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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】軒先用水切り部材及び屋根構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/40 20060101AFI20220704BHJP
【FI】
E04D3/40 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017216396
(22)【出願日】2017-11-09
(65)【公開番号】P2018080571
(43)【公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】P 2016218749
(32)【優先日】2016-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503341996
【氏名又は名称】エバー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】江原 正也
【審査官】清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-074219(JP,U)
【文献】特開2006-161453(JP,A)
【文献】特開2004-197560(JP,A)
【文献】特開昭63-265058(JP,A)
【文献】特開2003-328514(JP,A)
【文献】特開2005-090033(JP,A)
【文献】特開平10-205090(JP,A)
【文献】特開平06-322906(JP,A)
【文献】特開2007-186872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野地板と、
この野地板上に棟側から軒先側にかけて設けられた複数の縦桟と、
これら縦桟の間に設けられた複数の屋根材と、
前記野地板の軒先側に設けられた板状の水切り部材と、を具備し、
前記水切り部材は、前記屋根材と前記野地板との間に設けられた水切挟持部と、
この水切挟持部から軒先側に下方への段差を形成する接続部を介して突出して設けられると共に、その上面が前記屋根材の下面から離間した突出部と、
この突出部から前記野地板側に折り返された突出折返部と、
この突出折返部の前記野地板の端部よりも軒先側の位置から下方に折曲された平板状の折曲部と、を備え、
前記接続部は、前記野地板の前記軒先側の端部よりも軒先側において、下方に向けて延出し、
前記屋根材は、前記軒先側に突出すると共に、前記水切り部材の突出折返部の下方側へ折曲された折返部を備える、屋根構造。
【請求項2】
前記水切挟持部の下端位置が、前記突出折返部と前記折曲部との境界位置に対し、鉛直方向において高い請求項に記載の屋根構造。
【請求項3】
前記水切挟持部の上に、防水シートが配置される、請求項に記載の屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野地板上への雨水の浸入を防止する軒先用水切り部材及びこの軒先用水切り部材を用いた屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋の野地板上には屋根材が配置され、受けた雨水を軒先側に流している。野地板の軒先側には、軒先用の水切り部材(捨て唐草)が設けられており、屋根材上を流れた雨水を破風板の先方位置(例えば、雨樋等)に案内する機能を有している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図35は縦葺きの屋根構造100の一例を示す縦断面図、図36は屋根構造100の要部を示す斜視図、図37は屋根構造100の要部を示す斜視図である。
【0004】
屋根構造100は、野地板101と、この野地板101上に棟側から軒先側に向けて所定間隔で配置された縦桟102と、野地板101上に設けられた防水シート103とを備えている。これら縦桟102の間には、板金製の屋根材110が設けられている。また、野地板101の軒先側には板金製の水切り部材120が配置され、屋根材110の下面に配置されている。
【0005】
屋根材110は、野地板101及び水切り部材120に積層される平面部111と、この平面部111の側端部から縦桟102に沿って立設された壁部112と、平面部111の軒先側に設けられた折返部113とを備えている。
【0006】
水切り部材120は、野地板101に積層される本体部121と、この本体部121の軒先側から下方へ折曲された案内片122とを備えている。なお、案内片122には、上述した折返部113が重ねられて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-150089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した屋根構造では、次のような問題があった。すなわち、縦桟102と水切り部材120との間には屋根材110が設けられていない。このため、案内片122が露出し、縦桟102、屋根材110、案内片122の隙間(図37中二点鎖線P参照)が形成されることとなる。このため、この隙間から屋根材110と水切り部材120との隙間に毛細管現象により水が浸入する。浸入した水分は、さらに屋根材110と水切り部材120との間を上り、野地板101まで浸入する。このため、野地板101の軒先側を腐らせてしまうことがあった。水切り部材120を棟側に延伸すれば水の浸入を防止することができるが、コストが高くなるという問題が生ずる。
