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  • 特許-スライス肉の搬送装置 図1
  • 特許-スライス肉の搬送装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】スライス肉の搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/26 20060101AFI20220704BHJP
【FI】
B65G15/26
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018011677
(22)【出願日】2018-01-26
(65)【公開番号】P2019127385
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】浅井 裕司
(72)【発明者】
【氏名】越智 一志
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-069196(JP,A)
【文献】特開2014-037047(JP,A)
【文献】特開2014-076831(JP,A)
【文献】特開昭59-114213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/26
B26D 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライサーから間欠的に供給されるスライス肉を受けて所定の移載位置まで搬送するコンベヤを有し、コンベヤ上で先のスライス肉とは所定長さずらされて積み重ねられた複数のスライス肉が1パック分毎に所定の間隔で仕切られ、1パック分のスライス肉群の基準個所が移載位置に到達したらコンベヤの終端部が後退してトレー内に移載されるスライス肉の搬送装置であってスライサーから供給される複数のスライス肉を間欠走行するコンベヤの始端部に受けながら、各スライス肉の先端部がずらされたスライス肉群を形成し、所定のスライス肉群を形成した後に1回の間欠走行の間にコンベヤを早送りすることによって次のスライス肉群との間に間隔を形成する構成とし、所望する1パック分のスライス肉の枚数Nと、スライス肉の搬送方向の第1長さH及びトレーの底面長さと略等しい1パック分のスライス肉群の搬送方向の第2長さLを制御手段に与えて、スライス肉群において各スライス肉の先端部がずらされる第3長さpを演算し、スライス肉群を形成した後にコンベヤを早送りすることによって形成される次のスライス肉群との間の間隔Cを決定し、1パック分のスライス肉群が搬送され基準箇所が移載位置に合致するタイミングに合わせてコンベヤの終端部を後退させ1パック分のスライス肉群をトレー内に移載させる構成としたことを特徴とするスライス肉の搬送装置。
【請求項2】
基準箇所が1パック分のスライス肉群の搬送方向における先端部であり、移載位置がコンベヤの終端部付近の下方位置で待機するトレーのスライス肉群の搬送方向におけるトレー底面と周壁とで形成される隅角部であることを特徴とする請求項1に記載のスライス肉の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用の部分肉をスライサーで薄くスライスして得られたスライス肉の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連するスライス肉の搬送装置の先行技術には、例えば特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1には、食肉スライサーの丸刃でスライスされたスライス肉を皿載位置まで搬送する搬送ベルトにおいて、スライス肉が皿載位置に到着すれば、検出器で検出され搬送ベルトの端末部が後退して直下に待機する受皿内にスライス肉を盛り付ける構成が記載されている。
しかしながら、この構成においては、スライス肉の皿載位置への到着を検出する検出器を必要とするので構成が複雑であり、検出精度や誤検出などの問題があった。
又、受皿に盛り付けられたスライス肉は、商品構成上一様でなくスライス肉の大きさや収容枚数も変わる。従って、スライス肉の大きさや収容枚数が変わっても一方に偏ることなく見映えよく受皿へ盛付けるための対応を要した
