15/00 501B
B23K26/21 Z
B33Y10/00
B33Y70/00
B22F3/105
B22F3/16
C22F1/10 H
C22F1/00 650A
C22F1/00 651B
C22F1/00 621
C22F1/00 628
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 687
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020526242
(86)(22)【出願日】2017-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 US2017061251
(87)【国際公開番号】W WO2019094036
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】522103340
【氏名又は名称】シーメンス・エナジー・グローバル・ゲーエムベーハー・ウント・コ・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・ブルバウム
(72)【発明者】
【氏名】へニング・ハネブト
(72)【発明者】
【氏名】アハメド・カメル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ロレンツ
(72)【発明者】
【氏名】カジム・オズバイサル
(72)【発明者】
【氏名】インゴ・ラインケンスマイアー
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-508070(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015219345(DE,A1)
【文献】特開2016-117276(JP,A)
【文献】特表2015-522420(JP,A)
【文献】特開2008-128147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/34
B23K 15/00
B23K 26/21
B33Y 10/00
B33Y 70/00
B22F 3/105
B22F 3/16
C22F 1/10
C22F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム支援付加製造プロセスにより構成要素(10)のための難溶接性材料を製造する方法であって、
基板(1)上に前記難溶接性材料に対する第1の層(L1)を堆積するステップであって、前記第1の層は、前記構成要素(10)のための基材(BM)の大部分およびニッケルベースのはんだ(S)の小部分を含む、ステップと、
前記構成要素(10)のための前記基材(BM)の第2の層(L2)を堆積するステップと、
前記第1の層および前記第2の層(L1、L2)を熱処理するステップであって、
1200℃を超える第1の温度での2時間以上の期間にわたる第1の熱サイクル、
1000℃を超える第2の温度での2時間以上にわたる第2の熱サイクル、および
700℃を超える第3の温度での12時間以上にわたる第3の熱サイクルを含むステップとを含
前記はんだ(S)またははんだ付けプロセスは、融点降下剤を含まない、方法。
【請求項2】
前記第1の層(L1)および/または前記第2の層(L2)は、レーザー金属堆積を経て堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の層(L1)および/または前記第2の層(L2)は、レーザー粉末金属堆積を経て堆積される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基材(BM)は、Inconel738、Rene80およびAlloy247からなる群から選択されるニッケル基超合金からの粉末である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記融点降下剤はホウ素である、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の層(L1)の層厚は、200から400μmの間で選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の層(L1)の層厚は、300μm±20μmである、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の層(L2)は、各々が200から400μmの間の層厚を含む前記基材(BM)の3つの副層(SL1~SL3)から構成される、および/または3つの副層(SL1~SL3)を経て堆積される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に、金属合金などの難溶接性材料の製造または堆積方法に関し、より詳細には、ビーム支援添加製造プロセスによる構成要素のための難溶接性材料を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一実施形態では、材料は、ターボ機械、例えばガスタービンの流路で使用される構成要素に適用される。構成要素は、ブレードまたはベーンであり得る。従って、構成要素は、超合金またはニッケルベースの材料を含み得る。
