(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-30
(45)【発行日】2022-07-08
(54)【発明の名称】プログラム、方法、およびシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220701BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021129965
(22)【出願日】2021-08-06
【審査請求日】2022-01-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517201127
【氏名又は名称】playground株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭史
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-126991(JP,A)
【文献】特開2019-144933(JP,A)
【文献】特許第6865321(JP,B1)
【文献】国際公開第2014/041738(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータのプロセッサに、
各種のサービスを提供する施設の利用時に、
利用者が所持するチケットのチケットIDと、
前記利用者の顔画像と、を取得する
ステップと、
チケット情報が格納されるチケットデータベースを参照して、前記チケットを購入したユーザを示す購入者ID、および前記顔画像を紐づけて入場者データベースに登録するステップと、
異なる日に開催された複数のイベントにおける複数の前記入場者データベースそれぞれにおいて、登録された前記購入者IDと紐づけられた前記顔画像の同一性を確認し、一致しない場合に不正転売の疑いを検出するステップと、
不正転売の疑いが検出されたユーザに対して、所定の措置の支援として、今後予定される制裁措置の案内を含む不正転売の疑いに関する通知を行うステップと、を実行させるプログラム。
【請求項2】
前記
プロセッサに、
係員端末に、前記利用者
に対する不正転売の疑いを示す情報を送信
するステップと、
係員からの前記係員端末への入力操作に
基づいて、不正転売を行う者として確定する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記不正転売の疑いを示す情報を送信するステップでは、
不正転売の疑いのあるユーザの座席番号を示す情報を、前記係員端末に提供する、請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記プロセッサに、
前記所定の制裁措置として、不正転売に係るチケットの流通に関わったユーザの少なくとも一人に対
して、その後のチケットの購入を制限するステップを実行させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記所定の制裁措置とは、将来的な前記サービスの利用の制限である、請求項
1に記載のプログラム。
【請求項6】
コンピュータのプロセッサが、
各種のサービスを提供する施設の利用時に、
利用者が所持するチケットのチケットIDと、
前記利用者の顔画像と、を取得する
ステップと、
チケット情報が格納されるチケットデータベースを参照して、前記チケットを購入したユーザを示す購入者ID、および前記顔画像を紐づけて入場者データベースに登録するステップと、
異なる日に開催された複数のイベントにおける複数の前記入場者データベースそれぞれにおいて、登録された前記購入者IDと紐づけられた前記顔画像の同一性を確認し、一致しない場合に不正転売の疑いを検出するステップと、
不正転売の疑いが検出されたユーザに対して、所定の措置の支援として、今後予定される制裁措置の案内を含む不正転売の疑いに関する通知を行うステップと、を実行する方法。
【請求項7】
コンピュータのプロセッサを備え、
各種のサービスを提供する施設の利用時に、
利用者が所持するチケットのチケットIDと、
前記利用者の顔画像と、を取得する
モジュールと、
チケット情報が格納されるチケットデータベースを参照して、前記チケットを購入したユーザを示す購入者ID、および前記顔画像を紐づけて入場者データベースに登録するモジュールと、
異なる日に開催された複数のイベントにおける複数の前記入場者データベースそれぞれにおいて、登録された前記購入者IDと紐づけられた前記顔画像の同一性を確認し、一致しない場合に不正転売の疑いを検出するモジュールと、
不正転売の疑いが検出されたユーザに対して、所定の措置の支援として、今後予定される制裁措置の案内を含む不正転売の疑いに関する通知を行うモジュールと、を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
チケットの転売や不正な使用を防止するために、チケット購入時に顔写真を登録させ、入場時に顔写真を撮影して入場者を確認する検札システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、施設の入場管理において、チケット購入時に登録した顔写真と、入場時に取得した顔写真とを比較して、入場者がチケットを購入したものであることを確認し、不正なチケットの転売を防止するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、予め登録された顔写真と本人との照合に時間を要し、スポーツ観戦のような入場者数が多いイベントの場合には、入場時間が長くなりすぎるという課題があった。
【0006】
本発明は、検札処理を極めて簡素な手続きにしつつ、一定の不正検知の仕組みを提供することで、短時間にたくさんの入場者の検札処理を行いつつ、入場者による不正意欲を抑制することができるチケットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータのプロセッサに、各種のサービスを提供する施設の利用時に、チケット情報を識別するチケットIDおよびユーザIDのうちの少なくとも一方と、利用者の顔画像と、を取得して、これらを互いに紐づけて登録するステップと、施設内の監視カメラが撮影した画像情報、および登録された顔画像の少なくとも一方を用いて、所定の条件に合致する可能性のある利用者を抽出するステップと、所定の条件に合致する可能性のある利用者を抽出した際に、当該利用者に対する所定の措置の支援を行うステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、検札処理を極めて簡素な手続きにすることで、短時間にたくさんの入場者の検札処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態のチケットシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態のユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態のチケット管理サーバの構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態の検札装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態の係員端末の構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】本実施形態のユーザデータベースおよびイベントデータベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態のチケットデータベースおよび入場者データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態の発券処理のフローチャートである。
【
図10】本実施形態の検札処理の前半のフローチャートである。
【
図11】本実施形態の検札処理の後半のフローチャートである。
【
図13】本実施形態の被疑入場者の検出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
(1)チケットシステム1の構成
チケットシステム1の構成について説明する。
図1は、本実施形態のチケットシステム1の構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、チケットシステム1は、ユーザ端末10と、チケット管理サーバ20と、検札装置30と、係員端末40と、を備える。
ユーザ端末10、チケット管理サーバ20、検札装置30、および係員端末40は、ネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)NWを介して接続可能である。
【0013】
ユーザ端末10は、情報処理装置である。ユーザ端末10は、チケットの購入者本人が所持する情報処理装置である。ユーザ端末10は、チケット管理サーバ20に対してチケット情報を要求するように構成される。
【0014】
以降の説明において、情報処理装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ(例えば、Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバ、またはそれらの組み合わせ)、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ、またはスマートグラス)、などの種々のコンピュータを含み得る。
【0015】
チケット情報は、チケットに関する情報である。具体的には、チケット情報は、チケットを識別する情報、チケットが証明する権限に関する情報(例えば、チケットの対象となる興行に関する情報)、チケットの購入者に関する情報(例えばユーザID)、もしくはそれらの組み合わせ、またはそれらを符号化したコード情報(例えば、QRコード(登録商標)、または他の1次元もしくは2次元コード)を含み得る。
【0016】
チケットは、チケット情報の担体である。具体的には、チケットは、入場者が保持するユーザ端末10に表示されたチケット情報の画像(つまり電子チケット)であってもよい。入場者が保持するユーザ端末10は、ネットワークNWに接続可能なモバイルコンピュータ(スマートフォン、タブレット端末、ラップトップコンピュータ、またはウェアラブルデバイス)である。或いは、チケットは、チケット情報が印刷された紙またはその他の媒体であってもよい。
【0017】
チケット管理サーバ20は、情報処理装置である。チケット管理サーバ20は、ユーザ端末10からの要求に応じて、発券(つまりチケット情報の発行)を行うように構成される。また、チケット管理サーバ20は、発行したチケット情報を管理するように構成される。
【0018】
検札装置30は、施設の検札所に配置される情報処理装置である。検札装置30は、例えばイベント会場内に入場する人物(以降、「入場者」とする)によって提示されたチケットの保持するチケット情報を参照し、入場者の入場の可否を判定するように構成される。