【0009】
そこで本発明は、屋根材と水切り部材との間から野地板まで雨水が毛細管現象によって伝わることを防止できる軒先用水切り部材及びこの軒先用水切り部材を用いた屋根構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の軒先用水切り部材及び屋根構造は次のように構成されている。
【0011】
一形態にかかる屋根構造は、野地板と、この野地板上に棟側から軒先側にかけて設けられた複数の縦桟と、これら縦桟の間に設けられた複数の屋根材と、前記野地板の軒先側に設けられた板状の水切り部材と、を具備し、前記水切り部材は、前記屋根材と前記野地板との間に設けられた水切挟持部と、この水切挟持部から軒先側に下方への段差を形成する接続部を介して突出して設けられると共に、その上面が前記屋根材の下面から離間した突出部と、この突出部から前記野地板側に折り返された突出折返部と、この突出折返部の前記野地板の端部よりも軒先側の位置から下方に折曲された平板状の折曲部と、を備え、前記接続部は、前記野地板の前記軒先側の端部よりも軒先側において、下方に向けて延出すし、前記屋根材は、前記軒先側に突出すると共に、前記水切り部材の突出折返部の下方側へ折曲された折返部を備える。
【0012】
一形態にかかる屋根構造において、前記水切挟持部の下端位置が、前記突出折返部と前記折曲部との境界位置に対し、鉛直方向において高い。
【0013】
一形態にかかる屋根構造において、前記水切挟持部の上に、防水シートが配置される。
【0015】
野地板と、この野地板上に棟側から軒先側にかけて設けられた複数の縦桟と、これら縦桟の間に設けられた複数の屋根材と、前記野地板の軒先側に設けられた板状の水切り部材と、を具備し、前記水切り部材は、前記屋根材と前記野地板との間に設けられた水切挟持部と、この水切挟持部から軒先側に下方への段差部を介して突出して設けられると共に、その上面が前記屋根材の下面から離間した突出部と、この突出部から前記野地板側に折り返された突出折返部と、この突出折返部から下方に折曲された平板状の折曲部と、を備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、屋根材と水切り部材との間から野地板まで雨水が毛細管現象によって伝わることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】本発明の第1の実施の形態に係る屋根構造を示す縦断面図。
図1B】同屋根構造の要部を示す斜視図。
図2A】同屋根構造の変形例を示す縦断面図。
図2B】同屋根構造の要部を示す斜視図。
図3】同屋根構造の組立工程を示す斜視図。
図4】同屋根構造の組立工程を示す斜視図。
図5】本発明の第2の実施の形態に係る屋根構造に組み込まれる屋根材を示す斜視図。
図6】同屋根材を用いた屋根構造の組立工程を示す斜視図。
図7】同屋根材を用いた屋根構造の組立工程を示す斜視図。
図8】同屋根構造の要部を示す斜視図。
図9】本発明の第3の実施の形態に係る屋根構造に組み込まれる屋根材を示す斜視図。
図10】同屋根材を用いた屋根構造の組立工程を示す斜視図。
図11】同屋根材を用いた屋根構造の組立工程を示す斜視図。
図12】同屋根材を用いた屋根構造の組立工程を示す斜視図。
図13】同屋根構造の要部を示す斜視図。
図14】本発明の第4の実施の形態に係る屋根構造に組み込まれる屋根材を示す斜視図。
図15】同屋根材を用いた屋根構造の要部を示す斜視図。
図16】同屋根構造の別の例を示す斜視図。
図17】本発明の第5の実施の形態に係る屋根構造(1寸勾配)の降雨時の状態を示す断面図。
図18】同屋根構造の降雨後の状態を示す断面図。
図19】同屋根構造(3.5寸勾配)の降雨時の状態を示す断面図。
図20】同屋根構造の降雨後の状態を示す断面図。
図21】同屋根構造(6寸勾配)の降雨時の状態を示す断面図。
図22】比較例としての屋根構造の降雨後の状態を示す断面図。
図23】同屋根構造(1寸勾配)の降雨時の状態を示す断面図。
図24】同屋根構造の降雨後の状態を示す断面図。
図25】同屋根構造(3.5寸勾配)の降雨時の状態を示す断面図。
図26】同屋根構造の降雨後の状態を示す断面図。
図27】同屋根構造(6寸勾配)の降雨時の状態を示す断面図。
図28】同屋根構造の降雨後の状態を示す断面図。
図29】本発明の第6の実施の形態に係る屋根構造(1寸勾配)の降雨時の状態を示す断面図。
図30】同屋根構造の降雨後の状態を示す断面図。
図31】同屋根構造(3.5寸勾配)の降雨時の状態を示す断面図。
図32】同屋根構造の降雨後の状態を示す断面図。
図33】同屋根構造(6寸勾配)の降雨時の状態を示す断面図。
