(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】袋供給装置
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20220701BHJP
B65B 67/04 20060101ALI20220701BHJP
【FI】
B65D83/08 F
B65B67/04
(21)【出願番号】P 2021104478
(22)【出願日】2021-06-23
【審査請求日】2021-06-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521276733
【氏名又は名称】吉川 里美
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 里美
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-163086(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0255558(US,A1)
【文献】特開2017-109758(JP,A)
【文献】米国特許第05325992(US,A)
【文献】特開2015-003747(JP,A)
【文献】特表平04-506950(JP,A)
【文献】特開昭62-220408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/00-43/62
B65B 59/00-67/12
B65D 83/00
B65D 83/08-83/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側端部に開口部を備え他方側端部に底部を備えた扁平形状の樹脂製の袋を供給する袋供給装置であって、
互いに隣接する2つの前記袋のうち一の袋の前記開口部と他の袋の前記底部とを連結しつつ、複数の前記袋を同一向きに連続して配置し、前記一の袋と前記他の袋との連結部に破断可能な破断予定線を形成した袋連続体を、1つの袋ずつ順次取り出し可能に支持する支持部であって、ユーザにより各袋の前記底部が先に取り出され前記開口部が後に取り出されるような向きで前記複数の袋が連続的に配置されるように前記袋連続体を支持する支持部と、
左右方向における左側及び右側それぞれに上下方向に立設される左壁及び右壁を備えるとともに、前後方向における前側に上下方向に立設される前壁を備え、かつ、前記支持部及び当該支持部に支持された前記袋連続体を収納する筐体と、
を有し、
前記筐体の
前記前壁のうち、前記支持部に支持された前記袋連続体から1つの袋が取り出される取り出し位置には、当該筐体内部から前記袋が当該筐体外部へと取り出される取り出し開口が備えられた、
袋供給装置であって、
前記左壁、前記右壁、及び前記前壁を有する前記筐体の前記前壁に備えられた前記取り出し開口のうち前記上下方向における上縁部に設けられ、ユーザにより取り出される前記1つの袋の少なくとも一部に対して粘着力を作用させ、取り出される当該1つの袋の前記開口部を前記扁平形状から開く粘着部
を有することを特徴とする袋供給装置。
【請求項2】
請求項1記載の袋供給装置において、
前記取り出し開口の前記上縁部のうち、
前記取り出し方向に直交する幅方向である前記左右方向の一方側には前記粘着部が設けられるとともに、前記左右方向の他方側には前記粘着部が設けられない
ことを特徴とする袋供給装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の袋供給装置において、
前記袋連続体は、
前記左右方向に沿った所定の軸心周りにロール状に巻回されており、
前記支持部は、
前記袋連続体のロールを回転可能に支持しており、
前記取り出し開口は、
前記袋連続体の前記ロールから順次繰り出される前記袋を前記筐体外部へと取り出す
ことを特徴とする袋供給装置。
【請求項4】
一方側端部に開口部を備え他方側端部に底部を備えた扁平形状の樹脂製の袋を供給する袋供給装置であって、
