(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】電界発光表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20220701BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220701BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220701BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20220701BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220701BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20220701BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 624B
G09G3/20 680G
G09G3/20 611H
G09G3/20 642A
G09G3/20 623B
G09G3/20 623Y
G09G3/20 622C
G09G3/20 622D
G09G3/20 612A
H05B33/14 A
H05B33/14 Z
H01L27/32
H05B33/02
G09F9/30 338
G09F9/30 365
(21)【出願番号】P 2021100851
(22)【出願日】2021-06-17
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】10-2020-0075693
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, ボムジン
(72)【発明者】
【氏名】カク, ボンチュン
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522506(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0051472(US,A1)
【文献】特開2012-098707(JP,A)
【文献】国際公開第2006/103802(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20-3/38
H01L 51/50
H05B 33/14
H01L 27/32
H05B 33/02
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のピクセル、第1方向に、隣接したピクセルに共通して連結されたゲートライン、前記第1方向と交差する第2方向に、隣接したピクセルに共通して連結されたデータライン
、全ての
前記ピクセルに共通して連結された第1電源ライン、第2電源ライン、及び初期化電圧供給ラインを含むピクセルアレイと、
前記ピクセルアレイに連結されたパネル駆動回路とを含み、
前記ピクセルのそれぞれは、
第1ノードに連結され
たゲート電極と、
前記第1電源ラインを介して高電位駆動電源に連結され
たソース電極と、
第2ノードに連結された
ドレイン電極と、を有する駆動素子と、
前記ゲートラインに連結され
たゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極を有し、ソース電極及びドレイン電極のいずれか一つが前記第1ノードに連結され、残りの一つが前記第2ノードに連結されたスイッチング素子と、
前記データラインと前記第1ノードとの間に連結された第1キャパシタと、
前記初期化電圧供給ラインと前記第1ノードとの間に連結された第2キャパシタと、
前記第2ノードに連結され
たアノード電極と、
前記第2電源ラインを介して低電位駆動電源に連結された
カソード電極と、を有する発光素子とを含
み、
前記高電位駆動電源は第1電圧レベルで一定であり、
前記低電位駆動電源は第2電圧レベルと第3電圧レベルとの間でスイングし、
前記第2電圧レベルは前記第1電圧レベルより低く前記第3電圧レベルより高い、
電界発光表示装置。
【請求項2】
前記駆動素子と前記スイッチング素子のうちの1つはPチャネルトランジスタから具現される、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項3】
前記第1キャパシタの容量より前記第2キャパシタの容量が大きい、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項4】
1フレーム期間は、初期化期間、前記初期化期間に引き続くプログラミング期間、及び前記プログラミング期間に引き続く発光期間を含み、
前記初期化期間及び前記プログラミング期間で前記複数のピクセルの発光素子が前記第2電圧レベルの低電位駆動電源に基づいて同時にターンオフされ、
前記発光期間で前記複数のピクセルの発光素子が前記第3電圧レベルの低電位駆動電源に基づいて同時にターンオンされる、請求項
1に記載の電界発光表示装置。
【請求項5】
前記パネル駆動回路に属する電源回路は、
前記1フレーム期間の間に前記第1電圧レベルの高電位駆動電源を前記第1電源ラインに供給し、
前記初期化期間及び前記プログラミング期間で前記第2電圧レベルの低電位駆動電源を前記第2電源ラインに供給し、
前記発光期間で前記第3電圧レベルの低電位駆動電源を前記第2電源ラインに供給する、請求項
4に記載の電界発光表示装置。
【請求項6】
前記パネル駆動回路に属するデータドライバーは、
前記初期化期間及び前記発光期間で基準電圧を前記データラインに供給し、
前記プログラミング期間で前記基準電圧と違うデータ電圧を前記データラインに供給する、請求項
