(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】タイヤトレッド摩耗システム
(51)【国際特許分類】
B60W 40/12 20120101AFI20220701BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20220701BHJP
G01M 17/02 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
B60W40/12
B60C19/00 Z
G01M17/02
(21)【出願番号】P 2020572667
(86)(22)【出願日】2019-03-19
(86)【国際出願番号】 US2019022919
(87)【国際公開番号】W WO2020005346
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-02-24
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511257078
【氏名又は名称】ニッサン ノース アメリカ,インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】ストルティ、 ジャン ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァウコネン、 ムムターズ
(72)【発明者】
【氏名】ディブ、 グレゴリー ディー.
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0003593(US,A1)
【文献】特表2016-537259(JP,A)
【文献】特表2017-505430(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0108435(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0221581(US,A1)
【文献】特開2012-126308(JP,A)
【文献】特表2017-520451(JP,A)
【文献】特表2015-518440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 - 60/00
B60C 1/00 - 19/12
B60C 23/00 - 99/00
G01M 17/00 - 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両センサと、
プロセッサと
を備え、前記プロセッサは、
タイヤ事象を決定するように構成された制御モジュール、
前記複数の車両センサからデータを収集してタイヤの動的回転半径を決定し、前記タイヤの動的回転半径に基づいてトレッド摩耗推定値を出力するように構成された幾何学モデル、
前記複数の車両センサからデータを収集し、前記幾何学モデルから出力された前記トレッド摩耗推定値とタイヤトレッド状態を有する複数のデータインスタンスとの相関に基づいてトレッド摩耗推定値を出力するように構成された機械学習モデル
であって、前記幾何学モデルを使用して訓練される機械学習モデル、及び
前記幾何学モデル及び前記機械学習モデルをアクティブ化するように構成された論理スイッチ
を備える、タイヤトレッド摩耗システム。
【請求項2】
前記制御モジュールは、前記タイヤ事象が初期タイヤセットアップであるという決定に基づいて前記幾何学モデルをアクティブ化するように構成される、請求項1に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【請求項3】
前記論理スイッチは、前記タイヤ事象がタイヤ変更であると前記制御モジュールが決定するという条件で、前記機械学習モデルをアクティブ化するように構成される、請求項2に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【請求項4】
前記論理スイッチは、前記幾何学モデルを非アクティブ化にするように構成される、請求項3に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【請求項5】
前記幾何学モデルは、車両が一定速度にあるという条件でデータを収集するように構成される、請求項1に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【請求項6】
前記機械学習モデルは、車両の速度とは無関係に連続的にデータを収集するように構成される、請求項1に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【請求項7】
前記幾何学モデルによって収集されたデータは、全地球測位システム(GPS)データ及び車輪速度データを含む、請求項1に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【請求項8】
前記機械学習モデルによって収集されたデータは、車輪速度データ、ハンドル角データ、ブレーキ圧データ、前後加速度データ、又は総距離データのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【請求項9】
前記機械学習モデルは、ラジアンカーネルを用いたマルチクラスのサポートベクトルマシン(SVM)を利用して、前記タイヤトレッド状態を予測し、かつ前記タイヤトレッド状態を複数のグループに分類する、請求項1に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【請求項10】
前記複数のグループの第1のグループは100%のトレッド残量であり、前記複数のグループの第2のグループは75%のトレッド残量であり、前記複数のグループの第3のグループは50%のトレッド残量であり、前記複数のグループの第4のグループは25%のトレッド残量である、請求項9に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【請求項11】
ディスプレイをさらに備え、
前記ディスプレイは、
前記幾何学モデルによるトレッド摩耗推定値と前記機械学習モデルによるトレッド摩耗推定値とを受信すること、
前記幾何学モデルによるトレッド摩耗推定値と前記機械学習モデルに基づいて前記タイヤの可視化を生成すること、及び
生成された前記タイヤの可視化を表示すること
を行うように構成される、請求項1に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【請求項12】
複数の車両センサと、
プロセッサであって、
車両のタイヤ状態を決定するように構成された制御モジュール、
前記複数の車両センサからデータを収集してタイヤの動的回転半径を決定し、前記タイヤの動的回転半径に基づいてトレッド摩耗推定値を出力するように構成された幾何学モデル、
前記幾何学モデルを使用して訓練される機械学習モデルであって、前記複数の車両センサからデータを収集し、前記幾何学モデルから出力された前記トレッド摩耗推定値とタイヤトレッド状態を有する複数のデータインスタンスとの相関に基づいてトレッド摩耗推定値を出力するように構成された機械学習モデル
