(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】コネクタ、コネクタ付き基板
(51)【国際特許分類】
H01R 12/73 20110101AFI20220701BHJP
【FI】
H01R12/73
(21)【出願番号】P 2020566131
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 JP2019046145
(87)【国際公開番号】W WO2020149016
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】P 2019007058
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019170632
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】長江 倫史
(72)【発明者】
【氏名】三宅 一生
(72)【発明者】
【氏名】武井 一統
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正裕
(72)【発明者】
【氏名】沼澤 吉延
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-260500(JP,A)
【文献】特開2001-135382(JP,A)
【文献】特開2011-159664(JP,A)
【文献】特開平10-284188(JP,A)
【文献】国際公開第2008/015862(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/70-12/81
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板に実装されるコネクタであって、電子モジュールの接続用端部基板に形成された電極と接触する接触部及び前記配線基板の配線に電気接続される接続部を有する複数のコンタクトと、前記コンタクトを保持するハウジングと、前記接続用端部基板を前記コンタクトの接触部に押し付ける基板押さえ部材と、前記接続用端部基板を前記ハウジングに対して前記ハウジングに配列された前記コンタクトの配列ピッチ方向に位置決めする長手方向位置決め部及び前記配列ピッチ方向に垂直の幅方向に位置決めする幅方向位置決め部と、を備え、
前記幅方向位置決め部は前記ハウジングの上面に前記配列ピッチ方向に沿って延在形成された基板収容溝であり、
前記ハウジングには、その上面側から前記接続用端部基板を当接可能な基板支持面と、前記ハウジングの幅方向両側に位置する係止突部とが形成され、
前記基板押さえ部材は、前記ハウジングの前記基板支持面上に配置された前記接続用端部基板に当接される押さえ体と、前記押さえ体の両側から前記押さえ体の押さえ面側に突出形成され前記ハウジングの前記係止突部の下側に係合される係合突起を含む係合片とを有し、
前記基板押さえ部材を前記ハウジングに対して上方からスライド移動させて前記押さえ体の両側の前記係合片の係合突起をそれぞれ前記ハウジングの前記係止突部に係合させることで前記押さえ体によって前記基板支持面上の前記接続用端部基板を前記基板支持面に向かって押圧可能となるコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは前記コンタクトが複数配置されたコンタクト配置領域と、前記配列ピッチ方向において前記コンタクト配置領域の両側に設けられた第1台部及び第2台部とを有し、前記基板支持面は前記ハウジングの前記第1台部、前記コンタクト配置領域、前記第2台部のうち少なくとも前記第1台部と前記コンタクト配置領域とに互いに面一に形成され、
前記係止突部は前記第1台部及び前記第2台部に位置する
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記基板押さえ部材の前記押さえ体は、前記ハウジングの前記基板支持面上に配置された前記接続用端部基板に当接される押さえ突部を有する
請求項1又は
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングの上面の前記基板収容溝の溝幅方向両側あるいは片側には、前記基板収容溝に臨ませて前記上面から窪む基板取り出し用凹部が形成されている
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記基板収容溝の壁から前記基板収容溝の内側に向けて突出するとともに、平面視において前記基板押さえ部材に対向する位置決め突起を有し、
前記基板押さえ部材の前記押さえ体は、前記ハウジングの前記基板支持面上に配置された前記接続用端部基板に当接される押さえ突部と、前記押さえ突部の対角線の両端に位置するとともに前記位置決め突起に対応する第1切欠とを有し、
前記位置決め突起に対応する第2切欠を有する前記接続用端部基板を前記基板収容溝内に配置した状態で、前記基板押さえ部材を前記ハウジングに係合することによって、前記位置決め突起は、前記第1切欠及び前記第2切欠に嵌合する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記複数のコンタクトは、前記ハウジングの短手方向の両側に配列されており、
前記ハウジングの平面視において、複数のコンタクトは、前記ハウジングの長手方向に沿って千鳥状に配列されている請求項1から
請求項5のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記基板押さえ部材は非導電性材料によって形成されている請求項1から
請求項6のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記ハウジングは耐熱温度が250℃以上の材料によって形成されている請求項1から
請求項7のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項9】
請求項1から
請求項8のいずれか一項に記載のコネクタと、前記コネクタが実装された配線基板とを有し、前記コンタクトの前記接続部が前記配線基板の配線に電気接続されているコネクタ付き基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に実装されるコネクタ、コネクタ付き基板に関する。
本願は、2019年1月18日に日本に出願された特願2019-007058号及び2019年9月19日に日本に出願された特願2019-170632号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
電子内視鏡のビデオスコープ装置にあっては、固体撮像素子(以下、単に撮像素子とも言う)を配線基板を介して電気ケーブルの先端に電気的に接続した構成の撮像モジュールを樹脂製のチューブ内に収容した構造が多く採用されている(例えば特許文献1)。
この種の撮像モジュールでは、配線基板の配線に複数本の電気ケーブル先端が電気的に接続され、配線基板の配線を介して各電気ケーブルが撮像素子と電気的に接続される。
また、この種の撮像モジュールについては、モニタを含むビデオ処理表示装置側の電気ケーブルと、撮像モジュールの電気ケーブルとを中継用基板を介して電気接続することで、撮像素子をビデオ処理表示装置に電気接続する構成が多く採用されている。
【0003】
撮像モジュールの電気ケーブルは、その先端とは逆の基端を中継用基板の電気回路に半田付けすることが一般的である。
一方、ビデオ処理表示装置側の電気ケーブルについては、ビデオ処理表示装置側とは逆側の先端を半田付けした接続用端部基板が取り付けられ、この接続用端部基板の電気回路を中継用基板に実装されたコネクタを介して中継用基板の電気回路に電気接続する構成が提案されている(例えば特許文献2)。ビデオ処理表示装置側の電気ケーブルは、中継用基板に実装されたコネクタ及び中継用基板の電気回路を介して撮像モジュールの電気ケーブルと電気接続される。
【0004】
特許文献2に記載のコネクタは、中継用基板に固定されたハウジングと、このハウジング上にねじ留め固定されることでハウジングとの間に接続用端部基板を挟持固定するカバープレートとを有する。ハウジングには、ビデオ処理表示装置側の電気ケーブル先端に取り付けられた細長板状の接続用端部基板に対応するサイズの溝が形成されている。ハウジングの溝には導電部と非導電部とが交互に配置されたエラストマが配置されている。ビデオ処理表示装置側の電気ケーブル先端の接続用端部基板は、ハウジングのエラストマ上に配置した状態で、ハウジングにねじ留めされたカバープレートによってエラストマに向かって押圧されてハウジングに固定される。また、ビデオ処理表示装置側の電気ケーブル先端の接続用端部基板の電気回路は、ハウジングの溝に収容されたエラストマの導電部を介して中継用基板の電気回路と電気接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特開2006-109097号公報
【文献】米国特許出願公開第2007/0276182号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年、中継用基板の小型化が進展しており、それに伴い中継用基板の電気回路と電気ケーブルとの間の電気接続のために中継用基板に実装されるコネクタも小型化が進展している。このため、特許文献2のような構造のコネクタでは、カバープレートをハウジングにねじ留め固定するねじのサイズが小さく、ハウジングに対するカバープレートの固定の作業性が悪いといった問題があった。
【0007】
本発明の態様が解決しようとする課題は、電気ケーブルの端部に設けられた接続用基板の固定を効率良く行えるコネクタ、コネクタ付き基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では以下の態様を提供する。
第1の態様は、配線基板に実装されるコネクタであって、電子モジュールの接続用端部基板に形成された電極と接触する接触部及び前記配線基板の配線に電気接続される接続部を有する複数のコンタクトと、前記コンタクトを保持するハウジングと、前記接続用端部基板を前記コンタクトの接触部に押し付ける基板押さえ部材と、前記接続用端部基板を前記ハウジングに対して前記ハウジングに配列された前記コンタクトの配列ピッチ方向に位置決めする長手方向位置決め部及び前記配列ピッチ方向に垂直の幅方向に位置決めする幅方向位置決め部と、を備える。前記幅方向位置決め部は前記ハウジングの上面に前記配列ピッチ方向に沿って延在形成された基板収容溝である。前記ハウジングには、その上面側から前記接続用端部基板を当接可能な基板支持面と、前記ハウジングの幅方向両側に位置する係止突部とが形成されている。前記基板押さえ部材は、前記ハウジングの前記基板支持面上に配置された前記接続用端部基板に当接される押さえ体と、前記押さえ体の両側から前記押さえ体の押さえ面側に突出形成され前記ハウジングの前記係止突部の下側に係合される係合突起を含む係合片とを有する。前記基板押さえ部材を前記ハウジングに対して上方からスライド移動させて前記押さえ体の両側の前記係合片の係合突起をそれぞれ前記ハウジングの前記係止突部に係合させることで前記押さえ体によって前記基板支持面上の前記接続用端部基板を前記基板支持面に向かって押圧可能となる。
前記ハウジングは前記コンタクトが複数配置されたコンタクト配置領域と、前記配列ピッチ方向において前記コンタクト配置領域の両側に設けられた第1台部及び第2台部とを有し、前記基板支持面は前記ハウジングの前記第1台部、前記コンタクト配置領域、前記第2台部のうち少なくとも前記第1台部と前記コンタクト配置領域とに互いに面一に形成され、前記係止突部は前記第1台部及び前記第2台部に位置していても良い。
前記基板押さえ部材の前記押さえ体は、前記ハウジングの前記基板支持面上に配置された前記接続用端部基板に当接される押さえ突部を有していても良い。
前記ハウジングの上面の前記基板収容溝の溝幅方向両側あるいは片側には、前記基板収容溝に臨ませて前記上面から窪む基板取り出し用凹部が形成されていても良い。
前記ハウジングは、前記基板収容溝の壁から前記基板収容溝の内側に向けて突出するとともに、平面視において前記基板押さえ部材に対向する位置決め突起を有し、前記基板押さえ部材の前記押さえ体は、前記ハウジングの前記基板支持面上に配置された前記接続用端部基板に当接される押さえ突部と、前記押さえ突部の対角線の両端に位置するとともに前記位置決め突起に対応する第1切欠とを有し、前記位置決め突起に対応する第2切欠を有する前記接続用端部基板を前記基板収容溝内に配置した状態で、前記基板押さえ部材を前記ハウジングに係合することによって、前記位置決め突起は、前記第1切欠及び前記第2切欠に嵌合しても良い。
前記複数のコンタクトは、前記ハウジングの短手方向の両側に配列されており、前記ハウジングの平面視において、複数のコンタクトは、前記ハウジングの長手方向に沿って千鳥状に配列されても良い。