4に記載の電界発光表示装置。
【請求項7】
前記パネル駆動回路に属するゲートドライバーは、
前記初期化期間内でロー電圧レベルとハイ電圧レベルとの間でトグルされる第1初期化電圧を生成して第1初期化電圧供給ラインに供給し、
前記プログラミング期間及び前記発光期間で前記ロー電圧レベルの第2初期化電圧を生成して第2初期化電圧供給ラインに供給する、請求項
6に記載の電界発光表示装置。
【請求項8】
前記パネル駆動回路に属するゲートドライバーは、
オフレベルとオンレベルとの間でスイングするパルスタイプスキャン信号を生成し、
前記プログラミング期間内で前記オンレベルのパルスタイプスキャン信号を前記ゲートラインに供給し、
前記初期化期間及び前記発光期間で前記オフレベルのパルスタイプスキャン信号を前記ゲートラインに供給する、請求項
7に記載の電界発光表示装置。
【請求項9】
前記パルスタイプスキャン信号の供給タイミングは前記データ電圧の供給タイミングに対応する、請求項
8に記載の電界発光表示装置。
【請求項10】
前記初期化期間内で前記トグルされる第1初期化電圧に基づいて前記駆動素子がターンオン条件を満たす、請求項
9に記載の電界発光表示装置。
【請求項11】
前記プログラミング期間内で前記駆動素子及び前記スイッチング素子のターンオンによって“EVDD-Vth”が前記第1ノードに貯蔵され、前記“EVDD”は
、前記高電位駆動電源
の前記第1電圧レベルの電圧であり、前記“Vth”は前記駆動素子の閾値電圧である、請求項
10に記載の電界発光表示装置。
【請求項12】
前記発光期間内で前記発光素子に流れる発光電流Ioledは前記駆動素子の閾値電圧に無関係な下記の数1によって決定され、
[数1]
Ioled=k[α(Vref-Vdata)]
2
前記数1で、前記kは前記駆動素子の電子移動度、寄生容量、及びチャネル容量によって決定される定数値であり、前記αはC1/(C1+C2)であり、前記C1は前記第1キャパシタの容量であり、前記C2は前記第2キャパシタの容量であり、前記Vrefは前記基準電圧であり、前記Vdataは前記データ電圧である、請求項
11に記載の電界発光表示装置。
【請求項13】
縦軸が電流を示し横軸が電圧を示す2次元グラフ上で、前記発光素子に流れる発光電流は、前記駆動素子の動作を示す第1電流-電圧曲線と、前記発光素子の動作を示す第2電流-電圧曲線とが互いに交差する交差点によって決定され、
温度及び劣化によって前記発光素子の閾値電圧が変わっても前記第1電流-電圧曲線は変わらずに既設定の形態を維持する、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【請求項14】
前記駆動素子の前記ゲート電極と、前記第1キャパシタの一の電極と、前記スイッチング素子の前記ソース電極及び前記ドレイン電極のいずれか一つと、前記第2キャパシタの一の電極の各々は、前記第1ノードに直接接続している、請求項1に記載の電界発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電界発光表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電界発光表示装置は、発光層の材料によって、無機発光表示装置と電界発光表示装置とに区分される。電界発光表示装置の各ピクセルは自ら発光する発光素子を含み、映像データの階調によるデータ電圧で発光素子の発光量を制御して輝度を調節する。各ピクセル回路は駆動素子を含んでもよい。
【0003】
工程偏差及び/又は駆動時間経過によって駆動素子の閾値電圧がピクセルごとに異なってもよい。同様に、発光素子の閾値電圧もピクセルごとに異なってもよい。ピクセル間の駆動特性偏差が生じれば、同じデータ電圧が印加されてもピクセルで発光に寄与する発光電流が変わる。このような発光電流の偏差は輝度不均一をもたらして画像品位を落とす。
【0004】
電界発光表示装置で、ピクセル間の駆動特性偏差を補償するための多様な試みが行われているが、ピクセル構成が複雑であり、補償程度が十分ではないため、輝度均一性を確保するのに限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本明細書に開示した実施例は前述した問題点を解決するためのものであり、簡素なピクセル構成でも駆動素子と発光素子の特性偏差による発光電流の変化を最小化するようにした電界発光表示装置を提供する。
【0006】
また、本明細書に開示した実施例は簡素な駆動方法でMPRT特性を向上させるようにした電界発光表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による電界発光表示装置は、多数のピクセル、第1方向に隣接したピクセルに共通して連結された一ゲートライン、前記第1方向と交差する第2方向に隣接したピクセルに共通して連結された一データライン、前記全てのピクセルに共通して連結された第1電源ライン、第2電源ライン、及び初期化電圧供給ラインを含むピクセルアレイと、前記ピクセルアレイに連結されたパネル駆動回路とを含む。
【0008】
前記ピクセルのそれぞれは、ゲート電極が第1ノードに連結され、ソース電極が前記第1電源ラインを介して高電位駆動電源に連結され、ドレイン電極が第2ノードに連結された駆動素子と、ゲート電極が前記ゲートラインに連結され、ソース電極及びドレイン電極のいずれか一つが前記第1ノードに連結され、残りの一つが前記第2ノードに連結されたスイッチング素子と、前記データラインと前記第1ノードとの間に連結された第1キャパシタと、前記初期化電圧供給ラインと前記第1ノードとの間に連結された第2キャパシタと、アノード電極が前記第2ノードに連結され、カソード電極が前記第2電源ラインを介して低電位駆動電源に連結された発光素子とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明は次のような効果を有する。