図34】同屋根構造の降雨後の状態を示す断面図。
図35】屋根構造の一例を示す縦断面図。
図36】同屋根構造の要部を示す斜視図。
図37】同屋根構造の要部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1Aは本発明の第1の実施の形態に係る屋根構造10を示す縦断面図、図1Bは屋根構造10の要部を示す斜視図、図2Aは屋根構造10を示す縦断面図、図2Bは屋根構造10の要部を示す斜視図、図3~4は屋根構造10の組立工程を示す斜視図である。
【0019】
図1Aに示すように、屋根構造10は、鉛直方向に立設された鼻隠し11と、図示しない桁によって支持された垂木12とで主要部が形成されている。鼻隠し11の外側には化粧鼻隠し13、垂木12の上には、棟側から軒先側に向けて斜面を形成する野地板14が配置されている。なお、図2A及び図2Bは、後述する防水シート16の配置の位置が異なるものについて示している。
【0020】
図3に示すように、野地板14上には、棟側から軒先側に向けて所定間隔で配置された縦桟15と、野地板14上に設けられた防水シート16とを備えている。
縦桟15の間には、板金製の屋根材20が設けられている。また、野地板14の軒先側には軒先用の水切り部材30が配置され、屋根材20の下面に配置されている。水切り部材30は金属板を折曲して一体に成形されている。
【0021】
屋根材20は、野地板14及び水切り部材30に積層される平面部21と、この平面部21の側端部から縦桟15に沿って立設された壁部22と、平面部21の軒先側に設けられた折返部23とを備えている。
【0022】
水切り部材30は、野地板14に積層される本体部31と、この本体部31の軒先側から下方へ折曲された案内片(折曲部)32とが金属板を折曲して一体に形成されている。なお、案内片32には、上述した折返部23が重ねられて配置されている。本体部31は、屋根材20の平面部21と野地板14上に挟持された挟持部31aと、野地板14の軒先側に突出した突出部31bと、これら挟持部31aと突出部31bとを接続する接続部31cとを備えている。挟持部31aの平面と突出部31bの平面とはほぼ平行で、突出部31b側がやや下方に形成されている。突出部31bの先端側は折返部23に当接している。挟持部31aの上端には折返し片33、案内片32の下端には折返し片34が形成されている。
【0023】
次に、このような屋根構造10の組立工程について説明する。すなわち、図3に示すように野地板14の軒先側に水切り部材30を配置する。次に、屋根材20を下端側が水切り部材30の突出部31bよりも数cm先に出るように配置する。次に図4に示すように、屋根材20の下端側を下方に折り曲げて水切り部材30の突出部31bの下端に突き当てる。
【0024】
このように構成された屋根構造10では、次のような効果がある。すなわち、降雨時に屋根材20上に落下した雨水は、屋根材20平面部21上面を伝わって軒先側に導かれる。雨水は軒先側に達するとほとんど全てがそのまま落下する。一方、平面部21と壁部22の境界付近の雨水は軒先側に導かれる。導かれた雨水の一部は壁部22と縦桟15の隙間に回り込む。回り込んだ雨水は毛細管現象によって水切り部材30の突出部31b上に導かれる。一方、図1に示すように突出部31b上面と屋根材20の平面部21とは離間しているため、雨水が毛細管現象によって挟持部31a側に導かれることはない。
【0025】
このため、水切り部材30と屋根材20との間を伝わって雨水が野地板14上まで到達することがなく、野地板14が傷むのを防止でき、長寿命化することができる。
【0026】
なお、図2A及び図2Bにおいては、防水シート16が水切り部材30の挟持部31a上に配置されているが、同様の効果を得ることができる。
【0027】
図5は本発明の第2の実施の形態に係る屋根構造10Aに組み込まれる屋根材40を示す斜視図、図6図7は屋根材40を用いた屋根構造10Aの組立工程を示す斜視図、図8は屋根構造10Aの要部を示す斜視図である。なお、これらの図において、図1図4と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0028】
屋根構造10Aにおいては、屋根材20の代わりに屋根材40を用いたものである。また、野地板14上には縦桟15が設けられていない。図5に示すように、屋根材40は、野地板14及び水切り部材30に積層される平面部41と、この平面部41の左側端部に設けられた被係合凸部42と、右側端部に設けられた係合凸部43と、平面部41の軒先側に設けられた折返部44とを備えている。被係合凸部42に係合凸部43を被せることで係合し、棟側から軒先側に向けて桟状の凸条部Tが形成される。
【0029】
次に、このような屋根構造10Aの組立工程について説明する。すなわち、図6に示すように野地板14の軒先側に水切り部材30を配置する。次に、複数の屋根材40を係合させた状態で、その下端側が水切り部材30の突出部31bよりも数cm先に出るように配置する。次に図7に示すように、屋根材40の下端側を下方に折り曲げて水切り部材30の突出部31bの下端に突き当てる。
【0030】
