(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20220704BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
A61B5/11 320
A61B5/00 101M
(21)【出願番号】P 2017212296
(22)【出願日】2017-11-01
【審査請求日】2020-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】503420833
【氏名又は名称】学校法人常翔学園
(73)【特許権者】
【識別番号】000107284
【氏名又は名称】ジェクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 恵理
(72)【発明者】
【氏名】平岡 勝之
(72)【発明者】
【氏名】利光 勝久
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-144188(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0196247(US,A1)
【文献】西 恵理,乳児の吸啜時における舌が乳首に与える力の計測と臨床応用に関する研究,学位論文 [online],大阪電気通信大学,2014年,17-63ページ,インターネット<URL:http://id.nii.ac.jp/1148/00000125/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置であって、
前記乳児の口腔内において、前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知するセンサを備え、
前記センサは、前記乳児の口腔内に配置された状態において、前記乳児の舌の根尖方向に複数個並べられて配置され、
前記センサは、予め任意に設定される複数個のエリア内にそれぞれ単数個または複数個配置され、
前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、前記乳児の吸啜能力の良否判定を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、必要な力で前記乳児が吸啜動作を行っているか否かについて判定を行うものであり、
所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値をエリア毎に算出し、
前記複数個のエリアのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値を基に、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位二個のエリアを選定し、
前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌根側に配置されるエリアを第一評価エリアとして採用し、前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌尖側に配置されるエリアを第二評価エリアとして採用し、
前記第一評価エリアにおける前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を第一評価値とし、前記第二評価エリアにおける前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を第二評価値とし、
「前記第二評価値/前記第一評価値≧所定の割合」の関係を満たすと判断した場合に前記乳児の吸啜力が強く吸啜能力が良好であると判定し、「前記第二評価値/前記第一評価値≧所定の割合」の関係を満たさないと判断した場合に前記乳児の吸啜力が弱く吸啜能力が不良であると判定する、
乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置。
【請求項2】
乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置であって、
前記乳児の口腔内において、前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知するセンサを備え、
前記センサは、前記乳児の口腔内に配置された状態において、前記乳児の舌の根尖方向に複数個並べられて配置され、
前記センサは、予め任意に設定される複数個のエリア内にそれぞれ単数個または複数個配置され、
前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、前記乳児の吸啜能力の良否判定を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて判定を行うものであり、
所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値をエリア毎に算出し、
前記複数個のエリアのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値を基に、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位二個のエリアを選定し、
前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌根側に配置されるエリアを第一評価エリアとして採用し、前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌尖側に配置されるエリアを第二評価エリアとして採用し、
前記第一評価エリアおよび前記第二評価エリアに配置されるセンサのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位の二個のセンサを選定し、
前記選定された二個のセンサのうち、前記所定時間内において前記乳児の舌根側に配置されるセンサが検知した一回の吸啜サイクル中における前記乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第一評価値として採用し、前記選定された二個のセンサのうち、前記所定時間内において前記乳児の舌尖側に配置されるセンサが検知した一回の吸啜サイクル中における前記乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第二評価値として採用し、
「前記第一評価値と前記第二評価値との時間差/周期≧所定の割合」の関係を満たすと判断した場合に適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っており吸啜能力が良好であると判定し、「第一評価値と第二評価値との時間差/周期≧所定の割合」の関係を満たさないと判断した場合に適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っておらず吸啜能力が不良であると判定する、
乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置。
【請求項3】
乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置であって、
前記乳児の口腔内において、前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知するセンサを備え、
前記センサは、前記乳児の口腔内に配置された状態において、前記乳児の舌の根尖方向に複数個並べられて配置され、
前記制御部は、
前記乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、必要な力で前記乳児が吸啜動作を行っているか否かについて判定を行うものであり、
所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値をエリア毎に算出し、
前記複数個のエリアのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値を基に、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位二個のエリアを選定し、
前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌根側に配置されるエリアを第一評価エリアとして採用し、前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌尖側に配置されるエリアを第二評価エリアとして採用し、
前記第一評価エリアにおける前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を第一評価値とし、前記第二評価エリアにおける前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を第二評価値とし、
「前記第二評価値/前記第一評価値≧所定の割合」の関係を満たすと判断した場合に前記乳児の吸啜力が強く吸啜能力が良好であると判定し、「前記第二評価値/前記第一評価値≧所定の割合」の関係を満たさないと判断した場合に前記乳児の吸啜力が弱く吸啜能力が不良であると判定し、
前記制御部は、
前記乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて判定を行うものであり、
前記第一評価エリアおよび前記第二評価エリアに配置されるセンサのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位の二個のセンサを選定し、
前記選定された二個のセンサのうち、前記所定時間内において前記乳児の舌根側に配置されるセンサが検知した一回の吸啜サイクル中における前記乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第一評価値として採用し、前記選定された二個のセンサのうち、前記所定時間内において前記乳児の舌尖側に配置されるセンサが検知した一回の吸啜サイクル中における前記乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第二評価値として採用し、
「前記第一評価値と前記第二評価値との時間差/周期≧所定の割合」の関係を満たすと判断した場合に適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っており吸啜能力が良好であると判定し、「第一評価値と第二評価値との時間差/周期≧所定の割合」の関係を満たさないと判断した場合に適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っておらず吸啜能力が不良であると判定する、
乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置。
【請求項4】
乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置であって、
前記乳児の口腔内において、前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知するセンサを備え、
前記センサは、前記乳児の口腔内に配置された状態において、前記乳児の舌の根尖方向に複数個並べられて配置され、且つ、前記乳児の舌の左右方向に複数並べられて配置され、
前記制御部は、
前記乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、必要な力で前記乳児が吸啜動作を行っているか否かについて判定を行うものであり、
所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値をエリア毎に算出し、
前記複数個のエリアのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値を基に、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位二個のエリアを選定し、
前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌根側に配置されるエリアを第一評価エリアとして採用し、前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌尖側に配置されるエリアを第二評価エリアとして採用し、
前記第一評価エリアにおける前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を第一評価値とし、前記第二評価エリアにおける前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を第二評価値とし、
「前記第二評価値/前記第一評価値≧所定の割合」の関係を満たすと判断した場合に前記乳児の吸啜力が強く吸啜能力が良好であると判定し、「前記第二評価値/前記第一評価値≧所定の割合」の関係を満たさないと判断した場合に前記乳児の吸啜力が弱く吸啜能力が不良であると判定する、
乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置。
【請求項5】
乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置であって、