【0010】
本発明はPMOS型トランジスタを含む簡素なピクセル構成を用いて駆動素子の閾値電圧変化に関係なく発光電流をセットすることができるので、駆動の安全性及び製品の信頼性を高めることができる。
【0011】
本発明はPMOS型トランジスタを含む簡素なピクセル構成を用いて発光素子の特性(温度、劣化など)の変化による発光電流の歪みを最小化することができるので、駆動の安全性及び製品の信頼性を高めることができる。
【0012】
本発明はPMOS型トランジスタを含む簡素なピクセル構成を用いてVHR(Voltage Holding Ratio)特性を向上させるので、駆動の安全性及び製品の信頼性を高めることができる。
【0013】
本発明はPMOS型トランジスタを含む簡素なピクセル構成を用いてピクセルアレイで各ピクセルが占める面積を減らすことができるので、PPI(Pixel Per Inch)を増加させることができる。
【0014】
本発明はテンポラリ発光方式を採用し、従来のBDI方式に比べて簡素な駆動方法でMPRT特性を向上させることができる。
【0015】
本発明による効果は以上で例示した内容によって制限されず、より多様な効果が本発明内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例による電界発光表示装置を示すブロック図である。
【
図2】
図1の表示パネルに形成されたピクセルアレイを示す図である。
【
図3】本発明の実施例によるテンポラリ発光方式の駆動タイミングを示す図である。
【
図4】本発明の実施例によるテンポラリ発光方式の駆動タイミングを示す図である。
【
図5】テンポラリ発光方式で駆動される一ピクセルの等価回路を示す図である。
【
図6】1番目ゲートラインとm番目データラインに連結された一ピクセルの駆動タイミングを示す図である。
【
図7a】
図6の第1初期化期間で一ピクセルの動作を示す図である。
【
図7b】
図6の第2初期化期間で一ピクセルの動作を示す図である。
【
図7c】
図6のプログラミング期間で一ピクセルの動作を示す図である。
【
図7d】
図6の発光期間で一ピクセルの動作を示す図である。
【
図8】発光素子の特性変化による発光電流の変化を従来技術と比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に基づいて好適な実施例を詳細に説明する。明細書全般にわたって同じ参照番号は実質的に同じ構成要素を意味する。以下の説明で、本発明の内容に関連した公知の機能又は構成についての具体的な説明が不必要に内容の理解をあいまいにするか妨げることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0018】
図1は本発明の実施例による電界発光表示装置を示すブロック図である。そして、
図2は
図1の表示パネルに形成されたピクセルアレイを示す図である。
【0019】
図1及び
図2を参照すると、本発明の実施例による電界発光表示装置は、表示パネル10、タイミングコントローラー11、データドライバー12、ゲートドライバー13、及び電源回路20を備えてもよい。
図1で、タイミングコントローラー11、データドライバー12及び電源回路20は全部又は一部がドライブ集積回路内に一体化してもよい。
図1で、データドライバー12、ゲートドライバー13及び電源回路20はパネル駆動回路を構成してもよい。パネル駆動回路は多数の信号ライン14、15、IL、EVL1、EVL2を介して表示パネル10のピクセルアレイに連結されてもよい。
【0020】
図1及び
図2を参照すると、表示パネル10で、入力映像が表示される画面には列(Column)方向(又は垂直方向)に延びたデータライン14と行(Row)方向(又は水平方向)に延びたゲートライン15が交差し、交差領域ごとにピクセルPIXがマトリックス状に配置されてピクセルアレイを形成する。各データライン14は列方向に隣接したピクセルPIXに共通して連結され、各ゲートライン15は行方向に隣接したピクセルPIXに共通して連結される。
図2のように、データライン141~14mの間は電気的に互いに分離され、ゲートライン151~15nの間も電気的に互いに分離されている。一方、ピクセルアレイは、表示パネル10の全てのピクセルPIXに共通して連結された初期化電圧供給ラインIL、第1電源ラインEVL1、及び第2電源ラインEVL2をさらに含んでもよい。
【0021】
ピクセルアレイに含まれたピクセルPIXは複数個ずつグルーピングされて多様なカラーを表現してもよい。カラー表現のためのピクセルグループを単位ピクセルに定義するとき、1単位ピクセルはR(赤色)、G(緑色)及びB(青色)ピクセルを含んでもよく、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)及びW(白色)ピクセルを含んでもよい。
【0022】
ピクセルPIXのそれぞれは、発光素子と、ゲート-ソース間の電圧によって発光電流を生成して発光素子を駆動させる駆動素子とを含む。発光素子は、アノード電極、カソード電極及びこれらの電極の間に形成された有機化合物層を含むんでもよい。有機化合物層は、正孔注入層(Hole Injection layer、HIL)、正孔輸送層(Hole transport layer、HTL)、発光層(Emission layer、EML)、電子輸送層(Electron transport layer、ETL)、電子注入層(Electron Injection layer、EIL)などを含んでもよいが、これらに限定されない。発光素子にピクセル電流が流れるとき、正孔輸送層(HTL)を通過した正孔と電子輸送層(ETL)を通過した電子が発光層(EML)に移動して励起子が形成され、その結果、発光層(EML)が可視光を放出してもよいる。一方、有機化合物層は無機化合物層に代替してもよい。