このように構成された屋根構造10Aにおいては、次のような効果がある。すなわち、降雨時に屋根材40上に落下した雨水は、屋根材40の平面部41上面を伝わって軒先側に導かれる。雨水は軒先側に達するとほとんど全てがそのまま落下する。一方、平面部41と被係合凸部42あるいは平面部41と係合凸部43の境界付近の雨水は軒先側に導かれる。導かれた雨水の一部は平面部41と凸条部Tの隙間(図8中二点鎖線Q)に回り込む。回り込んだ雨水は毛細管現象によって水切り部材30の突出部31b上に導かれる。一方、上述した屋根構造10と同様に、突出部31b上面と屋根材40の平面部41とは離間しているため、水が毛細管現象によって挟持部31a側に導かれることはない。
【0031】
このため、水切り部材30と屋根材40との間を伝わって雨水が野地板14上まで到達することがなく、野地板14が傷むのを防止でき、長寿命化することができる。
【0032】
図9は本発明の第3の実施の形態に係る屋根構造10Bに組み込まれる屋根材50を示す斜視図、図10図12は屋根材50を用いた屋根構造10Bの組立工程を示す斜視図、図13は屋根構造10Bの要部を示す斜視図である。なお、これらの図において、図1図8と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0033】
屋根構造10Bにおいては、屋根材20の代わりに屋根材50を用いたものである。また、野地板14上には縦桟15が設けられていない。図9に示すように、屋根材50は、野地板14及び水切り部材30に積層される平面部51と、この平面部51の左側端部に設けられた被係合鍔部52と、右側端部に設けられた係合鍔部53と、平面部51の軒先側に設けられた折返部54とを備えている。係合鍔部53は被係合鍔部52に重ねて折曲することで係合し、棟側から軒先側に向けて板状の凸条部Sが形成される。
【0034】
次に、このような屋根構造10Bの組立工程について説明する。すなわち、図10に示すように野地板14の軒先側に水切り部材30を配置する。次に、複数の屋根材50を係合させた状態で、その下端側が水切り部材30の突出部31bよりも数cm先に出るように配置する。また、係合鍔部53と被係合鍔部52とを共に重ねて2回折曲して凸条部Sを形成する。次、図11に示すように屋根材50の下端側の切欠Kを入れて、図12に示すように下方に折り曲げ、水切り部材30の突出部31bの下端に突き当てる。
【0035】
このように構成された屋根構造10Bにおいては、次のような効果がある。すなわち、降雨時に屋根材50上に落下した雨水は、屋根材50の平面部51上面を伝わって軒先側に導かれる。雨水は軒先側に達するとほとんど全てがそのまま落下する。一方、平面部51と被係合鍔部52あるいは平面部51と係合鍔部53の境界付近の雨水は軒先側に導かれる。導かれた雨水の一部は平面部51と凸条部Sの隙間(図13中二点鎖線R)に回り込む。回り込んだ雨水は毛細管現象によって水切り部材30の突出部31b上に導かれる。一方、上述した屋根構造10Aと同様に、突出部31b上面と屋根材50の平面部51とは離間しているため、水が毛細管現象によって挟持部31a側に導かれることはない。
【0036】
このため、水切り部材30と屋根材50との間を伝わって雨水が野地板14上まで到達することがなく、野地板14が傷むのを防止でき、長寿命化することができる。
【0037】
図14は本発明の第4の実施の形態に係る屋根構造10Cに組み込まれる屋根材60を示す斜視図、図15は屋根材60を用いた屋根構造10Cの要部を示す斜視図である。なお、これらの図において、図1図13と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0038】
屋根構造10Cにおいては、屋根材20の代わりに屋根材60を用いたものである。また、野地板14上には縦桟15が設けられていない。図14に示すように、屋根材60は、野地板14及び水切り部材30に積層される平面部61と、この平面部61の下端部に設けられた被係合折返片62と、上端部に設けられた係合折返片63とを備えている。
【0039】
次に、このような屋根構造10Cの組立工程について説明する。すなわち、図15に示すように野地板14の軒先側に水切り部材30を配置する。次に、複数の屋根材60を係合させた状態で、その下端側が水切り部材30の突出部31bよりも数cm先に出るように配置する。次に、屋根材60の被係合折返片62を水切り部材30の突出部31bの下端に突き当てる。次に屋根材60の係合折返片63に、別の屋根材60の被係合折返片62を係合させて配置する。
【0040】
このように構成された屋根構造10Cにおいては、降雨時に屋根材60上に落下した雨水は、屋根材60の平面部61上面を伝わって軒先側に導かれる。雨水は軒先側に達するとほとんど全てがそのまま落下する。何らかの理由で雨水が水切り部材30の突出部31b上に導かれた場合には、上述した屋根構造10と同様に、突出部31b上面と屋根材60の平面部61とは離間しているため、水が毛細管現象によって挟持部31a側に導かれることはない。
【0041】
このため、水切り部材30と屋根材60との間を伝わって雨水が野地板14上まで到達することがなく、野地板14が傷むのを防止でき、長寿命化することができる。