前記乳児の口腔内において、前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知するセンサを備え、
前記センサは、前記乳児の口腔内に配置された状態において、前記乳児の舌の根尖方向に複数個並べられて配置され、且つ、前記乳児の舌の左右方向に複数並べられて配置され、
前記センサは、予め任意に設定される複数個のエリア内にそれぞれ単数個または複数個配置され、
前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、乳児の吸啜能力の良否判定を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて判定を行うものであり、
所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値をエリア毎に算出し、
前記複数個のエリアのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値を基に、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位二個のエリアを選定し、
前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌根側に配置されるエリアを第一評価エリアとして採用し、前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌尖側に配置されるエリアを第二評価エリアとして採用し、
前記第一評価エリアおよび前記第二評価エリアに配置されるセンサのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位の二個のセンサを選定し、
前記選定された二個のセンサのうち、前記所定時間内において前記乳児の舌根側に配置されるセンサが検知した一回の吸啜サイクル中における前記乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第一評価値として採用し、前記選定された二個のセンサのうち、前記所定時間内において前記乳児の舌尖側に配置されるセンサが検知した一回の吸啜サイクル中における前記乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第二評価値として採用し、
「前記第一評価値と前記第二評価値との時間差/周期≧所定の割合」の関係を満たすと判断した場合に適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っており吸啜能力が良好であると判定し、「第一評価値と第二評価値との時間差/周期≧所定の割合」の関係を満たさないと判断した場合に適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っておらず吸啜能力が不良であると判定する、
乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置。
【請求項6】
乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置であって、
前記乳児の口腔内において、前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知するセンサを備え、
前記センサは、前記乳児の口腔内に配置された状態において、前記乳児の舌の根尖方向に複数個並べられて配置され、且つ、前記乳児の舌の左右方向に複数並べられて配置され、
前記センサは、予め任意に設定される複数個のエリア内にそれぞれ単数個または複数個配置され、
前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、乳児の吸啜能力の良否判定を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、必要な力で前記乳児が吸啜動作を行っているか否かについて判定を行うものであり、
所定時間内における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値をエリア毎に算出し、
前記複数個のエリアのうち、前記所定時間内における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を基に、所定時間内における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位二個のエリアを選定し、
前記選定した二個のエリアのうち乳児の舌根側に配置されるエリアを第一評価エリアとして採用し、前記選定した二個のエリアのうち乳児の舌尖側に配置されるエリアを第二評価エリアとして採用し、
前記第一評価エリアにおける前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を第一評価値とし、前記第二評価エリアにおける前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を第二評価値とし、
「前記第二評価値/前記第一評価値≧所定の割合」の関係を満たすと判断した場合に前記乳児の吸啜力が強く吸啜能力が良好であると判定し、「前記第二評価値/前記第一評価値≧所定の割合」の関係を満たさないと判断した場合に前記乳児の吸啜力が弱く吸啜能力が不良であると判定し、
前記制御部は、
前記乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて判定を行うものであり、
前記第一評価エリアおよび前記第二評価エリアに配置されるセンサのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位の二個のセンサを選定し、
前記選定された二個のセンサのうち、前記所定時間内において前記乳児の舌根側に配置されるセンサが検知した一回の吸啜サイクル中における前記乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第一評価値として採用し、前記選定された二個のセンサのうち、前記所定時間内において前記乳児の舌尖側に配置されるセンサが検知した一回の吸啜サイクル中における前記乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第二評価値として採用し、
「前記第一評価値と前記第二評価値との時間差/周期≧所定の割合」の関係を満たすと判断した場合に適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っており吸啜能力が良好であると判定し、「第一評価値と第二評価値との時間差/周期≧所定の割合」の関係を満たさないと判断した場合に適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っておらず吸啜能力が不良であると判定する、
乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置に関する技術は公知となっている(特許文献1参照)。
前記乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置は、乳児の口腔内に配置されて、乳児の吸啜動作における舌運動をモニタリングする。前記乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置は、ベースと、センサと、制御部と、を備える。ベースは、人工乳首で構成される。センサは、ベースの側壁内部に配置されて、ベースに対して与えられる外力を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置では、センサがベースの基端部に配置されることから、ベースが乳児の口腔内に配置された状態では、センサが乳児の舌の舌根近傍に位置することとなり、舌の舌尖側の圧力を検知することが困難である。また、前記乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置では、乳児の吸啜動作時に受けた外力によってベースが歪むことによって、ベースが受けた外力をセンサが検知する。つまり、前記乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置は、乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を、直接的にセンサが検知するものではない。このようなことから、前記乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置では、乳児の吸啜動作時における舌運動の状態を確実にモニタリングすることが困難であった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、乳児の吸啜動作時における舌運動の状態をより確実にモニタリングすることができる乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置であって、前記乳児の口腔内において、前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知するセンサを備え、前記センサは、前記乳児の口腔内に配置された状態において、前記乳児の舌の根尖方向に複数個並べられて配置され、
前記センサは、予め任意に設定される複数個のエリア内にそれぞれ単数個または複数個配置され、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、前記乳児の吸啜能力の良否判定を行う制御部を備え、前記制御部は、前記乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、必要な力で前記乳児が吸啜動作を行っているか否かについて判定を行うものであり、所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値をエリア毎に算出し、前記複数個のエリアのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値を基に、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位二個のエリアを選定し、前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌根側に配置されるエリアを第一評価エリアとして採用し、前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌尖側に配置されるエリアを第二評価エリアとして採用し、前記第一評価エリアにおける前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を第一評価値とし、前記第二評価エリアにおける前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を第二評価値とし、「前記第二評価値/前記第一評価値≧所定の割合」の関係を満たすと判断した場合に前記乳児の吸啜力が強く吸啜能力が良好であると判定し、「前記第二評価値/前記第一評価値≧所定の割合」の関係を満たさないと判断した場合に前記乳児の吸啜力が弱く吸啜能力が不良であると判定するものである。
【0008】
請求項2においては、乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置であって、前記乳児の口腔内において、前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知するセンサを備え、前記センサは、前記乳児の口腔内に配置された状態において、前記乳児の舌の根尖方向に複数個並べられて配置され、前記センサは、予め任意に設定される複数個のエリア内にそれぞれ単数個または複数個配置され、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、前記乳児の吸啜能力の良否判定を行う制御部を備え、前記制御部は、前記乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて判定を行うものであり、所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値をエリア毎に算出し、前記複数個のエリアのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値を基に、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位二個のエリアを選定し、前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌根側に配置されるエリアを第一評価エリアとして採用し、前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌尖側に配置されるエリアを第二評価エリアとして採用し、前記第一評価エリアおよび前記第二評価エリアに配置されるセンサのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位の二個のセンサを選定し、前記選定された二個のセンサのうち、前記所定時間内において前記乳児の舌根側に配置されるセンサが検知した一回の吸啜サイクル中における前記乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第一評価値として採用し、前記選定された二個のセンサのうち、前記所定時間内において前記乳児の舌尖側に配置されるセンサが検知した一回の吸啜サイクル中における前記乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第二評価値として採用し、「前記第一評価値と前記第二評価値との時間差/周期≧所定の割合」の関係を満たすと判断した場合に適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っており吸啜能力が良好であると判定し、「第一評価値と第二評価値との時間差/周期≧所定の割合」の関係を満たさないと判断した場合に適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っておらず吸啜能力が不良であると判定するものである。