【0023】
駆動素子は有機基板(又はプラスチック基板)に基づく低温ポリシリコン(Low-Temperature-Poly-Silicon、LTPS)又は酸化物(Oxide)薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)から具現されてもよいが、これに限定されない。駆動素子はシリコンウエハー(Si-wafer)に基づくCMOSトランジスタから具現されてもよい。駆動素子は電気的特性(例えば、閾値電圧、電子移動度など)が全てのピクセルで均一ではなければならないが、工程偏差及び素子特性偏差によってピクセルPIXの間に違いがあってもよい。駆動素子の電気的特性はディスプレイ駆動時間の経過によって変わることもあり、劣化程度がピクセルPIXの間に違いがあり得る。このような駆動素子の電気的特性偏差を補償するために、電界発光表示装置に内部補償方法を適用することができる。内部補償方法は、ピクセル回路内に含まれた内部補償部により、駆動素子の電気的特性変化が発光電流に影響を及ぼすことができないように補償するものである。内部補償部は、薄膜トランジスタ(又はCMOSトランジスタ)から具現される複数のスイッチング素子と少なくとも一つ以上のキャパシタとを含んでもよい。
【0024】
ピクセル回路に含まれた一部の素子(特に、ソース又はドレインが駆動素子のゲートに連結されたスイッチング素子)を酸化物トランジスタから具現する試みが増えている。酸化物トランジスタは、半導体物質としてポリシリコンの代わりに、酸化物(Oxide)、すなわちIn(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)、O(酸素)が結合されたIGZOという酸化物が使われる。酸化物トランジスタは、非晶質シリコントランジスタに比べて電子移動度が10倍以上高く、LTPSトランジスタに比べて製造コストがずっと低い利点がある。また、酸化物トランジスタはオフ電流が低いから、トランジスタのオフ期間が相対的に長い低速駆動の際に駆動安全性及び信頼性が高い利点もある。よって、高解像度及び低電力駆動が必要であるか低温ポリシリコン工程で画面の大きさに対応することができないOLED TVに酸化物トランジスタを採用されてもよい。
【0025】
本発明の実施例によれば、駆動安全性とともに補償の信頼性を高めるように、各ピクセルPIXのピクセル回路に含まれた駆動素子及びスイッチング素子はPチャネルトランジスタ(PMOS)から具現されてもよい。トランジスタはゲート(gate)、ソース(source)及びドレイン(drain)を含む3電極素子である。ソースはキャリア(carrier)をトランジスタに供給する電極である。トランジスタ内でキャリアはソースから流れ始める。ドレインはトランジスタからキャリアが外部に出る電極である。トランジスタでキャリアはソースからドレインに流れる。Pチャネルトランジスタの場合、キャリアが正孔(hole)であるから、ソースからドレインに正孔が流れるようにソース電圧がドレイン電圧より高い。Pチャネルトランジスタで正孔がソースからドレイン側に流れるから、電流がソースからドレイン側に流れる。一方、トランジスタのソースとドレインは固定されたものではないことに気を付けなければならない。例えば、ソースとドレインは印加電圧によって変更されてもよい。よって、トランジスタのソースとドレインによって本発明が制限されない。
【0026】
図1及び
図2を参照すると、タイミングコントローラー11は、ホストシステム(図示せず)から伝達されるデジタル映像データD-DATAをデータドライバー12に供給する。タイミングコントローラー11は、ホストシステムから垂直同期信号Vsync、水平同期信号Hsync、データイネーブル信号DE、ドットクロックDCLKなどのタイミング信号を受信してパネル駆動回路の動作タイミングを制御するためのタイミング制御信号を生成する。タイミング制御信号は、ゲートドライバー13の動作タイミングを制御するためのゲートタイミング制御信号GDCと、データドライバー12の動作タイミングを制御するためのデータタイミング制御信号DDCと、電源回路20の動作タイミングを制御するための電源タイミング制御信号PDCとを含んでもよい。
【0027】
タイミングコントローラー11はテンポラリ(Temporary)発光方式で具現することができるようにパネル駆動回路の動作を制御してもよい。このために、タイミングコントローラー11は、1フレーム期間を、初期化期間、前記初期化期間に引き続くプログラミング期間、及び前記プログラミング期間に引き続く発光期間に時分割してもよい。タイミングコントローラー11は、初期化期間内で全てのピクセルPIXを同時に初期化することができるようにパネル駆動回路の動作を制御してもよい。タイミングコントローラー11は、プログラミング期間内でピクセルPIXをローライン順次方式に従ってプログラミングすることができるようにパネル駆動回路の動作を制御してもよい。タイミングコントローラー11は、発光期間内で全てのピクセルPIXが同時に発光することができるようにパネル駆動回路の動作を制御してもよい。
【0028】
図1及び
図2を参照すると、データドライバー12はデータライン14を介してピクセルPIXに連結される。データドライバー12はピクセルPIXの駆動に必要なアナログ電圧DATA1~DATAmを生成してデータライン141~14mに供給する。アナログ電圧DATA1~DATAmのそれぞれはデータ電圧と基準電圧とを含んでもよい。
【0029】