【0042】
図16は屋根構造10Dの示す斜視図である。この図において図1図15と同一機能部分には同一符号を付した。屋根構造10Dにおいては、水切り部材30の代わりに水切り部材30Aを用いている。水切り部材30Aは、案内片32の先端側が外側に折曲された折曲案内片32aが設けられている。折曲案内片32aは雨樋等に円滑に案内できるように適宜角度が調整されている。水切り部材30Aを用いた場合でも同様にして雨水の野地板14への浸入を防止することができる。
【0043】
図17は本発明の第5の実施の形態に係る屋根構造(1寸勾配)70の降雨時の状態を示す断面図、図18は屋根構造70の降雨後の状態を示す断面図である。また、図17及び図18中二点鎖線Hは水平を示している。なお、これらの図において、図1図5と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0044】
図17に示すように、屋根構造70は、鉛直方向に立設された鼻隠し11と、図示しない桁によって支持された垂木12とで主要部が形成されている。鼻隠し11の外側には化粧鼻隠し13、垂木12の上には、棟側から軒先側に向けて1寸勾配の斜面を形成する野地板14が配置されている。なお、1寸勾配とは、野地板14の傾きが5~6°となる傾きである。
【0045】
野地板14上には、棟側から軒先側に向けて所定間隔で配置された縦桟15と、野地板14上に設けられた防水シート16とを備えている。縦桟15の間には、板金製の屋根材20が設けられている。また、野地板14の軒先側には軒先用の水切り部材80が配置され、屋根材20の下面に配置されている。水切り部材80は金属板を折曲して一体に成形されている。
【0046】
屋根材20は、野地板14及び水切り部材30に積層される平面部21と、この平面部21の側端部から縦桟15に沿って立設された壁部22と、平面部21の軒先側に設けられ、水切り部材80の後述する突出折返部31d側に折曲された折返部23とを備えている。
【0047】
水切り部材80は、野地板14に積層される本体部31と、この本体部31の軒先側から下方へ折曲された案内片32とが金属板を折曲して一体に形成されている。なお、案内片32には、上述した折返部23が重ねられて配置されている。本体部31は、屋根材20の平面部21と野地板14上に挟持された挟持部31aと、野地板14の軒先側に突出した突出部31bと、これら挟持部31aと突出部31bとを接続する接続部31cとを備えている。挟持部31aの平面と突出部31bの平面とはほぼ平行で、突出部31b側がやや下方に形成されている。突出部31bの先端側は折返部23に近接しているが、当接はしていない。突出部31bの先端Pから野地板14側に折り返された突出折返部31dが形成されている。挟持部31aの上端には折返し片33(図1参照)、案内片32の下端には折返し片34が形成されている。
【0048】
ここで、挟持部31aの下端位置Sが、突出折返部31dと案内片32との境界位置Kに対し、鉛直方向において高くなるように配置されている。
【0049】
次に、このような屋根構造70の組立工程について説明する。すなわち、野地板14の軒先側に水切り部材80を配置する。次に、屋根材20を下端側が水切り部材30の突出部31bよりも数cm先に出るように配置する。次に、屋根材20の下端側を下方に折り曲げて水切り部材80の突出部31bの下端に近づける。
【0050】
このように構成された屋根構造70では、次のような効果がある。すなわち、降雨時に屋根材20上に落下した雨水は、屋根材20平面部21上面を伝わって軒先側に導かれる。雨水は軒先側に達すると、軒先において表面張力で一旦水が溜まり、その一部は重力により軒先から落下してゆく。一方、平面部21と壁部22の境界付近の雨水は軒先側に導かれる。導かれた雨水の一部は壁部22と縦桟15の隙間に回り込む。回り込んだ雨水は毛細管現象によって水切り部材80の突出部31b上に導かれる。一方、突出部31b上面と屋根材20の平面部21とは離間しているため、雨水が毛細管現象によって挟持部31a側に導かれることはない。
【0051】
また、屋根材20の平面部21上面を伝わって軒先側に導かれた雨水の一部は、上述したように表面張力によって図17に示すように、平面部21の先端側に留って水滴Wを形成する。この水滴Wは次第に大きくなり、屋根材20の折返部23の先端まで濡れ拡がり、折返部23と水切り部材80の突出折返部31dとの間に溜まる。
【0052】
この水滴Wは、水切り部材80の突出部31b下面と屋根材20の折返部23との間に入り込み、突出折返部31dと案内片32との境界位置Kの高さまで上がる。ここで、挟持部31aの下端位置Sが、突出折返部31dと案内片32との境界位置Kに対し、鉛直方向において高くなるように配置されているため、二点鎖線Hの位置で水滴Wの上昇は留まり、下端位置Sまで水滴Wが上がることがなく、水切り部材80の挟持部31aと屋根材20の平面部21との間に到達しない。したがって、雨水が大気圧によって挟持部31a側に導かれることはない。
【0053】
一方、降雨後は、図18に示すように水滴Wは消失し、屋根材20の折返部23の上面に僅かに水Qが溜まることとなる。水Qは外気に触れているため、いずれ蒸発する。