また、検札装置30は、入場者の顔画像を撮影し、チケット情報と紐づけて記憶する。
また、検札装置30は、チケットの提示時に計測された入場者の体温の計測結果を参照して、入場者が高熱であるか否かを判定するように構成される。さらに、検札装置30は、入場者が高熱であるか否かの判定結果に応じて、入場者の連絡先に通知を送信するように構成される。
【0019】
施設は、サービスが提供される空間をさす。例えばイベント会場が施設に含まれる。施設は、例えばテーマパークのアミューズメント施設のように、エリア内の一部の空間であってもよい。施設は、屋内施設であってもよいし、屋外施設であってもよい。例えば、施設に含まれるイベント会場は、興行会場であり、例えば、コンサート会場、観劇会場、試合会場、展覧会場、またはそれらの組み合わせを含む。
施設には、複数の監視カメラが予め設置されており、イベント会場内を往来する入場者の顔を動画として取得している。イベント会場内で取得された入場者の顔を撮影した動画は、入場者毎に複数の方向から撮影した静止画フレーム(会場内撮影画像)に分割され、監視カメラデータベースに記憶される。なお、施設に設置される監視カメラは、1台であってもよい。
【0020】
係員端末40は、イベント会場の運営(イベント会場内の監視を含む)を行う係員が所持する情報処理装置である。係員端末40は、例えば、スマートフォン、タブレット端末ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ、またはスマートグラス)、などの携行性を備えた種々のコンピュータを含み得る。なお、係員端末40は、携行性を備えない一般のパーソナルコンピュータであってもよい。
係員は、イベント会場内での入場者による不正行為の監視を行う。入場者による不正行為には、イベント会場内での迷惑行為、イベント運営会社からのイベント運営上の必要な要請に対応しない行為、偽造又は複製されたチケットでの不正入場、および不正に転売したチケットによる不正入場などが挙げられる。
【0021】
(1-1)ユーザ端末10の構成
ユーザ端末10の構成について説明する。
図2は、本実施形態のユーザ端末10の構成を示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、ユーザ端末10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。ユーザ端末10は、入力デバイス15および出力デバイス16の少なくとも1つと接続可能である。
【0023】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0024】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ)のプログラム
【0025】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0026】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、ユーザ端末10の機能を実現するように構成される。プロセッサ12は、コンピュータの一例である。
【0027】
入出力インタフェース13は、入力デバイス15から信号(例えば、ユーザの指示、センシング信号、またはそれらの組み合わせ)を取得し、かつ、出力デバイス16に信号(例えば、画像信号、音声信号、またはそれらの組み合わせ)を出力するように構成される。
【0028】
入力デバイス15は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、物理ボタン、センサ(例えば、カメラ、バイタルセンサ、またはそれらの組み合わせ)、又は、それらの組合せである。
【0029】
出力デバイス16は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、印刷装置、またはそれらの組み合わせである。
【0030】
通信インタフェース14は、ユーザ端末10と外部装置(例えば、チケット管理サーバ20、検札装置30、又は係員端末40の少なくとも1つ)との間の通信を制御するように構成される。
【0031】
(1-2)チケット管理サーバ20の構成
チケット管理サーバ20の構成について説明する。
図3は、本実施形態のチケット管理サーバ20の構成を示すブロック図である。
【0032】
図3に示すように、チケット管理サーバ20は、記憶装置21と、プロセッサ22と、入出力インタフェース23と、通信インタフェース24とを備える。チケット管理サーバ20は、入力デバイス25および出力デバイス26の少なくとも1つと接続可能である。
【0033】
記憶装置21は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置21は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0034】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0035】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理の実行結果
【0036】
プロセッサ22は、記憶装置21に記憶されたプログラムを起動することによって、チケット管理サーバ20の機能を実現するように構成される。プロセッサ22は、コンピュータの一例である。
【0037】
入出力インタフェース23は、入力デバイス25から信号(例えば、ユーザの指示、センシング信号、またはそれらの組み合わせ)を取得し、かつ、出力デバイス26に信号(例えば、画像信号、音声信号、またはそれらの組み合わせ)を出力するように構成される。
【0038】
入力デバイス25は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、センサ、又は、それらの組合せである。
【0039】
出力デバイス26は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、またはそれらの組み合わせである。
【0040】
通信インタフェース24は、チケット管理サーバ20と外部装置(例えば、ユーザ端末10、検札装置30、または係員端末40の少なくとも1つ)との間の通信を制御するように構成される。
【0041】
(1-3)検札装置30の構成
検札装置30の構成について説明する。
図4は、本実施形態の検札装置30の構成を示すブロック図である。
図5は、本実施形態の検札装置30に接続可能な入力デバイスの構成の一例を示すブロック図である。
【0042】
図4に示すように、検札装置30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。検札装置30は、入力デバイス35および出力デバイス36の少なくとも1つと接続可能である。
【0043】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージの組合せである。
【0044】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0045】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ
【0046】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、検札装置30の機能を実現するように構成される。プロセッサ32は、コンピュータの一例である。
【0047】
入出力インタフェース33は、入力デバイス35から信号(例えば、ユーザの指示、センシング信号、またはそれらの組み合わせ)を取得し、かつ、出力デバイス36に信号(例えば、画像信号、音声信号、またはそれらの組み合わせ)を出力するように構成される。
【0048】
入力デバイス35は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、センサ(例えば、カメラ、バイタルセンサ、またはそれらの組み合わせ)、又は、それらの組合せである。
一例として、
図6に示すように、入力デバイス35は、サーモグラフィー351と、可視光カメラ352とを備える。
サーモグラフィー351は、入場者によるチケットの提示時に入場者を撮影するように構成される。
可視光カメラ352は、入場者によるチケットの提示時にチケットと入場者とを撮影するように構成される。
【0049】
入力デバイス35は、単独で、またはプロセッサ32との協同により、少なくとも、認証情報取得手段、および体温計測手段を実現する。
【0050】
認証情報取得手段は、入場者によるチケットの提示時に、入場者の入場可否の判定に必要な情報(以下、「認証情報」とする)を読み取る。認証情報は、例えば、以下を含む。
・チケット情報
【0051】
チケットには、チケット情報の読み取りのためのチケット情報領域が定められている。チケット情報領域には、チケット情報が表示、または印刷されている。
【0052】
認証情報取得手段は、可視光カメラ352と、当該可視光カメラ352によって撮影された画像を解析してチケット情報の画像を抽出し、かつ当該チケット情報の画像からチケット情報を復元するアプリケーションとの組み合わせにより、チケット情報を取得できる。チケット情報の取得において、OCR(Optical Character Recognition)処理、または復号処理などの情報処理が必要に応じて行われる。
【0053】
チケットおよび入場者は、同一の可視光カメラ352によって同時にまたは順次撮影されてもよいし、一方が可視光カメラ352によって撮影され他方が図示されない他の可視光カメラによって撮影されてもよい。
【0054】
体温計測手段は、入場者によるチケットの提示時に、入場者の体温を計測する。
体温計測手段は、好ましくは非接触に入場者の体温を計測する。これにより、計測後の消毒の手間を省くことができる。また、入場者が感染症に罹患していた場合であっても、他の入場者、および検札所の係員への感染症の拡散の危険性が低い。
【0055】
体温計測手段は、サーモグラフィー351と、当該サーモグラフィー351によって撮影されたサーモグラフィー画像を解析して入場者の画像を抽出し、かつ当該入場者の画像の画素値を参照して特定される温度を当該入場者の体温(正確には体表温度)の計測結果として取得するアプリケーションとの組み合わせにより、入場者の体温を非接触に計測できる。
【0056】
なお、撮影条件次第で、サーモグラフィー画像には入場者以外の人物も写り込むおそれがある。サーモグラフィー画像において入場者の計測結果とそれ以外の人物の計測結果とは、眼間距離を基準に区別することができる。入場者がチケットの提示を求められる位置からサーモグラフィー画像の撮影点までの距離と人間の標準的な眼間距離とに基づいて定められた許容範囲に眼間距離が収まっている人物の計測結果が入場者の計測結果としてサーモグラフィー画像から抽出される。なお、眼間距離の代わりに、または眼間距離に加えて、顔のサイズ、パーツ間距離、またはそれらの組み合わせを基準に、サーモグラフィー画像において入場者の計測結果とそれ以外の人物の計測結果とを区別するようにしてもよい。