データドライバー12は、タイミングコントローラー11から入力されるデジタル映像データD-DATAをデータタイミング制御信号DDCに基づいてサンプリング及びラッチして並列データに変え、デジタル/アナログコンバータ(以下、DAC)でガンマ補償電圧によってデジタル映像データD-DATAをアナログデータ電圧に変換し、そのデータ電圧をデータライン14を介してピクセルPIXに供給する。データ電圧はピクセルPIXで表現される映像階調に対応するように互いに異なる電圧レベルのアナログ電圧値であってもよい。一方、データドライバー12は、データタイミング制御信号DDCに基づいて基準電圧をさらに生成し、データライン14を介してピクセルPIXに供給してもよい。基準電圧は予め設定された固定電圧レベルを有してもよい。
【0030】
データドライバー12は、データタイミング制御信号DDCに応じてプログラミング期間でデータ電圧を出力し、初期化期間及び発光期間で基準電圧を出力してもよい。データドライバー12は複数のソースドライバー集積回路から構成されてもよい。ソースドライバー集積回路は、シフトレジスター(shift register)、ラッチ、レベルシフター、DAC及び出力バッファーを含んでもよい。
【0031】
図1及び
図2を参照すると、ゲートドライバー13はゲートライン15を介してピクセルPIXに連結されるとともに初期化電圧ラインILを介してピクセルPIXに連結されてもよい。
【0032】
ゲートドライバー13は、ゲートタイミング制御信号GDCに基づいてスキャン信号SC1~SCnを生成してゲートライン151~15nに供給する。スキャン信号SC1~SCnのそれぞれはゲートオン電圧(Gate On Voltage)とゲートオフ電圧(Gate Off Voltage)との間でスイング(swing)するパルスタイプとして生成されてもよい。ゲートオン電圧はトランジスタの閾値電圧より高い電圧に設定され、ゲートオフ電圧はトランジスタの閾値電圧より低い電圧に設定される。トランジスタはゲートオン電圧に応じてターンオン(turn-on)される反面、ゲートオフ電圧に応じてターンオフ(turn-off)される。Pチャネルトランジスタの場合、ゲートオン電圧はゲートロー電圧(VGL)、ゲートオフ電圧はゲートハイ電圧(VGH)であってもよい。以下では、ゲートロー電圧(VGL)をオンレベルと表現し、ゲートハイ電圧(VGH)をオフレベルと表現する。
ゲートドライバー13は、ゲートタイミング制御信号GDCに応じて、オフレベルとオンレベルとの間でスイングするパルスタイプスキャン信号SC1~SCnを生成し、前記パルスタイプスキャン信号SC1~SCnの出力タイミングをデータ電圧の供給タイミングに対応させてもよい。言い換えれば、ゲートドライバー13は、プログラミング期間内でオンレベルのスキャン信号SC1~SCnを順次ゲートライン151~15nに供給し、初期化期間及び発光期間でオフレベルのスキャン信号SC1~SCnをゲートライン151~15nに供給してもよい。 ゲートドライバー13は、ゲートタイミング制御信号GDCに応じて初期化期間内でロー電圧レベルとハイ電圧レベルとの間でトグルされる第1初期化電圧Vinitを生成して初期化電圧供給ラインILに供給する。そして、ゲートドライバー13は、プログラミング期間及び発光期間でロー電圧レベルの第2初期化電圧Vinitを生成して初期化電圧供給ラインILに供給する。初期化電圧供給ラインILは全てのピクセルPIXに共通して連結されているから、初期化期間内でハイ電圧レベルの第1初期化電圧VinitによってピクセルPIXの駆動素子が同時にターンオンされてもよい。
【0033】
ゲートドライバー13は、ゲートシフトレジスター、ゲートシフトレジスターの出力信号をピクセルのトランジスタ駆動に適したスイング幅に変換するためのレベルシフター及び出力バッファーなどをそれぞれ含む多数のゲートドライブ集積回路から構成されてもよい。もしくは、ゲートドライバー13はGIP(Gate driver In Panel)方式で表示パネル10の基板上に直接形成されてもよい。GIP方式の場合、レベルシフターはPCB(Printed Circuit Board)上に実装され、ゲートシフトレジスターは表示パネル10の非表示領域であるベゼル領域に形成されてもよい。ゲートシフトレジスターは、カスケード(Cascade)方式で互いに連結された多数のスキャン出力ステージを含む。スキャン出力ステージはゲートライン151~15nに独立的に連結され、ゲートライン151~15nにスキャン信号SC1~SCnを出力する。ゲートシフトレジスターは一つの初期化出力ステージをさらに含んでもよい。初期化出力ステージは初期化電圧供給ラインILに連結され、初期化電圧供給ラインILに第1または第2の初期化電圧Vinitを出力してもよい。
【0034】
図1及び
図2を参照すると、電源回路20は第1電源ラインEVL1を介してピクセルPIXに連結されるとともに、第2電源ラインEVL2を介してピクセルPIXに連結されてもよい。
【0035】
電源回路20は、電源タイミング制御信号PDCに応じて入力電源を加工して固定された第1電圧レベルの高電位駆動電源EVDDを生成し、この高電位駆動電源EVDDを第1電源ラインEVL1を介してピクセルPIXに供給されてもよい。また、電源回路20は電源タイミング制御信号PDCに応じて入力電源を加工して第2電圧レベルと第3電圧レベルとの間でスイングする低電位駆動電源EVSSを生成し、この低電位駆動電源EVSSを第2電源ラインEVL2を介してピクセルPIXに供給してもよい。ここで、前記第2電圧レベルは前記第1電圧レベルより低く、前記第3電圧レベルより高くてもよい。
【0036】
電源回路20は電源タイミング制御信号PDCに応じて初期化期間及びプログラミング期間で低電位駆動電源EVSSを第2電圧レベルに高めることにより、初期化期間及びプログラミング期間に全てのピクセルPIXの不必要な発光を防止してもよい。
【0037】