【0054】
このように屋根構造70によれば、水切り部材80と屋根材20との間を伝わって雨水が野地板14上まで到達することがなく、野地板14が傷むのを防止でき、長寿命化することができる。
【0055】
図19は屋根構造(3.5寸勾配)70Aの降雨時の状態を示す断面図、図20は屋根構造70Aの降雨後の状態を示す断面図である。なお、これらの図において、図17,18と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、3.5寸勾配とは、野地板14の傾きが19~20°となる傾きである。
【0056】
屋根構造70Aにおいても、図19に示すように、降雨時において、突出部31b上面と屋根材20の平面部21とは離間しているため、雨水が毛細管現象によって挟持部31a側に導かれることはない。また、挟持部31aの下端位置Sが、突出折返部31dと案内片32との境界位置Kに対し、鉛直方向において高くなるように配置されているため、水滴Wが水切り部材80の突出部31b下面と屋根材20の折返部23との間に入り込んで境界位置Kの高さまで上がっても、二点鎖線Hの位置で水滴Wの上昇は留まる。したがって、下端位置Sまで水滴Wが上がることがなく、水切り部材80の挟持部31aと屋根材20の平面部21との間に到達しない。したがって、雨水が大気圧によって挟持部31a側に導かれることはない。
【0057】
一方、降雨後は、図20に示すように水滴Wは消失し、屋根材20の折返部23の上面に僅かに水Qが溜まることとなる。水Qは外気に触れているため、いずれ蒸発する。
【0058】
このように屋根構造70Aによれば、水切り部材80と屋根材20との間を伝わって雨水が野地板14上まで到達することがなく、野地板14が傷むのを防止でき、長寿命化することができる。
【0059】
図21は屋根構造(6寸勾配)70Bの降雨時の状態を示す断面図、図22は比較例としての屋根構造70Bの降雨後の状態を示す断面図である。なお、これらの図において、図17,18と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、6寸勾配とは、野地板14の傾きが30~31°となる傾きである。
【0060】
屋根構造70Bにおいても、図21に示すように、降雨時において、突出部31b上面と屋根材20の平面部21とは離間しているため、雨水が毛細管現象によって挟持部31a側に導かれることはない。また、挟持部31aの下端位置Sが、突出折返部31dと案内片32との境界位置Kに対し、鉛直方向において高くなるように配置されているため、水滴Wが水切り部材80の突出部31b下面と屋根材20の折返部23との間に入り込んで境界位置Kの高さまで上がっても、二点鎖線Hの位置で水滴Wの上昇は留まる。したがって、下端位置Sまで水滴Wが上がることがなく、水切り部材80の挟持部31aと屋根材20の平面部21との間に到達しない。したがって、雨水が大気圧によって挟持部31a側に導かれることはない。
【0061】
一方、降雨後は、図22に示すように水滴Wは消失し、屋根材20の折返部23の上面に僅かに水Qが溜まることとなる。水Qは外気に触れているため、いずれ蒸発する。
【0062】
このように屋根構造70Aによれば、水切り部材80と屋根材20との間を伝わって雨水が野地板14上まで到達することがなく、野地板14が傷むのを防止でき、長寿命化することができる。
【0063】
図23は比較例としての屋根構造(1寸勾配)100の降雨時の状態を示す断面図、図24は屋根構造100の降雨後の状態を示す断面図である。なお、これらの図において、図35~37と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0064】
図23に示すように、屋根構造100は、野地板101と、この野地板101上に棟側から軒先側に向けて所定間隔で配置された縦桟102と、野地板101上に設けられた防水シート103とを備えている。これら縦桟102の間には、板金製の屋根材110が設けられている。また、野地板101の軒先側には板金製の水切り部材120が配置され、屋根材110の下面に配置されている。
【0065】
屋根材110は、野地板101及び水切り部材120に積層される平面部111と、この平面部111の側端部から縦桟102に沿って立設された壁部112と、平面部111の軒先側に設けられた折返部113とを備えている。
【0066】
水切り部材120は、野地板101に積層される本体部121と、この本体部121の軒先側から下方へ折曲された案内片122とを備えている。なお、案内片122には、上述した折返部113が重ねられて配置されている。ここで、本体部121の下端位置Sが、案内片122の水平部122aと垂下部122bとの折曲位置Kに対し、鉛直方向において低く配置されている。
【0067】
このように構成された屋根構造100では、前述したように、降雨時に屋根材110と水切り部材120との隙間に毛細管現象により水が浸入する。浸入した水分は、さらに屋根材110と水切り部材120との間を上り、野地板101まで浸入する。また、屋根材110の平面部111上面を伝わって軒先側に導かれた雨水の一部は、表面張力によって図23に示すように、平面部111の先端側に留って水滴Wを形成する。この水滴Wは次第に大きくなり、屋根材110の折返部113の先端位置まで濡れ拡がり、折返部113と水切り部材120の案内片122の水平部122aの間に溜まる。