【0057】
また一般に、サーモグラフィーによる体温の計測には、例えば撮影条件による誤差が生じる。一例として、撮影距離が過度に大きい場合には、計測点の温度が周囲の空間の温度と平均化され、ピーク表示が実際よりも低くなることがある。そこで、体温計測手段は、サーモグラフィー画像における入場者の眼間距離を参照して、サーモグラフィー画像の撮影点から入場者までの距離を推定し、推定した距離とサーモグラフィー画像における入場者に対応する領域の画素値とを参照して特定される温度を当該入場者の体温の計測結果として取得してもよい。なお、眼間距離の代わりに、または眼間距離に加えて、顔のサイズ、パーツ間距離、またはそれらの組み合わせを基準に、サーモグラフィー画像の撮影点から入場者までの距離を推定するようにしてもよい。
【0058】
出力デバイス36は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、警報装置、電動式のゲート、またはそれらの組み合わせである。
【0059】
通信インタフェース34は、検札装置30と外部装置(例えば、ユーザ端末10、チケット管理サーバ20、または係員端末40の少なくとも1つ)との間の通信を制御するように構成される。
【0060】
(1-4)係員端末の構成
係員端末40の構成について説明する。
図5は、本実施形態のユーザ端末10の構成を示すブロック図である。
【0061】
図5に示すように、係員端末40は、記憶装置41と、プロセッサ42と、入出力インタフェース43と、通信インタフェース44とを備える。係員端末40は、入力デバイス45および出力デバイス46の少なくとも1つと接続可能である。
【0062】
記憶装置41は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置41は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0063】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ)のプログラム
【0064】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0065】
プロセッサ42は、記憶装置41に記憶されたプログラムを起動することによって、係員端末40の機能を実現するように構成される。プロセッサ42は、コンピュータの一例である。
【0066】
入出力インタフェース43は、入力デバイス45から信号(例えば、ユーザの指示、センシング信号、またはそれらの組み合わせ)を取得し、かつ、出力デバイス46に信号(例えば、画像信号、音声信号、またはそれらの組み合わせ)を出力するように構成される。
【0067】
入力デバイス45は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、物理ボタン、センサ(例えば、カメラ、バイタルセンサ、またはそれらの組み合わせ)、又は、それらの組合せである。
【0068】
出力デバイス46は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、印刷装置、またはそれらの組み合わせである。
【0069】
通信インタフェース44は、係員端末40と外部装置(例えば、ユーザ端末10、チケット管理サーバ20、または検札装置30の少なくとも1つ)との間の通信を制御するように構成される。
【0070】
(2)実施形態の概要
本実施形態の概要について説明する。
図6は、本実施形態の概要の説明図である。
本発明に係るチケットシステム1が扱うチケットは、各種のサービスを提供する施設の利用に際して、利用者の提示が要求される入場券、利用券、受講券、乗車券、会員証、テーマパークのパスポートなどの様々な形態の証票が含まれる。
各種のサービスとしては、イベント会場や競技場におけるコンサートやスポーツ観戦体験の提供、博物館における鑑賞に供する所蔵品の展示、アミューズメント施設におけるアトラクション施設の提供、スポーツジムにおけるトレーニング設備の提供、境域機関における講義の提供など、多種多様な内容が含まれる。
本発明のチケットシステムでは、入場時に取得したチケット情報(又はユーザID)および顔画像のうちの少なくとも一方を用いて、所定の条件に合致する可能性のある利用者を抽出し、所定定の条件に合致する可能性のある利用者を抽出した際に、当該利用者に対する所定の措置の支援を行う。これらの内容について具体例を挙げて説明する。
本実施形態では、コンサートが開催されるイベント会場への来場を例に挙げて説明する。
イベント会場の入場者(利用者)は、イベント会場に敷設された検札所を経由して、イベント会場に入場する。この際、検札所でチケットを提示して、会場内に入場する。
【0071】
図6に示すように、検札装置30は、検札所に配置される。検札所では、複数の人物が行列を成しており、個々の人物に対して検札が順次行われる。
【0072】
可視光カメラ352は、入場者TPによるチケットTCの提示時に当該可視光カメラ352の撮像範囲に入っている入場者TPとチケットTCとを撮影する。検札装置30(具体的にはプロセッサ32)は、可視光カメラ352によって撮影された画像から、チケットTCのチケット情報と、入場者TPの顔の画像とを取得する。
【0073】
検札装置30は、チケットTCのチケット情報と、チケットデータベースと、を参照して、チケット情報が当該イベントにおいて有効なチケットであるかどうかを判断し、入場者TPの入場の可否を判定する。一例として、検札装置30は、入場者TPのチケット情報が、適切に発行されたチケット情報であるかどうかを確認する。
【0074】
検札装置30は、取得した入場者の顔画像を用いて、入場者データベースを作成する。そして、検札装置30は、イベント会場内で撮影され、監視カメラデータベースに記憶された会場内撮影画像と入場者の顔画像との少なくとも一方、を用いて、不正行為の疑義の検出を行う。
【0075】
不正行為の疑いが検出された際には、当該不正行為を行った疑いのある被疑入場者に関する情報を係員端末40に送信する。係員は、係員端末40に送信された被疑入場者の情報を用いて不正行為の確認を現地で行う。不正行為が確認された場合には、係員端末40にその旨を報告する入力を行う。そして、不正行為を行ったと判断された被疑入場者、およびその行為にかかわった人には、チケット管理サーバ20によって、その後のチケットの購入が制限されるなどの制裁措置が行われる。
【0076】
また、検札装置30におけるサーモグラフィー351は、入場者TPによるチケットTCの提示時に当該サーモグラフィー351の撮像範囲に入っている入場者TPを撮影する。検札装置30は、サーモグラフィー351によって撮影されたサーモグラフィー画像から入場者TPの体温の計測結果を取得する。
【0077】
検札装置30は、取得した計測結果を参照して入場者TPが高熱であるか否かを判定する。検札装置30は、入場者TPが高熱であるか否かの判定結果に応じて、入場者TPの連絡先に通知を送信する。少なくとも、検札装置30は、入場者TPが高熱であると判定された場合に、入場者TPに正式な検温の実施、またはイベント会場からの速やかな退場を促すための通知を送信する。
【0078】
このように、検札装置30は、入場者TPの体温の計測結果を参照することなく入場可否を判定する一方で、当該計測結果を参照して入場者TPが高熱であるか否かを判定し、入場者TPが高熱であると判定された場合には入場者TPの連絡先に通知を送信する。これにより、入場者TPは高熱のみを理由に検札所で足止めをされることがない。故に、周囲の人物は入場者が高熱であることに気付かないので、近くに高熱の者が居たことに対する不安や嫌悪感などの悪感情が生じない。他方、入場者は、高熱のみを理由に入場を拒否されて好奇の目にさらされることがない。従って、この検札装置30、およびこの検札装置30を含むチケットシステム1によれば、イベント会場への入場者の誰にも検札時検温に伴う不快感を与えずに済むので、高熱の人物が発見された場合にも混乱およびトラブルの発生を防止することができる。また、高熱と判定された入場者TPは、受信した通知を確認することで、正式な検温を実施し、またはイベント会場から速やかに退場するように促される。故に、高熱と判定された入場者TPがイベント会場に長時間滞在することによる感染の拡散を防止できる。
【0079】
(3)データベース
本実施形態のデータベースについて説明する。以下のデータベースは、記憶装置21に記憶される。ただし、以下のデータベースの少なくとも一部の複製が記憶装置31にも記憶されてもよい。
【0080】
(3-1)ユーザデータベース
本実施形態のユーザデータベースについて説明する。
図8Aは、本実施形態のユーザデータベースのデータ構造を示す図である。
【0081】
ユーザデータベースには、ユーザ情報が格納される。ユーザ情報は、チケットシステム1のユーザに関する情報である。
図8に示すように、ユーザデータベースは、「ユーザID」フィールドと、「ログインPASS」フィールドと、「ユーザ氏名」フィールドと、「ユーザ属性」フィールドと、「連絡先」フィールドと、「支払方法」フィールドと、「措置ステータス」フィールドと、を含む。
【0082】
「ユーザID」フィールドには、チケットを購入するユーザを特定するためのIDが格納される。
【0083】
「ログインPASS」フィールドには、ユーザIDに対応するユーザが、チケットを購入する際のチケットシステム1へのログイン時に入力が要求されるパスワードが格納される。
【0084】
「ユーザ氏名」フィールドには、ユーザIDに対応するユーザの氏名が格納される。
【0085】
「ユーザ属性」フィールドには、ユーザIDによって識別されるユーザの属性情報が格納される。属性情報は、ユーザの属性に関する情報である。属性は、例えば、氏名、生年月日、性別、年齢、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
また、「ユーザ属性」フィールドには、ファンクラブ会員等のユーザの当該イベントの提供と関連する地位を含むことができる。
【0086】
「連絡先」フィールドには、ユーザIDによって識別されるユーザの連絡先情報が格納される。連絡先情報は、ユーザの連絡先に関する情報である。連絡先情報は、例えば、メールアドレス、電話番号、SNS(Social Networking Service)もしくは他のメッセージング可能なアプリケーションのアカウント情報、またはそれらの組み合わせである。連絡先情報は、ここで挙げた例に限られず、ユーザ端末10を介して入場者にリアルタイムに通知を送信するために利用可能な任意の種別の情報を含むことができる。
【0087】
「支払方法」フィールドには、チケットを購入するうえでのチケット代金の支払い方法が格納される。
【0088】
「措置ステータス」フィールドには、ユーザIDに対応するユーザが不正行為を行ったことで、罰則として適用された各種の制裁措置の内容が格納される。各種の制裁措置としては、例えば以下の項目が挙げられる。なお、制裁措置の内容としては、ユーザへの不正行為の抑止力となるものであれば、その他の内容であってもよい。