を備えるプロセッサと、
前記幾何学モデル及び前記機械学習モデルをアクティブ化するように構成された論理スイッチと、
ディスプレイであって、
前記幾何学モデルによるトレッド摩耗推定値と前記機械学習モデルによるトレッド摩耗推定値とを受信すること、
前記幾何学モデルによるトレッド摩耗推定値と前記機械学習モデルによるトレッド摩耗推定値とに基づいて前記タイヤの可視化を生成すること、及び
生成された前記タイヤの可視化を表示すること
を行うように構成されるディスプレイと
を備える、タイヤトレッド摩耗システム。
【請求項13】
前記制御モジュールは、タイヤ事象が初期タイヤセットアップであるという決定に基づいて前記幾何学モデルをアクティブ化するように構成される、請求項12に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【請求項14】
前記論理スイッチは、前記タイヤ事象がタイヤ変更であると前記制御モジュールが決定するという条件で、前記機械学習モデルをアクティブ化するように構成される、請求項13に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【請求項15】
前記論理スイッチは、前記幾何学モデルを非アクティブ化にするように構成される、請求項14に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【請求項16】
前記幾何学モデルによって収集されたデータは、全地球測位システム(GPS)データ及び車輪速度データを含む、請求項12に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【請求項17】
前記機械学習モデルによって収集されたデータは、車輪速度データ、ハンドル角データ、ブレーキ圧データ、前後加速度データ、又は総距離データのうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【請求項18】
前記機械学習モデルは、ラジアンカーネルを用いたマルチクラスのサポートベクトルマシン(SVM)を利用して、前記タイヤトレッド状態を予測し、かつ前記タイヤトレッド状態を複数のグループに分類する、請求項12に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【請求項19】
前記複数のグループの第1のグループは100%のトレッド残量であり、前記複数のグループの第2のグループは75%のトレッド残量であり、前記複数のグループの第3のグループは50%のトレッド残量であり、前記複数のグループの第4のグループは25%のトレッド残量である、請求項18に記載のタイヤトレッド摩耗システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両動作管理に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年6月28日に出願された米国特許出願第16/022,032号の優先権及びその利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
タイヤトレッド推定のための典型的なアプローチは、2つのグループに分類し得る。第1のグループは、現在の生産車両には存在しない追加のセンサを使用し、第2のグループは、市販のセンサを使用する。追加のセンサを使用すると、一般に精度が向上する一方で、複雑さと費用が増大する。一般に、市販のセンサを使用しても、タイヤトレッドの推定において信頼できる結果は得られない。最終的には、追加のセンサを必要とせずにタイヤトレッド摩耗を決定するための正確で費用対効果の高いシステムを有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本明細書には、車両動作管理のためのシステム及び方法の態様、特徴、要素、実装、及び実施形態が開示される。
【0005】
タイヤトレッド摩耗システムは、1つ以上の車両センサ及びプロセッサを含んでもよい。プロセッサは、制御モジュール、幾何学モデル、機械学習モデル、及びスイッチを含んでもよい。
【0006】
制御モジュールは、タイヤ事象を決定するように構成されてもよい。幾何学モデルは、1つ以上の車両センサからデータを収集して、タイヤの動的回転半径を決定するように構成されてもよい。幾何学モデルは、タイヤの動的回転半径に基づいてトレッド摩耗推定値を出力するように構成されてもよい。機械学習モデルは、1つ以上の車両センサからデータを収集するように構成されてもよい。機械学習モデルは、幾何学モデルから出力されたトレッド摩耗推定値とタイヤトレッド状態を有する1つ以上のデータインスタンスとの相関に基づいてトレッド摩耗推定値を出力するように構成されてもよい。スイッチは、幾何学モデル、機械学習モデル、又はそれらの組み合わせをアクティブ化するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、スイッチは論理スイッチであってもよい。
【0007】
タイヤトレッド摩耗システムの制御モジュールは、タイヤ事象が初期タイヤセットアップであるという決定に基づいて幾何学モデルをアクティブ化するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、スイッチは、タイヤ事象がタイヤ変更であると制御モジュールが決定するという条件で、機械学習モデルをアクティブ化するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、スイッチは、幾何学モデルを非アクティブ化するように構成されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態において、タイヤトレッド摩耗システムの幾何学モデルは、車両が一定速度であるという条件で、データを収集するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、タイヤトレッド摩耗システムの機械学習モデルは、車両の速度から独立しており連続的にデータを収集するように構成されてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、幾何学モデルによって収集されるデータは、全地球測位システム(GPS)データ、車輪速度データ、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態において、機械学習モデルによって収集されるデータは、車輪速度データ、ハンドル角データ、ブレーキ圧データ、前後加速度データ、総距離データ、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、機械学習モデルは、ラジアンカーネルを用いたマルチクラスのサポートベクトルマシン(SVM)を利用して、タイヤトレッドの状態を予測し得る。タイヤトレッド状態は、各タイヤをグループに分類するために使用し得る。例えば、第1のグループはトレッド残量が100%のタイヤ用であり、第2のグループはトレッド残量が75%のタイヤ用であり、第3のグループはトレッド残量が50%のタイヤ用であり、第4のグループはトレッド残量が25%のタイヤ用である。