互いに隣接する2つの前記袋のうち一の袋の前記開口部と他の袋の前記底部とを連結しつつ、複数の前記袋を同一向きに連続して配置し、前記一の袋と前記他の袋との連結部に破断可能な破断予定線を形成した袋連続体を、1つの袋ずつ順次取り出し可能に支持する支持部であって、ユーザにより各袋の前記底部が先に取り出され前記開口部が後に取り出されるような向きで前記複数の袋が連続的に配置されるように前記袋連続体を支持する支持部と、
左右方向における左側及び右側それぞれに上下方向に立設される左壁及び右壁を備えるとともに、上下方向における上側に前後方向に配設される上壁を備え、かつ、前記支持部及び当該支持部に支持された前記袋連続体を収納する筐体と、
を有し、
前記筐体の
前記上壁のうち、前記支持部に支持された前記袋連続体から1つの袋が取り出される取り出し位置には、当該筐体内部から前記袋が当該筐体外部へと取り出される取り出し開口が備えられた、
袋供給装置であって、
前記袋連続体は、
長さ方向に略等間隔に設けられた複数の折り位置において山折り及び谷折りが交互に繰り返されて折り畳まれており、
前記支持部は、
折りたたまれた前記袋連続体を各袋の積層状態で支持しており、
前記取り出し開口は、
前記折り畳まれた状態から順次解かれる前記袋を前記筐体外部へと取り出し、かつ、
前記袋供給装置は、さらに、
前記左壁、前記右壁、及び前記上壁を有する前記筐体の前記上壁に備えられた前記取り出し開口のうち前記前後方向における後縁部に設けられ、ユーザにより取り出される前記1つの袋の少なくとも一部に対して粘着力を作用させ、取り出される当該1つの袋の前記開口部を前記扁平形状から開く粘着部
を有することを特徴とする袋供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット等に設置される、ポリ袋のロールホルダーが知られている。特許文献1の
図6には、ロール状ポリ袋22を取り付けた一般的なロールホルダーが開示されている。また、特許文献1の段落[0004]には、このような一般的なロール状ポリ袋22ではロール状ポリ袋22を利用者が引き出す時に手前側にポリ袋の開口部が配置される構造となっていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においてはポリ袋を引っ張り出した後も扁平状態のままであるためどっちが開口部でどっちが底部かユーザに分かりにくかったり、分かったとしても開口部を押し広げるのに苦労していた。その結果、開口部を押し広げるために手指加湿用の濡れタオル等を配置する必要があり、不特定多数のユーザが共通に触る非衛生の懸念があった。
【0005】
本発明の目的は、容易にポリ袋の開口部を押し広げることができ、かつ衛生面での向上も図れる袋供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、一方側端部に開口部を備え他方側端部に底部を備えた扁平形状の樹脂製の袋を供給する袋供給装置であって、互いに隣接する2つの前記袋のうち一の袋の前記開口部と他の袋の前記底部とを連結しつつ、複数の前記袋を同一向きに連続して配置し、前記一の袋と前記他の袋との連結部に破断可能な破断予定線を形成した袋連続体を、1つの袋ずつ順次取り出し可能に支持する支持部であって、ユーザにより各袋の前記底部が先に取り出され前記開口部が後に取り出されるような向きで前記複数の袋が連続的に配置されるように前記袋連続体を支持する支持部と、左右方向における左側及び右側それぞれに上下方向に立設される左壁及び右壁を備えるとともに、前後方向における前側に上下方向に立設される前壁を備え、かつ、前記支持部及び当該支持部に支持された前記袋連続体を収納する筐体と、を有し、前記筐体の前記前壁のうち、前記支持部に支持された前記袋連続体から1つの袋が取り出される取り出し位置には、当該筐体内部から前記袋が当該筐体外部へと取り出される取り出し開口が備えられた、袋供給装置であって、前記左壁、前記右壁、及び前記前壁を有する前記筐体の前記前壁に備えられた前記取り出し開口のうち前記上下方向における上縁部に設けられ、ユーザにより取り出される前記1つの袋の少なくとも一部に対して粘着力を作用させ、取り出される当該1つの袋の前記開口部を前記扁平形状から開く粘着部を有することを特徴としている。