【0009】
請求項3においては、乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置であって、前記乳児の口腔内において、前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知するセンサを備え、前記センサは、前記乳児の口腔内に配置された状態において、前記乳児の舌の根尖方向に複数個並べられて配置され、前記制御部は、前記乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、必要な力で前記乳児が吸啜動作を行っているか否かについて判定を行うものであり、所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値をエリア毎に算出し、前記複数個のエリアのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値を基に、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位二個のエリアを選定し、前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌根側に配置されるエリアを第一評価エリアとして採用し、前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌尖側に配置されるエリアを第二評価エリアとして採用し、前記第一評価エリアにおける前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を第一評価値とし、前記第二評価エリアにおける前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を第二評価値とし、「前記第二評価値/前記第一評価値≧所定の割合」の関係を満たすと判断した場合に前記乳児の吸啜力が強く吸啜能力が良好であると判定し、「前記第二評価値/前記第一評価値≧所定の割合」の関係を満たさないと判断した場合に前記乳児の吸啜力が弱く吸啜能力が不良であると判定し、前記制御部は、前記乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて判定を行うものであり、前記第一評価エリアおよび前記第二評価エリアに配置されるセンサのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位の二個のセンサを選定し、前記選定された二個のセンサのうち、前記所定時間内において前記乳児の舌根側に配置されるセンサが検知した一回の吸啜サイクル中における前記乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第一評価値として採用し、前記選定された二個のセンサのうち、前記所定時間内において前記乳児の舌尖側に配置されるセンサが検知した一回の吸啜サイクル中における前記乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第二評価値として採用し、「前記第一評価値と前記第二評価値との時間差/周期≧所定の割合」の関係を満たすと判断した場合に適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っており吸啜能力が良好であると判定し、「第一評価値と第二評価値との時間差/周期≧所定の割合」の関係を満たさないと判断した場合に適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っておらず吸啜能力が不良であると判定するものである。
【0010】
請求項4においては、乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置であって、前記乳児の口腔内において、前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知するセンサを備え、前記センサは、前記乳児の口腔内に配置された状態において、前記乳児の舌の根尖方向に複数個並べられて配置され、且つ、前記乳児の舌の左右方向に複数並べられて配置され、記制御部は、前記乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、必要な力で前記乳児が吸啜動作を行っているか否かについて判定を行うものであり、所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値をエリア毎に算出し、前記複数個のエリアのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値を基に、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位二個のエリアを選定し、前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌根側に配置されるエリアを第一評価エリアとして採用し、前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌尖側に配置されるエリアを第二評価エリアとして採用し、前記第一評価エリアにおける前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を第一評価値とし、前記第二評価エリアにおける前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を第二評価値とし、「前記第二評価値/前記第一評価値≧所定の割合」の関係を満たすと判断した場合に前記乳児の吸啜力が強く吸啜能力が良好であると判定し、「前記第二評価値/前記第一評価値≧所定の割合」の関係を満たさないと判断した場合に前記乳児の吸啜力が弱く吸啜能力が不良であると判定するものである。
【0011】
請求項5においては、乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置であって、前記乳児の口腔内において、前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知するセンサを備え、前記センサは、前記乳児の口腔内に配置された状態において、前記乳児の舌の根尖方向に複数個並べられて配置され、且つ、前記乳児の舌の左右方向に複数並べられて配置され、前記センサは、予め任意に設定される複数個のエリア内にそれぞれ単数個または複数個配置され、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、乳児の吸啜能力の良否判定を行う制御部を備え、前記制御部は、前記乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて判定を行うものであり、所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値をエリア毎に算出し、前記複数個のエリアのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値を基に、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位二個のエリアを選定し、前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌根側に配置されるエリアを第一評価エリアとして採用し、前記選定した二個のエリアのうち前記乳児の舌尖側に配置されるエリアを第二評価エリアとして採用し、前記第一評価エリアおよび前記第二評価エリアに配置されるセンサのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位の二個のセンサを選定し、前記選定された二個のセンサのうち、前記所定時間内において前記乳児の舌根側に配置されるセンサが検知した一回の吸啜サイクル中における前記乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第一評価値として採用し、前記選定された二個のセンサのうち、前記所定時間内において前記乳児の舌尖側に配置されるセンサが検知した一回の吸啜サイクル中における前記乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第二評価値として採用し、「前記第一評価値と前記第二評価値との時間差/周期≧所定の割合」の関係を満たすと判断した場合に適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っており吸啜能力が良好であると判定し、「第一評価値と第二評価値との時間差/周期≧所定の割合」の関係を満たさないと判断した場合に適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っておらず吸啜能力が不良であると判定するものである。
【0012】
請求項6においては、乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置であって、前記乳児の口腔内において、前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知するセンサを備え、前記センサは、前記乳児の口腔内に配置された状態において、前記乳児の舌の根尖方向に複数個並べられて配置され、且つ、前記乳児の舌の左右方向に複数並べられて配置され、前記センサは、予め任意に設定される複数個のエリア内にそれぞれ単数個または複数個配置され、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、乳児の吸啜能力の良否判定を行う制御部を備え、前記制御部は、前記乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、必要な力で前記乳児が吸啜動作を行っているか否かについて判定を行うものであり、所定時間内における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値をエリア毎に算出し、前記複数個のエリアのうち、前記所定時間内における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を基に、所定時間内における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位二個のエリアを選定し、前記選定した二個のエリアのうち乳児の舌根側に配置されるエリアを第一評価エリアとして採用し、前記選定した二個のエリアのうち乳児の舌尖側に配置されるエリアを第二評価エリアとして採用し、前記第一評価エリアにおける前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を第一評価値とし、前記第二評価エリアにおける前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を第二評価値とし、「前記第二評価値/前記第一評価値≧所定の割合」の関係を満たすと判断した場合に前記乳児の吸啜力が強く吸啜能力が良好であると判定し、「前記第二評価値/前記第一評価値≧所定の割合」の関係を満たさないと判断した場合に前記乳児の吸啜力が弱く吸啜能力が不良であると判定し、前記制御部は、前記乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって、前記センサが検知した前記乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに、適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて判定を行うものであり、前記第一評価エリアおよび前記第二評価エリアに配置されるセンサのうち、前記所定時間内において前記センサが検知した検知タイミング毎の前記乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順に上位の二個のセンサを選定し、前記選定された二個のセンサのうち、前記所定時間内において前記乳児の舌根側に配置されるセンサが検知した一回の吸啜サイクル中における前記乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第一評価値として採用し、前記選定された二個のセンサのうち、前記所定時間内において前記乳児の舌尖側に配置されるセンサが検知した一回の吸啜サイクル中における前記乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第二評価値として採用し、「前記第一評価値と前記第二評価値との時間差/周期≧所定の割合」の関係を満たすと判断した場合に適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っており吸啜能力が良好であると判定し、「第一評価値と第二評価値との時間差/周期≧所定の割合」の関係を満たさないと判断した場合に適切なタイミングで前記乳児が蠕動様運動を行っておらず吸啜能力が不良であると判定するものである。