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-69196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前述のような従来のスライス肉の搬送装置に係わる問題点を解決するためになされたものであって、スライス肉の大きさや盛付枚数が変わっても簡単な構成で見映えのよいトレー盛付品が得られるスライス肉の搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、スライサーから間欠的に供給されるスライス肉を受けて所定の移載位置まで搬送するコンベヤを有し、コンベヤ上で先のスライス肉とは所定長さずらされて積み重ねられた複数のスライス肉が1パック分毎に所定の間隔で仕切られ、1パック分のスライス肉群の基準個所が移載位置に到達したらコンベヤの終端部が後退してトレー内に移載されるスライス肉の搬送装置であってスライサーから供給される複数のスライス肉を間欠走行するコンベヤの始端部に受けながら、各スライス肉の先端部がずらされたスライス肉群を形成し、所定のスライス肉群を形成した後に1回の間欠走行の間にコンベヤを早送りすることによって次のスライス肉群との間に間隔を形成する構成とし、所望する1パック分のスライス肉の枚数Nと、スライス肉の搬送方向の第1長さH及びトレーの底面長さと略等しい1パック分のスライス肉群の搬送方向の第2長さLを制御手段に与えて、スライス肉群において各スライス肉の先端部がずらされる第3長さpを演算し、スライス肉群を形成した後にコンベヤを早送りすることによって形成される次のスライス肉群との間の間隔Cを決定し、1パック分のスライス肉群が搬送され基準箇所が移載位置に合致するタイミングに合わせてコンベヤの終端部を後退させ1パック分のスライス肉群をトレー内に移載させる構成としたことを特徴とするスライス肉の搬送装置としている。
又、基準箇所が1パック分のスライス肉群の搬送方向における先端部であり、移載位置がコンベヤの終端部付近の下方位置で待機するトレーのスライス肉群の搬送方向におけるトレー底面と周壁とで形成される隅角部であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡単な構成で、1パック分毎に仕切られたスライス肉群を決められたトレーへの移載位置へ搬送することが可能であり、スライス肉の大きさや1パック分のスライス肉の枚数が変わっても見映えの良いスライス肉のトレー盛付品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るスライス肉の搬送装置を模式的に示す側面図である。
図2】本発明において、1パック分のスライス肉の枚数Nが変更された際の搬送状態を模式的に表した側面図であって、(イ)が枚数Nの多い場合を(ロ)は少ない場合をそれぞれ表している。
図3】コンベヤ上における1パック分のスライス肉群の拡大図。
図4】制御説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照しながら本発明に係るスライス肉の搬送装置の一実施例について説明する。
本発明に係るスライサーは、限定されるものではないが、本実施例においては、図1に要部の概略が示されているように、底部に送り出しコンベヤ1と、上部に肉押さえ具2とを有した肉箱3と、肉箱3の先端には送り出し方向に位置調節されてスライス厚みを規制する当て板4が、当て板4の上端部には切り出し口を隔ててバンドナイフ5が備えられ、上下方向に往復移動する肉箱3が上動するときに、肉箱3に載置された部分肉の先端がバンドナイフ5によって切削されスライス肉mとして切り出し口から切り出される構成とされている。
【0009】
切り出し口近くに接近して切り離される前から外周に接してスライス肉mを受け取る回転体6が設けられる。
回転体6の外周には受け取ったスライス肉mがバンドナイフ5に付着して引かれないように針状の突起が形成される。この回転体6を肉箱3の上動速度に関連させて図示しない回転体6に連結されたモーターを回転させることで、スライス肉mを切り出されたままの状態で常に定位置に来るよう取り出す。
【0010】
回転体6の反切り出し口側には櫛状の移送片7が開放端側を回転体6の針状突起間に入り込ませて揺動自在に設けられ、スライサーからのスライス肉mの切り出しに関連して揺動しスライス肉mを剥ぎ取りコンベヤ8の始端部に引き渡す。
コンベヤ8は、移送片7から供給されるスライス肉mの受け取り位置から盛付用のトレー9の待機する移載位置まで延設されたベルトコンベヤであって、図1に示すように複数のローラー10間に掛け回されたコンベヤベルトが、いずれか一つのローラーに連結されたサーボモーターにより始端部から移載位置に向けて走行するよう駆動される。
コンベヤ8の終端部は詳細な図示は省略するが、特許文献1にも見られるシャトルコンベヤの構成とし、1パック分のスライス肉群が所定の移載位置に到達するまでの進出した位置と移載位置に到達した1パック分のスライス肉群が下方のトレー内に落下して移載可能な後退位置まで進退可能に構成される。
【0011】
移送片7によって反転移送されるスライス肉mは、コンベヤ8での始端部で受け取られるが、コンベヤ8を間欠走行させることによって、先のスライス肉とは所定長さ(請求項の「第3長さ」)pずらされて積み重ねられ1パック分の枚数毎に区切られてコンベヤ8の終端部まで順次搬送される。
コンベヤ8の終端部下方の移載位置には図示しないトレー供給手段からトレー9が供給されてコンベヤ8によって終端部まで搬送された1パック分のスライス肉群は、コンベヤ8のシャトルコンベヤとされた終端部を素早く後退させて1パック分のスライス肉群を搬送された姿勢を保持したままでトレー9内に移載する構成である。