【0003】
付加製造技術は、選択的レーザー溶融(SLM)、選択的レーザー焼結(SLS)または電子ビーム溶融(EBM)などの粉末床法を含み得る。レーザー金属堆積(LMD)法およびレーザークラッディング法も、付加製造法として実施することができる。
【0004】
レーザー溶接の方法は、例えば、国際公開第2015/150019に記載されている。
【0005】
ガスタービンのブレードは、通常、それらの意図された動作中に高い熱負荷に曝される。従って、これらの構成要素には、通常ニッケルをベースとした熱抵抗の高い超合金が必要とされる。これらの構成要素に対する基材に適用されている析出、時効または分散硬化にもかかわらず、前記材料は、クラッディングまたは堆積プロセスおよび/またはその後の熱処理の間に亀裂を発生させる傾向がある。
【0006】
前述の亀裂は通常、製造方法または修理方法のそれぞれのメルトプール内の液固界面で発生する。前記亀裂は、構成要素の動作中の高い機械的負荷に起因して、構成要素だけでなく、ターボ機械全体にも深刻な損傷をもたらし得る。
【0007】
所与の超合金からのタービンブレードおよび同等の構成要素の製造は複雑で費用がかかるため、前述の構成要素の製造をさらに最適化または改善し、およびそのライフサイクルを延長させることが求められている。これは、前述の付加プロセスなどの新規で改良された製造方法により達成され得る。
【0008】
ガスタービンで作動するタービンブレードは、定期的に保守および改修する必要があるスペアパーツを構成している。改修では、主にブレードの先端が通常は後方へ機械加工され、後でレーザー溶接法またはレーザークラッディング法で被覆されて、改修の間に摩耗した先端材料を復元する。
【0009】
タービン構成要素の製造または改修の主な既知の欠点は、従来の溶接法により熱抵抗の高い超合金を製造することの複雑さである。溶接による材料堆積が可能であったとしても、提供される材料はしばしば、例えば、機械的(高温)強度、亀裂、破裂、酸化、腐食または対応する疲労に対する耐性に関して、必要な構造材料特性を欠いている。同様に、特に良好な高温強度および場合によっては耐酸化性さえも同時に備えた材料を提供し得る。しかしながら、この材料はもはや溶接技術により処理することができない
【0010】
金属間ガンマ(γ)、ガンマプライム(γ’)相の特に高い割合は、前述の材料に良好な機械的強度を与えるのに有利であることが示されている。
【0011】
本明細書に記載されている製造方法は、例えば、連続的レーザービームが基材を再溶融するために使用され得るLMDなどのビーム支援付加製造法により、製造前基板または翼付根の頂部上でのボトムアップ製造または堆積に関連し得る。前記基材は、対応する粉末ビーム供給により提供され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開第2015/150019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本開示の目的は、特に低い亀裂中心(crack center)の密度または低い亀裂もしくは破裂を示す傾向を有する超合金材料を付加的に提供し、それにより前記材料に改善された構造品質を与え、および同時に改善された溶接性を可能にすることである。
【0014】
結果として、ターボ機械またはそのようなターボ機械に設置されるガスタービン構成要素は、より少ないメンテナンスまたはサービス活動で、より効率的におよびできる限り作動することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
簡単に説明すると、本開示の態様は、ビーム支援付加製造プロセスによる構成要素のための難溶接性材料を製造する方法、本方法に従って製造された構成要素およびレーザー金属堆積による構成要素の構造を製造するための装置に関する。
【0016】
第1の態様は、ビーム支援付加製造プロセスによる構成要素のための難溶接性材料を堆積またはビルドアップするステップを含む製造方法を提供する。本方法は、材料の第1の層を基板上に堆積するステップを含み、第1の層は、構成要素のための基材の大部分または主要部分およびはんだの小部分を含む。本方法は、構成要素のための基材の第2の層を堆積するステップをさらに含む。本方法は、第1および第2の層を含む層配置の熱処理をさらに含む。熱処理は、1200℃を超える第1の温度での2時間以上の期間にわたる第1の熱的加熱サイクルを含む。第1の温度は、ろう付けまたははんだ付けの温度であり得る。熱処理は、1000℃を超える第2の温度での少なくとも2時間の期間にわたる後続の第2の熱サイクルをさらに含む。第2の温度は、拡散温度であり得る。熱処理は、700℃を超える第3の温度での12時間以上の期間にわたる後続の第3の熱サイクルをさらに含む。第3の温度は、拡散後または応力緩和温度であり得る。
【0017】
第2の態様は、上記の方法に従って製造されるかまたは製造可能である構成要素を提供する。構成要素は、ブレードまたはベーンなどのガスタービンの高温ガス経路に適用される構成要素であり得る。構成要素はさらに、上述したように、複数の積層された、または連続して堆積された層で構成され得るか、または含み得る。従って、層は、例えば断面において、堆積された層または副層の各々のそれぞれの溶接ビードによって識別され得る。