前記基板押さえ部材は非導電性材料によって形成されていても良い。
前記ハウジングは耐熱温度が250℃以上の材料によって形成されていても良い。
第2の態様のコネクタ付き基板は、上記のコネクタと、前記コネクタが実装された配線基板とを有し、前記コンタクトの前記接続部が前記配線基板の配線に電気接続されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様に係るコネクタ及びコネクタ付き基板によれば、基板押さえ部材をハウジングに対してスライド移動させて押さえ体の両側の係合片の係合突起をそれぞれハウジングの側部の係止突部に係合させるだけで、電子モジュールの接続用端部基板を基板押さえ部材の押さえ体によってコネクタのコンタクトの接触部に押し付けることができ、電子モジュールとコンタクトとの電気接続を簡単かつ確実に実現できる。その結果、コネクタのコンタクトを介して電気モジュールと配線基板との電気接続を簡単かつ確実に実現できる。配線基板に電気接続された機器が存在する場合には、この機器と電子モジュールとの電気接続も実現できる。
【0010】
本発明の態様に係るコネクタは、基板押さえ部材のハウジングに対するスライド移動操作のみによって、電子モジュールの接続用端部基板を基板押さえ部材の押さえ体によってコネクタのコンタクトの接触部に押し付けてハウジングに固定できる。このため、このコネクタは、特許文献2のようにカバープレートをハウジングにねじ留めする構成に比べて、接続用端部基板をハウジングに固定する作業の作業性を向上でき、固定作業を効率良く行なえる。
【0011】
また、本発明の態様に係るコネクタ及びコネクタ付き基板によれば、電子モジュールの接続用端部基板の形状やサイズの自由度を確保できる。
このため、例えば、電子モジュールが、撮像素子、レーザ素子、センサ素子のいずれかである電子素子と、電子素子に電気接続された電気ケーブルと、電気ケーブルの電子素子に電気接続された先端とは逆の後端に電気接続された接続用端部基板とを有する構成である場合、接続用端部基板を、電子素子及び電気ケーブルを収容するチューブに挿入可能なサイズにすることが可能である。接続用端部基板は、例えば、電子モジュールの電子素子を挿入可能な範囲で内径を出来るだけ小さくしたチューブに挿入可能なサイズのものを採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るコネクタ、コネクタ付き基板を示す図であり、基板押さえ部材をハウジングに対して離脱させた分解斜視図である。
【
図2】
図1のコネクタ、コネクタ付き基板について、ハウジングに装着した基板押さえ部材とハウジングとの間に接続用端部基板(撮像モジュールの後側基板)を挟持した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図2のコネクタ、コネクタ付き基板を示す正面図である。
【
図4】
図1のコネクタ、コネクタ付き基板のコンタクト収容溝付近を示す横断面図である。
【
図5】
図2のコネクタ、コネクタ付き基板のコンタクト収容溝付近を示す横断面図である。
【
図6】
図1のコネクタのコンタクトを示す斜視図である。
【
図7】
図1のコネクタの基板押さえ部材を押さえ面側から見た斜視図である。
【
図8】撮像モジュールの撮像素子付近を示す斜視図である。
【
図9】撮像モジュールの後側基板の前端部付近を示す断面図である。
【
図10】
図1のコネクタ、コネクタ付き基板を使用した電子内視鏡システムを示す図である。
【
図11】
図10の電子内視鏡システムの撮像モジュールの構成を説明する断面図である。
【
図12】
図11の撮像モジュールの後側基板の第1面側を示す図である。
【
図13】
図12の後側基板の導体接続端子に対する撮像モジュールの電気ケーブルの同軸ケーブルの導体の接続状態を示す図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係るコネクタ、コネクタ付き基板を示す図であり、基板押さえ部材をハウジングに対して離脱させた分解斜視図である。
【
図15】
図14のコネクタ、コネクタ付き基板について、ハウジングに装着した基板押さえ部材とハウジングとの間に接続用端部基板(撮像モジュールの後側基板)を挟持した状態を示す斜視図である。
【
図16】
図14のコネクタ、コネクタ付き基板のハウジングの第2台部に位置する係止突部付近を示す横断面図である。
【
図17】
図15のコネクタ、コネクタ付き基板のハウジングの第2台部に位置する係止突部付近を示す横断面図である。
【
図18】
図14のコネクタの基板押さえ部材を押さえ面側から見た斜視図である。
【
図19A】本発明の第3実施形態に係るコネクタを構成する基板押さえ部材を示す図であって、基板押さえ部材を押さえ面側から見た斜視図である。
【
図19B】本発明の第3実施形態に係るコネクタを構成するハウジングと、ハウジングによって保持される複数のコンタクトとを示す斜視図である。
【
図19C】本発明の第3実施形態に係るコネクタを示す図であって、基板押さえ部材とハウジングとの間に接続用端部基板(撮像モジュールの後側基板)を挟持した状態を示す斜視図である。
【
図19D】接続用端部基板(撮像モジュールの後側基板)を示す図であって、複数のコンタクトに接触する電極が形成されている面を示す平面図である。
【
図19E】接続用端部基板(撮像モジュールの後側基板)の変形例を示す図であって、複数のコンタクトに接触する電極が形成されている面を示す平面図である。
【
図20】本発明の第3実施形態に係る基板押さえ部材を示す正面図である。
【
図21】本発明の第3実施形態に係る基板押さえ部材を示す背面図であって、
図20に示す基板押さえ部材の反対側を示す図である。
【
図22】本発明の第3実施形態に係る基板押さえ部材を一方から見た側面図である。
【
図23】本発明の第3実施形態に係る基板押さえ部材を一方から見た側面図であって、
図22に示す基板押さえ部材の反対側を示す図である。
【
図24】本発明の第3実施形態に係る基板押さえ部材を示す上面図である。
【
図25】本発明の第3実施形態に係る基板押さえ部材を示す下面図である。
【
図26】本発明の第3実施形態に係るハウジングを示す正面図である。
【
図27】本発明の第3実施形態に係るハウジングを示す背面図であって、
図26に示すハウジングの反対側を示す図である。
【
図28】本発明の第3実施形態に係るハウジングを一方から見た側面図である。
【
図29】本発明の第3実施形態に係るハウジングを一方から見た側面図であって、
図28に示すハウジングの反対側を示す図である。
【
図30】本発明の第3実施形態に係るハウジングを示す上面図である。
【
図31】本発明の第3実施形態に係るハウジングを示す下面図である。
【
図32】長手方向位置決め部の適用例を説明する図であり、第1治具掛け孔の穴径を第2治具掛け孔の穴径よりも小さくした構成を示す平面図である。
【
図33】長手方向位置決め部の適用例を説明する図であり、第1治具掛け孔及び第2治具掛け孔の後側基板短手方向における位置を互いにずらした構成を示す平面図である。
【
図34】長手方向位置決め部の一例を説明する図であり、基板収容溝の溝幅方向片側の内壁面から突出され、後側基板に形成された切欠部に挿入される位置決め突部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係るコネクタ、コネクタ付き基板について、図面を参照して説明する。
【0014】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態のコネクタ、コネクタ付き基板について説明する。
図1、
図2は、ここで説明する実施形態のコネクタ20及びコネクタ付き基板30を示す。
図1、
図2に示すコネクタ付き基板30は、ベース基板31(配線基板)の片面にコネクタ20を実装したものである。
【0015】
図1に示すように、コネクタ20は、複数のコンタクト21と、コンタクト21を保持するハウジング22と、ハウジング22に装着される基板押さえ部材23とを有する。
また、コネクタ20は、コンタクト21に電気接続する撮像モジュール10(
図10、
図11参照。電子モジュール)の後側基板14(接続用端部基板)をハウジング22に対して位置決めする位置決め部(長手方向位置決め部24及び幅方向位置決め部25)も有している。
【0016】
図1に示すコネクタ20の幅方向位置決め部25は、具体的には、ハウジング22のベース基板31側の底面22aとは逆の上面22bに延在形成された基板収容溝である。
以下、幅方向位置決め部25が基板収容溝を指す場合、符号25を付して基板収容溝と称して説明する。
図1に示すコネクタ20の長手方向位置決め部24は、基板収容溝25の長手方向(延在方向)片側の端部の溝底上に突出された位置決めピンである。以下、長手方向位置決め部24が位置決めピンを指す場合、符号24を付して位置決めピンと称して説明する。
コネクタ20は、幅方向位置決め部25である基板収容溝が形成されたハウジング22に長手方向位置決め部24が設けられた構成のコネクタベース部材20Aを有する。
【0017】
図10に示すように、撮像モジュール10は、電子内視鏡システム50の一部として用いることができるものである。
図11に示すように、撮像モジュール10は、撮像素子11(電子素子)と、撮像素子11が実装された配線基板12(以下、ヘッド側基板とも言う)と、ヘッド側基板12の配線(図示略)を介して撮像素子11に電気接続された電気ケーブル13と、電気ケーブル13のヘッド側基板12の配線に接続された先端とは逆の後端に電気接続された後側基板14とを有する。
【0018】
また、
図11は、撮像モジュール10の撮像素子11、ヘッド側基板12、電気ケーブル13が樹脂製の可撓性に優れるチューブ15に収容されたチューブ付きモジュール16を示す。
但し、撮像モジュール10の後側基板14はチューブ15に収容されず、チューブ15の端(後端)から外側に突出状態に露呈されている。
【0019】
図10はコネクタ付き基板30を適用した電子内視鏡システム50の一例を示す。
図10に示す電子内視鏡システム50は、ビデオ処理表示装置51と、ビデオ処理表示装置51に接続ケーブル52を介して電気接続されたベース基板31(中継用基板)を有するコネクタ付き基板30と、チューブ付きモジュール16とを有する。
チューブ付きモジュール16は、電子内視鏡システム50のビデオスコープ装置の一部または全部を構成する。
【0020】
図4に示すように、コネクタ付き基板30のコンタクト21は、撮像モジュール10の後側基板14に形成されている電極14cに接触される接触部21a、及びベース基板31の配線31bに半田付けによって電気接続された接続部21bを有する。
コンタクト21の接続部21bのベース基板31の配線31bに対する電気接続は、半田付けに限定されず、例えばベース基板31に設けられた固定用金属片の折曲やベース基板31に嵌合固定可能なクリップによって接続部21bを配線31bに押さえ込む機械的固定等によって実現しても良い。
【0021】
コネクタ20は、後側基板14の電極14cを含む撮像モジュール10の回路とベース基板31の配線31bとをコンタクト21を介して電気接続する。
コネクタ付き基板30は、後側基板14の電極14cを含む撮像モジュール10の回路と、ベース基板31の配線31bに電気接続された外部回路とを電気接続する役割を果たす。
【0022】
図10に示す電子内視鏡システム50において、コネクタ付き基板30のベース基板31の配線31bに電気接続された外部回路は、接続ケーブル52を含むビデオ処理表示装置51側電気回路(以下、表示装置側回路、とも言う)である。
図10に示す電子内視鏡システム50において、コネクタ付き基板30は、後側基板14の電極14cを含む撮像モジュール10の回路と表示装置側回路とを電気接続する役割を果たす。
【0023】
次に、コネクタ20をより詳しく説明する。
なお、コネクタ20について、
図1~
図6において、上側を上、下側を下、として説明する。また、コネクタ20について、
図4、
図5において、左側を前、右側を後、として説明する。
【0024】
図1に示すコネクタ20のハウジング22は樹脂製の板状部材である。ハウジング22は電気絶縁性を有する。
また、ハウジング22は、リフローによるコンタクト21の接続部21bとベース基板31の配線31bとの半田付け等に鑑みて、例えばエンジニアリングプラスチック等の耐熱温度が250℃以上の材料によって形成された構成を好適に採用できる。
【0025】
図1に示すハウジング22は細長板状に形成されている。
図1に示すように、ハウジング22は、コンタクト21を収容するコンタクト収容溝26が複数形成されたコンタクト配置領域22Cと、コンタクト配置領域22Cを介して両側の台部(第1台部22A、第2台部22B)とを有する。
コンタクト配置領域22Cはハウジング22の長手方向中央部に位置する。
第1台部22A及び第2台部22Bは、ハウジング22のその長手方向におけるコンタクト配置領域22Cを介して両側の部分である。
【0026】
図3、