・当日の施設からの退場
・入場が禁止されるなど、所定の制約や特別な監視が設けられる入場者の一覧であるブラックリストへの追加(ブラックリストは他の興行と共有されてもよい)
・一定期間(又は今後一切)のチケット購入の制限
・ファンクラブ等の各種会員資格の剥奪
・イベント参加の禁止(同伴者としての来場も含む)
・同じ主催者によるオンラインイベントの視聴の制限
・オンラインショップでの各種グッズの購入の制限
【0089】
(3-2)イベントデータベース
図8Bは、イベントデータベースのデータ構造の一例を示す図である。
図8Bに示すように、イベントデータベースにはイベント情報が格納される。イベント情報は、ユーザがチケットを購入して来場するイベント会場で行われるイベントに関する情報である。
図8Bに示すように、イベントデータベースは、「イベントID」フィールドと、「イベント名称」フィールドと、「運営会社」フィールドと、「イベント内容」フィールドと、「出演者」フィールドと、「開催日」フィールドと、「会場時刻」フィールドと、を含む。
【0090】
「イベントID」フィールドには、イベントを識別するためのIDが格納される。
【0091】
「イベント名称」フィールドには、イベントIDに対応するイベントの名称に関する情報が格納される。
【0092】
「運営会社」フィールドには、イベントIDに対応するイベントの運営会社に関する情報が格納される。
【0093】
「イベント内容」フィールドには、イベントIDに対応するイベントの内容に関する情報が格納される。イベントの内容に関する情報としては、例えば「プロ野球」又は「コンサート」などが挙げられる。
【0094】
「出演者」フィールドには、イベントIDに対応するイベントの出演者に関する情報が格納される。出演者に関する情報としては、チーム名、バンド名、グループ名、歌手又は役者の氏名等が挙げられる。
【0095】
「開催日時」フィールドには、イベントIDに対応するイベントの開催日時に関する情報が格納される。
【0096】
「会場時刻」フィールドには、イベントIDに対応するイベントの会場時刻が格納される。会場時刻とは、イベント会場への入場者の入場を開始する時刻である。
【0097】
(3-3)チケットデータベース
本実施形態のチケットデータベースおよび入場者データベースについて説明する。
図8Aは、本実施形態のチケットデータベースのデータ構造の一例を示す図である。
【0098】
図8Aに示すように、チケットデータベースには、チケット情報が格納される。
チケットデータベースは、「チケットID」フィールドと、「イベントID」フィールドと、「購入者ID」フィールドと、「座席番号」フィールドと、「検札ステータス」フィールドと、「チケット価格」フィールドと、「購入日時」フィールドと、を含む。
【0099】
「チケットID」フィールドには、チケットIDが格納される。チケットIDは、チケットを識別する情報である。
【0100】
「イベントID」フィールドには、チケットIDに対応するチケットが該当するイベントのイベントIDが格納される。
【0101】
「購入者ID」フィールドには、チケットIDに対応するチケットを購入したユーザのユーザIDが格納される。なお、購入者IDとして、ユーザのSNSのIDを登録してもよい。また、同伴者がいる場合には、購入者IDとともに同伴者IDを登録してもよい。
【0102】
「座席番号」フィールドには、座席番号情報が格納される。座席番号情報は、チケットIDによって識別されるチケットの購入者に割り当てられた座席(「区域」の一例)に関する情報である。
【0103】
「検札ステータス」フィールドには、チケットIDに対応するチケットが検札されたかどうかを示す情報が格納される。例えば、検札が行われた場合には、もぎり後と表示され、検札が行われていない場合には、もぎり前と表示される。
【0104】
「チケット価格」フィールドには、チケットIDに対応するチケットの価格に関する情報が格納される。
【0105】
「購入日時」フィールドには、チケットIDに対応するチケットが購入された日時に関する情報が格納される。
【0106】
(3-4)入場者データベース
図8Bは、本実施形態の入場者データベースのデータ構造の一例を示す図である。
図8Bに示すように、入場者データベースには、イベント会場への入場者に関する情報が格納される。
【0107】
図8Bに示すように、入場者データベースは、「入場者ID」フィールドと、「イベントID」フィールドと、「チケットID」フィールドと、「座席番号」フィールドと、「購入者ID」フィールドと、「入場者顔画像」フィールドと、「検札時刻」フィールドと、「検温結果」フィールドと、「対応ステータス」を含む。
【0108】
「入場者ID」フィールドには、入場者を識別する入場者IDが格納される。入場者IDは、例えば検札処理を行った順番にそって割り当てられるIDである。
【0109】
「イベントID」フィールドには、入場者IDに対応する入場者が来場したイベントのイベントIDが格納される。
【0110】
「チケットID」フィールドには、入場者IDに対応する入場者が所持しているチケットのチケットIDが格納される。すなわち、入場者データベースにおけるチケットIDフィールドには、入場者が検札時に提示したチケットのチケットIDが格納される。
【0111】
「座席番号」フィールドには、入場者IDに対応する入場者が所持しているチケットのチケットIDと関連付けられた座席番号が格納される。
【0112】
「購入者ID」フィールドには、入場者IDに対応する入場者が所持しているチケットの購入者のユーザIDが格納される。なお、SNSのIDや同伴者IDがチケットデータベースに登録されている場合には、「購入者IDとともに、これらのIDを格納してもよい。
【0113】
「入場者顔画像」フィールドには、入場者IDに対応する入場者が、検札時に撮影された顔画像が格納される。
【0114】
「検札時刻」フィールドには、入場者IDに対応する入場者が、検札処理を行った時刻が格納される。
【0115】
「一次検温結果」フィールドには、入場者IDに対応する入場者に対して、検札処理時に行われた検温(一次検温)の結果が格納される。検温結果としては、体温が所定の温度未満の場合には「平温」と表示され、体温が所定の温度以上の場合には、「高温」と表示される。
【0116】
「二次検温結果」フィールドには、入場者IDに対応する入場者のうち、一次検温において高温と判定された入場者に課される再検査の結果が格納される。すなわち、一次検温結果が高温とされ、二次検温結果が未入力の入場者は、本来受けるべき再検査を受けていないことが確認できる。
【0117】
「対応ステータス」フィールドには、入場者IDに対応する入場者に対して、現在行われている対応の内容が格納される。例えば、対応ステータスの項目および内容は以下のとおりである。
・対応なし(初期設定)…特に不正行為の疑義が検出されない状態
・疑義検出…不正行為の疑義が検出された状態
・追跡中…係員が被疑入場者を追跡、あるいは不正行為の確認を行っている状態
・制約対応済…何らかの制裁措置が行われた状態
・退場済み…施設からの退場措置がとられた状態
【0118】
(4)制御処理
本実施形態のチケット処理について説明する。
【0119】
(4-1)発券処理
本実施形態の発券処理について説明する。
図9は、本実施形態の発券処理のフローチャートである。
【0120】
図9に示すように、ユーザ端末10は、購入操作の受付(S110)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、入力デバイス15に対してなされた購入操作を、入出力インタフェース13を介して受け付ける。
チケットの購入者は、ユーザ本人に限られず、ユーザの代わりに、ユーザ端末10と同じ構成を有するチケット購入端末を操作する者(例えばチケット販売所の係員)であってもよい。
購入操作は、例えば、ユーザIDの入力、興行の選択、日時の選択、座席種別の選択、購入ボタン(ボタンオブジェクトまたは物理ボタン)の押下、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0121】
ステップS110の後に、ユーザ端末10は、発券の要求(S111)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS110において受け付けた購入操作の内容を参照して発券要求を生成する。発券要求は、一例として発券を要求するチケットの種別を特定する情報(例えば、興行、日時および座席種別を特定する情報)と、チケットの購入者のユーザIDとを含む。プロセッサ12は、通信インタフェース14を介して、チケット管理サーバ20へ発券要求を送信する。
【0122】
ステップS120の後に、チケット管理サーバ20は、チケットデータベースの更新(S120)を実行する。
具体的には、プロセッサ22は、未発行のチケットIDに関連付けて、発券要求に含まれるユーザIDをチケットデータベース(
図8A)に新規登録し、購入日時を更新する。これにより、チケットIDを元に、チケットの購入者を特定することが可能となる。
【0123】
ステップS121の後に、チケット管理サーバ20は、チケット情報の提供(S121)を実行する。
具体的には、プロセッサ22は、ステップS121におけるデータベースの更新内容を参照して、チケット情報を生成する。チケット情報は、ステップS121において新規登録したチケットIDを含む。さらに、チケット情報は、ステップS121において特定したチケット購入者のユーザIDを含むことができる。チケット情報に含まれる情報の一部または全部は例えばQRコードまたは他のコード情報に符号化されてもよい。プロセッサ22は、生成したチケット情報を、チケットの購入者に提供する。一例として、プロセッサ22は、通信インタフェース24を介してユーザ端末10へ送信する。
【0124】
ステップS122の後に、ユーザ端末10は、チケット情報の保存(S112)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、ステップS122において提供されたチケット情報を取得する。プロセッサ12は、取得したチケット情報を記憶装置11に保存する。これにより、プロセッサ12は、必要に応じて、チケット情報を表示できる。さらに、プロセッサ12は、オプションとして、以下の少なくとも1つを実行してもよい。
・出力デバイス16(印刷装置)に、チケット情報を紙またはその他の媒体へ印刷させる。
・通信インタフェース14に、チケット情報をチケットの購入者のユーザ端末10へ送信させる。
【0125】
(4-2)検札処理
本実施形態の検札処理について説明する。
図10は、本実施形態の検札処理の前半フローチャートである。
【0126】
図10に示すように、ユーザ端末10は、チケット情報の表示を行う(ステップS113)。具体的には、イベント会場に来場した入場者の、イベント会場の検札所におけるユーザ端末10の操作に応じて、プロセッサ12は、記憶装置11に保存したチケット情報を読み出して表示する。この際、チケット情報は、QRコード等の二次元コードの状態で表示してもよい。入場者は、表示されたチケット情報を検札装置30に対して提示する。