【0018】
第3の態様は、レーザー金属堆積によりタービンブレードまたはベーンなどの構成要素の構造を製造するための装置を提供し、本装置は、例えば、粉末供給におけるスイッチを介して、複数の異なる粉末状物質を選択的に提供するように構成されており、物質は、例えば、ニッケル基超合金および上述したのと同様のはんだ材料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態による方法ステップを示す、層状構造の概略断面図を示す。
図2】ボトムアップ製造中のタービンブレードまたはベーンの概略図を示す。
図3】タービンブレードまたはベーンの付加的修理または改修プロセスの概略図を示す。
図4】一実施形態による製造方法に従った方法ステップを示す。
【0020】
同様の要素、同じ種類の要素および同じように作用する要素には、図において同じ参照符号が提供され得る。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の実施形態、原理および特徴の理解を容易にするために、それらは、例示的な実施形態における実装を参照して以下で説明される。しかしながら、本開示の実施形態は、記載されたシステムまたは方法における使用に限定されない。
【0022】
様々な実施形態を構成するものとして以下で説明される構成要素および材料は、例示的であり、限定的ではないことが意図される。本明細書に記載される材料と同じまたは類似の機能を実行する多くの適切な構成要素および材料は、本開示の実施形態の範囲内に包含されることが意図されている。
【0023】
提示された熱的加熱処理サイクルは、亀裂または破裂傾向または多孔度に関して複数の超合金に対して最良の構造的結果を示すように調整され得る。
【0024】
本明細書で使用される「難溶接性材料」という用語は、上述した基材および上述したはんだまたははんだの残余を含み得る。
【0025】
一実施形態では、熱処理は、ろう付けまたははんだ付け処理を表す。熱処理は、硬質はんだ付けおよび/または高温はんだ付けであり得る。
【0026】
所与の手段により、完全に生成的な製造として、または修理もしくは改修用途のために、特に低い亀裂を示す傾向を有している所与の材料の付加的な堆積を容易にすることができる。さらに、所定の合金の溶接性は、好適な構造品質とともに証明することができる。
【0027】
一実施形態では、基材ははんだ材料に類似している。言い換えると、はんだ材料は、基材と等しい構成成分または主成分を含み得る。
【0028】
一実施形態では、基材は、かなりの割合の金属間フェーズを含む。基材は、γまたはγ’相を含み得る。
【0029】
一実施形態では、第1の層および/または第2の層は、レーザー金属堆積を経て堆積される。別の実施形態では、第1の層および/または第2の層は、レーザー金属粉末堆積を経て堆積される。これらの実施形態によれば、堆積は室温で実施され、およびSLMなどの粉末床ベースのプロセスでは実行できない速度で実施することができる。
【0030】
一実施形態では、基材は、「Inconel738」、「Rene80」または「Alloy247」などのニッケル基超合金からの粉末である。
【0031】
一実施形態では、基材は、析出硬化もしくは分散硬化されるか、またはそれに応じて硬化可能である。
【0032】
一実施形態では、はんだは、「AmdryBRB」、「Amdry DF-4B」および「Ni1248」の少なくとも1つの材料を含む。
【0033】
一実施形態では、はんだまたははんだ付けプロセスは、ホウ素またはケイ素などの融点降下剤を含まない。これは、基材およびはんだの材料組成の類似性を維持できるという利点を提供し、それにより、プロセスは、製造の間または任意の製造後の熱処理の間に最適な、または好都合に低い亀裂または破裂を示す傾向を含む。
【0034】
一実施形態では、第1の層の層厚は、200から400μmの間で選択される。別の実施形態では、層厚は300μm±20μmとなるように選択される。
【0035】
一実施形態では、第2の層(層スタック)は、それぞれが200から400μmの間の層厚を含む、基材の3つの副層から構成される、および/またはそれを経て堆積される。別の実施形態では、第2の層(層スタック)は、それぞれが300±20μmの層厚を含む、基材の3つの副層から構成される、および/またはそれを経て堆積される。
【0036】
一実施形態では、第2の層の副層の層厚は、200から400μmの間で選択される。別の実施形態では、第2の層の副層の層厚は、300μm±20μmとなるように選択される。
【0037】
製造される構成要素に対して堆積すべき構造の全高に到達するために、複数の第1および第2の層が交互に堆積および積層され得る。
【0038】
一実施形態では、第1の層は、2から10cm/時の速度で堆積される。別の実施形態では、第1の層は、6cm/時を超える速度で堆積される。
【0039】
一実施形態では、第2の層は、2から10cm/時の速度で堆積される。別の実施形態では、第2の層は、6cm/時を超える速度で堆積される。