図4に示すように、ハウジング22は、ベース基板31の主面に重ね合わせるように当接される平坦な底面22aと、底面22aの逆側に底面22aと平行に形成された上面22b(以下、ハウジング上面、とも言う)とを有する。
【0027】
ハウジング22について、その底面22a及び上面22bの間隔方向(
図1~
図5における上下方向)を、以下、高さ方向、とも言う。
図4に示すように、ハウジング22は、その長手方向に垂直の断面において高さ方向に対する垂直方向片側の側面である前面22c、及び前面22cとは逆側の側面である後面22d、を有している。
なお、
図3に示すように、以下、ハウジング22の長手方向両側の端面のうち第1台部22A側の端面22eを第1端面、第2台部22B側の端面22fを第2端面、とも言う。
【0028】
図1、
図3、
図4に示すように、ハウジング22のコンタクト配置領域22Cのコンタクト収容溝26は、ハウジング22にその上面22bから底面22aに向かって窪んで形成されている。また、コンタクト収容溝26は、ハウジング22の前面22c及び後面22dのうち前面22cのみに開口させて形成されている。
【0029】
図3~
図5に示すように、ハウジング22は、コンタクト収容溝26の下側に位置して底面22aの一部を形成する溝底壁22gを有する。コンタクト収容溝26は、ハウジング22高さ方向において、ハウジング22の上面22bから溝底壁22gまでの範囲に形成されている。
ハウジング22は、コンタクト収容溝26の後側に位置する溝後壁22hも有する。溝後壁22hはハウジング後面22dの一部を形成する。
【0030】
ハウジング22の複数のコンタクト収容溝26は、それぞれハウジング22の長手方向に垂直に延在形成されている。また、コンタクト収容溝26は、ハウジング22のコンタクト配置領域22Cにおけるハウジング22の長手方向複数個所に互いに平行に形成されている。
【0031】
ハウジング22の複数のコンタクト収容溝26のコンタクト収容溝26間の間隔方向(配列ピッチ方向)はハウジング22の長手方向に一致している。
各コンタクト収容溝26にひとつずつ収容されているコンタクト21は、ハウジング22の長手方向に配列されている。ハウジング22に設けられた複数のコンタクト21は、ハウジング22の長手方向に一致する配列ピッチ方向で配列されている。
【0032】
基板収容溝25は、ハウジング上面22bに、ハウジング22の第1台部22Aからコンタクト配置領域22Cのハウジング22の長手方向全体にわたって延在形成され、さらに第1台部22A側とは逆の端を第2台部22Bに到達させて形成されている。
基板収容溝25のコンタクト配置領域22Cに位置する部分は、コンタクト配置領域22Cにおいてコンタクト収容溝26間に確保された溝仕切り壁22kの上部に形成されている。
基板収容溝25の溝底の基板支持面25aはその各部分が互いに面一になるように形成されている。
【0033】
図6に示すように、コンタクト21は、1枚の金属板に複数の湾曲部等が形成された一体成形品である。
このコンタクト21は例えば1枚の金属板の打ち抜き加工によって形成されたものである。このコンタクト21は、その全体にわたって一定の厚みを有し、かつ、厚み方向への曲げ等の加工部分が無い板状に形成されている。
コンタクト21を形成する金属板の材質は、例えば、銅、アルミニウム等の導体金属である。
【0034】
コンタクト21について、
図4、
図5において、左側を前側、右側を後側、として説明する。また、
図4~
図6において、コンタクト21について、上側を上、下側を下、として説明する。
図4~
図6に示すように、コンタクト21は、細長板状の幹部21cと、幹部21c長手方向一端部(上端部)から前側へ延出するばね部21dとを有する。
ばね部21dは、撮像モジュール10の後側基板14に設けられている電極14cに接触される接触部21aを含む。
【0035】
また、コンタクト21は、ベース基板31の配線31bに電気接続される接続部21b、及びハウジング22に固定するための固定片部21jも有している。
接続部21bは幹部21c長手方向他端部(下端部)から前側へ延出された延出片である。
固定片部21jは、幹部21cの側面から幹部21c長手方向に垂直に後側へ延出する細長形状の延出片である。
【0036】
ばね部21dは、幹部21c長手方向一端部から延出する1本の細長片によって形成されている。
ばね部21dは、幹部21c長手方向一端から前側へ延出するばね基端部21eと、ばね基端部21eの先端から上側へ前側が外周側、後側が内周側となるように湾曲する前側湾曲部21fとを有している。また、ばね部21dは、前側湾曲部21fのその延在方向におけるばね基端部21e側とは逆の先端からコンタクト21後側へ延出する中間細長片部21gと、中間細長片部21gのその延在方向における前側湾曲部21f側とは逆の先端から上側へ前側が内周側、後側が外周側となるように湾曲する後側湾曲部21hも有している。また、ばね部21dは、後側湾曲部21hのその延在方向における中間細長片部21g側とは逆の先端からコンタクト21前側へ延出する先端細長片部21i、及び先端細長片部21iの先端部(前端部)から上側へ突出する接触部21aも有している。
【0037】
図4、
図5に示すように、ハウジング22の溝底壁22gには、その前端から後側へ延在する固定片部嵌合孔26aが形成されている。
図4、
図5に示す固定片部嵌合孔26aはハウジング22の溝底壁22gに前後方向に貫通形成されている。但し、固定片部嵌合孔26aは後側が溝底壁22gの一部によって塞がれた非貫通孔であっても良い。
ハウジング22の溝底壁22gは、ハウジング22の溝後壁22hからハウジング22の前後方向中央部まで延在形成されている。
コンタクト21は、溝底壁22gの固定片部嵌合孔26aに固定片部21jが挿入嵌合され、幹部21cが溝底壁22g前面に沿って長手方向が上下方向に延在配置され、ばね部21dが溝底壁22gよりも上側に配置された状態でコンタクト収容溝26に収容されている。
【0038】
図4、
図5に示すように、コンタクト21の固定片部21jは、その片面に突出形成された固定用突起21kを固定片部嵌合孔26a内面に圧接させて溝底壁22gに固定されている。コンタクト21の固定片部21jは、固定片部嵌合孔26aにその前側から圧入して溝底壁22gに固定される。
コンタクト21は、固定片部21jの溝底壁22gへの固定によってハウジング22に取り付けられている。コンタクト21は、ハウジング22の前面22c側からハウジング22後側へ向かって挿入し、固定片部21jを固定片部嵌合孔26aにその前側から圧入して溝底壁22gに嵌合固定することでハウジング22に取り付けられ、コンタクト収容溝26に収容される。
【0039】
コンタクト21の固定片部21jをハウジング22の所定位置に保持するための構造(コンタクト保持構造)は、固定片部嵌合孔26aへの圧入に限定されない。
コンタクト保持構造は、例えば、ハウジング22のコンタクト収容溝26内面から突出された弾性係止片(ハウジングランス)と、コンタクト21の固定片部21jに形成された係合突部または係合凹部との係合によって、固定片部21jをハウジング22の所定位置に保持する構成も採用可能である。
【0040】
図1~
図4に示すように、コンタクト21の接続部21bは、ベース基板31のコネクタ20のハウジング22が配置された主面31aに形成されている配線31bに半田付けされ、配線31bに電気接続されている。
コンタクト21はその全体がベース基板31の主面31aの配線31bと導通されている。
【0041】
図1~
図3に示すように、コネクタ20のコネクタベース部材20Aは、ハウジング22の長手方向両端から突出された固定用補助突起22jを有する。コネクタベース部材20Aのハウジング22は、固定用補助突起22jにその上側から係合させた固定用補助部材22iの下端部を半田付けやねじ留め等によってベース基板31に固定してベース基板31に取り付けられている。
なお、コネクタベース部材20Aのハウジング22をベース基板31に固定するための構造(ハウジング固定構造)は上述の構成に限定されず、適宜変更可能である。
【0042】
図1、
図5に示すように、基板押さえ部材23は、押さえ体23aと、押さえ体23aの両側から押さえ体23aの押さえ面23b(
図5参照)側に突出形成された係合片23cとを有する。
基板押さえ部材23の押さえ体23aの押さえ面23bは、ハウジング22の基板収容溝25の溝底面である基板支持面25a上に配置された後側基板14に基板支持面25aとは逆側から当接される。
なお、基板支持面25aはハウジング22の上下方向に垂直、ハウジング22の上面22bに平行に形成されている。
【0043】
ハウジング22の前後方向を、以下、幅方向とも言う。
図1、
図4、
図5に示すように、ハウジング22の前後両側(幅方向両側)にはハウジング22の長手方向に沿って延在する延在切欠部22mが形成されている。延在切欠部22mは、ハウジング22の上下方向においてその下端から中央部までの範囲に形成されている。
図1に示すように、延在切欠部22mの延在方向一端は、ハウジング22の第2端面22fに開口している。
【0044】
ハウジング22のその上下方向において延在切欠部22mから上側の部分は、基板押さえ部材23の係合片23cを係合させる係止突部22nとされている。
係止突部22nはハウジング22の長手方向に沿って延在するリブ状に形成されている。
また、係止突部22nは、ハウジング22の前面22cの一部、及び第2端面22fの一部を形成する。
【0045】
図1、
図9に示すように、基板押さえ部材23の押さえ体23aは四角板状に形成されている。
図5に示すように、押さえ体23aの片面は押さえ面23bとされている。
係合片23cは、押さえ体23aから押さえ面23b側に突出されている。
【0046】
図5に示すように、基板押さえ部材23は、押さえ体23aをハウジング22の上面22b上に配置し、係合片23cをハウジング22の幅方向両側の係止突部22nにそれぞれ係合させてハウジング22に装着される(
図2参照)。ハウジング22に装着された基板押さえ部材23の押さえ体23aは、押さえ面23bがハウジング22の基板収容溝25溝底の基板支持面25aに沿う向きでハウジング22上に配置される。
【0047】
以下、基板押さえ部材23について、ハウジング22に装着したときにハウジング22の幅方向に一致する方向を幅方向、ハウジング22の長手方向に一致する方向を延在方向とも言う。
なお、
図2等に例示した基板押さえ部材23の押さえ体23aは、幅方向に比べて延在方向の寸法が大きい長方形板状に形成されている。
【0048】
基板押さえ部材23の係合片23cは、押さえ体23aの幅方向両端部からそれぞれ突出形成されている。
図1、
図7に示すように、基板押さえ部材23の係合片23cは、押さえ体23aの幅方向両端部のそれぞれにおいて押さえ体23aの延在方向に互いに離間した複数箇所(
図1、
図7では2箇所)に設けられている。
【0049】
図1、
図7に例示した基板押さえ部材23は、押さえ体23aのその幅方向両側に2箇所ずつ計4箇所に係合片23cを有する構成となっている。
押さえ体23aのその幅方向両側に2箇所ずつの係合片23cは、押さえ体23a幅方向に互いに対応する所に位置する対を2対構成する。
以下、2対の係合片対の一方を第1係合片対23c1、他方を第2係合片対23c2とも言う。
【0050】
図5に示すように、係合片23cは、押さえ体23aから突出された腕部23dと、押さえ体23aから突出する腕部23dの突端部の側面から突出された係合突起23eとを有する。係合突起23eは、腕部23dの突端部から基板押さえ部材23の幅方向中央部に向かって突出されている。
図2、
図5に示すように、係合片23cの係合突起23eはハウジング22の係止突部22nの下側に配置される。係合片23cは、係合突起23eをハウジング22の係止突部22nにその下側から当接させて係止突部22nに係合される。
基板押さえ部材23は、押さえ体23aをハウジング22上に配置し、係合片23cの係合突起23eをハウジング22の係止突部22nの下側に係合させてハウジング22に装着される。
【0051】
図1に示すように、ハウジング22から離脱状態の基板押さえ部材23をハウジング22に装着するには、係合片23cの係合突起23eをハウジング22の第2端面22f側の端(第2端)から延在切欠部22mに挿入して、基板押さえ部材23をハウジング22に対して第1端面22e側の端(第1端)に向かってスライドさせ、押さえ体23aをハウジング22上に配置する。
ハウジング22の上面22bはハウジング22の上下方向に垂直に延在形成されている。基板押さえ部材23は、ハウジング22の上面22bに押さえ体23aを摺動させながらハウジング22に対してスライド移動させることができる。
【0052】
図1、
図3に示すように、ハウジング22の係止突部22nの延在方向両端部には、基板押さえ部材23の係合片23cの係合突起23eを当接、係合させる係止面22o、22pが形成されている。係止突部22nのその延在方向における係止面22o、22p間には、係止面22oに比べて上側に窪む係合逃げ凹部22qが形成されている。