【0013】
【0014】
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、乳児の吸啜動作時における舌運動の状態をより確実にモニタリングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置を示す模式図。
【
図2】同じく乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置のベースとセンサとが乳児の口腔内に配置された状態を示す模式図。
【
図3】同じく乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置のベースとセンサとを示す底面図。
【
図4】同じく乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置のセンサが検知した乳児の舌運動の状態を示す図。
【
図5】同じく乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置の動作を示すフロー図。
【
図6】同じく乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置の動作を示すフロー図。
【
図7】同じく乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置の動作を示すフロー図。
【
図8】同じく乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置を示す模式図。
【
図9】同じく乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置のベースとセンサとを示す底面図。
【
図10】同じく乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置の動作を示すフロー図。
【
図11】同じく乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置の動作を示すフロー図。
【
図12】同じく乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置のベースとセンサとを示す底面図。
【
図13】同じく乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置のベースとセンサとを示す底面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、
図1から
図8を用いて、本発明の第一の実施形態に係る乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置1及び方法について説明する。
【0018】
乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置(以下、「乳児舌運動モニタリング装置」という)1は、乳児の口腔内に配置されて、乳児の吸啜動作における舌運動をモニタリングする。乳児とは、人間を含む哺乳類の生後所定の期間経過までの児を示す。乳児の吸啜動作は、乳首から乳汁を採取するにあたって、乳首を咥えたときに、乳児の舌の隆起が舌尖側から舌根側に移動するように舌運動を始める動作(蠕動様運動)をいう。人間の乳児の吸啜動作は、1秒間に約2回程度行われる。人間の乳児の吸啜反射は、生後4月程度経過すると消失する。乳児の吸啜動作時における、乳首に対する圧力(例えば、舌尖側の圧力が極端に弱い等)、また、蠕動様運動のタイミング等については、個体差がある。そして、乳首に対する圧力また蠕動様運動のタイミング等によって、乳児の吸啜能力に差が生じる。
【0019】
次に、乳児舌運動モニタリング装置1の具体的構成について説明する。なお以下において乳児は人間の乳児であるものとして説明する。
図1から
図4に示すように、乳児舌運動モニタリング装置1は、ベース2と、センサ100と、制御部3と、表示部4と、を備える。
【0020】
ベース2は、作業者(乳児の吸啜動作における舌運動のモニタリング作業を行う者)の手に装着可能な手袋状に構成される。ベース2は、例えば、天然ゴムラテックス素材で構成される。また、ベース2は、作業者の指に装着可能な指サック状に構成することもできる。
なお、ベース2は、乳児の口腔内に挿入可能で乳首の大きさに近い柱状若しくは指状に構成すること、または、人工乳首等で構成することもできる。このとき、ベース2は、乳児の口腔内に挿入されるものであることを考慮して、弾性素材で構成されることが好ましい。さらに、ベース2は、柱状等に構成される場合において、センサ100の検知精度が低下することを防止するために乳児の吸啜動作によって容易に押しつぶされないような弾性を有することが好ましい。
【0021】
センサ100は、ベース2の表面に設けられる。センサ100は、ベース2が手袋状に構成される場合には、親指部、人差し指部、または小指部等の先の背側(手の甲側)の表面に設けられることが好ましい。このようにセンサ100を配置することによって、指の腹側(センサ100が配置されていない側)で、乳児の口蓋部を刺激し、吸啜反射を誘発させることが可能となる。
センサ100は、圧力センサであり、乳児の口腔内において乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力(筋肉の収縮による圧力)を検知する。センサ100は、チップ状(例えば、縦:2mm、横:2mm、厚さ:0.75mm)の弾性を有する感圧センサ(例えば、感圧導電性エラストマー)で構成される。センサ100が検知した乳児の舌運動の圧力に関する情報は制御部3に送信される。
乳児舌運動モニタリング装置1では、乳児の舌が直接センサ100の表面に接触することを防止するために、センサ100(センサ100の表面)はポリプロピレン素材からなるシート部材で覆われる。
【0022】
制御部3は、乳児舌運動モニタリング装置1の各種の動作を制御する。制御部3は、各種の情報を記憶する記憶装置、時計機能(例えばリアルタイムクロック)、有線または無線等によって各種情報を外部へ通信する通信回路、A/D変換回路、及び、MPU(Micro Processing Unit)等を備える。制御部3は、有線を介して電気的にセンサ100に接続される。制御部3は、例えば、センサ100が検知した乳児の舌運動の圧力に関する情報を基に、所定の条件(乳児の吸啜動作が良好か否か)を判定し、また、各種の情報を生成する。
なお、制御部3は、センサ100に外部において接続されるPCで構成することもできる。
【0023】
表示部4は、乳児舌運動モニタリング装置1で得た各種の情報を表示する。表示部4は、例えば、センサ100が検知した乳児の舌運動の圧力に関する情報、または、センサ100が検知した乳児の舌運動の圧力に関する情報に基づいて制御部3が判定した結果等を表示する。
表示部4は、有線または無線等を介して、制御部3に接続される。表示部4は、例えば、外部において接続されるPC(Personal Computer)やモニタ等で構成される。
なお、表示部4は、ベース2に設けられる液晶表示部4またはランプ部等で構成することもできる。このように構成することによって、乳児舌運動モニタリング装置1をポータブル式のもとして構成することができ、各家庭において使用可能なものとすることができる。
【0024】
センサ100は、ベース2の表面の所定の範囲内に配置される。センサ100は、乳児の口腔内にベース2が配置された状態において、乳児の舌の根尖方向(乳児の口腔内への挿入方向)に、ベース2の軸心に沿って複数個並べて(多段状に)配置される。
センサ100は、第一センサ101と第二センサ102とで構成される。第一センサ101と第二センサ102とは、蠕動様運動時の圧力を検知できるように所定の間隔を開けて、乳児の舌の根尖方向に並べて配置される。第一センサ101と第二センサ102とは、互いの中心距離が約7mm~10mm程度となるように配置される。
第一センサ101は、第二センサ102よりも乳児の舌根側(ベース2の先端側)に配置されて、第二センサ102よりも舌根側の乳児の舌運動の圧力を検知する。第二センサ102は、第一センサ101よりも舌尖側(ベース2の基端側)の乳児の舌運動の圧力を検知する。
【0025】
次に、乳児舌運動モニタリング装置1において、乳児の吸啜動作時における舌運動をモニタリングする動作について説明する。
【0026】
まず、乳児舌運動モニタリング装置1では、乳児の舌の上面(舌の上顎側の面)にセンサ100が当接するように乳児の口腔内にベース2(センサ100)を挿入する。このとき、第一センサ101と第二センサ102との並び方向と、舌の根尖方向と、を概ね一致するようにする。
このように、ベース2を配置すると、吸啜反射が誘発され乳児は吸啜動作を開始する。このような状態で、第一センサ101及び第二センサ102は、乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知する。
このとき、少なくとも1.5秒~2秒間、センサ100(第一センサ101及び第二センサ102)を乳児の舌の表面に当接させた状態とする。もっとも、乳児の吸啜動作時における舌運動をより正確にモニタリングするためには、より長い時間(例えば、5秒~10秒程度)センサ100を乳児の舌の表面に当接させた状態とすることが好ましい。
【0027】
次に、乳児舌運動モニタリング装置1において乳児の吸啜動作の良否判定を行う一連の動作について、
図5を用いて説明する。
【0028】
図5に示すように、乳児舌運動モニタリング装置1では、センサ100(第一センサ101及び第二センサ102)が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知する(ステップS1)。
このとき、センサ100が検知した乳児の舌運動の圧力に関する情報は、制御部3に送信され、表示部4において表示される。
次に、ステップS2に移行する。
【0029】
次に、センサ100が検知した乳児の舌運動の圧力に関する情報をもとに、制御部3が乳児の吸啜能力の良否判定を行う(ステップS2)。
このとき、制御部3は、センサ100が検知した乳児の舌運動の圧力に関する情報から、必要な力で乳児が吸啜動作を行っているか否かについて、または、適切なタイミングで乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて、判断する。
制御部3が乳児の吸啜能力の良否判定を行うとその動作を終了する。
このようにして、乳児舌運動モニタリング装置1において、乳児の吸啜動作時における舌運動をモニタリングする動作を行う。
【0030】
なお、乳児舌運動モニタリング装置1では、乳児の吸啜動作時における舌運動をモニタリングする動作中においては、センサ100は、乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を常時(例えば、一秒間に百回程度)検知し、当該センサ100が検知する毎に乳児の舌運動の圧力に関する情報が制御部3に送信される。
【0031】
以上のように、ベース2が手袋状または指サック状等に構成され、ベース2の指先の表面にセンサ100が設けられることによって、当該乳児の口腔内に配置された指によって舌等を刺激し易くなり、吸啜反射を容易に促すことができる。また、このように構成されることによって、乳児舌運動モニタリング装置1を用いて乳児に舌運動をモニタリングすることに加えて、触診(指の感覚)によっても乳児の舌運動の状態を確認することができる。
【0032】
以上のように、センサ100が乳児の舌の根尖方向に複数個並べられて配置されて、それぞれのセンサ100が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を直接検知することから、乳児の吸啜動作時における舌運動の状態をより確実にモニタリングすることができる。
【0033】
以上のように、センサ100が乳児の舌の根尖方向に複数個並べられて配置され、センサ100が検知した乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報をもとに乳児の吸啜能力の良否判定を制御部3が行うことから、乳児の吸啜能力の良否判定をより正確なものとすることができる。
【0034】
次に、制御部3が乳児の吸啜能力の良否判定を行う動作(ステップS2)において、必要な力で乳児が吸啜動作を行っているか否かについて良否判定を行う動作について、
図6を用いて説明する。
【0035】
図6に示すように、センサ100(第一センサ101及び第二センサ102)が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知する動作(ステップS1)を行った後、制御部3は、第一評価値P1と第二評価値P2とをそれぞれ選定する動作を行う(ステップS11)。