また上記目的を達成するために、本願発明は、一方側端部に開口部を備え他方側端部に底部を備えた扁平形状の樹脂製の袋を供給する袋供給装置であって、互いに隣接する2つの前記袋のうち一の袋の前記開口部と他の袋の前記底部とを連結しつつ、複数の前記袋を同一向きに連続して配置し、前記一の袋と前記他の袋との連結部に破断可能な破断予定線を形成した袋連続体を、1つの袋ずつ順次取り出し可能に支持する支持部であって、ユーザにより各袋の前記底部が先に取り出され前記開口部が後に取り出されるような向きで前記複数の袋が連続的に配置されるように前記袋連続体を支持する支持部と、左右方向における左側及び右側それぞれに上下方向に立設される左壁及び右壁を備えるとともに、上下方向における上側に前後方向に配設される上壁を備え、かつ、前記支持部及び当該支持部に支持された前記袋連続体を収納する筐体と、を有し、前記筐体の前記上壁のうち、前記支持部に支持された前記袋連続体から1つの袋が取り出される取り出し位置には、当該筐体内部から前記袋が当該筐体外部へと取り出される取り出し開口が備えられた、袋供給装置であって、前記袋連続体は、長さ方向に略等間隔に設けられた複数の折り位置において山折り及び谷折りが交互に繰り返されて折り畳まれており、前記支持部は、折りたたまれた前記袋連続体を各袋の積層状態で支持しており、前記取り出し開口は、前記折り畳まれた状態から順次解かれる前記袋を前記筐体外部へと取り出し、かつ、前記袋供給装置は、さらに、前記左壁、前記右壁、及び前記上壁を有する前記筐体の前記上壁に備えられた前記取り出し開口のうち前記前後方向における後縁部に設けられ、ユーザにより取り出される前記1つの袋の少なくとも一部に対して粘着力を作用させ、取り出される当該1つの袋の前記開口部を前記扁平形状から開く粘着部を有することを特徴としている。
【0007】
本願発明では、支持部により支持される袋連続体において通常とは逆の向きで連続的に配置されており、ユーザの手動操作で取り出されるときには、各袋の底部が先で開口部が後に、取り出される。そして、その取り出される取り出し位置の近傍に、粘着部が設けられている。これにより、ユーザから見て手前側に位置する底部をユーザが手に取って引っぱることで袋が取り出され、次の袋と分離するために強く引っ張って破断予定線を破断する際に後から引っ張り出される開口部に対して粘着力を作用させ、その開口部の近傍部分を前述の扁平形状よりも膨らませ、開口部を開くことができる。
【0008】
これにより、袋を引っ張り出した後も扁平状態のままでどっちが開口部でどっちが底部かユーザに分かりにくかったり分かったとしても開口部を押し広げるのに苦労する従来手法に比べ、ユーザの利便性を向上することができる。また開口部を押し広げるために手指加湿用の濡れタオル等を配置する必要がなくなるので、不特定多数のユーザが共通に触る非衛生の懸念がなくなり、衛生面での向上を図ることもできる。
【0009】
さらに、本願発明は、底部よりも後から出現してくる袋の開口部に対し、取り出し位置に設けた粘着部による粘着力を、破断予定線を破断すると同時に作用させる構成である。これにより、例えば底部よりも先に出現してくる開口部に対し、取り出し位置の外側に設けた粘着部により粘着力を作用させて開口部を開口させる構成とした場合に比べ、ワンアクションでかつ容易に開口させることができる。また、上記構成の場合、ユーザから見て手前側に位置しユーザが引っ張り出すために手で把持する開口部を粘着部で粘着することとなるため、ユーザの手に粘着力が作用して煩わしかったり、粘着部に不特定多数のユーザが触ることとなって結局非衛生の懸念が生じるが、本発明によればそのような不都合や懸念が生じることがない。
【発明の効果】
【0010】
本発明の袋供給装置によれば、容易にポリ袋の開口部を押し広げることができ、かつ衛生面での向上も図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る袋供給装置の斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る袋連続体の詳細構造を示す斜視図である。