【0011】
タイヤトレッド摩耗システムはディスプレイを含んでもよい。ディスプレイは、幾何学モデルによるトレッド摩耗推定値及び機械学習モデルによるトレッド摩耗推値を受信するように構成されてもよい。これに応答して、ディスプレイは、幾何学モデルによるトレッド摩耗推定値及び機械学習モデルに基づいてタイヤの視覚化を生成するように構成されてもよい。ディスプレイは、生成されたタイヤの視覚化を表示するように構成されてもよい。
【0012】
別の態様では、タイヤトレッド摩耗システムは、1つ以上のセンサ及びプロセッサを含んでもよい。プロセッサは、制御モジュール、幾何学モデル、機械学習モデル、スイッチ、及びディスプレイを含んでもよい。
【0013】
制御モジュールは、車両のタイヤ状態を決定するように構成されてもよい。幾何学モデルは、1つ以上の車両センサからデータを収集して、タイヤの動的回転半径を決定するように構成されてもよい。幾何学モデルは、タイヤの動的回転半径に基づいてトレッド摩耗推定値を出力するように構成されてもよい。機械学習モデルは、1つ以上の車両センサからデータを収集するように構成されてもよい。機械学習モデルは、幾何学モデルから出力されたトレッド摩耗推定値とタイヤトレッド状態を有する1つ以上のデータインスタンスとの相関に基づいてトレッド摩耗推定値を出力するように構成されてもよい。スイッチは、幾何学モデル、機械学習モデル、又はそれらの組み合わせをアクティブ化するように構成されてもよい。
【0014】
ディスプレイは、幾何学モデルによるトレッド摩耗推定値、機械学習モデルによるトレッド摩耗推値、又はこれらの組み合わせを受信するように構成されてもよい。ディスプレイは、タイヤの視覚化を生成するように構成されてもよい。視覚化は、幾何学モデルによるトレッド摩耗推定値、機械学習モデルによるトレッド摩耗推定値、又はこれらの組み合わせに基づくことができる。ディスプレイは、生成されたタイヤの視覚化を表示するように構成されてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、タイヤトレッド摩耗システムの制御モジュールは、タイヤ事象が初期タイヤセットアップであるという決定に基づいて幾何学モデルをアクティブ化するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、スイッチは、タイヤ事象がタイヤ変更であると制御モジュールが決定するという条件で、機械学習モデルをアクティブ化するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、これは、幾何学モデルを非アクティブ化するように構成されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態において、幾何学モデルによって収集されるデータは、全地球測位システム(GPS)データ、車輪速度データ、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施形態において、機械学習モデルによって収集されるデータは、車輪速度データ、ハンドル角データ、ブレーキ圧データ、前後加速度データ、総距離データ、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、機械学習モデルは、ラジアンカーネルを用いたマルチクラスのSVM を利用して、タイヤトレッドの状態を予測し得る。機械学習モデルは、タイヤトレッド状態をグループに分類するように構成されてもよい。例えば、第1のグループはトレッド残量が100%のタイヤを含み、第2のグループはトレッド残量が75%のタイヤを含み、第3のグループはトレッド残量が50%のタイヤを含み、第4のグループはトレッド残量が25%のタイヤを含んでもよい。
【0018】
別の態様では、タイヤトレッド摩耗システムは、1つ以上の車両センサ、無線モデム、サーバ、及びディスプレイを含んでもよい。無線モデムは、1つ以上の車両センサから受信したデータを送信するように構成されてもよい。
【0019】
サーバは、無線モデムからデータを受信するように構成されてもよい。サーバは、受信機、制御モジュール、幾何学モデル、機械学習モデル、スイッチ、及び送信機を含んでもよい。いくつかの実施形態において、受信機及び送信機は、単一のトランシーバユニットに結合されてもよい。
【0020】
制御モジュールは、車両のタイヤ状態を決定するように構成されてもよい。幾何学モデルは、1つ以上の車両センサからデータを収集して、タイヤの動的回転半径を決定するように構成されてもよい。幾何学モデルは、タイヤの動的回転半径に基づいてトレッド摩耗推定値を出力するように構成されてもよい。機械学習モデルは、1つ以上の車両センサからデータを収集するように構成されてもよい。機械学習モデルは、幾何学モデルから出力されたトレッド摩耗推定値とタイヤトレッド状態を有する1つ以上のデータインスタンスとの相関に基づいてトレッド摩耗推定値を出力するように構成されてもよい。スイッチは、幾何学モデル、機械学習モデル、又はそれらの組み合わせをアクティブ化するように構成されてもよい。スイッチは、論理スイッチであってもよい。
【0021】
以下では、本明細書に開示された方法、装置、プロシージャ及びアルゴリズムのこうした及び他の態様、特徴、要素、実装及び実施形態の変形がさらに詳細に記載される。
【0022】
本明細書に開示された方法及び装置の様々な態様は、以下の記載及び図面において提供される例示を参照することでより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本明細書に開示の態様、特徴及び要素が実装され得る車両の例を示す図である。
【0024】
【
図2】本明細書に開示の態様、特徴及び要素が実装され得る車両通信システムの一部の例を示す図である。
【0025】
【
図3】本明細書に開示の態様、特徴及び要素が実装され得る車両通信システムの一部の別の例を示す図である。
【0026】
【
図4】車両通信システムの例示のディスプレイを示す図である。
【0027】
【
図5】本開示の実施形態によるタイヤトレッド摩耗を推定するように構成された車両通信システムに使用する方法の一例のフロー図である。
【0028】
【
図6】本開示の実施形態によるタイヤトレッド摩耗を推定するように構成された車両通信システムに使用する方法の一例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
車両は、車両の動作環境又はその一部に対応するデータ等のセンサデータを生成又は捕捉するための1つ以上のセンサを含んでもよい。例えば、センサデータは、車両動作環境、車両交通ネットワーク形状、又はこれらの組み合わせの中の歩行者、遠隔車両、他のオブジェクト等の1つ以上の外部オブジェクト対応する情報を含んでもよい。
【0030】
本明細書で使用される場合、「コンピュータ」又は「コンピュータ装置」という用語は、本明細書で開示の任意の方法を実行し得る任意のユニット又はユニットの組み合わせ、又はその任意の部分若しくは複数の部分を含む。