第一評価値P1および第二評価値P2は、制御部3が乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって評価対象となる値であり、一回の吸啜サイクル中における、第一センサ101または第二センサ102が検知した乳児の舌運動の圧力のピーク値が採用される。
第一評価値P1には、乳児の舌根側に配置されるセンサ100(第一センサ101)が検知した乳児の舌運動の圧力のピーク値が採用され、第二評価値P2には、乳児の舌尖側に配置されるセンサ100(第二センサ102)が検知した乳児の舌運動の圧力のピーク値が採用される。
なお、乳児の吸啜動作時の舌運動の圧力は、概ね、舌尖よりも舌根側の方が高い値となる。
このようにして、制御部3は、第一評価値P1と第二評価値P2とをそれぞれ選定する動作を行う。
制御部3が第一評価値P1と第二評価値P2とをそれぞれ選定する動作を行った後、ステップS12に移行する。
【0036】
次に、制御部3は、「第二評価値P2/第一評価値P1≧所定の割合Ph」か否かについて判断を行う(ステップS12)。
所定の割合Phは、概ね40%~50%程度の値に設定される。所定の割合Phは、検知対象の状態や用途等に応じて任意に設定することができるものであり、必要な力で乳児が吸啜動作を行っているか否かについて正確に判定を行うにあたって、好ましくは50%に設定される。
制御部3が「第二評価値P2/第一評価値P1≧所定の割合Ph」であると判断した場合には、ステップS13に移行する。
制御部3が「第二評価値P2/第一評価値P1≧所定の割合Ph」でないと判断した場合(舌尖側の圧力が弱すぎる場合)には、ステップS14に移行する。
【0037】
ステップS12において制御部3が「第二評価値P2/第一評価値P1≧所定の割合Ph」であると判断した場合には、乳児の吸啜力が強く乳児の吸啜能力が良好であると制御部3は判定する(ステップS13)。
このとき、表示部4において乳児の吸啜能力が良好である旨(例えば、「〇」印が表示)が表示される。
なお、ステップS12において制御部3が「第二評価値P2/第一評価値P1≧所定の割合Ph」であると所定の時間内に複数回または複数回連続(例えば、3秒間に3回、または、3秒間に2回連続)して判断した場合にのみ、乳児の吸啜力が強く乳児の吸啜能力が良好であると制御部3は判定する構成とすることもできる。
【0038】
ステップS12において制御部3が「第二評価値P2/第一評価値P1≧所定の割合Ph」でないと判断した場合には、乳児の吸啜力が弱く乳児の吸啜能力が不良であると制御部3は判定する(ステップS14)。
このとき、表示部4において乳児の吸啜能力が不良である旨(例えば、「×」印が表示)が表示される。
以上のようにして、制御部3が必要な力で乳児が吸啜動作を行っているか否かについて良否判定を行う。
【0039】
以上のように、制御部3は、必要な力で前記乳児が吸啜動作を行っているか否かについて判定を行うことから、乳児の吸啜時における具体的な動作の良否について判定を行って、乳児の吸啜能力の良否判定をより正確なものとすることができる。
【0040】
以上のように、制御部3は、第二評価値P2/第一評価値P1≧所定の割合Phの関係を満たすと判断した場合に、必要な力で前記乳児が吸啜動作を行っている旨の判定を行うことから、乳児の吸啜時におけるより具体的な動作の良否について判定を行って、乳児の吸啜能力の良否判定をより正確なものとすることができる。
【0041】
次に、制御部3が乳児の吸啜能力の良否判定を行う動作(ステップS2)において、適切なタイミングで乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて良否判定を行う動作について、
図7を用いて説明する。
【0042】
図7に示すように、センサ100(第一センサ101及び第二センサ102)が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知する動作(ステップS1)を行った後、制御部3は、第一評価値T1と第二評価値T2とをそれぞれ選定する動作を行う(ステップS21)。
第一評価値T1および第二評価値T2は、制御部3が乳児の吸啜能力の良否判定を行うにあたって評価対象となる値であり、一回の吸啜サイクル中における、第一センサ101または第二センサ102が検知した乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間が採用される。
第一評価値T1には、乳児の舌根側に配置されるセンサ100(第一センサ101)が検知した乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間が採用され、第二評価値T2は、乳児の舌尖側に配置されるセンサ100(第二センサ102)が検知した乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間が採用される。
制御部3が第一評価値T1と第二評価値T2とをそれぞれ選定する動作を行った後、ステップS22に移行する。
【0043】
次に、制御部3は、「第一評価値T1と第二評価値T2との時間差/周期≧所定の割合Th」か否かについて判断を行う(ステップS22)。
所定の割合Thは、概ね6%~8%程度の値に設定される。所定の割合Thは、用途等に応じて任意に設定することができるものであり、適切なタイミングで乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて正確に判定を行うにあたって、好ましくは8%に設定される。
制御部3が「第一評価値T1と第二評価値T2との時間差/周期≧所定の割合Th」であると判断した場合には、ステップS23に移行する。
制御部3が「第一評価値T1と第二評価値T2との時間差/周期≧所定の割合Th」でないと判断した場合(舌尖側と舌根側の動作タイミングが近似しすぎて蠕動様運動ができていない場合)には、ステップS24に移行する。
第一評価値T1と第二評価値T2との時間差とは、第一評価値T1から第二評価値T2を減じた値であり、正の値を示すときには、乳児の吸啜動作時の舌運動が舌尖側から舌根側に移動していることを表す。乳児が正常に吸啜動作を行っているときには、第一評価値T1と第二評価値T2との時間差は、少なくとも正の値を示す。
第一評価値T1と第二評価値T2との時間差を算出したときに、第一評価値T1から第二評価値T2を減じた値が負の値となっていた場合には、乳児の吸啜動作時の舌運動が舌根側から舌尖側に移動していることを表し、乳児が正常に吸啜動作を行っていないと考えられることから、制御部3が「第一評価値T1と第二評価値T2との時間差/周期≧所定の割合Th」でない(適切なタイミングで吸啜動作を行っていない)と判断する。また、第一評価値T1と第二評価値T2との時間差を算出したときに、第一評価値T1から第二評価値T2を減じた値が負の値となっていた場合には、ステップS1に移行して、第一評価値T1から第二評価値T2を減じた値が正の値となるまで動作を繰り返す構成とすることもできる。
【0044】
ステップS22において制御部3が「第一評価値T1と第二評価値T2との時間差/周期≧所定の割合Th」であると判断した場合には、適切なタイミングで乳児が蠕動様運動を行っており乳児の吸啜能力が良好であると制御部3は判定する(ステップS23)。
このとき、表示部4において乳児の吸啜能力が良好である旨が表示される。
【0045】
ステップS22において制御部3が「第一評価値T1と第二評価値T2との時間差/周期≧所定の割合Th」でないと判断した場合には、適切なタイミングで乳児が蠕動様運動を行っておらず乳児の吸啜能力が不良であると制御部3は判定する(ステップS24)。
このとき、表示部4において乳児の吸啜能力が不良である旨が表示される。
また、ステップS22において第一評価値T1と第二評価値T2との時間差を算出したときに、第一評価値T1から第二評価値T2を減じた値が負の値となっていた場合には、表示部4において判定不能である旨を表示する構成とすることもできる。
なお、ステップS22において制御部3が「第一評価値T1と第二評価値T2との時間差/周期≧所定の割合Th」であると所定時間内に複数回または複数回連続(例えば、3秒間に3回、または、3秒間に2回連続)して判断した場合にのみ、適切なタイミングで乳児が蠕動様運動を行っており乳児の吸啜能力が良好であると制御部3は判定する構成とすることもできる。
【0046】
以上のように、制御部3は、適切なタイミングで乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて判定を行うことから、乳児の吸啜時における具体的な動作の良否について判定を行って、乳児の吸啜能力の良否判定をより正確なものとすることができる。
【0047】
以上のように、制御部3は、第一評価値T1と第二評価値T2との時間差/周期≧所定の割合Thの関係を満たすと判断した場合に、適切なタイミングで乳児が蠕動様運動を行っている旨の判定を行うことから、乳児の吸啜時におけるより具体的な動作の良否について判定を行って、乳児の吸啜能力の良否判定をより正確なものとすることができる。
【0048】
乳児舌運動モニタリング装置1では、制御部3が、ステップS12において制御部3が「第二評価値P2/第一評価値P1≧所定の割合Ph」であると判断した場合、または、ステップS22において制御部3が「第一評価値T1と第二評価値T2との時間差/周期≧所定の割合Th」であると判断した場合に、乳児の吸啜能力が良好であると制御部3は判定する構成とすることもできる。
このように構成することによって、比較的緩い条件において乳児の吸啜能力の良否判定を行うものとすることができる。
【0049】
乳児舌運動モニタリング装置1では、制御部3が、ステップS12において制御部3が「第二評価値P2/第一評価値P1≧所定の割合Ph」であると判断した場合、且つ、ステップS22において制御部3が「第一評価値T1と第二評価値T2との時間差/周期≧所定の割合Th」であると判断した場合に、乳児の吸啜能力が良好であると制御部3は判定する構成とすることもできる。
このように構成することによって、比較的厳しい条件において乳児の吸啜能力の良否判定を行って、乳児の吸啜能力の良否判定を確実に行うものとすることができる。
【0050】
図8に示すように、乳児舌運動モニタリング装置1は、操作部5を備える構成とすることもできる。
操作部5は、これを操作することによって乳児舌運動モニタリング装置1の各種の動作の開始や終了、または各種の動作の設定等を行えるようにするものであり、スイッチ類またはタッチパネル等で構成される。例えば、乳児舌運動モニタリング装置1では、操作部5を操作することによって乳児の吸啜動作をモニタリングする動作を開始または終了する構成とされる。
【0051】
また、乳児舌運動モニタリング装置1は、報知部6を備える構成とすることもできる。
報知部6は、乳児舌運動モニタリング装置1(センサ100)で得た各種の情報を報知する。報知部6は、ベース2に設けられるスピーカまたはランプ等を備えて、スピーカから音声を発すること、または、ランプを点灯または消灯すること等によって、各種の情報を報知する。例えば、乳児の吸啜能力が良好である旨を表示部4で表示することに代えて、制御部3が乳児の吸啜能力が良好であると判定した場合には、スピーカからブザー音を発し、または、ランプを点灯若しくは消灯する構成とする。
【0052】
次に、
図9から
図11を用いて、本発明の第二の実施形態に係る乳児舌運動モニタリング装置1及び方法について説明する。なお、本発明の第二の実施形態に係る乳児舌運動モニタリング装置1及び方法の説明は、本発明の第一の実施形態に係る乳児舌運動モニタリング装置1及び方法の説明と同様の部分は適宜省略し異なる部分を中心に説明する。
【0053】
図9に示すように、センサ200は、三個以上の複数個のセンサ200(第一センサ201と第二センサ202と第三センサ203と第四センサ204と第五センサ205)で構成される。第一センサ201と第二センサ202と第三センサ203と第四センサ204と第五センサ205とは、蠕動様運動時の圧力を検知できるように所定の間隔を開けて、乳児の舌の根尖方向に順番に並べて配置される。第一センサ201と第二センサ202と第三センサ203と第四センサ204と第五センサ205とは、互いの中心距離が約5mm~7mm程度となるように配置される。
【0054】
次に、制御部3が乳児の吸啜能力の良否判定を行う動作(ステップS2)において、必要な力で乳児が吸啜動作を行っているか否かについて良否判定を行う動作について、
図10を用いて説明する。
【0055】
図10に示すように、センサ200が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知する動作(ステップS1)を行った後、制御部3は、任意に設定された複数個のエリアから第一評価エリアと第二評価エリアとを選定する(ステップS10)。
【0056】
任意に設定された複数個のエリア内には、それぞれ単数個または複数個(二個)のセンサ200が配置される。第一センサ201及び第二センサ202が配置されるエリアをエリアA、第二センサ202及び第三センサ203が配置されるエリアをエリアB、第三センサ203及び第四センサ204が配置されるエリアをエリアC、第四センサ204及び第五センサ205が配置されるエリアをエリアD、として予め設定される。
【0057】
このとき、制御部3は、所定時間内(例えば、3秒間)において、センサ200が検知した乳児の舌運動の圧力に関する情報を基に、任意に設定された各エリア内に配置される各センサ200がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力に関する値の合計値を算出する。