【0040】
一実施形態では、製造の間または熱処理の間に基材における高温割れまたは破裂などの亀裂を防止するために、第1の層が基板上に直接堆積される。
【0041】
一実施形態では、本方法は、ハイブリッドな製造、修理または改修プロセスである。
【0042】
一実施形態では、本方法は、生成的、ボトムアップおよび/またはアブイニショ(ab-initio)製造プロセスである。
【0043】
一実施形態では、構成要素は、特に低い亀裂または細孔を示す傾向とともに、亀裂中心のないまたは亀裂中止を免れた微細構造を含む。
【0044】
一実施形態では、構成要素は、(残留)多孔度または300μm未満の細孔径を含む。前記細孔径は、対応する多孔度の最大細孔径および/または平均細孔径を示し得る。
【0045】
図1は、構成要素10に対する層スタックの、その付加製造の間の概略断面図を示す。前記製造は、基板1上へのレーザー金属堆積などのビーム支援付加製造プロセスにより実施され得る。一実施形態では、レーザー金属堆積は、基板1上へのレーザー粉末金属堆積であり得る。
【0046】
図1により、提示された方法の少なくとも一部が示されている。
【0047】
本明細書で使用される「基板」という用語は、製造される構成要素の構造を支持するためだけに利用されるベースプレートに関連し得る。図2は、製造される構成要素10の構造を支持するために使用される基板1の例を示している。従って、提示された方法は、生成的、ボトムアップおよび/またはアブイニショ製造プロセスに関連し得る。
【0048】
あるいは、基板は、既存の構成要素または事前に製造された構成要素に関連し得る。一実施形態では、図3に示すように、基板1は、ガスタービン用のブレードまたはベーンの翼のすでに機械加工されたセクションであり得る。従って、提示された方法は、ハイブリッドな製造、修理または改修プロセスに関連し得る。
【0049】
図1および2の実施形態に示されるように、前記基板1のすぐ上に、層L1が所与の手段により堆積または製造される。それにより、層L1は、基板1に接着的に、または冶金的に接続され得る。
【0050】
構成要素の材料のための第1の層L1は、構成要素10のための基材BMの大部分およびはんだSまたはろう付け材料の小部分を含む。はんだは、図1に示すように、層スタックの接着的または冶金的接続を形成することが意図されている。
【0051】
「大部分」という用語は、第1の層L1の全体材料の、例えば60%の割合に関連し得る。従って「小部分」という用語は、第1の層L1の全体材料の、例えば40%の割合に関連し得る。これらのパーセンテージとは別に、第1の層L1の材料は、それぞれ基材BMおよびはんだSの任意の他の関係から構成され得る。
【0052】
基板1上への層L1の直接堆積は、例えば、ビルドアップおよび任意のその後の熱処理の間に基材BMにおける亀裂または亀裂傾向を防止することを有利に可能にしている。
【0053】
一実施形態では、基材BMは、ニッケル基超合金などの金属からの粉末を含み得る。これらの粉末は、Inconel738、Rene80またはAlloy247を含み得る。
【0054】
一実施形態では、はんだは、「AmdryBRB」、「AmdryDF-4B」および「Ni1248」の少なくとも1つの物質を含み得る。
【0055】
一実施形態では、はんだSは、ホウ素などの融点降下剤をさらに含まないか、または欠いている。同様に、一実施形態では、はんだ付けプロセスは、融点降下剤を使用しない。
【0056】
基材BMは、γまたはγ’相などの金属間フェーズのかなりの割合を含み得る。
【0057】
第1の層L1の層厚は、200から400μmの間で選択され得る。一実施形態では、第1の層L1の層厚は、±50の精度または変動で300μmである。別の実施形態では、第1の層L1の層厚は、±20の精度または変動で300μmである。
【0058】
第1の層1の頂部上に、基材BMの第2の層L2が、提示された方法に従って堆積される。
【0059】
一実施形態では、第2の層L2は、層L1と同じ手段により堆積される。第2の層L2は、層1の材料と比較して、少なくとも部分的に異なる材料組成を有する材料をさらに含み得る。
【0060】
一実施形態では、層L2は、副層SL1、SL2およびSL3の順序のサブスタックをさらに構成するか、または含む。副層は、単一層として連続的に堆積され、レーザー溶接またはレーザークラッディング技術により堆積され得る。各副層は、200から400μmの間の層厚で堆積、または提供され得る。一実施形態では、第1の層L1の層厚は、±50の精度または変動で300μmである。別の実施形態では、第1の層L1の層厚は、±20の精度または変動で300μmである。従って、層L2全体は、およそ900μmの層厚を含み得る。
【0061】
第1の層L1および/または第2の層L2は、6cm/時を超える速度で堆積され得る。
【0062】
構成要素10または堆積物は、図1に示すように、交互に配置された第1および第2の層L2、L2から構成され得る。提示された方法によれば、層は次いで、構成要素10の最終的な高さまたは設計に到達するまで交互に堆積され得る。
【0063】