【0053】
以下、係止突部22nの延在方向両端部の係止面22o、22pのうち、ハウジング22第1端側の係止面22oを第1係止面、ハウジング22第2端側の係止面22pを第2係止面とも言う。
図1、
図2のハウジング22において、第1係止面22oはハウジング22の第1台部22Aに位置し、第2係止面22pはハウジング22の第2台部22Bに位置する。
係止突部22nの各係止面22o、22pは基板支持面25aに平行に延在形成されている。また、係止突部22nの各係止面22o、22pの基板支持面25aに対するハウジング22上下方向における離間距離は互いに同じに揃えられている。
係合逃げ凹部22qはハウジング22のコンタクト配置領域22Cに形成されている。
なお、ハウジング22の溝仕切り壁22kのハウジング22幅方向における前面22c側端部は、係止突部22nの延在方向中央部のコンタクト配置領域22Cに位置する部分の一部である。
【0054】
図3に示すように、基板押さえ部材23の第1係合片対23c1の係合片23cと第2係合片対23c2の係合片23cとの間の距離は、ハウジング22の係止突部22nの第1係止面22oと第2係止面22pとの間の距離に対応している。
このため、基板押さえ部材23は、
図2に示すように、第1係合片対23c1の係合片23cの係合突起23eをハウジング22の係止突部22nの第1係止面22oに係合させ、第2係合片対23c2の係合片23cの係合突起23eをハウジング22の係止突部22nの第2係止面22pに係合させてハウジング22に装着できる。
押さえ体23aがハウジング22上に配置され、各係合片23cの係合突起23eが係止突部22nの第1係止面22oあるいは第2係止面22pの下側に配置された基板押さえ部材23の状態を、以下、係合装着状態、とも言う。
【0055】
図4に示すように、ハウジング22の基板支持面25a上に撮像モジュール10の後側基板14等の載置物が存在しないとき、コンタクト21の接触部21aの上端は基板収容溝25溝底の基板支持面25aよりも若干上方に位置する。基板支持面25a上に配置する後側基板14は、コンタクト21の接触部21a上に載置したときに、ハウジング22の上面22bよりも上側への突出部分を確保できる厚みを有するものを採用する。
【0056】
図2、
図5に示すように、基板押さえ部材23は、押さえ体23aが、基板支持面25a上に配置された後側基板14の上側、すなわち後側基板14を介して基板支持面25aとは逆の側に配置されるようにしてハウジング22に装着される。
基板押さえ部材23の係合片23cの係合突起23eから押さえ体23aまでの距離は、ハウジング22の係止突部22nの第1係止面22o及び第2係止面22pからハウジング22の上面22bまでの距離に比べて僅かに大きく確保されている。
【0057】
基板支持面25a上に配置する後側基板14は、コンタクト21の接触部21a上に載置したときに、ハウジング22の係止突部22nの第1係止面22o及び第2係止面22pと後側基板14上端との間の上下方向の離間距離を、基板押さえ部材23の係合片23cの係合突起23eから押さえ体23aまでの距離に比べて若干大きく確保できる厚みを有するものを採用する。
【0058】
このため、ハウジング22に対して係合装着状態とした基板押さえ部材23の押さえ体23aは、後側基板14をコンタクト21のばね部21dの弾性に抗して基板支持面25aに向けて押圧する。ハウジング22に対して係合装着状態とした基板押さえ部材23の押さえ体23aは、後側基板14に押さえ面23bを当接させる。押さえ体23aは、後側基板14に当接させた押さえ面23bによって後側基板14を基板支持面25aに向けて押圧する。
【0059】
コンタクト21の接触部21aは、基板押さえ部材23の押さえ体23aによって後側基板14を介して押圧されると、コンタクト21のばね部21dの接触部21a以外の部分を弾性変形させながら下方へ移動される。コンタクト21の接触部21aは、ばね部21dの弾性によって後側基板14の電極14cに付勢接触され、電極14cとの接触、電気接続状態を安定に保つ。
なお、
図4、
図5のコンタクト21のばね部21dは、接触部21aのその上方からの押圧力による下方への移動や、
図4の状態から上方からの押圧力によって下方へ移動された接触部21aの押圧力解除後のばね部21dの弾性による上昇を、基板支持面25aに対する垂直方向の移動とすることができる。
【0060】
図5において、後側基板14は、基板支持面25aから上方に突出されたコンタクト21の接触部21aによって、基板支持面25aから上方へ離間した位置に支持されている。但し、後側基板14は、係合装着状態とした基板押さえ部材23の押さえ体23aによって基板支持面25aに押し付け可能な厚みを有するものを採用することも可能である。
【0061】
図1、
図2に示すように、係止突部22nのハウジング22第2端側の端部には、ハウジング22第1端側へ行くにしたがって下側に位置するようにハウジング22の上面22bに対して傾斜して延在し第2係止面22pに至る入口傾斜面22r(傾斜面)が形成されている。
第1係止面22oの係合逃げ凹部22q側には、ハウジング22第1端側へ行くにしたがって下側に位置するようにハウジング22の上面22bに対して傾斜して延在し第1係止面22oに至る第1傾斜面22s(傾斜面)が形成されている。
第2係止面22pの係合逃げ凹部22q側には、ハウジング22第2端側へ行くにしたがって下側に位置するようにハウジング22の上面22bに対して傾斜して延在し第2係止面22pに至る第2傾斜面22t(傾斜面)が形成されている。
【0062】
図1に示すように、ハウジング22から離脱状態の基板押さえ部材23は、まず、第1係合片対23c1の係合片23cの係合突起23eをハウジング22第2端側からハウジング22の延在切欠部22mに挿入し、ハウジング22に対してハウジング22第1端側へスライド移動させ、第2係合片対23c2の係合片23cの係合突起23eを延在切欠部22mに挿入することで、
図2のようにハウジング22に装着できる。
係合片23cの係合突起23eは、係止突部22nの入口傾斜面22rに沿わせて、ハウジング22の第2端側から第1端に向かって移動させることで、ハウジング22の延在切欠部22mに円滑に挿入することができる。
【0063】
図1、
図3に示すように、係止突部22nの第1係止面22o付近に形成された第1傾斜面22sは、ハウジング22第1端側への移動によって第2係止面22pを乗り越えさせた係合片23cの係合突起23eの係合逃げ凹部22qから第1係止面22oへの乗り上げを円滑にする役割を果たす。
【0064】
図1、
図3に示すように、係止突部22nの係合逃げ凹部22qは、係合片23cの係合突起23eを係止突部22nの第1係止面22oと第2係止面22pとの間にハウジング22の長手方向に沿って移動させるときの基板押さえ部材23のハウジング22に対する接触を少なくし、基板押さえ部材23のハウジング22に対する摺動抵抗を低減させる。
係合逃げ凹部22qの形成は、ハウジング22の基板支持面25aに配置された後側基板14を、ハウジング22に対してスライド移動する基板押さえ部材23の押さえ体23aからの過剰な押圧力によって傷めることの回避にも有効である。
【0065】
図1、
図3に示すように、係止突部22nの第2係止面22p付近に形成された第2傾斜面22tは、基板押さえ部材23のハウジング22に対するハウジング22第2端側へのスライド移動による、係合片23cの係合突起23eの係合逃げ凹部22qから第2係止面22pへの乗り上げを円滑にする役割を果たす。
例えば、基板押さえ部材23を、係合片23cの係合突起23eをハウジング22第2端側から係止突部22nの第2係止面22pを乗り越えさせた後、係合突起23eが第1係止面22oに到達する前にハウジング22第2端側に引き戻す場合は、係止突部22nの第2傾斜面22tによって係合突起23eを円滑に第2係止面22pに乗り上げさせることができる。その結果、係合片23cの係合突起23eをハウジング22の延在切欠部22mからハウジング22の第2端側へ楽に抜き出すことができ、基板押さえ部材23をハウジング22から撤去する作業を効率良く行える。
【0066】
図1に示すように、ハウジング22の延在切欠部22mは、ハウジング22の第2端から第1端側の端部の側部に形成されたストッパ壁22uまで延在形成されている。
係合片23cの係合突起23eをハウジング22の延在切欠部22mに挿入し押さえ体23aをハウジング22上に配置した基板押さえ部材23は、係合片23cの係合突起23eがストッパ壁22uに当接するまでハウジング22第1端側へ移動できる。基板押さえ部材23は、係合片23cの係合突起23eがストッパ壁22uに当接する位置が、ハウジング22第1端側への移動限界位置となっている。
【0067】
図2、
図3に示すように、係合片23cの係合突起23eをハウジング22の延在切欠部22mに挿入し押さえ体23aをハウジング22上に配置した基板押さえ部材23は、ハウジング22に対する第1端側へのスライド移動によって、係合片23cの係合突起23eがストッパ壁22uに当接する位置に配置する。
基板押さえ部材23は、係合片23cの係合突起23eがストッパ壁22uに当接する位置に配置されることで、ハウジング22に対して係合装着状態となる。
【0068】
図2、
図3に示すように、基板押さえ部材23の押さえ体23aの押さえ面23bは、基板押さえ部材23をハウジング22に係合装着状態としたときに、コンタクト配置領域22C上の全体を覆うサイズを有する。
ハウジング22の基板支持面25aには、基板押さえ部材23をハウジング22から離脱させた状態にて撮像モジュール10の後側基板14を配置(載置等)できる。
コネクタ20は、基板押さえ部材23を離脱させた状態のハウジング22の基板支持面25a上に撮像モジュール10の後側基板14を配置した後、基板押さえ部材23をハウジング22にスライド移動させて係合装着状態とするだけで、基板押さえ部材23の押さえ体23aによって後側基板14をハウジング22の基板支持面25aに向かって押さえ込むことができる。
【0069】
基板押さえ部材23はプラスチック、セラミックス等の非導電性材料によって形成されている。
図1~
図5、
図7に示す基板押さえ部材23はプラスチック製の一体成形品である。
ハウジング22に対して係合装着状態のプラスチック製の基板押さえ部材23は、係合片23cを鋏、カッター等の手工具を用いて切断するだけで、ハウジング22から簡単に撤去できる。
【0070】
図1に示すように、ハウジング上面22bの基板収容溝25の溝幅方向両側あるいは片側には、基板収容溝25に収容状態の後側基板14の基板収容溝25からの取り出しを簡便にするための基板取り出し用凹部22vが形成されている。
図1に示すハウジング22の基板取り出し用凹部22vは、ハウジング上面22bの基板収容溝25の溝幅方向両側にハウジング22幅方向に延在する溝状に形成されている。
基板収容溝25の溝幅方向両側の基板取り出し用凹部22vは、その延在方向片端を基板収容溝25に開口させて、基板収容溝25に臨ませて形成されている。
図1に示すコネクタ20のハウジング22は、基板収容溝25に収容状態の後側基板14を、基板収容溝25の溝幅方向両側の基板取り出し用凹部22vに入れた手指等によって溝幅方向両側から把持して基板収容溝25から簡単に取り出すことができる。
なお、基板収容溝25の溝幅方向片側のみに基板取り出し用凹部22vを形成した構成であっても、基板取り出し用凹部22vに入れた手指等によって、基板収容溝25に収容状態の後側基板14の基板収容溝25からの取り出しを基板取り出し用凹部22vが無い場合に比べて楽に行える。
【0071】
図1に示すコネクタベース部材20Aの長手方向位置決め部である位置決めピン24は、基板収容溝25の第1台部22Aに位置する部分の溝底の基板支持面25aから上方へ突出されている。
【0072】
図1において、撮像モジュール10の細長板状の後側基板14は、その幅方向(長手方向に垂直な断面の長手方向)寸法が基板収容溝25の溝幅に概ね一致し、基板収容溝25に収容可能なものを採用する。
撮像モジュール10の後側基板14は、基板収容溝25に挿入することで、各基板収容溝25の溝幅方向両側の内壁面によって、ハウジング22の長手方向に延在する向きで支持されるとともに、ハウジング22の基板支持面25aの幅方向(溝幅方向に一致)に位置決めされる。
【0073】
図1に示すように、コネクタベース部材20Aの位置決めピン24は、撮像モジュール10の後側基板14の長手方向片側の端部(後端部)に形成された貫通孔である治具掛け孔14f(第2治具掛け孔)に挿入されることで、基板収容溝25に挿入された後側基板14をハウジング22の長手方向(基板支持面25a長手方向)に位置決めする。
【0074】
後側基板14の第1治具掛け孔14eは、撮像モジュール10をチューブ15に挿通してチューブ付きモジュール16を組み立てる際に、ワイヤ等の挿通用治具を通して後側基板14に取り付けることに利用される。