つまり、制御部3は、所定時間内において、エリアAにおいて第一センサ201と第二センサ202がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、エリアBにおいて第二センサ202と第三センサ203がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、エリアCにおいて第三センサ203と第四センサ204がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、エリアDにおいて第四センサ204と第五センサ205がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出する。このようにして、所定のエリア内において近接する複数個のセンサ200が検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出する。
【0058】
そして、制御部3は、複数個のエリア(エリアA~D)のうち、前記所定時間内における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を基に所定時間内(例えば、3秒間)における平均値が高い順(降順)に、上位の二個のエリアを選定する。
そして、制御部3が選定したエリアA~Dのうち乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順(降順)から上位の二個のエリアについては、第一評価エリアまたは第二評価エリアとして採用される。第一評価エリアには、前記選定された二個のエリアのうち乳児の舌根側に配置されるエリアが採用され、第二評価エリアには、前記選定された二個のエリアのうち乳児の舌尖側に配置されるエリアが採用される。
【0059】
例えば、制御部3は、検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を基に所定時間内における平均値が、最も高いものがエリアAで、次に高いものがエリアBである場合、上位の二個のエリアをエリアAおよびエリアBとして選定する。そして、制御部3は、エリアAがエリアBよりも乳児の舌根側に配置されることから、エリアAを第一評価エリアとし、エリアBを第二評価エリアとして採用する。
このようにして、制御部3は、任意に設定された複数個のエリアから第一評価エリアと第二評価エリアとを選定する。
制御部3は、任意に設定された複数個のエリアから第一評価エリアと第二評価エリアとを選定する工程を終えると、ステップS11に移行する。
【0060】
次に、このときの、ステップS11において制御部3が第一評価値P1と第二評価値P2を選定する動作について説明する。
【0061】
第一評価値P1には、第一評価エリア(乳児の舌根側に配置されるエリア)における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値が採用され、第二評価値P2には、第二評価エリア(乳児の舌尖側に配置されるエリア)における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値が採用される。
このようにして、制御部3は、第一評価値P1と第二評価値P2とをそれぞれ選定する動作を行う。
制御部3が第一評価値P1と第二評価値P2とをそれぞれ選定する動作を行った後、ステップS12に移行する。
【0062】
次に、制御部3は、「第二評価値P2/第一評価値P1≧所定の割合Ph」か否かについて判断を行う(ステップS12)。
制御部3が「第二評価値P2/第一評価値P1≧所定の割合Ph」であると判断した場合には、ステップS13に移行する。
制御部3が「第二評価値P2/第一評価値P1≧所定の割合Ph」でないと判断した場合(舌尖側の圧力が弱すぎる場合)には、ステップS14に移行する。
【0063】
ステップS12において制御部3が「第二評価値P2/第一評価値P1≧所定の割合Ph」であると判断した場合には、乳児の吸啜力が強く乳児の吸啜能力が良好であると制御部3は判定する(ステップS13)。
このとき、表示部4において乳児の吸啜能力が良好である旨(例えば、「〇」印が表示)が表示される。
【0064】
ステップS12において制御部3が「第二評価値P2/第一評価値P1≧所定の割合Ph」でないと判断した場合には、乳児の吸啜力が弱く乳児の吸啜能力が不良であると制御部3は判定する(ステップS14)。
このとき、表示部4において乳児の吸啜能力が不良である旨(例えば、「×」印が表示)が表示される。
以上のようにして、制御部3が必要な力で乳児が吸啜動作を行っているか否かについて良否判定を行う。
【0065】
以上のように、センサ200が、三個以上の複数個のセンサ200で構成され、乳児の舌の根尖方向に順番に並べて配置されて、それぞれのセンサ200が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知することから、乳児の吸啜動作時における舌運動の状態をより確実にモニタリングすることができる。
【0066】
以上のように、制御部3が、複数個のエリアのうち、所定時間内における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、前記所定時間内における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を基に所定時間内における平均値が高い順に上位二個のエリアを選定し、当該上位二個のエリアを第一評価エリアまたは第二評価エリアとして選定し、第一評価値P1には、前記乳児の舌根側に配置されるエリア(第一評価エリア)における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を採用し、第二評価値P2には、前記乳児の舌尖側に配置されるエリア(第二評価エリア)における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値におけるピーク値を採用することから、より詳細且つ広い範囲においてセンサ200が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知して、当該舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報を基に、乳児の吸啜能力の良否判定を制御部3が行うことができる。
【0067】
次に、制御部3が乳児の吸啜能力の良否判定を行う動作(ステップS2)において、適切なタイミングで乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて良否判定を行う動作について、
図11を用いて説明する。
【0068】
図11に示すように、センサ200が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知する動作(ステップS1)を行った後、制御部3は、任意に設定された複数個のエリアから第一評価エリアと第二評価エリアとを選定する(ステップS20)。
【0069】
任意に設定された複数個のエリア内には、それぞれ単数個または複数個(二個)のセンサ200が配置される。第一センサ201及び第二センサ202が配置されるエリアをエリアA、第二センサ202及び第三センサ203が配置されるエリアをエリアB、第三センサ203及び第四センサ204が配置されるエリアをエリアC、第四センサ204及び第五センサ205が配置されるエリアをエリアD、として予め設定される。
【0070】
このとき、制御部3は、所定時間内(例えば、3秒間)において、センサ200が検知した乳児の舌運動の圧力に関する情報を基に、任意に設定された各エリア内に配置される各センサ200がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力に関する値の合計値を算出する。
つまり、制御部3は、所定時間内において、エリアAにおいて第一センサ201と第二センサ202がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、エリアBにおいて第二センサ202と第三センサ203がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、エリアCにおいて第三センサ203と第四センサ204がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、エリアDにおいて第四センサ204と第五センサ205がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出する。このようにして、所定のエリア内において近接する複数個のセンサ200が検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出する。
【0071】
そして、制御部3は、複数個のエリア(エリアA~D)のうち、前記所定時間内における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を基に所定時間内における平均値が高い順(降順)に、上位の二個のエリアを選定する。
そして、制御部3が選定したエリアA~Dのうち乳児の舌運動の圧力の平均値が高い順(降順)から上位の二個のエリアについては、第一評価エリアまたは第二評価エリアとして採用される。第一評価エリアには、前記選定された二個のエリアのうち乳児の舌根側に配置されるエリアが採用され、第二評価エリアには、前記選定された二個のエリアのうち乳児の舌尖側に配置されるエリアが採用される。
【0072】
例えば、制御部3は、所定時間における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を基に、所定時間内における平均値が、最も高いものがエリアAで、次に高いものがエリアBである場合、上位の二個のエリアをエリアAおよびエリアBとして選定する。そして、制御部3は、エリアAがエリアBよりも乳児の舌根側に配置されることから、エリアAを第一評価エリアとし、エリアBを第二評価エリアとして採用する。
このようにして、制御部3は、任意に設定された複数個のエリアから第一評価エリアと第二評価エリアとを選定する。
制御部3は、任意に設定された複数個のエリアから第一評価エリアと第二評価エリアとを選定する工程を終えると、ステップS21に移行する。
【0073】
次に、このときの、ステップS21において制御部3が第一評価値T1と第二評価値T2とを選定する動作について説明する。
【0074】
制御部3は、所定時間内において、第一評価エリアおよび第二評価エリアに配置される各センサ200が検知した乳児の舌運動の圧力の平均値のうちが高い順(降順)から、上位の二個のセンサ200を選定する。
そして、制御部3が選定した第一評価エリアおよび第二評価エリアに配置される二個の
センサ200がそれぞれ検知した所定時間内における乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間が、第一評価値T1または第二評価値T2として採用される。第一評価値T1には、前記選定された二個のセンサ200のうち乳児の舌根側に配置されるセンサ200が検知した所定時間内における乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間が採用され、第二評価値T2には、前記選定された二個のセンサ200のうち乳児の舌尖側に配置されるセンサ200が検知した所定時間内における乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間が採用される。
【0075】
例えば、制御部3は、所定時間内における乳児の舌運動の圧力の平均値について、エリアA(第一評価エリア)およびエリアB(第二評価エリア)に配置される第一センサ201、第二センサ202、第三センサ203のうち、最も高いものが第一センサ201で、次に高いものが第二センサ202である場合、上位の二個のセンサ200(第一センサ201と第二センサ202)を選定し、当該二個のセンサ200(第一センサ201と第二センサ202)が検知した所定時間内における乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第一評価値T1または第二評価値T2として選定する。そして、制御部3は、第一センサ201が第二センサ202よりも乳児の舌根側に配置されることから、第一センサ201が検知した所定時間内における乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第一評価値T1とし、第二センサ202が検知した所定時間内における乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第二評価値T2として採用する。
このようにして、制御部3は、第一評価値T1と第二評価値T2とをそれぞれ選定する動作を行う。
制御部3が第一評価値T1と第二評価値T2とをそれぞれ選定する動作を行った後、ステップS22に移行する。
【0076】
次に、制御部3は、「第一評価値T1と第二評価値T2との時間差/周期≧所定の割合Th」か否かについて判断を行う(ステップS22)。
制御部3が「第一評価値T1と第二評価値T2との時間差/周期≧所定の割合Th」であると判断した場合には、ステップS23に移行する。
制御部3が「第一評価値T1と第二評価値T2との時間差/周期≧所定の割合Th」でないと判断した場合(舌尖側と舌根側の動作タイミングが近似しすぎて蠕動様運動ができていない場合)には、ステップS24に移行する。