【0031】
本明細書で使用される場合、「プロセッサ」という用語は、1つ以上の専用プロセッサ、1つ以上のデジタル信号プロセッサ、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上のコントローラ、1つ以上のマイクロコントローラ、1つ以上のアプリケーションプロセッサ、1つ以上の特定用途向け集積回路、1つ以上の特定用途向け汎用集積回路、1つ以上のフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、任意の他のタイプ又は組み合わせの集積回路、1つ以上の状態機械、又はこれらの任意の組み合わせ等の1つ以上のプロセッサを示す。
【0032】
本明細書で使用される場合、「メモリ」という用語は、任意のプロセッサによって使用され得る又はそれと関連している任意の信号又は情報を有形に保持、記憶、通信、又は搬送し得る任意のコンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体又は装置を示す。例えば、メモリは、1つ以上の読み取り専用メモリ(ROM)、1つ以上のランダムアクセスメモリ(RAM)、1つ以上のレジスタ、1つ以上の低電力DDR(LPDDR)メモリ、1つ以上のキャッシュメモリ、1つ以上の半導体メモリ装置、1つ以上の磁気媒体、1つ以上の光学媒体、1つ以上の磁気光学媒体、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0033】
本明細書で使用される場合、「命令」という用語は、本明細書に開示の任意の方法を実行するための指示若しくは表現、又はその任意の部分若しくは複数の部分を含んでもよく、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されてもよい。例えば、命令は、本明細書に記載の各方法、アルゴリズム、態様又はこれらの組み合わせのいずれかを行うためにプロセッサによって実行され得るメモリに記憶されたコンピュータプログラム等の情報として実装されてもよい。命令又はその一部は、本明細書に記載の任意の方法、アルゴリズム、態様又はその組み合わせを行うための専用ハードウェアを含み得る専用プロセッサ又は回路として実装されてもよい。いくつかの実装形態では、命令の部分は、直接的に又はローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、インターネット又はこれらの組み合わせ等のネットワークを介して通信し得る複数の装置上の複数のプロセッサ又は単一の装置上の複数のプロセッサに分散されてもよい。
【0034】
本明細書で使用される場合、「例示」、「実施形態」、「実装」、「態様」、「特徴」又は「要素」という用語は、用例、例示又は実例としての役割を果たすことを示している。特に明示されない限り、任意の例示、実施形態、実装、態様、特徴又は要素が、互いの例示、実施形態、実装、態様、特徴又は要素から独立しており、任意の他の例示、実施形態、実装、態様、特徴又は要素と組み合わせて使用されてもよい。
【0035】
本明細書で使用される場合、「決定」及び「識別」又はこれらの任意の変形の用語は、図示の及び本明細書に記載の1つ以上の装置を使用するいかなるやり方で選択、確認、計算、検索、受信、決定、確立、取得、又は他のやり方で識別又は決定することを含んでいる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、排他的な「又は」ではなく包含的な「又は」を意味することが意図されている。すなわち、他に特に定めがない限り、又は特に文脈によって明示されない限り、「XがA又はBを含む」は、任意の当然の包含的なそれの並べ替えを示すことが意図されている。すなわち、XがAを含む、XがBを含む、又はXがA及びBの両方を含む場合、「XがA又はBを含む」は、上記の例示のいずれかによって満たされる。さらに、本願及び添付の請求項の中で使用される“a”及び“an”という冠詞は、一般に、単数形を指していることがコンテキストから明確であるか又は他に特段の定めがない限り、「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである。
【0037】
さらに、説明の簡潔のため、本明細書の図面及び説明は一連の動作又は段階又はシーケンスを含み得るが、本明細書に開示の方法の要素は、様々な順番で又は同時に起こってもよい。さらに、本明細書に開示の方法の要素は、本明細書に明示的に提示及び開示されていない他の要素と共に起こってもよい。さらに、本明細書に記載の方法の全ての要素が、本開示による方法を実装することを要求されるとは限らない。態様、特徴及び要素は特定の組み合わせで本明細書に記載されているが、各態様、特徴又は要素は、他の態様、特徴及び要素と共に又はそれらなしで独立して又は様々な組み合わせで使用されてもよい。
【0038】
図1は、本明細書に開示の態様、特徴及び要素が実装され得る車両の一例の図面である。図示のように、車両1000は、シャーシ1100、パワートレイン1200、コントローラ1300、車輪1400を含み、又は車両の任意の他の要素又は要素の組み合わせを含んでもよい。簡潔のため、車両1000は4つの車輪1400を含むように示されているが、プロペラ又はトレッド等の1つ以上の任意の他の推進装置が使用されてもよい。
図1において、パワートレイン1200、コントローラ1300及び車輪1400等の要素を相互接続する線は、データ又は制御信号等の情報、電力又はトルク等の力、又は情報及び電力の両方が各要素間で伝達され得ることを示している。例えば、コントローラ1300は、パワートレイン1200から電力を受信して、パワートレイン1200、車輪1400、又は両方と通信して、車両1000を制御してもよく、これは、車両1000を加速、減速、操縦又は他のやり方で制御することを含み得る。
【0039】
パワートレイン1200は、電源1210、トランスミッション1220、ステアリング装置1230、アクチュエータ1240、又はサスペンション、駆動シャフト、アクセル若しくは排気システム等のパワートレインの任意の他の要素又は要素の組み合わせを含んでもよい。別々に示されているが、車輪1400は、パワートレイン1200に含まれてもよい。
【0040】
電源1210は、エンジン、バッテリ、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。電源1210は、電気エネルギ、熱エネルギ又は運動エネルギ等のエネルギを提供するように動作する任意の装置又は装置の組み合わせであってもよい。例えば、電源1210は、内燃エンジン、電気モータ又は内燃エンジン及び電気モータの組み合わせ等のエンジンを含んでもよく、1つ以上の車輪1210に原動力としての運動エネルギを提供するように動作してもよい。電源1210は、ニッケルカドミウム(NiCd)、ニッケル亜鉛(NiZn)、ニッケル水素(NiMH)、又はリチウムイオン(Li-ion)バッテリ等の1つ以上の乾電池、太陽電池、燃料電池、又はエネルギを提供することが可能な任意の他の装置等のポテンシャルエネルギ装置を含んでもよい。