図2は、装置100によるボトムアップ製造中の構成要素10を示している。装置100は、構成要素、この場合はタービンブレードまたはその翼に対する構造を堆積するのに適していてもよい。
【0064】
装置100は、例えば粉末供給におけるスイッチを介して、複数の異なる粉末状物質を選択的に提供するようにさらに構成され得る。前記物質は、例えば基材BMおよびはんだSに対して挙げられた材料を含む。
【0065】
完全に組み立てられ、ビルドアップされ、または製造されると、構成要素10は、優れた材料および/または表面特性並びに改善された微細構造を含み得る。一実施形態では、構成要素10の構造は、その製造プロセスにより、低い破裂または亀裂を示す傾向を有するかまたはその傾向がないことが本質的に認められる。これは次に、堆積した材料または構成要素を、より過酷な環境、すなわち、従来の材料または製造方法の場合のような、より高い動作温度またはガス温度に適用することを可能にしている。
【0066】
製造時の構成要素10は、残留多孔度または300μm未満、200μm未満または150μm未満の細孔径を含み得る。
【0067】
図2と比較して、図3は類似の状況を示しており、構成要素10は、完全に付加的に製造されているというよりむしろ、提示された方法により修理または改修されているだけである。従って、構成要素は、既存の「基板」1を含んでいてもよく、さらなる層L1およびL2が、既存の部品または付根(root)の頂部上で製造される。
【0068】
図4は、概略的なフローチャートにより、提示された方法の方法ステップを示している。
【0069】
上述したように、本方法は、a)基板1上に材料の第1の層L1を堆積するステップを含み、第1の層1は、構成要素10のための基材BMの大部分およびはんだSの小部分を含む。
【0070】
本方法は、b)構成要素10のための基材BMの第2の層L2を堆積するステップ、およびc)層配置の熱処理をさらに含む。
【0071】
一実施形態では、前記熱処理は、c1)1000℃を超える第1の温度での第1の熱サイクルを含む。別の実施形態では、熱処理は、1100℃を超える第1の温度での第1の熱サイクルを含む。さらなる実施形態では、熱処理は、1200℃を超える第1の温度での第1の熱サイクルを含む。例えば、第1の温度は、1.5時間以上の期間にわたり、1248℃±15℃であり得る。別の実施例では、期間は2から4時間であり得る。
【0072】
上述したような第1の熱サイクルは、ろう付けまたははんだ付けサイクルであり得る。
【0073】
一実施形態では、前記熱処理は、c2)800℃を超える第2の温度での(後続の)第2の熱サイクルをさらに含む。別の実施形態では、前記熱処理は、900℃を超える第2の温度である。さらなる実施形態では、前記熱処理は、1000℃を超える第2の温度である。例えば、熱処理は、1から2時間以上にわたり、1160℃であり得る。一実施形態では、熱処理は3時間以上にわたり続く。
【0074】
上述したような第2の熱サイクルは、拡散サイクルであり得る。
【0075】
熱処理は、c3)700℃を超える第3の温度での後続の第3の熱サイクルをさらに含み得る。別の実施形態では、第3の熱サイクルは800℃を超えて実施される。例えば、熱処理は、8時間以上にわたり、870℃で実施され得る。さらなる実施形態では、熱処理は、12時間以上などの10時間にわたり実施され得る。
【0076】
一実施形態では、第3のサイクルは、900℃を超える温度での構成要素10の第1の加熱またはアニーリングまたはサブサイクルを伴う2ステップまたはバイナリ熱サイクルであり得る。例えば、温度は、1.5時間以上の期間にわたり、1080℃などの1000℃を超えるものであり得る。一実施形態では、第3のサイクルは2時間にわたり実施され得る。
【0077】
第2の加熱、アニーリングまたはサブサイクルは、600℃を超える温度で構成要素を加熱することを含み得る。一実施形態では、第2の加熱は、700℃を超える温度で構成要素を加熱することを含み得る。例えば、第2の加熱は、12時間を超えるなどの10時間以上の期間にわたり870℃などの温度で構成要素を加熱することを含み得る。さらなる実施形態では、第2の加熱の期間は20時間であり得る。
【0078】
上述したような第3の熱サイクルは、拡散後または緩和サイクルであり得る。
【0079】
本発明の保護の範囲は、上記で与えられた実施例に限定されない。本発明は、各新規な特徴および特徴の各組み合わせで具現化され、これは特に、特許請求の範囲で述べられている任意の特徴のあらゆる組み合わせを、この特徴またはこの特徴の組み合わせが特許請求の範囲または実施例で明示的に述べられていない場合でも含む。
【0080】
本開示の実施形態が例示的な形態で開示されてきたが、以下の特許請求の範囲に記載されているような、本発明およびその等価物の精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正、追加および削除をその中で行うことができることは当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0081】
1 基板
10 構成要素
100 装置
BM 基材
L1 第1の層
L2 第2の層
S はんだ
SL1、SL2、SL3 副層
図1
図2
図3
図4