【0077】
ステップS22において制御部3が「第一評価値T1と第二評価値T2との時間差/周期≧所定の割合Th」であると判断した場合には、適切なタイミングで乳児が蠕動様運動を行っており乳児の吸啜能力が良好であると制御部3は判定する(ステップS23)。
このとき、表示部4において乳児の吸啜能力が良好である旨が表示される。
【0078】
ステップS22において制御部3が「第一評価値T1と第二評価値T2との時間差/周期≧所定の割合Th」でないと判断した場合には、適切なタイミングで乳児が蠕動様運動を行っておらず乳児の吸啜能力が不良であると制御部3は判定する(ステップS24)。
このとき、表示部4において乳児の吸啜能力が不良である旨が表示される。
以上のようにして、制御部3が適切なタイミングで乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて良否判定を行う。
【0079】
以上のように、制御部3が、複数個のエリアのうち、所定時間内における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、前記所定時間内における検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を基に所定時間内における平均値が高い順に上位二個のエリアを選定し、当該上位二個のエリアを第一評価エリアまたは第二評価エリアとして選定し、第一評価値T1には、前記二個のセンサ200のうち前記乳児の舌根側に配置されるセンサ200が検知した所定時間内における乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を採用し、第二評価値T2には、前記二個のセンサ200のうち前記乳児の舌尖側に配置されるセンサ200が検知した所定時間内における乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を採用することから、より詳細且つ広い範囲においてセンサ200が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知して、当該舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報を基に、乳児の吸啜能力の良否判定を制御部3が行うことができる。
【0080】
本実施の形態のように、隣接する各センサ200の配置距離が短い場合には、次のようにすることが望ましい。すなわち、制御部3が第一評価エリアおよび第二評価エリアを選定するときに、近接するエリア同士の降順が連続した場合、先の順のものを採用し、後の順のものを採用せずに当該後の順の次の順位のものを繰り上げて採用することによって、乳児の舌のうち狭い範囲において乳児の舌運動をモニタリングしている状態となることを防止して、乳児の吸啜能力の良否判定をより正確なものとすることができる。
なお、隣接する各センサ200の配置距離が長い場合(例えば、10mm以上など)には、降順が連続したものを採用しても構わない。
【0081】
なお、複数個のエリア内に配置されるセンサ200は、それぞれ二個であることに限定されず、一個または三個以上であってもよい。例えば、第一センサ201、第二センサ202、及び第三センサ203が配置されるエリアをエリアA、第二センサ202、第三センサ203、及び第四センサ204が配置されるエリアをエリアB、第三センサ203、第四センサ204、及び第五センサ205が配置されるエリアをエリアCとして設定することもできる。また例えば、第一センサ201が配置されるエリアをエリアA、第二センサ202、第三センサ203、及び第四センサ204が配置されるエリアをエリアB、第五センサ205が配置されるエリアをエリアCとして設定することもできる。
また、エリアの範囲の設定(各エリア内に位置すると設定されるセンサ200)は、乳児の口腔内の大きさ、乳児の舌の大きさ、ベース2の仕様、センサ200の仕様、または、センサ200の配置箇所等に応じて、適宜変更することもできる。
【0082】
ステップS10またはステップS20において、制御部3が第一評価エリアおよび第二評価エリアを選定するときに、近接するエリア同士の降順が連続した場合、先の順のもの(高い値のもの)を採用し、後の順のものを採用せずに当該後の順の次の順位のものを繰り上げて採用する構成とすることもできる。
【0083】
例えば、エリアA~Dのうちエリア内における所定時間内における乳児の舌運動の圧力の平均値について、エリアAが最も高く、エリアBがエリアAに次いで高く、エリアCがエリアBに次いで高い場合には、制御部3は、エリアA~Dのうち所定時間内における乳児の舌運動の圧力の平均値について、エリアAが一番目であると選定し、エリアAと近接するエリアであることからエリアBを二番目と選定せずに、繰り上げてエリアCが二番目であると選定する。
【0084】
このように、制御部3が第一評価エリアおよび第二評価エリアを選定するときに、近接するエリア同士の降順が連続した場合、先の順のものを採用し、後の順のものを採用せずに当該後の順の次の順位のものを繰り上げて採用することによって、乳児の舌のうち狭い範囲において乳児の舌運動をモニタリングしている状態となることを防止して、乳児の吸啜能力の良否判定をより正確なものとすることができる。
【0085】
適切なタイミングで乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて良否判定を行うにあたって、ステップS21において制御部3が第一評価値T1と第二評価値T2とを選定するときに、近接するセンサ200同士の降順が連続した場合、先の順のもの(高い値のもの)を採用し、後の順のものを採用せずに当該後の順の次の順位のものを繰り上げて採用する構成とすることもできる。
【0086】
例えば、エリアAが第一評価エリア、エリアBが第二評価エリアとして選定され、エリアAおよびエリアBに配置される第一センサ201、第二センサ202、第三センサ203が検出する所定時間内における乳児の舌運動の圧力の平均値について、第一センサ201が最も高く、第二センサ202が第一センサ201に次いで高く、第三センサ203が第二センサ202に次いで高い場合には、制御部3は、第一評価エリアおよび第二評価エリアに配置されるセンサ200のうち所定時間内における乳児の舌運動の圧力の平均値について、第一センサ201が一番目であると選定し、第一センサ201と近接することから第二センサ202を二番目と選定せずに、繰り上げて第三センサ203が二番目であると選定する。そして、第一センサ201が検知した所定時間内における乳児の舌運動の圧
力のピーク値に至る時間を第一評価値T1として採用し、第三センサ203が検知した所定時間内における乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第二評価値T2として採用する。
【0087】
このように、制御部3が第一評価値T1と第二評価値T2とを選定するときに、近接するセンサ200同士の降順が連続した場合、先の順のもの(高い値のもの)を採用し、後の順のものを採用せずに当該後の順の次の順位のものを繰り上げて採用することによって、乳児の舌のうち狭い範囲において乳児の舌運動をモニタリングしている状態となることを防止して、乳児の吸啜能力の良否判定をより正確なものとすることができる。
【0088】
次に、
図12を用いて、本発明の第三の実施形態に係る乳児舌運動モニタリング装置1及び方法について説明する。なお、本発明の第三の実施形態に係る乳児舌運動モニタリング装置1及び方法の説明は、本発明の第一の実施形態または第二の実施形態に係る乳児舌運動モニタリング装置1及び方法の説明と同様の部分は適宜省略し異なる部分を中心に説明する。
【0089】
図12に示すように、センサ300は、乳児の口腔内にベース2が配置された状態において、乳児の舌の根尖方向に複数個並べられた位置に配置され、且つ、乳児の舌の左右方向に複数個並べられた位置に配置(多段多列状に配置)される。
【0090】
センサ300は、複数個のセンサ300(第一センサ301~第十センサ310)で構成される。左方の列には、第一センサ301と第二センサ302と第三センサ303と第四センサ304と第五センサ305とが、蠕動様運動時の圧力を検知できるように所定の間隔を開けて、乳児の舌の根尖方向に順番に並べて配置される。右方の列には、第六センサ306と第七センサ307と第八センサ308と第九センサ309と第十センサ310とが、蠕動様運動時の圧力を検知できるように所定の間隔を開けて、乳児の舌の根尖方向に順番に並べて配置される。第一センサ301の右方には第六センサ306が配置され、第二センサ302の右方には第七センサ307が配置され、第三センサ303の右方には第八センサ308が配置され、第四センサ304の右方には第九センサ309が配置され、第五センサ305の右方には第十センサ310が配置される。左方の列のセンサと右方の列のセンサとは、互いの中心距離が約5mm~7mm程度となるように配置される。
【0091】
乳児舌運動モニタリング装置1では、センサ300が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知する動作(ステップS1)を行った後、制御部3は、第一評価エリアと第二評価エリアとをそれぞれ選定する動作を行う(ステップS11またはステップS21)。
このときの、ステップS11またはステップS21において制御部3が第一評価エリアと第二評価エリアとを選定するにあたって、任意に設定された複数個のエリア内に配置されるセンサ300が検知した乳児の舌運動の圧力の合計値を算出する動作について説明する。なお、本実施形態では、任意に設定されるエリアが乳児の舌の根尖方向に複数個設定され、また、センサ300が乳児の舌の左右方向に複数個(二個)配置される。
【0092】
任意に設定された複数個のエリア内には、それぞれ単数個または複数個(四個)のセンサ300が配置される。第一センサ301、第二センサ302、第六センサ306、及び第七センサ307が配置されるエリアをエリアAとし、第二センサ302、第三センサ303、第七センサ307、及び第八センサ308が配置されるエリアをエリアBとし、第三センサ303、第四センサ304、第八センサ308、及び第九センサ309が配置されるエリアをエリアCとし、第四センサ304、第五センサ305、第九センサ309、及び第十センサ310が配置されるエリアをエリアDとし予め設定される。
つまり、制御部3は、所定時間内において、エリアAにおいて第一センサ301、第二センサ302、第六センサ306、及び第七センサ307がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、エリアBにおいて第二センサ302、第三センサ303、第七センサ307、及び第八センサ308がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、エリアCにおいて第三センサ303、第四センサ304、第八センサ308、及び第九センサ309がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、エリアDにおいて第四センサ304、第五センサ305、第九センサ309、及び第十センサ310がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出する。
このようにして、近接する複数個のセンサ300が検知した所定時間内における乳児の舌運動の圧力の合計値を算出する。
【0093】
適切なタイミングで乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて良否判定を行うにあたって、ステップS21において制御部3が第一評価値T1と第二評価値T2とを選定するときに、同列のセンサ300同士の降順が連続した場合、先の順のもの(高い値のもの)を採用し、後の順のものを採用せずに当該後の順の次の順位のものを繰り上げて採用する。
【0094】
例えば、エリアAが第一評価エリア、エリアBが第二評価エリアとして選定され、エリアAおよびエリアBに配置される第一センサ301、第二センサ302、第三センサ303、第六センサ306、第七センサ307、および第八センサ308が検出する所定時間内における乳児の舌運動の圧力の平均値について、第一センサ301が最も高く、第六センサ306が第一センサ301に次いで高く、第二センサ302が第六センサ306に次いで高い場合には、制御部3は、第一評価エリアおよび第二評価エリアに配置されるセンサ300のうち所定時間内における乳児の舌運動の圧力の平均値について、第一センサ301が一番目であると選定し、第一センサ301と同列の第六センサ306を二番目と選せず、繰り上げて第二センサ302が二番目であると選定する。そして、第一センサ3
01が検知した乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間は、第一評価値T1として採用され、第二センサ302が検知した乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間は、第二評価値T2として採用される。
【0095】
以上のように、センサ300が、乳児の舌の根尖方向に複数個並べられて配置され、且つ、乳児の舌の左右方向に複数個並べられて配置されることから、より詳細且つ広い範囲においてセンサ300が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知して、当該舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報を基に、乳児の吸啜能力の良否判定を制御部3が行うことができる。