【0127】
ステップS113の後に、検札装置30は、チケットの読み取り(S130)を実行する。
具体的には、入場者によるチケットの提示時に、プロセッサ32は、可視光カメラ352と協同して、チケット情報を読み取る。
ステップS130において、プロセッサ32は、可視光カメラ352の撮影した画像を入場者向けに出力デバイス36(ディスプレイ)に表示してもよい。これにより、入場者に、チケットが撮影されている様子をフィードバックし、チケットの位置や姿勢の微調整を促すことができる。
【0128】
この際、検札装置30は、入場者の顔画像を撮影する(ステップS131)。
具体的には、入場者によるチケット情報の提示時に、プロセッサ32は、可視光カメラ352と協同して、当該入場者の顔画像を撮影する。なお、本実施形態では、チケットIDと顔画像とを同じ撮像装置により一度に取得しているが、異なる撮像装置により撮影してもよい。
ステップS131において、プロセッサ32は、可視光カメラ352の撮影した画像を入場者向け、あるいはスタッフ向けに出力デバイス36(ディスプレイ)に表示してもよい。これにより、入場者に、自らが撮影されている様子をフィードバックし、自らの位置や姿勢の微調整を促すことができる。
なお、例えば、検札所の係員が、携帯するスマートフォンにより、入場者の顔とチケットIDを撮影して入場処理を行うという態様であってもよい。
【0129】
ステップS131の後に、検札装置30は、体温の計測(S132)を実行する。
具体的には、入場者によるチケット情報の提示時に、プロセッサ32は、サーモグラフィー351と協同して、当該入場者の体温を計測する。
なお、ステップS132において、プロセッサ32は、サーモグラフィー351の撮影したサーモグラフィー画像を入場者向けに出力デバイス36(ディスプレイ)に表示させない。これにより、入場者が高熱であることを周囲の人物に気取られたり、自らが高熱であることを知って動揺したりするのを防ぐことができる。ただし、プロセッサ32は、サーモグラフィー351の撮影したサーモグラフィー画像を係員向けに出力デバイス36(ディスプレイ)に表示してもよい。
【0130】
検札装置30は、ステップS130、ステップS131、およびステップS132を
図10とは異なる順序で実行してもよい。一例として、検札装置30は、これらのステップのうち複数を同時に実行してもよい。
【0131】
ステップS130およびステップS130の後に、検札装置30は、入場可否の判定(S133)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、ステップS130において読み取ったチケット情報と、チケットデータベースと、を参照して、入場者の入場可否を判定する。
一例として、プロセッサ32は、ステップS131において取得したチケット情報に含まれるチケットIDが、チケットデータベースに記憶され、適正に購入されたチケットに関するものである場合に、入場者の入場を許可すると判定する。他方、プロセッサ32は、チケット情報に含まれるチケットIDが、適正に購入されたチケットに関するものではない場合に、入場者の入場を拒否すると判定する。
また、チケットIDを参照することなく、取得した顔画像を予め作成したブラックリストと比較して、ブラックリストに該当する入場者の入場を拒否する判定を行ってもよい。この場合には、ブラックリストに入っている人の情報(個人情報、画像、画像の特徴量等)、ユーザID、当該ユーザIDと紐づいたチケットID)を予めデータベース化しておいてもよい。
【0132】
前述のように、記憶装置21に記憶されるデータベースの少なくとも一部の複製が記憶装置31にも記憶されてもよい。この場合に、検札装置30は、記憶装置31に記憶された複製を参照することで、チケット管理サーバ20にアクセスすることなく高速に入場者の入場の可否を判定できる。ただし、個人情報保護の観点から、ユーザデータベース(
図7A)は、複製の対象から除外するようにしてもよい。
【0133】
つまり、検札装置30は、入場者が提示したチケット情報が真正なチケット情報であると判定した場合に入場者の入場を許可し、入場者が提示したチケット情報が真正なチケット情報であると判定しなかった場合に入場者の入場を拒否する。これにより、入場者は偽造したチケットを提示して入場することができないので、不正な手段を用いて来場する行為を抑制することができる。
なお、入場者の入場の拒否に関しては、検札処理の効率性の観点から、検札所での入場拒否は行わずに、入場拒否に該当する入場者又は係員に、所定の通知(例えば、入場が拒否される旨の通知、追加確認を求める旨の通知を含む)を出し、別途、係員ブースで対応するような態様であってもよい。
【0134】
図11は、本実施形態の検札処理の後半のフローチャートである。
図12は、体温計測の再検査の通知の画面例である。
ステップS133において、入場が不可となった場合には、検札装置30は、入場エラー処理(S135)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、ステップS133において入場者の入場を拒否すると判定した場合(ステップS134のNO)に、以下の少なくとも1つの処理を行う。
・警報の発報(例えば、ランプの点灯、所定音の出力、所定画面の表示、またはそれらの組み合わせにより、入場者の入場が拒否されたことを本人および係員に知覚させるとともに、係員にアフターケアを促す)
・ゲートの閉鎖(例えば、電動式のゲートのバー、またはフラップドアを閉じて入場者の入場を物理的に阻害する)
【0135】
なお、検札装置30付近の滞留を防ぐ観点から、係員によるアフターケアは、イベント会場内に便宜的に入場させるなど、所定のサービスを提供してから行われてもよい。係員によるアフターケアは、監視カメラの映像や各種サービスの利用履歴等を参照して、入場者が滞在する座席や利用している施設の所在地に対して係員が赴いて、チケットの真偽の確認に関するやり取りを行ってもよい。また、不正入場者のユーザ端末に向けて係員ブースへの来訪を促す通知を行ってもよい。一例として、係員は、入場者の属性情報、入場者の連絡先情報、チケットの購入時期、またはそれらの組み合わせを入場者から聞き取り、チケット情報と照合してもよい。係員が確認する情報としては、例えば以下が挙げられる。
・購入者や同伴者の個人情報(氏名、性別、年齢/年代、生年月日、住所、最寄り駅、連絡先、出身地、出身学校、等)
・購入者や同伴者の身分証明書の確認(免許証、パスポート、健康保険証、公共料金関連書類等)
・購入者や同伴者との関係性(家族、友人等)
ステップS135の後に、
図11の検札処理は終了する。
【0136】
ステップS133において、入場が可となった場合には、検札装置30は、入場の許可(S136)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、ステップS133において入場者の入場を許可すると判定した場合(ステップS134のYES)に、入場が許可された旨の通知を、係員又は入場者の少なくともいずれか一方に提示する。
【0137】
なお、入場を許可する際に、以下の少なくとも1つの処理を行ってもよい。
・入場が許可されたことの報知(例えば、ランプの点灯、所定音の出力、所定画面の表示、またはそれらの組み合わせにより、入場者の入場が許可されたことを本人および係員に知覚させる)
・ゲートの開放(例えば、電動式のゲートのバー、またはフラップドアを開いて入場者の進入を促す)
【0138】
ステップS136の後に、検札装置30は、高熱の判定(S137)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、ステップS132における入場者の体温の計測結果を参照し、当該入場者が高熱であるか否か(例えば、入場者の体温が閾値以上であるか否か)を判定する。この判定は一次検温と呼ぶこともできる。
閾値は、固定(例えば37.5度)であってもよいし、可変であってもよい。後者の例として、入場者よりも前にイベント会場に対する入場または退場の可否が判定された他の人物の体温の計測結果を参照して決定されてよい。これにより、撮影条件(例えば環境温度)の変動に起因した判定の誤りを抑制できる。
ステップS137において、入場者が高熱でないと判定された場合(ステップS138のNO)には、
図11の検札処理は終了する。
【0139】
ステップS137の後に、検札装置30は、通知の送信(S139)を実行する。
具体的には、検札装置30は、ステップS137において入場者が高熱であると判定された場合(ステップS138のYES)に、ステップS130において読み取ったチケット情報(例えばチケットIDまたはユーザID)から特定される入場者の連絡先へ通知を送信する。
【0140】
ステップS137において送信された通知は、例えば、
図12に示すように、入場者のユーザ端末10のディスプレイにメッセージ画像として表示される。入場者は、通知を確認することで、正式な検温(二次検温)を速やかに退場するよう促される。通知は、例えば、以下の情報の少なくとも1つを含む。
・入場者に正式な検温の実施を促す情報(M10)
・イベント会場の検温所に関する情報(M11)
・入場者に速やかな退場を促す情報
・入場者が高熱であることを伝える情報(M10)
・入場者に何らかの感染症に罹患している疑いがあることを伝える情報
・入場者に特定の感染症(例えば、通知を送信する時点における感染症に関する流行情報を参照して定められる感染症)に罹患している疑いがあることを伝える情報(M10)
・イベント会場の出口に関する情報
・イベント会場に関連付けられた医療機関に関する情報(例えば、名称、住所、連絡先、またはそれらの組み合わせ)
・入場者に対してイベント会場における区域(例えば指定席)の割り当てがないことを伝える情報(入場後に区域割り当てを通知するユースケース)
・入場者を集めるブースに関する情報
【0141】
なお、ステップS137からステップS139は、ステップS133からステップS136とは独立に実行されてもよい。一例として、ステップS137は、ステップS133よりも前に実行されてもよい。
ステップS139の後に、
図11の検札処理は終了する。
【0142】
(4-3)被疑入場者の検出処理
本実施形態の被疑入場者の検出処理について説明する。
図13は、本実施形態の被疑入場者の検出処理のフローチャートである。被疑入場者の検出処理は、前述の検札処理の後に行われる。被疑入場者の検出処理は、既に検札処理が済んだチケット情報を用いて、検札処理と並行して順次行われてもよいし、入場者による入場時間の終了後(全てのチケットの検札処理の終了後)に開始してもよい。
図13に示すように、検札装置30は、入場者データベースを作成する(ステップS140)。具体的には、検札装置30のプロセッサ32は、検札処理(もぎり)を行った順番に、入場者に対して入場者IDを割り振り、チケットデータベースおよびユーザデータベースを参照して、入場者データベースの各項目を格納する。この際、もぎり時に撮影した顔画像を入場者データベースに格納する。
【0143】