【
図3】比較例の袋連続体の構造を表す概念図である。
【
図4】実施形態に係る袋連続体の構造を表す概念図である。
【
図5】本実施形態に係る粘着部の粘着挙動を表す概念的説明図である。
【
図6】
図5の各挙動における袋の形状を表す概念的説明図である。
【
図7】粘着部の配置が異なる変形例に係る袋供給装置の斜視図である。
【
図8】変形例に係る粘着部の粘着挙動を表す概念的説明図である。
【
図9】変形例に係る袋を連結して取り出す挙動を表す概念的説明図である。
【
図10】折り重ね状態の袋連続体を収納する変形例に係る袋供給装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1に本実施形態の袋供給装置1の斜視図を示す。
図1に示す方角は、袋供給装置1を地面と平行な接地面(図示なし)に平置きした時に接地面に垂直に向かう下方向及び下方向と逆方向の上方向からなる上下方向と、前記上下方向に直交する左右方向及び前後方向である。同様の方角が適宜
図2~
図10にも適用される。
【0014】
袋供給装置1は一方側端部に開口部3を備え他方側端部に底部4を備えた扁平形状の樹脂製の袋Aを供給する。袋供給装置1は例えばスーパーマーケット等を初めとする店舗に備え付けられており、ユーザはこの図の前方向から袋Aを取り出すようになっている。
【0015】
袋供給装置1は、複数の袋A同士を連結しつつ、同一向きに連続して配置する袋連続体2を、1つの袋Aずつ順次取り出し可能に支持する支持部6を有する。袋連続体2はロール状に巻き回された状態のものや折り畳まれて上下方向に重ねられた状態のものなどがあるが、この図ではロール状の袋連続体2について図示している。
【0016】
支持部6は、ユーザにより各袋Aの底部4が先に取り出され開口部3が後に取り出されるような向きで複数の袋Aが連続的に配置されるように袋連続体2を支持する。この図では、2本の支持棒7及び2本の受け金具8からなる支持部6がロール状の袋連続体2を下方向から支持している。
【0017】
この他、例えば、ロール状の袋連続体2を立方体状もしくは筒状のケースに収納して設置する場合には前記ケースが支持体6に相当し、ロール状の袋連続体2の軸心Kに沿った空洞に金属製の棒などを通して支えるものについては前記金属製の棒が支持部6に相当する。折り畳まれた袋連続体2が紙製の平箱等に収納されている場合は前記平箱が支持部6に相当する。
【0018】
袋供給装置1は、支持部6に支持された袋連続体2から1つの袋Aが取り出される取り出し位置9又はその近傍に設けられ、ユーザにより取り出される1つの袋Aの少なくとも一部に対して粘着力を作用させ、取り出される当該1つの袋Aの開口部3の近傍を扁平形状から膨らませる粘着部10を備える。粘着部10としては例えばゴムが挙げられる。
【0019】
袋供給装置1は、支持部6及び支持部6に支持された袋連続体2を収納する筐体11を有し、筐体11の取り出し位置9には、筐体11内部から袋Aが筐体11外部へと取り出される取り出し開口12が備えられており、粘着部10は、取り出し開口12に設けられている。この図では、取り出し位置9が取り出し開口12である。ここでは粘着部10は三角形状の取り出し開口12の上縁部の左方向側と右方向側に1つずつ、計2つ設けられている。取り出し開口12の形状は三角形状に限定されず長方形状、台形状、楕円形状等であっても良い。粘着部10の形状も限定されるものでなく長方形状、三角形状、台形状、円形状その他どのような形状であってもよく、個数も1個または3個以上であってもよい。
【0020】
この他、例えば立方体状や筒状のケースに袋連続体2が収納された構造等、取り出し開口12が存在する場合は取り出し開口12が取り出し位置9に相当する。また例えば、筐体11が存在せず取り出し開口12も存在しない場合等には取り出し位置9は袋Aが袋連続体2から一枚ずつ引き剥がされる場所、又は袋Aを接触させて破断するための金具等が設置されているものについては前記金具が配置された場所に相当する。