チューブ付きモジュール16を組み立てる際に撮像モジュール10は、後側基板14からチューブ15に挿通される。
【0075】
図1、
図12に示すように、後側基板14の撮像モジュール10長手方向における前端部の撮像素子11とは逆の後端部(
図12においては右側端部)には、2つの治具掛け孔14e、14f(第1治具掛け孔、第2治具掛け孔)が後側基板14長手方向に間隔を空けて形成されている。各治具掛け孔14e、14fは後側基板14の板厚を貫通して、後側基板14の両側の主面(第1主面14a及び第2主面14b)に開口する貫通孔である。
なお、この実施形態では、ハウジング22に対する後側基板14のハウジング22の長手方向の位置決めに、第1治具掛け孔14eよりも前側に位置する第2治具掛け孔14f(ピン係止穴)のみを使用する。
【0076】
図12に示すように、撮像モジュール10の後側基板14の片側の主面(第1主面14a)には、コネクタベース部材20Aのコンタクト21の接触部21aと接触される電極14cが複数形成されている。電極14cは、第1主面14aにおける後側基板14長手方向の複数箇所に形成されている。
図12に示す後側基板14には、コネクタベース部材20Aのコンタクト21と同数の電極14cが形成(
図12では電極14cは5つ形成)されている。
【0077】
図11、
図12に示す撮像モジュール10の電気ケーブル13は、複数本の導体を外装被覆13a内側に収容した構成のものである。但し、電気ケーブル13は、例えば、複数本の電線を保護チューブに収容したものや、同軸ケーブル(導体を複数有する)、単心電線(導体を1本のみ有する)等も採用可能である。
なお、
図11、
図12に示す撮像モジュール10の電気ケーブル13は、複数本の導体の1本以上を信号線として使用する信号ケーブルである。
【0078】
図12に示すように、電気ケーブル13の導体は、撮像モジュール10の後側基板14の第1主面14aに形成された導体接続端子14dに半田付け等によって電気接続されている。導体接続端子14dは、撮像モジュール10の後側基板14の長手方向一端部(前端部)の複数箇所(
図12では5箇所)に形成されている。
電気ケーブル13の導体は、撮像モジュール10の後側基板14の第1主面14aに形成された導体接続端子14dのそれぞれに1本ずつ電気接続されている。
【0079】
図12に示す電気ケーブル13は、2本の同軸ケーブル13bと、これら同軸ケーブル13bとともに外装被覆13a内側に収容された導体である1本の副導体(図示略)とを有する。
図13に示すように同軸ケーブル13bは中心導体13cと外部導体13dとを有する。
図12に示す電気ケーブル13は、2本の同軸ケーブル13bのそれぞれの中心導体13cと外部導体13d、及び1本の副導体、の計5本の導体を有する。
【0080】
図12、
図13に示すように、撮像モジュール10の後側基板14の第1主面14aに形成された5つの導体接続端子14dは、同軸ケーブル13bの中心導体13cが電気接続される2つの中心導体接続端子14d1、同軸ケーブル13bの外部導体13dが電気接続される2つの外部導体接続端子14d2、副導体が電気接続される1つの副導体接続端子14d3である。
【0081】
後側基板14において、導体接続端子14dは電極14cと同数形成されている。複数の導体接続端子14dには、それぞれ、後側基板14に形成された図示略の配線を介して、後側基板14の電極14cが一つずつ電気接続されている。
導体接続端子14dに電気接続された電気ケーブル13の導体は、導体接続端子14d及び後側基板14の配線を介して、後側基板14の電極14cと電気接続されている。
【0082】
図12に示す後側基板14の複数の電極14cは、後側基板14長手方向に一列に配列させて形成されている。後側基板14の複数の電極14cの、後側基板14長手方向における配置間隔は、コネクタベース部材20Aの複数のコンタクト21(具体的にはその接触部21a)のハウジング22の長手方向における配置間隔(配列ピッチ)に対応している。
【0083】
なお、
図1において、コネクタベース部材20Aのコンタクト配置領域22Cにおけるコンタクト収容溝26のハウジング22の長手方向の配列ピッチ及びコンタクト21のハウジング22の長手方向の配列ピッチはそれぞれ一定である。但し、コンタクト収容溝26の配列ピッチ及びコンタクト21の配列ピッチはそれぞれ一定でなくてもよい。
【0084】
図3、
図4に示すように、撮像モジュール10の後側基板14は、第1主面14aがハウジング22の基板支持面25a(上面)に対面する向きで基板支持面25a上に配置される。
撮像モジュール10の後側基板14の各電極14cは、後側基板14をハウジング22上の位置決めピン24及び基板収容溝25によってハウジング22に対して位置決めすることで、コネクタベース部材20Aのコンタクト21の接触部21aに当接可能な位置に位置合わせされる。
【0085】
コネクタ20は、位置決めピン24及び基板収容溝25によってハウジング22に対して位置決めした後側基板14を、係合装着状態とした基板押さえ部材23の押さえ体23aによってハウジング22の基板支持面25aに向かって押さえ込むだけで、後側基板14の複数の電極14cとコンタクト21の接触部21aの接触を安定に保つことができる。コネクタ20は、撮像モジュール10の電気回路とコンタクト21との電気接続を簡単かつ確実に実現できる。
その結果、コネクタ20は、
図10に示す電子内視鏡システム50において、接続ケーブル52を含む表示装置側回路と、撮像モジュール10の電気回路とを、ベース基板31の配線31b及びコンタクト21を介して電気接続した状態を容易かつ確実に安定確保できる。
【0086】
基板押さえ部材23をハウジング22に対してスライド移動させてハウジング22に装着するだけで後側基板14をハウジング22の基板支持面25aに向かって押さえ込むことができるコネクタ20は、例えば特許文献2記載のように、ハウジングとハウジング上にねじ留め固定するカバープレートとの間に接続用端部基板を挟持固定する構造に比べて、接続用端部基板を挟持する作業の作業性を良好に確保でき、作業効率を向上できる。
また、このコネクタ20は、特許文献2記載のように基板固定のためにねじ留めを要する構造に比べて、構成部材へのねじ留めのためのねじ穴等の加工が不要であるため、小型化に有利である。
【0087】
図1に示すように、ハウジング22の第2台部22Bのコンタクト配置領域22Cとは逆側の端部には、第2台部22Bの上面からハウジング22の第2端面22fにわたって、チューブ付きモジュール16のチューブ15を収容可能なチューブ収容溝22wが形成されている。
ハウジング22の第2端面22fは、第2台部22Bのコンタクト配置領域22Cとは逆側の側面である。
【0088】
図1に示すように、チューブ収容溝22wは、第2台部22B上面における基板収容溝25の延長上に対応する領域に第2台部22B上面から窪んで形成されている。
位置決めピン24及び基板収容溝25のリブ状突壁によってハウジング22に位置決めされた後側基板14の前端(前端部側の端)はチューブ収容溝22w上に配置される。後側基板14の副導体接続端子14d3(
図12参照)はチューブ収容溝22w上に配置される。
【0089】
チューブ付きモジュール16のその長手方向におけるチューブ15が存在する部分を、以下、チューブ外装部、とも言う。
チューブ収容溝22wには、チューブ外装部の撮像素子11を収容した前端部とは逆の後端部と、電気ケーブル13のチューブ外装部のチューブ15後端から延出された後端部とが収容される。
【0090】
チューブ付きモジュール16の後側基板14は、ハウジング22の基板支持面25a上に第1主面14aが下面となる向きで載置されるため、チューブ付きモジュール16のチューブ外装部の、その下方にハウジング22の基板支持面25aが存在しない部分は後側基板14から下方へ垂れ下がる。
仮に、チューブ収容溝22wが存在しない場合は、チューブ付きモジュール16のハウジング22によって支持される部分と、チューブ付きモジュール16下方にハウジング22が存在せずハウジング22に支持されない部分との境界付近が局所的に屈曲されチューブ15を傷めやすい。
チューブ付きモジュール16をチューブ収容溝22wに収容する構成であれば、チューブ付きモジュール16にチューブ15を傷めるような屈曲箇所が形成されることを回避できる。その結果、チューブ付きモジュール16をチューブ収容溝22wに収容する構成であれば、チューブ収容溝22wが存在しない場合に比べて、チューブ15の寿命延長が可能である。
【0091】
図8に示すように、撮像モジュール10の撮像素子11は、断面矩形で延在する角形(ブロック状)に形成された固体撮像素子である。
図9に示すように、撮像モジュール10の後側基板14は、断面長方形で延在する細長板状に形成されている。
【0092】
ここで、
図8に示す撮像素子11前端の受光面11aにおける対角線(第1対角線T1)の長さをD1とし、
図9に示す後側基板14の断面における対角線(第2対角線T2)の長さをD2とする。
図9の後側基板14の断面における対角線(第2対角線T2)の長さD2は、
図8に示す撮像素子11前端の受光面11aにおける対角線(第1対角線T1)の長さD1以下に設定されている(条件D1≧D2)。
【0093】
後側基板14は、その長手方向全長にわたって、その断面における対角線(第2対角線T2)の長さD2が
図8に示す撮像素子11前端の受光面11aにおける対角線(第1対角線T1)の長さD1以下の断面寸法で延在形成されている。
また、
図9に示すように、電気ケーブル13の2本の同軸ケーブル13bの後側基板14に沿わせて配置された部分は、第2対角線T2を直径とする後側基板14の外接円Cの内側に配置できる。
【0094】
撮像モジュール10のヘッド側基板12及び電気ケーブル13も、その全体にわたって、撮像モジュール10長手方向に垂直の断面全体が第1対角線T1の長さD1以下の直径の円周内に入るように形成されている。
撮像モジュール10は、その長手方向全長にわたって、撮像モジュール10長手方向に垂直の断面全体が第1対角線T1の長さD1以下の直径の円周内に入るように形成されている。
このため、チューブ付きモジュール16を組み立てに使用するチューブ15は、撮像素子11を収容可能な内径を有するものであれば良く、無用に内径が大きいものを使用することを回避できる。
【0095】
図10に示すように、コネクタ付き基板30を採用した電子内視鏡システム50によれば、チューブ付きモジュール16の組み立て後に、撮像モジュール10の後側基板14を基板押さえ部材23によってハウジング22に押さえ込むだけで、表示装置側回路と撮像モジュール10の電気回路との電気接続を簡単に実現することができる。
【0096】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のコネクタ、コネクタ付き基板について
図14~
図18を参照して説明する。
なお、
図14~
図18中、第1実施形態と同様の構成の部分には共通の符号を付し、その説明を省略あるいは簡略化する。
また、
図14~
図18において、上側を上、下側を下、として説明する。
【0097】
図14、
図15は、ここで説明する実施形態のコネクタ60及びコネクタ付き基板70を示す。
図14、
図15に示すコネクタ付き基板70は、ベース基板31(配線基板)の片面にコネクタ60を実装したものである。
【0098】
図14に示すように、コネクタ60は、第1実施形態のコネクタ20についてハウジング及び基板押さえ部材を変更したものである。
このコネクタ60は、複数のコンタクト21と、コンタクト21を保持するハウジング62と、ハウジング62に装着される基板押さえ部材63とを有する。
【0099】
コネクタ60は、基板収容溝25(幅方向位置決め部)が形成されたハウジング62に位置決めピン24(長手方向位置決め部)が設けられた構成のコネクタベース部材60Aを含む。
コネクタベース部材60Aは、ハウジング62の長手方向両端から突出された固定用補助突起22jを有する。ハウジング62は、第1実施形態のコネクタ20のハウジング22と同様に、固定用補助突起22jにその上側から係合させた固定用補助部材62iの下端部を半田付け等によってベース基板31に固定してベース基板31に取り付けられている。
なお、コネクタベース部材60Aのハウジング62をベース基板31に固定するための構造(ハウジング固定構造)は上述の構成に限定されず、適宜変更可能である。
【0100】
図14に示すように、この実施形態のコネクタ60は、基板押さえ部材63を、ハウジング62に対してその上方(ベース基板31とは逆側)からスライドさせてハウジング62に係合させ、ハウジング62上に配置された撮像モジュール10の後側基板14を、基板押さえ部材63の押さえ体63aによってハウジング62に押さえ込むことができるものである。
【0101】
このコネクタ60のハウジング62は、第1実施形態のコネクタ20(