この際、プロセッサ32は、入場者データベースの内容の一部を用いて、イベント会場内を巡回する係員向けのチェックインリストを作成、または更新してもよい。
チェックインリストは、各入場者に対する検札処理の結果一覧に関する情報である。チェックインリストは、一例として以下の要素の少なくとも1つを含む。
・チェックイン時刻
・入場者の提示したチケットのチケットID
・チケットIDに関連付けられるユーザID
・ユーザIDに関連付けられるユーザ名
・入場可否の判定(ステップS133)の結果(入場許可/入場拒否)
・高熱の判定(ステップS136)の結果(高熱/平熱)
・高熱と判定された入場者が通知を確認したか否か
・高熱と判定された入場者に係員が正式な検温の実施、または退場を促す声掛けをしたか
・イベント会場においてユーザに割り当てられた区域(例えば指定席)
【0144】
チェックインリストは、例えば係員の声掛けリストに利用できる。声掛けリストは、例えば、高熱と判定された人物の一覧、または高熱と判定された人物に割り当てられた区域の一覧に関する情報である。
【0145】
ステップS140の後に、検札装置30は、被疑入場者の検出を行う(ステップS141)。具体的には、検札装置30のプロセッサ32は、入場者データベースに登録された情報、および監視カメラデータベースに記憶された入場者の会場内撮影画像の少なくとも一方を用いて、不正行為の疑いのある被疑入場者の検出を行う。プロセッサ32が疑義を検出する不正行為の類型には、例えば以下が挙げられる。
・不正転売により入手したチケットを用いて入場する行為
・チケットを持たずに(検札所を通らずに)イベント会場内に侵入する行為
・同一のチケットを複数人で共有して使用する行為(別日にまたがる共有も含む)
・本来の座席と異なる座席を使用する行為
・検温の再検査に応じない行為
・周囲に対する各種の不法行為(暴力行為、痴漢行為、危険物等の持ち込み、興行の主催者が持ち込みを禁止する物品を持ち込む行為等)
・イベントの運営を阻害する迷惑行為(泥酔、騒乱等)
・その他のイベント主催者が禁止する行為(関連グッズの無断販売等)
【0146】
例えば、チケットの不正転売に対しては、プロセッサ32は、異なる日に開催された複数のイベントにおいて、同じ顔画像の入場者に対して、異なるユーザIDが紐づけられた場合、不正転売の疑義として検出する。すなわち、対応するユーザが同一であるが対応するイベントが異なる複数のチケットIDに紐づけられた複数の顔画像同士を比較し、当該複数の顔画像が異なる人物に由来すると判定した場合に、不正転売を検出する。
【0147】
また、同一のチケットを複数人で共有して使用する行為に対しては、プロセッサ32は、入場者データベースにおいて、複数の入場者の顔画像に対して、一つのチケットIDが紐づけられている場合に、当該複数の顔画像同士を比較する。そして、当該複数の顔画像が異なる人物に由来すると判定した場合に、当該チケットIDに係るチケットが共有されたものとして、当該チケットIDを提示して入場した入場者を被疑入場者として検出する。なお、SNSのIDや同伴者IDが入場者データベースに登録されている場合には、これらの情報のキーにして、入場者の顔画像の重複を確認してもよい。
【0148】
また、チケットを持たずに(検札所を通らずに)イベント会場内に侵入する行為に対しては、プロセッサ32は、会場内撮影画像に撮影された入場者の顔と、入場者データベースに登録された顔画像と、の比較を行う。そして、プロセッサ32は、会場内撮影画像に写された入場者のうち、入場者データベースに登録されていない入場者が存在するかどうかを確認する。プロセッサ32は、入場者データベースに登録されていない入場者が確認された場合には、当該入場者は、チケットを持たずにイベント会場内に侵入した可能性があるものとして、当該入場者を被疑入場者として検出する。
【0149】
また、本来の座席と異なる座席を使用する行為に対しては、プロセッサ32は、入場者データベースを参照し、登録された座席番号に本来座るべき入場者の顔画像と、会場内撮影画像における当該座席の着席者が異なる場合に、当該座席の着席者を被疑入場者として検出する。
【0150】
また、不正転売に対しては、入場者の顔画像から算出される、性別・年齢などの推定値と購入者/同行者の登録情報が異なる場合、不正転売の疑義として検出してもよい。
また、不正転売の疑義を検出する手法としては、以下のいずれかであってもよい。
・同一購入者が複数イベントのチケットを購入したにも関わらず、入場者データベースに登録されたデータに、同一人物が居ない場合は、購入者が来場していないと判定する。
・同一購入者が多数のチケットを購入しており、その同伴者の顔画像が毎回違う人の場合、不正転売の疑義として検出する。
・入場時の顔画像と座席に座っている人が別人だった、或いは、入場データが存在していない座席に人が座っている場合、「良席の転売」と判定する。
・異なる日に開催された複数のイベントにおいて、同じ顔画像の入場者に対して、異なるユーザIDが紐づけられた場合、不正転売の疑義として検出する。
なお、例えば購入者が同一の複数のチケット情報が綴りとなったブックIDを保有する場合には、同一のブックIDで管理されるチケットについては、同一の入場者グループと判断して、その中でのチケットの交換を例外的に認めてもよい。
【0151】
また、検温の再検査に応じない行為に対しては、プロセッサ32は、再検査の通知を受けた後に、一定時間の経過後に再検査に応じない入場者を、被疑入場者として検出する。
【0152】
また、周囲に対する各種の不法行為、イベントの運営を阻害する迷惑行為、およびその他のイベント主催者が禁止する行為に対しては、プロセッサ32は、会場内撮影画像からこれらの行為を検出し、該当する入場者のユーザ情報をユーザデータベースから割り出したうえで、当該行為者を被疑入場者として検出する。
【0153】
ステップS141の後に、検札装置30は、制裁措置の支援を行う。(ステップS142)。制裁措置の支援とは、制裁措置の対象者となる被疑入場者に関する情報を係員端末40に提供することで、その後に行われる制裁措置を効率化させ、誤検出を予防する処理である。具体的には、プロセッサ32は、通信インタフェースを介して、係員端末40に、に不正使用の確認を促す情報を送信する。この際、係員端末40に送信する情報には、以下の少なくとも1つを含む。
・不正行為の類型
・不法行為が確認された位置を示すイベント会場内のマップ
・不法行為を撮影した会場内撮影画像
・会場内撮影画像に撮影された被疑入場者の位置を示すイベント会場内のマップ
・被疑入場者の入場者データベースに登録された顔画像
・被疑入場者のユーザ情報
・被疑入場者の座席番号およびイベント会場内のマップ
・被疑入場者のアカウント情報や決済情報を用いて、グッズ購入などの行動が行われたイベント会場内の位置に関する情報
・被疑入場者への対応方針の指示
このうち、会場内撮影画像に撮影された被疑入場者の情報については、正面から撮影された情報のみに基づいて処理されてもよい。
【0154】
ステップS142の後に、係員端末40は、被疑入場者の確認を行う(ステップS150)。具体的には、係員端末40に提供された情報に基づいて、係員が現場に赴き、被疑入場者が実際に不正行為を行っているかどうかを確認する。そして、その確認結果を係員が係員端末40に入力することで、被疑入場者における不正行為の有無が確定され、被疑入場者に該当するかどうかが確定する。入力された確認結果は、チケット管理サーバ20および検札装置30に送信される。
【0155】
ステップS150の後に、チケット管理サーバ20は、制裁措置を行う(ステップS160)。具体的には、チケット管理サーバ20のプロセッサ22は、制裁措置の対象となるユーザに対して、ユーザデータベースの「措置ステータス」フィールドを更新する。これにより、制裁措置として設定された各種の制限が、その後ユーザに対して適用される。制裁措置は、当該被疑入場者、または当該被疑入場者の使用したチケットの購入に関わった全てのユーザに対して適用されることが抑止力の観点から望ましい。なお、不正転売が禁止されていることを知らずに購入したユーザに対しては、イベント主催者の判断により、救済措置を与える等してもよい。
また、チケットを持たずにイベント会場に侵入した場合のように、ユーザIDをそもそも持たないものが不正行為を行った場合には、本人の氏名、性別、住所、顔写真(特徴量含む)等の個人情報を登録したブラックリストを作成し、制裁措置と同様の制限を課すこともできる。制裁措置の内容については、不正行為の内容、回数等から、適宜設定することができる。
【0156】
(5)効果
以上説明したように、本実施形態に係るチケットシステム1によれば、監視カメラが撮影した画像情報、および入場者データベースに登録された情報の少なくとも一方を用いて、不正行為の疑いのある被疑入場者を検出する。そして、被疑入場者のチケットの購入に関わったユーザに対して制裁措置を行う。このため、チケットの不正転売等の不正行為に対する抑止力を確保することができる。
また、検札時には、チケット情報と入場者の顔画像の撮影を同時に行う処理で済み、入場者の顔画像と、予め登録された顔画像との照合を行わないため、検札処理を極めて簡素な手続きにすることで、短時間にたくさんの入場者の検札処理を行うことができる。
また、入場者においては、例えば一般的な顔認証において採用されているような、本人および同行者の顔情報を事前に登録するシステムと異なり、同行者を直前まで決めなくて済むとともに、顔情報の事前登録に要する手間を省くことができる。
【0157】
また、イベント会場への入場時に、チケットIDと顔画像とを同じ撮像装置により一度に取得した場合には、検札処理の作業負担を大幅に減縮し、極めて短時間に効率的に入場者の検札処理を行うことができる。
【0158】
また、係員端末40に不正使用の確認を促す情報を送信し、係員端末40からの不正確認の入力により、当該入場者を記被疑入場者として検出するので、係員により不正行為を確認することで、被疑入場者の誤検出を抑制することができる。
【0159】
また、検札装置30は、入場者の体温の計測結果を参照することなく入場可否を判定する一方で、当該計測結果を参照して入場者が高熱であるか否かを判定し、入場者が高熱であると判定された場合には入場者の連絡先に通知を送信する。これにより、入場者は高熱のみを理由に検札所で足止めをされることがない。故に、周囲の人物は入場者が高熱であることに気付かないので、近くに高熱の者が居たことに対する不安や嫌悪感などの悪感情が生じない。他方、入場者は、高熱のみを理由に入場を拒否されて好奇の目にさらされることがない。従って、この検札装置30、およびこの検札装置30を含むチケットシステム1によれば、イベント会場への入場者の誰にも検札時検温に伴う不快感を与えずに済むので、高熱の人物が発見された場合にも混乱およびトラブルの発生を防止することができる。また、高熱と判定された入場者は、受信した通知を確認することで正式な検温を実施し、またはイベント会場から速やかに退場するように促される。故に、高熱と判定された入場者がイベント会場に長時間滞在することによる感染の拡散を防止することができる。
(6)変形例
本実施形態の変形例について説明する。
【0160】