【0021】
袋供給装置1において、袋連続体2は、所定の軸心K周りにロール状に巻回されており、支持部6は、袋連続体2のロールを回転可能に支持しており、取り出し開口12は、袋連続体2のロールから順次繰り出される袋Aを筐体11外部へと取り出す。
【0022】
この図では筐体11は前方向及び左右方向及び下方向の面に配置された平板により囲まれて構成されるが、筐体11の構造はこのような構造に限定されるものではなく、例えばロール状の袋連続体2を収納する部分が立方体状または筒状であってもよく、折り畳まれた状態の袋連続体2を収納する部分が箱型であってもよい。
【0023】
図2に本実施形態に係る袋連続体2の詳細な構造を示す。この図では袋連続体2から引き出された3つの袋A1~A3(以下、適宜袋Aと総称する)が連結された状態である。A1は1枚目に取り出される袋A、A2は2枚目の袋A、A3は3枚目の袋Aである。
【0024】
袋Aは一方側端部に開口部3を備え他方側端部に底部4を備えた扁平形状をしている。袋Aは樹脂製であって、具体的には例えばポリエチレン又はポリプロピレン製のポリ袋、あるいは塩化ビニール樹脂製のビニール袋である。
【0025】
袋連続体2は、互いに隣接する2つの袋Aのうち一の袋Aの開口部3と他の袋の底部4とを連結しつつ、複数の袋Aを同一向きに連続して配置し、一の袋Aと他の袋Aとの連結部に破断可能な破断予定線5を形成している。この図では袋A1、A2、A3のそれぞれの開口部3と底部4とが連結され、袋A1と袋A2の連結部及び袋A2と袋A3の連結部にはそれぞれ破断予定線5が形成されている。破断予定線5はミシン目である。
【0026】
図3に比較例、すなわち従来例の袋連続体2′の構造を示す。この図ではロール状の袋連続体2′から袋A1′及び袋A2′をユーザが破断して切り離した直後の状態である。比較例の袋連続体2′では、袋Aの向きが、ユーザから見た手前側(この図の下方向)に開口部3が配置され、奥側(この図の上方向)に底部4が配置されるように、袋連続体2′が巻き回されている。
【0027】
図4に本実施形態の袋連続体2の構造を示す。この図ではロール状の袋連続体2から袋A1及び袋A2をユーザが
図2の破断予定線5で破断して切り離した直後の状態である。実施形態の袋連続体2ではユーザから見た手前側(この図の下方向)に底部4が配置され、奥側(この図の上方向)に開口部3が配置されるように、袋連続体2が巻き回されている。
【0028】
図5(a)~(c)に本実施形態に係る粘着部10の粘着挙動を表す概念的説明図を示す。また、
図6(a)~(c)に
図5(a)~(c)のそれぞれの挙動における袋Aの形状を表す概念的説明図を示す。
【0029】
図5(a)は
図1に示した袋供給装置1の取り出し開口12から袋Aをユーザが取り出す直前の状態である。取り出し開口12の左右方向の幅Wは袋Aの左右方向の幅よりも短いため、袋Aの開口部3近傍にはシワが寄った状態となっている。
【0030】
この時袋Aの全体的な形状は
図6(a)のような状態であり開口部3近傍はシワが寄った状態で、開口部3は開口していない扁平形状となっている。
【0031】
図5(b)においてユーザが袋Aをさらに引っ張り、取り出す時に袋Aの開口部3近傍が粘着部10にくっつく。この時袋Aの上側部分である上皮13は粘着部10に比較的強く粘着し下側部分である下皮14は粘着部10にほとんど粘着していない状態となる。
【0032】
この時袋Aの形状は
図6(b)のような状態となっており開口部3が少し開口している。
【0033】
図5(c)において、粘着部10に比較的強く粘着した上皮13とそれほど粘着していない下皮14との間に開口部3がさらに大きく開口する。
【0034】
この時袋Aの形状は
図6(c)のような状態となっており開口部3が大きく開いた状態となっている。
【0035】
<実施形態の効果>