図1参照)のハウジング22について、その長手方向へスライド移動させた基板押さえ部材23の係合突起23eを係合させるための係止突部22nを省略し、基板押さえ部材63(
図14参照)の係合片63cの係合突起63eを係合させるための係止突部62nをハウジング幅方向両側に設けた構成となっている。
なお、このコネクタ60のハウジング62の幅方向は、細長板状に形成されたハウジング62の長手方向及び上下方向(高さ方向)に垂直の方向を指す。
【0102】
ハウジング62は樹脂製の板状部材である。ハウジング62は電気絶縁性を有する。
図14に示すように、ハウジング62は、コンタクト21を収容するコンタクト収容溝26が複数形成されたコンタクト配置領域62Cと、コンタクト配置領域62Cを介して両側の台部(第1台部62A、第2台部62B)とを有する。
コンタクト配置領域62Cはハウジング62の長手方向中央部に位置する。
第1台部62A及び第2台部62Bは、ハウジング62のその長手方向におけるコンタクト配置領域62Cを介して両側の部分である。
【0103】
図14に示すように、ハウジング62の係止突部62nは、ハウジング62の長手方向に互いに離間した2箇所の幅方向両側、より具体的には第1台部62A及び第2台部62Bの幅方向両側、に形成されている。
【0104】
ハウジング62の第1台部62A及び第2台部62Bは、第1実施形態のコネクタ20(
図1参照)の第1台部22A及び第2台部22Bとの対比で係止突部22nが存在せず、係止突部62nを有する点が異なる。
【0105】
ハウジング62について、基板収容溝25がハウジング上面22bに、ハウジング62の第1台部62Aからコンタクト配置領域62Cのハウジング62の長手方向全体にわたって延在形成され、さらに第1台部62A側とは逆の端を第2台部62Bに到達させて形成されている点は、第1実施形態のコネクタ20のハウジング22と同様である。
位置決めピン24が、基板収容溝25の第1台部62Aに位置する部分の溝底の基板支持面25aから上方へ突出されている点は、第1実施形態のコネクタ20のコネクタベース部材20Aと同様である。
この実施形態のハウジング62のコンタクト配置領域62Cは第1実施形態のコネクタ20のハウジング22のコンタクト配置領域22Cとの対比で、コンタクト収容溝26の数が多くハウジング長手方向の寸法が大きくなっている点以外は同様の構成となっている。ハウジング62の各コンタクト収容溝26には、第1実施形態のコネクタ20のハウジング22のコンタクト配置領域22Cと同様にコンタクト21が収容されている。
【0106】
図15に示す後側基板14の長手方向一端部には3本の電気ケーブル13が接続されている。
図15に示す後側基板14の長手方向一端部に接続された3本の電気ケーブル13は、後側基板14の第1主面14a側に1本、後側基板14の第2主面14b側に2本が接続されている。
【0107】
後側基板14の長手方向一端部には、2つの中心導体接続端子14d1と1つの副導体接続端子14d3とで構成される導体接続端子ユニットが第1主面14a側に1つ、第2主面14b側に2つ設けられている。
電気ケーブル13は、2本の同軸ケーブル13bの中心導体13cをそれぞれ中心導体接続端子14d1に半田付け等によって電気接続し、副導体13eを副導体接続端子14d3に半田付け等によって電気接続して、後側基板14の長手方向一端部の3つの導体接続端子ユニットに対して1本ずつ接続されている。
【0108】
図14、
図15に示す後側基板14の第1主面14aには、コネクタベース部材20Aのコンタクト21と同数(
図14、
図15のコネクタベース部材20Aのコンタクト21は9つ)の電極14c(
図16、
図17参照)が形成されている。
各電極14cには、後側基板14の長手方向一端部に設けられた複数(具体的には9つ)の導体接続端子14d(中心導体接続端子14d1及び副導体接続端子14d3)が後側基板14に形成された図示略の配線を介して1つずつ電気接続されている。電極14cと導体接続端子14dとの間を電気接続する配線は後側基板14の厚みを貫通する貫通配線を含む構成、貫通配線を含まない構成、のいずれも採用可能である。
【0109】
後側基板14の複数の電極14cは、後側基板14長手方向に一列に配列させて形成されている。後側基板14の複数の電極14cの、後側基板14長手方向における配置間隔は、コネクタベース部材20Aの複数のコンタクト21(具体的にはその接触部21a)のハウジング22の長手方向における配置間隔(配列ピッチ)に対応している。
後側基板14は、コネクタ60に対して基板収容溝25(幅方向位置決め部)及び位置決めピン24(長手方向位置決め部)によって位置決めすることで、各電極14cがコネクタ60のコンタクト21(具体的にはその接触部21a)に接触可能な位置に位置決めされる。
【0110】
図14、
図18に示すように、基板押さえ部材63は、押さえ体63aと、押さえ体63aの両側から押さえ体63aのハウジング当接面63f(
図17参照)側に突出形成された係合片63cとを有する。
図14、
図18等に例示した基板押さえ部材63の押さえ体63aは、ハウジング当接面63fが形成された押さえ体本体63gと、押さえ体本体63gのハウジング当接面63fの中央部から突出された押さえ突部63hとを有する。
【0111】
図17に示すように、押さえ突部63hの突端面は、ハウジング62上に配置された後側基板14に当接される押さえ面63bを形成する。押さえ面63bは、押さえ体本体63gのハウジング当接面63fと平行に延在形成されている。
基板押さえ部材63の押さえ突部63hは、ハウジング62の基板収容溝25に挿入可能に形成されている。
【0112】
図16、
図17に示すように、コンタクト21は、基板収容溝25の溝底面である基板支持面25a上に配置された後側基板14を、基板支持面25aから上方に離間した位置に支持する。
基板押さえ部材63は、押さえ体本体63gのハウジング当接面63fをハウジング上面22bに当接させ、ハウジング62の基板収容溝25に挿入した押さえ突部63hの押さえ面63bによって、基板収容溝25の基板支持面25a上に配置された後側基板14をコンタクト21の弾性に抗して基板支持面25aに向かって押圧できる。
なお、基板支持面25aはハウジング62の上下方向に垂直、ハウジング上面22bに平行に形成されている。
【0113】
図14、
図16、
図17に示すように、ハウジング62の幅方向両側にはハウジング62の長手方向に沿って延在する延在切欠部62mが形成されている。延在切欠部62mは、ハウジング62の上下方向においてその下端から中央部までの範囲に形成されている。
【0114】
ハウジング62のその上下方向において延在切欠部62mから上側の部分は、基板押さえ部材63の係合片63cを係合させる係止突部62nとされている。
係止突部62nはハウジング62の長手方向に沿って延在するリブ状に形成されている。
また、
図16、
図17に示すように、ハウジング62の前面62cの一部、及び後面62dの一部は、係止突部62nによって形成されている。
【0115】
図16、
図17に示すように、ハウジング62の前面62c及び後面62dは、それぞれハウジング62の幅方向両側の側面の一方である。
前面62cは、ハウジング62の幅方向両側の側面のうち、コンタクト21の接続部21bが突出されている側の面を指す。
なお、コネクタ付き基板70のコンタクト21と、ベース基板31の配線31bとの電気接続は、第1実施形態にて採用可能なものを採用できる。
【0116】
図14、
図18に示すように、図示例の基板押さえ部材63の押さえ体63aの押さえ体本体63gは四角板状に形成されている。
係合片63cは、押さえ体本体63gからハウジング当接面63f側に突出されている。
【0117】
図15、
図17に示すように、基板押さえ部材63は、押さえ突部63hをハウジング62の基板収容溝25に挿入し、押さえ体本体63gをハウジング62の上面22b上に配置し、係合片63cをハウジング62の幅方向両側の係止突部62nにそれぞれ係合させてハウジング62に装着される(
図15参照)。ハウジング62に装着された基板押さえ部材63の押さえ体63aの押さえ面63bは、ハウジング62の基板収容溝25溝底の基板支持面25aに沿う向きで基板支持面25a上に配置される。
【0118】
以下、基板押さえ部材63について、ハウジング62に装着したときにハウジング62の幅方向に一致する方向を幅方向、ハウジング62の長手方向に一致する方向を延在方向とも言う。
なお、
図14、
図15、
図18等に例示した基板押さえ部材63の押さえ体本体63g及び押さえ体63a全体は、幅方向に比べて延在方向の寸法が大きい長方形板状に形成されている。
【0119】
基板押さえ部材63の係合片63cは、押さえ体本体63gの幅方向両端部からそれぞれ突出形成されている。
図14、
図18に示すように、基板押さえ部材63の係合片63cは、押さえ体63aの幅方向両端部のそれぞれにおいて押さえ体63aの延在方向に互いに離間した複数箇所(
図14、
図18では2箇所)に設けられている。
【0120】
図14、
図18に例示した基板押さえ部材63は、押さえ体63aのその幅方向両側に2箇所ずつ計4箇所に係合片63cを有する構成となっている。
押さえ体63aのその幅方向両側に2箇所ずつの係合片63cは、押さえ体63a幅方向に互いに対応する所に位置する対を2対構成する。
【0121】
以下、2対の係合片対の一方を第1係合片対63c1、他方を第2係合片対63c2とも言う。
第1係合片対63c1の係合片63cはハウジング62の第1台部62Aの幅方向両側の係止突部62n、第2係合片対63c2の係合片63cはハウジング62の第2台部62Bの幅方向両側の係止突部62n、にそれぞれ係合される。
【0122】
図17、
図18に示すように、係合片63cは、押さえ体本体63gから突出された腕部63dと、押さえ体本体63gから突出する腕部63dの突端部の側面から突出された係合突起63eとを有する。係合突起63eは、腕部63dの突端部から基板押さえ部材63の幅方向中央部に向かって突出されている。
【0123】
図17に示すように、係合片63cの係合突起63eはハウジング62の係止突部62nの下側に配置される。係合片63cは、係合突起63eをハウジング62の係止突部62nにその下側から当接させて係止突部62nに係合される。
基板押さえ部材63は、押さえ体本体63gをハウジング62上に配置し、係合片63cの係合突起63eをハウジング62の係止突部62nの下側に係合させてハウジング62に装着される。
【0124】
図14に示すように、ハウジング62から離脱状態の基板押さえ部材63をハウジング62に装着するには、基板押さえ部材63をハウジング62の上方からハウジング当接面63fがハウジング上面22bに対面する向きで下降させ、押さえ突部63hをハウジング62の基板収容溝25に挿入し、各係合片63cをハウジング62の係止突部62nに係合させる。
【0125】
図14、
図17に示すように、ハウジング62の係止突部62nには、下方へ行くにしたがってハウジング62幅方向における基板収容溝25からの離間距離が増大するように上下方向に対して傾斜する係合片誘導面62oが形成されている。
図14に示すように、ハウジング62の幅方向両側における係止突部62nに対応する位置には、係合片誘導面62oを溝底面とする係合片案内溝62pが形成されている。係合片案内溝62pは、ハウジング62の幅方向両側の側面、すなわち前面62c及び後面62dに窪んで形成されている。第2台部62Bの幅方向両側の係合片案内溝62pは、その上端をハウジング上面22bに到達させて形成されている。第1台部62Aの幅方向両側の係合片案内溝62pは、その上端を第1台部62Aにおいてハウジング上面22bから窪んで形成された基板取り出し用凹部22vに到達させて形成されている。
【0126】
基板押さえ部材63において、複数の係合片63cは、ハウジング62の複数の係合片誘導面62oに対応させて配置されている。
図17に示すように、ハウジング62の第1台部62A及び第2台部62Bのそれぞれにおける、幅方向両側の係止突部62nの外面間距離の最大値は、係合片対を構成する一対の係合片63cの係合突起63e間の離間距離に比べて若干大きい。
【0127】
基板押さえ部材63をハウジング62に装着させる作業は、押さえ体63aをハウジング62の上方に配置した基板押さえ部材63を、各係合片63c先端の係合突起63eをハウジング62の係合片誘導面62oに摺動させながら下降(ハウジング62に対する下方へのスライド移動)させ、係合片63cを弾性変形させながら係止突部62nを乗り越えさせた係合突起63eを延在切欠部62mに入り込ませて係止突部62n下側に係合させる。係合片63c先端の係合突起63eは、係止突部62nを乗り越えたときに、係合片63cの弾性復元力によって係止突部62n下側に入り込んで係止突部62nに係合する。
【0128】
図17に示すように、基板押さえ部材63の各係合片63cの係合突起63eは、押さえ体本体63gのハウジング当接面63fをハウジング上面22bに当接させると同時に、係止突部62n下側に入り込んで係止突部62nに係合する。