【0041】
トランスミッション1220は、電源1210から運動エネルギ等のエネルギを受信してもよく、原動力を提供するために車輪1400にエネルギを送ってもよい。トランスミッション1220は、コントローラ1300、アクチュエータ1240又は両方によって制御されてもよい。ステアリング装置1230は、コントローラ1300、アクチュエータ1240又は両方によって制御され、車両を操縦するために車輪1400を制御してもよい。アクチュエータ1240は、コントローラ1300から信号を受信してもよく、車両1000を動作させるために電源1210、トランスミッション1220、ステアリング装置1230又はこれらの任意の組み合わせを作動又は制御してもよい。
【0042】
コントローラ1300は、位置決め装置1310、電子通信装置1320、プロセッサ1330、メモリ1340、ユーザインターフェース1350、センサ1360、電子通信インターフェース1370又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。単一の装置として示されているが、コントローラ1300の任意の1つ以上の要素が任意の数の分離した物理装置に組み込まれてもよい。例えば、ユーザインターフェース1350及びプロセッサ1330は、第1の物理装置に組み込まれてもよく、メモリ1340は、第2の物理装置に組み込まれてもよい。
図1には示されていないが、コントローラ1300は、バッテリ等の電源1210を含んでもよい。個別の要素として示されているが、位置決め装置1310、電子通信装置1320、プロセッサ1330、メモリ1340、ユーザインターフェース1350、センサ1360、電子通信インターフェース1370、又はこれらの任意の組み合わせは、1つ以上の電子装置、回路又はチップに組み込まれてもよい。
【0043】
プロセッサ1330は、光プロセッサ、量子プロセッサ、分子プロセッサ、又はそれらの組み合わせを含む、信号又は他の情報を操作又は処理することが可能な現存する又は今後開発される任意の装置又は装置の組み合わせを含んでもよい。例えば、プロセッサ1330は、1つ以上の専用プロセッサ、1つ以上のデジタル信号プロセッサ、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上のコントローラ、1つ以上のマイクロコントローラ、1つ以上の集積回路、1つ以上の特定用途向け集積回路、1つ以上のフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、1つ以上のプログラマブル・ロジック・アレイ、1つ以上のプログラマブル・ロジック・コントローラ、1つ以上の状態機械、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。プロセッサ1330は、位置決め装置1310、メモリ1340、電子通信インターフェース1370、電子通信装置1320、ユーザインターフェース1350、センサ1360、パワートレイン1200、又はこれらの任意の組み合わせと動作可能に結合されてもよい。例えば、プロセッサは、通信バス1380を介してメモリ1340と動作可能に結合されてもよい。
【0044】
メモリ1340は、プロセッサ1330によって使用される又はそれと接続される、機械可読命令又はそれに関連付けられる任意の情報を、例えば、保持、記憶、伝達又は搬送することが可能な任意の有形の非一時的なコンピュータ使用可能又はコンピュータ可読媒体を含んでもよい。メモリ1340は、例えば、1つ以上の半導体ドライブ、1つ以上のメモリカード、1つ以上のリムーバブル媒体、1つ以上の読み取り専用メモリ、1つ以上のランダムアクセスメモリ、(ハードディスク、フロッピーディスク、光学ディスクを含む)1つ以上のディスク、磁気若しくは光学カード、又は電子情報を記憶するのに適した任意のタイプの非一時的な媒体、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0045】
通信インターフェース1370は、図示のような無線アンテナ、有線通信ポート、光学通信ポート、又は有線若しくは無線電子通信媒体1500とインターフェース接続することが可能な任意の他の有線若しくは無線装置であってもよい。
図1は単一の通信リンクを介して通信を行う通信インターフェース1370が示されているが、通信インターフェースは、複数の通信リンクを介して通信を行うように構成されてもよい。
図1は単一の通信インターフェース1370を示しているが、車両は、任意の数の通信インターフェースを含んでもよい。
【0046】
通信装置1320は、通信インターフェース1370等を介して、有線又は無線電子通信媒体1500を介して信号を送信又は受信するように構成されてもよい。
図1に明示されていないが、通信装置1320は、無線周波数(RF)、紫外線(UV)、可視光、光ファイバ、有線回線、又はこれらの組み合わせ等の任意の有線又は無線通信媒体を介して送信、受信又は両方を行うように構成されてもよい。
図1は、単一の通信装置1320及び単一の通信インターフェース1370を示しているが、任意の数の通信装置及び任意の数の通信インターフェースが使用されてもよい。通信装置1320は、狭域通信(DSRC)装置、車載装置(OBU)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0047】
位置決め装置1310は、車両1000の経度、緯度、高度、進行方向又は速さ等の地理情報を決定してもよい。例えば、位置決め装置は、広域補強システム(Wide Area Augmentation System;WAAS)対応米国海洋電子機器協会(National MarineElectronics Association;NMEA)装置、無線三角測量装置、又はこれらの組み合わせ等の全地球測位システム(GPS)装置を含んでもよい。位置決め装置1310は、例えば、車両1000の現在の向き、2次元又は3次元での車両1000の現在地、車両1000の現在の角度方向、又はこれらの組み合わせを表す情報を取得するために使用され得る。
【0048】
ユーザインターフェース1350は、仮想又は物理キーパッド、タッチパッド、ディスプレイ、タッチディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、仮想ディスプレイ、拡張現実ディスプレイ、触覚ディスプレイ、視線追跡装置等の特徴追跡装置、スピーカ、マイクロホン、ビデオカメラ、センサ、プリンタ、又はこれらの任意の組み合わせ等、人物とインターフェースすることが可能な任意の装置を含んでもよい。ユーザインターフェース1350は、図示のようにプロセッサ1330と、又はコントローラ1300の任意の他の要素と動作可能に結合されてもよい。単一の装置として示されているが、ユーザインターフェース1350は、1つ以上の物理装置を含んでもよい。例えば、ユーザインターフェース1350は、人物との音声通信を行うための音声インターフェース、及び人物との視覚及びタッチに基づく通信を行うためのタッチディスプレイを含んでもよい。ユーザインターフェース1350は、複数の物理的に分離した装置、単一の物理装置の中の複数の定義部分、又はこれらの組み合わせ等の複数のディスプレイを含んでもよい。