本実施形態では、支持部6により支持される袋連続体2において袋Aの開口部3と底部4とが通常とは逆の向きで連続的に配置されており、ユーザの手動操作で取り出されるときには、各袋Aの底部4が先で開口部3が後に取り出される。そして、その取り出される取り出し位置9の近傍に粘着部10が設けられている。これにより、ユーザから見て手前側に位置する底部4をユーザが手に取って引っぱることで袋Aが取り出され、次の袋Aと分離するために強く引っ張って破断予定線5を破断する際に後から引っ張り出される開口部3に対して粘着力を作用させ、その開口部3の近傍部分を前述の扁平形状よりも膨らませ、開口部3を開くことができる。
【0036】
これにより、袋Aを引っ張り出した後も扁平状態のままでどっちが開口部3でどっちが底部4かユーザに分かりにくかったり分かったとしても開口部3を押し広げるのに苦労する従来手法に比べ、ユーザの利便性を向上することができる。また開口部3を押し広げるために手指加湿用の濡れタオル等を配置する必要がなくなるので、不特定多数のユーザが共通に触る非衛生の懸念がなくなり、衛生面での向上を図ることもできる。
【0037】
さらに、本実施形態では、底部4よりも後から出現してくる袋Aの開口部3に対し、取り出し位置9に設けた粘着部10による粘着力を、破断予定線5を破断すると同時に作用させる構成である。これにより、例えば底部4よりも先に出現してくる開口部3に対し、取り出し位置9の外側に設けた粘着部10により粘着力を作用させて開口部3を開口させる構成とした場合に比べ、ワンアクションでかつ容易に開口させることができる。また、上記構成の場合、ユーザから見て手前側に位置しユーザが引っ張り出すために手で把持する開口部3を粘着部10で粘着することとなるため、ユーザの手に粘着力が作用して煩わしかったり、粘着部10に不特定多数のユーザが触ることとなって結局非衛生の懸念が生じるが、本実施形態によればそのような不都合や懸念が生じることがない。
【0038】
また、本実施形態では特に、筐体11の内部に収納されている袋連続体2の各袋Aを、ユーザが取り出し開口12から順次引っ張り出す。その際、取り出し開口12に設けた粘着部10が、後から筐体11外に出現する袋Aの開口部3に対し粘着力を作用させることで、袋Aを膨らませ、開口部3を開くことができる。
【0039】
また、本実施形態では特に、筐体11の内部で袋連続体2のロールが回転可能に支持されており、ユーザが前述のように袋Aを引っ張ることでロールから各袋Aが順次繰り出され、取り出し開口12から取り出すことができる。
【0040】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例について説明する。
【0041】
(1)粘着部10′を部分的に配置する場合
図7に変形例の袋供給装置1′の斜視図を示す。袋供給装置1′の取り出し開口12′のうち、取り出し方向(この図の前後方向)に直交する幅方向(この図の左右方向)の一方側には粘着部10′が設けられるとともに、前記幅方向の他方側には粘着部10′が設けられない。
【0042】
図8に変形例に係る粘着部10′の粘着挙動を表す概念的説明図を示す。なお
図8はユーザが袋Aを1つずつ破断して取り出したいときの操作を示す。
【0043】
図8(a)は
図7に示した袋供給装置1′の取り出し開口12′から袋Aをユーザが取り出す直前の状態である。取り出し開口12の左右方向の幅Wは袋Aの左右方向の幅よりも短いため、袋Aの開口部3近傍においてはシワが寄った状態となる。
【0044】
図8(b)においてユーザは粘着部10′が設けられた取り出し開口12′の左方向に袋Aを寄せて引っ張ることで、袋Aの開口部3近傍が粘着部10′にくっつく。この時袋Aの上側部分である上皮13は粘着部10′に比較的強く粘着し下側部分である下皮14は粘着部10′にほとんど粘着していない状態となる。
【0045】
図8(c)において、粘着部10′に比較的強く粘着した上皮13とそれほど粘着していない下皮14との間に開口部3を大きく開口することができる。
【0046】
図9にこの変形例に係る、袋Aを連結して取り出す時の挙動を表す概念的説明図を示す。ここではユーザが袋Aを1つずつ破断して取り出すのではなく複数の袋Aを連結させたままして取り出したいときの操作を示す。
【0047】
図9(a)は