図17に示すように、基板押さえ部材63は、押さえ突部63hをハウジング62の基板収容溝25に挿入し、押さえ体本体63gのハウジング当接面63fをハウジング上面22bに当接させ、各係合片63cの係合突起63eを係止突部62n下側に係合させることでハウジング62に装着される。
【0129】
基板押さえ部材63は、各係合片63c先端の係合突起63eをハウジング62の係合片案内溝62pに挿入することで、ハウジング62に対してハウジング上面22b方向に概略位置決めした状態を保ったまま下降させることができる。
その結果、ハウジング62の複数の係止突部62nのそれぞれに基板押さえ部材63の各係合片63c先端の係合突起63eを係合させる作業を効率良く行なうことができる。
【0130】
基板押さえ部材63の係合片63cの係合突起63eから押さえ体63aのハウジング当接面63fまでの距離は、ハウジング62の係止突部62n下面からハウジング上面22bまでの距離に比べて僅かに大きく確保しても良い。
この場合、基板押さえ部材63は、係合片63cの係合突起63eをハウジング62の係止突部62n下側に係合させたときに、押さえ体本体63gとハウジング上面22bとの間に若干のクリアランスを確保可能である。
但し、基板押さえ部材63の係合片63cの係合突起63eから押さえ体63aのハウジング当接面63fまでの距離と、ハウジング62の係止突部62n下面からハウジング上面22bまでの距離との差は、押さえ体63aの押さえ突部63hのハウジング当接面63fからの突出寸法よりも小さくする。
【0131】
基板押さえ部材63について、ハウジング62に装着した状態、すなわち、押さえ突部63hをハウジング62の基板収容溝25に挿入し、押さえ体本体63gをハウジング上面22b上に配置し、各係合片63cの係合突起63eを係止突部62n下側に係合させた状態を、以下、係合装着状態、とも言う。
【0132】
図16に示すように、ハウジング62の基板支持面25a上に撮像モジュール10の後側基板14等の載置物が存在しないとき、コンタクト21の接触部21aの上端は基板収容溝25溝底の基板支持面25aよりも若干上方に位置する。
【0133】
図17に示すように、基板押さえ部材63は、押さえ体63aの押さえ突部63hが、基板支持面25a上に配置された後側基板14の上側、すなわち後側基板14を介して基板支持面25aとは逆の側に配置されるようにしてハウジング62に装着される。
【0134】
基板支持面25a上に配置する後側基板14は、コンタクト21の接触部21a上に載置したときに、ハウジング62の係止突部62n下面と後側基板14上端との間の上下方向の離間距離を、基板押さえ部材63の係合片63cの係合突起63eから押さえ体63aのハウジング当接面63fまでの距離に比べて若干大きく確保できる厚みを有するものを採用する。
【0135】
このため、ハウジング62に対して係合装着状態とした基板押さえ部材63の押さえ体63aの押さえ突部63hは、後側基板14をコンタクト21のばね部21dの弾性に抗して基板支持面25aに向けて押圧する。ハウジング62に対して係合装着状態とした基板押さえ部材63の押さえ体63aは、後側基板14に押さえ面63bを当接させる。押さえ体63aは、後側基板14に当接させた押さえ面63bによって後側基板14を基板支持面25aに向けて押圧する。
【0136】
図18に示すように、基板押さえ部材63の押さえ突部63hは、押さえ体本体63gの幅方向中央部に押さえ体本体63gの延在方向に沿って延在するリブ状に形成されている。
押さえ面63bは、押さえ突部63hの延在方向全長にわたって形成されている。
【0137】
図15に示すように、基板押さえ部材63の押さえ体本体63gは、基板押さえ部材63をハウジング62に対して係合装着状態としたときに、ハウジング62のコンタクト配置領域62C全体を覆うサイズを有する。
【0138】
押さえ突部63hは、基板押さえ部材63において、基板押さえ部材63をハウジング62に対して係合装着状態としたときに、基板収容溝25のうち少なくともハウジング62のコンタクト配置領域62Cに位置する部分の全長に挿入される位置、寸法で形成されている。但し、押さえ突部63hは、基板押さえ部材63において、基板押さえ部材63をハウジング62に対して係合装着状態としたときに、位置決めピン24との干渉を回避して基板収容溝25に挿入可能な位置、寸法で形成される。
押さえ突部63hは、基板押さえ部材63をハウジング62に対して係合装着状態としたときに、基板収容溝25溝底の基板支持面25a上に配置された後側基板14の、コンタクト配置領域62Cに位置する部分全体を基板支持面25aに向かって押圧する。
【0139】
図17に示すように、コンタクト21の接触部21aは、基板押さえ部材63の押さえ体63aの押さえ突部63hによって後側基板14を介して押圧されると、コンタクト21のばね部21dの弾性によって後側基板14の電極14cに付勢接触され、電極14cとの接触、電気接続状態を安定に保つ。
【0140】
図17において、後側基板14は、基板支持面25aから上方に突出されたコンタクト21の接触部21aによって、基板支持面25aから上方へ離間した位置に支持されている。但し、後側基板14は、係合装着状態とした基板押さえ部材63の押さえ体63aによって基板支持面25aに押し付け可能な厚みを有するものを採用することも可能である。
【0141】
撮像モジュール10の後側基板14は、基板押さえ部材63をハウジング62から離脱させた状態にてハウジング62の基板支持面25a上に配置(載置等)できる。
コネクタ60は、基板押さえ部材63を離脱させた状態のハウジング62の基板支持面25a上に撮像モジュール10の後側基板14を配置した後、基板押さえ部材63をハウジング62にその上方からスライド移動させて係合装着状態とするだけで、基板押さえ部材63の押さえ体63aによって後側基板14をハウジング62の基板支持面25aに向かって押さえ込むことができる。
【0142】
コネクタ60は、基板押さえ部材63をハウジング62に対してその上方から下降させるスライド移動によってハウジング62に簡単に装着でき、撮像モジュール10の電気回路とコンタクト21との電気接続を簡単かつ確実に実現できる。
このコネクタ60は、例えば特許文献2記載のように、ハウジングとハウジング上にねじ留め固定するカバープレートとの間に接続用端部基板を挟持固定する構造に比べて、接続用端部基板を挟持する作業の作業性を良好に確保でき、作業効率を向上できる。
また、このコネクタ60は、特許文献2記載のように基板固定のためにねじ留めを要する構造に比べて、構成部材へのねじ留めのためのねじ穴等の加工が不要であるため、小型化に有利である。
【0143】
基板押さえ部材63はプラスチック、セラミックス等の非導電性材料によって形成されている。
図14~
図18に例示した基板押さえ部材63はプラスチック製の一体成形品である。
図15、
図17に示すように、ハウジング62に対して係合装着状態の基板押さえ部材63は、係合片63cを鋏、カッター等の手工具を用いて切断するだけで、ハウジング62から簡単に撤去できる。
【0144】
図14に示すように、ハウジング62の上面22bには、第1実施形態のコネクタ20のハウジング22と同様に基板取り出し用凹部22vが形成されている。このため、基板収容溝25に収容状態の後側基板14の基板収容溝25からの取り出しを簡単に行なうことができる。
この実施形態のハウジング62の基板取り出し用凹部22vの具体的構成は、第1実施形態のコネクタ20のハウジング22の基板取り出し用凹部22vについて採用可能な構成を同様に採用できる。
【0145】
この実施形態のコネクタ付き基板70は、第1実施形態のコネクタ付き基板30と同様に電子内視鏡システム50(
図10参照)に適用できる。
コネクタ付き基板70を採用した電子内視鏡システム50によれば、チューブ付きモジュール16の組み立て後に、撮像モジュール10の後側基板14を基板押さえ部材63によってハウジング62に押さえ込むだけで、表示装置側回路と撮像モジュール10の電気回路との電気接続を簡単かつ確実に実現することができる。
【0146】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係るコネクタについて
図19A~
図31を参照して説明する。
図19A~
図31中、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成の部分には共通の符号を付し、その説明を省略あるいは簡略化する。
第3実施形態に係るコネクタ120は、複数のコンタクト121と、コンタクト121を保持するハウジング162と、ハウジング162に装着される基板押さえ部材163とを有する。
コネクタ120は、コンタクト121に電気接続する撮像モジュール10(
図10、
図11参照。電子モジュール)の後側基板114(接続用端部基板、
図19C~
図19E参照)をハウジング162に対して位置決めする位置決め部を有している。ここで、位置決め部は、後側基板114の長手方向における位置決めをする位置決め突起62a(長手方向位置決め部)と、ハウジング162の延在方向に沿って形成された基板収容溝125(幅方向位置決め部)である。
【0147】
(基板押さえ部材)
図19A及び
図20~
図25に示すように、基板押さえ部材163の押さえ体63aは、ハウジング当接面63fから突出する押さえ突部63hを有する。押さえ突部63hは、ハウジング162の基板支持面125a上に配置された後側基板114に当接される。
【0148】
押さえ突部63hは、切欠63i(第1切欠)を有する。切欠63iは、押さえ突部63hの長手方向における両端に各々形成されている。換言すると、押さえ突部63hの長手方向における一方の端部に一つの切欠63iが形成されており、他方の端部に一つの切欠63iが形成されている。具体的に、押さえ突部63hの長手方向に着目すると、この長手方向において、切欠63iは、押さえ突部63hの両端が部分的に凹んだ形状(窪んだ形状)を有する。また、ハウジング当接面63fの鉛直方向に着目すると、この鉛直方向において、切欠63iは、押さえ突部63hの両端が部分的に凹んだ形状(窪んだ形状)を有する。
【0149】
また、
図25に示すように、切欠63iは、押さえ突部63hの対角線63jの両端の位置に設けられている。つまり、基板押さえ部材163の正面図(
図20)及び背面図(
図21)において、押さえ突部63hに形成された切欠63iの位置は、同じである。換言すると、
図25に示す基板押さえ部材の中心に基づき、切欠63iは、点対称の位置に配置するように押さえ突部63hに形成されている。後述するように、切欠63iは、ハウジング162の位置決め突起62aに対応する位置に設けられている。
【0150】
(ハウジング)
図19B、
図30、及び
図31に示すように、ハウジング162は、ハウジング162の短手方向の両側に配列された複数のコンタクト121(121A、121B)を保持する。ハウジング162の平面視(上面図、下面図)において、複数のコンタクト121は、ハウジング162の長手方向に沿って千鳥状(ジグザクパターン)に配列されている。
ここで、ハウジング162の短手方向とは、
図19Bに示すハウジング162の第1領域S1から第2領域S2に向かう方向を意味する。第1領域S1及び第2領域S2の各々は、ハウジング162の長手方向に沿う領域である。
【0151】
換言すると、第1領域S1に配列された複数のコンタクト121A(第1コンタクト)のうち互いに隣り合う2つのコンタクト121Aの間に、第2領域S2に配列された1つのコンタクト121Bが位置している。
同様に、第2領域S2に配列された複数のコンタクト121B(第2コンタクト)のうち互いに隣り合う2つのコンタクト121Bの間に、第1領域S1に配列された1つのコンタクト121Aが位置している。
【0152】
第1領域S1及び第2領域S2の各々には、複数の溝仕切り壁122kが設けられている。互いに隣り合う2つ溝仕切り壁122kの間には、コンタクト収容溝126が確保されている。このため、1つのコンタクト収容溝126には、1つのコンタクト121(121A、121B)が配置されている。
【0153】
千鳥状に配列されている複数のコンタクト121のうち、ハウジング162の一方の領域に露出するコンタクト121は、上述した
図4及び
図6に示すように略逆S字状の形状を有するように配置されており、ハウジング162の他方の領域に露出するコンタクト121は、上述した
図4及び
図6に示す形状とは逆の形状、すなわち、略S字状の形状を有するように配置されている。
【0154】
また、
図19B及び
図30に示すように、ハウジング162の位置決め突起62aは、基板収容溝125の壁125wから基板収容溝125の内側に向けて突出するとともに、平面視において基板押さえ部材163に対向する。
【0155】
(後側基板)
図19C及び