【0049】
センサ1360は、車両を制御するために使用され得る情報を提供するように動作し得るセンサの配列等の1つ以上のセンサを含んでもよい。センサ1360は、車両の現在の動作特徴に関する情報を提供してもよい。センサ1360は、例えば、速度センサ、加速度センサ、ステアリング角センサ、トラクション関連センサ、ブレーキ関連センサ、ハンドル位置センサ、視線追跡センサ、着座位置センサ、又は車両1000の現在の動的状況の何らかの態様に関する情報を報告するように動作可能な任意のセンサ若しくはセンサの組み合わせを含み得る。
【0050】
センサ1360は、車両1000の周囲の物理環境に関する情報を取得するように動作可能なセンサを含んでもよい。例えば、1つ以上のセンサが、道路形状、及び固定障害物、車両及び歩行者等の障害物を検出してもよい。センサ1360は、既知の又は後に開発される、1つ以上のビデオカメラ、レーザ感知システム、赤外線感知システム、音響感知システム、又は任意の他の適切なタイプの車載環境感知装置、又は装置の組み合わせであるか又はこれらを含み得る。いくつかの実施形態において、センサ1360及び位置決め装置1310が結合されてもよい。
【0051】
別に示されてはいないが、いくつかの実施形態において、車両1000は、軌道コントローラを含んでもよい。例えば、コントローラ1300が、軌道コントローラを含んでもよい。軌道コントローラは、車両1000の現在の状態及び車両1000に対して計画された経路、又はこれらの組み合わせを記述する情報を取得するように動作可能であってもよい。この情報に基づいて、軌道コントローラは、車両1000に関する軌道を決定し、最適化し得る。軌道コントローラは、車両1000が軌道コントローラによって決定される軌道に従うように、車両1000を制御するように動作可能な信号を出力してもよい。別の例では、軌道コントローラの出力は、パワートレイン1200、車輪1400又は両方に供給され得る最適化された軌道であり得る。いくつかの実施形態において、最適化された軌道は、一組のステアリング角等の制御入力であってもよく、各ステアリング角は1つの時点又は位置に対応する。いくつかの実施形態において、最適化された軌道は、1つ以上の経路、線、曲線、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0052】
1つ以上の車輪1400は、ステアリング装置1230の制御下でステアリング角に枢動され得る操縦された車輪、トランスミッション1220の制御下で車両1000を推進するためのトルクを与えられ得る推進された車輪、又は車両1000を操縦及び推進し得る操縦及び推進された車輪であってもよい。
【0053】
図1には示されていないが、車両は、エンクロージャ、ブルートゥース(登録商標)モジュール、周波数変調(FM)ラジオ装置、近距離無線通信(NFC)モジュール、液晶表示(LCD)ディスプレイ装置、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ装置、スピーカ、又はこれらの任意の組み合わせ等の
図1に示されていない装置又は要素を含んでもよい。
【0054】
図2は、例えば、
図1に示された車両1000において、本明細書に開示の態様、特徴及び要素が実装され得る車両通信システムの一部の例を示す図である。この例では、車両通信システム2000の一部は、通信装置2010と、1つ以上の車両センサ2020と、ディスプレイ2030とを含む。通信装置2010の一例は、
図1に示す通信装置1320であってもよい。
図2に示すように、1つ以上の車両センサ2020は、例えば、ハンドル角、車輪速度、前後加速度、ブレーキ圧、総距離、及びGPS速度を測定するように構成されてもよい。ハンドル角は度(deg)で測定してもよく、車輪速度は回転毎分(rpm)で測定してもよく、前後加速度は重力(g)で測定してもよく、ブレーキ圧は大気圧(bar)で測定してもよく、総距離は走行距離計によってキロメートル(km)で測定してもよく、GPS速度はキロメートル毎時(kph)で測定してもよい。これらの各測定値は、少なくとも10ヘルツ(Hz)でサンプリングしてもよい。これらの測定値は、本明細書では信号と呼ばれ得る。
【0055】
通信装置2010は、制御モジュール2040と、幾何学モデル2050と、機械学習モデル2060と、スイッチ2070とを含む。いくつかの実施形態において、制御モジュール2040は、例えば、サポートベクトルマシン(SVM)がマルチクラス分類器として実装される場合に、スーパーバイザであってもよい。制御モジュール2040は、較正開始フラグを送信することによって、幾何学モデル2050についての較正がいつ行われるべきかを示すように構成される。また、制御モジュール2040は、第1の装備タイヤが変更されたときに、第1のタイヤ変更フラグを送信するように構成されている。
【0056】
幾何学モデル2050は、1つ以上の車両センサ2020からGPS速度及び車輪速度信号を受信するように構成される。一組の第1の装備タイヤを備えた車両の初期始動時に、車両の運動は、較正開始フラグを幾何学モデル2050に送信するように制御モジュール2040をトリガする。幾何学モデル2050は、較正開始フラグを受信し、1つ以上の車両センサ2020から受信したGPS速度及び車輪速度信号に基づいて基準動的回転半径(DRR)を計算する。基準DRRは、較正が完了したときに、例えば、
図1に示すメモリ1340に記憶されてもよい。また、初期較正の後で、幾何学モデル2050は、一定速度に達したときにDRRを計算し、そのDRRを基準DRRと比較してタイヤトレッド摩耗を推定するように構成される。推定タイヤトレッド摩耗値は、例えば、新しいタイヤについては100%、中間タイヤ摩耗については75%及び50%、摩耗タイヤについては25%のパーセンテージとして出力し得る。これらのパーセンテージは単に例として提供され、新しいタイヤについての100%から摩耗タイヤについての0%まで任意のパーセンテージを使用し得る。推定タイヤトレッド摩耗値は、スイッチ2070及び機械学習モデル2060に出力される。
【0057】
機械学習モデル2060は、マルチクラス分類器としてSVMを使用し得る。機械学習モデル2060は、車輪速度、ハンドル角、ブレーキ圧、前後加速度、及び総距離信号を1つ以上の車両センサ2020から受信するように構成される。機械学習モデル2060は、幾何学モデル2050から学習フラグを受信すると、訓練を開始するように構成される。幾何学モデル2050は、機械学習モデル2060を訓練するために使用される。機械学習モデル2060は、タイヤトレッド摩耗値を推定し、その値をパーセンテージとしてスイッチ2070に出力するように構成されており、例えば、新しいタイヤについては100%、中間タイヤ摩耗については75%及び50%、摩耗タイヤについては25%である。これらのパーセンテージは単に例として提供され、任意のパーセンテージを使用し得る。機械学習モデル2060は、幾何学モデル2050のような一定速度制約、又は遵守すべき他の条件又は制限を有さない。