任意に設定されるエリアは、乳児の舌の根尖方向に複数個設定され、且つ、乳児の舌の左右方向に複数個設定されることから、より詳細且つ広い範囲においてセンサ300が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知して、当該舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報を基に、乳児の吸啜能力の良否判定を制御部3が行うことができる。
また、このように構成されることから、乳児の口腔内へベース2が挿入された状態において舌の根尖方向に対してセンサ300との並び方向(ベース2の軸心)がズレて傾斜してしまっている場合においても、センサ300が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知し得る。
【0096】
第二の実施形態で述べたように、隣接する各センサ300の配置距離が短い場合には次のような処理が望ましい。すなわち、適切なタイミングで乳児が蠕動様運動を行っているか否かについて良否判定を行うにあたって、ステップS21において制御部3が第一評価値T1と第二評価値T2を選定するときに、乳児の舌の根尖方向(ベース2の軸方向)に近接する列に配置されるセンサ300同士の降順が連続した場合、先の順のもの(高い値のもの)を採用し、後の順のものを採用せずに当該後の順の次の順位のものを繰り上げて採用する構成とすることもできる。
【0097】
例えば、エリアAが第一評価エリア、エリアBが第二評価エリアとして選定され、エリアAおよびエリアBに配置される第一センサ301、第二センサ302、第三センサ303、第六センサ306、第七センサ307、および第八センサ308が検出する所定時間内における乳児の舌運動の圧力の平均値について、第一センサ301が最も高く、第六センサ306が第一センサ301に次いで高く、第二センサ302が第六センサ306に次いで高く、第三センサ303が第二センサ302に次いで高い場合には、制御部3は、第一評価エリアおよび第二評価エリアに配置されるセンサ300のうち所定時間内における乳児の舌運動の圧力の平均値について、第一センサ301が一番目であると選定し、第一センサ301と同列の第六センサ306を二番目と選定せず、また、第六センサ306に次いで値の高い第二センサ302を第一センサ301と乳児の舌の根尖方向に近接する列に配置されることから二番目と選定せずに、繰り上げて第三センサ303が二番目であると選定する。そして、第一センサ301が検知した所定時間内における乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第一評価値T1として採用し、第三センサ303が検知した所定時間内における乳児の舌運動の圧力のピーク値に至る時間を第二評価値T2として採用する。なおこのとき、所定時間内における乳児の舌運動の圧力の平均値について、一番目として選定される第一センサ301と乳児の舌の根尖方向に近接する列に配置される第七センサ307(第二センサ302と同列に配置されるセンサ300)については、仮に第
二センサ302に次いで高い値であったとしても二番目として選定されない。
【0098】
このように、制御部3が第一評価値T1と第二評価値T2を選定するときに、乳児の舌の根尖方向(ベース2の軸方向)に近接する列に配置されるセンサ300同士の降順が連続した場合、先の順のもの(高い値のもの)を採用し、後の順のものを採用せずに当該後の順の次の順位のものを繰り上げて採用することによって、乳児の舌のうち狭い範囲において乳児の舌運動をモニタリングしている状態となることを防止して、乳児の吸啜能力の良否判定をより正確なものとすることができる。
【0099】
次に、
図13を用いて、本発明の第四の実施形態に係る乳児舌運動モニタリング装置1及び方法について説明する。なお、本発明の第四の実施形態に係る乳児舌運動モニタリング装置1及び方法の説明は、本発明の第一の実施形態、本発明の第二の実施形態、または本発明の第三の実施形態に係る乳児舌運動モニタリング装置1及び方法の説明と同様の部分は適宜省略し異なる部分を中心に説明する。
【0100】
図13に示すように、センサ400は、乳児の口腔内にベース2が配置された状態において、乳児の舌の根尖方向に複数個並べられた位置に配置され、且つ、乳児の舌の左右方向に複数個並べられた位置に配置(多段多列状に配置)される。
【0101】
センサ400は、複数個のセンサ400(第一センサ401~第十五センサ415)で構成される。左方の列には、第一センサ401と第二センサ402と第三センサ403と第四センサ404と第五センサ405とが、蠕動様運動時の圧力を検知できるように所定の間隔を開けて、乳児の舌の根尖方向に順番に並べて配置される。中央の列には、第六センサ406と第七センサ407と第八センサ408と第九センサ409と第十センサ410とが、蠕動様運動時の圧力を検知できるように所定の間隔を開けて、乳児の舌の根尖方向に順番に並べて配置される。右方の列には、第十一センサ411と第十二センサ412と第十三センサ413と第十四センサ414と第十五センサ415とが、蠕動様運動時の圧力を検知できるように所定の間隔を開けて、乳児の舌の根尖方向に順番に並べて配置される。第一センサ401の右方には第六センサ406が配置され、第二センサ402の右方には第七センサ407が配置され、第三センサ403の右方には第八センサ408が配置され、第四センサ404の右方には第九センサ409が配置され、第五センサ405の右方には第十センサ410が配置される。第六センサ406の右方には第十一センサ411が配置され、第七センサ407の右方には第十二センサ412が配置され、第八センサ408の右方には第十三センサ413が配置され、第九センサ409の右方には第十四センサ414が配置され、第十センサ410の右方には第十五センサ415が配置される。左方の列のセンサ400と中央の列のセンサ400とは、互いの中心距離が約5mm~7mm程度となるように配置される。中央の列のセンサ400と右方の列のセンサ400とは、互いの中心距離が約5mm~7mm程度となるように配置される。
【0102】
乳児舌運動モニタリング装置1では、センサ400が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知する動作(ステップS1)を行った後、制御部3は、第一評価エリアと第二評価エリアとをそれぞれ選定する動作を行う(ステップS11またはステップS21)。
このときの、ステップS11またはステップS21において制御部3が第一評価エリアと第二評価エリアとを選定するにあたって、任意に設定された複数個のエリア内に配置されるセンサ400が検知した乳児の舌運動の圧力の合計値を算出する動作について説明する。なお、本実施形態では、任意に設定されるエリアが、乳児の舌の根尖方向に複数個設定されることに加えて乳児の舌の左右方向にも複数個(二個)設定され、また、センサ400が乳児の舌の左右方向に複数個(三個)配置される。
【0103】
任意に設定された複数個のエリア内には、それぞれ単数個または複数個(四個)のセンサ400が配置される。第一センサ401、第二センサ402、第六センサ406、及び第七センサ407が配置されるエリアをエリアAとし、第二センサ402、第三センサ403、第七センサ407、及び第八センサ408が配置されるエリアをエリアBとし、第三センサ403、第四センサ404、第八センサ408、及び第九センサ409が配置されるエリアをエリアCとし、第四センサ404、第五センサ405、第九センサ409、及び第十センサ410が配置されるエリアをエリアDとして予め設定される。また、第六センサ406、第七センサ407、第十一センサ411、及び第十二センサ412が配置されるエリアをエリアEとし、第七センサ407、第八センサ408、第十二センサ412、及び第十三センサ413が配置されるエリアをエリアFとし、第八センサ408、第九センサ409、第十三センサ413、及び第十四センサ414が配置されるエリアをエリアGとし、第九センサ409、第十センサ410、第十四センサ414、及び第十五センサ415が配置されるエリアをエリアHとして予め設定される。
【0104】
つまり、制御部3は、所定時間内において、エリアAにおいて第一センサ401、第二センサ402、第六センサ406、及び第七センサ407がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、エリアBにおいて第二センサ402、第三センサ403、第七センサ407、及び第八センサ408がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、エリアCにおいて第三センサ403、第四センサ404、第八センサ408、及び第九センサ409がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、エリアDにおいて第四センサ404、第五センサ405、第九センサ409、及び第十センサ410がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出する。また、制御部3は、所定時間内において、エリアEにおいて第七センサ407、第八センサ408、第十二センサ412、及び第十三センサ413がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、エリアFにおいて第七センサ407、第八センサ408、第十二センサ412、及び第十三センサ413がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、エリアGにおいて第八センサ408、第九センサ409、第十三センサ413、及び第十四センサ414がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出し、エリアHにおいて第九センサ409、第十センサ410、第十四センサ414、及び第十五センサ415がそれぞれ検知した検知タイミング毎の乳児の舌運動の圧力の合計値を算出する。
このようにして、近接する複数個のセンサ400が検知した所定時間内における乳児の舌運動の圧力の合計値を算出する。
【0105】
ステップS10において、制御部3が第一評価エリアおよび第二評価エリアを選定するときに、同列のエリア(左右方向において同じ位置のエリア)の降順が連続した場合、先の順のもの(高い値のもの)を採用し、後の順のものを採用せずに当該後の順の次の順位のものを繰り上げて採用する。
例えば、エリアA~Hのうちエリア内における所定時間内における乳児の舌運動の圧力の平均値について、エリアAが最も高く、エリアEがエリアAに次いで高く、エリアCがエリアEに次いで高い場合には、制御部3は、エリアA~Hのうち所定時間内における乳児の舌運動の圧力の平均値について、エリアAが一番目であると選定し、エリアAと同列であることからエリアEを二番目と選定せずに、繰り上げてエリアCが二番目であると選定する。そして、エリアAにおける所定時間内における乳児の舌運動の圧力の平均値は、第一評価エリアとして採用され、エリアCにおける所定時間内における乳児の舌運動の圧力の平均値は、第二評価エリアとして採用される。
ステップS20においても同様に、制御部3が第一評価エリアおよび第二評価エリアを選定するときに、同列のエリア(左右方向において同じ位置のエリア)の降順が連続した場合、先の順のもの(高い値のもの)を採用し、後の順のものを採用せずに当該後の順の次の順位のものを繰り上げて採用する構成とすることもできる。
【0106】
なお、ステップS10またはステップS20において、制御部3が第一評価エリアおよび第二評価エリアを選定するときに、同列のエリア(左右方向において同じ位置のエリア)において降順が連続した場合、後の順のもの(低い値のもの)を採用するように設定することもできる。
【0107】
以上のように、センサ400が、乳児の舌の根尖方向に複数個並べられて配置され、且つ、乳児の舌の左右方向に複数個並べられて配置されることから、より詳細且つ広い範囲においてセンサ400が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知して、当該舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報を基に、乳児の吸啜能力の良否判定を制御部3が行うことができる。
任意に設定されるエリアは、乳児の舌の根尖方向に複数個設定され、且つ、乳児の舌の左右方向に複数個設定されることから、より詳細且つ広い範囲においてセンサ400が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知して、当該舌運動を行ったときの舌から受ける圧力に関する情報を基に、乳児の吸啜能力の良否判定を制御部3が行うことができる。
また、このように構成されることから、乳児の口腔内へベース2が挿入された状態において舌の根尖方向に対してセンサ400との並び方向(ベース2の軸心)がズレて傾斜してしまっている場合においても、センサ400が乳児の吸啜動作時における舌運動を行ったときの舌から受ける圧力を検知し得る。
【符号の説明】
【0108】
1 乳児の吸啜動作時における舌運動モニタリング装置
2 ベース
3 制御部
4 表示部
5 操作部
6 報知部
100 センサ