ホストシステムは、モバイル機器、ウェアラブル機器及び仮想/拡張現実機器などにおいてAP(Application Processor)になってもよい。また、ホストシステムは、テレビシステム、セットトップボックス、ナビゲーションシステム、パソコン、及びホームシアターシステムなどのメインボードであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0038】
図3及び
図4は本発明の実施例によるテンポラリ発光方式の駆動タイミングを示す図である。
【0039】
図3及び
図4を参照すると、本発明の実施例によるテンポラリ発光方式はホールド(hold)タイプ装置である電界発光表示装置でMPRT特性を向上させるために提案された方式である。テンポラリ発光方式は従来のブラックデータ挿入(Black Data Insertion、以下BDI)方式に比べて簡素な駆動方法でMPRT特性を向上させることができる利点がある。BDI方式は、同じフレーム内で元の映像に引き続きブラック映像を連続して表示するために別途のブラック電圧を印加しなければならないため、諸般費用が増加し、駆動スキム(skim)が複雑になる。これに対し、テンポラリ発光方式は別途のブラック電圧を印加する必要がないから、BDI方式の欠点を解消することができる。また、テンポラリ発光方式は一フレーム内に発光期間を相対的に長く設定することができるから、低費用で高輝度を達成することができる利点もある。
【0040】
テンポラリ発光方式は、初期化期間X内で全てのピクセルを第1初期化電圧Vinitに同時に初期化し、プログラミング期間Y内でローライン単位でピクセルにデータ電圧Vdataを書き込んだ後、発光期間Z内で全てのピクセルを同時に発光させる。このために、高電位駆動電源EVDDが第1電圧レベルLV1に固定されるように設定されるが、低電位駆動電源EVSSは第2電圧レベルLV2と第3電圧レベルLV3との間でスイングするように設定される。低電位駆動電源EVSSは初期化期間X及びプログラミング期間Yで第2電圧レベルLV2で印加され、発光期間Zで第2電圧レベルLV2より低い第3電圧レベルLV3で印加されてもよい。
【0041】
一方、初期化期間Xは、垂直同期信号Vsyncのパルスが供給される第1初期化期間X1と、ハイ電圧レベルHIGHの第1初期化電圧Vinitが供給される第2初期化期間X2とを含んでもよい。低電位駆動電源EVSSは、
図4に示すように、第2初期化期間X2から第2電圧レベルLV2で印加されてもよいが、それに限定されず、第1初期化期間X1から第2電圧レベルLV2で印加されてもよい。
【0042】
プログラミング期間Yで、データ電圧Vdataがローライン単位ずつ順次データラインに供給される。そして、前記データ電圧Vdataがローライン単位でピクセルに書き込まれることができるように、前記データ電圧Vdataの書込みタイミングに同期してオンレベルONのスキャン信号SC1~SCnがゲートラインに供給されてもよい。
【0043】
初期化期間X及び発光期間Zでデータ電圧Vdataと違う基準電圧Vrefがデータラインに供給される。データ電圧Vdataと基準電圧Vrefは発光期間Zで発光電流を決定するファクター(factor)になる。
【0044】
発光電流は初期化期間X及びプログラミング期間Yで“0”になり、全てのピクセルの発光素子が発光しない。初期化期間X及びプログラミング期間Yの間にピクセルで具現される表示映像はブラックになり、このようなブラック映像BLKによってMPRTが改善されることができる。
【0045】
一方、発光電流は発光期間Zでデータ電圧Vdataと基準電圧Vrefとの間の差の二乗に比例する明るさに設定され、この発光電流によって全てのピクセルの発光素子が発光する。発光期間Zの間にピクセルで具現される表示映像は階調明るさEML1又はEML2を示し、前記階調明るさはピクセル単位で変わることがある。なぜなら、データ電圧Vdataがピクセル別に違うようにプログラミングされるからである。
【0046】
図5はテンポラリ発光方式で駆動される一ピクセルの等価回路を示す図である。
【0047】
図5を参照すると、n番目ゲートライン15nとm番目データライン14mに連結された一ピクセルのピクセル回路は、駆動素子DT、発光素子EL、及び内部補償部を含んでもよい。
【0048】
駆動素子DTは発光素子ELを駆動することができる電流を生成する。駆動素子DTのゲート電極が第1ノードN1に連結され、ソース電極が第1電源ラインEVL1を介して高電位駆動電源EVDDに連結され、ドレイン電極が第2ノードN2に連結される。発光素子の特性変化による発光電流の変化が最小化するように、駆動素子DTはPチャネルトランジスタから具現されてもよい。駆動素子DTをPチャネルトランジスタから具現すれば、発光素子の特性変化に関係なく駆動素子DTのソース電圧が高電位駆動電源EVDDに固定されるから、輝度均一性を確保し易くなる。
【0049】
発光素子ELは、第2ノードN2に連結されたアノード電極と、第2電源ラインEVL2を介して低電位駆動電源EVSSに連結されたカソード電極と、両電極の間に位置する発光層とを含む。発光素子ELは有機発光層を含む有機発光ダイオードから具現されるか又は無機発光層を含む無機発光ダイオードから具現されてもよい。
【0050】
内部補償部は駆動素子DTの閾値電圧変化を補償するためのものであり、1個のスイッチング素子STと2個のキャパシタCx1、Cx2とから構成されてもよい。内部補償部は駆動素子DTの閾値電圧をサンプリングして駆動素子DTのゲート電圧Vgに反映する。内部補償部は駆動素子DTの閾値電圧変化にもかかわらず発光電流がそれに影響されないように補償する役割を果たす。これにより、駆動素子DTの閾値電圧変化に対する補償動作がピクセルの内部でなされる。このような内部補償動作は駆動素子DTの電気的特性変化を補償するためにデジタル映像データを補正する外部補償動作とは区分されなければならない。
【0051】