【0012】
このような構成における操作と作用について説明する。本例における制御手段は、図4に概念的に示されるように、運転状況の表示を含む作業条件の入力が可能な設定手段11と、コンベヤ8を走行駆動するサーボモーターとシャトルコンベヤを進退させるサーボモーターを、回転信号を発して制御する制御手段12が設けられている。
これら制御手段は、設定手段11を介して入力される作業条件として、図3に示すスライス肉群が移載されるトレーの底面の長さLと略等しいスライス肉群の搬送方向の長さ(請求項の「第2長さ」)Lと、スライス肉の搬送方向の長さ(請求項の「第1長さ」)Hとスライス肉の枚数Nに基づき、スライス肉のずらされる長さpを次のように演算する。
即ち、1パック分のスライス肉群の長さLは、図3に示すように1パック分のスライス肉の枚数Nが与えられるとL=H+(N-1)×pとなり、スライス肉のずらされる長さp=(L-H)/(N-1)となって容易に導き出すことができる。
このようにして得られた数値に基づいて操作されることによって所定のトレー内に見映えよく収納される1パック分のスライス肉群に仕上げることができる。
【0013】
次いで、この1パック分のスライス肉群をトレーが待機する所定の移載位置まで搬送するための構成について説明する。
先ず、コンベヤ8の終端部付近に1パック分のスライス肉群をトレーに移載する移載位置を設定する。
本例においては、この移載位置をコンベヤ8の終端部のローラー中心を通る図3に示すA-A線上とし、トレー9は、スライス肉群の搬送方向におけるトレー底面と周壁とで形成される隅角部(以下単に隅角部と記す)を、常に移載位置のA-A線に合わせて供給されるように図示しないトレー供給手段を制御する。
【0014】
一方、1パック分のスライス肉群は、スライス肉群の先端部を基準箇所と定められ、図3に示すように、スライス肉群の先端部が移載位置のA-A線に到達するタイミングに合わせて、コンベヤ8の終端部に構成されたシャトルコンベヤを作動させることで終端部のローラーが後退してトレー内に落下し移載される。
【0015】
コンベヤ8は、スライサーから切り出されるスライス肉mを、移送片7から始端部で受け取れる位置まで延設されるが、このコンベヤ8の長さSは、想定される最大の1パック分のスライス肉群の長さLを基準とし、コンベヤ8を早送りさせて得られる適宜な間隔Cを空けて、図2に示されるように、少なくとも後続の1パック分のスライス肉群と間隔Cとを空けた状態で、次の1パック分のスライス肉群が位置するように設定する。
このことは、各機能部材を構成するスペースの確保のために望ましい。
【0016】
次に、1パック分のスライス肉群におけるスライス肉の枚数Nが変更された場合について、図2に基づき説明する。
1パック分のスライス肉群のスライス肉の枚数Nが変更されても図2に示すように移載位置におけるスライス肉群の先端部とトレー底面の隅角部は常に定位置を保持させることができれば、トレーの大きさが変更されてもトレー底面の隅角部を基準にして次のトレーを送り出すようにすればよいので都合がよい。
図2における(イ)の状態からスライス肉mの枚数Nが少なくなった(ロ)の状態において、1パック分のスライス肉群の長さLが減少した分は間隔Cを多くして補正できるようにコンベヤ8の早送り量Cが調整されるようにすれば、枚数Nが変わっても同じタイミングでスライス肉群が移載位置に到達するのでコンベヤ8の終端部が後退するタイミングも同じとなる。
【0017】
所望する枚数Nのスライス肉mのトレー収納品を得るには、使用するトレーサイズを決める底面部の長さLと、この長さLに略等しい1パック分のスライス肉群の長さLを決めるスライス肉の枚数Nと、スライス肉の長さHを入力すれば、スライス肉mのずらされる長さpと間隔Cが制御手段で演算されコンベヤ8が走行制御される。
そしてスライス肉群の先端部が移載位置に達するタイミングに合わせてシャトルコンベヤが作動しコンベヤ8の終端部が後退しスライス肉群がトレー内に落下し移載される。
これら一連の作動は、スライサーのスライス肉の切り出し周期を基準としたパルス信号による時間制御によって繰り返し行われる。
尚、スライス肉mの長さHは、部分肉の部位によって略決まっているのでその都度人手で入力するが、より精度を高めるには、適宜検出手段を用いて原料の部分肉を常時計測させその検出結果をフィードバックさせるようにしてもよい。
【0018】
又、本例におけるスライス肉は、部分肉が薄く切削されたままの平板状としたが、搬送途中でスライス肉を搬送方向に直交した略中心部から折り返して2された状態とし、折り曲げ部を先頭にして先のスライス肉とは所定の長さずらされて積み重ねられたものであっても、スライス肉の長さHが2された状態での長さ(約1/2)となる以外は同様に適用される。
【符号の説明】
【0019】
6 回転体
7 移送片
8 コンベヤ
9 トレー
スライス肉の搬送方向の長さ(第1長さ)
スライス肉の枚数
スライス肉群の搬送方向の長さ(第2長さ)
所定長さ(第3長さ)
図1
図2
図3
図4