【0068】
この水滴Wは、水切り部材120の水平部122a下面と屋根材110の折返部113との間に入り込み、水切り部材120の水平部122aと垂下部122bとの境界位置Kの高さまで上がる。ここで、屋根材110と水切り部材120との隙間が狭くなっているため、毛細管現象により水が浸入することとなる。
【0069】
一方、降雨後は、図24に示すように水滴Wは消失し、水切り部材120の水平部122a下面と屋根材110の折返部113上面に僅かに水Qが溜まることとなる。水Qは外気に触れているため、いずれ蒸発する。
【0070】
このように屋根構造100によれば、本体部121の下端位置Sが、案内片122の水平部122aと垂下部122bとの折曲位置Kに対し、鉛直方向において低く配置されていることから、雨水が野地板101上まで到達し、野地板101が傷むこととなる。
【0071】
この比較例からも判るように、屋根構造70において、挟持部31aの下端位置Sが、突出折返部31dと案内片32との境界位置Kに対し、鉛直方向において高くなるように配置することで、野地板14の傷みを防止できる。
【0072】
図25は比較例としての屋根構造(3.5寸勾配)100Aの降雨時の状態を示す断面図、図26は屋根構造100Aの降雨後の状態を示す断面図である。なお、これらの図において、図23,24と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0073】
屋根構造100Aにおいても、図25に示すように、降雨時において、本体部121の下端位置Sが、案内片122の水平部122aと垂下部122bとの折曲位置Kに対し、鉛直方向において低く配置されていることから、雨水が野地板101上まで到達し、野地板101が傷むこととなる。
【0074】
図27は比較例としての屋根構造(6寸勾配)100Bの降雨時の状態を示す断面図、図28は屋根構造100Bの降雨後の状態を示す断面図である。なお、これらの図において、図27,28と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0075】
屋根構造100Bにおいても、図27に示すように、降雨時において、本体部121の下端位置Sが、案内片122の水平部122aと垂下部122bとの折曲位置Kに対し、鉛直方向において低く配置されていることから、雨水が野地板101上まで到達し、野地板101が傷むこととなる。
【0076】
図29は本発明の第6の実施の形態に係る屋根構造(1寸勾配)70Cの降雨時の状態を示す断面図、図30は屋根構造70Cの降雨後の状態を示す断面図である。なお、これらの図において、図17,18と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0077】
屋根構造70Cにおいては、屋根材20の折返部23がほぼ水平に配置され、その先端が僅かに下方に傾いている。この場合、図29に示すように、降雨時において、突出部31b上面と屋根材20の平面部21とは離間しているため、雨水が毛細管現象によって挟持部31a側に導かれることはない。また、挟持部31aの下端位置Sが、突出折返部31dと案内片32との境界位置Kに対し、鉛直方向において高くなるように配置されているため、水滴Wが水切り部材80の突出部31b下面と屋根材20の折返部23との間に入り込んで境界位置Kの高さまで上がっても、二点鎖線Hの位置で水滴Wの上昇は留まる。したがって、下端位置Sまで水滴Wが上がることがなく、水切り部材80の挟持部31aと屋根材20の平面部21との間に到達しない。したがって、雨水が大気圧によって挟持部31a側に導かれることはない。
【0078】
一方、降雨後は、図30に示すように折返部23の僅かな傾斜に沿って水滴Wは流れ落ち、水は溜まらない。なお、このとき、折返部23がほぼ水平であるため、下方から吹き上げる風による影響を最小限に留めることができ、水滴Wが突出部31bの上方に入り込むことがない。
【0079】
このように屋根構造70Cによれば、水切り部材80と屋根材20との間を伝わって雨水が野地板14上まで到達することがなく、野地板14が傷むのを防止でき、長寿命化することができる。
【0080】
図31は屋根構造(3.5寸勾配)70Dの降雨時の状態を示す断面図、図32は屋根構造70Dの降雨後の状態を示す断面図である。なお、これらの図において、図29,30と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0081】
屋根構造70Dにおいても、屋根材20の折返部23の先端が下方を向いていることから、屋根構造70Cと同様に、降雨時において雨水が毛細管現象によって挟持部31a側に導かれることはない。また、水滴Wが水切り部材80の突出部31b下面と屋根材20の折返部23との間に入り込んで境界位置Kの高さまで上がっても、二点鎖線Hの位置で水滴Wの上昇は留まる。したがって、下端位置Sまで水滴Wが上がることがなく、水切り部材80の挟持部31aと屋根材20の平面部21との間に到達しない。したがって、雨水が大気圧によって挟持部31a側に導かれることはない。