スイッチング素子STは駆動素子DTのゲート電極とドレイン電極を電気的に連結(ダイオード連結)することにより、駆動素子DTの閾値電圧をサンプリングするためのものである。スイッチング素子STのゲート電極はゲートライン15nに連結され、ソース電極及びドレイン電極のいずれか一つは第1ノードN1に連結され、ソース電極及びドレイン電極の残りの一つは第2ノードN2に連結される。スイッチング素子STはゲートライン15nから供給されるオンレベルONのスキャン信号SCnに応じてスイッチングされる。スイッチング素子STがオンスイッチングされる場合、駆動素子DTがダイオード連結されるてもよい。スイッチング素子STはPチャネルトランジスタから具現されてもよい。スイッチング素子STをPチャネルトランジスタから具現すれば、Nチャネルトランジスタから具現するときに比べてオフカレント(漏洩電流)が2倍以上減る。その結果、VHR(Voltage Holding Ratio)が増加して駆動安全性及び信頼性が向上する。
【0052】
第1キャパシタCx1はデータライン14mと第1ノードN1との間に連結され、データライン14mから供給されるアナログ電圧DATAm(データ電圧又は基準電圧)をカップリング作用によって第1ノードN1に反映する。アナログ電圧DATAmを第1ノードN1に反映するために、第1キャパシタCx1を活用するコンセプトは、別途のスイッチトランジスタを活用するコンセプトに比べ、ゲートラインの個数とゲートドライバーの構成を簡素化することができる効果がある。
【0053】
第2キャパシタCx2は初期化電圧供給ラインILと第1ノードN1との間に連結され、初期化電圧供給ラインILから供給される第1または第2の初期化電圧Vinitをカップリング作用によって第1ノードN1に反映する。 第1または第2の初期化電圧Vinitを第1ノードN1に反映するために、第2キャパシタCx2を活用するコンセプトは、別途のスイッチトランジスタを活用するコンセプトに比べ、ゲートラインの個数とゲートドライバーの構成を簡素化することができる効果がある。
【0054】
第2キャパシタCx2の容量は第1キャパシタCx1の容量より大きく設計することが好ましい。第2キャパシタCx2の容量を第1キャパシタCx1の容量より大きく設計すれば、映像の階調(Gray)を表現するためのデータ電圧のレンジ(V0~V255)が広くなる。これにより、隣接した階調電圧の間の最小電圧差(例えば、V255-V254)が増加し、ソースドライバー集積回路の出力バッファーを構成するOPアンプ(OPAMP)のオフセット(Offset)に鈍感な回路の具現が可能である。結局、第2キャパシタCx2の容量を第1キャパシタCx1の容量より大きく設計すれば、前記オフセットの影響を受けないから、階調表現が正確になり、表示品位が向上することが可能である。
【0055】
このように、ピクセル回路は2個のトランジスタと2個のキャパシタと1個の発光素子のみを含むから、その構成が非常に簡素である。ピクセル回路の構成が簡素になれば、ピクセルアレイで各ピクセルが占める面積を減らすことができるから、PPI(Pixel Per Inch)を増加させるのに有利な効果がある。
【0056】
図6は1番目ゲートラインとm番目データラインに連結された一ピクセルの駆動タイミングを示す図である。
図7aは
図6の第1初期化期間で一ピクセルの動作を示す図である。
図7bは
図6の第2初期化期間で一ピクセルの動作を示す図である。
図7cは
図6のプログラミング期間で一ピクセルの動作を示す図である。そして、
図7dは
図6の発光期間で一ピクセルの動作を示す図である。
【0057】
図6及び
図7aを参照すると、第1初期化期間X1で、ロー電圧レベルLOWの初期化電圧Vinit、オフレベルOFFのスキャン信号SC1、基準電圧Vref、第1電圧レベルLV1の高電位駆動電源EVDD、第3電圧レベルLV3から第2電圧レベルLV2に変わる低電位駆動電源EVSSがピクセルに印加される。スイッチング素子STはオフスイッチングされ、駆動素子DTもターンオフされる。そして、発光素子ELも第2電圧レベルLV2の低電位駆動電源EVSSによってターンオフされる。
【0058】
図6及び
図7bを参照すると、第2初期化期間X2で、ロー電圧レベルLOWとハイ電圧レベルHIGHとの間でトグルされる初期化電圧Vinit、オフレベルOFFのスキャン信号SC1、基準電圧Vref、第1電圧レベルLV1の高電位駆動電源EVDD、第2電圧レベルLV2の低電位駆動電源EVSSがピクセルに印加される。スイッチング素子STはオフレベルOFFのスキャン信号SC1に応じてオフスイッチングされる。駆動素子DTのゲート電圧VgはLOW-HIGH-LOWにトグルされる初期化電圧Vinitによって“EVDD-Vth”より低い“EVDD+Vth-γ△Vinit”に設定され、前記設定電圧によって駆動素子DTがターンオンされる。ここで、“γ”はC2/(C1+C2)であり、“C1”は第1キャパシタCx1の容量、そして“C2”は第2キャパシタCx2の容量である。“△Vinit”は初期化電圧Vinitのハイ電圧レベルHIGHとロー電圧レベルLOWとの間の差電圧である。駆動素子DTがターンオンされるので、駆動素子DTのドレイン電圧Vaは“EVDD”になる。発光素子ELは第2電圧レベルLV2の低電位駆動電源EVSSによってターンオフ状態(すなわち、ブラック状態BLK)を維持する。
【0059】
図6及び