図19Dに示すように、後側基板114は、位置決め突起62aに対応する切欠14h(第2切欠)を有する。後側基板114は、ハウジング162の基板収容溝125に収容された際に切欠14hと位置決め突起62aとが係合する構造を有する。
後側基板114は、
図12に示す電極14cが配列されたパターンとは異なっており、千鳥状に配列された複数の電極114cを有する。複数の電極114cは、
図30に示す千鳥状に配列されている複数のコンタクト121(121A、121B)に対応するように後側基板114上に配列されている。後側基板114が基板収容溝125に配置された際に、複数のコンタクト121(121A、121B)は、電極114cと接続される。
【0156】
(変形例1)
なお、第3実施形態に係る後側基板114における電極114cの配列パターンは、千鳥状の配列に限定されない。後側基板114は、
図19Eの変形例に示すように、複数の帯状電極114dを含む電極パターンを有してもよい。
具体的に、各帯状電極114dは、後側基板114の第1側面114fから第2側面114sに向けて延びている。複数の帯状電極114dは、後側基板114の延在方向に沿って並ぶように配列されている。複数の帯状電極114dの位置は、ハウジング162の第1領域S1に配列されている複数のコンタクト121Aに対応しており、後側基板114が基板収容溝125に配置された際に、1つのコンタクトと1つの帯状電極114dとが対応するように複数のコンタクト121Aと複数の帯状電極114dとが接続される。
変形例1において、複数の帯状電極114dの個数は、6個であり、コンタクト121Aの個数(6個)に対応する。
一方、後側基板114が基板収容溝125に配置された際に、複数のコンタクト121Bの各々は、2つの帯状電極114dの間に位置する絶縁部分に接触する。このため、コンタクト121Bは、帯状電極114dと接続されない。
なお、帯状電極114dは、後側基板114が基板収容溝125に配置された際に、複数のコンタクト121Bに接続され、かつ、複数のコンタクト121Aに接続されないような配列パターンを有してもよい。
換言すると、変形例1に係る複数の帯状電極114dは、一方のコンタクト群(複数のコンタクト121A又は複数のコンタクト121B)のみに接続されており、他方のコンタクト群には接続されていない。
【0157】
(変形例2)
後側基板114における帯状電極114dの配列パターンは、
図19Eに示す変形例1に限定されない。
後側基板114の延在方向に沿って12個の帯状電極114dが並ぶように配列されてもよい。この場合、12個の帯状電極114dのうちの6個の帯状電極114dが複数のコンタクト121A(一方のコンタクト群)に接続され、残りの6個の帯状電極114dが複数のコンタクト121B(他方のコンタクト群)に接続される。12個の帯状電極114dの各々の幅(後側基板114の延在方向における長さ)は、
図19Eに示す変形例1よりも狭い。
【0158】
(ハウジングに対する後側基板及び基板押さえ部材の取り付け)
次に、ハウジング162に対して後側基板114及び基板押さえ部材163の取り付けることによって得られるコネクタ120の構造について説明する。
まず、後側基板114を基板収容溝125内に配置することによって、位置決め突起62aは、切欠14hに嵌合する。この状態で、
図14に示す矢印の方向に沿って基板押さえ部材163をハウジング162の上面に対して下方向にスライドさせることで、位置決め突起62aが切欠63iに嵌合するとともに係合突起63eが係止突部62nに係合し、基板押さえ部材163とハウジング162とが係合する。これによって、
図19Cに示す構造が得られる。
【0159】
上述した第3実施形態に係るコネクタ120によれば、複数のコンタクト121が千鳥状に配置されていることで、以下に述べるように、述した第1実施形態及び第2実施形態よりも優れた効果が得られる。
特に、第1実施形態(
図1参照)及び第2実施形態(
図14参照)では、ハウジング62の短手方向の両側のうち一方のみに複数のコンタクト121が配列されている(単配列)。
このようなハウジング62を配線基板(ベース基板31)上に配置して配線基板の端子に接続する場合、配線基板に対する複数のコンタクト121の固定強度が全体的にアンバランスとなってしまう。配線基板に対する複数のコンタクト121の固定強度が全体的にバランスした状態を維持するようにハウジング62を配線基板に接続するには、ハウジング62の長手方向の両端に固定用補助部材(固定タブ)を使用する必要があった。
【0160】
これに対し、第3実施形態に係るコネクタ120によれば、複数のコンタクト121(121A、121B)が第1領域S1及び第2領域S2に千鳥状に配列されている。このため、コネクタ120を配線基板(ベース基板31)へ全体的にバランス良く接続・固定して固定強度を保つことができるので、第1実施形態及び第2実施形態で必要であった固定用補助部材(固定タブ)が不要となるという効果も得られる。
【0161】
また、上述した第3実施形態に係るコネクタ120によれば、位置決め突起62aと切欠14hとの係合によって、ハウジング162の基板収容溝125に対して後側基板114の位置決めをすることができる。また、位置決め突起62aと切欠63iとの係合によって、ハウジング162に対して基板押さえ部材163の位置決めをすることができる。
【0162】
特に、基板押さえ部材163の正面図(
図20)及び背面図(
図21)において、押さえ突部63hに形成された切欠63iの位置が同じである。このため、平面視において基板押さえ部材163を180°回転させて、基板押さえ部材163をハウジング162の上面に対して下方向にスライドさせても、位置決め突起62aは、切欠63iに嵌合する。換言すると、基板押さえ部材163は、リバーシブル構造を有している。このように、位置決め突起62aは、2つの切欠63iのうち一方に確実に嵌合するため、作業者は、ハウジング162に対して基板押さえ部材163が配置される方向に注意を払うことがなく、ハウジング162と基板押さえ部材163とを速やかに固定することができる。
【0163】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0164】
上述の実施形態では、電子モジュールの一例として、電子素子に撮像素子を用いた撮像モジュールを例示したが、電子モジュールは撮像モジュールに限定されない。
電子モジュールは、例えば、上述の実施形態の撮像モジュールの電子素子について、撮像素子にかえてレーザ素子あるいはセンサ素子を用いた構成も採用可能である。
【0165】
電子モジュールは、電子素子と、電子素子に電気接続された電気ケーブルと、前記電気ケーブルの電子素子に電気接続された先端とは逆の後端に電気接続された接続用端部基板とを有する構成に限定されない。
電子モジュールは、その端部を構成する接続用端部基板と、接続用端部基板に形成された配線を介して接続用端部基板の電極と電気接続された電子部品(例えば電子素子)とを有する構成であれば良く、例えば、電気ケーブルを備えていない構成も採用可能である。
【0166】
幅方向位置決め部は、接続用端部基板をハウジングに対して、ハウジングの基板支持面上における長手方向位置決め部による位置決め方向とは垂直の方向に位置決めするものである。
接続用端部基板が、その片面をハウジングの基板支持面に当接向きで配置した細長板状の基板である場合、幅方向位置決め部は、基板支持面上の接続用端部基板の長手方向をハウジングにおける複数のコンタクトの配列方向(配列ピッチ方向)に揃え、かつ接続用端部基板を基板支持面におけるコンタクト配列方向(配列ピッチ方向)に垂直の幅方向の所定位置に位置決めする。また、この場合、長手方向位置決め部は、幅方向位置決め部によって位置決めされた接続用端部基板をハウジングに対してコンタクト配列方向(配列ピッチ方向)の所定位置に位置決めする。
【0167】
幅方向位置決め部は、例えば、ハウジングの基板支持面上に互いに離間させて設けられた突出部によって、突出部間に配置された接続用端部基板の幅方向位置決めを行なう構成等、種々構成を採用可能である。
幅方向位置決め部を構成する突出部の形状は適宜変更可能である。
【0168】
長手方向位置決め部に位置決めピン24を使用する場合は、例えば、
図32に示すように、第1治具掛け孔14eの穴径を位置決めピン24外径よりも小さくして、第1治具掛け孔14eへの位置決めピン24の誤挿入をより確実に防ぐ構成も採用可能である。
【0169】
位置決めピン24を使用する場合は、
図33に示すように、後側基板14短手方向(後側基板14の面方向における長手方向に垂直の方向)における第1治具掛け孔14e及び第2治具掛け孔14fの位置を互いに異ならせて、第1治具掛け孔14eへの位置決めピン24の誤挿入をより確実に防ぐ構成も採用可能である。
図33では、後側基板14短手方向中央に位置する第1治具掛け孔14eに対して、第2治具掛け孔14fを後側基板14短手方向において中央からずらした構成を例示している。また、
図33では、位置決めピン24は、基板収容溝25に挿入された後側基板14の第2治具掛け孔14fに挿入可能とするため、基板収容溝25の溝幅方向において中央からずらした位置に設けられている。
【0170】
長手方向位置決め部は、位置決めピン24を使用する構成に限定されない。
図34に例示する長手方向位置決め部は、ハウジングの基板収容溝25の溝幅方向片側の内壁面から突出された位置決め突部24Aである。後側基板14は、その短手方向片側の側面から窪む切り欠き部14gが形成された構成のものを用いる。後側基板14は、基板収容溝25に挿入する際に、切り欠き部14gに位置決め突部24Aを入り込ませることで、ハウジング長手方向に位置決めされる。
【0171】
長手方向位置決め部は、基板収容溝25に挿入した後側基板14をハウジング長手方向に位置決め可能なものであれば良く、種々構成のものを適宜選択的に採用可能である。
【0172】
コンタクト121がハウジングに千鳥状に配列されている構造は、
図19Cに示すハウジング162だけでなく、
図1に示す第1実施形態に係るハウジング62にも適用可能である。
【符号の説明】
【0173】
10…電子モジュール(撮像モジュール)、11…撮像素子、11a…受光面、12…ヘッド側基板、13…電気ケーブル、13a…外装被覆、13b…同軸ケーブル、13c…中心導体、13d…外部導体、13e…副導体、14、114…接続用端部基板(後側基板)、14a…第1主面、14b…第2主面、14c、114c…電極、14d…導体接続端子、14d1…中心導体接続端子、14d2…外部導体接続端子、14d3…副導体接続端子、14e…第1治具掛け孔、14f…ピン係止穴(第2治具掛け孔)、14g…切り欠き部、14h…切欠(第2切欠)、15…チューブ、16…チューブ付きモジュール、20、120…コネクタ、20A…コネクタベース部材、21、121、121A、121B…コンタクト、21a…接触部、21b…接続部、21c…幹部、21d…ばね部、21e…ばね基端部、21f…前側湾曲部、21g…中間細長片部、21h…後側湾曲部、21i…先端細長片部、21j…固定片部、21k…固定用突起、22…ハウジング、22A…第1台部、22B…第2台部、22C…コンタクト配置領域、22a…底面、22b…上面、22c…前面、22d…後面、22e…第1端面、22f…第2端面、22g…溝底壁、22h…溝後壁、22i…固定用補助部材、22j…固定用補助突起、22k、122k…溝仕切り壁、22m…延在切欠部、22n…係止突部、22o…第1係止面、22p…第2係止面、22q…係合逃げ凹部、22r…入口傾斜面、22s…第1傾斜面、22t…第2傾斜面、22u…ストッパ壁、22v…基板取り出し用凹部、22w…チューブ収容溝、23…基板押さえ部材、23a…押さえ体、23b…押さえ面、23c…係合片、23c1…第1係合片対、23c2…第2係合片対、23d…腕部、23e…係合突起、24…長手方向位置決め部、位置決めピン、24A…長手方向位置決め部、位置決め突部、25、125…幅方向位置決め部、基板収容溝、25a…基板支持面、26、126…コンタクト収容溝、26a…固定片部嵌合孔、30…コネクタ付き基板、31…配線基板(ベース基板)、31a…主面、31b…配線、50…電子内視鏡システム、51…ビデオ処理表示装置、52…接続ケーブル、60…コネクタ、60A…コネクタベース部材、62、162…ハウジング、62A…第1台部、62B…第2台部、62C…コンタクト配置領域、62a…位置決め突起、62c…前面、62d…後面、62m…延在切欠部、62n…係止突部、62o…係合片誘導面、62p…係合片案内溝、63、163…基板押さえ部材、63a…押さえ体、63b…押さえ面、63c…係合片、63c1…第1係合片対、63c2…第2係合片対、63d…腕部、63e…係合突起、63f…ハウジング当接面、63g…押さえ体本体、63h…押さえ突部、63i…切欠(第1切欠)、63j…対角線、コネクタ付き基板70、114d…帯状電極(電極)、114f…第1側面、114s…第2側面、125a…基板支持面、125w…壁、S1…第1領域、S2…第2領域。