図7に示した袋供給装置1′の取り出し開口12′から袋Aをユーザが取り出す直前の状態である。取り出し開口12の左右方向の幅Wは袋Aの左右方向の幅よりも短いため、袋Aの開口部3近傍においてはシワが寄った状態となる。
【0048】
図9(b)においてユーザは粘着部10′が設けられていない取り出し開口12′の右方向に袋Aを寄せて引っ張ることで、袋Aの開口部3近傍が粘着部10′にくっつくことなく、複数の袋Aを所望の枚数だけ連続して取り出すことができる。
【0049】
変形例の袋供給装置1′によれば、ユーザが上述のように袋Aを1つずつ破断して取り出すときに各袋Aの開口部3を開きたい場合は、袋Aを上記幅方向一方側にやや寄せながら(あるいは傾けながら)引っ張ることで、粘着部10′による前述の作用で、取り出される1つの袋Aの開口部3を開くことができる。これに対して、ユーザが、開口部3を開くことなく複数の袋Aを連続した状態でかつ扁平な状態のままで引っ張り出したい場合には、袋Aを上記幅方向にやや寄せながら(あるいは傾けながら)引っ張ることで、粘着部10′の粘着力を作用させずに円滑に複数の袋Aを取り出すことができる。すなわち、ユーザが上記のいずれを意図する場合であっても、その意図に合わせた態様での取り出しを実行することができる。
【0050】
(2)袋連続体2″が積層状態のもの
これまではロール状に巻き回された袋連続体2について説明してきたが、この変形例では、袋連続体2″が積層状態で折り重ねられた状態で収納されている場合について説明する。
【0051】
図10にこの変形例の袋供給装置1″の斜視図を示す。袋供給装置1″において、袋連続体2″は、長さ方向に略等間隔に設けられた複数の折り位置15において山折り16及び谷折り17が交互に繰り返されて折り畳まれており、支持部6′は、折りたたまれた袋連続体2″を各袋Aの積層状態で支持しており、取り出し開口12は、折り畳まれた状態から順次解かれる袋Aを筐体11′外部へと取り出す。
【0052】
この変形例においては、袋連続体2″は紙等により構成される平箱などに収納されている。すなわち平箱である筐体11′そのものが支持部6′であり袋連続体2″を下方向から支持している。この図では筐体11′の上方向の面に取り出し開口12が設けられている。
【0053】
この変形例の袋供給装置1″においては、筐体11′の内部で袋連続体2″が各袋Aの積層状態で折り畳まれており、ユーザが前述のように袋Aを引っ張ることで各袋Aの折り畳み状態が順次解かれて、取り出し開口12から取り出すことができる。
【0054】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0055】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0056】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0057】
1、1′、1″ 袋供給装置
A、A′ 袋
2、2′、2″ 袋連続体
3 開口部
4 底部
5 破断予定線
6、6′ 支持部
7 支持棒
8 受け金具
9 取り出し位置
10、10′ 粘着部
11、11′ 筐体
12、12′ 取り出し開口
13 上皮
14 下皮
15 折り位置
16 山折り
17 谷折り
【要約】
【課題】容易にポリ袋の開口部を押し広げることができ、かつ衛生面での向上も図れる。
【解決手段】
一方側端部に開口部3を備え他方側端部に底部4を備えた扁平形状の樹脂製の袋Aを供給する袋供給装置1であって、袋連続体2を、1つの袋Aずつ順次取り出し可能に支持する支持部6であって、ユーザにより各袋Aの底部4が先に取り出され開口部3が後に取り出されるような向きで複数の袋Aが連続的に配置されるように袋連続体2を支持する支持部6と、支持部6に支持された袋連続体2から1つの袋Aが取り出される取り出し位置9又はその近傍に設けられ、ユーザにより取り出される1つの袋Aの少なくとも一部に対して粘着力を作用させ、取り出される当該1つの袋Aの開口部3の近傍を扁平形状から膨らませる粘着部10とを有する袋供給装置1。
【選択図】
図1