(6-1)変形例1
変形例1について説明する。変形例1では、検札装置30が作成したチェックインリストを用いて、係員が不正行為の確認を行う。この場合には、検札装置30による不正行為の疑義の検出は省略され、係員端末40への不正行為の確認結果の入力のみにより、被疑入場者が検出される。
【0161】
具体的には、前述したチェックインリストを用いて、係員が声掛けリストを閲覧しながらイベント会場内を巡回し、不正行為を行っているものを監視する。係員は、例えば、高熱と判定された入場者に割り当てられていた区域に人物を発見した場合に、当該人物に声掛け(例えばチケットの提示要求)を行う。これにより、高熱と判定された人物が再検査(正式な検温)、または退場を促す通知を見ていない、または無視して居座ろうとしていた場合であっても、当該人物を強制的に検温し、または退場させることができる。また、この人物が自らに割り当てられた区域を単に勘違いしていた場合には、正しい区域に案内することができる。係員は、検温し、または退場させた人物の欄、または無人状態であることを確認した区域の欄にチェックを入れる。
複数の係員の端末間で声掛けリストの状態を共有することで、検温または退場の確認が取れていない人物を正確に把握して、開場から興行が開始するまでの限られた時間内に高熱と判定された人物を検温し、またはイベント会場から退場させることができる。
【0162】
(6-2)変形例2
変形例2について説明する。変形例2では、不正行為が確認された後に、該当する入場者に対して、不正行為の被疑に関する通知を行う。具体的には、前述のステップS150の後に、不正行為の被疑に関する通知を該当するユーザ端末10に向けて送信する。不正行為の被疑に関する通知には、以下の項目の少なくとも1つが含まれる。
・当該ユーザの不正行為が確認されている旨の案内
・係員が駐在する係員ブースへの来訪の案内
・係員ブースへの来訪を拒んだ場合に、その後に行われる制裁措置に関する案内
【0163】
そして、係員ブースに被疑入場者が訪れた場合には、身分証の確認や、不正行為に関する質疑を行い、不正行為の被疑入場者への確認作業を行う。係員により改めて不正行為が確認された場合、および係員ブースへの来訪を拒んだ場合には、制裁措置の対象となる。
【0164】
(6-3)変形例3
変形例3について説明する。変形例3は、入場者の退場時に検札および検温を行う例である。
【0165】
変形例3の検札装置30は、イベント会場から退場しようとする入場者の退場の可否を判定し、かつ当該入場者の高熱判定を行う。退場は、再入場を前提とした一時退場であってもよい。入場は、初回の入場に限られず再入場であってもよい。
【0166】
変形例3の検札装置30の検札処理は、本実施形態の検札処理(
図11)において「入場」の語を「退場」の語として適宜読み替えることで実現可能である。
【0167】
変形例3は、本実施形態と組み合わせ可能である。すなわち、検札装置30は、イベント会場への入場者の入場の可否を判定し、かつイベント会場からの入場者の退場の可否を判定してもよい。
【0168】
(6-4)変形例4
変形例4について説明する。変形例4は、入場者が高熱であると判定された場合に、当該入場者と所定の位置関係にあった人物(「接触者」とする)を特定し、当該接触者の連絡先に通知を送信する例である。
【0169】
具体的には、検札装置30は、イベント会場に対する入場時もしくは退場時、またはイベント会場における滞在時における、入場者との接触者を特定する。
【0170】
接触者の特定の第1の例では、検札装置30は、イベント会場に対する入場時、または退場時に、高熱と判定された入場者に隣接して並んでいた人物の少なくとも1人を接触者として特定する。入場者に隣接して並んでいた人物は、検札履歴から特定可能である。人数は固定であってもよいし、通知を送信する時点における感染症に関する流行情報を参照して定められる感染症の性質、または検札所において定められる入場者間の距離に応じて可変としてもよい。一例として、検札装置30は、入場者の1つ前に並んでいた人物、2つ前に並んでいた人物、および1つ後に並んでいた人物を接触者として特定する。
【0171】
接触者の特定の第2の例では、検札装置30は、イベント会場における滞在時に、イベント会場において入場者に割り当てられた区域と所定の位置関係にある区域(例えば隣接する座席)を割り当てられた人物を接触者として特定する。検札装置30は、各人に割り当てられた区域をチケット管理サーバ20または他の外部装置に照会してもよい。前述のチケットデータベース(
図7)に格納された座席番号情報から各人に割り当てられた座席を特定可能である。
【0172】
接触者の特定の第3の例では、検札装置30は、ユーザ端末10同士が近接した時に近接無線通信(例えばBluetooth)を用いて互いにやり取りされた情報を参照して、イベント会場に対する入場時、もしくは退場時、またはイベント会場における滞在時に、高熱と判定された入場者の周囲に居た人物を接触者として特定する。また、監視カメラに写された映像を用いて接触者と特定してもよい。
【0173】
接触者の特定後に、検札装置30は、特定した接触者の連絡先へ通知を送信する。接触者の連絡先は、例えば当該接触者の提示したチケット情報から特定可能である。
【0174】
接触者は、通知を確認することで、感染症をうつされたおそれがあることを認識し、行動変容を促される。例えば、接触者は、通知の確認後、自らの体調を注意深く観察する、または人の集まる場を避ける、などの行動を採るように促される。さらに、接触者が発熱した場合には所定の窓口への連絡を促すことで、感染症の実態把握に資する情報を収集することもできる。
通知は、例えば、以下の情報の少なくとも1つを含む。
・接触者が高熱を発症している者と接触した可能性があることを伝える情報
・接触者が何らかの感染症に罹患した可能性があることを伝える情報
・接触者が特定の感染症(例えば、通知を送信する時点における感染症に関する流行情報を参照して定められる感染症)に罹患している可能性があることを伝える情報
・接触者が発熱した場合に連絡すべき窓口に関する情報
【0175】
以上説明したように、変形例4の検札装置30は、入場者が高熱であると判定された場合に、当該入場者と所定の位置関係にあった接触者を特定し、当該接触者の連絡先に通知を送信する。これにより、高熱と判定された入場者から感染症をうつされた可能性がある接触者に注意喚起し、当該接触者を起点とした感染症のさらなる拡散を防止することができる。
【0176】
(7)その他の変形例
記憶装置11は、ネットワークNWを介して、ユーザ端末10と接続されてもよい。記憶装置21は、ネットワークNWを介して、チケット管理サーバ20と接続されてもよい。記憶装置31は、ネットワークNWを介して、検札装置30と接続されてもよい。記憶装置41は、ネットワークNWを介して、係員端末40と接続されてもよい
【0177】
上記の検札処理は、
図11のように検札装置30が単独で行ってもよいし、検札装置30と他の装置(例えばチケット管理サーバ20)とが協同して行ってもよい。
また、検札処理は、撮影装置によらず、その他の電子的手段により、チケット情報を読み取ってもよい。例えば、以下が挙げられる。
・ユーザ端末10が表示したチケット券面への電子スタンプの押下する方法
・RFIDアンテナにより、入場者が携行するタグに含まれるチケット情報を読み取る方法
・Bluetooth(登録商標)、NFC等のその他の無線通信により、ユーザ端末10又は会員証からチケット情報を読み取る方法
上記の一例としては、NFCカードである会員証を読み取る端末と、入場者の顔を撮影するカメラにより検札処理を行ってもよい。
また、その他の例として、RFID又はBluetooth(登録商標)を用いて、中距離で入場者を確認する端末と、顔を撮影するカメラにより、検札処理を行ってもよい。
これらの場合には、撮影装置によるチケットID又は会員ID(会員証)の撮影は省略することができる。
【0178】
上記の被疑入場者の検出処理は、
図13に示すように、検札装置30が全てを行ってもよいし、チケット管理サーバ20または、その他のコンピュータが、処理の一部、または全部を行ってもよい。
【0179】
実施形態では、チケット情報の読み取りを行う例を示した。しかしながら、チケット情報の読み取りに代えて、ユーザIDの読み取りを行ってもよい。すなわち、検札時には入場者のユーザIDと顔画像を取得して、その後に検札装置30がユーザIDとチケットIDの照会を行ってもよい。この場合には、後発的に、ユーザIDに紐づいているチケット情報があるかどうかの確認が行われる。そして、ユーザIDに紐づいているチケット情報がない場合には、不正入場として、被疑入場者の検出が行われる。
この場合には、会員証に含まれる電子タグや会員証に掲載された一次元/二次元コードに記憶されるユーザIDを読み取ることで、ユーザの利用権限が確認される。すなわち、チケットシステムは、チケット情報に代えて、ユーザの施設の利用権限を証明する情報の取得を行ってもよい。このような場合の具体例を如何に列挙する。
・イベント会場の入場者に対して、予めチケット情報と関連付けられたユーザIDを読み取る場合
・スポーツジムの利用者に対して、ユーザIDを読み取る場合
・テーマパークの各アミューズメント施設の利用券について、予め利用券の購入に関する電子決済が行われたユーザIDの読み取りを行う場合
【0180】
例えばスポーツジムの利用者に対して本発明を適用する場合には、利用開始時に会員証とユーザの顔画像を取得する。そして、一旦利用を許可したうえで、不正利用が検出された場合には、係員が個別に声掛けを行うことができる。
また、テーマパークの各アミューズメント施設の利用者に本発明を適用する場合には、例えばジェットコースター(施設)の搭乗口で、ユーザIDと顔画像を取得し、搭乗を許可する。そして、例えば予め購入した利用券に不足が生じている場合には、その旨の通知を行うとともに、個別に係員が声がけを行う。
【0181】
なお、会員証等のユーザIDの読み取りを行う場合には、施設を利用可能なユーザIDかどうか、又は施設を利用可能なチケット情報と紐づいているユーザIDかどうかを確認することで、不正利用の該否が確認される。
【0182】
実施形態では、入場者の顔画像を撮影する例を示した。しかしながら、入場者の顔画像は動画撮影によりおこなってもよい。例えば、RFIDのように比較的通信範囲が広い手段を採用する場合には、入場ゲートを通過する入場者の顔画像を動画で連続的に撮影し、チケット情報の読み取りから一定時間の範囲内で撮影された動画から静止画フレームを抽出し、当該チケットを提示した入場者として紐づけてもよい。
【0183】
実施形態では、入場者の顔画像を撮影する例を示した。しかしながら、入場者の顔画像に代えて、他のバイオメトリクス(例えば、指紋、掌紋、虹彩、静脈、筋電位など)に関する情報を取得してもよい。また、入場者の歩容情報、服装、装飾品又は眼鏡などの装身具を、入場者を識別する情報として取得してもよい。
この場合には、例えばチケット情報を含むQRコードを読み取り端末で読み取り、入場者の掌をカメラで撮影してもよい。
【0184】