【0058】
推定タイヤトレッド摩耗値は、スイッチ2070に出力される。スイッチ2070は、推定タイヤトレッド値が生成される場所を制御するように構成された論理スイッチであってもよく、例えば、幾何学モデル2050は、第1の装備タイヤの全寿命にわたって推定タイヤトレッド値をエンドユーザに提供する一方で、機械学習モデル2060は、第1のタイヤ変更後に推定タイヤトレッド値をエンドユーザに提供し得る。スイッチ2070はまた、推定タイヤトレッド値をディスプレイ2030に送信するように構成される。ディスプレイ2030は、車載車両ディスプレイ、モバイル装置、タブレット、携帯情報端末(PDA)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又は任意の適切な装置とし得る。車載車両ディスプレイの例としては、計器クラスタディスプレイ、衛星ナビゲーションディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
図3は、車両通信システム3000の一部の別の例を示す図であり、本明細書に開示される態様、特徴、及び要素は、例えば、
図1に示される車両1000において実装され得る。この例では、車両通信システム3000の一部は、通信装置3010と、1つ以上の車両センサ3020と、ディスプレイ3030と、クラウドコンポーネント3040とを含む。通信装置3010の一例は、
図1に示す通信装置1320であってもよい。
図3に示すように、1つ以上の車両センサ3020は、例えば、ハンドル角、車輪速度、前後加速度、ブレーキ圧、総距離、及びGPS速度を測定するように構成されてもよい。ハンドル角は度(deg)で測定してもよく、車輪速度は回転毎分(rpm)で測定してもよく、前後加速度は重力(g)で測定してもよく、ブレーキ圧は大気圧(bar)で測定してもよく、総距離は走行距離計によってキロメートル(km)で測定してもよく、GPS速度はキロメートル毎時(kph)で測定してもよい。これらの各測定値は、少なくとも10ヘルツ(Hz)でサンプリングしてもよい。これらの測定値は、本明細書では信号と呼ばれ得る。
【0060】
通信装置3010は、1つ以上の車両センサ3020からGPS速度、車輪速度、ハンドル角、ブレーキ圧、前後加速度、及び総距離信号を受信するように構成される無線モデム3015を含む。無線モデム3015は、これらの信号をクラウドコンポーネント3040に送信するように構成される。
【0061】
クラウドコンポーネント3040は、制御モジュール3050、幾何学モデル3060、機械学習モデル3070、及びスイッチ3080を含む遠隔サーバであってもよい。いくつかの実施形態において、制御モジュール2040は、例えば、サポートベクトルマシン(SVM)がマルチクラス分類器として実装される場合に、スーパーバイザであってもよい。制御モジュール3050は、較正開始フラグを送信することによって、幾何学モデル3060についての較正がいつ行われるべきかを示すように構成される。また、制御モジュール3050は、第1の装備タイヤが変更されたときに、第1のタイヤ変更フラグを送信するように構成されている。
【0062】
幾何学モデル3060は、GPS速度及び車輪速度信号を通信装置3015の無線モデム3010から受信するように構成される。一組の第1の装備タイヤを備えた車両の初期始動時に、車両の運動は、較正開始フラグを幾何学モデル3060に送信するように制御モジュール3050をトリガする。幾何学モデル3060は、較正開始フラグを受信し、通信装置3015の無線モデム3010から受信したGPS速度及び車輪速度信号に基づいて基準DRRを計算する。基準DRRは、較正が完了したときに、例えば、
図1に示すメモリ1340に記憶されてもよい。また、初期較正の後で、幾何学モデル3060は、一定速度に達したときにDRRを計算し、そのDRRを基準DRRと比較してタイヤトレッド摩耗を推定するように構成される。推定タイヤトレッド摩耗値は、例えば、新しいタイヤについては100%、中間タイヤ摩耗については75%及び50%、摩耗タイヤについては25%のパーセンテージとして出力し得る。これらのパーセンテージは単に例として提供され、新しいタイヤについての100%から摩耗タイヤについての0%まで任意のパーセンテージを使用し得る。推定タイヤトレッド摩耗値は、スイッチ3080及び機械学習モデル3070に出力される。
【0063】
機械学習モデル3070は、マルチクラス分類器としてSVMを使用し得る。機械学習モデル3070は、車輪速度、ハンドル角、ブレーキ圧、前後加速度及び総距離信号を通信装置3010の無線モデム3015から受信するように構成される。機械学習モデル3070は、幾何学モデル3060から学習フラグを受信すると、訓練を開始するように構成される。機械学習モデル3070は、タイヤトレッド摩耗値を推定し、その値をパーセンテージとしてスイッチ3080に出力するように構成されており、例えば、新しいタイヤについては100%、中間タイヤ摩耗については75%及び50%、摩耗タイヤについては25%である。これらのパーセンテージは単に例として提供され、任意のパーセンテージを使用し得る。機械学習モデル3070は、幾何学モデル3060のような一定速度制約、又は遵守すべき他の条件又は制限を有さない。
【0064】
推定タイヤトレッド摩耗値は、スイッチ3080に出力される。スイッチ3080は、推定タイヤトレッド値が生成される場所を制御するように構成された論理スイッチであってもよく、例えば、幾何学モデル3060は、第1の装備タイヤの全寿命にわたって推定タイヤトレッド値をエンドユーザに提供する一方で、機械学習モデル3070は、第1のタイヤ変更後に推定タイヤトレッド値をエンドユーザに提供し得る。スイッチ3080はまた、推定タイヤトレッド値をディスプレイ3030に送信するように構成される。ディスプレイ3030は、車載車両ディスプレイ、モバイル装置、タブレット、PDA、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又は任意の適切な装置とし得る。車載車両ディスプレイの例としては、計器クラスタディスプレイ、衛星ナビゲーションディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
図4は、車両通信システムの例示のディスプレイ4000を示す図である。
図4に示すように、ディスプレイ4000は、車両4010のグラフィック表示を含む。ディスプレイ4000はまた、車両の各タイヤのグラフィック表現を含む。例えば、タイヤ4020は左前方位置に示され、タイヤ4030は左後方位置に示され、タイヤ4040は右前方位置に示され、タイヤ4050は右後方位置に示される。各タイヤは、タイヤに関する特定のデータを含んでもよく、例えば、タイヤ圧力が数値として示されてもよく、推定タイヤ摩耗値が色によって示されてもよく、又はそれらの組み合わせによって示されてもよい。タイヤ4020は、カラーでタイヤの摩耗状態を示すために点描で示される。例えば、タイヤ4020を黄色又は任意の適切な色で表示して、タイヤの摩耗状態が「中間」であることを示すことができる。タイヤ4040は、カラーでタイヤの摩耗状態を示すために陰影で示されている。例えば、タイヤ4040を赤色又は任意の適切な色で表示して、タイヤの摩耗状態が「高」であることを示すことができる。タイヤ4030及び4050を緑色又は任意の適切な色で表示して、これらのタイヤの摩耗状態が「低」であることを示すことができる。本明細書に記載のカラースキームは、単に例として示したものである。任意のカラースキーム及び様々な程度のタイヤ摩耗を使用し得る。