【0082】
一方、降雨後は、図32に示すように折返部23の僅かな傾斜に沿って水滴Wは流れ落ち、水は溜まらない。なお、このとき、折返部23がほぼ水平であるため、下方から吹き上げる風による影響を最小限に留めることができ、水滴Wが突出部31bの上方に入り込むことがない。
【0083】
このように屋根構造70Dによれば、水切り部材80と屋根材20との間を伝わって雨水が野地板14上まで到達することがなく、野地板14が傷むのを防止でき、長寿命化することができる。
【0084】
図33は屋根構造(6寸勾配)70Eの降雨時の状態を示す断面図、図34は屋根構造70Eの降雨後の状態を示す断面図である。なお、これらの図において、図29,30と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0085】
屋根構造70Eにおいても、屋根材20の折返部23の先端が下方を向いていることから、屋根構造70Cと同様に、降雨時において雨水が毛細管現象によって挟持部31a側に導かれることはない。また、水滴Wが水切り部材80の突出部31b下面と屋根材20の折返部23との間に入り込んで境界位置Kの高さまで上がっても、二点鎖線Hの位置で水滴Wの上昇は留まる。したがって、下端位置Sまで水滴Wが上がることがなく、水切り部材80の挟持部31aと屋根材20の平面部21との間に到達しない。したがって、雨水が大気圧によって挟持部31a側に導かれることはない。
【0086】
一方、降雨後は、図34に示すように折返部23の僅かな傾斜に沿って水滴Wは流れ落ち、水は溜まらない。なお、このとき、折返部23がほぼ水平であるため、下方から吹き上げる風による影響を最小限に留めることができ、水滴Wが突出部31bの上方に入り込むことがない。
【0087】
このように屋根構造70Dによれば、水切り部材80と屋根材20との間を伝わって雨水が野地板14上まで到達することがなく、野地板14が傷むのを防止でき、長寿命化することができる。
【0088】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(1)
野地板の軒先に設けられる板材からなる水切り部材において、
平板状の挟持部と、
この挟持部に対し、下方への段差部を介して一体に設けられた平板状の突出部と、
この突出部に対し、下方に折曲されて一体に設けられた平板状の折曲部と、を備えている軒先用水切り部材。
(2)
野地板の軒先に設けられる板材からなる水切り部材において、
平板状の挟持部と、
この挟持部に対し、下方への段差部を介して一体に設けられた平板状の突出部と、
この突出部から前記野地板側に折り返された突出折返部と、
この折返部から下方に折曲された平板状の折曲部と、を備えている軒先用水切り部材。
(3)
野地板と、
この野地板上に棟側から軒先側にかけて設けられた複数の縦桟と、
これら縦桟の間に設けられた複数の屋根材と、
前記野地板の軒先側に設けられた板状の水切り部材と、を具備し、
前記水切り部材は、前記屋根材と前記野地板との間に設けられた水切挟持部と、
この水切挟持部から軒先側に突出すると共に、その上面が前記屋根材の下面から離間した突出部と、
この突出部から下方に折曲された平板状の折曲部と、を備えている屋根構造。
(4)
野地板と、
この野地板上に棟側から軒先側にかけて設けられた複数の縦桟と、
これら縦桟の間に設けられた複数の屋根材と、
前記野地板の軒先側に設けられた板状の水切り部材と、を具備し、
前記水切り部材は、前記屋根材と前記野地板との間に設けられた水切挟持部と、
この水切挟持部から軒先側に下方への段差部を介して突出して設けられると共に、その上面が前記屋根材の下面から離間した突出部と、
この突出部から前記野地板側に折り返された突出折返部と、
この突出折返部から下方に折曲された平板状の折曲部と、を備えている屋根構造。
(5)
前記屋根材は、前記軒先側に突出すると共に、前記水切り部材の突出折返部の下方側へ折曲された折返部とを備え、
前記水切挟持部の下端位置が、前記突出折返部と前記折曲部との境界位置に対し、鉛直方向において高い(4)に記載の屋根構造。
【符号の説明】
【0089】
10、10A、10B、10C、10D…屋根構造、12…垂木、13…破風板、14…野地板、15…縦桟、16…防水シート、20…屋根材、21…平面部、22…壁部、23…折返部、30…部材、30A…部材、31…本体部、31a…挟持部、31b…突出部、31c…接続部、31d…突出折返部、32…案内片(折曲部)、32a…折曲案内片、40…屋根材、41…平面部、42…被係合凸部、43…係合凸部、44…折返部、50…屋根材、51…平面部、52…被係合鍔部、53…係合鍔部、54…折返部、60…屋根材、61…平面部、62…被係合折返片、63…係合折返片、70…屋根構造、70、70A、70B、70C、70D、70E…屋根構造、80…水切り部材。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37