実施形態では、サーモグラフィー351を用いて体温計測手段を実現する例を示した。しかしながら、サーモグラフィー351の代わりに、またはサーモグラフィー351に加えて、赤外線体温計を用いて体温計測手段を実現することもできる。
また、赤外線体温計に代えて、電子体温計、液晶式、光学式、人工知能を搭載した方式など、人の体温を計測するあらゆる手段を適用することができる。また、測定箇所は顔に限られず、手首や耳など、その他の部位を計測してもよい。
【0185】
実施形態では、高熱と判定された入場者の連絡先に当該入場者に対してイベント会場における区域(例えば指定席)の割り当てがないことを伝える情報を含む通知を送信する例を示した。しかしながら、検札装置30は、高熱でないと判定された入場者の連絡先に当該入場者に対して割り当てられる区域に関する情報を含む通知を送信する一方で、高熱であると判定された入場者の連絡先には当該入場者に対して割り当てられる区域に関する情報を含む通知を送信しなくてもよい。
【0186】
実施形態では、チケット管理サーバ20が、チケット情報をユーザ端末10に送信する例を示した。しかしながら、チケット管理サーバ20は、チケット情報の代わりに、当該チケット情報の保存されたリソースを参照するためのリソース情報(例えば、URL(Uniform Resource Locator))をユーザ端末10へ送信してもよい。入場者は、自らのユーザ端末10によってリソース情報の示すリソースにアクセスすることで、当該ユーザ端末10のディスプレイにチケット情報を表示させることができる。
【0187】
高熱であると判定され一旦は退場した入場者が、高熱の判定が覆ることを期待してイベント会場への再入場を試みる可能性がある。かかる場合に、入場者の再入場を阻止するために種々の対策を採ることができる。
一例として、検札装置30は、例えば、チェックインリストにおいて、高熱と判定された入場者の提示したチケットのチケットIDに関連付けられるフラグ(「高熱フラグ」)を「0」から「1」に書き換える。そして、検札装置30は、入場可否の判定(ステップS133)においてチェックインリストを参照し、チケットIDに関連付けられる高熱フラグが「1」であった場合には、その他の情報を参照することなく対象物の入場を拒否すると判定する。
【0188】
実施形態では、チケット情報に含まれる情報の一部または全部は例えばQRコードまたは他のコード情報に符号化される例を示した。一例として、チケットは、チケットIDと参照用文字列とがQRコードを含むことができる。
チケット管理サーバ20のプロセッサ22は、発券処理時に、例えば、チケットID、興行ID(チケットの対象となる興行を識別する情報)を引数として所定の関数の演算を行うことで、参照用文字列を生成する。
検札装置30の記憶装置31には、検札の対象となる興行に対応する興行IDと上記関数とが保存されている。検札装置30のプロセッサ32は、検札処理時に、チケットから読み取ったチケットIDと、記憶装置31から読み出した興行IDを引数として、記憶装置31から読み出した関数の演算を行うことで、認証対象文字列を生成する。検札装置30は、チケットから読み取った参照用文字列を認証対象文字列と比較することで、入場者の入場の可否を判定する。
この例によれば、検札装置30の記憶装置31にユーザの個人的な情報を保存することなく、チケットの不正転売を抑制することができる。
【0189】
なお、実施形態では不正入場の疑いがある被疑入場者に対して、通知を行う旨を説明したが、このような態様に限られない。すなわち、本発明では、所定の条件に合致する可能性のある利用者を抽出し、当該利用者に対する所定の措置の支援を行うことができるシステムである。所定の条件には、以下が挙げられる。
・特典の付与対象となった入場者(何番目の来場、その他の特典)
・有名人などの特別対応が望ましい入場者
・アンケートの回答をお願いしたい入場者
・忘れ物等の通達事項がある入場者
・キャンペーンのお知らせやグッズの提案、挨拶等、各種営業活動を行いたい入場者
所定の措置の支援としては、以下が挙げられる。
・係員ブースへの訪問を促す通知
・VIP席などの特別対応を行う旨の通知
・アンケートへの回答を依頼する通知
・特典を付与する旨の通知
これらの場合には、係員端末には、当該所定の措置を行ううえで、対象となる入場者を特定するための必要な情報が通知される。係員は送信された情報を確認して、所定の条件に合致する可能性のある利用者を探し、所定の条件に該当するかどうかを確認して、その後の必要な対処を行う。
【0190】
本発明が検出する内容や連動する端末は、前述の内容に限られない。例えば、以下の態様により、各種の不正行為の疑義を検出することができる。
・監視カメラの映像から、所定の条件に合致する可能性のある行動を検出する
・・不法行為の蓋然性の高い行動をとる人を、人口知能を用いた動画判定により検出する。
・・顔色が悪い等、体調が悪い可能性がある人を検出する。
・・禁止されているペットの同伴の疑義を検出する。
・・その他の禁止行為の疑義を検出する。
・X線センサ、赤外線センサ等で「手荷物検査」を実施
・・手荷物検査に引っかかる可能性が高い人を写真で検出する
・呼気センサで飲酒検査を実施する。
・入場が制限される者の顔写真を検出する。
・・警察の指名手配リストの活用
・・過去の不正利用者(不正行為が確認された者)の顔写真リストの活用
【0191】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【0192】
(8)付記
実施形態および変形例で説明した事項を、以下に付記する。
【0193】
(付記1)
コンピュータのプロセッサに、
各種のサービスを提供する施設の利用時に、チケット情報を識別するチケットIDおよびユーザIDのうちの少なくとも一方と、利用者の顔画像と、を取得して、これらを互いに紐づけて登録するステップと、
施設内の監視カメラが撮影した画像情報、および登録された顔画像の少なくとも一方を用いて、所定の条件に合致する可能性のある利用者を抽出するステップと、
所定の条件に合致する可能性のある利用者を抽出した際に、当該利用者に対する所定の措置の支援を行うステップと、を実行させるプログラム。
【0194】
(付記2)
所定の条件に合致する可能性のある利用者を抽出するステップでは、
施設の不正利用の疑いのある被疑入場者を検出するステップを実行させ、
所定の措置の支援を行うステップでは、
不正利用を行った疑いのある被疑利用者、または当該被疑利用者の使用したチケットの流通に関わったユーザの少なくとも一人に対する所定の制裁措置の支援を行うステップを実行させる、付記1に記載のプログラム。
【0195】
(付記3)
措置の支援を行うステップでは、
係員端末に、利用者が所定の条件に合致する可能性を示す情報を送信し、
係員端末への入力操作により、利用者を所定の条件に合致する者として確定する、付記1又は2に記載のプログラム。
【0196】
(付記4)
被疑入場者を検出するステップでは、
入場者データベースに登録され、かつ対応するユーザが同一であるが対応するイベントが異なる複数のチケットIDに紐づけられた複数の顔画像同士を比較し、当該複数の顔画像が異なる人物に由来すると判定した場合に、当該複数の顔画像に対応する入場者を被疑入場者として検出する、付記1から3のいずれかに記載のプログラム。
【0197】
(付記5)
被疑入場者を検出するステップでは、
入場者データベースに登録されたチケットIDに複数の顔画像が紐づけられた場合に当該複数の顔画像同士を比較し、当該複数の顔画像が異なる人物に由来すると判定した場合に、当該複数の顔画像に対応する入場者を被疑入場者として検出する、付記1から4のいずれかに記載のプログラム。
【0198】
(付記6)
被疑入場者を検出するステップでは、
画像情報に撮影された入場者の顔と、入場者データベースに登録された顔画像とを比較し、
入場者データベースに顔画像が登録されていない入場者を被疑入場者として検出する、付記1から5のいずれかに記載のプログラム。
【0199】
(付記7)
プロセッサに、
施設の利用時に、入場者の体温を計測するステップと、
計測された利用者の体温の計測結果を参照して、利用者が高熱であるか否かを判定するステップを更に実行させ、
被疑利用者を検出するステップでは、
高温であると判定された利用者を、被疑入場者として検出する、付記1から6のいずれかに記載のプログラム。
【0200】
(付記8)
判定するステップにおいて、高熱であると判定された入場者の連絡先に対して、再検査の通知を送信するステップと、をさらに実行させ、
被疑入場者を検出するステップでは、
再検査の通知を受けた後に、再検査に応じない入場者を被疑入場者として検出する、付記7に記載のプログラム。
【0201】
(付記9)
所定の制裁措置とは、将来的なサービスの利用の制限である、付記1から7のいずれかに記載のプログラム。
【0202】
(付記10)
制裁措置の支援を行うステップでは、
被疑入場者の居場所を示す情報を、係員端末に提供する、付記1から8のいずれかに記載のプログラム。
【0203】
(付記11)
コンピュータのプロセッサが、
各種のサービスを提供する施設の利用時に、チケット情報を識別するチケットIDおよびユーザIDのうちの少なくとも一方と、利用者の顔画像と、を取得して、これらを互いに紐づけて登録するステップと、
施設内の監視カメラが撮影した画像情報、および登録された顔画像の少なくとも一方を用いて、所定の条件に合致する可能性のある利用者を抽出するステップと、
所定の条件に合致する可能性のある利用者を抽出した際に、当該利用者に対する所定の措置の支援を行うステップと、を実行する方法。
【0204】
(付記12)
コンピュータのプロセッサを備え、
各種のサービスを提供する施設の利用時に、チケット情報を識別するチケットIDおよびユーザIDのうちの少なくとも一方と、利用者の顔画像と、を取得して、これらを互いに紐づけて登録するモジュールと、
施設内の監視カメラが撮影した画像情報、および登録された顔画像の少なくとも一方を用いて、所定の条件に合致する可能性のある利用者を抽出するモジュールと、
所定の条件に合致する可能性のある利用者を抽出した際に、当該利用者に対する所定の措置の支援を行うモジュールと、を備えるシステム。
【符号の説明】
【0205】
1 :チケットシステム
10 :ユーザ端末
20 :チケット管理サーバ
30 :検札装置
351 :サーモグラフィー
352 :可視光カメラ
40 :係員端末
【要約】 (修正有)
【課題】検札処理を極めて簡素な手続きにしつつ、一定の不正検知の仕組みを提供することで、短時間にたくさんの入場者の検札処理を行いつつ、入場者による不正意欲を抑制するプログラム、方法及びシステムを提供する。
【解決手段】チケットシステムにおいて、検察装置30は、各種のサービスを提供する施設の利用時に、チケット情報を識別するチケットID及びユーザIDのうちの少なくとも一方と、利用者の顔画像と、を取得して、これらを互いに紐づけて登録する。そして、施設内の監視カメラが撮影した画像情報及び登録された顔画像の少なくとも一方を用いて、所定の条件に合致する可能性のある利用者を抽出する。さらに、所定の条件に合致する可能性のある利用者を抽出した際に、当該利用者に対する所定の措置の支援を行う。
【選択図】
図1