図7cを参照すると、プログラミング期間Yでロー電圧レベルLOWの初期化電圧Vinit、オンレベルONのスキャン信号SC1、データ電圧Vdata、第1電圧レベルLV1の高電位駆動電源EVDD、第2電圧レベルLV2の低電位駆動電源EVSSがピクセルに印加される。スイッチング素子STはオンレベルONのスキャン信号SC1に応じてオンスイッチングされ、ターンオン状態を維持する駆動素子DTのゲート電極とドレイン電極を連結させる。駆動素子DTはダイオード連結され、駆動素子DTの閾値電圧Vthがサンプリングされて駆動素子DTのゲート電圧Vgとドレイン電圧Vaに反映される。言い換えれば、駆動素子DTのゲート電圧Vgとドレイン電圧Vaは“EVDD-Vth”になる。発光素子ELは第2電圧レベルLV2の低電位駆動電源EVSSによってターンオフ状態(すなわち、ブラック状態BLK)を維持する。一方、第1キャパシタCx1の一側電極にはデータ電圧Vdataが充電される。
【0060】
図6及び
図7dを参照すると、発光期間Yで、ロー電圧レベルLOWの初期化電圧Vinit、オフレベルOFFのスキャン信号SC1、基準電圧Vref、第1電圧レベルLV1の高電位駆動電源EVDD、第3電圧レベルLV3の低電位駆動電源EVSSがピクセルに印加される。スイッチング素子STはオフレベルOFFのスキャン信号SC1に応じてオフスイッチングされ、駆動素子DTのゲート電極とドレイン電極との間の連結を解除する。第1キャパシタCx1の一側電極の電位がデータ電圧Vdataから基準電圧Vrefに変わる。第1キャパシタCx1の電位変化量(Vref-Vdata)はカップリング効果によって第1ノードN1に反映される。その結果、駆動素子DTのゲート電圧Vgは“EVDD-Vth-α(Vref-Vdata)”になる。ここで、“α”は“C1/(C1+C2)”である。駆動素子DTに流れる電流によって駆動素子DTのドレイン電圧Vaが発光素子ELの閾値電圧Voledにセットされる。ここで、発光素子ELは第3電圧レベルLV3の低電位駆動電源EVSSによってターンオン状態(すなわち、発光状態EML)になる。発光素子ELに流れる発光電流Ioledは駆動素子DTの閾値電圧Vthに無関係な下記の式1によって決定される。
【0061】
[数1]
Ioled=k[α(Vref-Vdata)]2
【0062】
前記数式1で、前記kは前記駆動素子の電子移動度、寄生容量、及びチャネル容量によって決定される定数値であり、前記αはC1/(C1+C2)であり、前記C1は前記第1キャパシタの容量であり、前記C2は前記第2キャパシタの容量であり、前記Vrefは前記基準電圧であり、前記Vdataは前記データ電圧である。
【0063】
図8は発光素子の特性変化による発光電流の変化を従来技術と比較して示す図である。
【0064】
図8の(a)は駆動素子をNMOSで具現するとき、発光素子の特性(温度、劣化)変化による発光電流の変化を示す。そして、
図8の(b)は駆動素子をPMOSから具現するとき、発光素子特性(温度、劣化など)の変化による発光電流の変化を示す。
図8の(a)及び(b)のグラフ上で縦軸は発光電流Ioledを示し、横軸は高電位駆動電源EVDDを示す。
【0065】
図8を参照すると、フルホワイト明るさで長時間発光素子に発光電流を流せば、発光素子が劣化して発光素子の動作を示すEL電流-電圧曲線が実線から点線に変更されることがある。
【0066】
ここで、
図8の(a)のように駆動素子がNMOSから具現されるモデル(比較技術)の場合、発光素子の劣化によって駆動素子のソース電圧も変わるから、それに連動して駆動素子の動作を示すDT電流-電圧曲線が実線から点線に変更されることができる。これにより、EL電流-電圧曲線とDT電流-電圧曲線が交差する動作ポイントがIoled1からIoled2又はIoled3に変わる。Ioled2又はIoled3とIoled1との間には電流偏差が大きい。その結果、望まない輝度歪み現象が招来されることができる。
【0067】
一方、
図8の(a)のように駆動素子がPMOSから具現されるモデル(本発明の実施例)の場合、発光素子の劣化によって駆動素子のソース電圧ではなくドレイン電圧が変わり、前記ソース電圧は固定されるから、駆動素子の動作を示すDT電流-電圧曲線は実線を維持することができる。そして、EL電流-電圧曲線とDT電流-電圧曲線が交差する動作ポイントがIoled1からIoled2又はIoled3に変わっても、Ioled2又はIoled3とIoled1との間には電流偏差がほとんどないから、望まない輝度歪み現象を防止することができる。
【0068】
前述したように、本実施例はPMOS型トランジスタを含む簡素なピクセル構成を用いて駆動素子の閾値電圧変化に関係なく発光電流をセットすることができるので、駆動の安全性及び製品の信頼性を高めることができる。
【0069】
本発明はPMOS型トランジスタを含む簡素なピクセル構成を用いて発光素子の特性(温度、劣化など)変化による発光電流の歪みを最小化することができるので、駆動の安全性及び製品の信頼性を高めることができる。
【0070】
本発明はPMOS型トランジスタを含む簡素なピクセル構成を用いてVHR(Voltage Holding Ratio)特性を向上させることにより、駆動の安全性及び製品の信頼性を高めることができる。
【0071】
本発明はPMOS型トランジスタを含む簡素なピクセル構成を用いてピクセルアレイで各ピクセルが占める面積を減らすことができるので、PPI(Pixel Per Inch)を増加させることができる。
【0072】
本発明はテンポラリ発光方式を採用して従来のBDI方式に比べて簡素な駆動方法でMPRT特性を向上させることができる。
【0073】
以上で説明した内容から、当業者であれば本発明の技術思想を逸脱しない範疇内で多様な変更及び修正が可能であることが分かる。よって、本発明の技術的範囲は明細書の詳細な説明に記載された内容に限定されるものではなく特許請求の範囲によって決定されなければならない。
【符号の説明】
【0074】
10 表示パネル
11 タイミングコントローラー
12 データドライバー
13 ゲートドライバー
14 データライン
15 ゲートライン
IL 初期化電圧供給ライン
EVL1、EVL2 第1電源ライン、第2電源ライン