【0066】
図5は、本開示の実施形態に従ってタイヤトレッド摩耗を推定するように構成された車両通信システムで使用するための方法5000の一例のフロー図である。
図5に示す方法5000は、
図2及び
図3の車両通信システムで使用される幾何学モデル方法の一例である。この例では、車両は、新しい組のタイヤ、すなわち、第1の装備タイヤを装着している。車両が動作状態に設定されると、制御モジュールは、幾何学モデルに較正開始フラグを送信する。幾何学モデルは較正フラグを受信し、新しい各タイヤのDRRの計算を開始する。
【0067】
新しい各タイヤのDRRを計算するために、幾何学モデルは、動作5010で車両速度を測定する。動作5020において、幾何学モデルは、車両速度が一定であるかどうかを決定する。車両速度が一定でない場合、幾何学モデルは、動作5010において車両速度の測定を継続する。動作5020において車両速度が一定である場合、幾何学モデルは、動作5030において各タイヤのDRRを計算する。幾何学モデルは、以下の式(1)を用いて各タイヤについて一定速度でのDRRを計算する。
【数1】
【0068】
動作5030において幾何学モデルが各タイヤのDRRの計算を完了すると、幾何学モデルは機械学習モデルに学習フラグを送信する。この時点以降、幾何学モデルは、車両速度が一定であると決定されるたびに、各タイヤについてDRRを計算する。動作5040で、幾何学モデルは、計算された各タイヤのDRRを基準DRRと比較し、動作5050で各タイヤのタイヤトレッド摩耗値を推定する。次いで、各タイヤのタイヤトレッド摩耗値が、動作5060で機械学習モデル及びユーザに出力される。各タイヤの推定トレッド摩耗値は、上述したようにパーセンテージとして出力し得る。
【0069】
図6は、本開示の実施形態に従ってタイヤトレッド摩耗を推定するように構成された車両通信システムで使用するための方法6000の一例のフロー図である。
図6に示す方法6000は、
図2及び
図3の車両通信システムで使用される機械学習モデル方法の一例である。
【0070】
幾何学モデルから学習フラグを受信することに応答して、機械学習モデルは、動作6010で車両センサからデータの収集を開始する。機械学習モデルは、車両センサから収集されたデータ及び幾何学モデルからの出力を使用して、例えば、教師あり学習を使用して、データインスタンスをタイヤトレッド状態でラベル付けする。機械学習モデルは、幾何学モデルからの出力と共に、ハンドル角、車輪速度、前後加速度、ブレーキ圧、及び総距離のようなセンサデータを収集して利用し、動作6020で各タイヤのトレッド摩耗を分類する。いくつかの実施形態において、機械学習モデルはGPS速度を使用しなくてもよいが、他の信号をよりよく使用することにより、システム全体に付加的なコンテキストを生成し、推定トレッド摩耗値の最終精度を高めることができる。長期的には、より多くのセンサデータを使用することで、出力と精度が向上し得る。機械学習モデルは継続的にデータを収集する一方で、幾何学モデルは一定の車両速度でデータを収集することを考慮して、ラベルの補間を行ってもよい。機械学習モデルは、ラジアンカーネルを用いたマルチクラスSVMを使用して、タイヤトレッド摩耗値をグループに、例えば、100%、75%、50%、又は25%に決定し得る。
【0071】
動作6030では、機械学習モデルはデータセットを訓練する。訓練データセットは、データセット全体の75%を含んでもよく、このデータセットの25%をテスト用に設定し得る。動作6030でデータセットの訓練が完了すると、機械学習モデルは、動作6040でデータの交差検証を実行する。いくつかの実施形態において、交差検証は、10分割交差検証であり得る。分類器が訓練されると、推定タイヤトレッド値を決定するために、最新データに関して機械学習モデルから推論を引き出すことができ、機械学習モデルは動作6050で更新される。
【0072】
制御モジュールは、初期始動中及び第1のタイヤ変更が発生したときにシステムをトリガする。例えば、車両とタイヤの両方が新しいときにシステムは使用されているので、制御モジュールは、車両がディーラーにおいてドライバに配達されるとすぐに、較正開始フラグを送信する。この例では、プロシージャは完全に自動化されており、ドライバの観点からはシームレスである。
【0073】
システムが第1のタイヤ変更フラグをトリガするために、制御モジュールは、各タイヤについて出力された推定タイヤトレッド摩耗を連続的に監視し得る。出力において絶対値が50%以上の不連続性が決定された場合、制御モジュールは、タイヤが変更されたと決定し、第1のタイヤ変更フラグを送信する。
【0074】
いくつかの実施形態において、タイヤ回転が実行されると、システムは、新しいタイヤ位置を示す警告を生成してもよく、タイヤ推定は中断することなく継続してもよい。システムの性質により、リアルタイム計算は、車上、クラウド環境、又はそれらの組み合わせで実行し得る。いくつかの実施形態において、全ての処理が実行される車上計算をマルチメディアスクリーンに表示し得る。処理の一部又は全部がクラウド内で実行されるクラウドベースの例では、出力は、車両又はスマートフォン等のモバイル装置のマルチメディアスクリーンに表示されてもよい。いくつかの実施形態において、幾何学モデルを車上で実行し、機械学習モデルをクラウドで実行し得る。いくつかの実施形態において、タイヤ圧力値は、幾何学モデル、機械学習モデル、又はそれらの組み合わせに対する推定タイヤトレッド摩耗計算の決定に追加されてもよい。
【0075】
本明細書に記載されるシステム及び方法のいくつかの利点は、以下を含む。例えば、システム及び方法は、追加のセンサを必要とせずに、精度を向上させたハイブリッド機械学習アプローチを採用することが可能であってもよい。さらに、本明細書に記載のシステム及び方法は、最終ユーザの観点からは、システムと対話する必要も、手動でタイヤトレッドを測定する必要もなくシームレスである。較正フェーズが実行された後で、タイヤサイズが変更されない限り、システムは非常に高い精度で動作する。システムは、最初に一定速度でタイヤトレッド推定を実行し、最初のタイヤ変更が実行されると、各タイヤのタイヤトレッド値を車両速度制約なしに連続的に決定する。幾何学モデルのテストは91%の近似精度を示した。機械学習モデルが訓練されると、テストは約95%の精度を示した。
【0076】
上記の態様、例示及び実装は、本開示の理解を容易にするために記載されており、限定するものではない。逆に、本開示は、添付の特許請求の範囲内に含まれる種々の修正及び均等な構成を包含し、その範囲は、このような修正及び均等な構成の全てを包含するように、法律の下で許容される最も広い解釈を与えられるべきである。